JPWO2009101863A1 - Izoスクラップからの有価金属の回収方法 - Google Patents

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Abstract

アノード又はカソードに不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となるもう片方のカソード又はアノードにIZOスクラップを使用し、極性を周期的に反転して電解し、IZOスクラップをインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することを特徴とするIZOスクラップからの有価金属の回収方法及び前記電解することにより得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を焙焼してインジウム及び亜鉛の酸化物として回収することを特徴とする前記IZOスクラップからの有価金属の回収方法。インジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップからインジウム及び亜鉛を効率良く回収する方法を提供する。

Description

この発明は、使用済みインジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップ(本願明細書においては、これらを「IZOスクラップ」と総称する)からの有価金属の回収方法に関する。なお、本願明細書で記載する「有価金属の回収」は、有価金属を構成要素とする酸化物、水酸化物等の化合物を含むものとする。
近年、インジウム−亜鉛酸化物(In−ZnO:一般にIZOと称呼されている)スパッタリングターゲットは液晶表示装置の透明導電性薄膜やガスセンサーなどに広く使用されているが、多くの場合スパッタリング法による薄膜形成手段を用いて基板等の上に薄膜が形成されている。
このスパッタリング法による薄膜形成手段は優れた方法であるが、スパッタリングターゲットを用いて、例えば透明導電性薄膜を形成していくと、該ターゲットは均一に消耗していく訳ではない。このターゲットの一部の消耗が激しい部分を一般にエロージョン部と呼んでいるが、このエロージョン部の消耗が進行し、ターゲットを支持するバッキングプレートが剥き出しになる直前までスパッタリング操作を続行する。そして、その後は新しいターゲットと交換している。
したがって、使用済みのスパッタリングターゲットには多くの非エロージョン部、すなわち未使用のターゲット部分が残存することになり、これらは全てスクラップとなる。また、IZOスパッタリングターゲットの製造時においても、研磨粉や切削粉からスクラップ(端材)が発生する。一般に、酸化亜鉛(ZnO)が10.7wt%前後含有されているが、多くは酸化インジウム(In)である。
IZOスパッタリングターゲット材料には高純度材が使用されており、特にインジウムは価格も高いので、一般にこのようなスクラップ材からインジウムを回収することが、そしてまた、同時に亜鉛を回収することが行われている。このインジウム回収方法として、従来酸溶解法、イオン交換法、溶媒抽出法などの湿式精製を組み合わせた方法が用いられている。
例えば、IZOスクラップを洗浄及び粉砕後、塩酸に溶解し、溶解液に硫化水素を通して、亜鉛、鉛、銅などの不純物を硫化物として沈殿除去した後、これにアンモニアを加えて中和し、水酸化インジウムとして回収する方法である。
しかし、この方法によって得られた水酸化インジウムは、ろ過性が悪く操作に長時間を要し、Si、Al等の不純物が多く、また生成する水酸化インジウムはその中和条件及び熟成条件等により、粒径や粒度分布が変動するため、その後IZOターゲットを製造する際に、IZOターゲットの特性を安定して維持できないという問題があった。
以下に、従来技術とその利害得失を紹介する。
その一つとして、基板上に被着されたITO膜を電解液中で電気化学的反応により還元させ、さらにこの還元された透明導電膜を電解液に溶解させる透明導電膜のエッチング方法がある(特許文献1参照)。但し、目的がマスクパターンを高精度で得る方法であり、回収方法とは異なる技術である。
ITOからの有価金属を回収するための事前処理として、バッキングプレートとの接合に用いていたIn系のロウ材に含まれる不純物を電解液中で分離する技術がある(特許文献2参照)。しかし、これはITOから有価金属を回収する直接的な技術に関するものではない。
亜鉛精錬工程の副産物として得られる中間物又はITOスクラップからインジウムを回収する際に、錫をハロゲン化錫酸塩として分離した後、塩酸又は硝酸水溶液で還元処理し、次いでこの水溶液のpHを2〜5に調整して、鉄、亜鉛、銅、タリウム等の金属イオンを還元し沈殿しにくい物質とし、水溶液中のインジウム成分を分離する技術が開示されている(特許文献3参照)。この技術は精製工程が複雑で、精製効果もそれほど期待できない問題がある。
また、高純度インジウムの回収方法として、ITOを塩酸で溶解し、これにアルカリを加えてpHが0.5〜4となるようにし、錫を水酸化物として除去し、次に硫化水素ガスを吹き込み銅、鉛等の有害物を硫化物として除去し、次いでこの溶解液を用いて電解によりインジウムメタルを電解採取する技術が開示されている(特許文献4参照)。この技術も精製工程が複雑であるという問題がある。
ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶解して塩化インジウム溶液とし、この溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加して錫を水酸化錫として除去し、除去後さらに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水酸化インジウムとして、これをろ過し、ろ過後の水酸化インジウムを硫酸インジウムとし、これを用いて電解採取によりインジウムとする方法がある(特許文献5参照)。これは精製効果が大きく有効な方法であるが、工程が複雑であるという不利な点がある。
ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶解して塩化インジウム溶液とする工程、該塩化インジウム溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加してスクラップ中に含有する錫を水酸化錫として除去する工程、該水酸化錫を除去した後液から亜鉛によりインジウムを置換、回収する工程からなるインジウムの回収方法がある(特許文献6参照)。この方法も、精製効果が大きく有効な方法であるが、工程が複雑であるという不利な点がある。
溶融金属インジウムの上に浮上する亜酸化物含有鋳造スクラップを取り出して雰囲気炉に挿入し、一度炉を真空にした後、アルゴンガスを導入し、所定温度に加熱して亜酸化物含有鋳造スクラップを還元する金属インジウムの回収方法を開示する(特許文献7参照)。
これ自体は有効な方法であるが、ITOスクラップの基本的な回収方法ではないという欠点がある。
以上から、効率的かつ回収工程に汎用性がある方法が求められている。
特開昭62−290900号公報 特開平8−41560号公報 特開平3−82720号公報 特開2000−169991号公報 特開2002−69684号公報 特開2002−69544号公報 特開2002−241865号公報
