JPWO2010092803A1 - 電子機器配線用ハーネスおよび電子機器 - Google Patents

電子機器配線用ハーネスおよび電子機器 Download PDF

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Abstract

本発明の電子機器配線用ハーネスでは、各電線が互いに並列になるように束ねられた状態でジャケットにより被覆された部分が、前記重ね合わせ面に対してその並列方向が垂直をなすように回動軸の周囲に巻回されたフラットケーブル部をなし;このフラットケーブル部に連続してかつ前記各電線が露出した一部が前記フラットケーブル部よりも前記回動軸から離間したジャケットストリップ部をなしている。

Description

本発明は、電子機器配線用ハーネスおよびこれを備えた電子機器に関する。
本願は、2009年2月12日に、日本に出願された特願2009−30097号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、携帯電話に代表される電子機器においては、その小型・軽量化や多機能化が急速に進められている。また、この種の電子機器における技術傾向として、例えば携帯電話では、その内部配線材に、フレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)に代わって極細同軸ケーブルアセンブリを用いる要求が増えている。これは、極細同軸ケーブルの持つ伝送特性や耐ノイズ特性が、市場のニーズに適合してきたことによる。
例えば、携帯機器の構造としては、固定側筐体に対して移動側筐体がスライド可能に設けられたスライド構造型機器や、固定側筐体に対して移動側筐体が回動可能に設けられた回動構造型機器がある。
各筐体には、それぞれ回路基板が設けられている。スライド構造型機器においては、これらの回路基板同士を電気的に接続するための配線材として、FPCが用いられることが多い。一方、回動構造型機器においては、回路基板同士を接続するための配線材として、極細同軸ケーブルが用いられることが多い。
ところで、スライド構造型機器に用いられる配線材に同軸ケーブルが用いられる場合がある。
例えば、下記特許文献1には、互いにスライドする2枚の基板間を、信号伝送用に各芯がシールドされた同軸ケーブルを複数本使用して接続する同軸ケーブルの接続構造が開示されている。これら複数本の同軸ケーブルは、それらの両端部において各同軸ケーブルが平面上に並べて配置されるように束ねられている。そして、これら同軸ケーブルの各中間部の束ねられていない領域は、余長として保持されている。
特開2007−36515号公報
ところで、回動構造型機器では、固定側筐体に対して、中央に貫通孔を有する軸によって移動側筐体が回動可能に軸支されているが、前記貫通孔を介して各筐体の回路基板同士を極細同軸ケーブルによって接続する場合が多い。
しかしながら、極細同軸ケーブルは、移動側筐体の回動に伴って捩れたり撓んだりするので、この撓み分を考慮して貫通孔の大きさを設定する必要がある。また、軸の強度を確保するために軸の肉厚をある程度厚くする必要がある。この結果、軸が大型化してしまい、電子機器の小型化、薄型化、そして軽量化を図り難い。
このため、軸を中実形状にして、この軸からずれた位置に極細同軸ケーブルを挿通するための貫通孔を形成することが考えられる。
しかしながら、貫通孔を軸からずれた位置に形成すると、移動側筐体側に配線されている極細同軸ケーブルの回動量が大きくなるばかりか、極細同軸ケーブルが屈曲して局所的に曲げ応力が集中する虞がある。そして、これを何度も繰り返すことにより、極細同軸ケーブルが断線してしまう虞があるという問題がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、電子機器の小型化、薄型化、そして軽量化を図りつつ、ケーブルの断線を防止してその延命化を図れる電子機器配線用ハーネスおよび電子機器の提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を採用した。すなわち、
