JPWO2010024368A1 - 金属膜付きフィルム - Google Patents

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Abstract

金属膜付きフィルム及び金属膜付き接着フィルムにおける、金属膜層のクラック発生の防止。算術平均粗さ(Ra)が50nm以下の支持体層表面に離型層が形成され、該離型層上に金属膜層が形成された金属膜付きフィルム、及び該フィルムの金属膜層上に、さらに硬化性樹脂組成物層が形成されている、金属膜付き接着フィルム。

Description

本発明は金属膜付きフィルム及び金属膜付き接着フィルムに関する。またこれらフィルムを用いた、多層プリント配線板等の回路基板の製造方法及び金属張積層板の製造方法に関する。
従来より、銅膜等の金属膜層を、メッキシード層として、被着体上に転写する方法が試みられている。例えば、特許文献1、2には、支持体上に離型層を介して蒸着等により銅膜を形成した金属膜付きフィルムを作製し、該金属膜付きフィルムの銅膜を内層回路基板上の樹脂組成物層表面やプリプレグ表面に転写し、転写された銅膜上にメッキ等により導体層を形成する方法が開示されている。また、特許文献3には、支持体上に直接蒸着等により銅膜を形成し、その上に樹脂組成物層を形成した接着フィルムが開示されている。
しかし、金属膜付きフィルムの薄い金属膜は離型層との熱膨張率の差によるクラックが発生しやすい。また、離型層の厚みが不足した場合は金属膜付きフィルムを製造した後の段階で、金属膜層にクラックが発生する。これらのクラックが発生した場合、金属膜付きフィルムによる均一な金属膜層の形成が困難となる。また、このような問題は、金属膜付きフィルムの金属膜層上に硬化性樹脂組成物層を形成した金属膜付き接着フィルムにおいても同様である。
特開2004−230729号公報 特開2002−324969号公報 特開平9−296156号公報
本発明の課題は、金属膜付きフィルム及び金属膜付き接着フィルムの製造時の金属膜層のクラック発生の防止、さらに被着体における熱硬化性樹脂組成物を熱硬化する際の金属膜層のクラック発生をも防止し得る、該フィルムを提供することである。
本発明者らは、金属膜付きフィルム及び金属膜付き接着フィルムにおいて、離型層が形成される支持体層表面の算術平均粗さを一定値以下とすることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の内容を含むものである。
[1] 算術平均粗さ(Ra)が50nm以下の支持体層表面に離型層が形成され、該離型層上に金属膜層が形成されている金属膜付きフィルム。
[2] 離型層の厚さが0.1〜5μmである、上記[1]記載の金属膜付きフィルム。
[3] 金属膜層の層厚が50nm〜5000nmである、上記[1]又は[2]記載の金属膜付きフィルム。
[4] 金属膜層が、蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法から選ばれる1種以上の方法により形成されたものである、上記[1]〜[3]いずれかに記載の金属膜付きフィルム。
[5] 離型層の少なくとも金属膜層と接着する面が水溶性セルロース樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水溶性アクリル樹脂から選択される1種以上の水溶性高分子から形成されている、上記[1]〜[4]いずれかに記載の金属膜付きフィルム。
[6] 支持体層がプラスチックフィルムである、上記[1]〜[5]いずれかに記載の金属膜付きフィルム。
[7] 支持体層がポリエチレンテレフタレートフィルムである、上記[1]〜[5]いずれかに記載の金属膜付きフィルム。
[8] 支持体層の層厚が10μm〜70μmである、上記[1]〜[7]いずれかに記載の金属膜付きフィルム。
[9] 少なくとも表層が硬化性樹脂組成物よりなる被着体に、上記[1]〜[8]いずれかに記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層が被着体の表面に接するように重ねて積層し、硬化性樹脂組成物を硬化する工程、及び支持体層を剥離する工程を含む金属膜層の転写方法。
[10] 少なくとも表層が硬化性樹脂組成物よりなる被着体に、上記[5]〜[8]いずれかに記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層が被着体の表面に接するように重ねて積層し、硬化性樹脂組成物を硬化する工程、支持体層を剥離する工程、及び金属膜層上に存在する離型層を水溶液で溶解除去する工程を含む金属膜層の転写方法。
[11] 内層回路基板上の硬化性樹脂組成物層に、上記[1]〜[8]いずれかに記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層が硬化性樹脂組成物層表面に接するように重ねて積層し、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、及び支持体層を剥離する工程を含む回路基板の製造方法。
[12] 内層回路基板上の硬化性樹脂組成物層に、上記[5]〜[8]いずれかに記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層が硬化性樹脂組成物層表面に接するように重ねて積層し、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、支持体層を剥離する工程、及び金属膜層上に存在する離型層を水溶液で溶解除去する工程を含む回路基板の製造方法。
[13] 金属膜層上にメッキにより導体層を形成する工程をさらに含む、上記[11]又は[12]記載の方法。
[14] 硬化性樹脂組成物層が、繊維からなるシート状基材に硬化性樹脂組成物が含浸されたプリプレグからなる、上記[11]〜[13]いずれかに記載の方法。
[15] 単一のプリプレグ又は複数枚のプリプレグを重ねて多層化した多層プリプレグの片面又は両面に上記[1]〜[8]いずれかに記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層がプリプレグの表面に接するように重ねて加熱加圧する工程、及び支持体層を剥離する工程を含む、金属張積層板の製造方法。
[16] 単一のプリプレグ又は複数枚のプリプレグを重ねて多層化した多層プリプレグの片面又は両面に上記[5]〜[8]いずれかに記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層がプリプレグの表面に接するように重ねて加熱加圧する工程、支持体層を剥離する工程、及び金属膜層上に存在する離型層を水溶液で溶解除去する工程を含む、金属張積層板の製造方法。
[17] 上記[1]〜[8]いずれかに記載のフィルムの金属膜層上に、さらに硬化性樹脂組成物層が形成されている、金属膜付き接着フィルム。
[18] 上記[17]記載の金属膜付き接着フィルムを、硬化性樹脂組成物層が内層回路基板と接するよう内層回路基板に重ねて積層する工程、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、及び支持体層を剥離する工程を含む、回路基板の製造方法。
[19] 上記[5]〜[8]いずれかに記載のフィルムの金属膜層上に、さらに硬化性樹脂組成物層が形成されている金属膜付き接着フィルムを、硬化性樹脂組成物層が内層回路基板と接するよう内層回路基板に重ねて積層する工程、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、支持体層を剥離する工程、及び金属膜層上に存在する離型層を水溶液で溶解除去する工程を含む、回路基板の製造方法。
[20] 金属膜層上にメッキにより導体層を形成する工程をさらに含む、上記[18]又は[19]記載の方法。
本発明にいう「回路基板」は、絶縁層と回路形成された導体層を有していれば、特に限定されず、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の各種回路基板が含まれる。また回路基板のうち、特に「内層回路基板」という場合は、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板の片面又は両面にパターン加工された(回路形成された)導体層を有し、回路基板を製造する際に、さらに絶縁層および導体層が形成されるべき中間製造物を言う。
本発明の金属膜付きフィルム及び金属膜付き接着フィルムにおいて、離型層が形成される支持体層表面の算術平均粗さを一定値以下としたことにより、該フィルム製造時の金属膜層のクラック発生の防止、さらに被着体における熱硬化性樹脂組成物を熱硬化する際の金属膜層のクラック発生をも防止することができる。従って、これらフィルムにより、信頼性の高い、微細配線化に有利な、多層プリント配線板等の回路基板、金属張積層板等を製造することができる。
クラックの存在しない金属膜層表面の写真である。 クラックの存在する金属膜層表面の写真である。
本発明の金属膜付きフィルムにおいては、算術平均粗さ(Ra)が50nm以下の支持体層表面に離型層が形成され、該離型層上に金属膜層が形成されている。
[支持体層]
支持体層を構成する支持体は自己支持性を有するフィルム乃至シート状物であり、プラスチックフィルムが好適に用いられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられ、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、中でも、安価なポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
