JP4234821B2 - ベローズ型メカニカルシール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軸封技術に属し、特に、固定環を回転環に弾性的に押圧する手段及びハウジング側と固定環との間を密封する手段としてベローズを用いた構造を有する、ベローズ型メカニカルシールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベローズ型メカニカルシールの典型的な従来技術としては、例えば図2に示すようなものがある。すなわちこのメカニカルシールは、回転軸102の外周に回転側リテーナ201を介して取り付けられることにより前記回転軸102と一体的に回転されるシールリング202に対し、ハウジング101の軸孔内周に気密的に固定されるケース203に金属製ベローズ204及び静止側リテーナ205を介して弾性的に設けられた非回転のメイティングリング206が気密摺接することによって、その摺動面Sで軸封機能を営み、機外B側への密封対象流体Aの漏洩を阻止するものである。
【0003】
回転側リテーナ201は、複数のセットスクリュ201aで回転軸102に固定されたカラー201bに支持されている。静止側のベローズ204は、ベローズコア204aと、このベローズコア204aの軸方向両端に一体的に接合された第一及び第二のアダプタ204b,204cからなり、第一のアダプタ204bがケース203に、第二のアダプタ204cが静止側リテーナ205に溶接等により一体化されている。また、シールリング202及びメイティングリング206は回転側リテーナ201及び静止側リテーナ205に焼き嵌め等によって一体的に接合されている。
【0004】
ケース203にはバッフルスリーブ207が取り付けられており、このバッフルスリーブ207は、ケース203の内周からベローズ204の内周側を延びてメイティングリング206の内周位置に達している。ハウジング101は、クエンチング液供給孔101a及びクエンチング液排出孔101bを有し、前記クエンチング液供給孔101aから供給されるクエンチング液Cが、図中太矢印で示すように、ケース203に径方向に開設された連通孔203aから、ベローズ204とバッフルスリーブ207との間及びシールリング202とメイティングリング206との摺動部の内周空間を経由し、更に前記バッフルスリーブ207と回転軸102との間を通ってクエンチング液排出孔101bから排出されるようになっている。ハウジング101の機外側の軸孔端部内周には、クエンチング液Cが機外に流出するのを防止するためにパッキン103が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては次のような種々の問題が指摘される。
まず第一に、この種のベローズ型メカニカルシールにおける主な消耗部品は、シールリング202、メイティングリング206及びベローズ204であるが、シールリング202と回転側リテーナ201は焼き嵌め等により一体化されており、メイティングリング206と静止側リテーナ205も同様であり、また、ケース203、ベローズ204及び静止側リテーナ205が溶接W等により互いに一体化されているので、分離できない構造となっている。このため、シールリング202に異常摩耗や損傷を生じた場合にはこのシールリング202のみを分離して交換することができず、また、メイティングリング206に異常摩耗や損傷を生じた場合や、ベローズ204に疲労損傷等が生じた場合には、互いに一体であるケース203、ベローズ204、静止側リテーナ205及びメイティングリング206を一度に交換する必要があり、補修コストが高くなる問題がある。
【0006】
また第二に、静止側リテーナ205とバッフルスリーブ207の外周面との間には、クエンチング液の円滑な流通を許容するための適当なクリアランスが設けられており、したがって、シールリング202とメイティングリング206が摺動時にスティック−スリップ現象を生じたり、外部から伝達振動等が入力された場合に、これによってベローズ204が大きく振動しやすい。このため、ベローズコア204aが早期に疲労破損を来したり、シールリング202とメイティングリング206の摺動面に面開きを生じて密封性能が低下するおそれがある。
