JP4210715B2 - 導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法 - Google Patents

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Description

この発明は、使用済みインジウム−錫酸化物(ITO)スパッタリングターゲット又は製造時に発生するITO端材等のITOスクラップを代表例とする、導電性のある酸化物を含有するスクラップ(本願明細書においては、これらを以下「導電性のある酸化物を含有するスクラップ」と総称する)からの有価金属の回収方法に関する。なお、本願明細書で記載する「有価金属の回収」は、有価金属を構成要素とする酸化物、水酸化物等の化合物を含むものとする。
近年、インジウム−錫酸化物(In−SnO:一般にITOと称呼されている)スパッタリングターゲットは液晶表示装置の透明導電性薄膜やガスセンサーなど、多数の電子部品に広く使用されているが、多くの場合スパッタリング法による薄膜形成手段を用い、基板等の上に薄膜を形成して使用されている。ITOは導電性のある代表的な酸化物である。
導電性のある酸化物(導電性酸化物)はITOに限らず、IGZO(In−Ga−Zn−O系複合酸化物)、ZnO、Zn−SnO、SnO、Co−In−O系複合酸化物、Ni−Sn−O系複合酸化物、Cu−Ga−O系複合酸化物、Pb−Sn−O系複合酸化物、Cd−Zn−O系複合酸化物、Ca−Gu−O系複合酸化物、Sb−In−O系複合酸化物、Fe−Ge−O系複合酸化物、Pb−Sn−O系複合酸化物、Ti−In−O系複合酸化物など、多数の導電性のある酸化物が存在する。そして、同様にターゲットを作製し、これをスパッタリングして薄膜を形成し、各種の電子部品に利用されている。
このスパッタリング法による薄膜形成手段は優れた方法であるが、スパッタリングターゲットを用いて、例えば透明導電性薄膜を形成していくと、該ターゲットは均一に消耗していく訳ではない。このターゲットの一部の消耗が激しい部分を一般にエロージョン部と呼んでいるが、このエロージョン部の消耗が進行し、ターゲットを支持するバッキングプレートが剥き出しになる直前までスパッタリング操作を続行する。そして、その後は新しいターゲットと交換している。
したがって、使用済みのスパッタリングターゲットには多くの非エロージョン部、すなわち未使用のターゲット部分が残存することになり、これらは全てスクラップとなる。また、これらの導電性のある酸化物からなるスパッタリングターゲットの製造時においても、研磨粉や切削粉からスクラップ(端材)が発生する。
これらの導電性のある酸化物からなるスパッタリングターゲット材料には高純度材が使用されており、いずれも価格が高いので、一般にこのようなスクラップ材から原材料を回収することが行われている。このような高純度材の回収方法として、従来酸溶解法、イオン交換法、溶媒抽出法などの湿式精製を組合せた方法が用いられている。
例えば、ITOスクラップを洗浄及び粉砕後、塩酸に溶解し、溶解液に硫化水素を通して、亜鉛、錫、鉛、銅などの不純物を硫化物として沈殿除去した後、これにアンモニアを加えて中和し、水酸化インジウムとして回収する方法である。
しかし、この方法によって得られた水酸化インジウムは、ろ過性が悪く操作に長時間を要し、Si、Al等の不純物が多く、また生成する水酸化インジウムはその中和条件及び熟成条件等により、粒径や粒度分布が変動するため、その後ITOターゲットを製造する際に、ITOターゲットの特性を安定して維持できないという問題があった。導電性のある他の酸化物も同様である。
以下に、従来技術とその利害得失を紹介する。
その一つとして、基板上に被着されたITO膜を電解液中で電気化学的反応により還元させ、さらにこの還元された透明導電膜を電解液に溶解させる透明導電膜のエッチング方法がある(特許文献1参照)。但し、目的がマスクパターンを高精度で得る方法であり、回収方法とは異なる技術である。
ITOからの有価金属を回収するための事前処理として、バッキングプレートとの接合に用いていたIn系のロウ材に含まれる不純物を電解液中で分離する技術がある(特許文献2参照)。しかし、これはITOから有価金属を回収する直接的な技術に関するものではない。
亜鉛精錬工程の副産物として得られる中間物又はITOスクラップからインジウムを回収する際に、錫をハロゲン化錫酸塩として分離した後、塩酸又は硝酸水溶液で還元処理し、次いでこの水溶液のpHを2〜5に調整して、鉄、亜鉛、銅、タリウム等の金属イオンを還元し沈殿しにくい物質とし、水溶液中のインジウム成分を分離する技術が開示されている(特許文献3参照)。この技術は精製工程が複雑で、精製効果もそれほど期待できない問題がある。
また、高純度インジウムの回収方法として、ITOを塩酸で溶解し、これにアルカリを加えてpHが0.5〜4となるようにし、錫を水酸化物として除去し、次に硫化水素ガスを吹き込み銅、鉛等の有害物を硫化物として除去し、次いでこの溶解液を用いて電解によりインジウムメタルを電解採取する技術が開示されている(特許文献4参照)。この技術も精製工程が複雑であるという問題がある。
ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶解して塩化インジウム溶液とし、この溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加して錫を水酸化錫として除去し、除去後さらに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水酸化インジウムとして、これをろ過し、ろ過後の水酸化インジウムを硫酸インジウムとし、これを用いて電解採取によりインジウムとする方法がある(特許文献5参照)。これは精製効果が大きく有効な方法であるが、工程が複雑であるという不利な点がある。
ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶解して塩化インジウム溶液とする工程、該塩化インジウム溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加してスクラップ中に含有する錫を水酸化錫として除去する工程、該水酸化錫を除去した後液から亜鉛によりインジウムを置換、回収する工程からなるインジウムの回収方法がある(特許文献6参照)。この方法も、精製効果が大きく有効な方法であるが、工程が複雑であるという不利な点がある。
溶融金属インジウムの上に浮上する亜酸化物含有鋳造スクラップを取り出して雰囲気炉に挿入し、一度炉を真空にした後、アルゴンガスを導入し、所定温度に加熱して亜酸化物含有鋳造スクラップを還元する金属インジウムの回収方法を開示する(特許文献7参照)。
これ自体は有効な方法であるが、導電性のある酸化物の基本的な回収方法ではないという欠点がある。以上から、効率的かつ回収工程に汎用性がある方法が求められている。
特開昭62−290900号公報 特開平8−41560号公報 特開平3−82720号公報 特開2000−169991号公報 特開2002−69684号公報 特開2002−69544号公報 特開2002−241865号公報
本発明は、上記の問題を解決するために、導電性のある酸化物を含有するスパッタリングターゲットスクラップ又は製造時に発生する導電性のある酸化物の端材等のスクラップから、有価金属を効率良く回収する方法を提供することにある。
本発明は、導電性のある酸化物を含有するスクラップをpH調整した電解液中で電解することにより、水酸化物として有価金属を回収する導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法を提供する。この場合、導電性酸化物であり、その導電性の多少によらず、水素でメタル又は亜酸化物に還元できるものが含有されていれば、全ての酸化物に適応できるものである。
本発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法は、アノード及びカソードの双方に導電性のある酸化物を含有するスクラップを使用することが大きな特徴であるが、さらにこの場合、アノード及びカソードの双方極性を周期的に反転して電解する、すなわち周期的に極性を交互に変化させて電解するものである(アノードの極性⇔カソードの極性の相互反転)。これにより、水酸化物として効率良く回収することが可能となる。
従来このような技術は存在せず、またこの方法を示唆するような一切の文献も存在していない。したがって、本願発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法は基本発明となるものである。
導電性のある酸化物を含有するスクラップは酸化物系セラミックスであるから、本来電解法で有価金属を回収することを予想することはできない。しかし、本発明で回収の対象としている物質自体が、酸化物系セラミックスであるにもかかわらず導電性を有する。本願発明はここに着目し、電解による有価金属の回収を試み、それを可能としたものである。
ITO等の上記に列挙した物質自体が導電性を備えていることは既に知られていることであるが、これは例えば、ITOについて説明すれば、酸化錫(SnO)及び酸化インジウム(In)の焼結体であるITO酸化物の酸素欠損によるものと考えられている。上記の他の、導電性のある酸化物も同様である。
本願発明は、このような物質自体の導電性を利用するものであるが、ITO等の物質自体に備わる導電性が電解による有価金属の回収が可能であるという知見と判断は、多くの実験を行わなければ実現できないものであることは理解されるべきものである。
例えば、従来のITO等の導電性のある酸化物を含有するスクラップから有価金属の回収を行う場合には、同スクラップを粉砕し、これを強酸で溶解し、還元、置換、硫化、析出、中和、濾過、溶媒抽出、イオン交換、鋳造等の複数の工程を適宜組合せる工程を経て製造されている。
これらの工程において問題となるのは、導電性のある酸化物を含有するスクラップの粉砕工程で不純物が混入することであり、その後の工程で、粉砕工程で混入した不純物を、さらに除去する必要があるので、工程がより煩雑になるということである。
したがって、導電性のある酸化物を含有するスクラップから電解により直接有価金属を回収できることは、極めて大きな利点を持つことが理解できるであろう。
