JPWO2009060566A1

JPWO2009060566A1 - 裁断機のコンベアテーブル

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Publication number: JPWO2009060566A1
Application number: JP2009539938A
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Inventors: 健司中井; 礼治有北
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Publication date: 2011-03-17
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Abstract

簡単な構成で、コンベアテーブルとエアテーブルとの間の段差を小さくし、シート材がズレたり倒れ込んだりすることを防止できる裁断機のコンベアテーブルを提供する。搬送方向の搬入側端部および搬出側端部に設けられる一対のスプロケット（１２），（１３）にチェーン（１１）を架けわたして形成した一対の無限軌道（１０）と、両無限軌道（１０）を繋ぐように並列してチェーン（１１）に取り付けられる複数のブラシ取付台（２０）と、各ブラシ取付台（２０）に配列される剛毛（３２）を有するブラシブロック（３０）とを備える。ブラシ取付台（２０）の搬入側の部分はチェーン（１１）に固定されており、搬出側の部分はチェーン（１１）に固定されていない。

Description

本発明は、編地や織地などのシート材を自動で搬送しつつ所望の形状に裁断する裁断機において、裁断機構へのシート材の搬入と裁断後のシート材の搬出を行うコンベアテーブルに関する。

従来から、編地や織地などのシート材の裁断に使用する裁断機100が知られている（図７を参照）。裁断機100は、積層したシート材を搬入側エアテーブル2からコンベアテーブル1に搬入し、コンベアテーブル1のブラシ面1s上でシート材を裁断機構4により裁断した後、裁断後のシート材をコンベアテーブル1から搬出側エアテーブル3に搬出するといった一連の動作を自動で行う装置である。裁断機100の構成のうち、エアテーブル2,3は、シート材の搬入と搬出を容易にするために、テーブル2,3表面からこの表面に置かれたシート材に向かって空気を吹き出してシート材を押し上げるように構成されている。逆に、コンベアテーブル1は、シート材の裁断時にシート材が位置ズレしないようにブラシ面1sの表面から空気を吸い込んでシート材を吸着できるように構成されている。なお、コンベアテーブル1によるシート材の吸引力を向上させるため、積層されるシート材の表面はビニルカバーで覆われている。

裁断機における従来のコンベアテーブルは、例えば、特許文献１の図１２に記載のように、搬入側と搬出側に配置された一対のスプロケットとこれらのスプロケットに架けわたされたチェーンとからなる無限軌道と、チェーンの一部のリンクに取り付けられたブラシ取付台と、ブラシ取付台に配列された剛毛ブロック（ブラシブロック）とを有するように構成されている。この同文献の図１２に記載のコンベアテーブルでは、ブラシ取付台は、その中央部がチェーンの２つおきのリンクに取り付けられている。

しかし、この構成では、同文献の図１３に示すように、搬出側の無限軌道のコーナー部分でブラシブロックの搬入側の上縁が描く軌跡が大きく膨らんでしまうため、コンベアテーブルとエアテーブルとの間に段差が生じてしまう。また、同文献には図示していないが、搬入側の無限軌道のコーナー部分でもブラシブロックの搬出側上端部が大きく膨らんでしまう。そのため、積層したシート材が段差を通過する際に倒れ込んだりして、シート材の積層状態が崩れてしまうなどの不具合が生じる虞がある。

そこで、特許文献１に記載の技術では、ブラシ取付台が取り付けられるチェーンのリンクに対してブラシ取付台を揺動変位可能なように構成している（同文献の図１、５を参照）。そして、無限軌道のコーナー部分でブラシ取付台を揺動変位させることで、ブラシブロックの描く軌跡が大きく膨らむことを防止している。その結果、同文献の図１２，１３に示すような従来の構成に比べてコンベアテーブルとエアテーブルとの間の段差を小さくしている。

特開平６−３０５６２０号公報

しかし、上記特許文献１のコンベアテーブルでは、チェーンに取り付けられるブラシ取付台の全てに揺動機構を設けなければならず、部品点数が多く、生産性が良くないという問題があった。