【0007】
また第三に、回転側においては、カラー201bを固定するセットスクリュ201aと、回転軸102及び回転側リテーナ201との間に介在されるOリング201c,201dが回転側リテーナ201及びカラー201bに対して軸方向に大きく偏った位置にあるため、回転側リテーナ201、ひいてはこれに嵌着されたシールリング202が回転軸102に対して僅かに傾斜した状態に装着されやすい。そして、図示のベローズ型メカニカルシールのように、シールリング202が極小幅の摺動部でメイティングリング206に摺接するものの場合は、メイティングリング206の摺動面にシールリング202の摺動面が食い込むような摩耗が発生するため、前記のようにシールリング202が傾斜している場合は、メイティングリング206の摺動面に食い込み状態となっている極小幅の摺動部が、回転に伴う摺動位置の変化によって損傷を受けるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような事情のもとになされたもので、その主な技術的課題とするところは、ベローズ型メカニカルシールにおいて、固定環やベローズ等の部品を交換する際のコストを軽減し、またベローズの振動を抑制し、耐久性及びシール性に優れたシール構造とすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、本発明に係るベローズ型メカニカルシールは、回転軸の外周に固定されてこの回転軸と一体的に回転される回転環と、ハウジングの軸孔内周に気密的に固定されたケースにベローズを介して弾性的に支持され前記回転環に摺接される固定環とを備え、前記ベローズの一端に設けられた第一のアダプタ及び軸方向他端に設けられた第二のアダプタが、それぞれパッキンを介して前記ケース及び前記固定環に着脱自在に嵌着される。そして、ベローズの第一及び第二のアダプタの内周面に治具掛合用の掛合部が形成される。
【0010】
すなわち本発明によれば、ベローズがケース及び固定環と分離可能であるため、ベローズが破損したりした場合にこのベローズのみを交換することができる。そして、その交換の際には、ベローズの第一及び第二のアダプタの内周面に形成された掛合部に適当な治具を掛合することによって、前記ベローズとケース及び固定環との分離作業を容易に行うことができる。
【0011】
本発明のベローズ型メカニカルシールにおいて、ケースにベローズの内周側を固定環の内周位置まで延びてクエンチング流路を形成するバッフルスリーブが固定された場合は、このバッフルスリーブ及び前記固定環にこの固定環を軸方向移動自在に回り止めする係止機構を設ける。このようにすれば、回転環との摺動による固定環の摺動トルクをバッフルスリーブで受けることになり、前記摺動トルクによるベローズの捩り変形が有効に抑制される。
【0012】
またこの場合一層好ましくは、固定環の内周部をバッフルスリーブの外周面に軸方向移動自在に支持すると共に、前記固定環の内周部に、クエンチング液流通用切欠を形成する。このようにすれば、ベローズの振動が固定環を介してバッフルスリーブにより規制され、バッフルスリーブとベローズの間の隙間から固定環と回転環の摺動部内周側へのクエンチング液の円滑な流通が、前記固定環の内周部に形成されたクエンチング液流通用切欠により確保される。
【0013】
また、本発明においては、例えば回転環が、回転軸の外周にセットスクリュを介して固定される回転側リテーナと、この回転側リテーナに嵌着されたシールリングとからなり、固定環が、ベローズの第二のアダプタにパッキンを介して着脱自在に嵌着された静止側リテーナと、この静止側リテーナに嵌着されて前記シールリングと摺接されるメイティングリングとからなる。そしてこの場合、前記回転側リテーナと前記シールリングとの嵌着部、前記ベローズの第一のアダプタとケースとの嵌着部、前記ベローズの第二のアダプタと前記静止側リテーナとの嵌着部、及び前記静止側リテーナと前記メイティングリングとの嵌着部のうち、二箇所以上の嵌着部を互いに同一の半径とする。このようにすれば、同一半径の嵌着部に介装されるパッキンもそれぞれ同一半径のものを用いることができるので、装着作業の煩雑化を防止できる。
【0014】
