JPWO2010044445A1 - 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール - Google Patents

色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

本発明は、絶縁層への色素吸着による光電変換効率の低下を抑制した色素増感太陽電池および該色素増感太陽電池モジュールを提供することを目的とし、本発明の色素増感太陽電池は、光透過性を有する支持体(11)上に、導電層(13)と、多孔性半導体層に色素が吸着した光電変換層(15)と、多孔性絶縁層(19)と、触媒層(16)と、対極導電層(17)とがこの順で積層された積層構造を有し、上記多孔性絶縁層(19)の表面は、少なくともその一部または全部に、多孔性絶縁層(19)と異なる材料からなる絶縁被覆部(20)が形成されていることを特徴とする。

Description

本発明は、色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュールに関する。
化石燃料に代るエネルギー源として、太陽光を電力に変換できる太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池が一部実用化され始めている。しかし、前者はシリコン基板の製造コストが高いという問題があり、後者は多種の半導体製造用ガスや複雑な装置を用いる必要があるために製造コストが高くなるという問題がある。このため、いずれの太陽電池においても光電変換の高効率化による発電出力当たりのコストを低減する努力が続けられているが、上記の問題を解決するには至っていない。
新しいタイプの太陽電池として、金属錯体の光誘起電子移動を応用した湿式太陽電池が提案されている(特開平1−220380号公報(特許文献1)参照)。この湿式太陽電池は、表面上に電極を形成した2枚のガラス基板の電極間に、光増感色素を吸着させて可視光領域に吸収スペクトルをもたせた光電変換材料と電解質材料とからなる光電変換層を挟持したものである。具体的には、図6に示すように、ガラス基板である第1支持体61と第2支持体62との間に電解液(キャリア輸送層68)を注入することで色素増感太陽電池を作製している。図6中、ガラス基板である第1支持体61上に導電層63と、封止材64と、光電変換層65と、触媒層66と、対極導電層67と、キャリア輸送層68(電解液)とが、ガラス基板である第2支持体62との間に設けられている。
上記湿式太陽電池に光が照射されると、光電変換層65で電子が発生し、発生した電子が外部電気回路(不図示)を通って対極導電層67に移動し、移動した電子が電解液(キャリア輸送層68)中のイオンにより光電変換層65に戻る。このような一連の電子の流れにより、電気エネルギーが取り出される。
また、色素増感太陽電池への入射光を最大限に利用できるように、多孔性半導体層に粒子径が比較的大きく光散乱性を有する粒子(散乱粒子)を含む光散乱層を積層することが知られ、この技術により太陽電池としての性能が向上することが知られている(例えば、特開2001−093591号公報(特許文献2)参照)。このような多孔性半導体層を設けた太陽電池の概略を図7に示す。図7に示すように、入射光(受光面)側の支持体71上に、導電層72と、色素を吸着した多孔性半導体層73とが順次積層され、多孔性半導体層73は、受光面側から小さい粒子径の半導体粒子74と、大きい粒子径の半導体粒子75との順で備えられ、すなわち光散乱性の低い層と光散乱性の高い層とがこの順に受光面側から積層された構造であるので、入射光を光電変換に有効利用できる。
また、多孔性半導体層と触媒層との間に、光電変換層から触媒層への電子移動を抑制することを目的として、伝導体準位の高い材料からなるセパレータを設ける技術が知られている(例えば、特開2002−367686号公報(特許文献3)参照)。すなわち、絶縁層は、受光面から多孔性半導体層を隔てて設けられるため、粒子径が比較的大きく光散乱性を有していれば光散乱層として機能することが可能である。
特開平1−220380号公報 特開2001−093591号公報 特開2002−367686号公報
絶縁層が光散乱層として機能する構造を備えた色素増感太陽電池において、絶縁層を構成する散乱粒子にも色素は吸着し、このことは該構造の色素増感太陽電池の光電変換効率の低下を引き起こす。すなわち、散乱粒子表面に色素が存在すると、この粒子に到達した入射光は、散乱されずに色素に吸収されるので、入射光を最大限に利用するという本来の目的が達成されないことが分かった。
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、絶縁層が光散乱層として機能する構造を備えた色素増感太陽電池において、絶縁層への色素吸着による光電変換効率の低下を制御する技術を見出した。
すなわち、本発明の色素増感太陽電池は、光透過性を有する支持体上に、導電層と、多孔性半導体層に色素が吸着した光電変換層と、多孔性絶縁層と、触媒層と、対極導電層とがこの順で積層された積層構造を有し、上記多孔性絶縁層の表面は、少なくともその一部または全部に、多孔性絶縁層と異なる材料より成る絶縁被覆部が形成されていることを特徴とする。
上記絶縁被覆部が形成された多孔性絶縁層は、上記絶縁被覆部が形成されていない多孔性絶縁層よりも、単位面積あたりに吸着可能な色素量が少ないことが好ましい。
上記多孔性絶縁層は、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、ストロンチウム、インジウム、タンタルおよびバリウムからなる群より選択される金属の酸化物の少なくともいずれかである第一絶縁層材料により構成されることが好ましい。
上記絶縁被覆部は、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれかである第二絶縁層材料により構成されることが好ましい。
上記多孔性絶縁層は、色素が吸着し、支持体上への投影面積あたりの色素吸着量が10-12mol/cm2以上10-9mol/cm2以下であることが好ましい。
また、本発明は、複数の色素増感太陽電池が直列に接続された色素増感太陽電池モジュールであって、複数の色素増感太陽電池の少なくとも2つは上記構成を有する色素増感太陽電池であり、該色素増感太陽電池の触媒層または対極導電層と、これに隣接する色素増感太陽電池の導電層とが、電気的に接続された色素増感太陽電池モジュールに関する。
本発明によれば、色素が吸着した多孔性半導体層(光電変換層)と触媒層との間に、光電変換層から触媒層への電子移動を抑制するための多孔性絶縁層を有する色素増感太陽電池において、上記多孔性絶縁層の表面は、少なくともその一部または全部に、多孔性絶縁層と異なる材料からなる絶縁被覆部が形成されており、絶縁被覆部が形成されていない多孔性絶縁層よりも、単位面積あたりに吸着可能な色素量が少ないので、絶縁層への色素吸着による光電変換効率の低下を抑制した色素増感太陽電池を提供することができる。
本発明の色素増感太陽電池の要部である積層構造の一例を示す概略断面図である。 本発明の色素増感太陽電池における多孔性絶縁層と、その全表面に形成された絶縁被覆部の一例を示す概略図である。 本発明の色素増感太陽電池における多孔性絶縁層と、その表面の一部に形成された絶縁被覆部を示す概略図である。 本発明の色素増感太陽電池の製造工程の一部を示す概略図である。 本発明の色素増感太陽電池の製造工程の一部を示す概略図である。 本発明の色素増感太陽電池の製造工程の一部を示す概略図である。 本発明の色素増感太陽電池の製造工程の一部を示す概略図である。 本発明の色素増感太陽電池の製造工程の一部を示す概略図である。 本発明の色素増感太陽電池モジュールの要部である積層構造を示す概略断面図である。 特許文献1の色素増感太陽電池の層構成を示す要部の概略断面図である。 特許文献2の色素増感太陽電池の散乱粒子の配置を示す概略断面図である。
