JPWO2011052552A1 - 超電導線材用テープ基材及び超電導線材 - Google Patents

超電導線材用テープ基材及び超電導線材 Download PDF

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Abstract

超電導線材の特性(例えば臨界電流特性)を損なうことなく、中間層の薄膜化・簡略化により超電導線材の低コスト化を図る。超電導線材用テープ基材を、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)のいずれかを含む基板上に、第4(4A)族元素の酸化物で構成された拡散防止層が形成されてなる構成とする。具体的には、TiO2、ZrO2、HfO2のいずれかで拡散防止層を構成する。

Description

本発明は、超電導ケーブルや超電導マグネットなどの超電導機器に用いられる超電導線材用のテープ基材及び超電導線材に関し、特に、金属基板上に形成される中間層の構成に関する。
従来、液体窒素温度(77K)以上で超電導を示す高温超電導体の一種として、RE系超電導体(RE:希土類元素)が知られている。特に、化学式YBa2Cu37-yで表されるイットリウム系酸化物超電導体(以下、Y系超電導体又はYBCO)が代表的である。なお、Y系超電導体には、イットリウムの一部をガドリニウム(Gd)で置換した超電導体(例えば(Y+Gd)BCOと表記される)等も含まれる。
Y系超電導体を用いた超電導線材(以下、Y系超電導線材)は、一般に、テープ状の金属基板上に中間層、Y系超電導体からなる層(以下、Y系超電導層)、保護層が順に形成された積層構造を有している。
このY系超電導線材は、例えば、低磁性の無配向金属基板(例えば、ニッケル基の耐熱・耐食合金であるハステロイ(登録商標))上に配向層を含む中間層を形成し、この配向層上に、PLD(Pulsed Laser Deposition)法やMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等によりY系超電導層を成膜することにより製造される。
このような高温超電導線材における通電特性は、その超電導体の結晶方位、特に2軸配向性に大きく依存することが知られている。したがって、高い2軸配向性を有する超電導層を得るためには、下地となる中間層の結晶性を向上させる必要がある。その方法の一つとして、成膜面に対して斜め方向からアシストイオンビームを照射しながら、蒸着源からの蒸着粒子を堆積させて配向層を成膜するIBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法が知られている。
一方で、超電導線材において高い通電特性を得るためには、金属基板の構成元素であるFe、Ni、Cr等の拡散が超電導層へ及ばないようにする必要がある。一般には、金属基板上にアルミナ(Al23)やGZO(Gd2Zr27)等で構成された拡散防止層を形成するようにしている(例えば、非特許文献1)。また、拡散防止層として機能するかは不明だが、金属基板と配向層の間にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなる層を形成する技術が提案されている(例えば特許文献1、2)。
図5は、従来の超電導線材用テープ基材の構造を示す図である。
図5に示すように、拡散防止層51をAl23で構成する場合、拡散防止層51、ベッド層52、配向層53及びキャップ層54で中間層50が構成される。MgOはAl23と反応してMg−Al−O化合物(例えば、MgAl24)を形成しやすく、Mg−Al−O化合物が形成されるとMgOの配向層の形成が妨げられるため、拡散防止層51と配向層53の間にはイットリア(Y23)等からなるベッド層52が挿入されている。
また、大気と反応しやすいMgOからなる配向層53を保護するとともに、超電導層(例えばYBCO)との格子整合性を高めるために、配向層53の上にはセリア(CeO2)等からなるキャップ層54が形成されている。
なお、拡散防止層51をGZOで構成する場合には、ベッド層52は不要とされるが、Al23で拡散防止層51を構成する場合よりも膜厚は厚くなる。
特表平11−503994号公報 特開平6−271393号公報
「Continuous Fabrication of IBAD-MgO Based Coated Conductors 」 IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY, Vol.15, NO.2, JUNE 2005
