JPWO2009104770A1 - 薬剤揮散用植物体 - Google Patents
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Abstract
Description
1.目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体に、植物体の少なくとも一部を接触させ、前記植物体から前記薬剤を揮散させるように構成した薬剤揮散用植物体であって、前記担体が、前記薬剤を溶解した液体であることを特徴とする薬剤揮散用植物体。
2.目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体に、植物体の少なくとも一部を接触させ、前記植物体から前記薬剤を揮散させるように構成した薬剤揮散用植物体であって、前記担体が固体であることを特徴とする薬剤揮散用植物体。
3.前記1に記載の薬剤揮散用植物体を調製するために用いられる、目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる液体の担体。
4.前記2に記載の薬剤揮散用植物体を調製するために用いられる、目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる固体の担体。
5.前記担体が前記薬剤の水溶液であることを特徴とする前記3に記載の担体。
6.前記担体が天然または人工の土壌であることを特徴とする前記4に記載の担体。
7.前記担体が肥料であることを特徴とする前記3または4に記載の担体。
8.目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体に、植物体の少なくとも一部を接触させ、前記植物体から前記薬剤を揮散させるようにするとともに、前記担体が、前記薬剤の溶解した液体であることを特徴とする薬剤揮散用植物体の製造方法。
9.目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体に、植物体の少なくとも一部を接触させ、前記植物体から前記薬剤を揮散させるようにするとともに、前記担体が固体であることを特徴とする薬剤揮散用植物体の製造方法。
10.前記1または2に記載の薬剤揮散用植物体を設置し、目的とする有効成分を含む薬剤を前記屋内に揮散させることを特徴とする薬剤の揮散方法。
11.目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体と、前記担体に少なくとも一部が接触している植物体と、を有する害虫防除剤であって、前記担体が、前記薬剤を溶解した液体であり、前記植物体から前記薬剤を揮散させるように構成したことを特徴とする害虫防除剤。
12.目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体と、前記担体に少なくとも一部が接触している植物体と、を有する害虫防除剤であって、前記担体が固体であり、前記植物体から前記薬剤を揮散させるように構成したことを特徴とする害虫防除剤。
前記のように本発明の液体担体は、薬剤の溶解した液体である。これにより、薬剤が溶解せずに分散している懸濁液に比べ、植物体の吸収効率が優れ、ひいては薬剤の揮散の持続性を向上させることができる。
液体担体における溶媒としては、水やアルコール類のような各種有機溶剤が挙げられる。
薬剤が水に難溶である場合は、可溶化剤を液体担体に配合することができる。
可溶化剤としては、例えば、アニオン系活性剤(例えば、スルホン酸塩など)、カチオン系活性剤(例えば、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩など)、両性活性剤(例えば、アルキルベタインなど)、ノニオン系活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)などの溶解または可溶化作用のある界面活性剤や両親媒性物質等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンアルキルフェニル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
