JPWO2010087261A1 - 焼結青銅合金粉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
焼結含油軸受に適した材質として、銅に10%前後の錫を含んだ合金(青銅合金)がよく使用される。青銅系焼結含油軸受の原料粉末としては、銅粉と錫粉の混合粉末または青銅合金粉末が使用される。
そのため、電解銅粉を原料とする焼結青銅合金粉の場合、微細な電解銅粉を原料とすれば、微細で均一な空孔が分布した焼結含油軸受を得ることができるが、粉末の流動性が悪く、プレス機での成形時に原料粉が金型に十分に充填できないこと、また成形速度を早く出来ないこと等、生産性を落とす問題がある。
1)−200Meshの電解銅粉と−350Meshの錫粉を、錫粉の配合比率8〜11wt.%で混合した銅-錫混合粉を、還元雰囲気中300°C〜600°Cで焼結した後粉砕する仮焼結行程と、仮焼結した粉末を再度還元雰囲気中500°C〜700°Cで焼結する本焼結工程の後、この焼結粉末を粉砕・篩別することを特徴とする焼結青銅合金粉の製造方法、を提供するものである。
−200Meshの電解銅粉に、2〜10wt%錫となるように錫めっきした複合粉末を得る工程、この錫めっき銅からなる複合粉末に−350Meshの錫粉を配合して、錫の比率が8〜11wt%となるように調整した混合粉を得る工程、この混合粉を還元雰囲気中300°C〜600°Cで焼結した後粉砕する仮焼結行程、仮焼結した粉末を再度還元雰囲気中500°C〜700°Cで焼結する本焼結工程、この焼結粉末をさらに粉砕・篩別する工程からなることを特徴とする焼結青銅合金粉の製造方法、を提供する。
本発明は、このようにして製造される電解銅粉の、−200Mesh(200Meshアンダー)の電解銅粉を使用する。この−200Meshは、−75μm(75μmアンダー)に相当する。このサイズを超える電解銅粉では、微細な焼結青銅合金粉を製造することが難しくなる。
そして、錫粉の配合比率8〜11wt.%で混合して銅-錫混合粉得る。この混合割合は任意であるが、一般的な焼結含油軸受合金として、9wt.%錫又は10wt.%錫の銅-錫混合粉に適合させるためである。
このようにして製造した焼結青銅合金粉は粉砕が容易であり、−100Meshの焼結青銅合金微粉を得ることができる。
この場合、まず−200Meshの電解銅粉に、2〜10wt%錫となるように錫めっきして複合粉末を得る。そして、この錫めっき銅からなる複合粉末に、−350Meshの錫粉を配合して、錫の比率が8〜11wt%となるように調整した混合粉を得る。
これにより、従来の1段の焼結よりも、さらに合金化を進めることができると同時に、微粉使用の欠点である流動性の低下を、さらに改善することができる。このようにして得られた焼結青銅合金粉は、流動度が40s/50g以下となり、十分な流動性を維持できる。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中500°Cで30分間、仮焼結を行った。
この仮焼結後、軽く粉砕し100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した。この粉末を、さらに還元雰囲気中、650°Cで30分間本焼結を行った。その後、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去し、焼結青銅合金粉を得た。
実施例1で得られた焼結青銅合金粉の粉末特性(見掛密度、流動度、粒度分布)を表2に示す。この表2に示すように、見掛密度は2.24g/cm3、流動度は24.6(s/50g)であり、使用可能な流動性を得ることができた。実施例1で製造した焼結青銅合金粉の顕微鏡写真を図2に示す。
また、この焼結青銅合金粉の圧粉体強度(ラトラ値)を表3に示す。これは、圧粉体密度が6.0g/cm3におけるラトラ値である。実施例1では、1.3%のラトラ値が得られた。適度な圧粉体強度(ラトラ値)が得られた。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中300°Cで30分間、仮焼結を行った。次に、これを100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した。この粉末を、還元雰囲気中700°Cで30分間本焼結した。さらに、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去して、焼結青銅合金粉を得た。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。表2に示すように、見掛密度は2.34g/cm3、流動度は21.4(s/50g)であり、使用可能な流動性を得ることができた。
また、この焼結青銅合金粉の圧粉体強度(ラトラ値)は表3に示すように、2.3%のラトラ値が得られた。適度な圧粉体強度(ラトラ値)が得られた。なお、実施例1と同様に、圧粉体密度が6.0g/cm3におけるラトラ値である。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉に錫メッキしたSn含有量5.5%の錫メッキ銅粉に、−350Mesh(−45μm)の錫粉を加えて、銅と錫の比率が91wt.%:9wt.%となるように調整した混合粉を、還元雰囲気中500°Cで30分間、仮焼結を行った。次に、これを、軽く粉砕し100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した後、この粉末を、還元雰囲気中、650°Cで30分間、本焼結した。さらに、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去し、焼結青銅合金粉を製造した。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。表2に示すように、見掛密度は1.95g/cm3、流動度は33.6(s/50g)であり、実施例1、2より劣るが、使用可能な流動性を得ることができた。
また、この焼結青銅合金粉の圧粉体強度(ラトラ値)は、表3に示すように、0.8%のラトラ値が得られた。適度な圧粉体強度(ラトラ値)が得られた。なお、実施例1と同様に、圧粉体密度が6.0g/cm3におけるラトラ値である。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中300°Cで30分間、仮焼結を行った。次に、これを100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した。この粉末を、還元雰囲気中500°Cで30分間本焼結した。さらに、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去して、焼結青銅合金粉を得た。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。表2に示すように、見掛密度は2.01g/cm3、流動度は30.3(s/50g)であり、使用可能な流動性を得ることができた。
