JPWO2009054116A1 - クリーンルーム - Google Patents

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Abstract

生産設備等の放熱体(10)の上面(10−1)に対向するように排塵補助部材(15)の排塵促進面(15−1)を配置して、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面との間を、塵埃又は化学物質等の物体の大きさと、その物体が空気中を自由落下中に空気抵抗と釣り合い、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)以上の上昇気流で占有することにより、塵埃及び化学物質等の物体は放熱体上に落下しない。

Description

本発明は、半導体製造工場、FPD(Flat Panel Display)製造工場、精密機械工場、薬品製造工場等の無塵室或いは無菌室に適用されるクリーンルームに関するものである。
半導体工場又はFPD製造工場においては、デバイスの高集積化に伴い、清浄度又は温湿度などの環境条件をより高度なレベルに制御することが要求されている。さらに、近年の半導体又はFPDの価格競争の激化から、クリーンルームの建設コストすなわちイニシャルコスト、及び、クリーンルーム自体のランニングコストを低減することが要求されている。
このような清浄度の高いクリーンルームを実現する方式としては、図29に示すような全面ダウンフロー方式がある。この方式では、天井室102内の空気は、清浄室101の天井に設置されたファンフィルタユニット103の空気取入口104からファンフィルタユニット103内に流入し、ファンフィルタユニット103内に設置された送風機105によって昇圧され、高性能フィルタ106によって除塵された後、清浄室101内に鉛直下向きに清浄な空気が例えば0.25〜0.5m/s程度の流速で流れる。次に、清浄室101のグレーチング床107を通って床下室108に流れ込み、戻り流路109を経て天井室102に戻るという、循環流を形成する。このような循環により、同じ空気が何度も高性能フィルタ106により除塵されるため、クリーンルームの運転を開始してから、ある一定時間を経過した後、清浄室101内は高清浄度が保たれることになる。
さらに、清浄室101内には、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の放熱体110がグレーチング床107上に設置されている。放熱体110においては、有毒なガスなどを使用することもあるため、安全のため、処理の終わった有毒ガスとともに清浄室101内の空気を排気案内流路111に吸入して床下室108内の排気案内流路111によりクリーンルーム外部に排気している。清浄室101内の圧力を所定の値に制御するために、クリーンルーム外部への排気流量にほぼ等しい流量の空気を給気案内流路112により天井室102内に搬送し、給気案内流路112に設置された給気口から、天井室102内に供給空気として供給する。給気案内流路112には、外気をクリーンルームに適する空気に調整する外調機113が備え付けられている。
一方、清浄室101には、IC製造装置又は各種検査装置等の放熱体110が設置されているが、これら放熱体110の種類によって、放熱体110の表面温度が25度近くから100度近くになることで、かなりの発熱を伴うもの(例えば、乾燥炉など)もあり、清浄室101で発熱源となる場合がある。従来は、これら放熱体110(熱源)から放出される排熱をクリーンルームに自然拡散させ、清浄室101全体を調温していた。IC製造室又は各種検査室等として使用されるクリーンルームは、塵埃又は微粒子等に対する清浄度が必要であることは勿論であるが、湿度及び温度についても常に所定の範囲に保持することが必要とされる。
清浄室101の循環流は、清浄室101内の放熱体110又は床下室108内に設置されたポンプ(不図示)などの補機の熱負荷のために暖められるため、清浄室101のグレーチング床107を通って床下室108に流れ込んだ循環流の温度は、清浄室101内の雰囲気温度より若干高くなる。それを所定の温度に戻すために空調装置114を制御すねことにより、清浄室101内の温度は一定に保たれることになる。
以上のように、クリーンルーム環境を維持するために、高性能フィルタ106を備えたファンフィルタユニット103などの空気浄化装置及び温度が制御できる空調装置114を備えている。
このような従来のクリーンルームでは、清浄室101に対して高性能フィルタ106から床下空間108に向かう均一な流速で清浄空気を供給するため、図30に示すように、生産設備等の放熱体110からの発熱又は放熱によって生じた上昇気流によって、生産設備等の放熱体110の上部側で、清浄空気流が、図30の実線の矢印aで示すように乱され、放熱体110の上部或いはその周辺で発生した塵埃又は化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように放熱体110上に落下し、清浄環境に悪影響を与えることが分かっていた。
この塵埃及び化学物質等の汚染物質から清浄室101の清浄環境を守る方法として、放熱体110の上部側のフィルタユニット103に、放熱体110の上部側の塵埃又は化学物質等の汚染物質を含む空気を吸引する吸気手段(図示せず)が配設され、放熱体110が配置された上部側のフィルタユニット103から、放熱体110の上部側の塵埃又は化学物質等の汚染物質を含む空気を吸引すると共に、高性能フィルタ106によって塵埃又は化学物質等の汚染物質を捕獲し、清浄室101への塵埃又は化学物質等の汚染物質の拡散防止法がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−247512号公報
しかしながら、放熱体110の上部側のフィルタユニット103から、塵埃又は化学物質等の汚染物質を含む空気を吸引しようとすると、フィルタユニット103に近い部分の空気は充分に吸引することができるが、放熱体110の上部近傍の空気はフィルタユニット103から遠い位置にあるため、放熱体110の上部近傍の空気に対する吸引力が不足し、放熱体110の上部近傍の空気は充分に吸引されることがない。
その結果、放熱体110の上部側に発生した気流渦又は熱対流などによって、長時間に渡って、放熱体110の上部にある塵埃又は化学物質等の汚染物質を含む空気が、放熱体110の上部側で漂うことになる。そして、空気中に塵埃又は化学物質等の密度が増加し、塵埃又は化学物質等の衝突による巨大化又は重量増加により、塵埃又は化学物質等が最終的に自由落下し、放熱体110中で製造したウェハー上に塵埃又は化学物質等が付着することにより、ウェハーに要求される品質又は生産性を満足することはできなかった。
現在、ウェハー上の配線パターンピッチは50ナノメートル程度と超微細な構造であり、その配線パターンピッチ以上の大きさの塵埃又は化学物質等の汚染物質がウェハー上に落下することで、塵埃又は化学物質等の汚染物質を介してウェハーが短絡し、異常発熱又は焼損することがある。
本発明は、斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の放熱体の上部側で発生する気流渦又は熱対流に起因する気流の流れを最適化することにより、塵埃及び化学物質等がウェハーなどの上に付着することを抑制することができるクリーンルームを提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために以下の手段を採用している。
まず、本発明者は、従来の問題の根源は、放熱体110の上部側において、放熱体110の熱により発生する上昇気流を全く考慮せずに、又は、上昇気流とは全く別に、汚染物質を含む空気を吸引する吸気手段を設けて、強制的に吸引することにあると考え、このような強制的な流体の流れを人為的に作り出すのではなく、放熱体110の熱により発生する上昇気流を利用することができないか否かを考察しようとした。
そこで、一般的に、塵埃又は化学物質等の物体の大きさと、その物体が空気中で自由落下中に空気抵抗とが釣り合うことにより、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)の関係が、図2に示すストークスの法則として知られている。つまり、その終末速度以上で、下方から、塵埃及び化学物質等の物体に向かって流体を吹き上げれば、その物体は落下することは無い。
また、生産設備等の放熱体の表面温度と清浄室の雰囲気温度との温度差によって、放熱体の上面の上方で上昇気流が発生し、例えば放熱体の上面の表面温度が50℃の場合、放熱体の上面から10cmから30cm程度離れた、上面から近い場所では、比較的速い上昇気流が絶えず存在しているが、上面から100cm程度の距離が離れた場所では、上昇気流は極めて弱い。このように、生産設備等の放熱体の上面の表面温度と清浄室の雰囲気温度との温度差と、生産設備等の放熱体の上面からの一定距離での上昇気流速度に一定の関係が成り立つことが知られている。
以上のことから、塵埃又は化学物質等の物体の大きさから決定される落下速度(終末速度)以上の上昇気流の分布が、生産設備等の放熱体の上面の上方空間を絶えず占有していれば、塵埃及び化学物質等の汚染物質が、放熱体の上面に、言い換えれば、放熱体の生産設備等で作られるウェハーに落下することはないと考えられる。
今回、この点に着目し、本発明者は、塵埃又は化学物質等の物体の大きさから自由落下しないための終末速度を事前に計算及び解析を事前に行い、生産設備等の放熱体の上面の表面温度と清浄室の雰囲気温度との温度差から上昇気流の分布を加味した構造を開発した。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、床上に設置された放熱体の上面に対向する排塵促進面を有するとともに、前記排塵促進面により、前記放熱体の発熱によって発生する前記放熱体の前記上面から上昇する上昇気流が、前記排塵促進面と前記放熱体の前記上面との隙間から隙間外に排出されるような、前記排塵促進面と前記放熱体の前記上面との距離に前記排塵促進面が位置する排塵補助部材とを備える、クリーンルームを提供する。
本発明の第2態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記床と交差する側壁から横方向に前記放熱体の上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第3態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記床から上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第4態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記放熱体から上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第5態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記放熱体に隣接する装置から前記放熱体の上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第6態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記床に面する天井から前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第7態様によれば、前記放熱体の前記上面の表面温度と前記周辺雰囲気の温度との温度差を、前記放熱体の前記上面と前記排塵補助部材の前記排塵促進面との間の距離で割った値K(℃/mm)が0.032≦K≦ 0.065の関係を保つ第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第8態様によれば、前記放熱体として、第1放熱体と、前記第1放熱体よりも温度が高い第2放熱体が前記床上に設置され、前記第1放熱体の上面の表面温度と前記第1放熱体の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が、前記第2放熱体の上面の表面温度と前記第2放熱体の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差よりも大きいとともに、
前記排塵補助部材として、前記第1放熱体の前記上面に対向した排塵促進面を有しかつ前記クリーンルームに面する天井から下向き突出するように配置される第1排塵補助部材と、前記第2放熱体の前記上面に対向した排塵促進面を有しかつ前記クリーンルームに面する天井から下向き突出するように配置された第2排塵補助部材とを備え、
前記第1放熱体の前記上面と前記第1排塵補助部材の前記排塵促進面との間の第1距離が、前記第2放熱体の前記上面と前記第2排塵補助部材の前記排塵促進面との間の第2距離よりも大きい、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
これらの構成により、塵埃及び化学物質等が放熱体に落下せず、放熱体の一例として例えば半導体製造装置において、その処理対象物であるウェハー上に塵埃及び化学物質等が付着することを抑制することができる。
本発明の第9態様によれば、前記排塵補助部材の前記排塵促進面は帯電防止層を有している、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第10態様によれば、前記排塵補助部材の前記排塵促進面は接地されている、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
これらの構成により、排塵補助部材自体にも、塵埃及び化学物質等の汚染物質が付着しにくくすることができ、塵埃及び化学物質等が放熱体に落下するのを、より一層効果的に防止することができる。
本発明の第11態様によれば、前記排塵補助部材は、ボックスもしくはエアパッキンより構成されている、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第12態様によれば、前記排塵補助部材はエアパッキンで構成されており、かつ、前記放熱体からの上昇気流により前記排塵補助部材が前記天井に対して上下方向に移動可能に配置されている、第11の態様に記載のクリーンルームを提供する。
これらの構成により、天井面の大掛かりな工事が不必要になると同時に生産活動を止めることなく、天井に前記排塵補助部材を配置することを可能とし、さらに低コスト化を促進するとともに、清浄度又は温湿度などの製造条件及びに環境条件をより高度なレベルに制御することを実現可能とする。
本発明の第13態様によれば、前記排塵補助部材の前記排塵促進面は、前記放熱体の前記上面の全面をほぼ覆うように配置されている、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
以上のように、本発明に係るクリーンルームでは、前記放熱体の発熱により前記放熱体の前記上面から上昇する上昇気流が、前記排塵補助部材の前記排塵促進面により、前記排塵補助部材の前記排塵促進面と前記放熱体の前記上面との隙間から隙間外に排出されるように案内される。この結果、放熱体の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、上昇気流と共に、前記隙間から隙間外に排出されることになり、汚染物質が前記放熱体の前記上面に落下することを効果的に防止することができる。すなわち、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の放熱体の上部側で発生する気流渦又は熱対流に起因する上昇気流の流れを最適化することにより、塵埃及び化学物質等の汚染物質が、放熱体での処理対象物の例であるウェハーなどの上に落下して付着することを抑制することができる。
