JPWO2011092934A1 - 発光素子搭載用支持体及び発光装置 - Google Patents

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Abstract

放熱性に優れ、且つ高出力の発光素子を搭載しても、熱による基台の損傷や気密性の低下を抑制する発光素子搭載用支持体を提供する。発光素子が搭載される搭載部を有する絶縁性基台2と、絶縁性基台2に搭載される発光素子7を実装するリードフレーム3とを一体成形した発光素子搭載用支持体1であって、前記絶縁性基台2が、低融点ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなり、前記低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)が630℃以下であることを特徴とする発光素子搭載用支持体1。

Description

本発明は、発光素子搭載用支持体およびこれを用いた発光装置に係り、特に発光素子が搭載される絶縁性基台の信頼性に優れる発光素子搭載用支持体およびこれを用いた発光装置に関する。
近年、発光ダイオード素子(チップ)の高輝度、白色化に伴い、照明、各種ディスプレイ、大型液晶TVのバックライト等として発光ダイオード素子を用いた発光装置が使用されている。発光ダイオード素子を搭載する発光素子搭載用の支持体としては、一般に、素子から発せられる光を効率よく反射する高反射性が求められる。これに加え、近年の発光ダイオード素子は、高輝度化に伴って発熱量が増加し、その温度が過度に上昇するために、発光素子から発生する熱を速やかに放散する放熱性や、熱による損傷等を抑えられる高信頼性を得られるものが求められている。特に、照明等の発光装置の場合には、発光素子から発生する大量の熱を素早く外部に放出することが必要である。
このような発光装置に用いる発光素子搭載用の支持体として、例えばメタル−樹脂パッケージが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
メタル−樹脂パッケージは、アルミニウム、銅、鉄/銅合金、又は鉄/ニッケル合金等の導電性金属からなるリードフレームと、樹脂中に反射性フィラーを分散させたフィラー含有樹脂とを一体として形成したものである。このリードフレーム上に発光素子を搭載することにより、発光素子から生じた熱が速やかに放散される。メタル−樹脂パッケージに用いられるフィラー含有樹脂は、反射性フィラーと樹脂との屈折率差が大きいため、高い反射率を得ることができ、また原料コストも安価なため、発光素子搭載用の支持体として、広く用いられている。
しかしながら、メタル−樹脂パッケージは、樹脂部分において、熱に対する変性が起きやすく、高出力の発光ダイオード素子(チップ)を搭載した場合には、樹脂焼け等の損傷が生じ易く、発光装置としての信頼性に劣るという問題がある。特にメタル−樹脂パッケージでは、紫外線が照射されると樹脂部分が即座に損傷するため、紫外LEDを発光素子として搭載する発光装置には適用できないという問題がある。
特開2008−41699号公報
このような問題を解決するために、発光素子搭載用支持体として、アルミナ基板等のセラミックス基板の採用が増えている。しかしながら、アルミナ基板は、焼成温度が1500〜1600℃であるため、アルミニウム、銅、鉄/銅合金、又は鉄/ニッケル合金等の導電性金属(リードフレーム)と一体として焼成した場合には、大抵の導電性金属は酸化したり溶解したりするおそれがある。
一方、このようなセラミックス以外の無機材料として、ガラス素材が挙げられる。上記発光素子搭載用支持体としてガラス素材を用いる場合、軟化点(Ts)が655℃を超えるものを用いると、導電性金属(リードフレーム)の酸化や溶解が生じるおそれがある。従って、発光素子搭載用支持体としてガラス素材を用いる場合には、軟化点(Ts)が655℃以下のものであることが必要である。
655℃以下の軟化点(Ts)を有するガラス素材としては、例えばビスマスを主成分とするものが知られている。しかしながら、ビスマスを主成分とするものは、通常発色してしまい、透明なものが得られない。したがって、これを発光素子搭載用支持体として採用すると、所望の波長の光に対する反射率が低下し、発光素子からの光を効率的に取り出せない場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、放熱性に優れ、且つ高出力の発光素子を搭載しても、熱による基台の損傷や気密性の低下を抑制する発光素子搭載用支持体の提供を目的とする。