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主目的は、簡単な構成で、コンベアテーブルとエアテーブルとの間の段差を小さくし、シート材がズレたり倒れ込んだりすることを防止できる裁断機のコンベアテーブルを提供することにある。

本発明者らは、上記課題を解決するために構成を種々検討した結果、シート材がズレたり倒れたりするなどの不具合は、搬出側において顕著であり、むしろ搬入側では従来よりも段差があっても許容されることを見いだした。搬入側よりも搬出側において積層されたシート材の不具合が生じ易いのは、搬出側ではシート材が裁断された小さなピースになっており、段差を乗り越える際の振動や抵抗の影響を受け易いからである。この知見に基づいて本発明を規定する。

即ち、本発明の裁断機のコンベアテーブルは、搬送方向の搬入側端部および搬出側端部に設けられる一対のスプロケットにチェーンを架けわたして形成した一対の無限軌道と、両無限軌道を繋ぐように並列してチェーンに取り付けられる複数のブラシ取付台と、各ブラシ取付台に配列される剛毛を有するブラシブロックとを備える。そして、このコンベアテーブルは、ブラシ取付台の搬入側の部分がチェーンに固定され、搬出側の部分がチェーンに固定されないように構成されていることを特徴とする。

上記本発明の構成は、主として、搬出側におけるコンベアテーブルとエアテーブルとの段差を小さくするためのものであるが、搬入側においても同様に段差を小さくすることが好ましい。そこで、本発明の一形態として、搬入側のスプロケットを搬出側のスプロケットよりも低い位置に配置しても良い。

さらに、搬入側スプロケットを搬出側スプロケットよりも下げるのであれば、両スプロケットの高低差を緩和して、ブラシ取付台が水平状態で搬出側に移動するように、搬入側でチェーンを押し上げるガイドカムを設けてもかまわない。

また、搬入側においてスプロケットから搬出側に送り出されたブラシ取付台は、水平から傾いた状態にあり、搬出方向に移動するに従って水平状態になるが、水平状態に安定するまでの間、振動し易い。ブラシ取付台が振動すると、搬送方向に隣接するブラシブロックの間が開いたり閉じたりして、ブラシブロック間にシート材やシート材を覆うビニルカバーを噛み込みやすい。特に、シート材からはみ出すビニルカバーの端部が噛み込まれ易く、噛み込まれたビニルカバーが、搬出側のコンベアテーブルとエアテーブルとの段差に引っ掛かる虞がある。そこで、本発明の一形態として、コンベアテーブルは、その上面側における搬入側端部の近傍に、チェーンを上下から挟み込んでブラシ取付台の振動を抑える搬入側ガイドレールを備えるようにすると良い。

さらに、搬出側において水平状態のブラシ取付台がスプロケットに送り込まれるときにも、ブラシ取付台が振動し易く、隣接するブラシブロックの間が開いたり閉じたりし易い。そこで、本発明の一形態として、コンベアテーブルは、その上面側における搬出側端部の近傍に、チェーンを上下から挟み込んでブラシ取付台の振動を抑える搬出側ガイドレールを備えるようにすると良い。

本発明の裁断機のコンベアテーブルによれば、ブラシ取付台の搬入側の部分がチェーンに対して固定され、搬出側の部分がチェーンに対して固定されていないため、搬出側の折り返しコーナー部分でブラシ取付台の傾きの起点となる位置が、従来構造よりも搬入側にズレる。ブラシ取付台の傾きの起点が搬入側にズレるほど、搬出側の上部におけるブラシ取付台の軌跡が小さくなるので、搬出側エアテーブルとブラシ面との段差を小さくすることができる。また、この構成は、ブラシ取付台の搬入側の位置をチェーンに固定するだけで良いので、非常に簡単に実施することができる。

また、搬入側のスプロケットを搬出側のスプロケットよりも下になるように配置すると、搬入側におけるエアテーブルとコンベアテーブルとの段差を小さくできる。そのため、搬出側だけでなく搬入側においてもシート材のズレや倒れ込みを効果的に抑制することができる。