また、前記排塵補助部材を簡単なボックスもしくはエアパッキンより構成すれば、天井面の大掛かりな工事が不必要になると同時に生産活動を止めることなく、天井に前記排塵補助部材を配置することを可能とし、さらに低コスト化が可能となり、かつ、清浄度又は温湿度などの製造条件及び環境条件をより高度なレベルに制御することが実現可能となる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームであって、清浄室内に放熱体が配置された状態を示す概略説明図であり、 図2は、汚染物質の直径に対して終末速度(mm/s)を示す結果図であり、 図3は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、放熱体からの上昇気流と汚染物質との流れを説明するための概略説明図であり、 図4は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームとの比較説明のためのクリーンルームであって、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面との間の距離が大きすぎる場合の放熱体からの上昇気流と汚染物質との流れを説明するための概略説明図であり、 図5は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームとの比較説明のためのクリーンルームであって、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面との間の距離が小さすぎる場合の放熱体からの上昇気流と汚染物質との流れを説明するための概略説明図であり、 図6は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームの実施例1〜3において、汚染物質の個数測定結果であって、放熱体に備え付けられているダストカウンターのダスト個数を表形式で示す図であり、 図7Aは、放熱体と天井との距離に対して、発生する上昇気流速度を示す熱流体解析結果図であり、 図7Bは、放熱体と天井との距離に対して、発生する上昇気流速度を示す熱流体解析結果図であり、 図7Cは、放熱体と天井との距離に対して、発生する上昇気流速度を示す熱流体解析結果図であり、 図8は、熱流体解析を行った図7A〜図7Cの結果を、放熱体の上面の表面温度と清浄室の雰囲気温度との3つの温度差範囲(0〜50℃、50〜75℃、75〜100℃)と、3つの放熱体の上面と3つの排塵補助部材の排塵促進面との3つの距離範囲(200〜1000mm、1000〜1500mm、1500〜2000mm)で、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面間で発生する気流の鉛直方向の最小速度について整理した結果を表形式で示す図であり、 図9は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームの実施例1〜3において行った取り組みによって、それぞれの放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面間の隙間に、それぞれ自由落下中に空気抵抗と釣り合い、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)が3mm/s以上の上昇気流で占有して、塵及び化学物質等の汚染物質が放熱体の上面に落下しない状態での、放熱体の上面の表面温度と清浄室の雰囲気温度との温度差と、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面との距離との関係を示すグラフであり、 図10は、本発明の第1実施形態の変形例にかかるクリーンルームを示す概略説明図であり、 図11は、本発明の第1実施形態の別の変形例にかかるクリーンルームを示す概略断面図であり、 図12は、本発明の第1実施形態のさらに別の変形例にかかるクリーンルームを示す概略説明図であり、 図13は、本発明の第1実施形態の別の変形例にかかるクリーンルームを示す概略説明図であり、 図14は、図12の本発明の第1実施形態のさらに別の変形例にかかるクリーンルームとの比較例を示す概略説明図であり、 図15は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材の排塵促進面と放熱体の上面とが同じ大きさの場合を説明するための図であり(なお、床を示す点線を境に、床より上側の(a)は概略説明図であり、床より下側の(b)は概略平面透視図である)、 図16は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材の排塵促進面が放熱体の上面より大きい場合を説明するための図であり(なお、床を示す点線を境に、床より上側の(a)は概略説明図であり、床より下側の(b)は概略平面透視図である)、 図17は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材の排塵促進面が放熱体の上面より小さい場合を説明するための図であり、(なお、床を示す点線を境に、床より上側の(a)は概略説明図であり、床より下側の(b)は概略平面透視図である)、 図18は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、1つの放熱体内に複数の放熱源がある場合を説明するための図であり、(なお、床を示す点線を境に、床より上側の(a)は概略説明図であり、床より下側の(b)は概略平面透視図である)、 図19は、本発明の第1実施形態の第1変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を、天井面からではなく、清浄室の側壁から支持部材を介して配置させている場合を説明するための説明図であり、 図20は、図19の前記第1変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を支持部材を介して配置させている場合を説明するための概略平面透視図であり、 図21は、本発明の第1実施形態の第2変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を、天井面からではなく、清浄室の床から自立した支持部材を介して配置させている場合を説明するための説明図であり、 図22は、図21の前記第2変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を支持部材を介して配置させている場合を説明するための概略平面透視図であり、 図23は、本発明の第1実施形態の第3変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を、天井面からではなく、排塵補助部材を利用する装置(放熱体)自体から支持部材を介して配置させている場合を説明するための説明図であり、 図24は、図23の前記第3変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を配置させている場合を説明するための概略平面透視図であり、 図25は、本発明の第1実施形態の第4変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を、天井面からではなく、排塵補助部材を利用する装置(放熱体)とは異なる、隣に配置された装置から支持部材を介して突出させている場合を説明するための説明図であり、 図26は、図25の前記第4変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を支持部材を介して配置させている場合を説明するための概略平面透視図であり、 図27は、本発明の第1実施形態の第5変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を天井面からL字状の支持部材を介して突出させている場合を説明するための説明図であり、 図28は、図27の前記第5変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を支持部材を介して配置させている場合を説明するための概略平面透視図であり、 図29は、従来のクリーンルームを示す説明図であり、 図30は、放熱体からの上昇気流によって、気流の乱れを示す概略図である。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明における第1実施形態を詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態にかかるクリーンルームの概要について、図1を基に説明する。このクリーンルームは、清浄室1内の清浄度をある程度高く維持するために、清浄室1の室内空気を清浄室1外に排出し、排出された空気を所定の空気条件に調整した後、その清浄室1内に例えば還流することによって、その清浄室1内の温度、湿度、及び、清浄度を調節するようにしている。ここでは、このような清浄度の高いクリーンルームを実現する方式の一例として、図1に示すような全面ダウンフロー方式を例にとって説明する。
この方式では、清浄室1の上方の天井室2内の空気は、清浄室1の天井1Aに設置されたファンフィルタユニット3の空気取入口4からファンフィルタユニット3内に流入し、ファンフィルタユニット3内に設置された送風機5によって昇圧され、高性能フィルタ6によって除塵された後、清浄室1内に、鉛直下向きに清浄な空気が例えば0.25〜0.5m/s程度の流速で流れるようにしている。
次に、矢印70で示すように、天井室2から清浄室1内に鉛直下向きに流れ込んだ清浄な空気は、清浄室1のグレーチング床7を通って床下室8に流れ込み、床下室8から戻り流路9を経て天井室2に戻るという、循環流を形成している。このような循環により、同じ空気が何度も高性能フィルタ6により除塵されるため、クリーンルームの運転を開始してからある一定時間を経過した後、清浄室1内は高清浄度が保たれることになる。
さらに、清浄室1内には、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の複数の放熱体10A,10B,10Cがグレーチング床7上に設置されている。放熱体10A,10B,10Cのそれぞれの放熱源の具体的な例としては、例えば、IC製造装置などの半導体製造装置及び各種検査装置等におけるモータなどの駆動源と、これらの駆動源を制御するための、又は、駆動源及び画像処理部をそれぞれ制御するための制御部と、各種検査装置等の照明装置となどが挙げられる。これらの放熱源から放熱される熱がそれぞれの装置全体にほぼ均一に伝達されて、装置全体が一様に加熱されて、放熱体10A,10B,10Cとなっていると考えている。ここでは、図示を簡略化するため、放熱体10A,10B,10Cを直方体形状で図示している。これら放熱体10A,10B,10Cは、その種類によって、放熱体10A,10B,10Cの上面の表面温度(放熱体10A,10B,10Cが設備の場合には、設備が連続稼動運転中の状態での上面の平均温度)が100度近くになって、かなりの発熱を伴うもの(例えば、乾燥炉など)もあり、清浄室1で発熱源となる場合がある。これら放熱体10A,10B,10C(熱源)から放出される排熱は、一例として、クリーンルームに自然拡散させ、清浄室1全体を調温するようにしている。なお、IC製造室又は各種検査室等として使用されるクリーンルームは、塵埃及び微粒子等に対する清浄度が必要であることは勿論であるが、湿度及び温度についても所定の範囲に常に保持することが必要とされる。
なお、放熱体10A,10B,10Cにおいては、有毒なガスなどを使用する場合もあるため、安全のため、処理の終わった有毒ガスとともに清浄室1内の空気を排気案内流路11に吸入して排気案内流路11によりクリーンルーム外部に排気している。清浄室1内の圧力を所定の値に制御するために、外部への排気流量にほぼ等しい流量の空気を、給気案内流路12により天井室2内に搬送し、給気案内流路12に設置された給気口12aから供給空気として天井室2内に供給する。給気案内流路12の途中には、外気をクリーンルームに適する空気に調整する外調機13が備え付けられている。
清浄室1の循環流は、清浄室1内の放熱体10A,10B,10C又は床下室8内に設置されたポンプ(不図示)などの補機の熱負荷のために暖められるため、清浄室1のグレーチング床7を通って床下室8に流れ込んだ循環流の温度は、清浄室1内の雰囲気温度より若干高くなる。それを所定の温度に戻すために、戻り流路9の途中に備えられた空調装置14で、戻り流路9内の清浄な空気の温度を制御することにより、清浄室1内の温度を一定に保つことができる。
以上のように、クリーンルーム環境を維持するために、クリーンルームには、高性能フィルタ6を備えたファンフィルタユニット3などの空気浄化装置、及び、空気の温度が制御できる空調装置14を備えている。
このようなクリーンルームにおいて、清浄室1内に設置された放熱体10A,10B,10Cの各上面10−1に対して鉛直方向に対向した排塵促進面15−1をそれぞれ有する排塵補助部材15A,15B,15Cが、一例として、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するようにそれぞれ配置されている。また、放熱体10A,10B,10Cの各上面10−1の表面温度(放熱体10A,10B,10Cが設備の場合には、設備が連続稼動運転中の状態での上面の平均温度)と放熱体10A,10B,10Cの周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が高いほど、放熱体10A,10B,10Cの上面10−1と排塵補助部材15A,15B,15Cの排塵促進面15−1との間の距離Dが大きくなるように配置されている。言い換えれば、図3に示すように、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流aが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に積極的に排出促進されるような距離Dの間隔を空けて、放熱体10の上面10−1の上方に排塵促進面15−1が位置している。
なお、放熱体10を個別に区別する必要がある場合には、10A,10B,10Cなどの参照符号で複数の放熱体を区別し、総称的に取り扱う場合には参照符号10を付すことにする。同様に、放熱体10の上面10−1も個別に区別する必要がある場合には、10a−1,10b−1,10c−1などの参照符号で複数の上面を区別し、総称的に取り扱う場合には参照符号10−1とする。排塵補助部材15も個別に区別する必要がある場合には、15A,15B,15Cなどの参照符号で複数の排塵補助部材を区別し、総称的に取り扱う場合には参照符号15とする。排塵補助部材15の排塵促進面15−1も個別に区別する必要がある場合には、15a−1,15b−1,15c−1などの参照符号で複数の排塵促進面を区別し、総称的に取り扱う場合には参照符号15−1とする。
ここで、放熱体10の上面10−1と排塵補助部材15の排塵促進面15−1との間の距離Dの重要性について、以下に説明する。以下の図3〜図5においては、単に、前記距離Dを変えるだけで、放熱体10は同じものとし、排塵補助部材15は天井1Aからの高さが異なるだけ(言い換えれば、排塵補助部材15の排塵促進面15−1の位置が高さ方向(例えば鉛直方向)に異なるだけ)のものとする。
まず、図4に示すように、単に、清浄室1内に設置された放熱体10の上面10−1に対して鉛直方向に対向した平面90−1を有するボックス90を、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するように配置したとする。放熱体10の上面10−1とボックス90の平面90−1との間の距離Dhは、本発明にかかる距離Dよりも大きく離れた状態となっている。この場合、放熱体10の発熱に基づき放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流は、ボックス90の平面90−1に到達せず、実線の矢印aに示すように、放熱体10の上面10−1とボックス90の平面90−1との間の隙間の中心側から周囲に向けて渦を巻くように下降することになる。この結果、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃又は化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように放熱体10の上面10−1上に落下し、清浄環境に悪影響を与えることになる。
次に、図3に示すように、清浄室1内に設置された放熱体10の上面10−1に対して鉛直方向に対向した排塵促進面15−1を有する排塵補助部材15を、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するように配置する。ここでは、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流が、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に排出されるような距離Dに排塵促進面15−1が位置している。この場合、放熱体10の発熱に基づき放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流aは、排塵促進面15−1に到達し、排塵促進面15−1に沿って、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22の中心側から外側に向けて排出されるように流れる。この結果、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印aで示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側に向けて排出され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。なお、上昇気流aにより隙間22の中心側から外側に向けて排出された汚染物質は、清浄室1に対して、高性能フィルタ6から床下室8に向かう均一な流速で供給された清浄空気(矢印70参照。)と共に、グレーチング床7を通って床下室8に流れ込み、床下室8から戻り流路9を経て天井室2に戻リ、高性能フィルタ6により除塵される。
