JP2005054205A - 電解加工装置及び電解加工方法 - Google Patents

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穂積 安田
Ikutaro Nomichi
郁太郎 野路
Kazuto Hirokawa
一人 廣川
Takeshi Iiizumi
健 飯泉
Itsuki Obata
厳貴 小畠
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Abstract

【課題】脆弱な材料を加工する場合においても、基板に形成されたデバイスを破壊することなく加工を行うことができ、加工中での電極の基板に対する接触圧力の不均一を低減して、基板の面内における加工量や加工後の表面粗さをより均一にする。
【解決手段】基板を保持する基板保持部42と、液体の存在下で、基板保持部42で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材60を備えた電極ベース62と、電極ベース62をフローティング機構72を介してフローティング支持する支持ベース70とを有する。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解加工装置及び電解加工方法に係り、特に半導体ウエハ等の基板の表面に形成された導電性材料を加工したり、基板の表面に付着した不純物を除去したりするために使用される電解加工装置及び電解加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体ウエハ等の基板上に回路を形成するための配線材料として、アルミニウム又はアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅(Cu)を用いる動きが顕著になっている。この種の銅配線は、基板の表面に設けた微細凹みの内部に銅を埋め込むことによって一般に形成される。この銅配線を形成する方法としては、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング及びめっきといった手法があるが、いずれにしても、基板のほぼ全表面に銅を成膜して、化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により不要の銅を除去するようにしている。
【0003】
図1(a)乃至図1(c)は、この種の銅配線基板Wの一製造例を工程順に示すものである。図1(a)に示すように、半導体素子が形成された半導体基材1上の導電層1aの上にSiOからなる酸化膜やLow−k材膜などの絶縁膜2が堆積され、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール3と配線溝4が形成されている。これらの上にTaN等からなるバリア膜5、更にその上に電解めっきの給電層としてスパッタリングやCVD等によりシード層7が形成されている。
【0004】
そして、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、図1(b)に示すように、半導体基材1のコンタクトホール3及び配線溝4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学機械的研磨(CMP)により、絶縁膜2上の銅膜6及びシード層7を除去して、コンタクトホール3及び配線溝4内に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図1(c)に示すように銅膜6からなる配線が形成される。
【0005】
また、最近ではあらゆる機器の構成要素において微細化かつ高精度化が進み、サブミクロン領域での物作りが一般的となるにつれて、加工法自体が材料の特性に与える影響は益々大きくなっている。このような状況下においては、従来の機械加工のように、工具が被加工物を物理的に破壊しながら除去していく加工方法では、加工によって被加工物に多くの欠陥を生み出してしまうため、被加工物の特性が劣化してしまう。したがって、いかに材料の特性を損なうことなく加工を行うことができるかが問題となってくる。
【0006】
この問題を解決する手段として開発された特殊加工法に、化学研磨や電解加工、電解研磨がある。これらの加工方法は、従来の物理的な加工とは対照的に、化学的溶解反応を起こすことによって、除去加工等を行うものである。したがって、塑性変形による加工変質層や転位等の欠陥は発生せず、上述の材料の特性を損なわずに加工を行うといった課題が達成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、CMP工程は、一般にかなり複雑な操作が必要で、制御も複雑となり、加工時間もかなり長い。更に、研磨後の基板の後洗浄を十分に行う必要があるばかりでなく、スラリーや洗浄液の廃液処理のための負荷が大きい等の課題がある。このため、CMP自体を省略する、あるいはこの負荷を軽減することが強く求められている。また、今後、絶縁膜も誘電率の小さいLow−k材に変わると予想され、このLow−k材は強度が弱くCMPによるストレスに耐えられなくなる。したがって、基板にストレスを与えることなく、平坦化できるようにしたプロセスが望まれている。
【0008】
また、半導体装置の製造プロセスにおいて、Low−k材などの脆弱な材料を加工する場合には、素材の座屈等による破壊が懸念されるため、CMP等の加工においては基板と研磨面との間に高い面圧をかけることができず、十分な研磨性能を発揮することができない。特に、最近では、基板の配線材料として銅や低誘電率の材料を使用することが望まれており、このような脆弱な材料を用いた場合には、上述の問題が顕著になる。電解加工においては、基板と加工電極との間に面圧をかける必要はないが、基板と加工電極を覆うイオン交換体等の接触部材とを接触させる際に面圧が発生して半導体デバイスを破壊する可能性がある。したがって、電解加工においても基板に高荷重がかかることを避ける必要がある。
【0009】
更に、半導体ウエハなどの基板(被加工物)と給電電極および加工電極の間にイオン交換体を配置し、このイオン交換体を基板に接触させ、電極とイオン交換体間、及びイオン交換体と基板間にそれぞれ超純水などの流体を供給し、電極と基板とを相対運動させつつ給電電極と加工電極との間に電圧を印加して加工を行う電解加工装置においては、イオン交換体の厚さばらつきやイオン交換体の取付け誤差、更には基板の表面形状に起因する接触圧力の不均一が、基板の面内における加工量や、加工後の表面粗さの不均一の原因となる。特に、イオン交換容量を増大させるため、イオン交換体として、イオン交換膜(体)を多層に積層した積層体を使用した場合には、電極毎のイオン交換体の厚さばらつきが生じやすい。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、脆弱な材料を用いた基板を加工する場合においても、基板に形成されたデバイスを破壊することなく加工を行うことができる電解加工装置及び電解加工方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、加工中での電極部材の基板に対する接触圧力の不均一を低減して、基板の面内における加工量や加工後の表面粗さをより均一にすることができる電解加工装置及び電解加工方法を提供することを第2の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基板を保持する基板保持部と、液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材を備えた電極ベースと、前記電極ベースをフローティング機構を介してフローティング支持する支持ベースとを有することを特徴とする電解加工装置である。
【0012】
図2及び図3は、本発明の加工原理を示すものである。図2は、被加工物10の表面に、加工電極14に取付けたイオン交換体12aと、給電電極16に取付けたイオン交換体12bとを接触又は近接させ、加工電極14と給電電極16との間に電源17を介して電圧を印加しつつ、加工電極14及び給電電極16と被加工物10との間に流体供給部19から超純水等の流体18を供給した状態を示している。図3は、被加工物10の表面に、加工電極14に取付けたイオン交換体12aを接触又は近接させ、給電電極16を被加工物10に直接接触させて、加工電極14と給電電極16との間に電源17を介して電圧を印加しつつ、加工電極14と被加工物10との間に流体供給部19から超純水等の流体18を供給した状態を示している。
【0013】
超純水のような流体自身の抵抗値が大きい液体を使用する場合には、イオン交換体12aを被加工物10の表面に「接触させる」ことが好ましく、このようにイオン交換体12aを被加工物10の表面に接触させることにより、電気抵抗を低減させることができ、印加電圧も小さくて済み、消費電力も低減できる。したがって、本発明に係る加工における「接触」は、従来のCMPのように大きな圧力で「押し付ける」ものではない。
【0014】