また、本発明は、上記発光素子搭載用支持体を用いた発光装置の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の発光素子搭載用支持体及び発光装置により、上記問題を解決することができることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の発光素子搭載用支持体は、発光素子が搭載される搭載部を有する絶縁性基台と、前記絶縁性基台に搭載される発光素子を実装するリードフレームとを一体成形した発光素子搭載用支持体であって、前記絶縁性基台が、低融点ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなり、前記低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)が630℃以下であることを特徴とする。
前記セラミックスフィラーは、アルミナ粉末、ジルコニア粉末及びチタニア粉末から選択される1種又は2種以上の混合物からなることが好ましい。
前記リードフレームは、アルミニウム、銅、鉄/銅合金、又は鉄/ニッケル合金から選択される導電性金属又は合金であることが好ましい。
前記ガラスセラミックス組成物は、低融点ガラス粉末の含有比率が60体積%以上80体積%以下であり、セラミックスフィラーの含有比率が20体積%以上40体積%以下であることが好ましい。
前記絶縁性基台は、すり鉢状に凹陥する発光素子の搭載される搭載部を有し、リードフレームが前記絶縁性基台を貫通して前記搭載部の底面に露出していることが好ましい。
前記低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)は、450℃以上630℃以下であることが好ましい。
前記低融点ガラス粉末の50%粒径(D50)は、0.5μm以上4μm以下であることが好ましい。
また、本発明の発光装置は、上記した本発明の発光素子搭載用支持体と、前記発光素子搭載用支持体の搭載部に搭載される発光素子と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、発光素子が搭載される絶縁性基台として、所定のガラスセラミックス組成物を用いることで、耐熱性が高く、熱による基台の損傷や気密性の低下が抑制された発光素子搭載用支持体が得られる。さらに、本発明の発光素子搭載用支持体は、リードフレームが絶縁性基台と一体成形されているため、放熱性に優れている。
また、本発明によれば、このような発光素子搭載用支持体の採用により、高出力の発光素子を搭載しても、熱による基台の損傷や、気密性の低下が抑制され、また、発光素子から生じる熱を、外部に速やかに放出できる発光装置が得られる。
本発明の発光素子搭載用支持体の一例を示す断面図である。 本発明の発光素子搭載用支持体に発光素子が搭載された状態を示す断面図である。 本発明の発光装置の一例を示す断面図である。 本発明の発光素子搭載用支持体の製造工程の一例を示す断面図である。 本発明の発光素子搭載用支持体の製造工程の一例を示す断面図である。 本発明の発光素子搭載用支持体の製造工程の一例を示す断面図である。 本発明の発光素子搭載用支持体の製造工程の一例を示す断面図である。 本発明の発光素子搭載用支持体の製造工程の一例を示す断面図である。 本発明の発光素子搭載用支持体の製造工程の一例を示す断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の発光素子搭載用支持体は、発光素子が搭載される搭載部を有する絶縁性基台と、この絶縁性基台に搭載される発光素子を実装するリードフレームとを一体成形した発光素子搭載用支持体であって、該絶縁性基台が、低融点ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなり、該低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)が630℃以下であることを特徴とする。
本発明によれば、発光素子が搭載される絶縁性基台を、上記したような軟化点(Ts)が630℃以下の低融点ガラス粉末とセラミックフィラーとを主成分とするガラスセラミックス組成物で構成することにより、従来に比べて耐熱性を向上できる。したがって、高出力の発光素子が搭載されたときも、熱による基台部分の損傷が殆ど生じない。
また、発光素子が搭載される絶縁性基台として、上述したガラスセラミックス組成物を採用することにより、比較的低温度で焼成できるため、導電性金属からなるリードフレームの酸化や溶解を生じさせることなく、この絶縁性基台とリードフレームとを一体として焼成して製造できる。したがって、耐熱性と共に、優れた放熱性を有する発光素子搭載用支持体が得られる。
