JPWO2010122960A1 - 高強度銅合金 - Google Patents

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Abstract

高強度銅合金は、重量基準で、亜鉛を20〜45%、鉄を0.3〜1.5%、クロムを0.3〜1.5%含有し、残部が銅からなる。

Description

本発明は、優れた機械的特性を有する高強度銅合金に関するものであり、特に、鋳造法によって作製された高強度銅合金に関するものである。より好ましくは、この発明は、鋳造した銅合金に対して熱間塑性加工を施すことによって、さらに強度特性を高めた高強度銅合金を提供しようとするものである。
銅合金は、自動車部品、家電部品、電気・電子・光学系部品、配管部材(水栓金具、バルブ)などに広く利用されている。近年の地球温暖化防止対策を考えると、製品や部材の小型・軽量化や薄肉化が強く求められており、比重が鉄よりも大きい銅合金については、高強度化により上記のニーズに対応する必要がある。
銅合金のなかでも、耐腐食性の観点から、亜鉛を含む黄銅合金が上記の部品において利用されることが多い。これまで黄銅合金の高強度化に関する従来技術として、特開2000−119775号公報(特許文献1)が提案されている。ここでは、鋳造した銅合金に対して熱間押出加工を施すことにより、引張強さ600〜800MPa程度の高い特性を有する黄銅合金が得られることが開示されている。添加元素であるシリコン(Si)は、素地を構成するγ相を出現させることで銅合金の切削性を改善するという利点を発揮するが、その反面、硬質であるためにJIS H 3250−C3604、C3771などの黄銅合金に比べると、切削抵抗が大きく、工具寿命が短いなどの問題をもたらす。
高強度銅合金を開示している他の文献として、特許第3917304号公報(快削性銅合金、特許文献2)や特許第3734372号公報(無鉛快削性銅合金、特許文献3)がある。これらの公報に開示された技術においては、ジルコニウムとリンを微量に添加することにより、通常の鋳造法で形成される樹枝状結晶を粒状結晶とし、しかもその大きさを10μmまで微細化させることにより、高い強度と延性を発現することを提案している。しかしながら、これらの公報に開示された黄銅合金においても、素地の硬さが従来の黄銅合金と比較して著しく硬いために、切削性が低下すると共に、工具寿命が短くなるといった問題がある。
他方、本発明者らは、これまでに特許第4190570号公報(無鉛快削性銅合金押出材、特許文献4)において、粉末冶金プロセスを用いて黄銅合金粉末を作製し、これに鉛に代わり黒鉛粒子を添加することで黄銅粉末合金押出材の切削性を向上させ、同時に高い引張強さを得ることに成功した。この公報に開示された銅合金の製法では、急冷凝固法を用いて微細な結晶粒を有する銅合金粉末を作製し、その粉末を熱間押出加工によって成形固化することで微細な組織を有する銅合金素材を得ることができる。これにより優れた強度と延性を有する銅合金押出材が得られる。ただし、一般の黄銅合金の製造工程と比較すると、押出加工するためのビレット体を準備するために、銅合金粉末を一旦、成形固化する必要がある。そのために従来の鋳造ビレットを押出加工する工程に適用することは困難であり、銅合金粉末を固化するためのプレス成形機や圧縮固化装置などが必要となる。
特開2000−119775号公報 特許第3917304号公報 特許第3734372号公報 特許第4190570号公報
本発明は、鋳造工程によって高い強度特性を有する銅合金を製造することを目的とし、この目的達成のために、適正量の鉄とクロムを含有させた銅−亜鉛合金を提案する。これにより、本発明に従った高強度銅合金は、自動車部品、家電部品、電気・電子・光学系部品、配管部材などに幅広く適用され得る。
本発明に従った高強度銅合金は、重量基準で、亜鉛を20〜45%、鉄を0.3〜1.5%、クロムを0.3〜1.5%含有し、残部が銅からなる。
好ましくは、高強度銅合金は、重量基準で、クロムに対する鉄の含有比率(Fe/Cr)が0.5〜2である。