一方、図5に示すように、単に、清浄室1内に設置された放熱体10の上面10−1に対して鉛直方向に対向した平面91−1を有するボックス91を、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するように配置したとする。放熱体10の上面10−1とボックス91の平面91−1との間の距離Dhは、本発明にかかる距離Dよりも相当小さく近づき過ぎた状態となっている。この場合、放熱体10の発熱に基づき放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流は、ボックス91の平面91−1にすぐに到達してしまい、放熱体10の上面10−1の周囲付近で発生した上昇気流は実線の矢印aに示すように隙間92の中心側から外側に排出されるが、放熱体10の上面10−1の周囲付近で発生した上昇気流は、実線の矢印aに示すように隙間92の中心部分で渦を巻いてしまい、隙間92の中心側から外側に排出されにくくなる。この結果、実線の矢印aに示すような渦を巻いた上昇気流により、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃又は化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように放熱体10の上面10−1上に落下し、清浄環境に悪影響を与えることになる。
このような考察から、距離Dは、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に排出されるような距離Dに設定する必要がある。
この距離をさらに具体的に検証するため、以下の実施例について検討する。
以下、本発明の実施の形態のより具体的な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1のようなクリーンルームは、実施例1として、インダストリアルクリーンルームとして清浄室1の高さを3.5m、天井室2の高さを3m、床下室8の高さを2.5mで施工され、また、横方向が12mで奥行き方向に10mの大きさを有する。また、開効率を45%であるグレーチング床7を採用している。
今回の発明を実施した実施例1にかかるクリーンルームは、主に半導体製造室及び半導体検査室の用途で使用され、機械及び検査エリアの管理温度23±0.5℃、管理湿度50%、管理清浄度をJISクラス1以下(ISO規格でクラス10以下)に、また機械・検査エリア以外のメンテナンスエリアの管理清浄度をJISクラス2〜3(ISO規格でクラス100〜1000)を確保するため、循環する空気の流れを温度22℃、湿度50%、風量約30万m/hに設定し、清浄室1のグレーチング床7を通って床下室8に流れ込んで、戻り流路9を経て天井室2に戻る循環流の風量を約28万m/hとし、残りの風量約2万m/h分の外気を給気案内流路12により天井室2内に搬送し、給気案内流路12に設置された給気口12aから供給空気として供給し、クリーンルーム内の換気回数を250回/hに保持した。その循環する空気を清浄室1に効率良く送るため、ファンフィルタユニット3を清浄室1の天井1Aの面に均等間隔に240個を配置した。また、ファンフィルタユニット3はアピステ社製のファンフィルタユニットで1200m/hの送風能力を有し、高性能フィルタ6であるウルパフィルタ(ダスト0.1μm以上を捕集する確率:99.99999%)が備え付けられている。このような運転条件で、ウルパフィルタを通過した清浄室1内に鉛直下向き方向の気流を、清浄室1の高さ1mの場所でTESTO製の風速計を用いて測定した結果、0.3〜0.5m/sの流れが生じていた。
さらに、清浄室1内には、図1で示すように様々な半導体製造装置又は各種検査装置等の第1放熱体10C、第2放熱体10B、第3放熱体10Aの熱負荷により清浄室1の循環流は暖められていた。清浄室1のグレーチング床7を通って床下室8に流れ込んだ場所で3回温度測定を行い、平均した温度測定の結果は24℃であった。このように清浄室1内の雰囲気温度より1℃高い温度を所定の温度に冷却するために、空調装置14の温度設定を22℃にし、それぞれの放熱体10の熱負荷の効果により、清浄室1内の温度を23℃に保った。
また、今回の発明を実施した実施例1にかかるクリーンルームでは、品質に影響を与える塵埃又は化学物質等の基準サイズとして0.1μmを採用していた。
このようなクリーンルームの運転条件の下、図1の第1放熱体10Cは、半導体検査装置として使用される装置であり、第1放熱体10Cの形状は、1mの正方体(直方体)で、電源容量として6500W/hである。この第1放熱体10Cの上面10c−1の表面温度をTESTO製の接触式温度計した結果、第1放熱体10Cで行っていた半導体検査又は半導体ウェハー搬送作業など作業内容により、上面10c−1の表面温度Tが23〜75℃と変化し、清浄室1の雰囲気温度Tとの温度差(T−T)=ΔTは約0〜50℃であった。
この第1放熱体10Cの上面10c−1と天井1Aの面との間に、第1排塵補助部材15Cの一例として、透明なボックス(縦1.5m×横1.5m×高さ2.0m)を、厚さ3mmの四角形板のアクリル樹脂材で各辺をプラスティック接着材で固定して作製し、さらにボックス内の気密性を向上させるため、各接着面をカプトンテープで封止した。このボックスを第1放熱体10Cの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第1放熱体10Cの上面10c−1に対して鉛直方向に対向して第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1が配置されるようにして、あたかも天井1Aが下向きに突出するように形成した。
このような実施条件の下、第1放熱体10Cである半導体検査装置を24時間作動させ、半導体検査装置に備え付けられている光散乱方式のダストカウンター(山武社製、P−3型)により、汚染物質の個数を測定した。その結果を図6に示す。
このような構成の実施例1によれば、第1排塵補助部材15Cを設置する前の汚染物質の個数測定結果よりも、品質に影響を与える塵埃及び化学物質等の個数を75%削減することができた。
前記実施例1の構成で、図1の第2放熱体10Bは、半導体ドライエッチング装置として使用される装置であり、第2放熱体10Bの形状は、高さ1.5mで、縦横幅は1mで、電源容量として12500W/hである。この第2放熱体10Bの上面10b−1の表面温度Tを同じくTESTO製の接触式温度計した結果、第2放熱体10Bで行っていた半導体エッチング状態又は処理するウェハー枚数などにより、上面10b−1の表面温度Tが73〜99℃と変化し、清浄室1の雰囲気温度Tとの温度差(T−T)=ΔTは約50〜75℃に範囲にあった。
この第2放熱体10Bの上面10b−1と天井面との間に、第2排塵補助部材15Bの一例として、透明なボックス(縦1.5m×横1.5m×高さ0.7m)を、厚さ3mmの四角形板のアクリル樹脂材で各辺をプラスティック接着材で固定して作製し、さらにボックス内の気密性を向上させるため、各接着面をカプトンテープで封止した。このボックスを第2放熱体10Bの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第2放熱体10Bの上面10b−1に対して鉛直方向に対向して第2排塵補助部材15Bの排塵促進面15b−1が配置されるようにして、あたかも天井1Aが下向きに突出するように形成した。
このような実施条件の下、半導体ドライエッチング装置を24時間作動させ、半導体ドライエッチング装置に備え付けられている光散乱方式のダストカウンター(山武社製、P−3型)により、汚染物質の個数を測定した。その結果を図6に示す。
このような構成の実施例2によれば、第2排塵補助部材15Bを設置実施する前の汚染物質の個数測定結果よりも、品質に影響を与える塵埃及び化学物質等の個数を50%削減することができた。
前記実施例1の構成で、図1の第3放熱体10Aは、半導体拡散炉として使用される装置であり、第3放熱体10Aの形状は、1mの正方体(直方体)で、電源容量として42500W/hである。この第3放熱体10Aの上面10a−1の表面温度を同じくTESTO製の接触式温度計した結果、第3放熱体10Aで行っていた半導体熱処理状態又は処理するウェハー枚数などにより、上面10a−1の表面温度Tが93〜130℃と変化し、清浄室1の雰囲気温度Tとの温度差(T−T)=ΔTは約75〜100℃に範囲にあった。
この第3放熱体10Aの上面10a−1と天井面との間に、第3排塵補助部材15Aの一例として、透明なボックス(縦1.5m×横1.5m×高さ0.8m)を、厚さ3mmの四角形板のアクリル樹脂材で各辺をプラスティック接着材で固定して作製し、さらにボックス内の気密性を向上させるため、各接着面をカプトンテープで封止した。このボックスを第3放熱体10Aの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第3放熱体10Aの上面10a−1に対して鉛直方向に対向して第3排塵補助部材15Aの排塵促進面15a−1が配置されるようにして、あたかも天井1Aが下向きに突出するように形成した。
このような実施条件の下、半導体拡散炉を24時間作動させ、半導体ドライエッチング装置に備え付けられている光散乱方式のダストカウンター(山武社製、P−3型)により、汚染物質の個数を測定した。その結果を図6に示す。
このような構成の実施例3によれば、第3排塵補助部材15Aを設置実施する前の汚染物質の個数測定結果よりも、品質に影響を与える塵埃及び化学物質等の個数を50%削減することができた。
なお、前記実施例1及び2、3では、クリーンルームの運転条件、放熱体10の発熱条件、排塵補助部材15及びその排塵促進面15−1の形状等についての前記のような構成を採用しているが、これに限られるものではない。
また、排塵補助部材15を形成するために用いた透明なボックスである排塵補助部材15の表面に、帯電防止のため「カチオン系化合物 エチルアルコール」を主成分とするガスを噴射して、後述する帯電防止層60を形成している。その帯電防止層の効果により、透明なボックスに付着する塵埃及び化学物質等を防止することができる。
さらに、清浄室1内を照明する照明装置が天井室側に配置されている場合には、排塵補助部材15は透明若しくは半透明であることが望ましく、透明若しくは半透明の排塵補助部材15が備え付けられていても、照明光が透明若しくは半透明の排塵補助部材15を透過するため、照度が落ちることなく、作業性を確保できる。
前記実施例1の構成で、クリーンルーム内に設置された放熱体10と前記クリーンルームに面する天井1Aとの距離と、放熱体10の上面10a−1の表面温度と清浄室1の雰囲気温度Tの温度差を変数にクレイドル社製の熱流体解析ソフト(ストリーム)を用いて熱流体解析を行った。今回使用する熱流体解析ソフトは微小な曲面又は斜面を忠実に再現するこが可能で、全体の流れを解析すること場合に適している。
今回、実施例1の構成を100万要素で解析のモデル化を行い、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1との距離と、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1間で発生する気流の鉛直方向の最小速度との関係を熱流体解析した。その結果を図7A〜図7Cに示す。図7A、図7B、図7Cは図1に示す第1放熱体10C、第2放熱体10B、第3放熱体10Aに対応している。図7Aの結果からは、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1までの距離Dが増えるに従い、上昇速度が減少し、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1との距離が1500mm以上ある場合では、放熱体10の上面10−1の上部に、上昇ではなく鉛直下向きの気流が存在していることがわかった。さらに、図7B、図7Cの結果からは、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1との距離が約700mm以下では対流が発生し、放熱体10の上面10−1の上部に、上昇ではなく鉛直下向きの気流が存在していることも確認できた。
このように熱流体解析を行った図7A〜図7Cの結果を、放熱体10の上面10−1の表面温度と清浄室1の雰囲気温度との3つの温度差範囲(0〜50℃、50〜75℃、75〜100℃)と、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1との3つの距離範囲(200〜1000mm、1000〜1500mm、1500〜2000mm)で、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1間で発生する気流の鉛直方向の最小速度について整理した結果を図8に示す。
さらに、本実施例1及び実施例2、3において、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1の表面温度T、T、Tと清浄室1の雰囲気温度との温度差(0〜50℃、50〜75℃、75〜100℃)と、高さがそれぞれ異なる透明なボックス(排塵補助部材15C、15B、15A)を放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1の上方の天井1Aの梁に吊るすことで、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1に対して鉛直方向に対向して排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1を形成し、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1との距離D、D、D(500mm、1200mm、1700mm)で実施した結果から、図8を用いて、鉛直方向の最小速度を、第1放熱体10C:3.5mm/s、第2放熱体10B:3.2mm/s、第3放熱体10A:3.9mm/sと解析することができた。
また、今回の発明を実施した実施例1〜3にかかるクリーンルームでは、品質に影響を与える塵埃又は化学物質等の基準サイズとして0.1μmを採用しており、図2からその0.1μmの物体が空気中を自由落下中に空気抵抗と釣り合い、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)が3mm/sであるということが分かる。
つまり、本実施例1及び実施例2、3において行った取り組みによって、それぞれの放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1間の隙間22に、それぞれ自由落下中に空気抵抗と釣り合い、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)が3mm/s以上の上昇気流で占有していることになり、塵埃及び化学物質等の汚染物質が放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1に落下しないことが分かった。
この結果を、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1の表面温度と清浄室1の雰囲気温度との温度差と、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1との距離D、D、Dとの関係をグラフにしたものが図9である。実施例1の代表点としては、温度差25℃で距離500mmの左側の黒い点をプロットしている。実施例2の代表点としては、温度差55℃で距離1300mmの左側の黒い点をプロットしている。実施例3の代表点としては、温度差85℃で距離1700mmの左側の黒い点をプロットしている。この結果より、斜め右上に向けて傾斜した下側の傾斜線Iと、斜め右上に向けて傾斜した上側の傾斜線IIとの間の領域99が、前記したある一定以上速くならない落下速度(終末速度)が3mm/s以上の上昇気流で占有している領域となる。すなわち、図9より、放熱体10の上面10−1の表面温度と周辺雰囲気の温度との温度差Tを、放熱体10の上面10−1と排塵補助部材15の排塵促進面15−1との間の距離Dで割った値K(=ΔT/D)(℃/mm)が0.032≦K≦ 0.065の関係を保つようにしている。ただし、下側の傾斜線Iの傾きK(=ΔT/D)(℃/mm)は0.032であり、上側の傾斜線IIの傾きK(=ΔT/D)(℃/mm)は0.065である。
