JPWO2010131604A1 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

(メタ)アクリル酸の製造方法であって;冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給するとともに前記晶析器から冷熱媒を冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、冷凍機から温熱媒を前記晶析器に供給するとともに前記晶析器から温熱媒を冷凍機に返送し、前記結晶化物を融解する融解工程とを有し;結晶化工程と融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得て;冷凍機から排出される冷熱媒を温度T1に一定に保ち;冷凍機に返送される冷熱媒を温度T2に一定に保ち;単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、温度T2を調整する(メタ)アクリル酸の製造方法。

Description

本発明は、結晶化工程と融解工程とを有する(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。
従来、(メタ)アクリル酸を工業的に合成する方法として、(メタ)アクリル酸製造原料を接触気相酸化する方法が知られている。(メタ)アクリル酸製造原料が接触気相酸化して生成した(メタ)アクリル酸含有ガスは、例えば、液媒体で捕集され、粗(メタ)アクリル酸溶液として回収され、さらに、蒸留、放散、抽出や晶析等の方法により精製される。
特許文献1には、粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析により精製する方法が開示されている。粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析により精製する場合、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化するには冷却が必要であり、一方、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解して精製(メタ)アクリル酸を得るには加温が必要となる。しかし、特許文献1には、晶析の際の冷却方法や加温方法についての具体的な記載はない。
特許文献2には、粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析により精製する際、吸収式冷凍機で得られる冷水を結晶化工程で使用することが開示されている。しかし、特許文献2には、晶析の際に冷凍機を安定稼働させるための技術に関する記載はない。
特開2008−74759号公報 特開2007−277182号公報
粗(メタ)アクリル酸溶液を冷熱媒により冷却して(メタ)アクリル酸結晶化物を得る際、初期は晶析器から排出される冷熱媒の温度が高くなりやすいのに対し、結晶化が進行するに従い、晶析器から排出される冷熱媒の温度が低下する傾向がある。同様に、(メタ)アクリル酸結晶化物を温熱媒で加温して融解し精製(メタ)アクリル酸を得る際も、初期は晶析器から排出される温熱媒の温度が低くなりやすいのに対し、融解が進行するに従い、晶析器から排出される温熱媒の温度が上昇する傾向がある。従って、晶析器から排出された冷熱媒や温熱媒を冷凍機で温度調整し、再び晶析器に供給する場合、冷凍機に返送される冷熱媒や温熱媒の温度変動のため、冷凍機の冷却負荷や加温負荷が変動する。その結果、冷凍機の稼働が不安定になるおそれがある。
前記は、1回の結晶化工程内または融解工程内における冷凍機負荷の変動に関する説明であったが、結晶化工程や融解工程を繰り返し行う場合、複数の結晶化工程間または融解工程間においても、冷凍機負荷の変動が起こり得る。例えば、粗(メタ)アクリル酸溶液を結晶化および融解することにより精製(メタ)アクリル酸を得る場合、精製(メタ)アクリル酸の製造効率(単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量)によって、結晶化負荷や融解負荷が変動する。この場合も、冷凍機に返送される冷熱媒や温熱媒の温度が変動し、その結果、冷凍機の稼働が不安定になるおそれがある
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、結晶化工程および/または融解工程における負荷変動や、精製(メタ)アクリル酸の製造効率に関わらず、冷凍機を安定的に稼働できる(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することにある。
結晶化工程や融解工程における負荷が変動した場合や、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を変える場合、それに合わせて、冷凍機の運転条件を変更する対応が考えられる。しかし、1回の結晶化工程内または融解工程内における晶析器での負荷変動に合わせて、冷凍機の運転条件を適宜変更することは、冷凍機の運転が非常に複雑となり困難である。そこで、本発明においては、1回の結晶化工程内または融解工程内における晶析器での負荷変動に対しては、バッファータンクを設け、それにより冷凍機に返送する冷熱媒や温熱媒の温度の変動を緩和することが、有効であることが明らかになった。
複数の結晶化工程間または融解工程間における晶析器での負荷変動や、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量の変動に対しては、冷凍機に返送する冷熱媒や温熱媒の温度を調整することで、冷凍機を長期にわたり安定的に稼働できることが明らかになった。
すなわち、前記課題を解決することができた本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法とは、冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給するとともに前記晶析器から冷熱媒を前記冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、冷凍機から温熱媒を前記晶析器に供給するとともに前記晶析器から温熱媒を前記冷凍機に返送し、前記結晶化物を融解する融解工程とを有し;前記結晶化工程と前記融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得て;冷凍機から排出される冷熱媒を温度T1に一定に保ち;前記結晶化工程では、下記第1調整手段および/または下記第2調整手段により、冷凍機に返送される冷熱媒を温度T2に一定に保ち;単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、前記温度T2を調整することに特徴を有する。
第1調整手段:晶析器から冷凍機に返送する冷熱媒の少なくとも一部を第1バッファータンクの上部に供給し、前記第1バッファータンクの下部から冷熱媒を排出して冷凍機に返送する。
第2調整手段:冷凍機から晶析器に供給する冷熱媒および/または晶析器から冷凍機に返送する冷熱媒の少なくとも一部を前記第1バッファータンクの下部に供給し、前記第1バッファータンクの上部から冷熱媒を排出して冷凍機に返送する。
前記製造方法によれば、第1調整手段および/または第2調整手段により、結晶化工程における負荷変動や、精製(メタ)アクリル酸の製造効率に関わらず、冷凍機を安定的に稼働できる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給するとともに前記晶析器から冷熱媒を前記冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、冷凍機から温熱媒を前記晶析器に供給するとともに前記晶析器から温熱媒を前記冷凍機に返送し、前記結晶化物を融解する融解工程とを有し;前記結晶化工程と前記融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得て;冷凍機から排出される温熱媒を温度T3に一定に保ち;前記融解工程では、下記第3調整手段および/または下記第4調整手段により、冷凍機に返送される温熱媒を温度T4に一定に保ち;単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、前記温度T4を調整するものであってもよい。
第3調整手段:晶析器から冷凍機に返送する温熱媒の少なくとも一部を第2バッファータンクの下部に供給し、前記第2バッファータンクの上部から温熱媒を排出して冷凍機に返送する。
第4調整手段:冷凍機から晶析器に供給する温熱媒および/または晶析器から冷凍機に返送する温熱媒の少なくとも一部を前記第2バッファータンクの上部に供給し、前記第2バッファータンクの下部から温熱媒を排出して冷凍機に返送する。
前記製造方法によれば、第3調整手段および/または第4調整手段により、融解工程における負荷変動や、精製(メタ)アクリル酸の製造効率に関わらず、冷凍機を安定的に稼働できる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給するとともに前記晶析器から冷熱媒を前記冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、冷凍機から温熱媒を前記晶析器に供給するとともに前記晶析器から温熱媒を前記冷凍機に返送し、前記結晶化物を融解する融解工程とを有し;前記結晶化工程と前記融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得て;冷凍機から排出される冷熱媒を温度T1に一定に保ち;前記結晶化工程では、前記第1調整手段および/または前記第2調整手段により、冷凍機に返送される冷熱媒を温度T2に一定に保ち;冷凍機から排出される温熱媒を温度T3に一定に保ち;前記融解工程では、前記第3調整手段および/または前記第4調整手段により、冷凍機に返送される温熱媒を温度T4に一定に保ち;単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、前記温度T2およびT4を調整するものであってもよい。前記製造方法によれば、結晶化工程と融解工程における負荷変動や、精製(メタ)アクリル酸の製造効率に関わらず、冷凍機を安定的に稼働できる。
前記温度T1およびT3は、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に関わらず、不変であることが好ましい。前記構成により、得られる精製(メタ)アクリル酸の品質や収率が安定しやすくなる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、結晶化工程と融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより得られる精製(メタ)アクリル酸製造量を一定に保ち、精製(メタ)アクリル酸製造時間に応じて、前記温度T2およびT4を調整することが好ましい。前記構成により、得られる精製(メタ)アクリル酸の品質が安定しやすくなる。
本発明の製造方法は、グリセリンまたは2−メチルグリセリンを脱水し(メタ)アクロレインに転化する工程と、(メタ)アクロレインを酸化して(メタ)アクリル酸に転化し、粗(メタ)アクリル酸溶液を得る工程を含むものでもよい。また、本発明の製造方法は、ヒドロキシプロピオン酸または2−メチル−3−ヒドロキシプロピオン酸を脱水して(メタ)アクリル酸に転化し、粗(メタ)アクリル酸溶液を得る工程を含むものでもよい。本発明の製造方法で用いられる粗(メタ)アクリル酸は、このような工程により得られるものでもよい。
本発明はまた、本発明の製造方法により得られる(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合して親水性樹脂または吸水性樹脂を製造する方法も提供する。本発明の製造方法により得られる(メタ)アクリル酸を吸水性樹脂または水溶性樹脂等の親水性樹脂製造用の原料として用いた場合、重合反応の制御がしやすくなり、得られる親水性樹脂の品質が安定し、吸水性能、無機材料分散剤の各種性能が改善される。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法によれば、結晶化工程および/または融解工程における負荷変動や、精製(メタ)アクリル酸の製造効率に関わらず、冷凍機を安定的に稼働できる。
冷凍機と晶析器と第1バッファータンクと第2バッファータンクとそれらをつなぐ流路を表す。 冷凍機に返送する冷熱媒の温度が高い場合の第1バッファータンクの使用方法を表す。 冷凍機に返送する冷熱媒の温度が低い場合の第1バッファータンクの使用方法を表す。 冷凍機に返送する温熱媒の温度が低い場合の第2バッファータンクの使用方法を表す。 冷凍機に返送する温熱媒の温度が高い場合の第2バッファータンクの使用方法を表す。 冷凍機と2つの晶析器と2つのバッファータンクとそれらをつなぐ流路を表す。 図6の実施態様における各晶析器の運転方法を表す。 冷凍機と3つの晶析器と3つのバッファータンクとそれらをつなぐ流路を表す。 図8の実施態様における各晶析器の運転方法を表す。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、結晶化工程と融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得る(メタ)アクリル酸の製造方法である。