一つの実施形態に係る高強度銅合金は、さらに重量基準で、0.05〜4%の鉛、0.02〜3.5%のビスマス、0.02〜0.4%のテルル、0.02〜0.4%のセレン、0.02〜0.15%のアンチモンからなる群から選択された1種以上の元素を含有する。さらに、重量基準で0.2〜3%の錫を含有してもよい。さらに、重量基準で、0.2〜3.5%のアルミニウムおよび0.3〜3.5%のカルシウムを含有しても良い。さらに、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、ジスプロシウム、イッテルビウム、サマリウムからなるランタノイド元素群から選択された1種以上の元素を含み、その合計含有量が重量基準で0.5〜5%であるようにしても良い。さらに重量基準で、0.5〜3%のマンガン、0.2〜1%のシリコン、1.5〜4%のニッケル、0.1〜1.2%のチタン、0.1〜1.5%のコバルト、0.5〜2.5%のジルコニウムからなる群から選択された1種以上の元素を含有するようにしても良い。
好ましくは、高強度銅合金は、結晶粒界に鉄−クロム系化合物粒子を備える。この鉄−クロム系化合物粒子は、鋳造法による凝固過程で結晶粒界に析出したものであり、その好ましい粒径は、10〜50μmである。
好ましくは、銅合金は、鋳造法によって作製された後に、熱間塑性加工が施されたものである。熱間塑性加工は、例えば、押出加工、鍛造加工、圧延加工、絞り加工および引き抜き加工からなる群から選ばれた少なくとも一つの加工法である。
上記に記載の本発明の構成、作用および効果等については、以下の実施の形態の項で説明する。
引張試験における応力―ひずみ線図を示す図である。 光学顕微鏡による組織観察結果を示す写真である。 黄銅合金押出材のSEM−EDS分析の結果を示す写真である。 ドリルによる穴加工試験方法を図解的に示す図である。
[鉄およびクロムの含有]
本発明の銅合金において、鉄およびクロムはいずれも必須の添加元素である。その含有量は、重量基準で、鉄:0.3〜1.5%、クロム:0.3〜1.5%である。銅に対してクロムは固溶度が小さいので、銅−クロムの母合金を準備し、坩堝内で溶解した純銅の溶湯に銅−クロムの母合金を添加してクロム含有量を調整する。その次に、鉄を所定の重量添加する。その後、必要に応じてその他の元素を添加し、最後に亜鉛を添加して攪拌後に金型に鋳込む。亜鉛は蒸気圧が高いために他の元素に比べて蒸発し易いことから、銅合金溶湯に対して最後に添加する。
溶けた銅合金溶湯は金型内で冷却されて凝固するが、その過程において銅中に僅かに固溶していたクロムが銅の結晶粒界に晶出し、続いてクロム晶出物の付近に鉄が晶出する。これによりクロムと鉄が濃化した10〜50μm程度の大きさ(粒径)を持つ粒界化合物粒子が存在することになり、この粒界化合物粒子の分散強化によって黄銅合金の強度が増大する。
本発明者らは、特許第4190570号公報(無鉛快削性銅合金押出材)においても、黄銅合金において鉄およびクロムの添加による強度向上効果を記載している。しかしながら、この公報に記載の発明では、基本製法として急冷凝固法による粉末冶金プロセスを前提としており、銅合金粉末中に過飽和に固溶したクロムや鉄が押出加工の過程で析出し、数百ナノメートルから数ミクロンの微細な鉄−クロム系化合物として結晶粒界や結晶粒内に析出する。このような粉末冶金プロセスを前提として析出するサブミクロン単位の微細な鉄−クロム系化合物粒子と、本発明で提案する鋳造法による凝固過程での鉄−クロム系の粒界晶出物(化合物粒子)とは、粒子の大きさが異なり、また生成する機構も全く異なるものである。
黄銅合金を強化するのに適した鉄およびクロムの含有量について考察すると、重量基準で、鉄は0.3〜1.5%、クロムは0.3〜1.5%であることが望ましい。鉄およびクロムの含有量がそれぞれ0.3%を下回ると上述したような黄銅合金の強度向上に対する効果が少なく、他方、それぞれの含有量が1.5%を越えると、黄銅合金の延性が低下する。また鉄に関しては、その含有量が2%を超えると黄銅合金の耐食性が低下するといった問題が生じる。
重量基準で、クロムに対する鉄の含有比率(Fe/Cr)は、0.5〜2であるのが望ましい。鉄とクロムの含有比率が上記範囲を満足する場合、上述したクロムおよび鉄が濃化した粒界化合物の存在比率が増加する。言い換えると、両者の含有量の比率が0.5を下回ったり、あるいは2を超えたりすると、鉄あるいはクロムが単独で粒界に晶出するために強度向上効果が低下する。
[切削性向上元素の含有]
黄銅合金の切削性を向上させるには、重量基準で、0.05〜4%の鉛、0.02〜3.5%のビスマス、0.02〜0.4%のテルル、0.02〜0.4%のセレン、0.02〜0.15%のアンチモンからなる群から選択された1種以上の元素を含有するのが望ましい。それぞれの元素において、上記範囲の下限値を下回ると、十分な切削性を得ることができず、また切削後の黄銅合金素材の表面肌荒れや工具寿命の低下といった問題を招く。他方、それぞれの元素含有量の上限値を越えると、破壊の起点となるために強度や延性などの機械的特性の低下を招く。なお、近年の環境問題の観点からは、鉛の使用が規制されているので、より好ましくは、切削性向上元素としてビスマスを選定する。