本願発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法は、さらに電解時に電圧が一定レベル以上に上昇した時点で、アノード及びカソードの極性を反転することが望ましい。後述するように、アノード及びカソードの極性の変換は、回収効率を良くするための手段であり、電圧はその指標となるものである。したがって、電圧の上昇時点を検知し、それにより極性の反転時期を設定することができる。
一般に、設備が固定されれば、反転時期の定常的に最適条件が把握できるので、それに従って、一定の時期に反転させることもできる。したがって、このアノード及びカソード極性の反転時期のコントロールは、任意であり、この条件に拘束されるものでないことは容易に理解されるべきものである。
また、上記電解に際して、1分〜10分周期でアノード及びカソードの極性を反転するのが好適である。しかし、極性の反転の時期も亦、電解槽の容量、導電性のある酸化物を含有するスクラップの量、電流密度、電圧、電流、電解液の種類によって、任意に変更することができる条件である。これは好適な条件を示すものであって、上記と同様にこの条件に拘束されるものでないことは容易に理解されるであろう。
本願発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップから有価金属を回収するに際しては、中性の電解液を用いて電解し、水酸化物として回収する。例えば、代表的なスクラップであるITOスクラップの場合、初期の電解液のpHは2〜12に調整するのが望ましい。これは、水酸化物として効率良く回収できる好適な条件である。しかし、それ以外の物質(スクラップ)は、その種類により、水酸化物が生成できる領域が異なるので、上記領域に限定する必要がない理由の一つでもある。
電解液としては、有害ガスの発生がない液であり、また水酸化物として回収する場合に、これらの物質に不純物として含有されない材料を選択するのが望ましい。このことから、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して使用することができる。
しかし、生産効率を考慮し、導電性のある酸化物を含有するスクラップを電解することができるものであれば、上記以外の溶液も電解液として使用できることは理解されるであろう。電解液の選択は、あくまで導電性のある酸化物を含有するスクラップを電解できる条件に適合する溶液を任意に選択するものであって、本願発明の本質でないことは明らかである。
本願発明は、導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収に際して、電解することにより得た水酸化物を回収することにより、目的は達成しているのであるが、さらにこの水酸化インジウムを焙焼してインジウム及び錫の酸化物とし、酸化インジウム及び酸化錫の混合物として回収することも可能である。
このように、一旦導電性のある酸化物を含有するスクラップから、水酸化物として回収することができれば、これらをさらに焙焼して金属酸化物又は2種以上の金属酸化物の混合物を得、そのまま導電性のある酸化物の原料として使用することができる。また、必要に応じ、さらに他の金属又は酸化物を添加して、その成分量を替え、焼結して新たな導電性のある酸化物ターゲットとして再生することも容易になし得るものである。本願発明はこれらを全て包含する。
さらに、上記電解することにより得た水酸化物を酸浸出して、金属の溶液とし、この溶液をpH調整して分離し、それぞれの金属を採取することもできる。
上記の通り、本願発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収は、電解に供する導電性のある酸化物を含有するスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度の水酸化物として回収することが可能である。
これは、本願発明の著しい利点であることは言うまでもない。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有するものである。
また、電流密度等の電解条件は、端材等のスクラップであるために一義的に決められるものではなく、電流密度はその端材の量や材料の性質に応じて適宜選択して実施する。電解質溶液の液温は、通常0〜100°Cの範囲とするが、室温(15〜30°C)で十分である。
導電性のある酸化物を含有するスパッタリングターゲット又は製造時に発生する導電性のある酸化物の端材等の導電性のある酸化物を含有するスクラップを使用し、これをアノード及びカソードとして電解するだけなので、極めて簡便に水酸化物として、効率良く回収することができるという優れた方法である。さらに、本願発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収は、電解に供する導電性のある酸化物を含有するスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度の水酸化物として回収することができる。これは、本願発明の著しい利点である。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有する。
本発明は、導電性のある酸化物を含有する有価金属含有スクラップを、電解により、簡便に水酸化物として回収することができる。さらに得られ水酸化物を焙焼することにより、各種金属酸化物又はそれらの混合物として効率良く回収することができる。