また、この焼結青銅合金粉の圧粉体強度(ラトラ値)は、表3に示すように、0.7%のラトラ値が得られた。適度な圧粉体強度(ラトラ値)が得られた。なお、実施例1と同様に、圧粉体密度が6.0g/cm3におけるラトラ値である。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中600°Cで30分間、仮焼結を行った。次に、これを100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した。この粉末を、還元雰囲気中500°Cで30分間本焼結した。さらに、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去して、焼結青銅合金粉を得た。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。表2に示すように、見掛密度は2.44g/cm3、流動度は20.5(s/50g)であり、使用可能な流動性を得ることができた。
また、この焼結青銅合金粉の圧粉体強度(ラトラ値)は表3に示すように、3.7%のラトラ値が得られた。適度な圧粉体強度(ラトラ値)が得られた。なお、実施例1と同様に、圧粉体密度が6.0g/cm3におけるラトラ値である。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中600°Cで30分間、仮焼結を行った。次に、これを100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した。この粉末を、還元雰囲気中700°Cで30分間本焼結した。さらに、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去して、焼結青銅合金粉を得た。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。表2に示すように、見掛密度は2.55g/cm3、流動度は19.1(s/50g)であり、使用可能な流動性を得ることができた。
また、この焼結青銅合金粉の圧粉体強度(ラトラ値)は表3に示すように、5.8%のラトラ値が得られた。適度な圧粉体強度(ラトラ値)が得られた。なお、実施例1と同様に、圧粉体密度が6.0g/cm3におけるラトラ値である。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中500°Cで30分間、仮焼結を行った後、軽く粉砕し100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した。次に、この粉末を還元雰囲気中、750°Cで30分間焼結した。さらに、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去して焼結青銅合金粉を製造した。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。この比較例1では、本焼結の温度が750°Cと、本発明の条件よりも高い温度で焼結した結果である。
見掛密度は2.87g/cm3、流動度は、21.3(s/50g)で使用可能な流動性ではあったが、焼結塊が硬くなったために粉砕が困難になり、粉砕粉の形状が丸くなった。この焼結青銅合金粉の顕微鏡写真を図3に示す。
この結果、圧粉体の強度の指標であるラトラ値が15.2%と悪化した。また、粉砕後の篩分において、粗粉(+100Mesh)が30%以上となり、生産性が悪くなった。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中650°Cで30分間焼結後、粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去して、焼結青銅合金粉を製造した。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。この比較例2においては、仮焼結を行わず、一回の焼結で焼結青銅合金粉を製造した場合である。見掛密度は1.87g/cm3であった。
一方、粉末の流動性が悪く、流動度測定時に漏斗から連続的に流れ落ちずに止まってしまうため、測定できなかった。圧粉体の強度の指標であるラトラ値は、1.1%であった。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中250°Cで30分間、仮焼結を行った後、軽く粉砕し100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した。次に、この粉末を還元雰囲気中、750°Cで30分間焼結した。さらに、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去して焼結青銅合金粉を製造した。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。この比較例3では、仮焼結温度が250°Cと本発明の条件より低い温度で焼結し、さらに本焼結の温度が750°Cと、本発明の条件よりも高い温度で焼結した結果である。
見掛密度は2.66g/cm3、流動度は、22.4(s/50g)で使用可能な流動性ではあったが、焼結塊が硬くなったために粉砕が困難になり、比較例1と同様に粉砕粉の形状が丸くなった。
この結果、圧粉体の強度の指標であるラトラ値が、13.1%と悪化した。
−200Mesh(−75μm)の電解銅粉91wt.%と−350Mesh(−45μm)の錫粉9wt.%を混合して得たCu−9%Sn混合粉を、還元雰囲気中650°Cで30分間、仮焼結を行った後、軽く粉砕し100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去した。次に、この粉末を還元雰囲気中、450°Cで30分間焼結した。さらに、これを粉砕して100Mesh(150μm)のフルイで粗粉を除去して焼結青銅合金粉を製造した。
この結果を、表1、表2、表3に示す。原料銅粉は、実施例1と同様の銅粉を使用した。この比較例3では、仮焼結温度が650℃と本発明の条件より高い温度で焼結し、さらに本焼結の温度が450°Cと、本発明の条件よりも低い温度で焼結した結果である。見掛密度は1.90g/cm3であった。一方、このようにして得た粉末は全く流動しないわけではないが、漏斗から連続的に流れ落ちずに途中で流動が分断されてしまうため測定が出来ず、使用可能な流動性とならなかった。
また、圧粉体の強度の指標であるラトラ値は、3.8%と良好ではあったが、流動性が悪いため軸受用原料粉として適当ではなかった。
Claims (2)
- −200Meshの電解銅粉と−350Meshの錫粉を、錫粉の配合比率8〜11wt.%で混合した銅-錫混合粉を、還元雰囲気中300°C〜600°Cで焼結した後粉砕する仮焼結行程と、仮焼結した粉末を再度還元雰囲気中500°C〜700°Cで焼結する本焼結工程の後、この焼結粉末を粉砕・篩別することを特徴とする焼結青銅合金粉の製造方法。
- −200Meshの電解銅粉に、2〜10wt%錫となるように錫めっきした複合粉末を得る工程、この錫めっき銅からなる複合粉末に−350Meshの錫粉を配合して、錫の比率が8〜11wt%となるように調整した混合粉を得る工程、この混合粉を還元雰囲気中300°C〜600°Cで焼結した後粉砕する仮焼結行程、仮焼結した粉末を再度還元雰囲気中500°C〜700°Cで焼結する本焼結工程、この焼結粉末をさらに粉砕・篩別する工程からなることを特徴とする焼結青銅合金粉の製造方法。
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