JPWO2009078088A1 - エレベータ装置 - Google Patents

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Abstract

昇降路内を昇降移動するカゴ1と、カゴ1を昇降路端部において停止させる緩衝器15と、カゴ1の走行を制動するブレーキ7、8、9と、カゴの走行の情報を収集するカゴ走行情報収集手段と、カゴ走行情報収集手段により収集された情報に基づいてカゴ1が緩衝器15に衝突する際の衝撃を規定値以内に緩和できるように、カゴ1が緩衝器15に衝突する際の衝突速度を、予め定められた所定の速度以下にするようにブレーキ8、9を制御するブレーキ制御手段10と、を備えたものである。

Description

この発明は、非常時にカゴを制動するブレーキ装置を備えたエレベータ装置に関するものである。
従来のエレベータのカゴを制動するブレーキ装置として特開平7−206288がある。特開平7−206288に記載されたエレベータ装置は、昇降路の終端階付近でカゴの減速度を大きくすることにより、カゴが終端部に衝突するのを防ぐことができる。
特開平07−206288
しかしながら、上記エレベータ装置では、カゴが終端部に衝突するのを防ぐことができるものの、カゴが緩衝器に衝突した際の衝撃が規定値以内であれば乗客の安全が確保されるにも拘わらず、カゴの減速度が必要以上に高くなり、カゴ内の乗客に不快感を生じさせるという課題がある。
本発明は、終端部に設けられた緩衝器の本来の機能であるカゴが緩衝器に衝突した際における衝突時の衝撃を規定値以内に緩和するブレーキ装置を提供することを目的とする。
本発明に係るエレベータ装置は、昇降路内を昇降移動するカゴと、カゴを昇降路端部において停止させる緩衝器と、カゴの走行を制動するブレーキと、カゴの走行の情報を収集するカゴ走行情報収集手段と、カゴ走行情報収集手段により収集された情報に基づいてカゴが前記緩衝器に衝突する際の衝撃を規定値以内に緩和できるように、カゴが緩衝器に衝突する際の衝突速度を所定速度以下にするようにブレーキを制御するブレーキ制御手段とにより構成されたものである。
本発明によれば、昇降路内を昇降移動するカゴと、カゴを昇降路端部において停止させる緩衝器と、カゴの走行を制動するブレーキと、カゴの走行の情報を収集するカゴ走行情報収集手段と、カゴ走行情報収集手段により収集された情報に基づいてカゴが緩衝器に衝突する際の衝撃を規定値以内に緩和できるように、カゴが緩衝器に衝突する際の衝突速度を所定の速度以下にするようにブレーキを制御するブレーキ制御手段とを備えるために、カゴを緩停止することができる。
実施の形態1.におけるエレベータ装置の構成図である。 実施の形態1.におけるブレーキ制御装置の構成図である。 実施の形態1.における(a)制動力の時間変化、(b)減速度の時間変化、(c)速度の時間変化、(d)位置の時間変化を示す図である。 実施の形態2.におけるブレーキ制御装置の構成図である。 実施の形態2.におけるブレーキ制動力の緩和の許容条件におけるカゴ速度と残距離の関係図である。 実施の形態2.におけるブレーキ制動力の緩和の許容条件におけるカゴ速度と残距離の関係図である。
符号の説明
カゴ1、カウンターウェイト2、巻き上げロープ3、シーブ4、エレベータ制御装置5、巻上機6、ブレーキ車7、ブレーキライニング8、ブレーキライニング9、ブレーキ制御装置10、巻上機エンコーダ11、ブレーキコイル12、ブレーキコイル13、調速機14、緩衝器15、ブレーキ制御装置16、安全状態判断部18、減速度演算部18a、判断部18b、記憶部18c、制御指令部19、リレー20、リレー21、安全状態判断部118、速度対残距離演算部118a、判断部18b、記憶部18c、制御指令部119、秤装置22
実施の形態1.