本発明は、上記の問題を解決するために、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップから、インジウム及び亜鉛を効率良く回収する方法を提供することにある。
本発明は、IZOスクラップをpH調整した電解液中で電解することにより、インジウム及び亜鉛の水酸化物としてインジウム及び亜鉛を回収するIZOスクラップからの有価金属の回収方法を提供する。
本発明のIZOスクラップからの有価金属の回収方法は、アノード又はカソードに不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となるもう片方のカソード又はアノードにIZOスクラップを使用することが大きな特徴であるが、さらにこの場合、アノード及びカソードの双方の極性を周期的に反転して電解する、すなわち周期的に極性を交互に変化させて電解するものである(アノードの極性⇔カソードの極性の相互反転)。
これにより、インジウム及び亜鉛の水酸化物として効率良く回収することが可能となる。従来このような技術は存在せず、またこの方法を示唆するような一切の文献も存在していない。したがって、本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収方法は基本発明となるものである。
IZOスクラップは酸化物系セラミックスであるから、本来電解法で有価金属を回収することを予想することはできない。しかし、IZO自体が酸化物系セラミックスであるにもかかわらず導電性を有する。本願発明はここに着目し、電解による有価金属(インジウム又は亜鉛及びこれらの化合物)の回収を試み、それを可能としたものである。
IZO自体が導電性を備えていることは既に知られている。これは酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウム(In)の焼結体であるIZO酸化物の酸素欠損によるものと考えられている。本願発明は、このIZO自体の導電性を利用するものであるが、IZO自体に備わる導電性が、電解による有価金属の回収が可能であるという知見と判断さらには多くの実験を行わなければ実現できないものであることは理解されるべきものである。
従来のIZOスクラップの回収を行う場合には、IZOスクラップを粉砕し、これを強酸で溶解し、還元、置換、硫化、析出、中和、濾過、溶媒抽出、イオン交換、鋳造等の複数の工程を、適宜組み合わせる工程を経て製造されている。
これらの工程において問題となるのは、IZOスクラップの粉砕工程で不純物が混入することであり、その後の工程で、粉砕工程で混入した不純物を、さらに除去する必要があるので、工程がより煩雑になるということである。
したがって、IZOスクラップから電解により直接有価金属を回収できることは、極めて大きな利点を持つことが理解できるであろう。
本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収方法は、さらに電解時に電圧が一定レベル以上に上昇した時点で、アノード及びカソードの極性を反転することが望ましい。後述するように、アノード及びカソードの極性の変換は、回収効率を良くするための手段であり、電圧はその指標となるものである。したがって、電圧の上昇時点を検知し、それにより極性の反転時期を設定することができる。
一般に、設備が固定されれば、反転時期の定常的に最適条件が把握できるので、それに従って、一定の時期に反転させることもできる。したがって、このアノード及びカソード極性の反転時期のコントロールは、任意でありこの条件に拘束されるものでないことは容易に理解されるべきものである。
また、上記電解に際して、1分〜10分周期でアノード及びカソードの極性を反転するのが好適である。しかし、極性の反転の時期も亦、電解槽の容量、IZOスクラップの量、電流密度、電圧、電流、電解液の種類によって、任意に変更することができる条件である。これは好適な条件を示すものであって、上記と同様にこの条件に拘束されるものでないことは容易に理解されるであろう。
本願発明のIZOスクラップから有価金属を回収するに際しては、上記電解後、インジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができる。初期の電解液のpHは8〜12に調整するのが望ましい。これは、インジウム及び亜鉛の水酸化物として効率良く回収できる好適な条件である。
この場合、pH8未満又はpH12を超えると、イオンとして溶解し、電着するため効率が落ちるためである。
上記の通りpHの選択は任意である。本願発明は、極性を周期的に反転する電解によりインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することが、本願発明の本質であり、これが公知技術として存在しない限り、上記pHに限定されるべき理由はない。また、後にpHの工夫又は改良があったとしても、本願発明の上記思想の範囲内にあり、本願発明に包含されるものであることは明らかである。
電解液としては、有害ガスの発生がない液であり、またインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収する場合には、これらの物質中に不純物として含有されない材料を選択するのが望ましい。このことから、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して使用することができる。
しかし、生産効率を考慮し、IZOスクラップを電解することができるものであれば、上記以外の溶液も電解液として使用できることは理解されるであろう。電解液の選択は、あくまでIZOスクラップを電解できる条件に適合する溶液を任意に選択するものであって、本願発明の本質でないことは明らかである。
本願発明は、IZOスクラップからの有価金属の回収に際して、電解することにより得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を回収することにより、目的は達成しているのであるが、さらにこのインジウム及び亜鉛の水酸化物を焙焼してインジウム及び亜鉛の酸化物として回収することも可能である。
このように、一旦IZOスクラップから、インジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができれば、これらをさらに焙焼して酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物を得、そのままIZO材料の原料として使用することができる。また、必要に応じ、さらに酸化インジウム又は酸化亜鉛を添加して、その成分量を替え、あるいは他の元素を添加して、焼結しIZOターゲットを再生することも容易になし得るものである。本願発明はこれらを全て包含する。
さらに、上記電解することにより得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を酸浸出してインジウムと亜鉛の溶液とし、この溶液をpH調整して亜鉛を水酸化亜鉛として除去し、さらにインジウムを電解採取することもできる。