(1)本発明の電子機器配線用ハーネスは、重ね合わせ面を有する固定側筐体に設けられた第1の回路基板と、前記重ね合わせ面に垂直な回動軸回りに回動自在となるように前記固定側筐体に対して取り付けられる移動側筐体に設けられた第2の回路基板との間を電気的に接続する電子機器配線用ハーネスであって、前記第1の回路基板及び前記第2の回路基板間を接続する複数本の電線と、これら電線をそれらの長さ方向の一部が露出するように被覆するジャケットとを備え;前記各電線が互いに並列になるように束ねられた状態で前記ジャケットにより被覆された部分が、前記重ね合わせ面に対してその並列方向が垂直をなすように前記回動軸の周囲に巻回されたフラットケーブル部をなし;このフラットケーブル部に連続してかつ前記各電線が露出した前記一部が、前記フラットケーブル部よりも前記回動軸から離間したジャケットストリップ部をなしている。
上記(1)に記載の電子機器配線用ハーネスによれば、複数本の電線を束ねたジャケットストリップ部が回動軸からずれた位置に配線されるので、ジャケットストリップ部が捩れ難い。これに加え、フラットケーブル部内の各電線が、それらの並列方向が重ね合わせ面に対して垂直をなすように束ねられた状態で回動軸の周囲に巻回されているので、移動側筐体の回動に伴ってフラットケーブル部が変位(拡径・縮径)しても、このフラットケーブル部に局所的に応力を発生させるような屈曲部分が形成されるのを防止できる。その結果、固定側筐体と移動側筐体とを回動可能に軸支するための軸を中実にできるため、電子機器の薄型化や小型化を図れる。また、電子機器配線用ハーネスの断線を防止でき、延命化を図れる。
(2)なお、上記(1)に記載の電子機器配線用ハーネスでは、前記フラットケーブル部が、前記回動軸の周りに一巻きされてα字形状をなしていてもよい。
(3)上記(1)に記載の電子機器配線用ハーネスでは、前記ジャケットストリップ部が、前記移動側筐体の回動に伴って前記フラットケーブル部が変位する範囲よりも前記回動軸の径方向外側に配置されていてもよい。
上記(3)に記載の場合、ジャケットストリップ部が、フラットケーブル部が変位(拡径・縮径)する範囲よりも回動軸の径方向外側に配置されるので、ジャケットストリップ部とフラットケーブル部とが干渉してしまうのを回避できる。このため、電子機器配線用ハーネスの損傷を防止でき、さらなる延命化を図れる。
(4)上記(1)に記載の電子機器配線用ハーネスが、前記第2の回路基板に対して前記フラットケーブル部を着脱自在に接続するコネクタをさらに備えてもよい。
上記(4)に記載の場合、第2の回路基板に対して電子機器配線用ハーネスを容易に着脱できる。
(5)上記(4)に記載の電子機器配線用ハーネスでは、前記フラットケーブル部における前記各電線の前記並列方向の幅寸法をWfとし、前記コネクタの前記重ね合わせ面に垂直な方向の幅寸法をWcとし、前記フラットケーブル部を収納するために前記固定側筐体に設けられたフラットケーブル収納部の深さ寸法をHfとしたとき、前記フラットケーブル部の幅寸法Wf、および前記コネクタの幅寸法Wcが、Hf>Wf+Wcを満たしてもよい。
上記(5)に記載の場合、フラットケーブル収納部の深さ寸法Hfを必要以上に大きく設定しないため、電子機器のさらなる薄型化や小型化を図れる。
(6)本発明の電子機器は、上記(1)に記載の電子機器配線用ハーネスと;前記固定側筐体と;前記移動側筐体と;を備え、前記固定側筐体に、前記ジャケットストリップ部が挿通する貫通孔が、前記フラットケーブル部よりも前記回動軸から離間した位置に形成され;前記固定側筐体と前記移動側筐体との間に、前記重ね合わせ面に対してその並列方向が垂直をなすように前記回動軸の周囲に巻回されている前記フラットケーブル部を収納するフラットケーブル収納部が形成されている。