支持体層の層厚の上限値は、コスト面からの実用性を担保するという観点から、70μmが好ましく、60μmがより好ましく、50μmが更に好ましく、40μmが更に一層好ましい。支持体層の層厚の下限値は、支持体層の取り扱い性や剥離性の低下防止、また、平滑な金属膜層の形成に不具合が生じるのを防止するという観点から、10μmが好ましく、15μmがより好ましく、20μmが更に好ましい。硬化性樹脂組成物層と接する支持体の表面は、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、硬化性樹脂組成物層と接しない支持体の表面にも、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。
本発明においては、少なくとも離型層が形成される側の支持体層表面の算術平均粗さ(Ra)が50nm以下(即ち0以上50nm以下)であることが必要である。好ましくは40nm以下、より好ましくは35nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。算術平均粗さ(Ra)がこの範囲を超えると、金属膜付きフィルムを製造する際に金属膜層のクラックが発生しやすくなる。なお、算術平均粗さ(Ra)の下限は特に限定されるものではないが、支持体の実用性の観点から、0.1nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましい。また離型層が形成されない側の支持体層表面の算術平均粗さは特に限定はされないが、金属膜付きフィルムを巻き取ってロール状とする場合に、該表面が金属膜層と接触し、クラックを引き起こすおそれがあるため、かかる不具合発生の懸念を無くす観点から、上記と同じ範囲内とするのが好ましい。支持体層表面の算術平均粗さ(Ra)を50nm以下とする方法は特に制限はなく、当業者に公知の方法を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルムは、一般に、製造後にロール状に巻き取るのを容易にするため、充填材を含有させて表面凹凸が付与されており、該充填材含有量を小さくすることによりRa値を低下させることができる。また市販の支持体を用いることもでき、T60(東レ(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム、Ra=22nm)、A4100(東洋紡(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム、平滑面側Ra=12nm)、Q83(帝人デュポンフィルム(株)製、ポリエチレンナフタレートフィルム、平滑面側Ra=32nm)等が挙げられる。算術平均粗さ(Ra値)の測定は、公知の方法を用いることができ、例えば、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300等)などの装置を用いて測定することができる。
[離型層]
本発明においては、算術平均粗さ(Ra)が50nm以下の支持体表面に離型層が形成される。
離型層としては、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、セルロース等を用いて形成することができるが、本発明のフィルムにより、被着体上に均一な金属膜層を形成する観点から、水溶性セルロース樹脂、水溶性アクリル樹脂及び水溶性ポリエステル樹脂から選択される1種以上により形成するのが好ましい。これらの水溶性高分子を離型層として採用した場合、被着体である硬化性樹脂組成物の硬化後に支持体層−離型層間で支持体層の剥離が可能となり、その後、金属膜層上に残る離型層は水溶液で簡便に除去されるため、被着体上に均一性に優れる金属膜を形成することが可能となる。これらの中でも、水溶性セルロース樹脂及び水溶性ポリエステル樹脂がより好ましく、特に水溶性セルロース樹脂が好ましい。通常、水溶性高分子離型層には、いずれかの水溶性高分子が単独で用いられるが、2種以上の水溶性高分子を混合して用いることもできる。また、通常、水溶性高分子離型層は単層で形成されるが、使用される水溶性高分子が異なる2以上の層から形成される多層構造を有していてもよい。また水溶性高分子離型層と支持体層間での剥離性を向上させるため、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂等の他の離型層が支持体層上に存在していてもよい。すなわち、離型層に水溶性高分子を適用する場合、離型層の少なくとも金属膜層と接着する面が水溶性高分子で形成されていればよく、例えば、離型層を水溶性高分子離型層のみで形成するか、またはその金属膜層と接着する面が水溶性高分子で形成されるように、水溶性高分子離型層と他の離型層との2層構造等にすることができる。支持体層−離型層間での支持体の剥離は、離型層が水溶性高分子のみで形成される場合、支持体と離型層の界面で行われ、離型層がアルキッド樹脂等の他の離型層と上記水溶性高分子離型層の2層からなる場合は、該他の離型層と該水溶性高分子離型層の界面で行われる。なおアルキッド樹脂の離型剤としては、AL−5(リンテック(株)製)が挙げられる。
離型層の層厚は0.1μm以上5μm以下(0.1〜5μm)が好ましい。より好ましくは、0.1μm以上3μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上2μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上1μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上1μm以下とする。ここでいう「層厚」とは離型層が単層の場合はその厚みであり、多層の場合は、多層の総厚みである。例えば、離型層が上述したように、水溶性高分子離型層と、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂等の他の離型層とから構成される場合は、これらの離型層の合計の層厚を上記範囲に設定する。層厚が厚すぎると、硬化性樹脂組成物層を熱硬化する場合に、金属膜層と離型層との熱膨張率の相違によって金属膜層にクラックが入り易くなる傾向にある。また層厚が薄すぎると、支持体層の剥離性が低下するおそれがある。
離型層の形成方法は特に限定されず、熱プレス、熱ロールラミネート、押出しラミネート、塗工液の塗布・乾燥等の公知の積層方法を採用できるが、簡便で、性状均一性の高い層を形成し易い等の点から、離型層に使用する材料を含む塗工液を塗布・乾燥する方法が好ましい。
(水溶性セルロース樹脂)
本発明でいう「水溶性セルロース樹脂」とは、セルロースに水溶性を付与するための処理を施したセルロース誘導体のことであり、好適には、セルロースエーテル、セルロースエーテルエステル等が挙げられる。
セルロースエーテルは、セルロースポリマーに1以上のエーテル連結基を与えるために、セルロースポリマーの1以上の無水グルコース繰り返し単位に存在する1以上のヒドロキシル基の変換により形成されるエーテルのことであり、エーテル連結基には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基(炭素数1〜4)及びヒドロキシアルコキシ基(炭素数1〜4)から選択される1種以上の置換基により置換されていてもよいアルキル基(炭素数1〜4)が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシアルキル基(炭素数1〜4);2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−メトキシプロピル、2−エトキシエチルなどのアルコキシ(炭素数1〜4)アルキル基(炭素数1〜4);2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルまたは2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロピルなどのヒドロキシアルコキシ(炭素数1〜4)アルキル基(炭素数1〜4)、カルボキシメチルなどのカルボキシアルキル基(炭素数1〜4)等が挙げられる。ポリマー分子中のエーテル連結基は単一種でも複数種でもよい。すなわち、単一種のエーテル連結基を有するセルロースエーテルであっても、複数種のエーテル連結基を有するセルロースエーテルであってもよい。
セルロースエーテルの具体例としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの水溶性塩(例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)等が挙げられる。
なお、セルロースエーテルにおける単位グルコース環あたりに置換されたエーテル基の平均モル数は特に限定されないが、1〜6が好ましい。また、セルロースエーテルの分子量は重量平均分子量が20000〜60000が好適である。
一方、セルロースエーテルエステルは、セルロース中に存在する1以上のヒドロキシル基と1以上の有機酸またはその反応性誘導体との間で形成され、それによりセルロースエーテルにおいてエステル連結基を形成するエステルのことである。なお、ここでいう「セルロースエーテル」は上述の通りであり、「有機酸」は脂肪族または芳香族カルボン酸(炭素数2〜8)を含み、該脂肪族カルボン酸は、非環状(分枝状または非分枝状)または環状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。具体的には、脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸等の置換又は非置換の非環状脂肪族ジカルボン酸;グリコール酸または乳酸などの非環状ヒドロキシ置換カルボン酸;リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などの非環状脂肪族ヒドロキシ置換ジ−またはトリ−カルボン酸等が挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、炭素数が14以下のアリールカルボン酸が好ましく、1以上のカルボキシル基(例えば、1、2または3のカルボキシル基)を有するフェニルまたはナフチル基などのアリール基を含むアリールカルボン酸が特に好ましい。なお、アリール基は、ヒドロキシ、炭素数が1〜4のアルコキシ(例えば、メトキシ)およびスルホニルから選択される、同一または異なってもよい1以上の(例えば、1、2または3)の基により置換されていてもよい。アリールカルボン酸の好適な例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはトリメリット酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸)等が挙げられる。