これにより、超純水等の流体18中の水分子20をイオン交換体12a,12bで水酸化物イオン22と水素イオン24に解離し、例えば生成された水酸化物イオン22を、被加工物10と加工電極14との間の電界と超純水等の流体18の流れによって、被加工物10の加工電極14と対面する表面に供給して、ここでの被加工物10近傍の水酸化物イオン22の密度を高め、被加工物10の原子10aと水酸化物イオン22を反応させる。反応によって生成された反応物質26は、流体18中に溶解し、被加工物10の表面に沿った超純水等の流体18の流れによって被加工物10から除去される。これにより、被加工物10の表面層の除去加工が行われる。
【0015】
このように、本加工法は被加工物との電気化学的相互作用により被加工物の除去加工を行うものである。この方法では、被加工物10の加工電極14と対面する部分が加工されるので、加工電極14を移動させることで、被加工物10の表面を所望の表面形状に加工することができる。
【0016】
なお、本発明に係る電解加工装置は、従来のCMPよりも低圧力で加工できるため、材料の特性を損なわずに除去加工を行うことが可能であり、例えば上述したLow−k材に挙げられる機械的強度の小さい材料に対しても、除去加工が可能である。また、加工液に500μS/cm以下の流体、好ましくは純水、更に好ましくは超純水を用いる場合は、被加工物表面への汚染も大幅に低減させることが可能であり、また加工後の廃液の処理も容易となる。なお、本発明は、電解液やキレート剤を用いた電解加工や、砥粒またはスラリーを用いる電解複合加工など接触式の電解加工に適用できる。
【0017】
この発明によれば、電極部材を備えた電極ベースをフローティング支持し、基板から電極部材を介して電極ベースに作用する力によって、基板のより広範囲に亘って電極部材がより均一に基板に接触するように電極ベースを傾動させることで、例え電極部材の形状にばらつきがあっても、電極部材の基板への接触圧力をより均一にすることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記電極ベースの前記支持ベースから離れる方向及び該支持ベースと水平な方向への移動を規制するストッパが設けられていることを特徴とする請求項1記載の電解加工装置である。
これにより、電極部材が基板に接触していない非加工時に、電極ベースが支持ベースから脱出することを防止するとともに、加工中に電極部材と基板との間に生じする摩擦力によって、電極ベースが支持ベースと水平な方向へ移動してしまうことを防止することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記フローティング機構は、前記電極ベースと前記支持ベースとの間に介装した弾性体を介して該電極ベースをフローティング支持するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電解加工装置である。
これにより、弾性体の弾性力を介して、電極部材が基板のより広範囲に亘って該基板により均一に接触するように電極ベースを傾動させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記フローティング機構は、前記電極ベースと前記支持ベースとの間に周囲を弾性膜で囲繞して形成した圧力室内に封入した流体の流体圧を介して該電極ベースをフローティング支持するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電解加工装置である。
これにより、電極ベースと支持ベースとの間に周囲を弾性膜で囲繞して形成した圧力室内に封入した流体の流体圧を介して、電極部材が基板のより広範囲に亘って該基板より均一に接触するように電極ベースを傾動させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、前記圧力室には、所定の圧力の流体が供給されるよう構成されていることを特徴とする請求項4記載の電解加工装置である。
この流体の圧力は、電極部材(電極またはイオン交換体)から基板が受ける圧力が、19.6kPa(200gf/cm、2.9psi)以下、より好ましくは6.86kPa(70gf/cm、1.0psi)以下、更に好ましくは686Pa(7gf/cm、0.1psi)以下になるように調整される。このように、圧力室内に供給する流体の圧力を調整することにより、基板が電極部材に接触する圧力を任意に制御することができるので、基板と電極部材との間に発生する面圧を、半導体デバイスを破壊する圧力よりも小さく抑えるように制御することができ、脆弱な材料を破壊することなく基板を加工することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、前記電極ベースには、複数の電極が固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電解加工装置である。
請求項7に記載の発明は、基板を保持する基板保持部と、液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材と、前記電極部材をフローティング機構を介してフローティング支持する電極支持ベースとを有することを特徴とする電解加工装置である。
このように、電極部材をフローティング支持し、基板から電極部材に作用する力によって、基板のより広範囲に亘って電極部材が基板により均一に接触するように該電極部材を傾動させることで、例え電極部材の形状にばらつきがあっても、電極部材の基板への接触圧力をより均一にすることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、複数の電極部材を有し、それぞれの電極部材が異なったフローティング機構を介してフローティング支持されていることを特徴とする請求項7記載の電解加工装置である。これにより、各電極部材を個別にフローティング支持することができる。
請求項9に記載の発明は、前記電極部材の該電極支持ベースから離れる方向及び該電極支持ベースと水平な方向への移動を規制するストッパが設けられていることを特徴とする請求項7または8記載の電解加工装置である。
これにより、電極部材が基板に接触していない被加工時に、電極部材が電極支持ベースから脱出することを防止するとともに、加工中に電極部材と基板との間に生じする摩擦力によって、電極部材が電極支持ベースと水平な方向へ移動してしまうことを防止することができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、前記フローティング機構は、前記電極部材と前記電極支持ベースとの間に介装して弾性体を介して該電極部材をフローティング支持するように構成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の電解加工装置である。
これにより、弾性体の弾性力を介して、電極部材が基板のより広範囲に亘って該基板により均一に接触するように電極支持ベースを傾動させることができる。
【0025】
請求項11に記載の発明は、前記フローティング機構は、前記電極部材と前記電極支持ベースとの間に周囲を弾性膜で囲繞して形成した圧力室内に封入した流体の流体圧を介して該電極部材をフローティング支持するように構成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の電解加工装置である。
これにより、電極部材と電極支持ベースとの間に周囲を弾性膜で囲繞して形成した圧力室内に封入した流体の流体圧を介して、電極部材が基板のより広範囲に亘って該基板により均一に接触するように電極部材を傾動させることができる。
【0026】
請求項12に記載の発明は、前記圧力室には、所定の圧力の流体が供給されるよう構成されていることを特徴とする請求項11記載の電解加工装置である。
この流体の圧力は、電極部材(電極またはイオン交換体)から基板が受ける圧力が、19.6kPa(200gf/cm、2.9psi)以下、より好ましくは6.86kPa(70gf/cm、1.0psi)以下、更に好ましくは686Pa(7gf/cm、0.1psi)以下になるように調整される。このように、圧力室内に供給する流体の圧力を調整することにより、基板が電極部材に接触する圧力を任意に制御することができるので、基板と電極部材との間に発生する面圧を、半導体デバイスを破壊する圧力よりも小さく抑えるように制御することができ、脆弱な材料を破壊することなく基板を加工することができる。
【0027】
請求項13に記載の発明は、基板を保持する基板保持部と、液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す複数の電極部材と、前記電極部材をフローティング支持するフローティング機構と、前記複数の電極部材の内の一部をフローティングさせるか、またはフローティングによる弾性を変える調整部材を有することを特徴とする電解加工装置である。
これにより、例えば、電極部材が基板に接触する時の面圧が低くなるようにした低弾性(弾性率が低い)で、電極部材を基板に接触させつつ加工を施すことができる。
【0028】
請求項14に記載の発明は、前記調整部材は、基板に電流を供給する給電電極部材であることを特徴とする請求項13記載の電解加工装置である。
