JP3214322B2 - 反応温度の調節方法 - Google Patents

反応温度の調節方法

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JP3214322B2 JP31797295A JP31797295A JP3214322B2 JP 3214322 B2 JP3214322 B2 JP 3214322B2 JP 31797295 A JP31797295 A JP 31797295A JP 31797295 A JP31797295 A JP 31797295A JP 3214322 B2 JP3214322 B2 JP 3214322B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発熱反応を行う反
応器の反応温度の調節方法に関するものであり、特に冷
媒の冷却能力を効率的に活用することができる反応温度
の調節方法に関するものである。また、本発明は特に塩
化ビニル系重合体の懸濁重合法において、効率的な反応
温度の調節方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発熱反応を行う反応器の冷却方式として
は、1)ジャケット式、2)コイル式、3)還流凝縮器式、4)
外部循環冷却器式、の一種またはその二種以上の組み合
わせたものを用いるのが通例である。この内、ジャケッ
ト式やコイル式のような反応器に付設した冷却装置を用
いる方法は、いわゆる熱交換器を用いる方法に比べて簡
便で、一次的な冷却方式として多用されている。
【0003】このような反応器のジャケットやコイル等
(以下まとめて「ジャケット等」と記す)を用いて、そ
の加熱及び/又は冷却用の熱媒体の流路に冷却用の熱媒
体(以下「冷媒」という)を通じることにより、反応時
に発生する熱を必要に応じ冷却・除去し、反応温度を調
節するためには、少なくとも発生する熱量に見合う冷却
能力が必要である。
【0004】中でも、発熱を伴う回分反応は、発熱量が
反応の進行に伴って変動するため、反応温度を安定に制
御するためには、発熱ピークに対応可能な、十分な冷却
能力を備えておく必要があるとされている。しかし、ジ
ャケット等を備えた反応器において広く使用されている
冷水塔(クーリングタワー)で冷却された水を冷媒に用
いる冷却システムは、冷媒の温度が比較的高く、また季
節やその日の気温等によりその温度が変動するため、特
に冷却能力の余裕を多く取っておく必要があり、従って
突発的な温度の変動を常に見込んだ条件で運転すること
となるため、その能力を十分には利用できないという問
題があった。
【0005】冷却温度の変動が少ない冷却システムとし
ては、冷凍機等により強制的に冷却された冷媒を使用す
る方法が一般的である。しかし、この方法でも上述の発
熱ピークに対応できるだけの能力の冷凍設備を準備して
おかなければならず、定常運転時に要するよりもはるか
に大きな能力の装置が必要となり設備費用が嵩む他、冷
凍機等の運転のためには電力等のエネルギーが必要であ
るので、全ての冷却をこの方法を用いて行うのは、決し
て経済的とは言えない。
【0006】また、例えば塩化ビニル単量体もしくは塩
化ビニル単量体とこれと共重合可能な単量体との混合物
(以下まとめて「塩化ビニル系単量体」と記す)の回分
式重合反応における発熱量(即ち冷却に要する負荷)
は、反応の初期、中期、及び末期においては、それぞれ
大きく異なっているのが一般的である。そのため、低温
の冷媒のみを用いる方法では、その流量を反応の進行に
応じて大きく変化させる必要が生じるが、あまり流量を
小さくし過ぎると伝熱係数が低下して冷媒の流量の低下
分以上に冷却効率が低下してしまい、これに対応するた
め冷媒流量を増加させると、過冷却となって反応器の内
温が低下する結果となり、反応制御が難しくなる恐れが
ある。また、バッチ反応のように冷却に要する負荷の変
動が大きい場合には冷媒の急激な温度変化を防ぐため大
容量のバッファータンクを持つ必要があり、設備費用も
大きくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発熱
反応において冷媒の冷却能力の効率のよい利用方法を提
供すること、特に冷却負荷の時間的変動が大きい発熱を
伴う回分反応において、エネルギー効率が良く、反応制
御性に優れ、かつ高い生産性が得られるような反応温度
の調節方法を提供すること、中でも、塩化ビニル系単量
