JP3975843B2 - 無線通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の回路基板を有する無線通信装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
図8(a)には無線通信装置の一種である携帯型電話機の一例が模式的な斜視図により示されている(特開平9-270728号公報参照)。この携帯型電話機1は折り畳み式のものであり、2つの筐体2,3を有している。これら各筐体2,3にはそれぞれ回路基板が内蔵されており、図8(b)に示すように、筐体2に内蔵される回路基板4と、筐体3に内蔵される回路基板5とのうちの一方側(図8の例では回路基板5)にアンテナ(ホイップアンテナ)6が接続されている。
【0003】
ところで、アンテナ6の動作によって回路基板5には高周波電流が誘起される。回路基板5の回路が回路基板4の回路と単純に信号線により接続されているとすると、その回路基板5の誘起された高周波電流は信号線を介して回路基板4に通電する。この高周波電流の通電に起因して回路基板4から電磁界が発生する。例えば、携帯型電話機1の使用中には、アンテナ6の近傍に回路基板4が配置されることから、回路基板4から発生した電磁界によって、アンテナ6の電磁界が乱されてしまい、良好な無線通信を妨げる虞がある。
【0004】
このため、図8に示す携帯型電話機1では、図8(b)に示されるように、回路基板4と回路基板5を例えば抵抗体7を介して接続している。抵抗体7は、回路基板4と回路基板5間の高周波電流を遮断する程の大きな抵抗値を有するものである。この抵抗体7によって、アンテナ6により誘起された回路基板5の高周波電流が回路基板4に通電することを防止できる。これにより、アンテナ動作に因る高周波の誘起電流に起因した回路基板4の電磁界発生を抑制することができ、その回路基板4の電磁界に起因したアンテナ6の電磁界の乱れを回避することができる。
【0005】
また、特開2000-138522号公報にも、複数の回路基板間における高周波電流の導通を遮断するための手法が提案されている。この提案例では、複数の回路基板間を接続する導線に磁性体シートを貼り付けたり、複数の回路基板間の接続導線に直列にフェライトビーズを接続して、複数の回路基板間における高周波電流の導通を遮断している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開平9-270728号公報や、特開2000-138522号公報に示されるように、回路基板4,5間の高周波電流の導通を遮断することによって、回路基板4の電磁界に起因したアンテナ6の電磁界の乱れを防止することができる。しかしながら、無線通信装置の通信の性能を高めるべく、様々な実験を行っているうちに、回路基板4,5間の高周波電流の導通を遮断する手法では、最適な特性(利得)が得られるとは限らないことが分かった。さらに実験を進めていくと、最適な利得を得るための回路基板4,5間の高周波電流の通電状態は、アンテナ6の通信電波の周波数によって異なる場合があることが分かった。
【0007】
本発明の目的は、複数の回路基板を有するものにおいて、例えばアンテナの通信電波の周波数などに応じて回路基板間の高周波電流の導通状態を、良好な利得を得ることができる適切な状態とすることが容易にできて、アンテナ利得のより一層の向上を図ることができる無線通信装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明は、複数の回路基板を有し、これら各回路基板に形成されている回路は信号線を介して接続されており、また、それら回路基板のうちの一つにアンテナが設けられている構成を備えた無線通信装置において、回路基板の回路同士を接続する信号線とは別個の付加的な共振用導線を回路基板のグランド部同士間に複数本備え、この共振用導線をインダクタンス成分とし、1本の共振用導線はコンデンサ部を介してグランド部に接続してコンデンサ部に静電容量を持たせ、前記共振用導線のインダクタンス成分と前記コンデンサ部の静電容量とによって前記回路基板のグランド部同士間に共振回路が形成され、該共振回路のインピーダンス成分を可変することにより、前記共振回路を介する回路基板のグランド部同士間の高周波電流を遮断することなくその高周波電流の導通状態を可変して、アンテナ利得を向上させたことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0010】
第1実施形態例の無線通信装置は折り畳み式の携帯型電話機であり、図1(a)に示されるように、この携帯型電話機1は、筐体2,3と、これら筐体2,3にそれぞれ内蔵される回路基板4,5とを有して構成されている。
【0011】