請求項15に記載の発明は、基板を保持する基板保持部と、液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材と、前記基板保持部で保持した基板と前記電極部材とを相対移動させる駆動機構と、前記基板保持部の周囲に配置され、前記基板と前記電極部材の相対移動に際し、前記電極部材の上面に接触して該電極部材を前記基板との接触位置に案内する外方に拡がるテーパ状の案内面を有する案内部材とを有することを特徴とする電解加工装置である。
これにより、電極部材と基板とを相対移動させて、電極部材を基板との接触位置に位置させる時に、電極部材が基板の外周端面に衝突することを防止して、電極部材をスムーズに移動させることができる。
【0029】
請求項16に記載の発明は、基板を保持する基板保持部と、液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材と、前記基板保持部で保持した基板と前記電極部材とを相対移動させる駆動機構と、前記基板保持部の周囲に配置され、該基板保持部で保持した基板と接触する前記電極部材と該基板の外方で接触する接触面を有する案内部材を有し、前記案内部材及び基板と前記電極部材との接触面積が一定となることを特徴とする電解加工装置である。
【0030】
これにより、基板と電極部材の相対位置が変化しても、電極部材は、基板と接触する他に、該基板の外方で案内部材の接触面と接触し、これによって、電極部材の基板及び案内部材の接触面との接触面積が常に一定となって、接触部材と基板との該接触部における圧力が局部的に変化してしまうことを防止することができる。
【0031】
請求項17に記載の発明は、前記電極部材は、電源に接続される電極の表面を覆うイオン交換体またはスクラブ部材を有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の電解加工装置である。
このように、イオン交換体を使用して電解加工を行うことで、超純水等の液体中の水分子の水酸化物イオンと水素イオンへの解離を促進するとともに、電解加工に際して、イオン交換体と基板とが接触して、電極が基板に接触しないようにすることができる。また、スクラブ部材を用いることにより、被加工物の表面の金属酸化物や、キレート膜を除去することができる。
【0032】
請求項18に記載の発明は、前記案内部材の外形は、前記基板保持部で保持した基板と接触する複数の前記電極部材で区画される外形形状と略同一に形成されていることを特徴とする請求項17記載の電解加工装置である。
【0033】
請求項19に記載の発明は、基板保持部で保持した基板と、フローティング支持した電極ベースに取付けた電極部材とを、液体の存在下で、互いに接触させつつ相対移動させて、基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法である。
請求項20に記載の発明は、基板保持部で保持した基板と、フローティング支持した電極部材とを、液体の存在下で、互いに接触させつつ相対移動させて、基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法である。
【0034】
請求項21に記載の発明は、基板保持部で保持した基板と電極部材とを、液体の存在下で、互いに接触させつつ相対運動させ、この基板と電極部材の相対移動に際し、前記基板の周囲に配置した案内部材の案内面に前記電極部材の上面を接触させて該電極部材を前記基板保持部で保持した基板との接触位置に案内して、基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法である。
【0035】
請求項22に記載の発明は、基板保持部で保持した基板と電極部材とを、液体の存在下で、互いに接触させつつ相対運動させ、更に前記基板保持部の周囲に配置した案内部材の接触面に、該接触面及び基板と前記電極部材との接触面積が一定となるように該電極部材を接触させて、基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法である。
【0036】
請求項23に記載の発明は、前記電極部材は、電源に接続される電極の表面を覆うイオン交換体またはスクラブ部材を有することを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載の電解加工方法である。
請求項24に記載の発明は、前記案内部材の外形は、前記基板保持部で保持した基板と接触する複数の前記電極部材で区画される外形形状と略同一に形成されていることを特徴とする請求項22または23記載の電解加工方法である。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における電解加工装置について図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の第1の実施の形態における電解加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。図4に示すように、この基板処理装置は、例えば、図1(b)に示すように、表面に導電体膜(被加工物)としての銅膜6を有する基板Wを収納したカセットを搬出入する搬出入部としての一対のロード・アンロード部30と、基板Wを反転させる反転機32と、電解加工装置34と、電解加工後の基板Wを洗浄・乾燥する洗浄部39を備えている。これらの機器は直列に配置されており、これらの機器の間で基板Wを搬送して授受する搬送装置としての搬送ロボット36がこれらの機器と平行に配置されている。また、電解加工装置34による電解加工の際に、後述する加工電極64aと給電電極64bとの間に印加する電圧又はこれらの間を流れる電流をモニタするモニタ部38がロード・アンロード部30に隣接して配置されている。なお、電解加工装置の方にCMP部を更に備え、一体化して基板処理装置を構成してもよい。
【0038】
図5は、図4に示す電解加工装置34を模式的に示す平面図、図6は、図5の正断面図(Y矢視)、図7は、図5の左側断面図(X矢視)である。図6及び図7に示すように、この実施の形態における電解加工装置34は、上下動可能かつ水平面に沿って往復運動可能なアーム40と、アーム40の自由端に垂設されて基板Wを下向き(フェイスダウン)に吸着保持する基板保持部42と、アーム40が取付けられる可動フレーム44と、矩形状の電極部46と、電極部46の下記の各電極64にそれぞれ接続される電源48とを備えている。
【0039】
可動フレーム44の上部には上下動用モータ50が設置されており、この上下動用モータ50には上下方向に延びるボールねじ52が連結されている。ボールねじ52にはアーム40の基部40aが取付けられており、上下動用モータ50の駆動に伴ってアーム40がボールねじ52を介して上下動するようになっている。また、可動フレーム44自体も、水平方向に延びるボールねじ54に取付けられており、往復運動用モータ56の駆動に伴って可動フレーム44及びアーム40が水平面に沿って往復運動するようになっている。
【0040】
基板保持部42は、アーム40の自由端に設置された自転用モータ58に接続されており、この自転用モータ58の駆動に伴って回転(自転)できるようになっている。また、上述したように、アーム40は、上下動及び水平方向に往復運動可能となっており、基板保持部42は、アーム40と一体となって上下動及び水平方向に往復運動可能となっている。
【0041】
次に、この実施の形態における電極部46について説明する。この電極部46は、X方向(図5参照)に延びる複数の電極部材60を備えており、これらの電極部材60は、矩形平板状の電極ベース62上に並列に等ピッチで配置されている。図7に示すように、各電極部材60は、電源48に接続される電極64と、各電極64の上面をそれぞれ覆うイオン交換体(イオン交換膜)66とを備えている。
【0042】
この実施の形態では、隣り合う電極部材60の電極64に、電源48の陰極と陽極とが交互に接続されている。そして、電源48の陰極に接続される電極64が加工電極64a(図7参照)となり、陽極に接続される電極64が給電電極64b(図7参照)となるようになっている。例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるので、電源48の陰極に接続した電極64が加工電極64aとなり、陽極に接続した電極64が給電電極64bとなる。このように、この実施の形態では、加工電極64aと給電電極64bとが並列に交互に配置される。
【0043】
加工材料によっては、電源の陰極に接続される電極を給電電極とし、陽極に接続される電極を加工電極としてもよい。すなわち、被加工材料が例えば銅やモリブデン、鉄である場合には、陰極側に電解加工作用が生じるため、電源48の陰極に接続した電極64が加工電極64aとなり、陽極に接続した電極64が給電電極64bとなる。一方、被加工材料が例えばアルミニウムやシリコンである場合には、陽極側で電解加工作用が生じるため、電源の陽極に接続した電極が加工電極となり、陰極に接続した電極が給電電極となる。
【0044】
このように、加工電極64aと給電電極64bとを電極部46のY方向(電極部材60の長手方向と垂直な方向)に交互に設けることで、基板Wの導電体膜(被加工物)に給電を行う給電部を設ける必要がなくなり、基板Wの全面の加工が可能となる。また、電極64間に印加される電圧をパルス状(好ましくは正電位と0電位の方形波)に変化させることで、電解生成物を溶解させ、加工の繰り返しの多重性によって平坦度を向上させることができる。