図1は、本発明の発光素子搭載用支持体1の一例を示す断面図である。
発光素子搭載用支持体1は、発光素子が搭載される絶縁性基台2と、この絶縁性基台2の間に設けられた略平板状のリードフレーム3を有している。絶縁性基台2は、側面部4と、支持部5とで構成されており、この絶縁性基台2全体が、低融点ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体で形成されている。
絶縁性基台2は、側面部4で囲まれた凹部6を有している。凹部6の底面は、支持部5の図中の上側表面のうち、凹部6の内側に現れた面によって形成され、この底面が、発光素子が搭載される搭載部6aとなっている。
リードフレーム3は、発光素子を実装するためのものであり、側面部4と、支持部5との間を貫通して、絶縁性基台2と一体として設けられている。リードフレーム3は、薄型の金属板からなるものであり、二枚のリードフレーム3a及び3bを、搭載部6a上で露出させて数mm程度の間隔を設けて対向させた状態で設置されている。
発光素子が搭載される絶縁性基台2は、低融点ガラス粉末とセラミックスフィラーとを混合してガラスセラミックス組成物とし、これを焼成して製造する。
ガラスセラミックス組成物の主成分となる低融点ガラス粉末は、軟化点(Ts)が630℃以下のものである。
低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)が630℃を超えると、リードフレーム3と一体として焼成したときに、リードフレーム3を構成する導電性金属の酸化が進行してリードフレーム3の熱伝導性が著しく低下したり、焼成時の熱による変形が生じたりする。
低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)は、好ましくは610℃以下である。
一方、低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)が450℃未満であると、発光素子搭載用支持体1にワイヤボンディングして発光素子を実装したり、発光素子を搭載して発光装置としたものを照明器具等にハンダ付けする際に、熱によって絶縁性基台2が変形するおそれがある。
したがって、低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)は、450℃以上であることが好ましい。
また、低融点ガラス粉末は、ガラス転移点(Tg)が350℃以上500℃以下のものが好ましい。ガラス転移点(Tg)が350℃未満の場合、発光素子を実装する際に絶縁性基台2の変形が生じるおそれがある。一方、ガラス転移点(Tg)が500℃を超えると、リードフレーム3と一体として焼成したときに、リードフレーム3を構成する導電性金属が酸化してリードフレーム3の熱伝導性が著しく低下したり、焼成時の熱による変形が生じたりする。
このような低融点ガラス粉末としては、例えば、下記酸化物換算のmol%表示で、SiOを40mol%以上50mol%以下、Bを38mol%以上48mol%以下、ZrOを0mol%以上5mol%以下、ZnOを0mol%以上10mol%以下、KOとNaOから選ばれる少なくとも一方を含み、KO、NaO、またはKOとNaOとを2mol%以上10mol%以下、含有するものが好ましい。
ここで、SiOはガラスの骨格をなす成分である。SiOの含有量が40mol%未満の場合、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性も低下するおそれがある。
一方、SiOの含有量が50mol%を超える場合、軟化点(Ts)やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれある。SiOの含有量は、好ましくは40.5mol%以上、より好ましくは42mol%以上である。また、SiOの含有量は、好ましくは48mol%以下、より好ましくは47mol%以下である。
は、軟化点(Ts)を低下させる効果を有するものである。Bの含有量が38mol%未満の場合、軟化点(Ts)やガラス転移点(Tg)を十分に低下させられないおそれがある。一方、Bの含有量が48mol%を超える場合、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性も低下するおそれがある。Bの含有量は、好ましくは39mol%以上、より好ましくは41mol%以上である。また、Bの含有量は、好ましくは45mol%以下、より好ましくは43mol%以下である。