前記粗(メタ)アクリル酸溶液は、(メタ)アクリル酸とそれ以外の不純物を含む液体であれば特に限定されない。前記不純物としては、未反応の(メタ)アクリル酸製造原料、水、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、アセトン、アクロレイン、フルフラール、ホルムアルデヒド、凝集液媒体等が含まれる。粗(メタ)アクリル酸溶液は、(メタ)アクリル酸濃度が80質量%以上であることが好ましい。
結晶化工程では、冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給するとともに前記晶析器から冷熱媒を前記冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る。
融解工程では、冷凍機から温熱媒を前記晶析器に供給するとともに前記晶析器から温熱媒を前記冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸結晶化物を融解する。融解工程では、結晶化工程で得られた(メタ)アクリル酸結晶化物を融解し、(メタ)アクリル酸融解液が得られる。得られた(メタ)アクリル酸融解液は、再び結晶化工程に供してもよく、精製(メタ)アクリル酸としてもよい。融解工程では、(メタ)アクリル酸結晶化物が温熱媒により加温され、(メタ)アクリル酸融解液が得られる。
(メタ)アクリル酸結晶化物を加温して融解する際、得られる(メタ)アクリル酸融解液の純度を上げることを目的に、(メタ)アクリル酸結晶化物を部分的に融解し、結晶間や結晶表面に存在する不純物を洗い流す操作として発汗操作を行う場合があるが、本発明においては、当該操作も融解工程に含まれる。
本発明の製造方法において、結晶化工程と融解工程とを行う回数は、少なくとも1回ずつであればよく、得られる精製(メタ)アクリル酸の純度を高めたい場合は、結晶化工程と融解工程とを2回ずつ以上行うことが好ましい。
本発明の製造方法で用いられる冷凍機は、冷熱媒を冷却すると同時に、温熱媒を加温できるものであれば特に限定されず、吸収式冷凍機(アンモニア吸収式、水−臭化リチウム式等)、圧縮式冷凍機、吸着式冷凍機等を使用できる。
冷熱媒および温熱媒は、(メタ)アクリル酸を製造するに当たり、冷凍機と晶析器で液体状態を維持するものであれば特に限定されない。冷熱媒と温熱媒とは同一であっても異なっていてもよい。冷熱媒と温熱媒とが同一である場合、冷熱媒と温熱媒としては、エチレングリコール水溶液、グリセリン水溶液、メタノール水溶液等が示される。
結晶化工程では、冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化するとともに、前記晶析器から冷熱媒を排出し、前記冷凍機に返送する。冷凍機に返送された冷熱媒は、冷凍機で冷却され、再び晶析器に供給されることが好ましい。
冷凍機から排出される冷熱媒の温度は、(メタ)アクリル酸含有溶液の融点未満であれば特に限定されない。冷凍機から排出される冷熱媒の温度は、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは−5℃以下である。前記のように、冷凍機から排出される冷熱媒の温度の上限は、(メタ)アクリル酸含有溶液の融点未満であればよいが、結晶化に必要な冷熱媒の量が増えすぎたり、晶析器や冷熱媒配管等の大きさが大きくなりすぎないようにするためには、冷凍機から排出される冷熱媒の温度は0℃以下であることが好ましい。なお、冷凍機から排出される冷熱媒の温度の下限は特に限定されない。
前記説明は、冷凍機から排出される冷熱媒が1種類の場合についてであったが、冷凍機から排出される冷熱媒は、互いに異なる温度を有する2種類以上であってもよい。例えば、冷凍機から排出される冷熱媒が第1冷熱媒と、第1冷熱媒より低温の第2冷熱媒の2種類である場合、第1冷熱媒の温度は好ましくは0℃以下であり、第2冷熱媒の温度は好ましくは−10℃以下である。この場合、結晶化工程では、第1冷熱媒を晶析器に供給した後、第1冷熱媒より低温の第2冷熱媒を晶析器に供給することが好ましい。このように第1冷熱媒と第2冷熱媒を用いることにより、(メタ)アクリル酸結晶化物の純度を高めやすくなり、また冷凍機の消費エネルギーをより低減することができるようになる。
融解工程では、冷凍機から温熱媒を晶析器に供給し、(メタ)アクリル酸結晶化物を融解するとともに、前記晶析器から温熱媒を排出し、前記冷凍機に返送する。冷凍機に返送された温熱媒は、冷凍機で加温され、再び晶析器に供給されることが好ましい。
冷凍機から排出される温熱媒の温度は、(メタ)アクリル酸結晶化物の融点超であれば特に限定されない。冷凍機から排出される温熱媒の温度は、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは25℃以上であり、また45℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。前記のように、冷凍機から排出される温熱媒の温度の下限は、(メタ)アクリル酸結晶化物の融点超であればよいが、融解に必要な温熱媒の量が増えすぎたり、晶析器や温熱媒配管等の大きさが大きくなりすぎないようにするためには、冷凍機から排出される温熱媒の温度は20℃以上であることが好ましい。一方、冷凍機から排出される温熱媒の温度が45℃を超える場合は、晶析器において(メタ)アクリル酸の重合反応が起こり、操作の継続が困難となったり、得られる(メタ)アクリル酸の純度や収率が落ちるおそれがある。また、冷凍機での加温負荷が増え、高仕様の冷凍機が必要となったり、冷凍機の消費エネルギーが増大するおそれがある。そのため、冷凍機から排出される温熱媒の温度は45℃以下であることが好ましい。冷凍機から排出される温熱媒も、互いに異なる温度を有する2種類以上であってもよい。
本発明の製造方法では、冷凍機から排出される冷熱媒が温度T1に一定に保たれ、冷凍機から排出される温熱媒が温度T3に一定に保たれている。冷凍機から排出される冷熱媒または温熱媒の温度が一定に保たれていれば、晶析器での結晶化操作や融解操作が安定して行われやすくなる。また、後述するように冷凍機に返送される冷熱媒または温熱媒の温度が一定に保たれることと相まって、冷凍機の冷却または加温負荷が一定に保たれやすなり、その結果、冷凍機が安定稼働し、消費エネルギーを低減することができる。
冷凍機から排出される冷熱媒または温熱媒の流量は、冷凍機から排出される冷熱媒または温熱媒の温度、(メタ)アクリル酸含有溶液や(メタ)アクリル酸結晶化物の量や温度等に応じて、適宜設定される。冷凍機から排出される冷熱媒と温熱媒の流量は、一定に保たれていることが好ましい。冷凍機から排出される冷熱媒と温熱媒の流量が一定に保たれていれば、それらの温度が一定に保たれていることと相まって、晶析器での結晶化操作や融解操作が安定して行われやすくなる。
本発明の製造方法では、結晶化工程で用いられる冷凍機と融解工程で用いられる冷凍機とは、同一であっても異なっていてもよいが、同一である方が効率的に(メタ)アクリル酸を製造できる点で好ましい。
本発明の製造方法で用いられる晶析器は、(メタ)アクリル酸が晶析できるものであれば特に限定されない。結晶化工程では、晶析器には冷凍機から冷熱媒が供給され、その結果、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸が結晶化する。融解工程では、晶析器には冷凍機から温熱媒が供給され、その結果、(メタ)アクリル酸結晶化物が融解する。
本発明の製造方法で用いられる晶析器は、伝熱面を有しており、伝熱面での熱交換によって、(メタ)アクリル酸が結晶化するものであることが好ましい。この場合、晶析器は、内部が伝熱面により、冷熱媒または温熱媒が供給される部分(熱媒存在部)と、(メタ)アクリル酸含有溶液および/または(メタ)アクリル酸結晶化物が存在する部分(結晶化物存在部)とに区分されていることが好ましい。
晶析器が伝熱面を有するものである場合、結晶化工程では、(メタ)アクリル酸含有溶液から伝熱面上での熱交換によって(メタ)アクリル酸が結晶化し、融解工程で、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する。詳細には、結晶化工程では、晶析器に冷熱媒が供給されるとともに、晶析器に(メタ)アクリル酸含有溶液が供給され、伝熱面を介して冷熱媒により(メタ)アクリル酸含有溶液が冷却され、(メタ)アクリル酸が結晶化する。融解工程では、晶析器に温熱媒が供給され、結晶化した(メタ)アクリル酸それ自体が伝熱面を介して温熱媒により加温され、融解する。または、温熱媒により加温された(メタ)アクリル酸溶液によって、(メタ)アクリル酸結晶化物を融解してもよい。
伝熱面を有する晶析器としては、一般に熱交換器として用いられる装置を採用することができ、特に液体同士で熱交換を行う熱交換器として用いられる装置を採用することが好ましい。例えば、一枚のプレートが配置され、または複数枚のプレートが間隔を隔てて積層され、熱媒存在部と結晶化物存在部とがプレートを介して交互に配置されたプレート式熱交換器;複数本の管が容器内に配列され、管の内外で熱交換を行う多管式(シェル・アンド・チューブ式)熱交換器;外管の中に内管が配置され、内管の内外で熱交換を行う二重管式熱交換器;一本の管がコイル状に容器内に配置され、管の内外で熱交換を行うコイル式熱交換器;断面が二分された中心管に2枚の伝熱板を渦巻き状に巻き、2つの渦巻き状の流路が形成されたスパイラル式熱交換器等を採用することができる。なお、多管式熱交換器、二重管式熱交換器、コイル式熱交換器、スパイラル式熱交換器で用いられる管の断面形状は特に限定されない。
結晶化工程では、晶析器に供給された冷熱媒は、(メタ)アクリル酸含有溶液と熱交換され、(メタ)アクリル酸含有溶液から受熱することにより、加温される。結晶化工程では、一般に、結晶化工程の初期は冷熱媒の受熱量が多く、結晶化工程の終期では冷熱媒の受熱量が少なくなる。例えば、晶析器へ供給される冷熱媒の温度と流量が一定の場合、結晶化工程初期では晶析器から排出される冷熱媒の温度が高くなり、結晶化が進むにつれて晶析器から排出される冷熱媒の温度が低くなる。結晶化工程の初期と終期とでは、晶析器から排出される冷熱媒の温度は、条件により異なるものの、例えば、10℃以上の差が生じる。従って、晶析器から排出される冷熱媒をそのまま冷凍機に供給する場合、冷凍機に供給する冷熱媒の温度が大きく変動することとなり、冷凍機の冷却負荷が変動する。その結果、冷凍機の稼働が不安定になったり、冷凍機の消費エネルギーが増大したりする。
融解工程では、晶析器に供給された温熱媒は、(メタ)アクリル酸結晶化物と熱交換され、(メタ)アクリル酸結晶化物に放熱することにより、冷却される。融解工程では、一般に、融解工程の初期は温熱媒の放熱量が多く、融解工程の終期では温熱媒の放熱量が少なくなる。例えば、晶析器へ供給される温熱媒の温度と流量が一定の場合、融解工程初期では晶析器から排出される温熱媒の温度が低くなり、融解が進むにつれて晶析器から排出される温熱媒の温度が高くなる。融解工程の初期と終期とでは、晶析器から排出される温熱媒の温度は、条件により異なるものの、例えば、10℃以上の差が生じる。従って、晶析器から排出される温熱媒をそのまま冷凍機に供給する場合、冷凍機に供給する温熱媒の温度が大きく変動することとなり、冷凍機の加温負荷が変動する。その結果、冷凍機の稼働が不安定になったり、冷凍機の消費エネルギーが増大したりする。
そこで、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法では、晶析器から排出される冷熱媒または温熱媒の温度の変動に関わらず、冷凍機に供給する冷熱媒または/および温熱媒の温度の変動範囲を小さくするために、下記の第1調整手段および/もしくは第2調整手段、ならびに/または、第3調整手段および/もしくは第4調整手段を設けている。
結晶化工程では、第1バッファータンクを設け、第1調整手段および/または第2調整手段により、冷凍機に返送される冷熱媒を温度T2に一定に保つ。融解工程では、第2バッファータンクを設け、第3調整手段および/または第4調整手段により、冷凍機に返送される温熱媒を温度T4に一定に保つ。
本発明では、冷熱媒を貯めるバッファータンクを第1バッファータンクと称し、温熱媒を貯めるバッファータンクを第2バッファータンクと称する。また、第1バッファータンクと第2バッファータンクをまとめて、バッファータンクと称する。
バッファータンクは、上方開口と下方開口の2つの開口を有している。バッファータンクは、冷熱媒または温熱媒を貯留できるものであればよく、内部に特に構造物を有していなくてよい。
バッファータンクには、上方が高温で下方が低温となる高さ方向の温度勾配を有する冷熱媒または温熱媒が、所定量保持される。バッファータンクに保持される冷熱媒または温熱媒の量は、冷凍機から排出される冷熱媒や温熱媒の温度や量、冷凍機の能力、晶析器に供給される(メタ)アクリル酸含有溶液の温度や量、バッファータンクに保持される冷熱媒や温熱媒の温度等に基づき適宜決められる。
バッファータンクに、上方が高温で下方が低温となる高さ方向の温度勾配を有する冷熱媒または温熱媒が保持されるようにするためには、バッファータンクの上方開口から高温の冷熱媒または温熱媒を供給し、バッファータンクの下方開口から低温の冷熱媒または温熱媒を供給すればよく、そのようにすることにより、バッファータンク内に保持された冷熱媒または温熱媒に上下方向の温度勾配が自然に生じるようになる。
