JPWO2009075276A1 - コモンレール式燃料噴射制御装置における流量制御弁の駆動制御方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
かかるコモンレール式燃料噴射制御装置の高圧ポンプにおいては、高圧プランジャへの燃料の流量を制御する手段として、電磁式比例制御弁が流量制御弁として用いられている。
ところで、流量制御弁は、個々の電磁コイルの巻き方などの違いなどによって、個々の電気的特性のばらつきが生じ易く、それに起因した通電電流のばらつきを招くことがある。このような個々の電気的特性のばらつきの影響を極力少なくする観点から、流量制御弁の通電電流制御においては、積分制御が併用されている。
すなわち、デューティ比=目標電流×標準抵抗値÷バッテリ電圧×100%と求められる。
しかしながら、流量制御弁の実際の抵抗値は、温度によって変化するため、標準値との間に差が生じ、実電流と目標電流との差を招くこととなる。そのため、このような流量制御弁の抵抗値の温度変化に関わらず、実電流を目標電流に追従させる観点から、流量制御弁の実電流と目標電流との差を逐次積算した積分項を、下記するようにデューティ比の算出過程において加味することが行われている。
すなわち、車両が十分な時間、動作した状態にあっては、燃料温度を大凡流量制御弁の温度と仮定しても違和感はないが、例えば、イグニッションスイッチをオンとして、スタータを起動することなく長時間放置し、その後イグニッションスイッチを一旦オフとし、次いで、再起動したような場合においては、スタータを起動しない状態にあっても流量制御弁の通電が行われているため、流量制御弁は高温状態にあるが、燃料温度は低いままである。したがって、燃料温度を流量制御弁の抵抗値の推定に用いるには無理が生ずる。
イグニッションスイッチがオンとされた際、前記目標電流と実電流との差の積分値を求める積分演算における初期値を、前記流量制御弁に当該時点の目標電流を通電するための所定値とすると共に、前記イグニッションスイッチがオンとされてから所定時間の間、前記積分演算における積分ゲインを、通常時の第1の積分ゲインより大きな第2の積分ゲインとする一方、前記所定時間経過後は、前記積分ゲインを前記第1の積分ゲインとするよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置における流量制御弁の駆動制御方法が提供される。
また、本発明の第2の形態によれば、コモンレールに燃料を圧送する高圧ポンプと、前記高圧ポンプへの燃料の供給量を制御する流量制御弁と、電子制御ユニットとを有し、前記電子制御ユニットは、前記流量制御弁の実電流が目標電流に追従するように、前記流量制御弁の目標電流と実電流との差の積分値を前記流量制御弁のフィードバック制御に用いるよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
イグニッションスイッチがオンとされた際、前記目標電流と実電流との差の積分値を求める積分演算における初期値を、前記流量制御弁に当該時点の目標電流を通電するための所定値とすると共に、前記イグニッションスイッチがオンとされてから所定時間の間、前記積分演算における積分ゲインを、通常時の第1の積分ゲインより大きな第2の積分ゲインとする一方、前記所定時間経過後は、前記積分ゲインを前記第1の積分ゲインとして積分が行われるよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置が提供される。
4…電子制御ユニット
6…流量制御弁
7…高圧ポンプ
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における流量制御弁の駆動制御方法が適用されるコモンレール式燃料噴射制御装置の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
このコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をディーゼルエンジン(以下「エンジン」と称する)3の気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁2−1〜2−nと、燃料噴射制御などを実行する電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)4を主たる構成要素として構成されたものとなっている。かかる構成自体は、従来から良く知られているこの種の燃料噴射制御装置の基本的な構成と同一のものである。
かかる構成において、燃料タンク9の燃料は、供給ポンプ5により汲み上げられ、流量制御弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。ここで、流量制御弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4に制御されることで、高圧ポンプ7への燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
なお、供給ポンプ5の出力側と燃料タンク9との間には、戻し弁8が設けられており、供給ポンプ5の出力側の余剰燃料を燃料タンク9へ戻すことができるようになっている。
かかる電子制御ユニット4には、エンジン3の動作制御等のために、エンジン回転数やアクセル開度、コモンレール1の実際のレール圧などが、図示されないセンサを介して外部から入力されるようになっている。
まず、本発明の実施の形態における流量制御弁6は、その弁開度が通電量に応じて可変可能となっている公知・周知の電磁式比例制御弁であり、その通電量は、従来同様、繰り返し周期一定のパルス電流のパルス幅を変えるいわゆるデューティ比制御によって調整されるものとなっている。
また、図2においては、流量制御弁6の駆動回路(通電回路)が、等価回路によって示されている。すなわち、流量制御弁6の電磁コイル6aは、図示されない電源とグランドとの間に、電流検出用抵抗器15及びスイッチング素子16と共に、電源側から、電磁コイル6a、電流検出用抵抗器15、スイッチング素子16の順で直列接続されて設けられるものとなっている。
また、電流検出用抵抗器15の両端の電圧は、演算増幅器17を介して流量制御弁6に実際に流れる電流である実電流iAct として電子制御ユニット4へフィードバックされ、後述するデューティ比の決定処理に供されるようになっている。
まず、電子制御ユニット4に入力された目標レール圧Psetと実レール圧PActとの差、すなわち、レール圧差=Pset−PActが算出される。ここで、目標レール圧は、エンジン回転数やアクセル開度、実レール圧等に基づいて、電子制御ユニット4において実行される目標レール圧を演算するためのプログラム(図示せず)の実行によって求められるものである。