有機酸が1以上のカルボキシル基を有する場合、好適には、酸のただ1つのカルボキシル基が、セルロースエーテルに対してエステル連結を形成する。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネートの場合、各サクシネート基の1つのカルボキシル基がセルロースとエステル連結を形成し、他のカルボキシル基が遊離の酸として存在する。「エステル連結基」は、セルロースまたはセルロースエーテルと、既述の好適な有機酸またはその反応性誘導体による反応により形成される。好適な反応性誘導体には、例えば、無水フタル酸などの酸無水物が含まれる。
ポリマー分子中のエステル連結基は単一種でも複数種でもよい。すなわち、単一種のエステル連結基を有するセルロースエーテルエステルであっても、複数種のエステル連結基を有するセルロースエーテルエステルであってもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートは、サクシネート基とアセテート基の両方を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合エステルである。
好適なセルロースエーテルエステルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのエステルであり、具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネートおよびヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を使用できる。
これらの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレートが好ましい。
なお、セルロースエーテルエステルにおける単位グルコース環あたりに置換されたエステル基の平均モル数は特に限定されないが、0.5〜2が好ましい。また、セルロースエーテルエステルの分子量は重量平均分子量が20000〜60000が好適である。
セルロースエーテル、セルロースエーテルエステルの製法は公知であり、天然由来のセルロース(パルプ)を原料とし、定法に従って、エーテル化剤、エステル化剤を反応させることによって得ることができるが、本発明では市販品を使用してもよい。信越化学工業(株)製「HP−55」、「HP−50」(ともにヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、「60SH−06」(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)等が挙げられる。
(水溶性ポリエステル樹脂)
本発明でいう「水溶性ポリエステル樹脂」とは、多価カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と多価アルコールまたはそのエステル形成性誘導体を主たる原料とする通常の重縮合反応によって合成されるような、実質的に線状のポリマーからなるポリエステル樹脂であって、分子中または分子末端に親水基が導入されたものである。ここで、親水基としては、スルホ基、カルボキシル基、燐酸基等の有機酸基またはその塩等が挙げられ、好ましくは、スルホン酸基またはその塩、カルボン酸基またはその塩である。水溶性ポリエステル樹脂としては、特にスルホ基もしくはその塩及び/又はカルボキシル基もしくはその塩を有するものが好ましい。
当該ポリエステル樹脂の多価カルボン酸成分の代表例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸などであり、これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよい。また、上記の種々の化合物と共に、p−ヒドロキシ安息香酸などのようなヒドロキシカルボン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸などのような不飽和カルボン酸も少量であれば併用してもよい。
当該ポリエステル樹脂の多価アルコール成分の代表例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等であり、これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
当該ポリエステル樹脂の分子中または分子末端への親水基の導入は公知慣用の方法で行えばよいが、親水基を含有するエステル形成性化合物(芳香族カルボン酸化合物、ヒドロキシ化合物等)を共重合する態様が好ましい。
例えば、スルホン酸塩基を導入する場合、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−スルホン酸アンモニウムイソフタル酸、4−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、4−メチルスルホン酸アンモニウムイソフタル酸、2−スルホン酸ナトリウムテレフタル酸、5−スルホン酸カリウムイソフタル酸、4−スルホン酸カリウムイソフタル酸および2−スルホン酸カリウムテレフタル酸等から選ばれる1または2種以上を共重合するのが好適である。
また、カルボン酸基を導入する場合、たとえば、無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸等から選ばれる1または2種以上を共重合するのが好適であり、共重合反応の後、アミノ化合物、アンモニアまたはアルカリ金属塩などで中和せしめることによって、カルボン酸塩基を分子中に導入することが出来る。
水溶性ポリエステル樹脂の分子量は特に制限はないが、重量平均分子量が10000〜40000が好ましい。重量平均分子量が10000未満では、層形成性が低下する傾向となり、40000を超えると、溶解性が低下する傾向となる。
本発明において、水溶性ポリエステル樹脂は、市販品を使用することができ、互応化学工業(株)製の「プラスコート Z−561」(重量平均分子量:約27000)、「プラスコート Z−565」(重量平均分子量:約25000)等が挙げられる。
(水溶性アクリル樹脂)
本発明でいう「水溶性アクリル樹脂」とは、カルボキシル基含有単量体を必須成分として含有することで、水に分散乃至溶解するアクリル樹脂である。
当該アクリル樹脂は、より好ましくは、カルボキシル基含有単量体及び(メタ)アクリル酸エステルが必須の単量体成分であり、必要に応じてその他の不飽和単量体を単量体成分として含有するアクリル系重合体である。
上記単量体成分において、カルボキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好適である。
また、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアルキルの炭素数が1〜18であるメタアクリル酸アルキルエステルが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。
また、その他の不飽和単量体としては、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、水酸基含有単量体等をあげることができる。芳香族アルケニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等を挙げることができる。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。共役ジエン系化合物としては、ブタジエン、イソプレン等をあげることができる。ハロゲン含有不飽和化合物としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等をあげることができる。水酸基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等をあげることができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
後述するように、本発明において、離型層は、好適には、水溶性セルロース、水溶性ポリエステルまたは水溶性アクリル樹脂を含む塗工液を支持体に塗布・乾燥する方法によって形成される。水溶性アクリル樹脂を使用する場合、その塗工液はエマルジョン形態でも、水溶液形態でも使用可能である。
水溶性アクリル樹脂をエマルジョン形態で使用する場合、コアシェル型エマルジョンが好適であり、コアシェル型エマルジョンでは、コアシェル粒子のシェルにカルボキシル基が存在することが重要であり、従って、シェルはカルボキシル基含有単量体及び(メタ)アクリル酸エステルを含むアクリル樹脂で構成される。
このようなコアシェル粒子の分散品(エマルジョン)は市販品を使用することができ、ジョンクリル7600(Tg:約35℃)、7630A(Tg:約53℃)、538J(Tg:約66℃)、352D(Tg:約56℃)(いずれもBASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
水溶性アクリル樹脂を水溶液形態で使用する場合、当該アクリル樹脂は、カルボキシル基含有単量体及び(メタ)アクリル酸エステルを含むアクリル樹脂であり、比較的低分子量であることが重要である。よって、重量平均分子量が1000〜50000であるのが好ましく、重量平均分子量が1000未満では、層形成性が低下する傾向となり、重量平均分子量が50000を超えると、支持体層との密着性が高くなり、硬化後の支持体層の剥離性が低下する傾向となる。