上述したように、従来は拡散防止層をAl23やGZOで構成しているため、超電導線材の生産性が低下し低コスト化が困難であった。具体的には、超電導層形成時に800℃から900℃程度の高温にするため、基板構成元素が中間層を介して超電導層に拡散することが問題となるが、拡散防止層をAl23で構成する場合、基板構成元素の拡散を効果的に防止するためには80nm以上の膜厚とする必要がある上、ベッド層の形成も必須となる。また、拡散防止層をGZOで構成する場合、基板構成元素の拡散を効果的に防止するためにはAl23よりも厚い100nm以上の膜厚とする必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、超電導線材の特性(例えば臨界電流特性)を損なうことなく、中間層の薄膜化・簡略化により超電導線材の低コスト化を図ることができる超電導線材用テープ基材及び超電導線材を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)のいずれかを含む基板上に、第4(4A)族元素の酸化物で構成された拡散防止層が形成されてなることを特徴とする超電導線材用テープ基材である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超電導線材用テープ基材において、前記拡散防止層の膜厚が、20nm以上70nm以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の超電導線材用テープ基材において、前記拡散防止層の膜厚が、20nm以上40nm以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の超電導線材用テープ基材において、前記第4(4A)族元素の酸化物が、TiO2、ZrO2、HfO2のいずれかであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の超電導線材用テープ基材において、前記第4(4A)族元素の酸化物の平均結晶粒径が、50nmより大きいことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の超電導線材用テープ基材において、前記拡散防止層の上にY23からなるベッド層が形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の超電導線材用テープ基材において、前記拡散防止層の上に配向層が形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の超電導線材用テープ基材において、前記ベッド層の上に配向層が形成されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の超電導線材用テープ基材において、前記配向層の上にキャップ層が形成されていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項7から9のいずれか一項に記載の超電導線材用テープ基材の上に酸化物超電導層が形成されていることを特徴とする超電導線材である。
本発明者は、従来用いられてきたAl23やGZOよりも拡散防止機能が高い物質で拡散防止層を構成することで拡散防止層を薄膜化して成膜時間を短縮することを発案し、拡散防止層として最適な物質を模索した。
そして、金属基板からNi等が酸化物中に拡散するときの主な拡散機構は、酸化物中の陽イオンが欠落して生じる空孔による空孔機構であるとの仮説を立て、拡散防止層を4価の陽イオンとなる元素の酸化物で構成することに想到した。
ここで、Niを含む金属基板上にハフニウム(Hf)の酸化物(HfO2)からなる拡散防止層を形成する場合について考える。上記した仮説によると、拡散防止層をHfO2で構成した場合、Hf4+が欠落して空孔が形成されると(図6A)、その空孔にNiイオンが移動する(図6B)。このとき、Niイオンは2価又は3価の陽イオンなので、電気的中性を保つためにはプラスの電荷を持ったもの(例えば正孔)が周囲に生成される必要がある(図6C)。しかし、そのためには余分なエネルギーが必要となるので、HfO2中ではNiは拡散しにくいことになる。
これに対して、Al23やGZO中ではNiが2価又は3価の陽イオンとなる元素と容易に置換するため、拡散しやすくなる。
ここでは、NiイオンとHf4+間における移動について説明したが、Niイオン以外にも、Feイオン(2価又は3価の陽イオン)やCrイオン(3価の陽イオン)等と、Hf以外の4価の陽イオンとなる元素の間でのイオン移動についても、同様である。