焙焼温度としては、100〜1000°Cとする。好ましくは100〜500°Cとするのが良い。100°C未満では水分が残り、1000°Cを超えると焼結してしまうので、上記の範囲とする。
電解液としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して使用することができる。
陰イオンが塩素系の場合は、陽極の不導体化に伴って塩素ガスの発生があり、また硝酸系の場合は陽極不導体化に伴って酸化窒素ガスの発生と排水の窒素負荷があるので、その処理に注意を要する。
硫酸系ではこれらの問題は殆んどないので、硫酸系は好適な材料と言える。しかし、その他の電解液の使用も、上記の問題を解決できれば、使用を妨げる理由は存在しない。
この他に、電流効率を上げるために、一般に知られている公知の添加材を使用することも可能である。このように、2種以上の構成元素の酸化物を同時に回収できれば、再生導電性のある酸化物を製造することも容易になることが理解されるであろう。
電解装置として特別なものは必要としない。例えば電解する導電性のある酸化物を含有するスクラップをアノード及びカソードとして電解すれば良い。これによって、導電性のある酸化物を含有するスクラップに含有されている以上の、不純物の増加又は混入を避けることができる。
電解条件は原料の種類により、適宜に調整することが望ましい。この場合に調整する要素は、生産効率のみである。一般に、大電流、高電圧で電解する方が、生産性が良いと言える。しかし、これらの条件に限定される必要はなく、その選択は任意である。
また、電解温度も特に制限はないが、0〜100°Cに調整して電解することが望ましい。室温で十分電解することができる。端材となったスクラップは、それぞれアノードボックス(籠)又はカソードボックス(籠)に入れて電解すれば良い。スクラップ自体が所定の大きさ(電極として使用できるサイズ)を有するものは、そのまま電極板として使用することができる。
導電性のある酸化物を含有するスクラップからなるアノード及び導電性のある酸化物を含有するスクラップからなるカソードに通電し、電解を開始すると、導電性のある酸化物を含有するスクラップのアノードでは、酸素ガスが発生し、かつ導電性のある酸化物の構成成分元素である金属がそれぞれ溶解してくる(例えば、ITOではITO→In2++Sn2+となる)。
溶解した導電性のある酸化物を構成するそれぞれの金属は水酸化物として電解液中に析出する。電解当初はこの溶解量は電流効率として10〜50%程度であるが、導電性のある酸化物を含有するスクラップの表面にはスラッジが発生するようになり、次第に溶解量が減少し、最終的には溶解しなくなる。
この原因は必ずしもはっきりしないが、アノードに発生する酸素のガスによって酸素欠損による導電性のある酸化物の導電性が失われ、導電性のある酸化物を含有するスクラップ自体が通電しなくなり、アノード電極としての役目を担うことができなくなったと推察される。いずれにしても、このままの状態では導電性のある酸化物を含有するスクラップの溶解が進まず、電解が困難となる。但し、この発生するスラッジを導電性のある酸化物を含有するスクラップから効果的に除去できれば、溶解は可能となる。
他方、導電性のある酸化物を含有するスクラップのカソードでは、通電開始と共に水素ガスが発生し、導電性のある酸化物を含有するスクラップが水素還元され、構成物質のメタルとなる。例えばITOでは、インジウム−錫メタルとなる(ITO+H→In−Snメタル+HO)。水素の発生は水の電気分解による(HO→1/2H+OH)。この構成物質のメタル(例えば、インジウム−錫メタル)は導電性のある酸化物を含有するスクラップのカソード表面に生成する。
しかし、通電時間が長くなると、導電性のある酸化物を含有するスクラップのカソードの表面に若干の厚みの、構成物質のメタルが生成した状態で停止し、メタル表層の下に、スポンジ状の金属亜酸化物が形成されるだけとなり、それ以上の還元が進行しなくなる。
これは、メタル表層が水素の浸透を抑制していること、またメタル表層にのみ電流が流れ、抵抗の高い導電性のある酸化物を含有するスクラップ内部への電流の流れが抑制されることが、電解の進行を妨害する主な原因と考えられる。
この状態では、導電性のある酸化物を含有するスクラップのアノード及びカソードにおいて、いずれも目的とする電解が抑制されることとなる。ここで、導電性のある酸化物を含有するスクラップのアノードと同カソードの極性を反転させる。これは極めて重要な工程である。
これによって新アノード(旧カソード)の表面に蓄積していたメタルは、溶解する。電解液は中性領域に保持しているので、水酸化物として沈殿する。これによって得られた沈殿物は、水酸化物として回収することができる。例えば、ITOの場合、主な反応式で示すと(In−Sn→In3++Sn2+→In(OH)+Sn(OH))となる。
新アノードではわずかな酸素の発生が認められるがその量は少ない。新アノードでは亜酸化物からの金属の溶解も伴っている。これらも同様に水酸化物として沈殿すると考えられる。
他方、新カソード(旧アノード)では、不働態化したスラッジはカソード表面に発生した水素により還元され構成物質のメタルとなる。
