JP2000139319A - 薬剤蒸散体 - Google Patents

薬剤蒸散体

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JP2000139319A
JP2000139319A JP10317492A JP31749298A JP2000139319A JP 2000139319 A JP2000139319 A JP 2000139319A JP 10317492 A JP10317492 A JP 10317492A JP 31749298 A JP31749298 A JP 31749298A JP 2000139319 A JP2000139319 A JP 2000139319A
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chemical
plant
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Atsuhiko Hattori
篤彦 服部
Masaaki Sugiura
正昭 杉浦
Hiroaki Inoue
裕章 井上
Satoshi Yamazaki
聡 山崎
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Fumakilla Ltd
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Fumakilla Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 殺虫、殺菌、殺ダニ、防虫、害虫忌避、芳
香、消臭等を目的として、常温において使用初期から長
期間に亘って有効成分を安定的かつ効率的に放出できる
と共に、室内インテリアとして用いても違和感のない意
匠性にも優れた薬剤蒸散体を提供する。 【解決手段】 蒸散性薬剤を保持材に含浸もしくは保持
させてなる薬剤蒸散体において、上記保持材として、乾
燥及び/又は薬剤処理により加工されてなる植物体、所
謂ドライフラワーを用いる。好適には、上記乾燥及び/
又は薬剤処理により加工されてなる植物体は、植物器官
の外部形態又はその一部を留め、かつ維管束系を有す
る。上記蒸散性薬剤としては、目的に応じて、20℃に
おける蒸気圧が1×10-6mmHg〜1×10-3mmH
gの種々の薬剤、例えば殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、防
虫剤、防カビ剤、防錆剤、消臭剤、害虫忌避剤、香料な
どの少なくとも1種を含む薬剤が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸散性薬剤を保持
材に含浸もしくは保持させ、常温において空気中に放出
する薬剤蒸散体に関し、さらに詳しくは、殺虫、殺菌、
殺ダニ、防虫、害虫忌避、芳香、消臭等を目的として、
薬剤有効成分を単独で又は溶剤や添加剤と共に速やかに
かつ長期間に亘って安定して放出できる薬剤蒸散体に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、殺虫や害虫忌避を目的とする製剤
としては、線香、電気蚊取りマット、電気蚊取り液など
が広く知られている。しかしながら、このような製品は
熱源を必要とするため、火災や火傷の危険性を伴い、ま
た電気加熱方式の場合、エネルギー消費、製品コストも
高くなる。そこで、熱源を必要とせずに簡便に殺虫、防
虫、消臭・芳香等を行なえる薬剤蒸散製品に対するニー
ズもかなり高い。このような薬剤蒸散方式は、保持材に
蒸散性薬剤を含浸もしくは保持させ、常温で自然に蒸散
させるタイプと、さらにファンなどを用いて強制的に蒸
散させるタイプに大別される。
【0003】前記自然蒸散方式のように、有効成分を加
熱装置等を使用することなく常温で蒸散させる場合、そ
の保持材は非常に広い蒸散面積が必要となり、一枚のシ
ートを用いた場合には実用化の上での大きな制約事項と
なる。これを解決するための手段としては、見掛けの大
きさを小さくし、有効成分の蒸散面積を大きくとること
ができる構造にすることが考えられる。例えば、特開平
9−289855号や特開平9−308421号に記載
のように、紙、布、樹脂等の材料から多数の貫通孔が並
行に列設したハニカム構造体とすることが知られてい
る。しかしながら、ハニカム構造の薬剤保持体の場合、
個々の孔の空間が小さく、空気の流れが抑制されるた
め、有効成分の蒸散が抑えられてしまい、目的とする効
果を充分に発揮させることができない。
【0004】そこで、従来、ファンによって薬剤保持体
に向けて送風して有効成分を蒸散させるファン方式が開
発されており、特開平5−68459号、特開平7−1
11850号、特開平8−147号、特開平8−131
044号、実開昭61−182273号に種々の態様の
ものが開示されている。例えば、特開平7−11185
0号公報には、積層ダンボールからなる保持材に殺虫・
防虫剤を含浸させ、これをファンの吸込口側に取り付
け、ファンで薬剤保持体の孔に送風して有効成分を蒸散
させる態様のファン式殺虫・防虫方法が開示されてい
る。
【0005】しかしながら、一般にファン方式の場合、
有効成分の蒸気圧と保持材の材質、厚み及びファンの出
力によって蒸散が左右され、様々な条件下において利用
可能な薬剤保持体を開発することが必要である。また、
ファンを使用しない場合には、前記したように有効成分
の蒸散が抑えられてしまい、目的とする効果を充分に発
揮させることができなくなることから、最適な薬剤保持
体の構造を開発することが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】常温蒸散式製剤の薬剤
保持体の構造として、二次元的構造の例としては前記し
たシート形状があり、また、三次元的構造の例としては
ハニカム状等のセル壁で構成された立体状構造体が挙げ
られる。これら薬剤保持体の解決すべき課題について述
