JPWO2010143751A1 - ベシクル組成物及びそれを配合した化粧料 - Google Patents
ベシクル組成物及びそれを配合した化粧料 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2010143751A1 JPWO2010143751A1 JP2011518603A JP2011518603A JPWO2010143751A1 JP WO2010143751 A1 JPWO2010143751 A1 JP WO2010143751A1 JP 2011518603 A JP2011518603 A JP 2011518603A JP 2011518603 A JP2011518603 A JP 2011518603A JP WO2010143751 A1 JPWO2010143751 A1 JP WO2010143751A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hair
- component
- vesicle
- vesicle composition
- acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K8/00—Cosmetics or similar toiletry preparations
- A61K8/18—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
- A61K8/30—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
- A61K8/63—Steroids; Derivatives thereof
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K8/00—Cosmetics or similar toiletry preparations
- A61K8/02—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by special physical form
- A61K8/14—Liposomes; Vesicles
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K8/00—Cosmetics or similar toiletry preparations
- A61K8/18—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
- A61K8/30—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
- A61K8/40—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds containing nitrogen
- A61K8/44—Aminocarboxylic acids or derivatives thereof, e.g. aminocarboxylic acids containing sulfur; Salts; Esters or N-acylated derivatives thereof
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61Q—SPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
- A61Q5/00—Preparations for care of the hair
- A61Q5/12—Preparations containing hair conditioners
Abstract
Description
しかし、コレステロールなどのステロール誘導体は、一般に、水にも油にも溶解しにくい難溶性の物質としても知られており(特許文献1参照)、特に、水を媒体とするローション系の製剤に安定に配合することは非常に困難である。そのため、これらの難溶性のステロール誘導体を水性媒体の化粧料に安定に配合する技術の研究が種々行われている。
例えば、4級アルキルアンモニウム塩型カチオン性界面活性剤と、両親媒性物質、ステロール誘導体、水を特定の配合比率において混合することにより、水相が内包されたラメラ液晶の2分子膜小胞体、すなわちベシクルが形成されることが知られている(特許文献2参照)。
また、別の検討として、4級アルキルアンモニウム塩型カチオン性界面活性剤と、ステロール誘導体、セラミドに、カチオン性高分子(特許文献3参照)やシリコーンを(特許文献4参照)配合することにより、ベシクルが形成されることも知られている。
更に、上記特許文献2〜4とは異なるカチオン性界面活性剤として、疎水基内にエステル構造を有するジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートを用いて、コレステロールなどのステロール類を配合した例もある(特許文献5参照)。
(A) 下記の一般式(1)
(B) ステロール類
(C) 水
を含有することを特徴とするベシクル組成物を提供するものである。