図1をもって、本実施の形態におけるエレベータの全体構成を説明する。昇降路内を昇降移動するカゴ1とカウンターウェイト2をつなぐ巻き上げロープ3が巻上機6により回転されるシーブ4にかけられている。通常運行時はエレベータ制御装置5からの指令により、巻上機6でシーブ4を回転させる。シーブ4と巻き上げロープ3との間に生じる摩擦力により巻き上げロープ3を移動させ、この巻き上げロープ3につながれたカゴ1とカウンターウェイト2を走行させる。
ブレーキ装置においては、ブレーキバネからなる弾性体の付勢によりシーブ4に固定され回転するブレーキ車7にブレーキライニング8、9が押し付けられる。このため、ブレーキ車7とブレーキライニング8、9との間に摩擦力が生じ、ブレーキライニング8、9がブレーキ車7を制動する。この制動に連動して巻上機6やシーブ4も制動され、カゴ1及びカウンターウェイト2が制動される。
通常の走行時には電磁力によりブレーキライニング8、9をブレーキ車7から引き離してブレーキライニング8、9からブレーキ車7へ制動力がかからないようにする。
一方、エレベータが非常停止状態である場合には、ブレーキ制御装置16は、(i)エレベータの運行を掌るエレベータ制御装置5から運行の中止が必要な状態でありカゴ1を停止させるためにブレーキ車7を制動すべき旨の指令、(ii)巻上機エンコーダ11や調速機14や位置センサ等のカゴ走行情報収集手段から得られるカゴの走行状態の情報、を受け取り、カゴ1の減速度を計算し、この減速度を、目標とする減速度(以下、目標減速度、詳細は後述)に追従するようにブレーキコイル12、13に電圧を加え、ブレーキライニング8、9をブレーキ車7に押し付ける力を調整する。これによりカゴ1の減速度は目標減速度に追従するように制御される。なお、ここでブレーキ制御装置16が、カゴ1を直接的に緩停止させる場合について説明するが、本願発明はこれに限られるものではなく、カウンターウェイト2を緩停止させることにより間接的にカゴ1を緩停止させる場合もある。この場合、カゴ走行情報収集手段により、又は、カゴ走行情報収集手段の代わりのカウンターウェイト走行情報収集手段により、カウンターウェイト2の減速度を計算し、カウンターウェイト2の減速度を目標減速度に追従させる。
昇降路内の終端部においては、カゴ1の下方向運転に対応してカゴ側緩衝器15a(上方向運転の場合にはカウンターウェイト側緩衝器15b)が備えられている。カゴ1が終端階乗場を通過しても停止できない場合には、カゴ1は、カゴ側緩衝器15a(上方向運転の場合にはカウンターウェイト側緩衝器15b)に接触して、衝突する際の衝撃が緩衝されることにより、終端部への衝突を回避することができる。なお、以下では、カゴ1が下方向に走行し、カゴ1がカゴ側緩衝器15aに衝突してカゴ1が停止する場合について説明するが、本発明はそれに限られるものではなく、カゴ1が上方向に走行し、カウンターウェイト2がカウンターウェイト側緩衝器15bに衝突してカウンターウェイトが停止する場合もある。
ここで、緩衝器15の機能は終端階にカゴ1が突入した時に、終端部にカゴ1が至る前にカゴ1と接触して、強い衝撃を与えずにカゴ1を停止する装置である。しかしながら、カゴ1が緩衝器15に、想定外の大きな速度で衝突した場合には、緩衝器15に接触してから終端部までの有限な距離内で停止するという安全性確保のため、カゴ1が受ける衝撃は大きくなる。このため、緩衝器15は機能に応じて衝突時の衝撃を規定値以内に緩和できる予め定められた速度(以下、規定速度)があり、カゴ1が緩衝器15に衝突する際の速度(以下、衝突速度)をこの規定速度よりも低い速度としなければならない。なお、本実施の形態では、規定速度を基準に説明するが、本願発明は、これに限定されるわけではなく、より緩停止を追求するために規定速度より低い予め定められた所定の速度を基準とする場合もある。また、緩衝器15bにおける規定速度は、カウンターウェイト2が緩衝器15bに衝突する際のカゴ1が受ける衝撃を考慮して算出される。
図2をもって、ブレーキ制御装置16の構成を詳細に説明する。ブレーキ制御装置16は(i)巻上機エンコーダ11(又は調速機14)からの信号と(ii)エレベータ制御装置5からの信号を受け取り、それらの信号に基づきブレーキコイル12、13に電圧を与えるものである。ブレーキ制御装置16は、安全状態判断部18、制御指令部19、安全リレー20、21からなる。また、安全状態判断部18は安全リレー20、21を開閉するか否かを判断するもので減速度演算部18a、判断部18b、基準減速度を記憶する記憶部18cからなる。
次に、本実施の形態におけるエレベータ装置の動作を簡単に説明する。エレベータが非常停止状態である場合、巻上機エンコーダ11(又は調速機14)及びエレベータ制御装置5からの両信号はブレーキ制御装置16の安全状態判断部18と制御指令部19に伝達される。ブレーキ制御装置16は、カゴ走行情報収集手段により収集された情報に基づいてカゴ1が緩衝器15に衝突する際の衝撃を規定値以内に緩和できるように、衝突速度を規定速度以下にするようにブレーキを制御する。
