JP2005041805A - アブラムシの忌避剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、プレゴン、メントン、イソメントン、メントフラン、ジヒドロカルボン、カルボメントン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、カルベオール、ピペリトンおよびフェンチョンからなる群から選ばれた少なくとも1種または2種以上を有効成分とするアブラムシ忌避剤である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農作物や花卉の重要害虫であるアブラムシの忌避剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
アブラムシは、冬季に雑草内で卵もしくは幼虫で過ごし、春季に雑草内で増殖後農作物や花卉に移行もしくは飛来し、吸汁や定着により生育阻害や品質低下を引き起こすだけでなく、ウイルスを媒介することによっても農作物や花卉に大きな害を与える。
【0003】
現在、アブラムシを駆除するには、有機リン系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤等の化学合成農薬が用いられており、定着したアブラムシの繁殖の抑制が行われている。しかし、雑草などからの農作物や花卉に対するアブラムシの飛来や移行は春から秋にかけて常時発生しており、予防のために上記の農薬を必要以上に散布することが必要であった。また、アブラムシは、1年に数十世代も継代するため、残留性の高い農薬に対して薬剤耐性個体が生じやすいという問題も生じていた。
【0004】
特許文献1には、チモールやそれを主成分とするシソ科タイム油等を有効成分とするアブラムシ忌避剤が開示されている。また、特許文献2には、1,8−シネオール等を有効成分とするアブラムシ忌避剤が開示されているが、アブラムシの忌避効果の点からみて、必ずしも満足できるものではない。また、チモールや1,8−シネオールは、やや薬品くさいにおいを有しているため、ビニルハウスや畑に播いた際に、不快な匂いが広がってしまうという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−110623号公報
【特許文献2】
特開平9−263503号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少量でも忌避効果があるアブラムシ忌避剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定の揮発性成分の忌避作用を利用してアブラムシの飛来を抑制することにより、上述したウイルス伝搬、安全性、薬剤耐性といった従来技術の問題を解決するために行ったものである。
すなわち、本発明は、プレゴン、メントン、イソメントン、メントフラン、ジヒドロカルボン、カルボメントン(テトラヒドロカルボン)、2−sec−ブチルシクロヘキサノン(フレスコメンテ ジボダン社製)、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、カルベオール、ピペリトンおよびフェンチョンからなる群から選ばれた少なくとも1種または2種以上を含むアブラムシ忌避剤である。
なお、プレゴン、メントン、イソメントン、メントフラン、ジヒドロカルボン、カルボメントン、カルベオール、ピペリトンおよびフェンチョンは、l体およびd体及びその混合体を含む。
【0008】
本発明に係るアブラムシ忌避剤は、少量でも忌避効果に優れており、特にプレゴン、メントン、イソメントン、メントフラン、ジヒドロカルボン、カルボメントン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、カルベオール、ピペリトン、フェンチョンは、ミント系の爽快感のある匂いであるため、ビニルハウスや畑に播いた際でも、特に好適に使用できる。
【0009】
また、本発明に係る有効成分プレゴン、メントン、イソメントン、メントフラン、ジヒドロカルボン、カルボメントン(テトラヒドロカルボン)、2−sec−ブチルシクロヘキサノン(フレスコメンテ)、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピルは、アブラムシの忌避効果が特に優れている。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる揮発性成分は、化学合成品を用いてもよく、植物から水蒸気蒸留や溶剤抽出法などにより製造した精油やエキス分から分留して用いることもできる。