上記(6)に記載の電子機器によれば、各電線が、それらの並列方向が重ね合わせ面に対して垂直をなすように束ねられた状態で回動軸の周囲に巻回されているフラットケーブル部を有する電子機器配線用ハーネスを採用しているので、この電子機器配線用ハーネスに屈曲部分が形成されるのを防止できる。このため、固定側筐体と移動側筐体とを回動可能に軸支するための回動軸を中実にすることができ、電子機器の薄型化や小型化を図ることができる。また、電子機器配線用ハーネスの断線を防止でき、延命化を図れる。
(7)上記(6)に記載の電子機器では、前記移動側筐体が、前記固定側筐体に重なった状態から±180°の範囲で回動自在であってもよい。
上記(7)に記載の場合、フラットケーブル部内の各電線が、それらの並列方向が重ね合わせ面に対して垂直をなすように束ねられた状態で回動軸の周囲に巻回されているので、移動側筐体の回動範囲を大きくしてもフラットケーブル部が屈曲する虞がない。このため、容易に移動側筐体の回動範囲を大きく設定できる。また、移動側筐体の回動動作をスムーズに行える。
本発明の電子機器配線用ハーネスおよび電子機器によれば、電子機器の薄型化や小型化や軽量化を図りつつ、ケーブルの断線を防止し、さらにケーブルの延命化を図れる。
本発明の一実施形態に係る電子機器の閉状態を示す平面図である。 同電子機器の開状態を示す平面図である。 図1のA−A線に沿う部分断面図である。 同実施形態に係る電子機器配線用ハーネスの斜視図である。 同電子機器配線用ハーネスのフラットケーブルの断面図である。 同実施形態に係るフラットケーブル部の平面図である。 同フラットケーブル部の斜視図である。 上記電子機器配線用ハーネスの平面図である。 上記フラットケーブル部の捻回状態を示す断面図である。 通常の極細同軸ケーブルの束を用いた場合の捻回状態の一例を示す断面図である。 同ジャケットストリップ部の一部分を示す斜視図である。 上記電子機器配線用ハーネスのフラットケーブル部の詳細構造を示す断面図である。 同電子機器配線用ハーネスのジャケットストリップ部の詳細な構造を示す断面図である。 上記フラットケーブル部および上記ジャケットストリップ部の詳細な構造を示す平面図である。 同フラットケーブル部および同ジャケットストリップ部の詳細な構造を示す斜視図である。 上記電子機器配線用ハーネスの開閉動作を示す図であって、移動側筐体が閉状態の平面図である。 同開閉動作を示す図であって、移動側筐体を時計回り方向に向かって回動させた場合の平面図である。 同開閉動作を示す図であって、移動側筐体を反時計回り方向に向かって回動させた場合の平面図である。
本発明の電子機器配線用ハーネスおよびこれを備えた電子機器の一実施形態を、図面に基づいて以下に説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態の電子機器1は、いわゆる回動構造型の携帯機器であって、固定側筐体2と;この固定側筐体2に設けられた回動軸3に回動可能に軸支された移動側筐体4と;固定側筐体2に設けられた回路基板5と移動側筐体4に設けられた回路基板6との間を電気的に接続するための電子機器配線用ハーネス7と;を備えている。
固定側筐体2及び移動側筐体4は、それぞれ、これらを平面視した場合に略長円形状に形成されており、さらに、固定側筐体2に対して移動側筐体4を閉じた状態では、これら固定側筐体2及び移動側筐体4が互いに重なり合っている(図1参照)。
固定側筐体2の回動軸3は、中実状に形成され、この固定側筐体2の長手方向一端側に設けられている。この固定側筐体2の、移動側筐体4側を向く面2aには、この面2aを回動軸3の軸方向に沿って平面視した場合に、回動軸3を取り囲む略円環状の立ち上がり部8が一体に形成されている。この立ち上がり部8の径方向内側に形成された凹部が、電子機器配線用ハーネス7を収納するための収納部9となっている。すなわち、収納部9は、固定側筐体2と移動側筐体4との間でかつ、回動軸3に対応した位置に設けられている。