この第1実施形態例では、筐体2側に、液晶画面等の表示手段や、スピーカーなどが設けられており、その筐体2内部の回路基板4には、それら表示手段やスピーカーを動作させるための表示手段動作回路(図示せず)やスピーカー動作回路(図示せず)などが設けられている。
【0012】
また、回路基板4には表面実装型アンテナ10が実装されている。表面実装型アンテナには様々な構成のものがあり、この第1実施形態例では、表面実装型アンテナ10は、それら様々な構成のうちの何れの構成をも採用してよく、その説明は省略する。
【0013】
筐体3側にはキーボードやマイク等が設けられている。また、筐体3に内蔵されている回路基板5には、表面実装型アンテナ10により受信された信号を処理する受信回路(図示せず)と、表面実装型アンテナ10から外部に無線送信するための送信信号を作り出す送信回路(図示せず)とが設けられている。さらに、回路基板5には、表示手段を制御したり、通信動作を制御するための制御回路(図示せず)が設けられている。
【0014】
その回路基板5に設けられた制御回路は、回路基板4に設けられた表示手段動作回路やスピーカー動作回路等の各種回路に、それぞれ、信号線の一種である別々の制御線(図示せず)により接続されている。また、回路基板5の高周波回路(つまり、送信回路および受信回路)は、回路基板4の表面実装型アンテナ10に信号線の一種である同軸線路(図示せず)により接続されている。それら制御線や同軸線路等の信号線は、並列的に配置されている。
【0015】
この第1実施形態例において特徴的なことは、回路基板4のグランド部12と、回路基板5のグランド部13とが、図2(a)の等価回路図に示されるような共振回路15を介して接続されていることである。この第1実施形態例では、その共振回路15は、図1(b)の拡大図に示されるような銅等の共振用導線16,17と、浮きランドパターン18と、コンデンサ部であるコンデンサ部品19とを有して構成されている。
【0016】
つまり、共振用導線16は共振回路15のインダクタンス成分L1を有するものであり、この共振用導線16の一端側は回路基板4のグランド部12に直接的に接続されている。回路基板5のグランド部13にはグランド抜き部20が形成され、このグランド抜き部20内に、浮きランドパターン18がグランド部13と間隔を介して形成されている。共振用導線16の他端側はその浮きランドパターン18に接続されている。
【0017】
コンデンサ部品19は共振回路15の静電容量Cを持つものであり、浮きランドパターン18と回路基板5のグランド部13とを静電容量Cを介して高周波的に接続している。この第1実施形態例では、共振用導線16と浮きランドパターン18とコンデンサ部品19によって、インダクタンス成分L1と静電容量Cの直列接続体が形成され、この直列接続体を介して、回路基板4のグランド部12と、回路基板5のグランド部13とが接続されている。
【0018】
また、共振用導線17の一端側は回路基板4のグランド部12に接続され、他端側は回路基板5のグランド部13に接続されている。この共振用導線17のインダクタンス成分は、複数の信号線がそれぞれ持つインダクタンス成分と共に、共振回路15のインダクタンス成分L2を構成している。グランド部12,13は、そのインダクタンス成分L2を介しても高周波的に接続されている。
【0019】
共振用導線16,17は、回路基板4,5を接続する制御線や同軸線路等の信号線の配列群を挟み込むように、それぞれ、信号線の配列群の両側に配置されていてもよいし、信号線の配列群の片側に配置されてもよい。このように、共振用導線16,17は、信号線の配置位置等を考慮した適宜な位置に配置してよいものである。
【0020】
ところで、表面実装型アンテナ10の動作に起因して回路基板4のグランド部12には高周波の電流(RF信号)が誘起される。この誘起された高周波電流のうち、共振回路15が持つインピーダンスに応じて定まる電流量分の高周波電流が共振回路15を介して、回路基板5のグランド部13に流れ込む。つまり、共振回路15のインダクタンス成分L1,L2と静電容量Cによるインピーダンスによって、回路基板4のグランド部12から回路基板5のグランド部13への高周波電流の導通量を制御することができる。
【0021】
また、高周波的に共振回路15を見たときに、共振回路15は、周波数によっては、インダクタンス成分L1と静電容量Cの直列共振回路が図2(b)に示されるようにC性(C’)に見え、回路全体として並列共振回路に見える場合と、インダクタンス成分L1と静電容量Cの直列共振回路は共振点付近ではショートに見えるために、図2(c)に示されるようなインダクタンス成分L2が無視できて回路全体として直列共振回路に見える場合とがある。
【0022】