このような知見に基づいて、4価の陽イオンとなる元素の酸化物で拡散防止層を構成することについて検討を重ね、第4(4A)族元素(いわゆるチタン族元素)の酸化物により、高い拡散防止層としての機能を実現できること、また、超電導線材としたときに高い超電導特性が確保されることを実験的に確認し、本発明を完成した。
本発明に係る超電導線材用テープ基材によれば、第4(4A)族元素の酸化物で拡散防止層を構成しているので、超電導特性を損なうことなく、中間層の薄膜化・簡略化を図ることができる。そして、このような超電導線材用テープ基材を用いることで、超電導線材の低コスト化を図ることができる。
実施形態に係る超電導線材の積層構造を示す図である。 実施形態に係る超電導線材用テープ基材の構造を示す図である。 スパッタ法又はIBAD法により成膜する際に用いるスパッタ装置の一例を示す図である。 拡散防止層の膜厚に対する臨界電流特性を示す表である。 従来の超電導線材用テープ基材の構造を示す図である。 HfO2内におけるNiの拡散機構を示す図である。 HfO2内におけるNiの拡散機構を示す図である。 HfO2内におけるNiの拡散機構を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1、2は、本実施形態に係る超電導線材の積層構造を示す図である。
図1に示すように、Y系超電導線材1は、テープ状の金属基板10上に中間層20、超電導層30、保護層40が順に形成された積層構造を有している。図1におけるテープ状の金属基板10と中間層20が、本発明に係る超電導線材用テープ基材2を構成する。
本実施形態において、金属基板10は、低磁性の無配向金属基板であり、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)のいずれかを含んでいるものとする。例えば、ニッケル基の耐熱・耐食合金であるハステロイ基板には、Fe、Ni、Crがすべて含まれている。
中間層20は、図2に示すように、拡散防止層21、ベッド層22、配向層23及びキャップ層24を備えて構成されている。
拡散防止層21は、金属基板10の構成元素(例えばFe、Ni、Cr)が拡散するのを防止するための層であり、例えばスパッタ法により成膜される。本実施形態では、拡散防止層21を第4(4A)族元素の酸化物(例えばTiO2、ZrO2、HfO2)で構成している。これにより、従来のように拡散防止層をAl23やGZOで構成した場合に比較して膜厚を薄くすることができるので、生産性を格段に高めることができる。
この拡散防止層21の膜厚は、20nm以上70nm以下であることが望ましい。膜厚が20nmより薄いと金属基板10の構成元素が拡散するのを効果的に防止できず、70nmより厚いと成膜時間が長くなり生産性が低下するためである。また、膜厚を40nm以下とすることで、さらに生産性を高めることができる。
さらに、拡散防止層21は、結晶化された状態となっていることが望ましい。ここで、結晶化された状態とは、第4(4A)族元素の酸化物の平均結晶粒径が、50nmより大きい状態であることを意味する。拡散防止層21がアモルファス状態や微結晶状態(平均結晶粒径が50nm未満の状態)となっている場合には、粒界拡散等が起こりやすく、Ni等の拡散を効果的に抑制することが難しくなるためである。
ベッド層22は、拡散防止層21と反応することによって配向層23の2軸配向性が妨げられるのを抑制するためのY23等からなる層で、例えばスパッタ法により成膜される。配向層23は、超電導層30の結晶を一定の方向に配向させるためのMgOからなる多結晶薄膜であり、IBAD法により成膜される。キャップ層24は、配向層23を保護するとともに超電導層30との格子整合性を高めるためのCeO2等からなる層で、例えばスパッタ法により成膜される。
なお、拡散防止層21を第4(4A)族元素の酸化物で構成する場合、図2におけるベッド層22を省略することもできる。
超電導層30は、Y系超電導体からなるY系超電導層であり、例えば有機金属気相成長法(MOCVD法)により成膜される。超電導層30の上面には、例えばスパッタ法により銀からなる保護層40が成膜される。
図3は、スパッタ法及びIBAD法により成膜する際に用いるスパッタ装置の一例を示す図である。図3に示すように、スパッタ装置100は、スパッタイオン源101、アシストイオン源102、ターゲット(蒸着源)103、基材搬送部104を備えて構成されている。このスパッタ装置100は真空容器(図示略)に収容され、真空中で蒸着粒子を成膜面DAに堆積できるようになっている。また、スパッタ装置100は図示しない加熱ヒータを有し、成膜面DAを所望の温度に加熱できるようになっている。