この結果、前記放熱体10の前記上面10−1の表面温度と前記放熱体10の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が高いほど、前記放熱体10の前記上面10−1と前記排塵補助部材15の前記排塵促進面15−1との間の距離Dが大きくなるように配置している。
より具体的には、図1においては、以下の通りに構成している。
第3排塵補助部材15Aは、第3放熱体10Aの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第3放熱体10Aの上面10a−1に対して鉛直方向に対向して第3排塵補助部材15Aの排塵促進面15a−1が配置されるようにして、天井1Aが下向きに突出するように形成している。ここで、第3放熱体10Aの上面10a−1と第3排塵補助部材15Aの排塵促進面15a−1との鉛直方向沿いの距離をDとする。また、第3放熱体10Aの上面10a−1の表面温度Tと放熱体10Aの周辺の周辺雰囲気の温度Te1との温度差(T−Te1)をΔTとする。
第2排塵補助部材15Bは、第2放熱体10Bの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第2放熱体10Bの上面10b−1に対して鉛直方向に対向して第2排塵補助部材15Bの排塵促進面15b−1が配置されるようにして、天井1Aが下向きに突出するように形成している。ここで、第2放熱体10Bの上面10b−1と第2排塵補助部材15Bの排塵促進面15b−1との鉛直方向沿いの距離をDとする。また、第2放熱体10Bの上面10b−1の表面温度Tと放熱体10Bの周辺の周辺雰囲気の温度Te2との温度差(T−Te2)をΔTとする。
第1排塵補助部材15Cは、第1放熱体10Cの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第1放熱体10Cの上面10c−1に対して鉛直方向に対向して第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1が配置されるようにして、天井1Aが下向きに突出するように形成している。ここで、第1放熱体10Cの上面10c−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1との鉛直方向沿いの距離をDとする。また、第1放熱体10Cの上面10c−1の表面温度Tと放熱体10Cの周辺の周辺雰囲気の温度Te3との温度差(T−Te3)をΔTとする。
従って、(第3放熱体10Aの上面10a−1の表面温度T)>(第2放熱体10Bの上面10b−1の表面温度T)>(第1放熱体10Cの上面10c−1の表面温度T)とすると、ΔT>ΔT>ΔTとなる。
ここで、放熱体10の上面10−1の表面温度と放熱体10の周辺の周辺雰囲気の温度Tとの温度差が高いほど、放熱体10の上面10−1からの上昇気流が大きいため、放熱体10の上面10−1と排塵補助部材15の排塵促進面15−1との間の距離Dを大きくする必要がある。
よって、図1に示すように、D>D>Dとする必要がある。
このように、各排塵補助部材15A,15B,15Cは、個別又は局所的に、対応するそれぞれの放熱体10の上面10−1での排塵を補助する部材又はブロックとして構成され、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に排出されるようにしている。この結果、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、上昇気流と共に隙間22の中心側から外側に向けて排出され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。従って、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の放熱体10の上部側で発生する気流渦又は熱対流に起因する気流の流れを最適化することができて、塵埃及び化学物質等がウェハーなどの上に付着することを抑制することができる。
なお、上昇気流により隙間22の中心側から外側に向けて排出された汚染物質は、清浄室1に対して高性能フィルタ6から床下室8に向かう均一な流速で供給された清浄空気(矢印70参照。)と共に、グレーチング床7を通って床下室8に流れ込み、床下室8から戻り流路9を経て天井室2に戻リ、高性能フィルタ6により除塵される。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
例えば、前記実施形態では、一例として、還流する方式のクリーンルームについて説明するものであり、本発明はこれに限定されるものではなく、還流しない方式のクリーンルームにも本発明を適用することができる。
また、排塵促進面15−1は、平面であるものに限らず、図10に示すように、半球面15−2若しくは曲面、又は、排塵促進面15−1の中心に向けて下向き凸形状に傾斜した傾斜面でもよい。要するに、放熱体10の上面10−1から浮上する上昇気流aが、滑らかに、渦などをあまり生じさせることなく、放熱体10の上面10−1と排塵促進面15−1との間の隙間22から外方に流れ出るように案内すればよい。排塵促進面15−1の角部15−3もR部にして、より一層円滑に、上昇気流aが排出されるようにしてもよい。
また、図11に示すように、排塵補助部材15の表面(少なくとも排塵促進面15−1)に、帯電防止のため、カチオン系化合物とエチルアルコールを主成分とするガスを噴射して帯電防止層60を形成してもよい。このようにすれば、帯電防止層60でもって、静電気などにより排塵補助部材15の表面(少なくとも排塵促進面15−1)に塵埃及び化学物質等が付着することを防止することができる。
さらに、帯電防止層60を形成する代わりに、又は、帯電防止層60に加えて、図11に参照符号61で示すように、排塵補助部材15自体又はその排塵促進面15−1を接地するようにしてもよい。このように接地することにより、静電気などにより排塵補助部材15の表面(少なくとも排塵促進面15−1)に塵埃及び化学物質等が付着することを防止することができる。
また、排塵補助部材15を、ボックス若しくはエアパッキンにより構成してもよい。このように構成すれば、排塵補助部材15を配置するときに、天井面の大掛かりな工事が不必要になると同時に、生産活動を止めることなく、天井1Aに排塵補助部材15を配置することが可能となる。さらに、低コスト化を促進するとともに、清浄度又は温湿度などの製造条件及び環境条件を、より高度なレベルに制御することが可能となる。
また、図12に示すように、排塵補助部材15はエアパッキン63で構成し、かつ、放熱体10からの上昇気流によりエアパッキン63が天井1Aに対して上下方向に移動可能に固定部材67で配置されるようにしてもよい。具体的には、例えば、エアパッキン63の上部の止め具64と、天井1Aの止め具66と、両止め具64,66とを連結するチェーン又は紐の連結部材65とで固定部材67を構成してもよい。このようにすれば、放熱体10からの上昇気流が無い状態では、エアパッキン63の自重により、天井1Aから固定部材67を介してエアパッキン63が吊り下げられている。放熱体10からの上昇気流aがエアパッキン63の下面すなわち排塵促進面15−1に作用すると、上昇気流aによりエアパッキン63が持ち上げられることにより、エアパッキン63の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との間の距離を若干大きくすることができる。すなわち、放熱体10の上面10−1の表面温度が高くなればなるほど、上昇気流が多くなるため、エアパッキン63がより高く持ち上げられることになる。この結果、放熱体10の上面10−1の表面温度と放熱体10の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が高いほど、放熱体10の上面10−1と排塵補助部材15の排塵促進面15−1との間の距離Dを自動的に大きくすることができて、距離Dを自動的に最適に設定することができる。
また、放熱体10が隣接してグレーチング床7に配置されている場合には、図13に示すように、隣接した放熱体10間に空間69を設けて、天井室2から清浄室1内に鉛直下向きに流れ込む清浄な空気流70が流れ込ませて、隣接した放熱体10の前記それぞれの隙間22から上昇気流71と共に排出された塵埃及び化学物質等の汚染物質を、点線の矢印bで示すように、円滑にかつ強制的にグレーチング床7に向けて排出する必要がある。さもなければ、図14に示すように隣接した放熱体10を接触させて又はほとんど空間が無い状態で配置してしまうと、隣接した放熱体10の前記それぞれの隙間22から排出された上昇気流72同士が衝突して渦を巻き、それぞれの隙間22から排出された塵埃又は化学物質等の汚染物質を舞い上がらせて、隣接した放熱体10の上面10−1に落下させる可能性が生じてしまうからである。よって、隣接した放熱体10間には、少なくとも、天井室2から清浄室1内に鉛直下向きに流れ込む清浄な空気流70が形成される空間69が必要となる。
それにより、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質を上昇気流により、放熱体10の上面から排出して、確実にグレーチング床7上に落下させることができる。
また、排塵補助部材15の排塵促進面15−1は、図15に示すように、放熱体10の上面10−1の全面をほぼ覆うようにすればよい。すなわち、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1とがほぼ同じ大きさとするのが好ましい。このように構成すれば、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流80(図3の上昇気流aに相当)の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との距離Dの隙間22から隙間外に積極的に排出促進させることができて、前記した優れた排塵効果を奏することができる。すなわち、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印80で示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側に向けて排出され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。なお、図15の参照符号70は、天井室2から清浄室1内に鉛直下向きに流れ込む清浄な空気流である。
また、排塵補助部材15の排塵促進面15−1は、図16に示すように、放熱体10の上面10−1よりも大きくするようにしてもよい。すなわち、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が放熱体10の上面10−1の全周囲よりも張り出すような大きさとしてもよい。このように構成すれば、図15の場合よりもより一層確実に、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流80の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に積極的に排出促進させることができて、前記した優れた排塵効果をより一層奏することができる。すなわち、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印80で示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側の隙間外に積極的に排出促進され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。
また、排塵補助部材15の排塵促進面15−1は、図17に示すように、放熱体10の上面10−1の全面より少し小さくするようにしてもよい。すなわち、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が放熱体10の上面10−1よりも少し小さく、例えば、面積として10%程度小さくしてもよい。このように構成しても、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流80のほぼ全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に積極的に排出促進させることができて、前記した優れた排塵効果を奏することができる。すなわち、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印80で示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側の隙間外に積極的に排出促進され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。
また、図18は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、1つの放熱体10内に複数の放熱源10Hがある場合を説明するための図である。今までは、図示を簡略化するため、放熱体10を直方体形状で図示していたが、実際の装置は、このような直方体形状以外に、様々な複雑な形状となっている。例えば、これを少し簡略化して示すと、図18に示すように、大略C字形状に直方体形状の放熱源10Hが隣接配置されて打開に接続されており、各放熱源10Hの発熱により上昇気流80が発生すると考えられる。このような場合には、複数の放熱源10Hを一まとめにして、全ての放熱源10Hを完全に又はほぼ覆うように、排塵補助部材15の排塵促進面15−1を配置すればよい。図18では、全ての放熱源10Hを完全に覆うように、排塵補助部材15の排塵促進面15−1を配置した例である。このように構成すれば、放熱体10の各放熱源10Hからの発熱により放熱体10の上面10−1(正確には、各放熱源10Hの上面)から上昇する上昇気流80の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に積極的に排出促進させることができて、前記した優れた排塵効果を奏することができる。すなわち、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印80で示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側の隙間外に排出され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。
また、図1では、排塵補助部材15が、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するように配置されているが、このような構成に限定されるものではなく、以下の種々の変形例のような構成でも、図1と同様な作用効果を奏することができる。言い換えれば、本発明は、放熱体10の上面10−1に対する排塵補助部材15の排塵促進面15−1の位置が重要であり、排塵補助部材15の固定方法については、以下の構成の他、任意の固定方法でよい。
例えば、前記実施形態の第1変形例として、図19〜図20に示すように、排塵補助部材15を、清浄室1の側壁1Sから板状の支持部材15sを介して突出させて、支持部材15sの端部に支持された排塵補助部材15の排塵促進面15−1が、距離Dを空けて、放熱体10の上面10−1に対向するように配置されていてもよい。
また、前記実施形態の第2変形例として、図21〜図22に示すように、排塵補助部材15の支持部材15tが、床7から自立すべく、床7から一旦上方に延びたのち、横に折れ曲がり、その支持部材15tの端部に排塵補助部材15を支持して、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が、距離Dを空けて、放熱体10の上面10−1に対向するように配置されていてもよい。
また、前記実施形態の第3変形例として、図23〜図24に示すように、排塵補助部材15の支持部材15uが、1本又は複数本(例えば、図24では4本)、排塵補助部材15を利用する装置(放熱体)10自体から上方に延び、その支持部材15tの端部に排塵補助部材15を支持して、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が距離Dを空けて放熱体10の上面10−1に対向するように配置されていてもよい。