この場合、例えば静止側リテーナに、ベローズの第二のアダプタとの嵌着部及びメイティングリングとの嵌着部を軸方向に対して互いに対称に形成する。このようにすれば、前記静止側リテーナに組み誤りを生じるおそれがない。また、回転側リテーナがその軸方向両端近傍の内周面に配置されたパッキンを介して回転軸の外周面に外挿され、セットスクリュが前記回転側リテーナの軸方向略中間を貫通して配置された構成とすれば、セットスクリュの締め付けによって、回転側リテーナ、ひいてはこれに嵌着されたシールリングが回転軸に対して傾斜することがなく、安定した摺動状態が確保される。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るベローズ型メカニカルシール10の好ましい一実施形態を装着状態で示すもので、参照符号20は機器のハウジング、30はこのハウジング20の内周に回転自在に挿通された回転軸、Aは機内の密封対象流体、Bは機外(大気)である。ベローズ型メカニカルシール10は、回転軸30の外周に装着された回転環を構成する回転側リテーナ11及びシールリング12と、ハウジング20の内周に気密的に固定されるケース13と、このケース13に取り付けられる金属製のベローズ14と、このベローズ14の自由端に取り付けられて固定環を構成する静止側リテーナ15及びメイティングリング16と、前記ケース13に固定されてベローズ14の内周側をメイティングリング16の内周位置まで延びるバッフルスリーブ17とを備える。
【0016】
回転側リテーナ11は、例えばSUS等の鋼材からなるものであって、機外B側を向いた端部外周にシールリング保持用の筒状フランジ11aが形成され、内周面における軸方向両端近傍部に円周方向に連続して形成された溝にそれぞれOリング111,112が配置され、このOリング111,112の装着位置のほぼ中間に径方向に貫通した複数の雌螺子孔11bが円周方向等間隔で形成され、この雌螺子孔11bにそれぞれセットスクリュ113がねじ込まれている。すなわちこの回転側リテーナ11は、一対のOリング111,112を介して回転軸30の外周面に外挿されると共に、各雌螺子孔11bにセットスクリュ113をその先端が回転軸30の外周面に圧接するようにねじ込むことによって、この回転軸30の外周面における軸方向所定位置に固定される。
【0017】
シールリング12は、例えばSiC等の摺動材料で成形されたものであって、回転側リテーナ11の筒状フランジ11aの内周にOリング114を介して着脱自在に嵌着されると共に、その内周部に円周方向等間隔で形成された切欠部12aが、これに対応して前記回転側リテーナ11の前面に打ち込まれたノックピン115と係合することによって、前記回転側リテーナ11、ひいては回転軸30との相対回転が防止され、すなわち回転軸30と一体的に回転するようになっている。回転側リテーナ11と反対側を向いたシールリング12の端部は先細りとなるように内周面及び外周面がテーパ状に形成されており、すなわちメイティングリング16との摺動部が細幅に形成されている。
【0018】
ハウジング20は、機外側ハウジング部材21と機内側ハウジング部材22が図示されていないボルト等の結合手段及びガスケット23を介して気密的に結合されたものである。静止側のケース13は、例えばSUS等の鋼材で製作されており、その外周部が、前記機外側ハウジング部材21の内周面と機内側ハウジング部材22の端面との間に円周方向に連続して形成された取付凹部20aに、一対のOリング131,132を介して拘束状態に保持されている。このケース13における機内側を向いた端部には、後述する第一のアダプタ142を保持するための筒状フランジ13aが形成されている。
【0019】
ベローズ14は、例えばインコネル等の金属からなるものであって、薄肉蛇腹状の本体部分であるベローズコア141と、このベローズコア141の軸方向両端に溶接によって一体的に接合された第一及び第二のアダプタ142,143からなる。第一及び第二のアダプタ142,143は同一のものであって、軸方向に対して互いに対称に設けられており、内周面にはそれぞれ円周方向に連続した治具掛合溝142a,143aが形成されている。第一のアダプタ142は、その外周面がケース13における筒状フランジ13aにOリング133を介して着脱自在に嵌着されている。