本発明は、所定の成分(A)〜(C)を含有するベシクル組成物に関する。
なお、本明細書において「ベシクル組成物」とは、水中で球状の閉鎖小胞体を意味し、偏光顕微鏡観察でマルテローゼクロス像が観察されるものであり、また別の観察方法としては、透過型電子顕微鏡観察で多重層構造のマルチラメラベシクルが観察されるものをいう。
本発明においては、成分(A)を用いることで、経時安定性に優れ、ベシクル構造における二分子膜の変形性を評価する微視的な膜流動性(以下、「ベシクル膜の変形性」と略す)にも優れたベシクル組成物を調製することができるので、成分(A)により形成されるベシクル中に後述する成分(B)を内包させると、成分(B)等の毛髪有効成分が経時で析出することなどがなく、使用時まで安定に保持できる。そして、毛髪に塗布した際には、毛髪内部まで効率的に浸透し、成分(B)等の毛髪有効成分を安定的に毛髪内部へ送達させ、しっとり感を付与する効果の高いものが得られる。
成分(A)の具体例としては、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート等が挙げられ、これらを1種、又は2種以上組み合わせて使用でき、DEHYQUART L80、DEHYQUART F75、DEHYQUART AU56/G、DEHYQUART C4046(いずれもコグニス社製)などの市販品も使用可能である。このうち、特にジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートが、得られるベシクル組成物の経時安定性や、そのベシクル組成物を配合した毛髪用化粧料を毛髪に塗布した際の浸透性(浸透感)の点から好ましい。
配合量がこの範囲であれば、経時安定性やベシクル膜の変形性に優れたベシクル組成物が得られるため、これを化粧料に配合した場合には、使用するまでは非常に安定で、例えば、毛髪に塗布した際には、成分(B)等の毛髪有効成分が毛髪内部まで効率的に浸透し、しっとり感に優れたものが得られる。
得られたベシクル組成物の平均粒子径は、概ね100nm〜10μmであるが、好ましくは後述するエクストルーダー等の機器を用いて平均粒子径を50〜500nmとすることにより、経時でもベシクルが崩壊することがなく、平均粒子径の変化(増大)も少ない安定性に優れたものが得られる。
成分(D)の低級一価アルコールは、一般に毛髪用化粧料において、塗布時の乾きの速さや清涼感を奏する上で重要な成分とされており、毛髪へのなじみの良さに寄与するが、ベシクル組成物配合系においては、低級一価アルコールを配合することは経時安定性の確保を困難にするものとして知られている。
しかしながら、本発明においては、上記成分(A)を用いてベシクル組成物を調製することにより、成分(D)の低級一価アルコールを配合しても、経時安定性の良好なものが得られ、このベシクル組成物を配合した毛髪用化粧料を毛髪に適用した場合、素早くなじみ、毛髪内部への浸透性に優れ、有効成分の浸透感を実感でき、しっとり感を付与する効果も高い良好なものが得られる。
成分(D)の低級一価アルコールは、化粧料一般に用いられるものであれば特に制限なく用いることができ、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等を挙げることが出来るが、本発明においてはエチルアルコールが好ましい。
本発明のベシクル組成物を配合し、毛髪用化粧料とすることにより、成分(B)などの有効成分をベシクルを形成せずに配合した毛髪化粧料と比較して、経時安定性に優れ、且つ、使用時の毛髪内部への浸透性、浸透感の実感に優れた、しっとり感の付与効果の高い良好なものが得られる。
特に成分(D)を配合した化粧料においては、成分(D)は、本来、経時安定性の確保を困難なものとする傾向にある成分であるにもかかわらず、本発明のベシクル組成物を配合することで、良好な経時安定性を有し、且つ、例えば、毛髪用化粧料の態様では、毛髪に素早くなじみ、毛髪内部への浸透性、浸透感に優れ、しっとり感を付与する効果に優れたものとすることができる。
なお、本発明の化粧料の剤型については特に制限はないが、ベシクルを安定に維持するという観点では、外相が水系である剤型の化粧料として調製するのが好ましい。外相は、水以外に、水に溶解及び/又は分散可能な種々の剤(例えば、エチルアルコール、多価アルコール、塩類、界面活性剤等)を含んでいてもよい。
カチオン性界面活性剤としては、成分(A)以外の、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
下記表に示す処方及び下記製造方法により、本発明の成分(A)を用いたベシクル組成物(本発明品1)と、成分(A)の代わりに一般的な2長鎖の4級アルキルアンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を用いたベシクル組成物(比較品1)を調製し、下記の方法によりベシクルが生成されていることを確認し、更に経時安定性をベシクルの変化(平均粒子径)で評価した。なお比較品1で用いた4級アルキルアンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(「アーカード2HP−75」ライオン・アクゾ社製)である。