また、前記実施形態の第4変形例として、図25〜図26に示すように、排塵補助部材15の支持部材15vが、排塵補助部材15を利用する装置(放熱体)10Vとは異なる、隣に配置された装置10Wから一旦上方に延びたのち、排塵補助部材15を利用する装置10Vの上方に横向きに突出して、その支持部材15vの端部に排塵補助部材15を支持して、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が、距離Dを空けて、放熱体10Vの上面10−1に対向するように配置されていてもよい。なお、図26では、支持部材15vは、前記放熱体10Vの隣に配置された装置10Wの排塵補助部材15の支持部材としても兼用可能であることを示している。
また、前記実施形態の第5変形例として、図27〜図28に示すように、排塵補助部材15の支持部材15xが、天井面1Aから真っ直ぐ下に下りるのではなく、L字状に屈曲して、天井面1Aに設置された装置(例えば搬送装置95)に接触しないように回避するように、排塵補助部材15を支持して、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が、距離Dを空けて、放熱体10Vの上面10−1に対向するように配置されていてもよい。
前記した第1〜第5の変形例は、例えば、放熱体10に対向する天井面1Aに搬送用装置(例えば、株式会社ダイフク社製のクリーンウェイ)95が図19に示すように配置されている場合、又は、具体的には図示しないが、天井面1Aから放熱体10に向かって給排気用ダクトが接続されている場合などがあり、このような場合には、排塵補助部材15を、放熱体10に対向する天井面1Aに直接的に設置することができないため、有効である。すなわち、このような場合に、これらの第1〜第5の変形例のいずれかを適応することにより、対向する天井面1Aの状況に関係無く、排塵補助部材15の排塵促進面15−1を、距離Dを空けて、放熱体10の上面10−1に対向するように配置させることが可能となる。
なお、上記前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、半導体製造工場において、半導体ウェハー上に付着する汚染物質の抑制を実現し、半導体ウェハーの品質及び生産性の向上に寄与できる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形又は修正は明白である。そのような変形又は修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明は、半導体製造工場、FPD(Flat Panel Display)製造工場、精密機械工場、薬品製造工場等の無塵室或いは無菌室に適用されるクリーンルームに関するものである。
半導体工場又はFPD製造工場においては、デバイスの高集積化に伴い、清浄度又は温湿度などの環境条件をより高度なレベルに制御することが要求されている。さらに、近年の半導体又はFPDの価格競争の激化から、クリーンルームの建設コストすなわちイニシャルコスト、及び、クリーンルーム自体のランニングコストを低減することが要求されている。
このような清浄度の高いクリーンルームを実現する方式としては、図29に示すような全面ダウンフロー方式がある。この方式では、天井室102内の空気は、清浄室101の天井に設置されたファンフィルタユニット103の空気取入口104からファンフィルタユニット103内に流入し、ファンフィルタユニット103内に設置された送風機105によって昇圧され、高性能フィルタ106によって除塵された後、清浄室101内に鉛直下向きに清浄な空気が例えば0.25〜0.5m/s程度の流速で流れる。次に、清浄室101のグレーチング床107を通って床下室108に流れ込み、戻り流路109を経て天井室102に戻るという、循環流を形成する。このような循環により、同じ空気が何度も高性能フィルタ106により除塵されるため、クリーンルームの運転を開始してから、ある一定時間を経過した後、清浄室101内は高清浄度が保たれることになる。
さらに、清浄室101内には、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の放熱体110がグレーチング床107上に設置されている。放熱体110においては、有毒なガスなどを使用することもあるため、安全のため、処理の終わった有毒ガスとともに清浄室101内の空気を排気案内流路111に吸入して床下室108内の排気案内流路111によりクリーンルーム外部に排気している。清浄室101内の圧力を所定の値に制御するために、クリーンルーム外部への排気流量にほぼ等しい流量の空気を給気案内流路112により天井室102内に搬送し、給気案内流路112に設置された給気口から、天井室102内に供給空気として供給する。給気案内流路112には、外気をクリーンルームに適する空気に調整する外調機113が備え付けられている。
一方、清浄室101には、IC製造装置又は各種検査装置等の放熱体110が設置されているが、これら放熱体110の種類によって、放熱体110の表面温度が25度近くから100度近くになることで、かなりの発熱を伴うもの(例えば、乾燥炉など)もあり、清浄室101で発熱源となる場合がある。従来は、これら放熱体110(熱源)から放出される排熱をクリーンルームに自然拡散させ、清浄室101全体を調温していた。IC製造室又は各種検査室等として使用されるクリーンルームは、塵埃又は微粒子等に対する清浄度が必要であることは勿論であるが、湿度及び温度についても常に所定の範囲に保持することが必要とされる。
清浄室101の循環流は、清浄室101内の放熱体110又は床下室108内に設置されたポンプ(不図示)などの補機の熱負荷のために暖められるため、清浄室101のグレーチング床107を通って床下室108に流れ込んだ循環流の温度は、清浄室101内の雰囲気温度より若干高くなる。それを所定の温度に戻すために空調装置114を制御すねことにより、清浄室101内の温度は一定に保たれることになる。
以上のように、クリーンルーム環境を維持するために、高性能フィルタ106を備えたファンフィルタユニット103などの空気浄化装置及び温度が制御できる空調装置114を備えている。
このような従来のクリーンルームでは、清浄室101に対して高性能フィルタ106から床下空間108に向かう均一な流速で清浄空気を供給するため、図30に示すように、生産設備等の放熱体110からの発熱又は放熱によって生じた上昇気流によって、生産設備等の放熱体110の上部側で、清浄空気流が、図30の実線の矢印aで示すように乱され、放熱体110の上部或いはその周辺で発生した塵埃又は化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように放熱体110上に落下し、清浄環境に悪影響を与えることが分かっていた。
この塵埃及び化学物質等の汚染物質から清浄室101の清浄環境を守る方法として、放熱体110の上部側のフィルタユニット103に、放熱体110の上部側の塵埃又は化学物質等の汚染物質を含む空気を吸引する吸気手段(図示せず)が配設され、放熱体110が配置された上部側のフィルタユニット103から、放熱体110の上部側の塵埃又は化学物質等の汚染物質を含む空気を吸引すると共に、高性能フィルタ106によって塵埃又は化学物質等の汚染物質を捕獲し、清浄室101への塵埃又は化学物質等の汚染物質の拡散防止法がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−247512号公報
しかしながら、放熱体110の上部側のフィルタユニット103から、塵埃又は化学物質等の汚染物質を含む空気を吸引しようとすると、フィルタユニット103に近い部分の空気は充分に吸引することができるが、放熱体110の上部近傍の空気はフィルタユニット103から遠い位置にあるため、放熱体110の上部近傍の空気に対する吸引力が不足し、放熱体110の上部近傍の空気は充分に吸引されることがない。
その結果、放熱体110の上部側に発生した気流渦又は熱対流などによって、長時間に渡って、放熱体110の上部にある塵埃又は化学物質等の汚染物質を含む空気が、放熱体110の上部側で漂うことになる。そして、空気中に塵埃又は化学物質等の密度が増加し、塵埃又は化学物質等の衝突による巨大化又は重量増加により、塵埃又は化学物質等が最終的に自由落下し、放熱体110中で製造したウェハー上に塵埃又は化学物質等が付着することにより、ウェハーに要求される品質又は生産性を満足することはできなかった。
現在、ウェハー上の配線パターンピッチは50ナノメートル程度と超微細な構造であり、その配線パターンピッチ以上の大きさの塵埃又は化学物質等の汚染物質がウェハー上に落下することで、塵埃又は化学物質等の汚染物質を介してウェハーが短絡し、異常発熱又は焼損することがある。
本発明は、斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の放熱体の上部側で発生する気流渦又は熱対流に起因する気流の流れを最適化することにより、塵埃及び化学物質等がウェハーなどの上に付着することを抑制することができるクリーンルームを提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために以下の手段を採用している。
まず、本発明者は、従来の問題の根源は、放熱体110の上部側において、放熱体110の熱により発生する上昇気流を全く考慮せずに、又は、上昇気流とは全く別に、汚染物質を含む空気を吸引する吸気手段を設けて、強制的に吸引することにあると考え、このような強制的な流体の流れを人為的に作り出すのではなく、放熱体110の熱により発生する上昇気流を利用することができないか否かを考察しようとした。
そこで、一般的に、塵埃又は化学物質等の物体の大きさと、その物体が空気中で自由落下中に空気抵抗とが釣り合うことにより、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)の関係が、図2に示すストークスの法則として知られている。つまり、その終末速度以上で、下方から、塵埃及び化学物質等の物体に向かって流体を吹き上げれば、その物体は落下することは無い。
また、生産設備等の放熱体の表面温度と清浄室の雰囲気温度との温度差によって、放熱体の上面の上方で上昇気流が発生し、例えば放熱体の上面の表面温度が50℃の場合、放熱体の上面から10cmから30cm程度離れた、上面から近い場所では、比較的速い上昇気流が絶えず存在しているが、上面から100cm程度の距離が離れた場所では、上昇気流は極めて弱い。このように、生産設備等の放熱体の上面の表面温度と清浄室の雰囲気温度との温度差と、生産設備等の放熱体の上面からの一定距離での上昇気流速度に一定の関係が成り立つことが知られている。
以上のことから、塵埃又は化学物質等の物体の大きさから決定される落下速度(終末速度)以上の上昇気流の分布が、生産設備等の放熱体の上面の上方空間を絶えず占有していれば、塵埃及び化学物質等の汚染物質が、放熱体の上面に、言い換えれば、放熱体の生産設備等で作られるウェハーに落下することはないと考えられる。
今回、この点に着目し、本発明者は、塵埃又は化学物質等の物体の大きさから自由落下しないための終末速度を事前に計算及び解析を事前に行い、生産設備等の放熱体の上面の表面温度と清浄室の雰囲気温度との温度差から上昇気流の分布を加味した構造を開発した。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、床上に設置された放熱体の上面に対向する排塵促進面を有するとともに、前記排塵促進面により、前記放熱体の発熱によって発生する前記放熱体の前記上面から上昇する上昇気流が、前記排塵促進面と前記放熱体の前記上面との隙間から隙間外に排出されるような、前記排塵促進面と前記放熱体の前記上面との距離に前記排塵促進面が位置する排塵補助部材とを備える、クリーンルームを提供する。
本発明の第2態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記床と交差する側壁から横方向に前記放熱体の上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第3態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記床から上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第4態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記放熱体から上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第5態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記放熱体に隣接する装置から前記放熱体の上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第6態様によれば、前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記床に面する天井から前記排塵補助部材を支持する、第1の態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第7態様によれば、前記放熱体の前記上面の表面温度と前記周辺雰囲気の温度との温度差を、前記放熱体の前記上面と前記排塵補助部材の前記排塵促進面との間の距離で割った値K(℃/mm)が0.032≦K≦ 0.065の関係を保つ第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第8態様によれば、前記放熱体として、第1放熱体と、前記第1放熱体よりも温度が高い第2放熱体が前記床上に設置され、前記第1放熱体の上面の表面温度と前記第1放熱体の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が、前記第2放熱体の上面の表面温度と前記第2放熱体の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差よりも大きいとともに、
前記排塵補助部材として、前記第1放熱体の前記上面に対向した排塵促進面を有しかつ前記クリーンルームに面する天井から下向き突出するように配置される第1排塵補助部材と、前記第2放熱体の前記上面に対向した排塵促進面を有しかつ前記クリーンルームに面する天井から下向き突出するように配置された第2排塵補助部材とを備え、
前記第1放熱体の前記上面と前記第1排塵補助部材の前記排塵促進面との間の第1距離が、前記第2放熱体の前記上面と前記第2排塵補助部材の前記排塵促進面との間の第2距離よりも大きい、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
これらの構成により、塵埃及び化学物質等が放熱体に落下せず、放熱体の一例として例えば半導体製造装置において、その処理対象物であるウェハー上に塵埃及び化学物質等が付着することを抑制することができる。
本発明の第9態様によれば、前記排塵補助部材の前記排塵促進面は帯電防止層を有している、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第10態様によれば、前記排塵補助部材の前記排塵促進面は接地されている、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
これらの構成により、排塵補助部材自体にも、塵埃及び化学物質等の汚染物質が付着しにくくすることができ、塵埃及び化学物質等が放熱体に落下するのを、より一層効果的に防止することができる。
本発明の第11態様によれば、前記排塵補助部材は、ボックスもしくはエアパッキンより構成されている、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
本発明の第12態様によれば、前記排塵補助部材はエアパッキンで構成されており、かつ、前記放熱体からの上昇気流により前記排塵補助部材が前記天井に対して上下方向に移動可能に配置されている、第11の態様に記載のクリーンルームを提供する。
これらの構成により、天井面の大掛かりな工事が不必要になると同時に生産活動を止めることなく、天井に前記排塵補助部材を配置することを可能とし、さらに低コスト化を促進するとともに、清浄度又は温湿度などの製造条件及びに環境条件をより高度なレベルに制御することを実現可能とする。
本発明の第13態様によれば、前記排塵補助部材の前記排塵促進面は、前記放熱体の前記上面の全面をほぼ覆うように配置されている、第1〜6のいずれか1つの態様に記載のクリーンルームを提供する。
