JP2000097349A - ベローズ型メカニカルシール - Google Patents

ベローズ型メカニカルシール

Info

Publication number
JP2000097349A
JP2000097349A JP10270705A JP27070598A JP2000097349A JP 2000097349 A JP2000097349 A JP 2000097349A JP 10270705 A JP10270705 A JP 10270705A JP 27070598 A JP27070598 A JP 27070598A JP 2000097349 A JP2000097349 A JP 2000097349A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bellows
ring
rotating
retainer
side retainer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10270705A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4234821B2 (ja
Inventor
Hidekazu Takahashi
秀和 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eagle Industry Co Ltd
Original Assignee
Eagle Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eagle Industry Co Ltd filed Critical Eagle Industry Co Ltd
Priority to JP27070598A priority Critical patent/JP4234821B2/ja
Publication of JP2000097349A publication Critical patent/JP2000097349A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4234821B2 publication Critical patent/JP4234821B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベローズ型メカニカルシール10において、
ベローズ14やメイティングリング16等の部品を交換
する際の費用を軽減し、また耐久性及びシール性に優れ
た構造とする。 【解決手段】 固定環が静止側リテーナ15とその筒状
フランジ15cにOリング152を介して着脱自在に嵌
着されたメイティングリング16からなる。メイティン
グリング16はバッフルスリーブ17の外周に軸方向移
動自在にかつ回り止めされた状態に支持され、静止側リ
テーナ15は、ハウジング20の内周に気密的に固定さ
れるケース13にベローズ14を介して弾性的に支持さ
れる。ベローズ14は軸方向一端の第一のアダプタ14
2がケース13の筒状フランジ13aにOリング133
を介して着脱自在に嵌着され、軸方向他端の第二のアダ
プタ143が静止側リテーナ15の筒状フランジ15b
にOリング151を介して着脱自在に嵌着されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軸封技術に属し、特
に、固定環を回転環に弾性的に押圧する手段及びハウジ
ング側と固定環との間を密封する手段としてベローズを
用いた構造を有する、ベローズ型メカニカルシールに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ベローズ型メカニカルシールの典型的な
従来技術としては、例えば図2に示すようなものがあ
る。すなわちこのメカニカルシールは、回転軸102の
外周に回転側リテーナ201を介して取り付けられるこ
とにより前記回転軸102と一体的に回転されるシール
リング202に対し、ハウジング101の軸孔内周に気
密的に固定されるケース203に金属製ベローズ204
及び静止側リテーナ205を介して弾性的に設けられた
非回転のメイティングリング206が気密摺接すること
によって、その摺動面Sで軸封機能を営み、機外B側へ
の密封対象流体Aの漏洩を阻止するものである。
【0003】回転側リテーナ201は、複数のセットス
クリュ201aで回転軸102に固定されたカラー20
1bに支持されている。静止側のベローズ204は、ベ
ローズコア204aと、このベローズコア204aの軸
方向両端に一体的に接合された第一及び第二のアダプタ
204b,204cからなり、第一のアダプタ204b
がケース203に、第二のアダプタ204cが静止側リ
テーナ205に溶接等により一体化されている。また、
シールリング202及びメイティングリング206は回
転側リテーナ201及び静止側リテーナ205に焼き嵌
