JP5071886B2 - シール構造 - Google Patents

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本発明は、回転軸と静止部材との間における流体の軸方向の移動を制限するためのシール構造に関する。
回転流体機械においては、回転軸とこれを囲む静止部材との間における流体の軸方向の移動を制限するためのシール構造が設けられる。例えば、過給機におけるシール構造は、タービン側からベアリングハウジング側への排気ガスの漏れ、及び、コンプレッサ側からベアリングハウジング側への空気の漏れを防止するために設けられる。なお、上記の排気ガス又は空気の漏れは「ブローバイ」と呼ばれる。
図6は過給機における従来のシール構造の構成図である。図6において、左側は高圧側(タービン側又はコンプレッサ側)であり、右側は回転軸20の軸受側である。回転軸20の外周には環状のリング溝22が形成されており、このリング溝22にはシールリング23が装着されている。シールリング23は、リングの一部が切り欠かれた形状を有しており、自らの張力(広がろうとする力)によってハウジング21の内周面で支持されている。
シールリング23の軸受側の端面23aはリング溝22と接触しており、この接触面がシール面となってシールがなされる。ここで、高圧側の圧力は、シールリング23に対して接触面への押付け力として作用する。回転軸20が軸心20aを中心に回転することで、シールリング20とリング溝22は擦れ合うが、軸受側からは潤滑油ミストが飛散してきて、この潤滑油ミストが接触面に入り込むことで、接触面の摩擦係数を減少させて磨耗を防ぐ。なお、図6と同種のシール構造は、例えば、下記特許文献1に開示されている。
図6のシール構造は、一つのシールリング23でシールするものであるが、より高圧使用条件のもとでは、シール性能を向上させブローバイを低減させるためにシールリングを2つ用いた2重シール構造が採用される。図7は2重シール構造の場合の構成図である。
図7において、回転軸20の外周面には互いに軸方向に離間して環状の第1及び第2のリング溝24、25が形成されており、各リング溝24、25にはそれぞれシールリング(第1リング26及び第2リング27)が装着されている。第1リング26及び第2リング27は、軸受側の端面26a、27aにおいてリング溝24、25と接触しており、各接触面がシール面となってシールがなされる。
なお、図7と同種のシール構造は、例えば、下記特許文献2に開示されている。
特開2006−83779号公報 特開2004−116514号公報
図7に示した従来の2重シール構造において、第1リング26と第2リング27は、仕様(材質及び大きさ)が同一である。しかしながら、高圧側に近い第1リング26が受ける圧力は第2リング27が受ける圧力よりも大きいため、第1リング26の接触面での押付け力は、第2リング27のそれよりも大きい。また、軸受側から遠い第1リング26の接触面に供給される潤滑油は、第2リング27のそれよりも少ない。したがって、第1リングは、第2リングよりも磨耗に関して厳しい環境下に置かれる。
このように、2つのシールリング26、27は圧力条件及び潤滑油条件が異なるにもかかわらず、同一仕様で製作されていた。このため、2つのシールリング26、27の仕様を第2リング27側の条件に適合させると、第1リング26での耐磨耗性能が不足することで第1リング26の磨耗が激しくなってシール性能が損なわれるし、逆に2つのシールリング26、27の仕様を第1リング26側の条件に適合させると、第2リング27に必要以上の耐磨耗性能を与えることになりコストパフォーマンスが悪くなる。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、複数のシールリングを有する多重シール構造において、各シールリングの条件に応じて適切に仕様を設定することで、コストを抑えつつ各シールリングにおいて必要十分な耐磨耗性能を確保することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明のシール構造は、以下の技術的手段を採用する。
(1)本発明は、回転軸と、該回転軸を半径方向に隙間を空けて囲む静止部材との間に設けられ、前記回転軸と前記静止部材との間における流体の軸方向の移動を制限するためのシール構造であって、
