(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における角速度センサ116の平面図である。
図1において、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する。さらに、X軸とY軸とを含むXY平面を定義する。角速度センサ116は、枠形状を有する支持体117と、支持体117にY軸と平行に懸架された縦梁118、119と、縦梁118、119間に懸架された横梁120と、錘125〜128と、横梁120の中間部194に設けられた保持部195と、保持部195に支持されたアーム121〜124と、アーム121〜124をXY平面と平行に駆動し振動させる駆動ユニット191と、アーム121〜124のXY平面と平行な方向の変位を検出するモニタユニット192と、錘125〜128のX軸の方向の変位又はY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する検出ユニット193とを備える。検出ユニット193はアーム121〜124の変位であるX軸の方向の変位又はY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する。支持体117は角速度が加わる被測定物117Cに固定されるように構成されている。アーム121は、保持部195に支持された一端121Aと、錘125に接続された他端121Bとを有し、一端121AからY軸の正方向に延出する。アーム122は、保持部195に支持された一端122Aと、錘126に接続された他端122Bとを有し、一端122AからY軸の正方向に延出する。アーム123は、保持部195に支持された一端123Aと、錘127に接続された他端123Bとを有し、一端123AからY軸の負方向に延出する。アーム124は、保持部195に支持された一端124Aと、錘128に接続された他端124Bとを有し、一端124AからY軸の負方向に延出する。駆動ユニット191は、アーム121〜124をXY平面と平行に振動させる駆動部129〜136を有する。モニタユニット192は、アーム121〜124のX軸の方向の変位をそれぞれ検出するモニタ部137〜140を有する。検出ユニット193は、錘125〜128のY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する検出部141〜148を有する。保持部195は横梁120と縦梁118、119を介して支持体117に結合する。支持体117と縦梁118との間にはスリット117Aが設けられており、支持体117と縦梁119との間にはスリット117Bが設けられている。支持体117と縦梁118,119との間にスリット117A、117Bを設けることにより、角速度センサ116をパッケージ又は下蓋等に接着した際の応力が横梁120やアーム121〜124に伝達することを抑制することができる。
また、支持体117にはスリット117A、117Bが設けられていなくてもよい。この場合には、支持体117の一部が縦梁118、119として機能する。この場合には、角速度センサ116のX軸の方向の幅を小さくすることができる。
支持体117は、縦梁118、119を支持する固定部材であり、角速度センサ116を格納するパッケージに別の支持部材や接着剤等を用いて固定される。支持体117の外縁部には複数の電極パッド149が設けられている。複数の電極パッド149は、駆動部129〜136、モニタ部137〜140及び検出部141〜148と配線によりそれぞれ電気的に接続されている。
縦梁118及び縦梁119はY軸と平行に延びており、両端が支持体117に接続されることにより支持体117に懸架されている。これにより、縦梁118及び縦梁119は、Z軸の方向に撓むことができる。また、縦梁118と縦梁119とは、Y軸に平行な軸AY11に関して互いに実質的に対称となるように形成されている。これにより、角速度センサ116に与えられた角速度に対して、縦梁118と縦梁119とは実質的に同一の振幅で撓む。
横梁120はX軸と平行に延びており、一端が縦梁118の実質的に中点に接続され、他端が縦梁119の実質的に中点に接続されている。これにより、横梁120はZ軸の方向に撓むことができる。
アーム121は、保持部195に接続された一端121AからY軸の正方向に延出する延部121Cと、延部121CからX軸の正方向に延びる延部121Dと、延部121DからY軸の負方向に延びる延部121Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端121Bは延部121Eの端であり、錘125が接続されている。
アーム122は、保持部195に接続された一端122AからY軸の正方向に延出する延部122Cと、延部122CからX軸の負方向に延びる延部122Dと、延部122DからY軸の負方向に延びる延部122Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端122Bは延部122Eの端であり、錘126が接続されている。
アーム123は、保持部195に接続された一端123AからY軸の負方向に延出する延部123Cと、延部123CからX軸の正方向に延びる延部123Dと、延部123DからY軸の正方向に延びる延部123Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端123Bは延部123Eの端であり、錘127が接続されている。
アーム124は、保持部195に接続された一端124AからY軸の負方向に延出する延部124Cと、延部124CからX軸の負方向に延びる延部124Dと、延部124DからY軸の正方向に延びる延部124Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端124Bは延部124Eの端であり、錘128が接続されている。
アーム121〜124は、X軸の方向、Y軸の方向及びZ軸の方向に撓むことができる。
アーム121とアーム122とは、Y軸と平行な軸AY11に関して互いに対称に形成されている。アーム123とアーム124とは、軸AY11に関して互いに対称に形成されている。アーム121とアーム123とは、X軸と平行な軸AX11に関して互いに対称に形成されている。アーム122とアーム124とは、軸AX11に関して互いに対称に形成されている。この構造により、角速度センサ116に与えられた角速度に対して、アーム121〜124は、実質的に同一の振幅で撓むようになる。
支持体117、縦梁118、119、横梁120及びアーム121〜124は、水晶、LiTaO3又はLiNbO3等の圧電材料を用いて形成しても良いし、シリコン、ダイヤモンド、溶融石英、アルミナ又はGaAs等の非圧電材料を用いて形成しても良い。特に、シリコンを用いることにより、微細加工技術を用いて非常に小型の角速度センサ116を形成することが可能となるとともに、回路を構成する集積回路(IC)と一体に形成することも可能となる。
支持体117、縦梁118、119、横梁120及びアーム121〜124は、それぞれ異なる材料又は同一の材料から形成した後に組み立てて形成しても良いし、同一の材料を用いて一体に形成しても良い。同一の材料を用いて一体に形成する場合は、ドライエッチング又はウエットエッチングを用いることにより、支持体117、縦梁118、119、横梁120及びアーム121〜124を同一プロセスで形成することができるため、効率的に製造することができる。
駆動部129〜136は、アーム121〜124をX軸の方向に駆動させ変位させる。実施の形態1においては、駆動部129〜136はPZT等のピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
図2は、図1に示す駆動部129、130の線2−2における概略断面図である。ピエゾ素子129B、130Bを下部電極129A、130A及び上部電極129C、130Cでそれぞれ挟んで形成された駆動部129、130がアーム121の上面に設けられている。すなわち、駆動部129、130は、アーム121の上面に設けられた下部電極129A、130Aと、下部電極129A、130Aの上面に設けられたピエゾ素子129B、130Bと、ピエゾ素子129B、130Bの上面に設けられた上部電極129C、130Cよりなる。下部電極129A、130A及び上部電極129C、130Cは、白金(Pt)、金(Au)、アルミ(Al)又はこれらを主成分とした合金又は酸化物により形成することができる。なお、下部電極129A、130Aとして白金(Pt)を用いることが望ましい。これにより、ピエゾ素子129B、130Bの材料であるPZTを一方向に配向させることができる。また、上部電極129C、130Cとして、金(Au)を用いることが望ましい。これにより、抵抗値の経時劣化が少ないため、信頼性に優れた角速度センサ116とすることができる。ここで、下部電極129A、130Aはともに基準電位となっており、上部電極129C、130Cに交流の駆動電圧を印加することにより、アーム121をX軸の方向に振動させることができる。なお、下部電極129A、130A及び上部電極129C、130Cにともに交流の駆動電圧を印加してもよい。これにより、効率的にアーム121を振動させることができる。駆動部131〜136は駆動部129、130と同様の構造を有して、アーム122〜124の上面にそれぞれ設けられている。なお、図1に示すように、駆動部129〜136は、アーム121〜124における錘125〜128の側すなわち延部121E〜124Eに設けられている。これにより、アーム121〜124における横梁120の側の部分の面積を検出部141〜148を設けるために確保することができる。一方、駆動部129〜136をアーム121〜124における横梁120の側すなわち延部121C〜124Cに設けた場合は、駆動部129〜136は効率よくアーム121〜124を駆動し振動させることができる。この場合は、駆動部129〜136は大きな面積を有することができるので、アーム121〜124の振動の振幅を大きくすることができ、角速度センサ116の感度を高くすることができる。
図3は、駆動部129〜136に与えられる駆動信号の位相と、アーム121〜124の振動の位相とを示す図である。駆動部129、131、133、135には互いに同位相(+)の駆動信号が与えられ、駆動部130、132、134、136には駆動部129、131、133、135と逆位相(−)の駆動信号が与えられる。これにより、アーム121とアーム123とは同位相(+)でX軸の方向に振動し、アーム122とアーム124とはアーム121とアーム123と逆位相(−)でX軸の方向に振動する。
モニタ部137〜140は、アーム121〜124のX軸の方向の変位を検出して、その変位に応じたモニタ信号を出力する。実施の形態1においては、モニタ部137〜140はピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
モニタ部137〜140は、図2に示す駆動部129、130と同様に、ピエゾ素子を下部電極と上部電極とで挟んで形成され、アーム121〜124の上面に設けられている。また、モニタ部137〜140は、図3に示すアーム121〜124の振動の位相に対して同位相のモニタ信号が得られる位置に設けられている。なお、モニタ部137〜140は、図1に示すように、アーム121〜124における横梁120の側すなわち延部121C〜124Cにそれぞれ設けられている。これにより、モニタ部137〜140は小さな面積で効率よく変位によるアーム121〜124の歪を検出することが可能となる。なお、検出部141〜148を設ける部分の面積を確保するために、モニタ部137〜140の面積は検出部141〜148よりも小さくすることが望ましい。
検出部141〜148は、アーム121〜124のY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する。検出部141〜148はピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
検出部141〜148は、図2に示す駆動部129、130と同様に、ピエゾ素子を下部電極と上部電極とで挟んで形成され、アーム121〜124の上面に設けられている。なお、検出部141〜148は、図1に示すように、アーム121〜124における横梁120の側すなわち延部121C〜124Cに設けられている。これにより、検出部141〜148は効率よく変位を検出することができる。この場合、検出部141〜148は大きな面積を有するので、角速度センサ116の感度を高くすることができる。一方、検出部141〜148がアーム121〜124における錘125〜128の側すなわち延部121E〜124Eにそれぞれ設けられている場合は、アーム121〜124における横梁120の側の部分の面積を駆動部129〜136を設けるために確保することができる。
図34に示す従来の角速度センサ101では、Y軸と平行な軸BY及びX軸と平行な軸BXに関して検出部114、115が対称に設けられていないので、加速度や衝撃等の外乱に起因する不要信号を相殺することができず、高精度に角速度を検出することができない場合がある。