本発明の色素増感太陽電池(以下、「太陽電池」ということがある)は、光透過性を有する支持体上に、導電層と、多孔性半導体層に色素が吸着した光電変換層と、多孔性絶縁層と、触媒層と、対極導電層とがこの順で積層された積層構造を有し、上記多孔性絶縁層の表面は、少なくともその一部または全部に、多孔性絶縁層と異なる材料からなる絶縁被覆部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の色素増感太陽電池モジュール(以下、「モジュール」ということがある)は、本発明の色素増感太陽電池を含む少なくとも2つ以上の太陽電池が直列に接続されてなることを特徴とする。
本発明の色素増感太陽電池の好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は一例であり、種々の形態での実施が本発明の範囲内で可能である。また、以下の実施の形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
図1は、本発明の色素増感太陽電池の要部である積層構造を示す概略断面図である。図1において、第1の支持体11上に、導電層13と、光電変換層15と、多孔性絶縁層19と、触媒層16と、対極導電層17とがこの順で積層されている。キャリア輸送層18に含まれるキャリア輸送材料は、光電変換層15から、多孔性絶縁層19と、触媒層16と、対極導電層17とにかけて浸透している。これらの積層構造は側面が封止材14により封止され、上面に第2の支持体12が設けられる。
(支持体)
第1の支持体11および第2の支持体12は、太陽電池の受光面となる部材であり、光透過性が必要なので、少なくとも光透過性を有する材料からなる。第1の支持体11および第2の支持体12の厚さは、特に限定されないが0.2〜5mmとすることが好ましい。
第1の支持体11および第2の支持体12を構成する上記光透過性を有する材料は、一般に太陽電池に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、例えば、ソーダガラス、溶融石英ガラス、結晶石英ガラスなどのガラス基板、可撓性フィルムなどの耐熱性樹脂板などが挙げられる。
上記可撓性フィルム(以下、「フィルム」ともいう)を構成する材料としては、例えば、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
支持体上に各層を形成する際に加熱を伴う場合、例えば、250℃程度の加熱を伴って支持体上に導電層13を形成する場合には、上記フィルムを構成する材料の中でも、250℃以上の耐熱性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好ましい。このように、加熱する温度にあわせて上記フィルムを構成する材料を選択すればよい。
(導電層)
導電層13は、太陽電池の受光面となり光透過性が必要なので、光透過性の材料からなる。ただし、少なくとも後述する光増感色素に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過させる材料であればよく、必ずしもすべての波長領域の光に対して透過性を有する必要はない。
導電層を構成する光透過性の材料は、一般に太陽電池に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような導電層を構成する材料としては、インジウム錫複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化錫(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられる。
上記導電層13の厚さは0.02〜5μmが好ましく、膜抵抗は低いほどよく、40Ω/sq以下が好ましい。膜抵抗とは各層における抵抗である。
また、低膜抵抗化のために導電層13に金属リード線を設けてもよい。金属リード線の材料としては、例えば、白金、金、ニッケル、チタンなどが挙げられる。金属リード線は、例えば公知のスパッタ法、蒸着法等で支持体上に形成することができ、この金属リード線を含む支持体上に導電層を形成することで導電層13に金属リード線を設けることができる。また、例えば支持体上に導電層13を形成した後、導電層表面上に金属リード線を公知の方法で形成してもよい。金属リード線を設ける場合は金属リード線の幅は10μm〜200μmとすることが好ましく、このような幅で金属リード線を設ける場合は、入射光量が低下する虞がなく、また光電変換効率のよい太陽電池を製造することができる。
(光電変換層)
光電変換層15は、多孔性半導体層に色素を吸着させ、かつキャリア輸送材料を充填させてなる。
多孔性半導体層は、半導体から構成され、その形態は多孔性であれば、粒子状、多数の微細孔を有する膜状など種々の形態のものを用いることができるが、膜状の形態が好ましい。なお、本発明において多孔性とは、比表面積が0.5〜300m2/gであることをいう。また、空孔率が20%以上であることをいう。このような比表面積は表面積の測定法には気体吸着法であるBET法によって求められ、空孔率は、多孔性半導体層の厚さ(膜厚)と質量、および材質の密度から計算によって求められる値である。このように比表面積を大きくすることにより多くの色素分子を吸着することができ、太陽光を効率よく吸収することが可能となる。また、空孔率を一定以上の値とすることにより、光電変換層に電子を戻すためのキャリア輸送材料の半導体層中への十分な拡散が可能となる。
多孔性半導体層を構成する半導体の材料としては、一般に光電変換材料に使用されるものであれば特に限定されない。このような半導体の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2、SrCu22などの化合物またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、金属酸化物、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブが好ましく、光電変換効率、安定性および安全性の点から酸化チタンが特に好ましい。これらの半導体の材料は、上記のように2種以上の混合物として用いることもでき、この場合の混合比は適宜調整すればよい。
本発明において、上記酸化チタンとしては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタンに限られず、水酸化チタン、含水酸化チタンなどを包含し、これらは単独または混合物として用いることができる。アナターゼ型とルチル型の2種類の結晶系は製法や熱履歴によりいずれの形態にもなり得るが、アナターゼ型が一般的である。
多孔性半導体層を構成する上記半導体は、安定性、結晶成長の容易さ、製造コストなどの観点から、微粒子からなる多結晶焼結体が好ましい。上記微粒子の粒径は、入射光を高い収率で電気エネルギーに変換するために、投影面積に対して十分に大きい実効表面積を得る観点から、平均粒径5nm以上50nm未満であることが好ましく、より好ましくは10nm以上30nm以下である。