前記隙間は軸方向に離間した第1領域と第2領域との間に設けられ、第1領域は第2領域よりも圧力が高く、第2領域は潤滑油が飛散する空間であり、
前記静止部材に対向する前記回転軸の外周面に軸方向に互いに離間して形成された環状の複数のリング溝と、
前記静止部材の内周面で支持され、軸方向に互いに離間して、前記複数のリング溝の各々に収容された複数の金属製のシールリングと、を備え、
各シールリングは、その第2領域側の端面において、対応するリング溝と接触し、
最も第1領域側に配置されたシールリングは、最も第2領域側に配置されたシールリングより硬い材料からなり、
最も第1領域側に配置されたシールリングとリング溝の接触面の少なくとも一方の側には、該接触面の摩擦係数を、最も第2領域側に配置されたシールリングとリング溝の接触面の摩擦係数より低くするコーティングが施されている、ことを特徴とする。
上記の本発明の構成によれば、第1領域側(高圧側)のシールリングほど、接触面への押付け力が増しかつ潤滑油の供給量が少ないために磨耗に関して厳しい環境下に置かれるが、最も第1領域側に配置されたシールリングは、最も第2領域側に配置されたシールリングより硬い材料からなる。これにより、最も第1領域側に配置されたシールリングの母材硬度を上げることで必要十分な耐磨耗性能を与えることができる。
一方で、最も第2領域側に配置されたシールリングについては、最も第1領域側に配置されたシールリングの条件ではなく、最も第2領域側に配置されたシールリングの条件に合わせて製作できるので、必要以上の耐磨耗性能を与えることがなく、コストを抑えることができる。
(2)また本発明は、回転軸と、該回転軸を半径方向に隙間を空けて囲む静止部材との間に設けられ、前記回転軸と前記静止部材との間における流体の軸方向の移動を制限するためのシール構造であって、前記隙間は軸方向に離間した第1領域と第2領域との間に設けられ、第1領域は第2領域よりも圧力が高く、第2領域は潤滑油が飛散する空間であり、前記静止部材に対向する前記回転軸の外周面に軸方向に互いに離間して形成された環状の複数のリング溝と、前記静止部材の内周面で支持され、軸方向に互いに離間して、前記複数のリング溝の各々に収容された複数のシールリングと、を備え、各シールリングは、その第2領域側の端面において、対応するリング溝と接触し、最も第1領域側に配置されたシールリングの軸方向投影面積は、最も第2領域側に配置されたシールリングの軸方向投影面積よりも小さい、ことを特徴とする。
上記の本発明の構成によれば、第1領域側のシールリングほど、接触面への押付け力が増しかつ潤滑油の供給量が少ないために磨耗に関して厳しい環境下に置かれるが、最も第1領域側に配置されたシールリングの軸方向投影面積は、最も第2領域側に配置されたシールリングの軸方向投影面積よりも小さい。これにより、最も第1領域側に配置されたシールリングの圧力を受ける面積が減少し、接触面(シール面)にかかる垂直抗力が減少するため、摩擦力が減少する。したがって、最も第1領域側に配置されたシールリングに必要十分な耐磨耗性能を与えることができる。
一方で、最も第2領域側に配置されたシールリングについては、最も第1領域側に配置されたシールリングの条件ではなく、最も第2領域側に配置されたシールリングの条件に合わせて製作できるので、必要以上の耐磨耗性能を与えることがなく、コストを抑えることができる。
(3)また上記(1)のシール構造において、最も第1領域側に配置されたシールリングは、最も第2領域側に配置されたシールリングの外径より小さい外径を有し、かつ、その第2領域側の端面の全面がリング溝と接触するシール面となっていることを特徴とする。
上記の構成によれば、最も第1領域側に配置されたシールリングは、第2領域側の端面の全面がリング溝と接触するシール面となっているので、接触面(シール面)の面積を大きく取ることができる。これにより接触面における応力を低減することで摩擦力が減少するので、最も第1領域側に配置されたシールリングの耐磨耗性能をより効果的に上げることができる。