ZrOは、ガラスの安定性を高めるために5mol%以下の範囲で含有させてもよい。ZrOの含有量が5mol%を超えると、軟化点(Ts)が高くなるおそれがある。ZrOの含有量は、好ましくは4mol%以下である。
ZnOは軟化点(Ts)を低下させるために添加してもよい。ZnOの含有量が10mol%を超えると、絶縁性基台2の強度が低下するおそれがある。ZnOの含有量は、好ましくは9mol%以下であり、4mol%未満であることがより好ましい。また、ZnOの含有量は、好ましくは、1mol%以上である。
NaO、KOは、ガラス化を促進すると共に、軟化点(Ts)、ガラス転移点(Tg)を低下させるために添加される。
NaOおよびKOの含有量の合計は、2mol%以上10mol%以下であることが好ましい。NaOおよびKOの含有量の合計が2mol%未満であると、軟化点(Ts)やガラス転移点(Tg)が高くなったり、ガラスが不安定となって分相しやすくなったりする。一方、NaOおよびKOの含有量の合計が10mol%を超えると、耐酸化性が低下したり、絶縁性基台2の強度が低下したりする。NaOおよびKOの含有量の合計は、より好ましくは6mol%以上、8mol%以下である。
なお、ガラスセラミックス組成物に用いる低融点ガラス粉末は、必ずしも上記成分に限定されず、軟化点(Ts)、ガラス転移点(Tg)等の諸特性を満たす範囲で他の成分を含有できる。他の成分を含有する場合、その合計した含有量は10mol%以下とすることが好ましい。
Alは、ガラスの安定性、化学的耐久性、および強度を高めるために5mol%を超えない範囲で添加してもよい。
Alの含有量が5mol%を超える場合、軟化点(Ts)やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれがある。Alの含有量は、好ましくは3mol%以下である。
CaOは、ガラスの安定性を高めると共に、軟化点(Ts)やガラス転移点(Tg)を低下させるために、5mol%を超えない範囲で添加してもよい。CaOの含有量が5mol%を超える場合、ガラスが不安定となるおそれがある。CaOの含有量は、好ましくは3mol%以下、より好ましくは1mol%以下である。
MgOは、ガラスを安定化するために、含有量5mol%以下の範囲で含有してもよい。5mol%を超えると、軟化点(Ts)が高くなるおそれがある。MgOの含有量は、好ましくは3mol%以下である。
BaOも、ガラスを安定化するために添加できるが、その含有量は、1%以下が好ましい。
ガラスセラミックス組成物に用いる低融点ガラス粉末は、上記したようなガラス組成となるようにガラス原料を配合、混合し、このガラス原料を溶融法によって製造し、製造されたガラスを乾式粉砕法や湿式粉砕法によって粉砕することにより得られる。湿式粉砕法の場合、溶媒として水の使用が好ましい。粉砕は、例えばロールミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて行う。
絶縁性基台2に用いる低融点ガラス粉末の50%粒径(D50)は0.5μm以上4μm以下が好ましい。低融点ガラス粉末の50%粒径が0.5μm未満の場合、低融点ガラス粉末が凝集しやすく、取り扱いが困難となると共に、粉末化に要する時間が長くなりすぎるおそれもある。一方、低融点ガラス粉末の50%粒径が4μmを超える場合、ガラス粉末が軟化する温度の上昇や低融点ガラス粉末の焼結不足が発生するおそれがある。粒径の調整は、例えば粉砕後に必要に応じて分級により行う。なお、本明細書において、50%粒径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定したものをいう。
また、低融点ガラス粉末の最大粒径は20μm以下であることが好ましい。最大粒径が20μmを超えると、低融点ガラス粉末の焼結性が低下し、焼結体中に未溶解成分が残留して、絶縁性基台2の反射性を低下させるおそれがある。
低融点ガラス粉末の最大粒径は、より好ましくは10μm以下である。
一方、セラミックスフィラーとしては、融点が1500℃以上であって、従来から用いられるものを特に制限なく使用でき、例えばアルミナ粉末、ジルコニア粉末、チタニア粉末、またはこれらの混合物を好適に使用できる。セラミックスフィラーの50%粒径(D50)は、例えば0.5μm以上4μm以下であることが好ましい。上記以外にも白色セラミックスフィラーは存在するが、発光素子搭載用支持体への不具合を生じるおそれがあるため、使用は避けた方がよい。この不具合には、例えば、光反射率の低下、強度の低下、焼結性の低下、熱膨張係数の低下によるリードフレームとの熱膨張係数差の増大である。