多孔性半導体層の光散乱性は、この層形成に用いる半導体の材料の粒子径(平均粒径)により調整することができる。多孔性半導体層の形成条件にもよるが、一般に、平均粒径の大きい半導体粒子で形成した多孔性半導体層は、光散乱性が高く、入射光を散乱させ光捕捉率を向上させることができる。また、平均粒径の小さい半導体粒子で形成した多孔性半導体層は光散乱性が低いが、色素の吸着点(吸着サイト)をより多くすることにより吸着量を増加させることができる。したがって本発明において、上記微粒子からなる多結晶焼結体の上に、平均粒径が50nm以上、より好ましくは50nm以上600nm以下の半導体粒子からなる層を設けてもよい。
多孔性半導体層が光散乱性の高い多孔性半導体からなる層を有する場合は、構成する半導体材料の平均粒径が大きいので、機械的強度が低く、太陽電池の構造としての問題が起こることもある。このような場合には、平均粒径の大きい半導体材料に対して平均粒径の小さい半導体材料を、例えば10質量%以下の割合で配合することにより、多孔性半導体層の機械的強度を補うことができる。
多孔性半導体層の層厚は、特に限定されるものではないが、光電変換効率の観点から、0.5〜50μmが好ましい。特に、光散乱性の高い平均粒径50nm以上の半導体粒子からなる層を含む場合、その層の層厚は、0.1〜40μmが好ましく、より好ましくは5〜20μmであり、一方、平均粒径5nm以上50nm未満の粒子よりなる層の層厚は、0.1〜50μmが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。
導電層上に膜状の多孔性半導体層を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法が挙げられる。具体的には、(1)スクリーン印刷法、インクジェット法などにより、半導体材料である微粒子を含有するペーストを導電層上に塗布した後、焼成する方法、(2)所望の原料ガスを用いてCVD法またはMOCVD法などにより、導電層上に成膜する方法、(3)原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法などにより、導電層上に成膜する方法、(4)ゾル−ゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法などにより、導電層上に成膜する方法などが挙げられる。これらの方法の中でも、厚膜(厚い層)の多孔性半導体層を低コストで成膜できることから、ペーストを用いたスクリーン印刷法が特に好ましい。
太陽電池の光電変換効率を向上させるためには、後述する色素がより多く吸着した光電変換層を形成することが必要である。このため、多孔性半導体層として比表面積の大きなものが好ましく、膜状の材料からなる場合、例えば10〜200m2/gの比表面積であることが好ましい。また、多孔性半導体層が粒子状の材料からなる場合であっても上記比表面積とすることが色素吸着量の点から好ましい。
半導体粒子としてアナターゼ型酸化チタン(以下の説明において、単に酸化チタンという)を用いて、多孔性半導体層を形成する方法について、具体的に説明する。
まず、チタンイソプロポキシド125mLを0.1Mの硝酸水溶液750mLに滴下して加水分解をさせ、80℃で8時間加熱して、ゾル液を調製する。その後、得られたゾル液をチタン製オートクレーブ中で230℃で11時間加熱して、酸化チタン粒子を成長させる。その後室温下で超音波分散を30分間行なうことにより、平均粒径(平均一次粒径)15nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を調製する。次いで、得られたコロイド溶液に該溶液の2倍容量のエタノールを加え、これを回転数5000rpmで遠心分離して、酸化チタン粒子と溶剤とを分離させて酸化チタン粒子を得る。
次いで、得られた酸化チタン粒子を洗浄した後、酸化チタン粒子に、エチルセルロースとテルピネオールを無水エタノールに溶解させた溶液を加えた混合液を攪拌して、酸化チタン粒子を分散させる。その後、混合液を真空条件下で加熱してエタノールを蒸発させ、酸化チタンペーストを得る。最終的な組成として、例えば、酸化チタン固体濃度20wt%、エチルセルロース10wt%、テルピネオール70wt%となるように濃度を調整する。上記最終的な組成は例示的なものであって、これに限定されるものではない。
半導体粒子を含有する(懸濁させた)ペーストを調製するために用いる溶剤としては、上記以外にエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、イソプロピルアルコールとトルエンなどの混合溶剤、水などが挙げられる。
次いで、上記の方法により半導体粒子を含有するペーストを導電層上に塗布し、焼成して多孔性半導体層を得る。乾燥および焼成は、使用する支持体や半導体粒子の種類により、温度、時間、雰囲気などの条件を適宜調整する必要がある。焼成は、例えば、大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下、50〜800℃程度の範囲内で、10秒〜12時間程度で行なうことができる。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回または温度を変化させて2回以上行なうことができる。このようにして製造した多孔性半導体層の比表面積は、10〜200m2/gである。
なお、本明細書における平均粒径は、XRD(X線回折)の回折ピークから求めた値である。具体的には、XRDのθ/2θ測定における回折角の半値幅とシェラーの式;D=(K・λ)/(β・cosθ)(式中、Dは結晶粒径(Å)、Kはシェラーの定数、λはX線の波長[Å]、βは回折線の半値幅(rad)、θは回折角である。)とから平均粒径を求める。例えば、アナターゼ型酸化チタンの場合、(101)面に対応する回折ピーク(2θ=25.3°付近)の半値幅を測定すればよい。
(色素)
上記多孔性半導体層は、色素を吸着させて、後述するキャリア輸送材料を充填させることにより光電変換層15として機能する。
多孔性半導体層に吸着して光増感剤として機能する色素としては、種々の可視光領域および/または赤外光領域に吸収をもつ有機色素、金属錯体色素などが挙げられ、これらの色素を1種または2種以上を選択的に用いることができる。
有機色素としては、例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。これらの有機色素の吸光係数は、一般的に、遷移金属に分子が配位結合した形態をとる金属錯体色素に比べて大きい。
金属錯体色素としては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rhなどの金属に分子が配位結合した形態のものが挙げられ、これらの中でも、フタロシアニン系色素、ルテニウム系色素が好ましく、ルテニウム系金属錯体色素が特に好ましく、特に、下記式(1)〜式(3)で表されるルテニウム系金属錯体色素が好ましい。
Figure 2010044445
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多孔性半導体層に色素を強固に吸着させるためには、色素分子中にカルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などのインターロック基を有するものを用いることが好ましい。これらの中でも、カルボン酸基およびカルボン酸無水基が特に好ましい。なお、インターロック基は、励起状態の色素と多孔性半導体層の伝導帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供するものである。
多孔性半導体層に色素を吸着させる方法としては、例えば導電層上に形成された多孔性半導体層を、色素を溶解した溶液(以下、色素吸着用溶液ということがある)に浸漬する方法が挙げられる。浸漬する温度や時間などの条件は浸漬させる溶液の色素濃度により適宜調整すればよい。一般に、色素が高濃度の溶液を用いる場合は低濃度の場合に比べて、低温または短時間で吸着飽和に達しやすい。
色素を溶解させる溶剤としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類、水などが挙げられる。これらの溶剤は2種類以上を混合して用いることもできる。
色素吸着用溶液中の色素濃度は、使用する色素および溶剤の種類により適宜調整することができるが、吸着機能(効率)を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましく、例えば、5×10-4mol/L以上であればよい。
(キャリア輸送材料)
本発明において、「キャリア輸送層18」とは、キャリア輸送材料が注入された領域であって、図1に示すように、封止材14の内側の領域であって導電層13と支持体12との間に挟持され、封止材14により担持される領域を意味する。したがって、図1において、光電変換層15と、触媒層16と、対極導電層17と、多孔性絶縁層19とにはキャリア輸送材料が充填される。
このようなキャリア輸送材料は、イオンを輸送できる導電性材料で構成され、好適な材料として、例えば、液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、溶融塩ゲル電解質などが挙げられる。
上記液体電解質は、酸化還元種を含む液状物であればよく、一般に電池や太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されない。具体的には、酸化還元種とこれを溶解可能な溶剤からなるもの、酸化還元種とこれを溶解可能な溶融塩からなるもの、酸化還元種とこれを溶解可能な溶剤と溶融塩からなるものが挙げられる。
酸化還元種としては、例えば、I-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系、キノン/ハイドロキノン系などが挙げられる。具体的には、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化カルシウム(CaI2)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせ、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)、テトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素(I2)との組み合わせ、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化カルシウム(CaBr2)などの金属臭化物と臭素(Br2)との組み合わせが好ましく、これらの中でも、LiIとI2の組み合わせが特に好ましい。
また、酸化還元種の溶媒としては、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、水、非プロトン極性物質などが挙げられる。これらの中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が特に好ましい。これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることもできる。
固体電解質は、電子、ホール、イオンを輸送できる導電性材料であり、太陽電池の電解質として用いることができて、流動性がないものであればよい。具体的には、ポリカルバゾールなどのホール輸送材、テトラニトロフロオルレノンなどの電子輸送材、ポリロールなどの導電性ポリマー、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質、ヨウ化銅、チオシアン酸銅などのp型半導体、溶融塩を含む液体電解質を微粒子により固体化した電解質などが挙げられる。
上記ゲル電解質は、通常、電解質とゲル化剤からなる。電解質とゲル化剤との混合は適宜調製すればよく、電解質としては、上記固体電解質を用いることができる。
一方、ゲル化剤としては、例えば、架橋ポリアクリル樹脂誘導体や架橋ポリアクリロニトリル誘導体、ポリアルキレンオキシド誘導体、シリコーン樹脂類、側鎖に含窒素複素環式化合物の四級塩構造を有するポリマーなどの高分子ゲル化剤などが挙げられる。
溶融塩ゲル電解質は、通常、上記のようなゲル電解質と常温型溶融塩からなる。
常温型溶融塩としては、例えば、ピリジニウム塩類、イミダゾリウム塩類などの含窒素複素環式化合物の四級アンモニウム塩類などが挙げられる。
上記キャリア輸送材料を構成する各電解質には、必要に応じて添加剤を加えてもよい。
このような添加剤としては、t−ブチルピリジン(TBP)などの含窒素芳香族化合物、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、ヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などのイミダゾール塩が挙げられる。
キャリア輸送材料を構成する電解質中の電解質濃度は、0.001〜1.5mol/Lの範囲が好ましく、0.01〜0.7mol/Lの範囲が特に好ましい。ただし、後述する本発明のモジュールにおいて受光面側に触媒層がある場合、入射光が電解液を通して色素が吸着された多孔性半導体層に達し、キャリアが励起される。そのため、受光面側に触媒層があるユニットセルに用いる電解質濃度によっては性能が低下する場合があるので、この点を考慮して電解質濃度を設定するのが好ましい。
(多孔性絶縁層)
光電変換層15と触媒層16が接触すると、光電変換層15から触媒層16へ、さらに対極導電層17への電子注入、すなわちリークが発生して、太陽電池の性能低下につながる。したがって多孔性半導体層(光電変換層15)と対極との間に多孔性絶縁層19を設けることが一般的である。多孔性絶縁層19を構成する材料としては、光電変換層15から触媒層16への電子移動を抑制する観点から、伝導帯準位の高い材料、すなわち酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化ストロンチウム、酸化タンタル、酸化バリウムからなる群より選択される金属酸化物等の材料が少なくとも一種用いられる第一導電層材料であることが好ましい。
本発明において多孔性絶縁層19は、膜状に形成されることが好ましい。多孔性半導体層上に膜状の多孔性絶縁層19を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法が挙げられる。具体的には、上記多孔性半導体層と同様に、(1)スクリーン印刷法、インクジェット法などにより、絶縁層材料粒子を含有するペーストを塗布した後、焼成する方法、(2)所望の原料ガスを用いたCVD法またはMOCVD法などにより成膜する方法、(3)原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法などにより成膜する方法、(4)ゾル−ゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法などにより成膜する方法などが挙げられる。なお、多孔性絶縁層19の形状は限定されるものではないが、一般に図1に示すように光電変換層15を囲うように設けられ、その側面の一端が導電層を貫通して支持体に接するように設けられるものである。
多孔性絶縁層19を構成する材料は、その粒子径(平均粒径、または単に粒径という)によっては、光散乱性を付与することができる。粒径の大きい粒子を含む絶縁層は、光散乱性が高く、入射光を散乱させ光捕捉率を向上させることができる。具体的には、多孔性半導体層を構成する材料の平均粒子径が5nm以上50nm未満の場合、多孔性絶縁層19を構成する材料として粒子径50nm以上600nm以下の粒子を用いることにより、入射光のうち多孔性半導体層を透過してきた成分を反射して再び多孔性半導体層に到達させることができ、より多くの入射光を色素に吸収させることができる。多孔性絶縁層19を形成する材料の粒子径が大きく、粒子間の空隙が大きくなりすぎて光電変換層15と触媒層16とが部分的に接触する、あるいは絶縁層の機械的強度の低下が問題となる場合には、粒子径のより小さい粒子を、例えば10重量%以下の割合で配合してもよい。あるいは、粒子径のより小さな粒子からなる層を導入して二層構造の絶縁層としてもよい。
多孔性半導体層への色素の吸着を、上述のように多孔性半導体層上に絶縁層を形成した後に、色素を溶解した溶液に浸漬することにより行なう場合、多孔性半導体層に色素溶液を到達させるよう、絶縁層は多孔性であることが求められる。したがって本発明における絶縁層を上述のように多孔性絶縁層ともいう。ここで、多孔性とは、上記多孔性半導体層における多孔性と同義である。
上記多孔性半導体層への色素の吸着の際に、光散乱層として機能する多孔性絶縁層(詳細には、絶縁層を構成する粒子)にも色素は吸着し、その吸着量は多孔性絶縁層の支持体上への投影面積(単位面積)あたり10-9mol/cm2以上10-8mol/cm2程度である。
また多孔性半導体層への上記色素吸着量が大きくなると絶縁層を構成する散乱粒子表面に吸着した色素に到達した入射光は散乱されずに色素に吸収されるため入射光を反射することができず、一方絶縁層を構成する材料は伝導帯準位が高いので、光吸収した色素からの電子注入も起こりえない。このことは、色素増感太陽電池の光電変換効率の低下につながる。
このような光電変換率の低下を防止するためには、多孔性絶縁層への色素の吸着を抑制することを目的として、図2または図3のように多孔性絶縁層19の表面の全部または少なくとも一部に絶縁被覆部20を形成することが好ましく、このような絶縁被覆部を設けることにより、上記多孔性絶縁層の単位面積あたりに吸着可能な色素量が少なくなることが必要である。このときの多孔性絶縁部部分の支持体上への投影面積あたり色素吸着量は10-12mol/cm2以上10-9mol/cm2以下となる。多孔性絶縁層がこのような色素吸着量の範囲を満たす場合は、絶縁層を構成する粒子に吸着した色素による光電変換効率の低下を防止することができる。詳細は後述するが、投影単位面積あたり10-12molという色素吸着量は、吸光度の測定により算出する値としては極めて低いオーダーであり、多孔性絶縁層の色素の吸着を抑制できる下限に近い値である。
このような絶縁被覆部を構成する材料(第二絶縁材料)としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれか等の材料であることが好ましい。なお、「被覆する」とは、上記絶縁被覆部を多孔性半導体層の表面に別個の層として設ける場合と、多孔性半導体層表面の一部であって上記第二絶縁材料を保持する層を設ける場合のいずれの態様をも含むものとする。そして、絶縁被覆部を含む場合、上記多孔性絶縁層の支持体上への投影面積あたりの色素吸着量とは、このような多孔性絶縁層と絶縁被覆部を合わせた場合の投影面積あたりの値をいう。また、上記絶縁被覆部は、多孔性絶縁層の表面の一部として形成されることが好ましい。
上記絶縁被覆部の厚みは、1nm以上10nm以下であることが望ましい。絶縁被覆部の厚みを上記範囲とする場合は、多孔性絶縁層部分に充填されたキャリア輸送材料の抵抗が増大することはないので、光電変換効率の低下をより防ぐことができる。
多孔性絶縁層を上記第二絶縁材料によって被覆する手法としては、多孔性半導体層上に多孔性絶縁層を形成後、上記第二絶縁材料の前駆体溶液を、多孔性絶縁層表面側から塗布し、その後、熱処理を行なう方法が挙げられる。前駆体溶液としては、第二絶縁材料を構成する金属であるケイ素、アルミニウム、マグネシウム等のアルコキシド、無機化合物、あるいは錯体等の少なくとも一種を含む溶液を用いることができる。前駆体溶液は、その前駆体濃度を0.1〜50重量%とすることが好ましく、1〜20重量%とすることがより好ましい。また、溶媒としては、後述の加熱処理により蒸発するものであることが好ましく、例えば、エタノール、プロパノール等のアルコール類を例示することができる。
上記前駆体溶液の塗布はホットプレート等で被塗布体を加熱しながら行なうことが望ましい。前駆体溶液の塗布量は多孔性絶縁層の被覆を実施するために必要な最小限の量であることが望ましい。すなわち前駆体溶液の多孔性半導体層への到達量をなるべく少なくすることが望ましい。また、加熱しながら塗布した後に、再度熱処理を行なってもよい。
具体的には、塗布時の加熱温度は50℃以上300℃以下が望ましい。300℃を超える温度で加熱すると、塗布後瞬時に前駆体溶液に含まれる溶媒が揮発するので、前駆体溶液の多孔性絶縁層の厚み方向への浸透が不十分となる可能性がある。また前駆体溶液の塗布量は多孔性絶縁層表面の見かけの体積1cm3あたり0.2mL以上10mL以下であることが望ましく、1mL以上10mL以下であることがより望ましい。0.2mL未満では多孔性絶縁層を十分に被覆するには不足である。10mLを超える場合では、多孔性半導体層に到達する量が多くなり、多孔性半導体層の色素吸着量の大幅な減少につながる虞がある。
(触媒層)
触媒層16は、多孔性絶縁層19上に設けられる。触媒層16を構成する材料は、当該分野で一般に光電変換材料に使用されるものであれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、白金や、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレンなどのカーボン材料が挙げられる。
例えば、白金を用いる場合には、触媒層16は、PVC法、スパッタ法、蒸着法、塩化白金酸の熱分解、電着などの公知の方法により形成することができる。その層厚は、例えば、0.5nm〜1000nm程度が適当である。
また、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレンなどのカーボン材料を用いる場合には、任意の溶剤に分散してペースト状にしたカーボンをスクリーン印刷法などにより多孔性絶縁層19上に塗布して触媒層16を形成することができる。この場合も、層厚は、例えば、0.5nm〜1000nmが適当である。
(対極導電層)
対極導電層17は、触媒層16上に設けられる。対極電極層17を構成する材料は、一般に太陽電池に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、インジウム錫複合酸化物(ITO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、チタン、タングステン、金、銀、銅、ニッケルなどの金属材料が挙げられる。
対極導電層17の形態としては特に限定されず、緻密な膜状、多孔性膜状あるいはクラスター状とすることができる。また、層厚は、例えば、20〜5000nmの範囲とすればよく、対極導電層の膜抵抗が40Ω/sq以下であることが好ましい。
対極導電層17の形成は、スクリーン印刷法、蒸着法、CVD法など公知の形成方法を用いることができる。
また、対極導電層17には、必要に応じて、取り出し電極が設けられる。取り出し電極の構成材料および構造は、一般に太陽電池に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料および構造であれば、特に限定されない。
(封止材)
本発明の太陽電池は、公知の太陽電池と同様に、上記支持体上に形成された積層構造体が封止材14により封止される。封止材14は、電解液の揮発防止と電池内への水などの浸入を防止するために重要である。また、封止材は、支持体に作用する落下物や応力(衝撃)を吸収したり、長期にわたる使用時において支持体に作用するたわみなどを吸収したりするために重要である。
封止材14を構成する材料は、一般に太陽電池に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリットなどが好ましく、これらは2種類以上を2層以上にして用いることもできる。酸化還元性電解質の溶剤としてニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤を使用する場合には、シリコーン樹脂やホットメルト樹脂(例えば、アイオノマー樹脂)、ポリイソブチレン系樹脂、ガラスフリットが特に好ましい。
(色素増感太陽電池)
上記のように封止材で封止された積層構造は、その上面に第2の支持体12が形成され色素増感太陽電池が製造される。上記各層の構成を有する本発明の色素増感太陽電池は、多孔性絶縁層における色素吸着量が低減されており、光電変換効率の低下を十分に抑制したものである。例えば、本発明の色素増感太陽電池の光電変換効率は、7%以上のものである。
(色素増感太陽電池モジュール)
本発明の色素増感太陽電池モジュールは、複数の色素増感太陽電池が直列に接続された色素増感太陽電池モジュールであって、複数の色素増感太陽電池の少なくとも2つは上記本発明の色素増感太陽電池であり、該色素増感太陽電池の触媒層または対極導電層と、隣接する色素増感太陽電池の導電層とが、電気的に接続された構造を備える。上述のように、本発明の色素増感太陽電池はその光電変換効率が良好なものであるので、該太陽電池を含むモジュールもその光電変換効率、発電効率に優れたものとなる。
なお、本発明において、上記色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュールの製造方法としては、従来公知のその他の工程たとえば、集電電極の形成工程などを任意に含むものとする。
本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例および比較例により本発明が限定されるものではない。以下の実施例および比較例において、各層の厚みは段差計((株)東京精密製 E−VS−S28A)により測定した。また、平均粒径は、XRD(X線回折)の回折ピークから求めた値であり、比表面積はBET法により求めた値である。
(実施例1)
実施例1においては、図1に示す色素増感太陽電池セルの作製を行なった。
ガラス基板からなる支持体上にフッ素がドープされた酸化錫(FTO)からなる導電層が成膜された、30mm×30mm×厚さ4.0mmの透明電極基板41(日本板硝子株式会社製、SnO2膜付ガラス)を用意した。図4Aに示すように支持体と導電層とが積層された透明電極基板41の導電層をレーザースクライブにより切断し、スクライブライン42を形成した(図4A〜図4Eは色素増感太陽電池セルを上面からみた場合の概略図である)。次いで、図4Bに示すような多孔性半導体層のパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型番:LS−150)を用いて、市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:D/SP)を塗布し、室温で1時間レベリングを行なった。その後、得られた塗膜を80℃に設定したオーブンで20分間乾燥し、さらに500℃に設定した焼成炉(株式会社デンケン製、型番:KDF P−100)を用いて空気中で60分間焼成した。この塗布、乾燥および焼成工程をこの順で4回繰り返して、層厚25μmの多孔性半導体層43を得た。多孔性半導体層43の比表面積は、120m2/gであった。
図4Cに示すように多孔性半導体層43上にジルコニア粒子(平均粒経200nm)を含むペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布し、その後、500℃、60分間で焼成を行ない、大きさ10mm×10mm、平坦部分の膜厚が13μmの多孔性絶縁層19を形成した。形成した多孔性絶縁層19の比表面積は、FTO上に上記と同様にして膜を形成して測定したところ、5m2/gであった。
次いで、基板を200℃に設定したホットプレート上に置き、3分経過後にテトラエトキシシラン(キシダ化学社製)5重量%エタノール溶液5μL(多孔性絶縁層1cm3あたり1mL相当)を多孔性絶縁層19上から塗布し、乾燥後、400℃で30分焼成して、多孔性絶縁層19表面にSiO2による絶縁被覆部を形成した。絶縁被覆部の厚みは約5nmであった。
次いで図4Dに示すように、所定のパターンが形成されたマスクおよび蒸着装置(アルバック株式会社製、型番:ei−5)を用いて蒸着速度0.1Å/sで、多孔性絶縁層19上にPtを成膜して、触媒層16を得た。なお触媒層16の大きさ、位置は多孔性半導体層19と同様とした。
さらに図4Eに示すように所定のパターンが形成されたマスクおよび蒸着装置(アルバック株式会社製、型番:ei−5)を用いて蒸着速度0.1Å/sで、触媒層16上に層厚400nmのチタンを対極導電層17として形成して、積層構造体を得た。
次いで、上記積層構造体を予め調製しておいた色素吸着用溶液に室温で100時間浸漬し、その後、積層構造体をエタノールで洗浄し、約60℃で約5分間乾燥させて、多孔性半導体層に色素を吸着させた。
上記色素吸着用溶液は、上記式(2)の色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium620 1H3TBA)を体積比1:1のアセトニトリルとt−ブタノールの混合溶剤に溶解させて調製した濃度4×10-4mol/Lの溶液である。
次いで、積層構造体が形成された基板(支持体)と、支持体であるガラス基板(例えば、図1の第2の支持体12)とを、積層体の周囲を囲う形に切り出した熱融着フィルム(デュポン社製、ハイミラン1855)を用いて貼り合せ、約100℃に設定したオーブンで10分間加熱することによりこれらを圧着した。
次いで、支持体であるガラス基板に予め設けてあった電解液注入用孔から電解液を注入して、紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製、型番:31X−101)を用いて電解液注入用孔を封止した。このようにキャリア輸送材料を充填させて色素増感太陽電池(単セル)を得た。
上記電解液は、溶剤であるアセトニトリルに、酸化還元種としてLiI(アルドリッチ社製)を濃度0.1mol/L、I2(キシダ化学社製)を濃度0.01mol/Lになるように、さらに添加剤としてt−ブチルピリジン(アルドリッチ社製)を濃度0.5mol/L、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(四国化成工業社製)を濃度0.6mol/Lになるように添加し、溶解させたものである。
<光電変換効率の測定>
得られた色素増感太陽電池に集電電極部としてAgペースト(藤倉化成株式会社製、商品名:ドータイト)を公知の方法により塗布した。次いで、太陽電池の受光面に、開口部の面積が0.9cm2である黒色のマスクを設置して、この太陽電池に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、光電変換効率を測定した。光電変換効率は8.0%であった。
<色素吸着量の測定>
透明電極基板上に形成された、多孔性半導体層、多孔性絶縁層、触媒層、対極導電層の積層構造体から、多孔性半導体層を残してそれ以外の層を取り除き、多孔性絶縁層に吸着している色素量を測定した。一般的に、酸化チタンからなり、平均粒径5nm以上50nm以下である微粒子で構成され、焼結して得られる多孔性半導体層は、多孔性絶縁層よりも粒子間の接合が強固であり膜としても堅牢なので、力を加減して多孔性絶縁層との界面で多孔性絶縁層、触媒層、対極導電層を剥離することが可能である。触媒層および対極導電層には色素が吸着しないので、多孔性絶縁層と、触媒層および対極導電層は分離しなくても多孔性絶縁層の色素吸着量の測定が可能である。以下に測定の詳細を述べる。
色素増感太陽電池セルを10個用意し、各セルの最表面の対極導電層上からカミソリの刃などの鋭利な刃物で削っていき多孔性半導体層を残してそれ以外の層を剥離させた。この多孔性絶縁層を含む混合物を、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液に浸漬し、10分間攪拌して吸着した色素を溶出させた。次に、この溶液を光路長1mmの光学セルに満たし、分光光度計を用いてこの溶液の吸光度を測定した。スペクトルの600nm付近のピーク吸光度と、色素の水溶液中でのモル吸光係数(上記式(2)の色素では7500L/mol・cm)から、脱着液の色素濃度を求めた。脱着液には多孔性絶縁層1.1×1.1×10=12.1cm2分の色素が含まれているので、単位面積あたりの色素吸着量が算出できる。こうして求めた色素吸着量は2.5×10-10mol/cm2であった。なお、色素増感太陽電池セル10個を用いて上記方法で色素吸着量を測定する場合、分光光度計で検出可能な吸光度下限値の下限値から、1×10-12mol/cm2以下の場合は測定することができない。この吸着量は、先述した多孔性絶縁層の色素の吸着を抑制できる下限値に近い値である。
色素吸着量は、透明導電基板41上に、多孔性絶縁層19の形成と同じ原料および方法を用いて、同じ大きさおよび厚みとなるように絶縁層を形成し、絶縁被覆部も同様に形成して、色素吸着を同様に行ない、その色素吸着量を上記方法で測定しても良い。いずれの測定によっても同様の結果となる。ただし、完全に同じ大きさおよび厚みとなるように絶縁層を形成することは困難であるため、多孔性絶縁層を剥離させる方法がより好ましい。
(実施例2)
実施例1において多孔性絶縁層19を形成した後、アルミニウムイソプロポシキド(キシダ化学社製)5重量%エタノール溶液6μLを用いて、厚みが約5nmであるAl23膜からなる絶縁被覆部を多孔性絶縁層19の全表面に形成した以外は、実施例1と同様の方法により色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、実施例1と同様に、Al23絶縁被覆部を設けたジルコニア多孔性膜を剥離して、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において多孔性絶縁層19を形成した後、マグネシウムエトキシド(キシダ化学社製)5重量%エタノール溶液6μLを用いて、厚みが約5nmであるMgOからなる絶縁被膜層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、実施例1と同様に、MgO絶縁被覆部を設けたジルコニア多孔性膜を剥離させ、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において多孔性絶縁層19を形成した後に塗布するテトラエトキシシランエタノール溶液の塗布量を0.6μLとした以外は、実施例1と同様の方法により色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、実施例1と同様に、SiO2絶縁被覆部を設けたジルコニア多孔性膜を剥離させ、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
(実施例5)
実施例2において多孔性絶縁層19を形成した後に塗布するアルミニウムイソプロポシキド溶液の塗布量を0.6μLとした以外は、実施例2と同様の方法により色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、実施例2と同様に、Al23絶縁被覆部を設けたジルコニア多孔性膜を剥離させ、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
(実施例6)
実施例3において多孔性絶縁層19を形成した後に塗布するマグネシウムエトキシド溶液の塗布量を0.6μLとした以外は、実施例3と同様の方法により色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、実施例3と同様に、MgO絶縁被覆部を設けたジルコニア多孔性膜を剥離させ、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
(実施例7)
実施例4において、多孔性半導体層43上に形成する多孔性絶縁層の材料として酸化ニオブ粒子を含むペーストを用いたこと以外は、実施例4と同様の方法によりSiO2絶縁被覆部を設け、色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、実施例4と同様に、SiO2絶縁被覆部を設けた酸化ニオブ多孔性膜を剥離させ、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
(実施例8〜15)
表1に示す多孔性絶縁層材料、絶縁被覆部、絶縁被覆部前駆体溶液塗布量において実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、絶縁被覆部を設けた多孔性絶縁層を剥離させ、色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において多孔性絶縁層19を形成した後に、金属アルコキシド処理を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、実施例1と同様に、ジルコニア多孔性膜を剥離させ、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池色素の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
(比較例2〜7)
比較例1において多孔性半導体層43上に形成する多孔性絶縁層の材料として表1に示す材料を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法により色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。また、多孔性絶縁層膜を剥離させ、色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池色素の変換効率、色素吸着量を表1に示す。
Figure 2010044445
(実施例16)
図5に示す色素増感太陽電池モジュールの作製を行なった。
先ず、第1の支持体11表面に透明な導電層13が形成された透光性基板(日本板硝子社製、商品名:SnO2膜付ガラス:縦60mm×横37mm)を用意し、この透光性基板表面のSnO2膜をレーザースクライブにより縦方向に平行に、所定の位置にスクライブラインを4本形成して、透明な導電層13を切断した。形成されたスクライブラインの幅は100μmである。
次に、実施例1に準じて膜厚は25μm、縦50mm×横5mmの多孔性半導体層15を4本、各々スクライブラインから同じ側に形成した。次いで、多孔性半導体層15上に実施例1に準じてジルコニア粒子からなる多孔性絶縁層19を形成した。多孔性半導体層15の比表面積は120m2/gであり、多孔性絶縁層19の比表面積は5m2/gであった。次に、触媒層16、次いで対極導電層17を実施例1に準じて形成して、積層構造体を得た。得られた積層構造体を実施例1で用いた色素吸着用溶液に室温で120時間浸漬し、多孔性半導体層15に色素を吸着させた。
次いで、基板を200℃に設定したホットプレート上に置き、3分経過後にテトラエトキシシラン(キシダ化学社製)5重量%エタノール溶液を、多孔性絶縁層1cm3あたり1mL、多孔性絶縁層19上から塗布し、乾燥後、400℃で30分焼成して、多孔性絶縁層19表面にSiO2による絶縁被覆部(不図示)を形成した。絶縁被覆部の厚みは約5nmであった。
次に、積層構造体の間およびセルの周囲に紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製 商品名:31X−101)をディスペンサー(EFD社製 ULTRASAVER)を用いて塗布し、カバー層である上面の第2の支持体12(縦60mm×横30mm×厚さ1mmのガラス基板)を貼り合わせた後、紫外線ランプ(EFD社製 NOVACURE)を用いて紫外線を照射して、感光性樹脂である紫外線硬化樹脂を硬化させて封止材14を形成した。
その後、カバー層として用いた上面の第2の支持体12にあらかじめ設けてあった電解液注入孔より実施例1で用いたのと同じ電解液を注入して、次いで電解液注入孔に上記紫外線硬化樹脂を塗布し、封止材と同様に紫外線を照射して、上記硬化樹脂を硬化させて電解液注入孔を封止することによりキャリア輸送層18を形成させて、色素増感太陽電池モジュールを完成させた。
得られたモジュールに集電電極部としてAgペースト(藤倉化成株式会社製、商品名:ドータイト)を塗布した。次いで、太陽電池の受光面に、開口部の面積が11cm2である黒色のマスクを設置して、この太陽電池に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、光電変換効率を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例17〜23)
表2に示す多孔性絶縁層材料、絶縁被覆部、絶縁被覆部前駆体溶液塗布量において実施例16と同様に色素増感太陽電池モジュールを作製し、光電変換効率を測定した。また、絶縁被覆部を設けた多孔性絶縁膜を剥離させ、色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池モジュールの変換効率、色素吸着量を表2に示す。
(比較例8)
実施例16においてジルコニア粒子からなる多孔性絶縁層59の形成後の金属酸化物による絶縁被覆部の形成を行なわなかったこと以外は、実施例16と同様の方法により色素増感太陽電池モジュールを作製し、光電変換効率を測定した。また、ジルコニア多孔性膜を剥離させ、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池色素モジュールの変換効率、色素の吸着量を表2に示す。
(比較例9)
比較例8において、多孔性絶縁層59の材料として酸化ニオブ粒子を含むペーストを用いたこと以外は、比較例8と同様の方法により色素増感太陽電池モジュールを作製し、光電変換効率を測定した。また、比較例3と同様に、SiO2絶縁被覆部を設けた酸化ニオブ多孔性膜を剥離させ、多孔性絶縁層の色素吸着量を測定した。色素増感太陽電池モジュールの変換効率、色素吸着量を表2に示す。
Figure 2010044445
表1および表2に示す結果から明らかなように、本発明の色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュールは、絶縁被覆を施した多孔性絶縁層における色素吸着量が、従来の絶縁被覆部の無い多孔質絶縁層の色素吸着量よりも少ないので、従来の色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュールに比べて光電変換効率の優れたものであることが分かる。また、絶縁被覆を施した多孔質絶縁層の色素吸着量が特定の範囲内にある場合、光電変換効率はさらに優れたものとなる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 第1の支持体、12 第2の支持体、13 導電層、14 封止材、15 光電変換層、16 触媒層、17 対極導電層、18 キャリア輸送層、19 多孔性絶縁層、20 絶縁被覆部、41 透明電極基板、42 スクライブライン、43 多孔性半導体層、61 第1の支持体、62 第2の支持体、63 導電層、64 封止材、65 光電変換層、66 触媒層、67 対極導電層、68 キャリア輸送層、71 支持体、72 導電層、73 多孔性半導体層、74 小さい粒子径の半導体粒子、75 大きい粒子径の半導体粒子。

Claims (6)

  1. 光透過性を有する支持体(11)上に、導電層(13)と、多孔性半導体層に色素が吸着した光電変換層(15)と、多孔性絶縁層(19)と、触媒層(16)と、対極導電層(17)とがこの順で積層された積層構造を有し、
    前記多孔性絶縁層(19)の表面は、少なくともその一部または全部に、前記多孔性絶縁層(19)と異なる材料からなる絶縁被覆部(20)が形成されている色素増感太陽電池。
  2. 前記絶縁被覆部(20)が形成された多孔性絶縁層(19)は、前記絶縁被覆部(20)が形成されていない多孔性絶縁層(19)よりも、単位面積あたりに吸着可能な色素量が少ない請求の範囲1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記多孔性絶縁層(19)は、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、ストロンチウム、インジウム、タンタルおよびバリウムからなる群より選択される金属の酸化物の少なくともいずれかである第一絶縁層材料により構成される請求の範囲1に記載の色素増感太陽電池。
  4. 前記絶縁被覆部(20)は、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれかである第二絶縁層材料により構成される請求の範囲1に記載の色素増感太陽電池。
  5. 前記多孔性絶縁層(19)は、色素が吸着し、支持体上への投影面積あたりの色素吸着量が10-12mol/cm2以上10-9mol/cm2以下である請求の範囲1に記載の色素増感太陽電池。
  6. 複数の色素増感太陽電池が直列に接続された色素増感太陽電池モジュールであって、
    前記複数の色素増感太陽電池の少なくとも2つは請求の範囲1に記載の色素増感太陽電池であり、該色素増感太陽電池の触媒層(16)または対極導電層(17)と、隣接する色素増感太陽電池の導電層(13)とが、電気的に接続された色素増感太陽電池モジュール。
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