(4)また本発明は、回転軸と、該回転軸を半径方向に隙間を空けて囲む静止部材との間に設けられ、前記回転軸と前記静止部材との間における流体の軸方向の移動を制限するためのシール構造であって、前記隙間は軸方向に離間した第1領域と第2領域との間に設けられ、第1領域は第2領域よりも圧力が高く、第2領域は潤滑油が飛散する空間であり、前記静止部材に対向する前記回転軸の外周面に軸方向に互いに離間して形成された環状の複数のリング溝と、前記静止部材の内周面で支持され、軸方向に互いに離間して、前記複数のリング溝の各々に収容された複数のシールリングと、を備え、各シールリングは、その第2領域側の端面において、対応するリング溝と接触し、最も第1領域側に配置されたシールリングのシール面となる端面には、最も第2領域側に配置されたシールリングより硬い材料からなるコーティングが施されている、ことを特徴とする。
上記の本発明の構成によれば、第1領域側のシールリングほど、接触面への押付け力が増しかつ潤滑油の供給量が少ないために磨耗に関して厳しい環境下に置かれるが、最も第1領域側に配置されたシールリングのシール面には、最も第2領域側に配置されたシールリングより硬い材料からなるコーティングが施されている。これにより、最も第1領域側に配置されたシールリングの接触面(シール面)の表面硬度を上げることで必要十分な耐磨耗性能を与えることができる。
一方で、最も第2領域側に配置されたシールリングについては、最も第1領域側に配置されたシールリングの条件ではなく、最も第2領域側に配置されたシールリングの条件に合わせて製作できるので、必要以上の耐磨耗性能を与えることがなく、コストを抑えることができる。
上記の本発明の構成によれば、第1領域側のシールリングほど、接触面への押付け力が増しかつ潤滑油の供給量が少ないために磨耗に関して厳しい環境下に置かれるが、最も第1領域側に配置されたシールリングとリング溝の接触面の少なくとも一方の側には、該接触面の摩擦係数が、最も第2領域側に配置されたシールリングとリング溝の接触面の摩擦係数より低くなるようにコーティングが施されている。これにより、最も第1領域側に配置されたシールリングの接触面(シール面)の摩擦係数を下げることで必要十分な耐磨耗性能を与えることができる。
一方で、最も第2領域側に配置されたシールリングについては、最も第1領域側に配置されたシールリングの条件ではなく、最も第2領域側に配置されたシールリングの条件に合わせて製作できるので、必要以上の耐磨耗性能を与えることがなく、コストを抑えることができる。
上述したように、本発明のシール構造によれば、各シールリングの条件に応じて適切に仕様を設定することで、コストを抑えつつ各シールリングにおいて必要十分な耐磨耗性能を確保できる。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
また以下では、車両用過給機におけるシール構造について説明するが、本発明はこれに限定されず、他の回転流体機械のシール構造においても適用可能である。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるシール構造10Aの構成図である。
シール構造10Aは、軸心2aを中心に回転する回転軸2と、回転軸2を半径方向に隙間を空けて囲む静止部材であるハウジング3との間に設けられ、回転軸2と静止部材であるハウジング3との間における流体の軸方向の移動を制限する。上記の隙間は軸方向に離間した第1領域である高圧側(タービン側又はコンプレッサ側)と第2領域である軸受側との間に設けられている。高圧側は軸受側よりも圧力が高く、軸受側は潤滑油が飛散する空間である。
ハウジング3の内周面に対向する回転軸2の外周面には互いに軸方向に離間して環状の第1及び第2のリング溝11、12が形成されており、各リング溝11、12にはそれぞれシールリング(第1リング13及び第2リング14)が収容されている。
第1リング13及び第2リング14は、リングの一部が切り欠かれた形状を有しており、自らの張力(広がろうとする力)によってハウジング3の内周面で支持されている。図1の構成例では、ハウジング3において、第1リング13と第2リング14を支持する部分の内周径は同じあり、第1リング13と第2リング14の外周径及び軸方向投影面積も同じである。
第1リング13及び第2リング14は、軸受側の端面13a、14aにおいてそれぞれ第1リング溝11及び第2リング溝12と接触しており、各接触面がシール面となってシールがなされる。
第1リング13は第2リング14より硬い材料からなる。第1リング13と第2リング14の材料の組み合わせの一例としては、第1リング13がHRC45〜60の硬さを有するAISI M2(JIS規格SKH51相当)であり、第2リング14がHRC46以下の硬さを有するAISI 420(JIS規格SUS420J2相当)である。