以上のように、本発明に係るクリーンルームでは、前記放熱体の発熱により前記放熱体の前記上面から上昇する上昇気流が、前記排塵補助部材の前記排塵促進面により、前記排塵補助部材の前記排塵促進面と前記放熱体の前記上面との隙間から隙間外に排出されるように案内される。この結果、放熱体の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、上昇気流と共に、前記隙間から隙間外に排出されることになり、汚染物質が前記放熱体の前記上面に落下することを効果的に防止することができる。すなわち、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の放熱体の上部側で発生する気流渦又は熱対流に起因する上昇気流の流れを最適化することにより、塵埃及び化学物質等の汚染物質が、放熱体での処理対象物の例であるウェハーなどの上に落下して付着することを抑制することができる。
また、前記排塵補助部材を簡単なボックスもしくはエアパッキンより構成すれば、天井面の大掛かりな工事が不必要になると同時に生産活動を止めることなく、天井に前記排塵補助部材を配置することを可能とし、さらに低コスト化が可能となり、かつ、清浄度又は温湿度などの製造条件及び環境条件をより高度なレベルに制御することが実現可能となる。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明における第1実施形態を詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態にかかるクリーンルームの概要について、図1を基に説明する。このクリーンルームは、清浄室1内の清浄度をある程度高く維持するために、清浄室1の室内空気を清浄室1外に排出し、排出された空気を所定の空気条件に調整した後、その清浄室1内に例えば還流することによって、その清浄室1内の温度、湿度、及び、清浄度を調節するようにしている。ここでは、このような清浄度の高いクリーンルームを実現する方式の一例として、図1に示すような全面ダウンフロー方式を例にとって説明する。
この方式では、清浄室1の上方の天井室2内の空気は、清浄室1の天井1Aに設置されたファンフィルタユニット3の空気取入口4からファンフィルタユニット3内に流入し、ファンフィルタユニット3内に設置された送風機5によって昇圧され、高性能フィルタ6によって除塵された後、清浄室1内に、鉛直下向きに清浄な空気が例えば0.25〜0.5m/s程度の流速で流れるようにしている。
次に、矢印70で示すように、天井室2から清浄室1内に鉛直下向きに流れ込んだ清浄な空気は、清浄室1のグレーチング床7を通って床下室8に流れ込み、床下室8から戻り流路9を経て天井室2に戻るという、循環流を形成している。このような循環により、同じ空気が何度も高性能フィルタ6により除塵されるため、クリーンルームの運転を開始してからある一定時間を経過した後、清浄室1内は高清浄度が保たれることになる。
さらに、清浄室1内には、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の複数の放熱体10A,10B,10Cがグレーチング床7上に設置されている。放熱体10A,10B,10Cのそれぞれの放熱源の具体的な例としては、例えば、IC製造装置などの半導体製造装置及び各種検査装置等におけるモータなどの駆動源と、これらの駆動源を制御するための、又は、駆動源及び画像処理部をそれぞれ制御するための制御部と、各種検査装置等の照明装置となどが挙げられる。これらの放熱源から放熱される熱がそれぞれの装置全体にほぼ均一に伝達されて、装置全体が一様に加熱されて、放熱体10A,10B,10Cとなっていると考えている。ここでは、図示を簡略化するため、放熱体10A,10B,10Cを直方体形状で図示している。これら放熱体10A,10B,10Cは、その種類によって、放熱体10A,10B,10Cの上面の表面温度(放熱体10A,10B,10Cが設備の場合には、設備が連続稼動運転中の状態での上面の平均温度)が100度近くになって、かなりの発熱を伴うもの(例えば、乾燥炉など)もあり、清浄室1で発熱源となる場合がある。これら放熱体10A,10B,10C(熱源)から放出される排熱は、一例として、クリーンルームに自然拡散させ、清浄室1全体を調温するようにしている。なお、IC製造室又は各種検査室等として使用されるクリーンルームは、塵埃及び微粒子等に対する清浄度が必要であることは勿論であるが、湿度及び温度についても所定の範囲に常に保持することが必要とされる。
なお、放熱体10A,10B,10Cにおいては、有毒なガスなどを使用する場合もあるため、安全のため、処理の終わった有毒ガスとともに清浄室1内の空気を排気案内流路11に吸入して排気案内流路11によりクリーンルーム外部に排気している。清浄室1内の圧力を所定の値に制御するために、外部への排気流量にほぼ等しい流量の空気を、給気案内流路12により天井室2内に搬送し、給気案内流路12に設置された給気口12aから供給空気として天井室2内に供給する。給気案内流路12の途中には、外気をクリーンルームに適する空気に調整する外調機13が備え付けられている。
清浄室1の循環流は、清浄室1内の放熱体10A,10B,10C又は床下室8内に設置されたポンプ(不図示)などの補機の熱負荷のために暖められるため、清浄室1のグレーチング床7を通って床下室8に流れ込んだ循環流の温度は、清浄室1内の雰囲気温度より若干高くなる。それを所定の温度に戻すために、戻り流路9の途中に備えられた空調装置14で、戻り流路9内の清浄な空気の温度を制御することにより、清浄室1内の温度を一定に保つことができる。
以上のように、クリーンルーム環境を維持するために、クリーンルームには、高性能フィルタ6を備えたファンフィルタユニット3などの空気浄化装置、及び、空気の温度が制御できる空調装置14を備えている。
このようなクリーンルームにおいて、清浄室1内に設置された放熱体10A,10B,10Cの各上面10−1に対して鉛直方向に対向した排塵促進面15−1をそれぞれ有する排塵補助部材15A,15B,15Cが、一例として、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するようにそれぞれ配置されている。また、放熱体10A,10B,10Cの各上面10−1の表面温度(放熱体10A,10B,10Cが設備の場合には、設備が連続稼動運転中の状態での上面の平均温度)と放熱体10A,10B,10Cの周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が高いほど、放熱体10A,10B,10Cの上面10−1と排塵補助部材15A,15B,15Cの排塵促進面15−1との間の距離Dが大きくなるように配置されている。言い換えれば、図3に示すように、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流aが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に積極的に排出促進されるような距離Dの間隔を空けて、放熱体10の上面10−1の上方に排塵促進面15−1が位置している。
なお、放熱体10を個別に区別する必要がある場合には、10A,10B,10Cなどの参照符号で複数の放熱体を区別し、総称的に取り扱う場合には参照符号10を付すことにする。同様に、放熱体10の上面10−1も個別に区別する必要がある場合には、10a−1,10b−1,10c−1などの参照符号で複数の上面を区別し、総称的に取り扱う場合には参照符号10−1とする。排塵補助部材15も個別に区別する必要がある場合には、15A,15B,15Cなどの参照符号で複数の排塵補助部材を区別し、総称的に取り扱う場合には参照符号15とする。排塵補助部材15の排塵促進面15−1も個別に区別する必要がある場合には、15a−1,15b−1,15c−1などの参照符号で複数の排塵促進面を区別し、総称的に取り扱う場合には参照符号15−1とする。
ここで、放熱体10の上面10−1と排塵補助部材15の排塵促進面15−1との間の距離Dの重要性について、以下に説明する。以下の図3〜図5においては、単に、前記距離Dを変えるだけで、放熱体10は同じものとし、排塵補助部材15は天井1Aからの高さが異なるだけ(言い換えれば、排塵補助部材15の排塵促進面15−1の位置が高さ方向(例えば鉛直方向)に異なるだけ)のものとする。
まず、図4に示すように、単に、清浄室1内に設置された放熱体10の上面10−1に対して鉛直方向に対向した平面90−1を有するボックス90を、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するように配置したとする。放熱体10の上面10−1とボックス90の平面90−1との間の距離Dhは、本発明にかかる距離Dよりも大きく離れた状態となっている。この場合、放熱体10の発熱に基づき放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流は、ボックス90の平面90−1に到達せず、実線の矢印aに示すように、放熱体10の上面10−1とボックス90の平面90−1との間の隙間の中心側から周囲に向けて渦を巻くように下降することになる。この結果、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃又は化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように放熱体10の上面10−1上に落下し、清浄環境に悪影響を与えることになる。
次に、図3に示すように、清浄室1内に設置された放熱体10の上面10−1に対して鉛直方向に対向した排塵促進面15−1を有する排塵補助部材15を、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するように配置する。ここでは、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流が、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に排出されるような距離Dに排塵促進面15−1が位置している。この場合、放熱体10の発熱に基づき放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流aは、排塵促進面15−1に到達し、排塵促進面15−1に沿って、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22の中心側から外側に向けて排出されるように流れる。この結果、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印aで示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側に向けて排出され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。なお、上昇気流aにより隙間22の中心側から外側に向けて排出された汚染物質は、清浄室1に対して、高性能フィルタ6から床下室8に向かう均一な流速で供給された清浄空気(矢印70参照。)と共に、グレーチング床7を通って床下室8に流れ込み、床下室8から戻り流路9を経て天井室2に戻リ、高性能フィルタ6により除塵される。
一方、図5に示すように、単に、清浄室1内に設置された放熱体10の上面10−1に対して鉛直方向に対向した平面91−1を有するボックス91を、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するように配置したとする。放熱体10の上面10−1とボックス91の平面91−1との間の距離Dhは、本発明にかかる距離Dよりも相当小さく近づき過ぎた状態となっている。この場合、放熱体10の発熱に基づき放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流は、ボックス91の平面91−1にすぐに到達してしまい、放熱体10の上面10−1の周囲付近で発生した上昇気流は実線の矢印aに示すように隙間92の中心側から外側に排出されるが、放熱体10の上面10−1の周囲付近で発生した上昇気流は、実線の矢印aに示すように隙間92の中心部分で渦を巻いてしまい、隙間92の中心側から外側に排出されにくくなる。この結果、実線の矢印aに示すような渦を巻いた上昇気流により、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃又は化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように放熱体10の上面10−1上に落下し、清浄環境に悪影響を与えることになる。
このような考察から、距離Dは、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に排出されるような距離Dに設定する必要がある。
この距離をさらに具体的に検証するため、以下の実施例について検討する。
以下、本発明の実施の形態のより具体的な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1のようなクリーンルームは、実施例1として、インダストリアルクリーンルームとして清浄室1の高さを3.5m、天井室2の高さを3m、床下室8の高さを2.5mで施工され、また、横方向が12mで奥行き方向に10mの大きさを有する。また、開効率を45%であるグレーチング床7を採用している。
今回の発明を実施した実施例1にかかるクリーンルームは、主に半導体製造室及び半導体検査室の用途で使用され、機械及び検査エリアの管理温度23±0.5℃、管理湿度50%、管理清浄度をJISクラス1以下(ISO規格でクラス10以下)に、また機械・検査エリア以外のメンテナンスエリアの管理清浄度をJISクラス2〜3(ISO規格でクラス100〜1000)を確保するため、循環する空気の流れを温度22℃、湿度50%、風量約30万m/hに設定し、清浄室1のグレーチング床7を通って床下室8に流れ込んで、戻り流路9を経て天井室2に戻る循環流の風量を約28万m/hとし、残りの風量約2万m/h分の外気を給気案内流路12により天井室2内に搬送し、給気案内流路12に設置された給気口12aから供給空気として供給し、クリーンルーム内の換気回数を250回/hに保持した。その循環する空気を清浄室1に効率良く送るため、ファンフィルタユニット3を清浄室1の天井1Aの面に均等間隔に240個を配置した。また、ファンフィルタユニット3はアピステ社製のファンフィルタユニットで1200m/hの送風能力を有し、高性能フィルタ6であるウルパフィルタ(ダスト0.1μm以上を捕集する確率:99.99999%)が備え付けられている。このような運転条件で、ウルパフィルタを通過した清浄室1内に鉛直下向き方向の気流を、清浄室1の高さ1mの場所でTESTO製の風速計を用いて測定した結果、0.3〜0.5m/sの流れが生じていた。
さらに、清浄室1内には、図1で示すように様々な半導体製造装置又は各種検査装置等の第1放熱体10C、第2放熱体10B、第3放熱体10Aの熱負荷により清浄室1の循環流は暖められていた。清浄室1のグレーチング床7を通って床下室8に流れ込んだ場所で3回温度測定を行い、平均した温度測定の結果は24℃であった。このように清浄室1内の雰囲気温度より1℃高い温度を所定の温度に冷却するために、空調装置14の温度設定を22℃にし、それぞれの放熱体10の熱負荷の効果により、清浄室1内の温度を23℃に保った。
また、今回の発明を実施した実施例1にかかるクリーンルームでは、品質に影響を与える塵埃又は化学物質等の基準サイズとして0.1μmを採用していた。
このようなクリーンルームの運転条件の下、図1の第1放熱体10Cは、半導体検査装置として使用される装置であり、第1放熱体10Cの形状は、1mの正方体(直方体)で、電源容量として6500W/hである。この第1放熱体10Cの上面10c−1の表面温度をTESTO製の接触式温度計した結果、第1放熱体10Cで行っていた半導体検査又は半導体ウェハー搬送作業など作業内容により、上面10c−1の表面温度Tが23〜75℃と変化し、清浄室1の雰囲気温度Tとの温度差(T−T)=ΔTは約0〜50℃であった。
この第1放熱体10Cの上面10c−1と天井1Aの面との間に、第1排塵補助部材15Cの一例として、透明なボックス(縦1.5m×横1.5m×高さ2.0m)を、厚さ3mmの四角形板のアクリル樹脂材で各辺をプラスティック接着材で固定して作製し、さらにボックス内の気密性を向上させるため、各接着面をカプトンテープで封止した。このボックスを第1放熱体10Cの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第1放熱体10Cの上面10c−1に対して鉛直方向に対向して第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1が配置されるようにして、あたかも天井1Aが下向きに突出するように形成した。