【0011】
本発明のアブラムシ忌避剤の剤型としては、油剤、乳剤、水和剤、エアゾール剤等が挙げられ、使用法としては、スプレーで植物に直接散布したり、蒸散(揮散)剤、燻蒸剤として温室内に蒸散させたり、無機粉体、有機粉体、樹脂に含浸/練り込んだりして土面に播くことが挙げられる。また、樹脂、繊維製品、紙製品に含浸/練り込むことによってマルチフィルム、マルチシートとして土面をマルチングすることもできる。さらに、樹脂、繊維製品、紙製品に含浸/練り込んだりしてテープ、ネット、ひも等として、作物や花卉の周囲を囲んだり、覆ったり、茎に貼り付けたりすることもできる。
【0012】
そして、本発明のアブラムシ忌避剤を使用する際には、必要に応じて固体担体、液体担体、固体と液体とを組み合わせた担体、界面活性剤、その他の製剤用補助剤と混合して、粉剤、粒剤、水和剤、懸濁剤、エアゾール剤等に製剤して用いることができる。
【0013】
本発明のアブラムシ忌避剤の液体担体としては、忌避剤の有効成分の効果を損なわないものであれば特に限定しないが、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、多価アルコール類(グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等)、シリコーン油類(メチルポリシロキサン等)、(炭化水素類(ヘキサン、ケロシン、n−パラフィン、イソパラフィン、ベンゼン、トルエン、ソルベントナフサ等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、植物油類(オリーブ油、ひまし油、パパイヤ油、椿油、ヤシ油、ゴマ油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、ひまわり油、紅花油等)等をあげることができる。
【0014】
本発明の有効成分をこれらの液体担体に分散、乳化、可溶化する場合には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩等の陰イオン界面活性剤、およびポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等の1種以上の界面活性剤を用いることができる。
【0015】
また、固体担体としては、本発明の有効成分を含浸、保持可能なものであれば特に限定されるものではないが、無機粉体(ケイ酸、カオリン、ベントナイト、ケイソウ土、タルク、クレー等)、有機粉体(大豆粉、小麦粉、トウモロコシ粉、デンプン、クルミ粉等)、包接化合物(サイクロデキストリン、マイクロカプセル等)、樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、塩化ビニル、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリアクリレート、アリルスチレン共重合体)、その他固体形状物(セルロースおよびその誘導体、パルプ、紙類、不織布、繊維、素焼き等)が挙げられ、さらに粉体、粒状、シート状、固形に加工したものも挙げることができる。また、使用感を高めるため、忌避剤に適宜香料を含有させることもできる。
【0016】
液状の忌避スプレーとするための油剤、乳剤、水和剤、エアゾール剤とする際の配合液中の忌避剤有効成分濃度は有効成分合計で0.001〜5重量%、さらに0.005〜3重量%、特に0.005〜1重量%が好ましい。エアゾール型アブラムシ忌避用組成物の噴射剤としては、LPG、ジメチルエーテル、窒素、二酸化炭素、空気等が好ましい。またポンプスプレーまたはトリガー式スプレーでも良い。
【0017】
固体状の忌避剤とする場合の有効成分の含有量は、有効成分合計で0.1〜100重量%、さらに0.5〜100重量%、特に1.0〜80重量%が好ましい。
【0018】
本発明の忌避剤の持続性を向上するために保留性化合物を用いることができる。保留性化合物は一般に香料やフレーバーの保留剤として知られているものなら特に限定しないが、総炭素数が9〜18の脂肪酸、総炭素数が17〜26の1価アルコール脂肪酸エステル、総炭素数が27〜33の脂肪酸トリグリセリド、総炭素数が8〜24の2塩基酸エステルおよび総炭素数が12〜20の3塩基酸エステルから選ばれる少なくとも1種または2種以上を含むことが特に好ましく。さらに、前記脂肪酸、前記1価アルコール脂肪酸エステル、前記脂肪酸トリグリセリド、前記2塩基酸エステル、前記3塩基酸エステルは、25℃で液状であることがより好ましい。
【0019】