高圧側の圧力は、第1リング13及び第2リング14に対して接触面への押付け力として作用する。回転軸2が軸心2aを中心に回転することで、各シールリング11、12とこれに対応する各リング溝13,14は擦れ合うが、軸受側からは潤滑油ミストが飛散してきて、この潤滑油ミストが接触面に入り込むことで、接触面の摩擦係数を減少させて磨耗を防ぐ。
上記の本実施形態の構成によれば、第1リング13は第2リング14よりも、接触面への押付け力が増しかつ潤滑油の供給量が少ないために磨耗に関して厳しい環境下に置かれるが、第1リング13は、第2リング14より硬い材料からなる。これにより、第1リング13の母材硬度を上げることで必要十分な耐磨耗性能を与えることができる。
一方で、第2リング14については、第2リング14の条件ではなく、第2リング14の条件に合わせて製作できるので、必要以上の耐磨耗性能を与えることがなく、コストを抑えることができる。
なお、図1の構成例では、2つのシールリングとリング溝により構成された2重シール構造を示しているが、本発明はこれに限定されず、3つ以上のシールリングとリング溝により構成されたシール構造においても適用可能である。この場合、最も高圧側に配置されたシールリングは最も軸受側に配置されたシールリングより硬い材料からなる構成とすることにより、上記と同様の効果を得ることができる。
またこの場合、最も高圧側にあるシールリングと最も軸受側にあるシールリング以外のシールリングについては、接触面への押付け力と潤滑油の供給量は、最も高圧側にあるシールリングと最も軸受側にあるシールリングの中間であり、必要とされる耐磨耗性能に応じて、最も軸受側にあるシールリングより硬い材料で構成してよい。
図2は、本発明の第2実施形態にかかるシール構造10Bの構成図である。
本実施形態においても、ハウジング3の内周面に対向する回転軸2の外周面には互いに軸方向に離間して環状の第1及び第2のリング溝11、12が形成されており、各リング溝11、12にはそれぞれシールリング(第1リング13及び第2リング14)が収容されている。
本実施形態において、第1リング13の軸方向投影面積は、第2リング14の軸方向投影面積よりも小さい。図2の構成例において具体的には、第1リング13の外径を第2リング14の外径よりも小さくすることで、第1リング13の軸方向投影面積を第2リング14の軸方向投影面積よりも小さくしている。また第1リング13は、軸受側の端面13aの全面が第1リング溝11と接触するシール面となっている
第1リング13と第2リング14の外径の違いに対応するため、ハウジング3において、第1リング13を支持する内周面4aの内径は、第2リング14を支持する内周面4bの内径よりも小さくなっている。
本実施形態の他の部分の構成については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
上記の本実施形態の構成によれば、第1リング13の軸方向投影面積は、第2リング14の軸方向投影面積よりも小さいので、第1リング13の圧力を受ける面積が減少し、接触面(シール面)にかかる垂直抗力が減少するため、摩擦力が減少する。したがって、第1リング13に必要十分な耐磨耗性能を与えることができる。
一方で、第2リング14については、第1リング13の条件ではなく、第2リング14の条件に合わせて製作できるので、必要以上の耐磨耗性能を与えることがなく、コストを抑えることができる。
また、本実施形態の構成によれば、第1リング13は、軸受側の端面13aの全面がリング溝と接触するシール面となっているので、接触面(シール面)の面積を大きく取ることができる。これにより接触面における応力を低減することで摩擦力が減少するので、第1リング13の耐磨耗性能をより効果的に上げることができる。
なお、図2の構成例では、2つのシールリングとリング溝により構成された2重シール構造を示しているが、本発明はこれに限定されず、3つ以上のシールリングとリング溝により構成されたシール構造においても適用可能である。この場合、最も高圧側に配置されたシールリングの軸方向投影面積を、最も高圧側に配置されたシールリングの軸方向投影面積よりも小さくすることで、上記と同様の効果を得ることができる。