【0020】
静止側リテーナ15は、例えばSUS等の鋼材で製作されたものであって、軸心を通る平面で切断した断面形状が略T字形を呈し、すなわち軸方向中央の径方向部15aと、その外径から軸方向両側へ互いに対称に突出形成された一対の筒状フランジ15b,15cを有する。上述したベローズ14における第二のアダプタ143は、その外周面が一方の筒状フランジ15bにOリング151を介して着脱自在に嵌着されている。先に説明したように、第一及び第二のアダプタ142,143は同一のものであるため、これに嵌着されるケース13の筒状フランジ13aと、静止側リテーナ15の筒状フランジ15b,15cは内径が互いに同一である。
【0021】
メイティングリング16は、例えばSiC等の摺動材料で成形されたものであって、上述した静止側リテーナ15における他方の筒状フランジ15cの内周にOリング152を介して着脱自在に嵌着され、前記筒状フランジ15cの内周から突出した端面が、回転側のシールリング12における細幅の摺動部に摺接される。また、メイティングリング16とシールリング12は外径が互いに同一であり、すなわちこれを嵌着保持している静止側リテーナ15の筒状フランジ15cと回転側リテーナ11の筒状フランジ11aは内径が互いに同一である。
【0022】
バッフルスリーブ17は、例えばSUS等の鋼材で製作されたものであって、機外側の基部フランジ17a及びその内径から円筒状に延びるスリーブ本体17bを有する。前記基部フランジ17aは、ケース13における機外側(筒状フランジ13aと反対側)の端面にボルト134を介して固定されており、前記スリーブ本体17bは、ケース13の内周空間、ベローズ14の内周空間を通って静止側リテーナ15の内周位置に達している。
【0023】
静止側リテーナ15における径方向部15aの曲面状の内径端部15dは、バッフルスリーブ17におけるスリーブ本体17bの先端部外周面に微小な隙間を介して外挿されており、この内径端部15dには、複数のクエンチング液流通用切欠15eが円周方向所定間隔で形成されている。また、前記スリーブ本体17bの先端には軸方向に突出した複数の係合突起17cが円周方向等間隔で形成されており、一方、メイティングリング16の内周面には複数(係合突起17cと同数)の係合切欠16aが円周方向等間隔で形成されており、係止機構を構成するこれら係合突起17cと係合切欠16aが互いに係合することによって、前記シールリング16は、軸方向移動が可能な状態で回り止めされている。
【0024】
ハウジング20における機外側ハウジング部材21には、ケース13の外周部を拘束状態に保持する取付凹部20aにおけるOリング131,132の間の位置に開口したクエンチング液供給孔21aと、前記取付凹部20aよりも機外側の内周面に開口したクエンチング液排出孔21bが開設されている。また、前記ケース13には、その外周部における前記Oリング131,132の間の位置を円周方向に連続して延びる環状溝13bと、この環状溝13bにおける円周方向等配位置から径方向に貫通した複数の連通孔13cが形成されている。
【0025】
すなわち、ハウジング20のクエンチング液供給孔21aから、クエンチング液Cが、ケース13に形成された環状溝13b、連通孔13c、ケース13とバッフルスリーブ17の間、ベローズ14とバッフルスリーブ17との間、及び静止側リテーナ15のクエンチング液流通用切欠15eを通って、シールリング12とメイティングリング16との摺動部内周空間に流れ込み、更にここから、前記バッフルスリーブ17と回転軸30との間の隙間を通って、ハウジング20のクエンチング液排出孔21bから排出されるようになっている。
【0026】
なお参照符号24は、クエンチング液Cが機外に流出するのを防止するために機外側ハウジング部材21の端部内周面に装着されたパッキンである。またクエンチング液Cとしては、例えば常温の清水が用いられる。
【0027】