固定側筐体2の、移動側筐体4側を向く面2aとは反対側の面2bには、収納部9に対応する位置に凹部10が形成されている。この凹部10には、固定側筐体2に設けられた電子部品(不図示)の制御を行うための回路基板5が配置されている。
固定側筐体2には、収納部9と凹部10との間を連通させる貫通孔11が形成されている。この貫通孔11は、電子機器配線用ハーネス7の一部を挿通させるためのものである。貫通孔11は、収納部9及び凹部10の中心位置よりも、立ち上がり部8の内周面8a寄りの位置であって、しかも、回動軸3の中心を通り固定側筐体2の長手方向に沿って延びる中心線P上に対応する位置に形成されている。すなわち、貫通孔11の形成位置は、回動軸3からその軸線に垂直な方向にずれた位置に設定されている。
移動側筐体4は、これを閉じた状態、つまり、固定側筐体2に重なり合った状態(図1参照)から±180°の範囲で回動し得るように、固定側筐体2に対して取り付けられている(図2参照)。
移動側筐体4の、固定側筐体2側を向く面4aには、立ち上がり部8の外周面8bに外嵌可能な凹部12が形成されている。この凹部12内に立ち上がり部8が嵌まり込むことによって、移動側筐体4は、回動軸3の軸線を中心にして回動できるようになっている。凹部12内には、移動側筐体4に設けられた電子部品(不図示)の制御を行うための回路基板6が配置されている。
図3および図4に示すように、電子機器配線用ハーネス7は、固定側筐体2の収納部9内に配置されるフラットケーブル部23と;フラットケーブル部23の一端から延び、固定側筐体2の貫通孔11に挿通されるジャケットストリップ部25と;フラットケーブル部23の他端(端末部)に設けられた第1コネクタ26と;ジャケットストリップ部25の端末部に設けられた第2コネクタ27と;を有している。ジャケットストリップ部25は、固定側筐体2の貫通孔11内に挿通されるので、回動軸3からずれた位置に配置されている。
フラットケーブル部23は、複数本の極細同軸ケーブル21を平行に並べるとともにジャケット24で被覆してテープ状に形成したフラットケーブル22を複数枚重ね合わせたものである。ジャケットストリップ部25は、フラットケーブル部23からジャケット24が除去されて露出した複数本の極細同軸ケーブル21を結束材28で束ねたものである。
すなわち、電子機器配線用ハーネス7は、図5に示すように、複数本の中心導体21aと、これらを囲む内側絶縁層21bと、これを囲む複数本の外部導体21cと、これらを囲む外側被覆21dとからなる極細同軸ケーブル21を複数本(図5の例では4本)平行に並べ、紫外線硬化型樹脂やフッ素樹脂などからなるジャケット24で被覆してテープ状に形成したフラットケーブル22を有する。
また、ジャケットストリップ部25は、ジャケット24を除去して極細同軸ケーブル21を露出させたものである。
なお、本実施形態では、電線として極細同軸ケーブル21を用いたが、本発明はこの構成のみに限定されるものではない。この構成に代えて、例えば、給電用電線などの同軸ケーブルではない電線と極細同軸ケーブル21とを組み合わせて電子機器配線用ハーネス7を構成してもよい。また、本発明では、使用する極細同軸ケーブル21の種類、外部導体21cの巻き方向の組み合わせ等も特に限定されない。
以下に、電子機器配線用ハーネス7のフラットケーブル部23、およびジャケットストリップ部25について、より詳しく説明する。
図4,図6A,図6B,そして図7に示すように、フラットケーブル部23は、フラットケーブル22を複数枚重ね合わせ、必要に応じてテープ(不図示)等で束ねた構造を有している。フラットケーブル部23は、固定側筐体2の収納部9内に、この収納部9を回動軸3の軸線に沿って正面視した場合に、α字形状をなすように配線されている。すなわち、フラットケーブル部23は、極細同軸ケーブル21の並列方向と交差する平面(すなわち、収納部9の底面9a)上に、回動軸3の周囲を取り囲むα字形状に巻かれている。
このα字形状について換言すると、フラットケーブル部23の一端と他端との間に一つの交差部ができるようにフラットケーブル部23を巻いた場合の形状を示すものであると言える。