またこの場合、最も高圧側に配置されたシールリングを、最も軸受側に配置されたシールリングの外径より小さい外径を有するものとし、かつ、その軸受側の端面の全面がリング溝と接触するシール面となる構成とすることで、上記と同様の効果を得ることができる。
またこの場合、最も高圧側にあるシールリングと最も軸受側にあるシールリング以外の中間のシールリングについては、接触面への押付け力と潤滑油の供給量が、最も高圧側にあるシールリングと最も軸受側にあるシールリングの中間であり、必要とされる耐磨耗性能に応じて、最も軸受側にあるシールリングの外径より小さくして軸方向投影面積を小さくし、かつ、軸受側の端面の全面がリング溝と接触するシール面となる構成としてよい。
図3は、本発明の第3実施形態にかかるシール構造10Cの構成図である。
本実施形態においても、ハウジング3の内周面に対向する回転軸2の外周面には互いに軸方向に離間して環状の第1及び第2のリング溝11、12が形成されており、各リング溝11、12にはそれぞれシールリング(第1リング13及び第2リング14)が収容されている。
本実施形態において、第1リング13のシール面となる端面13aには、第2リング14より耐磨耗性を向上させる表面処理層15が形成されている。この表面処理層15は、第2リング14より硬い材料からなるコーティング、又は接触面の摩擦係数が、第2リング14と第2リング溝12の接触面の摩擦係数より低くなるようなコーティングである。
表面処理層15として、第2リング14より硬い材料からなるコーティングを採用する場合、このようなコーティングはタフトライド処理や窒化処理によって形成することができる。タフトライド処理は、迅速塩浴軟窒化処理の一種で、窒素と炭素が鋼材の表面に侵入して窒化と浸炭が進行するもので、HRC55〜60の表面硬度をもつ。窒化処理は表面硬化の一方法で、鋼をアンモニアガス中で加熱するガス窒化法と、グロー放電を利用し窒素プラズマ中に鋼を保持するイオン窒化法がある。窒化鋼にはAl、Cr、Mo、Vなどの窒化物を形成しやすい合金元素が含まれ、この鋼を500℃付近の温度で窒化すると、表面層のフェライト中に窒素が浸透し、窒化物が析出して硬化するとともに、表面に残留応力が生じる。
このように、第1リング13のシール面に、表面処理層15として、第2リング14より硬い材料からなるコーティングを施すことにより、第1リング13の接触面(シール面)の表面硬度を上げることで必要十分な耐磨耗性能を与えることができる。一方で、第2リング14については、第1リング13の条件ではなく、第2リング14の条件に合わせて製作できるので、必要以上の耐磨耗性能を与えることがなく、コストを抑えることができる。
また、表面処理層15として、接触面の摩擦係数を、第2リング14と第2リング溝12の接触面の摩擦係数より低くする(つまり潤滑性を向上させる)コーティングを採用する場合、このようなコーティングは、水蒸気処理や樹脂コートによって形成することができる。水蒸気処理は、水蒸気を利用して、金属製品の表面に酸化被膜を形成させる処理、もしくは、水蒸気中で加熱して表面に四三酸化鉄を生じさせる処理であり、潤滑能力を向上させることができる。樹脂コートは、潤滑性を向上させる機能性「固体潤滑膜」が代表例であり、潤滑塗膜として粘結樹脂・ベース樹脂に減摩剤(テフロン(登録商標)、二硫化モリブデン、黒鉛など)を配合したものが用いられる。
このように、第1リング13のシール面に表面処理層15として、接触面の摩擦係数を、第2リング14とリング溝の接触面の摩擦係数より低くするコーティングを施すことにより、第1リング13の接触面(シール面)の摩擦係数を下げることで必要十分な耐磨耗性能を与えることができる。一方で、第2リング14については、第1リング13の条件ではなく、第2リング14の条件に合わせて製作できるので、必要以上の耐磨耗性能を与えることがなく、コストを抑えることができる。
本実施形態の他の部分の構成については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
なお、図3の構成例では、第1リング13の表面全体に表面処理層15が形成されているが、表面処理層15はシール面となる部分にのみ形成してもよい。また、図3の構成例では、接触面の摩擦係数を第2リング14と第2リング溝12の接触面の摩擦係数より低くするコーティングは、第1リング13側の接触面に形成されているが、第1リング溝11側の接触面に形成してもよく、第1リング13と第1リング溝11の両方の接触面に形成してもよい。