このような実施条件の下、第1放熱体10Cである半導体検査装置を24時間作動させ、半導体検査装置に備え付けられている光散乱方式のダストカウンター(山武社製、P−3型)により、汚染物質の個数を測定した。その結果を図6に示す。
このような構成の実施例1によれば、第1排塵補助部材15Cを設置する前の汚染物質の個数測定結果よりも、品質に影響を与える塵埃及び化学物質等の個数を75%削減することができた。
前記実施例1の構成で、図1の第2放熱体10Bは、半導体ドライエッチング装置として使用される装置であり、第2放熱体10Bの形状は、高さ1.5mで、縦横幅は1mで、電源容量として12500W/hである。この第2放熱体10Bの上面10b−1の表面温度Tを同じくTESTO製の接触式温度計した結果、第2放熱体10Bで行っていた半導体エッチング状態又は処理するウェハー枚数などにより、上面10b−1の表面温度Tが73〜99℃と変化し、清浄室1の雰囲気温度Tとの温度差(T−T)=ΔTは約50〜75℃に範囲にあった。
この第2放熱体10Bの上面10b−1と天井面との間に、第2排塵補助部材15Bの一例として、透明なボックス(縦1.5m×横1.5m×高さ0.7m)を、厚さ3mmの四角形板のアクリル樹脂材で各辺をプラスティック接着材で固定して作製し、さらにボックス内の気密性を向上させるため、各接着面をカプトンテープで封止した。このボックスを第2放熱体10Bの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第2放熱体10Bの上面10b−1に対して鉛直方向に対向して第2排塵補助部材15Bの排塵促進面15b−1が配置されるようにして、あたかも天井1Aが下向きに突出するように形成した。
このような実施条件の下、半導体ドライエッチング装置を24時間作動させ、半導体ドライエッチング装置に備え付けられている光散乱方式のダストカウンター(山武社製、P−3型)により、汚染物質の個数を測定した。その結果を図6に示す。
このような構成の実施例2によれば、第2排塵補助部材15Bを設置実施する前の汚染物質の個数測定結果よりも、品質に影響を与える塵埃及び化学物質等の個数を50%削減することができた。
前記実施例1の構成で、図1の第3放熱体10Aは、半導体拡散炉として使用される装置であり、第3放熱体10Aの形状は、1mの正方体(直方体)で、電源容量として42500W/hである。この第3放熱体10Aの上面10a−1の表面温度を同じくTESTO製の接触式温度計した結果、第3放熱体10Aで行っていた半導体熱処理状態又は処理するウェハー枚数などにより、上面10a−1の表面温度Tが93〜130℃と変化し、清浄室1の雰囲気温度Tとの温度差(T−T)=ΔTは約75〜100℃に範囲にあった。
この第3放熱体10Aの上面10a−1と天井面との間に、第3排塵補助部材15Aの一例として、透明なボックス(縦1.5m×横1.5m×高さ0.8m)を、厚さ3mmの四角形板のアクリル樹脂材で各辺をプラスティック接着材で固定して作製し、さらにボックス内の気密性を向上させるため、各接着面をカプトンテープで封止した。このボックスを第3放熱体10Aの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第3放熱体10Aの上面10a−1に対して鉛直方向に対向して第3排塵補助部材15Aの排塵促進面15a−1が配置されるようにして、あたかも天井1Aが下向きに突出するように形成した。
このような実施条件の下、半導体拡散炉を24時間作動させ、半導体ドライエッチング装置に備え付けられている光散乱方式のダストカウンター(山武社製、P−3型)により、汚染物質の個数を測定した。その結果を図6に示す。
このような構成の実施例3によれば、第3排塵補助部材15Aを設置実施する前の汚染物質の個数測定結果よりも、品質に影響を与える塵埃及び化学物質等の個数を50%削減することができた。
なお、前記実施例1及び2、3では、クリーンルームの運転条件、放熱体10の発熱条件、排塵補助部材15及びその排塵促進面15−1の形状等についての前記のような構成を採用しているが、これに限られるものではない。
また、排塵補助部材15を形成するために用いた透明なボックスである排塵補助部材15の表面に、帯電防止のため「カチオン系化合物 エチルアルコール」を主成分とするガスを噴射して、後述する帯電防止層60を形成している。その帯電防止層の効果により、透明なボックスに付着する塵埃及び化学物質等を防止することができる。
さらに、清浄室1内を照明する照明装置が天井室側に配置されている場合には、排塵補助部材15は透明若しくは半透明であることが望ましく、透明若しくは半透明の排塵補助部材15が備え付けられていても、照明光が透明若しくは半透明の排塵補助部材15を透過するため、照度が落ちることなく、作業性を確保できる。
前記実施例1の構成で、クリーンルーム内に設置された放熱体10と前記クリーンルームに面する天井1Aとの距離と、放熱体10の上面10a−1の表面温度と清浄室1の雰囲気温度Tの温度差を変数にクレイドル社製の熱流体解析ソフト(ストリーム)を用いて熱流体解析を行った。今回使用する熱流体解析ソフトは微小な曲面又は斜面を忠実に再現するこが可能で、全体の流れを解析すること場合に適している。
今回、実施例1の構成を100万要素で解析のモデル化を行い、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1との距離と、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1間で発生する気流の鉛直方向の最小速度との関係を熱流体解析した。その結果を図7A〜図7Cに示す。図7A、図7B、図7Cは図1に示す第1放熱体10C、第2放熱体10B、第3放熱体10Aに対応している。図7Aの結果からは、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1までの距離Dが増えるに従い、上昇速度が減少し、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1との距離が1500mm以上ある場合では、放熱体10の上面10−1の上部に、上昇ではなく鉛直下向きの気流が存在していることがわかった。さらに、図7B、図7Cの結果からは、放熱体10の上面10−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1との距離が約700mm以下では対流が発生し、放熱体10の上面10−1の上部に、上昇ではなく鉛直下向きの気流が存在していることも確認できた。
このように熱流体解析を行った図7A〜図7Cの結果を、放熱体10の上面10−1の表面温度と清浄室1の雰囲気温度との3つの温度差範囲(0〜50℃、50〜75℃、75〜100℃)と、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1との3つの距離範囲(200〜1000mm、1000〜1500mm、1500〜2000mm)で、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1間で発生する気流の鉛直方向の最小速度について整理した結果を図8に示す。
さらに、本実施例1及び実施例2、3において、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1の表面温度T、T、Tと清浄室1の雰囲気温度との温度差(0〜50℃、50〜75℃、75〜100℃)と、高さがそれぞれ異なる透明なボックス(排塵補助部材15C、15B、15A)を放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1の上方の天井1Aの梁に吊るすことで、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1に対して鉛直方向に対向して排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1を形成し、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1との距離D、D、D(500mm、1200mm、1700mm)で実施した結果から、図8を用いて、鉛直方向の最小速度を、第1放熱体10C:3.5mm/s、第2放熱体10B:3.2mm/s、第3放熱体10A:3.9mm/sと解析することができた。
また、今回の発明を実施した実施例1〜3にかかるクリーンルームでは、品質に影響を与える塵埃又は化学物質等の基準サイズとして0.1μmを採用しており、図2からその0.1μmの物体が空気中を自由落下中に空気抵抗と釣り合い、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)が3mm/sであるということが分かる。
つまり、本実施例1及び実施例2、3において行った取り組みによって、それぞれの放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1間の隙間22に、それぞれ自由落下中に空気抵抗と釣り合い、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)が3mm/s以上の上昇気流で占有していることになり、塵埃及び化学物質等の汚染物質が放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1に落下しないことが分かった。
この結果を、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1の表面温度と清浄室1の雰囲気温度との温度差と、放熱体10C、10B、10Aの上面10c−1,10b−1,10a−1と排塵補助部材15C、15B、15Aの排塵促進面15c−1、15b−1、15a−1との距離D、D、Dとの関係をグラフにしたものが図9である。実施例1の代表点としては、温度差25℃で距離500mmの左側の黒い点をプロットしている。実施例2の代表点としては、温度差55℃で距離1300mmの左側の黒い点をプロットしている。実施例3の代表点としては、温度差85℃で距離1700mmの左側の黒い点をプロットしている。この結果より、斜め右上に向けて傾斜した下側の傾斜線Iと、斜め右上に向けて傾斜した上側の傾斜線IIとの間の領域99が、前記したある一定以上速くならない落下速度(終末速度)が3mm/s以上の上昇気流で占有している領域となる。すなわち、図9より、放熱体10の上面10−1の表面温度と周辺雰囲気の温度との温度差Tを、放熱体10の上面10−1と排塵補助部材15の排塵促進面15−1との間の距離Dで割った値K(=ΔT/D)(℃/mm)が0.032≦K≦ 0.065の関係を保つようにしている。ただし、下側の傾斜線Iの傾きK(=ΔT/D)(℃/mm)は0.032であり、上側の傾斜線IIの傾きK(=ΔT/D)(℃/mm)は0.065である。
この結果、前記放熱体10の前記上面10−1の表面温度と前記放熱体10の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が高いほど、前記放熱体10の前記上面10−1と前記排塵補助部材15の前記排塵促進面15−1との間の距離Dが大きくなるように配置している。
より具体的には、図1においては、以下の通りに構成している。
第3排塵補助部材15Aは、第3放熱体10Aの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第3放熱体10Aの上面10a−1に対して鉛直方向に対向して第3排塵補助部材15Aの排塵促進面15a−1が配置されるようにして、天井1Aが下向きに突出するように形成している。ここで、第3放熱体10Aの上面10a−1と第3排塵補助部材15Aの排塵促進面15a−1との鉛直方向沿いの距離をDとする。また、第3放熱体10Aの上面10a−1の表面温度Tと放熱体10Aの周辺の周辺雰囲気の温度Te1との温度差(T−Te1)をΔTとする。
第2排塵補助部材15Bは、第2放熱体10Bの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第2放熱体10Bの上面10b−1に対して鉛直方向に対向して第2排塵補助部材15Bの排塵促進面15b−1が配置されるようにして、天井1Aが下向きに突出するように形成している。ここで、第2放熱体10Bの上面10b−1と第2排塵補助部材15Bの排塵促進面15b−1との鉛直方向沿いの距離をDとする。また、第2放熱体10Bの上面10b−1の表面温度Tと放熱体10Bの周辺の周辺雰囲気の温度Te2との温度差(T−Te2)をΔTとする。
第1排塵補助部材15Cは、第1放熱体10Cの上方の天井1Aの梁に吊るすことで、第1放熱体10Cの上面10c−1に対して鉛直方向に対向して第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1が配置されるようにして、天井1Aが下向きに突出するように形成している。ここで、第1放熱体10Cの上面10c−1と第1排塵補助部材15Cの排塵促進面15c−1との鉛直方向沿いの距離をDとする。また、第1放熱体10Cの上面10c−1の表面温度Tと放熱体10Cの周辺の周辺雰囲気の温度Te3との温度差(T−Te3)をΔTとする。
従って、(第3放熱体10Aの上面10a−1の表面温度T)>(第2放熱体10Bの上面10b−1の表面温度T)>(第1放熱体10Cの上面10c−1の表面温度T)とすると、ΔT>ΔT>ΔTとなる。
ここで、放熱体10の上面10−1の表面温度と放熱体10の周辺の周辺雰囲気の温度Tとの温度差が高いほど、放熱体10の上面10−1からの上昇気流が大きいため、放熱体10の上面10−1と排塵補助部材15の排塵促進面15−1との間の距離Dを大きくする必要がある。
よって、図1に示すように、D>D>Dとする必要がある。
このように、各排塵補助部材15A,15B,15Cは、個別又は局所的に、対応するそれぞれの放熱体10の上面10−1での排塵を補助する部材又はブロックとして構成され、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に排出されるようにしている。この結果、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、上昇気流と共に隙間22の中心側から外側に向けて排出され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。従って、様々なIC製造装置又は各種検査装置等の放熱体10の上部側で発生する気流渦又は熱対流に起因する気流の流れを最適化することができて、塵埃及び化学物質等がウェハーなどの上に付着することを抑制することができる。
なお、上昇気流により隙間22の中心側から外側に向けて排出された汚染物質は、清浄室1に対して高性能フィルタ6から床下室8に向かう均一な流速で供給された清浄空気(矢印70参照。)と共に、グレーチング床7を通って床下室8に流れ込み、床下室8から戻り流路9を経て天井室2に戻リ、高性能フィルタ6により除塵される。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
例えば、前記実施形態では、一例として、還流する方式のクリーンルームについて説明するものであり、本発明はこれに限定されるものではなく、還流しない方式のクリーンルームにも本発明を適用することができる。
また、排塵促進面15−1は、平面であるものに限らず、図10に示すように、半球面15−2若しくは曲面、又は、排塵促進面15−1の中心に向けて下向き凸形状に傾斜した傾斜面でもよい。要するに、放熱体10の上面10−1から浮上する上昇気流aが、滑らかに、渦などをあまり生じさせることなく、放熱体10の上面10−1と排塵促進面15−1との間の隙間22から外方に流れ出るように案内すればよい。排塵促進面15−1の角部15−3もR部にして、より一層円滑に、上昇気流aが排出されるようにしてもよい。
また、図11に示すように、排塵補助部材15の表面(少なくとも排塵促進面15−1)に、帯電防止のため、カチオン系化合物とエチルアルコールを主成分とするガスを噴射して帯電防止層60を形成してもよい。このようにすれば、帯電防止層60でもって、静電気などにより排塵補助部材15の表面(少なくとも排塵促進面15−1)に塵埃及び化学物質等が付着することを防止することができる。
さらに、帯電防止層60を形成する代わりに、又は、帯電防止層60に加えて、図11に参照符号61で示すように、排塵補助部材15自体又はその排塵促進面15−1を接地するようにしてもよい。このように接地することにより、静電気などにより排塵補助部材15の表面(少なくとも排塵促進面15−1)に塵埃及び化学物質等が付着することを防止することができる。