フラットケーブル部23の端末部に設けられた第1コネクタ26は、略長方板形状に形成されている。第1コネクタ26の、回路基板6側を向く面26a(図4における紙面上方の面)には、回路基板6に対して電気的に接続される複数の接続端子26bが露出して配置されている。そして、第1コネクタ26は、移動側筐体4の厚み方向に沿って回路基板6に対して着脱自在に接続されている。フラットケーブル部23は、回動軸3の周囲を取り囲むようにα字形状に巻かれているので、回路基板6と第1コネクタ26との接続箇所は、回動軸3からずれた位置に設定されている。
ここで、フラットケーブル部23は、図8Aに示すように、本実施形態のように回動可能な電子機器の回動部分に適用した場合には、通常の極細同軸ケーブルの束(図8B参照)に比べて、捻回によるストレスを受けやすい。したがって、固定側筐体2の移動側筐体4側(つまり、固定側筐体2の収納部9内)にフラットケーブル部23を配置することで、フラットケーブル部23に余計なストレスをかけることなく、移動側筐体4の回動動作に追随させながら捻回させることができる(詳細は後述する)。
また、フラットケーブル部23がα字形状に巻かれていることから、これを構成する各フラットケーブル22の線長は、巻かれたフラットケーブル部23の径方向内側から径方向外側に向かうに従って徐々に長くなるように設定されている。
さらに、フラットケーブル部23におけるフラットケーブル22の極細同軸ケーブル21の並列方向の幅寸法をWf、第1コネクタ26における移動側筐体4の厚さ方向(図4における紙面上下方向)の幅寸法をWc、収納部9の深さ寸法をHf(図3参照)としたとき、フラットケーブル22の幅寸法Wf、および第1コネクタ26の幅寸法Wcは、下式(1)を満たすように設定されている。
Hf>Wf+Wc・・・(1)
この式(1)を満たすようにフラットケーブル22の幅寸法Wf、および第1コネクタ26の幅寸法Wcを設定することにより、必要以上に収納部9の深さ寸法Hfを大きく設定する必要がなく、電子機器1の薄型化を図ることが可能になる。具体例を挙げるとすれば、フラットケーブル22の幅寸法Wf=1mm程度、第1コネクタ26の幅寸法Wc=1.5mm程度、収納部9の深さ寸法Hf=3mm程度に設定できる。なお、フラットケーブル22の厚さTfは、厚さTf=0.36mm程度に設定できる。
一方、図4および図9に示すように、ジャケットストリップ部25は、フラットケーブル部23の長さ方向所定位置から片側のジャケット24を全て除去して極細同軸ケーブル21を露出させ、さらにその両端部を結束材28で束ねた構造である。本実施形態では、回動可能な電子機器1の回転部分に適用させるためのジャケットストリップ部25を、フラットケーブル部23のジャケット24を取り除いた構造としているので、例えば、FPCと極細同軸ケーブルとを半田接続したハーネス構造(不図示)に比べて、より簡単、かつ安価に製造できる利点がある。
図10A〜図11Bに示すように、フラットケーブル部23およびジャケットストリップ部25間の境界bは、フラットケーブル22の幅寸法Wf(図5参照)の方向に沿った直線とすることが望ましい。
ジャケット24を局部除去する方法としては、フラットケーブル部23の完成後にジャケット24を除去してもよい。その他、フラットケーブル22の作製途中で、このフラットケーブル22の一部にジャケット材料を塗布しない部分を設けたり、もしくは、紫外線硬化型樹脂をジャケットに用いたりする場合には、紫外線照射を局部的に行わない方法などにより、行ってもよい。このようにして、ジャケット24が形成されずに極細同軸ケーブル21が露出した部分を有するフラットケーブル22を複数作製し、これらにおけるジャケット24の有無の境界位置を互いに合わせながら重ね合わせ、さらにはこれらを結束することにより、境界bを形成する。