検出部141と検出部143とは、Y軸と平行な軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部142と検出部144とは、軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部145と検出部147とは、軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部146と検出部148とは、軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部141と検出部145とは、X軸と平行な軸AX11に関して互いに対称に設けられている。検出部142と検出部146とは、軸AX11に関して互いに対称に設けられている。検出部143と検出部147とは、軸AX11に関して互いに対称に設けられている。検出部144と検出部148とは、軸AX11に関して互いに対称に設けられている。このように、検出部141〜148よりなる検出ユニット193を軸AY11及び軸AX11に対称に設けることにより、加速度や衝撃等の外乱に起因する不要信号を相殺することができ、角速度センサ116は角速度を高い精度で検出することができる。
図4は、角速度センサ116に接続された駆動回路150の回路図である。複数の電極パッド149の一部である電極パッド149A〜149Hは駆動部129〜136とそれぞれ電気的に接続されている。複数の電極パッド149の一部である電極パッド149I〜149Lは、モニタ部137〜140とそれぞれ電気的に接続されている。電極パッド149I〜149Lに接続された信号線は接続点196で接続されている。電極パッド149I〜149Lから出力されたモニタ信号である電流は接続点196で合計されてIV変換アンプ151に入力されて電圧に変換される。その電圧は、自動利得制御器(AGC)152で一定振幅の電圧に調整されて出力される。AGC152から出力された電圧の不要周波数成分がフィルタ153で除去される。フィルタ152から出力された電圧はドライブアンプ154で反転増幅されて電極パッド149B、149D、149F、149Hに供給されている。また、ドライブアンプ154から出力された駆動信号は、ドライブアンプ155で反転増幅されて電極パッド149A、149C、149E、149Gに供給されている。この構成により、駆動回路150は、図3に示す位相を有する駆動信号を駆動部129〜136に与え、アーム121〜124を図3に示す位相で振動させることができる。
図5Aと図5Bは角速度センサ116に角速度が加わった場合の動作を示す模式平面図である。
図5AはZ軸の周りの角速度157を検出する場合の角速度センサ116の平面図である。駆動回路150から駆動部129〜136に対して駆動信号が与えられることにより、錘125〜128にはX軸の方向の固有の駆動振動周波数で駆動振動156が発生する。角速度センサ116にZ軸の周りの角速度157が与えられると、コリオリの力がY軸の方向に発生し、錘125〜128に検出振動158が発生する。錘125〜128にY軸の方向の検出振動158が発生する結果、アーム121〜124はX軸の方向に振動する。なお、アーム121、123とアーム122、124とは互いに逆位相で駆動振動しているので、アーム121、123の検出振動とアーム122、124の検出振動とは互いに逆位相となる。
検出振動158により検出部141〜148から出力される検出信号は、駆動振動156と同じ周波数で、かつ、角速度157に依存した振幅を有する。従って、この検出信号の大きさを測定することにより、角速度157の大きさωzを検出することができる。
図5Bは、Y軸の周りの角速度159を検出する角速度センサ116の平面図である。Y軸の周りの角速度159が入力されると、コリオリの力により錘125〜128にZ軸の方向の検出振動160が発生する。アーム121、123とアーム122、124とは互いに逆位相で駆動振動しているので、アーム121、123の検出振動とアーム122、124の検出振動とは互いに逆位相となる。
検出振動160により検出部141〜148から出力される検出信号は、駆動振動156と同じ周波数で、かつ、角速度159に依存した振幅を有する。従って、この検出信号の大きさを測定することにより、角速度159の大きさωyを検出することができる。
図6は、検出部141〜148からそれぞれ出力される信号S101〜S108を示し、具体的には、信号S101〜S108それぞれの駆動信号に起因する成分の位相と、X軸、Y軸及びZ軸の周りの角速度に起因する成分の位相と、及びX軸、Y軸及びZ軸の方向の加速度に起因する成分の位相を示している。
図6より、Z軸の周りの角速度157の大きさωzは、以下の式1により得ることができる。
ωz={(S102+S105)+(S103+S108)}−{(S101+S106)+(S104+S107)} …(式1)
また、Y軸周りの角速度159の大きさωyは、以下の式2により得ることができる。
ωy={(S102+S105)+(S101+S106)}−{(S103+S108)+(S104+S107)} …(式2)
図6において、各ユニット191〜193の対称性により、例えば駆動信号に起因する成分の大きさは信号S101〜S108において同じである。また、X軸の周りの角速度に起因する成分の大きさは信号S101〜S108において同じであり、他の角速度、加速度についても同様である。角速度157の大きさωzを得るための式1に駆動振動に起因する成分の位相を代入すると式1の値は0となる。すなわち、検出部141〜148には駆動信号に起因する成分が不要信号として混入するが、この信号は式1の演算により互いに相殺される。同様に、式1にX軸の周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式1の値は0となる。Y軸の周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式1の値は0となる。X軸の方向の加速度に起因する成分の位相を代入すると、式1の値は0となる。Y軸の方向の加速度に起因する成分の位相を代入すると、式1の値は0となる。Z軸の方向の加速度に起因する成分の位相を代入すると、式1の値は0となる。すなわち、不要信号である他軸周りの角速度、加速度による不要信号が混入しても、式1の演算により互いに相殺される。
同様に、Y軸周りの角速度159の大きさωyを得るための式2に対して、駆動信号に起因する成分の位相を代入すると、式2の値は0となる。X軸の周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式2の値は0となる。Z軸周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式2の値は0となる。X軸方向の加速度に起因する成分の位相を代入すると、式2の値は0となる。Y軸方向の加速度に起因する成分の位相を代入すると、式2の値は0となる。Z軸方向の加速度に起因する成分の位相を代入すると、式2の値は0となる。すなわち、不要信号である駆動振動、他軸周りの角速度及び加速度による不要信号が混入しても、式2の演算により互いに相殺される。
このように、検出部141〜148よりなる検出ユニット193をY軸に平行な軸AY11及びX軸に平行な軸AX11に関して対称に設けたことにより、不要信号である駆動信号、他軸周りの角速度及び加速度の成分を相殺させることが可能となる。
図7は、角速度センサ116に接続された検出回路161の回路図である。複数の電極パッド149の一部である電極パッド149−1〜149−8は、検出部141〜148とそれぞれ電気的に接続されている。式1及び式2の演算は、図7に示す検出回路161で行うことができる。
電極パッド149−2に接続された信号線と電極パッド149−5に接続された信号線は接続点196Aで接続されている。電極パッド149−2から出力される電流である信号S102と電極パッド149−5から出力される電流である信号S105とは接続点196Aで合計されてIV変換アンプ162Aに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド149−3に接続された信号線と電極パッド149−8に接続された信号線は接続点196Bで接続される。電極パッド149−3から出力される電流である信号S103と電極パッド149−8から出力される電流である信号S108とは接続点196Bで合計されてIV変換アンプ162Bに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド149−1に接続された信号線と電極パッド149−6に接続された信号線は接続点196Cに接続されている。電極パッド149−1から出力される電流である信号S101と電極パッド149−6から出力される電流である信号S106とは接続点196Cで合計されてIV変換アンプ162Cに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド149−4に接続された信号線と電極パッド149−7に接続された信号線は接続点196Dで接続されている。電極パッド149−4から出力される電流である信号S104と電極パッド149−7から出力される電流である信号S107とは接続点196Dで合計されてIV変換アンプ162Dに入力され、電圧に変換されて出力される。
Z軸の周りの角速度157の大きさωzは以下の構成で算出される。IV変換アンプ162Aからの出力とIV変換アンプ162Bからの出力とがそれぞれ抵抗RA11と抵抗RB11とを介して結線され、IV変換アンプ162Cからの出力とIV変換アンプ162Dからの出力とがそれぞれ抵抗RC11と抵抗RD11とを介して結線され、これらが差動アンプ163Zに入力される。実施の形態1では、抵抗RA11、RB11は同じ抵抗値を有し、抵抗RC11、RD11は同じ抵抗値を有する。さらに差動アンプ163Zから出力された信号を駆動回路150から出力された信号を用いて検波回路164Zで検波する。検波された信号からローパスフィルタ165Zが抽出した信号をZ軸の周りの角速度157の大きさωzとして出力端子166Zから出力している。
Y軸の周りの角速度159の大きさωyは以下の構成で算出される。IV変換アンプ162Aからの出力とIV変換アンプ162Cからの出力とがそれぞれ抵抗RA12と抵抗RC12とを介して結線され、IV変換アンプ162Bからの出力とIV変換アンプ162Dからの出力とがそれぞれ抵抗RB12と抵抗RD12とを介して結線され、これらが差動アンプ163Yに入力される。実施の形態1では、抵抗RA12、RC12は同じ抵抗値を有し、抵抗RB12、RD12は同じ抵抗値を有する。さらに差動アンプ163Yから出力された信号を駆動回路150から出力された信号を用いて検波回路164Yで検波する。検波された信号からローパスフィルタ165Yで抽出した信号をY軸の周りの角速度159の大きさωyとして出力端子166Yから出力している。
図6及び図7に示すように、駆動信号に起因する成分は、IV変換アンプ162A〜162Dへ入力される前に、電極パッド149−1〜149−8の結線により、相殺されている。従って、IV変換アンプ162A〜162Dで増幅する前に、駆動信号に起因する成分を相殺することができる。
また、Y軸の周りの角速度159に起因する成分は、Z軸の周りの角速度157を検出するための差動アンプ163Zへ入力される前に、IV変換アンプ162A〜162Dの結線により相殺されている。従って、差動アンプ163Zで増幅する前に、Y軸の周りの角速度159に起因する成分を相殺することができる。
また、角速度157に起因する成分は、Y軸の周りの角速度159を検出するための差動アンプ163Yへ入力される前に、IV変換アンプ162A〜162Dの結線により相殺されている。
また、X軸の方向の加速度に起因する成分は、IV変換アンプ162A〜162Dへ入力される前に相殺することができ、Y軸の方向の加速度に起因する成分は、差動アンプ163Zで増幅する前に相殺することができる。
以上のように、検出部141〜148を備えた検出ユニット193をY軸に平行な軸AY11及びX軸に平行な軸AX11に関して対称に設けたことにより、不要信号である駆動信号に起因する成分と、他軸の周りの角速度に起因する成分及び加速度に起因する成分を相殺させることが可能となる。
また、検出部141、142は、Y軸と平行な軸AY12に関して互いに対称に設けられている。検出部143、144は、軸AY11と平行な軸AY13に関して互いに対称に設けられている。軸AY13は軸AY11に関して軸AY12と対称である。検出部145、146は、軸AY12に関して互いに対称に設けられている。検出部147、148は、軸AY13に関して互いに対称に設けられている。
図8は実施の形態1による他の角速度センサ116Aの平面図である。図8において、図1に示す角速度センサ116と同じ部分には同じ参照番号を付す。図8に示す角速度センサ116Aの駆動ユニット191は、アーム121の延部121Dに設けられた駆動部167、168と、アーム122の延部122Dに設けられた駆動部169、170と、アーム123の延部123Dに設けられた駆動部171、172と、アーム124の延部124Dに設けられた駆動部173、174とをさらに有する。これにより、アーム121〜124をY軸の方向にも振動させることができ、X軸の周りの角速度をも検出することが可能となる。この場合、X軸の周りの角速度の大きさωxは式3により得ることができる。
ωx=(S101+S102+S103+S104)−(S105+S106+S107+S108) …(式3)
駆動部167、168は軸AX11に平行な軸AX12に関して互いに対称に設けられている。駆動部169、170は軸AX12に関して互いに対称に設けられている。駆動部171、172は、軸AX11と平行な軸AX13に関して互いに対称に設けられている。軸AX13は軸AX11に関して軸AX12に対称である。駆動部173、174は、軸AX13に関して互いに対称に設けられている。