[各種添加元素]
錫は、素地中のγ相の形成に有効であると同時に、銅との化合物を形成して合金を高強度化するのに有効である。錫の好ましい含有量は、重量基準で0.2〜3%である。0.2%未満の含有量では上記の効果は少なく、他方、3%を超えて錫を添加した場合、黄銅合金の延性低下を招く。錫の添加量(含有量)が2%を超えると、β相の耐脱亜鉛性を改善する効果がある。
アルミニウムは、銅と金属間化合物を形成し、その球状粒子が素地中に分散することで銅合金の強度や硬度といった機械的特性と耐高温酸化性を改善する効果がある。アルミニウムの好ましい含有量は、重量基準で0.2〜3.5%である。0.2%未満の含有量では上記の効果は少なく、他方、3.5%を超えてアルミニウムを添加した場合、銅との化合物が粗大化し、黄銅合金の延性低下を招く。またアルミニウムが、後述するカルシウムと共に存在することで、AlCaの金属間化合物を形成し、強度や硬度の向上に寄与する。
カルシウムは、アルミニウムと共に銅合金に含まれることで、AlCaの金属間化合物を形成し、強度や硬度の向上に寄与する。カルシウムの好ましい含有量は、重量基準で0.3〜3.5%である。0.3%未満の含有量では上記の効果は少なく、他方、3.5%を超えてカルシウムを添加した場合、AlCaの金属間化合物が粗大化し、黄銅合金の延性低下を招く。
ランタノイド系元素群(ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、ジスプロシウム、イッテルビウム、サマリウム)は、銅との化合物を形成して粒界に析出し、また単独で結晶粒界に晶出することによって素地を強化するので有効である。その合計含有量は、重量基準で0.5〜5%であることが望ましい。0.5%未満の含有量では十分な効果はなく、5%を超えてランタノイド系元素群を添加した場合、延性が低下すると同時に、銅合金が硬くなり過ぎるために押出加工性が低下する。
遷移系金属元素群として、重量基準で、0.5〜3%のマンガン、0.2〜1%のシリコン、1.5〜4%のニッケル、0.1〜1.2%のチタン、0.1〜1.5%のコバルト、0.5〜2.5%のジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種以上の元素を添加することにより、銅合金の強度と硬度を向上できる。各元素の含有量の下限値を下回ると、上記の特性向上の効果が十分ではなく、他方、上限値を越えると銅合金の延性が低下する。
[製造方法]
上記組成を有する銅合金溶湯を作製し、この溶湯を金型に鋳込む方法や、連続鋳造法によってインゴット材を作製する。さらに、必要に応じてこのインゴット材に対して、押出加工、鍛造加工、圧延加工、絞り加工、引き抜き加工などの熱間塑性加工を施す。その際、インゴットが十分に塑性変形できるための加熱温度として、600〜850℃の範囲とする。特に、加熱過程での亜鉛の蒸発を抑制するために、750℃以下の加熱温度が望ましい。
(1)実施例1
表1および表2に記載の各元素を含む銅合金鋳造インゴットを準備し、それぞれのインゴットを700℃に加熱・保持した後に、直ちに熱間押出加工を施した。押出加工の押出比は37とした。各銅合金押出材から引張試験片を採取し、ひずみ速度5×10−4/sの条件下で、室温にて引張試験を実施した。その結果を表1および表2に記載した。本発明例は試料番号1〜16であり、比較例は試料番号17〜19である。
本発明例である試料番号1〜5において、所定量の鉄およびクロムを含有することで、押出材の引張強さ(TS)は、比較例である試料番号19に比べて130〜210MPa程度増大している。この理由は、鉄とクロムからなる鉄−クロム系化合物粒子が結晶粒界に分散することで銅合金の強度を著しく増加しているからである。また鉄とクロムの添加量が増えるにつれて、引張強さも増大していることが認められる。
本発明例である試料番号6〜8はビスマス(Bi)を含む銅合金であり、本発明例である試料番号9〜11は鉛(Pb)を含む銅合金である。ビスマスおよび鉛は共に、銅合金の切削性を向上させるための添加元素であるが、これらを含まない本発明例の試料番号2と比較して、試料番号9〜11の銅合金は引張強さが若干、低下するものの、比較例の試料番号17あるいは18に比べると、160〜190MPa程度の強度増加が見られる。よって、鉄とクロムを含む黄銅合金にビスマスや鉛を添加することで、優れた引張強さを維持したまま、切削性も改善できる。