【0045】
ここで、電極部材60の電極64は、電解反応により、酸化又は溶出が一般に問題となる。このため、電極の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物又は導電性セラミックスを使用することが好ましい。この貴金属を素材とした電極としては、例えば、下地の電極素材にチタンを用い、その表面にめっきやコーティングで白金又はイリジウムを付着させ、高温で焼結して安定化と強度を保つ処理を行ったものが挙げられる。セラミックス製品は、一般に無機物質を原料として熱処理によって得られ、各種の非金属・金属の酸化物・炭化物・窒化物などを原料として、様々な特性を持つ製品が作られている。この中に導電性を持つセラミックスもある。電極が酸化すると電極の電気抵抗値が増加し、印加電圧の上昇を招くが、このように、白金などの酸化しにくい材料やイリジウムなどの導電性酸化物で電極表面を保護することで、電極素材の酸化による導電性の低下を防止することができる。
【0046】
電極部46の電極ベース62の内部には、純水供給源に接続された流路(図示せず)が形成されており、各電極部材60の両側には、この流路と互いに連通して上下に貫通する貫通孔68aを内部に有する純水供給ノズル68が立設されている。これにより、この貫通孔68aを通して、純水、好ましくは超純水が基板Wと電極部材60のイオン交換体66との間に供給される。この純水供給ノズル68の高さは、電解加工の際に純水供給ノズル68が基板Wに接触することがないよう、電極部材60の高さより低く設定されている。なお、図12,13に示すように、純水供給ノズル68の上面に、基板Wの表面を傷つけない程度の弾性を有する材質により形成された緩衝部材を取付け、基板と接触させるようにしてもよい。このような緩衝部材としては、例えばポリテックスパッド(ロデール社の商標)や、ポリウレタンスポンジ、不織布、発砲ポリウレタン、PVDスポンジを用いることができる。
【0047】
電極ベース62は、支持ベース70上にフローティング機構72を介して、フローティング支持(浮上支持)されている。このフローティング機構72は、電極ベース62と支持ベース70との間に挟まれ、周囲を弾性膜74で囲繞した圧力室76と、流体圧力源78から延びて該圧力室76に連通する流体圧供給路80とを有している。そして、流体圧力源78から供給される流体圧を制御する流体圧力制御部82が備えられ、圧力を制御した流体が流体圧供給路80から圧力室76内に供給され、これによって、圧力室76内に封入した流体の流体圧を介して電極ベース62をフローティング支持するように構成されている。
【0048】
このように、電極64とイオン交換体(接触部材)66とを有する電極部材60を備えた電極ベース62を支持ベース70上にフローティング支持することによって、例えイオン交換体66の厚さのばらつきや取付け誤差等があっても、基板Wから電極部材60を介して電極ベース62に作用する力で、基板Wのより広範囲に亘って電極部材60がより均一に基板Wに接触するように電極ベース62を傾動させることで、電極部材60の基板Wへの接触圧力をより均一にすることができる。
【0049】
しかも、圧力室76内に供給する流体の圧力を調整することにより、基板Wが電極部材60に接触する圧力を任意に制御することができるので、基板Wと電極部材60との間に発生する面圧を、半導体デバイスを破壊する圧力よりも小さく抑えるように制御して、脆弱な材料を破壊することなく基板を加工することができる。
【0050】
支持ベース70の周縁部には、電極ベース62の外形に沿った矩形状で、電極ベース62の上方への動きと、左右方向の動きを規制するストッパ84が立設されている。つまり、このストッパ84の上端には、内方に膨出する膨出部84aが設けられ、一方、電極ベース62の外周端部には、段部62aが設けられており、この膨出部84aと段部62aとが係合することで、電極ベース62の上方への動きが規制され、また膨出部84aの内周面と電極ベース62の段部62aの上方に設けられた小径部外周面とが摺接することで、電極ベース62の傾動が阻害されることなく、この左右方向の動きが規制されるようになっている。
【0051】
このように、電極ベース62の上方への動きを規制することで、電極部材60が基板Wに接触していない被加工時に、電極ベース62が支持ベース70から脱出することを防止するとともに、加工中に電極部材60のイオン交換体66と基板Wとの間に生じる摩擦力によって、電極ベース62が基板Wと共に支持ベース70と水平な方向へ移動してしまうことを防止することができる。
【0052】
次に、この実施の形態における電解加工装置34を備えた基板処理装置を用いた基板処理(電解加工)について説明する。まず、例えば、図1(b)に示すように、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを収納したカセットをロード・アンロード部30にセットし、このカセットから1枚の基板Wを搬送ロボット36で取り出す。搬送ロボット36は、取り出した基板Wを必要に応じて反転機32に搬送し、基板Wの導電体膜(銅膜6)を形成した表面が下を向くように反転させる。
【0053】
搬送ロボット36は反転させた基板Wを受け取り、これを電解加工装置34に搬送し、基板保持部42に吸着保持させる。そして、アーム40を移動させて基板Wを保持した基板保持部42を電極部46の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ50を駆動して基板保持部42を下降させ、この基板保持部42で保持した基板Wを電極部46の電極部材60のイオン交換体66の表面に接触させる。この場合において、電極部46の圧力室76内に所定の圧力の流体を供給し、これによって、基板Wの全面に亘って電極部材60のイオン交換体66がより均一に基板Wに接触するように電極ベース62を傾動させて、電極部材60のイオン交換体66の基板Wへの接触圧力をより均一にする。
【0054】
この状態で、自転用モータ58を駆動して基板Wを基板保持部42と一体に回転させ、同時に往復運動用モータ56を駆動して、基板Wを基板保持部42と一体に、図5に示すY方向に往復運動させる。このとき、純水供給ノズル68から、基板Wとイオン交換体66との間に純水又は超純水を供給する。
【0055】
そして、電源48により加工電極64aと給電電極64bとの間に所定の電圧を印加し、イオン交換体66により生成された水素イオン又は水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)64aにおいて基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。このとき、加工電極64aと対面する部分において加工が進行するが、基板Wと加工電極64aとを相対移動させることにより基板Wの全面の加工を行っている。加工中は、圧力室76に流体を供給して基板Wを任意の圧力でイオン交換体66に対して押圧する。すなわち、圧力室76に供給する流体によって基板Wがイオン交換体66に接触される力を適宜調整して基板Wの電解加工を行う。この時、電極ベース62は、フローティング機構72を介してフローティング支持されており、ある程度自由に上下動及び傾動し、これによって、基板Wの全面に亘って電極部材60のイオン交換体66がより均一に基板Wに接触する。
【0056】
電解加工中には、加工電極64aと給電電極64bとの間に印加する電圧、又はこの間を流れる電流をモニタ部38でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知する。すなわち、同じ電圧(電流)を印加した状態で電解加工を行うと、材料によって流れる電流(印加される電圧)に違いが生じる。例えば、図8(a)に示すように、表面に材料Bと材料Aとを順次成膜した基板Wの該表面に電解加工を施したときに流れる電流をモニタすると、材料Aを電解加工している間は一定の電流が流れるが、異なる材料Bの加工に移行する時点で流れる電流が変化する。同様に、加工電極と給電電極との間に印加される電圧にあっても、図8(b)に示すように、材料Aを電解加工している間は一定の電圧が印加されるが、異なる材料Bの加工に移行する時点で印加される電圧が変化する。なお、図8(a)は、材料Bを電解加工するときの方が、材料Aを電解加工するときよりも電流が流れにくくなる場合を、図8(b)は、材料Bを電解加工するときの方が、材料Aを電解加工するときよりも電圧が高くなる場合の例を示している。これにより、この電流又は電圧の変化をモニタすることでエンドポイントを確実に検知することができる。
【0057】
なお、モニタ部38で加工電極64aと給電電極64bとの間に印加する電圧、又はこの間を流れる電流をモニタして加工終点を検知するようにした例を説明したが、このモニタ部38で、加工中の基板の状態の変化をモニタして、任意に設定した加工終点を検知するようにしてもよい。この場合、加工終点は、被加工面の指定した部位について、所望の加工量に達した時点、又は加工量と相関関係を有するパラメータが所望の加工量に相当する量に達した時点を指す。このように、加工の途中においても、加工終点を任意に設定して検知できるようにすることで、多段プロセスでの電解加工が可能となる。