具体的にはまず、上記両信号に基づいて減速度演算部18aによりカゴ1の減速度を算出する。そして、安全リレー20、21が開放されている場合には、基準減速度を記憶している記憶部18cの基準減速度と、18aで算出された減速度とを判断部18bにおいて比較して、カゴ1の減速度が基準減速度よりも高い場合には安全リレー20、21を閉路して、ブレーキライニング8、9によるブレーキ車7に対する制動力を弱められる状態とする。
安全リレー20、21が閉路されている場合には、判断部18bにおいてカゴ1の減速度と基準減速度とを比較して、カゴ1の減速度が基準減速度よりも低い減速度である場合には、安全リレー20、21を開放して、ブレーキライニング8、9によるブレーキ車7に対する制動力を弱められない状態とする。
制御指令部19では、(i)巻上機エンコーダ11(又は調速機14)からの信号と(ii)エレベータ制御装置5からの信号に基づいて、カゴ1を目標減速度で制動するためにブレーキコイル12、13に与える電圧値を算出し出力する。なお、この実施の形態においては、制御指令部19は目標減速度を基に電圧値を算出し出力するとして説明するが、本発明はこれに限られるものではなく、基準減速度を基にして電圧値を算出する場合やカゴ1が減速時に有すべき速度変化を基にして電圧値を算出する場合もある。
ここで基準減速度、目標減速度について説明する。まず、非常停止時にカゴ1が最も減速しにくい状態にある場合(カゴ1が下降運行で積載重量が最大の場合や上昇運行で積載重量が最小の場合)であっても、衝突速度を規定速度より低くするために必要な減速度よりも常に高い減速度を基準減速度として定める。更に、その基準減速度よりも高い減速度を目標減速度として定める(図3(b)参照)。なお、基準減速度は(1)式に対して最も減速しにくい状態を想定した加速力や慣性を適応して算出される減速度よりも高い減速度として定められる。
図3を用いて減速する具体例3つ(ア、イ、ウの場合)を示す。図3のグラフは、本実施の形態においてブレーキの制動力を調節し、目標減速度を目標として追従制御する場合のカゴ1の状態量の時間変化を示す。(a)は制動力の時間変化、(b)は減速度の時間変化、(c)は速度の時間変化、(d)は位置の時間変化であり、アはカゴ1が下降運行で積載重量が最小の場合や上昇運行で積載重量が最大の場合、ウはカゴ1が下降運行で積載重量が最大の場合や上昇運行で積載重量が最小の場合、イはアとウとの間の場合を示す。カゴ1を非常停止する場合、アが制動し易くウが制動しにくいものとなる。
(a)〜(d)の各グラフでは非常停止指令により、エレベータが非常停止状態に入ってから、ブレーキライニング8、9がブレーキ車7に接する(ライニングの着床)までは、ブレーキによる制動力が発揮せずにカゴ1は空走し、その間はカゴ側の重量とカウンターウェイト側の重量の不均衡による力でアの場合は減速してウの場合は加速する(図3(b)(c)参照)。
その後、アの場合には、一旦ブレーキにより制動力が強くかかり目標減速度を上回る減速度を得る。このため、ブレーキによる制動力を弱めることとなる。この結果、衝突速度が規定速度を超えることがないために過度の減速をする必要が生じず、カゴ1は過大な減速ショックを発生せず緩停止する事ができる。
イの場合には、一旦ブレーキによる制動力が強く働く、その後その制動力による減速度が目標減速度を超えるものになれば、ブレーキを弱めることにより制動力を弱める。制動力が弱められることにより、再びその減速度が目標減速度を下回ることになる場合には、再びブレーキにより制動力が強く働く。このように、減速度を基準減速度より高い目標減速度に追随させることにより衝突速度が規定速度を下回ることになる。このためカゴ1は過大な減速ショックを発生せず緩停止する事ができる。
ウの場合には、カゴ側の重量とカウンターウェイト側の重量の不均衡による力が走行方向に最大で作用するため減速度が最小となる。このため衝突速度は大きくなる。基準減速度については前述のように、このような条件の場合に生じる最大の減速度よりも大きな値として設定されており、減速度を目標減速度に近づけるために制動力が強く働き(図3においては、結果的に基準減速度に近づく)、衝突速度は規定速度よりも低速になるようにブレーキを調整することができる。このため、過大な減速ショックを発生せず停止する事ができる。
減速度は、エレベータの全換算慣性質量(カゴ1の質量、乗客の質量を含む)をm、カゴ1を目標減速度に達するようにするためにカゴ1に加えるべき制動力をF、カゴとカウンターウェイトの重量差による加速力をFとすると下記の関係が成り立つ。
Figure 2009078088
以上のように、実施の形態1においては、カゴ1の衝突速度を規定速度以下にすることができるとともに緩停止することができる。
なお、ここでは、上記3つの具体例に沿って説明したが、カゴ1の動作は図3の動作に限定されるものではない。すなわち、カゴ1と緩衝器15との距離や非常停止時のカゴ1の速度等によってカゴ1の動作は異なる。
実施の形態2.