体の水性媒体中における回分式重合反応の反応温度の効
果的な調節方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
塩化ビニル系単量体の回分式重合反応を行なう反応器の
加熱及び/又は冷却用の熱媒体の流路に冷却用の熱媒体
(以下「冷媒」と記す)を通じることによって反応温度
を調節するにあたり、前記流路を複数に分割するととも
に、冷媒として互いに温度の異なる二つ以上の冷媒(以
下、温度のより高い方の冷媒を「冷媒H」と、より低い
方の冷媒を「冷媒L」と記す)を使用して、反応温度を
所定の範囲内に維持するのに必要な除熱量が冷媒Hの冷
却能力以下の場合は冷媒Hのみを使用し、また冷媒Hの
冷却能力を超える場合は冷媒Lを冷媒の流路の一部又は
全部に供給することにより、塩化ビニル系単量体の回分
式重合反応時の発熱状況に対応して反応器の冷却を行う
ことを特徴とする反応温度の調節方法、に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
なお、説明においては、温度の異なる冷媒として二つの
冷媒を用いる場合を例にとり、温度のより高い方の冷媒
を「冷媒H」、温度がより低い方の冷媒を「冷媒L」と
して説明するが、三つ以上の冷媒を用いる場合も、相互
の温度を比較して同様に考えればよい。
【0010】本発明方法において使用される冷媒として
は、特に限定されることはなく、一般的に使用されてい
る冷媒を用いることができ、例えば、水、塩化カルシウ
ム水溶液、エチレングリコール(水溶液を含む)、メタ
ノール、エタノール、フレオン、及びケロシン等が使用
されるが、中でも取扱い上の安全性が優れ熱容量が大き
い水を少なくとも一方の冷媒として用いるのが好まし
い。
【0011】本発明方法において、冷媒を得るための冷
却方法は、前述の通り冷水塔による方法や冷凍機を用い
る方法、あるいはより低温の媒体との熱交換による方法
などが例示できる。特に、冷水塔を用いる方法は冷媒H
を得るために、また冷凍機を用いる方法は冷媒Lを得る
ために好適である。本発明方法において反応器の加熱及
び/又は冷却のための熱媒体の流路の形式としては、ジ
ャケット形式、コイル形式、温調エレメント形式などが
挙げられるが、特にジャケット形式や温調エレメント形
式のものが本発明方法の適用に好適である。
【0012】ジャケット形式としては、一般に用いられ
ている外部ジャケット形式の他、内部ジャケット形式
や、半割パイプジャケットなどが用いられる。コイル形
式としては、蛇管コイル、ヘヤピンコイル、プレートコ
イル等のものが用いられる。また、温調エレメント形式
とは、内板の外面に直角に仕切板を間隔を置いて並設
し、この仕切板の先端間に外ストリップを跨設し、前記
内板と外ストリップとの間に仕切板により仕切られた熱
媒体の流路を有する流路壁(温調エレメント)を形成
し、これを反応器の内側に固定した形式及びその類似形
式のことである。
【0013】このようなジャケット等の冷媒の流路を複
数に分割するためには、次のような方法が用いられる。
即ち、ジャケット形式や温調エレメント形式においては
適宜流路を区分する仕切板を挿入し、かつそれぞれの流
路に応じた冷媒の出入口ノズルを設けることにより行う
ことができ、また、コイル形式の場合は、上記同様の内
部が区分された流路を持つコイルを使用したり、複数個
のコイルを用いたりすること等により行うことができ
る。
【0014】中でも、温調エレメント形式の反応器は伝
熱効率に優れるだけでなく、反応器の底部鏡板に相当す
る部分までエレメントが設置できて効率が高い冷却が可
能であり、本発明の効果を十分に発揮することができ、
好適である。冷媒の流路の分割数は、反応器の大きさに
もよるが、複数であれば特に限定されることはなく、例
えば2〜20本程度の分割流路とするのが一般的であ
る。
【0015】本発明方法において、上記の二つ(以上)
の冷媒を用い、複数の冷媒の分割流路をもつ反応器を冷
却するに当たっては、反応温度を所定の範囲内に保つた
めに必要な除熱量(以下「所要除熱量」という)が冷媒
Hによる除熱可能量(即ち、冷媒Hの冷却能力)以下の
場合は全ての分割流路に冷媒Hのみを供給するか、ある
いは、冷媒L、冷媒Hの流路が予め区分されている場合
は、冷媒Lを最低流量とするか、もしくは冷媒Lを全く
流すことなく、冷媒Hの流量を調整して反応温度を制御
する。また所要除熱量が冷媒Hによる除熱可能量を越え