しかし、この状態を継続すると、再び新アノードは不働態化し、新カソードは表層のみがメタル化して電解が進行しなくなる。この状態になる前に、再度極性を変換する。これを繰り返すことにより、定常的に水酸化物の沈殿を促進させることができる。
この電極を定期的に反転する工程を採用することにより、電極に発生するガス、すなわち水素及び酸素の発生は、アノード又はカソードの一方の固定電極とする場合に比べ、著しく減少する。これは発生ガスが酸化及び還元に有効に消費されていることを物語るものである。
アノード及びカソードの極性の変換は、回収効率を良くするための手段であり、電圧はその指標となるものである。したがって、電圧の上昇時点を検知し、それにより極性の反転時期を設定することができる。設備が固定されれば、経験的に反転時期の定常的に最適条件が把握できるので、それに従って、一定の時期に反転させることができる。
また、実験によれば、1分〜10分周期でアノード及びカソードの極性を反転するのが好適である。しかし、極性の反転の時期も亦、電解槽の容量、導電性のある酸化物を含有するスクラップの量、電流密度、電圧、電流、電解液の種類によって任意に変更することができる条件である。
次に、実施例について説明する。なお、本実施例は発明の一例を示すためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に含まれる他の態様及び変形を含むものである。
(実施例1)
横長20mm×縦長100×厚さ6tのITO(酸化インジウム−酸化錫)の板状端材(スクラップ)90gを原料とした。この原料中の成分は酸化錫(SnO)が9.8wt%、残部が酸化インジウム(In)であった。
この原料をアノード及びカソードとし、硫酸ナトリウム70g/Lを含有する電解液1Lを使用し、pH:4.0、電解温度:25°Cとして電解を行った。電圧は10Vと一定電圧にし、通電時間(5分×12サイクルの極性変換)延べ時間60分(1時間)で実施した。電流は5分間の間に、2.95A(開始時)〜1.2A(終了時)と変化した。
この結果、ITO端材は4.2gの減少があった。電解槽中には水酸化インジウム及び水酸化錫の混合物が沈殿した。これによって、インジウムの水酸化物は約4.5g(In品位:69wt%)、錫の水酸化物は約0.4g(Sn品位:7.7wt%)を得た。この水酸化インジウム及び水酸化錫の混合物の純度は、スクラップの純度と同等の純度を有していた。
なお、この実施例1において、pHの条件を、pH11.5及びpH0.5に替えて電解を実施したところ、液中にインジウムイオン、錫イオンが少量存在するだけで、生産性のある水酸化物が得られず、最終的にカソード側の表面にインジウム−錫メタルが存在するだけとなるので、収率を上げるためには、pH1.0〜11の範囲で実施することが望ましいと言える。
(実施例2)
さらに、このようにして得た水酸化インジウム及び水酸化錫の混合物を、150°Cで焙焼して、In酸化物(In)及びSn酸化物(SnO)の混合物を得ることができた。この混合物は約4.1gであった。この方法により得られる比率は、通常In:90wt%、SnO:9.7wt%にあり、再生ITOの原料として使用可能であった。
(実施例3)
実施例1の方法で電解することにより得た水酸化インジウムと水酸化錫の混合物を、さらに硫酸で酸浸出してインジウムと錫の溶液とし、この溶液をpH2.0に調整して錫を水酸化錫として除去し、さらにインジウムを電解温度30°C、電流密度2A/dmという条件で電解採取した。
以上により、ITOスクラップから約3gのInの有価金属を回収することができた。
(実施例4)
実施例1と同等のITO端材をアノードとカソードに用い、電解液として硝酸ナトリウム100g/Lの液を用い、pH10とし、その他の条件は、実施例1と同様の条件で電解を実施した。その結果、インジウムの水酸化物とメタ錫酸を得た。この場合の回収量と純度は、実施例1と同等であった。
(実施例5)
実施例1の条件において、電流量を2Aに一定とし、電圧が10V以上になった時点で、極性を反転するように設定した(他の条件は実施例と同一である)。また、積算電流量も実施例1と同一とした。この結果、インジウムの水酸化物とメタ錫酸を得た。この場合の回収量と純度は、実施例1と同等であった。
(実施例6)
実施例1の条件において、周期だけを1分間、10分間に変え、他の条件を実施例1と同等の条件で電解した。これによって、インジウムの水酸化物は約4g(In品位:69wt%)、錫の水酸化物は約0.4g(Sn品位:7.7wt%)を得た。この水酸化インジウム及び水酸化錫の混合物の純度は、スクラップの純度と同等の純度を有していた。
(実施例7)
ITOスクラップをアノードボックスとカソードボックスに、それぞれ100kg挿入し、電解液として硫酸ナトリウム70g/L、pH10.5、反転周期を5分間として、積算電流量で10000AHrの電解を実施した。他の条件は実施例1と同等である。
これによって、インジウムと錫の水酸化物は約13kgを得た。この水酸化インジウム及び水酸化錫の混合物の純度は、スクラップの純度と同等の純度を有していた。
(実施例8)