め等によって一体的に接合されている。
【0004】ケース203にはバッフルスリーブ207
が取り付けられており、このバッフルスリーブ207
は、ケース203の内周からベローズ204の内周側を
延びてメイティングリング206の内周位置に達してい
る。ハウジング101は、クエンチング液供給孔101
a及びクエンチング液排出孔101bを有し、前記クエ
ンチング液供給孔101aから供給されるクエンチング
液Cが、図中太矢印で示すように、ケース203に径方
向に開設された連通孔203aから、ベローズ204と
バッフルスリーブ207との間及びシールリング202
とメイティングリング206との摺動部の内周空間を経
由し、更に前記バッフルスリーブ207と回転軸102
との間を通ってクエンチング液排出孔101bから排出
されるようになっている。ハウジング101の機外側の
軸孔端部内周には、クエンチング液Cが機外に流出する
のを防止するためにパッキン103が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は次のような種々の問題が指摘される。まず第一に、こ
の種のベローズ型メカニカルシールにおける主な消耗部
品は、シールリング202、メイティングリング206
及びベローズ204であるが、シールリング202と回
転側リテーナ201は焼き嵌め等により一体化されてお
り、メイティングリング206と静止側リテーナ205
も同様であり、また、ケース203、ベローズ204及
び静止側リテーナ205が溶接W等により互いに一体化
されているので、分離できない構造となっている。この
ため、シールリング202に異常摩耗や損傷を生じた場
合にはこのシールリング202のみを分離して交換する
ことができず、また、メイティングリング206に異常
摩耗や損傷を生じた場合や、ベローズ204に疲労損傷
等が生じた場合には、互いに一体であるケース203、
ベローズ204、静止側リテーナ205及びメイティン
グリング206を一度に交換する必要があり、補修コス
トが高くなる問題がある。
【0006】また第二に、静止側リテーナ205とバッ
フルスリーブ207の外周面との間には、クエンチング
液の円滑な流通を許容するための適当なクリアランスが
設けられており、したがって、シールリング202とメ
イティングリング206が摺動時にスティック−スリッ
プ現象を生じたり、外部から伝達振動等が入力された場
合に、これによってベローズ204が大きく振動しやす
い。このため、ベローズコア204aが早期に疲労破損
を来したり、シールリング202とメイティングリング
206の摺動面に面開きを生じて密封性能が低下するお
それがある。
【0007】また第三に、回転側においては、カラー2
01bを固定するセットスクリュ201aと、回転軸1
02及び回転側リテーナ201との間に介在されるOリ
ング201c,201dが回転側リテーナ201及びカ
ラー201bに対して軸方向に大きく偏った位置にある
ため、回転側リテーナ201、ひいてはこれに嵌着され
たシールリング202が回転軸102に対して僅かに傾
斜した状態に装着されやすい。そして、図示のベローズ
型メカニカルシールのように、シールリング202が極
小幅の摺動部でメイティングリング206に摺接するも
のの場合は、メイティングリング206の摺動面にシー
ルリング202の摺動面が食い込むような摩耗が発生す
るため、前記のようにシールリング202が傾斜してい
る場合は、メイティングリング206の摺動面に食い込
み状態となっている極小幅の摺動部が、回転に伴う摺動
位置の変化によって損傷を受けるおそれがある。
【0008】本発明は、上記のような事情のもとになさ
れたもので、その主な技術的課題とするところは、ベロ
ーズ型メカニカルシールにおいて、固定環やベローズ等
の部品を交換する際のコストを軽減し、またベローズの
振動を抑制し、耐久性及びシール性に優れたシール構造
とすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を有
効に解決するための手段として、本発明に係るベローズ
型メカニカルシールは、回転軸の外周に固定されてこの
回転軸と一体的に回転される回転環と、ハウジングの軸
孔内周に気密的に固定されたケースにベローズを介して
弾性的に支持され前記回転環に摺接される固定環とを備
え、前記ベローズの一端に設けられた第一のアダプタ及
び軸方向他端に設けられた第二のアダプタが、それぞれ
パッキンを介して前記ケース及び前記固定環に着脱自在
に嵌着される。そしてこの場合一層好ましくは、ベロー
ズの第一及び第二のアダプタの内周面に治具掛合用の掛
合部が形成される。
【0010】すなわち本発明によれば、ベローズがケー
ス及び固定環と分離可能であるため、ベローズが破損し
たりした場合にこのベローズのみを交換することができ
る。そして、その交換の際には、ベローズの第一及び第
二のアダプタの内周面に形成された掛合部に適当な治具
を掛合することによって、前記ベローズとケース及び固