図3および図4に戻り、ジャケットストリップ部25の端末部は、結束材28を介して凹部10内に引き出されている。ジャケットストリップ部25の端末部に設けられた第2コネクタ27は、略長方形板状に形成されている。第2コネクタ27の回路基板5側を向いた面27a(図4における紙面上方の面)には、回路基板5に対して電気的に接続される複数の接続端子27bが露出配置されている。そして、第2コネクタ27は、固定側筐体2の厚さ方向に沿って回路基板5に対して着脱自在に接続されている。
次に、図12A〜図12Cに基づいて、電子機器配線用ハーネス7の動作について説明する。
図12Aに示すように、固定側筐体2と移動側筐体4とが重なり合った閉状態において、電子機器配線用ハーネス7のフラットケーブル部23は、これと回動軸3との間に十分な空隙Kが形成されるように、回動軸3の軸線に沿って平面視した場合にα字形状になっている。
次に、図12Bに示すように、移動側筐体4を固定側筐体2に対して時計回り方向(図12Bにおける矢印CW方向)に向かって回動させると、フラットケーブル部23の第1コネクタ26が移動側筐体4と共に時計回り方向に回動する。
すると、フラットケーブル部23は、第1コネクタ26の回動に追随してα字形状部分(図12Bにおける2点鎖線部参照)を縮径する形に変位する。
一方、図12Cに示すように、移動側筐体4を固定側筐体2に対して反時計回り方向(図12Cにおける矢印CCW方向)に向かって回動させると、フラットケーブル部23の第1コネクタ26が移動側筐体4と共に反時計回り方向に回動する。
すると、フラットケーブル部23は、第1コネクタ26の回動に追随してα字形状に巻かれた部分(図12Cにおける2点鎖線部参照)を拡径するように変位する。
ここで、図12Bおよび図12Cに示すように、移動側筐体4を回動させた際、フラットケーブル部23は、移動側筐体4の回動動作に伴ってα字形状に巻かれた部分の形状が変化するだけなので、局所的な屈曲部分が形成されない。すなわち、フラットケーブル部23のα字形状に巻かれた部分は、移動側筐体4の回動動作に伴って「全体的」に変形(拡径または縮径)するが、その一部が局所的に変形するものではない。
また、フラットケーブル部23がα字形状に巻かれているので、このα字形状に巻かれた部分の変位量を考慮し、α字形状に巻かれた部分を所望の大きさに設定することで、容易に移動側筐体4の回動範囲を大きく設定できる。
すなわち、フラットケーブル部23をα字形状に配線した状態において、このフラットケーブル部23の径方向内側の線長と径方向外側の線長は、移動側筐体4の回動範囲、および固定側筐体2の収納部9(立ち上がり部8)の直径に基づいて設定すればよい。
例えば、本実施形態において、移動側筐体4は、これを閉じた状態、つまり、固定側筐体2に対して重なり合った状態(図12A参照)から±180°の範囲で回動できるので、移動側筐体4を閉状態から時計回り方向(CW)に180°回動させた状態においては、フラットケーブル部23の内側が回動軸3に接触しないように、フラットケーブル部23の径方向内側の線長を設定する。
一方、移動側筐体4を閉状態から反時計回り方向(CCW)に180°回動させた際に、フラットケーブル部23の外側が固定側筐体2の立ち上がり部8の内周面8aに接触しないように、フラットケーブル部23の径方向外側の線長を設定する。
一方、電子機器配線用ハーネス7のジャケットストリップ部25は、回動軸3からずれた位置に形成された貫通孔11内に挿通されている。このため、移動側筐体4を回動させてもフラットケーブル部23が変位(拡径または縮径)するだけであり、ジャケットストリップ部25が捩れたり撓んだりしにくい。
ここで、貫通孔11は、立ち上がり部8の内周面8a寄りに形成されているが、この形成位置は、フラットケーブル部23のα字形状部分が変位(拡径または縮径)する範囲よりも径方向外側の位置に設定されている。
このため、フラットケーブル部23α部分が拡径変形した場合であっても、フラットケーブル部23によって貫通孔11が閉塞されるのを回避できる。