本発明例の試料番号12,13では、共に錫(Sn)を含むことで強度の増加が確認できる。
本発明例の試料番号14〜16では、いずれもアルミニウム(Al)およびカルシウム(Ca)を含むことで、金属間化合物AlCaが銅合金の素地中に分散し、その結果、引張強さが著しく増大している。
(2)実施例2
実施例1と同様に、表3および表4に記載の各元素を含む銅合金鋳造インゴットを準備し、それぞれのインゴットを700℃に加熱・保持した後、直ちに熱間押出加工を施した。押出加工の押出比は37とした。各銅合金押出材から引張試験片を採取し、ひずみ速度5×10−4/sの条件下で室温にて引張試験を実施した。その結果を表3および表4に記載する。本発明例は試料番号20〜24、28〜33であり、比較例は試料番号25〜27、34、35である。
本発明例の試料番号21、22、23、24はランタノイド系元素を含むことにより、それらを含まない本発明例の試料番号20と比較して、さらに引張強さが増大しており、640〜680MPaに達する。また本発明例の試料番号29、30もランタノイド系元素を含む黄銅合金であり、それらを含まない本発明例の試料番号28と比較して著しい引張強さの増加を確認できる。
本発明例の試料番号31はシリコン(Si)を適正量含む黄銅合金、本発明例の試料番号32はニッケル(Ni)を適正量含む黄銅合金、本発明例の試料番号33はチタン(Ti)を適正量含む黄銅合金であり、それらの元素を含まない本発明例の試料番号28と比較して引張強さの増加を確認できる。
比較例の試料番号25〜27および34、35においては、鉄とクロムを含むものの、重量基準で鉄とクロムの含有比率が0.5〜2を満足しないため、鉄とクロムを含まない比較例の試料番号19と比べると引張強さの増加は認められるが、両者の含有比率が0.5〜2を満足する本発明例の黄銅合金(表1の本発明例の試料番号1〜5、表3の本発明例の試料番号20、表4の本発明例の試料番号28)と比較して低い値を有する。
(3)実施例3
本発明例の試料番号3および試料番号5の黄銅合金押出材、および比較例の試料番号19の黄銅押出材から、それぞれ引張試験片を採取し、引張試験を行った。この引張試験における応力−ひずみ線図を図1に示す。比較例の試料番号19に比べて本発明例の試料番号3および試料番号5は、高い引張強さならびに耐力(降伏強度)を有することがわかる。
(4)実施例4
本発明例の試料番号3の光学顕微鏡による組識観察結果を図2に示す。直径20〜50μm程度のFe−Cr系化合物粒子が黄銅合金素地中に均一に分散していることがわかる。
(5)実施例5
実施例1に記載の本発明例の試料番号12の黄銅合金押出材についてのSEM−EDS(Scanning Electron Microscopy-Energy Dispersive Spectroscopy)分析の結果を図3に示す。分散する化合物の主成分は鉄(Fe)とクロム(Cr)であることがわかる。
(6)実施例6
表5および表6に記載の各元素を含む銅合金鋳造インゴットを準備し、各銅合金インゴットから引張試験片を採取し、ひずみ速度5×10−4/sの条件下で室温にて引張試験を実施した。その結果を表5および表6に記載する。本発明例は試料番号1〜16であり、比較例は試料番号17〜19である。本発明例では、所定の元素を適正量含むことで、押出加工前の鋳造インゴット材においても、比較例に対して高い強度を有することがわかる。
(7)実施例7
実施例1および実施例2に記載の本発明例の試料番号5〜11および比較例の試料番号17〜19の黄銅合金押出材の切削性を、ドリル穴あけ試験により評価した。なお、試験方法としては、図4に示すようにドリルに一定荷重(ここでは1kgの錘を負荷)をかけた状態で各銅合金押出材に深さ5mmの穴を加工するのに要する時間を比較した。加工時間が短いほど、被削性が良好であることを意味する。なお、直径4.8mmφの高速度鋼製ドリルを用い、ドリルの回転数を1,000rpmとして乾式条件下(切削油なし)で1つの押出材において10試料を対象にドリル試験を行い、各測定値から平均値を求めた。その結果を表7に示す。