バッファータンクの形状は特に限定されないが、円柱や角柱等の略柱体が好ましい。バッファータンクの上方開口と下方開口との間の長さは、バッファータンクの最大断面長さの1倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましい。つまり、バッファータンクは、上方開口と下方開口との間の長さが少なくとも横幅以上であることが好ましく、このような形状とすることで、バッファータンク内に保持された冷熱媒または温熱媒が、高さ方向に温度勾配が生じやすくなる。
バッファータンクの最大断面長さとは、例えば、バッファータンクが円柱形状を有するものであれば、底面の円の直径となる。バッファータンクが四角柱形状を有するものであれば、底面の四角形の対角の長さがバッファータンクの最大断面長さとなる。バッファータンクが下部を除いた部分が柱体形状を有し、下部が下にすぼんだ錐体形状を有するものであれば、柱体形状部分の断面最大長さがバッファータンクの最大断面長さとなる。バッファータンクが高さ方向の中間付近が膨らんだ形状を有するものであれば、中間付近の最も膨らんだ部分での断面最大長さがバッファータンクの最大断面長さとなる。
バッファータンクの上方開口と下方開口は、上方開口が下方開口よりも上方に位置するように設けられる。このように各開口を設けることにより、上方開口位置以上の高さに水面が位置するようにバッファータンク内に冷熱媒または温熱媒が保持されるようになる。
上方開口や下方開口としては、例えば、バッファータンクの外面に開口を設けたり、バッファータンク内部に開口する管をバッファータンクに設ければよい。好ましくは、上方開口としては、バッファータンク内部で上方向に開口する管がバッファータンクに設けられる。また、下方開口としては、好ましくは、バッファータンクの底部に開口が設けられる。上方開口も下方開口も、バッファータンクの断面中央部分に開口が設けられることが好ましい。このように上方開口と下方開口を設けることにより、各開口から冷熱媒または温熱媒が流出入しても、バッファータンク内の冷熱媒または温熱媒の温度勾配が維持されやすくなる。
バッファータンクを、冷凍機と晶析器とに接続する方法の例を、図1を用いて説明する。図1では、冷凍機1と晶析器11とに、第1バッファータンク41と第2バッファータンク51とが接続している。なお、本発明の製造方法では、第1バッファータンク41と第2バッファータンク51の両方が、冷凍機1と晶析器11とに接続していなくてもよく、少なくとも第1バッファータンク41または第2バッファータンク51が冷凍機1と晶析器11とに接続していればよい。
冷凍機1は、冷熱媒を排出する冷熱媒供給口2と、冷熱媒源が返送される冷熱媒返送口3と、温熱媒を排出する温熱媒供給口6と、温熱媒源が返送される温熱媒返送口7とを有している。晶析器11は、熱媒が供給される熱媒存在部12と、(メタ)アクリル酸含有溶液および/または(メタ)アクリル酸結晶化物が存在する(メタ)アクリル酸存在部13とを有している。熱媒存在部12は入口14と出口15とを有し、(メタ)アクリル酸存在部13は入口16と出口17とを有している。
冷凍機1から排出される冷熱媒は、晶析器11に供給され、晶析器11内で(メタ)アクリル酸含有溶液と熱交換され、(メタ)アクリル酸結晶化物が得られる。その後、冷熱媒は晶析器11から排出され、冷凍機1に返送される。一方、冷凍機1から排出される温熱媒は、晶析器11に供給され、晶析器11内で(メタ)アクリル酸結晶化物と熱交換され、(メタ)アクリル酸融解液が得られる。その後、温熱媒は晶析器11から排出され、冷凍機1に返送される。
第1バッファータンク41は、上方開口42が、晶析器11の熱媒存在部12の出口15と、冷凍機1の冷熱媒返送口3とに連通している。また、第1バッファータンク41は、下方開口43が、冷凍機1の冷熱媒供給口2および/または晶析器11の熱媒存在部12の出口15、ならびに冷凍機1の冷熱媒返送口3とに連通している。
第2バッファータンク51は、上方開口52が、冷凍機1の温熱媒供給口6および/または晶析器11の熱媒存在部12の出口15、ならびに冷凍機1の温熱媒返送口7とに連通している。また、第2バッファータンク51は、下方開口53が、晶析器11の熱媒存在部12の出口15と冷凍機1の温熱媒返送口7とに連通とに連通している。
結晶化工程における第1バッファータンクの使い方、および第1調整手段、第2調整手段について、図2および図3を用いて説明する。
第1調整手段について、図2を用いて説明する。第1調整手段は、結晶化工程において、冷凍機に返送される冷熱媒の温度が高い場合に採用される。
例えば、結晶化工程初期では、晶析器11から排出される冷熱媒の温度が高くなりやすく、晶析器11から排出される冷熱媒をそのまま冷凍機1に返送すると、冷凍機1には高温の冷熱媒が返送されることとなる。この場合、バルブ等により流路76の流量を減らすことにより、晶析器11から冷凍機1に返送する冷熱媒の少なくとも一部を流路75を通して第1バッファータンク41の上部に供給する。第1バッファータンク41には、上方が高温で下方が低温の温度勾配を有する冷熱媒が所定量保持されているため、高温の冷熱媒が第1バッファータンク41の上方開口42から供給されると、第1バッファータンク41内の冷熱媒の温度勾配を維持するように、高温の冷熱媒が第1バッファータンク41の上方に貯められることとなる。一方、第1バッファータンク41の下方開口43からは、低温の冷熱媒が排出される。この際、第1バッファータンク41内の冷熱媒の量は一定に保たれることが好ましく、従って、第1バッファータンク41の下部から排出される冷熱媒の量は、上部に供給される冷熱媒の量と等しいことが好ましい。第1バッファータンク41の下部から排出された低温の冷熱媒は、それ単独で、または流路76を通って運ばれた晶析器11から排出された冷熱媒と合わさって、冷凍機1に返送される。また、第1バッファータンク41の下部から排出された低温の冷熱媒には、流路72を通って冷凍機1から排出された冷熱媒の一部が合わさってもよい。従って、冷凍機1には、晶析器11から排出された冷熱媒よりも低温に調整された冷熱媒が返送されることとなる。
第2調整手段について、図3を用いて説明する。第2調整手段は、結晶化工程において、冷凍機に返送される冷熱媒の温度が低い場合に採用される。
例えば、結晶化工程終期では、晶析器11から排出される冷熱媒の温度が低くなりやすく、晶析器11から排出される冷熱媒をそのまま冷凍機1に返送すると、冷凍機1には低温の冷熱媒が返送されることとなる。この場合、バルブ等により流路71の流量を減らし、その少なくとも一部を流路72に流すことにより、冷凍機1から晶析器11に供給する冷熱媒の少なくとも一部を第1バッファータンク41の下部に供給する。あるいは、流路73の流量を減らし、その少なくとも一部を流路74に流すことにより、晶析器11から冷凍機1に返送する冷熱媒の少なくとも一部を第1バッファータンク41の下部に供給する。第1バッファータンク41には、上方が高温で下方が低温の温度勾配を有する冷熱媒が所定量保持されているため、低温の冷熱媒が第1バッファータンク41の下方開口43から供給されると、第1バッファータンク41内の冷熱媒の温度勾配を維持するように、低温の冷熱媒が第1バッファータンク41の下方に貯められることとなる。一方、第1バッファータンク41の上方開口42からは、高温の冷熱媒が排出される。この際、第1バッファータンク41内の冷熱媒の量は一定に保たれることが好ましく、従って、第1バッファータンク41の上部から排出される冷熱媒の量は、下部に供給される冷熱媒の量と等しいことが好ましい。第1バッファータンク41の上部から排出された高温の冷熱媒は、それ単独で、または流路73を通って運ばれた晶析器11から排出された冷熱媒と合わさって、冷凍機1に返送される。従って、冷凍機1には、晶析器11から排出された冷熱媒よりも高温に調整された冷熱媒が返送されることとなる。なお、第1バッファータンク41の上部から排出された高温の冷熱媒には、流路72,77を通って冷凍機1から排出された冷熱媒の一部が合わさってもよい。
第2調整手段によれば、第1バッファータンク41の下部へ供給される冷熱媒は、冷凍機1から晶析器11に供給する冷熱媒の少なくとも一部、および/または、晶析器11から冷凍機1に返送する冷熱媒の少なくとも一部となるが、好ましくは、冷凍機1から晶析器11に供給する冷熱媒の少なくとも一部を第1バッファータンク41の下部へ供給する。冷凍機1から晶析器11に供給する冷熱媒は、晶析器11から冷凍機1に返送する冷熱媒よりも低温であるため、第1バッファータンク41の下方に貯められる冷熱媒の単位容量当たりの冷熱保持量がより増大し、効率的に低温の冷熱媒を貯めることができるようになる。また、晶析器11から冷凍機1に返送する冷熱媒は結晶化の進行度合により温度が変化するが、冷凍機1から晶析器11に供給する冷熱媒の温度はほぼ一定であるため、第1バッファータンク41の下方に貯められる冷熱媒の温度制御が容易となる。
結晶化工程では、冷凍機1に返送される冷熱媒の温度が、第1バッファータンク41を使用しなくても温度T2にある場合は、第1バッファータンク41が使われない状態があってもよい。すなわち、結晶化工程では、晶析器11から排出された冷熱媒を、第1バッファータンク41を介さずに、直接冷凍機1に返送する状態があってもよい。
以上説明したように、結晶化工程では、第1調整手段および/または第2調整手段により、結晶化工程における負荷変動に関わらず、冷凍機に返送される冷熱媒を温度T2に一定に保つことができるようになる。その結果、結晶化工程において、冷凍機の加温負荷が一定に保たれやすくなり、冷凍機が安定的に稼働し、消費エネルギーが低減されるようになる。
融解工程における第2バッファータンクの使い方、および第3調整手段、第4調整手段について、図4および図5を用いて説明する。
第3調整手段について、図4を用いて説明する。第3調整手段は、融解工程において、冷凍機に返送される温熱媒の温度が低い場合に採用される。
例えば、融解工程初期では、晶析器11から排出される温熱媒の温度が低くなりやすく、晶析器11から排出される温熱媒をそのまま冷凍機1に返送すると、冷凍機1には低温の温熱媒が返送されることとなる。この場合、バルブ等により流路85の流量を減らすことにより、晶析器11から冷凍機1に返送する温熱媒の少なくとも一部を流路86を通して第2バッファータンク51の下部に供給する。第2バッファータンク51には、上方が高温で下方が低温の温度勾配を有する温熱媒が所定量保持されているため、低温の温熱媒が第2バッファータンク51の下方開口53から供給されると、第2バッファータンク51内の温熱媒の温度勾配を維持するように、低温の温熱媒が第2バッファータンク51の下方に貯められることとなる。一方、第2バッファータンク51の上方開口52からは、高温の温熱媒が排出される。この際、第2バッファータンク51内の温熱媒の量は一定に保たれることが好ましく、従って、第2バッファータンク51の上部から排出される温熱媒の量は、下部に供給される温熱媒の量と等しいことが好ましい。第2バッファータンク51の上部から排出された高温の温熱媒は、それ単独で、または流路85を通って運ばれた晶析器11から排出された温熱媒と合わさって、冷凍機1に返送される。また、第2バッファータンク51の上部から排出された高温の温熱媒には、流路82を通って冷凍機1から排出された温熱媒の一部が合わさってもよい。従って、冷凍機1には、晶析器11から排出された温熱媒よりも高温に調整された温熱媒が返送されることとなる。
第4調整手段について、図5を用いて説明する。第4調整手段は、融解工程において、冷凍機に返送される温熱媒の温度が高い場合に採用される。
例えば、融解工程終期では、晶析器11から排出される温熱媒の温度が高くなりやすく、晶析器11から排出される温熱媒をそのまま冷凍機1に返送すると、冷凍機1には高温の温熱媒が返送されることとなる。この場合、バルブ等により流路81の流量を減らし、その少なくとも一部を流路82に流すことにより、冷凍機1から晶析器11に供給する温熱媒の少なくとも一部を第2バッファータンク51の上部に供給する。あるいは、流路84の流量を減らし、その少なくとも一部を流路83に流すことにより、晶析器11から冷凍機1に返送する温熱媒の少なくとも一部を第2バッファータンク51の上部に供給する。第2バッファータンク51には、下方が低温で上方が高温の温度勾配を有する温熱媒が所定量保持されているため、高温の温熱媒が第2バッファータンク51の上方開口52から供給されると、第2バッファータンク51内の温熱媒の温度勾配を維持するように、高温の温熱媒が第2バッファータンク51の上方に貯められることとなる。一方、第2バッファータンク51の下方開口53からは、低温の温熱媒が排出される。この際、第2バッファータンク51内の温熱媒の量は一定に保たれることが好ましく、従って、第2バッファータンク51の下部から排出される温熱媒の量は、上部に供給される温熱媒の量と等しいことが好ましい。第2バッファータンク51の下部から排出された低温の温熱媒は、それ単独で、または流路84を通って運ばれた晶析器11から排出された温熱媒と合わさって、冷凍機1に返送される。従って、冷凍機1には、晶析器11から排出された温熱媒よりも低温に調整された温熱媒が返送されることとなる。なお、第2バッファータンク51の下部から排出された低温の温熱媒には、流路82,87を通って冷凍機1から排出された温熱媒の一部が合わさってもよい。