このような水溶性アクリル樹脂の水溶液は、市販品を使用することができ、ジョンクリル354J(BASFジャパン(株)製)等を挙げることができる。
なお、水溶性アクリル樹脂のエマルジョンと水溶液では、エマルジョンの方が分子量が高いために薄膜化しやすい。従って、水溶性アクリル樹脂のエマルジョンが好適である。
<金属膜層>
本発明で使用する金属膜付きフィルムにおいて、金属膜層としては、金、白金、銀、銅、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、アルミニウム、亜鉛、鉄、スズ、インジウム等の金属単体のほか、適宜2種類以上の金属の固溶体(アロイ)などのあらゆる種類の金属を使用することができるが、中でも、コスト、蒸着法やスパッタリング法を適用できる汎用性、電気伝導性等の点から、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、銅・ニッケルアロイ、銅・チタンアロイ、金、銀及び銅が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、金、銀及び銅がより好ましく、銅が特に好ましい。また、金属膜層は単層であっても2層以上の積層で構成されていてもよい。例えば、硬化性樹脂組成物層の熱硬化の際に、銅層の硬化性樹脂組成物層への拡散によって樹脂の熱劣化(分解)等が懸念される系では、必要により、銅層上にクロム層、ニッケル・クロムアロイ層又はチタン層を設けることができる。すなわち、水溶性高分子離型層上に銅層を形成した後、クロム層、ニッケル・クロムアロイ層又はチタン層を更に形成することができる。
金属膜層の層厚は、好ましくは50nm〜5000nm、より好ましくは50nm〜3000nm、より好ましくは100nm〜2000nm、とりわけ好ましくは100nm〜1000nmである。層厚が小さすぎる場合、支持体層表面の凹凸の影響や、離型層との熱膨張率の差の影響を受け易くなり、クラックの問題が顕在化する傾向となる。また回路基板の製造におけるデスミア工程等において、酸洗浄等により金属膜層が溶解し、絶縁層表面が粗化されてしまうおそれがある。一方、層厚が大きすぎる場合、クラックの問題は軽減される傾向となるが、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などによる金属膜の形成に長時間を要し、コスト的に実用性に劣る傾向にある。なお、上記のような銅層/クロム層、ニッケル・クロムアロイ層又はチタン層の2層構造とする場合の全体の層厚は上記と同じであり、またクロム層、ニッケル・クロム層又はチタン層の厚さは好ましくは5nm〜100nm、より好ましくは5nm〜50nm、とりわけ好ましくは5nm〜30nm、最も好ましくは5nm〜20nmである。なお金属層の層厚の測定法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、蛍光X線膜厚計(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、SFT9455シリーズ等)を用いて測定することができる。また金属層、離型層等の各層の層厚は、層断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真によっても測定することができる。
金属膜層の形成は、蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法から選ばれる1種以上の方法により形成されるのが好ましく、特に蒸着法及び/又はスパッタリング法により形成されるのが好ましい。これらの方法は組合せて用いることもできるが、通常はいずれかの方法が単独で用いられる。
スパッタリング法は、公知の方法を用いることができ、例えば、離型層を有する支持体を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により離型層上に膜形成を行うことができる。
蒸着法(真空蒸着法)も、公知の方法を用いることができ、例えば、離型層を有する支持体を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより離型層上に膜形成を行うことができる。
イオンプレーティング法も、公知の方法を用いることができ、例えば、離型層を有する支持体を真空容器内に入れ、グロー放電雰囲気下で、金属を加熱蒸発させ、イオン化した蒸発金属により離型層上に膜形成を行うことができる。
金属膜形成後、室温まで冷却される過程で、離型層厚が小さく、かつ離型層が設けられた支持体表面の算術平均粗さ(Ra)の値が大きい場合は、金属膜にクラックが発生し易くなる。
[硬化性樹脂組成物層]
接着フィルムにおける硬化性樹脂組成物層には、その硬化物が、十分な硬度と絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用でき、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等の硬化性樹脂にその硬化剤を少なくとも配合した組成物が使用される。なかでも、硬化性樹脂がエポキシ樹脂である組成物が好ましく、(a)エポキシ樹脂、(b)熱可塑性樹脂及び(c)硬化剤を少なくとも含む組成物がより好ましい。
(a)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物、及びアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びにこれらのエポキシ樹脂のアルキル置換体、ハロゲン化物及び水素添加物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を使用するか2種以上を混合して用いてもよい。
エポキシ樹脂は、これらの中でも、耐熱性、絶縁信頼性、金属膜との密着性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製「HP4032」、「HP4032D])、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製「HP4700」)、ナフトール型エポキシ樹脂(東都化成(株)製「ESN−475V」)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000」)などが挙げられる。
(b)熱可塑性樹脂は、硬化後の組成物に適度な可撓性を付与する等の目的で配合されるものであり、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。当該熱可塑性樹脂は硬化性樹脂組成物の不揮発成分を100重量%としたとき、0.5〜60重量%の割合で配合するのが好ましく、より好ましくは3〜50重量%である。熱可塑性樹脂の配合割合が0.5重量%未満の場合、樹脂組成物粘度が低いために、均一な硬化性樹脂組成物層を形成することが難しくなる傾向となり、60重量%を超える場合、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、内層回路基板上の配線パターンへの埋め込みが困難になる傾向となる。
フェノキシ樹脂の具体例としては、東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YX8100、YL6954、YL6974等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミドの具体例としては、新日本理化(株)製のポリイミド「リカコートSN20」および「リカコートPN20」が挙げられる。また、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報、特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミドの具体例としては、東洋紡績(株)製のポリアミドイミド「バイロマックスHR11NN」および「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。また、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホンの具体例としては、住友化学(株)製のポリエーテルスルホン「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホンの具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
(c)硬化剤としては、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、酸無水物系硬化剤又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもの、シアネートエステル樹脂等を挙げることができる。中でも、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、シアネートエステル樹脂が好ましい。なお、本発明において、硬化剤は1種であっても2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤の具体例としては、MEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成(株)製)、NHN、CBN、GPH(日本化薬(株)製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(東都化成(株)製)、LA7052、LA7054、LA3018、LA1356(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、シアネートエステル樹脂の具体例としては、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート))、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。市販されているシアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量124)やビスフェノールAジシアネートの一部または全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230」、シアネート当量232)等が挙げられる。