実施例3の条件で、酸浸出を硫酸で行ったが、これを硝酸で酸浸出すると、インジウムの溶液のみとなり、錫はメタ錫酸となり溶解しなかった。この硝酸で酸浸出したインジウム溶液を、電解採取することにより、3gのインジウムメタルを得ることができた。
(比較例1)
実施例1と同等のITOスクラップを用いて、アノードのみにITOを用い、カソードにはチタン板を用いた。電解液として硫酸ナトリウム70g/Lを用い、pH4.5とし、60分間電解を行った。得られたインジウムと錫の酸化物の合計量は、0.4gであり、実施例1と比較して、回収量が著しく少なかった。
(比較例2)
実施例1と同等のITOスクラップ(端材)を原料とし、カソードのみにITOを用い、アノードには不溶性のカーボンを用いた。電解液には実施例1と同様に硫酸ナトリウムを用い、他の条件は実施例1と同等の条件として、電解を行った。この結果、ITOスクラップ(端材)の表面に、インジウム−錫メタルが約0.5gしか得られなかった。実施例に比べ収率は著しく劣っていた。
上記の実施例1〜8においては、いずれも酸化錫(SnO)が9.7wt%、残部酸化インジウム(In)であるITO(酸化インジウム−酸化錫)端材又はスクラップを使用したが、In及びSnOの成分量に応じて、電流密度、pH等の電解条件を任意に変えることが可能であり、この原料の成分量に特に制限される必要がないことは言うまでもない。特に、ITOは酸化錫(SnO)の含有量を5wt%〜30wt%まで、変化させることがあるが、このような場合でも、本発明は十分に適用できる。
また、ITOにさらに少量の副成分を添加したものもあるが、基本的にITOが基本成分であれば、本願発明は、これらにも適用できることは言うまでもない。
次に、ITO以外の実施例について説明する。
(実施例9)
・回収対象スクラップ:IGZO(In‐Ga‐Zn‐O系複合酸化物)
IGZO系の板状端材スクラップを電極とし、硫酸ナトリウム70g/Lを含有する電解液1Lを用いて、pH9、温度20°Cで電解を行なった。電解は、電圧10Vになった時点で、周期的に極性変換(カソード→アノード→カソード・・・)して実施した。その結果、In,Ga,Znの水酸化物を得た。歩留まりは98%であった。
その後は、通常実施されている湿式方法(酸浸出→溶媒抽出→電解等)を使用することにより、In,Ga,Znのメタルあるいは酸化物の回収を行なうことができた。
以上のように、導電性があるIGZO(In‐Ga‐Zn‐O系複合酸化物)は、効率良く有価物(金属)を回収することが可能であった。
(実施例10)
・回収対象スクラップ:ZnO
ZnO の板状端材スクラップを電極とし、硫酸アンモニウム50g/Lを含有する電解液を用いて、pH10、温度50°Cで電解を行なった。電解は、電圧15Vになった時点で、周期的に極性変換を行なって実施した。その結果、Znの水酸化物が得られた。歩留まりは99.5%であった。純度は、元材(原料の純度)と同一であった。
この水酸化物を用いて、再度脱水、焼結することによりZnOターゲットとして使用可能であった。以上のように、導電性がある酸化物であるZnOは、効率良く回収することが可能であった。
(実施例11)
・回収対象スクラップ:ZnO‐SnO
ZnO‐SnOの端材スクラップを電極とし、硫酸ナトリウム100g/Lを含有する電解液を用いて、pH9、電解温度70°Cで電解を行なった。
電解は、5分後毎に周期的に極性を反転させた。その結果、ZnとSnの水酸化物が得られた。歩留まりは99.0%であった。以上のように、導電性酸化物であるZnO‐SnOは、効率良くZnとSnの水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例12)
・回収対象スクラップ:SnO
SnOの端材スクラップを、硫酸ナトリウム70g/Lの溶液で、pH2、電解温度30°Cで行なった。電解は10分毎に周期的に反転させて行った。その結果、Snの水酸化物を得た。歩留まりは99.7%であった。以上のように、導電性酸化物であるSnOは、効率良くSnの水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例13)
・回収対象スクラップ:Co‐In‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH9とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは97.0%であった。
実施例9と同様に、導電性があるCo‐In‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例14)
・回収対象スクラップ:Ni‐Sn‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは97.7%であった。
実施例9と同様に、導電性があるNi‐Sn‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例15)
・回収対象スクラップ:Cu‐Ga‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH9とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは99.1%であった。