定環との分離作業を容易に行うことができる。
【0011】本発明のベローズ型メカニカルシールにお
いて、ケースにベローズの内周側を固定環の内周位置ま
で延びてクエンチング流路を形成するバッフルスリーブ
が固定された場合は、このバッフルスリーブ及び前記固
定環にこの固定環を軸方向移動自在に回り止めする係止
機構を設ける。このようにすれば、回転環との摺動によ
る固定環の摺動トルクをバッフルスリーブで受けること
になり、前記摺動トルクによるベローズの捩り変形が有
効に抑制される。
【0012】またこの場合一層好ましくは、固定環の内
周部をバッフルスリーブの外周面に軸方向移動自在に支
持すると共に、前記固定環の内周部に、クエンチング液
流通用切欠を形成する。このようにすれば、ベローズの
振動が固定環を介してバッフルスリーブにより規制さ
れ、バッフルスリーブとベローズの間の隙間から固定環
と回転環の摺動部内周側へのクエンチング液の円滑な流
通が、前記固定環の内周部に形成されたクエンチング液
流通用切欠により確保される。
【0013】また、本発明においては、例えば回転環
が、回転軸の外周にセットスクリュを介して固定される
回転側リテーナと、この回転側リテーナに嵌着されたシ
ールリングとからなり、固定環が、ベローズの第二のア
ダプタにパッキンを介して着脱自在に嵌着された静止側
リテーナと、この静止側リテーナに嵌着されて前記シー
ルリングと摺接されるメイティングリングとからなる。
そしてこの場合、前記回転側リテーナと前記シールリン
グとの嵌着部、前記ベローズの第一のアダプタとケース
との嵌着部、前記ベローズの第二のアダプタと前記静止
側リテーナとの嵌着部、及び前記静止側リテーナと前記
メイティングリングとの嵌着部のうち、二箇所以上の嵌
着部を互いに同一の半径とする。このようにすれば、同
一半径の嵌着部に介装されるパッキンもそれぞれ同一半
径のものを用いることができるので、装着作業の煩雑化
を防止できる。
【0014】この場合、例えば静止側リテーナに、ベロ
ーズの第二のアダプタとの嵌着部及びメイティングリン
グとの嵌着部を軸方向に対して互いに対称に形成する。
このようにすれば、前記静止側リテーナに組み誤りを生
じるおそれがない。また、回転側リテーナがその軸方向
両端近傍の内周面に配置されたパッキンを介して回転軸
の外周面に外挿され、セットスクリュが前記回転側リテ
ーナの軸方向略中間を貫通して配置された構成とすれ
ば、セットスクリュの締め付けによって、回転側リテー
ナ、ひいてはこれに嵌着されたシールリングが回転軸に
対して傾斜することがなく、安定した摺動状態が確保さ
れる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るベローズ型
メカニカルシール10の好ましい一実施形態を装着状態
で示すもので、参照符号20は機器のハウジング、30
はこのハウジング20の内周に回転自在に挿通された回
転軸、Aは機内の密封対象流体、Bは機外(大気)であ
る。ベローズ型メカニカルシール10は、回転軸30の
外周に装着された回転環を構成する回転側リテーナ11
及びシールリング12と、ハウジング20の内周に気密
的に固定されるケース13と、このケース13に取り付
けられる金属製のベローズ14と、このベローズ14の
自由端に取り付けられて固定環を構成する静止側リテー
ナ15及びメイティングリング16と、前記ケース13
に固定されてベローズ14の内周側をメイティングリン
グ16の内周位置まで延びるバッフルスリーブ17とを
備える。
【0016】回転側リテーナ11は、例えばSUS等の
鋼材からなるものであって、機外B側を向いた端部外周
にシールリング保持用の筒状フランジ11aが形成さ
れ、内周面における軸方向両端近傍部に円周方向に連続
して形成された溝にそれぞれOリング111,112が
配置され、このOリング111,112の装着位置のほ
ぼ中間に径方向に貫通した複数の雌螺子孔11bが円周
方向等間隔で形成され、この雌螺子孔11bにそれぞれ
セットスクリュ113がねじ込まれている。すなわちこ
の回転側リテーナ11は、一対のOリング111,11
2を介して回転軸30の外周面に外挿されると共に、各
雌螺子孔11bにセットスクリュ113をその先端が回
転軸30の外周面に圧接するようにねじ込むことによっ
て、この回転軸30の外周面における軸方向所定位置に
固定される。
【0017】シールリング12は、例えばSiC等の摺
動材料で成形されたものであって、回転側リテーナ11
の筒状フランジ11aの内周にOリング114を介して
着脱自在に嵌着されると共に、その内周部に円周方向等
間隔で形成された切欠部12aが、これに対応して前記
回転側リテーナ11の前面に打ち込まれたノックピン1
15と係合することによって、前記回転側リテーナ1
1、ひいては回転軸30との相対回転が防止され、すな
わち回転軸30と一体的に回転するようになっている。
回転側リテーナ11と反対側を向いたシールリング12
の端部は先細りとなるように内周面及び外周面がテーパ