第4調整手段によれば、第2バッファータンク51の上部へ供給される温熱媒は、冷凍機1から晶析器11に供給する温熱媒の少なくとも一部、および/または、晶析器11から冷凍機1に返送する温熱媒の少なくとも一部となるが、好ましくは、冷凍機1から晶析器11に供給する温熱媒の少なくとも一部を第2バッファータンク51の上部へ供給する。冷凍機1から晶析器11に供給する温熱媒は、晶析器11から冷凍機1に返送する温熱媒よりも高温であるため、第2バッファータンク51の上方に貯められる温熱媒の単位容量当たりの温熱保持量がより増大し、効率的に高温の温熱媒を貯めることができるようになる。また、晶析器11から冷凍機1に返送する温熱媒は融解の進行度合により温度が変化するが、冷凍機1から晶析器11に供給する温熱媒の温度はほぼ一定であるため、バッファータンク4の上方に貯められる温熱媒の温度制御が容易となる。
融解工程では、冷凍機1に返送される温熱媒の温度が、第2バッファータンク51を使用しなくても温度T4にある場合は、第2バッファータンク51が使われない状態があってもよい。すなわち、融解工程では、晶析器11から排出された温熱媒を、第2バッファータンク51を介さずに、直接冷凍機1に返送する状態があってもよい。
以上説明したように、融解工程では、第3調整手段および/または第4調整手段により、融解工程における負荷変動に関わらず、冷凍機に返送される温熱媒を温度T4に一定に保つことができるようになる。その結果、融解工程において、冷凍機の加温負荷が一定に保たれやすくなり、冷凍機が安定的に稼働し、消費エネルギーが低減されるようになる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法において、結晶化工程と融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得ることについて説明する。
図1において、晶析に供される粗(メタ)アクリル酸溶液は、粗(メタ)アクリル酸タンク10に一旦貯留される。晶析器11で晶析を開始する際、粗(メタ)アクリル酸溶液を、粗(メタ)アクリル酸タンク10から循環タンク18に移送する。
結晶化工程では、粗(メタ)アクリル酸溶液が、循環タンク18から晶析器11に供給され、冷熱媒により冷却され、(メタ)アクリル酸結晶化物が得られる。結晶化しなかった粗(メタ)アクリル酸溶液は、循環タンク18に返送するとともに、再び晶析器11に供給し、粗(メタ)アクリル酸溶液を循環タンク18と晶析器11との間を循環するようにしてもよい。結晶化工程で最終的に結晶化せずに残った粗(メタ)アクリル酸溶液は、流路19を通って、不純物として排出する。
融解工程では、晶析器11に生成した(メタ)アクリル酸結晶化物が、温熱媒により加温され、(メタ)アクリル酸融解液が得られる。なお、融解工程の初期に、(メタ)アクリル酸結晶化物を部分的に融解し、結晶間や結晶表面に存在する不純物を洗い流す発汗操作を行う場合、発汗操作により発生した融解液は、流路19を通して不純物として排出する。
結晶化工程と融解工程とを1回ずつ行う場合は、上記で得られた(メタ)アクリル酸融解液を、流路19を通して排出し、精製(メタ)アクリル酸として回収する。
結晶化工程と融解工程とを2回ずつ以上行う場合は、上記で得られた(メタ)アクリル酸融解液を循環タンク18に移送し、再び結晶化工程に供する。この場合も、(メタ)アクリル酸融解液を循環タンク18と晶析器11との間を循環させてもよい。結晶化工程で最終的に結晶化せずに残った(メタ)アクリル酸融解液は、流路19を通って、不純物として排出する。結晶化工程と融解工程とを2回ずつ以上順番に繰り返し行うことで得られた(メタ)アクリル酸融解液は、流路19を通して排出し、精製(メタ)アクリル酸として回収する。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、2つ以上の晶析器で、結晶化工程と融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得ることが好ましい。晶析器の数は、冷凍機から排出される熱媒の種類の数と同じであることが好ましく、各晶析器には互いに異なる熱媒が供給されることが好ましい。その結果、冷凍機から排出される冷熱媒と温熱媒とを、結晶化工程と融解工程との両方に、有効に使用することができるようになる。
例えば、図1では、冷凍機1から冷熱媒と温熱媒の2種類の熱媒が排出されているが、晶析器11で結晶化工程が行われている場合は、冷凍機か排出される温熱媒が利用されず、晶析器11で融解工程が行われている場合は、冷凍機か排出される冷熱媒が利用されない。従って、冷熱媒と温熱媒の保有熱が有効に活用されないでいる。
そこで、図1において晶析器を2つ設けた場合を図6に示した。図6では、晶析器として、第1晶析器11と第2晶析器21の2つを設けた。第1晶析器11は、第1熱媒存在部12と第1(メタ)アクリル酸存在部13とを有し、第1循環タンク18と循環流路を形成している。第2晶析器21は、第2熱媒存在部22と第2(メタ)アクリル酸存在部23とを有し、第2循環タンク28と循環流路を形成している。流路29は、流路19と同じ役割を果たす。粗(メタ)アクリル酸は、粗(メタ)アクリル酸タンク10から、第1循環タンク18と第2循環タンク28とに、間隔をおいて移送される。
冷凍機1から排出される冷熱媒と温熱媒は、流路61を通じて各々第2晶析器21と第1晶析器11に供給され、第2晶析器21から排出される冷熱媒と第1晶析器11から排出される温熱媒は、流路62を通じて冷凍機1に返送される。流路61,62には、各々、冷熱媒用の流路と温熱媒用の流路が設けられている。
図6に示した実施態様によれば、第1晶析器に冷熱媒が供給されて結晶化工程が行われる場合は、第2晶析器に温熱媒が供給されて融解工程が行われるようになる。また、第2晶析器で結晶化工程が行われる場合は、第1晶析器で融解工程が行われることとなる。従って、効率的に(メタ)アクリル酸が製造され、また冷凍機から排出される冷熱媒と温熱媒とが有効に活用される。
図7には、第1晶析器と第2晶析器で、結晶化工程と融解工程とを順番に繰り返し行い、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得る方法の例を模式的に示した。図7は横軸が時間の経過を表し、左から右に行くに従い、時間が経過することを表す。結晶化工程は「C」で表され、融解工程は「M」で表され、粗(メタ)アクリル酸溶液が供給される時点は「X」で表され、精製(メタ)アクリル酸が晶析器から排出される時点は「Y」で表されている。
各晶析器は、結晶化工程と融解工程とを3回ずつ順番に繰り返し行うことで、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得ている。2回目以降の結晶化工程に供される(メタ)アクリル酸含有溶液には、適宜、粗(メタ)アクリル酸溶液や、1回以上晶析した後に得られる(メタ)アクリル酸溶液、他の融解工程で不純物として排出された(メタ)アクリル酸融解液等を加え、各結晶化工程および各融解工程の負荷を調整することが好ましい。
各晶析器は、同時点においては、互いに異なる熱媒が供給され、互いに異なる工程が行われている。従って、第1晶析器と第2晶析器とで得られる精製(メタ)アクリル酸の品質をできるだけ均質にするためには、各結晶化工程と各融解工程とは、いずれも同じ長さの時間を有することが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法では、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、冷凍機に返送される冷熱媒の温度T2および/または温熱媒の温度T4を調整しているが、これについて、以下に説明する。
単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量とは、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得るに当たり、得られた精製(メタ)アクリル酸の質量を、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得るまでの時間(以下、「精製(メタ)アクリル酸製造時間」と称する場合がある)で割った値を意味する。図7においては、Yで排出された精製(メタ)アクリル酸の質量を、結晶化工程と融解工程とを3回ずつ順番に繰り返し行うのに要する時間で割った値となる。なお、前記は回分式で晶析する場合についての説明であったが、連続式で晶析する場合は、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量とは、例えば、1時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を意味する。
単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を変えるためには、例えば、結晶化工程において、(メタ)アクリル酸結晶化物を得た後に、冷凍機の稼働を一時的に止めることにより、精製(メタ)アクリル酸製造時間を長くする方法が考えられる。しかし、冷凍機の稼働を頻繁に止めたり動かしたりすることを繰り返すことは、冷凍機の稼働上好ましくない。
単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を変えるためには、例えば、結晶化工程において、(メタ)アクリル酸結晶化物を得た後に、無負荷状態(冷熱媒の場合、冷熱媒が晶析器で受熱しない状態)で冷熱媒を晶析器に通過させる時間を設けることにより、精製(メタ)アクリル酸製造時間を長くする方法も考えられる。しかしこの場合、無負荷状態で冷熱媒を晶析器に通過させる時間が短時間であれば、前記第2調整手段により冷凍機に返送する冷熱媒の温度を調整することができるが、それが長時間に及ぶと、第1バッファータンクに保持された高温の冷熱媒がなくなり、低温の冷熱媒が冷凍機に返送されることとなる。その結果、冷凍機の運転が極めて不安定になり、冷凍機が急に稼働停止するおそれがある。
そこで、本発明の製造方法では、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を変えるために、冷凍機に返送される冷熱媒の温度T2および/または温熱媒の温度T4を調整している。
結晶化工程において、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を減らす場合、つまり、単位時間当たりの(メタ)アクリル酸結晶化物の生成量を基準より減らす場合を想定する。この場合、結晶化工程の時間を基準より延ばすか、結晶化工程に供する(メタ)アクリル酸含有溶液の量を基準より減らす対応が考えられる。結晶化工程の時間を基準より延ばした場合、延ばした時間分だけ、無負荷状態で冷熱媒が晶析器を通過する時間が増える。結晶化工程に供する(メタ)アクリル酸含有溶液の量を基準より減らした場合、基準より早く(メタ)アクリル酸の結晶化が終了することとなり、その結果、無負荷状態で冷熱媒を晶析器に通過する時間が増える。つまり、いずれの対応でも、無負荷状態で冷熱媒を晶析器に通過させる時間が基準より増えることとなる。
無負荷状態で冷熱媒を晶析器に通過させる場合、前記第2調整手段により冷凍機に返送する冷熱媒の温度を調整することが必要となる。しかし、冷凍機に返送する冷熱媒の温度T2を基準から変えない場合、無負荷状態で冷熱媒を晶析器に通過させる時間が増えると、第2調整手段をより多く用いることが必要となり、その結果、第1バッファータンク内の低温の冷熱媒量が基準より増え、高温の冷熱媒量が基準より減る。この場合、やがて第1バッファータンク内の高温の冷熱媒がなくなる。
そこで、本発明の製造方法では、結晶化工程で単位時間当たりの(メタ)アクリル酸結晶化物の生成量を基準よりも減らす場合、冷凍機に返送する冷熱媒の温度T2の設定値を下げている。冷凍機に返送する冷熱媒の温度T2を下げると、第1バッファータンク内の高温の冷熱媒の消費量が減り、結果として、第1バッファータンク内の低温と高温の冷熱媒量を基準と同程度に維持することができる。
結晶化工程において、単位時間当たりの(メタ)アクリル酸結晶化物の生成量を基準よりも増やす場合は、前記とは逆に、基準よりも無負荷状態で冷熱媒を晶析器に通過させる時間が減る。従って、前記第2調整手段を基準よりも用いなくなり、その結果、第1バッファータンク内の低温の冷熱媒量が基準より減り、高温の冷熱媒量が基準より増える。
そこで、結晶化工程における単位時間当たりの(メタ)アクリル酸結晶化物の生成量を基準よりも増やす場合は、冷凍機に返送する冷熱媒の温度T2の設定値を上げるようにする。冷凍機に返送する冷熱媒の温度T2を上げると、第1バッファータンク内の高温の冷熱媒の消費量が増え、結果として、第1バッファータンク内の低温と高温の冷熱媒量を基準と同程度に維持することができる。
以上のように、結晶化工程においては、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量の低下により温度T2を下げ、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量の増加により温度T2を上げることにより、第1バッファータンク内の低温と高温の冷熱媒量を基準と同程度に維持することができ、長期にわたり第1バッファータンクを使用することができるようになる。その結果、長期にわたる冷凍機の安定運転が可能となる。