る場合は分割流路の一部または全部に冷媒Lを供給し、
その流量により反応温度を調整する。
【0016】反応温度の調節は冷媒の流量の制御によっ
て行うことができるが、冷媒Hと冷媒Lとを併用する場
合は、冷媒Hの流量を最大流量としておくのが、その冷
却能力を効果的に活用することとなり経済的に有利であ
る。また、反応の実施に要する冷却能力が予め推定でき
る場合や、多数の分割流路を有している場合などでは、
反応当初から一部の分割流路に冷媒Lを供給しておいて
もよい。
【0017】本発明方法に使用できる分割流路を有する
反応器と冷凍機及び冷水塔を備えたシステムの一例を図
1に示し、従来の分割流路を持たない反応器と冷水塔の
みを備えたシステムの一例を図2に示す。図1のシステ
ムを用いて本発明方法を回分反応に適用する場合の具体
的態様の例を以下に説明する。
【0018】反応初期などのように発熱が少なく、従っ
て所要除熱量があまり多くない場合や、冬期のように冷
水塔3で得られる冷媒Hの温度が低い場合は、分割流路
2A、2Bの両方に冷媒Hを供給しその流量を調節して
反応器を冷却するか又は冷媒L、冷媒Hの流路を区分し
た場合は、前述のように冷媒Lを最低流量または全く流
さなくした状態で、冷媒Hの流量を調節して反応温度を
制御する。
【0019】反応が進んで発熱量が多くなり、所要除熱
量が増大した場合や、夏期のように冷媒Hの温度が比較
的高く、冷却能力が低い場合は、分割流路2A,2Bの
両方に供給する冷媒Hの流量を最大として(冷媒Hの冷
却能力の全てを使用して)も、所要除熱量に満たなくな
る可能性がある。この時は分割流路のいずれか一方に冷
媒Lを供給して他の流路を流れる冷媒Hの流量を最大と
したまま、冷媒Lの流量によって反応温度を調節する。
【0020】更に反応末期などの発熱量がピークに達す
る場合や、夏期の日中などのように冷媒Hの温度が高く
なる場合等、上記の方法により冷却しても冷却能力が不
足する場合には、すべての分割流路に冷媒Lを供給して
反応器を冷却する。なお、分割流路の数が多いほど、こ
の調節を緻密に行うことができるが、分割流路ごとに冷
媒を供給する配管やこれに付随する制御装置が必要とな
り、設備もそのための費用も多くかかることとなるの
で、通常は前記のように2〜20本程度の流路に分割し
ておくのがよい。
【0021】このように、所要除熱量と冷媒Hの冷却能
力に応じて、分割流路に供給する冷媒を選択することに
より反応温度を調節するようにすれば、冷媒Hの冷却能
力を十分に活用して、冷媒Lを得るために必要なエネル
ギーを必要最低限とすることができる。即ち、冷媒Hの
みで冷却を行う場合に比べて、その冷却能力に過剰な余
裕を見込むことなく、能力のほとんど全てを利用できる
ようになる。
【0022】本発明の方法は、回分式で行われる重合反
応のような発熱反応、特に塩化ビニル系単量体の重合反
応に対して適用すると、その効果が大きい。塩化ビニル
系単量体の重合方法には、塊状重合法、懸濁重合法、及
び乳化重合法並びに微細懸濁重合法等が一般的である。
中でも、本発明方法は塩化ビニル系単量体の水性媒体中
の重合方法に用いるのが好適である。
【0023】塩化ビニル系単量体の水性媒体中における
重合は、懸濁重合法では分散剤を含有する水性媒体中で
油溶性重合開始剤の存在下で、また乳化重合法では乳化
剤及び水溶性重合開始剤の存在下で、及び微細懸濁重合
法では乳化剤及び油溶性重合開始剤の存在下に均質化処
理を行った上で、それぞれ実施されるのが一般的であ
る。
【0024】本発明方法は上記のいずれの方法において
も有効に適用できるが、特に懸濁重合法においては容積
40m3以上のような大型反応器が広く用いられていて塩
化ビニル系単量体の仕込量が多く従って発熱量が多くな
るが、伝熱面積の増加は容積の増加に比べて少ないため
冷却能力が不足しがちとなるので、効果が大きい。
【0025】本発明方法を塩化ビニル系単量体の重合反
応に適用する場合に使用される塩化ビニル系単量体と
は、塩化ビニル単量体単独及び塩化ビニル単量体を主体
とする共重合可能な単量体の混合物をいう。塩化ビニル
単量体と共重合可能な他の単量体としては、従来一般的
に用いられているものを使用することができ、特に限定
されない。上記の他の単量体としては、例えば、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビ
ニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニル
エーテル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエ
ーテル、セチルビニルエーテル等のアルキルビニルエー
テル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、
アクリル酸、メタクリル酸等の一価不飽和酸、これらの
一価不飽和酸のメチルエステル、エチルエステル等のア
ルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
等の二価不飽和酸、これらの二価不飽和酸のメチルエス
テル、エチルエステル等のアルキルエステル類、塩化ビ
ニリデン等のビニリデン化合物、アクリロニトリル等の
不飽和ニトリルなどの一種又は二種以上の混合物が挙げ
られる。これらの他の単量体は、塩化ビニル単量体に対
し、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下の
割合で使用されるが、特に制限はない。
【0026】使用できる分散剤は、塩化ビニル系単量体
の懸濁重合法で従来一般的に使用されているものでよ
く、特に限定されない。上記分散剤としては、例えば部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(いわゆるポリビニルアルコー
ル)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセル
ロース誘導体、ゼラチンなどの水溶性ポリマー等が挙げ
られる。また、分散助剤としてラウリル硫酸ナトリウム
などのアニオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステ
ル類やグリセリン脂肪酸エステル類などの非イオン性界
面活性剤等を使用しても差し支えない。これらの分散剤
あるいは分散助剤は単独で又は2種類以上の組合せで用
いることができる。また、これらの分散剤の使用量には
特に制限はなく、その種類、攪拌強度、重合温度、塩化
ビニル単量体と共重合させる他の単量体の種類と組成、
目的とする塩化ビニル系重合体の粒径等によって多少異
なるが、一般には塩化ビニル系単量体の総量に対して通
常0.001〜2重量%、好ましくは0.03〜1重量
%の範囲内で用いられる。
【0027】また、乳化重合法及び微細懸濁重合法に用
いられる乳化剤としては、例えば、高級アルコール硫酸
エステル塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、アル
キルベンゼンスルホン酸塩(アルカリ金属塩、アンモニ
ウム塩)、高級脂肪酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウ
ム塩)、その他のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活
性剤、及び/またはカチオン界面活性剤が挙げられる。
これらの界面活性剤は1種類を用いてもよいし、2種類
以上の併用も可能である。乳化剤の使用量は、塩化ビニ
ル系単量体に対し、通常0.1〜3重量%(好ましくは
0.3〜1重量%)の範囲であるが、特に限定されな
い。
【0028】また、これらの乳化剤を加工時の発泡性等
の調整用に追加して用いることもでき、この場合は重合
反応終了後に添加してもよい。本発明方法を塩化ビニル
系単量体の重合反応に適用する場合において使用される
重合開始剤は、塩化ビニル系単量体の各重合法で、従来
一般的に使用されるものでよく、特に限定されない。
【0029】懸濁重合法で使用される重合開始剤として
は、例えばt−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチ
ルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキ
シピバレート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエー
ト、α−クミルペルオキシネオデカノエートなどのペル
エステル化合物、ジラウロイルペルオキシドなどのジア
シル又はジアルキルペルオキシド化合物、ジイソプロピ
ルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
ペルオキシジカーボネートなどのペルカーボネート化合
