JPWO2003080898A1 - 電解加工装置及び電解加工方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、例えばCMP処理そのものを省略したり、CMP処理の負荷を極力低減しつつ、基板表面に設けられた導電性材料を平坦に加工したり、更には基板等の被加工物の表面に付着した付着物を除去(洗浄)できるようにした電解加工装置を提供する。電極と電極の表面を覆うイオン交換体とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、電極部材のイオン交換体に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、電極部の各電極部材の電極に接続される電源とを備え、電極部材のイオン交換体は、表面平滑性に優れたイオン交換体と、イオン交換容量の大きいイオン交換体とを有する。

Description

技術分野
本発明は、電解加工装置及び電解加工方法に係り、特に半導体ウェハ等の基板の表面に形成された導電性材料を加工したり、基板の表面に付着した不純物を除去したりするために使用される電解加工装置及び電解加工方法に関するものである。本発明はまた、かかる電解加工装置において被加工物である基板を保持する基板保持部に関するものである。本発明は更に、上記電解加工装置を備えた基板処理装置に関するものである。
背景技術
近年、半導体ウェハ等の基板上に回路を形成するための配線材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅(Cu)を用いる動きが顕著になっている。この種の銅配線は、基板の表面に設けた微細凹みの内部に銅を埋め込むことによって一般に形成される。この銅配線を形成する方法としては、化学気相成長法、スパッタリング及びめっきといった手法があるが、いずれにしても、基板のほぼ全表面に銅を成膜して、化学機械的研磨により不要の銅を除去するようにしている。
図1A乃至図1Cは、この種の銅配線基板Wの一製造例を工程順に示すものである。図1Aに示すように、半導体素子が形成された半導体基材1上の導電層1aの上にSiOからなる酸化膜やlow−k材膜などの絶縁膜2が堆積され、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール3と配線用の溝4が形成されている。これらの上にTaN等からなるバリア膜5、更にその上に電解めっきの給電層としてのシード層7がスパッタリングやCVD等により形成されている。
そして、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、図1Bに示すように、半導体基材1のコンタクトホール3及び溝4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学機械的研磨(CMP)により、絶縁膜2上の銅膜6及びバリア膜5を除去して、コンタクトホール3及び配線用の溝4に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図1Cに示すように銅膜6からなる配線が形成される。
また、最近ではあらゆる機器の構成要素において微細化かつ高精度化が進み、サブミクロン領域での物作りが一般的となるにつれて、加工法自体が材料の特性に与える影響は益々大きくなっている。このような状況下においては、従来の機械加工のように、工具が被加工物を物理的に破壊しながら除去していく加工方法では、加工によって被加工物に多くの欠陥を生み出してしまうため、被加工物の特性が劣化してしまう。従って、いかに材料の特性を損なうことなく加工を行うことができるかが問題となってくる。
この問題を解決する手段として開発された特殊加工法に、化学研磨や電解加工、電解研磨がある。これらの加工方法は、従来の物理的な加工とは対照的に、化学的溶解反応を起こすことによって、除去加工等を行うものである。従って、塑性変形による加工変質層や転位等の欠陥は発生せず、上述の材料の特性を損なわずに加工を行うといった課題が達成される。
近年、半導体基板上に強誘電体を用いたキャパシタを形成する際の電極材料として、白金属の金属乃至その酸化物が候補として上がっている。中でもルテニウムは、成膜性が良好であることから、実現性の高い材料として検討が進んでいる。
ここで、回路形成部以外の基板の周縁部及び裏面に成膜乃至付着したルテニウムは不要であるばかりでなく、その後の基板の搬送、保管及び各種処理工程において、クロスコンタミネーションの原因となり、例えば、誘電体の性能を低下させることも起こり得る。従って、ルテニウム膜の成膜工程やルテニウム膜に対して何らかの処理を行った後で、これらを完全に除去しておく必要がある。更に、例えば、キャパシタの電極材料としてルテニウムを使用した場合には、回路形成部に成膜したルテニウム膜の一部を除去する工程が忍要となる。
例えば、CMP工程は、一般にかなり複雑な操作が必要で、制御も複雑となり、加工時間もかなり長い。更に、研磨後の基板の後洗浄を十分に行う必要があるばかりでなく、スラリーや洗浄液の廃液処理のための負荷が大きい等の課題がある。このため、CMP自体を省略する、あるいはこの負荷を軽減することが強く求められている。また、今後、絶縁膜も誘電率の小さいlow−k材に変わると予想され、このlow−k材は、強度が弱くCMPによるストレスに耐えられなくなる。従って、CMPのような過大なストレスを基板に与えることなく、平坦化できるようにしたプロセスが望まれている。
なお、化学機械的電解研磨のように、めっきをしながらCMPで削るというプロセスも発表されているが、めっき成長面に機械加工が付加されることで、めっきの異常成長を促すことにもなり、膜質に問題を起こしている。
上述した電解加工や電解研磨では、被加工物と電解液(NaCl,NaNO,HF,HCl,HNO,NaOH等の水溶液)との電気化学的相互作用によって加工が進行するとされている。従って、このような電解質を含む電解液を使用する限り、その電解液で被加工物が汚染されることは避けられない。
また、半導体装置の製造プロセスにおいて、low−k材などの脆弱な材料を加工する場合には、素材の座屈等による破壊が懸念されるため、CMP等の加工においては、基板と研磨面との間に高い面圧をかけることができず、十分な研磨性能を発揮することができない。特に、最近では、基板の配線材料として銅や低誘電率の材料を使用することが望まれており、このような脆弱な材料を用いた場合には、上述の問題が顕著になる。電解加工においては、基板と加工電極との間に面圧をかける必要はないが、基板と加工電極とを接触させる際に面圧が発生して半導体デバイスを破壊する可能性がある。従って、電解加工においても基板に高荷重がかかることを避ける必要がある。
電気化学的加工において、反応種であるイオンは、加工電極及び給電電極と被加工物との間に生じる電界により被加工物表面に移動する。従って、イオンの移動に対する阻害物が発生した場合に、加工の一様性や均一性に影響を受ける。ここで、阻害物としては、被加工物表面において加工過程で被加工物とイオンとの電気化学的反応により生じる加工生成物や、イオン交換体と被加工物との相対運動により発生するイオン交換体からの遊離物、被加工物と電極表面において副反応により生成する気泡(ガス)等が挙げられる。これらの阻害物は、電極と被加工物の間に存在することでイオンの移動の妨げになり、加工量の一様化及び均一化を図る上での妨げとなる。特に気泡は、被加工物表面にピットを生成する要因となる。
発明の開示
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、例えばCMP処理そのものを省略したり、CMP処理の負荷を極力低減しつつ、基板表面に設けられた導電性材料を平坦に加工したり、更には基板等の被加工物の表面に付着した付着物を除去(洗浄)できるようにした電解加工装置及び電解加工方法、並びにかかる電解加工装置を組み込んだ基板処理装置を提供することを第1の目的とする。
本発明はまた、脆弱な材料を加工する場合においても基板に形成されたデバイスを破壊することなく加工を行うことができる電解加工方法及び電解加工装置、並びにかかる電解加工装置に用いられる基板保持部を提供することを第2の目的とする。
本発明はまた、電気化学的加工に際して、必然的に発生する気泡を効果的に除去できるようにした電解加工装置及び電解加工方法を提供することを第3の目的とする。
このような従来技術における問題点を解決するために、本発明の電解加工装置は、電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、前記電極部材のイオン交換体に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、前記電極部の各電極部材の電極に接続される電源とを備え、前記電極部材のイオン交換体は、表面平滑性に優れたイオン交換体と、イオン交換容量の大きいイオン交換体とを有することを特徴とする。
図2及び図3は、本発明の加工原理を示すものである。図2は、被加工物10の表面に、加工電極14に取り付けたイオン交換体12aと、給電電極16に取り付けたイオン交換体12bとを接触または近接させ、加工電極14と給電電極16との間に電源17を介して電圧を印加しつつ、加工電極14及び給電電極16と被加工物10との間に流体供給部19から超純水等の流体18を供給した状態を示している。図3は、被加工物10の表面に、加工電極14に取り付けたイオン交換体12aを接触または近接させ、給電電極16を被加工物10に直接接触させて、加工電極14と給電電極16との間に電源17を介して電圧を印加しつつ、加工電極14と被加工物10との間に流体供給部19から超純水等の流体18を供給した状態を示している。
超純水のような液自身の抵抗値が大きい液体を使用する場合には、イオン交換体12aを被加工物10の表面に「接触させる」ことが好ましく、このようにイオン交換体12aを被加工物10の表面に接触させることにより、電気抵抗を低減させることができ、印加電圧も小さくて済み、消費電力も低減できる。従って、本発明に係る加工における「接触」は、例えばCMPのように物理的なエネルギー(応力)を被加工物に与えるために、「押し付ける」ものではない。
図2及び図3において、超純水等の流体18中の水分子20をイオン交換体12a,12bで水酸化物イオン22と水素イオン24に解離し、例えば生成された水酸化物イオン22を、被加工物10と加工電極14との間の電界と超純水等の流体18の流れによって、被加工物10の加工電極14と対面する表面に供給して、ここでの被加工物10近傍の水酸化物イオン22の密度を高め、被加工物10の原子10aと水酸化物イオン22を反応させる。反応によって生成された反応物質26は、超純水等の流体18中に溶解し、被加工物10の表面に沿った超純水等の流体18の流れによって被加工物10から除去される。これにより、被加工物10の表面層の除去加工が行われる。
このように、本加工法は、純粋に被加工物との電気化学的相互作用のみにより被加工物の除去加工を行うものであり、CMPのような研磨部材と被加工物との物理的な相互作用及び研磨液中の化学種との化学的相互作用の混合による加工とは加工原理が異なるものである。この方法では、被加工物10の加工電極14と対面する部位が加工されるので、加工電極14を移動させることで、被加工物10の表面を所望の表面形状に加工することができる。
なお、本発明に係る電解加工装置は、電気化学的相互作用による溶解反応のみにより被加工物の除去加工を行うため、CMPのような研磨部材と被加工物との物理的な相互作用及び研磨液中の化学種との化学的相互作用の混合による加工とは加工原理が異なるものである。従って、材料の特性を損なわずに除去加工を行うことが可能であり、例えば前述のlow−k材に挙げられる機械的強度の小さい材料に対しても、物理的な相互作用を及ぼすことなく除去加工が可能である。また、通常の電解加工装置と比較しても、電解液に500μS/cm以下の液体、好ましくは純水、更に好ましくは超純水を用いるため、被加工物表面への汚染も大幅に低減させることが可能であり、また加工後の廃液の処理も容易となる。
また、上述したように、表面平滑性に優れたイオン交換体とイオン交換容量の大きいイオン交換体とを組み合わせることにより、イオン交換容量が少ないという表面平滑性に優れたイオン交換体の短所をイオン交換容量の大きいイオン交換体により補うことができる。
前記電極部の各電極部材の電極の内部に、前記イオン交換体に流体を供給する貫通孔を形成することが好ましい。
隣り合う前記電極部材の電極を、前記電源の陰極と陽極とに交互に接続するようにしてもよい。
本発明の他の電解加工装置は、電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、前記電極部材のイオン交換体に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、前記電極部の各電極部材の電極に接続される電源と、前記被加工物と前記電極部材のイオン交換体との間に流体を供給する流体供給ノズルを備えたことを特徴とする。このような構成により、純水または超純水などの流体を被加工物と電極部材のイオン交換体との間に噴射して供給することができる。
前記流体供給ノズルは、前記電極部材に対向する被加工物の被加工面に向けて前記流体を噴射する噴射口を有することが好ましい。このような構成により、電極部材に対向する被加工物の被加工面、すなわち被加工物とイオン交換体との接触部分に向けて純水または超純水などの流体を噴射することができ、流体を被加工面全域に供給することができる。
前記流体供給ノズルの高さは、前記電極部材のイオン交換体の高さよりも低いことが好ましい。このような構成により、被加工物を電極部材のイオン交換体に接触させた際にも、流体供給ノズルが被加工物に接触しないようにすることができる。
本発明の更に他の電解加工装置は、電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する電極部材を備え、前記電極部材に、被加工物を前記電極部材のイオン交換体に接触させたときに、所定の押し付け量以上の状態において前記イオン交換体の加工に用いられる部分と前記被加工物との実質的な接触幅を一定に制限する接触幅制限部を設けたことを特徴とする。
このような構成により、被加工物の被加工面とイオン交換体との実質的な接触幅を一定に維持することができ、均一な加工を実現することができる。ここで、押し付け量とは、イオン交換体と被加工物とが接触した状態からの被加工物の押し付け距離をいい、接触幅とは、イオン交換体と被加工物とが接触している部分について、電極部材の長手方向と垂直な方向の幅をいう。また、実質的な接触幅が一定であるとは、被加工物の表面の微細の凹凸による接触幅の変化を含まず、被加工物と加工電極との相対運動に伴うこれらの間の距離の変化や装置の振動などに起因して接触幅が変化しないことを意味する。
前記接触幅制限部は、例えば前記イオン交換体の表面側または裏面側に貼付された絶縁フィルムにより構成される。このような構成により、イオン交換体の表面側または裏面側に貼付された絶縁フィルムによって、被加工物の押し付け量が変化しても、被加工物の被加工面とイオン交換体との接触幅を一定に維持することができ、均一な加工を実現することができる。
前記接触幅制限部は、イオン交換能力を有しない部材により構成されるようにしてもよい。このような構成により、イオン交換能力を有しない部材によって、被加工物の押し付け量が変化しても、加工が進行する部分の幅を一定に維持することができ、均一な加工を実現することができる。この場合において、前記イオン交換能力を有しない部材を、前記イオン交換体と一体に形成することが好ましい。上述した絶縁フィルムを用いて接触幅制限部を構成した場合には、絶縁フィルムの厚みが前記接触幅に多少の影響を与えることが考えられるが、イオン交換能力を有する部分とイオン交換能力を有しない部分とを一体に形成したイオン交換体を接触幅制限部として用いた場合には、このような影響をなくすことができる。
前記接触幅制限部は、前記イオン交換体に設けられた凸部により構成されるようにしてもよい。このような構成により、イオン交換体に設けられた凸部によって、被加工物の押し付け量が変化しても、被加工物の被加工面とイオン交換体との接触幅を一定に維持することができ、均一な加工を実現することができる。
本発明の好ましい一態様は、前記電極部材が複数並列に配置され、隣り合う前記電極部材の電極を、電源の陰極と陽極とに交互に接続することを特徴としている。
本発明の更に他の電解加工装置は、給電電極と加工電極を配置した電極部と、前記電極部の給電電極及び加工電極に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、前記電極部の各給電電極及び加工電極に接続される電源と、前記電極部と被加工物との間に相対運動を生じさせる駆動機構を備え、前記給電電極及び前記加工電極の内部に、該給電電極及び加工電極の表面に流体を供給する貫通孔をそれぞれ形成したことを特徴とする。
このような構成により、給電電極と加工電極とをそれぞれ同じ形状で等間隔に配置することで、給電電極と加工電極の比率を等しくして、より確実に被加工物に対して給電することができる。ここで、被加工物と加工電極及び給電電極との間の抵抗が、互いに隣り合う加工電極と給電電極との間の抵抗よりも小さくなるように距離を設定することで、被加工物と加工電極及び給電電極との間でイオンを移動させることができる。
前記給電電極と前記加工電極の間に、前記被加工物と前記給電電極及び前記加工電極との間に流体を供給する流体供給ノズルを配置することが好ましい。このような構成により、被加工物と加工電極及び給電電極間に液体を満たすことができる。この場合、液体として、純水や超純水、電解液が用いられる。
本発明の更に他の電解加工装置は、給電電極と加工電極を交互に並列に配置した電極部と、前記電極部の給電電極及び加工電極に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、前記電極部の各給電電極及び加工電極に接続される電源と、前記電極部と被加工物との間に相対運動を生じさせる駆動機構と、該給電電極及び加工電極と基板との間に流体を供給する液体供給部を備えたことを特徴とする。
前記供給電極及び前記加工電極と被加工物との間には、好ましくはイオン交換体が具備される。
本発明の基板処理装置は、基板を搬出入する基板搬出入部と、電解加工装置と、前記基板搬出入部と前記電解加工装置との間で基板を搬送する搬送装置とを備え、前記電解加工装置は、(i)電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、(ii)前記電極部材のイオン交換体に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、(iii)前記電極部の各電極部材の電極に接続される電源とを備え、前記電極部材のイオン交換体は、表面平滑性に優れたイオン交換体と、イオン交換容量の大きいイオン交換体とを有することを特徴とする。
本発明の他の基板処理装置は、基板を搬出入する基板搬出入部と、電解加工装置と、前記基板搬出入部と前記電解加工装置との間で基板を搬送する搬送装置とを備え、前記電解加工装置は、(i)複数の加工電極と複数の給電電極とを配置した電極部と、(ii)前記電極部に基板を接触または近接自在に保持する基板保持部と、(iii)前記各電極部材の電極に接続される電源と、(iv)前記電極部と基板との間に相対運動を生じさせる駆動機構とを備え、前記給電電極及び前記加工電極の内部に、該給電電極及び加工電極の表面に流体を供給する貫通孔をそれぞれ形成したことを特徴とする。
本発明の更に他の基板処理装置は、基板を搬出入する基板搬出入部と、電解加工装置と、前記基板搬出入部と前記電解加工装置との間で基板を搬送する搬送装置とを備え、前記電解加工装置は、(i)複数の加工電極と複数の給電電極とを並列に配置した電極部と、(ii)前記電極部に基板を接触または近接自在に保持する基板保持部と、(iii)前記各電極部材の電極に接続される電源と、(iv)前記電極部と基板との間に相対運動を生じさせる駆動機構と、(v)基板と電極部の間に加工液を供給する加工液供給機構とを有することを特徴とする。
本発明の電解加工方法は、被加工物の表面を電解加工する方法において、電極の表面にイオン交換体を配置した前記被加工物よりも幅の狭い加工電極に前記被加工物を接触させ、前記イオン交換体の加工に用いられる部分と前記被加工物との実質的な接触幅を一定に維持したまま、前記加工電極と前記被加工物とを相対運動させて該被加工物の表面を加工することを特徴とする。
本発明の好ましい一態様は、少なくとも前記加工電極の表面に露出している前記イオン交換体の全幅を前記被加工物に実質的に接触させることを特徴としている。
本発明の他の電解加工方法は、被加工物を加工電極に接触または近接させ、前記加工電極と前記被加工物に給電する給電電極との間に電圧を印加し、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に流体を供給し、第1の相対運動として前記加工電極と前記被加工物とを相対運動させて一の方向に沿った往復相対運動を形成するとともに、前記第1の相対運動による被加工物の前記一の方向に沿った加工量分布において生じるピッチの整数倍だけ、第2の相対運動として前記被加工物と前記加工電極とを前記一の方向に相対運動させ、前記被加工物の表面を加工することを特徴とする。
この電解加工方法によれば、加工電極と被加工物とを一の方向に往復相対運動させる第1の相対運動に加えて、第1の相対運動による被加工物の一の方向に沿った加工量分布において生じるピッチの整数倍だけ、被加工物と加工電極とを一の方向に相対運動させる第2の相対運動を行うことにより、加工電極による加工量のバラツキをなくして、被加工物の全面を均一に加工することが可能となる。
本発明の好ましい一態様は、前記加工電極として、電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する複数の電極部材を並列に配置したことを特徴としている。これにより、加工電極と被加工物との相対移動量を小さくすることができ、装置のフットプリントを小さくすることができる。また、移動機構を簡単な構成とすることができるので、装置のコストダウンを図ることができる。
前記第1の相対運動の速度を変化させてもよい。また、前記第2の相対運動を往復運動により行うようにしてもよく、この第2の相対運動における往復運動の移動距離が、往路と復路とにおいてそれぞれ異なるようにしてもよい。
本発明の好ましい一態様は、前記第2の相対運動を繰り返し、前記被加工物における前記第2の相対運動の方向を前記第2の相対運動における前記一の方向への運動を単位として変化させることを特徴としている。これにより、加工電極の加工レートに多少のバラツキがあっても、このバラツキを被加工物上で均等に分散して、全体として加工の不均一を相殺することができる。
本発明の更に他の電解加工方法は、被加工物を加工電極に接触または近接させ、前記加工電極と前記被加工物に給電する給電電極との間に電圧を印加し、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に流体を供給し、第1の相対運動として前記加工電極と前記被加工物とを相対運動させるとともに、第2の相対運動として前記加工電極と前記被加工物との間で一の方向への相対運動を繰り返し、前記被加工物における前記第2の相対運動の方向を前記第2の相対運動における前記一の方向への運動を単位として変化させて、前記被加工物の表面を加工することを特徴とする。