直交ニコル下で偏光顕微鏡(オリンパス社製 DP−70)観察を行ない、ベシクルの存在(ベシクルが形成されていることの指標となるマルテーゼクロス像の存在)を確認した。また、得られたベシクル組成物(精製水10倍希釈分散物に1%リンタングステン酸水溶液を等量に加え、ネガティブ染色)について、透過型電子顕微鏡(HITACHI H−7650 加圧電圧:80kV)を用いて観察した。ベシクルの生成は、多重層構造のマルチラメラベシクルの形成を指標として確認できる。
本発明品1には、偏光顕微鏡の観察により、ベシクルが形成されていることの指標となるマルテーゼクロス像が多数観察され、また、透過型電子顕微鏡の観察により、多重層構造のマルチラメラベシクルが観察された。
本発明品1について、透過型電子顕微鏡で観察した写真を図1に、偏光顕微鏡で観察した写真を図2に示した。
A:成分1〜3を100℃に加熱溶解する。
B:成分4を90℃に加熱する。
C:BにAを添加してホモミキサーにて混合攪拌する。
D:Cを室温まで冷却して、ベシクル組成物を得た。
経時安定性の評価として、下記方法により、ベシクルの平均粒子径および状態の変化を経時で測定(観察)し、それを更に下記判定基準を用いて判定した。結果は上記表に併せて示す。
(評価方法)
本発明品1、比較品1のベシクル組成物を60℃に加熱し、PCメンブラン(ポアサイズ:200nm WHATMAN社製)を装着したエクストルーダー(Avanti Polar Lipids社製)内を60℃条件下でそれぞれ10回通過させ試料を調製する。
調製した試料の平均粒子径を、調製直後、30℃のインキュベーターにて3日、及び1ヶ月間静置したものについて、動的光散乱法(Beckman Coulter N5)を用いて測定した。
更に、調製直後の試料の平均粒子径に対する1ヶ月後の試料の平均粒子径の変化(増大)の程度やベシクルの状態変化を、下記4段階判定基準を用いて判定した。
<4段階判定基準>
(判定) :(調製直後に対する1ヶ月後の平均粒子径および状態の変化)
◎(非常に良好):変化が見られない、または調製直後の平均粒子径の2倍以下
○(良好) :2倍より大きく5倍以下
△(やや不良) :5倍より大きく20倍以下
×(不良) :20倍より大きい、またはベシクルの崩壊による定量不能な状態
一方、成分(A)の代わりに2長鎖の4級アルキルアンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を用いた比較品1のベシクル組成物は、ベシクルは形成されるものの、調製直後のベシクルに比べて、1ヶ月後のベシクルの平均粒子径がひどく増大、或いはベシクルが崩壊(粒度分布のブロード化)してしまい、経時安定性の点で劣るものであった。
上記本発明品1の調製において成分(A)として使用した、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート(80%)プロピレングリコール溶液を、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート(90%)イソプロパノール溶液に代えた以外、同様にしてベシクル組成物を調製した(以下、これを「本発明品2」とする)。また、本発明品1の(A)/(B)のモル比7/3を、1/4にかえた以外は同様にして、ベシクル組成物を調製した(以下、これを「本発明品3」とする)。さらに、本発明品3に、イソステアリン酸を添加して同様にベシクル組成物を調製した(以下、これを「本発明品4」とする)。実施例1と同様に、ベシクルの状態変化を評価した。処方及び結果を下記表2に示す。
A:成分1〜4を100℃に加熱溶解する。
B:成分5を90℃に加熱する。
C:BにAを添加してホモミキサーにて混合攪拌する。
D:Cを室温まで冷却して、ベシクル組成物を得た。
実施例3(本発明品5及び比較品2〜4)
次に、下記表に示す処方及び下記製造方法により、蛍光性のマーカー;ピレン(pyrene)含有ベシクル組成物(試料)を調製し、下記方法により、毛髪内部への浸透性を評価した。
A:成分1〜5を100℃に加熱溶解する。
B:成分6を90℃に加熱する。
C:BにAを添加してホモミキサーにて混合攪拌する。
D:Cを室温まで冷却し試料を調製した。
(1)上記表及び上記製造方法により調製したピレン含有ベシクル組成物等の試料に毛束(毛髪)を12時間浸漬
(2)(1)から毛髪を取り出して樹脂包埋し、ミクロトームで毛髪横断面の切片作製
(3)(2)の毛髪横断面の切片を蛍光顕微鏡で観察(蛍光顕微鏡の観察条件:励起フィルタ:330−385nm 蛍光フィルタ:420nm 露光時間:0.20S)。得られたベシクル組成物について、蛍光性のマーカーであるピレンの毛髪内部への浸透性を見ることで、ベシクル組成物(コレステロール)の毛髪内部への浸透性の評価とした。
図3の写真のうち、図3−1、図3−2、図3−3、図3−4は、それぞれ、本発明品5、比較品2(蛍光マーカー;ピレン非添加)、比較品3、比較品4の試料に浸漬した毛髪の断面図である。
図3の写真において、青白く光っている部分(白黒図面では白く見える部分)は、蛍光性マーカーであるピレンが存在していることを示している。