(a)エポキシ樹脂と(c)硬化剤の配合比率は、フェノール系硬化剤またはナフトール系硬化剤の場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量1に対してこれら硬化剤のフェノール性水酸基当量が0.4〜2.0となる比率が好ましく、0.5〜1.0となる比率がより好ましい。シアネートエステル樹脂の場合は、エポキシ当量1に対してシアネート当量が0.3〜3.3となる比率が好ましく、0.5〜2となる比率がより好ましい。反応基当量比がこの範囲外であると、硬化物の機械強度や耐水性が低下する傾向にある。
なお、当該硬化性樹脂組成物には、(c)硬化剤に加え、(d)硬化促進剤をさらに配合することができる。このような硬化促進剤としては、イミダゾール系化合物、有機ホスフィン系化合物等が挙げられ、具体例としては、2−メチルイミダゾール、トリフェニルホスフィンなどを挙げることができる。(d)硬化促進剤を用いる場合、エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0重量%で用いるのが好ましい。なお、エポキシ樹脂硬化剤にシアネートエステル樹脂を使用する場合には、硬化時間を短縮する目的で、従来からエポキシ樹脂組成物とシアネート化合物とを併用した系で硬化触媒として用いられている有機金属化合物を添加してもよい。有機金属化合物としては、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅化合物、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛化合物、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト化合物などが挙げられる。有機金属化合物の添加量は、シアネートエステル樹脂に対し、金属換算で10〜500ppm、好ましくは25〜200ppmである。
また、当該硬化性樹脂組成物には、硬化後の組成物の低熱膨張化のために(e)無機充填剤を含有させることができる。無機充填剤としては、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特にシリカが好ましい。なお、無機充填剤は絶縁信頼性の観点から、平均粒径が3μm以下であるのが好ましく、平均粒径が1.5μm以下であるのがより好ましい。硬化性樹脂組成物中の無機充填剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の不揮発成分を100重量%とした時、好ましくは20〜60重量%であり、より好ましくは20〜50重量%である。無機充填剤の含有量が20重量%未満の場合、熱膨張率の低下効果が十分に発揮されない傾向にあり、無機充填剤の含有量が60重量%を超えると、硬化物の機械強度が低下するなどの傾向となる。
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等の難燃剤、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
なお、硬化性樹脂組成物層は、繊維からなるシート状補強基材中に上述の硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグであってもよい。シート状補強基材の繊維としては、ガラスクロスやアラミド繊維等、プリプレグ用繊維として常用されているものを用いることができる。プリプレグは硬化性樹脂組成物をシート状補強基材ホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることで形成することができる。なお、ホットメルト法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物を樹脂組成物と剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。また、ソルベント法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解したワニスにシート状補強基材を浸漬し、ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
硬化性樹脂組成物層の厚さは、被着体(内層回路基板)の導体層の厚みによっても異なるが、層間での絶縁信頼性等の観点から、10〜150μmが好ましく、より好ましくは15〜80μmである。
金属膜付き接着フィルムは、金属膜付きフィルムの金属膜層の形成工程後、金属膜層表面に硬化性樹脂組成物層を形成することで製造することができる。硬化性樹脂組成物層の形成方法は公知の方法を用いることができ、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて、金属膜付きフィルムの金属膜層上に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。有機溶剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層への有機溶剤の含有量が10重量%以下、好ましくは5重量%以下となるように乾燥させる。ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるが、30〜60重量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分乾燥させることにより、樹脂組成物層が形成される。
また金属膜付き接着フィルムは、金属膜付きフィルムとは別に、前述したプラスチックフィルム等の支持体上に硬化性樹脂組成物層を形成した接着フィルムを作製し、これら金属膜付きフィルムと接着フィルムとを硬化性樹脂組成物層と金属膜層が接触するように加熱条件下で貼り合わせる方法によって作製することもできる。また、硬化性樹脂組成物層がプリプレグである場合、プリプレグを支持体上に、真空ラミネート法により積層することができる。接着フィルムは公知の方法により製造することができる。
金属膜付きフィルムと接着フィルム又はプリプレグの貼り合わせは、金属膜付きフィルムの金属膜層と接着フィルム又はプリプレグの硬化性樹脂組成物層とを対向するように、金属膜付きフィルムと接着フィルム又はプリプレグを重ねて、熱プレス、熱ロール等で加熱圧着する。加熱温度は、60〜140℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃である。圧着圧力は、1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)が好ましく、2〜7kgf/cm(19.6×10〜68.6×10N/m)が特に好ましい。
[回路基板等の製造]
本発明の回路基板の製造において、金属膜付き接着フィルムを用いる場合は、硬化性樹脂組成物層を接着面として、内層回路基板に積層すればよい。一方、金属膜付きフィルムを用いる場合は、金属膜層が、内層回路基板上に存在する硬化性樹脂組成物層の表面に接するように重ねて積層すればよい。
内層回路基板上への硬化性樹脂組成物層の形成は公知の方法を用いることができ、例えば、上述したような支持体層上に硬化性樹脂組成物層が形成された接着フィルムを内層回路基板に積層し、支持体層を剥離等により除去することにより、硬化性樹脂組成物層を内層回路基板上に形成することができる。接着フィルムの積層条件は、後述する金属膜付き接着フィルム等の積層条件と同様である。
本発明において、プリプレグを使用して回路基板を製造する場合、単一のプリプレグ又は複数枚のプリプレグを重ねて多層化した多層プリプレグを内層回路基板に積層した積層体の片面又は両面の表面層であるプリプレグに、金属膜付きフィルムを、その金属膜層がプリプレグ表面に接するよう重ねて積層することができる。また同様に、単一のプリプレグ又は複数枚のプリプレグを重ねて多層化した多層プリプレグの片面又は両面に、金属膜付きフィルムを、金属膜層がプリプレグの表面に接するように重ねて積層し、加熱加圧することによりプリプレグの硬化を行って、金属張積層板を製造することもできる。
金属膜付き接着フィルム及び金属膜付きフィルムの積層は、作業性及び一様な接触状態が得られやすい点から、ロールやプレス圧着等でフィルムを被着体表面に積層する。なかでも、真空ラミネート法により減圧下で積層するのが好適である。また、積層の方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
ラミネートの条件は、一般的には、圧着圧力を1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。
真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、(株)名機製作所製 バッチ式真空加圧ラミネーター MVLP−500、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)日立インダストリイズ製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製 真空ラミネーター等を挙げることができる。
また、硬化性樹脂組成物の硬化処理は、通常、熱硬化処理であり、その条件は、硬化性樹脂の種類等によっても異なるが、一般に硬化温度が120〜200℃、硬化時間が15〜90分である。なお、比較的低い硬化温度から高い硬化温度へ段階的に硬化させる、又は上昇させながら硬化させる方が、形成される絶縁層表面のしわ防止の観点から好ましい。