物、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ア
ゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物等が挙げら
れる。これらの重合開始剤は、単独で又は2種類以上の
組合せで使用することができる。重合開始剤の使用量
は、開始剤の種類や重合温度、所望の反応時間等によっ
ても異なるが、一般に塩化ビニル系単量体の総量に対し
0.01〜1重量%の範囲である。
【0030】乳化重合法で使用される重合開始剤として
は、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
ム塩)、過酸化水素等の水溶性過酸化物、または、これ
らの水溶性過酸化物と水溶性還元剤(例えば、亜硫酸ナ
トリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウ
ム、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスル
ホキシレート等)との組合せからなる水溶性レドックス
系開始剤が例示される。
【0031】微細懸濁重合法で用いられる重合開始剤
は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)、ラウロイルペルオキシド、
t−ブチルペルオキシピバレート等の単量体可溶性(油
溶性)開始剤、または、これらの油溶性開始剤と前記の
水溶性還元剤との組合せからなるレドックス系開始剤が
例示される。
【0032】更に、重合反応に際して、必要に応じ、塩
化ビニル系単量体の重合に使用される重合度調整剤(連
鎖移動剤、架橋剤)、酸化防止剤、pH調整剤、レドッ
クス系開始剤の活性化剤等の各種重合助剤を適宜添加す
ることができ、これらの各成分の仕込量等は、従来塩化
ビニル系単量体の重合で実施されている一般的な条件で
差し支えない。
【0033】なお、塩化ビニル系単量体の重合に用いら
れる重合度調整剤としては、トリクロルエチレン、四塩
化炭素、2−メルカプトエタノール、オクチルメルカプ
タン等の連鎖移動剤、フタル酸ジアリル、イソシアヌル
酸トリアリル、エチレングリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋剤が
例示される。
【0034】本発明方法を塩化ビニル系単量体の重合反
応に適用するに際して、反応器(重合槽)への水性媒
体、塩化ビニル系単量体、重合開始剤、懸濁重合法の分
散剤、乳化重合法及び微細懸濁重合法の乳化剤、その他
各種重合助剤の仕込割合及び仕込方法は、特に限定され
ず、これらの全量を重合反応開始前に反応器に仕込んで
おいても良く、あるいはその一部を重合反応開始前に、
残部を重合反応開始後に分割して、もしくは連続的に仕
込むこともできる。
【0035】本発明方法を塩化ビニル系単量体の重合反
応に適用するに際して採用される重合温度は、用いる重
合開始剤の種類、重合方法、重合度調整剤の使用の有
無、目標とする重合度等によっても異なるが、一般に、
0〜90℃、特に40〜70℃の範囲を用いることが多
い。また、反応に際しては、一定温度で重合を行わせて
も、或いは重合の途中で反応温度を変化させてもよい。
更に、本発明の冷却方法を適用する反応器には、還流冷
却器等の付加的な冷却装置を設けていても差し支えな
い。
【0036】
【実施例】次に、本発明方法の具体的態様を実施例を用
いて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えな
い限り、以下の実施例により限定されるものではない。 <実施例1>図1に示すような冷水塔3と冷凍機6との
両者を備え、それぞれの設備から得られる冷媒Hと冷媒
Lとを反応器1のジャケットの二つに分割された冷媒の
流路2A,2Bに供給できるような冷却システムを有す
る内容積60m3の撹拌機及びジャケットを備えた反応
器中に、塩化ビニル単量体18t、脱イオン水20t、
分散剤として部分ケン化ポリ酢酸ビニル、及び開始剤と
してtert−ブチルペルオキシピバレートを仕込み、目標
反応時間(開始剤の量により設定される)を4時間とし
て、反応温度60℃にて重合を実施した。
【0037】冷媒Hの温度は26.7℃、冷媒Lの温度
は5.0℃であり、反応時の発熱状況は図3に示す通り
であった。反応中期までは、冷媒Hのみで反応制御が可
能であったが、反応開始2時間を経過した頃から発熱量