図3の構成例では、2つのシールリングとリング溝により構成された2重シール構造を示しているが、本発明はこれに限定されず、3つ以上のシールリングとリング溝により構成されたシール構造においても適用可能である。この場合、最も高圧側に配置されたシールリングのシール面となる端面に、最も軸受側に配置されたシールリングより硬い材料からなるコーティングを施すことで、上記と同様の効果を得ることができる。また、最も高圧側に配置されたシールリングとリング溝の接触面の少なくとも一方の側に、接触面の摩擦係数を、最も軸受側に配置されたシールリングとリング溝の接触面の摩擦係数より低くするコーティングを施すことにより、上記と同様の効果を得ることができる。
またこの場合、最も高圧側にあるシールリングと最も軸受側にあるシールリング以外のシールリングについては、接触面への押付け力と潤滑油の供給量は、最も高圧側にあるシールリングと最も軸受側にあるシールリングの中間であり、必要とされる耐磨耗性能に応じて、接触面に、最も軸受側にあるシールリングより耐磨耗性を向上させる表面処理層を形成してよい。
上述した第1〜第3の実施形態は、自由に組み合わせて構成してもよい。
すなわち、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、第1リング13を第2リング14より硬い材料で構成し、かつ、第1リング13の軸方向投影面積を第2リング14の軸方向投影面積より小さくした構成を採用してもよい。
また、第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせて、第1リング13を第2リング14より硬い材料で構成し、かつ、第1リング13の接触面に第2リング14の接触面よりも耐磨耗性を向上させる表面処理層を形成した構成を採用してもよい。
また、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて、第1リング13の軸方向投影面積を第2リング14の軸方向投影面積より小さくし、かつ、第1リング13の接触面に第2リング14の接触面よりも耐磨耗性を向上させる表面処理層を形成した構成を採用してもよい。
また、第1〜第3の実施形態を全て組み合わせて、第1リング13を第2リング14より硬い材料で構成し、第1リング13の軸方向投影面積を第2リング14の軸方向投影面積より小さくし、かつ、第1リング13の接触面に第2リング14の接触面よりも耐磨耗性を向上させる表面処理層を形成した構成を採用してもよい。
上述した第1実施形態(図1)及び第3実施形態(図3)では、第1リング13と第2リング14は外径が同じであるため、幅が同じであると相互に区別がつかず誤って装着する恐れがある。そこで、このような誤組みを未然に防止するため、以下に説明する誤組み防止構造を採用するのがよい。
ここで、誤組み防止構造が適用される回転軸2には、図4に示すように、例えばタービンインペラ5と回転軸2とが一体形成されたもののように、第1リング13と第2リング14の回転軸2への挿入方向が一方向(図4で左に向かう方向)のみに限定されるものがある。
図5は、誤組み防止構造の一構成例を示す図であり、図4の第1リング13及び第2リング14の周辺拡大断面図である。
図5では、上述した第1実施形態のシール構造に適用した構成例を示すが、以下に説明する誤組み防止構造は、第3実施形態のシール構造においても同様に適用可能である。
図5において、第1リング溝11の溝幅(軸方向寸法)は第2リング溝12の溝幅よりも大きく、第1リング13の幅(軸方向寸法)は第2リング14の幅よりも大きい。また、第1リング13の幅L1は第2リング溝12の溝幅L2よりも大きい。この構成により、回転軸2に第1リング13と第2リング14を装着する際に、誤って先に幅の小さい第2リング14を挿入し第1リング溝11に装着してしまっても、幅の大きい第1リング13は幅の狭い第2リング溝12に装着できないため、作業者は誤組みであることを認識できる。
図5の構成例では、挿入方向の前方側の第1リング13及び第1リング溝11の幅を、第2リング14及び第2リング溝12のそれに対して大きくしているが、大小関係は逆であってもよい。この場合でも、幅の大きいほうのシールリングは幅の小さいほうのリング溝に装着できないため、作業者は誤組みであることを認識できる。