また、駆動部167、171は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。駆動部168、172は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。駆動部169、173は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。駆動部170、174は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。
また、駆動部167、169は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。駆動部168、170は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。駆動部171、173は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。駆動部172、174は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。
駆動部167〜174により、3軸の角速度を同時に検出することができるとともに、各軸の角速度の検出過程において、不要信号である駆動信号、他軸の周りの角速度及び加速度に起因する成分を相殺させることが可能となる。
なお、実施の形態1における角速度センサ116、116Aでは、錘125〜128が接続されたアーム121〜124を横梁120で支持し、横梁120を縦梁118、119で支持し、さらに縦梁118、119を支持体117で支持する構造を採用している。この構造により、3軸の角速度を同時に検出することができるが、加速度や衝撃等の影響を受けやすくなるというデメリットが生じる。従って、角速度センサ116、116Aの素子構造において特に、他軸周りの角速度及び加速度に起因する成分を相殺させる効果が顕著となる。
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2における角速度センサ175の平面図である。図9において、図8に示す実施の形態1における角速度センサ116Aと同じ部分には同じ参照番号を付す。図9に示す角速度センサ175の検出ユニット193は、縦梁118上に設けられた検出部176、178と、縦梁119上に設けられた検出部177、179とをさらに有する。
縦梁118は、錘125とアーム121に対向する部分118Cと、錘127とアーム123に対向する部分118Dとを有する。縦梁118におけるアーム121の側、すなわち部分118Cに検出部176が設けられ、縦梁118におけるアーム123の側すなわち部分118Dに検出部178が設けられている。また、縦梁119は、錘126とアーム122に対向する部分119Cと、錘128とアーム124に対向する部分119Dとを有する。縦梁119におけるアーム122の側すなわち部分119Cに検出部177が設けられ、縦梁119におけるアーム124の側すなわち部分119Dに検出部179が設けられている。
検出部176と検出部177とは軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部178と検出部179とは軸AY11に関して互いに対称に設けられている。また、検出部176と検出部178とは軸AX11に関して互いに対称に設けられている。検出部177と検出部179とは軸AX11に関して互いに対称に設けられている。
検出部176〜179を用いて、角速度センサ175に加わるX軸の周りの角速度を検出することができる。
図10は、検出部176〜179からそれぞれ出力される信号S109〜S112を示し、具体的には信号S109〜S112の駆動信号に起因する成分の位相と、X軸、Y軸及びZ軸の周りの角速度に起因する成分の位相、及びX軸、Y軸及びZ軸の方向の加速度に起因する成分の位相を示している。
図10より、X軸の周りの角速度の大きさωx2は、式4により得ることができる。
ωx2=(S109+S111)−(S110+S112) …(式4)
図10において、各ユニット191〜193の対称性により、例えばX軸の周りの角速度に起因する成分の大きさは信号S109〜S112において同じであり、他の角速度、加速度についても同様である。ここで、X軸の周りの角速度の大きさωx2を得るための式4に対して、駆動信号に起因する成分と、Y軸及びZ軸周りの角速度に起因する成分の位相と、X軸、Y軸及びZ軸方向の加速度に起因する成分の位相を代入すると、式4の値は0となる。すなわち、不要信号であるである他軸周りの角速度、加速度に起因する成分が混入しても、式4の演算により相殺される。
なお、図10に示すように、検出部176〜179を軸AY11及び軸AX11に関して対称となるように縦梁118、119に設けることにより、検出部176〜179に駆動信号に起因する成分が現れなくなる。これにより、複数の検出電極から出力される信号を加算せずとも、駆動信号の影響をなくすことができる。図1に示す角速度センサ116では、例えば、支持体117に対して検出部141〜148の位置がずれた場合には、式1や式2、式3の演算を行っても駆動信号に起因する成分を相殺することができない。実施の形態2における角速度センサ175では、支持体117に対して検出部176〜179の位置がずれた場合であっても、駆動信号に起因する成分の影響をなくすことが可能となる。同様に、不要信号であるY軸周りの角速度、Z軸周りの角速度及びY方向の加速度に起因する成分も相殺されて検出部141〜148に現れないので、同様の効果を奏する。
以上のように、検出部176〜179を軸AY11及び軸AX11に関して対称に設けたことにより、不要信号である駆動振動、他軸周りの角速度及び加速度に起因する成分をなくす、或いは相殺させることが可能となる。
(実施の形態3)
図11は、実施の形態3における角速度センサ180の平面図である。図11において、図8に示す実施の形態1における角速度センサ116Aと同じ部分には同じ参照番号を付す。実施の形態3における角速度センサ180の検出ユニット193は、横梁120上に設けられた検出部181〜184をさらに有する。
横梁120におけるアーム121側に検出部181が設けられ、アーム122側に検出部182が設けられ、アーム123側に検出部183が設けられ、アーム124側に検出部184が設けられている。
検出部181と検出部182とは軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部183と検出部184とは軸AY11に関して互いに対称に設けられている。また、検出部181と検出部183とは軸AX11に関して互いに対称に設けられている。検出部182と検出部184とは軸AX11に関して互いに対称に設けられている。
検出部181〜184を用いて、角速度センサ180に加わるY軸の周りの角速度を検出することができる。
図12は、検出部181〜184から出力される信号S113〜S116を示し、具体的には、駆動信号に起因する成分の位相と、X軸、Y軸及びZ軸の周りの角速度に起因する成分の位相、及びX軸、Y軸及びZ軸の方向の加速度に起因する成分の位相を示している。
図12より、Y軸の周りの角速度の大きさωy2は式5により得ることができる。
ωy2=(S113+S115)−(S114+S116) …(式5)
図12において、各ユニット191〜193の対称性により、例えばX軸の周りの角速度に起因する成分の大きさは信号S113〜S116において同じであり、他の角速度、加速度についても同様である。ここで、Y軸周りの角速度の大きさωy2を得るための式5に対して、駆動信号に起因する成分の位相と、X軸及びZ軸の周りの角速度に起因する成分の位相と、X軸、Y軸及びZ軸の方向の加速度に起因する成分の位相を代入すると、式5の値は0となる。すなわち、不要信号である他軸周りの角速度、加速度に起因する成分が混入しても、式5の演算により相殺される。
なお、図12から分かるように、検出部181〜184を軸AY11及び軸AX11に関して対称となるように横梁120に設けることにより、検出部181〜184に駆動信号に起因する成分が現れなくなる。これにより、複数の検出電極から出力される信号を加算せずとも、不要信号で駆動信号の影響をなくすことができる。図1に示す角速度センサ116では、例えば、支持体117に対して検出部141〜148の位置がずれた場合には、式1や式2、式3の演算を行っても駆動信号に起因する成分を相殺することができない。実施の形態3における角速度センサ180では、支持体117に対して検出部181〜184の位置がずれた場合であっても、駆動信号の影響をなくすことが可能となる。同様に、不要信号であるX軸周りの角速度に起因する成分、Z軸周りの角速度に起因する成分及びX方向の加速度に起因する成分についても、検出部181〜184に現れないので、同様の効果を奏する。
(実施の形態4)
図13は、実施の形態4における角速度センサ116Bの平面図である。図13において、図1に示す実施の形態1における角速度センサ116と同じ部分には同じ参照番号を付す。図13に示す角速度センサ116Bでは、駆動ユニット191は、図1に示す角速度センサ116の駆動部129〜136の代わりに、駆動部441〜448を有する。また、角速度センサ116Bでは、検出ユニット193は、検出部141〜148の代わりに、検出部429〜436を有する。
駆動ユニット191は軸AX11と軸AY11に関して対称に形成されている。駆動部441、443は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。駆動部442、444は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。駆動部445、447は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。駆動部446、448は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。また、駆動部441、445は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。駆動部442、446は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。駆動部443、447は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。駆動部444、448は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。
また、検出ユニット193は軸AX11と軸AY11に関して対称に形成されている。検出部429、431は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部430、432は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部433、435は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。検出部434、436は軸AY11に関して互いに対称に設けられている。また、検出部429、433は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。検出部430、434は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。検出部431、435は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。検出部432、436は軸AX11に関して互いに対称に設けられている。
駆動部441、442は共にアーム121に沿って延部121C、121Dに亘って設けられている。駆動部443、444は共にアーム122に沿って延部122C、122Dに亘って設けられている。駆動部445、446は共にアーム123に沿って延部123C、123Dに亘って設けられている。駆動部447、448は共にアーム124に沿って延部124C、124Dに亘って設けられている。
検出部429、430は共にアーム121に沿って延部121D、121Eに亘って設けられている。検出部431、432は共にアーム122に沿って延部122D、122Eに亘って設けられている。検出部433、434は共にアーム123に沿って延部123D、123Eに亘って設けられている。検出部435、436は共にアーム124に沿って延部124D、124Eに亘って設けられている。
図14は角速度センサ116Bの拡大平面図であり、特にアーム121と錘125を示す。アーム121は、横梁120の中間部194に設けられた保持部195に接続された一端121Aから、錘125に接続された他端121Bまで延びて実質的にJ字形状を有する。アーム121の検出部429、430と駆動部441、442とモニタ部137が設けられている面は実質的にJ字形状に延びる。その面は、そのJ字形状の内周に沿って延びる内周縁121Fと、そのJ字形状の外周に沿って延びる外周縁121Gと、内周縁121Fと外周縁121Gとの間の真中に延びる中心線121Hとを有する。