さらに、ガイドカムを設けることにより、搬出側スプロケットに対して搬入側スプロケットを下げても、搬入側スプロケットから送り出されるチェーンを迅速に水平位置に押し上げることができる。そのため、ブラシブロックの上端部を水平状態で搬出側に案内できる。また、この構成によれば、搬入側スプロケットが搬出側スプロケットよりも下がっていることによる搬入側へのチェーンの垂れを防止できる。

さらに、搬入側端部の近傍および搬出側端部の近傍の少なくとも一方において、スプロケットから送り出されるチェーンを上下から挟み込むガイドレールを設けることにより、チェーンに取り付けられるブラシ取付台が振動しないように水平状態に安定させることができる。そのため、搬送方向に隣接するブラシブロックの間が開いたり閉じたりしないようにすることができる。

実施形態に示すコンベアテーブルの概略縦断面図である。実施形態に示すコンベアテーブルを搬入側から見たの概略部分透視図である。チェーンのリンクに対するブラシ取付台の取付状態を示す説明図であって、（Ａ）は搬送方向と直交する方向から見た図を、（Ｂ）は搬送方向の搬入側から見た図である。搬出側のコーナー部分におけるブラシ取付台の動きを経時的に示す模式図であって、（Ａ）から（Ｄ）に向かってブラシ取付台が搬送方向に移動する様子を示す。実施形態に示すコンベアテーブルのブラシブロックの軌跡と、従来構成のコンベアテーブルのブラシブロックの軌跡とで、それぞれの最高点を比較した説明図である。搬入側のコーナー部分におけるブラシ取付台の動きを経時的に示す模式図であって、（Ａ）から（Ｄ）に向かってブラシ取付台が搬送方向に移動する様子を示す。裁断機の概略構成を示す斜視図である。

符号の説明

100 裁断機
1 コンベアテーブル 1s ブラシ面 1F フレーム
10 無限軌道 11 チェーン 11f 固定部 110,110a,110b リンク
12 搬入側スプロケット 13 搬出側スプロケット
15 案内レール 17 板状片 19 下支えレール
20 ブラシ取付台 21 固定ブロック 25 案内ローラ
28 ガイドカム 26 爪部
27 搬入側ガイドレール 27u 上側ガイドレール 27d 下側ガイドレール
29 搬出側ガイドレール
30 ブラシブロック 31 矩形板材 32 剛毛 39 爪部
2 搬入側エアテーブル 2C 搬入側コーム
3 搬出側エアテーブル 3C 搬出側コーム
4 裁断機構 41 ビーム 42 裁断ヘッド
5 裁断用ビニルカバー
6 密閉用ビニルカバー

以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。

＜全体構成＞
本実施形態に示す裁断機は、図７を参照して既に説明した従来の裁断機と同様の外観を有し、積層したシート材を搬入側から搬出側に搬送しつつ、所望の形状に裁断する装置である。この裁断機100は、搬入側と搬出側に設けられるエアテーブル2,3と、両エアテーブル2,3の間でシート材を搬入側から搬出側に搬送するコンベアテーブル1と、コンベアテーブル1のブラシ面1s上でシート材を裁断する裁断機構4とを備える。

上述した構成を備える裁断機100により積層されたシート材を裁断するには、まず、搬入側エアテーブル2からコンベアテーブル1にシート材を送り出す。搬入側エアテーブル2は、その上面に複数の空気吹き出し口が形成されており、この吹き出し口から吹き出される空気によりシート材を浮かせるようにして、シート材と搬入側エアテーブル2との摩擦を小さくし、シート材の搬送を容易にする。

シート材は、搬入側エアテーブル2とコンベアテーブル1との境界部近傍に設けられるロールから供給されるシート状の裁断用ビニルカバー5により表面を覆われた状態で、コンベアテーブル1に供給される。コンベアテーブル1は、ブラシ面1sから空気を吸引し、表面を裁断用ビニルカバー5で覆われるシート材をブラシ面1s上に密着させてシート材の積層状態を安定して保持する。

コンベアテーブル1の中央部に搬送されたシート材は、裁断機構4により所望の形状に裁断される。裁断機構4は、コンピュータ制御によりビーム41上を移動する裁断ヘッド42を備え、裁断ヘッド42からブラシ面1sに垂直に上下動するカッターによりシート材を裁断する。

