JPWO2010116844A1 - ベローズ型メカニカルシール - Google Patents
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Abstract
Description
ベローズは、その一端にシールリングを保持するためのリテーナが溶接固定され、他端にハウジングに固定されるカラーが溶接固定された一体構造物となっている。
一方、ベローズにはインコネル718やインコネル625(インコネルは登録商標)、AM350等のばね性のある金属が使用されている。
一方、溶接後にリテーナおよび溶接部にメッキする場合、ベローズにメッキされると特性が変化するために、マスキングしなければならないが、マスキング作業は大変であり、またマスキングが不十分でベローズまでメッキされてしまったり、溶接部がメッキされなかったりして、十分な耐食効果が得られない。そのため、腐食性の高い環境下ではリテーナ材として42%Ni−Feは使用できず、使用材料が制約されてしまう。
シールリングと、該シールリングに対向摺接するメイティングリングと、を備え、前記シールリング及びメイティングリングの一方がハウジングに支持され、他方が回転軸に支持され回転軸とともに回転する構成で、
前記シールリングはベローズを介して支持されるもので、前記ベローズは、その一端にシールリングを保持するためのリテーナが溶接固定され、他端に回転軸に固定されるカラーが溶接固定された一体構造のベローズ組立体として構成されているベローズ型メカニカルシールにおいて、
前記ベローズ、リテーナ及びカラーが溶接された後のベローズ組立体の全表面が、物理的蒸着法(PVD処理)により生成された耐食被膜によって被覆されていることを特徴とする。
シールリングを保持するリテーナの材料は、シールリングと熱膨張係数が近似しているかそれよりも低い材料とする。
耐食被膜を窒化クロム等の窒化金属系の材料によって構成すれば、耐食性に優れた被膜を形成することができる。
たとえば、石油精製の200℃以上の高温のボトム液には、硫黄や硫化水素が含まれており、リテーナ材として42%Ni−Feを用いている場合には著しく腐食する。また、ベローズに用いられる耐食性の高いインコネル718でも孔食が発生する場合がある。しかし、窒化クロムなどの耐食イオンプレ-ティングを施行しておけば、均一で、かつ全表面に、ステンレスの酸化被膜のような窒化クロム等の耐食被膜を成膜することができ、ベローズ組立体全部がインコネル718以上の耐食性を得ることができる。
シールリングを保持するリテーナの材料を、42%Ni−Feのようなシールリングと熱膨張係数が近似しているかそれよりも低い材料としておけば、シールリングとリテーナの嵌合部の応力変化は小さく、シール端面の平面度が保持され、シール性を維持しつつ耐食性を高めることができる。
この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
すなわち、このベローズ型メカニカルシール10は、回転軸60とハウジング50との間をシールするもので、シールリング30と、シールリング30に対向摺接するメイティングリング40と、を備えている。この実施例では、静止形メカニカルシールで、シールリング30がシールカバー52を介してハウジング50に支持され、メイティングリング40が回転軸60に支持され回転軸60と共に回転する構成となっている。また、回転軸60には固定スリーブ80が嵌合固定され、この固定スリーブ80にメイティングリング40を保持するリテーナ41が固定されている。図において、機外側をA、密封対象となる機内側Fとすると、シールリング30が機外側A、メイティングリング40が機内側Fに配置されている。また、シールカバー52はハウジング50の機外側の端面に固定されている。
シールリング30は、カーボン等の摺動材から構成される環状部材で、メイティングリング40に摺接する凸部31を有し、互いのシール端面30a,40aである摺動面は回転軸60の中心軸に対して直交する直交面となっている。
密封流体が、タールやピッチなどのように、高温時は流動性があり、温度が下がると固化する性状の液体の場合は、ポンプ停止後、シールリング30とメイティングリング40のシール端面30a,40aが固着し、起動と同時に過大なトルクが作用し、それがベローズ21に伝播して過大なねじりトルクが作用するおそれがある。このようなタールやピッチ、アスファルトなどの熱溶融流体の場合や、固形分を多く含んだ高温流体の場合には、摺動材の組み合わせは、シリコンカーバイドや超硬合金などのカーボンよりも硬い材質同士にするのが有効である。
シールリング30、リテーナ22、ベローズ21及びカラー23の内周側には、回転軸60との間隙に円筒状のバッフルスリーブ70が挿入されている。バッフルスリーブ70は、その一端がシールカバー52にボルト72で固定され、他端がリテーナ22の内周部まで延びている。バッフルスリーブ70は、シールカバー52に設けられたクエンチング穴51から供給されるクエンチング液をシールリング30とメイティングリング40との摺動面に案内している。