アーム121の延部121D、121Eに亘って延びている検出部429は、アーム121の延部121D、121Eに亘って延びている検出部430に比べて、アーム121のJ字形状の外周縁121Gにより近い。すなわち、検出部430は、検出部429に比べて、アーム121のJ字形状の内周縁121Fにより近い。検出部429、430間の間隙G101の真中をアーム121に沿って延びる中間線B101を定義する。すなわち、中間線B101と外周縁121Gとの間に検出部429が位置し、中間線B101と内周縁121Fとの間に検出部430が位置する。検出部429、430は同じ幅でアーム121に沿って延びることが望ましい。
すなわち、アーム121は、内周側に位置する内周縁121Fと、外周側に位置する外周縁121Gと、内周縁121Fと外周縁121Gの真中に延びる中心線121Hとを有するようにJ字形状に曲がっている。検出部429と検出部430はアーム121に沿って延びている。検出部429と検出部430との間の真中の中間線B101は中心線121Hと内周縁121Fとの間に位置する。検出部429と検出部430はアーム121に沿って曲がって延びていてもよい。
アーム121と同様に、アーム122は、内周側に位置する内周縁と、外周側に位置する外周縁と、内周縁と外周縁の真中に延びる中心線とを有するようにJ字形状に曲がっている。検出部431と検出部432はアーム122に沿って延びている。検出部431と検出部432との間の真中の中間線は上記中心線と内周縁との間に位置する。検出部431と検出部432はアーム122に沿って曲がって延びていてもよい。
アーム121と同様に、アーム123は、内周側に位置する内周縁と、外周側に位置する外周縁と、内周縁と外周縁の真中に延びる中心線とを有するようにJ字形状に曲がっている。検出部433と検出部434はアーム123に沿って延びている。検出部433と検出部434との間の真中の中間線は上記中心線と内周縁との間に位置する。検出部433と検出部434はアーム123に沿って曲がって延びていてもよい。
アーム121と同様に、アーム124は、内周側に位置する内周縁と、外周側に位置する外周縁と、内周縁と外周縁の真中に延びる中心線とを有するようにJ字形状に曲がっている。検出部435と検出部436はアーム124に沿って延びている。検出部435と検出部436との間の真中の中間線は上記中心線と内周縁との間に位置する。検出部435と検出部436はアーム124に沿って曲がって延びていてもよい。
図15は、アーム121に設けられた検出部429、430間の中間線B101の位置と、図7に示す検出回路161から出力される不要信号の大きさとの関係を示す図である。図15に示すように、中間線B101をアーム121の中心線121Hから内周側にずらすことにより、検出部429、430から出力される信号のバランスが取れて、不要信号の大きさが0となる。実施の形態4では、中間線B101をアーム121の幅(100μm)に対して1%(=約1μm)だけ中心線121Hから内周側にずらす。他のアーム122〜124と他の検出部431〜436も、アーム121と検出部429、430と同様に配置することで不要信号の大きさを0にすることができる。
また、図14に示すように、アーム121に設けられた駆動部441、442はアーム121に沿って延びている。駆動部441と駆動部442との間の間隙G102の真中の中間線B102は、中間線B101とは逆に、中心線121Hと外周縁121Gとの間に位置する。これにより、アーム121をX軸の正負方向に同じ変位でバランス良く振動させることができる。実施の形態4では、中間線B102をアーム121の幅(100μm)に対して1%(=約1μm)だけ中心線121Hから外周側にずらす。駆動部441、442は同じ幅でアーム121に沿って延びることが望ましい。また、駆動部441、442はアーム121に沿って曲がって延びることが望ましい。
アーム121と同様に、アーム122に設けられた駆動部443、444はアーム122に沿って延びている。駆動部443と駆動部444との間の真中の中間線はアーム122の中心線と外周縁との間に位置する。これにより、アーム122をX軸の正負方向に同じ変位でバランス良く振動させることができる。実施の形態4では、中間線をアーム122の幅(100μm)に対して1%(=約1μm)だけ中心線から外周側にずらす。駆動部443、444は同じ幅でアーム122に沿って延びることが望ましい。また、駆動部443、444はアーム122に沿って曲がって延びることが望ましい。
アーム121と同様に、アーム123に設けられた駆動部445、446はアーム123に沿って延びている。駆動部445と駆動部446との間の真中の中間線はアーム123の中心線と外周縁との間に位置する。これにより、アーム123をX軸の正負方向に同じ変位でバランス良く振動させることができる。実施の形態4では、中間線をアーム123の幅(100μm)に対して1%(=約1μm)だけ中心線から外周側にずらす。駆動部445、446は同じ幅でアーム123に沿って延びることが望ましい。また、駆動部444、445はアーム123に沿って曲がって延びることが望ましい。
アーム121と同様に、アーム124に設けられた駆動部447、448はアーム124に沿って延びている。駆動部447と駆動部448との間の真中の中間線はアーム124の中心線と外周縁との間に位置する。これにより、アーム124をX軸の正負方向に同じ変位でバランス良く振動させることができる。実施の形態4では、中間線をアーム124の幅(100μm)に対して1%(=約1μm)だけ中心線から外周側にずらす。駆動部447、448は同じ幅でアーム124に沿って延びることが望ましい。また、駆動部447、448はアーム124に沿って曲がって延びることが望ましい。
(実施の形態5)
図16は、本発明の実施の形態5における角速度センサ216の平面図である。
図16において、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する。さらに、X軸とY軸とを含むXY平面を定義する。角速度センサ216は、枠形状を有する支持体217と、支持体217にY軸と平行に懸架された縦梁218、219と、縦梁218、219間に懸架された横梁220と、錘225〜228と、横梁220の中間部294に設けられた保持部295と、保持部295に支持されたアーム221〜224と、アーム221〜224をXY平面と平行に駆動し振動させる駆動ユニット291と、アーム221〜224のXY平面と平行な方向の変位を検出するモニタユニット292と、アーム221〜224に設けられた錘225〜228のX軸の方向の変位又はY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する検出ユニット293とを備える。検出ユニット293はアーム221〜224の変位であるX軸の方向の変位又はY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する。支持体217は角速度が加わる被測定物217Cに固定されるように構成されている。アーム221は、保持部295に支持された一端221Aと、錘225に接続された他端221Bとを有し、一端221AからY軸の正方向に延出する。アーム222は、保持部295に支持された一端222Aと、錘226に接続された他端222Bとを有し、一端222AからY軸の正方向に延出する。アーム223は、保持部295に支持された一端223Aと、錘227に接続された他端223Bとを有し、一端223AからY軸の負方向に延出する。アーム224は、保持部295に支持された一端224Aと、錘228に接続された他端224Bとを有し、一端224AからY軸の負方向に延出する。駆動ユニット291は、アーム221〜224をXY平面と平行に振動させる駆動部229〜236を有する。モニタユニット292は、アーム221〜224のX軸の方向の変位をそれぞれ検出するモニタ部237〜240を有する。検出ユニット293は、錘225〜228のY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する検出部241〜248を有する。保持部295は横梁220と縦梁218、219を介して支持体217に結合する。支持体217と縦梁218との間にはスリット217Aが設けられており、支持体217と縦梁219との間にはスリット217Bが設けられている。支持体217と縦梁218,219との間にスリット217A、217Bを設けることにより、角速度センサ216をパッケージ又は下蓋等に接着した際の応力が横梁220やアーム221〜224に伝達することを抑制することができる。
また、支持体217にはスリット217A、217Bが設けられていなくてもよい。この場合には、支持体217の一部が縦梁218、219として機能する。この場合には、角速度センサ216のX軸の方向の幅を小さくすることができる。
支持体217は、縦梁218、219を支持する固定部材であり、角速度センサ216を格納するパッケージに別の支持部材や接着剤等を用いて固定される。支持体217の外縁部には複数の電極パッド249が設けられている。複数の電極パッド249は、駆動部229〜236、モニタ部237〜240及び検出部241〜248と配線によりそれぞれ電気的に接続されている。
縦梁218及び縦梁219はY軸と平行に延びており、両端が支持体217に接続されることにより支持体217に懸架されている。これにより、縦梁218及び縦梁219は、Z軸の方向に撓むことができる。また、縦梁218と縦梁219とは、Y軸に平行な軸AY21に関して互いに実質的に対称となるように形成されている。これにより、角速度センサ216に与えられた角速度に対して、縦梁218と縦梁219とは実質的に同一の振幅で撓む。
横梁220はX軸と平行に延びており、一端が縦梁218の実質的に中点に接続され、他端が縦梁219の実質的に中点に接続されている。これにより、横梁220はZ軸の方向に撓むことができる。
アーム221は、保持部295に接続された一端221AからY軸の正方向に延出する延部221Cと、延部221CからX軸の正方向に延びる延部221Dと、延部221DからY軸の負方向に延びる延部221Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端221Bは延部221Eの端であり、錘225が接続されている。
アーム222は、保持部295に接続された一端222AからY軸の正方向に延出する延部222Cと、延部222CからX軸の負方向に延びる延部222Dと、延部222DからY軸の負方向に延びる延部222Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端222Bは延部222Eの端であり、錘226が接続されている。
アーム223は、保持部295に接続された一端223AからY軸の負方向に延出する延部223Cと、延部223CからX軸の正方向に延びる延部223Dと、延部223DからY軸の正方向に延びる延部223Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端223Bは延部223Eの端であり、錘227が接続されている。
アーム224は、保持部295に接続された一端224AからY軸の負方向に延出する延部224Cと、延部224CからX軸の負方向に延びる延部224Dと、延部224DからY軸の正方向に延びる延部224Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端224Bは延部224Eの端であり、錘228が接続されている。
アーム221〜224は、X軸の方向、Y軸の方向及びZ軸の方向に撓むことができる。
アーム221とアーム222とは、Y軸と平行な軸AY21に関して互いに対称に形成されている。アーム223とアーム224とは、軸AY21に関して互いに対称に形成されている。アーム221とアーム223とは、X軸と平行な軸AX21に関して互いに対称に形成されている。アーム222とアーム224とは、軸AX21に関して互いに対称に形成されている。この構造により、角速度センサ216に与えられた角速度に対して、アーム221〜224は、実質的に同一の振幅で撓むようになる。
支持体217、縦梁218、219、横梁220及びアーム221〜224は、水晶、LiTaO3又はLiNbO3等の圧電材料を用いて形成しても良いし、シリコン、ダイヤモンド、溶融石英、アルミナ又はGaAs等の非圧電材料を用いて形成しても良い。特に、シリコンを用いることにより、微細加工技術を用いて非常に小型の角速度センサ216を形成することが可能となるとともに、回路を構成する集積回路(IC)と一体に形成することも可能となる。
支持体217、縦梁218、219、横梁220及びアーム221〜224は、それぞれ異なる材料又は同一の材料から形成した後に組み立てて形成しても良いし、同一の材料を用いて一体に形成しても良い。同一の材料を用いて一体に形成する場合は、ドライエッチング又はウエットエッチングを用いることにより、支持体217、縦梁218、219、横梁220及びアーム221〜224を同一プロセスで形成することができるため、効率的に製造することができる。
駆動部229〜236は、アーム221〜224をX軸方向に駆動させ変位させる。実施の形態5においては、駆動部229〜236はPZT等のピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