融解工程において、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を減らす場合、つまり、単位時間当たりの(メタ)アクリル酸融解液の生成量を基準よりも減らす場合を想定する。この場合、結晶化工程と同様、基準よりも無負荷状態(温熱媒の場合、温熱媒が晶析器で放熱しない状態)で温熱媒を晶析器に通過させる時間が増えることとなる。無負荷状態で温熱媒を晶析器に通過させる場合、前記第4調整手段により冷凍機に返送する温熱媒の温度を調整することが必要となる。しかし、冷凍機に返送する温熱媒の温度T4を基準から変えない場合、無負荷状態で温熱媒を晶析器に通過させる時間が増えると、第4調整手段をより多く用いることが必要となり、その結果、第2バッファータンク内の高温の温熱媒量が基準より増え、低温の温熱媒量が基準より減る。この場合、やがて第2バッファータンク内の低温の温熱媒がなくなる。
そこで、本発明の製造方法では、融解工程で単位時間当たりの(メタ)アクリル酸融解液の生成量を基準よりも減らす場合、冷凍機に返送する温熱媒の温度T4の設定値を上げている。冷凍機に返送する温熱媒の温度T4を上げると、第2バッファータンク内の低温の温熱媒の消費量が減り、結果として、第2バッファータンク内の低温と高温の温熱媒量を基準と同程度に維持することができる。
融解工程において、単位時間当たりの(メタ)アクリル酸融解液の生成量を基準よりも増やす場合は、前記とは逆に、基準よりも無負荷状態で温熱媒を晶析器に通過させる時間が減る。従って、前記第4調整手段を基準よりも用いなくなり、その結果、第2バッファータンク内の高温の温熱媒量が基準より減り、低温の温熱媒量が基準より増える。
そこで、結晶化工程における単位時間当たりの(メタ)アクリル酸融解液の生成量を基準よりも増やす場合は、冷凍機に返送する温熱媒の温度T4の設定値を下げるようにする。冷凍機に返送する温熱媒の温度T4を下げると、第2バッファータンク内の低温の温熱媒の消費量が増え、結果として、第2バッファータンク内の低温と高温の温熱媒量を基準と同程度に維持することができる。
以上のように、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量の低下により温度T4を上げ、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量の増加により温度T4を下げることにより、第2バッファータンク内の低温と高温の温熱媒量を基準と同程度に維持することができ、長期にわたり第2バッファータンクを使用することができるようになる。その結果、長期にわたる冷凍機の安定運転が可能となる。
単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて温度T2を調整する場合、粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析器に供給してから精製(メタ)アクリル酸を得るまでの結晶化工程内での温度T2の平均値が、所望程度調整されるようにすればよい。温度T2の平均値を調整することで、結晶化工程内で温度T2の多少の変動があったとしても、最終的に精製(メタ)アクリル酸が得られた時点では、第1バッファータンク内の低温と高温の冷熱媒量が適正に維持されるようになる。同様に、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて温度T4を調整する場合も、粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析器に供給してから精製(メタ)アクリル酸を得るまでの結晶化工程内での温度T4の平均値が、所望程度調整されるようにすればよい。
本発明の製造方法では、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を変えるためには、結晶化工程に供する(メタ)アクリル酸含有溶液の量を基準のまま保ち、各工程の時間を変化させることが好ましい。結晶化工程に供する(メタ)アクリル酸量を一定に保つことで、晶析運転条件を変えることなく運転できるため、得られる精製(メタ)アクリル酸が安定しやくなる。従って、本発明においては、精製(メタ)アクリル酸の製造量を一定に保ち、精製(メタ)アクリル酸製造時間に応じて、温度T2およびT4を調整することがより好ましい。つまり、結晶化工程においては、(メタ)アクリル酸結晶化物の生成量を一定に保ち、結晶化工程の時間に応じて温度T2を調整することが好ましく、融解工程においては、(メタ)アクリル酸融解液の生成量を一定に保ち、融解工程の時間に応じて温度T4を調整することが好ましい。
本発明の製造方法では、単位時間当たりの粗(メタ)アクリル酸溶液の供給量に応じて、温度T2および/またはT4を調整してもよい。単位時間当たりの粗(メタ)アクリル酸溶液の供給量とは、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得るに当たり、粗(メタ)アクリル酸溶液の晶析器への供給質量を、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得るまでの時間で割った値を意味する。図7においては、Xで供給された粗(メタ)アクリル酸溶液の質量を、結晶化工程と融解工程とを3回ずつ順番に繰り返し行うのに要する時間で割った値となる。また、この場合、粗(メタ)アクリル酸溶液の供給量を一定に保ち、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得るまでの時間を変化させることが好ましい。
単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、温度T2およびT4を調整する場合、その調整範囲は5℃以内が好ましく、4℃以内がより好ましく、3℃以内がさらに好ましい。温度T2およびT4の調整範囲を5℃以内とすれば、冷凍機にかかる冷却または加温負荷が適正範囲に収まり、冷凍機が安定的に稼働できるようになる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、冷熱媒が、第1冷熱媒と、第1冷熱媒より低温の第2冷熱媒とからなるものであってもよい。例えば、第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを排出する冷凍機を用い、これに3つの晶析器と3つのバッファータンクとを組み合わせて、(メタ)アクリル酸を製造してもよい。この場合、第1冷熱媒により(メタ)アクリル酸含有溶液を冷却し、結晶化工程の前半である第1結晶化工程を行い、第2冷熱媒により冷却された(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化し、結晶化工程の後半である第2結晶化工程が行われることとなる。このように第1冷熱媒と第2冷熱媒とを設けることにより、結晶化工程における省エネルギー化を図ることができる。なお、第1結晶化工程において、第1冷熱媒により粗(メタ)アクリル酸溶液を冷却することで、(メタ)アクリル酸が一部結晶化してもよい。これについて、図8を用いて説明する。
図8では、冷凍機91は、第1冷熱媒供給口92から第1冷熱媒を供給し、第1冷熱媒返送口93を通って第1冷熱媒が返送され、第2冷熱媒供給口94から第2冷熱媒を供給し、第2冷熱媒返送口95を通って第2冷熱媒が返送され、温熱媒供給口96から温熱媒を供給し、温熱媒返送口97を通って温熱媒が返送される。冷凍機から排出される第1冷熱媒は温度T11に一定に保たれ、冷凍機から排出される第2冷熱媒は温度T13に一定に保たれ、冷凍機から排出される温熱媒は温度T15に一定に保たれている。
晶析器としては、第1晶析器11と第2晶析器21と第3晶析器31の3つが設けられる。第1晶析器11と第2晶析器21については、前記説明と同様である。第3晶析器31は、第3熱媒存在部32と第3(メタ)アクリル酸存在部33とを有し、第3循環タンク38と循環流路を形成している。流路39は、流路19と同じ役割を果たす。粗(メタ)アクリル酸は、粗(メタ)アクリル酸タンク10から、第1循環タンク18と第2循環タンク28と第3循環タンク38とに、間隔をおいて移送される。
冷凍機91から排出される第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒は、流路61を通じて各晶析器11,21,31に供給され、流路62を通じて各晶析器11,21,31から冷凍機91に返送される。流路61,62には、各々、第1冷熱媒用の流路と第2冷熱媒用の流路と温熱媒用の流路が設けられている。
冷凍機91に返送される第1冷熱媒は、第1(1)バッファータンク41を用いた前記第1調整手段および/または第2調整手段により温度T12に一定に保たれる。冷凍機91に返送される第2冷熱媒は、第1(2)バッファータンク44を用いた前記第1調整手段および/または第2調整手段により温度T14に一定に保たれる。冷凍機91に返送される温熱媒は、第2バッファータンク51を用いた前記第3調整手段および/または第4調整手段により温度T16に一定に保たれる。
図8に示した実施態様によれば、例えば、第1晶析器に第1冷熱媒が供給されて第1結晶化工程が行われる場合は、第2晶析器に第2冷熱媒が供給されて第2結晶化工程が行われ、第3晶析器に温熱媒が供給されて融解工程が行われるようになる。この場合、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、冷凍機91から第1冷熱媒を第1晶析器11に供給するとともに第1晶析器11から第1冷熱媒を冷凍機91に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液を冷却する第1結晶化工程と;冷凍機91から第2冷熱媒を第2晶析器21に供給するとともに第2晶析器21から第2冷熱媒を冷凍機91に返送し、前記冷却した(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る第2結晶化工程と;冷凍機91から温熱媒を第3晶析器31に供給するとともに第3晶析器31から温熱媒を冷凍機91に返送し、前記結晶化物を融解する融解工程とを有する。
図9には、図8における実施態様において、各晶析器で行われる工程の経時変化の例を模式的に示した。図9は横軸が時間の経過を表し、左から右に行くに従い、時間が経過することを表す。第1結晶化工程は「C1」で表され、第2結晶化工程は「C2」で表され、融解工程は「M」で表され、粗(メタ)アクリル酸溶液が供給される時点は「X」で表され、精製(メタ)アクリル酸が晶析器から排出される時点は「Y」で表されている。各晶析器は、第1結晶化工程と第2結晶化工程と融解工程とを4回ずつ順番に繰り返し行うことで、粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得ている。各晶析器は、同時点においては、互いに異なる熱媒が供給され、互いに異なる工程が行われている。図9では、粗(メタ)アクリル酸溶液は、一定間隔でいずれかの晶析器に供給されるようにしている。
図8および図9に示した実施態様においては、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、冷凍機91に返送される第1冷熱媒の温度T22、第2冷熱媒の温度T24、および/または温熱媒の温度T24を調整している。単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量は、図9においては、Yで排出された精製(メタ)アクリル酸の質量を、第1結晶化工程と第2結晶化工程と融解工程とを4回ずつ順番に繰り返し行うのに要する時間で割った値となる。
図8および図9に示した実施態様においては、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を下げる場合、冷凍機91に返送する第1冷熱媒の温度T22および/または第2冷熱媒の温度T24を下げ、温熱媒の温度T26を上げればよい。単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量を上げる場合、冷凍機91に返送する第1冷熱媒の温度T22および/または第2冷熱媒の温度T24を上げ、温熱媒の温度T26を下げればよい。
図8および図9に示した実施態様によれば、効率的に(メタ)アクリル酸が製造され、得られる精製(メタ)アクリル酸の純度を高めやすくなる。また、冷凍機から排出される各熱媒が有効に活用されるようになる。また、温度T22、T24、およびT26を調整することで、長期にわたる冷凍機の安定運転が可能となる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、さらに、粗(メタ)アクリル酸溶液を得る工程を有することが好ましい。粗(メタ)アクリル酸溶液を得る工程は、(メタ)アクリル酸製造原料から接触気相酸化反応により(メタ)アクリル酸含有ガスを得る接触気相酸化反応工程と、前記(メタ)アクリル酸含有ガスを液媒体で捕集する捕集工程とを有していることが好ましい。さらに、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液の(メタ)アクリル酸含有率を上げることを目的に、前記捕集工程の後段に精製工程を設けてもよい。