本発明の好ましい一態様は、前記被加工物を所定の角度だけ回転させることにより、前記被加工物における前記第2の相対運動の方向を変化させることを特徴としている。この場合、前記所定の角度の回転を繰り返して、前記被加工物の電解加工の終了までに前記被加工物を少なくとも1回転させるようにしてもよい。
本発明の好ましい一態様は、前記被加工物における前記加工電極に対する前記第2の相対運動の位置を前記第2の相対運動における前記一の方向への運動を単位として変化させることを特徴としている。これにより、加工電極の位置によって加工レートに多少のバラツキがあっても、このバラツキを被加工物上で均等に分散して、全体として加工の不均一を相殺することができる。
本発明の好ましい一態様は、前記第2の相対運動中に前記被加工物を回転させないことを特徴としている。
電解加工中に前記加工電極と前記給電電極との間に印加する電圧及び/または電流を変化させることが好ましい。このように、電解加工中に加工電極と給電電極との間に印加する電圧及び/または電流を変化させることにより、加工レートを適切に制御して、被加工物上の膜厚を目標値にすることができる。
電解加工中に前記第2の相対運動の速度を変化させるようにしてもよい。このように、電解加工中に第2の相対運動の速度を変化させることにより、加工レートを適切に制御して、被加工物上の膜厚を目標値にすることができる。
本発明の更に他の電解加工装置は、被加工物に接触または近接可能な加工電極と、前記被加工物に給電する給電電極と、前記被加工物を保持して前記加工電極に接触または近接させる保持部と、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に配置される複数のイオン交換体と、前記複数のイオン交換体の少なくとも1つを供給して交換するフィード機構とを備えたことを特徴とする。
このように構成した電解加工装置によれば、フィード機構によってイオン交換体の交換を自動で行うことができるので、高速でイオン交換体を交換することができる。従って、イオン交換体の交換による装置のダウンタイムを短くしてスループットを向上することができる。
前記複数のイオン交換体のそれぞれに対応して前記フィード機構を備えるようにしてもよい。このような構成により、交換の必要なイオン交換体のみを対応するフィード機構により交換することができるので、装置のランニングコストを低減することができる。
本発明の好ましい一態様は、前記被加工物に接触または近接しないイオン交換体の交換周期が前記被加工物に接触または近接するイオン交換体の交換周期よりも短いことを特徴としている。この場合において、前記被加工物に接触または近接しないイオン交換体を前記フィード機構により交換することが好ましい。
本発明の好ましい一態様は、前記複数のイオン交換体のうち、イオン交換容量の大きいイオン交換体の交換周期が他のイオン交換体の交換周期よりも短いことを特徴としている。
例えば、被加工物に接触または近接するイオン交換体として表面平滑性を有するイオン交換体を用い、被加工物に接触または近接しないイオン交換体としてイオン交換容量の大きなイオン交換体を用いた場合、表面平滑性を有するイオン交換体のイオン交換容量が小さいため、加工生成物の取り込みの大部分はイオン交換容量の大きなイオン交換体により行われる。このため、加工生成物を取り込んだイオン交換容量の大きなイオン交換体の交換周期を、表面平滑性を有するイオン交換体よりも短くして、高価な表面平滑性を有するイオン交換体を交換することなく摩耗限界まで使用し、イオン交換容量の大きなイオン交換体のみを交換すれば、装置のランニングコストを低減することができる。
前記フィード機構による前記イオン交換体の交換を電解加工時に行うようにしてもよい。これにより、装置を停止せずにイオン交換体を交換することができるので、装置のダウンタイムを更に短くすることができる。
本発明の更に他の電解加工装置は、被加工物に接触または近接可能な加工電極と、前記被加工物に給電する給電電極と、前記被加工物を保持して前記加工電極に接触または近接させる保持部と、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に配置されるイオン交換体と、前記イオン交換体の表面に積層された通水性を有する部材と、前記イオン交換体を供給して交換するフィード機構とを備えたことを特徴とする。このように、通水性を有する部材をイオン交換体の表面に積層して用いることもできる。この場合において、イオン交換体の交換周期を、通水性を有する部材の交換周期よりも短くすることが好ましい。
本発明の好ましい一態様は、回転自在の複数の回転部材と、前記回転部材の間に介在させる複数の介在部材とを備え、前記回転部材と前記介在部材との間に前記イオン交換体を縫うように配置したことを特徴としている。この場合において、前記回転部材は前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方であることが好ましい。
前記フィード機構により循環されるイオン交換体を再生する再生装置を更に備えることが好ましい。このような構成により、電解加工に使用されたイオン交換体を自動的に再生することができるので、ランニングコストを低減することができると同時に、ダウンタイムを短くすることが可能となる。
本発明の更に他の電解加工装置は、被加工物に接触または近接可能な加工電極と、前記被加工物に給電する給電電極と、前記被加工物を保持して前記加工電極に接触または近接させる保持部とを備え、前記加工電極または前記給電電極を複数備え、前記複数の電極は、前記被加工物に対して互いに独立して近接及び離間自在に構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい一態様は、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置したことを特徴としている。
本発明の基板保持部は、基板を保持し加工電極に接触させて電解加工を行う基板保持部であって、シャフトに連結されるフランジ部と、前記フランジ部に対して前記シャフトの軸方向に移動自在で、かつ前記基板を保持するチャッキング部材とを備えたことを特徴とする。
本発明の更に他の電解加工装置は、加工電極と、基板に給電する給電電極と、前記基板を保持して前記加工電極に接触させる基板保持部と、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加する電源と、前記基板保持部で保持した基板と前記加工電極とを相対移動させる駆動部とを備え、前記基板保持部は、基板を保持し加工電極に接触させて電解加工を行う基板保持部であって、シャフトに連結されるフランジ部と、前記フランジ部に対して前記シャフトの軸方向に移動自在で、かつ前記基板を保持するチャッキング部材とを備えたことを特徴とする。この場合において、前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置することが好ましい。また、前記イオン交換体が配置された前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に流体を供給する流体供給部を備えることが好ましい。
本発明の更に他の電解加工方法は、加工電極と給電電極とを配置し、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加し、シャフトに連結されるフランジ部と基板を保持するチャッキング部材とを有する基板保持部により基板を保持し、前記基板を前記加工電極に接触させ、前記基板と前記加工電極とを相対移動させて該基板の表面を加工することを特徴とする。この場合において、前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置することが好ましい。
本発明の好ましい一態様は、前記フランジ部と前記チャッキング部材との間に形成される第1の圧力室を備え、前記第1の圧力室に流体を供給することにより該第1の圧力室を加圧して、前記チャッキング部材に保持された基板を前記加工電極に接触させることを特徴としている。
このような構成によれば、第1の圧力室に供給する流体の圧力を調整することにより、基板が加工電極に接触する圧力を任意に制御することができるので、基板と加工電極との間に発生する面圧を半導体デバイスを破壊する圧力よりも小さく抑えるように制御することができ、脆弱な材料を破壊することなく基板を加工することができる。
ここで、加工電極もしくはイオン交換体から基板が受ける押圧力が、19.6kPa(200gf/cm)以下、より好ましくは6.86kPa(70gf/cm)以下、更に好ましくは686Pa(7gf/cm、0.1psi)以下になるように、第1の圧力室に供給する流体の圧力を調整して低荷重で基板の加工を行うことが好ましい。
前記第1の圧力室は、好ましくは、前記フランジ部、前記チャッキング部材、及び前記フランジ部と前記チャッキング部材とを連結する弾性部材により形成される。
例えば、基板保持部のフランジ部とシャフトとの間に球面軸受を設け、この球面軸受により基板保持部全体をシャフトに対してチルトできるように構成した場合、フランジ部には、球面軸受を中心とする回転モーメントが発生する。この回転モーメントは、球面軸受の中心からの距離に比例して大きくなるため、基板の被加工面と球面軸受の中心との距離が大きい場合には、条件によって安定した加工ができない場合がある。本発明によれば、このような球面軸受を用いておらず、フランジ部とチャッキング部材とを連結する弾性部材によりジンバル機構と第1の圧力室とが形成され、重心が低くなっている。また、チャッキング部材は、フランジ部に対して独立に上下動可能となっており、第1の圧力室内の流体の圧力に抗してフローティングするので、上述したような回転モーメントは小さいが、もしくはなくなる。
本発明の好ましい一態様は、前記チャッキング部材に所定の重量のウェイトを取り付けることにより、前記基板の前記加工電極に対する押圧力を調整することを特徴としている。このような構成によれば、適切な重量のウェイトをチャッキング部材に取り付けることによって、基板に作用する面圧を調整することができ、簡易な構造によって基板に作用する面圧を低くして低荷重の加工を実現することができる。
前記チャッキング部材を下方に押圧するエアシリンダを更に備えるようにしてもよい。このような構成によれば、エアシリンダを適切に制御することによって、チャッキング部材を下方に押圧する力、すなわち基板に作用する面圧を調整することができ、基板に作用する面圧を低くして低荷重の加工を実現することができる。また、加工パラメータ等の変更が生じた場合であっても、エアシリンダの押圧力を制御するだけで、これに対応することができる。
本発明の好ましい一態様は、前記チャッキング部材は、前記基板に連通する連通孔が形成されたチャッキングプレートと、前記チャッキングプレートの上方に配置されたストッパプレートと、前記チャッキングプレートと前記ストッパプレートとの間に形成される第2の圧力室とを備え、前記第2の圧力室から流体を吸引することにより該第2の圧力室を減圧して、前記基板を前記チャッキング部材に吸着させることを特徴としている。
前記フランジ部に内方に突出する突出部を有するリテーナリングを取り付け、前記チャッキング部材に、前記リテーナリングの突出部に係合する突起を設けることが好ましい。このような構成においては、チャッキング部材の突起がリテーナリングの突出部に係合することにより、チャッキング部材の下方への移動が所定の位置までに制限される。
前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に通水性を有する部材を配置することが好ましい。
本発明の更に他の電解加工装置は、電極と該電極の表面に取り付けられた加工部材とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、前記電極部材の加工部材に被加工物を接触自在に保持する保持部と、前記電極部の各電極部材の電極に接続される電源とを備え、前記複数の電極部材の間には、前記被加工物の表面に接触する接触部材を配置したことを特徴とする。
この場合において、前記接触部材に、前記被加工物の表面を傷つけない程度の弾性を有する材質により形成された緩衝部材を取り付けることが好ましい。また、前記加工部材はイオン交換体であることが好ましい。
このような構成により、被加工物を電極部材の加工部材(イオン交換体)に接触させた場合には、被加工物の表面が接触部材により支持されることとなる。すなわち、被加工物をある程度加工部材(イオン交換体)に押し付けた後は、被加工物は接触部材の上面に接触するため、被加工物をそれ以上押し付けようとしても、その押圧力を接触部材が受けるので、被加工物と加工部材(イオン交換体)との接触面積は変化しない。このように、本発明によれば、被加工物が傾くことが防止され、接触面積が均一になるので、均一な加工を実現することができる。
本発明の更に他の電解加工装置は、加工電極と、被加工物に給電する給電電極と、前記被加工物としての基板を保持して前記加工電極及び前記給電電極に接触または近接させる基板保持部と、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加する電源と、前記基板保持部で保持した前記被加工物と前記加工電極及び前記給電電極とを相対運動させる駆動部と、前記被加工物と前記加工電極との間、または前記被加工物と前記給電電極との間の少なくとも一方に流体を供給する流体供給部と、前記加工電極と前記被加工物との間の流体の流れと、前記給電電極と前記被加工物との間の流体の流れを少なくとも部分的に隔離する隔壁を備えたことを特徴とする。
この場合において、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置することが好ましく、また、前記隔壁は、弾性体からなることが好ましい。この弾性体としては、例えば、不織布、発泡ポリウレタン、PVAスポンジ、ポリウレタンスポンジまたはイオン交換体等が挙げられる。
また、互いに隣接する前記隔壁により隔離された領域を流れる流体の流れを、前記加工電極側または前記給電電極側の流れと、前記被加工物側の流れに分離する第2の隔壁を更に有することが好ましい。前記流体は、例えば、超純水、純水、電気伝導度(1atm,25℃換算、以下同じ)が500μS/cm以下の液体または電解液である。更に、互いに隣接する前記隔壁により隔離された領域を流れる流体を吸引する流体吸引部を有することが好ましい。
このような構成により、電気化学的加工である電解加工の際に、気泡(ガス)発生の反応が主に生じる給電電極と被加工物との間を流れる液体の流れと、加工電極と被加工物との間を流れる液体の流れを少なくとも部分的に隔離し、独立して流れを制御することにより、発生する気泡を効果的に除去することができる。
本発明の更に他の電解加工装置は、複数の電極を配置した電極部と、前記電極に被加工物を接触乃至近接自在に保持する保持部と、前記電極部の各電極に接続される電源とを備え、前記複数の電極の間には、前記被加工物の表面に接触する接触部材を配置したことを特徴とする。
本発明の更に他の電解加工方法は、加工電極と給電電極とを配置し、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加し、前記被加工物を前記加工電極に接触または近接させ、前記加工電極と被加工物との間の流体の流れと、前記給電電極と被加工物との間の流体の流れとを隔壁により少なくとも部分的に隔離しつつ、前記被加工物と前記加工電極とを相対運動させて前記被加工物の表面を加工することを特徴とする。この場合において、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置することが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、被加工物として基板を使用し、電解加工装置で基板を加工するようにした例を示しているが、本発明を基板以外にも適用できることは言うまでもない。
図4は、本発明の実施の形態における基板処理装置の構成を示す平面図である。図4に示すように、この基板処理装置は、例えば、図1Bに示すように、表面に導電体膜(被加工物)としての銅膜6を有する基板Wを収納したカセットを搬出入する搬出入部としての一対のロード・アンロード部30と、基板Wを反転させる反転機32と、電解加工装置34とを備えている。これらの機器は直列に配置されており、これらの機器の間で基板Wを搬送して授受する搬送装置としての搬送ロボット36がこれらの機器と平行に配置されている。また、電解加工装置34による電解加工の際に、後述する加工電極と給電電極との間に印加する電圧またはこれらの間を流れる電流をモニタするモニタ部38がロード・アンロード部30に隣接して配置されている。
図5は、基板処理装置内の電解加工装置34を示す平面図、図6は、図5の縦断面図である。図5及び図6に示すように、電解加工装置34は、上下動可能かつ水平面に沿って往復動可能なアーム40と、アーム40の自由端に垂設されて表面を下向き(フェイスダウン)にして基板Wを吸着保持する基板保持部42と、アーム40が取り付けられる可動フレーム44と、矩形状の電極部46と、電極部46に接続される電源48とを備えている。この実施の形態では、電極部46の大きさは基板保持部42で保持する基板Wの外径よりも一回り大きな大きさに設定されている。
図5及び図6に示すように、可動フレーム44の上部には上下動用モータ50が設置されており、この上下動用モータ50には上下方向に延びるボールねじ52が連結されている。ボールねじ52にはアーム40の基部40aが取り付けられており、上下動用モータ50の駆動に伴ってアーム40がボールねじ52を介して上下動するようになっている。また、可動フレーム44自体も、水平方向に延びるボールねじ54に取り付けられており、往復動用モータ56の駆動に伴って可動フレーム44及びアーム40が水平面に沿って往復動するようになっている。
基板保持部42は、アーム40の自由端に設置された自転用モータ58に接続されており、この自転用モータ58の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。また、上述したように、アーム40は上下動及び水平方向に往復動可能となっており、基板保持部42はアーム40と一体となって上下動及び水平方向に往復動可能となっている。
電極部46の下方には中空モータ60が設置されており、この中空モータ60の主軸62には、この主軸62の中心から偏心した位置に駆動端64が設けられている。電極部46は、その中央において上記駆動端64に軸受(図示せず)を介して回転自在に連結されている。また、電極部46と中空モータ60との間には、周方向に3つ以上の自転防止機構が設けられている。
図7Aは、この実施の形態における自転防止機構を示す平面図、図7Bは、図7AのA−A線断面図である。図7A及び図7Bに示すように、電極部46と中空モータ60との間には、周方向に3つ以上(図7Aにおいては4つ)の自転防止機構66が設けられている。図7Bに示すように、中空モータ60の上面と電極部46の下面の対応する位置には、周方向に等間隔に複数の凹所68,70が形成されており、これらの凹所68,70にはそれぞれ軸受72,74が装着されている。軸受72,74には、距離“e”だけずれた2つの軸体76,78の一端部がそれぞれ挿入されており、軸体76,78の他端部は、連結部材80により互いに連結される。ここで、中空モータ60の主軸62の中心に対する駆動端64の偏心量も上述した距離“e”と同じになっている。従って、電極部46は、中空モータ60の駆動に伴って、主軸62の中心と駆動端64との間の距離“e”を半径とした、自転を行わない公転運動、いわゆるスクロール運動(並進回転運動)を行うようになっている。
次に、この実施の形態における電極部46について説明する。この実施の形態における電極部46は、複数の電極部材82を備えている。図8は、この実施の形態における電極部46を示す平面図、図9は、図8のB−B線断面図、図10は、図9の部分拡大図である。図8及び図9に示すように、電極部46は、X方向(図5及び図8参照)に延びる複数の電極部材82を備えており、これらの電極部材82は、平板状のベース84上に並列に配置されている。
図10に示すように、各電極部材82は、電源48(図5及び図6参照)に接続される電極86と、電極86の上部に積層されたイオン交換体88と、電極86及びイオン交換体88の表面を一体的に覆うイオン交換体(イオン交換膜)90とを備えている。イオン交換体90は、電極86の両側に配置された保持プレート85により電極86に取り付けられている。
ここで、イオン交換体88,90には、以下の4点が求められる。
▲1▼加工生成物(ガス含む)の除去
これは、加工レートの安定性、加工レート分布の均一性に影響するためである。このため、「通水性」及び「吸水性」のあるイオン交換体を用いることが好ましい。ここで「通水性」とは、マクロな透過性を意味する。すなわち、素材自体に通水性がなくても、該部材に穴及び溝を切ることで水が通過できるようになり、通水性を持たせることができる。一方、「吸水性」とは、素材に水がしみ込む性質を意味する。
▲2▼加工レートの安定性
加工レートの安定性を図るためには、イオン交換材料を多数枚重ねて、イオン交換能力を確保することが好ましいと考えられる。
▲3▼被加工面の平坦性(段差解消能力)
被加工面の平坦性を確保するためには、イオン交換体の加工面の表面平滑性が良好であることが好ましいと考えられている。更に、硬い部材ほど加工表面の平坦性(段差解消能力)が高いのではないかと考えられている。
▲4▼長寿命
機械的寿命に関しては、耐磨耗性の高いイオン交換材料が好ましいと考えられている。
ここで、イオン交換体88としては、イオン交換容量の高いイオン交換体を用いることが好ましい。この実施の形態では、厚さが1mmのC膜(不織布イオン交換体)を3枚重ねた多層構造としており、イオン交換体88の持つトータルのイオン交換容量を増加させている。このように構成することで、電解反応により発生した加工生成物(酸化物やイオン)をイオン交換体88内にこの蓄積容量以上に蓄積させないようにして、イオン交換体88内に蓄積された加工生成物の形態が変化して、それが加工速度及びその分布に影響を与えることを防止することができる。また、目標とする被加工物の加工量を十分補えるだけのイオン交換容量を確保することができる。なお、イオン交換体88は、そのイオン交換容量が高ければ1枚としてもよい。
また、少なくとも被加工物と対面するイオン交換体90は、硬度が高く、しかも良好な表面平滑性を有することが好ましい。この実施の形態では、厚さ0.2mmのナフィオン(ディポン社の商標)を使用している。ここで、「硬度が高い」とは、剛性が高く、かつ圧縮弾性率が低いことを意味する。硬度が高い材質を用いることにより、パターンウェハ等の、被加工物表面の微細な凹凸に加工部材が倣い難くなるため、パターンの凸部のみを選択的に除去しやすい。また、「表面平滑性を有する」とは、表面の凹凸が小さいことを意味する。すなわち、イオン交換体が、被加工物であるパターンウェハ等の凹部に接触し難くなるため、パターンの凸部のみを選択的に除去しやすくなる。このように、表面平滑性を有するイオン交換体90とイオン交換容量の大きなイオン交換体88とを組み合わせることにより、イオン交換容量が少ないというイオン交換体90の短所をイオン交換体88により補うことができる。