状に形成されており、すなわちメイティングリング16
との摺動部が細幅に形成されている。
【0018】ハウジング20は、機外側ハウジング部材
21と機内側ハウジング部材22が図示されていないボ
ルト等の結合手段及びガスケット23を介して気密的に
結合されたものである。静止側のケース13は、例えば
SUS等の鋼材で製作されており、その外周部が、前記
機外側ハウジング部材21の内周面と機内側ハウジング
部材22の端面との間に円周方向に連続して形成された
取付凹部20aに、一対のOリング131,132を介
して拘束状態に保持されている。このケース13におけ
る機内側を向いた端部には、後述する第一のアダプタ1
42を保持するための筒状フランジ13aが形成されて
いる。
【0019】ベローズ14は、例えばインコネル等の金
属からなるものであって、薄肉蛇腹状の本体部分である
ベローズコア141と、このベローズコア141の軸方
向両端に溶接によって一体的に接合された第一及び第二
のアダプタ142,143からなる。第一及び第二のア
ダプタ142,143は同一のものであって、軸方向に
対して互いに対称に設けられており、内周面にはそれぞ
れ円周方向に連続した治具掛合溝142a,143aが
形成されている。第一のアダプタ142は、その外周面
がケース13における筒状フランジ13aにOリング1
33を介して着脱自在に嵌着されている。
【0020】静止側リテーナ15は、例えばSUS等の
鋼材で製作されたものであって、軸心を通る平面で切断
した断面形状が略T字形を呈し、すなわち軸方向中央の
径方向部15aと、その外径から軸方向両側へ互いに対
称に突出形成された一対の筒状フランジ15b,15c
を有する。上述したベローズ14における第二のアダプ
タ143は、その外周面が一方の筒状フランジ15bに
Oリング151を介して着脱自在に嵌着されている。先
に説明したように、第一及び第二のアダプタ142,1
43は同一のものであるため、これに嵌着されるケース
13の筒状フランジ13aと、静止側リテーナ15の筒
状フランジ15b,15cは内径が互いに同一である。
【0021】メイティングリング16は、例えばSiC
等の摺動材料で成形されたものであって、上述した静止
側リテーナ15における他方の筒状フランジ15cの内
周にOリング152を介して着脱自在に嵌着され、前記
筒状フランジ15cの内周から突出した端面が、回転側
のシールリング12における細幅の摺動部に摺接され
る。また、メイティングリング16とシールリング12
は外径が互いに同一であり、すなわちこれを嵌着保持し
ている静止側リテーナ15の筒状フランジ15cと回転
側リテーナ11の筒状フランジ11aは内径が互いに同
一である。
【0022】バッフルスリーブ17は、例えばSUS等
の鋼材で製作されたものであって、機外側の基部フラン
ジ17a及びその内径から円筒状に延びるスリーブ本体
17bを有する。前記基部フランジ17aは、ケース1
3における機外側(筒状フランジ13aと反対側)の端
面にボルト134を介して固定されており、前記スリー
ブ本体17bは、ケース13の内周空間、ベローズ14
の内周空間を通って静止側リテーナ15の内周位置に達
している。
【0023】静止側リテーナ15における径方向部15
aの曲面状の内径端部15dは、バッフルスリーブ17
におけるスリーブ本体17bの先端部外周面に微小な隙
間を介して外挿されており、この内径端部15dには、
複数のクエンチング液流通用切欠15eが円周方向所定
間隔で形成されている。また、前記スリーブ本体17b
の先端には軸方向に突出した複数の係合突起17cが円
周方向等間隔で形成されており、一方、メイティングリ
ング16の内周面には複数(係合突起17cと同数)の
係合切欠16aが円周方向等間隔で形成されており、係
止機構を構成するこれら係合突起17cと係合切欠16
aが互いに係合することによって、前記シールリング1
6は、軸方向移動が可能な状態で回り止めされている。
【0024】ハウジング20における機外側ハウジング
部材21には、ケース13の外周部を拘束状態に保持す
る取付凹部20aにおけるOリング131,132の間
の位置に開口したクエンチング液供給孔21aと、前記
取付凹部20aよりも機外側の内周面に開口したクエン
チング液排出孔21bが開設されている。また、前記ケ
ース13には、その外周部における前記Oリング13
1,132の間の位置を円周方向に連続して延びる環状
溝13bと、この環状溝13bにおける円周方向等配位
置から径方向に貫通した複数の連通孔13cが形成され
ている。
【0025】すなわち、ハウジング20のクエンチング
液供給孔21aから、クエンチング液Cが、ケース13
に形成された環状溝13b、連通孔13c、ケース13
とバッフルスリーブ17の間、ベローズ14とバッフル
スリーブ17との間、及び静止側リテーナ15のクエン
チング液流通用切欠15eを通って、シールリング12
とメイティングリング16との摺動部内周空間に流れ込
み、更にここから、前記バッフルスリーブ17と回転軸