液体担体が水溶液である場合、とくに好ましい薬剤は、20℃での蒸気圧が1×10−5〜1×100Paのものであり、より好ましくは1×10−4〜1×10−2Paであり、例えば、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルスリン、エンペントリン等が挙げられる。
本発明の液体担体において、薬剤の濃度は、その薬剤の種類、揮散性、液体への溶解性などを適宜考慮して設定すればよいが、例えば液体担体中、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜3質量%である。
固体担体の種類としては、植物体に悪影響を及ぼすことなく、その接触が可能であればとくに制限されないが、例えば、ケイ酸、カオリン、活性炭、ペントナイト、珪藻土、タルク、クレー、炭酸カルシウム、陶磁器粉等の鉱物質粉末や、木粉、大豆粉、小麦粉、でん粉等の植物質粉末等や、シクロデキストリン等の包接化合物等、パルプ、吸水(吸液)ポリマー、天然土壌、人工土壌、肥料、繊維、寒天、スポンジ等が挙げられる。
中でも、屋内に本発明の植物体を設置し、これを生育させるという形態の場合は、天然土壌、人工土壌、肥料が好ましい。
天然土壌としては、自然に存在するものであればよく、例えば、ピートモス、ヤシガラセンイ等が挙げられる。
人工土壌としては、例えば、パルプ、吸水(吸液)ポリマー、無機多孔質粉(例えば、バーミキュライト、ゼオライト、パーライト)、骨材、素焼粉等が挙げられ、これらを混合したものでもよい。
また肥料としては、例えば、硫安、尿素、硝安、石灰窒素、石灰窒素過リン、酸石灰、重リン酸石灰、よう成リン肥、(重)焼成リン肥、硫酸、アンモニア等を有効成分とする肥料が挙げられる。肥料を用いた場合は、植物体の栄養素が含まれるために、生育効率、薬剤の吸収効率の点でとくに好ましい。
さらに、該固体担体の形態に調製するに当っては、例えば、トリシクロデカン、シクロドデカン、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、トリメチレンノルボルネン、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、樟脳等の昇華性担体を用い、上記有効成分を溶融混合または混合後成型して、昇華性固剤とすることもできる。
固体担体の剤型としては、例えば、ゲル、マイクロカプセル、水溶剤(固剤)等が挙げられる。
本発明の固体担体において、薬剤の濃度は、その薬剤の種類、揮散性などを適宜考慮して設定すればよいが、例えば固体担体中、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜3質量%である。
また、例えば、チオシアン酸銀、アミノオキシ酢酸、アミノエトキシビニルグリシン、アミノイソ酪酸、イソプロピリデンアミノオキシ酢酸エステル、アロコロナミン酸、シスプロペニルホスホン酸、アミノトリアゾール、1−メチルシクロプロペン、グアニジン塩化物、ショ糖、8−ヒドロキシキノリン、クエン酸、コハク酸、酒石酸、水溶性第4級アンモニウム化多糖類、水溶性第4級アンモニウム化ヒドロキシアルキル多糖類、第4級アンモニウム塩ポリマー等、及びこれらの混合物からなる切り花保存剤が挙げられる。
固体担体と植物体との接触は、例えば、通常通り植物体を人工または天然の土壌に植える、液体および/または固体の水耕栽培等の方法がある。また、薬剤を含まない通常の土壌に本発明の固体担体の好適な形態である肥料を導入する方法も挙げられる。
液体または固体担体と植物体との接触時間は、植物体から所望量の薬剤の揮散が行なわれればよく、とくに制限されないが、例えば、1〜120時間である。
また、例えば、ルビナス(マメ科)、スズメノテッポウ(イネ科)、ヒメムカシヨモギ(キク科)、オオアレチノギク(キク科)、ヨモギ(キク科)、セイタカアワダチソウ(キク科)、ハマスゲ(カヤツリグサ科)、ハルジオン、ヒメジョオン、ノゲシ、ナズナ、オオバコ、ギシギシ、ブタクサ、スギナ、スイバ、イヌタデ、ツメクサ等が挙げられる。
例えば、芳香剤や消臭剤の有効成分を含有してなる担体に植物体を接触させ屋内等に設置しておくと、植物体から揮散した有効成分により持続的な効果が得られる。また、医療用薬剤として、例えば、喘息や気管支炎に使用する吸入剤を用い、吸引剤の有効成分であるメントールを含有してなる担体に植物体を接触させ使用者の近くに置いておくと、植物体から揮散した有効成分により優れた持続性が得られるだけでなく、見た目にも楽しむことができる。
液体担体1〜3の調製