例えば、高周波電流の周波数を考慮して直列共振回路と見えるように共振用導線16,17のインダクタンス成分の値を設定した場合には、当該直列共振回路の共振周波数が高周波の誘起電流の周波数となるようにコンデンサ部品19の静電容量Cを設定することにより、その直列共振回路は回路基板4,5のグランド部12,13同士をショートさせた状態と等価にすることができる。つまり、共振回路15のインピーダンスは非常に小さいものとなる。
【0023】
また、並列共振回路と見えるように共振用導線16,17のインダクタンス成分の値を設定した場合には、当該並列共振回路の共振周波数が誘起電流の周波数となるようにコンデンサ部品19の静電容量Cを設定することにより、その並列共振回路は回路基板4,5のグランド部12,13間をオープンにした状態と等価にすることができる。つまり、共振回路15は、誘起電流の導通を遮断する非常に大きいインピーダンスを持つこととなる。
【0024】
このように、共振回路15は様々なインピーダンスを持つことが可能であり、このインピーダンスの可変によって、回路基板4,5のグランド部12,13間における高周波電流の導通状態を制御することができる。
【0025】
図3と図4には、それぞれ、本発明者が行った実験の結果がグラフにより示されている。その実験では、共振回路15におけるコンデンサ部品19の静電容量Cを可変し、この静電容量Cの可変により(つまり、グランド部12,13間における高周波電流の導通状態の可変により)リターンロスやアンテナ利得がどのように変化するのかを調べた。図3はリターンロスに関するものであり、図4はzx平面(図1(a)参照)における最大利得に関するものである。
【0026】
これら図3と図4において、A線は、コンデンサ部品19を挿入せず、浮きランド18とグランド部13が高周波的にオープンな場合である。B線は、共振回路15におけるコンデンサ部品19の静電容量Cが0.5pFの場合であり、C線は、静電容量Cが1pFの場合であり、D線は、静電容量Cが2pFの場合であり、E線は、静電容量Cが3pFの場合である。F線は、コンデンサ部品19の代わりに直流的に導通させた浮きランド18とグランド部13が高周波的にショートの場合である。なお、この実験では、上記のような回路基板4,5の接続状態以外の条件はほぼ同様な条件の下で行われており、回路基板4,5は横に並設されている状態(開いている状態)である。
【0027】
この実験結果にも示されるように、グランド部12,13間を高周波的にオープンな状態としたり、ショートの状態としたり、共振回路15の静電容量Cの可変によるグランド部12,13間の高周波電流の導通量可変により、回路基板4,5間における高周波電流の導通状態を可変すると、アンテナ利得を可変することができる。
【0028】
アンテナ利得の向上を図ることができる回路基板4,5間の適切な高周波電流の導通状態は、例えば表面実装型アンテナ10の通信電波の周波数や、回路基板4,5に形成されている回路の構成やグランド部12,13の大きさ等の様々な条件によって、異なる。このことから、この第1実施形態例では、例えば、各種の携帯型電話機1毎に、実験やシミュレーションを行い、これにより、共振回路15のインダクタンス成分L1,L2や、コンデンサ部品19の静電容量Cは、良好なアンテナ利得を得ることができるグランド部12,13間の高周波電流の導通状態が得られるように設定されている。このため、この第1実施形態例の携帯型電話機1は、良好なアンテナ利得を持つことができる。
【0029】
ところで、1つの無線通信装置が複数の周波数帯の電波の送受信に対応している構成の場合には、それら使用する周波数帯毎に、良好なアンテナ利得を得るための回路基板4,5間における高周波電流の導通状態が異なることがある。この第1実施形態例の構成では、使用する周波数帯の何れにおいても、良好なアンテナ利得を得ることが可能である。それというのは、同じ共振回路15でも周波数帯の違いによって共振回路15のインピーダンスを可変することができるからである。このことから、この第1実施形態例では、複数の周波数帯に対応している無線通信装置においては、当該装置が使用する何れの周波数帯においても良好なアンテナ利得を得ることができるように、共振用導線16,17のインダクタンス値や、コンデンサ部品19の静電容量Cが設定される。
【0030】
この第1実施形態例では、回路基板4,5間を共振回路15を介して接続する構成とした。共振回路15は簡単な回路構成である上に、例えば、各機種毎に回路構成を変えるという手間をかけずに、同じ回路構成で共振回路15の静電容量Cを各機種毎に可変するだけで、アンテナ利得に関与する回路基板4,5間の高周波電流の導通状態を容易に制御することができる。このため、回路構成の複雑化を招くことなく多種多様な折り畳み式携帯型電話機1に採用できて、何れにおいても、アンテナ利得の向上を簡単に図ることが可能となる。
【0031】
また、複数の周波数帯に対応している場合にも、共振回路15は、それら各周波数帯毎に、回路基板4,5間の高周波電流の導通状態を可変することができるので、何れの周波数帯においても良好なアンテナ利得を得ることが可能となる。