接触気相酸化反応工程では、(メタ)アクリル酸製造原料としてプロパン、プロピレン、(メタ)アクロレイン、またはイソブチレン等を用い、これを分子状酸素により接触気相酸化させ、(メタ)アクリル酸含有ガスを得る。接触気相酸化反応は、従来公知の酸化触媒を用いて行うことが好ましい。
捕集工程では、前記接触気相酸化反応工程で得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを、捕集塔において液媒体で捕集し、(メタ)アクリル酸溶液を得る。前記液媒体としては、水、(メタ)アクリル酸含有水、または高沸点溶剤(ジフェニルエーテルやジフェニル等)等を用いることができる。本発明では、捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液を、粗(メタ)アクリル酸溶液として晶析工程に供してもよい。
また、捕集工程の後段に精製工程を設け、捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液を蒸留や放散等により精製して、晶析に供する粗(メタ)アクリル酸溶液を得てもよい。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、グリセリンまたは2−メチルグリセリンを脱水反応してまたは(メタ)アクロレインを製造した後更に気相酸化により製造された粗(メタ)アクリル酸を得る工程、または再生可能な資源であるバイオマスなどからヒドロキシプロピオン酸(以下、HPとも称する)または2−メチル−3−ヒドロキシプロピオン酸を得た後更にHPを脱水して粗(メタ)アクリル酸を得る工程を使用することも可能である。以下にグリセリンを脱水し更に酸化して粗アクリル酸を得る方法とHPを生成し更に脱水して粗アクリル酸を得る方法を示す。
アクロレインを製造する方法は、触媒の存在下においてグリセリンを脱水させてアクロレインを生成する方法であって、前記触媒としては、酸性質を有する固体触媒が挙げられる。酸性質を有する固体酸触媒としては、固体酸性を有する化合物であればよく、(a)結晶性メタロシリケート、(b)金属酸化物、(c)粘土鉱物、(d)鉱酸をα−アルミナやシリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機担体に担持したもの、(e)リン酸や硫酸の金属塩およびそれらをα−アルミナやシリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機担体に担持したもの、等が挙げられる。
(a)結晶性メタロシリケートとしては、Al、B、Fe、Ga等から選ばれる1種または2種以上の元素をT原子とし、その結晶構造としては、LTA、CHA、FER、MFI、MOR、BEA、MTW等が例示される。(b)金属酸化物としては、Al23、TiO2、ZrO2、SnO2、V25、などの単独金属酸化物以外に、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、TiO2−WO3、WO3−ZrO2等の複合酸化物が例示される。(c)粘土鉱物としては、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイトなどが例示される。(d)鉱酸を無機担体に担持したものとして、リン酸や硫酸をアルミナやシリカ、ジルコニアなどに担持したもの等が例示される。(e)リン酸や硫酸の塩としては、MgSO4、Al2(SO43、K2SO4、AlPO4、BPO4、Zr3(PO44等が例示される。
具体的には、国際公開WO2006/087083号公報およびWO2006/087084号公報に開示されている固体酸(リン酸、硫酸または酸化タングステンを担持している酸化ジルコニウムなど)を使用することも出来る。
これらの中で、脱水反応時や再生処理時において高温で、酸化や還元雰囲気に曝されることから、安定性の良い固体触媒が好ましい。具体的には、結晶性メタロシリケート、金属酸化物および粘土鉱物等が好適であり、結晶性メタロシリケートとしてはT原子がAlでMFI構造のHZSM5が、金属酸化物としては結晶性のリン酸塩化合物が好ましく、リン酸アルミニウムが特に好適である。
HZSM5の酸強度は、ハメットの酸強度関数H0で−9および−16付近にピークを持つ強酸性を示し(触媒 Vol.29 No.6 p406−409 1987 橋本健治 他)、またリン酸アルミニウムの酸強度については、調製方法や結晶系により異なるが、ハメットの酸強度関数H0で+1.5〜+4.8と弱い固体酸性を示すことが知られている(日本化学会誌 1995 (9) p681〜688 坂本清子 他)。
アクロレインの製造方法は、例えば、固定床反応器、流動床反応器、移動床反応器などから任意に選択された反応器内で、グリセリンガスを含有する反応ガスと触媒とを接触させる気相脱水反応により、アクロレインを生成するものである。なお、グリセリンガスを含有する反応ガスと触媒とを接触させる気相脱水反応に限定されるものではなく、グリセリン溶液と触媒とを接触させる液相脱水反応を適用することも可能である。後者の場合、液相脱水反応は、固定床と蒸留塔を組み合わせた方法、攪拌槽と蒸留塔を組み合わせた方法、一段式の攪拌槽を用いる方法、多段式の攪拌槽を用いる方法、多段式の蒸留塔を用いる方法、および、これらを組み合わせた方法など、従来公知の様々な方法で実施することができる。これらの方法は、バッチ式または連続式のいずれでもあってもよいが、通常は連続式で実施される。
以下では、アクロレインの工業的生産性に優れた気相脱水反応を利用するアクロレインの製造方法を例に挙げて説明する。
反応ガスは、グリセリンのみで構成されるガスであっても、反応ガス中のグリセリン濃度を調整するために、グリセリンの脱水反応に不活性なガスを含有していてもよい。不活性ガスとしては、例えば、水蒸気、窒素ガス、二酸化炭素ガス、空気などが挙げられる。反応ガス中におけるグリセリン濃度は、通常は0.1〜100モル%、好ましくは1モル%以上であり、アクロレインの製造を経済的かつ高効率に行うために、より好ましくは5モル%以上である。
触媒は、アクロレイン選択率が高いグリセリン脱水用触媒を用いることが好ましく、このような触媒を用いれば、反応ガスの流量を大きく設定してもアクロレインを高収率で得ることができる。反応ガスの流量は、触媒の単位容積あたりのガス空間速度(GHSV)で表すと、通常は50〜20000hr-1、好ましくは10000hr-1以下であり、アクロレインの製造を経済的かつ高効率で行うために、より好ましくは4000hr-1以下である。
反応温度は、通常は200〜500℃、好ましくは250〜450℃、より好ましくは300〜400℃である。
反応ガスの圧力は、グリセリンが凝縮しない範囲の圧力であれば、特に限定されるものではないが、通常は0.001〜1MPaであるとよく、好ましくは0.01〜0.5MPa、より好ましくは0.3MPa以下である。
グリセリンの脱水反応を連続的に行うと、触媒の表面に炭素状物質が付着して触媒の活性が低下することがある。特に、アクロレイン選択率が低下し、プロピオンアルデヒド選択率が上昇する。このような場合には、触媒と再生用ガスとを高温で接触させる再生処理を行えば、触媒の表面に付着した炭素状物質を除去して触媒の活性を復活させることができる。再生用ガスとしては、例えば、酸素、酸素を含有する空気などの酸化性ガスが挙げられる。再生用ガスには、必要に応じて、窒素、二酸化炭素、水蒸気などの再生処理に不活性なガスを含有させてもよい。触媒と酸素との接触により、急激な発熱が懸念される場合には、その急激な発熱を抑制するためにも、不活性ガスを再生用ガスに含有させることが推奨される。再生処理の温度は、触媒を熱劣化させることなく、炭素状物質を除去できる温度であれば、特に限定されるものではないが、触媒製造の際の焼成温度以下であることが好ましい。
グリセリンの脱水反応により得られた粗製アクロレインは、副生成物を含んでいる。そこで、得られた粗製アクロレインを精製することが好ましい。副生成物としては、プロピオンアルデヒド以外に、例えば、フェノール、1−ヒドロキシアセトン、アリルアルコールなどが挙げられる。粗製アクロレインを精製する際には、主として、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去する。これらの副生成物を除去することにより、アクロレインからアクリル酸を製造する際におけるアクリル酸の収率が向上する。特に、1−ヒドロキシアセトンを除去すれば、酢酸の発生量を減らすことができる。
アクリル酸の収率が向上することを考慮すれば、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンの除去量を多くすることが好ましいと考えられる。そこで、精製後のアクロレイン(A)とフェノール(Ph)との質量比Ph/A、および、精製後のアクロレイン(A)と1−ヒドロキシアセトン(H)との質量比H/Aは、いずれも、好ましくは0.020以下、より好ましくは0.010以下、さらに好ましくは0.005以下である。しかし、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンの除去量を多くすれば、アクロレインの損失が増大することやアクロレインの精製が煩雑になることがある。このことを考慮すれば、質量比Ph/Aおよび質量比H/Aは、好ましくは1×10-9以上、より好ましくは1×10-7以上、さらに好ましくは1×10-5以上である。
アクロレイン、フェノールおよび1−ヒドロキシアセトンの沸点は、それぞれ、約53℃、約182℃および約146℃である。この沸点差を利用すれば、粗製アクロレインからフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去することができる。その方法としては、例えば、液状の粗製アクロレインを蒸留塔で処理して除去目的物よりも低沸点のアクロレインを分留する方法、ガス状の粗製アクロレインを凝集塔で処理してアクロレインよりも高沸点の除去目的物を凝集する方法、蒸散塔内に導入した粗製アクロレインにガスを吹き込んで除去目的物よりも低沸点のアクロレインを気化させる方法などが挙げられる。
また、アクロレイン、フェノールおよび1−ヒドロキシアセトンの融点は、それぞれ、約−87℃、約43℃および約−17℃である。この融点差を利用すれば、粗製アクロレインからフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去することができる。その方法としては、例えば、粗製アクロレインを冷却してフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンの析出物を除去する方法などが挙げられる。
なお、プロピオンアルデヒドについては、その沸点が約48℃、融点が約−81℃であり、アクロレインとの沸点差または融点差を利用して、粗製アクロレインから除去することも可能であるが、アクロレインとの沸点差および融点差がいずれも小さいので、アクロレインの損失が多くなることがある。それゆえ、脱水反応で生じたプロピオンアルデヒドについては、アクロレインから除去せずに、アクリル酸の原料であるアクロレインに同伴させて使用する方が好ましい。
本発明においてバイオディーゼル由来のグリセリンを原料に用いた場合、得られた粗製アクロレインは、精製することなくアクリル酸の製造に用いてもよいが、副生成物として、フェノール、1−ヒドロキシアセトン、メトキシアセトン、3−メトキシプロパナールなどを含んでおり、これらの副生成物が触媒活性の低下や収率の低下を引き起こす原因や、アクリル酸中に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、3−メトキシプロピオン酸などの副生成物が含まれる原因となるので、精製してから用いてもよい。精製を行う場合は、従来公知の方法により行うことができ、反応組成物の凝集液や捕集溶剤を用いて得られた捕集液を蒸留方法や、特開2008−115103号公報記載の捕集塔および放散塔を備えた精製器を用いる方法が例示される。粗製アクロレインを精製しない場合は、後工程でアクリル酸を精製することにより、アクリル酸中の不純物を除去すればよい。工程を簡略化し、製造コストを低減できる点で、粗製アクロレインを精製しないで用いることが好ましい。
上記のようなアクロレインの製造方法により得られたアクロレインを酸化することによりアクリル酸を製造することが可能である。アクリル酸を製造するには、アクロレインを含有するガス(以下では「アクロレイン含有ガス」ということがある。)と、アクロレインを酸化するための触媒(以下では「アクロレイン酸化用触媒」ということがある。)とを、固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器などから任意に選択された酸化反応器内に共存させ、温度200〜400℃で、アクロレインを気相酸化することが好ましい。なお、アクロレインの酸化に伴って、プロピオンアルデヒドからプロピオン酸が生成する場合がある。
アクロレイン酸化用触媒としては、分子状酸素または分子状酸素含有ガスを用いたアクロレインの接触気相酸化によりアクリル酸を製造する場合に用いられる従来公知のアクロレイン酸化用触媒であれば、特に限定されるものではないが、例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化銅などの金属酸化物の混合物や複合酸化物などが挙げられる。これらの触媒のうち、モリブデンおよびバナジウムを主成分とするモリブデン−バナジウム系触媒が特に好適である。また、アクロレイン酸化用触媒は、上記のような金属酸化物の混合物や複合酸化物が担体(例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどの無機酸化物や複合酸化物、炭化ケイ素などの無機物)に担持された担持型の触媒であってもよい。