炭素数が9〜18の脂肪酸は、飽和および不飽和脂肪酸、また直鎖状および分岐のいずれであっても良く、例えば2−エチルヘキサン酸(総炭素数8、以下同様)、ノナン酸(9)、イソステアリン酸(18)、オレイン酸(18)、リノール酸(18)、リノレン酸(18)が挙げられる。
【0020】
総炭素数が17〜26の1価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えばミリスチン酸イソプロピル(17)、パルミチン酸イソプロピル(19)、オレイン酸メチル(19)、イソステアリン酸イソプロピル(21)、ミリスチン酸オクタドデシル(26)等が挙げられる。
総炭素数が27〜33の脂肪酸トリグリセリドとしては、2−エチルヘキサン酸トリグリセリド(27)、カプリル酸トリグリセリド(27)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(主にカプリル、カプリン酸トリグセリド 主に27)、カプリン酸トリグリセリド(33)等が挙げられる。
【0021】
総炭素数が8〜24の2塩基酸エステルとしては、例えばフタル酸ジエチル(12)、フタル酸ジブチル(16)、フタル酸2−エチルヘキシル(24)、アジピン酸ジエチル(10)、アジピン酸ジイソブチル(14)、アジピン酸ジイソノニル(24)、セバシン酸ジエチル(14)、セバシン酸ジブチル(18)、コハク酸ジイソプロピル(10)、酒石酸ジエチル(8)、酒石酸ジブチル(12)などが挙げられる。総炭素数が10〜20の3塩基酸エステルとしては、例えばクエン酸トリエチル(12)、クエン酸アセチルトリエチル(14)、クエン酸アセチルトリブチル(20)等が挙げられる。
【0022】
これらのうち、保留効果の点でより好ましいのは炭素数が9〜18の脂肪酸、総炭素数が17〜19の1価アルコール脂肪酸エステル、総炭素数27〜33の脂肪酸トリグリセリド、総炭素数が8〜18の2塩基酸エステル、総炭素数が12〜14の3塩基酸エステルである。さらに、使用時の匂いの観点から考慮すると総炭素数が17〜19の1価アルコール脂肪酸エステル、総炭素数27〜33の脂肪酸トリグリセリド、総炭素数が8〜18の2塩基酸エステルがより好ましい。
【0023】
これらの保留剤は、忌避効果の持続性の点から、本発明のアブラムシ忌避剤の有効成分の合計1に対し、0.5〜100重量部、さらに1〜50重量部、特に1〜10重量部含有させるのが好ましい。
【0024】
本発明に係る忌避剤は、農作物や花卉に対するアブラムシの付着の予防、または土面からのアブラムシの移行を防止し、アブラムシの他植物への飛来の防止を目的として用いることができる。また、その他にもアブラムシの飛来の発生源となる周囲の雑草にも播くことができ、これによりアブラムシの増殖を抑えておくとより効果的になる。
【0025】
また、本発明に係るアブラムシ忌避剤は、アブラムシ忌避剤として知られているチモール、タイム油、1,8−シネオール等の公知の成分や、アブラムシ殺虫剤として知られる有機リン系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、ピレスロイド系等の公知の成分と組み合わせることもできる。また、
【0026】
【実施例】
以下実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
<供試虫>
主にギシギシアブラムシ 東京都墨田区内に繁殖しているもの
<供試植物>
ギシギシの葉 東京都墨田区内に繁殖しているもの
<試験化合物添加方法>
試験化合物を、直径2cmの円形に切り取ったろ紙(Advantec、No.63、厚さ1mm)に添加する。
【0027】
<試験方法>
図1に示す様に長さ約14cm×幅約6cmのギシギシの葉(以降試験葉)の中央部に前記円形ろ紙を表裏4枚ホチキスで固定し、さらに円形ろ紙にそれぞれ試験化合物5μL(合計20μL/試験葉)を添加し、試験葉を市販粘着テープで実験台上に固定した。試験葉は切花用吸水樹脂を使って水を供給した。実験台上の試験葉の周囲にアブラムシが付着した植物(ギシギシ)を2cmの植物片に裁断したものを、試験葉から1cm離して5〜6片置いた(設置アブラムシは総数で約350匹)。試験は、アブラムシが逃亡防止のため直径20cm高さ30cmのアクリル円筒をかぶせ、上部をポリ塩化ビニリデンフィルムで封鎖し通気用穴を100あけた。
【0028】
実験開始後、植物片に定着していたアブラムシは、植物片が乾燥のため枯れるのに伴い、みずみずしい試験葉に移動が始まり24時間後には約300匹移動した。この現象を利用し、ろ紙上に添加した試験化合物の忌避効果を、試験葉上への移行数をもって比較した。