図3の写真より、ピレンを配合していない比較品2に浸漬した図3−2は殆ど何も見えず(毛髪断面の形状が分からず)、ピレンを炭化水素油に添加しただけの比較品3に浸漬した図3−3は、ぼんやりと毛髪断面の状態が分かる程度に青く(白黒図面では白く)見えるだけで、成分(A)の代わりに2長鎖の4級アルキルアンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を用いた比較品4に浸漬した図3−4は、比較品3に浸漬したものよりはやや青白さ(白黒図面では白さ)が強く毛髪断面の状態が分かるものの、然程違いがないことが分かる。
これに対し、本発明品5のベシクル組成物に浸漬した図3−1は、上記比較試験例に浸漬したものに比べ、毛髪断面全体が明らかに青白く(白黒図面では白く)、毛髪の中心部までよく光っている。
すなわち、成分(A)を用いて調製した本発明品5のベシクル組成物は、毛髪内部への浸透性が非常に高いことが分かる。
これは、成分(A)が、その親油基内に有するエステル結合により微視的な極性を有するため、ベシクル膜の膜流動性(ベシクル膜の変形性)に優れたものとなり、毛髪内部に浸透し易く、そのため高い浸透性が発揮されたものと考えられる。
また、上記で調製した本発明品5を毛髪中に浸透させ、毛髪中の結合水比率の定量を行った。その結果を図4に示す。この効果は、毛髪用化粧料(ヘアローション)の毛髪に対するしっとり感付与の効果に関連するものである。なお、測定には近赤外分光光度計「Spectrum400」(Perkin Elmer社製)を用い、被験サンプルとしては、同一人毛からなる毛束(約5g)を利用した。具体的には、以下の通りである。
本発明品5を毛束に塗布し、よく乾燥させて毛髪サンプルを得た。比較対照品として、同一人毛の毛束(約5g)に精製水を塗布し、良く乾燥させた参照用毛髪サンプルを得た。近赤外分光測定は、5350cm−1〜4950cm−1の範囲で行い、得られたスペクトルのピーク面積を、下記式1に適用することで、毛髪中の結合水比率を求めた。
式1
結合水比率(%)={ピーク面積1/(ピーク面積1+ピーク面積2)}×100
ピーク面積1(5150cm−1〜4950cm−1):強い結合水(毛髪から水分蒸散が起こりにくいことを意味する)
ピーク面積2(5350cm−1〜5150cm−1):弱い結合水(毛髪から水分蒸散が起こりやすいことを意味する)
(ベシクル組成物の経時安定性評価)
ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート(DEQ)1質量部を水99質量部に分散させて得られたベシクル試料1(即ち、DEQ/CL=10/0(モル比率))、DEQ、及びコレステロール(CL)とをモル比率7/3で予備混合し、そのうちの1質量部を水99質量部に分散させて得られたベシクル試料2(即ち、DEQ/CL=7/3(モル比率))、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(DSAC)1質量部を水99質量部に分散させて得られたベシクル試料3(即ち、DSAC/CL=10/0(モル比率))、並びにDSAC、及びCLとをモル比率7/3で予備混合し、そのうちの1質量部を水99質量部に分散させて得られたベシクル試料4(即ち、DSAC/CL=7/3(モル比率))をそれぞれ調製した。各試料の調製に用いた試薬は、実施例1で用いた試薬とそれぞれ同一である。
また各試料を偏光顕微鏡で観察し、初期においてはマルテローゼクロス像を確認し、即ち、ベシクルが形成されていることを確認した。
図5に示す結果から、本発明に係る成分(A)の一例であるジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート(DEQ)を含むベシクル組成物では、コレステロールを添加した試料2のほうが、コレステロールを添加していない試料1と比較して、ベシクル粒子の径が変動せず、経時安定性に優れていることが理解できる。
一方、図6に示す結果から、エステル結合を含まない長鎖アルキル基を有するジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(DSAC)を含むベシクル組成物では、コレステロールの添加により、試料4の経時安定性が顕著に低下したことが理解できる。
図7に示すDSC曲線から、ベシクル試料1において35℃から45℃付近で観察されたDEQのゲル−液晶転移に伴う吸熱ピーク(図中丸印で囲んだ部分)が、ベシクル試料2においては消失していることから、DEQとCLが分子レベルで相溶し、熱的に安定なゲル−液晶中間体が形成されたことが示される。
下記表に示す下記処方及び下記の製造方法により毛髪用化粧料を調製し、(イ)経時安定性、(ロ)毛髪へのなじみ、(ハ)毛髪への浸透感、(ニ)しっとり感の付与に関して下記の方法により評価した。その結果も併せて下記表に示す。
A:成分1〜5を100℃に加熱溶解する。
B:成分8を90℃に加熱する。
C:BにAを添加してホモミキサーにて混合攪拌する。
D:Cを室温まで冷却する。
E:Dに6、7を加え、毛髪用化粧料(ヘアローション)を得た。
(イ)経時安定性
上記実施例1と同じ方法により、経時安定性を判定(評価)した。
(ロ)毛髪へのなじみ
(ハ)毛髪内部への浸透感
(ニ)しっとり感の付与