【0058】
例えば、基板が異材料に達したときに生じる摩擦係数の違いによる摩擦力の変化や、基板の表面の凹凸を平坦化する際、凹凸を除去したことにより生じる摩擦力の変化等を検出することで加工量を判断し、加工終点を検出することとしてもよい。また、被加工面の電気抵抗による発熱や、加工面と被加工面との間に液体(純水)の中を移動するイオンと水分子の衝突による発熱が生じ、例えば基板の表面に堆積した銅膜を定電圧制御で電解研磨する際には、電解加工が進み、バリア層や絶縁膜が露出するのに伴って、電気抵抗が大きくなり電流値が小さくなって発熱量が順に減少する。したがって、この発熱量の変化を検出することで加工量を判断し、加工終点を検出することとしてもよい。あるいは、異材料に達した時に生じる反射率の違いによる反射光の強度の変化を検出して、基板上の被加工膜の膜厚を検知し、これにより加工終点を検出してもよい。また、銅膜等の導電性膜の内部に渦電流を発生させ、基板の内部を流れる渦電流をモニタし、例えば周波数やインピーダンスの変化を検出して、基板上の被加工膜の膜厚を検知し、これにより加工終点を検出してもよい。更に、電解加工にあっては、加工電極と給電電極との間を流れる電流値で加工レートが決まり、加工量は、この電流値と加工時間の積で求められる電気量に比例する。したがって、電流値と加工時間の積で求められる電気量を積算し、この積算値が所定の値に達したことを検出することで加工量を判断し、加工終点を検出してもよい。
【0059】
電解加工完了後、電源48の加工電極64a及び給電電極64bとの接続を切り、基板保持部42の回転と平行移動を停止させ、しかる後、基板保持部42を上昇させ、アーム40を移動させて基板Wを搬送ロボット36に受け渡す。基板Wを受け取った搬送ロボット36は、必要に応じて、基板Wを反転機32に搬送して反転させ、洗浄部39に搬送して洗浄乾燥し、乾燥後の基板Wをロード・アンロード部30のカセットに戻す。
【0060】
ここで、電解加工中に基板Wとイオン交換体66との間に供給する純水は、例えば電気伝導度(1atm,25℃換算、以下同じ)が10μS/cm以下の水であり、超純水は、例えば電気伝導度が0.1μS/cm以下の水である。このように電解質を含まない純水又は超純水を使用して電解加工を行うことで、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくすことができる。更に、電解によって溶解した銅イオン等が、イオン交換体66にイオン交換反応で即座に捕捉されるため、溶解した銅イオン等が基板Wの他の部分に再度析出したり、酸化されて微粒子となり基板Wの表面を汚染したりすることがない。
【0061】
また、純水又は超純水の代わりに電気伝導度500μS/cm以下の液体、例えば純水又は超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。電解液を使用することで、電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。この電解液としては、例えば、NaClやNaSO等の中性塩、HClやHSO等の酸、更には、アンモニア等のアルカリなどの溶液を使用することができ、被加工物の特性によって適宜選択して使用することができる。
【0062】
更に、純水又は超純水の代わりに、純水又は超純水に界面活性剤等を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよい。このように、純水又は超純水に界面活性剤を添加することで、基板Wとイオン交換体66の界面にイオンの移動を防ぐ一様な抑制作用を有する層を形成し、これによって、イオン交換(金属の溶解)の集中を緩和して被加工面の平坦性を向上させることができる。ここで、界面活性剤濃度は、100ppm以下が好ましい。
【0063】
ここで、電極64の上面を覆うイオン交換体66としては、通水性に優れたものを使用することがより好ましい。純水又は超純水がイオン交換体66を通過するように流すことで、水の解離反応を促進させる官能基(強酸性陽イオン交換材料ではスルホン酸基)に十分な水を供給して水分子の解離量を増加させ、水酸化物イオン(もしくはOHラジカル)との反応により発生した加工生成物(ガスも含む)を水の流れにより除去して、加工効率を高めることができる。このような通水性を有する部材としては、例えば、通液性を有するスポンジ状の部材やナフィオン(デュポン社の商標)のような膜状部材に開孔を設けて通水性をもたせるようにしたものを使用することができる。
【0064】
上述したイオン交換体66は、例えば、アニオン交換基又はカチオン交換基を付与した不織布で構成することができる。カチオン交換体は、好ましくは強酸性カチオン交換基(スルホン酸基)を担持したものであるが、弱酸性カチオン交換基(カルボキシル基)を担持したものでもよい。また、アニオン交換体は、好ましくは強塩基性アニオン交換基(4級アンモニウム基)を担持したものであるが、弱塩基性アニオン交換基(3級以下のアミノ基)を担持したものでもよい。
【0065】
ここで、例えば強塩基アニオン交換基を付与した不織布は、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖をアミノ化して第4級アンモニウム基を導入して作製される。導入されるイオン交換基の容量は、導入するグラフト鎖の量により決定される。グラフト重合を行うためには、例えばアクリル酸、スチレン、メタクリル酸グリシジル、更にはスチレンスルホン酸ナトリウム、クロロメチルスチレン等のモノマーを用い、これらのモノマー濃度、反応温度及び反応時間を制御することで、重合するグラフト量を制御することができる。したがって、グラフト重合前の素材の重量に対し、グラフト重合後の重量の比をグラフト率と呼ぶが、このグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
【0066】
強酸性カチオン交換基を付与した不織布は、上記強塩基性アニオン交換基を付与する方法と同様に、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖を、例えば加熱した硫酸で処理してスルホン酸基を導入して作製される。また、加熱したリン酸で処理すればリン酸基が導入できる。ここでグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
【0067】
なお、イオン交換体66の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、又はその他有機高分子が挙げられる。また素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、短繊維等が挙げられる。ここで、ポリエチレンやポリプロピレンは、放射線(γ線と電子線)を先に素材に照射する(前照射)ことで、素材にラジカルを発生させ、次にモノマーと反応させてグラフト重合することができる。これにより、均一性が高く、不純物が少ないグラフト鎖ができる。一方、その他の有機高分子は、モノマーを含浸させ、そこに放射線(γ線、電子線、紫外線)を照射(同時照射)することで、ラジカル重合することができる。この場合、均一性に欠けるが、ほとんどの素材に適用できる。
【0068】
このように、イオン交換体66をアニオン交換基又はカチオン交換基を付与した不織布で構成することで、純水又は超純水や電解液等の液体が不織布の内部を自由に移動して、不織布内部の水分解触媒作用を有する活性点に容易に到達することが可能となって、多くの水分子が水素イオンと水酸化物イオンに解離される。更に、解離によって生成した水酸化物イオンが純水又は超純水や電解液等の液体の移動に伴って効率良く加工電極64aの表面に運ばれるため、低い印加電圧でも高電流が得られる。
【0069】
ここで、イオン交換体66をアニオン交換基又はカチオン交換基の一方を付与したもののみで構成すると、電解加工できる被加工材料が制限されるばかりでなく、極性により不純物が生成しやすくなる。そこで、アニオン交換基を有するアニオン交換体とカチオン交換基を有するカチオン交換体とを重ね合わせたり、イオン交換体66自体にアニオン交換基とカチオン交換基の双方の交換基を付与するようにしたりしてもよく、これにより、被加工材料の範囲を拡げるとともに、不純物を生成しにくくすることができる。
【0070】
この実施の形態の電解加工装置34によれば、圧力室76に供給する流体の圧力を調整することにより、基板Wがイオン交換体66に接触する圧力を高精度で制御すことができるので、基板Wとイオン交換体66との間に発生する面圧を半導体デバイスを破壊する圧力よりも小さく抑えるように制御することができ、脆弱な材料を破壊することなく基板を加工することができる。
【0071】