上記の通り、本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収は、電解に供するIZOスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度のインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することが可能である。
これは、本願発明の著しい利点であることは言うまでもない。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有するものである。
また、電流密度等の電解条件は、端材等のスクラップであるために一義的に決められるものではなく、電流密度はその端材の量や材料の性質に応じて適宜選択して実施する。電解質溶液の液温は、通常0〜100°Cの範囲とするが、室温(15〜30°C)で十分である。
インジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップを使用し、これを不溶性電極及びスクラップからなるカソードとして電解するだけなので、極めて簡便にインジウム及び亜鉛の水酸化物として、さらには酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物として効率良く回収することができるという優れた方法である。
さらに、本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収は、電解に供するIZOスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度のインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができる。
これは、本願発明の著しい利点である。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有する。
本発明は、IZOターゲットのインジウム含有スクラップを、電解により、簡便にインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができる。さらに得られたインジウム及び亜鉛の水酸化物を焙焼することにより、酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物として効率良く回収することができる。
焙焼温度としては、100〜1000°Cとする。好ましくは100〜500°Cとするのが良い。100°C未満では水分が残り、1000°Cを超えると焼結してしまうので、上記の範囲とするのが望ましい。しかし、この焙焼温度の選択は任意である。本願発明は上記の通り、本願発明の極性を周期的に反転する電解により得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を焙焼することが、本願発明の本質であり、これが公知技術として存在しない限り、上記焙焼温度に限定されるべき理由はない。また、後に焙焼温度の工夫又は改良があったとしても、本願発明の上記思想の範囲内にあり、本願発明に包含されるものであることは明らかである。
電解液としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して使用することができる。
また、陰イオンが塩素系の場合は、陽極の不働態化に伴って塩素ガスの発生があり、また硝酸系の場合は陽極不導体化に伴って酸化窒素ガスの発生と排水の窒素負荷があるので、その処理に注意を要する。
硫酸系ではこれらの問題は殆んどないので、硫酸系は好適な材料と言える。しかし、その他の電解液の使用も、上記の問題を解決できれば、使用を妨げる理由は存在しない。
この他に、電流効率を上げるために、一般に知られている公知の添加材を使用することも可能である。このように、酸化インジウムと酸化亜鉛を同時に回収できれば、再生IZOを製造することも容易になることが理解されるであろう。
電解装置として特別なものは必要としない。例えばアノード又はカソードに不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となる、もう片方のカソード又はアノードにIZOスクラップを使用して電解すれば良い。初期のアノード又はカソードを、不溶性電極にするか又はIZOスクラップにするかということは、特に問題となるものではない。その理由は、極性を周期的に反転するからである。本願発明は、いずれの場合にも適応できるものであることは、容易に理解されるべきものである。
これによって、IZOスクラップに含有されている以上の不純物の増加又は混入を避けることができる。不溶性電極としては、既に公知のものを使用できる。カーボン等が好ましい材料であるが、この不溶性電極に限定する必要はない。一般に不溶性電極と言われているものは全て適用可能である。不溶性電極の選択に本願発明の本質があるのではないことは、容易に理解できるであろう。
電解条件は原料の種類により、適宜に調整することが望ましい。この場合に調整する要素は、生産効率のみである。一般に、大電流、高電圧で電解する方が、生産性が良いと言える。しかし、これらの条件に限定される必要はなく、その選択は任意である。
また、電解温度も特に制限はないが、0〜100°Cに調整して電解することが望ましい。室温で十分電解することができる。端材となったスクラップは、カソードボックス(籠)に入れて電解すれば良い。スクラップ自体が所定の大きさ(電極として使用できるサイズ)を有するものは、そのまま電極板として使用することができる。
不溶性電極又はIZOスクラップからなるカソードに通電し、電解を開始すると、不溶性アノードでは、酸素ガスが発生する。しかし、この酸素ガスの発生は特に問題となるものではない。IZOスクラップのカソードでは、通電開始と共に水素ガスが発生し、IZOスクラップが水素還元され、インジウム−亜鉛メタルとなる(IZO+H→In−Znメタル)。水素の発生は水の電気分解による(HO→1/2H+OH)。
このインジウム−亜鉛メタルはIZOスクラップのカソードの表面に蓄積する。一部は水酸化インジウム及び水酸化亜鉛の混合物として析出する。
しかし、通電時間が長くなると、IZOスクラップのカソードの表面に若干の厚みのIn−Znメタルが蓄積し、In−Znメタル表層の下に、スポンジ状のIn−Zn亜酸化物が形成されるだけとなり、それ以上の還元が進行しなくなる。
これは、In−Znメタル表層が水素の浸透を抑制していること、またIn−Znメタル表層にのみ電流が流れ、IZOスクラップ内部への電流の流れが抑制されることが、電解の進行を妨害する主な原因と考えられる。この状態では、IZOスクラップのカソードにおいて、目的とする電解が抑制されることとなる。ここで、IZOスクラップのアノードと同カソードの極性を反転させる。これは極めて重要な工程である。
これによって新アノード(旧カソード)の表面に蓄積していたIn−Znメタルは、溶解する。電解液は中性領域に保持しているので、水酸化物として沈殿する。これによって得られた沈殿物は、インジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができる。主な反応式で示すと(In−Zn→In3++Zn2+→In(OH)+Zn(OH))となる。新アノードではわずかな酸素の発生が認められる。