図17は、図16に示す駆動部229、230の線17−17における概略断面図である。ピエゾ素子229B、230Bを下部電極229A、230A及び上部電極229C、230Cでそれぞれ挟んで形成された駆動部229、230がアーム221の上面に設けられている。すなわち、駆動部229、230は、アーム221の上面に設けられた下部電極229A、230Aと、下部電極229A、230Aの上面に設けられたピエゾ素子229B、230Bと、ピエゾ素子229B、230Bの上面に設けられた上部電極229C、230Cよりなる。下部電極229A、230A及び上部電極229C、230Cは、白金(Pt)、金(Au)、アルミ(Al)又はこれらを主成分とした合金又は酸化物により形成することができる。なお、下部電極229A、230Aとして白金(Pt)を用いることが望ましい。これにより、ピエゾ素子229B、230Bの材料であるPZTを一方向に配向させることができる。また、上部電極229C、230Cとして、金(Au)を用いることが望ましい。これにより、抵抗値の経時劣化が少ないため、信頼性に優れた角速度センサ216とすることができる。ここで、下部電極229A、230Aはともに基準電位となっており、上部電極229C、230Cに交流の駆動電圧を印加することにより、アーム221をX軸の方向に振動させることができる。なお、下部電極229A、230A及び上部電極229C、230Cにともに交流の駆動電圧を印加してもよい。これにより、効率的にアーム221を振動させることができる。駆動部231〜236は駆動部229、230と同様の構造を有して、アーム222〜224の上面にそれぞれ設けられている。なお、図16に示すように、駆動部229〜236は、アーム221〜224における錘225〜228の側すなわち延部221E〜224Eにそれぞれ設けられている。これにより、アーム221〜224における横梁220の側の部分の面積を検出部241〜248のために確保することができる。一方、駆動部229〜236をアーム221〜224における横梁220の側すなわち延部221C〜224Cにそれぞれ設けた場合は、駆動部229〜236は効率よくアーム221〜224を駆動し振動させることができる。この場合は、駆動部229〜236は大きな面積を有することができるので、アーム221〜224の振幅を大きくすることができ、角速度センサ216の感度を高くすることができる。
駆動部229、230は軸AY21に平行な軸AY24に関して互いに対称に設けられている。駆動部231、232は、軸AY21と平行な軸AY25に関して互いに対称に設けられている。軸AY25は軸AY21に関して軸AY24に対称である。駆動部233、234は軸AY24に関して互いに対称に設けられている。駆動部235、236は軸AY25に関して互いに対称に設けられている。
また、駆動部229、231は軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部230、232は軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部233、235は軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部234、236は軸AY21に関して互いに対称に設けられている。
また、駆動部229、233は軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部230、234は軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部231、235は軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部232、236は軸AX21に関して互いに対称に設けられている。
図18は、駆動部229〜236に与えられる駆動信号の位相と、アーム221〜224の振動の位相とを示す図である。駆動部229、231、233、235には互いに同位相(+)の駆動信号が与えられ、駆動部230、232、234、236には駆動部229、231、233、235と逆位相(−)の駆動信号が与えられる。これにより、アーム221とアーム223とは同位相(+)でX軸の方向に振動し、アーム222とアーム224とはアーム221とアーム223と逆位相(−)でX軸の方向に振動する。
モニタ部237〜240は、アーム221〜224のX軸の方向の変位を検出する。実施の形態5においては、モニタ部237〜240はピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
モニタ部237〜240は、図17に示す駆動部229、230と同様に、ピエゾ素子を下部電極と上部電極とで挟んで形成され、アーム221〜224の上面に設けられている。また、モニタ部237〜240は、図18に示すアーム221〜224の振動の位相に対して、モニタ部237〜240は、同位相のモニタ信号が得られる位置に設けられている。なお、モニタ部237〜240は、図16に示すように、アーム221〜224における横梁220の側すなわち延部221C〜224Cにそれぞれ設けられている。これにより、小さな面積で効率よく変位によるアーム221〜224の歪を検出することが可能となる。なお、検出部241〜248を設ける部分面積を確保するために、モニタ部237〜240の面積は検出部241〜248よりも小さくすることが望ましい。
検出部241〜248は、アーム221〜224のY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する。検出部241〜248はピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
検出部241〜248は、図17に示す駆動部229、230と同様に、ピエゾ素子を下部電極と上部電極とで挟んで形成され、アーム221〜224の上面に設けられている。なお、検出部241〜248は、図16に示すように、アーム221〜224における横梁220の側すなわち延部221C〜224Cに設けられている。これにより、検出部241〜248は効率よく変位を検出することができる。この場合、検出部241〜248は大きな面積を有することができるので、角速度センサ216の感度を高くすることができる。一方、検出部241〜248がアーム221〜224における錘225〜228の側すなわち延部221E〜224Eに設けられている場合は、アーム221〜224における横梁220の側の部分の面積を駆動部229〜236を設けるために確保することができる。
図16に示すように、駆動部229と駆動部231とは、Y軸と平行な軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部230と駆動部232とは、軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部233と駆動部235とは、軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部234と駆動部236とは、軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部229と駆動部233とは、X軸と平行な軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部230と駆動部234とは、軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部231と駆動部235とは、軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部232と駆動部236とは、軸AX21に関して互いに対称に設けられている。このように駆動部229〜236よりなる駆動ユニット291を軸AY21及び軸AX21に関して対称に設けることにより、加速度等の外乱に影響されずにアームを安定駆動させることができ、角速度センサ216は角速度を高い精度で検出することができる。
図19は、角速度センサ216に接続された駆動回路250の回路図である。複数の電極パッド249の一部である電極パッド249A〜249Hは駆動部229〜236とそれぞれ電気的に接続されている。複数の電極パッド249の一部である電極パッド249I〜249Lはモニタ部237〜240とそれぞれ電気的に接続されている。電極パッド249I〜249Lに接続された信号線は接続点296で接続されている。電極パッド249I〜249Lから出力されたモニタ信号である電流は接続点296で合計されてIV変換アンプ251に入力されて電圧に変換される。その電圧は、自動利得制御器(AGC)252で一定振幅の電圧に調整されて出力される。AGC252から出力された電圧の不要周波数成分がフィルタ253で除去される。フィルタ253から出力された電圧はドライブアンプ254で反転増幅されて電極パッド249B、249D、249F、249Hに供給されている。また、ドライブアンプ254から出力された駆動信号は、ドライブアンプ255で反転増幅されて電極パッド249A、249C、249E、249Gに供給されている。この構成により、駆動回路250は、図18に示す位相を有する駆動信号を駆動部229〜236に与え、アーム221〜224を図18に示す位相で振動させることができる。
図20Aと図20Bは、角速度センサ216に角速度が加わった場合の動作を示す模式平面図である。
図20Aは、Z軸の周りの角速度257を検出する場合の角速度センサ216の動作を示す模式平面図である。角速度センサ216は駆動回路250から駆動部229〜236に対して駆動信号が与えられることにより、X軸方向の固有の駆動振動周波数で駆動振動256が発生する。角速度センサ216にZ軸周りの角速度257が与えられると、錘225〜228にはコリオリの力がY軸の方向に発生し、検出振動258が発生する。錘225〜228にY軸の方向の検出振動258が発生する結果、アーム221〜224はX軸の方向に振動する。なお、アーム221、223とアーム222、224とは互いに逆位相で駆動振動しているので、アーム221、223の検出振動とアーム222、224の検出振動とは互いに逆位相となる。
検出振動258により検出部241〜248から出力される検出信号は、駆動振動256と同じ周波数で、かつ、角速度257に依存した振幅を有する。従って、この検出信号の大きさを測定することにより、角速度257の大きさωzを検出することができる。
図20Bは、Y軸の周りの角速度259を検出する場合の角速度センサ216の模式平面図である。図20Bにおいて、Y軸の周りの角速度259が入力されると、コリオリの力により錘225〜228にZ軸方向に検出振動260が発生する。なお、アーム221、223とアーム222、224とは互いに逆位相で駆動振動しているので、アーム221、223の検出振動とアーム222、224の検出振動とは互いに逆位相となる。
検出振動260により検出部241〜248から出力される検出信号は、駆動振動256と同じ周波数で、かつ、角速度259に依存した振幅を有する。従って、この検出信号の大きさを測定することにより、角速度259の大きさωyを検出することができる。
図21は検出部241〜248からそれぞれ出力される信号S201〜S208を示し、具体的には、信号S201〜208それぞれの駆動信号に起因する成分の位相と、X軸、Y軸及びZ軸の周りの角速度に起因する成分の位相、及びX軸、Y軸及びZ軸の方向の加速度に起因する成分の位相を示している。
図21より、Z軸の周りの角速度257の大きさωzは、以下の式6により得ることができる。
ωz={(S202+S205)+(S203+S208)}−{(S201+S206)+(S204+S207)} …(式6)
また、Y軸周りの角速度259の大きさωyは、以下の式7により得ることができる。
ωy={(S202+S205)+(S201+S206)}−{(S203+S208)+(S204+S207)} …(式7)
図21において、各ユニット291〜293の対称性により、例えば駆動信号に起因する成分の大きさは信号S201〜S208において同じである。また、X軸の周りの角速度に起因する成分の大きさは信号S201〜S208において同じであり、他の角速度についても同様である。角速度257の大きさωzを得るための式6に駆動振動による成分の位相を代入すると式6の値は0となる。すなわち、検出部241〜248には駆動信号に起因する成分が不要信号として混入するが、この信号は式6の演算により互いに相殺される。同様に、式6にX軸の周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式1の値は0となる。同様に、式6にY軸周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式1の値は0となる。すなわち、不要信号である他軸周りの角速度による不要信号が混入しても、式6の演算により互いに相殺される。
同様に、Y軸周りの角速度259の大きさωyを得るための式7に対して、駆動信号に起因する成分の位相を代入すると、式7の値は0となる。X軸の周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式7の値は0となる。同様に、Z軸の周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式7の値は0となる。すなわち、不要信号である駆動信号及び他軸周りの角速度による不要信号が混入しても、式7の演算により互いに相殺される。