裁断後のシート材は、ビーム41よりも搬出側にあるロールから供給されるシート状の密閉用ビニルカバー6で表面を覆われる。この密閉用ビニルカバー6で、カッターにより破れた裁断用ビニルカバー5の密閉を補って、吸引力の低下を防止することができる。

最後に、コンベアテーブル1から搬出側エアテーブル3にシート材が移動し、裁断されたシート材が搬出される。ここで、既に述べたように、搬出側では、コンベアテーブル1と搬出側エアテーブル3との接合部分に段差があると、この段差により、裁断され小片となったシート材の積層状態が崩れてしまう虞がある。そのため、本実施形態では、コンベアテーブル1と搬出側エアテーブル3との間に形成される段差を従来よりも小さくなるようにコンベアテーブル1を構成した。また、コンベアテーブルの設計変更に伴い、コンベアテーブル以外の構成についても工夫を施した。以下、コンベアテーブルに関連する構成について詳細に説明する。

＜コンベアテーブル近傍の概略構成＞
図１は、コンベアテーブルの概略縦断面図である。図中、紙面手前側が裁断機の側面に相当し、紙面右側が搬入側、紙面左側が搬出側である。また、図２は、コンベアテーブルを搬入側から見た概略部分透視図、図３は、ブラシ取付台とチェーンのリンクとの連結状態を示す概略構成図である。以降の説明では、基本的にこれら図１〜３を参照して説明する。

コンベアテーブル1は、搬入側から搬出側に延び、裁断機の両側面に一つずつ配置される無限軌道10と、両無限軌道10を繋ぐように架けわたされるブラシ取付台20と、ブラシ取付台20に配列されるブラシブロック30とを備える。このような構成を備えることにより、裁断機の上面に露出するブラシブロック30の剛毛32がブラシ面1sを構成し、無限軌道10を動かすことでブラシ面1sを搬入側から搬出側、あるいは、搬出側から搬入側に移動させることができる。

また、搬入側エアテーブル2と搬出側エアテーブル3は、ブラシ面1sよりも高い位置に配置されており、コンベアテーブル1と各エアテーブル2,3との間には、シート材の移動を円滑にするためのコーム2C,3Cが配置されている。コーム2C,3Cは、エアテーブル2,3からブラシ面1sに向かって下がるように傾斜しており、その先端部がブラシ面1sに突き刺さった状態、つまり、剛毛32の隙間にコーム2C,3Cの歯の先端が配置された状態にある。

≪無限軌道≫
無限軌道10は、搬送側と搬出側に配置される一対のスプロケット12,13と、スプロケット12,13に架けわたされる無端状のチェーン11とからなる。チェーン11は、複数のリンク110を互いに屈曲自在に連結して形成されている。また、この無限軌道10の搬入側に配置されるスプロケット12が、搬出側のスプロケット13よりも低い位置に配置されている。なお、図中、無限軌道10は、裁断機の一方の側面に隣接して設けられるもののみ示されているが、実際は、裁断機の他方の側面（図１では紙面奥側、図２では紙面右側）にも隣接して一つ設けられている。

無限軌道10のチェーン11は、図２、図３（Ｂ）に示すように、コンベアテーブルの内側に向かって屈曲する固定部11fを有しており、次段で詳述するように、この固定部11fを介してブラシ取付台20をリンク110に固定することができるようになっている。

≪ブラシ取付台≫
ブラシ取付台20は、２つの無限軌道10に架けわたされるようにチェーン11の延伸方向と直交する方向に伸びる長尺の略板状の部材であり、その一方の面にブラシブロック30を配置できるようになっている。また、ブラシ取付台20は、その長手方向両端部におけるブラシブロック30の配置面側に突出する固定ブロック21を有しており、この固定ブロック21の位置でリンク110の固定部11fに固定される。固定ブロック21は、ブラシ取付台20に配置されるブラシブロック30がブラシ取付台20の端部から外れることを防止するためのものである。