他方、新カソードでは(旧アノード)は、不溶性の電極を使用しているので、本質的には変動はなく、水素ガスが発生するのみである。
以上の工程によって、インジウム及び亜鉛の水酸化物の沈殿が促進される。しかし、この状態を継続すると、再び新カソードは表層のみがIn−Znメタル化するが、内部は通電しない状態となり、電解が進行しなくなる。この状態になる前に、再度極性を変換する。これを繰り返すことにより、定常的にインジウム及び亜鉛の水酸化物の沈殿を促進させることができる。
この電極を定期的に反転する工程を採用することにより、電極に発生するガス、すなわち水素及び酸素の発生は、アノード又はカソードの一方の固定電極とする場合に比べ、著しく減少する。これは発生ガスが酸化及び還元に有効に消費されていることを物語るものである。
アノード及びカソードの極性の変換は、回収効率を良くするための手段であり、電圧はその指標となるものである。したがって、電圧の上昇時点を検知し、それにより極性の反転時期を設定することができる。設備が固定されれば、経験的に反転時期の定常的に最適条件が把握できるので、それに従って、一定の時期に反転させることができる。
また、実験によれば、1分〜10分周期でアノード及びカソードの極性を反転するのが好適である。しかし、極性の反転の時期も亦、電解槽の容量、IZOスクラップの量、電流密度、電圧、電流、電解液の種類によって任意に変更することができる条件である。
次に、実施例について説明する。なお、本実施例は発明の一例を示すためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に含まれる他の態様及び変形を含むものである。
(実施例1)
横長20mm×縦長100×厚さ6tのIZO(酸化インジウム−酸化亜鉛)の板状端材(スクラップ)90gを原料とした。この原料中の成分は酸化亜鉛(ZnO)が10.7wt%、残部が酸化インジウム(In)であった(メタルの比率は、In:73.8wt%、Zn:8.6wt%であり、残部は酸素(O)である)。
この原料をカソードとし、アノードには不溶性陽極であるカーボンを使用した。硫酸ナトリウム70g/Lを含有する電解液1Lを使用し、pH:9.0、電解温度:30°Cとして電解を行った。
電圧は10V(定電圧)、電流は2.95A(開始時)〜1.2A(終了時)、通電時間(5分×12サイクルの極性変換)延べ時間600分(10時間)で実施した。この結果、電解槽中に水酸化インジウム及び水酸化亜鉛の混合物が沈殿した。
これによって、In(OH)は10g(In品位:69.23wt%)、Zn(OH)は2g(Zn品位:7.73wt%)を得た。この水酸化インジウム及び水酸化亜鉛又はメタ亜鉛酸の混合物の純度は、スクラップの純度と同等の純度を有していた。
(実施例2)
さらに、このようにして得た水酸化インジウム及び水酸化亜鉛又はメタ亜鉛酸の混合物を、150°Cで焙焼して、In酸化物(In)及びZn酸化物(ZnO)の混合物を得ることができた。この混合物は約12gであった。この方法により得られる比率は、通常In:90wt%、ZnO:10wt%にあり、再生IZOの原料として使用可能であった。
(実施例3)
電解することにより得た水酸化インジウムと水酸化亜鉛又はメタ亜鉛酸の混合物を、さらに硫酸で酸浸出してインジウムと亜鉛の溶液とし、さらにインジウムを電解温度30°C、電流密度2A/dmという条件で電解採取した。
以上により、IZOスクラップからInの有価金属を回収することができた。Inの歩留りは98%であった。
(実施例4)
実施例1のIZO端材をカソードに、アノードにPtを用い、硝酸ナトリウム100g/Lの液を用いて、pH10で電解を行った。この結果、インジウムの水酸化物とメタ亜鉛酸を得た。回収量及び純度は実施例1と同様であった。
(実施例5)
電流量を2Aと一定にし、電圧10V以上になった時点で極性を反転するように設定した。その他は、実施例1と同様の条件とし、積算電流量も同じとした。
この結果、回収量及び純度は実施例1とほぼ同等であった。
(実施例6)
周期を1分間とし、その他は実施例1と同じ条件で電解した。この結果、回収量及び純度は実施例1と同等であった。
(実施例7)
周期を10分間とし、その他は実施例1と同じ条件で電解した。この結果、約9gのIn酸化物(In)及びZn酸化物(ZnO)からなる混合物が得られた、純度は実施例1と同等であった。
(実施例8)
IZO端材をカソードボックスに10Kg入れ、アノードにPtを用い、塩化ナトリウム100g/L、pH10.5の電解液中で電解した。極性の変換は5分間隔で行った。また、電解の積算電流量は1万AHrであった。この結果、In酸化物(In)及びZn酸化物(ZnO)からなる混合物を約6kg得ることができた。また、得られた混合物の純度は実施例1と同程度であった。
(比較例1)
実施例1と同じIZOスクラップを用いて、これをカソードとし、アノードに不溶性カーボンを用いた。電解条件は実施例1と同様とした。この結果カソードには、インジウム−亜鉛メタルが得られたが、それはカソード表面のみであり、カソード全体のメタル化はできず、効果的な回収ができなかった。
上記の実施例においては、いずれも酸化亜鉛(ZnO)が10wt%前後、残部酸化インジウム(In)であるIZO(酸化インジウム−酸化亜鉛)端材又はスクラップを使用したが、In及びZnOの成分量に応じて、電流密度、pH等の電解条件を任意に変えることが可能であり、この原料の成分量に特に制限される必要がないことは言うまでもない。特に、IZOは酸化亜鉛(ZnO)の含有量を5wt%〜30wt%まで、変化させることがあるが、このような場合でも、本発明は十分に適用できる。
また、IZOにさらに少量の副成分を添加したものもあるが、基本的にIZOが基本成分であれば、本願発明は、これらにも適用できることは言うまでもない。
本願発明は、アノードとカソードにIZOスクラップを使用し、かつ極性を変えることにより効率良く水酸化インジウム及び水酸化亜鉛の混合物としてIZOスクラップから有価金属を効率良く回収できることが分る。
本発明は、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップをカソードに使用し、これをアノード及びカソードとして電解するだけなので、極めて簡便に水酸化インジウム及び水酸化亜鉛の混合物として、さらには酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物として効率良く回収することができる。
さらに、本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収は、電解に供するIZOスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度の水酸化インジウムと水酸化亜鉛の混合物又は、酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物として回収することができる。
これは、本願発明の著しい利点である。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有し、IZOスクラップからの有価金属の回収方法として極めて有用である。