拡散防止層21を成膜する際にはテープ状の金属基板10が基材110となり、配向層23を成膜する際には金属基板10に拡散防止層21及びベッド層22を形成したものが基材110となる。この基材110が基材搬送部104によってスパッタ装置内に搬送される。
スパッタイオン源101及びアシストイオン源102は、それぞれイオン発生器で発生させたイオンを加速して放出するイオン銃を備え、所望のイオンをターゲット103又は成膜面DAに照射できるようになっている。
ターゲット103には、目的とする拡散防止層21、ベッド層22又は配向層23と同一組成又は近似組成のものを用いる。或いは、拡散防止層21、ベッド層22又は配向層23を構成する金属元素をターゲットとして用い、酸素との反応性スパッタによって拡散防止層21、ベッド層22又は配向層23を成膜することもできる。
ここで、スパッタイオン、アシストイオンのイオン種としては、例えばAr+イオンが用いられる。Ar+イオンの他に、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)等の希ガスイオンや、これらの希ガスイオンと酸素イオンの混合イオンを用いることもできる。
スパッタ装置100を用いて成膜するにあたり、まず真空容器の内部を真空引きして減圧雰囲気とした後、Arガスを導入する。そして、高周波電源を作動させてスパッタイオン源101からターゲット103に向けてイオンビームを照射する。すると、ターゲット103の構成粒子がスパッタされて、対向する基材110の成膜面DAに飛来する。この飛来した粒子(蒸着粒子)が成膜面DAに所定時間かけて堆積することにより薄膜が形成される。このとき、IBAD法では、アシストイオン源102により、基材110の成膜面DAに対して斜め方向(例えば成膜面DAの法線方向に対して45°)からアシストイオンビームを照射する。そうすると、基材110の成膜面DAに形成される多結晶薄膜のa軸とb軸とが配向し、配向層が成膜される。基材搬送部104によって基材110を移動させながら成膜することで、長尺の基材110に一様に薄膜を形成することができる。
ここでは、イオンビームスパッタ法を用いて成膜する例について示したが、他のスパッタ法(例えば高周波スパッタ法)を用いることもできる。高周波スパッタ法を用いるスパッタ装置の場合、イオン源としてはアシストイオン源102だけになり、スパッタイオン源101は備えない。
[実施例1]
実施例1では、金属基板10としてテープ状のハステロイ基板10を用いた。このハステロイ基板10に、機械研磨や電界研磨によって表面研磨を施し、ハステロイ基板10の表面平坦性Raを2nmとした。このとき、金属基板10の表面平坦性Raは5nm以下、好適には2nm以下であることが望ましい。
そして、表面研磨されたハステロイ基板10の上に、TiO2からなる拡散防止層21を、スパッタ法により20℃で成膜した。拡散防止層21の膜厚は、15nm、20nm、30nm、40nm、60nm、70nm、80nmとした。
拡散防止層21の上には、Y23からなるベッド層22を、スパッタ法により20℃で5nm成膜した。そして、このベッド層22の上に、MgOからなる配向層(IBAD−MgO層)23を、IBAD法により常温で10〜200Å成膜した。配向層23の上には、CeO2からなるキャップ層24を、スパッタ法により700℃で500nm成膜した。キャップ層24の上には、YBCOからなる超電導層30を、MOCVD法により860℃で1μm成膜した。Y系超電導層30の上には、Agからなる保護層40を成膜した。そして、酸素流気中、500℃で酸素アニールを行い、実施例1に係る超電導線材1を作製した。
[実施例2]
実施例2では、ベッド層22を形成していない点が実施例1の超電導線材1と異なる。拡散防止層21の膜厚、配向層23、キャップ層24、超電導層30及び保護層40の構成及び膜厚は、実施例1と同様である。
すなわち、実施例2では、実施例1と同様にテープ状のハステロイ基板10に表面研磨を施した後、TiO2からなる拡散防止層21をスパッタ法により20℃で形成した。そして、この拡散防止層21の上に、配向層23、キャップ層24、超電導層30及び保護層40を成膜した後、酸素アニールを行い、実施例2に係る超電導線材1を作製した。
[実施例3]
実施例3では、拡散防止層21をZrO2で構成している点が実施例1の超電導線材1と異なる。拡散防止層21の膜厚、ベッド層22、配向層23、キャップ層24、超電導層30及び保護層40の構成及び膜厚は、実施例1と同様である。