べると、シート形状の課題としては、前述したとおり製
剤の占有面積が大きいことである。すなわち、シート形
状の場合には、薬剤の含浸・保持量に限度があるため、
ある程度の長期間に亘って有効成分を蒸散させるために
はかなりの大きさのものが必要になり、使用性に劣った
ものになる。また、保持材の材質が紙や不織布の場合に
は、充分な薬剤保持力が得られず、比較的短期間に有効
成分が蒸散してしまい、長期間に亘って安定して薬剤蒸
散を行なうことができないという問題がある。
【0007】一方、ハニカム構造体の課題は、シート製
剤と同じ条件で蒸散させたときの有効成分の蒸散が速や
かに行なわれず、また蒸散量がシート製剤に比べて低
く、目的とする効果が充分に得られないことである。こ
れはハニカム構造体が、空間を無数のセル壁で区切る構
造であるため、一つ一つの空間が小さくなり、空気の流
れが抑制されることで、有効成分の蒸散が抑えられるた
めであると考えられ、蒸散面積の割には充分な薬剤蒸散
が行なわれない。
【0008】従って、本発明の基本的な目的は、薬剤保
持力に優れると共に、有効成分を常温で速やかにかつ長
期間に亘って効率よく放出できる蒸散性薬剤の保持材を
開発することにある。さらに本発明のより具体的な目的
は、殺虫、殺菌、殺ダニ、防虫、害虫忌避、芳香、消臭
等を目的として、常温において使用初期から長期間に亘
って有効成分を安定的かつ効率的に放出できると共に、
室内インテリアとして用いても違和感のない意匠性にも
優れた薬剤蒸散体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、蒸散性薬剤を保持材に含浸もしく
は保持させてなる薬剤蒸散体において、上記保持材とし
て、乾燥及び/又は薬剤処理により加工されてなる植物
体を用いることを特徴とする薬剤蒸散体が提供される。
好適な態様においては、上記乾燥及び/又は薬剤処理に
より加工されてなる植物体は、植物器官の外部形態又は
その一部を留め、かつ維管束系を有する。上記蒸散性薬
剤としては、目的に応じて、20℃における蒸気圧が1
×10-6mmHg〜1×10-3mmHgの種々の薬剤、
例えば殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、防虫剤、防カビ剤、
防錆剤、消臭剤、害虫忌避剤、香料などの少なくとも1
種を含む薬剤が用いられる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは、従来の不織布や紙
などの人工的に作られた常温蒸散性薬剤の保持材は、蒸
散面積の割には充分な薬剤蒸散が行なわれず、かつ薬剤
保持力の関係から多くの薬剤ロスが生じ、安定した薬剤
蒸散効果が得られ難いという知見を既に得ていたが、熱
源や送風などの補助的機構を用いること無しに、この問
題点を解決できる蒸散性薬剤の保持材について鋭意検討
した結果、特定の構造と機能を持つ細胞の集まりである
植物の蒸散機構及び物質の保持、転流そしてその通気性
に着目し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】すなわち、本発明は、乾燥及び/又は薬剤
処理により加工された植物体、所謂ドライフラワーを、
常温蒸散性薬剤の保持材として利用することを特徴とし
ている。このようなドライフラワーは、従来保持材とし
て用いられている紙、不織布等の材質に比べて薬剤保持
力及び薬剤蒸散性の両方に優れており、蒸散面積が小さ
いにも拘らず、充分な薬剤量を長期に亘って均一に蒸散
することができる。従って、このような優れた性質を有
するドライフラワーを保持材として用いた本発明の薬剤
蒸散体は、含浸もしくは保持させる薬剤に応じて、蚊を
始めとする種々の害虫の駆除効果や忌避効果、消臭・芳
香効果などを、使用初期から終期に至るまで長期間に亘
って安定して発揮することができる。また、ドライフラ
ワーであるため、インテリア商品(屋内装飾品)として
の意匠性も高く、高付加価値の製品とすることができる
ことも特徴の一つである。なお、ファン等の送風手段や
加熱手段などの補助的機構を併せて設け、強制的に薬剤
有効成分を蒸散させる態様とすることもでき、その場
合、蒸散面積をより小さくし、小型化することも可能で
ある。
【0012】本発明の薬剤蒸散体は、乾燥及び/又は薬
剤処理により加工されてなる植物体の組織に蒸散性薬剤
を含浸もしくは保持させたことを基本的特徴としている
が、インテリア商品としての付加価値を付与するために
は、上記加工植物体が植物器官(根、茎、葉、花、果
実)の外部形態又はその一部を留め、かつ維管束系を有
することが重要である。ここで、植物器官の外部形態と
は、葉の場合、葉身、葉柄、托葉、葉脈、水中葉、浮
葉、捕虫葉を指し、茎の場合には地上茎、地下茎、葉状
茎、とげ、巻きひげ、鱗茎、塊茎、球茎、根茎を、根の
場合には主根、支根、根毛、根冠、不定根、地上根、水
中根、貯蔵根、呼吸根、寄生根、気根を、花の場合には
めしべ、おしべ、花弁、がく、花托、花柄を、果実の場
合には果皮、種子を指す。
【0013】常温蒸散性薬剤の保持材として前記したよ
うな加工植物体を利用することの利点は、その構造及び
機能にある。植物の構造は、ザックスの分類に従って、
表皮系、基本組織系、維管束系の3つに分けられる。表
皮系は植物体を包み、蒸散を防ぎ、気孔からのガス交
換、根毛からの水、養分の吸収を、基本的組織系は光合
成や呼吸といった基本的な機能を営み、維管束系は根か
ら葉へ水や養分を移動させたり、光合成産物などの栄養
分を上下方向に転流するという機能を果たしていると考
えられている。その中でも、植物全体に水や光合成産物
などを運ぶ維管束系は、根から葉へと道管、篩管などの
管が細かく通り、根の先から葉の先端まで隅々に水や栄
養分を運んでいる。こうした流れの原動力になっている
ものとして浸透、毛細管現象そして圧が考えられてい
る。
【0014】道管は、根が取り込んだ水を植物体の隅々
まで運ぶ役割を果たしているが、そのうち約99%は葉
から大気中に蒸散する。葉には導管を通ってきた水分を
蒸散する機能があり、葉の道管から出た水は葉の細胞壁