【0029】
【表1】
【0030】
供試化合物のうち、本発明に係るプレゴン、メントン、イソメントン、メントフラン、ジヒドロカルボン、カルボメントン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、カルベオール、ピペリトンおよびフェンチョンは、アブラムシに対する忌避性が認められた。
【0031】
特に、プレゴン、メントン、イソメントン、メントフラン、ジヒドロカルボン、カルボメントン、フレスコメンテ、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピルに強い忌避効果が認められた。一方、比較例のタイム油および1,8−シネオールは、忌避の効果はあるが低かった。
【0032】
保留性化合物の効果を、本発明の忌避剤の一つであるメントン(高砂香料製)を用いて調べた。直径5cmのシャーレ内にてメントン0.3gと保留性化合物0.7gを混合し、20℃の部屋に2週間静置した。その混合液のメントンの匂い(ミント様の匂い)を官能評価したのち、ほぼ全量をヘッドスペース−ガスクロ(HS−GC)用20mLバイアル瓶にいれ、バイアル瓶中の空間内のメントンおよび少量含まれるイソメントンの合計量を測定した。値はピーク面積(104以下の値は四捨五入)で示す。
比較の化合物としては、脂肪酸トリグリセリドではあるが総炭素数が9であるトリアセチン、請求項の構造に該当しないアルキレングリコール類のジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール400(平均分子量400のもの;和光純薬製)、炭化水素油類の軽質流動イソパラフィン(IP SOLVENT 2028 出光石油化学製)を用いた。
<官能評価>(初期の強さを4とした)
5:ミント様の匂いが非常に強い
4:ミント様の匂いが強い
3:ミント様の匂いを楽に感じる
2:ミント様の匂いが弱い
1:ミント様の匂いを感じる
0:匂わない
【0033】
<HS−GC分析条件>
HS−オートサンプラー;PERKIN ELMER製 HS40XL
バイアル保温時間;35℃30分保温後 加圧2分 注入0.3分
GC;HEWLETT PACKARD5890
カラム液相;(5%フェニル)メチルポリシロキサン 無極性
カラム長さ;30m、 内径;0.32mm、 膜厚;0.25
【0034】
【表2】
【0035】
表2に示すように、比較品の化合物であるトリアセチン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール400、軽質流動イソパラフィンとメントンを混合した場合は、2週間保存後では、メントンが大部分散失してしまったためメントンの匂いは感じられず、またヘッドスペースガスクロのピーク面積も検知されないか非常に少なかった。
それに対し、本発明の保留性化合物とメントンとを組み合わせた場合には、いずれもメントンが良好に保留されているため、メントンの匂いを維持しており、ヘッドスペースガスクロのピーク面積も明らかに多かった。
【0036】
<実施例2>
紙マット含浸タイプとした本発明品の実施例を以下に説明する。
(供試虫)
主にモモアカアブラムシ 和歌山県和歌山市内で発生したものを予めピーマン苗にて繁殖
(供試植物)
ピーマン苗 (京みどり タキイ種苗)
(試験化合物添加方法)
ろ紙(Advantec、No.63、厚さ1mm)を直径5cmの円形に切り取り、中心に向かって幅1cmの切り込みをいれた円形凹型の紙マットを作成する。その紙マットを、ピーマン苗の茎を挟むように土面に置き、中鎖脂肪酸トリグリセリド(ココナードMT 花王株式会社製)にて30%になるように混合した試験化合物を添加する。
【0037】
(試験方法)
ピーマン苗3本を12cmポットで生育させ10ポット用意する。半数の5ポットについてはそれぞれの上記紙マットをはめ込み試験ポット群とする。ポットには試験化合物を苗1本あたり200μLまたは100μL添加し、残り1ポットについては比較として紙マットをはめ込んだのみとした。試験化合物は、1週間後に初期添加量と同量を追加した。
【0038】
一方、残りの5ポットについてはアブラムシ繁殖用のポット群とし、予め別のピーマン苗で繁殖させたアブラムシを葉ごと切りとってポットの土面に置いた(おおよそアブラムシ300匹)。試験は、約20〜35℃の温室で行ない、試験ポット群とアブラムシ繁殖用のポット群を5cm離れて並ぶように設置した。11日後に試験ポット群に移行した苗1本あたりのアブラムシを数え、苗3本の平均値として表に示した。
【0039】