さらに、移動側筐体4の回動動作を行ってもジャケットストリップ部25に捩れや撓みが殆ど生じないので、貫通孔11の内径を無駄に大きく設定する必要がなく、貫通孔11の縮径化を図れる。
したがって、本実施形態によれば、複数本の極細同軸ケーブル21を束ねたジャケットストリップ部25が回動軸3からずれた位置に配線されるので、ジャケットストリップ部25が捩れ難い。このため、ジャケットストリップ部25の断線を防止でき、延命化を図れる。
ここで、固定側筐体2の貫通孔11から、移動側筐体4の回路基板6に設けられている第1コネクタ26の接続部分(不図示)に至る間に、ただ単にフラットケーブル部23を直線的に配線した場合、移動側筐体4の回動動作に伴ってフラットケーブル部23に局所的な屈曲部分が形成される虞がある。このような場合、移動側筐体4を繰り返し回動させるとフラットケーブル部23が断線してしまう虞がある。これに加え、フラットケーブル部23に大きな曲げ応力がかかり、移動側筐体4の回動動作をスムーズに行えなくなる虞がある。
しかしながら、本実施形態においては、固定側筐体2の収納部9に配線されたフラットケーブル部23が、回動軸3の周りに一巻きされてα字形状になっているので、移動側筐体4の回動に伴ってフラットケーブル部23が変位してもこのフラットケーブル部23に局所的に応力を発生させるような屈曲部分が形成されるのを防止できる。このため、フラットケーブル部23の断線を防止でき、延命化を図れる。
また、フラットケーブル部23をα字形状に巻く構成であるため、このα字形状に巻かれた部分の変位量(拡径または縮径)を考慮した上で、α字形状に巻かれた部分を所望の大きさに設定することで、容易に移動側筐体4の回動範囲を大きく設定できる。
さらに、フラットケーブル部23を移動側筐体4の回動動作に容易に追随させられるので、移動側筐体4の回動動作をスムーズに行える。
そして、ジャケットストリップ部25を挿通するための貫通孔11が回動軸3からずれた位置に形成されているので、固定側筐体2に対して移動側筐体4を回動可能に軸支するための回動軸3を中実にできる。このため、電子機器1を容易に薄型化して小型化できる。
また、フラットケーブル22の幅寸法Wf、および第1コネクタ26の幅寸法Wcは、収納部9の深さ寸法をHfに対して、下式(2)を満たすように設定されている。
Hf>Wf+Wc・・・(2)
このため、必要以上に収納部9の深さ寸法Hfを大きく設定する必要がなく、電子機器1の薄型化を図れる。
さらに、貫通孔11の形成位置が、フラットケーブル部23のα字形状に巻かれた部分が変位する範囲よりも径方向外側の位置に設定されているので、移動側筐体4の回動に伴ってフラットケーブル部23が貫通孔11を閉塞してしまうのを回避できる。このため、フラットケーブル22と結束材28、またはジャケットストリップ部25とが必要以上に干渉するのを防止でき、電子機器配線用ハーネス7の損傷を防止できる。また、移動側筐体4の回動をスムーズに行える。
なお、本発明は上述の実施形態のみに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、回路基板6に、フラットケーブル部23の端末部に設けられた第1コネクタ26が移動側筐体4の厚さ方向に沿って着脱自在に接続されている場合について説明した。さらに、回路基板5に、ジャケットストリップ部25の端末部に設けられた第2コネクタ27が固定側筐体2の厚さ方向に沿って回路基板5に着脱自在に接続されている場合について説明した。しかしながら、この構成のみに限られるものではなく、回路基板6の表面に沿うように第1コネクタ26を着脱自在に設けてもよく、また、回路基板5の表面に沿うように第2コネクタ27を着脱自在に設けてもよい。
フラットケーブル部23がα字形状に巻かれた状態とは、移動側筐体4の回動範囲において、少なくとも移動側筐体4の任意の回動位置でフラットケーブル部23がα状になっていることを言う。このように構成されていれば、フラットケーブル部23に局所的な屈曲部分が生じてしまうことを防止でき、フラットケーブル部23の延命化を図れる。