表7に示すように、切削性を改善するビスマスや鉛などを一切含まない本発明例の試料番号5においては、上記の条件では、3分間のドリルによる穴あけ加工を行っても深さ5mmの穴を開けることができなかった。本発明例の試料番号6〜8はビスマスを添加した黄銅合金であり、いずれも穴を開けることが可能であり、ビスマス添加量の増加に伴って加工時間は短くなっている。本発明例の試料番号9〜11は鉛を添加した合金であり、鉛の含有量の増加とともに、切削時間は短縮している。したがって、ビスマスや鉛を添加することで、高い引張強さを維持したまま、切削性を大幅に改善できることを確認した。
(8)実施例8
表8に記載の各元素を含む銅合金鋳造インゴットを準備し、それぞれを650℃に加熱・保持した後、直ちに熱間押出加工を施した。押出加工の押出比は37とした。各銅合金押出材から引張試験片を採取し、ひずみ速度5×10−4/sの条件下で、室温にて引張試験を実施した。切削性の評価に関しては、前述の実施例7と同様の方法を用い、その平均加工時間を算出した。その結果を表8に記載する。試料番号40〜56は、全て本発明例である。
表8から理解できるように、適正量の強度向上元素および切削性向上元素を黄銅に添加することによって、引張強さ、伸び(延性)および切削性に優れた銅合金が得られる。
(9)実施例9
表9に記載の各元素を含む銅合金溶湯を坩堝内で準備し、水アトマイズ法によって粉末粒子径150μm以下(平均粒子径112〜138μm)の粉末を作製し、各粉末を放電プラズマ焼結装置により750℃の真空雰囲気中で加熱・加圧(圧力40MPa)して緻密な焼結体を作製した。各焼結体を窒素ガス雰囲気中で650℃に加熱・保持(保持時間:15分)した後、直ちに熱間押出加工を施した。押出加工の押出比は37とした。各銅合金押出材から引張試験片を採取し、ひずみ速度5×10−4/sの条件下で、室温にて引張試験を実施した。切削性の評価に関しては、前述の実施例7と同様の方法を用い、その平均加工時間を算出した。その結果を表9に記載する。試料番号60〜69は、全て本発明例である。
表9から理解できるように、適正量の強度向上元素および切削性向上元素を黄銅に添加することによって、引張強さ、伸び(延性)および切削性に優れた銅合金が得られる。特に、鋳造法により押出用インゴットを作製した場合に比べて、水アトマイズ法により作製した粉末を用いた場合、結晶粒の微細化効果が加わり、押出材の引張強さがさらに増大する。
本発明は、優れた機械的特性を有する高強度銅合金として有利に利用され得る。

Claims (12)

  1. 重量基準で、亜鉛を20〜45%、鉄を0.3〜1.5%、クロムを0.3〜1.5%含有し、残部が銅からなる高強度銅合金。
  2. 重量基準で、前記クロムに対する前記鉄の含有比率(Fe/Cr)が0.5〜2である、請求項1に記載の高強度銅合金。
  3. さらに重量基準で、0.05〜4%の鉛、0.02〜3.5%のビスマス、0.02〜0.4%のテルル、0.02〜0.4%のセレン、0.02〜0.15%のアンチモンからなる群から選択された1種以上の元素を含有する、請求項1に記載の高強度銅合金。
  4. さらに重量基準で0.2〜3%の錫を含有する、請求項1に記載の高強度銅合金。
  5. さらに重量基準で、0.2〜3.5%のアルミニウムおよび0.3〜3.5%のカルシウムを含有する、請求項1に記載の高強度銅合金。
  6. さらに、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、ジスプロシウム、イッテルビウム、サマリウムからなるランタノイド元素群から選択された1種以上の元素を含み、その合計含有量が重量基準で0.5〜5%である、請求項1に記載の高強度銅合金。
  7. さらに重量基準で、0.5〜3%のマンガン、0.2〜1%のシリコン、1.5〜4%のニッケル、0.1〜1.2%のチタン、0.1〜1.5%のコバルト、0.5〜2.5%のジルコニウムからなる群から選択された1種以上の元素を含有する、請求項1に記載の高強度銅合金。
  8. 結晶粒界に鉄−クロム系化合物粒子を備える、請求項1に記載の高強度銅合金。
  9. 前記鉄−クロム系化合物粒子は、鋳造法による凝固過程で結晶粒界に析出したものである、請求項8に記載の高強度銅合金。
  10. 前記鉄−クロム系化合物粒子の粒径は、10〜50μmである、請求項9に記載の高強度銅合金。
  11. 前記銅合金は、鋳造法によって作製された後に、熱間塑性加工が施されたものである、請求項1に記載の高強度銅合金。
  12. 前記熱間塑性加工は、押出加工、鍛造加工、圧延加工、絞り加工および引き抜き加工からなる群から選ばれた少なくとも一つの加工法である、請求項11に記載の高強度銅合金。
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