このような低融点ガラス粉末とセラミックスフィラーとを、例えば低融点ガラス粉末が60体積%以上80体積%以下、セラミックスフィラーが20体積%以上40体積%以下となるように配合、混合することによりガラスセラミックス組成物が得られる。
セラミックスフィラーが20体積%未満であると、ガラスセラミックス組成物の焼結体において、十分な反射率を得られないおそれがある。一方、セラミックスフィラーが40体積%を超えると、ガラスセラミックス組成物の焼結性が低くなり、焼結体の強度が低下するおそれがある。
リードフレーム3は、0.1〜0.5mm程度の厚みを有する導電性金属板を使用できる。金属板としては、従来から用いられるものを特に制限なく使用でき、例えば、アルミニウム、銅、鉄/銅合金、又は鉄/ニッケル合金等の導電性金属を好適に使用できる。また、リードフレーム3は、この導電性金属板の表面に、ニッケル、金、チタン、又は銀などを、数μm程度積層してめっき層を設けたものであってもよい。
以上、本発明の発光素子搭載用支持体1について一例を挙げて説明したが、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更することができる。
図2は、本発明の発光素子搭載用支持体1に発光素子7が搭載された状態を示す断面図である。図2に示すように、発光素子7は、搭載部6a上に露出したリードフレーム3aの端部の表面に、導電性接着剤を用いて固定されており、図中の上側面が発光面7aとされ、この発光面7aの一部に電極(アノード)が設けられている。また、他方の電極(カソード)は、リードフレーム3aと接触する接触面7b(図中の下側)に設けられている。そして、発光面7a側の電極(アノード)は、ボンディングワイヤ8によって、対向側のリードフレーム3bに接続されている。これにより、発光面7a側の電極(アノード)は、リードフレーム3bに接続され、接触面7b側の電極(アノード)は、リードフレーム3aに接続される。
このため、通電時に発光素子7から生じた熱は、発光素子7が搭載されたリードフレーム3aを伝わって、発光装置10の外部に速やかに放出されるとともに、ボンディングワイヤ8を伝わって、リードフレーム3bからも、発光装置10の外部に放出される。
本発明の発光装置10は、図2で説明したようにして、発光素子搭載用支持体1の搭載部6aに、発光ダイオード等の発光素子7が搭載されたものである。そして、例えば図3に示すように、この発光素子搭載用支持体1の凹部6に、発光素子7、ボンディングワイヤ8を覆うように、封止材9が注入されて、発光装置10が構成されている。
封止材9の主成分としては、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂を用いることができ、特にシリコーン樹脂は、耐光性、耐熱性の点で優れているため好ましい。
この樹脂成分に、蛍光体等を添加することにより、発光装置10として得られる光の色を、適宜調整することができる。
なお、本発明の発光装置は、図3に示すように、凹部6内に封止材9を注入したものに限定されるものではなく、例えば、凹部6の開口部に蓋状の部材を設けて、凹部6内を中空としたものであってもよく、また、図2で示すように、発光素子搭載用支持体1上に発光素子7を搭載したのみの構成であってもよい。
本発明の発光装置によれば、耐熱性の高い発光素子搭載用支持体1を用いることで、発光素子7からの発熱量が多い場合でも、発光素子7が搭載される絶縁性基台2部分の熱による焼け、ひび割れ等の損傷を殆ど生じさせず、発光装置10として、安定した性能を維持できる。
また、リードフレーム3が、酸化されることなく絶縁性基台2と一体として設けられているため、リードフレーム3を通して、発光素子7から生じた熱が速やかに発光装置10外部に放出される。したがって、高出力の発光素子7を搭載したものであっても、過度な温度上昇による発光効率の低下を抑制して、高輝度に発光させることができる。
このような本発明の発光装置10は、例えば液晶ディスプレイ等のバックライト、小型情報端末の操作ボタン発光部、自動車用あるいは装飾用の照明、その他の光源として好適に使用できる。
本発明の発光素子搭載用支持体1は、以下のようにして製造する。
なお、以下の説明では、その製造に用いる部材について、完成品の部材と同一の符号を付して説明する。
図4〜9は、本発明の発光素子搭載用支持体1の製造工程の一例を示す断面図である。