そして、目標電流isetと実電流iActと差が積分処理(図2においては「Integ」と表記)されることとなる。すなわち、下記の式1に示されるように、目標電流isetと実電流iActと差が求められる度毎に、その差に積分ゲインが乗じられ、その乗算結果が積算されてゆき、目標電流isetと実電流iAct と差分の積分値I(n+1)が求められるようになっている。
また、I(n)は、前回の演算時における積分値である(以下「I(n)」を「前回積分値」と称する)。
なお、電源電圧Vは、具体的には、車両用バッテリ12の電圧である。
処理が開始されると、最初に、イグニッションスイッチ11がオフ状態からオンにされた直後か否かが判定される(図3のステップS102参照)。そして、ステップS102において、イグニッションスイッチ11がオフ状態からオンにされた直後であると判定された場合(YESの場合)には、積分値の初期値I(0)が所定値に設定され(図3のステップS104参照)、後述するステップS106の処理へ進むこととなる。一方、ステップS102において、イグニッションスイッチ11がオフ状態からオンにされた直後ではないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、イグニッションスイッチ11がオフ状態からオンにされ、このステップS102を実行するのが初回ではない場合には、次述するステップS106の処理へ直接進むこととなる。
ステップS106において、イグニッションスイッチ11がオンとされてからの経過時間tは、所定時間To以下であると判定された場合(YESの場合)には、積分ゲインKがK2(第2の積分ゲイン)に設定される(図3のステップS108参照)一方、所定時間To以下ではないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、所定時間Toを超えている場合には、積分ゲインKは第1の積分ゲインK1(K2>K1)に設定されることとなる(図3のステップS110及び図4参照)。
なお、図4は、イグニッションスイッチ11がオンとされてからの時間経過に伴う積分ゲインの変化を模式的に示した模式図である。
また、このステップS112における積分値の算出が、イグニッションスイッチ11がオフ状態からオフとされた直後の最初の算出である場合には、前回積分値I(n)は、初期値I(0)として、先のステップS104において設定された所定値が用いられることとなる。
このように、流量制御弁6の抵抗値の推定値の算定に燃料温度を用いるのは、次のような理由によるものである。
すなわち、本来は、流量制御弁6の抵抗値の推定値を求めるに際しては、流量制御弁6の温度に基づくのが好ましい。しかしながら、車両内の部品の配置スペースの不足や、設けることができる電子回路に制限があることや、装置価格等のため、専用のセンサを設ける余裕がなく、代替案的に燃料温度が流量制御弁6の抵抗値の推定値算定に用いられるものとなっていた。
しかるに、従来は、そのような不適切な初期値が設定されることもあり、かかる場合、積分値が整定するまでに時間を要し、レール圧制御の安定性、応答性を損なう虞があった。
その結果、図2に示されたスイッチング素子16は、所定の繰り返し周期Tで、オンとされるが、そのオン時間(導通時間)は、その周期Tの内、dcyc(%)に相当する時間オンとされ、流量制御弁6の通電が行われることとなる。
すなわち、イグニッションスイッチ11がオンされた時点では、実電流iActは零であるから、この時点の積分値は、n=0とすれば、式1より、I(0+1)=I(0)+K(iset−iAct)=I(0)となる。
これは、先の図2において、「Integ」」の出力が、I(0)、すなわち、”1”となることを意味し、結局、デューティ比dcyc%は、流量制御弁6に目標電流isetを通電するためのデューティ比として算出されることとなる。
したがって、本発明の実施の形態において、積分値の初期値は、流量制御弁6の通電開始時の電流を、目標電流isetとするに必要な値に設定されるものであるということができる。
なお、所定時間Toとして如何なる値が適するかは、個々のコモンレール式燃料噴射制御装置の動作条件等によって異なるものであるので、具体的な動作条件等を考慮し、シミュレーションや試験等に基づいて定めるのが好適である。
Claims (4)
- コモンレールへ高圧燃料を圧送する高圧ポンプに対する燃料供給量を制御する流量制御弁の実電流が目標電流に追従するように、前記目標電流と実電流との差の積分値が、前記流量制御弁の通電電流のフィードバック制御に用いられるよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置における流量制御弁の駆動制御方法であって、
イグニッションスイッチがオンとされた際、前記目標電流と実電流との差の積分値を求める積分演算における初期値を、前記流量制御弁に当該時点の目標電流を通電するための所定値とすると共に、前記イグニッションスイッチがオンとされてから所定時間の間、前記積分演算における積分ゲインを、通常時の第1の積分ゲインより大きな第2の積分ゲインとする一方、前記所定時間経過後は、前記積分ゲインを前記第1の積分ゲインとすることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置における流量制御弁の駆動制御方法。 - 積分演算は、目標電流と実電流との差が求められる毎に、その差に積分ゲインを乗じ、その乗算結果の積算結果を積分値とすることを特徴とする請求項1記載のコモンレール式燃料噴射制御装置における流量制御弁の駆動制御方法。
- コモンレールに燃料を圧送する高圧ポンプと、前記高圧ポンプへの燃料の供給量を制御する流量制御弁と、電子制御ユニットとを有し、前記電子制御ユニットは、前記流量制御弁の実電流が目標電流に追従するように、前記流量制御弁の目標電流と実電流との差の積分値を前記流量制御弁のフィードバック制御に用いるよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
イグニッションスイッチがオンとされた際、前記目標電流と実電流との差の積分値を求める積分演算における初期値を、前記流量制御弁に当該時点の目標電流を通電するための所定値とすると共に、前記イグニッションスイッチがオンとされてから所定時間の間、前記積分演算における積分ゲインを、通常時の第1の積分ゲインより大きな第2の積分ゲインとする一方、前記所定時間経過後は、前記積分ゲインを前記第1の積分ゲインとして積分が行われるよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。 - 積分演算は、目標電流と実電流との差が求められる毎に、その差に積分ゲインを乗じ、その乗算結果の積算結果を積分値とすることを特徴とする請求項3記載のコモンレール式燃料噴射制御装置。
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