【0032】
さらに、共振用導線16,17と、コンデンサ部品19との増加だけで、共振回路15を設けた無線通信装置を作製することができるので、大幅なコスト増加を抑制することができる。
【0033】
さらに、例えば設計変更により、回路基板4,5間の信号線が増加する等の理由によって、共振回路15のインダクタンス成分L2が変わっても、この第1実施形態例の構成では、コンデンサ部品19の静電容量Cを変更するだけで、設計変更後の装置に対応させて、良好なアンテナ利得を得るための回路基板4,5間の高周波電流の導通状態を容易に得ることができる。
【0034】
以下に、第2実施形態例を説明する。この第2実施形態例では、コンデンサ部品19を用いずに共振回路15のコンデンサ部が構成されている。なお、この第2実施形態例では、コンデンサ部以外の構成は第1実施形態例と同様であり、この第2実施形態例の説明では、第1実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0035】
コンデンサ部品19以外のコンデンサ部としては、例えば、図5(a)に示されるような形態がある。この図では、回路基板5のグランド部13の面上に誘電体基体22が搭載され、この誘電体基体22の表面上に電極23が形成されており、この電極23に導線16が接続されている。この構成では、電極23とグランド部13間に静電容量Cが形成される。つまり、誘電体基体22と電極23とグランド部13とによって、コンデンサ部が構成されている。
【0036】
また、図5(b)に示されるようなコンデンサ部の形態もある。この図の構成では、回路基板5の裏面側にグランド部13が形成されており、回路基板5の表面側に導線16の端部側が、ある程度の長さをもって取り付けられている。この導線16の端部側は誘電体である回路基板5を介してグランド部13に対向しており、これら導線16の端部部分とグランド部13間には静電容量Cが形成される。つまり、導線16と回路基板5とグランド部13によってコンデンサ部が構成されている。なお、回路基板5の表面側に取り付けられる導線16の端部部分の長さは、設定のコンデンサ部の静電容量Cに基づいて定められる。
【0037】
さらに、図5(c)に示すようなコンデンサ部の形態もある。この図の構成では、回路基板5の裏面側にグランド部13が形成されており、回路基板5の表面側には電極パターン24が形成され、この電極パターン24に導線16の端部が接続されている。回路基板5を介して対向し合う電極パターン24とグランド部13間には静電容量Cが形成されている。この図の構成では、電極パターン24と回路基板5とグランド部13によってコンデンサ部が構成されている。
【0038】
この第2実施形態例では、コンデンサ部品19を用いずにコンデンサ部を構成した。この第2実施形態例の構成においても、第1実施形態例と同様の優れた効果を奏することができる。
【0039】
以下に、第3実施形態例を説明する。この第3実施形態例において特徴的なことは、コンデンサ部として、バリキャップダイオード等の可変容量素子を利用していることである。それ以外の構成は第1実施形態例の構成とほぼ同様であり、この第3実施形態例の説明では、第1実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0040】
ところで、携帯型電話機1が開いている状態、つまり、回路基板4,5が横に並んでいる状態のときには、例えば、アンテナ利得と周波数の関係が、図6のA線に示されるような関係にあったとする。これに対して、携帯型電話機1を閉じると、つまり、回路基板4,5が重なっている状態にすると、アンテナ利得と周波数の関係が、図6のa線のように、携帯型電話機1が開いているときとは異なる状態に変化する場合がある。
【0041】
このように、同じ携帯型電話機1でありながら、状況によって利得特性が変化する場合には、アンテナ利得を常に良好な状態とするために、状況変化に応じて、回路基板4,5間における高周波電流の導通状態を異ならせることが好ましい。このことから、この第3実施形態例では、状況に応じて、共振回路15のコンデンサ部である可変容量素子の静電容量Cを変化させる構成とした。
【0042】
つまり、各々の状況毎にアンテナ利得を向上させるための共振回路15のコンデンサ部の静電容量Cを求め、各状況毎に、可変容量素子の静電容量Cがその求めた値となるように静電容量Cを可変するための機構が設けられている。
【0043】
このため、この第3実施形態例では、折り畳み式携帯型電話機1の開閉などのような携帯型電話機1の状態変化に関係なく、良好なアンテナ利得を維持することが可能となり、携帯型電話機1の性能の信頼性を向上させることができる。
【0044】