また、イオン交換体90としては、通水性に優れたものを使用することがより好ましい。純水または超純水がイオン交換体90を通過するように流すことで、水の解離反応を促進させる官能基(強酸性陽イオン交換材料ではスルホン酸基)に十分な水を供給して水分子の解離量を増加させ、水酸化物イオン(もしくはOHラジカル)との反応により発生した加工生成物(ガスも含む)を水の流れにより除去して、加工効率を高めることができる。従って、純水または超純水の流れが必要となり、純水または超純水の流れとしては、一様かつ均一であることが好ましい。このように、一様かつ均一な流れとすることで、イオンの供給及び加工生成物の除去の一様性及び均一性、ひいては加工効率の一様性及び均一性を図ることができる。
このようなイオン交換体88,90は、例えば、アニオン交換基またはカチオン交換基を付与した不織布で構成されている。カチオン交換体は、好ましくは強酸性カチオン交換基(スルホン酸基)を担持したものであるが、弱酸性カチオン交換基(カルボキシル基)を担持したものでもよい。また、アニオン交換体は、好ましくは強塩基性アニオン交換基(第4級アンモニウム基)を担持したものであるが、弱塩基性アニオン交換基(第3級以下のアミノ基)を担持したものでもよい。
ここで、例えば強塩基性アニオン交換基を付与した不織布は、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後ダラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法によりグラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖をアミノ化して第4級アンモニウム基を導入して作製される。導入されるイオン交換基の容量は、導入するグラフト鎖の量により決定される。グラフト重合を行うためには、例えばアクリル酸、スチレン、メタクリル酸グリシジル、更にはスチレンスルホン酸ナトリウム、クロロメチルスチレン等のモノマーを用い、これらのモノマー濃度、反応温度及び反応時間を制御することで、重合するグラフト量を制御することができる。従って、グラフト重合前の素材の重量に対し、グラフト重合後の重量の比をグラフト率と呼ぶが、このグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
強酸性カチオン交換基を付与した不織布は、前記強塩基性アニオン交換基を付与する方法と同様に、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法によりグラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖を、例えば加熱した硫酸で処理してスルホン酸基を導入して作製される。また、加熱したリン酸で処理すればリン酸基が導入できる。ここでグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
イオン交換体88,90の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、またはその他有機高分子が挙げられる。また素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、短繊維等が挙げられる。
ここで、ポリエチレンやポリプロピレンは、放射線(γ線と電子線)を先に素材に照射する(前照射)ことで、素材にラジカルを発生させ、次にモノマーと反応させてグラフト重合することができる。これにより、均一性が高く、不純物が少ないグラフト鎖ができる。一方、その他の有機高分子は、モノマーを含浸させ、そこに放射線(γ線、電子線、紫外線)を照射(同時照射)することで、ラジカル重合することができる。この場合、均一性に欠けるが、ほとんどの素材に適用できる。
このように、イオン交換体88,90をアニオン交換基またはカチオン交換基を付与した不織布で構成することで、純水または超純水や電解液等の液体が不織布の内部を自由に移動して、不織布内部の水分解触媒作用を有する活性点に容易に到達することが可能となって、多くの水分子が水素イオンと水酸化物イオンに解離される。更に、解離によって生成した水酸化物イオンが純水または超純水や電解液等の液体の移動に伴って効率良く加工電極の表面に運ばれるため、低い印加電圧でも高電流が得られる。
ここで、イオン交換体88,90をアニオン交換基またはカチオン交換基の一方を付与したもののみで構成すると、電解加工できる被加工材料が制限されるばかりでなく、極性により不純物が生成しやすくなる。そこで、アニオン交換基を有するアニオン交換体とカチオン交換基を有するカチオン交換体とを重ね合わせたり、イオン交換体88,90自体にアニオン交換基とカチオン交換基の双方の交換基を付与するようにしたりしてもよく、これにより、被加工材料の範囲を拡げるとともに、不純物を生成し難くすることができる。
この実施の形態では、隣り合う電極部材82の電極86に、電源48の陰極と陽極とが交互に接続されている。例えば、加工電極86aとなる電極86を電源48の陰極に接続し、給電電極86bとなる電極86を陽極に接続する。例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるので、陰極に接続した電極86が加工電極86aとなり、陽極に接続した電極86が給電電極86bとなる。このように、この実施の形態では、加工電極86aと給電電極86bとが並列に交互に配置される。
加工材料によっては、電源48の陰極に接続される電極86を給電電極とし、陽極に接続される電極86を加工電極としてもよい。すなわち、被加工材料が例えば銅やモリブデン、鉄である場合には、陰極側に電解加工作用が生じるため、電源48の陰極に接続した電極86が加工電極となり、陽極に接続した電極86が給電電極となる。一方、被加工材料が例えばアルミニウムやシリコンである場合には、陽極側で電解加工作用が生じるため、電源48の陽極に接続した電極86が加工電極となり、陰極に接続した電極86が給電電極となる。
また、被加工物が錫酸化物やインジウム錫酸化物(ITO)などの導電性酸化物の場合には、被加工物を還元した後に、電解加工を行う。すなわち、図5において、電源48の陽極に接続した電極が還元電極となり、陰極に接続した電極が給電電極となって、導電性酸化物の還元を行う。続いて、先程給電電極であった電極を加工電極として、還元された導電性酸化物の加工を行う。あるいは、導電性酸化物の還元時の極性を反転させることによって還元電極を加工電極にしてもよい。また、被加工物を陰極にして、陽極電極を対向させることによっても導電性酸化物の除去加工ができる。
なお、上記の例では、基板の表面に形成した導電体膜としての銅膜6(図1B参照)を電解加工するようにした例を示しているが、基板の表面に成膜乃至付着した不要なルテニウム(Ru)膜も同様にして、すなわちルテニウム膜を陽極となし、陰極に接続した電極を加工電極として、電解加工(エッチング除去)することができる。
このように、加工電極86aと給電電極86bとを、図9に示す電極部46のY方向(電極部材82の長手方向と垂直な方向)に交互に設けることで、基板Wの導電体膜(被加工物)に給電を行う給電部を設ける必要がなくなり、基板の全面の加工が可能となる。また、加工電極86aと給電電極86bとの間に印加される電圧の正負をパルス状に変化させることで、電解生成物を溶解させ、加工の繰返しの多重性によって平坦度を向上させることができる。
ここで、電極部材82の電極86は、電解反応により、酸化または溶出が一般に問題となる。このため、電極の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物または導電性セラミックスを使用することが好ましい。この貴金属を素材とした電極としては、例えば、下地の電極素材にチタンを用い、その表面にめっきやコーティングで白金またはイリジウムを付着させ、高温で焼結して安定化と強度を保つ処理を行ったものが挙げられる。セラミックス製品は、一般に無機物質を原料として熱処理によって得られ、各種の非金属・金属の酸化物・炭化物・窒化物などを原料として、様々な特性を持つ製品が作られている。この中に導電性を持っセラミックスもある。電極が酸化すると電極の電気抵抗値が増加し、印加電圧の上昇を招くが、このように、白金などの酸化しにくい材料やイリジウムなどの導電性酸化物で電極表面を保護することで、電極素材の酸化による導電性の低下を防止することができる。
図9に示すように、電極部46のベース84の内部には、被加工面に純水、より好ましくは超純水を供給するための流路92が形成されており、この流路92は、純水供給管94を介して純水供給源(図示せず)に接続されている。各電極部材82の両側には、流路92から供給される純水または超純水を基板Wと電極部材82のイオン交換体90との間に噴射するための純水噴射ノズル96が設置されている。この純水噴射ノズル96には、電極部材82に対向する基板Wの被加工面、すなわち基板Wとイオン交換体90との接触部分に向けて純水または超純水を噴射する噴射口98がX方向(図8参照)に沿って複数箇所に設けられている。この純水噴射ノズル96の噴射口98から流路92内の純水または超純水が基板Wの被加工面全域に供給される。ここで、図10に示すように、純水噴射ノズル96の高さは、電極部材82のイオン交換体90の高さよりも低くなっており、基板Wを電極部材82のイオン交換体90に接触させた際にも、純水噴射ノズル96の頂部が基板Wに接触しないようになっている。
また、各電極部材82の電極86の内部には、流路92からイオン交換体88に通じる貫通孔100が形成されている。このような構成により、流路92内の純水または超純水は、貫通孔100を通ってイオン交換体88に供給される。ここで、純水は、例えば電気伝導度が10μS/cm以下の水であり、超純水は、例えば電気伝導度が0.1μS/cm以下の水である。このように電解質を含まない純水または超純水を使用して電解加工を行うことで、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくすことができる。更に、電解によって溶解した銅イオン等が、イオン交換体88,90にイオン交換反応で即座に捕捉されるため、溶解した銅イオン等が基板Wの他の部分に再度析出したり、酸化されて微粒子となり基板Wの表面を汚染したりすることがない。
また、純水または超純水の代わりに、電気伝導度が500μS/cm以下の液体や、任意の電解液、例えば純水または超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。電解液を使用することで、電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。この電解液としては、例えば、NaClやNaSO等の中性塩、HClやHSO等の酸、更には、アンモニア等のアルカリなどの溶液を使用することができ、被加工物の特性によって適宜選択して使用することができる。
更に、純水または超純水の代わりに、純水または超純水に界面活性剤等を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよい。このように、純水または超純水に界面活性剤を添加することで、基板Wとイオン交換体88,90の界面にイオンの移動を防ぐ一様な抑制作用を有する層を形成し、これによって、イオン交換(金属の溶解)の集中を緩和して被加工面の平坦性を向上させることができる。ここで、界面活性剤濃度は、100ppm以下が好ましい。なお、電気伝導度の値があまり高いと電流効率が下がり、加工速度が遅くなるが、500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下の電気伝導度を有する液体を使用することで、所望の加工速度を得ることができる。
次に、この実施の形態における基板処理装置を用いた基板処理(電解加工)について説明する。まず、例えば、図1Bに示すように、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを収納したカセットをロード・アンロード部30にセットし、このカセットから1枚の基板Wを搬送ロボット36で取り出す。搬送ロボット36は、取り出した基板Wを必要に応じて反転機32に搬送し、基板Wの導電体膜(銅膜6)を形成した表面が下を向くように反転させる。
搬送ロボット36は、反転させた基板Wを受け取り、これを電解加工装置34に搬送し、基板保持部42により吸着保持させる。アーム40を移動させて基板Wを保持した基板保持部42を電極部46の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ50を駆動して基板保持部42を下降させ、この基板保持部42で保持した基板Wを電極部46のイオン交換体90の表面に接触または近接させる。この状態で、自転用モータ58を駆動して基板Wを回転させ、同時に中空モータ60を駆動して電極部46をスクロール運動させる。このとき、純水噴射ノズル96の噴射口98から基板Wと電極部材82との間に純水または超純水を噴射し、また、各電極部46の貫通孔100を通じて純水または超純水をイオン交換体88に含ませる。この実施の形態では、イオン交換体88に供給された純水または超純水は、各電極部材82の長手方向端部から排出される。
そして、電源48により加工電極86aと給電電極86bとの間に所定の電圧を印加し、イオン交換体88,90により生成された水素イオンまたは水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)86aにおいて基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。なお、この実施の形態では、電解加工中に往復動用モータ56を駆動させてアーム40及び基板保持部42をY方向(図5及び図9参照)に移動させる。このように、この実施の形態では、電極部46をスクロール運動させ、基板Wを電極部材82の長手方向と垂直な方向に移動させながら加工を行うが、例えば、電極部46を電極部材82の長手方向と垂直な方向に移動させながら、基板Wをスクロール運動させてもよい。また、スクロール運動に代えて、Y方向(図5及び図9参照)への直進往復運動を行うこととしてもよい。
電解加工中には、加工電極86aと給電電極86bとの間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタ部38でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知する。すなわち、同じ電圧(電流)を印加した状態で電解加工を行うと、材料によって流れる電流(印加される電圧)に違いが生じる。例えば、図11Aに示すように、表面に材料Bと材料Aとを順次成膜した基板Wの該表面に電解加工を施したときに流れる電流をモニタすると、材料Aを電解加工している間は一定の電流が流れるが、異なる材料Bの加工に移行する時点で流れる電流が変化する。同様に、加工電極と給電電極との間に印加される電圧にあっても、図11Bに示すように、材料Aを電解加工している間は一定の電圧が印加されるが、異なる材料Bの加工に移行する時点で印加される電圧が変化する。なお、図11Aは、材料Bを電解加工するときの方が、材料Aを電解加工するときよりも電流が流れに難くなる場合を、図11Bは、材料Bを電解加工するときの方が、材料Aを電解加工するときよりも電圧が高くなる場合の例を示している。これにより、この電流または電圧の変化をモニタすることでエンドポイントを確実に検知することができる。
なお、モニタ部38で加工電極86aと給電電極86bとの間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタして加工終点を検知するようにした例を説明したが、このモニタ部38で、加工中の基板の状態の変化をモニタして、任意に設定した加工終点を検知するようにしてもよい。この場合、加工終点は、被加工面の指定した部位について、所望の加工量に達した時点、もしくは加工量と相関関係を有するパラメータが所望の加工量に相当する量に達した時点を指す。このように、加工の途中においても、加工終点を任意に設定して検知できるようにすることで、多段プロセスでの電解加工が可能となる。
電解加工完了後、電源48の接続を切り、基板保持部42と電極部46の回転を停止させ、しかる後、基板保持部42を上昇させ、アーム40を移動させて基板Wを搬送ロボット36に受け渡す。基板Wを受け取った搬送ロボット36は、必要に応じて反転機32に搬送して基板Wを反転させた後、基板Wをロード・アンロード部30のカセットに戻す。
ここで、超純水のような液自身の抵抗値が大きい液体を使用する場合には、イオン交換体90を基板Wに接触させることにより、電気抵抗を低減させることができ、印加電圧も小さくて済み、消費電力も低減できる。この「接触」は、例えばCMPのように物理的なエネルギー(応力)を被加工物に与えるために、「押し付ける」ことを意味するものではない。従って、この実施の形態における電解加工装置では、基板Wの電極部46への接触または近接には上下動用モータ50を用いており、例えばCMP装置において基板と研磨部材を積極的に押し付ける押圧機構は具備していない。すなわち、CMPにおいては、一般に20〜50kPa程度の押圧力で基板を研磨面に押し付けているが、この実施の形態の電解加工装置では、例えば、20kPa以下の圧力でイオン交換体90を基板Wに接触させればよく、10kPa以下の圧力でも十分除去加工効果が得られる。
この実施の形態において、基板Wと電極部材82のイオン交換体90とを接触させて加工を行う場合、電極部46のイオン交換体90と基板Wの被加工面との接触範囲内で加工が進行するので、イオン交換体90と基板Wの被加工面との接触幅を基板Wの押し付け量(すなわち、電極部46と基板Wとの間の距離)によって調整する必要がある。しかしながら、電極部材82は長尺状であるため、電極部46と基板Wとの間の距離を長手方向の全長に亘って高精度で調整することは難しい。また、加工中は、電極部46はスクロール運動を行い、基板WはY方向(図5及び図9参照)に移動するため、これらの相対移動に伴って上記距離が変化することが考えられる。更に、各電極部材82のイオン交換体90の取り付け状態によって、各イオン交換体90の高さにバラツキが生じ、同様の問題が発生することが考えられる。
例えば、図12Aに示すように、電極部46の上面と基板Wとの間の距離がh(=17.7mm)の場合には、イオン交換体90と基板Wの被加工面との接触幅がw(=4.4mm)となるが、図12Bに示すように、電極部46の上面と基板Wとの間の距離がh(=17.5mm)となった場合には、イオン交換体90と基板Wの被加工面との接触幅がw(=5.2mm)となり、接触幅が大きく変化する。電解加工は、イオン交換体90と基板Wの被加工面との接触範囲内で進行するので、このようにイオン交換体90の加工に用いられる部分の接触幅が変化すると均一な加工ができないおそれがある。
このような観点から、電極部材82には、イオン交換体90の加工に用いられる部分と基板Wとの接触幅を一定に制限する接触幅制限部を設けることが好ましい。図13Aは、このような接触幅制限部を備えた、本発明の他の実施の形態の電解加工装置における電極部材を示す断面図、図13Bは、図13Aの部分拡大図である。この実施の形態においては、接触幅制限部として絶縁フィルムを用いている。すなわち、図13A及び図13Bに示すように、イオン交換体90の頂部以外の表面には絶縁フィルム102が貼付されており、イオン交換体90の頂部の幅w(例えば4mm)の範囲のみイオン交換体90が露出するようになっている。この絶縁フィルム102は、電気的な絶縁物であればよく、例えば厚さ0.1mmのビニルテープを用いることができる。
このような電極部材82を用いて加工を行う場合には、少なくともイオン交換体90が露出している幅wの部分が基板に接触するように、基板の押し付け量を所定の押し付け量以上に設定する。これにより、図14Aに示すように、電極部46の上面と基板Wとの間の距離がh(=17.7mm)の場合には、電極部材82と基板Wの被加工面との接触幅はw(=4.6mm)となるが、イオン交換体90が実際に基板Wの被加工面と接触している幅はw(=3.5mm)となる。また、図14Bに示すように、電極部46の上面と基板Wとの間の距離がh(=17.5mm)となった場合には、電極部材82と基板Wの被加工面との接触幅はw(=5.2mm)となるが、イオン交換体90が実際に基板Wの被加工面と接触している幅は、図14Aに示す場合と変わらずw(=3.5mm)である。従って、この実施の形態では、基板Wの押し付け量が変化しても、イオン交換体90の表面に貼付された絶縁フィルム102によって、基板Wの被加工面とイオン交換体90との接触幅を一定に維持することができ、均一な加工を実現することができる。
なお、この実施の形態では、イオン交換体90の頂部以外の表面側に絶縁フィルム102を貼付した例を説明したが、イオン交換体90の頂部以外の裏面側に絶縁フィルムを貼付してもよく、この場合にもイオン交換を行う範囲を制限することができるので同様の効果を期待することができる。
図15Aは、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における電極部材を示す断面図、図15Bは、図15Aの部分拡大図である。この実施の形態における電極部材82は、接触幅制限部として、イオン交換能力を有しない部材を用いている。すなわち、この実施の形態においては、図15A及び図15Bに示すように、イオン交換体90の頂部以外の部分90aは、イオン交換能力を有しておらず、イオン交換体90の頂部の幅w(例えば4mm)の部分90bのみがイオン交換能力を有している。これらの部分90a,90bは、例えば、イオン交換能力を付与させない部分90aを鉛で遮蔽した状態でγ線を照射し、グラフト重合を行うことで一体的に形成することができる。
この実施の形態においては、少なくともイオン交換能力のある部分90bの全面が基板に接触するように、基板の押し付け量を所定の押し付け量以上に設定する。これにより、図16Aに示すように、電極部46の上面と基板Wとの間の距離がh(=17.7mm)の場合には、イオン交換体90と基板Wの被加工面との接触幅はw(=4.4mm)となるが、加工が進行する部分(すなわちイオン交換能力を有する部分)の幅はw(=4mm)となる。また、図16Bに示すように、電極部46の上面と基板Wとの間の距離がh(=17.5mm)となった場合には、電極部材82と基板Wの被加工面との接触幅はw10(=5.2mm)となるが、加工が進行する部分(すなわちイオン交換能力を有する部分)の幅は、図16Aに示す場合と変わらずw(=4mm)となる。従って、この実施の形態では、基板Wの押し付け量が変化しても、イオン交換能力を有しない部材90aによって、加工が進行する部分の幅を一定に維持することができ、均一な加工を実現することができる。また、この実施の形態では、上述した実施の形態のような絶縁フィルム102を貼付する手間を省くことができる。更に、上述した実施の形態では、イオン交換体90の表面側に貼付した絶縁フィルム102の厚みが上記接触幅に多少の影響を与え、また、イオン交換体90の裏面側に絶縁フィルム102を貼付した場合は、イオン交換体90の表面への電界の回り込みにより該表面での加工に多少のばらつきが生じることが考えられるが、この実施の形態において、イオン交換能力を有する部分90bとイオン交換能力を有しない部分90aとを一体に形成したイオン交換体90を使用すれば、このような影響をなくすことができる。