本実施の形態におけるブレーキ制御装置16は、その時々における巻上機エンコーダ11や調速機14や位置センサ等のカゴ走行情報収集手段から得られるカゴ1の速度、カゴ1から緩衝器15までの残距離(以下、残距離)に基づいて、カゴ1の衝突速度を規定速度以下まで減速できるかにつき判定して安全リレー20、21の開閉を指令するものである。
図4を用いて、本実施の形態におけるブレーキ制御装置16の構成を説明する。ブレーキ制御装置16は(i)巻上機エンコーダ11や調速機14や位置センサ等のカゴ走行情報収集手段から得られるカゴ1の速度、残距離等の走行状態の情報、(ii)エレベータ制御装置5からの運行の中止が必要な状態でありカゴ1を停止させるためにブレーキ車7を制動すべき旨の指令、とを受け取り、それらの信号に基づき、安全リレー20、21を操作し、ブレーキコイル12、13に電圧を与えるものである。
ブレーキ制御装置16は、安全状態判断部118、制御指令部119、安全リレー20、21からなる。安全状態判断部118は安全リレー20、21の開閉するか否かを判断するもので、速度対残距離演算部118a、判断部118b、安全リレー20、21を開放する事でカゴ1の衝突速度を規定速度以下にすることができるカゴ1の速度及び残距離の関係(以下、リレーを開放する速度と残距離の関係)を記憶した記憶部118cからなる。
図5は、リレーを開放する速度と残距離の関係、つまり衝突速度を規定速度以下まで減速できるかについて判定するための(i)カゴ1の速度、(ii)残距離の関係を示す。カゴ1の状態がグラフ中斜線部内にある場合に制動力を弱められる制御をし、斜線部外に出てしまった場合は制動力を弱められない制御をすることで、衝突速度を規定速度以下にすることができる。
すなわち、斜線部境界線(ア)は、各々の残距離においてカゴ1が非常停止する場合、カゴ1の衝突速度が規定速度以下になる最大速度の集合である。この場合、その線上で初速に対応する残距離xはカゴ1が緩衝器に接触するまでの時間tとして、次の積分方程式から定める事ができる。これにより図5中の斜線部境界線(ア)のグラフを作成することができる。
Figure 2009078088
なお、各変数及び定数はカゴ1を基準として定義し、カゴ1の加速度をα(t)、ブレーキによる制動力をF(t)、カゴ1とカウンターウェイト2の重量差が最大となる場合の最大の加速力をF2´、その重量差での積載状態でのエレベータの全換算慣性質量をm、非常停止開始時のカゴ1速度を、緩衝器接触時の速度をVとしている。
図中の点線イ〜エは、衝突速度が最大となる積載状態であり、かつ斜線部境界線上にある状態((i)〜(iii))から強制的に減速して停止するまでの速度と残距離における軌跡を示す。このように、必ず衝突速度を規定速度以下になることを担保している。一方、図中の点線オ〜キは、衝突速度が最小となる積載状態であり、かつ斜線部境界線上にある状態((i)〜(iii))から強制的に減速して停止するまでの速度と残距離における軌跡を示す。当然この場合も、衝突速度が規定速度以下になる。
すなわち、カゴ走行情報収集手段により収集された実際のカゴ1の速度と残距離を記憶手段に記憶した距離に対応するカゴ1の速度とを比較する。加えて、速度と残距離を監視する場合、カゴ1の積載重量を算出するカゴ積載重量収集手段、カゴ1の走行方向を検出するカゴ走行方向検出手段を備えることにより、カゴ1の状態が制動しやすい積載状態であることがわかれば、安全リレー20、21の閉路により制動を弱められる状態にすることで、衝突速度を規定速度より低速にできる状態をより広く持つ事ができる。つまり、かごの制動しやすさを考慮しない場合は、図5中の斜線部境界線(ア)を定める積分方程式(2)中において、カゴ1とカウンターウェイト2の重量差が最大となる場合を想定して、前記加速力F2´とエレベータの全換算慣性質量mを定めて、リレーを開放する速度と残距離の関係を算出している。しかし、カゴ積載重量と走行方向から制動しやすい状態にあるとわかれば、同じカゴ速度からは短距離で低速状態にする事ができる。従って、その積載重量と走行方向を加味して、前記加速力F2´とエレベータの全換算慣性質量mを定めて算出したリレーを開放する速度と残距離の関係を用いると、安全リレーを閉じて制御可能とする状態をより広く持つ事ができ、制御しない大きな減速度が生じる頻度を低減できる効果がある。