以上の構成を備えるベローズ型メカニカルシール10によれば、回転軸30と一体的に回転されるシールリング12に対して、ハウジング20側にケース13、ベローズ14及び静止側リテーナ15を介して軸方向移動自在かつバッフルスリーブ17により非回転状態に保持されたメイティングリング16が摺接されることによって、その摺動面Sで軸封機能を奏する。シールリング12とメイティングリング16との摺動面圧は、ベロースコア141自体の有するバネ性と、クエンチング液Cの圧力による前記ベローズコア141の伸長力とに依存される。なお、バッフルスリーブ17により前記摺動面Sの内周を経由して迂回するように供給されるクエンチング液Cは、摺動熱を除去して前記摺動面Sを適正な温度に保持すると共に、摺動面Sから漏洩した密封対象流体Aが機外Bへ流出することがないようにこれをクエンチング液排出孔21bへ排出するものである。
【0028】
非回転のメイティングリング16には、回転側のシールリング12との摺動による摺動トルクを生じるが、前記メイティングリング16はその内周面に形成された係合切欠16aがバッフルスリーブ17の先端の係合突起17cと係合しているので、前記摺動トルクはバッフルスリーブ17で受けることになり、ベローズ14には殆ど伝達されない。このためベローズコア141の捩り変形が小さくなり、これによる疲労破損も有効に防止される。
【0029】
シールリング12と摺接しているメイティングリング16には、摺動面Sの潤滑状態等によってスティック−スリップ現象を生じることがあるが、このメイティングリング16を保持している静止側リテーナ15は、径方向部15aの内径端部15dがバッフルスリーブ17のスリーブ本体17bの先端部外周面に隙間嵌め状態で支持されているため、前記スティック−スリップ現象によるベローズコア141の振動が有効に抑制される。このため、ベローズコア141の早期疲労が防止され、前記スティック−スリップ現象自体が抑制されて摺動面Sにおけるシール性が安定する。
【0030】
一方、シールリング12を保持する回転側リテーナ11と回転軸30との間に介在されるOリング111,112は、セットスクリュ113のねじ込み位置の軸方向両側(回転側リテーナ11の軸方向中間部)に位置しているため、装着の際に、回転側リテーナ11を前記Oリング111,112を介して外挿することによって、この回転側リテーナ11は回転軸30に対する同心性が確保され、この状態でセットスクリュ113のねじ込みによる固定が行われるので、回転軸30に対して傾斜した状態に装着されることがない。したがってこの回転側リテーナ11に嵌着されたシールリング12は、回転軸30の軸心に対する摺動面の直角度が高精度に保持されるので、メイティングリング16との安定した密封摺動状態が得られる。
【0031】
ベローズ14は、その軸方向一端に設けられた第一のアダプタ142が、ケース13における筒状フランジ13aにOリング133を介して着脱自在に嵌着されており、同様に、軸方向他端に設けられた第二のアダプタ143が静止側リテーナ15における一方の筒状フランジ15bに、Oリング151を介して着脱自在に嵌着されているため、これらケース13、ベローズ14及び静止側リテーナ15は互いに分離可能となっている。また、メイティングリング16は静止側リテーナ15の筒状フランジ15cの内周にOリング152を介して着脱自在に嵌着され、回転側のシールリング12は回転側リテーナ11の筒状フランジ11aの内周にOリング114を介して着脱自在に嵌着されているため、これら静止側リテーナ15とメイティングリング16、及び回転側リテーナ11とシールリング12も互いに分離可能である。
【0032】
従来技術において説明したように、この種のベローズ型メカニカルシールにおける主な消耗部品はシールリング、メイティングリング及びベローズであるが、この実施形態によれば、上述のように回転側においては回転側リテーナ11とシールリング12、静止側においてはケース13、ベローズ14、静止側リテーナ15、メイティングリング16が互いに分離可能である。このため、シールリング12あるいはメイティングリング16に異常摩耗や損傷を生じた場合は、これを回転側リテーナ11あるいは静止側リテーナ15から分離して交換することができ、ベローズコア141に疲労破損や損傷等を生じた場合には、第一及び第二のアダプタ142,143をケース13及び静止側リテーナ15から分離してベローズ14のみを交換することができる。
【0033】