また、本発明に係る電解加工装置34によれば、機械的研磨作用を伴わないので、CMPのように基板Wを強く押し付ける必要がない。基板Wの配線材料として脆弱な材料を用いる場合には、イオン交換体66から基板Wが受ける押圧力が、19.6kPa(200gf/cm、2.9psi)以下、より好ましくは6.86kPa(70gf/cm、1.0psi)以下、更に好ましくは686Pa(7gf/cm、0.1psi)以下になるように、圧力室76に供給する流体の圧力を調整して低荷重で基板Wの加工を行うことが好ましい。
なお、本発明は、種々の電解加工装置に適用でき、加工液、接触部材の組合せは、種々に適用可能である。
【0072】
図9は、本発明の第2の実施の形態における電解加工装置を示す正断面図で、図10は、図9のA−A線矢視図である。この実施の形態における電解加工装置の前述の第1の実施の形態における電解加工装置と異なる点は、以下の通りである。
【0073】
すなわち、電極部46は、電源48の陰極または陽極に接続されて加工電極64aまたは給電電極64bとなる電極64と該電極64の上面を覆うイオン交換体66からなる複数の電極部材60を備えており、この電極部材60は、電極支持ベース63上に並列に等ピッチで配置され、フローティング機構90を介して、個々に電極支持ベース63にフローティング支持されている。つまり、各電極部材60と電極支持ベース63との間には、弾性膜92で周囲を囲繞した圧力室94が設けられ、この各圧力室94は、電極支持ベース63の内部に形成した圧力流体流路62bに連通しており、更に、この圧力流体流路62bは、流体圧力源78から延びる流体圧供給路80に接続されている。これによって、各圧力室94内に封入した流体の流体圧を介して、各電極部材60をフローティング支持するように構成されている。更に、各電極部材60の周囲には、この上方への脱出及び左右の移動を規制するストッパ96が設けられている。なお、電極部材60が直接フローティング機構と接続されている必要はなく、何らかの支持部材を介して接続されてもよい。
【0074】
このように、電極64とイオン交換体66とを有する各電極部材60を電極支持ベース63上に個々にフローティング支持することによって、例えイオン交換体66の厚さのばらつきや取付け誤差等があって、各電極部材60に個体差があっても、加工に際して、各電極部材60の電極支持ベース62からの突出高さを整合して該電極部材60間の固体差を是正し、各電極部材60がより均一に基板Wに接触するようにして、電極部材60の基板Wへの接触圧力をより均一にすることができる。
【0075】
一方、基板保持部42の周囲には、この基板保持部42及び該基板保持部42の外径に沿った内径の中央孔100aを有する矩形平板状の案内部材100が、アーム40に固着したブラケット102に取付けたシリンダ104を介して上下動自在に配置されている。この案内部材100の下面の電極部材60と直交する方向に沿った両側には、外方に向けて上方に傾斜するテーパ状の案内面100bが設けられている。これによって、加工に際し、基板Wと電極部材60とが相対移動して、案内部材100の外方に位置する電極部材60が基板Wと接触する加工位置に移動する際、この案内部材100の外方に位置し、圧力室94内の加圧によって上方に突出した電極部材60が、該電極部材60の上面が案内面100bに接触し該案内面100bに案内されて徐々に下降することで、基板の外周端面に衝突することなく、スムーズに移動できるようになっている。
【0076】
更に、この案内面100bで挟まれた案内部材100の下面は、電解加工の際に、基板保持部42で保持した基板Wの表面(下面)と同一平面をなして、電極部材60のイオン交換体66と接触する接触面100cとなるように構成されている。また、案内部材の外形は、電極部(電極部材の集合体)の外形と略同じ形状になっている。このように、加工位置にある電極部材60のイオン交換体66が、基板Wと接触する他に、該基板Wの外方で外形が矩形状の案内部材100の接触面100cと接触し、これによって、図10に斜線で示すように、基板Wに接触して加工を行う電極部材60のイオン交換体66の基板W及び案内部材100の接触面100cとの接触面積が常に一定となって、イオン交換体66の基板Wとの該接触部における圧力が局部的に変化してしまうことを防止することができる。つまり、前述のように、各電極部材60は、圧力室94を介して一定の圧力で上方に付勢されており、このため、電極部材60のイオン交換体66と基板Wとの接触面積が小さくなると、この接触部に局部的に大きな接触圧が発生するが、電極部材60のイオン交換体66の電解加工時における接触面積を常に一定となすことで、このような弊害を防止することができる。
【0077】
なお、本発明は、イオン交換体を用いた電解加工に限られるものではない。例えば、加工液として電解液を用いた場合は、電極の表面に、例えば、柔らかい研磨パッドや、例えばポリテックスパッド(ロデール社の商標)や、ポリウレタンスポンジ、不織布、発砲ポリウレタン、PVDスポンジといった、イオン交換体以外のものを貼着してもよい。
【0078】
このような構成の電解加工装置において、前述の第1の実施の形態と同様にして、基板保持部42で保持した基板Wを電極部材60のイオン交換体66の表面に接触させ、基板Wを基板保持部42と一体に回転させつつ往復運動させ、同時に、基板Wとイオン交換体66との間に純水又は超純水を供給し、更に、電源48により加工電極64aと給電電極64bとの間に所定の電圧を印加して基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。なお、基板は連続回転させずに、一定時間ごと、電極の長手方向に対する向きを変えるために所定角度ずつ回転させてもよい。
【0079】
この時、案内部材100の外方に位置する電極部材60が基板Wと接触する加工位置に移動する際、この案内部材100の外方に位置し、圧力室94内の加圧によって上方に突出した電極部材60が、該電極部材60の上面が案内面100bに接触し該案内面100bに案内されて徐々に下降することで、基板の外周端面に衝突することなく、スムーズに移動する。また、加工位置にある電極部材60のイオン交換体66が、基板Wと接触する他に、該基板Wの外方で外形が矩形状の案内部材100の接触面100cと接触し、これによって、基板Wに接触して加工を行う電極部材60のイオン交換体66の基板W及び案内部材100の接触面100cとの接触面積が常に一定となって、イオン交換体66の基板Wとの該接触部における圧力が局部的に変化して、加工量に過不足が生じてしまうことを防止することができる。
【0080】
なお、この図9及び図10に示す第2の実施の形態における、各電極部材60を各フローティング機構90を介してフローティング支持した電極支持ベース63を、前述の図5乃至図7に示す第1の実施の形態における、各電極部材60を固定した電極ベース62に置き換えて、この各電極部材60を各フローティング機構90を介してフローティング支持した電極支持ベース63を、図7に示すフローティング機構72を介して支持ベース70にフローティング支持するようにしてもよい。この場合、2つのフローティング機構(個々の電極部材60のフローティング機構72と複数の電極部材60を支持する電極支持ベース63をフローティングさせるフローティング機構90)を介して、各電極部材60のフローティング支持効果を相乗的に高めることができる。
【0081】
図11は、本発明の第3の実施の形態における電解加工装置を示す。この実施の形態における電解加工装置の図9及び図10に示す第2の実施の形態における電解加工装置と異なる点は、各電極部材60をフローティング支持するフローティング機構90を、ゴム、スポンジ、多孔質樹脂または不織布などの弾性体110で構成した点にある。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0082】
なお、図9及び図11に示す各々のフローティング機構90の内圧、及び弾性率は、電極ごとに変えるようにしてもよい。例えば、一部の電極部材のためのフローティング機構90の剛性を高くして(弾性率を大きくして)、基板との間の押圧力を主にそれらで受けるようにしてもよい。一般に、給電電極よりも加工電極の方がより精密な圧力調整を求められるため、給電電極部材はフローティングの程度を小さくして剛性を高くするか、もしくは給電電極部材はフローティングさせずにして、加工電極部材のみにフローティング機構を採用することもできる。この場合は、加工電極部材が十分フローティングするため、複数の加工電極部材が均一圧力でウエハに接触できる。また、給電電極部材を弾性部材で支持し、加工電極部材を圧力流体チャンバーで支持することにより、加工電極部材のフローティングの程度を大きくさせるようにしてもよい。
【0083】
図12は、本発明の第4実施の形態における電解加工装置の要部を示す縦断面図で、図13は、図12の要部を拡大して示す要部拡大図である。図12に示すように、この電解加工装置600は、表面を下向きにして基板Wを吸着する基板保持部602と、矩形状の電極部604とを上下に備えている。この基板保持部602は、前述の実施の形態における基板保持部42と同様に、上下動、左右動及び回転自在に構成されている。電極部604は、中空スクロールモータ606を備えており、この中空スクロールモータ606の駆動により、自転を行わない円運動、いわゆるスクロール運動(並進回転運動)を行うようになっている。なお、電極部604は、自転させてもよい。
【0084】