30との間の隙間を通って、ハウジング20のクエンチ
ング液排出孔21bから排出されるようになっている。
【0026】なお参照符号24は、クエンチング液Cが
機外に流出するのを防止するために機外側ハウジング部
材21の端部内周面に装着されたパッキンである。また
クエンチング液Cとしては、例えば常温の清水が用いら
れる。
【0027】以上の構成を備えるベローズ型メカニカル
シール10によれば、回転軸30と一体的に回転される
シールリング12に対して、ハウジング20側にケース
13、ベローズ14及び静止側リテーナ15を介して軸
方向移動自在かつバッフルスリーブ17により非回転状
態に保持されたメイティングリング16が摺接されるこ
とによって、その摺動面Sで軸封機能を奏する。シール
リング12とメイティングリング16との摺動面圧は、
ベロースコア141自体の有するバネ性と、クエンチン
グ液Cの圧力による前記ベローズコア141の伸長力と
に依存される。なお、バッフルスリーブ17により前記
摺動面Sの内周を経由して迂回するように供給されるク
エンチング液Cは、摺動熱を除去して前記摺動面Sを適
正な温度に保持すると共に、摺動面Sから漏洩した密封
対象流体Aが機外Bへ流出することがないようにこれを
クエンチング液排出孔21bへ排出するものである。
【0028】非回転のメイティングリング16には、回
転側のシールリング12との摺動による摺動トルクを生
じるが、前記メイティングリング16はその内周面に形
成された係合切欠16aがバッフルスリーブ17の先端
の係合突起17cと係合しているので、前記摺動トルク
はバッフルスリーブ17で受けることになり、ベローズ
14には殆ど伝達されない。このためベローズコア14
1の捩り変形が小さくなり、これによる疲労破損も有効
に防止される。
【0029】シールリング12と摺接しているメイティ
ングリング16には、摺動面Sの潤滑状態等によってス
ティック−スリップ現象を生じることがあるが、このメ
イティングリング16を保持している静止側リテーナ1
5は、径方向部15aの内径端部15dがバッフルスリ
ーブ17のスリーブ本体17bの先端部外周面に隙間嵌
め状態で支持されているため、前記スティック−スリッ
プ現象によるベローズコア141の振動が有効に抑制さ
れる。このため、ベローズコア141の早期疲労が防止
され、前記スティック−スリップ現象自体が抑制されて
摺動面Sにおけるシール性が安定する。
【0030】一方、シールリング12を保持する回転側
リテーナ11と回転軸30との間に介在されるOリング
111,112は、セットスクリュ113のねじ込み位
置の軸方向両側(回転側リテーナ11の軸方向中間部)
に位置しているため、装着の際に、回転側リテーナ11
を前記Oリング111,112を介して外挿することに
よって、この回転側リテーナ11は回転軸30に対する
同心性が確保され、この状態でセットスクリュ113の
ねじ込みによる固定が行われるので、回転軸30に対し
て傾斜した状態に装着されることがない。したがってこ
の回転側リテーナ11に嵌着されたシールリング12
は、回転軸30の軸心に対する摺動面の直角度が高精度
に保持されるので、メイティングリング16との安定し
た密封摺動状態が得られる。
【0031】ベローズ14は、その軸方向一端に設けら
れた第一のアダプタ142が、ケース13における筒状
フランジ13aにOリング133を介して着脱自在に嵌
着されており、同様に、軸方向他端に設けられた第二の
アダプタ143が静止側リテーナ15における一方の筒
状フランジ15bに、Oリング151を介して着脱自在
に嵌着されているため、これらケース13、ベローズ1
4及び静止側リテーナ15は互いに分離可能となってい
る。また、メイティングリング16は静止側リテーナ1
5の筒状フランジ15cの内周にOリング152を介し
て着脱自在に嵌着され、回転側のシールリング12は回
転側リテーナ11の筒状フランジ11aの内周にOリン
グ114を介して着脱自在に嵌着されているため、これ
ら静止側リテーナ15とメイティングリング16、及び
回転側リテーナ11とシールリング12も互いに分離可
能である。
【0032】従来技術において説明したように、この種
のベローズ型メカニカルシールにおける主な消耗部品は
シールリング、メイティングリング及びベローズである
が、この実施形態によれば、上述のように回転側におい
ては回転側リテーナ11とシールリング12、静止側に
おいてはケース13、ベローズ14、静止側リテーナ1
5、メイティングリング16が互いに分離可能である。
このため、シールリング12あるいはメイティングリン
グ16に異常摩耗や損傷を生じた場合は、これを回転側
リテーナ11あるいは静止側リテーナ15から分離して
交換することができ、ベローズコア141に疲労破損や
損傷等を生じた場合には、第一及び第二のアダプタ14
2,143をケース13及び静止側リテーナ15から分
離してベローズ14のみを交換することができる。