図17Aは、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における電極部材に用いるイオン交換体を示す部分斜視図、図17Bは、図17Aに示すイオン交換体を取り付けた電極部材を示す部分斜視図である。この実施の形態における電極部材82においては、接触幅制限部としてイオン交換体に凸部を設けている。すなわち、図17A及び図17Bに示すように、イオン交換体90は、頂部に幅w11の凸部90cを有している。このような凸部90cは、凸部90cの形状に対応した型を用いてイオン交換体90を押し出し加工することにより作製することができる。
この実施の形態においては、少なくともイオン交換体90の凸部90cの全面が基板に接触するように、基板の押し付け量を所定の押し付け量以上に設定する。これにより、基板Wが図18Aに示す位置から下方に押し付けられて、図18Bに示すようにイオン交換体90の凸部90cの表面に接触し、更に、図18Cに示すように距離dだけ下方に押し付けられても、イオン交換体90は、基板Wと凸部90cの全面においてのみ接触し、接触幅は一定となる。従って、この実施の形態では、イオン交換体90に設けられた凸部90cによって、基板Wの押し付け量が変化しても、基板Wの被加工面とイオン交換体90との接触幅を一定に維持することができ、均一な加工を実現することができる。
また、この場合において、図19に示すように、凸部90cの内部に、例えば電気化学的に不活性な部材104、例えばフッ素樹脂等を挿入してもよい。このような部材104をイオン交換体90の凸部90cの内部に挿入することで、イオン交換体90の機械的強度を向上させることができる。また、図20Aに示すように、凸部90cを電極部材82の長手方向に沿った所定のピッチで、イオン交換体90の一部にのみ設けてもよい。この場合において、図20Bに示すように、凸部90cの電極部材82の長手方向に沿った幅を短くしてもよい。このように凸部90cの電極部材82の長手方向に沿った幅を短くすれば、図20Aに示した電極部材82と比べて純水または超純水が被加工面に供給されやすくなり、純水または超純水が不足することによる加工異常を防止することができる。
図21は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置の電極部の断面図を、図22は図21の部分拡大図を示す。この実施の形態の電極部46aは、前述の例と同様に、矩形状に形成され、直線状に延びる複数の電極200を備えており、これらの電極200は、平板状のベース84a上に並列に配置されている。この実施の形態では、電極200の上面にイオン交換体を有していない。これら各電極200は、電源の陰極と陽極に交互に接続され、この例では、電源の陰極に接続される電極200が加工電極202aとなり、陽極に接続される電極200が給電電極202bとなるようになっている。
図22に示すように、電極部46aのベース84aの内部には、被加工面に純水、より好ましくは超純水や電解液を供給するための流路204が形成されており、この流路204は、流体供給管206を介して流体供給源(図示せず)に接続されている。各電極200の両側には、流路204から供給される純水や電解液等を基板Wと電極200との間に供給するための流体供給ノズル208が設置されている。この流体供給ノズル208には、基板Wと電極200との対向部分乃至接触部分に向けて純水や電解液等を噴射する供給口210が長さ方向に沿った所定のピッチで複数箇所に設けられている。この流体供給ノズル208の供給口210から流路204内の純水や電解液等が基板Wの被加工面全域に供給される。
また、各電極200の内部には、流路204に連通して上下方向に貫通する貫通孔212が形成されている。このような構成により、流路204内の純水や電解液等は、貫通孔212を通って電極200と基板Wとの間に供給される。なお、電極200と流体供給ノズル208との間には、保持プレート214が介装されている。
この実施の形態に示すように、電極200の表面にイオン交換体を設けなくてもよい。この例によれば、複数の電極200が並列に配置されており、被加工物に対向する面から給電電極202bと加工電極202aを近接させることで、例えば基板上の導電性膜6(図1B参照)への給電を容易に行うことができる。また、それぞれで同じ形状の給電電極202bと加工電極202aが等間隔に配置されているため、基板に対する給電電極202bと加工電極202aの比率がほぼ等しくなるので、給電部分が基板の数箇所に集中することなく、基板全面に均一に給電することができるという利点を有する。
図21及び図22に示す例では、イオン交換体を設置しない場合を示したが、電極と被加工物の間に、イオン交換体以外の部材を介在させてもよい。その場合、この部材として、スポンジなど通液性を有する部材を用いることにより、電極と被加工物の間の液体を介してイオンを移動させる。
なお、電極と被加工物との間に部材を介さない場合は、被加工物と各電極との間の抵抗が、隣り合う正負の電極間の抵抗よりも小さくなるように被加工物と各電極間の距離及び隣り合う電極間距離を設定して、イオンの移動を隣り合う電極間よりも電極と被加工物との間で行わせるようにする。これにより、電流が給電電極→被加工物→加工電極に優先的に流れるようになる。
この実施の形態の電解加工装置によって、基板Wの表面に成膜乃至付着した不要なルテニウム膜をエッチング除去する時には、加工電極202a及び給電電極202bと基板Wの被加工部であるルテニウム膜との間に、例えば、ハロゲン化物を含んだ電解液を供給する。そして、電源の陽極を給電電極202bに、陰極を加工電極202aにそれぞれ接続し、これによって、基板Wの表面のルテニウム膜を陽極となし、加工電極202aを陰極となして、基板Wと加工電極202a及び給電電極202bとの間に電解液を供給して加工電極202aに対面している部位をエッチング除去する。
ハロゲン化物を溶解させる溶媒としては、例えば、水またはアルコール類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が使用できる。加工するルテニウム膜の用途、加工後に必要となる洗浄、表面状態等により適宜選択すればよい。半導体製造に使われる基板に対しては、不純物の汚染を極力避けるために、純水を使用することが好ましく、超純水を使用することが更に好ましい。
また、ハロゲン化物は、その溶液を電解液としたときに電気化学的相互作用によりルテニウム膜のエッチング加工が進行し、かつ、電解中に生成した化合物がルテニウムと反応し、反応物が電解液中に溶解するか、または揮発して除去されるものであればいずれでもよい。例えば、HCl、HBr、HIの水溶液のようなハロゲン化水素酸、HClO、HBrO、HIO、HClO、HBrO、HIOのようなハロゲンオキソ酸の水溶液、NaClO、KClO、NaClO、KClOのようなハロゲンオキソ酸塩の水溶液、NaCl、KClのような中性塩の水溶液を電解液として使用することができる。加工後のルテニウムの使用用途と残留物質の影響、ルテニウムの膜厚、ルテニウムの下地膜の特性等により適宜選択して使用すればよい。
この電解加工装置においては、前述の例と同様に、基板保持部42(図5及び図6参照)を介して基板Wを加工電極202a及び給電電極202bに近接乃至接触させて回転させつつ、電極部46aをスクロール運動させるのであり、これにより、電気化学反応によりルテニウム膜がエッチング除去されるとともに、電解により生成したハロゲン化物とルテニウムが化学反応し、ルテニウム膜のエッチング除去が進行する。加工後の表面は、超純水供給ノズル(図示せず)より供給される超純水により洗浄される。
ハロゲン化物の濃度は、1mg/l〜10g/l、好ましくは100mg/l〜1g/l程度である。ハロゲン化物の種類、加工時間、加工面積、陽極としたルテニウム膜と陰極とした加工電極との距離、電解電圧等は、電解加工後の基板の表面状態や廃液処理の能力等により適宜決めればよい。例えば、希薄濃度の電解液を使用して電解電圧を高くすることで、薬液使用量を削減することができ、電解液の濃度を高くすることで、加工速度を速くすることができる。
図23は、本発明の更に他の実施の形態における電解加工装置の電極部の断面図を、図24は、図23の部分拡大図を示す。この実施の形態の電極部146は、直線状に延びる複数の電極部材182を備えており、これらの電極部材182は、平板状のベース184上に並列に等ピッチで配置されている。
図24に示すように、各電極部材182は、電源に接続される電極186と、電極186の表面を一体的に覆うイオン交換体(イオン交換膜)190とを備えている。イオン交換体190は、電極186の両側に配置された保持プレート185により電極186に取り付けられている。このイオン交換体190は、例えば、アニオン交換基またはカチオン交換基を付与した不織布で構成されている。
そして、隣り合う電極部材182の電極186に、電源の陰極と陽極とが交互に接続されている。例えば、電極(加工電極)186aを電源の陰極に接続し、電極(給電電極)186bを陽極に接続する。例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるので、陰極に接続した電極186が加工電極186aとなり、陽極に接続した電極186が給電電極186bとなる。このように、この実施の形態では、加工電極186aと給電電極186bとが並列に交互に配置される。
電極部146のベース184の内部には、被加工面に純水、より好ましくは超純水を供給するための流路192が形成されており、この流路192は純水供給管194を介して純水供給源(図示せず)に接続されている。各電極部材182の両側には、流路192から供給される純水または超純水を基板Wと電極部材182のイオン交換体190との間に噴射するための純水噴射ノズル196が設置されている。この純水噴射ノズル196には、電極部材182に対向する基板Wの被加工面、すなわち基板Wとイオン交換体190との接触部分に向けて純水または超純水を噴射する噴射口198が長手方向に沿って複数箇所に設けられている。この純水噴射ノズル196の噴射口198から流路192内の純水または超純水が基板Wの被加工面全域に供給される。ここで、図24に示すように、純水噴射ノズル196の高さは、電極部材182のイオン交換体190の高さよりも低くなっており、基板Wを電極部材182のイオン交換体190に接触させた際にも、純水噴射ノズル196が基板Wに接触しないようになっている。また、各電極部材182の電極186の内部には、流路192からイオン交換体190に通じる貫通孔199が形成されている。このような構成により、流路192内の純水または超純水は、貫通孔199を通ってイオン交換体190に供給される。その他の構成は、図5乃至図10に示す例と同様である。
この実施の形態における基板処理装置にあっては、前述と同様に、基板保持部42(図5及び図6参照、以下同じ)で保持した基板Wを電極部146のイオン交換体190の表面に接触または近接させた状態で、電極部146をスクロール運動させる。このスクロール運動は、加工電極186aと基板WとをY方向(図23参照、以下同じ)に相対運動させる第1の相対移動であり、このスクロール運動によりY方向に沿った往復相対運動が形成される。このスクロール運動と同時に、基板保持部42で保持した基板WをY方向に所定の距離だけ移動させて、基板Wと加工電極186aとの間で第2の相対運動を行う。このとき、純水噴射ノズル196の噴射口198から基板Wと電極部材182との間に純水または超純水を噴射し、また、各電極部146の貫通孔199を通じて純水または超純水をイオン交換体190に含ませる。この実施の形態では、イオン交換体190に供給された純水または超純水は各電極部材182の長手方向端部から排出される。
そして、電源により加工電極186aと給電電極186bとの間に所定の電圧を印加し、イオン交換体190により生成された水素イオンまたは水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)186aにおいて基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。なお、この実施の形態では、電解加工中に基板保持部42に保持された基板Wを回転させないで加工を行っている。
電解加工中には、加工電極186aと給電電極186bとの間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタ部38(図4参照)でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知することは、前述と同様である。
電解加工完了後、電源の接続を切り、電極部146のスクロール運動を停止させて、加工後の基板Wを次工程に搬送する。
ここで、1つの加工電極について考えると、図25Aに示すように、電解加工においては、基板Wが加工電極220の表面のイオン交換体230と接触または近接した範囲Lでのみ加工が行われる。この加工電極220により加工される基板WのY方向(加工電極220の長手方向と垂直な方向)に沿った単位時間当たりの加工量は、図25Bに示すような分布となる。加工電極220の端部220aには電界が集中するため、図25Bに示すように、加工電極220の端部220a付近の加工レートは中央付近220bに比べて高くなる。
このように、1つの加工電極220において加工量のバラツキが生じるが、この実施の形態では、上述したように、電極部146をスクロール運動させ、基板Wと加工電極186a(図23参照)とをY方向に往復相対運動(第1の相対運動)させることにより、この加工量のバラツキを抑えている。図25Cは、スクロール運動(第1の相対運動)を行った場合における基板WのY方向に沿った単位時間当たりの加工量を示すグラフである。図25Cに示すように、スクロール運動によって加工量のバラツキを少なくすることができるものの、完全にバラツキをなくすことはできない。
この実施の形態では、上述したスクロール運動(第1の相対運動)に加えて、電解加工中に基板保持部42で保持した基板WをY方向に所定の距離だけ移動させて、基板Wと加工電極220との間で第2の相対運動を行うことにより、上述した加工量のバラツキをなくしている。すなわち、図26Aに示すように、スクロール運動(第1の相対運動)のみを行った場合には、基板WのY方向に沿って加工量に差が生じ、同一形状の加工量分布がピッチPごとに現れるが、電解加工中に、図5及び図6に示す往復動用モータ56を駆動させてアーム40及び基板保持部42をY方向(図23参照)に図26Aに示すピッチPの整数倍だけ移動させて、基板Wと加工電極220との間で第2の相対運動を行う。電解加工中にこのような第2の相対運動を上記第1の相対運動とともに行った場合、例えば、ピッチPの等倍だけ移動させた場合には、図26Bに示す基板W上の点Qは、面積Sに相当する加工量だけ加工され、図26Cに示す基板W上の点Rは、面積Sに相当する加工量だけ加工される。ここで、各加工量分布の形状は互いに等しいため、これらの面積S,Sは互いに等しくなり、基板W上の点Qと点Rにおける加工量が等しくなる。このように、第1の相対運動とともに第2の相対運動をさせることで基板Wの全面を均一に加工することが可能となる。この場合において、第2の相対運動の移動速度は一定であることが好ましい。
ここで、上述した第2の相対運動を繰り返し、基板Wを加工電極220に対してY方向に往復運動させてもよい。この場合において、往路と復路の移動距離はともに上述したピッチPの整数倍とする必要があるが、往路の移動距離と復路の移動距離を必ずしも等しくする必要はなく、互いに異なっていてもよい。例えば、往路の移動距離をピッチPの2倍とし、復路の移動距離をピッチPの等倍としてもよい。
上述したように、第1の相対運動とともに第2の相対運動を行うことにより基板Wの全面を均一に加工することが可能となるが、実際の加工においては、加工電極の長手方向において単位面積当たりの加工レートにバラツキがあったり、各加工電極ごとで加工レートが異なったりして、均一な加工が十分に実現されない場合がある。このような場合には、以下に述べるように第2の相対運動をさせることが好ましい。
まず、図27Aに示す状態で、上述したようにピッチPの整数倍だけ基板Wを加工電極220に対してY方向に移動させる。次に、自転用モータ58(図5及び図6参照)を駆動させて、基板Wを反時計回りに90度回転させた後、ピッチPの整数倍だけ基板WをY方向に移動させる(図27B参照)。同様に、基板Wを反時計回りに90度回転させた後、ピッチPの整数倍だけ基板WをY方向に移動させ(図27C参照)、更に基板Wを反時計回りに90度回転させた後、ピッチPの整数倍だけ基板WをY方向に移動させる(図27D参照)。このように、基板Wにおける第2の相対運動の方向を往路(Y方向への移動)と復路(Y方向への移動)で変化させることで、加工電極の加工レートに多少のバラツキがあっても、このバラツキを基板W上で均等に分散して、全体として加工の不均一を相殺することができる。
この場合において、図27A乃至図27Dに示すように、所定の角度の回転を繰り返して、基板の電解加工の終了までに基板Wを少なくとも1回転させることが好ましい。なお、図27A乃至図27Dに示す例では、基板Wを90度ずつ回転させて4方向で第2の相対運動を行っているが、これに限られるものではない。例えば、基板Wを45度ずつ回転させて8方向で第2の相対運動を行ってもよい。また、基板Wにおける第2の相対運動の方向を往路と復路で変化させるのではなく、各往復運動ごとに変化させることとしてもよい。
また、図27A乃至図27Dに示す例では、基板Wにおける第2の相対運動の方向を往路(Y方向への移動)と復路(Y方向への移動)で変化させた例を説明したが、図28A乃至図28Dに示すように、基板WをY方向へ移動させた後に、基板Wを回転させつつ上昇させて元の位置に戻し、再度基板WをY方向へ移動させるようにしてもよい。このように、基板Wにおける第2の相対運動の方向を第2の相対運動における一の方向(上述の例ではY方向)への運動を単位として変化させることで、電極の形状、電荷集中、イオン交換体の影響による加工歪みを相殺することができる。
あるいは、図29の矢印で示すように、第2の相対運動における往路と復路との間で基板Wの位置を加工電極220の長手方向にずらし、往路と復路とで加工電極220に対する第2の相対運動の長手方向の位置を変化させてもよい。このようにすることで、加工電極220の長手方向において加工レートに多少のバラツキがあっても、このバラツキを基板W上で均等に分散して、全体として加工の不均一を相殺することができる。この場合において、基板Wにおける加工電極220に対する第2の相対運動の長手方向の位置を往路と復路で変化させるのではなく、第2の相対運動における一の方向への運動を単位として変化させることとしてもよい。また、図30A及び図30Bに示すように、第2の相対運動において基板Wの位置を加工電極220の長手方向と垂直な方向にずらすこともできる。
また、加工ステップ(すなわち、第2の相対運動において、第1の相対運動により生じるピッチの整数倍だけ移動する周期)ごとに加工電極と給電電極との間に印加する電圧及び/または電流を変化させて、加工レートを適切に制御してもよい。例えば、図31A及び図31Bに示すように、最後の工程を行っている時間T中、例えば図27Dに示す工程を行っている時間中における印加電流を小さくして、基板W上の膜厚が目標値になるようにしてもよい。あるいは、電流はそのままにして、加工ステップごとに第2の相対運動の速度(スキャン速度)を変化させて、加工レートを適切に制御してもよい。
上述の実施の形態では、各電極部材182が並列に等ピッチで配置された例を説明したが、図32Aに示すように、各電極部材182が等ピッチで配置されていない場合にも本発明を適用することができる。この場合においても、第1の相対運動による加工量分布におけるピッチの整数倍だけ第2の相対運動を行えば、基板Wの全面を均一に加工することができる。また、図32Bに示すように、表面に凹凸を有するイオン交換体190aを貼付した平板状の加工電極186cにも本発明を適用することができる。
上述の実施の形態では、電極部146をスクロール運動させ、基板Wを電極部材182の長手方向と垂直な方向に移動させながら加工を行う例を説明したが、例えば、基板Wをスクロール運動させて第1の相対運動を行い、電極部146を電極部材182の長手方向と垂直な方向に移動させて第2の相対運動を行ってもよい。また、第1の相対運動は、一定の軌道を持つ循環運動で、結果的に一の方向に沿った往復相対運動を形成するものであればよく、例えば、上述したスクロール運動の他に、Y方向への直進往復運動や楕円、四角形、三角形などの多角形状の軌跡を描く循環運動であってもよい。
本発明において、電極部側の運動速度を、経時的に変化させてもよい。
また、電極部の1往復運動の中で運動速度を変化させてもよい。例えば往復運動の軌道の端部(運動折り返し点付近)で、電極部の運動速度を速めることにより、基板のある一点に対して電極が長時間滞在しないようにする。
図33は、本発明の更に他の実施の形態おける電解加工装置の要部を示す縦断面図である。図33に示すように、電解加工装置234は、表面を下向き(フェイスダウン)にして基板Wを吸着保持する基板保持部240と、基板保持部240の下方に配置される電極部250とを備えている。基板保持部240は、図示しない昇降機構及び回転機構により上下動自在かつ回転自在となっており、また、図示しないスクロール運動機構によりスクロール運動をするようになっている。また、電極部250は、図示しない往復直線運動機構により水平方向に往復直線運動するようになっている。このように、この実施の形態では、機構が複雑で慣性が大きくなるスクロール運動を軽量な基板保持部240で行い、機構が単純で低速度な往復直線運動を電極部250で行って、基板Wと電極部250との間の相対運動を効率的に行っている。
図34は、図33の電極部250を示す斜視図である。図33及び図34に示すように、電極部250は、回転自在の円筒状の複数の回転部材260と、隣接する回転部材260の間に介在させる介在部材270とを備えている。これらの回転部材260と介在部材270との間には、上下に積層される2種類のイオン交換体280,290が縫うように配置されている。イオン交換体には異なる特性を有するものがあり、例えば、表面が平滑なイオン交換膜は、半導体ウェハ表面の銅の研磨加工等において段差解消能力に優れているが、イオン交換容量が小さい。また、不織布からなるイオン交換膜は、段差解消能力が低いがイオン交換容量は大きい。この実施の形態では、異なる特性を有する2種類のイオン交換体280,290を組み合わせて用いることで、互いの短所を補い合うようにしている。
上側のイオン交換体280は、被加工物と対面するので、下側のイオン交換体290よりも硬度が高く、しかも良好な表面平滑性を有することが好ましい。この実施の形態では、厚さ0.2mmのナフィオン(デュポン社の商標)を使用している。ここで、「硬度が高い」とは、剛性が高く、かつ圧縮弾性率が低いことを意味する。硬度が高い材質を用いることにより、パターンウェハ等の、被加工物表面の微細な凹凸に加工部材が倣いにくくなるため、パターンの凸部のみを選択的に除去しやすい。また、「表面平滑性を有する」とは、表面の凹凸が小さいことを意味する。すなわち、イオン交換体が、被加工物であるパターンウェハ等の凹部に接触しにくくなるため、パターンの凸部のみを選択的に除去しやすくなる。