専門パネル10名による使用テストを行い、(ロ)毛髪へのなじみ、(ハ)毛髪内部への浸透感、(ニ)しっとり感の付与について、それぞれ下記5段階評価基準にて絶対評価し、各試料ごとのパネル全員の評点からその平均値を算出し、それを更に下記4段階判定基準により判定した。
<5段階評価基準>
(評点) : (評価)
5点:非常に良好/非常に強く感じる
4点:良好/強く感じる
3点:普通/やや感じる
2点:やや不良/あまり感じない
1点:不良/感じない
<4段階判定基準>
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 4.5点を超える
○ : 3.5点を超え4.5点未満
△ : 1.5点を超え3.5点未満
× : 1.5点以下
一方、一般的な2長鎖の4級アルキルアンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を用いた比較品5、7は、成分(B)の代わりにステアリルアルコールを配合した比較品6も含め、いずれも経時安定性が悪く、毛髪内部への浸透感にも劣るものであった。
また、成分(B)の代わりに高級アルコールを用いた比較品4は、成分(A)を用いても、経時安定性、及び毛髪内部への浸透感が悪く、しっとり感に付与に劣るものであった。
(成分) (%)
1.ジパルミトイルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート
90%イソプロパノール溶液 *4 3
2.フィトステロール *5 0.36
3.1,2−ペンタンジオール 5
4.精製水 残量
*4:DEHYQUART AU56/G(コグニス社製 分子量:751)
*5:フィトステロール(エーザイ社製 平均分子量:409.4)
A:成分1〜3を100℃に加熱溶解する。
B:成分4を90℃に加熱する。
C:BにAを添加してホモミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却して、ベシクル組成物を得た。
尚、実施例6のベシクル組成物において、成分(A)と成分(B)のモル比(A)/(B)は(A)/(B)モル比は4であった。
(成分) (%)
1.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート
80%プロピレングリコール溶液 *1 3
2.コレステロール *3 0.75
3.オリーブ油 0.75
4.プロピレングリコール 5
5.精製水 残量
A:成分1、2、及び3を100℃に加熱溶解する。
B:成分5を90℃に加熱する。
C:BにAを添加してホモミキサーにて混合攪拌する。
D:Cを室温まで冷却してベシクル組成物を得る。
E:Dに成分4を添加して室温まで冷却する。
F:Eを容器に入れて毛髪用化粧料(ヘアミルク)を得た。
尚、実施例7の毛髪用化粧料(ヘアミルク)において、成分(A)と成分(B)のモル比(A)/(B)は1.8であった。
(成分) (%)
1.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート
80%プロピレングリコール溶液 *1 3
2.コレステロール *3 0.36
3.精製水 30
4.ジメチルポリシロキサン(100CS) 0.5
5.イソステアリン酸 0.54
6.プロピレングリコール 5
7.エチルアルコール 5
8.精製水 残量
9.香料 0.1
A:成分1、2、及び5を100℃に加熱溶解する。
B:成分3を90℃に加熱する。
C:BにAを添加してホモミキサーにて混合攪拌する。
D:Cを室温まで冷却しベシクル組成物を得る。
E:Dに成分4、6を加え均一に混合する。
F:Eに成分7〜9を加え均一に混合する。
G:Fを容器に充填して毛髪用化粧料(ヘアローション)を得た。
尚、実施例8の毛髪用化粧料において、成分(A)と成分(B)のモル比(A)/(B)は3.8であった。
(成分) (%)
1.本発明品1のベシクル組成物 90
2.精製水 4.6
3.グリセリン 5
4.ソルビトール 0.1
5.グリシン 0.1
6.海藻エキス 0.1
7.香料 0.1
A:成分1、2を室温にて均一に混合する。
B:Aに成分3〜6、及び7を加えて均一に混合する。
C:Bを容器に充填して毛髪用化粧料(ヘアエッセンス)を得た。
(成分) (%)
1.実施例6のベシクル組成物 1
2.加水分解コラーゲン溶液 0.3
3.精製水 残量
A:成分1〜3を室温にて均一に混合する。
B:Aをミスト容器に充填して毛髪用化粧料を得た。
(成分) (%)
1.本発明品4のベシクル組成物 0.5
2.L−テアニン 0.1
3.ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液) 5.0
4.精製水 残量
A:成分1〜4を室温にて均一に混合する。
B:Aを容器に充填してボディ用保湿化粧料を得た。
Claims (6)
- 次の成分(A)〜(C)、
(A) 下記の一般式(1)
(B) ステロール類
(C) 水
を含有することを特徴とするベシクル組成物。 - 成分(A)と成分(B)のモル比(A)/(B)が、100/1〜1/4の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載のベシクル組成物。