【0033】ベローズ14の交換に際して、例えば第一
のアダプタ142をケース13の筒状フランジ13aの
内周から引き抜いて分離する場合は、前記第一のアダプ
タ142の内周面に形成された治具掛合溝142aに適
当な治具を掛合することによって、前記分離作業を容易
に行うことができる。また、第二のアダプタ143を静
止側リテーナ15の筒状フランジ15bの内周から引き
抜いて分離する場合も同様である。
【0034】また上記構成によれば、ベローズ14の仕
様をある程度標準化することが可能となる。すなわち、
ハウジング20の軸孔内径が図示のものと異なる(例え
ば大径である)ような場合は、ケース13の外径のみを
変更することで対応可能である。このため、異なる機器
でもベローズ14を共通の仕様のものを用いることがで
き、ベローズ14の生産性の向上、設計業務の効率の向
上、在庫管理の容易性の向上を図ることができる。
【0035】更に、ケース13の筒状フランジ13a及
び静止側リテーナ15の筒状フランジ15b,15c及
び回転側リテーナ11の筒状フランジ11aは内径が互
いに同一であり、ベローズ14の第一及び第二のアダプ
タ142,143、メイティングリング16及びシール
リング12も外径が互いに同一であるから、ケース13
の筒状フランジ13aと第一のアダプタ142の間を密
封するOリング133、静止側リテーナ15の筒状フラ
ンジ15bと第二のアダプタ143との間を密封するO
リング151、静止側リテーナ15の筒状フランジ15
cとメイティングリング16との間を密封するOリング
152、及び回転側リテーナ11の筒状フランジ11a
とシールリング12との間を密封するOリング114
は、互いに同一仕様(同一半径,同一線径)のものを用
いることができる。したがってここでも、部品の標準化
によって組立作業性の向上や在庫管理の容易性の向上を
図ることができる。
【0036】また、ベローズ14は軸方向に対称な形状
であり、静止側リテーナ15も軸方向に対称な形状であ
るため、ベローズ14をケース13に取り付ける場合に
は第一及び第二のアダプタ142,143の位置関係
(向き)が図示とは逆であっても良く、静止側リテーナ
15をベローズ14に取り付ける場合も同様である。こ
のため、ベローズ14及び静止側リテーナ15の組み誤
りを生じることがなく、組立作業を迅速に行うことがで
きる。
【0037】なお、本発明は、図示の実施形態によって
限定的に解釈されるものではない。例えば、バッフルス
リーブ17とメイティングリング16との係止機構は、
図示のようにな係合突起17cと係合切欠16aによる
もののほか、例えばバッフルスリーブ17の先端部に形
成した係合切欠とメイティングリング16に突設したノ
ックピンによるものなど、種々の形態が採用可能であ
る。また、Oリング111,112,114,133,
151,152等は、他のパッキンに代えても良く、そ
の他の細部の形状等についても、種々の変更が可能であ
る。
【0038】
【発明の効果】本発明に係るベローズ型メカニカルシー
ルによると、静止側のケース、ベローズ及び固定環が互
いに分離可能であり、固定環も静止側リテーナとメイテ
ィングリングとに分離可能であるため、メイティングリ
ングが異常摩耗や損傷を受けた場合はメイティングリン
グのみを、またベローズが破損したりした場合にはベロ
ーズのみを交換することができるため、補修コストを低
減することができる。しかもこれによって、ベローズを
標準化することができるので、コストの低減や生産性の
向上を図ることができる。
【0039】クエンチング流路を形成するバッフルスリ
ーブに、固定環を軸方向移動自在に回り止めする係止機
構を設けることによって、摺動トルクによるベローズの
捩り変形が有効に抑制される。しかも固定環がバッフル
スリーブに支持される構成とすることによって、ベロー
ズの振動も有効に抑制されるので、ベローズの寿命を向
上させることができる。
【0040】また、ベローズやその両端をシールするパ
ッキン等の標準化によって、組み込み性が良く、しかも
高精度に組み込むことが可能になるので、安定した摺動
性及びシール性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るベローズ型メカニカルシールの好
ましい一実施形態の装着状態を、軸心を通る平面で切断
して示す断面図である。
【図2】従来技術に係るベローズ型メカニカルシールの
装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図であ
る。
【符号の説明】 10 メカニカルシール 11 回転側リテーナ 11b セットスクリュ 12 シールリング 13 ケース 14 ベローズ 141 ベローズコア 142 第一のアダプタ 142a,143a 治具係合溝(掛合部) 143 第二のアダプタ 15 静止側リテーナ 16 メイティングリング 16a 係合切欠(係止機構) 17 バッフルスリーブ 17c 係合突起(係止機構) 20 ハウジング 30 回転軸