この発明は、使用済みインジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップ(本願明細書においては、これらを「IZOスクラップ」と総称する)からの有価金属の回収方法に関する。なお、本願明細書で記載する「有価金属の回収」は、有価金属を構成要素とする酸化物、水酸化物等の化合物を含むものとする。
近年、インジウム−亜鉛酸化物(In−ZnO:一般にIZOと称呼されている)スパッタリングターゲットは液晶表示装置の透明導電性薄膜やガスセンサーなどに広く使用されているが、多くの場合スパッタリング法による薄膜形成手段を用いて基板等の上に薄膜が形成されている。
このスパッタリング法による薄膜形成手段は優れた方法であるが、スパッタリングターゲットを用いて、例えば透明導電性薄膜を形成していくと、該ターゲットは均一に消耗していく訳ではない。このターゲットの一部の消耗が激しい部分を一般にエロージョン部と呼んでいるが、このエロージョン部の消耗が進行し、ターゲットを支持するバッキングプレートが剥き出しになる直前までスパッタリング操作を続行する。そして、その後は新しいターゲットと交換している。
したがって、使用済みのスパッタリングターゲットには多くの非エロージョン部、すなわち未使用のターゲット部分が残存することになり、これらは全てスクラップとなる。また、IZOスパッタリングターゲットの製造時においても、研磨粉や切削粉からスクラップ(端材)が発生する。一般に、酸化亜鉛(ZnO)が10.7wt%前後含有されているが、多くは酸化インジウム(In)である。
IZOスパッタリングターゲット材料には高純度材が使用されており、特にインジウムは価格も高いので、一般にこのようなスクラップ材からインジウムを回収することが、そしてまた、同時に亜鉛を回収することが行われている。このインジウム回収方法として、従来酸溶解法、イオン交換法、溶媒抽出法などの湿式精製を組み合わせた方法が用いられている。
例えば、IZOスクラップを洗浄及び粉砕後、塩酸に溶解し、溶解液に硫化水素を通して、亜鉛、鉛、銅などの不純物を硫化物として沈殿除去した後、これにアンモニアを加えて中和し、水酸化インジウムとして回収する方法である。
しかし、この方法によって得られた水酸化インジウムは、ろ過性が悪く操作に長時間を要し、Si、Al等の不純物が多く、また生成する水酸化インジウムはその中和条件及び熟成条件等により、粒径や粒度分布が変動するため、その後IZOターゲットを製造する際に、IZOターゲットの特性を安定して維持できないという問題があった。
以下に、従来技術とその利害得失を紹介する。
その一つとして、基板上に被着されたITO膜を電解液中で電気化学的反応により還元させ、さらにこの還元された透明導電膜を電解液に溶解させる透明導電膜のエッチング方法がある(特許文献1参照)。但し、目的がマスクパターンを高精度で得る方法であり、回収方法とは異なる技術である。
ITOからの有価金属を回収するための事前処理として、バッキングプレートとの接合に用いていたIn系のロウ材に含まれる不純物を電解液中で分離する技術がある(特許文献2参照)。しかし、これはITOから有価金属を回収する直接的な技術に関するものではない。
亜鉛精錬工程の副産物として得られる中間物又はITOスクラップからインジウムを回収する際に、錫をハロゲン化錫酸塩として分離した後、塩酸又は硝酸水溶液で還元処理し、次いでこの水溶液のpHを2〜5に調整して、鉄、亜鉛、銅、タリウム等の金属イオンを還元し沈殿しにくい物質とし、水溶液中のインジウム成分を分離する技術が開示されている(特許文献3参照)。この技術は精製工程が複雑で、精製効果もそれほど期待できない問題がある。
また、高純度インジウムの回収方法として、ITOを塩酸で溶解し、これにアルカリを加えてpHが0.5〜4となるようにし、錫を水酸化物として除去し、次に硫化水素ガスを吹き込み銅、鉛等の有害物を硫化物として除去し、次いでこの溶解液を用いて電解によりインジウムメタルを電解採取する技術が開示されている(特許文献4参照)。この技術も精製工程が複雑であるという問題がある。
ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶解して塩化インジウム溶液とし、この溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加して錫を水酸化錫として除去し、除去後さらに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水酸化インジウムとして、これをろ過し、ろ過後の水酸化インジウムを硫酸インジウムとし、これを用いて電解採取によりインジウムとする方法がある(特許文献5参照)。これは精製効果が大きく有効な方法であるが、工程が複雑であるという不利な点がある。
ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶解して塩化インジウム溶液とする工程、該塩化インジウム溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加してスクラップ中に含有する錫を水酸化錫として除去する工程、該水酸化錫を除去した後液から亜鉛によりインジウムを置換、回収する工程からなるインジウムの回収方法がある(特許文献6参照)。この方法も、精製効果が大きく有効な方法であるが、工程が複雑であるという不利な点がある。
溶融金属インジウムの上に浮上する亜酸化物含有鋳造スクラップを取り出して雰囲気炉に挿入し、一度炉を真空にした後、アルゴンガスを導入し、所定温度に加熱して亜酸化物含有鋳造スクラップを還元する金属インジウムの回収方法を開示する(特許文献7参照)。
これ自体は有効な方法であるが、ITOスクラップの基本的な回収方法ではないという欠点がある。
以上から、効率的かつ回収工程に汎用性がある方法が求められている。
特開昭62−290900号公報 特開平8−41560号公報 特開平3−82720号公報 特開2000−169991号公報 特開2002−69684号公報 特開2002−69544号公報 特開2002−241865号公報
本発明は、上記の問題を解決するために、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップから、インジウム及び亜鉛を効率良く回収する方法を提供することにある。
本発明は、IZOスクラップをpH調整した電解液中で電解することにより、インジウム及び亜鉛の水酸化物としてインジウム及び亜鉛を回収するIZOスクラップからの有価金属の回収方法を提供する。
本発明のIZOスクラップからの有価金属の回収方法は、アノード又はカソードに不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となるもう片方のカソード又はアノードにIZOスクラップを使用することが大きな特徴であるが、さらにこの場合、アノード及びカソードの双方の極性を周期的に反転して電解する、すなわち周期的に極性を交互に変化させて電解するものである(アノードの極性⇔カソードの極性の相互反転)。
これにより、インジウム及び亜鉛の水酸化物として効率良く回収することが可能となる。従来このような技術は存在せず、またこの方法を示唆するような一切の文献も存在していない。したがって、本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収方法は基本発明となるものである。