アクリル酸の製造に用いられるアクロレイン含有ガスに対する酸素の添加量は、酸素が多すぎると、アクロレインの燃焼が生じて爆発の危険を伴うおそれがあるので、その上限値を適宜設定する必要がある。
アクロレインの気相酸化反応により、粗製アクリル酸を含有するガス状物が得られる。捕集工程では、このガス状物を冷却凝縮や溶剤捕集などにより液化して粗アクリル酸溶液を得ることができる。この粗アクリル酸溶液は本発明の晶析工程に供することができる。
次に再生可能な資源であるバイオマスなどを利用して、アクリル酸を製造する方法を示す。バイオマスからアクリル酸への直接的経路は存在しないが、天然物であり容易に入手可能な乳酸(以下、2−ヒドロキシプロピオン酸、2HPとも称す)やセルロース等を分解して得られる糖類をさらに発酵して調製される3−ヒドロキシプロピオン酸(以下、3HPとも称す)等のヒドロキシカルボン酸を脱水することにより、比較的容易にアクリル酸を調製できる。ヒドロキシカルボン酸の塩を脱水してもアクリル酸を得ることができる。
ヒドロキシカルボン酸および/またはその塩は種々の源から得ることができ、好適には地球温暖化及び環境保護の観点から、炭素源としてリサイクル可能な生物由来資源を用いるのが良く、天然物から入手した2−ヒドロキシプロピオン酸や、セルロース等を分解して得られる糖類をさらに発酵により調製された2−ヒドロキシプロピオン酸または3−ヒドロキシプロピオン酸を用いることができる。
2−ヒドロキシプロピオン酸水溶液は、公知の方法により入手可能であり、例えば、Advances in Applied Microbiology 42巻 p45−95(1996)記載の乳酸菌を用いた発酵や、Enzyme and Microbial Technology 26巻 p87−107(2000)に記載されているカビ(Rhizopus oryzae)を用いた発酵により得ることが可能である。
3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液もまた、公知の方法で入手可能であり、例えば国際公開第2008/027742号に記載されている、Streptomyces griseus ATCC21897由来beta−alanine aminotransferase遺伝子導入大腸菌を用いた、グリセリンを炭素源とした発酵により得ることができる。また、国際公開第2001/016346号に記載されている、Klebsiella pneumoniae由来グリセリン脱水酵素および大腸菌由来アルデヒド酸化酵素導入大腸菌を用いた、グルコースを炭素源とした発酵によっても得ることができる。3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液の入手方法の例として上記公知文献を記載したが、これらの方法を用いる限り、発酵に用いる細菌または組換え細菌は特に限定されず、3−ヒドロキシプロピオン酸生成能を有する生物を用いた、種々の炭素源を利用した発酵により入手した3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液であれば本発明の方法で利用可能である。また、発酵以外にも原料とする糖類と生物とを接触させることで生成した3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液でも本発明の方法でアクリル酸へ変換することができる。糖類と生物を接触させるとは、原料として利用する糖類の存在下で微生物又はその処理物を用いて反応を行うことをも包含する。該処理物としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体、菌死体、凍結乾燥菌体、菌体破砕物、菌体を破砕した無細胞抽出物、これらから酵素を抽出した粗酵素液、精製酵素等が挙げられる。また、常法により担体に固定化した菌体、該処理物、酵素等を用いて反応を行うことにより入手した3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液も用いることができる。
ヒドロキシプロピオン酸を脱水して粗アクリル酸を得る方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、特表2005−521718号公報に記載の方法は、発酵などにより得られた2,3−ヒドロキシカルボン酸(2HPと3HP)又はその塩を含む水溶液または溶液を準備し、その溶液を脱水触媒の存在または非存在の下で加熱することにより脱水を施し不飽和カルボン又はその塩を製造する方法である。国際公開第2005/095320号公報に記載の方法は、2,3−ヒドロキシカルボン酸を含む水溶液を不活性なセラミック等や酸又は塩基の固体触媒を保持したところへ導入して加熱することにより2,3−不飽和カルボン酸を調製する方法である。国際公開第2007/106100号公報に記載の方法は、3ヒドロキシカルボニル化合物を含む物質を実質的に液体で反応器に導入し、反応器中で転化して2,3−不飽和カルボン酸化合物を含む反応生成物を得る方法である。この場合、反応器中では酸触媒、塩基触媒等が用いられている。
このようにして得られたアクリル酸は、粗製アクリル酸を含有する液状物またはガス状物として得られる。液状物はそのまま粗アクリル酸溶液として本発明に用いることができる。ガス状物は、捕集工程で冷却凝縮や溶剤捕集などにより液化することにより、粗アクリル酸溶液とすることができ、この粗アクリル酸溶液は本発明の晶析工程に使用することができる。
本発明方法で製造される(メタ)アクリル酸は、品質が安定していることから、吸水性樹脂や水溶性樹脂などの親水性樹脂を製造するための単量体として用いた場合、重合反応の制御がしやすくなり、ひいては親水性樹脂の品質が安定し、吸収性能や無機材料分散性などの各種性能が改善される。特に本発明方法で製造されるアクリル酸は、品質が安定しており重合反応の制御がしやすいので、吸水性能が高く高品質の吸水性樹脂を製造するための原料として非常に有用である。また、発酵により得たヒドロキシプロピオン酸および発酵により得たヒドロキシプロピオン酸を脱水して得た粗アクリル酸にはアクリル酸以外の不純物(有機酸等)が含まれているため、本発明に係る晶析操作により粗アクリル酸精製を行うことは、純度の高いアクリル酸を得るために非常に有効である。
以下、本発明の吸水性樹脂に関する定義、並びに製造するための好適な態様を説明する。
(1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。なお、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸水倍率)が通常5g/g以上であることをいい、また、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExt(水可溶分)が通常0〜50質量%であることをいう。
上記吸水性樹脂は、その用途に応じて適宜設計可能であり、特に限定されるものではないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、全量(100質量%)が重合体である形態に限定されず、上記性能を維持する範囲内において、添加剤等を含んでもよい。
本発明においては、任意にグラフト成分を含み、繰り返し単位としてアクリル酸および/またはその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を主成分とする吸水性樹脂を意味する。具体的には、重合に用いられる総単量体(架橋剤を除く)のうち、アクリル酸(塩)を通常50〜100モル%含む重合体をいい、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは実質100モル%含む吸水性樹脂をいう。
(2)「EDANA」および「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recomeded Test Method)の略称である。なお、本発明においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
(a)「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称することもある)を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対する30分間の自由膨潤後さらに遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)である。
本発明で得られる吸水性樹脂のCRCは20〜100g/gが好ましく、25〜50g/gがより好ましく、27〜45g/gがさらに好ましい。
(b)「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対する1時間、2.06kPaでの荷重下膨潤後の吸水倍率(単位;g/g)であるが、本発明においては、1時間、4.83kPa荷重下での吸水倍率(単位;g/g)とする。
本発明で得られる吸水性樹脂のAAPは20〜30g/gが好ましく、22〜30g/gがより好ましい。
(c)「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200gに対して、吸水性樹脂1gを500rpmで16時間攪拌した後、溶解したポリマー量をpH滴定で測定した値(単位;質量%)である。本発明で得られる吸水性樹脂のExtは0〜30g/gが好ましく、0〜20g/gがより好ましいとされる。
(d)「FSC」(ERT440.2−02)
「FSC」は、Free Swell Capacityの略称であり、自由膨潤倍率を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に吸水性樹脂0.20gを30分浸漬した後、遠心分離機で水切りを行わないで測定した吸水倍率(単位;g/g)である。
(e)「Residual Monomers」(ERT410.2−02)
「Residual Monomers(RM)」とは、吸水性樹脂中に残存しているモノマー量を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200cm3に吸水性樹脂1.0gを投入し500rpmで1時間攪拌後、該水溶液に溶出したモノマー量を高速液体クロマトグラフィーで測定した値(単位;ppm)である。本発明で得られる吸水性樹脂のRMは1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。
(f)「PSD」(ERT420.2−02)
「PSD」とは、Particle Size Disributionの略称であり、ふるい分級により測定される粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径(D50)および粒子径分布幅は欧州公告特許第0349240号明細書7頁25〜43行に記載された「(1) Average Particle Diameter and Distribution of Particle Diameter」と同様の方法で測定する。
(3)「通液性」
荷重下または無荷重下における膨潤ゲルの粒子間を流れる液の流れを「通液性」という。この「通液性」の代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity)や、GBP(Gel Bed Permeability)がある。
「SFC(生理食塩水流れ誘導性)」は、荷重0.3psiにおける吸水性樹脂に対する0.69質量%生理食塩水の通液性をいう。米国特許第5669894号明細書に記載されたSFC試験方法に準じて測定される。単位は(cm3・s・10-7/g)である。
「GBP」は、荷重下または自由膨張における吸水性樹脂に対する0.69質量%生理食塩水の通液性をいう。国際公開第2005/016393号パンフレットに記載されたGBP試験方法に準じて測定される。
本発明で得られる吸水性樹脂のSFCは1以上が好ましく、5以上がより好ましい。
(4)製造するための好適な態様
本発明方法で製造されるアクリル酸および/またはその塩を単量体の主成分とし、アクリル酸および/またはその塩に対して0.01モル%以上、5モル%以下程度の架橋剤と、0.001モル%以上、2モル%以下程度のラジカル重合開始剤を用いて架橋重合させ、乾燥および粉砕することにより吸水性樹脂が得られる。
吸水性樹脂の生産性向上の点で好ましい製造方法は、例えば、米国特許第6867269号公報、米国特許第6906159号公報、米国特許第7091253号公報、国際公開第01/038402号パンフレット、国際公開第2006/034806号パンフレットに記載されている。
本発明方法で得られるアクリル酸の重合方法としては、特に限定されないが、連続ベルト重合(米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/215734号等に開示)、連続ニーダー重合、バッチニーダー重合(米国特許第6987151号、同第6710141号等に開示)が好ましく適応される。