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸の外周に固定されてこの回転軸と
    一体的に回転される回転環と、 ハウジングの軸孔内周に気密的に固定されたケースにベ
    ローズを介して弾性的に支持され前記回転環に摺接され
    る固定環とを備え、 前記ベローズの軸方向一端に設けられた第一のアダプタ
    及び軸方向他端に設けられた第二のアダプタが、それぞ
    れパッキンを介して前記ケース及び前記固定環に着脱自
    在に嵌着されてなることを特徴とするベローズ型メカニ
    カルシール。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、 ベローズの第一及び第二のアダプタの内周面に治具掛合
    用の掛合部が形成されたことを特徴とするベローズ型メ
    カニカルシール。
  3. 【請求項3】 請求項1の記載において、 ケースにベローズの内周側を固定環の内周位置まで延び
    てクエンチング流路を形成するバッフルスリーブが固定
    され、 このバッフルスリーブ及び前記固定環にこの固定環を軸
    方向移動自在に回り止めする係止機構を有することを特
    徴とするベローズ型メカニカルシール。
  4. 【請求項4】 請求項1の記載において、 回転環が、回転軸の外周にセットスクリュを介して固定
    される回転側リテーナと、この回転側リテーナに嵌着さ
    れたシールリングとからなり、 固定環が、ベローズの第二のアダプタにパッキンを介し
    て着脱自在に嵌着された静止側リテーナと、この静止側
    リテーナに嵌着されて前記シールリングと摺接されるメ
    イティングリングとからなり、 前記回転側リテーナと前記シールリングとの嵌着部、前
    記ベローズの第一のアダプタとケースとの嵌着部、前記
    ベローズの第二のアダプタと前記静止側リテーナとの嵌
    着部、及び前記静止側リテーナと前記メイティングリン
    グとの嵌着部のうち、二箇所以上の嵌着部が互いに同一
    の半径であることを特徴とするベローズ型メカニカルシ
    ール。
  5. 【請求項5】 請求項3の記載において、 固定環の内周部がバッフルスリーブの外周面に軸方向移
    動自在に支持されると共に、前記固定環の内周部に、ク
    エンチング液流通用切欠が形成されたことを特徴とする
    ベローズ型メカニカルシール。
  6. 【請求項6】 請求項4の記載において、 静止側リテーナに、ベローズの第二のアダプタとの嵌着
    部及びメイティングリングとの嵌着部が軸方向に対して
    互いに対称に形成されたことを特徴とするベローズ型メ
    カニカルシール。
  7. 【請求項7】 請求項4の記載において、 回転側リテーナがその軸方向両端近傍の内周面に配置さ
    れたパッキンを介して回転軸の外周面に外挿され、セッ
    トスクリュが前記回転側リテーナの軸方向略中間を貫通
    して配置されていることを特徴とするベローズ型メカニ
    カルシール。
JP27070598A 1998-09-25 1998-09-25 ベローズ型メカニカルシール Expired - Lifetime JP4234821B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27070598A JP4234821B2 (ja) 1998-09-25 1998-09-25 ベローズ型メカニカルシール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27070598A JP4234821B2 (ja) 1998-09-25 1998-09-25 ベローズ型メカニカルシール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000097349A true JP2000097349A (ja) 2000-04-04
JP4234821B2 JP4234821B2 (ja) 2009-03-04