IZOスクラップは酸化物系セラミックスであるから、本来電解法で有価金属を回収することを予想することはできない。しかし、IZO自体が酸化物系セラミックスであるにもかかわらず導電性を有する。本願発明はここに着目し、電解による有価金属(インジウム又は亜鉛及びこれらの化合物)の回収を試み、それを可能としたものである。
IZO自体が導電性を備えていることは既に知られている。これは酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウム(In)の焼結体であるIZO酸化物の酸素欠損によるものと考えられている。本願発明は、このIZO自体の導電性を利用するものであるが、IZO自体に備わる導電性が、電解による有価金属の回収が可能であるという知見と判断さらには多くの実験を行わなければ実現できないものであることは理解されるべきものである。
従来のIZOスクラップの回収を行う場合には、IZOスクラップを粉砕し、これを強酸で溶解し、還元、置換、硫化、析出、中和、濾過、溶媒抽出、イオン交換、鋳造等の複数の工程を、適宜組み合わせる工程を経て製造されている。
これらの工程において問題となるのは、IZOスクラップの粉砕工程で不純物が混入することであり、その後の工程で、粉砕工程で混入した不純物を、さらに除去する必要があるので、工程がより煩雑になるということである。
したがって、IZOスクラップから電解により直接有価金属を回収できることは、極めて大きな利点を持つことが理解できるであろう。
本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収方法は、さらに電解時に電圧が一定レベル以上に上昇した時点で、アノード及びカソードの極性を反転することが望ましい。後述するように、アノード及びカソードの極性の変換は、回収効率を良くするための手段であり、電圧はその指標となるものである。したがって、電圧の上昇時点を検知し、それにより極性の反転時期を設定することができる。
一般に、設備が固定されれば、反転時期の定常的に最適条件が把握できるので、それに従って、一定の時期に反転させることもできる。したがって、このアノード及びカソード極性の反転時期のコントロールは、任意でありこの条件に拘束されるものでないことは容易に理解されるべきものである。
また、上記電解に際して、1分〜10分周期でアノード及びカソードの極性を反転するのが好適である。しかし、極性の反転の時期も亦、電解槽の容量、IZOスクラップの量、電流密度、電圧、電流、電解液の種類によって、任意に変更することができる条件である。これは好適な条件を示すものであって、上記と同様にこの条件に拘束されるものでないことは容易に理解されるであろう。
本願発明のIZOスクラップから有価金属を回収するに際しては、上記電解後、インジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができる。初期の電解液のpHは8〜12に調整するのが望ましい。これは、インジウム及び亜鉛の水酸化物として効率良く回収できる好適な条件である。
この場合、pH8未満又はpH12を超えると、イオンとして溶解し、電着するため効率が落ちるためである。
上記の通りpHの選択は任意である。本願発明は、極性を周期的に反転する電解によりインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することが、本願発明の本質であり、これが公知技術として存在しない限り、上記pHに限定されるべき理由はない。また、後にpHの工夫又は改良があったとしても、本願発明の上記思想の範囲内にあり、本願発明に包含されるものであることは明らかである。
電解液としては、有害ガスの発生がない液であり、またインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収する場合には、これらの物質中に不純物として含有されない材料を選択するのが望ましい。このことから、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して使用することができる。
しかし、生産効率を考慮し、IZOスクラップを電解することができるものであれば、上記以外の溶液も電解液として使用できることは理解されるであろう。電解液の選択は、あくまでIZOスクラップを電解できる条件に適合する溶液を任意に選択するものであって、本願発明の本質でないことは明らかである。
本願発明は、IZOスクラップからの有価金属の回収に際して、電解することにより得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を回収することにより、目的は達成しているのであるが、さらにこのインジウム及び亜鉛の水酸化物を焙焼してインジウム及び亜鉛の酸化物として回収することも可能である。
このように、一旦IZOスクラップから、インジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができれば、これらをさらに焙焼して酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物を得、そのままIZO材料の原料として使用することができる。また、必要に応じ、さらに酸化インジウム又は酸化亜鉛を添加して、その成分量を替え、あるいは他の元素を添加して、焼結しIZOターゲットを再生することも容易になし得るものである。本願発明はこれらを全て包含する。
さらに、上記電解することにより得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を酸浸出してインジウムと亜鉛の溶液とし、この溶液をpH調整して亜鉛を水酸化亜鉛として除去し、さらにインジウムを電解採取することもできる。
上記の通り、本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収は、電解に供するIZOスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度のインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することが可能である。
これは、本願発明の著しい利点であることは言うまでもない。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有するものである。
また、電流密度等の電解条件は、端材等のスクラップであるために一義的に決められるものではなく、電流密度はその端材の量や材料の性質に応じて適宜選択して実施する。電解質溶液の液温は、通常0〜100°Cの範囲とするが、室温(15〜30°C)で十分である。
インジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップを使用し、これを不溶性電極及びスクラップからなるカソードとして電解するだけなので、極めて簡便にインジウム及び亜鉛の水酸化物として、さらには酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物として効率良く回収することができるという優れた方法である。