本発明の電子機器配線用ハーネスおよび電子機器によれば、電子機器の薄型化や小型化や軽量化を図りつつ、ケーブルの断線を防止し、さらにケーブルの延命化を図れる。
1 電子機器
2 固定側筐体
3 回動軸
4 移動側筐体
5 回路基板
6 回路基板
7 電子機器配線用ハーネス
9 収納部(フラットケーブル収納部)
11 貫通孔
21 極細同軸ケーブル(電線)
22 フラットケーブル
23 フラットケーブル部
24 ジャケット
25 ジャケットストリップ部
26 第1コネクタ(コネクタ)
21b 接続端子
Hf 深さ寸法
Wc 幅寸法
Wf 幅寸法

Claims (7)

  1. 重ね合わせ面を有する固定側筐体に設けられた第1の回路基板と、前記重ね合わせ面に垂直な回動軸回りに回動自在となるように前記固定側筐体に対して取り付けられる移動側筐体に設けられた第2の回路基板との間を電気的に接続する電子機器配線用ハーネスであって、
    前記第1の回路基板及び前記第2の回路基板間を接続する複数本の電線と、これら電線をそれらの長さ方向の一部が露出するように被覆するジャケットとを備え;
    前記各電線が互いに並列になるように束ねられた状態で前記ジャケットにより被覆された部分が、前記重ね合わせ面に対してその並列方向が垂直をなすように前記回動軸の周囲に巻回されたフラットケーブル部をなし;
    このフラットケーブル部に連続してかつ前記各電線が露出した前記一部が、前記フラットケーブル部よりも前記回動軸から離間したジャケットストリップ部をなしている;
    ことを特徴とする電子機器配線用ハーネス。
  2. 前記フラットケーブル部が、前記回動軸の周りに一巻きされてα字形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器配線用ハーネス。
  3. 前記ジャケットストリップ部が、前記移動側筐体の回動に伴って前記フラットケーブル部が変位する範囲よりも前記回動軸の径方向外側に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器配線用ハーネス。
  4. 前記第2の回路基板に対して前記フラットケーブル部を着脱自在に接続するコネクタをさらに備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器配線用ハーネス。
  5. 前記フラットケーブル部における前記各電線の前記並列方向の幅寸法をWfとし、前記コネクタの前記重ね合わせ面に垂直な方向の幅寸法をWcとし、前記フラットケーブル部を収納するために前記固定側筐体に設けられたフラットケーブル収納部の深さ寸法をHfとしたとき、
    前記フラットケーブル部の幅寸法Wf、および前記コネクタの幅寸法Wcが、
    Hf>Wf+Wc
    を満たす
    ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器配線用ハーネス。
  6. 請求項1に記載の電子機器配線用ハーネスと;
    前記固定側筐体と;
    前記移動側筐体と;
    を備え、
    前記固定側筐体に、前記ジャケットストリップ部が挿通する貫通孔が、前記フラットケーブル部よりも前記回動軸から離間した位置に形成され;
    前記固定側筐体と前記移動側筐体との間に、前記重ね合わせ面に対してその並列方向が垂直をなすように前記回動軸の周囲に巻回されている前記フラットケーブル部を収納するフラットケーブル収納部が形成されている;
    ことを特徴とする電子機器。
  7. 前記移動側筐体が、前記固定側筐体に重なった状態から±180°の範囲で回動自在であることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
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