発光素子搭載用支持体1は、例えば図4〜図9に示すように、金型40、50内で、未焼成側面部材4A及び未焼成支持部材5Aを製造した後、これらをリードフレーム3を挟んで重ね合わせて未焼成発光素子搭載用支持体1とし、これらを金型40、50内に収容した状態のまま焼成した後、冷却して得られる。
まず、ガラスセラミックス組成物からなる粉体を、図4に示すように、側面部4を作製するための金型40に充填する。次に、金型40に充填された粉体を、プレス成型機を用いて、プレス板Pで押し固めるようにして押圧成型する。次いで、図5に示すように、未焼成側面部材4Aを焼成した後に得られる側面部材4を、金型40から分離して取り外すための枠体41を、金型40の底面に嵌合させる。その後、未焼成側面部材4Aの上面に接着剤を塗布し、その上にリードフレーム3a、3bを載置して、未焼成側面部材4Aの表面に固定する。
一方、図6に示すように、支持部5を作製するための金型50にガラスセラミックス組成物からなる粉体を充填する。次いで、側面部4のときと同様に、金型50に充填された粉体を、プレス成型機を用いて、プレス板Pにより押圧成型する。次いで、図7に示すように、未焼成支持部材5Aを焼成した後に得られる支持部材5を、金型50から分離して取り外すための枠体51を、金型50の底面に嵌合させる。
次いで、図8に示すように、未焼成支持部材5Aの表面に接着剤を塗布した後、未焼成支持部材5A表面に、未焼成側面部材4Aのリードフレーム載置面を接触させるようにして、未焼成側面部材4Aと未焼成支持部材5Aとを重ね合わせて、未焼成発光素子搭載用支持体1Aとする。その後、金型に収容した状態のまま、未焼成発光素子搭載用支持体1Aの焼成を行い、その後、焼結体から金型を取り外して、発光素子搭載用支持体が得られる。
焼成は、例えば550℃以上630℃以下の温度で30分以上60分以下の時間保持する。特に580℃以上600℃以下の温度で行うことが好ましい。
焼成温度が630℃を超えると、リードフレーム3を構成する導電性金属が酸化して、リードフレーム3の熱伝導性が低下したり導電性が低下したりするおそれがある。また、リードフレーム3がアルミニウムを主成分とする場合には、アルミニウムが溶解して、リードフレーム3が変形するおそれがある。一方、焼成温度が550℃未満であると、焼結が十分進行せず、緻密な絶縁性基台2を得られないおそれがある。
焼成が終了した後、焼結体を一定期間冷却させ、その後、図9に示すように、枠体41に対して、側面部4に向かう方向に3kPaの圧力を加える。これにより、側面部4は、枠体41の突起部410との接触面において、図中の下向きの方向に押圧され、金型40から分離される。
また、枠体51に対しても、支持部5に向かう方向に、3kPaの圧力を加える。これにより、支持部5は、枠体51の突起部510との接触面において、図中の上向きの方向に押圧され、金型50から分離される。
なお、上述した発光素子搭載用支持体1の製造方法では、未焼成側面部材4A及び未焼成支持部材5Aを金型40、50内に収容した状態で焼成した後、焼結体から金型40、50を分離することとしたが、必ずしもこのような方法である必要はなく、例えば、焼成前の段階で未焼成側面部材4A及び未焼成支持部材5Aから金型40、50を分離し、その後、未焼成発光素子搭載用支持体1Aの焼成を行うようにしてもよい。また、各部の形成順序等についても、発光素子搭載用支持体1の製造が可能な限度において適宜変更することが可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
まず、低融点ガラス粉末を製造した。すなわち、下記酸化物換算のmol%表示で、SiOを45mol%、Bを41.5mol%、ZrOを4mol%、ZnOを1.5mol%、NaOを2mol%、KOを6mol%となるように原料を配合、混合し、この原料混合物を白金ルツボに入れて1300〜1400℃で60分間溶融させた後、この溶融状態のガラスを流し出し冷却した。このガラスをアルミナ製ボールミルにより20〜60時間粉砕して低融点ガラス粉末を製造した。なお、粉砕時の溶媒にはエチルアルコールを用いた。
得られた低融点ガラス粉末のガラス転移点(Tg)を、マックサイエンス社製熱分析装置TG−DTA2000を用い、昇温速度10℃/分の条件で1000℃まで測定したところ、ガラス転移点(Tg)は443℃であった。また、軟化点(Ts)は602℃であった。
このようにして得られた低融点ガラス粉末の50%粒径(D50)をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定したところ、2.8μmであった。