なお、この発明は第1〜第3の各実施形態例の形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、共振用導線16,17の一方又は両方を同軸線路により構成してもよい。また、図7に示されるようなテープ状信号線25の内部に共振用導線16,17を形成してもよい。なお、テープ状信号線25は、複数の制御線26が並設されてテープ状に形成されている線である。また、制御線26は、高周波ではない制御信号を導通する線である。このように、テープ状信号線25の内部に共振用導線16,17を形成する場合には、それら共振用導線16,17は、図示の如く制御線26の配列群の両側にそれぞれ配置してもよいし、制御線26の配列群の片側に配置してもよい。
【0045】
さらに、第1〜第3の各実施形態例では、共振用導線は2本であったが、例えば、共振回路15の目的とするインダクタンス成分L1,L2の大きさ等に応じて、それ以上の本数の共振用導線を適宜に設けてもよい。また、例えば、信号線だけで目的のインダクタンス成分L2を得ることができる場合には、共振用導線17を省略してもよい。
【0046】
さらに、第1〜第3の各実施形態例では、アンテナとして表面実装型アンテナ10を設けたが、例えば、表面実装型アンテナ10に代えて、ホイップアンテナを設けてもよい。また、表面実装型アンテナ10とホイップアンテナの両方を設けてもよい。
【0047】
さらに、第1〜第3の各実施形態例では、共振回路15を構成するインダクタンス成分L1,L2は、共振用導線16,17が持つインダクタンス成分を利用していたが、例えば、共振用導線16や共振用導線17の一端側とグランド部12(あるいはグランド部13)との間に、インダクタンス成分を有する部品や、回路基板4,5上に形成されたインダクタンスパターンを介設し、このようなものと、共振用導線16,17等とを利用してインダクタンス成分L1,L2を得てもよい。
【0048】
さらに、第1〜第3の各実施形態例では、コンデンサ部は回路基板5側に形成されていたが、例えば、回路基板5よりも回路基板4の方がコンデンサ部を形成するスペースを取り易い等の理由がある場合には、回路基板4にコンデンサ部を設けてもよく、コンデンサ部の設置位置は適宜に設定してよい。
【0049】
さらに、この第1〜第3の各実施形態例では、携帯型電話機1を例にして説明したが、この発明は、複数の回路基板を有して回路基板同士が信号線により接続されている構成を有する無線通信装置であれば、携帯型電話機1以外の無線通信装置にも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
この発明によれば、回路基板のグランド部同士は共振回路を介して接続されている構成とした。その共振回路のインピーダンスを可変することにより、共振回路を介する回路基板間の高周波電流の導通状態を容易に可変することができ、この回路基板間の高周波電流の導通状態の可変により、アンテナ利得が可変するので、共振回路に適切なインピーダンスを持たせることによって、アンテナ利得の向上を図ることができる。
【0051】
アンテナ利得を向上させることができる共振回路のインピーダンス、つまり、回路基板間の高周波電流の導通状態は、例えばアンテナ動作に起因した高周波電流の周波数や、無線通信装置の回路構成などの様々な要因によって異なるが、この発明では、例えば共振回路の静電容量を可変するだけで、共振回路のインピーダンスを容易に可変することができるので、様々な無線通信装置に簡単に対応することができる。
【0052】
その上、この発明は、1つの無線通信装置が複数の周波数帯の通信に対応している場合において、より優れた効果を発揮することができる。すなわち、1つの無線通信装置が複数の周波数帯の通信に対応している場合においては、同じ無線通信装置でも、周波数帯毎に、良好なアンテナ利得を得るための回路基板間の高周波電流の導通状態が異なるが、共振回路のインピーダンスは、高周波電流の周波数によって異なって見えるので、それら周波数帯の何れの場合においても良好なアンテナ利得を得ることができる共振回路を構成することができる。よって、複数の周波数帯の電波の通信を行う無線通信装置において、周波数帯によらずに、良好なアンテナ利得を維持することができるという画期的な効果を奏することができる。
【0053】
また、無線通信装置の設計変更があった場合にも、共振回路の例えば静電容量を変更するだけで、簡単に、回路基板間の高周波電流の導通状態を、良好なアンテナ利得を得ることができる状態とすることができる。つまり、設計変更に迅速に対応することができる。
【0054】
さらに、複数の共振用導線と、コンデンサ部とを有して共振回路を構成する場合には、それら共振用導線やコンデンサ部は安価なものにより構成することができるので、コスト増加を抑制しつつ、上記のような優れたアンテナ利得を持つ無線通信装置を得ることができる。
【0055】