本実施形態では、２つおきのリンク110に対して１つのブラシ取付台20が固定されている。また、図３（Ａ）に示すように、ブラシ取付台20は、搬入側の部分でリンク110bに固定されており、搬出側の部分ではリンク110aに固定されていない。つまり、ブラシ取付台20の幅方向（図の左右方向）を二分する中心線aに対して、このブラシ取付台20が取り付けられるリンク110bの幅方向を二分する中心線bが搬入側にズレている。

また、ブラシ取付台20は、その長手方向両端部よりも内側で、同長手方向に所定の間隔を空けて複数配置される案内ローラ25を有する（図２を参照）。案内ローラ25は、コンベアテーブル1のフレーム1Fに固定される案内レール15上を移動し、ブラシ面1sが水平状態を保持するようにブラシ取付台20を走行させる。案内レール15は、搬入側から搬出側に向かって延びる直線状の長尺材であり、搬入側から搬出側にかけて案内ローラ25を案内できるように無限軌道10に並列して複数設けられている。さらに、コンベアテーブル1の下側には、下支えレール19が無限軌道10に並列して一対設けられており、コンベアテーブル1の下側に回ったチェーン11を下から支え、チェーン11が垂れないようにしている。

≪ブラシブロック≫
ブラシブロック30は、矩形板材31の一面から延びる複数の剛毛32を有する（特に、図３を参照）。各剛毛32は、その先端部の位置が揃っており、ブラシブロック30をブラシ取付台20に取り付けたときに平坦なブラシ面1sを形成する。また、矩形板材31の他面には爪部39が形成されており、この爪部39とブラシ取付台20の爪部26との係合により、ブラシブロック30がブラシ取付台20に取り付けられる。

＜コンベアテーブルの効果＞
上記構成を備えるコンベアテーブル1によれば、搬出側における無限軌道10のコーナー部分上方で、ブラシブロック30の搬入側の上端縁が描く軌跡（図１の一点鎖線を参照）が、ブラシ面1sを延長した面からほとんど突出しない。このような軌跡を描く理由を図４および図５に基づいて説明する。

図４は、搬出側のコーナー部分におけるブラシ取付台の動きを経時的に示す模式図である。まず、ブラシ取付台20が図４（Ａ）の状態のとき、ブラシ取付台20の位置に対応するリンク110a,110bは、両方とも水平状態にあり、ブラシ取付台20も水平状態にある。次に、（Ａ）から（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）の状態に移行すると、ブラシ取付台20の搬入側の部分とリンク110bとが固定されているため、ブラシ取付台20はリンク110aではなくリンク110bに追従して傾く。このとき、ブラシ取付台20の傾きの起点は、リンク110bの搬入側の回動軸になる。ここで、傾きの起点とブラシブロック30の搬入側の上端縁との距離が大きいほど、上端縁の描く軌跡が大きくなるので、搬出側では傾きの起点が搬入側に偏っているほど軌跡が小さくなる。

図５に、搬出側における本実施形態に示すコンベアテーブルのブラシブロックの軌跡と従来のコンベアテーブルのブラシブロックの軌跡とでそれぞれの最高点を比較した図を示す。図５の右に示す従来構成では、ブラシ取付台20が固定されるリンク110がブラシ取付台20の中央にあるため、ブラシ取付台20の傾きの起点Ｙはリンク110の搬入側にある回動軸となる。一方、同図左に示す本実施形態では、ブラシ取付台20が固定されるリンク110がブラシ取付台20の中央から搬入側にズレているため、ブラシ取付台20の傾きの起点Ｘはリンク110の搬入側にある回動軸となる。つまり、本実施形態の傾きの起点Ｘは、従来構造の傾きの起点Ｙよりも搬入側に偏っている。ここで、両者のブラシブロック30の搬入側上端縁が最高点に達するのは、起点と上端縁とを繋ぐ直線が垂直になるときであり、図に示すように、本実施形態における軌跡の最高点が、従来構成における軌跡の最高点に比べて低い。そのため、図１に示すように、ブラシ面1sと搬出側エアテーブル3との段差を従来のものよりも小さくできるので、コンベアテーブル1から搬出側エアテーブル3にシート材を搬送する際に、上記段差に起因するシート材の崩れを防止できる。