の間を通って気孔から蒸散される。この場合、クチクラ
層を形成する表皮と気孔周辺の口辺細胞の働きが水蒸発
の抵抗となっている。一方、養分の通路となる篩管で
は、上下の隔壁には篩(ふるい)のような多くの小孔
(直径1〜15μm)があいている。この孔を通して植
物細胞は養分を得ている。
【0015】こうした一連の植物の働きから、乾燥及び
/又は薬剤処理などで水分及び養分を抜き取った、表皮
系、基本組織系、維管束系の組織からなる、栄養器官の
葉、茎、根、そして生殖器官である花、果実の諸器官を
蒸散性薬剤の保持材として利用することで、速やかな薬
剤浸透性と安定した薬剤の蒸散が可能となった。さら
に、薬剤処理によって、維管束系の組織を露出させるこ
とによってさらに効率よく薬剤を蒸散させることが可能
となった。また、加工植物体を用いることで屋内の装飾
品としても使用可能となった。
【0016】本発明において用いられる加工植物体の形
状は特に限定されず、薬剤の蒸散部分に全体でも、ある
いはその一部でも、加工植物体を利用してさえいればよ
い。その加工植物体は、植物の花、茎、葉を乾燥及び/
又は薬剤処理によって加工したものであり、ドライフラ
ワー、押し花、あるいはまた、薬剤により基本組織系、
表皮系の一部を分解除去し、外部形態を留めた葉脈、地
上茎、主根、支根、根毛等である。ドライフラワーは、
花だけでなく、茎、葉、果実などが乾燥したもの又は乾
燥させたものを指す。こうした加工植物体の作成方法を
以下に示すが、特に以下の方法に限定されるものではな
い。
【0017】まず、乾燥法によるドライフラワーの作り
方としては、自然乾燥法、乾燥剤による方法、及び加熱
乾燥法がある。 (1)自然乾燥法 (a)陰干し 植物を、直射日光が当たらず、しかも乾燥した場所に逆
さにして吊す。スターチス類、アリウム、ローダンセ、
ベニバナなどに適する。あるいは、植物を風通しのよい
乾燥した棚の上などに平らにねかせて乾燥させる。トウ
モロコシ、マツかさなどの果実類に適する。 (b)加圧乾燥 植物をすばやく吸い取り紙又はティッシュペーパーの間
に間隔をとり平均に並べ、二つ折りの新聞紙か電話帳に
はさみ、重石をのせる。水分がなくなるまで、新聞紙を
毎日取り替える。重石をのせることによって、脱水を促
し、同時に縮みを防ぐ。長く置くほど、光にさらされて
も色が褪せにくい。バラ、スミレ類などに適する。 (c)少量の水に挿したまま乾燥させる。 ビンの中に水を2〜3cm入れ、植物を垂直に立てる。
花が充分開花した状態で乾燥するので、美しく仕上が
る。カスピア、宿根カスミソウ、アジサイなどに適す
る。
【0018】(2)乾燥剤による方法 水分の多いものに適し、鮮明な色を残したまま乾燥が可
能である。バラ、カーネーション、ヒマワリなどに適す
る。 (a)シリカゲル 80〜100メッシュの粒子の細かいものが適し、その
重さの50%まで水分を吸収する能力をもつ。早いもの
で3日、水分の多いもので1週間から10日でできあが
る。 (b)ホウ砂、ミョウバン 一番軽い乾燥剤なので、デリケートな花の乾燥に適す
る。ホウ砂はくっつき易いので、ミョウバン又は砂と混
ぜ合わせて使うと良い。ホウ砂1重量部に対して砂又は
ミョウバン2重量部の割合が最適である。 (c)砂 最も古い方法として何世紀も前から使われてきたが、現
在、日本ではあまり使われていない。約7kgの砂に対
して重曹を小さじ1杯加えると色がよく出る。砂は使用
前によく洗い、乾燥させてから使う。 (d)その他 他に乾燥剤としてセカード、パーライト、石灰などが用
いられる。また、密閉容器内に植物と乾燥剤を非接触状
態で収容し、乾燥させる方法も採用できる。
【0019】(3)加熱乾燥法 植物の葉などをアイロン熱と圧力で瞬間的に処理する方
法や、熱風乾燥法、マイクロウェーブ波による電子レン
ジ乾燥法などがある。
【0020】薬剤処理によるドライフラワーの作り方と
しては、グリセリン溶液による方法がある。この方法
は、植物にグリセリンを吸収させ、植物体中の水分をグ
リセリンと入れ替えることでその植物形態を保つ方法で
あり、しなやかで艶のある状態に仕上がる。グリセリン
は吸湿性があるので、空気中の水分を吸収し、植物は枯
れることなく柔らかい状態に保たれる。 (4)グリセリン溶液による方法 (a)吸い上げ法 グリセリン1容量部に対して熱湯2容量部の割合で注
ぎ、よくかき混ぜる。植物に液が浸透し易いように、切
り口を割ったり、たたいたりした枝をその溶液の中に挿
す。1週間から3ヵ月位で仕上がる。グリセリン溶液を
脱脂綿にふくませ、葉をふきあげると効果が早くなる。 (b)浸漬法 葉を枝から1枚ずつはずし、グリセリン1容量部に対し
て熱湯2容量部の割合で入れた溶液に浸す。日当たりの
よい場所に置き、葉の色が変化してきたら容器から取り
出し、ティッシュペーパーでよく拭き取り、新聞紙の間
に挟んでおく。
【0021】(5)植物の薬剤処理による他の加工例と
しては、以下のようなものが挙げられる。 (a)色素の除去 植物を70%メタノールに漬け、湯煎(60〜70℃)
で色素を除去する。 (b)葉脈加工(葉肉組織の除去) 10%水酸化ナトリウム液に葉を入れ、30〜40分煮
た後、流水で洗浄後、葉肉を比較的硬い毛足のブラシを
使って剥ぎ取り、葉脈のみを残した状態にする。 (c)仮道管、木部繊維の茎細胞の分解 濃硝酸50mlに対して塩素酸カリウムを1gの割合で
溶かした液に茎を入れる。その他に、植物体を乾燥させ
た、干し椎茸、昆布、ワカメなども利用することが可能
である。
【0022】本発明において用いられる常温揮散性の薬
剤としては、従来からの害虫駆除剤(殺虫剤、刹ダニ
剤)、殺菌剤、忌避剤、芳香剤(香水、ハーブなど)、
医薬品(メントール、ユーカリオイル等、気管、風邪等
の吸入用薬剤)等の目的で使用されている各種の薬剤
を、目的に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用
できる。通常、20℃における蒸気圧が1.0×10-6
〜1.0×10-3mmHgの範囲内にある薬剤が用いら