この低融点ガラス粉末が65質量%、アルミナフィラー(50%粒径(D50)は、2.8μm、昭和電工社製、商品名:AL−47H)が35質量%となるように配合し、混合することによりガラスセラミックス組成物を製造した。
このガラスセラミックス組成物を、側面部金型40、及び支持部金型50に充填し、プレス成型機を用いて、粉体をプレス成型した(図4及び図6参照。)。次いで、各金型の底面に枠体41、51を嵌合させた後、側面部金型40の未焼成側面部材4A表面に接着剤を塗布し、図5に示すように、リードフレーム3a、3bを載置して固定した。この側面部金型40及び支持部金型50を、図8に示すようにして重ねあわせ、焼成を行った。焼成は、590℃で40分行った。その後、120分冷却させた後、側面部金型40及び支持部金型50内の焼結体を、枠体41及び枠体51によって金型40及び50から取り外し(図9参照。)、発光素子搭載用支持体1を得た。
得られた発光素子搭載用支持体1のリードフレーム3は、酸化されておらず、発光装置10として適用できるものであった。
本発明によれば、発光素子が搭載される絶縁性基台として、所定のガラスセラミックス組成物を用いることで、耐熱性が高く、熱による基台の損傷や気密性の低下が抑制された発光素子搭載用支持体が得られ、かかる発光素子搭載用支持体の採用により、高出力の発光素子を搭載しても、熱による基台の損傷や、気密性の低下が抑制され、また、発光素子から生じる熱を、外部に速やかに放出できる発光装置が得られる。
なお、2010年2月1日に出願された日本特許出願2010−020240号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。
1…発光素子搭載用支持体、2…絶縁性基台、3…リードフレーム、4…側面部、4A…未焼成側面部材、5…支持部、5A…未焼成支持部材、6…凹部、6a…搭載部、7…発光素子、8…ボンディングワイヤ、9…封止材、10…発光装置、40,50…金型、41,51…枠体

Claims (8)

  1. 発光素子が搭載される搭載部を有する絶縁性基台と、前記絶縁性基台に搭載される発光素子を実装するリードフレームとを一体成形した発光素子搭載用支持体であって、
    前記絶縁性基台が、低融点ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなり、前記低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)が630℃以下であることを特徴とする発光素子搭載用支持体。
  2. 前記セラミックスフィラーは、アルミナ粉末、ジルコニア粉末及びチタニア粉末から選択される1種又は2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の発光素子搭載用支持体。
  3. 前記リードフレームが、アルミニウム、銅、鉄/銅合金、又は鉄/ニッケル合金から選択される導電性金属又は合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子搭載用支持体。
  4. 前記ガラスセラミックス組成物において、低融点ガラス粉末の含有比率が60体積%以上80体積%以下であり、セラミックスフィラーの含有比率が20体積%以上40体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光素子搭載用支持体。
  5. 前記絶縁性基台がすり鉢状に凹陥する発光素子の搭載される搭載部を有し、リードフレームが前記絶縁性基台を貫通して前記搭載部の底面に露出していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光素子搭載用支持体。
  6. 前記低融点ガラス粉末の軟化点(Ts)が450℃以上630℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光素子搭載用支持体。
  7. 前記低融点ガラス粉末の50%粒径(D50)が0.5μm以上4μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光素子搭載用支持体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発光素子搭載用支持体と、
    前記発光素子搭載用支持体の搭載部に搭載される発光素子と、
    を有することを特徴とする発光装置。
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