- 成分(B)がコレステロール及び/又はフィトステロールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のベシクル組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のベシクル組成物を配合することを特徴とする化粧料。
- 毛髪用であることを特徴とする請求項4に記載の化粧料。
- 更に成分(D)として一価の低級アルコールを配合することを特徴とする請求項4又は5に記載の化粧料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011518603A JP5774986B2 (ja) | 2009-06-12 | 2010-06-11 | ベシクル組成物及びそれを配合した化粧料 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009141711 | 2009-06-12 | ||
JP2009141711 | 2009-06-12 | ||
JP2011518603A JP5774986B2 (ja) | 2009-06-12 | 2010-06-11 | ベシクル組成物及びそれを配合した化粧料 |
PCT/JP2010/060323 WO2010143751A1 (ja) | 2009-06-12 | 2010-06-11 | ベシクル組成物及びそれを配合した化粧料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2010143751A1 true JPWO2010143751A1 (ja) | 2012-11-29 |
JP5774986B2 JP5774986B2 (ja) | 2015-09-09 |
Family
ID=43308999
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011518603A Active JP5774986B2 (ja) | 2009-06-12 | 2010-06-11 | ベシクル組成物及びそれを配合した化粧料 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5774986B2 (ja) |
KR (1) | KR101687432B1 (ja) |
CN (1) | CN102802598A (ja) |
TW (1) | TWI503129B (ja) |
WO (1) | WO2010143751A1 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101840037B1 (ko) * | 2010-10-29 | 2018-03-19 | 가부시키가이샤 코세 | 베시클 조성물, 그것을 함유하는 피부외용제 및 화장료 |
JP6284616B2 (ja) * | 2013-03-15 | 2018-02-28 | ハーキュリーズ・インコーポレーテッドHercules Incorporated | 沈着特性が改善されたパーソナルケア組成物を生成する組成物及び方法 |
JP6651223B2 (ja) * | 2015-03-27 | 2020-02-19 | 株式会社コーセー | ベシクル組成物およびそれを配合した毛髪化粧料 |
JP6419661B2 (ja) * | 2015-08-22 | 2018-11-07 | クローダジャパン株式会社 | 皮膚外用剤組成物および該皮膚外用剤組成物を含有する皮膚外用剤 |
KR20210018595A (ko) | 2019-08-06 | 2021-02-18 | 주식회사 잇츠한불 | 피부 침투력 및 보습력이 우수한 베시클 조성물 및 이를 포함하는 화장료 조성물 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE4402527A1 (de) * | 1994-01-28 | 1995-08-03 | Henkel Kgaa | Wäßrige Lösungen von Esterquats |
JPH10231230A (ja) * | 1997-02-19 | 1998-09-02 | Nippon Fine Chem Co Ltd | 化粧料 |
CA2309373A1 (en) * | 1999-05-27 | 2000-11-27 | Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc. | Novel topical formulations |
US20030053961A1 (en) * | 2001-07-13 | 2003-03-20 | Eccard Wayne Ellis | Mousse forming compositions comprising quaternary ammonium agents |
CN1527696A (zh) * | 2001-07-13 | 2004-09-08 | 宝洁公司 | 包含季铵试剂的形成摩丝的组合物 |
JP2006182743A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-13 | Kose Corp | ヘアコンディショニング組成物 |