このように、検出部241〜248よりなる検出ユニット293をY軸に平行な軸AY21及びX軸に平行な軸AX21に関して対称に設けたことにより、不要信号である駆動信号及び他軸周りの角速度の成分を相殺させることが可能となる。
図22は、角速度センサ216に接続された検出回路261の回路図である。複数の電極パッド249の一部である電極パッド249−1〜249−8は検出部241〜248とそれぞれ電気的に接続されている。上記の式6及び式7の演算は、図22に示す検出回路261で行うことができる。
電極パッド249−2に接続された信号線と電極パッド249−5に接続された信号線は接続点296Aで接続されている。電極パッド249−2から出力される電流である信号S202と電極パッド249−5から出力される電流である信号S205とは接続点296Aで合計されてIV変換アンプ262Aに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド249−3に接続された信号線と電極パッド249−8に接続された信号線は接続点296Bで接続される。電極パッド249−3から出力される電流である信号S203と電極パッド249−8から出力される電流である信号S208とは接続点296Bで合計されてIV変換アンプ262Bに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド249−1に接続された信号線と電極パッド249−6に接続された信号線は接続点296Cに接続されている。電極パッド249−1から出力される電流である信号S201と電極パッド249−6から出力される電流である信号S206とは接続点296Bで合計されてIV変換アンプ262Cに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド249−4に接続された信号線と電極パッド249−7に接続された信号線は接続点296Dで接続されている。電極パッド249−4から出力される電流である信号S204と電極パッド249−7から出力される電流である信号S207とは接続点296Dで合計されてIV変換アンプ262Dに入力され、電圧に変換されて出力される。
Z軸の周りの角速度257の大きさωzは以下の構成で算出される。IV変換アンプ262Aからの出力とIV変換アンプ262Bからの出力とがそれぞれ抵抗RA21と抵抗RB21とを介して結線され、IV変換アンプ262Cからの出力とIV変換アンプ262Dからの出力とがそれぞれ抵抗RC21と抵抗RD21とを介して結線され、これらが差動アンプ263Zに入力される。実施の形態5では、抵抗RA21、RB21は同じ抵抗値を有し、抵抗RC21、RD21は同じ抵抗値を有する。さらに差動アンプ263Zから出力された信号を駆動回路250から出力された信号を用いて検波回路264Zで検波する。検波された信号からローパスフィルタ265Zが抽出した信号をZ軸周りの角速度257の大きさωzとして出力端子266Zから出力している。
Y軸の周りの角速度259の大きさωyは以下の構成で算出される。IV変換アンプ262Aからの出力とIV変換アンプ262Cからの出力とがそれぞれ同じ抵抗値の抵抗RA22と抵抗RC22とを介して結線され、IV変換アンプ262Bからの出力とIV変換アンプ262Dからの出力とがそれぞれ同じ抵抗値の抵抗RB22と抵抗RD22とを介して結線され、これらが差動アンプ263Yに入力される。実施の形態5では、抵抗RA22、RC22は同じ抵抗値を有し、抵抗RB22、RD22は同じ抵抗値を有する。さらに差動アンプ263Yから出力された信号を駆動回路250から出力された信号を用いて検波回路264Yで検波する。検波された信号からローパスフィルタ265Yが抽出した信号をY軸の周りの角速度259の大きさωyとして出力端子266Yから出力している。
図21及び図22に示すように、駆動信号に起因する成分は、IV変換アンプ262A〜262Dへ入力される前に、電極パッド249−1〜249−8の結線により、相殺されている。従って、IV変換アンプ262A〜262Dで増幅する前に、駆動信号に起因する成分を相殺することができる。
また、Y軸の周りの角速度259に起因する成分は、Z軸の周りの角速度257を検出するための差動アンプ263Zへ入力される前に、IV変換アンプ262A〜262Dの結線により相殺されている。従って、差動アンプ263Zで増幅する前に、Y軸の周りの角速度259に起因する成分を相殺することができる。
また、Z軸の周りの角速度257に起因する成分は、Y軸の周りの角速度259を検出するための差動アンプ263Yへ入力される前に、IV変換アンプ262A〜262Dの結線により相殺されている。
以上のように、検出部241〜248を備えた検出ユニット293をY軸に平行な軸AY21及びX軸に平行な軸AX21に関して対称に設けたことにより、不要信号である駆動信号、他軸周りの角速度及び加速度の成分を互いに相殺させることが可能となる。
また、図16に示すように、検出部241、242は、Y軸と平行な軸AY22に関して互いに対称に設けられている。検出部243、244は、軸AY21と平行な軸AY23に関して互いに対称に設けられている。軸AY23は軸AY21に関して軸AY22と対称である。検出部245、246は、軸AY22に関して互いに対称に設けられている。検出部247、248は、軸AY23に関して互いに対称に設けられている。
ここで、式6に基づくZ軸の周りの角速度257の検出及び式7に基づくY軸の周りの角速度259の検出を行うためには、アーム221〜224が全て同じ共振モードで駆動振動を行っている必要がある。
図34に示す従来の角速度センサ101では、アーム104に設けられた駆動部112に共振周波数の交流電圧を印加すると、アーム104をX軸の方向に振動させる。この振動に伴ってアーム105〜107も同調して共振モード(例えば、40kHzの共振モード)で振動する。しかし、例えば、加速度が印加されると、モニタ電極を設けたアーム105が加速度の加わった方向に撓むことにより振動の共振モードから本来の共振モードとは異なる共振モード(例えば、45kHzの共振モード)に遷移し、その結果、アーム104〜107が本来の共振モードとは異なる共振モードで振動する場合がある。
実施の形態5における角速度センサ216では、アーム221〜224の上面に設けられた駆動部229〜236よりなる駆動ユニット291がY軸と平行な軸AY21及びX軸と平行な軸AX21に関して対称に配置されている。従って、駆動部229〜236に対して、図18に示す所定の位相を有して同一振幅を有する駆動信号を与えることにより、X軸の方向又はY軸の方向に加速度が印加された環境下においても、アーム221〜224を同一の共振モードで安定に駆動振動させることが可能となる。これにより、式6に基づくZ軸の周りの角速度257の検出及び式7に基づくY軸の周りの角速度259の検出を高精度で行うことが可能となる。
図23は実施の形態5における他の角速度センサ216Aの平面図である。図23において、図16に示す角速度センサ216と同じ部分には同じ参照番号を付す。
図23に示す角速度センサ216Aでは、駆動ユニット291は、アーム221〜224の延部221D〜224Dに設けられた駆動部267〜274をさらに有する。これにより、アーム221〜224をY軸の方向にも同一の共振モードで安定に振動させることができ、角速度センサ216AはX軸の周りの角速度をも検出することが可能となる。この場合、X軸周りの角速度の大きさωxは、以下の式8により得ることができる。
ωx=(S201+S202+S203+S204)−(S205+S206+S207+S208) …(式8)
駆動部267、268は、軸AX21に平行な軸AX22に関して互いに対称に設けられている。駆動部269、270は、軸AX22に関して互いに対称に設けられている。駆動部271、272は、軸AX21と平行な軸AX23に関して互いに対称に設けられている。軸AX23は軸AX21に関して軸AX22と対称である。駆動部273、274は軸AX23に関して互いに対称に設けられている。
また、駆動部267、271は軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部268、272は軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部269、273は軸AX21に関して互いに対称に設けられている。駆動部270、274は軸AX21に関して互いに対称に設けられている。
駆動部267、269は、軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部268、270は、軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部271、273は、軸AY21に関して互いに対称に設けられている。駆動部272、274は、軸AY21に関して互いに対称に設けられている。
駆動部267〜274を設けることにより、角速度センサ216Aは3軸の角速度を同時に検出することができるとともに、加速度等の外乱に影響されずにアーム221〜224を安定に駆動させることが可能となる。
なお、実施の形態5における角速度センサ216、216Aでは、錘225〜228が接続されたアーム221〜224が横梁220で支持され、横梁220が縦梁218、219で支持され、縦梁218、219が支持体217で支持されている。この構造により、角速度センサ216、216Aは3軸の角速度を同時に検出することができるが、加速度や衝撃等の影響を受けやすくなる場合がある。従って、駆動ユニット291により、角速度センサ216、216Aの構造において特に、加速度等の外乱に影響されずにアーム221〜224を安定に駆動させる効果が顕著となる。
(実施の形態6)
図24は、本実施の形態における角速度センサ316の平面図である。
図24において、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する。さらに、X軸とY軸とを含むXY平面を定義する。角速度センサ316は、枠形状を有する支持体317と、支持体317にY軸と平行に懸架された縦梁318、319と、縦梁318、319間に懸架された横梁320と、錘325〜328と、横梁320の中間部394に設けられた保持部395と、保持部395に支持されたアーム321〜324と、アーム321〜324をXY平面と平行に駆動し振動させる駆動ユニット391と、アーム321〜324のX軸の方向の変位を検出するモニタユニット392と、錘325〜328のX軸の方向の変位又はY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する検出ユニット393とを備える。検出ユニット393はアーム321〜324の変位であるX軸の方向の変位又はY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する。支持体317は角速度が加わる被測定物317Cに固定されるように構成されている。アーム321は、保持部395に支持された一端321Aと、錘325に接続された他端321Bとを有し、一端321AからY軸の正方向に延出する。アーム322は、保持部395に支持された一端322Aと、錘326に接続された他端322Bとを有し、一端322AからY軸の正方向に延出する。アーム323は、保持部395に支持された一端323Aと、錘327に接続された他端323Bとを有し、一端323AからY軸の負方向に延出する。アーム324は、保持部395に支持された一端324Aと、錘328に接続された他端324Bとを有し、一端324AからY軸の負方向に延出する。駆動ユニット391は、アーム321〜324をXY平面と平行に振動させる駆動部329〜336を有する。モニタユニット392は、アーム321〜324のX軸の方向の変位をそれぞれ検出するモニタ部337〜340を有する。検出ユニット393は、錘325〜328のY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する検出部341〜348を有する。保持部395は横梁320と縦梁318、319を介して支持体317に結合する。支持体317と縦梁318との間にはスリット317Aが設けられており、支持体317と縦梁319との間にはスリット317Bが設けられている。支持体317と縦梁318,319との間にスリット317A、317Bを設けることにより、角速度センサ316をパッケージ又は下蓋等に接着した際の応力が横梁320やアーム321〜324に伝達することを抑制することができる。
また、支持体317にはスリット317A、317Bが設けられていなくてもよい。この場合には、支持体317の一部が縦梁318、319として機能する。この場合には、角速度センサ316のX軸の方向の幅を小さくすることができる。
支持体317は、縦梁318、319を支持する固定部材であり、角速度センサ316を格納するパッケージに別の支持部材や接着剤等を用いて固定される。支持体317の外縁部には複数の電極パッド349が設けられている。複数の電極パッド349は、駆動部329〜336、モニタ部337〜340及び検出部341〜348と配線によりそれぞれ電気的に接続されている。
縦梁318及び縦梁319はY軸と平行に延びており、両端が支持体317に接続されることにより支持体317に懸架されている。これにより、縦梁318及び縦梁319は、Z軸の方向に撓むことができる。また、縦梁318と縦梁319とは、Y軸に平行な軸AY31に関して互いに実質的に対称となるように形成されている。これにより、角速度センサ316に与えられた角速度に対して、縦梁318と縦梁319とは実質的に同一の振幅で撓む。