下側のイオン交換体290としては、イオン交換容量の大きいイオン交換体を用いることが好ましく、この実施の形態では、厚さが1mmのC膜(不織布イオン交換体)を3枚重ねた多層構造として、トータルのイオン交換容量を増加させている。このようなイオン交換容量の大きいイオン交換体を用いることで、電解反応により発生した加工生成物(酸化物やイオン)をイオン交換体290内にこの蓄積容量以上に蓄積させないようにして、イオン交換体290内に蓄積された加工生成物の形態が変化して、それが加工速度及びその分布に影響を与えることを防止することができる。また、目標とする被加工物の加工量を十分補えるだけのイオン交換容量を確保することができる。なお、イオン交換体290のイオン交換容量が大きければ多層構造とせずに1枚のイオン交換体により形成してもよい。
このように、この実施の形態では、表面平滑性を有するイオン交換体280とイオン交換容量の大きなイオン交換体290とを組み合わせることにより、イオン交換容量が小さいというイオン交換体280の短所をイオン交換体290により補っている。すなわち、加工生成物の取り込みをイオン交換容量の大きいイオン交換体290により行い、基板Wの加工は表面平滑性を有するイオン交換体280により行うことで、高精度かつ加工量の大きな加工を実現している。
また、上側のイオン交換体280としては通水性に優れたものを使用することがより好ましい。純水または超純水がイオン交換体280を通過するように流すことで、水の解離反応を促進させる官能基(強酸性陽イオン交換材料ではスルホン酸基)に十分な水を供給して水分子の解離量を増加させ、水酸化物イオン(もしくはOHラジカル)との反応により発生した加工生成物(ガスも含む)を水の流れにより除去して、加工効率を高めることができる。従って、純水または超純水の流れが必要となり、純水または超純水の流れとしては、一様かつ均一であることが好ましい。このように、一様かつ均一な流れとすることで、イオンの供給及び加工生成物の除去の一様性及び均一性、ひいては加工効率の一様性及び均一性を図ることができる。なお、イオン交換体280は、素材自体には通水性がなくても、多孔を形成することによって水が流れる(通水性を持たせる)ようにしてもよい。また、イオン交換体280の通水性が乏しい場合には、イオン交換体280の両面に十分な水を供給することが好ましい。
このようなイオン交換体280,290は、前述と同様に、例えば、アニオン交換基またはカチオン交換基を付与した不織布で構成されている。
ここで、図33及び図34に示すように、電極部250は、上側のイオン交換体280を供給(フィード)して交換する上側フィード機構380と、下側のイオン交換体290を供給(フィード)して交換する下側フィード機構390とを備えている。上側フィード機構380は、イオン交換体280が巻回された供給リール381と、供給リール381に巻回されたイオン交換体280を巻取る巻取リール382と、供給リール381側に配置された2つの小径ローラ383,384と、巻取リール382側に配置された2つの小径ローラ385,386とを備えている。また同様に、下側フィード機構390は、イオン交換体290が巻回された供給リール391と、供給リール391に巻回されたイオン交換体290を巻取る巻取リール392と、供給リール391側に配置された2つのローラ393,394と、巻取リール392側に配置された2つのローラ395,396とを備えている。
上側フィード機構380の供給リール381に巻回されたイオン交換体280は、ローラ383,384を経由して回転部材260と介在部材270との間を縫うように通され、更にローラ385,386を経由して巻取リール382に接続されている。また、下側フィード機構390の供給リール391に巻回されたイオン交換体290は、ローラ393,394を経由して回転部材260と介在部材270との間を縫うように通され、更にローラ395,396を経由して巻取リール392に接続されている。
上側フィード機構380のローラ383,384,385,386及び下側フィード機構390のローラ393,394,395,396は、それぞれ回転自在に構成されており、それぞれイオン交換体280,290に一定のテンションを与えるようになっている。巻取リール382,392には、それぞれ図示しないモータが連結されており、これらのモータの駆動により巻取リール382,392が回転して各供給リール381,391に巻回されたイオン交換体280,290をそれぞれ巻取るようになっている。
図35は、図33のC−C線断面図、図36は、図33に示す回転部材260の拡大断面図である。図35に示すように、回転部材260の軸262は、回転部材260の両側に配置されたシリンダ264の上端に取り付けられた軸受266に回転自在に支持されており、回転部材260は、シリンダ264の駆動によって上下動するようになっている。この実施の形態では、回転部材260は、電源(図示せず)の陰極に接続されており加工電極となっている。このような構成により、加工電極(回転部材)260は、基板Wに対して近接及び離間自在に構成されている。
図36に示すように、回転部材260の内部には、回転部材260の軸方向(図34のX方向)に延びる通水孔260aが形成されており、この通水孔260aは、図示しない純水供給源に接続されている。また、回転部材260の軸方向の複数箇所において、通水孔260aから放射状に延びる純水供給孔260bが形成されている。回転部材260の上半分の表面とイオン交換体290とは互いに接触しており、純水供給孔260bから純水、より好ましくは超純水がイオン交換体290に供給されるようになっている。回転部材260の下方には、純水供給孔260bから供給された純水または超純水を受けるカバー268が設置されており、このカバー268により純水または超純水が上方のイオン交換体290に効率的に供給されるようになっている。
図37は、図33に示す介在部材270の拡大断面図である。図37に示すように、介在部材270は、縦長の断面形状を有するボディ272と、ボディ272の頂部に配設された給電電極274とを備えている。ボディ272は、電気化学的に不活性でかつ剛性を有する材質、例えば、エンジニアリングプラスチックであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリフェニレンスルフィド(PPS)、フッ素樹脂などで形成されており、また、給電電極274は軟質な導電体で形成されている。
図37に示すように、ボディ272の内部には、介在部材270の長手方向(図34のX方向)に延びる通水孔272aが形成されており、この通水孔272aは、図示しない純水供給源に接続されている。また、介在部材270の長手方向に沿った複数箇所に、通水孔272aから斜め上方に延びる純水供給孔272bが形成されている。このように、純水供給孔272bから純水、より好ましくは超純水が基板Wの被加工面に直接供給されるようになっている。
なお、純水、好ましくは超純水の代わりに、電気伝導度500μS/cm以下の液体や、任意の電解液、例えば純水または超純水に電解質を添加した電解液、更には純水または超純水に界面活性剤等を添加した液体を使用してもよいことは前述と同様である。
この実施の形態では、加工電極(回転部材)260は電源(図示せず)の陰極に接続され、介在部材270の頂部の給電電極274は電源の陽極に接続される。例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるので、陰極に接続した電極が加工電極となり、陽極に接続した電極が給電電極となる。加工材料によっては、加工電極(回転部材)260を電源の陽極に接続し、給電電極274を電源の陰極に接続してもよい。
次に、この実施の形態における基板処理装置を用いた基板処理(電解加工)について説明する。まず、例えば、図1Bに示すように、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを、基板Wの導電体膜(銅膜6)を形成した表面が下を向くようして、電解加工装置234に搬送し、基板保持部240により吸着保持する。そして、基板保持部240で保持した基板Wを電極部250のイオン交換体280の表面に接触または近接させる。例えば、基板Wをイオン交換体280の表面に約0.5mm押し付ける。この状態で、基板保持部240及び基板Wをスクロール運動させ、同時に電極部250をY方向(図34参照、加工電極260の長手方向と垂直な方向)に往復直線運動させる。このとき、介在部材270の純水供給孔272bから基板Wと電極部250との間に純水または超純水を噴射し、また、加工電極260の純水供給孔260bを通じて純水または超純水をイオン交換体290に含ませる。
そして、電源により加工電極260と給電電極274との間に所定の電圧を印加し、イオン交換体280,290により生成された水素イオンまたは水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)260において基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。このとき、電解加工が行われる範囲は、基板Wがイオン交換体280(加工電極260)と接触している範囲(上述のように、基板Wをイオン交換体280の表面に約0.5mm押し付けた場合には幅5mm程度)である。
電解加工中には、加工電極260と給電電極274との間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタ部38(図4参照)でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知することは、前述と同様である。
電解加工完了後、電源の接続を切り、基板保持部240のスクロール運動と電極部250の往復直線運動を停止させた後、加工後の基板Wを次工程に搬送する。
ここで、上述のように電解加工を継続し、イオン交換体のイオン交換容量が使用限界まで達すると、イオン交換体を交換する必要が生じる。一般に、このようなイオン交換体の交換は、作業者の手作業で行われる場合が多い。このような場合、イオン交換体の交換時に装置を停止しなければならず、装置のダウンタイムも長くなってしまう。この実施の形態における電解加工装置によれば、上述したフィード機構380,390によってイオン交換体280,290の交換を自動で行うことができるので、高速でイオン交換体280,290を交換することができる。従って、イオン交換体280,290の交換による装置のダウンタイムを短くしてスループットを向上することができる。このイオン交換体280,290の交換は、電解加工時、すなわち電解加工後、もしくは1回の加工と次の加工との間のインターバルに行うことが好ましい。
また、この実施の形態における電解加工装置は、各イオン交換体280,290のそれぞれに対応してフィード機構380,390を備えており、交換の必要なイオン交換体のみを対応するフィード機構により交換することができるので、装置のランニングコストを低減することができる。
この実施の形態のように、基板Wに接触または近接するイオン交換体として表面平滑性を有するイオン交換体280を用い、基板Wに接触または近接しないイオン交換体としてイオン交換容量の大きなイオン交換体290を用いた場合、表面平滑性を有するイオン交換体280のイオン交換容量が小さいため、加工生成物の取り込みの大部分は下側のイオン交換容量の大きなイオン交換体290により行われる。このため、加工生成物を取り込んだイオン交換体290の交換周期を、表面平滑性を有するイオン交換体280よりも短くして、高価な表面平滑性を有するイオン交換体280を交換することなく摩耗限界まで使用し、加工生成物を取り込んだイオン交換体290のみを交換すれば、装置のランニングコストを低減することができる。
この実施の形態における電解加工装置234においてイオン交換体290のみを交換する場合、図38に示すように、シリンダ264を駆動させて加工電極260を下方に移動させる。そして、下側フィード機構390の巻取リール392に連結されたモータを駆動させて、所定量の下側のイオン交換体290を巻取リール392に巻取り、イオン交換体290の交換を行う。ここで、上述した加工生成物の取り込みは、加工電極260と基板Wとの間に位置する範囲のみで行われるので、このときの巻取り量は、この範囲のイオン交換体290が入れ替わり、かつ既に使用されたイオン交換体290がこの範囲に入らない量とする。
上述のようにして、加工電極260と基板Wとの間に位置する範囲のイオン交換体290の交換が完了した後、図39に示すように、巻取リール392側のシリンダ264から順番に駆動させて加工電極260を上昇させていく。これは、すべての加工電極260を同時に上昇させると、イオン交換体290が介在部材270の下端部に引っ掛かってしまうことが考えられるためである。なお、中央部の加工電極260を最初に上昇させた後、その両側の加工電極260を順番に上昇させてもよい。この場合には、巻取リール392に巻き取られたイオン交換体290の一部が再び供給リール391側に戻ってしまうこととなるので、予め多めにイオン交換体290を巻取リール392に巻き取っておくことが好ましい。
このように、この実施の形態の電解加工装置においては、基板Wに接触または近接しないイオン交換体290、すなわちイオン交換容量の大きいイオン交換体290の交換周期を、基板Wに接触または近接するイオン交換体、すなわち表面平滑性を有するイオン交換体280の交換周期よりも短くしており、高価な表面平滑性を有するイオン交換体280を交換することなく摩耗限界まで使用し、加工生成物を取り込んだイオン交換体290のみを交換して、装置のランニングコストを低減することができる。
また、イオン交換体280,290の双方を同時に交換することもできる。この場合には、図40に示すように、シリンダ264を駆動させて加工電極260を下方に移動させる。このとき、上側フィード機構380の巻取リール382及び下側フィード機構390の巻取リール392に連結されたモータを駆動させて、所定量のイオン交換体280,290をそれぞれ巻取リール382,392に巻取り、イオン交換体280,290を交換する。
更に、この実施の形態における電解加工装置は、電解加工中にもイオン交換体を交換することができる。すなわち、加工電極260を下降させずに、上側フィード機構380の巻取リール382及び/または下側フィード機構390の巻取リール392に連結されたモータを駆動することで、イオン交換体280及び/またはイオン交換体290を巻取リール382及び/または巻取リール382に巻取り、イオン交換体280及び/またはイオン交換体290を交換することができる。このように、この実施の形態における電解加工装置234は、装置を停止せずにイオン交換体を交換することができるので、装置のダウンタイムを更に短くすることができる。
図41は、本発明の更に他の実施の形態における電解加工装置の要部を示す縦断面図である。図41において、上述の図33乃至図40に示す実施の形態における部材または要素と同一の作用または機能を有する部材または要素には同一の符号を付してその説明を一部省略する。
この実施の形態においては、下側のイオン交換体290をフィードして交換する下側フィード機構490は、2つのリール491,492と、リール491側に配置された2つのローラ493,494と、リール492側に配置された2つのローラ495,496と、リール491,492の下方に配置された4つのローラ497a,497b,497c,497dとを備えている。イオン交換体290は、リール491、ローラ493,494,495,496、リール492、ローラ497cとローラ497dとの間及びローラ497aとローラ497bとの間に無端状に架け渡されており、これらの間を循環するようになっている。
電極部350の下方には、イオン交換体290を再生する再生装置300が配置されている。例えば、イオン交換体290としてカチオン交換基を付与したものを使用して銅の電解加工を行うと、加工終了後に銅がイオン交換体(カチオン交換体)290のイオン交換基の多くを占有しており、次の加工を行う時の加工効率が悪くなる。また、イオン交換体290としてアニオン交換基を付与したものを使用して銅の電解加工を行うと、イオン交換体(アニオン交換体)290の表面に銅の酸化物の微粒子が生成されて付着し、次の処理基板の表面を汚染するおそれがある。再生装置300は、このような場合に、イオン交換体290を再生して、これらの弊害を除去するものである。
この再生装置300は、下方に開口する凹部302aを有する再生電極保持部302と、この凹部302aに配置された再生電極304と、凹部302aの下方開口端を閉塞する隔壁306と、隔壁306の下方に配置される電極部308とを備えている。隔壁306と電極部308との間には、再生に付するイオン交換体290が配置されている。再生電極保持部302の内部には、隔壁306により区画される排出部310が形成されている。また、再生電極保持部302には、この排出部310に連通する液体入口302bと液体出口302cとがそれぞれ形成されている。これにより、液体入口302bから排出部310内に液体が供給され、この排出部310内に供給された液体は、排出部310の内部を満たして該液体内に再生電極304を浸漬させながら、排出部310を一方向に流れて液体出口302cから順次外部に排出されるようになっている。
隔壁306は、再生に付するイオン交換体290から除去される不純物イオンの移動の妨げとなることなく、しかも排出部310の内部の隔壁306と再生電極304との間を流れる液体(液体中のイオンも含む)のイオン交換体290側への透過を防止できることが好ましい。具体例としては、イオン交換体は、カチオンまたはアニオンの一方を選択的に透過することができ、しかも、膜状のイオン交換体を用いることで、隔壁306と再生電極304との間を流れる液体がイオン交換体290側に進入することを防止することができ、上述した要求を満たすことができる。
この実施の形態では、隔壁306として、再生に付するイオン交換体290と同じイオン交換基を有しているイオン交換体を使用している。すなわち、イオン交換体290としてカチオン交換基を有するカチオン交換体を使用していれば、隔壁(イオン交換体)306としてカチオン交換体を使用し、イオン交換体290としてアニオン交換基を有するアニオン交換体を使用していれば、隔壁(イオン交換体)306としてアニオン交換体を使用する。
また、排出部310内に供給する液体は、例えば、電解液で、導電率が高くかつ被処理イオン交換体から除去されるイオンとの反応により難溶性または不溶性の化合物を生成しない液体であることが好ましい。つまり、この液体は、再生に付するイオン交換体290から移動し隔壁306を通過したイオンを該液体の流れで系外に排出するためのもので、このように、誘電率が高くかつイオン交換体から除去されるイオンとの反応により不溶性の化合物を生じない液体を供給することで、この液体の電気抵抗を下げて再生装置300の消費電力を少なく抑え、しかも、不純物イオンとの反応で不溶性の化合物(2次生成物)が生成されて隔壁306に付着することを防止することができる。この液体は、排出する不純物イオンの種類によって選択されるが、例えば、銅の電解研磨に使用したイオン交換体290を再生する時に使用するものとして、濃度が1wt%以上の硫酸を挙げることができる。
再生電極304は、電源の一方の電極(例えば陰極)に接続され、電極部308は、電源の他方の電極(例えば陽極)に接続される。例えば、イオン交換体290としてカチオン交換体を使用した場合には、再生電極304が陰極となり、イオン交換体290としてアニオン交換体を使用した場合には、再生電極304が陽極となるように制御する。
このように、再生電極304に電源の一方の電極(例えば陰極)を接続し、電極部308に他方の電極(例えば陽極)を接続して、再生電極304と電極部308との間に電圧を印加する。このとき、再生電極保持部302の内部に設けた排出部310内に液体を供給し、排出部310内に液体を満たして該液体中に再生電極304を浸漬させ、この液体が排出部310内を一方向に流れて液体出口302cから外部に流出するようにする。
このとき、再生電極304がイオン交換体290(及び隔壁306)の極性と逆になるように制御する。すなわち、イオン交換体290(及び隔壁306)としてカチオン交換体を使用した場合には、再生電極304が陰極で電極部308が陽極となり、イオン交換体290(及び隔壁306)としてアニオン交換体を使用した場合には、再生電極304が陽極で電極部308が陰極となるようにする。このようにして、イオン交換体290のイオンを再生電極304に向けて移動させ、隔壁306を通過させて排出部310に導き、この排出部310に移動したイオンをこの排出部310内に供給される液体の流れで系外に排出して、イオン交換体290の再生を行う。このとき、イオン交換体290として、カチオン交換体を使用した場合には、イオン交換体290に取り込まれたカチオンが隔壁306を通過して排出部310の内部に移動し、アニオン交換体を使用した場合には、イオン交換体290に取り込まれたアニオンが隔壁306を通過して排出部310の内部に移動して、イオン交換体290が再生される。
上述したように、隔壁306として、再生に付するイオン交換体290と同じイオン交換基を有しているイオン交換体を使用することで、イオン交換体290中の不純物イオンの隔壁(イオン交換体)306の内部の移動が隔壁(イオン交換体)306によって妨げられることを防止して、消費電力が増加することを防止し、しかも隔壁306と再生電極304との間を流れる液体(液体中のイオンも含む)のイオン交換体290側への透過を阻止して、再生後のイオン交換体290の再汚染を防止することができる。更に、隔壁306と再生電極304との間に、導電率が50μS/cm以上でかつイオン交換体290から除去されるイオンとの反応により難溶性または不溶性の化合物を生成しない液体を供給することで、この液体の電気抵抗を下げて再生部の消費電力を少なく抑え、しかも不純物イオンとの反応で生成された不溶性の化合物(2次生成物)が隔壁306に付着して再生電極304と電極部308との間の電気抵抗が変化し、制御が困難となることを防止することができる。なお、この純水または超純水の代わりに、電気伝導度が500μS/cm以下の液体や電解液を使用してもよい。
このように、この実施の形態の電解加工装置によれば、電解加工に使用されたイオン交換体290を自動的に再生することができるので、ランニングコストを低減することができると同時に、ダウンタイムを短くすることが可能となる。
上述の実施の形態では、2種類のイオン交換体280,290を積層した例を説明したが、上側のイオン交換体280に代えて通水性を有する部材、例えば、PET素材に多数の孔を形成したフィルムなどを下側のイオン交換体290の表面に積層して用いることもできる。この通水性を有する部材は、素材自体には通水性がなくても、多孔を形成することによって水が流れる(通水性を持たせる)ようにしてもよい。また、通水性を有する部材は、下側のイオン交換体290よりも平滑な表面を有する部材であることが好ましい。この場合において、イオン交換体の交換周期を、通水性を有する部材の交換周期よりも短くすることが好ましい。また、上述の実施の形態では、回転部材260を加工電極とした例を説明したが、回転部材260を給電電極としてもよい。
図42は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置434を模式的に示す縦断面図である。図42に示すように、電解加工装置434は、上下動可能かつ水平方向に揺動自在なアーム440と、アーム440の自由端に垂設されて表面を下向き(フェイスダウン)にして基板Wを吸着保持する基板保持部442と、基板保持部442の下方に配置される円板状の電極部444と、電極部444に接続される電源446とを備えている。