が増加したので、下部の分割流路2Bに冷凍機6により
冷却された冷媒Lの供給を開始し、反応終了まで供給を
続けた。反応器内温が所定の重合反応温度に達してか
ら、反応器内圧が反応温度における塩化ビニル単量体の
飽和圧力から2kg/cm2低下して未反応単量体の回収を
開始するまでの時間を反応時間として測定した。この反
応の反応時間は3時間55分であった。
【0038】<実施例2>目標反応時間を3時間30分
として重合開始剤を使用し、反応当初から下部の分割流
路2Bには冷媒Lを供給したこと以外は実施例1と同様
にして重合反応を実施した。反応時間は3時間35分で
あった。
【0039】<実施例3>目標反応時間を4時間15分
として重合開始剤を使用し、反応開始後3時間15分経
過した時から下部の分割流路2Bに冷媒Lを供給したこ
と以外は実施例1と同様にして重合反応を実施した。反
応時間は4時間10分であった。
【0040】<比較例1>図1において冷媒Hのみで冷
却を行うようにした(即ち図2と同じ状態)こと以外は
実施例1と同様にし、目標反応時間を4時間として重合
を開始した。反応中期までは反応制御性は良好であった
が、反応末期に冷却能力不足となり、冷媒Hを最大流量
で循環させても反応系の温度が上昇し、所定反応温度よ
り1℃高い61℃を超えるに至ったので、塩化ビニル単
量体を反応器外へ回収して反応を停止させた。
【0041】<比較例2>目標反応時間を4時間30分
として重合開始剤を使用したこと以外は比較例1と同様
にして重合反応を開始した。反応の全期間にわたり冷媒
Hのみで反応制御が可能であったが、反応末期のピーク
発熱時には、冷媒Hの流量は最大流量となり、冷却能力
が不足する寸前の状況であった。反応時間は4時間35
分であった。以上の結果を表−1にまとめる。
【0042】<実施例4>反応器1においてジャケット
が10本に分割された冷媒の流路を有し、そのそれぞれ
に冷媒Hと冷媒Lとが独立して供給できるような冷却シ
ステムを有する内容積60m3 の撹拌機及びジャケット
を備えた反応器を用いた。目標反応時間を4時間15分
として開始剤の量を調節し、反応当初から分割流路の1
本に冷媒Lを、残る9本の分割流路に冷媒Hをそれぞれ
反応終了まで供給したこと以外は、実施例1と同様にし
て塩化ビニルの懸濁重合を実施した。冷媒Hの温度は2
5.4℃、冷媒Lの温度は5.0℃であり、反応時の発
熱状況は図3と同様であった。反応は順調に完了し、反
応時間は4時間20分であった。
【0043】<実施例5>目標反応時間を3時間45分
として重合開始剤を使用し、反応当初から4本の分割流
路に冷媒Lを、残る6本の分割流路には冷媒Hを供給し
たこと以外は実施例4と同様にして重合反応を実施し
た。反応時間は3時間45分であった。
【0044】<実施例6>目標反応時間を3時間30分
として重合開始剤を使用し、反応当初から5本の分割流
路に冷媒Lを、残る5本の分割流路には冷媒Hを供給し
たこと以外は実施例4と同様にして重合反応を実施し
た。反応時間は3時間30分であった。
【0045】<比較例3>全ての分割流路に冷媒Hを供
給したこと以外は実施例4と同様にして、目標反応時間
4時間30分で重合を実施した。反応末期には冷媒Hの
流量は最大流量の96%となったが反応は順調で、安定
に実施できた。反応時間は4時間35分であった。
【0046】<実施例7>図1と同様の冷水塔3と冷凍
機6とを備えた反応温度制御システムにおいて、反応器
として、図4に示すような内容積60m3の温調エレメン
ト式の反応器を使用した。この温調エレメント式反応器
は、12本に分割された冷媒の流路を有しており、その
内の8本に冷媒Hを、4本に冷媒Lを供給するようにな
っている。
【0047】この反応器を用いて、実施例1と同様にし
て塩化ビニル単量体等を仕込み、目標反応時間を3時間
30分として、反応温度60℃で重合反応を実施した。
反応時間は3時間25分であった。温調エレメント式反
応器を用いることにより、同じ3時間30分の反応時間
の場合、通常の外部ジャケット式反応器に比べて伝熱効
率が良いため、冷媒Lを使用する流路の割合(冷媒L供
給面積)が33%でも、外部ジャケット式の冷媒Lの供
給面積50%の場合(実施例6)と同じ程度の生産性が
達成できた。以上の結果を表−2にまとめる。
【0048】
【発明の効果】本発明方法を用いることにより、冷媒の
エネルギーの効率的な利用と反応制御性の改良ができ、
併せて高い生産性を達成することが可能となった。ま