ベローズ14の交換に際して、例えば第一のアダプタ142をケース13の筒状フランジ13aの内周から引き抜いて分離する場合は、前記第一のアダプタ142の内周面に形成された治具掛合溝142aに適当な治具を掛合することによって、前記分離作業を容易に行うことができる。また、第二のアダプタ143を静止側リテーナ15の筒状フランジ15bの内周から引き抜いて分離する場合も同様である。
【0034】
また上記構成によれば、ベローズ14の仕様をある程度標準化することが可能となる。すなわち、ハウジング20の軸孔内径が図示のものと異なる(例えば大径である)ような場合は、ケース13の外径のみを変更することで対応可能である。このため、異なる機器でもベローズ14を共通の仕様のものを用いることができ、ベローズ14の生産性の向上、設計業務の効率の向上、在庫管理の容易性の向上を図ることができる。
【0035】
更に、ケース13の筒状フランジ13a及び静止側リテーナ15の筒状フランジ15b,15c及び回転側リテーナ11の筒状フランジ11aは内径が互いに同一であり、ベローズ14の第一及び第二のアダプタ142,143、メイティングリング16及びシールリング12も外径が互いに同一であるから、ケース13の筒状フランジ13aと第一のアダプタ142の間を密封するOリング133、静止側リテーナ15の筒状フランジ15bと第二のアダプタ143との間を密封するOリング151、静止側リテーナ15の筒状フランジ15cとメイティングリング16との間を密封するOリング152、及び回転側リテーナ11の筒状フランジ11aとシールリング12との間を密封するOリング114は、互いに同一仕様(同一半径,同一線径)のものを用いることができる。したがってここでも、部品の標準化によって組立作業性の向上や在庫管理の容易性の向上を図ることができる。
【0036】
また、ベローズ14は軸方向に対称な形状であり、静止側リテーナ15も軸方向に対称な形状であるため、ベローズ14をケース13に取り付ける場合には第一及び第二のアダプタ142,143の位置関係(向き)が図示とは逆であっても良く、静止側リテーナ15をベローズ14に取り付ける場合も同様である。このため、ベローズ14及び静止側リテーナ15の組み誤りを生じることがなく、組立作業を迅速に行うことができる。
【0037】
なお、本発明は、図示の実施形態によって限定的に解釈されるものではない。例えば、バッフルスリーブ17とメイティングリング16との係止機構は、図示のようにな係合突起17cと係合切欠16aによるもののほか、例えばバッフルスリーブ17の先端部に形成した係合切欠とメイティングリング16に突設したノックピンによるものなど、種々の形態が採用可能である。また、Oリング111,112,114,133,151,152等は、他のパッキンに代えても良く、その他の細部の形状等についても、種々の変更が可能である。
【0038】
【発明の効果】
本発明に係るベローズ型メカニカルシールによると、静止側のケース、ベローズ及び固定環が互いに分離可能であり、固定環も静止側リテーナとメイティングリングとに分離可能であるため、メイティングリングが異常摩耗や損傷を受けた場合はメイティングリングのみを、またベローズが破損したりした場合にはベローズのみを交換することができるため、補修コストを低減することができる。しかもこれによって、ベローズを標準化することができるので、コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
【0039】
クエンチング流路を形成するバッフルスリーブに、固定環を軸方向移動自在に回り止めする係止機構を設けることによって、摺動トルクによるベローズの捩り変形が有効に抑制される。しかも固定環がバッフルスリーブに支持される構成とすることによって、ベローズの振動も有効に抑制されるので、ベローズの寿命を向上させることができる。
【0040】
また、ベローズやその両端をシールするパッキン等の標準化によって、組み込み性が良く、しかも高精度に組み込むことが可能になるので、安定した摺動性及びシール性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るベローズ型メカニカルシールの好ましい一実施形態の装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図2】従来技術に係るベローズ型メカニカルシールの装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【符号の説明】