硬化処理後の支持体層の剥離は機械的に行ってよく、手動で剥離してもよい。なお、水溶性セルロース樹脂、水溶性アクリル樹脂及び水溶性ポリエステル樹脂から選択される1種以上からなる水溶性高分子を離型層として採用した場合、プラスチックフィルムとの剥離性が良好であるため、支持体層−離型層間で支持体層の剥離が可能となり、その後、金属膜層上に残る離型層は水溶液で簡便に除去することで、金属膜を傷つけることなく均一性に優れる金属膜を形成することができる。該離型層を溶解除去するための水溶液としては、好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を0.5〜10重量%の濃度で水に溶解させたアルカリ性水溶液等が挙げられる。溶解除去の方法は特に限定されず、例えば支持体層を剥離した後、水溶液中に内層回路基板を浸水させて溶解除去する方法、水溶液をスプレー状や霧状に吹き付けて溶解除去する方法等が挙げられる。水溶液の温度は、室温〜80℃であり、浸水、吹き付け等の水溶液により処理時間は10秒〜10分で行うことができる。アルカリ性水溶液としては、回路基板製造に使用される、アルカリ現像機のアルカリ型現像液(例えば、0.5〜2重量%の炭酸ナトリウム水溶液、25℃〜40℃)、ドライフィルム剥離機の剥離液(例えば、1〜5重量%の水酸化ナトリウム水溶液、40〜60℃)、デスミア工程で使用する膨潤液(例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等を含むアルカリ水溶液、60〜80℃)等を使用することもできる。
その後、必要によりブラインドビア形成、スルーホール形成、ビア底残渣の除去(デスミア工程)、メッキによる導体層形成工程等を経て、回路基板を製造することができる。多層プリント配線板のビルドアップされた絶縁層では、一般にブラインドビアにより層間の導通が行われる。スルーホールの形成は一般にコア基板において行われるが、絶縁層形成後にスルーホールが形成されてもよい。この場合、デスミア工程と同様の処理(例えば、後掲記載の酸化剤によるデスミア処理)をスルーホールに適用することができる。なおスルーホール形成には、一般に機械ドリルが用いられ、ブラインドビアの形成には、一般に炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーが用いられる。
なおレーザー加工性を向上させるため、支持体層及び/又は離型層にレーザー吸収性成分を含有させても良い。レーザー吸収性成分としては、金属化合物粉、カーボン粉、金属粉、黒色染料等が挙げられる。レーザーエネルギー吸収性成分の配合量は、該成分が含まれる層を構成する全成分中、0.05〜40重量% 、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。例えば、水溶性樹脂から形成される離型層に該成分を含有させる場合、水溶性樹脂及び該成分を含む全体の含有量を100重量%とし、好ましくは上記含有量で配合する。カーボン粉としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、アントラセンブラック等のカーボンブラックの粉末、黒鉛粉末、またはこれらの混合物の粉末などが挙げられる。金属化合物粉としては、酸化チタン等のチタニア類、酸化マグネシウム等のマグネシア類、酸化鉄等の鉄酸化物、酸化ニッケル等のニッケル酸化物、二酸化マンガン、酸化亜鉛等の亜鉛酸化物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、希土類酸化物、酸化コバルト等のコバルト酸化物、酸化錫等のスズ酸化物、酸化タングステン等のタングステン酸化物、炭化珪素、炭化タングステン、窒化硼素、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、希土類酸硫化物、またはこれらの混合物の粉末などが挙げられる。金属粉としては、銀、アルミニウム、ビスマス、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、アンチモン、ケイ素、錫、チタン、バナジウム、タングステン、亜鉛、またはこれらの合金若しくは混合物の粉末などが挙げられる。黒色染料としては、アゾ(モノアゾ、ジスアゾ等)染料、アゾ−メチン染料、アントラキノン系染料キノリン染料、ケトンイミン染料、フルオロン染料、ニトロ染料、キサンテン染料、アセナフテン染料、キノフタロン染料、アミノケトン染料、メチン染料、ペリレン染料、クマリン染料、ペリノン染料、トリフェニル染料、トリアリルメタン染料、フタロシアニン染料、インクロフェノール染料、アジン染料、またはこれらの混合物などが挙げられる。黒色染料は水溶性樹脂中への分散性を向上させるため溶剤可溶性の黒色染料であるのが好ましい。これらレーザーエネルギー吸収性成分は、各々単独で用いても良く、異なる種類のものを混合して用いてもよい。レーザーエネルギー吸収性成分は、レーザーエネルギーの熱への変換効率や、汎用性等の観点から、カーボン粉が好ましく、特にカーボンブラックが好ましい。
ブラインドビアを形成する工程は、金属膜層上から行うことができるが、支持体がプラスチックフィルムの場合には支持体層を除去する前の支持体層上から行うことができる。また、支持体層を除去後、離型層が残存する場合は、離型層上から行うこともできる。
デスミア工程は、プラズマ等のドライ法、アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤処理によるウエット法など公知の方法によることができる。デスミア工程は、主としてブラインドビア形成により生じたビア底残渣を除去する工程であり、ビア壁面の粗化を行う目的で行われることがある。特に、酸化剤によるデスミアは、ビア底のスミアを除去すると同時に、ビア壁面が酸化剤で粗化され、メッキ密着強度を向上させることができる点で好ましい。また、本発明では絶縁層表面を粗化処理しないことから微細配線形成に有利であり、回路基板の製造工程短縮にも有利となる。酸化剤によるデスミア工程は、通常、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行うことによって行われる。膨潤液としてはアルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。市販されている膨潤液としては、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等を挙げることができる。酸化剤としては、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液を挙げることができる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、通常60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に10分〜30分付すことで行われる。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10重量%とするのが一般的である。市販されている酸化剤としては、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート コンパクト CP、ドージングソリューション セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューション・セキュリガントP(中和液)が挙げられる。
金属膜層は、そのまま導体層とするか、或いは、金属膜層をシード層として、その上にメッキ(無電解メッキ及び/又は電解メッキ)によりさらに金属膜層を成長させて導体層を形成する(この際、ビア内面等にも金属膜層が成長する)。一般には、金属膜層に電解メッキにより導体層を形成するのが好ましい。電解メッキによる導体層形成は、セミアディティブ法等、公知の方法により行うことができる。例えば、金属膜層上にメッキレジストを形成し、電解メッキにより導体層を形成する。電解メッキ層は銅が好ましく、その厚みは所望の回路基板のデザインによるが、一般的には、3〜35μm、好ましくは5〜30μmである。電解メッキ後、メッキレジストをアルカリ性水溶液等のメッキレジスト剥離液で除去後、金属膜層の除去を行い、配線パターンを形成することができる。金属膜層の除去は、金属膜層を形成する金属を溶解させる溶液によりエッチング除去することができる。エッチングは選択した金属層に合わせて公知のものが選択され、例えば、銅であれば塩化第二鉄水溶液、ペルオキソ二硫酸ナトリウムと硫酸の水溶液などの酸性エッチング液、メック(株)製のCF−6000、メルテックス(株)製のE−プロセス−WL等のアルカリ性エッチング液を用いることができる。ニッケルの場合には、硝酸/硫酸を主成分とするエッチング液を用いることができ、市販品としては、メック(株)製のNH−1865、メルテックス(株)製のメルストリップN−950等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何等限定されるものではない。なお、以下の記載中の「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
<金属膜付きフィルムの作製>
厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも略称する)フィルムであるT60(東レ(株)製、Ra=22nm)上に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(信越化学工業(株)製「HP−55」)のメチルエチルケトン(以下、「MEK」と略す)とN,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略す)の1:1溶液(固形分10重量%)をダイコーターにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて室温から140℃まで昇温速度3℃/秒で昇温することで溶剤を除去し、PETフィルム上に約0.5μmのヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層を形成させた。次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層上に蒸着法により、銅膜層約500nmを形成し、金属膜付きフィルムを作製した。金属膜層(銅膜層)にクラックは発生していなかった。図1はこのクラックが発生していない金属膜層表面の写真である。
<硬化性樹脂組成物層を有する接着フィルムの作製>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(828EL)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(HP−4700)28部とをMEK15部とシクロヘキサノン15部の混合液に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるトリアジン構造を含むノボラック樹脂(固形物のフェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業(株)製「LA7052」、固形分60重量%のMEK溶液)50部、フェノキシ樹脂(分子量 50000、ジャパンエポキシレジン(株)製「E1256」の固形分40重量%のMEK溶液)20部、硬化触媒(2E4MZ)0.1部、球形シリカ(SOC2)55部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」)の固形分15重量%のエタノールとトルエンの1:1溶液30部、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(分子量 27000、ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」)3部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。厚み38μmのPETフィルム上に上記ワニスをダイコーターにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて溶剤を除去し、硬化性樹脂組成物層の厚みが40μmである接着フィルムを作製した。
<回路基板上への硬化性樹脂組成物層形成>
18μm厚の銅層で回路が形成されているガラスエポキシ基板の銅層上をCZ8100(アゾール類の銅錯体、有機酸を含む表面処理剤(メック(株)製))処理にて粗化を施した。次に、上記接着フィルムの硬化性樹脂組成物層が銅回路表面と接するようにし、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500((株)名機製作所製商品名)を用いて、接着フィルムを回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは30秒間減圧して気圧を13hPa以下で行った。次いで、室温に冷却後、接着フィルムの支持体層を剥離し、回路基板の両面に硬化性樹脂組成物層を形成した。
<金属膜付きフィルムによる金属膜転写>
上記で調製した金属膜付きフィルムを金属膜層(銅膜層)が硬化性樹脂組成物層と接するようにして内層回路基板に積層した。積層は、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500((株)名機製作所製、商品名)を用いて、内層回路基板の両面にラミネートすることにより行った。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、圧力7.54kgf/cmでプレスすることにより行った。その後、硬化性樹脂組成物層を150℃で30分、更に180℃で30分間硬化させ、絶縁層(硬化物層)を形成した。該絶縁層から支持体のPETフィルムを剥離した。剥離性は良好で手で容易に剥離できた。その後、絶縁層上に存在する離型層(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層)を1重量%炭酸ナトリウム水溶液で溶解除去した。金属膜層は均一に転写され、樹脂と金属膜層間の膨れ、金属膜層のしわ、金属膜層のクラックといった異常は見られなかった。
(実施例2)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを東洋紡(株)製の厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、A4100(平滑面のRa=12nm)にした以外は、実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作製し、金属膜層の転写を行った。ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのコーティングはA4100の平滑面(Ra=12nm)に行った。金属膜付きフィルムの製造工程で、金属膜にクラックは発生しなかった。また、金属膜層は均一に転写され、樹脂と金属膜層間の膨れ、金属膜層のしわ、金属膜層のクラックといった異常は見られなかった。
(実施例3)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを帝人デュポンフィルム(株)製の厚み38μmのポリエチレンナフタレートフィルム、Q83(平滑面のRa=32nm)にし、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層の層厚を約0.5μm、金属膜層の層厚を約2500nmにした以外は、実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作製し、金属膜層の転写を行った。金属膜付きフィルムの製造工程で、金属膜層にクラックは発生しなかった。また、金属膜層は均一に転写され、樹脂と金属膜層間の膨れ、金属膜層のしわ、金属膜層のクラックといった異常は見られなかった。
(実施例4)
実施例1において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層の層厚を約2μmにした以外は実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作成し、金属膜層の転写を行った。金属膜付きフィルムの製造工程で、金属膜層にクラックは発生しなかった。また、金属膜層は均一に転写され、樹脂と金属膜間の膨れ、金属膜層のしわ、金属膜層のクラックといった異常は見られなかった。
(実施例5)
実施例3において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層の層厚を約2μmにした以外は実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作製し、金属膜層の転写を行った。金属膜付きフィルムの製造工程で、金属膜層にクラックは発生しなかった。また、金属膜層は均一に転写され、樹脂と金属膜層間の膨れ、金属膜層のしわ、金属膜層のクラックといった異常は見られなかった。
(実施例6)
実施例1において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層の層厚を約4μmにした以外は実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作製し、金属膜層の転写を行った。金属膜付きフィルムの製造工程で、金属膜層にクラックは発生しなかった。また、金属膜層は均一に転写され、樹脂と金属膜層間の膨れ、金属膜層のしわ、金属膜層のクラックといった異常は見られなかった。
(実施例7)
実施例1で作製した金属膜付きフィルムを実施例1で作製した接着フィルムの硬化性樹脂組成物層と金属膜層が接するように90℃で貼り合わせ、巻き取り、金属膜付き接着フィルムを作製した。
<金属膜付き接着フィルムによる基板上への硬化性樹脂組成物層形成>
18μm厚の銅層で回路が形成されているガラスエポキシ基板の銅層上をCZ8100(アゾール類の銅錯体及び有機酸を含む表面処理剤、メック(株)製)で処理して粗化を施した。次いで、上記作製した金属膜付き接着フィルムの接着フィルム側の支持体を剥離し、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500((株)名機製作所製、商品名)を用いて、金属膜付き接着フィルムを基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にして行った。その後、硬化性樹脂組成物層を150℃で30分、更に180℃で30分間硬化させ、絶縁層(硬化物層)を形成した。該絶縁層から金属膜付き接着フィルム側の支持体層であるPETフィルムを剥離した。剥離性は良好で手で容易に剥離できた。その後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層を1重量%炭酸ナトリウム水溶液に室温で1分間浸漬(攪拌付)し、溶解除去した。金属膜層は均一に転写され、樹脂と金属膜層間の膨れ、金属膜層のしわ、金属膜層の亀裂といった異常は見られなかった。
(実施例8)
<プリプレグの作製>
実施例1で作製した樹脂ワニスを厚さ50μmのガラス繊維に含侵させ、135℃で4分間乾燥させ、樹脂ワニス含有量が52重量%のプリプレグを作製した。
<金属膜張積層板の作製>