た、反応の全期間にわたり冷媒Lを使用する方法と比べ
ても、その使用が必要時のみに限られるため、冷凍設備
も小さなもので済み、かつエネルギーコストも低くする
ことができる。
【0049】
【表1】 *:L・・・冷媒L H・・・冷媒H 切替・・冷媒Hを供給して反応を開始し、反応中に冷媒Lに切替え。 **:比較例2の条件における生産能力を100とした場合の時間あたりの生 産能力。反応時間の逆数の比の値として計算される。
【0050】
【表2】 *:分割流路中、冷媒Hまたは冷媒Lを供給した流路数。 **:比較例3の条件における生産能力を100とした場合の時間あたりの 生産能力。反応時間の逆数の比の値として計算される。 ***:実施例7は温調エレメント式反応器を使用。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の実施に使用できる二つに分割さ
れた冷媒の流路を有する反応器と冷凍機及び冷水塔を備
えて2種類の冷媒を用いて反応温度の制御を行うシステ
ムの一例を示すフロー図。
【図2】 従来式の、分割流路を持たない冷却用ジャケ
ットを有する反応器と冷水塔のみを備えて反応温度を制
御するシステムの一例を示すフロー図。
【図3】 塩化ビニルの回分式重合反応における反応熱
の発生状況の一例を示す図。
【図4】 本発明方法の実施に使用できる、二つに分割
された冷媒の流路を有する温調エレメント式反応器の一
例を示す断面図。
【符号の説明】 1 反応器 2 反応器ジャケット 2A,2B 反応器ジャケットの分割された冷媒流路 3 冷水塔 4 冷媒H循環ポンプ 5 冷媒L循環ポンプ 6 冷凍機 7 冷媒L貯槽 8 温調エレメント 9 隔壁 10A,10B 分割された冷媒流路入口 11A,11B 分割された冷媒流路出口 12 均圧配管 13 間隙室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−126304(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60 B01J 19/00 - 19/32 B01D 5/00 - 8/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系単量体の回分式重合反応を
    行なう反応器の加熱及び/又は冷却用の熱媒体の流路に
    冷却用の熱媒体(以下「冷媒」と記す)を通じることに
    よって反応温度を調節するにあたり、前記流路を複数に
    分割するとともに、冷媒として互いに温度の異なる二つ
    以上の冷媒(以下、温度のより高い方の冷媒を「冷媒
    H」と、より低い方の冷媒を「冷媒L」と記す)を使用
    して、反応温度を所定の範囲内に維持するのに必要な除
    熱量が冷媒Hの冷却能力以下の場合は冷媒Hのみを使用
    し、また冷媒Hの冷却能力を超える場合は冷媒Lを冷媒
    の流路の一部又は全部に供給することにより、塩化ビニ
    ル系単量体の回分式重合反応時の発熱状況に対応して
    応器の冷却を行うことを特徴とする反応温度の調節方
    法。
  2. 【請求項2】 冷媒の少なくとも一つが水である請求項
    1に記載の反応温度の調節方法。
  3. 【請求項3】 冷媒の少なくとも一つが冷凍機により冷
    却されたものである請求項1または2に記載の反応温度
    の調節方法。
  4. 【請求項4】 冷却方式がジャケット形式である請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の反応温度の調節方法。
  5. 【請求項5】 冷却方式が温調エレメント形式である請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の反応温度の調節方
    法。
  6. 【請求項6】 分割された流路の数が2〜20本である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応温度の調節方
    法。
  7. 【請求項7】 重合反応を水性媒体中で行う請求項1〜
    6のいずれか1項にに記載の反応温度の調節方法。
  8. 【請求項8】 重合反応が回分式懸濁重合反応である請
    求項1〜7のいずれか1項に記載の反応温度の調節方
    法。
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