実施例9と同様に、導電性があるCu‐Ga‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例16)
・回収対象スクラップ:Pb‐Sn‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH10とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは99.5%であった。
実施例9と同様に、導電性があるPb‐Sn‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例17)
・回収対象スクラップ:Cd‐Zn‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは98.1%であった。
実施例9と同様に、導電性があるCd‐Zn‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例18)
・回収対象スクラップ:Ga−Cu−O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH10とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは99.6%であった。
実施例9と同様に、導電性があるGa−Cu−O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例19)
・回収対象スクラップ:Sb‐In‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH8とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは98.7%であった。
実施例9と同様に、導電性があるSb‐In‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例20)
・回収対象スクラップ:Fe‐Ge‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは96.7%であった。
実施例9と同様に、導電性があるFe‐Ge‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例21)
・回収対象スクラップ:Pd‐Sn‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは99.8%であった。
実施例9と同様に、導電性があるPd‐Sn‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
(実施例22)
・回収対象スクラップ:Ti‐In‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは93.7%であった。
実施例9と同様に、導電性があるTi‐In‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
上記実施例9〜24に示す通り、ITOのみならず、それ以外の導電性酸化物のスクラップを使用し、かつ極性を変えることにより効率良く水酸化物又は水酸化物と亜水酸化物等の混合物として導電性のある酸化物を含有するスクラップから有価金属を効率良く回収できることが分る。
本発明は、導電性のある酸化物を含有するスパッタリングターゲット又は製造時に発生する導電性のある酸化物の端材等の導電性のある酸化物を含有するスクラップを使用し、これをアノード及びカソードとして電解するだけなので、極めて簡便に水酸化物又は水酸化物と亜水酸化物等の混合物として、さらには金属酸化物又は各種金属酸化物の混合物として効率良く回収することができる。さらに、本願発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収は、電解に供する導電性のある酸化物を含有するスクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度の水酸化物又は水酸化物と亜水酸化物等又は金属酸化物又は各種金属酸化物の混合物として回収することができる。これは、本願発明の著しい利点である。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有し、導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法として極めて有用である。

Claims (2)

  1. 導電性のある酸化物を含有するスクラップを使用し、極性を周期的に反転して電解することにより、水酸化物として回収することを特徴とする導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法。
  2. 酸化物系スクラップが、導電性のある酸化物であり、水素でメタル又は亜酸化物に還元できる物質であることを特徴とする請求項1記載の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法。
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