すなわち、実施例3では、実施例1と同様にテープ状のハステロイ基板10に表面研磨を施した後、ZrO2からなる拡散防止層21をスパッタ法により20℃で形成した。そして、この拡散防止層21の上に、ベッド層22、配向層23、キャップ層24、超電導層30及び保護層40を成膜した後、酸素アニールを行い、実施例3に係る超電導線材1を作製した。
[実施例4]
実施例4では、拡散防止層21をHfO2で構成している点が実施例1の超電導線材1と異なる。拡散防止層21の膜厚、ベッド層22、配向層23、キャップ層24、超電導層30及び保護層40の構成及び膜厚は、実施例1と同様である。
すなわち、実施例4では、実施例1と同様にテープ状のハステロイ基板10に表面研磨を施した後、HfO2からなる拡散防止層21をスパッタ法により20℃で形成した。そして、この拡散防止層21の上に、ベッド層22、配向層23、キャップ層24、超電導層30及び保護層40を成膜した後、酸素アニールを行い、実施例4に係る超電導線材1を作製した。
[比較例]
比較例では、拡散防止層21をAl23で構成している点が実施例1の超電導線材1と異なる。拡散防止層21の膜厚、ベッド層22、配向層23、キャップ層24、超電導層30及び保護層40の構成及び膜厚は、実施例1と同様である。
すなわち、比較例では、実施例1と同様にテープ状のハステロイ基板10に表面研磨を施した後、Al23からなる拡散防止層21をスパッタ法により20℃で形成した。そして、この拡散防止層21の上に、ベッド層22、配向層23、キャップ層24、超電導層30及び保護層40を成膜した後、酸素アニールを行い、比較例に係る超電導線材1を作製した。
実施例1〜4及び比較例で作製した超電導線材1について、金属基板10の構成元素(Fe、Ni、Cr)の中間層20への拡散状況を確認した。具体的には、SIMS(二次イオン質量分析)を用いた深さ方向(超電導線材1の厚さ方向)の元素分析により、超電導層30の最表面から900nm、つまり、中間層20の最表面から厚さ方向に約100nm地点の超電導層30中における金属基板10の構成元素(Fe、Ni、Cr)の検出状況によって確認を行った。
そして、得られた検出結果より、金属基板10の構成元素(Fe、Ni、Cr)の検出値がBa(バリウム)の検出値に対して、1/1000より大きい場合を“×”、1/5000以上1/1000以下の場合を“△”、1/5000未満の場合を“○”として、金属基板10の構成元素の超電導層30への拡散状況を評価した。ここでは、基準とする検出値となる元素(Ba)は、超電導層30の構成元素のうち、他の構成層(金属基板10、中間層20)に含まれていない元素を選択した。
また、実施例1〜4及び比較例で作製した超電導線材1について、液体窒素中で4端子法により電圧定義1μV/cmで臨界電流を測定した。そして、臨界電流値が50A以下の場合を“×”、50Aを超え200A以下の場合を“△”、200Aを超える場合を“○”として臨界電流特性(Ic特性)を評価した。
以上の評価結果を図4に示す。図4に示すように、実施例1〜4の超電導線材1では、拡散防止層21の膜厚が80nm以下の場合であっても、金属基板10の構成元素(Fe、Ni、Cr)が超電導層30へ拡散することはほとんどなく、特に、30nmという薄い膜厚の場合であっても、超電導層30への拡散が起こっていないことがわかった。
また、臨界電流特性についても、実施例1〜4では、拡散防止層21の膜厚が20〜80nmのときに高い臨界電流値が得られた。膜厚が15nmのときにIc特性が低下しているのは、膜厚が薄すぎて金属基板10からのFe、Ni又はCrの拡散を効果的に抑止できず、中間層20側の超電導層30(例えば、中間層20の最表面から150〜300nm程度の超電導層30)中にFe、Ni又はCrの拡散が広がったためと考えられる。
拡散防止層21の膜厚を80nmとした場合は良好なIc特性が得られるものの、生産性が低下する要因となるため、拡散防止層の膜厚は20〜70nm、好適には20〜40nmとするのが望ましい。
実施例2より、TiO2で拡散防止層21を構成する場合、ベッド層22を形成しなくても所望の超電導特性を確保できることがわかる。つまり、TiO2で拡散防止層21を構成することで、ベッド層22を省略できるという副次的な効果も得られる。
なお、実施例3、4では、第4(4A)族元素の酸化物の一例としてZrO2やHfO2を用いて拡散防止層21を構成し、更にベッド層22を形成した場合について説明したが、実施例1、2の関係と同様に、ベッド層22を形成しなかった場合についても、所望の超電導特性が確保できることが確認されている。
比較例の超電導線材1では、金属基板10の構成元素(Fe、Ni、Cr)が中間層20を超えて超電導層30中へ拡散していることが確認された。特に、拡散防止層21の膜厚が40nm以下の場合には、超電導層30の最表面付近においても金属基板10の構成元素(Fe、Ni、Cr)が検出された。