電極部604は、直線状に延びる複数の電極部材608を備えた電極ベース626と、上方に開口し、支持ベースを兼ねる容器610とを備えている。そして、複数の電極部材608は電極ベース626上に並列に等ピッチで配置され、この電極ベース626は、前述の第1の実施の形態における電解加工装置とほぼ同様に、フローティング機構を介して容器(支持ベース)610にフローティング支持されている。この容器610の上方に位置して、該容器610の内部に超純水や純水等の液体を供給する液体供給ノズル612が配置されている。各電極部材608は、装置内の電源に接続される電極614を備えており、この各電極614に電源の陰極と陽極とが交互に、つまり、電極614aに電源の陰極が、電極614bに陽極が交互に接続されている。これによって、前述と同様に、例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるので、陰極に接続した電極614aが加工電極となり、陽極に接続した電極614bが給電電極となるようになっている。
【0085】
そして、この陰極に接続した加工電極614aにあっては、図13に詳細に示すように、この上部に、例えば不織布からなるイオン交換体616aが取付けられ、この加工電極614a及びイオン交換体616aは、液体の通過を遮断しイオンのみを通過可能に構成されたイオン交換膜からなる第2のイオン交換体618aで一体に覆われている。陽極に接続した給電電極614bにあってもほぼ同様に、この上部に、例えば不織布からなるイオン交換体616bが取付けられ、この加工電極614a及びイオン交換体616bは、液体の通過を遮断しイオンのみを通過可能に構成されたイオン交換膜からなる第2のイオン交換体618bで一体に覆われている。これにより、不織布からなるイオン交換体616a,616bにあっては、電極614の長さ方向に沿った所定の位置に設けられた貫通孔(図示せず)を通過した超純水や液体が、この内部を自由に移動して、不織布内部の水分解触媒作用を有する活性点に容易に到達することができるが、この液体は、イオン交換膜からなるイオン交換体618a,618bで流れを遮断されて、このイオン交換体618a,618bが、下記の第2の隔壁を構成するようになっている。
【0086】
電源の陰極に接続された加工電極614aの両側には、一対の液体供給ノズル620が配置され、この液体供給ノズル620の内部には、長さ方向に沿って延びる流体流通路620aが設けられ、更に、長さ方向に沿った所定の位置に、上面に開口し流体流通路620aに連通する液体供給孔620cが設けられている。
【0087】
そして、加工電極614aと一対の液体供給ノズル620は、一対のタップバー622を介して一体化され、一対のインサートプレート624に挟持されて電極ベース626に固定されている。一方、給電電極614bは、その表面をイオン交換体618bで覆った状態で、一対の保持プレート628で挟持されて電極ベース626に固定されている。
【0088】
なお、イオン交換体616a,616bは、例えば、アニオン交換基又はカチオン交換基を付与した不織布で構成されているが、アニオン交換基を有するアニオン交換体とカチオン交換基を有するカチオン交換体とを重ね合わせたり、イオン交換体616a,616b自体にアニオン交換基とカチオン交換基の双方の交換基を付与するようにしたりしてもよく、また、素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、又はその他有機高分子が挙げられることは前述と同様である。また、電極部材608の電極614の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物又は導電性セラミックスを使用することが好ましいことは前述と同様である。
【0089】
そして、各液体供給ノズル620の上面には、例えば弾性を有する樹脂等からなる隔壁630aがその長さ方向の全長にわたって取付けられている。この隔壁630aの肉厚は、基板保持部602で保持した基板Wを、電極部材608のイオン交換体618a,618bに接触乃至近接させて、この基板Wに電解加工を施す際に、この隔壁630aの上面が基板保持部602で保持された基板Wに圧接する厚さに設定されている。これによって、電解加工を行う際に、電極部604と基板保持部602との間に、隔壁630aで隔離された、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632と、給電電極614bと基板との間に形成される流路634が並列に形成され、しかも、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632は、イオン交換膜で構成された第2の隔壁としてのイオン交換体618aで2つの流路632a,632bに隔離され、給電電極614bと基板Wとの間に形成される流路634は、イオン交換膜で構成された第2の隔壁としてのイオン交換体618bで2つの流路634a,634bに隔離されるようになっている。
【0090】
この実施の形態では、容器610の内部は液体供給ノズル612から供給された超純水や純水等の液体で満たされ、一方、電極614に設けた貫通孔(図示せず)から加工電極614a及び給電電極614bの上部に配置された不織布からなるイオン交換体616a,616bに超純水や純水等の液体が供給された状態で電解加工が行われる。容器610の外側には、この容器610の外周壁610aをオーバフローした液体を排出するオーバフロー路636が設けられており、外周壁610aをオーバフローした液体は、オーバフロー路636を介して排液タンク(図示せず)に入るようになっている。
【0091】
なお、加工電極の両側に、長手方向に沿った所定位置に液体供給孔を設けた液体供給ノズルを使用し、液体供給ノズルによる液体の供給を行うことで、加工電極614aと基板Wとの間に形成される流路632に沿って流れる流体と、給電電極614bと基板との間に形成される流路634に沿って流れる流体の流れをより確実に制御して、隔壁を越えて隣接する空間へ流れる流体の量を減らすようにすることができる。電極に沿った液体流れを各電極の長手方向に押し出すことにより形成してもよい。
【0092】
また、前述の実施の形態では電極にイオン交換体を装着した例を示しているが、電極の形状や加工に用いる液体は、特に限定されない。隣り合う電極の間に、接触部材や隔壁を設けるようにすればよい。即ち、電極の形状は、棒状のものに限られず、被加工物に対して複数の電極が対向するようにした任意の形状が選択される。電極にイオン交換体以外の通液性または含液性スクラブ部材を取付けるようにしてもよい。また、接触部材や隔壁を電極面よりも高くして、被加工物と電極が直接接しないようにすることで、電極の表面を露出させることができる。
電極表面にイオン交換体を装着しない場合でも、被加工物と電極の間の流体の流れを仕切る第2の隔壁はあった方が好ましい。また、イオン交換体618を個々の電極に固定して、第2実施例のように個々の電極がフローティングするようにさせてもよい。
【0093】
なお、本発明にあっては、原則的に基板保持部(トップリング)側にフローティング機構を設けることなく、個々の電極部材毎の基板に対する接触圧力の不均一さを是正することにより、電極部材間の個体差を是正するようにしているが、トップリング側にもフローティング機構を設けてもよい。
【0094】
これまで本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板等の被加工物に物理的な欠陥を与えて被加工物の特性を損なうことを防止しつつ、電気化学的作用によって、例えばCMPに代わる電解加工等を施すことができ、これによって、CMP処理そのものを省略したり、CMP処理の負荷を低減したり、更には基板等の被加工物の表面に付着した付着物を除去(洗浄)することができる。しかも、純水又は超純水のみを使用しても基板を加工することができ、これによって、基板の表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくして、除去加工後の洗浄工程を簡略化できるばかりでなく、廃液処理の負荷を極めて小さくすることができる。
【0096】
また、電極部材を備えた電極ベースをフローティング支持したり、電極部材をフローティング支持することで、例え電極部材にばらつきがあっても、電極部材の基板への接触圧力をより均一にして、基板の面内における加工量や加工後の面内粗さをより均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】銅配線基板の一製造例を工程順に示す図である。
【図2】加工電極及び給電電極を基板(被加工物)に近接させ、加工電極及び給電電極と基板(被加工物)との間に純水又は電気伝導度が500μS/cm以下の液体を供給するようにしたときの本発明による電解加工の原理の説明に付する図である。
【図3】加工電極のみにイオン交換体を取付けて、加工電極と基板(被加工物)との間に液体を供給するようにしたときの本発明による電解加工の原理の説明に付する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における電解加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。