10 メカニカルシール
11 回転側リテーナ
11b セットスクリュ
12 シールリング
13 ケース
14 ベローズ
141 ベローズコア
142 第一のアダプタ
142a,143a 治具係合溝(掛合部)
143 第二のアダプタ
15 静止側リテーナ
16 メイティングリング
16a 係合切欠(係止機構)
17 バッフルスリーブ
17c 係合突起(係止機構)
20 ハウジング
30 回転軸

Claims (3)

  1. 回転軸の外周に固定されてこの回転軸と一体的に回転される回転環と、
    ハウジングの軸孔内周に気密的に固定されたケースにベローズを介して弾性的に支持され前記回転環に摺接される固定環とを備え、
    前記ベローズの軸方向一端に設けられた第一のアダプタ及び軸方向他端に設けられた第二のアダプタが、それぞれパッキンを介して前記ケース及び前記固定環に着脱自在に嵌着され、
    前記ベローズの第一及び第二のアダプタの内周面に治具掛合用の掛合部が形成されたことを特徴とするベローズ型メカニカルシール。
  2. 回転軸の外周に固定されてこの回転軸と一体的に回転される回転環と、
    ハウジングの軸孔内周に気密的に固定されたケースにベローズを介して弾性的に支持され前記回転環に摺接される固定環とを備え、
    前記ベローズの軸方向一端に設けられた第一のアダプタ及び軸方向他端に設けられた第二のアダプタが、それぞれパッキンを介して前記ケース及び前記固定環に着脱自在に嵌着され、
    前記回転環が、回転軸の外周にセットスクリュを介して固定される回転側リテーナと、この回転側リテーナに嵌着されたシールリングとからなり、
    前記固定環が、ベローズの第二のアダプタにパッキンを介して着脱自在に嵌着された静止側リテーナと、この静止側リテーナに嵌着されて前記シールリングと摺接されるメイティングリングとからなり、
    前記回転側リテーナと前記シールリングとの嵌着部、前記ベローズの第一のアダプタとケースとの嵌着部、前記ベローズの第二のアダプタと前記静止側リテーナとの嵌着部、及び前記静止側リテーナと前記メイティングリングとの嵌着部のうち、二箇所以上の嵌着部が互いに同一の半径であり、
    前記静止側リテーナに、ベローズの第二のアダプタとの嵌着部及びメイティングリングとの嵌着部が軸方向に対して互いに対称に形成されたことを特徴とするベローズ型メカニカルシール。
  3. 回転軸の外周に固定されてこの回転軸と一体的に回転される回転環と、
    ハウジングの軸孔内周に気密的に固定されたケースにベローズを介して弾性的に支持され前記回転環に摺接される固定環とを備え、
    前記ベローズの軸方向一端に設けられた第一のアダプタ及び軸方向他端に設けられた第二のアダプタが、それぞれパッキンを介して前記ケース及び前記固定環に着脱自在に嵌着され、
    前記回転環が、回転軸の外周にセットスクリュを介して固定される回転側リテーナと、この回転側リテーナに嵌着されたシールリングとからなり、
    前記固定環が、ベローズの第二のアダプタにパッキンを介して着脱自在に嵌着された静止側リテーナと、この静止側リテーナに嵌着されて前記シールリングと摺接されるメイティングリングとからなり、
    前記回転側リテーナと前記シールリングとの嵌着部、前記ベローズの第一のアダプタとケースとの嵌着部、前記ベローズの第二のアダプタと前記静止側リテーナとの嵌着部、及び前記静止側リテーナと前記メイティングリングとの嵌着部のうち、二箇所以上の嵌着部が互いに同一の半径であり、
    前記回転側リテーナがその軸方向両端近傍の内周面に配置されたパッキンを介して回転軸の外周面に外挿され、セットスクリュが前記回転側リテーナの軸方向略中間を貫通して配置されていることを特徴とするベローズ型メカニカルシール。
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