さらに、本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収は、電解に供するIZOスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度のインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができる。
これは、本願発明の著しい利点である。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有する。
本発明は、IZOターゲットのインジウム含有スクラップを、電解により、簡便にインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができる。さらに得られたインジウム及び亜鉛の水酸化物を焙焼することにより、酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物として効率良く回収することができる。
焙焼温度としては、100〜1000°Cとする。好ましくは100〜500°Cとするのが良い。100°C未満では水分が残り、1000°Cを超えると焼結してしまうので、上記の範囲とするのが望ましい。しかし、この焙焼温度の選択は任意である。本願発明は上記の通り、本願発明の極性を周期的に反転する電解により得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を焙焼することが、本願発明の本質であり、これが公知技術として存在しない限り、上記焙焼温度に限定されるべき理由はない。また、後に焙焼温度の工夫又は改良があったとしても、本願発明の上記思想の範囲内にあり、本願発明に包含されるものであることは明らかである。
電解液としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して使用することができる。
また、陰イオンが塩素系の場合は、陽極の不働態化に伴って塩素ガスの発生があり、また硝酸系の場合は陽極不導体化に伴って酸化窒素ガスの発生と排水の窒素負荷があるので、その処理に注意を要する。
硫酸系ではこれらの問題は殆んどないので、硫酸系は好適な材料と言える。しかし、その他の電解液の使用も、上記の問題を解決できれば、使用を妨げる理由は存在しない。
この他に、電流効率を上げるために、一般に知られている公知の添加材を使用することも可能である。このように、酸化インジウムと酸化亜鉛を同時に回収できれば、再生IZOを製造することも容易になることが理解されるであろう。
電解装置として特別なものは必要としない。例えばアノード又はカソードに不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となる、もう片方のカソード又はアノードにIZOスクラップを使用して電解すれば良い。初期のアノード又はカソードを、不溶性電極にするか又はIZOスクラップにするかということは、特に問題となるものではない。その理由は、極性を周期的に反転するからである。本願発明は、いずれの場合にも適応できるものであることは、容易に理解されるべきものである。
これによって、IZOスクラップに含有されている以上の不純物の増加又は混入を避けることができる。不溶性電極としては、既に公知のものを使用できる。カーボン等が好ましい材料であるが、この不溶性電極に限定する必要はない。一般に不溶性電極と言われているものは全て適用可能である。不溶性電極の選択に本願発明の本質があるのではないことは、容易に理解できるであろう。
電解条件は原料の種類により、適宜に調整することが望ましい。この場合に調整する要素は、生産効率のみである。一般に、大電流、高電圧で電解する方が、生産性が良いと言える。しかし、これらの条件に限定される必要はなく、その選択は任意である。
また、電解温度も特に制限はないが、0〜100°Cに調整して電解することが望ましい。室温で十分電解することができる。端材となったスクラップは、カソードボックス(籠)に入れて電解すれば良い。スクラップ自体が所定の大きさ(電極として使用できるサイズ)を有するものは、そのまま電極板として使用することができる。
不溶性電極又はIZOスクラップからなるカソードに通電し、電解を開始すると、不溶性アノードでは、酸素ガスが発生する。しかし、この酸素ガスの発生は特に問題となるものではない。IZOスクラップのカソードでは、通電開始と共に水素ガスが発生し、IZOスクラップが水素還元され、インジウム−亜鉛メタルとなる(IZO+H→In−Znメタル)。水素の発生は水の電気分解による(HO→1/2H+OH)。
このインジウム−亜鉛メタルはIZOスクラップのカソードの表面に蓄積する。一部は水酸化インジウム及び水酸化亜鉛の混合物として析出する。
しかし、通電時間が長くなると、IZOスクラップのカソードの表面に若干の厚みのIn−Znメタルが蓄積し、In−Znメタル表層の下に、スポンジ状のIn−Zn亜酸化物が形成されるだけとなり、それ以上の還元が進行しなくなる。
これは、In−Znメタル表層が水素の浸透を抑制していること、またIn−Znメタル表層にのみ電流が流れ、IZOスクラップ内部への電流の流れが抑制されることが、電解の進行を妨害する主な原因と考えられる。この状態では、IZOスクラップのカソードにおいて、目的とする電解が抑制されることとなる。ここで、不溶性電極のアノードとIZOスクラップのカソードの極性を反転させる。これは極めて重要な工程である。
これによって新アノード(旧カソード)の表面に蓄積していたIn−Znメタルは、溶解する。電解液は中性領域に保持しているので、水酸化物として沈殿する。これによって得られた沈殿物は、インジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することができる。主な反応式で示すと(In−Zn→In3++Zn2+→In(OH)+Zn(OH))となる。新アノードではわずかな酸素の発生が認められる。
他方、新カソードでは(旧アノード)は、不溶性の電極を使用しているので、本質的には変動はなく、水素ガスが発生するのみである。
以上の工程によって、インジウム及び亜鉛の水酸化物の沈殿が促進される。しかし、この状態を継続すると、再び新カソードは表層のみがIn−Znメタル化するが、内部は通電しない状態となり、電解が進行しなくなる。この状態になる前に、再度極性を変換する。これを繰り返すことにより、定常的にインジウム及び亜鉛の水酸化物の沈殿を促進させることができる。
この電極を定期的に反転する工程を採用することにより、電極に発生するガス、すなわち水素及び酸素の発生は、アノード又はカソードの一方の固定電極とする場合に比べ、著しく減少する。これは発生ガスが酸化及び還元に有効に消費されていることを物語るものである。
アノード及びカソードの極性の変換は、回収効率を良くするための手段であり、電圧はその指標となるものである。したがって、電圧の上昇時点を検知し、それにより極性の反転時期を設定することができる。設備が固定されれば、経験的に反転時期の定常的に最適条件が把握できるので、それに従って、一定の時期に反転させることができる。
また、実験によれば、1分〜10分周期でアノード及びカソードの極性を反転するのが好適である。しかし、極性の反転の時期も亦、電解槽の容量、IZOスクラップの量、電流密度、電圧、電流、電解液の種類によって任意に変更することができる条件である。