シールリング30やメイティングリング40を保持するリテーナ22、41の材料は、42%Ni−Feのように、シールリング30やメイティングリング40を構成するカーボンやシリコンカーバイドなどの摺動材の熱膨張係数と近似しているか、それよりも低い材料とする。
そこで、ベローズ21とリテーナ22について、同一材料か、ほぼ近似した熱膨張係数を有する異種金属で構成することが好ましい。材料の選定は、使用温度条件、各部の寸法によって適宜選定すればよい。たとえば、リテーナ22としては、42%Ni−Feまたはインコネル625、ベローズ21の材料としては、インコネル625が好適である。
図3は本発明の実施例2に係るベローズ型メカニカルシールを示している。以下の説明では、異なる点についてのみ説明するものとし、実施例1と同一の構成部分については同一の符号を付し、その説明は省略するものとする。
この実施例2では、シールリング30がリテーナ22に嵌合する構成ではなく、シールリング30がリテーナ22と遊離し、シールリング30のリテーナ側端面とリテーナ22のシールリング側の端面が、円周方向に互いに摺動自在に密接する連結構造となっている。以下、この連結部をラップジョイント部90という。
シールリング30のノーズ32のシール端面32aの面幅は、メイティングリング40と接するシール端面30aの面幅とほぼ同じとするかそれよりもやや狭くする。シールリング30の反メイティングリング側の外周には段部33が設けられると共に、リテーナ22のシールリング側の外周にも段部22cが設けられ、両段部33,22cにまたがるように、円筒状のアダプター91が、径方向に微小隙間をもって嵌められており、リテーナ22とシールリング30の芯出しがなされている。
また、ラップジョイント部90はシールリング30が回転しないので、スティックスリップによる円周方向の微小な振動による微小変位分だけ摺動するのみで、ほとんど静止状態に近い。したがって、摺動による発熱も無いので、シール端面間の潤滑膜が安定し、優れた密封性を保持できる。
また、シール端面32a,22d間が固着してスティックスリップによる微振動がベローズ21に伝播したり、バッフルスリーブ70の突起部71の摩耗でトルクを受けられなくなって、摺動トルクがベローズ21に作用し、ベローズ21に振動が起きたとしても、リテーナ22内周部に設けた絞り部22aによってベローズ21の振れ止めがなされるので、ベローズ21の疲労を先延ばしでき、耐久性を確保できる。
20 ベローズ組立体
21 ベローズ
22 リテーナ
22a 絞り部
22b 切欠き
22c 段部
22d シール端面
23 カラー
30 シールリング
31 凸部
32 ノーズ
32 シール端面
33 段部
34 切欠き
40 メイティングリング
41 リテーナ
50 ハウジング
51 クエンチング穴
52 シールカバー
60 回転軸
70 バッフルスリーブ
72 ボルト
80 固定スリーブ
90 ラップジョイント部
91 アダプター
A 機外側
F 機内側
Claims (5)
- 回転軸とハウジングとの間をシールするメカニカルシールであって、
シールリングと、該シールリングに対向摺接するメイティングリングと、を備え、前記シールリング及びメイティングリングの一方がハウジングに支持され、他方が回転軸に支持され回転軸と共に回転する構成で、
前記シールリングはベローズを介して支持され、前記ベローズは、その一端にシールリングを保持するためのリテーナが溶接固定され、他端にカラーが溶接固定された一体構造のベローズ組立体として構成されているベローズ型メカニカルシールにおいて、
前記ベローズ、リテーナ及びカラーが溶接された後のベローズ組立体の全表面が、物理的蒸着法により生成された耐食被膜によって被覆されていることを特徴とするベローズ型メカニカルシール。 - 耐食被膜が耐食性を有する窒化金属系の材料によって構成されている請求項1に記載のべローズ型メカニカルシール。
- 耐食被膜の厚みが10μm以下である請求項1または2に記載のベローズ型メカニカルシール。
- シールリングを保持するリテーナの材料は、シールリングと熱膨張係数が近似しているかそれよりも低い材料である請求項1乃至3のいずれかの項に記載のベローズ型メカニカルシール。
- シールリングがリテーナと遊離し、上記シールリングのリテーナ側端面とリテーナのシールリング側の端面が、互いに円周方向に摺動自在に密接する連結構造となっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載のベローズ型メカニカルシール。
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