実施例1で作製した金属膜付きフィルムで、上記で作製したプリプレグ2枚をプリプレグと金属膜層が接するように上下に配置し、10kgf/cmの圧力下、130℃で30分、その後30kgf/cmの圧力下、190℃で90分真空プレスにて金属膜張積層板を作製した。該絶縁層から金属膜付きフィルム側の支持体層であるPETフィルムを剥離した。剥離性は良好で手で容易に剥離できた。その後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層を1重量%炭酸ナトリウム水溶液に室温で1分間浸漬(攪拌付)し、溶解除去した。金属膜層は均一に転写され、樹脂と金属膜層間の膨れ、金属膜層のしわ、金属膜層の亀裂といった異常は見られなかった。
(比較例1)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを、東レ(株)製の厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、R56(Ra=67nm)にした以外は、実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作製した。しかし、金属膜層に無数のクラックが発生していた。
(比較例2)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを、東レ(株)製の厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、R56(Ra=67nm)にし、金属膜層(銅膜層)の層厚を約500nmから約2500nmに変更した以外は、実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作製した。しかし、金属膜層に無数のクラックが発生していた。
(比較例3)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを、東レ(株)製の厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、R56(Ra=67nm)にし、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層の層厚を約0.5μmから約7μmに変更した以外は、実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作製し、金属膜の転写を行った。金属膜付きフィルムの製造工程では、金属膜層にクラックは発生しなかったが、転写された金属膜層に無数のクラックが発生していた。
(比較例4)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを、東レ(株)製の厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、R56(Ra=67nm)にし、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層の層厚を約0.5μmから約7μm、金属膜層の層厚を約500nmから約2500nmに変更した以外は、実施例1と同様の操作により金属膜付きフィルムを作製した。金属膜付きフィルムの製造工程では、金属膜層にクラックは発生しなかったが、転写された金属膜層に無数のクラックが発生していた。
図2に比較例でのクラックが発生した金属膜層表面の一例の写真を示す。
<表面粗さ測定>
算術平均粗さ(Ra値)の測定は、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして行った。
<金属膜層の層厚の測定>
作製した金属膜付きフィルムの金属膜層の膜厚は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、蛍光X線膜厚測定器「SFT9455」にて測定し、その値を読み取った。
<離型層の層厚の測定>
離型層の膜厚は、離型層を形成する前と離型層を形成した後のフィルムの重さをそれぞれ電子天秤で量り、その差を求め、離型層の単位面積当たりの付着量を求めた。そして、離型層の比重を0.9g/cmとして、層厚を計算した。
<クラック評価>
クラックとは金属膜層に生じるひび割れのことをいい、クラックの評価は顕微鏡(株式会社キーエンス、超深度顕微鏡「VK−8510」)を用いて観察した。倍率100倍で金属膜層表面を観察した際のクラックの様子を図示した。クラックが見られた場合を「あり」とし、クラックが見られなかった場合を「なし」とした。
本出願は日本で出願された特願2008−222729を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含される。

Claims (20)

  1. 算術平均粗さ(Ra)が50nm以下の支持体層表面に離型層が形成され、該離型層上に金属膜層が形成されている金属膜付きフィルム。
  2. 離型層の厚さが0.1〜5μmである、請求項1記載の金属膜付きフィルム。
  3. 金属膜層の層厚が50nm〜5000nmである、請求項1又は2記載の金属膜付きフィルム。
  4. 金属膜層が、蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法から選ばれる1種以上の方法により形成されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルム。
  5. 離型層の少なくとも金属膜層と接着する面が水溶性セルロース樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水溶性アクリル樹脂から選択される1種以上の水溶性高分子から形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルム。
  6. 支持体層がプラスチックフィルムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルム。
  7. 支持体層がポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルム。
  8. 支持体層の層厚が10μm〜70μmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルム。
  9. 少なくとも表層が硬化性樹脂組成物よりなる被着体に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層が被着体の表面に接するように重ねて積層し、硬化性樹脂組成物を硬化する工程、及び支持体層を剥離する工程を含む金属膜層の転写方法。
  10. 少なくとも表層が硬化性樹脂組成物よりなる被着体に、請求項5〜8いずれか1項に記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層が被着体の表面に接するように重ねて積層し、硬化性樹脂組成物を硬化する工程、支持体層を剥離する工程、及び金属膜層上に存在する離型層を水溶液で溶解除去する工程を含む金属膜層の転写方法。
  11. 内層回路基板上に形成された硬化性樹脂組成物層に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層が硬化性樹脂組成物層表面に接するように重ねて積層し、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、及び支持体層を剥離する工程を含む回路基板の製造方法。
  12. 内層回路基板上に形成された硬化性樹脂組成物層に、請求項5〜8のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層が硬化性樹脂組成物層表面に接するように重ねて積層し、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、支持体層を剥離する工程、及び金属膜層上に存在する離型層を水溶液で溶解除去する工程を含む回路基板の製造方法。
  13. 金属膜層上にメッキにより導体層を形成する工程をさらに含む、請求項11又は12記載の方法。
  14. 硬化性樹脂組成物層が、繊維からなるシート状基材に硬化性樹脂組成物が含浸されたプリプレグからなる、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 単一のプリプレグ又は複数枚のプリプレグを重ねて多層化した多層プリプレグの片面又は両面に請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層がプリプレグの表面に接するように重ねて加熱加圧する工程、及び支持体層を剥離する工程を含む、金属張積層板の製造方法。
  16. 単一のプリプレグ又は複数枚のプリプレグを重ねて多層化した多層プリプレグの片面又は両面に請求項5〜8のいずれか1項に記載の金属膜付きフィルムを、金属膜層がプリプレグの表面に接するように重ねて加熱加圧する工程、支持体層を剥離する工程、及び金属膜層上に存在する離型層を水溶液で溶解除去する工程を含む、金属張積層板の製造方法。
  17. 請求項1〜8いずれか1項に記載のフィルムの金属膜層上に、さらに硬化性樹脂組成物層が形成されている、金属膜付き接着フィルム。
  18. 請求項17記載の金属膜付き接着フィルムを、硬化性樹脂組成物層が内層回路基板と接するよう内層回路基板に重ねて積層する工程、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、及び支持体層を剥離する工程を含む、回路基板の製造方法。
  19. 請求項5〜8のいずれか1項に記載のフィルムの金属膜層上にさらに硬化性樹脂組成物層が形成されている金属膜付き接着フィルムを、硬化性樹脂組成物層が内層回路基板と接するよう内層回路基板に重ねて積層する工程、硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、支持体層を剥離する工程、及び金属膜層上に存在する離型層を水溶液で溶解除去する工程を含む、回路基板の製造方法。
  20. 金属膜層上にメッキにより導体層を形成する工程をさらに含む、請求項18又は19記載の方法。
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