また、臨界電流特性については、拡散防止層21の膜厚が80nmのときに高い臨界電流値が得られたが、70nm以下では臨界電流値が200A以下となった。このように、比較例の超電導線材1では、拡散防止層21の膜厚が70nm以下のときにIc特性が低下した。これは、Al23からなる拡散防止層21が金属基板10からのFe、Ni又はCrの拡散を効果的に抑止できず、中間層20側の超電導層30(例えば、中間層20の最表面から150〜300nm程度の超電導層30)中において、Fe、Ni又はCrの拡散が広がったためと考えられる。
このことから、Al23は第4(4A)族元素の酸化物(TiO2、ZrO2、HfO2)よりも拡散防止機能が低いといえる。すなわち、実施例1〜4のように第4(4A)族元素の酸化物(TiO2、ZrO2、HfO2)で拡散防止層21を構成することで、薄い膜厚で十分な拡散防止機能を発揮できることとなるので、拡散防止層21の薄膜化を図ることができる。
なお、実施例1〜4では、CeO2からなるキャップ層24を形成する際に、700℃の熱履歴を拡散防止層21に与えているため、拡散防止層21は結晶化された状態となる。そのため、最も拡散が起きやすい超電導層形成時の860℃の熱履歴を経る際に、金属基板10の構成元素(Fe、Ni、Cr)が拡散するのを効果的に抑制することができた。
このように、実施形態に係る超電導線材用テープ基材2によれば、第4(4A)族元素の酸化物で拡散防止層21を構成しているので、中間層20の薄膜化・簡略化を図ることができる。そして、このような超電導線材用テープ基材2を用いた超電導線材1によれば、格段に低コスト化を図ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、金属基板10には、ハステロイ以外の無配向の金属基板、例えば、SUS304を適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 金属基板(ハステロイ)
20 中間層
21 拡散防止層(TiO2、ZrO2、HfO2
22 ベッド層(Y23
23 配向層(IBAD−MgO)
24 キャップ層(CeO2
30 超電導層(YBCO)
40 保護層

Claims (10)

  1. 鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)のいずれかを含む基板上に、第4(4A)族元素の酸化物で構成された拡散防止層が形成されてなることを特徴とする超電導線材用テープ基材。
  2. 前記拡散防止層の膜厚が、20nm以上70nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の超電導線材用テープ基材。
  3. 前記拡散防止層の膜厚が、20nm以上40nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の超電導線材用テープ基材。
  4. 前記第4(4A)族元素の酸化物が、TiO2、ZrO2、HfO2のいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の超電導線材用テープ基材。
  5. 前記第4(4A)族元素の酸化物の平均結晶粒径が、50nmより大きいことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の超電導線材用テープ基材。
  6. 前記拡散防止層の上にY23からなるベッド層が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の超電導線材用テープ基材。
  7. 前記拡散防止層の上に配向層が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の超電導線材用テープ基材。
  8. 前記ベッド層の上に配向層が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の超電導線材用テープ基材。
  9. 前記配向層の上にキャップ層が形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の超電導線材用テープ基材。
  10. 請求項7から9のいずれか一項に記載の超電導線材用テープ基材の上に酸化物超電導層が形成されていることを特徴とする超電導線材。
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