表3に示すように、紙マットのみを設置したピーマン苗には123匹のアブラムシが付着したのに対し、紙マット含浸タイプとした本発明品を設置したピーマン苗には、メントン11匹、メントフラン14匹、フレスコメンテ52匹といずれも少数のアブラムシしか付着しておらず、忌避効果が認められた。一方、タイム油を用いた比較例は144匹であり、忌避の効果は認められなかった。
【0040】
【表3】
【0041】
<実施例3>
粉末含浸タイプとした本発明品の実施例を以下に説明する。
(供試虫)
雑草に付着したアブラムシ(主にモモアカアブラムシ)
(供試植物)
ノースポール花苗(キク科の園芸植物:5つ以上の茎を有するもの)
(試験化合物添加方法)
メントン30%と保留性化合物70%の混合液を作成し、さらに混合液を等量の粉末シリカ(トクシールPR トクヤマ製)に混合し、ガラス瓶内にて1晩含浸させた。保留性化合物は下記のものを用いた。
ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチルはいずれも和光純薬製。
【0042】
(試験方法)
市販のノースポール花苗をポットに植え、その周囲の土面10cmにメントン含浸シリカを5g播く、さらにその外側にアブラムシ約150匹が付着した雑草を約3cmに裁断して設置する。比較として香料の含浸していないシリカを播いた。
【0043】
1週間後に、ノースポールの茎についたアブラムシの数を数え、最も多くついた上位3茎の平均値を求め、効果を比較した。
表4に示した通り、比較品のシリカのみの試験区には、73匹のアブラムシの付着が認められたのに対し、本発明品を用いたノースポールには、付着アブラムシの数が非常に低かった。7日目の時点でメントンの匂い(ミント様の匂い)は持続していたことから、粉末タイプ本発明品は、メントンを持続的に揮発させる事によって、アブラムシの苗ヘの移行を防いでいたためである。なお、いずれの試験品においてもノースポールは正常に開花した。
【0044】
【表4】
【0045】
<実施例4>
スプレータイプとした本発明品の実施例を以下に説明する。
表5に示す以下の配合組成のアブラムシ忌避スプレーを調製した(微白濁液)。
【0046】
【表5】
【0047】
これをポンプスプレー容器に入れ、アブラムシの付着している植物(付着箇所のうち約10cm)に20回スプレーした。6時間から12時間後に生きているアブラムシ数を測定した。
その結果、スプレー箇所における生きているアブラムシ数は、バラ(主にイバラノヒゲアブラムシ)、オダマキ(主にワタアブラムシ)において約1/2に減少していた。
【0048】
【発明の効果】
本発明に係る忌避剤は、優れたアブラムシに対する忌避効果により、アブラムシの移行や飛来を阻止することができる。それにより、アブラムシの吸汁行動に起因する植物の生育阻害を防止することができ、アブラムシの吸汁による植物(特に、花などのような観賞用植物等)の品質の低下を防止することができ、さらに、アブラムシを媒介に植物へのウィルスの感染を予防することができる。また、本発明に係る有効成分は、揮発性の化合物であり、忌避剤が適用される植物に長期間の忌避剤の残留による薬剤耐性個体の発生を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アブラムシに対する忌避試験の様子を表す図である。
Claims (5)
- プレゴン、メントン、イソメントン、メントフラン、ジヒドロカルボン、カルボメントン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、カルベオール、ピペリトンおよびフェンチョンからなる群から選ばれた少なくとも1種または2種以上を含有するアブラムシ忌避剤。
- 総炭素数が9〜18の脂肪酸、総炭素数が17〜26の1価アルコール脂肪酸エステル、総炭素数が27〜33の脂肪酸トリグリセリド、総炭素数が8〜24の2塩基酸エステルおよび総炭素数が12〜20の3塩基酸エステルから選ばれる少なくとも1種または2種以上をさらに含む請求項1に記載のアブラムシ忌避剤。
- 前記脂肪酸、前記1価アルコール脂肪酸エステル、前記脂肪酸トリグリセリド、前記2塩基酸エステル、前記3塩基酸エステルが、25℃で液状である請求項1または2に記載のアブラムシ忌避剤。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアブラムシ忌避剤を含む組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアブラムシ忌避剤を使用する方法。
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