次に、実施例について説明する。なお、本実施例は発明の一例を示すためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に含まれる他の態様及び変形を含むものである。
(実施例1)
横長20mm×縦長100mm×厚さ6tのIZO(酸化インジウム−酸化亜鉛)の板状端材(スクラップ)90gを原料とした。この原料中の成分は酸化亜鉛(ZnO)が10.7wt%、残部が酸化インジウム(In)であった(メタルの比率は、In:73.8wt%、Zn:8.6wt%であり、残部は酸素(O)である)。
この原料をカソードとし、アノードには不溶性陽極であるカーボンを使用した。硫酸ナトリウム70g/Lを含有する電解液1Lを使用し、pH:9.0、電解温度:30°Cとして電解を行った。
電圧は10V(定電圧)、電流は2.95A(開始時)〜1.2A(終了時)、通電時間(5分×12サイクルの極性変換)延べ60分(1時間)実施した。通常は、延べ時間600分(10時間)で実施する。。この結果、電解槽中に水酸化インジウム及び水酸化亜鉛の混合物が沈殿した。
これによって、In(OH)は10g(In品位:69.23wt%)、Zn(OH)は2g(Zn品位:7.73wt%)を得た。この水酸化インジウム及び水酸化亜鉛混合物の純度は、スクラップの純度と同等の純度を有していた。
(実施例2)
さらに、このようにして得た水酸化インジウム及び水酸化亜鉛混合物を、150°Cで焙焼して、In酸化物(In)及びZn酸化物(ZnO)の混合物を得ることができた。この混合物は約12gであった。この方法により得られる比率は、通常In:90wt%、ZnO:10wt%にあり、再生IZOの原料として使用可能であった。
(実施例3)
電解することにより得た水酸化インジウムと水酸化亜鉛混合物を、さらに硫酸で酸浸出してインジウムと亜鉛の溶液とし、さらにインジウムを電解温度30°C、電流密度2A/dmという条件で電解採取した。
以上により、IZOスクラップからInの有価金属を回収することができた。Inの歩留りは98%であった。
(実施例4)
実施例1のIZO端材をカソードに、アノードにPtを用い、硝酸ナトリウム100g/Lの液を用いて、pH10で電解を行った。この結果、インジウム及び亜鉛の水酸化物を得た。回収量及び純度は実施例1と同様であった。
(実施例5)
電流量を2Aと一定にし、電圧10V以上になった時点で極性を反転するように設定した。その他は、実施例1と同様の条件とし、積算電流量も同じとした。
この結果、回収量及び純度は実施例1とほぼ同等であった。
(実施例6)
周期を1分間とし、その他は実施例1と同じ条件で電解した。この結果、回収量及び純度は実施例1と同等であった。
(実施例7)
周期を10分間とし、その他は実施例1と同じ条件で電解した。この結果、約9gのIn酸化物(In)及びZn酸化物(ZnO)からなる混合物が得られた、純度は実施例1と同等であった。
(実施例8)
IZO端材をカソードボックスに10Kg入れ、アノードにPtを用い、塩化ナトリウム100g/L、pH10.5の電解液中で電解した。極性の変換は5分間隔で行った。また、電解の積算電流量は1万AHrであった。この結果、In酸化物(In)及びZn酸化物(ZnO)からなる混合物を約6kg得ることができた。また、得られた混合物の純度は実施例1と同程度であった。
(比較例1)
実施例1と同じIZOスクラップを用いて、これをカソードとし、アノードに不溶性カーボンを用いた。電解条件は実施例1と同様とした。この結果カソードには、インジウム−亜鉛メタルが得られたが、それはカソード表面のみであり、カソード全体のメタル化はできず、効果的な回収ができなかった。
上記の実施例においては、いずれも酸化亜鉛(ZnO)が10wt%前後、残部酸化インジウム(In)であるIZO(酸化インジウム−酸化亜鉛)端材又はスクラップを使用したが、In及びZnOの成分量に応じて、電流密度、pH等の電解条件を任意に変えることが可能であり、この原料の成分量に特に制限される必要がないことは言うまでもない。特に、IZOは酸化亜鉛(ZnO)の含有量を5wt%〜30wt%まで、変化させることがあるが、このような場合でも、本発明は十分に適用できる。
また、IZOにさらに少量の副成分を添加したものもあるが、基本的にIZOが基本成分であれば、本願発明は、これらにも適用できることは言うまでもない。
本願発明は、アノード又はカソードに不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となるもう片方のカソード又はアノードにIZOスクラップを使用し、かつ極性を変えることにより効率良く水酸化インジウム及び水酸化亜鉛の混合物としてIZOスクラップから有価金属を効率良く回収できることが分る。
本発明は、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するIZO端材等のIZOスクラップをカソードに使用し、これをアノード及びカソードとして電解するだけなので、極めて簡便に水酸化インジウム及び水酸化亜鉛の混合物として、さらには酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物として効率良く回収することができる。
さらに、本願発明のIZOスクラップからの有価金属の回収は、電解に供するIZOスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度の水酸化インジウムと水酸化亜鉛の混合物又は、酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物として回収することができる。
これは、本願発明の著しい利点である。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有し、IZOスクラップからの有価金属の回収方法として極めて有用である。

Claims (3)

  1. アノード又はカソードに不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となるもう片方のカソード又はアノードにIZOスクラップを使用し、極性を周期的に反転して電解し、IZOスクラップをインジウム及び亜鉛の水酸化物として回収することを特徴とするIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
  2. 電解することにより得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を焙焼してインジウム及び亜鉛の酸化物として回収することを特徴とする請求項1記載のIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
  3. 電解することにより得たインジウム及び亜鉛の水酸化物を酸浸出してインジウムと亜鉛の溶液とし、この溶液をpH調整して亜鉛を水酸化亜鉛として除去し、さらにインジウムを電解採取することを特徴とする請求項1記載のIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
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