以下の表1に記載の処方にて、液体担体1〜3を調製した。
薬剤揮散用植物体に送風装置の風(1.4リットル/秒)を当て、ガラスチャンバー内にアカイエカのメス17頭を放ち、KT50、KT90の値を算出した。その結果を表2に示す。
ここで、KT50とは50%の害虫がノックダウンするのに要する時間(分)、KT90とは90%の害虫がノックダウンするのに要する時間(分)を示す。
実施例1と同様の植物体を用いた。ただし、根の除去は行なわなかった。実施例1における液体担体2を用い、植物体200gに対し、(1)根のみを液体担体に浸漬する;(2)植物体を鉢(5号、直径15cm)に植え替え、土(人工土壌200g;花ごころ社製、園芸の土)と葉に液体担体100ミリリットルを全体にスプレーで散布する;(3)植物体を鉢(5号、直径15cm)に植え替え、土(人工土壌200g;花ごころ社製、園芸の土)のみに液体担体100ミリリットルを全体にスプレーで散布することにより、各担体と処理済の植物体とからなる本発明の害虫防除剤1〜3を得た。害虫防除剤1〜3のいずれかを実施例1で使用したガラスチャンバーに入れ、実施例1と同様の試験を行なった。なお、前記(1)の害虫防除剤1は、実施例1と同様に、植物体の容器への配置部分を除き、容器の開口部全体に、液体担体からの有効成分の揮散を防ぐために、食品用ラップにて蓋を形成した。また、前記(2)および(3)の害虫防除剤2および3についても、植物体の鉢への配置部分を除き、鉢開口部全体に、食品用ラップにて蓋を形成した。薬剤揮散用植物体に送風装置の風(1.4リットル/秒)を当て、ガラスチャンバー内にアカイエカのメス17頭を放ち、一日間経過後、KT50、KT90の値を算出した。その結果を表3に示す。
実施例2において、害虫防除剤2をガラスチャンバーに入れ、5、7、10、11、14、20、25、31日後に、ガラスチャンバー内にアカイエカのメス17頭を放ち、KT50、KT90を算出した。なお、ガラスチャンバーは、25℃ドラフト内に保存した。結果を表4に示す(なお実施例2と同様に1日後のKT50、KT90も併せて示した)。
植物体として、ヨモギ、オオアレチノギクを用いた。1鉢あたりの植物体の質量は約100gであった。5号の鉢に、土壌として人工土壌(花ごころ社製、園芸の土)を200g入れ、該植物体を100g分植え、それを2鉢試験(1鉢当り植物体100gを2鉢使用)で使用した。以下、これをサンプルという。
次に処理液1〜4を調製した。処理液1〜4は、実施例1の液体担体の処方を用いたものであるが、表1の殺虫原体は、次のように設定した。
処理液1:メトフルトリン0.08g
処理液2:メトフルトリン0.06gおよびプロフルトリン0.04g
処理液3:メトフルトリン0.04gおよびプロフルトリン0.06g
処理液4:プロフルトリン0.1g
試験区1:処理液1をサンプルの葉と土に50ミリリットルをスプレーで散布し、一日放置する。
試験区2:処理液2をサンプルの葉と土に50ミリリットルをスプレーで散布し、一日放置する。
試験区3:処理液3をサンプルの葉と土に50ミリリットルをスプレーで散布し、一日放置する。
試験区4:処理液4をサンプルの葉と土に50ミリリットルをスプレーで散布し、一日放置する。
試験区5:処理液2をサンプルの土のみに50ミリリットルをスプレーで散布し、一日放置する。
試験区6:処理液1をサンプルの葉と土に50ミリリットルをスプレーで散布し、25日間放置する。
試験区7:試験区5の処理済サンプルに、さらに処理液2を土にのみ50ミリリットル(計100ミリリットル)スプレーで散布する。
植物体として、ヨモギ、オオアレチノギクを用いた。1本あたりの植物体の質量は約100gであった。図4(A)に示すように、5号の鉢に、土壌として人工土壌(花ごころ社製、園芸の土)を200g入れ、該植物体2本を根から植えた。
次に処理液を調製した。処理液は、実施例1の液体担体の処方を用いたものであるが、表1の殺虫原体は、メトフルトリン0.06gおよびプロフルトリン0.04gとした。図4(B)の点線部で示した部位に処理液50ミリリットルをスプレーで散布し、一日放置し、図4(C)に示すように、有効成分の揮散を防ぐために、ラップとアルミホイルで下部の植物体表面および鉢部分を覆い、植物体において薬剤が触れていない部分のみを露出させ、検体とした。
検体に送風装置の風(1.4リットル/秒)を当て、ガラスチャンバー内にアカイエカのメス17頭を放ち、KT50、KT90の値を算出した。結果を表6に示す。