横梁320はX軸と平行に延びており、一端が縦梁318の実質的に中点に接続され、他端が縦梁319の実質的に中点に接続されている。これにより、横梁320はZ軸の方向に撓むことができる。
アーム321は、保持部395に接続された一端321AからY軸の正方向に延出する延部321Cと、延部321CからX軸の正方向に延びる延部321Dと、延部321DからY軸の負方向に延びる延部321Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端321Bは延部321Eの端であり、錘325が接続されている。
アーム322は、保持部395に接続された一端322AからY軸の正方向に延出する延部322Cと、延部322CからX軸の負方向に延びる延部322Dと、延部322DからY軸の負方向に延びる延部322Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端322Bは延部322Eの端であり、錘326が接続されている。
アーム323は、保持部395に接続された一端323AからY軸の負方向に延出する延部323Cと、延部323CからX軸の正方向に延びる延部323Dと、延部323DからY軸の正方向に延びる延部323Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端323Bは延部323Eの端であり、錘327が接続されている。
アーム324は、保持部395に接続された一端324AからY軸の負方向に延出する延部324Cと、延部324CからX軸の負方向に延びる延部324Dと、延部324DからY軸の正方向に延びる延部324Eとを有して実質的にJ字形状を有する。他端324Bは延部324Eの端であり、錘328が接続されている。
アーム321〜324は、X軸の方向、Y軸の方向及びZ軸の方向に撓むことができる。
アーム321とアーム322とは、Y軸と平行な軸AY31に関して互いに対称に形成されている。アーム323とアーム324とは、軸AY31に関して対称に形成されている。アーム321とアーム323とは、X軸と平行な軸AX31に関して互いに対称に形成されている。アーム322とアーム324とは、軸AX31に関して互いに対称に形成されている。この構造により、角速度センサ316に与えられた角速度に対して、アーム321〜324は、実質的に同一の振幅で撓むようになる。
支持体317、縦梁318、319、横梁320及びアーム321〜324は、水晶、LiTaO3又はLiNbO3等の圧電材料を用いて形成しても良いし、シリコン、ダイヤモンド、溶融石英、アルミナ又はGaAs等の非圧電材料を用いて形成しても良い。特に、シリコンを用いることにより、微細加工技術を用いて非常に小型の角速度センサ316を形成することが可能となるとともに、回路を構成する集積回路(IC)と一体に形成することも可能となる。
支持体317、縦梁318、319、横梁320及びアーム321〜324は、それぞれ異なる材料又は同一の材料から形成した後に組み立てて形成しても良いし、同一の材料を用いて一体に形成しても良い。同一の材料を用いて一体に形成する場合は、ドライエッチング又はウエットエッチングを用いることにより、支持体317、縦梁318、319、横梁320及びアーム321〜324を同一プロセスで形成することができるため、効率的に製造することができる。
駆動部329〜336は、アーム321〜324をX軸の方向に駆動させ変位させる。実施の形態6においては、駆動部329〜336はPZT等のピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
図25は、図24に示す駆動部329、330の線25−25における概略断面図である。ピエゾ素子329B、330Bを下部電極329A、330A及び上部電極329C、330Cでそれぞれ挟んで形成された駆動部329、330がアーム321の上面に設けられている。すなわち、駆動部329、330は、アーム321の上面に設けられた下部電極329A、330Aと、下部電極329A、330Aの上面に設けられたピエゾ素子329B、330Bと、ピエゾ素子329B、330Bの上面に設けられた上部電極329C、330Cよりなる。下部電極329A、330A及び上部電極329C、330Cは、白金(Pt)、金(Au)、アルミ(Al)又はこれらを主成分とした合金又は酸化物により形成することができる。なお、下部電極329A、330Aとして白金(Pt)を用いることが望ましい。これにより、ピエゾ素子329B、330Bの材料であるPZTを一方向に配向させることができる。また、上部電極329C、330Cとして、金(Au)を用いることが望ましい。これにより、抵抗値の経時劣化が少ないため、信頼性に優れた角速度センサ316とすることができる。ここで、下部電極329A、330Aはともに基準電位となっており、上部電極329C、330Cに交流の駆動電圧を印加することにより、アーム321をX軸の方向に振動させることができる。なお、下部電極329A、330A及び上部電極329C、330Cにともに交流の駆動電圧を印加してもよい。これにより、効率的にアーム321を振動させることができる。駆動部331〜336は駆動部329.330と同様の構造を有して、アーム322〜324の上面に設けられている。なお、図24に示すように、駆動部329〜336は、アーム321〜324における錘325〜328の側すなわち延部321E〜324Eにそれぞれ設けられている。これにより、アーム321〜324における横梁320の側の部分の面積を検出部341〜348を設けるために確保することができる。一方、駆動部329〜336をアーム321〜324における横梁320の側すなわち延部321C〜324Cにそれぞれ設けた場合は、駆動部329〜336の効率よくアーム321〜324を駆動し振動させることができる。この場合は、駆動部329〜336は大きな面積を有することができるので、アーム321〜324の振動の振幅を大きくすることができ、角速度センサ316の感度を高くすることができる。
図26は、駆動部329〜336に与えられる駆動信号の位相と、アーム321〜324の振動の位相とを示す図である。駆動部329、331、333、335には同位相(+)の駆動信号が与えられ、駆動部330、332、334、336にはこれと逆位相(−)の駆動信号が与えられる。これにより、アーム321とアーム323とは同位相(+)でX軸の方向に振動し、アーム322とアーム324とはアーム321とアーム323と逆位相(−)でX軸の方向に振動する。
検出部341〜348は、アーム321〜324のY軸の方向の変位又はZ軸の方向の変位を検出する。検出部341〜348はピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
検出部341〜348は、図25に示す駆動部329、330と同様に、ピエゾ素子を下部電極と上部電極とで挟んで形成され、アーム321〜324の上面に設けられている。なお、検出部341〜348は、アーム321〜324における横梁320の側すなわち延部321C〜324Cに設けられている。これにより、検出部341〜348は効率よく変位を検出することができる。この場合、検出部341〜348は大きな面積を有することができるので、角速度センサ316の感度を高くすることができる。一方、検出部341〜348をアーム321〜324における錘325〜328の側すなわち延部321E〜324Eに設けた場合は、アーム321〜324における横梁320の側の部分の面積を駆動部329〜336を設けるために確保することができる。
モニタ部337〜340は、アーム321〜324のX軸の方向の変位を検出する。実施の形態6においては、モニタ部337〜340はピエゾ素子を用いた圧電方式を採用しているが、電極間の静電容量を利用した静電方式を用いることもできる。
モニタ部337〜340は、図25に示す駆動部329、330と同様に、ピエゾ素子を下部電極と上部電極とで挟んで形成され、アーム321〜324の上面に設けられている。また、モニタ部337〜340は、図26に示すアーム321〜324の振動の位相に対して、同位相のモニタ信号が得られる位置に設けられている。なお、モニタ部337〜340は、図24に示すように、アーム321〜324における横梁320の側すなわち延部321C〜324Cにそれぞれ設けられている。これにより、モニタ部337〜340は小さな面積で効率よく変位によるアーム321〜324の歪を検出することが可能となる。なお、検出部341〜348を設ける部分の面積を確保するため、モニタ部337〜340の面積は検出部341〜348よりも小さくすることが望ましい。
図24に示すように、モニタ部337とモニタ部338とは、Y軸と平行な軸AY31に関して互いに対称に設けられている。モニタ部339とモニタ部340とは、軸AY31に関して互いに対称に設けられている。モニタ部337とモニタ部339とは、X軸と平行な軸AX31に関して互いに対称に設けられている。モニタ部338とモニタ部340とは、軸AX31に関して互いに対称に設けられている。このようにモニタ部337〜340を有するモニタユニット392を軸AY31及び軸AX31に関して対称に設けることにより、加速度や衝撃等の外乱に起因する不要信号を相殺することができ、角速度センサ316は角速度を高精度で検出することができる。
図27は、角速度センサ316に接続された駆動回路350の回路図である。複数の電極パッド349の一部である電極パッド349A〜349Hは、駆動部329〜336とそれぞれ電気的に接続されている。複数の電極パッド349の一部である電極パッド349I〜349Lは、モニタ部337〜340とそれぞれ電気的に接続されている。電極パッド349I〜349Lに接続された信号線は接続点396で接続されている。電極パッド349I〜349Lから出力されたモニタ信号である電流は接続点396で合計されてIV変換アンプ351に入力されて電圧に変換される。その電圧は、自動利得制御器AGC352で一定振幅の電圧に調整されて出力される。AGC352から出力された電圧の不要周波数成分がフィルタ353で除去される。フィルタ353から出力された電圧はドライブアンプ354で反転増幅されて電極パッド349B、349D、349F、349Hに供給されている。また、ドライブアンプ354から出力された駆動信号は、ドライブアンプ355で反転増幅されて電極パッド349A、349C、349E、349Gに供給されている。この構成により、駆動回路350は、図26に示す位相を有する駆動信号を駆動部329〜336に与え、アーム321〜324を図26に示す位相で振動させることができる。
図28Aと図28Bは角速度センサ316に角速度が加わった場合の動作を示す模式平面図である。
図28Aは、Z軸の周りの角速度357を検出する場合の角速度センサ316の平面図である。駆動回路350から駆動部329〜336に対して駆動信号が与えられることにより、錘325〜328にはX軸の方向の固有の駆動振動周波数で駆動振動356が発生する。角速度センサ316にZ軸の周りの角速度357が与えられると、コリオリの力がY軸の方向に発生し、錘325〜328に検出振動358が発生する。錘325〜328にY軸の方向の検出振動358が発生する結果、アーム321〜324はX軸の方向に振動する。なお、アーム321、323とアーム322、324とは互いに逆位相で駆動振動しているので、アーム321、323の検出振動とアーム322、324の検出振動とは互いに逆位相となる。
検出振動358により検出部341〜348から出力される検出信号は、駆動振動356と同じ周波数で、かつ、角速度357に依存した振幅を有する。従って、この検出信号の大きさを測定することにより、角速度357の大きさωzを検出することができる。
図28Bは、Y軸の周りの角速度359を検出する場合の角速度センサ316の平面図である。Y軸の周りの角速度359が入力されると、コリオリの力により錘325〜328にはZ軸の方向に検出振動360が発生する。なお、アーム321、323とアーム322、324とは、逆位相で駆動振動しているので、アーム321、323の検出振動とアーム322、324の検出振動とは互いに逆位相となる。
検出振動360により検出部341〜348から出力される検出信号は、駆動振動356と同じ周波数で、かつ、角速度359に依存した振幅を有する。従って、この検出信号の大きさを測定することにより、角速度359の大きさωyを検出することができる。
図29は、検出部341〜348からそれぞれ出力される信号S301〜S308を示し、具体的には、信号S301〜S308それぞれの駆動信号に起因する成分の位相と、X軸、Y軸及びZ軸の周りの角速度に起因する成分の位相を示している。
図29より、Z軸の周りの角速度357の大きさωzは、以下の式9により得ることができる。
ωz={(S302+S305)+(S303+S308)}−{(S301+S306)+(S304+S307)} …(式9)
また、Y軸周りの角速度359の大きさωyは、以下の式10により得ることができる。
ωy={(S302+S305)+(S301+S306)}−{(S303+S308)+(S304+S307)} …(式10)