れ、その中でも、20℃における蒸気圧が1.0×10
-4mmHg以上の化合物が好ましい。
【0023】例えば殺虫を目的として使用する場合、従
来より用いられている各種蒸散性殺虫剤を用いることが
でき、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、
有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に安全
性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いら
れており、それらの具体例として以下のものが例示でき
る。 ・一般名;化学名(商品名、メーカー) *アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オ
キソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−
クリサンテマート(ピナミン、住友化学工業(株)) *dl・d−T80−アレスリン;dl−3−アリル−
2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−
シス/トランス−クリサンテマート(ピナミンフォル
テ、住友化学工業(株)) *dl・d−T−アレスリン;dl−3−アリル−2−
メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トラ
ンス−クリサンテマート(バイオアレスリン) *d・d−T−アレスリン;d−3−アリル−2−メチ
ル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス
−クリサンテマート(エスビオール) *d・d−T80−プラレトリン;(+)−2−メチル
−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペ
ンテニル (+)−シス/トランス−クリサンテマート
(エトック、住友化学工業(株)) *フタルスリン;N−(3,4,5,6−テトラヒドロ
フタリミド)−メチルdl−シス/トランス−クリサン
テマート(ネオピナミン、住友化学工業(株)) *dl・d−T80−フタルスリン;(1,3,4,
5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イ
ンドリル)メチル dl−シス/トランス−クリサンテ
マート(ネオピナミンフォルテ、住友化学工業(株)) *レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル d
l−シス/トランス−クリサンテマート(クリスロン、
住友化学工業(株)) *dl・d−T80−レスメトリン;5−ベンジル−3
−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマー
ト(クリスロンフォルテ、住友化学工業(株)) *フラメトリン;5−プロパギル−2−フリルメチル
d−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミンD、
住友化学工業(株)) *ペルメトリン;3−フェノキシベンジル dl−シス
/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2
−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(エ
クスミン、住友化学工業(株)) *フェノトリン;3−フェノキシベンジル d−シス/
トランス−クリサンテマート(スミスリン、住友化学工
業(株)) *フェンバレレート;α−シアノ−3−フェノキシベン
ジル−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレ
ート(スミサイジン、住友化学工業(株)) *シペルメトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジ
ル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビ
ニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラ
ート(アグロスリン、住友化学工業(株)) *シフェノトリン;(±)α−シアノ−3−フェノキシ
ベンジル (+)−シス/トランス−クリサンテマート
(ゴキラート、住友化学工業(株)) *エンペントリン;1−エチニル−2−メチル−2−ペ
ンテニル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジメ
チルビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパン
カルボキシラート(ベーパースリン、住友化学工業
(株)) *テラレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−
オキソ−2−シクロペンテニル−dl−シス/トランス
−2,2,3,3−テトラメチル−シクロプロパンカル
ボキシラート(ノックスリン、住友化学工業(株)) *イミプロスリン;2,4−ジオキソ−1−(プロプ−
2−イニル)−イミダゾリジン−3−イルメチル(1
R)−シス/トランス−クリサンテマート(プラール、
住友化学工業(株)) *エトフェンプロックス;2−(4−エトキシフェニ
ル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエ
ーテル(トレボン) *フェンプロパトリン;α−シアノ−3−フェノキシベ
ンジル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチ
ルシクロプロパンカルボキシラート *フェンフルスリン;2,3,4,5,6−ペンタフル
オロベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−
ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロ
パンカルボキシラート *トランスフルスリン;d−トランス−2,3,5,6
−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビ
ニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボ
キシラート *1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル シス/
トランス−2,2,3,3−テトラメチル−1−シクロ
プロパンカルボキシラート
【0024】有機リン系殺虫剤の具体例としては、以下
のものが挙げられる。 *ダイアジノン;(2−イソプロピル−4−メチルピリ
ミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(ダイアジノ
ン) *フェニトロチオン、MEP;O,O−ジメチル−O−
(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート
(スミチオン) *ピリダフェンチオン;O,O−ジメチル−O−(3−
オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)
ホスホロチオエート(オフナック) *マラチオン;ジメチルジカルベトキシエチルジチオホ
スフェート(マラソン) *ディプテレックス;O,O−ジメチル−2,2,2−
トリクロロ−1−ハイドロオキシエチル ホスホネイト *クロルピリホス;O,O−ジエチル−O−(3,5,
6−トリクロル−2−ピリジル)−ホスホロチオエート *フェンチオン;O,O−ジエチル−O−(3−メチル
−4−メチルチオフェニル)−ホスホロチオエート(バ
イテックス) *ジクロルボス;O,O−ジメチル−2,2−ジクロロ
ビニルホスフェート(DDVP) *プロペタンホス;O−[(E)−2−イソプロポキシ
カルボニル−1−メチルビニル]−O−メチルエチルホ
スホラミドチオエート(サフロチン) *アベイト;O,O,O′,O′−テトラメチル−O,
O′−チオジ−P−フェニレン ホスホロチオエート *プロチオホス;ジチオリン酸O−2,4−ジクロロフ
ェニル O−エチルS−プロピルエステル(トヨチオ
ン) *ホキシム;O,O−ジエチル−O−(α−シアノベン
ジリデンアミノ)チオホスフェート
【0025】クロロニコチン系殺虫剤の具体例として
は、以下のものが挙げられる。 *イミダクロプリド;1−(6−クロロ−3−ピリジル
メチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンア
ミン(ハチクサン) *アセタミプロリド;(E)−N1−[(6−クロロ−
3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルア
セトンアミジン(モスピラン)
【0026】害虫成長制御剤の具体例としては、以下の
ものが挙げられる。 *ピリプロキシフェン;2−[1−メチル−2−(4−
フェノキシフェノキシ)エトキシ]ピリジン(スミラ
ブ) *メトプレン;11−メトキシ−3,7,11−トリメ
チル−2,4−ドデカジエノイックアシド−1−メチル
エチルエステル *ジフルベンズロン;1−(4−クロロフェニル)−3
−(2,6−ジフロロベンゾイル)ウレア *シロマジン;2−シクロプロピルアミノ−4,6−ジ
アミノ−s−トリアジンオキサジアゾール *メトキサジアゾン;5−メトキシ−3−(2−メトキ
シフェニル)−O−1,3,4−オキサジアゾール−2
(3H)−オン(エレミック)
【0027】また、その使用目的に応じて、殺菌剤、刹
ダニ剤、防虫剤、防カビ剤、防錆剤、消臭剤、忌避剤、
香料等、従来から用いられている蒸散性薬剤も使用で
き、例えば殺菌剤の具体例としては以下のものが挙げら
れる。 *トリフルミゾール;(E)−4−クロロ−α,α,α
−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−
2−プロポキシエチリデン−O−トルイジン) *ヘキサコナゾール;(R,S)−2−(2,4−ジク
ロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾー
ル−1−イル)ヘキサン−2−オール(アンピル) *硫黄(S) *TPN;テトラクロロイソフタロニトリル(ダコニー
ル) *カルベンダゾール;2−(メトキシカルボニルアミ
ノ)ベンゾイミダゾール(MBC) *チオファメートメチル;1,2−ビス(3−メトキシ
カルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン(トップジン
M) *プロシミドン;N−(3,5−ジクロロフェニル)−
12−ジメチルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシ
ミド(スミレックス) *ミクロブタニル;2−P−クロロフェニル−2−(1
H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ヘキ
サンニトリル(ラリー) *イソプロチオラン;ジイソプロピル−1,3−ジチオ
ラン−2−イソデン−マロネート(フジワン)
【0028】さらに、殺菌・防カビ剤としては、o−フ
ェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、2
−クロロ−4−フェニルフェノール、チモール等、香料
としては、天然及び人工の各種香料を使用でき、例えば
動物性、植物性の天然香料、あるいは炭化水素、アルコ
ール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ラクトン、オ
キシド、エステル類等の人工香料などが挙げられる。
【0029】忌避例の具体例としては、以下のようなも