本実施の形態におけるカゴ積載重量収集手段は、カゴ内の積載重量負荷を検知する秤装置22であり、その信号に基づいてカゴ1の積載重量を算出する。カゴ走行方向検出手段は、巻上機エンコーダ11や調速機14等により走行方向を判断する。
具体的には図6に示すように、新たに網掛け領域C上での制動力緩和制御も許容できる。このときの境界線サは、関係式(2)における各定数を積載状態の変化を考慮して算出する。この場合、境界線サ、つまりリレーを開放する速度と残距離の関係は、積載状態に応じて異なる事となる。具体的な実現においては、記憶部118cに、複数のリレーを開放する速度と残距離の関係を記憶しておき、積載重量に応じて適切なリレーを開放する速度と残距離の関係を引き出して、速度対残距離演算部118aで安全リレーの開閉判断に利用する。また、記憶部118cに、リレーを開放する速度と残距離の関係を算出するパラメータを記憶して、速度対残距離演算部118aでそのパラメータを用いて積載重量に応じて適切なリレーを開放する速度と残距離の関係を算出して利用しても良い。
次に、本実施の形態におけるエレベータ装置の動作を簡単に説明する。エレベータが非常停止状態である場合、巻上機エンコーダ11(又は調速機14)及びエレベータ制御装置5からの両信号はそれぞれ安全状態判断部118と制御指令部119に伝達される。制御指令部119では、両信号を基にブレーキコイル12、13に与える電圧値を算出し出力する。
安全状態判断部118では巻上機エンコーダ11や調速機14や位置センサ等のカゴ走行情報収集手段から得られるカゴ1の走行状態の情報に基づいて、減速度演算部118aにより現在のカゴ1の速度と残距離とを算出する。次に、図5の特性図の情報を記憶している記憶部118cのデータ(記憶部118cに記憶したカゴ1の速度と残距離の情報)と118aの出力(カゴ走行情報収集手段により収集されたカゴ速度と残距離の情報)との比較判断を判断部118bで行う。すなわち、カゴ1の状態が、図5の斜線部に属する場合には、安全リレー20、21を閉路してブレーキライニング8、9によるブレーキ車7に対する制動力を弱められる状態とする指令を出力する。一方、カゴ1の状態が、図5の斜線部に属さない場合には、安全リレー20、21を開路してブレーキライニング8、9によるブレーキ車7に対する制動力を弱められない指令を出力する。
以上のように、本実施の形態においては、その時々における(i)カゴ1の速度、(ii)残距離、を監視して安全リレー20、21の開閉するか否かを判断するため、制御が可能な状態を可能な限り広く持つ事ができるという効果を奏する。
つまり、実施の形態1のように所定の減速度を確保することで、所定距離内において、規定速度まで減速することを保障する場合、所定の減速度を確保するために緩衝器までの距離が十分にある場合でも、制動力を弱められない状態とすることとなり減速度の低減効果が小さくなることがある。一方、本実施の形態のように、変化する速度に対応して、残距離がカゴ1の速度を規定速度以下までに減速するのに必要な距離よりも短いと判断し制動力を弱められない状態にする場合には、時々刻々と変化する状態に対応して判断して制動力を発揮させているため実施の形態1の場合に比べて低い減速度で停止できる事となりカゴ1の緩停止を実現することができる。