図29において、各ユニット391〜393の対称性により、例えば駆動信号に起因する成分の大きさは信号S301〜S308において同じである。また、X軸の周りの角速度に起因する成分の大きさは信号S301〜S308において同じであり、他の角速度についても同様である。角速度357の大きさωzを得るための式9に対して、駆動信号に起因する成分の位相を代入すると、式10の値は0となる。すなわち、検出部341〜348には駆動信号に起因する成分が不要信号として混入されるが、この信号は式9の演算により互いに相殺される。同様に、式9にX軸の周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式9の値は0となる。同様に、Y軸周りの角速度が加わった場合の位相を代入すると、式9の値は0となる。すなわち、不要信号である駆動信号、X軸の周りの角速度及びY軸の周りの角速度による不要信号が混入しても、式9の演算により相殺される。
同様に、Y軸周りの角速度359の大きさωyを得るための式10に対して、駆動信号に起因する成分の位相と、X軸の周りの角速度に起因する成分の位相及びZ軸の周りの角速度に起因する成分の位相を代入すると、式10の値は0となる。すなわち、不要信号である駆動信号、X軸の周りの角速度及びZ軸の周りの角速度による不要信号が混入しても、式10の演算により相殺される。
このように、角速度センサ316は、検出部341〜348よりなる検出ユニット393でZ軸の周りの角速度及びY軸の周りの角速度を高精度に検出することができる。
図30は、角速度センサ316に接続された検出回路361の回路図である。複数の電極パッド349の一部である電極パッド349−1〜349−8は、検出部341〜348とそれぞれ電気的に接続されている。式9及び式10の演算は、図30に示す検出回路361で行うことができる。
電極パッド349−2に接続された信号線と電極パッド349−5に接続された信号線は接続点396Aで接続されている。電極パッド349−2から出力される電流である信号S302と電極パッド349−5から出力される電流である信号S305とは接続点396Aで合計されて結線されてIV変換アンプ362Aに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド349−3に接続された信号線と電極パッド349−8に接続された信号線は接続点396Bで接続される。電極パッド349−3から出力される電流である信号S303と電極パッド349−8から出力される電流である信号S308とは接続点396Bで合計されてIV変換アンプ362Bに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド349−1に接続された信号線と電極パッド349−6に接続された信号線は接続点396Cに接続されている。電極パッド349−1から出力される電流である信号S301と電極パッド349−6から出力される電流である信号S306とは接続点396Cで合計されてIV変換アンプ362Cに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド349−4に接続された信号線と電極パッド349−7に接続された信号線は接続点396Dで接続されている。電極パッド349−4から出力される電流である信号S304と電極パッド349−7から出力される電流である信号S307とは接続点396Dで合計されてIV変換アンプ362Dに入力され、電圧に変換されて出力される。
Z軸の周りの角速度357の大きさωzは以下の構成で算出される。IV変換アンプ362Aからの出力とIV変換アンプ362Bからの出力とがそれぞれ抵抗RA31と抵抗RB31とを介して結線され、IV変換アンプ362Cからの出力とIV変換アンプ362Dからの出力とがそれぞれ抵抗RC31と抵抗RD31とを介して結線され、これらが差動アンプ363Zに入力される。実施の形態6では、抵抗RA31、RB31は同じ抵抗値を有し、抵抗RC31、RD31は同じ抵抗値を有する。さらに差動アンプ363Zから出力された信号を駆動回路350から出力された信号を用いて検波回路364Zで検波する。検波された信号からローパスフィルタ365Zで抽出した信号をZ軸の周りの角速度357の大きさωzとして出力端子366Zから出力している。
Y軸の周りの角速度359の算出は以下の構成で算出される。IV変換アンプ362Aからの出力とIV変換アンプ362Cからの出力とがそれぞれ抵抗RA32と抵抗RC32とを介して結線され、IV変換アンプ362Bからの出力とIV変換アンプ362Dからの出力とがそれぞれ抵抗RB32と抵抗RD32とを介して結線され、これらが差動アンプ363Yに入力される。実施の形態6では、抵抗RA32、RC32は同じ抵抗値を有し、抵抗RB32、RD32は同じ抵抗値を有する。さらに差動アンプ363Yから出力された信号を駆動回路350から出力された信号を用いて検波回路364Yで検波する。検波された信号からローパスフィルタ365Yで抽出した信号をY軸周りの角速度359の大きさωyとして出力端子366Yから出力している。
図29及び図30に示すように、駆動信号に起因する成分は、IV変換アンプ362A〜362Dへ入力される前に、電極パッド349−1〜349−8の結線により、相殺されている。従って、IV変換アンプ362A〜362Dで増幅する前に、駆動信号に起因する成分を相殺することができる。
また、Y軸の周りの角速度359に起因する成分は、Z軸の周りの角速度357の大きさωzを検出するための差動アンプ363Zへ入力される前に、IV変換アンプ362A〜362Dの結線により相殺されている。従って、差動アンプ363Zで増幅する前に、Y軸の周りの角速度359に起因する成分を相殺することができる。
また、Z軸の周りの角速度に起因する成分は、Y軸の周りの角速度359の大きさωyを検出するための差動アンプ363Yへ入力される前に、IV変換アンプ362A〜362Dの結線により相殺されている。
図31は角速度センサ316の信号の位相を示し、特に、モニタ部337〜340からそれぞれ出力される信号M301〜M304の駆動回路350から与えられる駆動信号に起因する成分の位相と、モニタ信号M301〜M304の位相、X軸、Y軸の方向の加速度に起因する成分の位相を示す。
図31において、例えばモニタする振動に起因する成分の大きさは信号M301〜M304において同じであり、他の加速度についても同様である。図27に示す電極パッド349I〜349Lすなわちモニタ部337〜340から出力される電流である信号M301〜304は接続点396で合計され、図31に示すように、モニタ信号M301〜304の合計値は4+となる。一方、X軸の方向の加速度すなわちX軸の正方向から負方向に加速度が加わった場合には、アーム321〜324の全てがX軸の負方向に撓むので、信号M301〜M304の位相は図31に示すようにそれぞれ−、+、−、+となる。従って、X軸の方向の加速度に起因する成分であるこの不要信号は、モニタ部337〜340から出力される信号線を結線することにより相殺される。
同様に、Y軸の方向に加速度すなわち、Y軸の正方向から負方向に加速度が加わった場合に生じる不要信号も、モニタ部337〜340から出力される信号線を結線することにより相殺される。
以上のように、モニタ部337〜340よりなるモニタユニット392をY軸に平行な軸AY31及びX軸に平行な軸AX31に関して対称に設けたことにより、不要信号である加速度の成分を互いに相殺させることができ、角速度の検出精度を高くすることが可能となる。
図32は実施の形態6による他の角速度センサ316Aの平面図である。図32において、図24に示す角速度センサ316と同じ部分には同じ参照番号を付す。図32に示す角速度センサ316Aの駆動ユニット391は、アーム321の延部321Dに設けられた駆動部367、368と、アーム322の延部322Dに設けられた駆動部369、370と、アーム323の延部323Dに設けられた駆動部371、372と、アーム324の延部324Dに設けられた駆動部373、374とをさらに有する。これにより、アーム321〜324をY軸の方向にも振動させることができ、X軸の周りの角速度をも検出することが可能となる。この場合、X軸の周りの角速度の大きさωxは、以下の式11により得ることができる。
ωx=(S301+S302+S303+S304)−(S305+S306+S307+S308) …(式11)
駆動部367、368は軸AX31に平行な軸AX32に関して互いに対称に設けられている。駆動部369、370は軸AX32に関して互いに対称に設けられている。駆動部371、372は、軸AX31と平行な軸AX33に関して対称に設けられている。軸AX33は軸AX31に関して軸AX32に対称である。駆動部373、374は、軸AX33に関して対称に設けられている。
また、駆動部367、371は軸AX31に関して互いに対称に設けられている。駆動部368、372は軸AX31に関して互いに対称に設けられている。駆動部369、373は軸AX31に関して互いに対称に設けられている。駆動部370、374は軸AX31に関して互いに対称に設けられている。
また、駆動部367、369は軸AY31に関して互いに対称に設けられている。駆動部368、370は軸AY31に関して互いに対称に設けられている。駆動部371、373は軸AY31に関して互いに対称に設けられている。駆動部372、374は軸AY31に関して互いに対称に設けられている。
駆動部367〜374により、3軸の角速度を同時に検出することができるとともに、不要信号である加速度に起因する成分を相殺することにより、角速度の検出精度を改善することが可能となる。
なお、実施の形態6における角速度センサ316Aでは、モニタ部337〜340はアーム321〜324のJ字形状の内周側に設けられているが、J字形状の外周側に設けられていても良い。
図33は実施の形態6によるさらに他の角速度センサ316Bの平面図である。図33において、図31に示す角速度センサ316Aと同じ部分には同じ参照番号を付す。図33に示す角速度センサ316Bのモニタユニット392は、アーム321〜324の延部321C〜324Cにそれぞれ設けられたモニタ部375〜378をさらに有する。モニタ部337とモニタ部338とが、軸AY31に関して互いに対称となっている。モニタ部375とモニタ部376とが、軸AY31に関して互いに対称となっている。モニタ部339とモニタ部340とが、軸AY31に関して互いに対称となっている。モニタ部377とモニタ部378とが、軸AY31に関して互いに対称となっている。モニタ部337とモニタ部339とが、軸AX31に関して互いに対称となっている。モニタ部375とモニタ部377とが、軸AX31に関して互いに対称となっている。モニタ部338とモニタ部340とが、軸AX31に関して互いに対称となっている。モニタ部376とモニタ部378とが、軸AX31に関して互いに対称となっている。
また、モニタ部337とモニタ部375とは、アーム321のY軸の方向の中心線である軸AY32に関して対称となっている。モニタ部338とモニタ部376とは、アーム322のY軸の方向の中心線である軸AY33に関して対称となっている。モニタ部339とモニタ部377とは、アーム323のY軸の方向の中心線である軸AY32に関して対称となっている。モニタ部340とモニタ部378とは、アーム324のY軸の方向の中心線である軸AY33に関して対称となっている。
この場合、駆動回路350において、モニタ部337〜340の加算信号からモニタ部375〜378の加算信号を減算した値を用いることにより、駆動振動の状態を得ることができるとともに、加速度による不要信号を相殺することができる。
なお、実施の形態6における角速度センサ316、316A、316Bでは、錘325〜328が接続されたアーム321〜324が横梁320で支持され、横梁320が縦梁318、319で支持され、さらに縦梁318、319が支持体317で支持されている。この構造により、角速度センサ316、316A、316Bは3軸の角速度を同時に検出することができるが、加速度や衝撃等の影響を受けやすくなる。従って、この構造において特に、角速度センサ316、316A、316Bの他軸の周りの角速度及び加速度を互いに相殺させる効果が顕著となる。
電極パッド249−2に接続された信号線と電極パッド249−5に接続された信号線は接続点296Aで接続されている。電極パッド249−2から出力される電流である信号S202と電極パッド249−5から出力される電流である信号S205とは接続点296Aで合計されてIV変換アンプ262Aに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド249−3に接続された信号線と電極パッド249−8に接続された信号線は接続点296Bで接続される。電極パッド249−3から出力される電流である信号S203と電極パッド249−8から出力される電流である信号S208とは接続点296Bで合計されてIV変換アンプ262Bに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド249−1に接続された信号線と電極パッド249−6に接続された信号線は接続点296Cに接続されている。電極パッド249−1から出力される電流である信号S201と電極パッド249−6から出力される電流である信号S206とは接続点296Cで合計されてIV変換アンプ262Cに入力され、電圧に変換されて出力される。電極パッド249−4に接続された信号線と電極パッド249−7に接続された信号線は接続点296Dで接続されている。電極パッド249−4から出力される電流である信号S204と電極パッド249−7から出力される電流である信号S207とは接続点296Dで合計されてIV変換アンプ262Dに入力され、電圧に変換されて出力される。