テープ状信号線の内部に共振用導線が設けられているものにあっては、回路基板間を接続する線の増加を抑制することができる。このため、配線作業の手間が増えることが無いので、製造工程の煩雑化を防止することができる。また、配線ミスの軽減につなげることができる。
【0056】
コンデンサ部が容量可変素子により構成されているものにあっては、同じ無線通信装置であっても、状況に応じて、良好なアンテナ利得を得るための回路基板間の高周波電流の導通状態が異なる場合に、その状況毎に適切なインピーダンスを共振回路に持たせることが可能となる。これにより、無線通信号のより一層の通信の信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無線通信装置の第1実施形態例を説明するための図である。
【図2】第1実施形態例の無線通信装置に特有な共振回路を説明するための回路図である。
【図3】第1実施形態例の無線通信装置におけるリターンロスの周波数特性の一例を示すグラフである。
【図4】第1実施形態例の無線通信装置における利得の周波数特性の一例を示すグラフである。
【図5】第2実施形態例を説明するための図である。
【図6】折り畳み式携帯型電話機を開けたときと閉じたときの利得の変化の一例を示すグラフである。
【図7】その他の実施形態例を説明するための図である。
【図8】無線通信装置の一従来例を示すモデル図である。
【符号の説明】
1 携帯型電話機
4,5 回路基板
10 表面実装型アンテナ
12,13 グランド部
15 共振回路
16,17 共振用導線
25 テープ状信号線
Claims (9)
- 複数の回路基板を有し、これら各回路基板に形成されている回路は信号線を介して接続されており、また、それら回路基板のうちの一つにアンテナが設けられている構成を備えた無線通信装置において、回路基板の回路同士を接続する信号線とは別個の付加的な共振用導線を回路基板のグランド部同士間に複数本備え、この共振用導線をインダクタンス成分とし、1本の共振用導線はコンデンサ部を介してグランド部に接続してコンデンサ部に静電容量を持たせ、前記共振用導線のインダクタンス成分と前記コンデンサ部の静電容量とによって前記回路基板のグランド部同士間に共振回路が形成され、該共振回路のインピーダンス成分を可変することにより、前記共振回路を介する回路基板のグランド部同士間の高周波電流を遮断することなくその高周波電流の導通状態を可変して、アンテナ利得を向上させたことを特徴とする無線通信装置。
- 共振回路は、並列共振回路と直列共振回路の一方又は両方の回路構成を有することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
- 共振回路は、インダクタンス成分を持つ複数の共振用導線と、静電容量を持つコンデンサ部とを利用して形成される構成と成し、複数の共振用導線は、信号線により接続されている回路基板間に並列的に配置されて、それぞれ、回路基板のグランド部同士を接続しており、それら共振用導線のうちの少なくとも1本の共振用導線の一端側と回路基板のグランド部との間にコンデンサ部が介設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無線通信装置。
- 複数の信号線が並列配置して回路基板同士を接続している構成を備え、それら信号線の配列群の両側にそれぞれ共振回路の共振用導線が信号線に並列に配置されるか、あるいは、信号線の配列群の片側に共振用導線が信号線に並列に配置されていることを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。
- 制御信号を導通する複数の制御線が並設されてテープ状と成したテープ状信号線を備え、共振回路の共振用導線は前記制御線と共にテープ状信号線を構成していることを特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
- 共振回路を構成する複数の共振用導線のうちの少なくとも1本は、同軸線路により構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の無線通信装置。
- コンデンサ部は、容量可変素子により構成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか1つに記載の無線通信装置。
- アンテナは表面実装型アンテナであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の無線通信装置。
- 無線通信装置は、折り畳み式携帯型電話機であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の無線通信装置。
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