JP2007015986A (ja) * | 2005-07-08 | 2007-01-25 | Nippon Fine Chem Co Ltd | 脂質分散組成物、及び、脂質水分散組成物、並びにそれらを配合してなる毛髪化粧料 |
TWI474836B (zh) * | 2007-04-17 | 2015-03-01 | Kao Corp | 毛髮化妝料 |
-
2010
- 2010-06-11 CN CN2010800256342A patent/CN102802598A/zh active Pending
- 2010-06-11 KR KR1020127000572A patent/KR101687432B1/ko active IP Right Grant
- 2010-06-11 TW TW099119345A patent/TWI503129B/zh active
- 2010-06-11 WO PCT/JP2010/060323 patent/WO2010143751A1/ja active Application Filing
- 2010-06-11 JP JP2011518603A patent/JP5774986B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
TWI503129B (zh) | 2015-10-11 |
KR20120039619A (ko) | 2012-04-25 |
WO2010143751A1 (ja) | 2010-12-16 |
KR101687432B1 (ko) | 2016-12-16 |
JP5774986B2 (ja) | 2015-09-09 |
CN102802598A (zh) | 2012-11-28 |
TW201113045A (en) | 2011-04-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5352116B2 (ja) | 水中油型乳化組成物及びその製造方法 | |
TW201505661A (zh) | 水中油型乳化皮膚化妝料 | |
JP5774986B2 (ja) | ベシクル組成物及びそれを配合した化粧料 | |
TW201733564A (zh) | 含有波紋相之組成物、α凝膠形成用組成物、以及使用該組成物的皮膚外用組成物及α凝膠組成物 | |
JP2006036763A (ja) | 水中油型乳化組成物 | |
JP2011256154A (ja) | 化粧料 | |
TWI516278B (zh) | 油中水型乳化化妝料 | |
JP2014101344A (ja) | 化粧料 | |
JP5112673B2 (ja) | セラミド含有組成物及びこれを配合する皮膚外用剤 | |
JP2014169266A (ja) | 水中油型化粧料 | |
JP5378694B2 (ja) | 粉体メークアップ化粧料 | |
TW200400834A (en) | External preparations for skin | |
TWI740882B (zh) | α膠形成用組成物及α膠組成物 | |
JP5483401B2 (ja) | 表面処理粉体 | |
JP2014210770A (ja) | 化粧料 | |
JP3682614B2 (ja) | 水性化粧料 | |
JP2008266274A (ja) | 水中油型化粧料 | |
TW200303761A (en) | Liquid cosmetics | |
JP3766017B2 (ja) | 粉末含有エマルション | |
JP2013129625A (ja) | 油中水型乳化剤形の皮膚外用剤 | |
JP2004051586A (ja) | 皮膚外用剤 | |
WO2019088056A1 (ja) | 水中油型乳化固形化粧料 | |
JP2013129624A (ja) | 水中油型乳化剤形の皮膚外用剤 | |
WO2024075548A1 (ja) | ゲル組成物及び水中油型組成物 | |
JP2010168338A (ja) | 水中油型化粧料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130408 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140624 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140822 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141104 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150609 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150702 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5774986 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |