JP2014053150A - 光電変換素子および光電変換モジュール - Google Patents

光電変換素子および光電変換モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】熱ストレスが与えられても光電変換効率が低下し難い光電変換素子の提供。
【解決手段】光電変換素子では、光透過性材料を含む支持体と、透明導電層と、第1の多孔性半導体層を含む光電変換層と、対極導電層とが順に設けられている。光電変換層と対極導電層との間には、キャリア輸送材料が設けられている。光電変換層の対極導電層側に位置する表面の少なくとも一部には、耐熱層が設けられおり、耐熱層は、光電変換層よりも耐熱性に優れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子および光電変換モジュールに関する。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光エネルギーを電力エネルギーに変換する太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池などが実用化されている。しかし、前者の太陽電池には、シリコン基板の製造コストが高いという問題がある。後者の薄膜シリコン太陽電池には、多種の半導体製造用ガスおよび複雑な装置などを用いて製造するために製造コストが高くなるという問題がある。このため、いずれの太陽電池にも、光電変換の高効率化による発電出力当たりのコストを低減する努力が続けられているが、上記の問題を解決するには至っていない。
新しいタイプの太陽電池として、金属錯体の光誘起電子移動を応用した光電変換素子を含む太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1)。また、新しい別のタイプの太陽電池として、量子ドットにより増感された光電変換素子を含む太陽電池が提案されている(たとえば特許文献2)。特許文献1〜2に記載の光電変換素子は、2枚のガラス基板の表面にそれぞれ電極を形成し、これらの電極が内側となるように2枚のガラス基板を配置し、電極間に光電変換層と電解液とを挟みこむことにより、製造される。光電変換層は、光増感色素を吸着させることにより可視光領域に吸収スペクトルを持たせた半導体層である。このような湿式太陽電池は、色素増感太陽電池とも呼ばれる。
このような湿式太陽電池に光が入射すると、電子が光電変換層で発生し、光電変換層で発生した電子は光電変換層内を通って一方の電極に到達する。一方の電極に到達した電子は、電極間を接続する外部電気回路を通って他方の電極に移動し、電解液に供給される。電解液に供給された電子は、電解液中のイオンによって運ばれて光電変換層に戻る。湿式太陽電池では、このような一連の電子の流れにより電気エネルギーが取り出される。
また、特許文献3には、導電層が予め形成された基板(導電性基板)を用いた湿式太陽電池が開示されている。この湿式太陽電池は、一方の導電性基板の上に多孔性半導体層(光電変換層)を形成し、他方の導電性基板の上に触媒層を形成し、多孔性半導体層と触媒層とが重なり合うようにして他方の導電性基板を一方の導電性基板に重ねてから、エポキシ系接着剤で封止することにより、製造される。
特開平01−220380号公報(特許第2664194号) 特開2008−287900号公報 特開2003−197283号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の光電変換素子では、熱ストレスに対する対策が講じられていない。そのため、特許文献1〜3に記載の光電変換素子に熱ストレスを与えると、光電変換効率の低下を招く。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱ストレスが与えられても光電変換効率が低下し難い光電変換素子を提供することである。
本発明に係る光電変換素子では、光透過性材料を含む支持体と、透明導電層と、第1の多孔性半導体層を含む光電変換層と、対極導電層とが順に設けられている。光電変換層と対極導電層との間には、キャリア輸送材料が設けられている。光電変換層の対極導電層側に位置する表面の少なくとも一部には、耐熱層が設けられおり、耐熱層は、光電変換層よりも耐熱性に優れる。
耐熱層は、第1の多孔性半導体層とは異なる材料からなる第2の多孔性半導体層を含んでも良いし、第1の多孔性半導体層と同じ材料からなる第2の多孔性半導体層を含んでも良いが、少なくとも酸化錫を含むことが好ましい。耐熱層の厚さは、光電変換層の厚さよりも薄いことが好ましい。耐熱層は、平均粒径が5nm以上50nm未満の粒子を含むことが好ましい。耐熱層の細孔径は、15nm以上であることが好ましい。
第1の多孔性半導体層と第2の多孔性半導体層とは、異なる材料からなることが好ましい。光電変換層と耐熱層との間には、多孔性絶縁層が設けられていることが好ましい。
本発明に係る光電変換モジュールは、本発明に係る光電変換素子が直列接続されて構成されている。
本発明に係る光電変換素子では、熱ストレスの付与に起因する光電変換効率の低下を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る光電変換素子の断面図である。 本発明の一実施形態に係る光電変換素子の製造方法のうちの一工程を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る光電変換素子の製造方法のうちの別の一工程を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る光電変換素子の製造方法のうちのさらに別の一工程を示す断面図である。 本発明の別の一実施形態に係る光電変換素子の断面図である。
以下、本発明の光電変換素子について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
<第1の実施形態>
<光電変換素子の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光電変換素子の断面図である。本実施形態に係る光電変換素子は、透明電極板11と、透明電極板11と向かい合うようにして当該透明電極板11から所定の距離を空けて配置された対極12と、透明電極板11と対極12との間に設けられたキャリア輸送材料10と、透明電極板11と対極12との間に設けられ透明電極板11と対極12とを接合する封止材9とを備えている。なお、封止材9は、透明電極板11と対極12との間においてキャリア輸送材料10を取り囲むようにして配置されており、キャリア輸送材料10を封止している。
透明電極板11は、支持体1と、支持体1の一方の表面の上に設けられた透明導電層2とで構成されている。透明導電層2の上には、光電変換層3と耐熱層4とが設けられている。
対極12は、カバー体8と対極導電層7と触媒層6とで構成されており、触媒層6は、対極導電層7に対してカバー体8とは反対側に設けられている。対極12は、触媒層6が透明電極板11の透明導電層2と向かい合うように配置されている。なお、対極12には、キャリア輸送材料10を注入するための孔が形成されていても良い。
<支持体>
支持体1は、本実施形態に係る光電変換素子の受光面の少なくとも一部を構成する。そのため、支持体1では、たとえば、光電変換素子の受光面となる部分において光透過性を有する材料が用いられていることが好ましい。光透過性を有する材料は、後述する光増感剤に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過させる材料(当該光の透過率がたとえば80%以上、好ましくは90%以上)であれば良く、必ずしも全ての波長領域の光に対して透過性を有する必要はない。
具体的には、支持体1は、ソーダ石灰フロートガラス、溶融石英ガラスまたは結晶石英ガラスなどからなるガラス板であっても良いし、可撓性フィルムなどの耐熱性樹脂板であっても良い。可撓性フィルムとしては、たとえば、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、フェノキシ樹脂またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフィルムを用いることができる。
加熱を伴って支持体1の上に透明導電層2を形成する場合、たとえば250℃程度に加熱して透明導電層2を形成する場合、支持体1としてPTFEフィルムを用いることが好ましい。PTFEフィルムは250℃以上の耐熱性を有することから、支持体1を250℃程度に加熱しても支持体1への熱ダメージを抑えることができる。
支持体1の厚さは、特に限定されないが、0.2mm以上5mm以下であることが好ましい。支持体1の厚さが0.2mm以上であれば、支持体1が支持体としての機能を発揮することができる傾向にある。支持体1の厚さが5mm以下であれば、支持体1を透過する光量の減少が防止されるため、光電変換素子の光電変換効率が維持される傾向にある。
本実施形態に係る光電変換素子を他の構造体に取り付けるときには、支持体1を利用することができる。たとえば、支持体1がガラス基板からなる場合には、ねじ等により支持体1の周縁部を他の構造体に容易に取り付けることができる。
<透明導電層>
透明導電層2は、本実施形態に係る光電変換素子の受光面の少なくとも一部を構成する。そのため、透明導電層2では、たとえば、光電変換素子の受光面となる部分において光透過性および導電性を有する材料が用いられていることが好ましい。ただし、上記<支持体>で示したように、光透過性を有する材料は、後述する光増感剤に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過させる材料(当該光の透過率がたとえば80%以上、好ましくは90%以上)であれば良く、必ずしも全ての波長領域の光に対して透過性を有する必要はない。
透明導電層2に用いられる光透過性を有する材料としては、たとえば、インジウム錫複合酸化物(ITO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)または酸化亜鉛(ZnO)などを用いることができる。
透明導電層2の厚さは、特に限定されないが、0.02μm以上5μm以下であることが好ましい。透明導電層2の厚さが0.02μm以上であれば、透明導電層2の抵抗が低減されるので、光電変換素子の外部に取り出すことができる電流量が増大する。よって、光電変換素子の光電変換効率が向上する傾向にある。透明導電層2の厚さが5μm以下であれば、透明導電層2を透過する光量の減少が防止されるため、光電変換素子の光電変換効率が維持される傾向にある。
透明導電層2の表面抵抗率(シート抵抗)は、特に限定されないが、40Ω/sq以下であることが好ましい。透明導電層2の表面抵抗率が40Ω/sq以下であれば、光電変換素子の外部に取り出すことができる電流量が増大するので、光電変換素子の光電変換効率が向上する傾向にある。
透明導電層2に金属線を設けてもよい。透明導電層2に金属線を設けると、透明導電層2の抵抗が低くなる傾向にある。金属線としては、たとえば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルおよびチタンからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含む金属線を用いることができる。なお、透明導電層2に設けられた金属線による入射光量の低下を避けるという観点から、金属線の太さは、たとえば0.1〜4mm程度であることが好ましい。
<光電変換層>
光電変換層3は、多孔性半導体層(以下では「第1の多孔性半導体層」と記す。)を有する。第1の多孔性半導体層には、光増感剤が吸着されていることが好ましく、キャリア輸送材料10が充填されていることが好ましい。以下、第1の多孔性半導体層および光増感剤について説明する。キャリア輸送材料10については下記<キャリア輸送材料>で説明する。
−第1の多孔性半導体層−
第1の多孔性半導体層の形状としては、特に限定されず、たとえば、バルク状、薄膜状、または、半導体材料からなる粒子が接着されてなる形状(以下、この形状を「粒子状」と記すことがある)などの種々の形状を用いることができる。その中でも、第1の多孔性半導体層の形状として薄膜状を用いることが好ましい。これにより、光電変換層3の受光面積が増大するので、光電変換素子の光電変換効率が向上する傾向にある。また、光電変換素子の薄型化が促進される傾向にある。
光電変換素子の光電変換効率を向上させるためには、より多くの光増感剤が吸着された光電変換層3を形成することが必要である。このため、第1の多孔性半導体層として、比表面積の大きなものを用いることが好ましい。第1の多孔性半導体層の形状として薄膜状を用いる場合、第1の多孔性半導体層は、たとえば、10m2/g以上200m2/g以下の比表面積を有することが好ましい。また、第1の多孔性半導体層の形状として粒子状を用いた場合であっても、光増感剤の吸着量の観点から、第1の多孔性半導体層の比表面積を上記の範囲とすることが好ましい。なお、第1の多孔性半導体層の比表面積は、たとえば、気体吸着法であるBET法(JIS Z8830:2001)などに準拠して求められる。
第1の多孔性半導体層の空孔率(第1の多孔性半導体層の全容積に対する第1の多孔性半導体層に形成された空隙の容積の割合)は、20%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上80%以下である。第1の多孔性半導体層の空孔率が20%以上である場合には、キャリア輸送材料10が第1の多孔性半導体層の内部を十分拡散する傾向にある。なお、第1の多孔性半導体層の空孔率は、たとえば、第1の多孔性半導体層の厚さとその面積とから算出された当該第1の多孔性半導体層の体積、第1の多孔性半導体層の質量および第1の多孔性半導体層を構成する材料の密度から算出される。
第1の多孔性半導体層としては、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2およびSrCu22からなる群から選択された少なくとも1種を含む半導体材料からなる多孔性層を用いることができる。この中でも、第1の多孔性半導体層は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ニオブからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくは酸化チタンを含むことである。第1の多孔性半導体層が酸化チタンを含む場合には、第1の多孔性半導体層の安定性および安全性が向上する傾向にあり、また、光電変換素子の光電変換効率が向上する傾向にある。
本明細書において、「酸化チタン」は、たとえば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、およびオルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタンだけでなく、水酸化チタンおよび含水酸化チタンなどの酸素を含むチタン化合物をも含む概念である。上記列挙された酸化チタンの具体例を単独または混合して第1の多孔性半導体層を形成することができる。なお、酸化チタンは、その製法または製造時における熱履歴などによってアナターゼ型とルチル型とのいずれの結晶系にもなり得るが、アナターゼ型が一般的である。
第1の多孔性半導体層の形態としては、単結晶または多結晶のどちらであっても良いが、多結晶焼結体であることが好ましい。第1の多孔性半導体層が多結晶焼結体からなれば、第1の多孔性半導体層の安定性が向上する傾向にある。また、第1の多孔性半導体層の結晶成長が容易となるため、光電変換素子の製造コストが低減する傾向にある。
第1の多孔性半導体層が多結晶焼結体からなる場合、当該多結晶焼結体を構成する結晶子の平均粒径は、5nm以上50nm未満であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。これにより、投影面積に対して十分に大きい実効表面積を得ることができるため、光の入射量が増大して、太陽光エネルギーが高効率で電気エネルギーに変換される傾向にある。なお、結晶子の平均粒径は、たとえば、X線回折測定によって得られた第1の多孔性半導体層のX線回折スペクトルにシェラーの式を適用することによって算出される。
第1の多孔性半導体層の形成に用いられる半導体粒子の粒子径(平均粒径)を調整すれば、光電変換層3の光散乱性を調整することができる。たとえば、光電変換層3が平均粒径の大きな半導体粒子で形成された多孔性半導体層を含む場合には、光電変換層3は光散乱性に優れるので多くの光が散乱され、よって、光捕捉率が向上する傾向にある。また、光電変換層3が平均粒径の小さな半導体粒子で形成された多孔性半導体層を含む場合には、光電変換層3の光散乱性は低下するが、光増感剤が保持される箇所が増加するので、光電変換層3における光増感剤の保持量が増加する傾向にある。
第1の多孔性半導体層では、たとえば、上記多結晶焼結体の上に、好ましくは平均粒径が50nm以上の半導体粒子からなる半導体層、より好ましくは平均粒径が50nm以上600nm以下の半導体粒子からなる半導体層が設けられていても良い。これにより、光路長が長くなり、より多くの光を吸収させることができる。
−光増感剤−
第1の多孔性半導体層に保持された光増感剤としては、たとえば、色素および量子ドットの少なくとも一方を用いることができる。
色素としては、たとえば、可視光領域および赤外光領域の少なくとも一方の領域の光を吸収可能な種々の有機色素を用いても良いし、可視光領域および赤外光領域の少なくとも一方の領域の光を吸収可能な種々の金属錯体色素を用いても良い。
有機色素としては、たとえば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ペリレン系色素およびインジゴ系色素からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。有機色素の吸光係数は、一般的に、遷移金属に分子が配位結合されてなる金属錯体色素の吸光係数に比べて大きい。
金属錯体色素としては、たとえば、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、TeまたはRhなどの金属原子に配位子が配位結合された色素の少なくとも1種を用いることができる。このような金属錯体色素としては、たとえば、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素およびナフタロシアニン系色素などを挙げることができる。
金属錯体色素としては、フタロシアニン系色素またはルテニウム系金属錯体色素を用いることが好ましく、ルテニウム系金属錯体色素を用いることがより好ましく、特に、以下の化学式(1)〜(3)で表わされるルテニウム系金属錯体色素を用いることが好ましい。金属錯体色素としてフタロシアニン系色素またはルテニウム系金属錯体色素を用いた場合、特に、以下の化学式(1)〜(3)で表わされるルテニウム系金属錯体色素を用いた場合には、近赤外線領域の波長の光をも吸収することができるため、光電変換素子の光電変換効率が高くなる。なお、以下の化学式(2)〜(3)における「TBA」はテトラブチルアンモニウムを示している。
Figure 2014053150
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第1の多孔性半導体層に光増感剤を強固に吸着させるためには、光増感剤は、カルボン酸基、カルボン酸無水物、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基およびホスホニル基からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましく、カルボン酸基を含むことがより好ましい。光増感剤がカルボン酸基を含むと、第1の多孔性半導体層に対する光増感剤の吸着性が安定するので、光増感剤から第1の多孔性半導体層への電子注入が効率的に行われる傾向にある。なお、これらの官能基は、光増感剤が第1の多孔性半導体層に固定されるときに光増感剤と第1の多孔性半導体層との間に存在し、光増感剤の励起状態と第1の多孔性半導体層を構成する半導体材料の伝導帯との間の電子の移動を容易にする電気的結合を提供する。また、光増感剤がカルボン酸基を含む代わりに光増感剤がカルボン酸無水物を含む場合であっても、光増感剤が分子内にカルボン酸基を含むとともに光増感剤がカルボン酸無水物を含む場合であっても、光増感剤から第1の多孔性半導体層への電子注入が効率的に行われる傾向にある。
量子ドットとしては、たとえば、CdS、CdSe、PbSおよびPbSeからなる群から選択された少なくとも1種の微粒子を用いることができる。量子ドットを構成する微粒子の粒径は、吸収波長などに応じて適宜調節されることが好ましいが、量子ドットとして機能させるという観点から1nm以上10nm以下であることが好ましい。量子ドットを構成する微粒子の粒径は、原子間力顕微鏡を用いて量子ドットを観察することにより見積もることができる。
光電変換層3の厚さは、特に限定されないが、透過性および光電変換効率などの観点から、5μm以上45μm以下であることが好ましい。
<耐熱層>
耐熱層4は、光電変換層3よりも耐熱性に優れており、別の言い方をすると当該耐熱層4に付着したリーク源を分解し、そのリーク源が光電変換層3または対極12へ移動することを防止する。リーク源は、熱ストレスが光電変換素子に付与されることにより生成されるものである。熱ストレスを光電変換素子に付与する方法としては、たとえばJIS規格C8938に準拠して光電変換素子を85℃の温度下に1000時間放置することが挙げられる。
一般に、熱ストレスが光電変換素子に付与されると、光電変換効率の低下を招く。その理由として詳細は不明だが、以下に示すことが考えられる。熱ストレスが光電変換素子に付与されると、リーク源となる物質が生成される。その物質は光電変換層または対極導電層に移動し、その結果、光電変換層において発生した電子が外部回路に取り出され難くなる。これにより、光電変換効率の低下を招くと考えられる。
しかし、本実施形態に係る光電変換素子では、耐熱層4が設けられている。よって、熱ストレスが本実施形態に係る光電変換素子に付与された場合には、耐熱層4がリーク源を分解するので、光電変換層3または対極12へ移動するリーク源が低減する。これにより、光電変換層3で生じた電子が外部回路へ効率良く取出されることとなり、熱ストレスの付与に起因する光電変換効率の低下が抑制される。また、耐熱層4の構造を工夫すれば、耐熱層4を形成したことによる光電変換効率の低下を防ぐことができる。これにより、光電変換層3で生じた電子が外部回路へさらに効率良く取り出されることとなり、熱ストレスの付与に起因する光電変換効率の低下がさらに抑制される。
耐熱層4は、対極12側に位置する光電変換層3の表面の少なくとも一部に設けられていることが好ましい。耐熱層が透明電極板の透明導電層と光電変換層との間に設けられていると、透明電極板から入射された光が耐熱層で吸収されるおそれがある。そのため、光電変換層へ入射される光の量の低減を招くことがある。しかし、対極12側に位置する光電変換層3の表面の少なくとも一部に耐熱層4が設けられていれば、透明電極板11から入射された光は耐熱層4を透過することなく光電変換層3に入射される。そのため、光電変換層3へ入射される光の量の低減を防止することができる。
また、対極12側(対極12側では、キャリア輸送材料がバルク層として存在する)に位置する光電変換層3の表面の少なくとも一部に耐熱層4が設けられていれば、リーク源の少なくとも一部が対極12へ移動することも抑制できる。これにより、光電変換層3で生じた電子が外部回路へ効率良く取出されることとなるため、熱ストレスの付与に起因する光電変換効率の低下を防止することができる。
「耐熱層4が対極12側に位置する光電変換層3の表面の少なくとも一部に設けられている」とは、対極12側に位置する光電変換層3の表面における耐熱層4の被覆率が20%以上であることを意味する。耐熱層4の被覆率は、20%以上であることが好ましく、50%以上100%以下であることがさらに好ましい。耐熱層4が対極12側に位置する光電変換層3の表面の一部に設けられている場合、耐熱層4は、対極12側に位置する光電変換層3の表面に点在していても良いし、局所的に存在していても良い。
耐熱層4は、第1の多孔性半導体層とは異なる材料からなる第2の多孔性半導体層を含んでも良いし、第1の多孔性半導体層と同じ材料からなる第2の多孔性半導体層を含んでも良いが、少なくとも酸化錫を含むことが好ましい。第2の多孔性半導体層を構成する材料として酸化錫を用いれば、酸化錫の触媒作用により、第2の多孔性半導体層に付着したリーク源を分解することができる。よって、光電変換層3または対極12へ移動するリーク源が低減するため、光電変換層3で生じた電子が外部回路へ効率良く取出されることとなる。したがって、熱ストレスの付与に起因する光電変換効率の低下を防止することができる。
耐熱層4の厚さは、光電変換層3の厚さよりも薄いことが好ましく、より好ましくは1.0μm以上45μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上10μm以下である。耐熱層4の厚さが1.0μm以上であれば、耐熱層4を設けたことにより得られる効果(具体的には、熱ストレスの付与により生じたリーク源が耐熱層4により分解されるので、光電変換層3または対極12へ移動するリーク源が低減されるという効果)を十分に得ることができる。耐熱層4の厚さが45μmを超えても、耐熱層4を設けたことにより得られる効果をさらに向上させることは難しい。また、耐熱層4の厚さが光電変換層3の厚さよりも厚くなると、光電変換に寄与しない層の厚さが厚くなるため、光電変換効率の低下を引き起こすことがある。それだけでなく、色素が第1の多孔性半導体層に吸着され難くなる、または、キャリア輸送材料10に含まれる酸化還元種の移動が妨げられるなどの不具合を招き、光電変換効率の低下を引き起こすことがある。
耐熱層4における細孔径は、15nm以上であることが好ましく、15nm以上40nm以下であることがより好ましい。細孔径が15nm未満である場合、キャリア輸送材料10に含まれる酸化還元種の移動の妨げとなる。また、色素が第1の多孔性半導体層に吸着され難くなる。これらのことから、光電変換効率が却って低下するおそれがある。ここで、第1および第2の多孔性半導体層における細孔径は、たとえば気体吸着法であるBET法(JIS Z8830:2001)などに準拠して求められる。
第2の多孔性半導体層を構成する半導体材料の平均粒径は、5nm以上50nm未満であることが好ましく、より好ましくは10nm以上30nm以下である。これにより、耐熱層4の高い表面積を得ることができるため、熱ストレスの付与により生じるリーク源を分解する効果が高くなる。ここで、第2の多孔性半導体層を構成する半導体材料の平均粒径は、たとえば、X線回折測定によって得られた第2の多孔性半導体層のX線回折スペクトルにシェラーの式を適用することによって算出される。
以上より、耐熱層4の材料として酸化錫を用いれば、耐熱層4に付着したリーク源を分解することができるので、光電変換層3または対極12へ移動するリーク源の低減を図ることができる。これにより、光電変換層3により発生した電子が効率良く外部回路へ取出されるので、熱ストレスの付与に起因する光電変換効率の低下を効率良く防止することができる。
それだけでなく、耐熱層4の厚さが1.0μm以上45μm以下であれば、または、耐熱層4における細孔径が15nm以上40nm以下であれば、耐熱層4を形成したことに起因する光電変換効率の低下も防ぐことができる。
<キャリア輸送材料>
キャリア輸送材料10は、本実施形態に係る光電変換素子では、透明電極板11と対極12との間であって封止材9により封止された空間内に充填されている。そのため、キャリア輸送材料10は、上記<光電変換層>で示したように光電変換層3の空孔内にも存在しており、対極導電層7の空孔内にも存在していても良い。
キャリア輸送材料10は、イオンを輸送できる導電性材料で構成されていることが好ましい。キャリア輸送材料10の好適な材料としては、たとえば、液体電解質、固体電解質、ゲル電解質または溶融塩ゲル電解質などを用いることができる。
液体電解質は、酸化還元種を含む液状物であることが好ましく、一般に電池または太陽電池などにおいて使用できるものであれば特に限定されない。液体電解質としては、たとえば、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶剤とからなるもの、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶融塩からなるもの、および、酸化還元種と上記溶剤と上記溶融塩とからなるものなどが挙げられる。
酸化還元種としては、たとえば、I-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系およびキノン/ハイドロキノン系からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。具体的には、酸化還元種としては、金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせ、ヨウ化物イオンからなる塩とヨウ素(I2)との組み合わせ、または、金属臭化物と臭素(Br2)との組み合わせなどを用いることが好ましい。この場合、光電変換素子は、たとえばコバルト錯体またはフェロセンなどを酸化還元種として用いた場合と比較して、良好なI−V曲線を示すこととなる。
金属ヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)およびヨウ化カルシウム(CaI2)からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。
ヨウ化物イオンからなる塩としては、たとえば、アンモニウム塩またはイミダゾリウム塩などを用いることができる。アンモニウム塩としては、たとえば、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)およびテトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。イミダゾリウム塩としては、たとえば、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、および、ヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などからなる群から少なくとも1種を用いることができる。
金属臭化物としては、たとえば、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)および臭化カルシウム(CaBr2)からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。
また、酸化還元種として、金属ヨウ化物とヨウ化物イオンからなる塩とヨウ素との組み合わせのように数種類のヨウ素化合物を組み合わせて用いることもできる。
酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、水、または、非プロトン極性物質などを用いることができる。酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、これらを単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの中でも、酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、カーボネート化合物またはニトリル化合物を用いることがより好ましい。
固体電解質は、電子、ホールまたはイオンを輸送できる導電性材料であることが好ましく、光電変換素子の電解質として用いることができ、且つ、流動性がないものであることが好ましい。具体的には、固体電解質としては、ポリカルバゾールなどのホール輸送材、テトラニトロフロオルレノンなどの電子輸送材、ポリロールなどの導電性ポリマー、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質、ヨウ化銅およびチオシアン酸銅などのp型半導体材料、または、溶融塩を含む液体電解質を微粒子により固体化した電解質などを用いることができる。
ゲル電解質は、電解質とゲル化剤とからなることが好ましい。電解質とゲル化剤との混合割合は、適宜調整されることが好ましい。電解質としては、上記液体電解質または上記固体電解質を用いることができる。
ゲル化剤としては、たとえば、架橋ポリアクリル樹脂誘導体、架橋ポリアクリロニトリル誘導体、ポリアルキレンオキシド誘導体、シリコーン樹脂類、または、側鎖に含窒素複素環式化合物の四級塩構造を有するポリマーなどの高分子ゲル化剤などを用いることができる。
溶融塩ゲル電解質は、上記ゲル電解質と常温型溶融塩とからなることが好ましい。常温型溶融塩としては、たとえば、ピリジニウム塩類およびイミダゾリウム塩類などの含窒素複素環式化合物の四級アンモニウム塩類などを用いることができる。
キャリア輸送材料10は、必要に応じて添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、たとえば、t−ブチルピリジン(TBP)などの窒素を含有する芳香族化合物を用いても良いし、グアニジンチオシアネートなどのイオン性化合物または有機化合物を用いても良い。添加剤としては、上記窒素を含有する芳香族化合物とグアニジンチオシアネートなどの化合物との両方を用いることもできる。
キャリア輸送材料10における酸化還元種の濃度は、酸化還元種を溶解可能な溶媒および電解質などの種類により適宜選択されることが好ましいが、0.001モル/リットル以上1.5モル/リットル以下であることがより好ましく、0.01モル/リットル以上0.7モル/リットル以下であることがさらに好ましい。キャリア輸送材料10における酸化還元種の濃度が上記範囲内であれば、キャリア輸送材料10内における酸化還元種の輸送が効率的に行なわれる傾向にある。
<触媒層>
触媒層6は、触媒能を有し、キャリア輸送材料10における正孔を還元する機能を有する。なお、対極導電層7が触媒能を有する場合、触媒層6は設けられていなくても良い。
触媒層6を構成する材料としては、たとえば、白金およびカーボンの少なくとも一方を用いることが好ましい。触媒層6がカーボンからなる場合には、触媒層6は、たとえば、カーボンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブおよびフラーレンからなる群から選択された少なくとも1種からなることが好ましい。
触媒層6の厚さは特に限定されないが、0.5nm〜1000nm程度であることが好ましい。
<対極導電層>
対極導電層7は、電子を収集するとともに、光電変換素子を直列接続して光電変換モジュールを製造するときに隣に位置する光電変換素子と電気的に接続させるための電極として機能する。なお、触媒層6が導電性を有する場合、対極導電層7は設けられていなくても良い。
対極導電層7としては、導電性材料を用いることが好ましい。導電性材料としては、たとえば、ITO、FTOおよびZnOなどの金属酸化物の少なくとも1種を用いても良いし、チタン、タングステン、金、銀、銅およびニッケルなどの金属の少なくとも1種を含む導電性材料を用いても良いし、上記金属酸化物の少なくとも1種と上記金属の少なくとも1種を含む導電性材料とを用いても良い。導電性材料としては、チタンを用いることが好ましい。これにより、対極導電層7の強度が向上する。
対極導電層7の厚さは、対極導電層7の材料の比抵抗率に応じて適宜設定されることが好ましい。対極導電層7の厚さが薄すぎると対極導電層7の抵抗が高くなり、対極導電層7の厚さが厚すぎるとキャリア輸送材料10の移動の妨げとなるためである。
<カバー体>
カバー体8は、キャリア輸送材料10の揮発を防止し、光電変換素子内への水などの浸入を防止する。
カバー体8を構成する材料は、一般に太陽電池に使用可能な材料であり且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、たとえば、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ほうけい酸ガラス、溶融石英ガラス、および、結晶石英ガラスなどが挙げられる。カバー体8を構成する材料としては、ソーダ石灰フロートガラスが好ましい。
<封止材>
封止材9は、キャリア輸送材料10の揮発を防止し、光電変換素子内への水などの浸入を防止する。それだけでなく、封止材9は、支持体1に作用する応力(衝撃)を吸収し、光電変換素子の長期使用時には支持体1に作用する撓みなどを吸収する。
封止材9は、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂およびガラスフリットからなる群から選択された少なくとも1種を含む単層であっても良いし、この単層が2層以上重ねられた構成された積層体であっても良い。なお、キャリア輸送材料10の溶媒としてニトリル系溶剤またはカーボネート系溶剤などの難揮発性溶媒を用いた場合には、封止材9は、シリコーン樹脂、ホットメルト樹脂(たとえばアイオノマー樹脂)、ポリイソブチレン系樹脂およびガラスフリットからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、キャリア輸送材料10に対する封止材9の腐食が抑制される傾向にある。
<光電変換素子の製造方法>
図2〜図4を参照して、本実施形態に係る光電変換素子の製造方法を説明する。図2〜図4は、本実施形態に係る光電変換素子の製造方法を工程順に説明する断面図である。
まず、図2に示すように、透明導電層2が支持体1の上に形成されてなる透明電極板11を準備する。ここで、透明電極板11を準備する工程では、たとえば、市販の透明電極板を準備しても良いし、スパッタリング法または熱CVD法などの方法によって透明導電層2を支持体1の上に形成しても良い。
次に、図3に示すように、第1の多孔性半導体層3Aを透明導電層2の上に形成する。第1の多孔性半導体層3Aを形成する方法は特に限定されないが、たとえば下記(i)〜(iv)のいずれかの方法により第1の多孔性半導体層3Aを形成することができる。下記(i)〜(iv)の中でも、下記(i)に示すスクリーン印刷法を用いることが好ましい。これにより、比較的厚い第1の多孔性半導体層3Aが低コストで製造される傾向にある
(i)スクリーン印刷法またはインクジェット法などによって半導体材料からなる微粒子を含有するペーストを透明導電層2の上に塗布した後に焼成する
(ii)CVD法またはMOCVD法などによって、所望の原料ガスを用いて、第1の多孔性半導体層3Aを透明導電層2の上に形成する
(iii)固体原料を用いたPVD法(たとえば蒸着法またはスパッタリング法)などによって、第1の多孔性半導体層3Aを透明導電層2の上に形成する
(iv)ゾル−ゲル法または電気化学的な酸化還元反応を利用した方法などによって、第1の多孔性半導体層3Aを透明導電層2の上に形成する。
薄膜状の第1の多孔性半導体層3Aまたは粒子状の第1の多孔性半導体層3Aを形成する場合、10m2/g以上200m2/g以下の比表面積を有する第1の多孔性半導体層3Aを形成することが好ましい。これにより、より多くの光増感剤が保持された光電変換層3を形成することができるので、光電変換素子の光電変換効率が向上する傾向にある。
以下に、半導体材料としてアナターゼ型酸化チタンを用いて第1の多孔性半導体層3Aを形成する方法について、具体的に説明する。
まず、チタンイソプロポキシド125mLを0.1Mの硝酸水溶液750mLに滴下して加水分解し、80℃で8時間加熱する。これにより、ゾル液が得られる。
次に、得られたゾル液をチタン製オートクレーブ中で230℃で11時間加熱する。これにより、酸化チタン粒子が成長する。その後、室温下で超音波分散を30分間行なう。これにより、平均粒径(平均一次粒径)15nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液が得られる。
次に、得られたコロイド溶液に、該コロイド溶液の2倍容量のエタノールを加え、これを回転数5000rpmで遠心分離する。この遠心分離により酸化チタン粒子と溶剤とが分離され、よって、酸化チタン粒子が得られる。
次に、得られた酸化チタン粒子を洗浄した後、エチルセルロースとテルピネオールとを無水エタノールに溶解させた溶液に酸化チタン粒子を加えて攪拌する。これにより、酸化チタン粒子が上記溶液に分散される。
次に、酸化チタン粒子が分散された溶液を真空条件下で加熱してエタノールを蒸発させる。これにより、酸化チタンペーストが得られる。そして、最終的な組成として、たとえば、酸化チタン固体濃度20質量%、エチルセルロース10質量%、および、テルピネオール70質量%となるように濃度を調整する。なお、上記の最終的な組成は例示的なものであって、これに限定されるものではない。
酸化チタン粒子を含有する(懸濁させた)ペーストを調製するために用いる溶剤としては、上記以外にも、たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、イソプロピルアルコールとトルエンとの混合液などの混合溶剤、または水などを用いることができる。
次に、得られた酸化チタンペーストを透明導電層2の上にスクリーン印刷させた後に乾燥させ、焼成させる。これにより、第1の多孔性半導体層3Aが形成される。ここで、酸化チタンペーストの乾燥条件および焼成条件(温度、時間および雰囲気など)は、それぞれ、支持体1の材料および半導体材料などの種類によって、調整されることが好ましい。酸化チタンペーストの焼成は、たとえば、大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で、50〜800℃程度の範囲内で、10秒〜12時間程度行なわれることが好ましい。酸化チタンペーストの乾燥および焼成は、それぞれ、たとえば、単一の温度で1回行なわれても良いし、温度を変化させて2回以上行なわれても良い。なお、上記条件で作製された酸化チタンからなる第1の多孔性半導体層3Aの比表面積は10m2/g以上200m2/g以下の範囲内にある。
第1の多孔性半導体層3Aを構成する半導体粒子の平均粒径は、特に限定されないが、入射光を光電変換に有効利用するという点では、市販の半導体材料粉末のようにある程度揃っていることが好ましい。このようにして、第1の多孔性半導体層3Aが形成される。
次に、耐熱層4を、第1の多孔性半導体層3Aの上に形成する。耐熱層4の形成方法としては、第1の多孔性半導体層3Aの形成方法と同一であることが好ましい。具体的には、上記(i)〜(iv)のいずれかを用いて耐熱層4を形成することができる。
次に、第1の多孔性半導体層3Aと耐熱層4とが形成された透明電極板11を光増感剤が溶解された溶液(以下では「色素吸着用溶液」)に浸漬させる。これにより、光増感剤が第1の多孔性半導体層3Aの空孔内に保持される。なお、浸漬条件は、適宜調整されることが好ましい。
光増感剤を溶解させる溶剤としては、たとえば、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類、または、水などを用いることができる。光増感剤が溶解させる溶剤としては、上記材料から選択された1種を用いても良いし、上記材料のうちの2種以上が混合されてなる混合液を用いても良い。
色素吸着用溶液における光増感剤の濃度は、色素および溶剤の種類により適宜調整され、吸着機能(効率)を向上させるためには高濃度であることが好ましく、たとえば5×10-4モル/リットル以上であることが好ましい。
次に、図4に示すように、カバー体8の上に対極導電層7および触媒層6を順に形成する。対極導電層7の形成方法としては、公知の方法が挙げられ、たとえば蒸着法などを用いることができる。
触媒層6として白金を用いる場合、触媒層6の形成方法としては、公知の方法が挙げられ、たとえば、蒸着法またはスパッタ法などのPVD法であっても良いし、塩化白金酸の熱分解または電着などであっても良い。触媒層6としてカーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、または、フラーレンなどのカーボン材料を用いる場合、触媒層6の形成方法としては、たとえば、任意の溶剤に分散してペースト状にしたカーボンをスクリーン印刷法などにより対極導電層7の上に塗布する方法が挙げられる。
その後、透明電極板11に形成された光電変換層3の周囲を取り囲むようにして封止材9を配置する。透明電極板11の透明導電層2と対極12の触媒層6とが向かい合うようにして透明電極板11と対極12とを配置して、この透明電極板11と対極12とを封止材9により固定する。その後、透明電極板11または対極12に予め形成された孔から封止材9で取り囲まれた領域内へキャリア輸送材料10を注入してから、その孔を塞ぐ。これにより、図1に示す光電変換素子が製造される。
<光電変換モジュールの構成>
本実施形態に係る光電変換モジュールでは、図1に示す光電変換素子が直列接続されている。具体的には、隣り合う光電変換素子のうち、一方の光電変換素子の透明電極板11と他方の光電変換素子の対極12とが電気的に接続されている。
このように、本実施形態に係る光電変換モジュールでは、図1に示す光電変換素子が直列接続されているので、熱ストレスが付与された場合であっても光電変換モジュールの性能が低下することを防止できる。
一方の光電変換素子の透明電極板11と他方の光電変換素子の対極12とを電気的に接続する方法は特に限定されない。たとえば、導電性部材を用いて一方の光電変換素子の透明電極板11と他方の光電変換素子の対極12とを電気的に接続しても良いし、透明電極板11の透明導電層2および対極12の対極導電層7の少なくとも一方を延長して一方の光電変換素子の透明電極板11と他方の光電変換素子の対極12とを電気的に接続しても良い。
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光電変換素子の断面図である。本実施形態に係る光電変換素子では、上記第1の実施形態に係る光電変換素子における光電変換層3と耐熱層4との間に多孔性絶縁層5が設けられている。以下では、上記第1の実施形態とは異なる点を主に示す。
多孔性絶縁層5は、平均粒径が5〜500nmである粒子からなることが好ましく、平均粒径が10〜300nmである粒子からなることがより好ましい。また、多孔性絶縁層5における空孔率は、20%以上であることが好ましく、40%以上80%以下であることがより好ましい。また、多孔性絶縁層5における細孔径は、15nm以上40nm以下であることが好ましい。このような多孔性絶縁層5を光電変換層3と耐熱層4との間に設ければ、キャリア輸送材料の移動を妨げることなくリークを防ぐことができるので、開放電圧を向上させることができる。ここで、多孔性絶縁層5を構成する粒子の平均粒径、多孔性絶縁層5における空孔率、および、多孔性絶縁層5における細孔径は、それぞれ、上記第1の実施形態に記載の方法にしたがって測定される。
多孔性絶縁層5を構成する材料としては、ガラスを用いることができ、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ニオブおよびチタン酸ストロンチウムなどの伝導帯準位の高い材料を用いることもできる。
多孔性絶縁層5の厚さは、特に限定されないが、絶縁性という観点からは2μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上20μm以下である。
なお、多孔性絶縁層5の代わりに、粒径の大きな(平均粒径が100〜500nm)半導体材料からなる多孔性半導体層を設けても良い。ここで、半導体材料としては、上記第1の実施形態における上記<光電変換層>に記載の半導体材料を用いることが好ましい。
光散乱性の高い多孔性半導体を含む光電変換層、特に対極導電層7と接触する光電変換層は、構成する半導体材料の平均粒径が大きいために機械的強度が低くなる場合があるが、平均粒径の大きい半導体材料に平均粒径の小さい半導体材料を、例えば10質量%以下の割合で配合して、光電変換層を機械的に強化してもよい。
本実施形態に係る光電変換素子を直列に接続して光電変換モジュールを製造しても良い。このような光電変換モジュールにおいても、熱ストレスが付与された場合における光電変換モジュールの性能低下を防止することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、特に断りのない限り、各層の厚さは段差計((株)東京精密製、型番:E−VS−S28A)により測定された。
<実施例1>
実施例1においては、図5に示される光電変換素子を製造した。まず、幅30mm×長さ30mm×厚さ1mmの透明電極板11(日本板硝子株式会社製、SnO2膜付ガラス)を準備した。この透明電極板11は、ガラスからなる支持体1の上に、フッ素がドープされた酸化錫(FTO)からなる透明導電層2が形成されてなる。
次に、幅5mm×長さ5mmのパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型番:LS−150)とを用いて市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:D/SP)を透明導電層2の上に塗布し、室温で1時間、レベリングを行なった。得られた塗膜を80℃に設定したオーブンで20分間乾燥した後、500℃に設定した焼成炉(株式会社デンケン製、型番:KDF P−100)を用いて空気中で60分間焼成した。酸化チタンペーストの塗布、その乾燥およびその焼成を順に繰り返し行なうことにより、厚さが18μm程度の多孔性半導体層を得た。
得られた多孔性半導体層の上に、ジルコニア粒子(平均粒経50nm)を含むペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布した。その後、500℃で60分間焼成を行なうことにより、多孔性絶縁層5を得た。ここで、多孔性半導体層の表面から多孔性絶縁層5の上面の平坦部分までの距離(多孔性絶縁層5の厚さ)は7μmであった。
多孔性絶縁層5の上に、市販のSnO2微粒子(平均粒径18nm)を含むペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布した。その後、空気中で、500℃で60分間焼成を行なった。これにより、SnO2からなる多孔性の耐熱層4が形成された。形成された耐熱層4の厚さは1μmであり、耐熱層4の細孔径は20nmであった。ここで、耐熱層4の細孔径は、全自動ガス吸着量測定装置AUTOSORB−1(カンタクローム社製、型番:AS1−MP−9)を用いて測定された。
次に、耐熱層4までが形成された透明電極板11を、予め調製しておいた色素吸着用溶液に室温で24時間浸漬させた。その後、エタノールで洗浄し、約60℃で約5分間乾燥させた。これにより、多孔性半導体層に色素が吸着され、よって、光電変換層3が形成された。
上記色素吸着用溶液は、上記化学式(2)で表わされる色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenizer 535―bisTBA)を体積比1:1のアセトニトリルとt−ブタノールとの混合溶剤に溶解させたものであった。色素吸着用溶液における色素濃度は、3×10-4モル/リットルであった。
次に、上記透明電極板11(日本板硝子株式会社製、SnO2膜付ガラス)をもう1枚用意して対極導電層7とした。対極導電層7におけるSnO2膜の上に、スパッタ法により厚さ約7nmの白金膜(触媒層6)を形成した。これにより、対極12が形成された。
次に、光電変換層3および耐熱層4からなる積層体の周囲を囲う形状に切り出された熱融着フィルム(デュポン社製、バイネル)を用いて、透明電極板11の透明導電層2と対極12の触媒層6とを貼り合せた。約130℃に設定したオーブンで10分間加熱することにより、透明電極板11の透明導電層2と対極12の触媒層6とを圧着させた。
次に、対極12に予め形成されていた孔から電解液(キャリア輸送材料10)を注入し、その後、紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製、型番:31X−101)を用いて当該孔を封止した。これにより、電解液が耐熱層4と触媒層6との間に充填され、本実施例の光電変換素子を得た。
上記電解液は、以下に示すようにして調製された。溶剤である3−メトキシプロピオニトリルに、濃度が0.8モル/リットルとなるようにメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(四国化成工業社製、酸化還元種)を溶解させ、濃度が0.15モル/リットルとなるようにI2(キシダ化学社製、酸化還元種)を溶解させた。さらに、上記溶剤に、濃度が0.5モル/リットルとなるようにN−メチルベンズイミダゾール(添加剤)を溶解させ、濃度が0.1モル/リットルとなるようにグアニジンチオシアネート(添加剤)を溶解させた。
<実施例2>
多孔性絶縁層を形成しなかったことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、実施例2の光電変換素子を製造した。
<比較例1>
耐熱層を形成しなかったことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、比較例1の光電変換素子を製造した。
<耐久性試験>
JIS C8938に記載の方法に準拠して、実施例1〜2および比較例1で得られた光電変換素子に対して熱ストレス(85℃の温度下に1000時間放置)を与えた。そして、光電変換素子の製造直後における光電変換効率と、熱ストレスを与えた後における光電変換効率とを測定した。
光電変換効率は、次に示す方法にしたがって測定した。実施例1〜2および比較例1で得られた光電変換素子に対して、集電電極部としてAgペースト(藤倉化成株式会社製、商品名:ドータイト)を公知の方法により塗布した。次いで、それぞれの光電変換素子の受光面に、開口部の面積が0.22cm2である黒色のマスクを設置した。それぞれの光電変換素子に対して、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して光電変換効率を測定した。
Figure 2014053150
表1に結果を示す。表1において、性能保持率は、(光電変換素子の製造直後における光電変換効率)に対する(熱ストレスを与えた後における光電変換効率)の割合である。性能保持率が高いほど、光電変換素子が耐熱性に優れることを示す。
表1に示すように、実施例1〜2の光電変換素子では、比較例の光電変換素子に比べて、熱ストレスに起因する光電変換効率の低下が抑制された。この理由として、詳細は不明であるが、次に示すように考えている。耐熱層4を形成することにより、熱ストレスの付与により生じたリーク源が分解される。よって、光電変換層3または対極12へ移動するリーク源が低減する。したがって、光電変換層3で生じた電子を外部回路へ効率良く取りだすことができ、外部回路へ取りだされた電子を光電変換層3へ効率良く戻すことができる。これにより、熱ストレスの付与に起因する光電変換効率の低下を防止することができた。
一方、比較例1の光電変換素子では、耐熱層が形成されていないので、熱ストレスの付与により生じたリーク源を分解することができない。よって、光電変換層または対極へのリーク源の移動を抑制することが難しい。したがって、熱ストレスの付与に起因して光電変換効率が低下したと考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 支持体、2 透明導電層、3 光電変換層、3A 第1の多孔性半導体層、4 耐熱層、5 多孔性絶縁層、6 触媒層、7 対極導電層、8 カバー体、9 封止材、10 キャリア輸送材料、11 透明電極板、12 対極。

Claims (8)

  1. 光透過性材料を含む支持体と、透明導電層と、第1の多孔性半導体層を含む光電変換層と、対極導電層とが順に設けられ、前記光電変換層と前記対極導電層との間にはキャリア輸送材料が設けられた光電変換素子であって、
    前記光電変換層の前記対極導電層側に位置する表面の少なくとも一部には、耐熱層が設けられ、
    前記耐熱層は、前記光電変換層よりも耐熱性に優れる光電変換素子。
  2. 前記耐熱層は、前記第1の多孔性半導体層とは異なる材料または前記第1の多孔性半導体層と同じ材料からなる第2の多孔性半導体層を含む請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記耐熱層は、少なくとも酸化錫を含む請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記耐熱層の厚さは、前記光電変換層の厚さよりも薄い請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記耐熱層は、平均粒径が5nm以上50nm未満の粒子を含む請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 前記耐熱層の細孔径は、15nm以上である請求項2〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記第1の多孔性半導体層と前記第2の多孔性半導体層とは、異なる材料からなり、
    前記光電変換層と前記耐熱層との間には、多孔性絶縁層が設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子が直列接続されてなる光電変換モジュール。
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