【図5】図4に示す基板処理装置の電解加工装置を模式的に示す平面図である。
【図6】図4の正断面図である。
【図7】図4の左側断面図である。
【図8】図8(a)は、異なる材料を成膜した基板の表面に電解加工を施したときに流れる電流と時間の関係を、図8(b)は、同じく印加される電圧と時間の関係をそれぞれ示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施の形態における電解加工装置を示す正断面図である。
【図10】図8のA−A線矢視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における電解加工装置を示す正断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態における電解加工装置を示す示す断面図である。
【図13】図11の一部を拡大して示す要部拡大図である。
【符号の説明】
6 銅膜
7 シード層
10 被加工物
12a,12b イオン交換体
14 加工電極
16 給電電極
17 電源
18 流体
19 流体供給部
30 ロード・アンロード部
32 反転機
34 電解加工装置
38 モニタ部
42 基板保持部
46 電極部
48 電源
58 自転用モータ
60 電極部材
62 電極ベース
63 電極支持ベース
64 電極
64a 加工電極
64b 給電電極
66 イオン交換体
68 純水供給ノズル
70 支持ベース
72,90 フローティング機構
74,92 弾性膜
76,94 圧力室
78 流体圧力源
80 流体圧供給路
82 流体圧力制御部
84,96 ストッパ
100 案内部材
100b 案内面
100c 接触面
104 シリンダ
110 弾性体(フローティング機構)
600 電解加工装置
602 基板保持部
604 電極部
606 中空スクロールモータ
608 電極部材
610 容器
612 液体供給ノズル
614 電極
614a 加工電極
614b 給電電極
616a,616b,618a,618b イオン交換体
620 液体供給ノズル
626 電極ベース
630a 隔壁
632,634 流路

Claims (24)

  1. 基板を保持する基板保持部と、
    液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材を備えた電極ベースと、
    前記電極ベースをフローティング機構を介してフローティング支持する支持ベースとを有することを特徴とする電解加工装置。
  2. 前記電極ベースの前記支持ベースから離れる方向及び該支持ベースと水平な方向への移動を規制するストッパが設けられていることを特徴とする請求項1記載の電解加工装置。
  3. 前記フローティング機構は、前記電極ベースと前記支持ベースとの間に介装した弾性体を介して該電極ベースをフローティング支持するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電解加工装置。
  4. 前記フローティング機構は、前記電極ベースと前記支持ベースとの間に周囲を弾性膜で囲繞して形成した圧力室内に封入した流体の流体圧を介して該電極ベースをフローティング支持するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電解加工装置。
  5. 前記圧力室には、所定の圧力の流体が供給されるよう構成されていることを特徴とする請求項4記載の電解加工装置。
  6. 前記電極ベースには、複数の電極が固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電解加工装置。
  7. 基板を保持する基板保持部と、
    液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材と、
    前記電極部材をフローティング機構を介してフローティング支持する電極支持ベースとを有することを特徴とする電解加工装置。
  8. 複数の電極部材を有し、それぞれの電極部材が異なったフローティング機構を介してフローティング支持されていることを特徴とする請求項7記載の電解加工装置。
  9. 前記電極部材の前記電極支持ベースから離れる方向及び該電極支持ベースと水平な方向への移動を規制するストッパが設けられていることを特徴とする請求項7または8記載の電解加工装置。
  10. 前記フローティング機構は、前記電極部材と前記電極支持ベースとの間に介装して弾性体を介して該電極部材をフローティング支持するように構成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の電解加工装置。
  11. 前記フローティング機構は、前記電極部材と前記電極支持ベースとの間に周囲を弾性膜で囲繞して形成した圧力室内に封入した流体の流体圧を介して該電極部材をフローティング支持するように構成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の電解加工装置。
  12. 前記圧力室には、所定の圧力の流体が供給されるよう構成されていることを特徴とする請求項11記載の電解加工装置。
  13. 基板を保持する基板保持部と、
    液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す複数の電極部材と、
    前記電極部材をフローティング支持するフローティング機構と、
    前記複数の電極部材の内の一部をフローティングさせるか、またはフローティングによる弾性を変える調整部材を有することを特徴とする電解加工装置。
  14. 前記調整部材は、基板に電流を供給する給電電極部材であることを特徴とする請求項13記載の電解加工装置。
  15. 基板を保持する基板保持部と、
    液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材と、
    前記基板保持部で保持した基板と前記電極部材とを相対移動させる駆動機構と、
    前記基板保持部の周囲に配置され、前記基板と前記電極部材の相対移動に際し、前記電極部材の上面に接触して該電極部材を前記基板との接触位置に案内する外方に拡がるテーパ状の案内面を有する案内部材とを有することを特徴とする電解加工装置。
  16. 基板を保持する基板保持部と、
    液体の存在下で、前記基板保持部で保持した基板に接触して該基板に加工を施す電極部材と、
    前記基板保持部で保持した基板と前記電極部材とを相対移動させる駆動機構と、
    前記基板保持部の周囲に配置され、該基板保持部で保持した基板と接触する前記電極部材と該基板の外方で接触する接触面を有する案内部材を有し、
    前記案内部材及び基板と前記電極部材との接触面積が一定となることを特徴とする電解加工装置。
  17. 前記電極部材は、電源に接続される電極の表面を覆うイオン交換体またはスクラブ部材を有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の電解加工装置。
  18. 前記案内部材の外形は、前記基板保持部で保持した基板と接触する複数の前記電極部材で区画される外形形状と略同一に形成されていることを特徴とする請求項17記載の電解加工装置。
  19. 基板保持部で保持した基板と、フローティング支持した電極ベースに取付けた電極部材とを、液体の存在下で、互いに接触させつつ相対移動させて、基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  20. 基板保持部で保持した基板と、フローティング支持した電極部材とを、液体の存在下で、互いに接触させつつ相対移動させて、基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  21. 基板保持部で保持した基板と電極部材とを、液体の存在下で、互いに接触させつつ相対運動させ、この基板と電極部材の相対移動に際し、前記基板の周囲に配置した案内部材の案内面に前記電極部材の上面を接触させて該電極部材を前記基板保持部で保持した基板との接触位置に案内して、基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  22. 基板保持部で保持した基板と電極部材とを、液体の存在下で、互いに接触させつつ相対運動させ、更に前記基板保持部の周囲に配置した案内部材の接触面に、該接触面及び基板と前記電極部材との接触面積が一定となるように該電極部材を接触させて、基板の表面を加工することを特徴とする電解加工方法。
  23. 前記電極部材は、電源に接続される電極の表面を覆うイオン交換体またはスクラブ部材を有することを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載の電解加工方法。
  24. 前記案内部材の外形は、前記基板保持部で保持した基板と接触する複数の前記電極部材で区画される外形形状と略同一に形成されていることを特徴とする請求項22または23記載の電解加工方法。
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