のが挙げられる。 *N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート) *ジメチルフタレート *ジブチルフタレート *2−エチル−1,3−ヘキサンジオール *ジ−n−プロピル イソシンコメロネート *p−ジクロロベンゼン *ジ−n−ブチルサクシネート *カラン−3,4−ジオール *1−メチルプロピル−2−(2−ヒドロキシエチル)
−1−ピペリジンカルボキシラート
【0030】さらに、下記のような共力剤を他の薬剤と
混合して使用できる。 *ブチルカービトル 6−プロピル−ピペロニル エー
テル(商品名ピペロニルブトキサイド) *オクタクロロジプロピルエーテル(商品名S−42
1) *イソボルニルチオシアナアセテート(商品名IBT
A) *N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商
品名サイネピリン222) (2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチ
ルビシクロ(2,2,2)オクト−5−エン−2,3−
ジカルボキシイミド(商品名サイネピリン500)
【0031】保持材に対する蒸散性薬剤の塗布方法は特
に限定されるものではないが、滴下塗布、含浸塗布、ス
プレー塗布などの液状塗布方法、液状印刷、はけ塗り等
の方法、あるいは薬剤が固体の場合には保持材表面に接
着剤等で貼り付ける方法などを採用できる。また、蒸散
性薬剤を液体用ボトルに収納し、薬剤保持材の一部を薬
液中に浸漬して薬液を吸液させ、蒸散部へ供給すること
も可能である。
【0032】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して本発明につ
いて具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定さ
れるものではない。
【0033】実施例1 ホオノキ(Magnolia obovata Thunb.)の葉(約300
cm2)を10%水酸化ナトリウム液に入れ、30〜4
0分煮た。これを流水で充分洗った後、ブラシで葉肉細
胞を落とした。その後、薄いサラシ粉に一昼夜漬けて漂
白し、新聞紙に挟んで乾燥したものを薬剤保持材として
用いた。得られた薬剤保持材に、1枚(約300c
2)当りテラレスリンの1%(W/V)ヘキサン溶液
10mlを塗布含浸し一昼夜風乾させたものを薬剤蒸散
体(害虫防除剤)とした。(有効成分量100mg)
【0034】実施例2 前記実施例1と同じ加工によって得られた薬剤保持材
に、1枚(約300cm 2)当りd,d−T−アレスリ
ンの1%(W/V)ヘキサン溶液10mlを塗布含浸し
一昼夜風乾させたものを薬剤蒸散体(害虫防除剤)とし
た。(有効成分量100mg)
【0035】実施例3 実施例1と同じ加工によって得られた薬剤保持材に、1
枚(約300cm2)当りdl,d−T80−アレスリ
ンの1%(W/V)ヘキサン溶液10mlを塗布含浸し
一昼夜風乾させたものを薬剤蒸散体(害虫防除剤)とし
た。(有効成分量100mg)
【0036】実施例4 実施例1と同じ加工によって得られた薬剤保持材に、1
枚(約300cm2)当りd,d−T80−プラレトリ
ンの1%(W/V)ヘキサン溶液10mlを塗布含浸し
一昼夜風乾させたものを薬剤蒸散体(害虫防除剤)とし
た。(有効成分量100mg)
【0037】実施例5 実施例1と同じ加工によって得られた薬剤保持材に、1
枚(約300cm2)当りエムペントリンの1%(W/
V)ヘキサン溶液10mlを塗布含浸し一昼夜風乾させ
たものを薬剤蒸散体(害虫防除剤)とした。(有効成分
量100mg)
【0038】実施例6 実施例1と同じ加工によって得られた薬剤保持材に、1
枚(約300cm2)当りトランスフルスリンの1%
(W/V)ヘキサン溶液10mlを塗布含浸し一昼夜風
乾させたものを薬剤蒸散体(害虫防除剤)とした。(有
効成分量100mg)
【0039】実施例7 シダ植物であるゼンマイ(Osmunda japonica Thunb.)
の根を取り除いた、茎、葉の部分から成る植物体(約7
0cm)を、シリカゲルを敷き詰めた密閉容器に入れ、
さらにその上からシリカゲルを入れ、埋めるようにし
た。その後、密閉して5日間放置して得られたものを、
薬剤保持材とした。得られた薬剤保持材に、n−パラフ
ィンに溶解させたテラレスリンを耐圧容器に収納し、L
PGガスを噴射剤として用いたもので均等に、テラレス
リン量が100mg/1本となるように噴霧塗布し、一
昼夜風乾させた。
【0040】実施例8 カスミソウ(Lamiumm aplexicaule L.)を輪ゴムなどで
束ね、日の当たらない窓辺に逆さまにして吊り下げて、
2週間自然乾燥させたものを薬剤保持材とした。得られ
た薬剤保持材に、n−パラフィンに溶解させたテラレン
リンを耐圧容器に収納し、LPGガスを噴射剤として用
いたもので均等に、テラレスリン量が100mg/1本
となるように噴霧塗布し、一昼夜風乾させた。
【0041】実施例9 セイヨウバラ(Rosa hybrida Hort.)をがくから1cm
のところで茎を切った。密閉容器に、ドライフラワー用
シリカゲルを3分の1の高さまで敷き詰め、その上から
形を崩さないように花を置き、置いた花の隙間から、花
の外側を固定させるようにドライフラワー用シリカゲル
を注ぎ入れ、花弁の隙間にシリカゲルが入るようにし、
最後には完全に埋るようにした。その後、密閉して7日
間放置して得られたものを、薬剤保持材とした。得られ
た薬剤保持材に、n−パラフィンに溶解させたテラレン
リンを耐圧容器に収納し、LPGガスを噴射剤として用
いたもので均等に、1花弁当たりテラレスリン量が50
mgとなるように噴霧塗布し、一昼夜風乾させた。
【0042】比較例1 20×15cmのポリプロピレン不織布(出光石油化学
工業(株)製RW2100、目付け100g/m2)に
テラレスリンの1%(W/V)ヘキサン溶液10mlを
塗布含浸し、一昼夜風乾させた。(有効成分量100m
g)
【0043】比較例2 25×20cmのポリプロピレン不織布(出光石油化学