前記で得られた重合物は、米国特許第4920202号、同5264495号、同5275773号、同6207796号、同6164455号、同6207796号、同6291636号、同6875511号等に開示する製造方法により、好ましくは粒子状の吸水性樹脂とされる。
さらに、吸水性樹脂の目的や用途に応じて、特に衛生材料に使用する場合は、吸水性樹脂を表面架橋することが好ましい。具体的な態様としては、欧州特許第0349240号、同第0605150号、同第0450923号、同第0812873号、同第0450924号、同第0668080号、日本国特開平7−242709号、同平7−224304号、米国特許第5409771号、同第5597873号、同第5385983号、同第5610220号、同第5633316号、同第5674633号、同第5462972号、国際公開第99/42494号、同第99/43720号、同第99/42496号等に開示される製造方法が好ましい。
なお、上記公報は、参照により、本明細書に組み入れられる。
[実施例]
図6に示すような晶析システムを用いて、粗アクリル酸溶液から精製アクリル酸を製造した。晶析器としては、伝熱面を有し、前記伝熱面により内部が熱媒存在部とアクリル酸存在部とに区分された晶析器を用いた。冷凍機としては吸収式冷凍機を用い、冷凍機から排出される冷熱媒の温度T1を−25.0℃に保ち、冷凍機から排出される温熱媒の温度T3を40.0℃に保った。
晶析器には、粗アクリル酸溶液を1器当たり33.8t供給し、3回ずつ結晶化工程と融解工程とを繰り返すことにより、精製アクリル酸を1器当たり16.9tで得た。従って単位時間当たりの精製アクリル酸製造量は7.5t/時であった。また、結晶化工程、融解工程のそれぞれの運転時間は47分であった。
結晶化工程では、第1バッファータンクを用い、冷凍機に返送される冷熱媒の温度T2を−14.9℃に制御した。冷凍機に返送された冷熱媒は、冷凍機で−25.0℃まで冷却された後、冷凍機から排出された。このとき、冷凍機の冷熱媒冷凍能力は4800kWであった。融解工程では、第2バッファータンクを用い、冷凍機に返送される温熱媒の温度T4を31.0℃に制御した。冷凍機に返送された温熱媒は、冷凍機で40.0℃まで加温された後、冷凍機から排出された。このとき、冷凍機の温熱媒冷凍能力は−4400kWであった。なお、冷凍機能力とは「単位時間に物体から奪う熱の量」を表す。従って冷却側の能力は“+”の値となり、加温側の能力は“−”の値となる。
次いで、単位時間当たりの精製アクリル酸製造量を7.5t/時から6.0t/時に減らすために、晶析器に1回に供給する粗アクリル酸含有溶液量を保ちつつ、結晶化工程、融解工程のそれぞれの運転時間を59分に延長した。このとき、冷凍機に返送される冷熱媒の温度T2を−16.9℃に下げて調整し、冷凍機に返送される温熱媒の温度T4を32.9℃に上げて調整した。なお、冷凍機から排出される冷熱媒の温度T1は−25.0℃に保ち、冷凍機から排出される温熱媒の温度T3は40.0℃に保った。このとき、冷凍機の冷熱媒冷凍能力は3800kWであり、温熱媒冷凍能力は−3500kWであった。単位時間当たりの精製アクリル酸製造量を変えても、冷凍機を安定して稼働することができ、精製アクリル酸を適切に製造することができた。
[比較例]
前記と同様にして精製アクリル酸を7.5t/時で得た。この際、結晶化工程では、第1バッファータンクを用い、冷凍機に返送される冷熱媒の温度T2を−14.9℃に制御し、冷凍機に返送される温熱媒の温度T4を31.0℃に制御した。
次いで、単位時間当たりの精製アクリル酸製造量を7.5t/時から6.0t/時に減らすために、晶析器に1回に供給する粗アクリル酸含有溶液量を保ちつつ、結晶化工程、融解工程のそれぞれの運転時間を59分に延長した。しかし、このとき、冷凍機に返送される冷熱媒の温度T2は−14.9℃を維持し、冷凍機に返送される温熱媒の温度T4は31.0℃に維持した。また、冷凍機から排出される冷熱媒の温度T1も−25.0℃を維持し、冷凍機から排出される温熱媒の温度T3も40.0℃を維持した。
単位時間当たりの精製アクリル酸製造量を減らして以降、冷熱媒については、第2調整手段をより多く用いなくてはならなくなり、第1バッファータンクに保持された高温の冷熱媒量が減少していった。温熱媒については、第4調整手段をより多く用いなくてはならなくなり、第2バッファータンクに保持された低温の冷熱媒量が減少していった。やがて、第1バッファータンクに保持されていた高温の冷熱媒がなくなり、第2バッファータンクに保持されていた低温の温熱媒がなくなったため、冷凍機の運転が不安定となり、稼働を停止した。
この状態でしばらく晶析器の運転を継続すると、第1バッファータンク内の高温の冷熱媒量が増え、第2バッファータンク内の低温の温熱媒量が増えたため、冷凍機を再び稼働させた。単位時間当たりの精製アクリル酸製造量を6.0t/時に減らして以降、冷凍機の停止および再稼働を繰り返しながら晶析器の運転を継続しなくてはならなかった。そのため、冷凍機運転コストが上がり、精製アクリル酸の単位質量当たりの製造コストが増加した。
本発明は、結晶化工程と融解工程とを有する(メタ)アクリル酸の製造方法に用いることができる。
1,91: 冷凍機
2,92,94: 冷熱媒供給口
3,93,95: 冷熱媒返送口
6,96: 温熱媒供給口
7,97: 温熱媒返送口
11: 第1晶析器
21: 第2晶析器
31: 第3晶析器
41,44: 第1バッファータンク
51: 第2バッファータンク

Claims (10)

  1. (メタ)アクリル酸の製造方法であって;
    冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給するとともに前記晶析器から冷熱媒を前記冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、冷凍機から温熱媒を前記晶析器に供給するとともに前記晶析器から温熱媒を前記冷凍機に返送し、前記結晶化物を融解する融解工程とを有し;
    前記結晶化工程と前記融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得て;
    冷凍機から排出される冷熱媒を温度T1に一定に保ち;
    前記結晶化工程では、下記第1調整手段および/または下記第2調整手段により、冷凍機に返送される冷熱媒を温度T2に一定に保ち;
    単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、前記温度T2を調整することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
    第1調整手段:晶析器から冷凍機に返送する冷熱媒の少なくとも一部を第1バッファータンクの上部に供給し、前記第1バッファータンクの下部から冷熱媒を排出して冷凍機に返送する。
    第2調整手段:冷凍機から晶析器に供給する冷熱媒および/または晶析器から冷凍機に返送する冷熱媒の少なくとも一部を前記第1バッファータンクの下部に供給し、前記第1バッファータンクの上部から冷熱媒を排出して冷凍機に返送する。
  2. (メタ)アクリル酸の製造方法であって;
    冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給するとともに前記晶析器から冷熱媒を前記冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、冷凍機から温熱媒を前記晶析器に供給するとともに前記晶析器から温熱媒を前記冷凍機に返送し、前記結晶化物を融解する融解工程とを有し;
    前記結晶化工程と前記融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得て;
    冷凍機から排出される温熱媒を温度T3に一定に保ち;
    前記融解工程では、下記第3調整手段および/または下記第4調整手段により、冷凍機に返送される温熱媒を温度T4に一定に保ち;
    単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、前記温度T4を調整することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
    第3調整手段:晶析器から冷凍機に返送する温熱媒の少なくとも一部を第2バッファータンクの下部に供給し、前記第2バッファータンクの上部から温熱媒を排出して冷凍機に返送する。
    第4調整手段:冷凍機から晶析器に供給する温熱媒および/または晶析器から冷凍機に返送する温熱媒の少なくとも一部を前記第2バッファータンクの上部に供給し、前記第2バッファータンクの下部から温熱媒を排出して冷凍機に返送する。
  3. (メタ)アクリル酸の製造方法であって;
    冷凍機から冷熱媒を晶析器に供給するとともに前記晶析器から冷熱媒を前記冷凍機に返送し、(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、冷凍機から温熱媒を前記晶析器に供給するとともに前記晶析器から温熱媒を前記冷凍機に返送し、前記結晶化物を融解する融解工程とを有し;
    前記結晶化工程と前記融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより粗(メタ)アクリル酸溶液から精製(メタ)アクリル酸を得て;
    冷凍機から排出される冷熱媒を温度T1に一定に保ち;
    前記結晶化工程では、下記第1調整手段および/または下記第2調整手段により、冷凍機に返送される冷熱媒を温度T2に一定に保ち;
    冷凍機から排出される温熱媒を温度T3に一定に保ち;
    前記融解工程では、下記第3調整手段および/または下記第4調整手段により、冷凍機に返送される温熱媒を温度T4に一定に保ち;
    単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に応じて、前記温度T2およびT4を調整することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
    第1調整手段:晶析器から冷凍機に返送する冷熱媒の少なくとも一部を第1バッファータンクの上部に供給し、前記第1バッファータンクの下部から冷熱媒を排出して冷凍機に返送する。
    第2調整手段:冷凍機から晶析器に供給する冷熱媒および/または晶析器から冷凍機に返送する冷熱媒の少なくとも一部を前記第1バッファータンクの下部に供給し、前記第1バッファータンクの上部から冷熱媒を排出して冷凍機に返送する。
    第3調整手段:晶析器から冷凍機に返送する温熱媒の少なくとも一部を第2バッファータンクの下部に供給し、前記第2バッファータンクの上部から温熱媒を排出して冷凍機に返送する。
    第4調整手段:冷凍機から晶析器に供給する温熱媒および/または晶析器から冷凍機に返送する温熱媒の少なくとも一部を前記第2バッファータンクの上部に供給し、前記第2バッファータンクの下部から温熱媒を排出して冷凍機に返送する。
  4. 前記温度T1およびT3は、単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量に関わらず、不変である請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  5. 単位時間当たりの精製(メタ)アクリル酸製造量の低下により、前記温度T2を下げるとともに前記T4を上げる請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  6. 前記結晶化工程と前記融解工程とを少なくとも1回ずつ行うことにより得られる精製(メタ)アクリル酸製造量を一定に保ち、
    精製(メタ)アクリル酸製造時間に応じて、前記温度T2およびT4を調整する請求項1〜5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  7. グリセリンまたは2−メチルグリセリンを脱水し(メタ)アクロレインに転化する工程と、
    (メタ)アクロレインを酸化して(メタ)アクリル酸に転化し、粗(メタ)アクリル酸溶液を得る工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  8. ヒドロキシプロピオン酸または2−メチル−3−ヒドロキシプロピオン酸を脱水して(メタ)アクリル酸に転化し、粗(メタ)アクリル酸溶液を得る工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法により得られる(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合する工程を含むことを特徴とする親水性樹脂の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法により得られる(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合する工程を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
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