アーム440は、揺動用モータ448に連結された揺動軸450の上端に取り付けられており、揺動用モータ448の駆動に伴って水平方向に揺動するようになっている。また、この揺動軸450は、上下方向に延びるボールねじ452に連結されており、ボールねじ452に連結された上下動用モータ454の駆動に伴ってアーム440とともに上下動するようになっている。なお、揺動軸450にエアシリンダを連結し、このエアシリンダの駆動により揺動軸450を上下動してもよい。
基板保持部442は、基板保持部442で保持した基板Wと電極部444とを相対移動させる第1駆動部としての自転用モータ456にシャフト458を介して接続されており、この自転用モータ456の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。また、上述したように、アーム440は、上下動及び水平方向に揺動可能となっており、基板保持部442はアーム440と一体となって上下動及び水平方向に揺動可能となっている。
電極部444の下方には、基板Wと電極部444とを相対移動させる第2駆動部としての中空モータ460が設置されており、この中空モータ460の主軸462には、この主軸462の中心から偏心した位置に駆動端464が設けられている。電極部444は、その中央において上記駆動端464に軸受(図示せず)を介して回転自在に連結されている。また、電極部444と中空モータ460との間には、前述の図7に示すものと同様な構成の自転防止機構が、周方向に3つ以上の設けられている。
また、図42に示すように、中空モータ460の中空部の内部には、電極部444の上面に純水、より好ましくは超純水を供給する純水供給部としての純水供給管482が配置されており、この純水供給管482から電極部444に形成された貫通孔(図示せず)を介して電極部444の上面に純水または超純水が供給されるようになっている。
図43は、基板保持部442及び電極部444を模式的に示す縦断面図である。図43に示すように、電極部444は、円板状の加工電極484と、この加工電極A84の周囲を囲繞するリング状の給電電極486と、加工電極484と給電電極486とを分離するリング状の絶縁体488とを備えている。加工電極484の上面はイオン交換体400により、また給電電極486の上面はイオン交換体402によりそれぞれ覆われており、これらのイオン交換体400,402は上記絶縁体488を介して互いに分離されている。
この実施の形態では、加工電極484を電源446の陰極に接続し、給電電極486を電源446の陽極に接続しているが、加工材料によっては、電源446の陰極に接続される電極を給電電極とし、陽極に接続される電極を加工電極としてもよいことは前述と同様である。
図44は、基板保持部442の詳細を示す縦断面図、図45は、図44のD−D線断面図、図46は、図44のE−E線断面図である。図44に示すように、基板保持部442は、シャフト458の下端に図示しないボルトで固定された略円盤状のフランジ部500と、フランジ部500の外周部に配置されたリテーナリング502とを備えている。フランジ部500及びリテーナリング502の内部に画成された空間内には、基板保持部442によって保持される半導体基板Wに当接する概略円盤状のチャッキングプレート504と、チャッキングプレート504の上方に配置された概略円盤状のストッパプレート506とが収容されている。これらのチャッキングプレート504及びストッパプレート506は、基板Wを保持するチャッキング部材を構成している。
ここで、チャッキング部材(チャッキングプレート504及びストッパプレート506)を樹脂により形成することが好ましい。このように、チャッキング部材自体を軽量の樹脂で形成すれば、基板にかかるチャッキング部材の自重が軽くなるため、低荷重で加工を行うことができ、脆弱な材料を破壊することなく基板を加工することができる。このような樹脂としては、例えばポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂がある。なお、チャッキング部材を樹脂で形成せずに、例えばアルミナセラミックスのようなセラミックス板により形成してもよい。
図44に示すように、フランジ部500とストッパプレート506との間には弾性膜からなる加圧シート508(弾性部材)が張設されている。この加圧シート508の一端は、フランジ部500の下面に取り付けられたホルダリング500aによって挟持され、他端はストッパプレート506に取り付けられたホルダリング506aによって挟持されている。フランジ部500、ストッパプレート506、及び加圧シート508によって、フランジ部500の内部に第1の圧力室510が形成されている。なお、加圧シート508は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴムなどの強度及び耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
図44及び図45に示すように、フランジ部500の上面には、第1の圧力室510に連通するコネクタ512が設けられている。このコネクタ512から延びるチューブ514(図45参照)を介して第1の圧力室510に流体を供給して第1の圧力室510を加圧し、あるいは、第1の圧力室510から流体を吸引して第1の圧力室510を減圧できるようになっている。従って、被加工物である基板Wは、第1の圧力室510に供給された流体により任意の圧力でイオン交換体400,402に対して接触できるようになっている。
また、チャッキングプレート504とストッパプレート506との間には第2の圧力室516が形成されている。チャッキングプレート504とストッパプレート506との間にはOリング518が配置されており、このOリング518により第2の圧力室516がシールされている。チャッキングプレート504には、第2の圧力室516と連通して下面に開口する多数の連通孔520が形成されている。
また、図44及び図46に示すように、ストッパプレート506の上面には、第2の圧力室516に連通するコネクタ522が設けられており、フランジ部500の下面には、コネクタ522から延びるチューブ524に接続されるコネクタ526が設けられている。このコネクタ526はフランジ部500の上面に設けられたコネクタ528に連通している。このコネクタ528から延びるチューブ530(図45参照)を介して第2の圧力室516に流体を供給して第2の圧力室516を加圧し、あるいは、第2の圧力室516から流体を吸引して第2の圧力室516を減圧できるようになっている。すなわち、半導体基板Wの上面を真空によってチャッキングプレート504の下面に吸着でき、あるいは、半導体基板Wの上面に加圧流体を供給できるようになっている。この第2の圧力室516は、上述した第1の圧力室510とは独立して圧力の制御が可能となっている。
図44に示すように、ストッパプレート506の外周部の下面には、基板Wの外周側に配置される環状のガイドリング532が取り付けられている。この実施の形態では、基板Wをイオン交換体400,402に接触させた状態で、基板Wを回転させ、同時に電極部444をスクロール運動させたときに、ガイドリング532の一部が給電電極486及び加工電極484の上方に常に位置するようになっている。このガイドリング532は、例えばポリカーボネートまたはポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)樹脂から形成される。基板Wは、ガイドリング532及びチャッキングプレート504によって形成される凹部内に保持され、水平方向へのずれを制限するようになっている。
また、図44に示すように、フランジ部500の外周部には洗浄液路534が形成されている。この洗浄液路534は、ガイドリング532の外周面とリテーナリング502の内周面との間のわずかな間隙Gへ連通されている。フランジ部500の上面には、洗浄液路534に連通するコネクタ536が設けられており、このコネクタ536から延びるチューブ538(図45参照)を介して洗浄液路534及び間隙Gに洗浄液(純水)を供給できるようになっている。
ここで、ガイドリング532の外周面とリテーナリング502の内周面との間には、わずかな間隙Gがあるので、ストッパプレート506、ガイドリング532、及びチャッキングプレート504等のチャッキング部材は、フランジ部500及びリテーナリング502に対して上下方向に移動可能で、フローティングする構造となっている。すなわち、チャッキング部材は、シャフト458に固定されたフランジ部500に対してシャフト458の軸方向(上下方向)に移動自在となっており、いわゆるフローティング状態を得ることができる。図47に示すように、リテーナリング502の下部には、内方に突出する突出部502aが設けられており、ストッパプレート506にはその外周縁部から外方に突出する突起506bが複数箇所に設けられている。従って、ストッパプレート506の突起506bがリテーナリング502の突出部502aの上面に係合することにより、上記ストッパプレート506等のチャッキング部材の下方への移動が所定の位置までに制限される。これにより、非電解加工(研磨)時に、ストッパプレート506、ガイドリング532、及びチャッキングプレート504等のチャッキング部材がリテーナリング502の突出部502aにより支持されるようになっている。
次に、この実施の形態における基板処理装置を用いた基板処理(電解加工)について説明する。まず、例えば、図1Bに示すように、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを、基板Wの導電体膜(銅膜6)を形成した表面が下を向くようにして、電解加工装置434に搬送し、基板保持部442に吸着保持する。すなわち、基板保持部442内の第2の圧力室516から流体を吸引して、連通孔520を介してチャッキングプレート504の下面に半導体基板Wを真空吸着する。そして、アーム440を揺動させて基板Wを保持した基板保持部442を電極部444の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ454を駆動して基板保持部442を下降させ、この基板保持部442で保持した基板Wを電極部444のイオン交換体400,402の表面に接触させる。この場合において、基板保持部442は、基板Wがイオン交換体400,402に接触する位置(あるいは接触する直前の位置)で位置決めされる。この状態で、自転用モータ456(第1駆動部)を駆動して基板Wを回転させ、同時に中空モータ460(第2駆動部)を駆動して電極部444をスクロール運動させる。このとき、電極部444の貫通孔から基板Wとイオン交換体400,402との間に純水または超純水を供給する。
そして、電源446により加工電極484と給電電極486との間に所定の電圧を印加し、イオン交換体400,402により生成された水素イオンまたは水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)484において基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。このとき、加工電極484と対面する部分において加工が進行するが、基板Wと加工電極484とを相対移動させることにより基板Wの全面の加工を行っている。加工中は、第1の圧力室510に流体を供給して基板Wを任意の圧力でイオン交換体400,402に対して押圧する。すなわち、第1の圧力室510に供給する流体によって半導体基板Wがイオン交換体400,402に接触される力を適宜調整して半導体基板Wの電解加工を行う。通常、第2の圧力室516から流体を吸引して基板Wをチャッキングプレート504の下面に吸着させながら電解加工を行うが、第2の圧力室516に流体を供給して基板Wに背圧をかけながら電解加工を行うこともできる。
上述したように、加工中は、ストッパプレート506は、リテーナリング502と係合せず、フランジ部500及びリテーナリング502に対して独立して動くことができるため、フローティングする。すなわち、加圧シート508の可撓性と、リテーナリング502の内周面とガイドリング532の外周面との間に形成された微小な間隙Gとにより、基板Wを保持したチャッキングプレート504はある程度自由に上下動できるようになっている。
ここで、基板Wの外周側にはガイドリング532が設けられているが、ガイドリング532の少なくとも表面を導電性の材質から形成すれば、導電性材料の部分が広がるので、基板Wのエッジ部に電流密度が集中することなく、基板全面に亘って電流密度を一定にすることができ、基板Wの全面において加工速度を一定にして、均一な加工を安定して行うことが可能となる。この場合において、ガイドリング532の導電性の部分の材質としては、一般的な金属や金属化合物の他に、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物または導電性セラミックスを使用することができ、電気化学的に不活性なものを用いることが好ましい。ガイドリング532として電気化学的に不活性なものを用いた場合には、ガイドリング532は加工されないので、ガイドリング532の長寿命化を図ることができる。また、樹脂などの絶縁物に導電体をコーティングしたもの、例えば、白金などの酸化しにくい材料やイリジウムなどの導電性酸化物で基材の表面を保護したものをガイドリング532として用いることもできる。このようなガイドリング532は、例えば、チタンの基材の表面にめっきやコーティングで白金またはイリジウムを付着させ、高温で焼結して安定化と強度を保つ処理を行うことにより作製できる。また、セラミックス製品は、一般に無機物質を原料として熱処理によって得られ、各種の非金属・金属の酸化物・炭化物・窒化物などを原料として、様々な特性を持つ製品が作られているが、この中には導電性を有するセラミックスもある。
電解加工中には、加工電極484と給電電極486との間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタ部38(図4参照)でモニタすることは、前述と同様である。
電解加工完了後、電源446の接続を切り、基板保持部442の回転と電極部444のスクロール運動を停止させ、しかる後、基板保持部442を上昇させ、アーム440を移動させて基板Wを搬送ロボット36(図4参照)に受け渡す。搬送ロボット36に基板Wを受け渡す際には、第2の圧力室516に流体(例えば、圧縮空気もしくは窒素と純水を混合したもの)を供給し、チャッキングプレート504の連通孔520からこの流体を噴射して半導体基板Wをリリースする。
ここで、電解加工中に基板Wとイオン交換体400,402との間に、純水、好ましくは超純水を供給するが、この純水または超純水の代わりに、電気伝導度500μS/cm以下の液体や、純水または超純水に電解質を添加した電解液、更には、純水または超純水に界面活性剤等を添加た液体を使用してもよいことは前述と同様である。
電極部444のイオン交換体400,402は、例えば、アニオン交換基またはカチオン交換基を付与した不織布で構成されており、またイオン交換体400,402としては通水性に優れたものを使用することがより好ましいことは前述と同様である。
この実施の形態の電解処理装置によれば、電解加工時の基板にかかる荷重を小さくすることができる。すなわち、基板Wがイオン交換体400,402に接触するまで基板保持部442を下降させた場合、加工時に基板Wにかかる荷重は、チャッキング部材(チャッキングプレート504、ストッパプレート506、ガイドリング532)の自重と、第1の圧力室510に供給される流体の圧力による荷重の和となる。従って、第1の圧力室510に供給する流体の圧力を調整することにより、基板Wが加工電極484に接触する圧力を高精度で制御することができるので、基板Wと加工電極484との間に発生する面圧を、半導体デバイスを破壊する圧力よりも小さく抑えるように制御することができ、脆弱な材料を破壊することなく基板を加工することができる。
また、この実施の形態に係る電解加工装置によれば、機械的研磨作用を伴わないので、CMPのように基板Wを強く押し付ける必要がない。基板Wの配線材料として脆弱な材料を用いる場合には、加工電極484もしくはイオン交換体400,402から基板Wが受ける押圧力が、19.6kPa(200gf/cm)以下、より好ましくは6.86kPa(70gf/cm)以下、更に好ましくは686Pa(7gf/cm、0.1psi)以下になるように、第1の圧力室510に供給する流体の圧力を調整して低荷重で基板Wの加工を行うことが好ましい。
なお、この実施の形態においては、基板Wはチャッキングプレート504の下面に直接吸着されているが、チャッキングプレート504と基板Wとの間に弾性体からなるバッキングシートを介在させて基板Wを保持してもよい。また、この実施の形態の電解処理装置の基板保持部442は、純水や超純水を用いる電解加工に限られるものではなく、加工液として電解液を用いる電解加工にも適用できる。加工液として電解液を用いた場合には、イオン交換体ではなく、基板表面から溶出した金属イオンを除去するためのスポンジ状の通液性部材を配置することが好ましい。
図48は、本発明の更に他の実施の形態における電解加工装置の電極部の断面図を示す。図48に示すように、この実施の形態における電極部746は、前述の図5乃至図10に示す例と同様に、矩形状に形成され、直線状に延びる複数の電極部材782を備えており、これらの電極部材782は平板状のベース784上に並列に等ピッチで配置されている。
各電極部材782は、電源に接続される電極786と、電極786の表面を一体的に覆うイオン交換体(イオン交換膜)790とを備えている。イオン交換体790は、電極786の両側に配置された保持プレート785により電極786に取り付けられている。このイオン交換体790は、前述と同様に、例えば、アニオン交換基またはカチオン交換基を付与した不織布で構成されている。
この実施の形態では、隣り合う電極部材782の電極786に、電源の陰極と陽極とが交互に接続されている。例えば、電極(加工電極)786aを電源の陰極に接続し、電極(給電電極)786bを陽極に接続する。つまり、前述と同様に、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるので、陰極に接続した電極786が加工電極786aとなり、陽極に接続した電極786が給電電極786bとなる。このように、この実施の形態では、加工電極786aと給電電極786bとが並列に交互に配置される。
電極部746のベース784の内部には、被加工面に純水、より好ましくは超純水を供給するための流路792が形成されており、この流路792は純水供給管794を介して純水供給源(図示せず)に接続されている。各電極部材782の両側には、基板Wの表面に接触する接触部材796が設置されている。この接触部材796の内部には、流路792に連通する連通孔796aが形成されており、この連通孔796aを介して純水または超純水が基板Wと電極部材782のイオン交換体790との間に供給される。
ここで、すべての電極部材782のイオン交換体790に対して基板Wが均一に接触することが理想的である。上述の図42乃至図47に示す実施の形態における基板保持部442においては、フランジ部とチャッキング部材とを連結する弾性部材によりジンバル機構が構成され、これにより基板Wが電極の表面に倣い均一に電極(イオン交換体)に接触するようになっている。しかしながら、この実施の形態のように、弾性を有するイオン交換体を並列に配置した場合には、イオン交換体がCMPにおける研磨面ほどの剛性を持っていないため、図49Aに示すように、電極部材782と基板Wとの相対運動や純水の供給等により基板Wが傾いて、イオン交換体790に均一に接触しないことが考えられる。特に、図42乃至図47に示す実施の形態の基板保持部442は、第1の圧力室510に供給される流体の圧力を調整して基板全面と電極との接触を制御しているため、複数の電極(イオン交換体)が配置された場合にはすべての電極(イオン交換体)に対して基板Wが均一に接触するように制御することは困難である。
このような観点から、この実施の形態では、各電極部材782の両側に接触部材796を設けている。この接触部材796の高さは、電極部材782のイオン交換体790の高さよりも少し低くなるように設定されている。従って、基板Wを電極部材782のイオン交換体790に接触させた場合には、基板Wの表面が接触部材796により支持されることとなる。すなわち、図49Bに示すように、基板Wをある程度イオン交換体790に押し付けた後は、基板Wは接触部材796の上面に接触するため、基板Wをそれ以上押し付けようとしても、その押圧力を接触部材796が受けるので、基板Wとイオン交換体790との接触面積は変化しない。このように、この実施の形態では、基板Wが傾くことが防止され、接触面積が均一になるので、均一な加工を実現することができる。
接触部材796の上面には、図49Bに示すように、基板Wの表面を傷つけない程度の弾性を有する材質により形成された緩衝部材798を取り付けることが好ましい。このような緩衝部材798としては、例えばポリテックスパッド(ロデール社の商標)を用いることができる。
また、各電極部材782の電極786の内部には、流路792からイオン交換体790に通じる貫通孔800が形成されている。このような構成により、流路792内の純水または超純水は、貫通孔800を通ってイオン交換体790に供給される。
なお、この例は、イオン交換体を用いた電解加工に限られるものではない。例えば、加工液として電解液を用いた場合は、電極の表面に取り付けられる加工部材としては、イオン交換体に限られず、柔らかい研磨パッドや不織布のようなものであってもよい。その場合においても、上述した接触部材や基板保持部は、良好な加工性能を得る上で有用である。
このような構成の電解加工装置において、上述の同様に、基板保持部742で保持した基板Wを電極部746のイオン交換体790の表面に接触させ、電極部746をスクロール運動させる。このとき、接触部材796の連通孔796aから基板Wと電極部材782との間に純水または超純水を供給し、また、各電極部746の貫通孔800を通じて純水または超純水をイオン交換体790に含ませる。この実施の形態では、イオン交換体790に供給された純水または超純水は各電極部材782の長手方向端部から排出される。そして、電源により加工電極786aと給電電極786bとの間に所定の電圧を印加し、イオン交換体790により生成された水素イオンまたは水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)786aにおいて基板Wの表面の導電体膜の電解加工を行う。
ここで、複数の電極部材782を並列に配置した電極部746を使用した場合、基板Wの全面が電極786(イオン交換体400,402)に接触するわけではなく、接触面積が比較的小さくなるので、基板W全面で接触する場合に比べて基板Wに作用する面圧が高くなってしまい、理想的な加工条件を実現することができないことがある。以下では、このような問題を解決するための基板保持部について図50乃至図52を参照して説明する。なお、図50乃至図52において、図42乃至図47に示す実施の形態における部材または要素と同一の作用または機能を有する部材または要素には同一の符号を付し、その説明を一部省略する。