反対に、搬入側では、ブラシブロック30の搬出側の上縁の描く軌跡が上方に膨らんでおり、搬出側に比べてブラシ面1sからの軌跡（図１の搬入側の一点鎖線を参照）の突出量が大きくなる。ここで、本実施形態では、搬入側のスプロケット12が、搬出側のスプロケット13に比べて下になるように配置されているので、ブラシ面1sからの軌跡の突出量は、従来のものと同程度に抑えられている。そのため、ブラシ面1sと搬入側エアテーブル2との段差は、従来のものと同程度であり、搬入側エアテーブル2からコンベアテーブル1にシート材を搬送する際に、段差に起因するシート材の崩れを防止できる。

＜その他の構成＞
ところで、搬入側では、スプロケット12から送り出されるブラシ取付台20に配置されるブラシブロック30の剛毛32が搬入側コーム2Cを通過する際に、剛毛32とコーム2Cとの摺接によりブラシ取付台20の搬出側が持ち上がりぎみになる。そして、剛毛32がコーム2Cを通過した後は、持ち上がったブラシ取付台20の搬出側が下がるのでブラシ取付台20が振動し易い。この振動により、搬送方向に隣接するブラシブロック30の間に隙間が開いたり閉じたりするので、その隙間にシート材やシート材を覆う裁断用ビニルカバーを噛み込む虞がある。

そこで、本実施形態に示すコンベアテーブル1は、搬入側コーム2C（搬入側端部）の近傍でスプロケット12から送り出されるチェーン11（リンク110）を上下から挟み込んでチェーン11に固定されるブラシ取付台20を水平状態に安定させるための搬入側ガイドレール27を有する。搬入側ガイドレール27は、例えば、ブラシ取付台20が搬送方向に移動する際に剛毛32がコーム2Cと接触する間、ブラシ取付台20の振動を抑えることができる範囲に形成されていれば良い。本実施形態では、ガイドレール27は、図２に示すように、コンベアテーブル1の側面のフレーム1Fに支持される板状片17からテーブル1の内側に突出する上側ガイドレール27uと下側ガイドレール27dで構成される。そして、各ガイドレール27u,27dの先端部は互いに対向する方向に突出しており、この突出部でリンク110の回動軸を挟み込む構成である。上側ガイドレール27uは、搬送方向にスプロケット12と重複する位置まで形成されており、下側ガイドレール27dは、その搬入側が上側ガイドレール27uよりも短く形成されている（図１および６を参照）。また、各ガイドレール27u,27dには、コンベアテーブル1の上下方向に延びる複数の長孔が設けられており、板状片17に対するネジ止め位置を調節することで、各ガイドレール27u,27dの上下の位置を調節することができる
ようになっている。

また、下側ガイドレール27dとスプロケット12との間には、チェーン11をガイドレール27に案内するガイドカム28が配置されている（図１、２、６を参照）。ガイドカム28により、スプロケット12,13の間の高低差を解消するように、スプロケット12から送り出されたチェーン11のリンク110を水平位置まで持ち上げて、チェーン11をガイドレール27に円滑に案内することができる。ガイドカム28は、その上面がスプロケット12側に向けて下がるように傾斜しており、チェーン11を徐々に水平位置に持ち上げることができるようになっている。このガイドカム28もコンベアテーブル1のフレーム1Fに支持される（図２を参照）。また、ガイドカム28には、搬送方向に延びる長孔が設けられており、ガイドカム28の搬送方向における位置を調節することができるようになっている。なお、ガイドカム28と下側ガイドレール27dとを一体に形成しても良い。