Family

ID=17489821

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27070598A Expired - Lifetime JP4234821B2 (ja) 1998-09-25 1998-09-25 ベローズ型メカニカルシール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4234821B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010116844A1 (ja) 2009-03-30 2010-10-14 イーグル工業株式会社 ベローズ型メカニカルシール
CN105757252A (zh) * 2016-04-26 2016-07-13 成都通密封股份有限公司 低速设备防偏摆跟随密封
US9568108B2 (en) 2009-03-30 2017-02-14 Eagle Industry Co., Ltd. Bellows type mechanical seal
WO2017188024A1 (ja) * 2016-04-27 2017-11-02 イーグル工業株式会社 メカニカルシール

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010116844A1 (ja) 2009-03-30 2010-10-14 イーグル工業株式会社 ベローズ型メカニカルシール
JPWO2010116844A1 (ja) * 2009-03-30 2012-10-18 イーグル工業株式会社 ベローズ型メカニカルシール
JP5558460B2 (ja) * 2009-03-30 2014-07-23 イーグル工業株式会社 ベローズ型メカニカルシール
US9568108B2 (en) 2009-03-30 2017-02-14 Eagle Industry Co., Ltd. Bellows type mechanical seal
CN105757252A (zh) * 2016-04-26 2016-07-13 成都通密封股份有限公司 低速设备防偏摆跟随密封
WO2017188024A1 (ja) * 2016-04-27 2017-11-02 イーグル工業株式会社 メカニカルシール
US10883606B2 (en) 2016-04-27 2021-01-05 Eagle Industry Co., Ltd. Mechanical seal

Also Published As

Publication number Publication date
JP4234821B2 (ja) 2009-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1788290B1 (en) Mechanical seal device
US7708283B2 (en) Mechanical seal assembly
US8517388B2 (en) Bellows type mechanical seal
US8091897B2 (en) Mechanical seal assembly
US4427204A (en) Mechanical end face seal
US20090174149A1 (en) Mechanical seal device
CA2987833C (en) Mechanical seal arrangement with a release protection device
US10883606B2 (en) Mechanical seal
WO2015005422A1 (ja) メカニカルシール
US4266786A (en) Mechanical seal assembly
JP2013177914A (ja) メカニカルシール
JP4234821B2 (ja) ベローズ型メカニカルシール
US8011668B2 (en) Close coupled mechanical seal
CN108692029B (zh) 机械密封件
US6017036A (en) Mechanical shaft seal
JP6612092B2 (ja) メカニカルシール
JP5701683B2 (ja) 軸封装置
JP5924770B2 (ja) メカニカルシール
JP4445932B2 (ja) 軸流型非接触シール
JP7166985B2 (ja) メカニカルシール用回り止めピン
JPH1113894A (ja) メカニカルシール
JP5916571B2 (ja) メカニカルシール
JP3600766B2 (ja) メカニカルシール
JP2023016140A (ja) 軸封装置
JPH075324Y2 (ja) シャットダウンシール機構を備えたメカニカルシール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080319

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080515

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081112

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081212

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111219

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121219

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131219

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term