図50は、本発明の更に他の実施の形態における基板保持部を示す縦断面図である。図50に示す基板保持部442aにおいては、フランジ部500の下面に取り付けられたホルダリング500a,500bによって加圧シート508a(弾性部材)が挟持されており、この加圧シート508aの中央部は、ホルダリング506aによってストッパプレート506に取り付けられている。すなわち、この実施の形態では、フランジ部500と加圧シート508aによって第1の圧力室510aが形成されている。なお、フランジ部500の上面には通気孔500cが形成されており、ストッパプレート506の上方の空間は大気圧に開放されている。
上記第1の圧力室510aは、前述の実施の形態と同様に、コネクタ512に連通しており、コネクタ512を介して第1の圧力室510aに流体を供給して、第1の圧力室510aを加圧できるようになっている。この実施の形態では、第1の圧力室510aに供給される流体の圧力は、ストッパプレート506のホルダリング支持部506c(図50参照)の上面にのみかかり、押圧面積が図40に示す基板保持部に比べて小さくなっているので、基板Wにかかる面圧を低くして、低荷重の加工を実現することができる。
図51は、本発明の更に他の実施の形態における基板保持部を示す縦断面図である。図51に示す基板保持部442bにおいては、ストッパプレート506の上面に所定の重量のウェイト410が取り付けられている。このウェイト410は、フランジ部500の上面に形成された開口500dの内部に配置されており、チャッキング部材(チャッキングプレート504及びストッパプレート506)とともに上下動するようになっている。なお、この実施の形態においては、フランジ部500とストッパプレート506との間には圧力室は形成されておらず、ストッパプレート506の上方の空間は大気圧に開放されている。
このような構成の基板保持部によれば、適切な重量のウェイト410をチャッキング部材に取り付けることによって、基板Wに作用する面圧を調整することができ、簡易な構造によって基板Wに作用する面圧を低くして低荷重の加工を実現することができる。
図52は、本発明の更に他の実施の形態における基板保持部を示す縦断面図である。図52に示す基板保持部442cにおいては、フランジ部500の上面に、チャッキング部材(チャッキングプレート504及びストッパプレート506)を押圧するエアシリンダ470が取り付けられている。エアシリンダ470のロッド472は、フランジ部500に形成されたロッド孔500eに挿通されており、その先端がストッパプレート506のホルダリング506aに当接するようになっている。従って、エアシリンダ470の駆動によって、ロッド472がストッパプレート506を押圧して、チャッキング部材を上下動させるようになっている。なお、この実施の形態においては、フランジ部500とストッパプレート506との間には圧力室は形成されておらず、ストッパプレート506の上方の空間は大気圧に開放されている。
このような構成の基板保持部442cによれば、エアシリンダ470を適切に制御することによって、チャッキング部材を下方に押圧する力、すなわち基板Wに作用する面圧を調整することができ、基板に作用する面圧を低くして低荷重の加工を実現することができる。また、加工パラメータ等の変更が生じた場合には、上述の図51に示す実施の形態ではウェイト410の重量を変更して対応する必要があるが、この実施の形態では、エアシリンダ470の押圧力を制御するだけで、このような加工パラメータ等の変更に対応することができる。
図53は、本発明の更に他の実施の形態における電解加工装置の要部を示す縦断面図で、図54は、図53の要部を拡大して示す要部拡大図である。図53に示すように、この電解加工装置600は、表面を下向きにして基板Wを吸着する基板保持部602と、矩形状の電極部604とを上下に備えている。この基板保持部602は、前述の図5及び図6に示す実施の形態の基板保持部42と同様に、上下動、左右動及び回転自在に構成されている。電極部604は、中空スクロールモータ606を備えており、この中空スクロールモータ606の駆動により、自転を行わない円運動、いわゆるスクロール運動(並進回転運動)を行うようになっている。
電極部604は、直線状に延びる複数の電極部材608と、上方に開口する容器610とを備えており、複数の電極部材608は容器610内に並列に等ピッチで配置されている。更に、この容器610の上方に位置して、該容器610の内部に超純水や純水等の液体を供給する液体供給ノズル612が配置されている。各電極部材608は、装置内の電源に接続される電極614を備えており、この各電極614に電源の陰極と陽極とが交互に、つまり、電極(加工電極)614aに電源の陰極が、電極(給電電極)614bに陽極が交互に接続されている。これによって、前述と同様に、例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるので、陰極に接続した電極614が加工電極614aとなり、陽極に接続した電極614が給電電極614bとなるようになっている。
そして、この陰極に接続した加工電極614aにあっては、図54に詳細に示すように、この上部に、例えば不織布からなるイオン交換体616aが取り付けられ、この加工電極614a及びイオン交換体616aは、液体の通過を遮断しイオンのみを通過可能に構成されたイオン交換膜からなる第2のイオン交換体618aで一体に覆われている。陽極に接続した給電電極614bにあってもほぼ同様に、この上部に、例えば不織布からなるイオン交換体616bが取り付けられ、この加工電極614a及びイオン交換体616bは、液体の通過を遮断しイオンのみを通過可能に構成されたイオン交換膜からなる第2のイオン交換体618bで一体に覆われている。これにより、不織布からなるイオン交換体616a,616bにあっては、電極614の長さ方向に沿った所定の位置に設けられた貫通孔(図示せず)を通過した超純水や液体が、この内部を自由に移動して、不織布内部の水分解触媒作用を有する活性点に容易に到達することができるが、この液体は、イオン交換膜からなるイオン交換体618a,618bで流れを遮断されて、このイオン交換体618a,618bが、下記の第2の隔壁を構成するようになっている。
電源の陰極に接続された加工電極614aの両側には、一対の液体吸引ノズル620が配置され、この液体吸引ノズル620の内部には、長さ方向に沿って延びる流体流通路620aが設けられ、更に、長さ方向に沿った所定の位置に、上面に開口し流体流通路620aに連通する液体吸引孔620bが設けられている。更に、この液体流通路620aは、図53に示すように、液体排出路621に連通し、この液体排出路621から外部に排出されるようになっている。
そして、加工電極614aと一対の液体吸引ノズル620は、一対のタップバー622を介して一体化され、一対のインサートプレート624に挟持されてベース626に固定されている。一方、給電電極614bは、その表面をイオン交換体618bで覆った状態で、一対の保持プレート628で挟持されてベース626に固定されている。
なお、イオン交換体616a,616bは、例えば、アニオン交換基またはカチオン交換基を付与した不織布で構成されているが、アニオン交換基を有するアニオン交換体とカチオン交換基を有するカチオン交換体とを重ね合わせたり、イオン交換体616a,616b自体にアニオン交換基とカチオン交換基の双方の交換基を付与するようにしたりしてもよく、また、素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、またはその他有機高分子が挙げられることは前述と同様である。また、電極部材608の電極614の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物または導電性セラミックスを使用することが好ましいことは前述と同様である、。
そして、各液体吸引ノズル620の上面には、例えば弾性を有する連続気孔多孔体からなる隔壁630がその長さ方向の全長にわたって取り付けられている。この隔壁630の肉厚は、基板保持部602で保持した基板Wを、電極部材608のイオン交換体618a,618bに接触乃至近接させて、この基板Wに電解加工を施す際に、この隔壁630の上面が基板保持部602で保持された基板Wに圧接する厚さに設定されている。これによって、電解加工を行う際に、電極部604と基板保持部602との間に、隔壁630で隔離された、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632と、給電電極614bと基板との間に形成される流路634が並列に形成され、しかも、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632は、イオン交換膜で構成された第2の隔壁としてのイオン交換体618aで2つの流路632a,632bに隔離され、給電電極614bと基板Wとの間に形成される流路634は、イオン交換膜で構成された第2の隔壁としてのイオン交換体618bで2つの流路634a,634bに隔離されるようになっている。
そして、これらの流路632,634に沿って流れる流体は、液体排出路621に接続した吸引ポンプを駆動することによって、隔壁630の内部を通過した後、液体吸引孔620b、流体流通路620a及び液体排出路621を通過して外部に排出される。なお、このように、隔壁630として、連続気孔多孔体を使用すると、液体の流れを完全に隔離(遮断)することはできず部分的に隔離することになるが、液体の隔離は、液体を完全に隔離(遮断)する必要はなく、液体の流れをある程度妨げられればよい。
この隔壁630を構成する弾性を有する連続気孔多孔体としては、ポリウレタンスポンジを挙げることができるが、この隔壁630を、不織布、発泡ポリウレタン、PVAスポンジまたはイオン交換体で構成するようにしてもよい。
この実施の形態では、容器610の内部は液体供給ノズル612から供給された超純水や純水等の液体で満たされ、一方、電極614に設けた貫通孔(図示せず)から加工電極614a及び給電電極614bの上部に配置された不織布からなるイオン交換体616a,616bに超純水や純水等の液体が供給された状態で電解加工が行われる。容器610の外側には、この容器610の外周壁610aをオーバフローした液体を排出するオーバフロー路636が設けられており、外周壁610aをオーバフローした液体は、オーバフロー路636を介して排液タンク(図示せず)に入るようになっている。
この電解加工時に、液体排出路621に接続した吸引ポンプを駆動することによって、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632と、給電電極614bと基板との間に形成される流路634に沿って流れる流体を外部に排出するのであり、これにより、電気化学的加工である電解加工の際に、気泡(ガス)発生の反応が主に生じる給電電極614bと基板Wとの間を流れる液体の流れと、加工電極614aと基板Wとの間を流れる液体の流れを少なくとも部分的に隔離し、独立して流れを制御することにより、発生する気泡を効果的に除去することができる。
このように、いわゆるマルチバー電極系において、例えばポリウレタンスポンジからなる隔壁630に用いて、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632と、給電電極614bと基板との間に形成される流路634とを隔離した場合、ピットの発生量は、約1桁減少することが確認されている。これは、▲1▼隔壁により給電電極側の気泡の被加工物表面への到達が遮断されたこと、▲2▼隔壁により加工電極側の流路が制限(流路断面積が減少)されることで、加工電極側の超純水の流速が増加したことの2つが原因として考えられる。
図55は、電極部604の変形例を示すもので、この例は、隔壁630aとして、例えばゴム製等の弾性体で、かつ通液性がないものを使用し、更に、液体吸引ノズル620として、隔壁630aの両側に開口する2つの液体吸引孔620cを有するものを使用したものである。その他の構成は、前述の例と同様である。この例によれば、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632と、給電電極614bと基板との間に形成される流路634との隔離を完全なものとすることができる。
なお、図示しないが、加工電極の両側に配置する一対の液体吸引ノズルの一方の代わりに、長手方向に沿った所定位置に液体供給孔を設けた液体供給ノズルを使用し、液体供給ノズルによる液体の供給と液体吸引ノズルによる液体の吸引とを同時に行うことで、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632に沿って流れる流体と、給電電極614bと基板との間に形成される流路634に沿って流れる流体の流れをより確実に制御して、隔壁を越えて隣接する空間へ流れる流体の量を減らすようにすることができる。また、加工電極の両側に配置されるノズルの両方を液体供給ノズルとして、電極に沿った液体流れを押し出すことにより形成してもよい。この時も、容器610の内部を液体で満たし、基板を浸漬した状態で加工させるため、液体供給ノズル612から加工液を供給するのが望ましい。
また、前述の実施の形態では電極にイオン交換体を装着した例を示しているが、電極の形状や加工に用いる液体は、特に限定されない。隣り合う電極の間に、接触部材796や隔壁630を設けるようにすればよい。即ち、電極の形状は、棒状のものに限られず、被加工物に対して複数の電極が対向するようにした任意の形状が選択される。電極にイオン交換体以外の通液性スクラブ部材を取付けるようにしてもよい。また、接触部材や隔壁を電極面よりも高くして、被加工物と電極が直接接しないようにすることで、電極の表面を露出させることができる。電極表面にイオン交換体を装着しない場合でも、被加工物と電極の間の流体の流れを仕切る第2の隔壁はあった方が好ましい。
前述の図42乃至図47に示す実施の形態によれば、第1の圧力室510に供給する流体の圧力を調整することにより、基板が加工電極に接触する圧力を任意に制御することができるので、基板と加工電極との間に発生する面圧を半導体デバイスを破壊する圧力よりも小さく抑えるように制御することができ、脆弱な材料を破壊することなく基板を加工することができる。
また、図51に示す実施の形態によれば、適切な重量のウェイト410をチャッキング部材に取り付けることによって、基板に作用する面圧を調整することができ、簡易な構造によって基板に作用する面圧を低くして低荷重の加工を実現することができる。
更に、図52に示す実施の形態によれば、エアシリンダ470を適切に制御することによって、チャッキング部材を下方に押圧する力、すなわち基板に作用する面圧を調整することができ、基板に作用する面圧を低くして低荷重の加工を実現することができる。また、加工パラメータ等の変更が生じた場合であっても、エアシリンダの押圧力を制御するだけで、これに対応することができる。
また、図48に示す実施の形態によれば、被加工物をある程度イオン交換体に押し付けた後は、被加工物は接触部材の上面に接触するため、接触面積が均一になり、均一な加工を実現することができる。
更に、図53乃至図55に示す実施の形態によれば、に主に給電電極において発生する気泡の効果的な除去が可能となり、これによって気泡の発生に起因する被加工物表面へのピット発生を防止することが可能となる。
上述したように、本発明によれば、基板等の被加工物に物理的な欠陥を与えて被加工物の特性を損なうことを防止しつつ、電気化学的作用によって、例えばCMPに代わる電解加工等を施すことができ、これによって、CMP処理そのものを省略したり、CMP処理の負荷を低減したり、更には基板等の被加工物の表面に付着した付着物を除去(洗浄)することができる。しかも、純水または超純水のみを使用しても基板を加工することができ、これによって、基板の表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくして、除去加工後の洗浄工程を簡略化できるばかりでなく、廃液処理の負荷を極めて小さくすることができる。
これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
本発明の電解加工装置の基本構造は、特願2001−401436(米国出願番号10/337357)の、特に図24、図25に開示されており、前記出願の全ての開示はここで引用することにより本発明に含まれる。
産業上の利用の可能性
本発明は、半導体ウェハ等の基板の表面に形成された導電性材料を加工したり、基板の表面に付着した不純物を除去したりするために使用される電解加工装置及び電解加工方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
図1A乃至図1Cは、銅配線基板の一製造例を工程順に示す図である。
図2は、共にイオン交換体を取り付けた加工電極及び給電電極を基板(被加工物)に近接させ、加工電極及び給電電極と基板(被加工物)との間に純水または電気伝導度が500μS/cm以下の流体を供給するようにしたときの本発明による電解加工の原理の説明に付する図である。
図3は、加工電極のみにイオン交換体を取り付けて、加工電極と基板(被加工物)との間に流体を供給するようにしたときの本発明による電解加工の原理の説明に付する図である。
図4は、本発明の実施の形態における基板処理装置の構成を示す平面図である。
図5は、図4に示す基板処理装置に備えられている本発明の実施の形態における電解加工装置を示す平面図である。
図6は、図5の縦断面図である。
図7Aは、図5の電解加工装置における自転防止機構を示す平面図である。
図7Bは、図7AのA−A線断面図である。
図8は、図5の電解加工装置における電極部を示す平面図である。
図9は、図8のB−B線断面図である。
図10は、図9の部分拡大図である。
図11Aは、異なる材料を成膜した基板の表面に電解加工を施したときに流れる電流と時間の関係を示すグラフである。
図11Bは、異なる材料を成膜した基板の表面に電解加工を施したときに印加される電圧と時間の関係をそれぞれ示すグラフである。
図12A及び図12Bは、本発明の実施の形態の電解加工装置おける、基板の押し付け量がそれぞれ異なる場合の電極部の状態を示す図である。
図13Aは、本発明の他の実施の形態の電解加工装置における電極部材を示す断面図である。
図13Bは、図13Aの部分拡大図である。
図14A及び図14Bは、本発明の他の実施の形態の電解加工装置における、基板の押し付け量がそれぞれ異なる場合の電極部の状態を示す図である。
図15Aは、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における電極部材を示す断面図である。
図15Bは、図15Aの部分拡大図である。
図16A及び図16Bは、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における、基板の押し付け量がそれぞれ異なる場合の電極部の状態を示す図である。
図17Aは、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における電極部材に用いるイオン交換体を示す部分斜視図である。
図17Bは、図17Aに示すイオン交換体を取り付けた電極部材を示す部分斜視図である。
図18A乃至図18Cは、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における、基板の押し付け量がそれぞれ異なる場合の電極部の状態を示す図である。
図19は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置におけるイオン交換体の変形例を示す縦断面図である。
図20A及び図20Bは、本発明の更に実施の形態の電解加工装置における電極部材の変形例を示す部分斜視図である。
図21は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における電極部の断面図(図9相当図)である。
図22は、図21の部分拡大図である。
図23は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における電極部の断面図(図9相当図)である。
図24は、図23の部分拡大図である。
図25Aは、加工電極の部分断面図である。
図25Bは、図25Aに示す加工電極により加工される基板の単位時間当たりの加工量を示すグラフである。
図25Cは、図25Bに示す状態で加工電極をスクロール運動させたときの加工量を示すグラフである。
図26A乃至図26Cは、本発明に係る電解加工方法の原理の説明に付する図である。
図27A乃至図27Dは、本発明の他の実施の形態における電解加工方法の説明に付する図である。
図28A乃至図28Dは、本発明の更に他の実施の形態における電解加工方法の説明に付する図である。
図29は、本発明の更に他の実施の形態における電解加工方法の説明に付する図である。
図30A及び図30Bは、本発明の更に他の実施の形態における電解加工方法の説明に付する図である。
図31Aは、電解加工中に加工電極と給電電極との間に印加する電流を示すグラフである。
図31Bは、図31Aに示す電流を印加したときの基板上の膜厚を示すグラフである。
図32A及び図32Bは、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置におけるそれぞれ異なる加工電極を示す縦断面図である。
図33は、本発明の更に他の実施の形態おける電解加工装置の要部を示す縦断面図である。
図34は、図33の電極部を示す斜視図である。
図35は、図33のC−C線断面図である。
図36は、図33に示す回転部材(加工電極)の拡大断面図である。
図37は、図33に示す介在部材の拡大図である。
図38は、図33の電極部において一方のイオン交換体を交換するときの状態を示す図である。
図39は、図33の電極部において一方のイオン交換体を交換するときの状態を示す図である。
図40は、図33の電極部において両方のイオン交換体を交換するときの状態を示す図である。
図41は、本発明の更に他の実施の形態における電解加工装置の要部を示す縦断面図である。
図42は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置を模式的に示す縦断面図である。
図43は、図42の電解加工装置における基板保持部及び電極部を模式的に示す縦断面図である。
図44は、図42の電解加工装置における基板保持部の詳細を示す縦断面図である。
図45は、図44のD−D線断面図である。
図46は、図44のE−E線断面図である。
図47は、図44の部分拡大図である。
図48は、本発明の更に他の実施の形態の電解処理装置における電極部を示す縦断面図である。
図49Aは、接触部材を設けない場合における電解加工装置の作用を説明するための模式図である。
図49Bは、接触部材を設けた場合における電解加工装置の作用を説明するための模式図である。
図50は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における基板保持部を示す縦断面図である。
図51は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における基板保持部を示す縦断面図である。
図52は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置における基板保持部を示す縦断面図である。