実施例5と同じ植物体を用いた。図2に示すように、換気装置つきの12畳の部屋を仕切り、送風装置(174リットル/秒)、実施例5で作製した検体、人を配置した。ヒトスジシマカのメス50頭を図2の位置で放した。人の両手、両足にランディングした蚊の数をカウントした(服は着たまま)。コントロール(未処理の検体で試験)を基準(忌避率0%)にし、ヒトスジシマカの忌避率[忌避率(%)=(1−検体を設置した場合の蚊のランディング数/コントロールの蚊のランディング数)×100]を経過時間ごとに算出した。結果を表7に示す。
固体担体の調製
以下の表8に記載の処方10gを固体担体であるパーライト50gに含浸した。上記薬剤処理したパーライトを40℃で8時間乾燥させた後、50gを人工土壌(花ごころ社製、園芸の土)150gと混合した。当該固体担体を配合した人工土壌200gを5号の鉢に入れ、オオアレチノギク、ヨモギ(各2本、100g)を植え、水50ミリリットルを処理したものを検体とした。
液体担体4の調製
以下の表10に記載の処方にて、液体担体4(香料水溶液)を調製した。
表10に記載の処方のうち、香料を除いた処方で作製した溶液を用いて同様に植物体に散布したものをコントロールとした。
一日放置後、縦20cm×横20cm×高さ20cmのボックスに薬剤揮散用植物体4,5およびコントロールをそれぞれ置き、においを充満させた後、パネラー8人により、本発明の薬剤揮散用植物体4,5とコントロールとの香りの違いの有無を確認した。
Claims (12)
- 目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体に、植物体の少なくとも一部を接触させ、前記植物体から前記薬剤を揮散させるように構成した薬剤揮散用植物体であって、前記担体が、前記薬剤を溶解した液体であることを特徴とする薬剤揮散用植物体。
- 目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体に、植物体の少なくとも一部を接触させ、前記植物体から前記薬剤を揮散させるように構成した薬剤揮散用植物体であって、前記担体が固体であることを特徴とする薬剤揮散用植物体。
- 請求項1に記載の薬剤揮散用植物体を調製するために用いられる、目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる液体の担体。
- 請求項2に記載の薬剤揮散用植物体を調製するために用いられる、目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる固体の担体。
- 前記担体が前記薬剤の水溶液であることを特徴とする請求項3に記載の担体。
- 前記担体が天然または人工の土壌であることを特徴とする請求項4に記載の担体。
- 前記担体が肥料であることを特徴とする請求項3または4に記載の担体。
- 目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体に、植物体の少なくとも一部を接触させ、前記植物体から前記薬剤を揮散させるようにするとともに、前記担体が、前記薬剤の溶解した液体であることを特徴とする薬剤揮散用植物体の製造方法。
- 目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体に、植物体の少なくとも一部を接触させ、前記植物体から前記薬剤を揮散させるようにするとともに、前記担体が固体であることを特徴とする薬剤揮散用植物体の製造方法。
- 請求項1または2に記載の薬剤揮散用植物体を設置し、目的とする有効成分を含む薬剤を前記屋内に揮散させることを特徴とする薬剤の揮散方法。
- 目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体と、前記担体に少なくとも一部が接触している植物体と、を有する害虫防除剤であって、前記担体が、前記薬剤を溶解した液体であり、前記植物体から前記薬剤を揮散させるように構成したことを特徴とする害虫防除剤。
- 目的とする有効成分を含む薬剤を含有してなる担体と、前記担体に少なくとも一部が接触している植物体と、を有する害虫防除剤であって、前記担体が固体であり、前記植物体から前記薬剤を揮散させるように構成したことを特徴とする害虫防除剤。
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