ただし、図5の構成例のように、第1リング13と第2リング14の回転軸2への挿入方向が一方向のみに限定される場合は、挿入方向の前方側の第1リング13及び第1リング溝11の幅を、第2リング14及び第2リング溝12のそれよりも大きくするのがよい。この構成により、正しい装着順序では第1リング13が先に装着されることになるが、図5の挿入方向で第1リング13を挿入したとき、第2リング溝12に嵌ることなく通過できるので、装着作業をスムーズに行うことができる。
なお、上記の誤組み防止構造は、3つ以上のシールリングとリング溝により構成されたシール構造においても適用可能である。この場合、3つ以上のシールリングの幅は全て異なり、各シールリングが収容される3つ以上のリング溝の溝幅は全て異なり、かつ、最も小さい幅のシールリング以外のシールリングの幅は、自身より小さい他のシールリングが収容されるリング溝の溝幅よりも大きく設定されることで、上記と同様に誤組みを防止できる。またこの場合において、シールリングの挿入方向が一方向のみに限定される場合は、シールリング及びリング溝の幅は、挿入方向の前方側に配置されるものほど大きく設定されるのが好ましく、この構成により、上記と同様に装着作業をスムーズに行うことができる。
上記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の第1実施形態にかかるシール構造の構成図である。 本発明の第2実施形態にかかるシール構造の構成図である。 本発明の第3実施形態にかかるシール構造の構成図である。 誤組み防止構造の一構成例を示す図である。 誤組み防止構造の一構成例を示す別の図である。 過給機における従来のシール構造の構成図である。 過給機における従来の別のシール構造の構成図である。
符号の説明
2 回転軸
2a 軸心
3 ハウジング
4、4a、4b ハウジングの内周面
10A、10B、10C シール構造
11 第1リング溝
12 第2リング溝
13 第1リング
13a 第1リングの端面
14 第2リング
14a 第2リングの端面
15 表面処理層

Claims (4)

  1. 回転軸と、該回転軸を半径方向に隙間を空けて囲む静止部材との間に設けられ、前記回転軸と前記静止部材との間における流体の軸方向の移動を制限するためのシール構造であって、
    前記隙間は軸方向に離間した第1領域と第2領域との間に設けられ、第1領域は第2領域よりも圧力が高く、第2領域は潤滑油が飛散する空間であり、
    前記静止部材に対向する前記回転軸の外周面に軸方向に互いに離間して形成された環状の複数のリング溝と、
    前記静止部材の内周面で支持され、軸方向に互いに離間して、前記複数のリング溝の各々に収容された複数の金属製のシールリングと、を備え、
    各シールリングは、その第2領域側の端面において、対応するリング溝と接触し、
    最も第1領域側に配置されたシールリングは、最も第2領域側に配置されたシールリングより硬い材料からなり、
    最も第1領域側に配置されたシールリングとリング溝の接触面の少なくとも一方の側には、該接触面の摩擦係数を、最も第2領域側に配置されたシールリングとリング溝の接触面の摩擦係数より低くするコーティングが施されている、ことを特徴とするシール構造。
  2. 最も第1領域側に配置されたシールリングの軸方向投影面積は、最も第2領域側に配置されたシールリングの軸方向投影面積よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
  3. 最も第1領域側に配置されたシールリングは、最も第2領域側に配置されたシールリングの外径より小さい外径を有し、かつ、その第2領域側の端面の全面がリング溝と接触するシール面となっている、請求項2記載のシール構造。
  4. 最も第1領域側に配置されたシールリングのシール面となる端面には、最も第2領域側に配置されたシールリングより硬い材料からなるコーティングが施されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
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