工業(株)製RW2100、目付け100g/m2)に
テラレスリンの0.5%(W/V)ヘキサン溶液20m
lを塗布含浸し、一昼夜風乾させた。(有効成分量10
0mg)
【0044】比較例3 50×40cmのポリプロピレン不織布(出光石油化学
工業(株)製RW2100、目付け100g/m2)に
テラレスリンの1%(W/V)ヘキサン溶液100ml
を塗布含浸し、一昼夜風乾させた。(有効成分量100
0mg)
【0045】比較例4 80×50cmのポリプロピレン不織布(出光石油化学
工業(株)製RW2100、目付け100g/m2)に
テラレスリンの0.5%(W/V)ヘキサン溶液200
mlを塗布含浸し、一昼夜風乾させた。(有効成分量1
000mg)
【0046】比較例5 100×65cmのポリプロピレン不織布(出光石油化
学工業(株)製RW2100、目付け100g/m2
にテラレスリンの0.25%(W/V)ヘキサン溶液4
00mlを塗布含浸し、一昼夜風乾させた。(有効成分
量1000mg)
【0047】試験方法1:小空間における効力試験 ステンレス製の1m3(1m×1m×高さ1m)チャン
バー試験装置内にて室温25℃の条件下で試験を行っ
た。アカイエカ(Culex pipiens pallens)の雌成虫1
0匹を入れた16メッシュのナイロン網の三角ネット
(20×20×高さ16.4cm)を部屋の4隅に吊る
した後、前記各実施例で得られた薬剤蒸散体(害虫防除
剤)をそれぞれ花瓶に挿して設置し、薬剤を自然蒸散さ
せた。曝露からの時間経過に伴うノックダウン数を室外
から観察し、ブリス(Bliss)のプロビット(Pr
obit)法によりKT50を算出した。また、各比較例
で得られたものは、チャンバー試験装置内上部にあるフ
ックに吊り下げた状態で、同様に試験を行なった。各試
験において、第1日目の効力調査終了後、供試剤は25
℃の恒温室で自然蒸散させ続け、所定日数経過後に同様
な試験を繰り返し、その時点における効力を調査した。
試験結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】試験方法2:8畳(33m3)における効
力試験 33m3(3.65m×3.65m×高さ2.5m)の
試験室中央に、前記各実施例で得られた下記表2に示す
本数の薬剤蒸散体を花瓶に挿して設置し、薬剤を3時間
自然蒸散させた。その後、アカイエカ(Culex pipiens
pallens)の雌成虫10匹を入れた16メッシュのナイ
ロン網の三角ネット(20×20×高さ16.4cm)
を部屋の4隅(壁面から90×90cm)の地上150
cmの位置に吊るし、薬剤の雰囲気に曝露した。曝露か
らの時間経過に伴うノックダウン数を室内から観察し、
ブリスのプロビット法によりKT50を算出した。また、
比較例3〜5の薬剤蒸散体は試験室中央にあるフックに
吊り下げた状態で、同様に試験を行なった。各試験にお
いて、第1日目の効力調査終了後、供試剤は25℃の恒
温室で自然蒸散させ続け、所定日数経過後に同様な試験
を繰り返し、その時点における効力を調査した。試験結
果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】試験方法3:開放空間における忌避試験 屋外において、下記表3に示す本数の薬剤蒸散体を挿し
た花瓶をそれぞれ人から2m離れた位置に設置し、経時
的な蚊の飛来数を観察した。また、本発明品以外にポリ
プロピレン不織布を薬剤保持材としたもの(比較例3)
についても同様に試験を行なった。各試験において、第
1日目の効力調査終了後、供試剤は25℃の恒温室で自
然蒸散させ続け、所定日数経過後に同様な試験を繰り返
し、その時点における効力を調査した。試験結果を表3
に示す。
【0052】
【表3】 前記表1〜3に示す試験結果から明らかなように、蒸散
性薬剤を植物体の組織に保持させた本発明に係る害虫防
除剤は、不織布に蒸散性薬剤を保持させたものより、優
れたノックダウン効力、忌避効力、及び効力の持続性が
確認された。
【0053】実施例10 実施例1と同じ加工によって得られた薬剤保持材を10
×10cmに切り、テラレスリンの1%(W/V)ヘキ
サン溶液5mlを塗布含浸し、一昼夜風乾させたものを
薬剤蒸散体(害虫防除剤)とした。こうして得られた薬
剤蒸散体Aを、図1に示すような送風装置1の前面に取
り付けた。図1は送風装置1の概略構成を示し、枠体2
の後側に軸流ファン3を備えており、この軸流ファン3
はモータ4により回転される。符号5はモータ駆動用の
AC電源である。
【0054】試験方法4:8畳(33m3)における送
風蒸散による効力試験 33m3(3.65m×3.65m×高さ2.5m)の
25℃に設定した無風恒温室に、上記実施例10で得ら
れた薬剤蒸散体Aを取り付けた送風装置1を試験室中央
床面に設置し、通電して送風を開始し、1時間蒸散させ
た。その後、アカイエカ(Culex pipiens pallens)の
雌成虫10匹をいれた16メッシュのナイロン網の三角
ネット(20×20×高さ16.4cm)を部屋の4隅
(壁面から90×90cm)の地上150cmの位置に
吊るし、薬剤の雰囲気に曝露した。曝露からの時間経過
に伴うノックダウン数を室内で観察し、ブリスのプロビ
ット法によりKT50を算出した。この試験において、1
時間後の効力調査終了後、薬剤蒸散体に対する送風はそ
のまま続け、蒸散開始から3、6、9及び12時間後の
経時的な効力を調査した。その結果を表4に示す。
【0055】
【表4】 上記表4に示されるように、本発明の薬剤蒸散体(害虫
防除剤)は、送風蒸散によっても比較的長時間に亘って
安定して高い害虫駆除効果を発揮した。
【0056】実施例11 実施例1と同じ加工によって得られた薬剤保持材を1
2.5×8cmに切り、テラレスリンの1%(W/V)
ヘキサン溶液5mlを塗布含浸し、一昼夜風乾させたも
のを薬剤蒸散体(害虫防除剤)とした。こうして得られ
た薬剤蒸散体を、使い捨てカイロ(13.5×9.5c
m;最高温度58℃)にセロハンテープで4隅を接着し
て加熱蒸散型の供試剤を作製した。