図53は、本発明の更に他の実施の形態の電解加工装置の要部を示す縦断面図である。
図54は、図53の一部を拡大して示す要部拡大図である。
図55は、電極部の変形例を示す図54相当図である。

Claims (84)

  1. 電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、
    前記電極部材のイオン交換体に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、
    前記電極部の各電極部材の電極に接続される電源とを備え、
    前記電極部材のイオン交換体は、表面平滑性に優れたイオン交換体と、イオン交換容量の大きいイオン交換体とを有することを特徴とする電解加工装置。
  2. 前記電極部の各電極部材の電極の内部に、前記イオン交換体に流体を供給する貫通孔を形成したことを特徴とする請求項1記載の電解加工装置。
  3. 隣り合う前記電極部材の電極を、前記電源の陰極と陽極とに交互に接続したことを特徴とする請求項1記載の電解加工装置。
  4. 電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、
    前記電極部材のイオン交換体に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、
    前記電極部の各電極部材の電極に接続される電源と、
    前記被加工物と前記電極部材のイオン交換体との間に流体を供給する流体供給ノズルを備えたことを特徴とする電解加工装置。
  5. 前記流体供給ノズルは、前記電極部材に対向する被加工物の被加工面に向けて前記流体を噴射する噴射口を有することを特徴とする請求項4記載の電解加工装置。
  6. 前記流体供給ノズルの高さは、前記電極部材のイオン交換体の高さよりも低いことを特徴とする請求項4記載の電解加工装置。
  7. 前記電極部の各電極部材の電極の内部に、前記イオン交換体に流体を供給する貫通孔を形成したことを特徴とする請求項4記載の電解加工装置。
  8. 隣り合う前記電極部材の電極を、前記電源の陰極と陽極とに交互に接続したことを特徴とする請求項4記載の電解加工装置。
  9. 電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する電極部材を備え、
    前記電極部材に、被加工物を前記電極部材のイオン交換体に接触させたときに、所定の押し付け量以上の状態において前記イオン交換体の加工に用いられる部分と前記被加工物との実質的な接触幅を一定に制限する接触幅制限部を設けたことを特徴とする電解加工装置。
  10. 前記接触幅制限部は、前記イオン交換体の表面側または裏面側に貼付された絶縁フィルムにより構成されることを特徴とする請求項9記載の電解加工装置。
  11. 前記接触幅制限部は、イオン交換能力を有しない部材により構成されることを特徴とする請求項9記載の電解加工装置。
  12. 前記イオン交換能力を有しない部材は、前記イオン交換体と一体に形成されていることを特徴とする請求項11記載の電解加工装置。
  13. 前記接触幅制限部は、前記イオン交換体に設けられた凸部により構成されることを特徴とする請求項9記載の電解加工装置。
  14. 前記電極部材が複数並列に配置されることを特徴とする請求項9記載の電解加工装置。
  15. 隣り合う前記電極部材の電極を、電源の陰極と陽極とに交互に接続したことを特徴とする請求項14記載の電解加工装置。
  16. 複数の給電電極と複数の加工電極を配置した電極部と、
    前記電極部の給電電極及び加工電極に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、
    前記電極部の各給電電極及び加工電極に接続される電源と、
    前記電極部と被加工物との間に相対運動を生じさせる駆動機構を備え、
    前記給電電極及び前記加工電極の内部に、該給電電極及び加工電極の表面に流体を供給する貫通孔をそれぞれ形成したことを特徴とする電解加工装置。
  17. 前記給電電極と前記加工電極の間に、前記被加工物と前記給電電極及び前記加工電極との間に流体を供給する流体供給ノズルを配置したことを特徴とする請求項16記載の電解加工装置。
  18. 給電電極と加工電極を交互に並列に配置した電極部と、
    前記電極部の給電電極及び加工電極に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、
    前記電極部の各給電電極及び加工電極に接続される電源と、
    前記電極部と被加工物との間に相対運動を生じさせる駆動機構と、
    該給電電極及び加工電極と基板との間に流体を供給する液体供給部を備えたことを特徴とする電解加工装置。
  19. 前記給電電極及び前記加工電極と被加工物の間にはイオン交換体が具備されることを特徴とする請求項18記載の電解加工装置。
  20. 基板を搬出入する基板搬出入部と、
    電解加工装置と、
    前記基板搬出入部と前記電解加工装置との間で基板を搬送する搬送装置とを備え、
    前記電解加工装置は、
    (i)電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、
    (ii)前記電極部材のイオン交換体に被加工物を接触または近接自在に保持する保持部と、
    (iii)前記電極部の各電極部材の電極に接続される電源とを備え、
    前記電極部材のイオン交換体は、表面平滑性に優れたイオン交換体と、イオン交換容量の大きいイオン交換体とを有することを特徴とする基板処理装置。
  21. 基板を搬出入する基板搬出入部と、
    電解加工装置と、
    前記基板搬出入部と前記電解加工装置との間で基板を搬送する搬送装置とを備え、
    前記電解加工装置は、
    (i)複数の加工電極と複数の給電電極とを配置した電極部と、
    (ii)前記電極部に基板を接触または近接自在に保持する基板保持部と、
    (iii)前記各電極部材の電極に接続される電源と、
    (iv)前記電極部と基板との間に相対運動を生じさせる駆動機構とを備え、
    前記給電電極及び前記加工電極の内部に、該給電電極及び加工電極の表面に流体を供給する貫通孔をそれぞれ形成したことを特徴とする基板処理装置。
  22. 基板を搬出入する基板搬出入部と、
    電解加工装置と、
    前記基板搬出入部と前記電解加工装置との間で基板を搬送する搬送装置とを備え、
    前記電解加工装置は、
    (i)複数の加工電極と複数の給電電極とを並列に配置した電極部と、
    (ii)前記電極部に基板を接触または近接自在に保持する基板保持部と、
    (iii)前記各電極部材の電極に接続される電源と、
    (iv)前記電極部と基板との間に相対運動を生じさせる駆動機構と、
    (v)基板と電極部の間に加工液を供給する加工液供給機構とを有することを特徴とする基板処理装置。
  23. 被加工物の表面を電解加工する方法において、
    電極の表面にイオン交換体を配置した前記被加工物よりも幅の狭い加工電極に前記被加工物を接触させ、
    前記イオン交換体の加工に用いられる部分と前記被加工物との実質的な接触幅を一定に維持したまま、前記加工電極と前記被加工物とを相対運動させて該被加工物の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  24. 少なくとも前記加工電極の表面に露出している前記イオン交換体の全幅を前記被加工物に実質的に接触させることを特徴とする請求項23記載の電解加工方法。
  25. 被加工物を加工電極に接触または近接させ、
    前記加工電極と前記被加工物に給電する給電電極との間に電圧を印加し、
    前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に流体を供給し、
    第1の相対運動として前記加工電極と前記被加工物とを相対運動させて一の方向に沿った往復相対運動を形成するとともに、前記第1の相対運動による被加工物の前記一の方向に沿った加工量分布において生じるピッチの整数倍だけ、第2の相対運動として前記被加工物と前記加工電極とを前記一の方向に相対運動させ、前記被加工物の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  26. 前記第1の相対運動の速度を変化させることを特徴とする請求項25に記載の電解加工方法。
  27. 前記加工電極は、電極と前記電極の表面を覆うイオン交換体とを有し、並列に配置した複数の電極部材から構成されていることを特徴とする請求項25記載の電解加工方法。
  28. 前記第2の相対運動を往復運動により行うことを特徴とする請求項25記載の電解加工方法。
  29. 前記第2の相対運動における往復運動の移動距離は、往路と復路とにおいてそれぞれ異なることを特徴とする請求項28記載の電解加工方法。
  30. 前記第2の相対運動を繰り返し、前記被加工物における前記第2の相対運動の方向を前記第2の相対運動における前記一の方向への運動を単位として変化させることを特徴とする請求項28記載の電解加工方法。
  31. 電解加工中に前記加工電極と前記給電電極との間に印加する電圧及び/または電流を変化させることを特徴とする請求項25記載の電解加工方法。
  32. 電解加工中に前記第2の相対運動の速度を変化させることを特徴とする請求項25記載の電解加工方法。
  33. 被加工物を加工電極に接触または近接させ、
    前記加工電極と前記被加工物に給電する給電電極との間に電圧を印加し、
    前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に流体を供給し、
    第1の相対運動として前記加工電極と前記被加工物とを相対運動させるとともに、第2の相対運動として前記加工電極と前記被加工物との間で一の方向への相対運動を繰り返し、前記被加工物における前記第2の相対運動の方向を前記第2の相対運動における前記一の方向への運動を単位として変化させて、前記被加工物の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  34. 前記第1の相対運動の速度を変化させることを特徴とする請求項33に記載の電解加工方法。
  35. 前記被加工物を所定の角度だけ回転させることにより、前記被加工物における前記第2の相対運動の方向を変化させることを特徴とする請求項33記載の電解加工方法。
  36. 前記所定の角度の回転を繰り返して、前記被加工物の電解加工の終了までに前記被加工物を少なくとも1回転させることを特徴とする請求項35記載の電解加工方法。
  37. 前記被加工物における前記加工電極に対する前記第2の相対運動の位置を前記第2の相対運動における前記一の方向への運動を単位として変化させることを特徴とする請求項33記載の電解加工方法。
  38. 前記第2の相対運動中に前記被加工物を回転させないことを特徴とする請求項33記載の電解加工方法。
  39. 電解加工中に前記加工電極と前記給電電極との間に印加する電圧及び/または電流を変化させることを特徴とする請求項33記載の電解加工方法。
  40. 電解加工中に前記第2の相対運動の速度を変化させることを特徴とする請求項33記載の電解加工方法。
  41. 被加工物に接触または近接可能な加工電極と、
    前記被加工物に給電する給電電極と、
    前記被加工物を保持して前記加工電極に接触または近接させる保持部と、
    前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に配置される複数のイオン交換体と、
    前記複数のイオン交換体の少なくとも1つを供給して交換するフィード機構とを備えたことを特徴とする電解加工装置。
  42. 前記複数のイオン交換体のそれぞれに対応して前記フィード機構を備えたことを特徴とする請求項41記載の電解加工装置。
  43. 前記被加工物に接触または近接しないイオン交換体の交換周期が前記被加工物に接触または近接するイオン交換体の交換周期よりも短いことを特徴とする請求項41記載の電解加工装置。
  44. 前記被加工物に接触または近接しないイオン交換体を前記フィード機構により交換することを特徴とする請求項43記載の電解加工方装置。
  45. 前記複数のイオン交換体のうち、イオン交換容量の大きいイオン交換体の交換周期が他のイオン交換体の交換周期よりも短いことを特徴とする請求項41記載の電解加工装置。
  46. 前記フィード機構による前記イオン交換体の交換を電解加工時に行うことを特徴とする請求項41記載の電解加工装置。
  47. 回転自在の複数の回転部材と、前記回転部材の間に介在させる複数の介在部材とを備え、
    前記回転部材と前記介在部材との間に前記イオン交換体を縫うように配置したことを特徴とする請求項41記載の電解加工装置。
  48. 前記回転部材は、前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方であることを特徴とする請求項47記載の電解加工装置。
  49. 前記フィード機構により循環されるイオン交換体を再生する再生装置を更に備えたことを特徴とする請求項41記載の電解加工装置。
  50. 被加工物に接触または近接可能な加工電極と、
    前記被加工物に給電する給電電極と、
    前記被加工物を保持して前記加工電極に接触または近接させる保持部と、
    前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に配置されるイオン交換体と、
    前記イオン交換体の表面に積層された通水性を有する部材と、
    前記イオン交換体を供給して交換するフィード機構とを備えたことを特徴とする電解加工装置。
  51. 前記イオン交換体の交換周期が前記通水性を有する部材の交換周期よりも短いことを特徴とする請求項50記載の電解加工装置。
  52. 回転自在の複数の回転部材と、前記回転部材の間に介在させる複数の介在部材とを備え、
    前記回転部材と前記介在部材との間に前記イオン交換体を縫うように配置したことを特徴とする請求項50記載の電解加工装置。
  53. 前記回転部材は、前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方であることを特徴とする請求項50記載の電解加工装置。
  54. 前記フィード機構により循環されるイオン交換体を再生する再生装置を更に備えたことを特徴とする請求項50記載の電解加工装置。
  55. 被加工物に接触または近接可能な加工電極と、
    前記被加工物に給電する給電電極と、
    前記被加工物を保持して前記加工電極に接触または近接させる保持部とを備え、
    前記加工電極または前記給電電極を複数備え、前記複数の電極は、前記被加工物に対して互いに独立して近接及び離間自在に構成されていることを特徴とする電解加工装置。
  56. 前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置したことを特徴とする請求項55記載の電解加工装置。
  57. 基板を保持し加工電極に接触させて電解加工を行う基板保持部であって、
    シャフトに連結されるフランジ部と、
    前記フランジ部に対して前記シャフトの軸方向に移動自在で、かつ前記基板を保持するチャッキング部材とを備えたことを特徴とする基板保持部。
  58. 前記フランジ部と前記チャッキング部材との間に形成される第1の圧力室を備え、
    前記第1の圧力室に流体を供給することにより該第1の圧力室を加圧して、前記チャッキング部材に保持された基板を前記加工電極に接触させることを特徴とする請求項57記載の基板保持部。
  59. 前記第1の圧力室は、前記フランジ部、前記チャッキング部材、及び前記フランジ部と前記チャッキング部材とを連結する弾性部材により形成されることを特徴とする請求項58記載の基板保持部。
  60. 前記チャッキング部材に所定の重量のウェイトを取り付けることにより、前記基板の前記加工電極に対する押圧力を調整することを特徴とする請求項57記載の基板保持部。
  61. 前記チャッキング部材を下方に押圧するエアシリンダを更に備えたことを特徴とする請求項57記載の基板保持部。
  62. 前記チャッキング部材は、前記基板に連通する連通孔が形成されたチャッキングプレートと、前記チャッキングプレートの上方に配置されたストッパプレートと、前記チャッキングプレートと前記ストッパプレートとの間に形成される第2の圧力室とを備え、
    前記第2の圧力室から流体を吸引することにより該第2の圧力室を減圧して、前記基板を前記チャッキング部材に吸着させることを特徴とする請求項57記載の基板保持部。
  63. 前記フランジ部には、内方に突出する突出部を有するリテーナリングを取り付け、
    前記チャッキング部材には、前記リテーナリングの突出部に係合する突起を設けたことを特徴とする請求項57記載の基板保持部。
  64. 加工電極と、
    基板に給電する給電電極と、
    前記基板を保持して前記加工電極に接触させる基板保持部と、
    前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加する電源と、
    前記基板保持部で保持した基板と前記加工電極とを相対移動させる駆動部とを備え、
    前記基板保持部は、基板を保持し加工電極に接触させて電解加工を行う基板保持部であって、シャフトに連結されるフランジ部と、前記フランジ部に対して前記シャフトの軸方向に移動自在で、かつ前記基板を保持するチャッキング部材とを備えたことを特徴とする電解加工装置。
  65. 前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置したことを特徴とする請求項64記載の電解加工装置。
  66. 前記イオン交換体が配置された前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に流体を供給する流体供給部を備えたことを特徴とする請求項65記載の電解加工装置。
  67. 前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に通水性を有する部材を配置したことを特徴とする請求項64記載の電解加工装置。
  68. 加工電極と給電電極とを配置し、
    前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加し、
    シャフトに連結されるフランジ部と基板を保持するチャッキング部材とを有する基板保持部により基板を保持し、
    前記基板を前記加工電極に接触させ、前記基板と前記加工電極とを相対移動させて該基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  69. 前記基板保持部のフランジ部とチャッキング部材との間に形成される第1の圧力室に流体を供給することにより該第1の圧力室を加圧して、前記基板を前記加工電極に接触させることを特徴とする請求項68記載の電解加工方法。
  70. 前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置したことを特徴とする請求項68記載の電解加工方法。
  71. 前記基板の押圧力が6.86kPa以下になるように、前記第1の圧力室に供給される流体の圧力を制御することを特徴とする請求項69記載の電解加工方法。
  72. 電極と該電極の表面に取り付けられた加工部材とを有する複数の電極部材を並列に配置した電極部と、
    前記電極部材の加工部材に被加工物を接触自在に保持する保持部と、
    前記電極部の各電極部材の電極に接続される電源とを備え、
    前記複数の電極部材の間に、前記被加工物の表面に接触する接触部材を配置したことを特徴とする電解加工装置。
  73. 前記接触部材に、前記被加工物の表面を傷つけない程度の弾性を有する材質により形成された緩衝部材を取り付けたことを特徴とする請求項72記載の電解加工装置。
  74. 前記加工部材はイオン交換体であることを特徴とする請求項72記載の電解加工装置。
  75. 加工電極と、
    被加工物に給電する給電電極と、
    基板を保持して前記加工電極及び前記給電電極に接触または近接させる基板保持部と、
    前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加する電源と、
    前記基板保持部で保持した前記基板と前記加工電極及び前記給電電極とを相対運動させる駆動部と、
    前記基板と前記加工電極との間、または前記基板と前記給電電極との間の少なくとも一方に流体を供給する流体供給部と、
    前記加工電極と前記基板との間の流体の流れと、前記給電電極と前記基板との間の流体の流れを少なくとも部分的に隔離する隔壁を備えたことを特徴とする電解加工装置。
  76. 前記基板と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置したことを特徴とする請求項75記載の電解加工装置。
  77. 前記隔壁は、弾性体からなることを特徴とする請求項75記載の電解加工装置。
  78. 前記弾性体は、不織布、発泡ポリウレタン、PVAスポンジ、ポリウレタンスポンジまたはイオン交換体からなることを特徴とする請求項77記載の電解加工装置。
  79. 互いに隣接する前記隔壁により隔離された領域を流れる流体の流れを、前記加工電極側または前記給電電極側の流れと、前記基板側の流れに分離する第2の隔壁を更に有することを特徴とする請求項75記載の電解加工装置。
  80. 前記流体は、超純水、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体または電解液であることを特徴とする請求項75記載の電解加工装置。
  81. 互いに隣接する前記隔壁により隔離された領域を流れる流体を吸引する流体吸引部を有することを特徴とする請求項75記載の電解加工装置。
  82. 複数の電極を配置した電極部と、
    前記電極に被加工物を接触乃至近接自在に保持する保持部と、
    前記電極部の各電極に接続される電源とを備え、
    前記複数の電極の間に、前記被加工物の表面に接触する接触部材を配置したことを特徴とする電解加工装置。
  83. 加工電極と給電電極とを配置し、
    前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加し、
    被加工物を前記加工電極に接触または近接させ、
    前記加工電極と被加工物との間の流体の流れと、前記給電電極と被加工物との間の流体の流れとを隔壁により少なくとも部分的に隔離しつつ、前記被加工物と前記加工電極とを相対運動させて前記被加工物の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  84. 前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間にイオン交換体を配置したことを特徴とする請求項83記載の電解加工方法。
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