なお、実施の形態1、2では、ブレーキ制動力を制御することにより、緩衝器15に接触した場合にカゴ1の緩停止を実現する技術について示した。カゴ1の位置、速度、減速度の値、カゴ1の走行方向は、巻上機エンコーダ11や調速機14の信号から換算してもよいし、カゴ1に加速度センサや位置センサ(図示せず)を利用してもよい。また、カゴ積載重量収集手段は、走行中の巻上機コイルの電流から走行負荷を算出する方法を利用してもよい。また、安全状態判断部18は安全リレー20、21に指令を与える構成となっているが、安全状態判断部18から制御指令部19に停止指令を与えてもよい。また、安全状態判断部18をブレーキ制御装置16内に持つこととしているが、安全状態判断部18の代わりに制御可能状態判断装置(図示せず)を別途設けてもよい。
本発明は、エレベータの非常時にカゴを制動するブレーキ装置に適用できる。

Claims (5)

  1. 昇降路内を昇降移動するカゴと、
    該カゴを昇降路端部において停止させる緩衝器と、
    前記カゴの走行を制動するブレーキと、
    前記カゴの走行の情報を収集するカゴ走行情報収集手段と、
    該カゴ走行情報収集手段により収集された情報に基づいて前記カゴが前記緩衝器に衝突する際の衝撃を規定値以内に緩和できるように、前記カゴが前記緩衝器に衝突する際の衝突速度を、予め定められた所定の速度以下にするように前記ブレーキを制御するブレーキ制御手段と、
    を備えたことを特徴とするエレベータ装置。
  2. 前記カゴ走行情報収集手段は、前記カゴの減速度の情報を収集し、
    前記ブレーキ制御手段は、前記カゴの減速度と、前記衝突速度を所定の速度以下にする減速度と、を比較することにより前記ブレーキを制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
  3. 前記カゴ走行情報収集手段は、前記カゴ速度及び前記カゴと前記緩衝器の距離の情報を収集し、
    前記ブレーキ制御手段は、前記ブレーキにより制動する事で前記衝突速度を所定の速度以下にする事ができる前記カゴの速度及び前記カゴと前記緩衝器との距離の関係を記憶した記憶手段を有し、該記憶手段の記憶した前記カゴの速度及び前記カゴと前記緩衝器との距離の関係と、前記カゴ走行情報収集手段により収集された前記カゴ速度及び前記カゴと前記緩衝器の距離の情報と、を比較することにより前記ブレーキを制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
  4. 前記カゴの積載重量を算出するカゴ積載重量収集手段及び前記カゴの走行方向を検出するカゴ走行方向検出手段を備え、
    前記記憶手段は、
    前記カゴの積載重量と前記カゴの走行方向を加味することにより前記衝突速度を所定の速度以下にする前記カゴの速度及び前記カゴと緩衝器との距離の関係を記憶し、
    前記ブレーキ制御手段は、前記記憶手段で記憶した前記カゴの速度及び前記カゴと前記緩衝器との距離の関係と、前記カゴ積載重量収集手段、前記カゴ走行方向検出手段及び前記カゴ走行情報収集手段により収集された情報と、を比較することにより前記ブレーキを制御することを特徴とする請求項3に記載のエレベータ装置。
  5. 昇降路内を昇降移動するカウンターウェイトと、
    該カウンターウェイトを昇降路端部において停止させる緩衝器と、
    前記カウンターウェイトの走行を制動するブレーキと、
    前記カウンターウェイトの走行の情報を収集するカウンターウェイト走行情報収集手段と、
    該カウンターウェイト走行情報収集手段により収集された情報に基づいて前記カウンターウェイトが前記緩衝器に衝突する際の衝撃を規定値以内に緩和できるように、前記カウンターウェイトが前記緩衝器に衝突する際の衝突速度を、予め定められた所定の速度以下にするように前記ブレーキを制御するブレーキ制御手段と、
    を備えたことを特徴とするエレベータ装置。
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