【0057】試験方法5:加熱蒸散による効力試験 図2に示すように、各々内径20cmの下部ステンレス
製シリンダー11(高さ10cm)と上部のガラスシリ
ンダー12(高さ33cm)を接合した燻蒸試験装置1
0を用いて試験を行った。装置中に供試虫(アカイエ
カ)を約15匹放した後、あらかじめ装置外で30分発
熱させた実施例11の供試剤Bを装置底面に入れ、ガラ
スプレート13で蓋をし、10秒燻蒸し、燻蒸開始から
の時間経過に伴うノックダウン虫数を観察し、ブリスの
プロビット法によりKT50を算出した。この試験におい
て、1時間後の効力調査後、供試剤の加熱はそのまま続
け、所定時間経過後に同様の試験を実施した。その結果
を表5に示す。
【0058】
【表5】 上記表5に示されるように、本発明の薬剤蒸散体(害虫
防除剤)は、加熱蒸散によっても比較的長時間に亘って
安定して極めて高い害虫駆除効果を発揮した。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明の薬剤蒸散体は、
蒸散性薬剤の保持材として、乾燥及び/又は薬剤処理に
より加工された植物体を用いているため、薬剤保持力及
び薬剤蒸散性の両方に優れており、蒸散面積が小さいに
も拘らず、充分な薬剤量を長期に亘って均一に蒸散する
ことができる。従って、本発明の薬剤蒸散体は、含浸も
しくは保持させる薬剤に応じて、蚊を始めとする種々の
害虫の駆除効果や忌避効果、消臭・芳香効果などを使用
初期から終期に至るまで長期間に亘って安定して発揮す
ることができる。また、インテリア商品(屋内装飾品)
としての意匠性も高く、高付加価値の製品とすることが
できる。さらに本発明の薬剤蒸散体は、自然蒸散だけで
なく、送風蒸散や加熱蒸散にも適用できる。その場合、
保持される蒸散性薬剤の蒸散効率が高くなり、高い害虫
駆除効果や忌避効果、消臭・芳香効果を比較的長時間に
亘って安定して発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験方法4に用いた送風装置の概略構成図であ
る。
【図2】試験方法5に用いたシリンダー燻蒸試験装置の
概略構成図である。
【符号の説明】
1 送風装置 3 軸流ファン 4 モータ 10 燻蒸試験装置 A 薬剤蒸散体 B 使い捨てカイロに薬剤蒸散体を貼着した供試剤
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年11月25日(1998.11.
25)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】害虫成長制御剤の具体例としては、以下の
ものが挙げられる。 *ピリプロキシフェン;2−[1−メチル−2−(4−
フェノキシフェノキシ)エトキシ]ピリジン(スミラ
ブ) *メトプレン;11−メトキシ−3,7,11−トリメ
チル−2,4−ドデカジエノイックアシド−1−メチル
エチルエステル *ジフルベンズロン;1−(4−クロロフェニル)−3
−(2,6−ジフロロベンゾイル)ウレア *シロマジン;2−シクロプロピルアミノ−4,6−ジ
アミノ−s−トリアジンオキサジアゾール系殺虫剤としては次のものが挙げられ
る。 *メトキサジアゾン;5−メトキシ−3−(2−メトキ
シフェニル)−O−1,3,4−オキサジアゾール−2
(3H)−オン(エレミック)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 25/18 103 A01N 25/18 103 53/02 53/00 502C 53/14 502A 512 Fターム(参考) 2B121 AA12 CA02 CA08 CA43 CA45 CA48 CA51 CA53 CC02 CC03 CC04 CC22 CC25 FA08 4H011 AC01 AC04 AC05 AC06 BA01 BB15 BC22 DB04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸散性薬剤を保持材に含浸もしくは保持
    させてなる薬剤蒸散体において、上記保持材として、乾
    燥及び/又は薬剤処理により加工されてなる植物体を用
    いることを特徴とする薬剤蒸散体。
  2. 【請求項2】 前記乾燥及び/又は薬剤処理により加工
    されてなる植物体が、植物器官の外部形態又はその一部
    を留め、かつ維管束系を有することを特徴とする請求項
    1に記載の薬剤蒸散体。
  3. 【請求項3】 前記蒸散性薬剤が、20℃における蒸気
    圧が1×10-6mmHg〜1×10-3mmHgの薬剤で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤蒸散
    体。
  4. 【請求項4】 前記蒸散性薬剤が、殺虫剤、殺菌剤、殺
    ダニ剤、防虫剤、防カビ剤、防錆剤、消臭剤、害虫忌避
    剤及び香料よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含
    む薬剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    か一項に記載の薬剤蒸散体。
  5. 【請求項5】 前記蒸散性薬剤がピレスロイド系殺虫剤
    であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項
    に記載の薬剤蒸散体。
  6. 【請求項6】 前記保持材に蒸散性薬剤を直接塗布し及
    び/又は保持材の一部を薬液中に浸漬して薬液を吸液せ
    しめたものであり、自然蒸散、送風蒸散及び加熱蒸散の
    少なくとも1つの方法により薬剤を空気中に放出するよ
    うに構成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れか一項に記載の薬剤蒸散体。
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