図６は、搬入側のコーナー部分におけるブラシ取付台20の動きを経時的に示す模式図である。ブラシ取付台20が、図６（Ａ）の状態から（Ｂ）の状態に移行すると、まず、ブラシ取付台20が固定されていないリンク110aがガイドカム28に乗り上げる。同時に、紙面奥側の案内ローラ25が案内レール15に乗り上げ、ブラシ取付台20が案内レール15上を走行する。次に、（Ｂ）から（Ｃ）の状態に移行すると、ブラシ取付台20が固定されるリンク110bがガイドカム28に乗り上げる。そして、（Ｃ）から（Ｄ）の状態に移行すると、リンク110bがガイドカム28と上側ガイドレール27uに挟まれ、図示しない搬出側スプロケットと搬入側スプロケット12の高低差を解消するように持ち上げられる。このとき、リンク110bは水平状態に保持されるため、リンク110bに固定されるブラシ取付台20も水平状態になる。さらに、（Ｄ）の状態からチェーン11を搬出側に移行させると、リンク110bは水平状態を保ったまま上側ガイドレール27uと下側ガイドレール27dの間に案内される。ガイドレール27に挟み込まれたチェーン11は水平状態に安定するので（図１を参照）、ブラシブロック30が搬入側コーム2Cを通過する際に、ブロック30の剛毛32とコーム2Cとの摩擦によりブラシ取付台20が持ち上がることがなく、搬送方向に隣接するブラシブロック30の間に裁断用ビニルカバーやシート材が噛み込まれることを防止できる。

また、図１に示すように、搬出側のコーム3C（搬出側端部）近傍においても、チェーン11を上下から挟み込んでブラシ取付台20の水平状態を安定して保持する搬出側ガイドレール29が設けられている。搬出側ガイドレール29は、搬入側ガイドレール27とほぼ左右対称の形状を有する。搬出側ガイドレール29を設けた理由は、搬出側においても、ブラシブロック30の剛毛32が搬出側コーム3Cに摺接することで、ブラシ取付台20の搬入側が持ち上がる可能性があるからである。つまり、ガイドレール29でチェーン11を挟み込むことにより、搬出側のコーム3Cよりも手前で搬送方向に隣接するブラシブロック30の間に隙間ができないようにし、上記隙間に裁断用ビニルカバーやシート材が噛み込まれることを防止している。この搬出側ガイドレール29も、例えば、搬入側ガイドレール27と同様に、ブラシ取付台20が搬送方向に移動する際に剛毛32がコーム3Cと接触する間、ブラシ取付台20の振動を抑えることができる範囲に形成されていれば良い。

なお、本発明の実施形態は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、搬入側のスプロケットを下げる代わりに、搬入側スプロケットの径を搬出側スプロケットよりも小さくすることで、ブラシ面からのブラシブロックの軌跡の突出量を小さくしても良い。その他、上述した実施形態では、ブラシ取付台20を固定部21の位置でチェーン11のリンク110に固定しているが、ブラシ取付台20の下面の位置でリンク110に固定するようにしても良い。

Claims

搬送方向の搬入側端部および搬出側端部に設けられる一対のスプロケットにチェーンを架けわたして形成した一対の無限軌道と、両無限軌道を繋ぐように並列してチェーンに取り付けられる複数のブラシ取付台と、各ブラシ取付台に配列される剛毛を有するブラシブロックとを備える裁断機のコンベアテーブルであって、
前記ブラシ取付台は、搬入側の部分がチェーンに固定され、搬出側の部分がチェーンに固定されないように構成されていることを特徴とする裁断機のコンベアテーブル。
搬入側のスプロケットが搬出側のスプロケットよりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求の範囲第１項に記載の裁断機のコンベアテーブル。
搬入側スプロケットと搬出側スプロケットの間の高低差を緩和するように、搬入側でスプロケットから送り出されるチェーンを押し上げるガイドカムを有することを特徴とする請求の範囲第２項に記載の裁断機のコンベアテーブル。
コンベアテーブルは、その上面側における搬入側端部の近傍に、チェーンを上下から挟み込んでブラシ取付台の振動を抑える搬入側ガイドレールを有することを特徴とする請求の範囲第１項〜第３項のいずれか一項に記載の裁断機のコンベアテーブル。
コンベアテーブルは、その上面側における搬出側端部の近傍に、チェーンを上下から挟み込んでブラシ取付台の振動を抑える搬出側ガイドレールを有することを特徴とする請求の範囲第１項〜第４項のいずれか一項に記載の裁断機のコンベアテーブル。