また、排塵補助部材15を、ボックス若しくはエアパッキンにより構成してもよい。このように構成すれば、排塵補助部材15を配置するときに、天井面の大掛かりな工事が不必要になると同時に、生産活動を止めることなく、天井1Aに排塵補助部材15を配置することが可能となる。さらに、低コスト化を促進するとともに、清浄度又は温湿度などの製造条件及び環境条件を、より高度なレベルに制御することが可能となる。
また、図12に示すように、排塵補助部材15はエアパッキン63で構成し、かつ、放熱体10からの上昇気流によりエアパッキン63が天井1Aに対して上下方向に移動可能に固定部材67で配置されるようにしてもよい。具体的には、例えば、エアパッキン63の上部の止め具64と、天井1Aの止め具66と、両止め具64,66とを連結するチェーン又は紐の連結部材65とで固定部材67を構成してもよい。このようにすれば、放熱体10からの上昇気流が無い状態では、エアパッキン63の自重により、天井1Aから固定部材67を介してエアパッキン63が吊り下げられている。放熱体10からの上昇気流aがエアパッキン63の下面すなわち排塵促進面15−1に作用すると、上昇気流aによりエアパッキン63が持ち上げられることにより、エアパッキン63の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との間の距離を若干大きくすることができる。すなわち、放熱体10の上面10−1の表面温度が高くなればなるほど、上昇気流が多くなるため、エアパッキン63がより高く持ち上げられることになる。この結果、放熱体10の上面10−1の表面温度と放熱体10の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が高いほど、放熱体10の上面10−1と排塵補助部材15の排塵促進面15−1との間の距離Dを自動的に大きくすることができて、距離Dを自動的に最適に設定することができる。
また、放熱体10が隣接してグレーチング床7に配置されている場合には、図13に示すように、隣接した放熱体10間に空間69を設けて、天井室2から清浄室1内に鉛直下向きに流れ込む清浄な空気流70が流れ込ませて、隣接した放熱体10の前記それぞれの隙間22から上昇気流71と共に排出された塵埃及び化学物質等の汚染物質を、点線の矢印bで示すように、円滑にかつ強制的にグレーチング床7に向けて排出する必要がある。さもなければ、図14に示すように隣接した放熱体10を接触させて又はほとんど空間が無い状態で配置してしまうと、隣接した放熱体10の前記それぞれの隙間22から排出された上昇気流72同士が衝突して渦を巻き、それぞれの隙間22から排出された塵埃又は化学物質等の汚染物質を舞い上がらせて、隣接した放熱体10の上面10−1に落下させる可能性が生じてしまうからである。よって、隣接した放熱体10間には、少なくとも、天井室2から清浄室1内に鉛直下向きに流れ込む清浄な空気流70が形成される空間69が必要となる。
それにより、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質を上昇気流により、放熱体10の上面から排出して、確実にグレーチング床7上に落下させることができる。
また、排塵補助部材15の排塵促進面15−1は、図15に示すように、放熱体10の上面10−1の全面をほぼ覆うようにすればよい。すなわち、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1とがほぼ同じ大きさとするのが好ましい。このように構成すれば、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流80(図3の上昇気流aに相当)の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との距離Dの隙間22から隙間外に積極的に排出促進させることができて、前記した優れた排塵効果を奏することができる。すなわち、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印80で示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側に向けて排出され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。なお、図15の参照符号70は、天井室2から清浄室1内に鉛直下向きに流れ込む清浄な空気流である。
また、排塵補助部材15の排塵促進面15−1は、図16に示すように、放熱体10の上面10−1よりも大きくするようにしてもよい。すなわち、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が放熱体10の上面10−1の全周囲よりも張り出すような大きさとしてもよい。このように構成すれば、図15の場合よりもより一層確実に、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流80の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に積極的に排出促進させることができて、前記した優れた排塵効果をより一層奏することができる。すなわち、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印80で示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側の隙間外に積極的に排出促進され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。
また、排塵補助部材15の排塵促進面15−1は、図17に示すように、放熱体10の上面10−1の全面より少し小さくするようにしてもよい。すなわち、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が放熱体10の上面10−1よりも少し小さく、例えば、面積として10%程度小さくしてもよい。このように構成しても、放熱体10の発熱により放熱体10の上面10−1から上昇する上昇気流80のほぼ全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に積極的に排出促進させることができて、前記した優れた排塵効果を奏することができる。すなわち、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印80で示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側の隙間外に積極的に排出促進され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。
また、図18は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、1つの放熱体10内に複数の放熱源10Hがある場合を説明するための図である。今までは、図示を簡略化するため、放熱体10を直方体形状で図示していたが、実際の装置は、このような直方体形状以外に、様々な複雑な形状となっている。例えば、これを少し簡略化して示すと、図18に示すように、大略C字形状に直方体形状の放熱源10Hが隣接配置されて打開に接続されており、各放熱源10Hの発熱により上昇気流80が発生すると考えられる。このような場合には、複数の放熱源10Hを一まとめにして、全ての放熱源10Hを完全に又はほぼ覆うように、排塵補助部材15の排塵促進面15−1を配置すればよい。図18では、全ての放熱源10Hを完全に覆うように、排塵補助部材15の排塵促進面15−1を配置した例である。このように構成すれば、放熱体10の各放熱源10Hからの発熱により放熱体10の上面10−1(正確には、各放熱源10Hの上面)から上昇する上昇気流80の全てが、排塵補助部材15の排塵促進面15−1により、排塵補助部材15の排塵促進面15−1と放熱体10の上面10−1との隙間22から隙間外に積極的に排出促進させることができて、前記した優れた排塵効果を奏することができる。すなわち、放熱体10の上部或いはその周辺で発生した塵埃及び化学物質等の汚染物質が、点線の矢印bで示すように、実線の矢印80で示す上昇気流と共に隙間22の中心側から外側の隙間外に排出され、汚染物質が放熱体10の上面10−1上に落下せず、清浄環境に悪影響を与えることはない。
また、図1では、排塵補助部材15が、清浄室1に面する天井1Aから下向き突出するように配置されているが、このような構成に限定されるものではなく、以下の種々の変形例のような構成でも、図1と同様な作用効果を奏することができる。言い換えれば、本発明は、放熱体10の上面10−1に対する排塵補助部材15の排塵促進面15−1の位置が重要であり、排塵補助部材15の固定方法については、以下の構成の他、任意の固定方法でよい。
例えば、前記実施形態の第1変形例として、図19〜図20に示すように、排塵補助部材15を、清浄室1の側壁1Sから板状の支持部材15sを介して突出させて、支持部材15sの端部に支持された排塵補助部材15の排塵促進面15−1が、距離Dを空けて、放熱体10の上面10−1に対向するように配置されていてもよい。
また、前記実施形態の第2変形例として、図21〜図22に示すように、排塵補助部材15の支持部材15tが、床7から自立すべく、床7から一旦上方に延びたのち、横に折れ曲がり、その支持部材15tの端部に排塵補助部材15を支持して、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が、距離Dを空けて、放熱体10の上面10−1に対向するように配置されていてもよい。
また、前記実施形態の第3変形例として、図23〜図24に示すように、排塵補助部材15の支持部材15uが、1本又は複数本(例えば、図24では4本)、排塵補助部材15を利用する装置(放熱体)10自体から上方に延び、その支持部材15tの端部に排塵補助部材15を支持して、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が距離Dを空けて放熱体10の上面10−1に対向するように配置されていてもよい。
また、前記実施形態の第4変形例として、図25〜図26に示すように、排塵補助部材15の支持部材15vが、排塵補助部材15を利用する装置(放熱体)10Vとは異なる、隣に配置された装置10Wから一旦上方に延びたのち、排塵補助部材15を利用する装置10Vの上方に横向きに突出して、その支持部材15vの端部に排塵補助部材15を支持して、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が、距離Dを空けて、放熱体10Vの上面10−1に対向するように配置されていてもよい。なお、図26では、支持部材15vは、前記放熱体10Vの隣に配置された装置10Wの排塵補助部材15の支持部材としても兼用可能であることを示している。
また、前記実施形態の第5変形例として、図27〜図28に示すように、排塵補助部材15の支持部材15xが、天井面1Aから真っ直ぐ下に下りるのではなく、L字状に屈曲して、天井面1Aに設置された装置(例えば搬送装置95)に接触しないように回避するように、排塵補助部材15を支持して、排塵補助部材15の排塵促進面15−1が、距離Dを空けて、放熱体10Vの上面10−1に対向するように配置されていてもよい。
前記した第1〜第5の変形例は、例えば、放熱体10に対向する天井面1Aに搬送用装置(例えば、株式会社ダイフク社製のクリーンウェイ)95が図19に示すように配置されている場合、又は、具体的には図示しないが、天井面1Aから放熱体10に向かって給排気用ダクトが接続されている場合などがあり、このような場合には、排塵補助部材15を、放熱体10に対向する天井面1Aに直接的に設置することができないため、有効である。すなわち、このような場合に、これらの第1〜第5の変形例のいずれかを適応することにより、対向する天井面1Aの状況に関係無く、排塵補助部材15の排塵促進面15−1を、距離Dを空けて、放熱体10の上面10−1に対向するように配置させることが可能となる。
なお、上記前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、半導体製造工場において、半導体ウェハー上に付着する汚染物質の抑制を実現し、半導体ウェハーの品質及び生産性の向上に寄与できる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形又は修正は明白である。そのような変形又は修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームであって、清浄室内に放熱体が配置された状態を示す概略説明図である。 図2は、汚染物質の直径に対して終末速度(mm/s)を示す結果図である。 図3は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、放熱体からの上昇気流と汚染物質との流れを説明するための概略説明図である。 図4は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームとの比較説明のためのクリーンルームであって、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面との間の距離が大きすぎる場合の放熱体からの上昇気流と汚染物質との流れを説明するための概略説明図である。 図5は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームとの比較説明のためのクリーンルームであって、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面との間の距離が小さすぎる場合の放熱体からの上昇気流と汚染物質との流れを説明するための概略説明図である。 図6は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームの実施例1〜3において、汚染物質の個数測定結果であって、放熱体に備え付けられているダストカウンターのダスト個数を表形式で示す図である。 図7Aは、放熱体と天井との距離に対して、発生する上昇気流速度を示す熱流体解析結果図である。 図7Bは、放熱体と天井との距離に対して、発生する上昇気流速度を示す熱流体解析結果図である。 図7Cは、放熱体と天井との距離に対して、発生する上昇気流速度を示す熱流体解析結果図である。 図8は、熱流体解析を行った図7A〜図7Cの結果を、放熱体の上面の表面温度と清浄室の雰囲気温度との3つの温度差範囲(0〜50℃、50〜75℃、75〜100℃)と、3つの放熱体の上面と3つの排塵補助部材の排塵促進面との3つの距離範囲(200〜1000mm、1000〜1500mm、1500〜2000mm)で、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面間で発生する気流の鉛直方向の最小速度について整理した結果を表形式で示す図である。 図9は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームの実施例1〜3において行った取り組みによって、それぞれの放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面間の隙間に、それぞれ自由落下中に空気抵抗と釣り合い、ある一定以上速くならない落下速度(終末速度)が3mm/s以上の上昇気流で占有して、塵及び化学物質等の汚染物質が放熱体の上面に落下しない状態での、放熱体の上面の表面温度と清浄室の雰囲気温度との温度差と、放熱体の上面と排塵補助部材の排塵促進面との距離との関係を示すグラフである。 図10は、本発明の第1実施形態の変形例にかかるクリーンルームを示す概略説明図である。 図11は、本発明の第1実施形態の別の変形例にかかるクリーンルームを示す概略断面図である。 図12は、本発明の第1実施形態のさらに別の変形例にかかるクリーンルームを示す概略説明図である。 図13は、本発明の第1実施形態の別の変形例にかかるクリーンルームを示す概略説明図である。 図14は、図12の本発明の第1実施形態のさらに別の変形例にかかるクリーンルームとの比較例を示す概略説明図である。 図15は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材の排塵促進面と放熱体の上面とが同じ大きさの場合を説明するための図である(なお、床を示す点線を境に、床より上側の(a)は概略説明図であり、床より下側の(b)は概略平面透視図である)。 図16は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材の排塵促進面が放熱体の上面より大きい場合を説明するための図である(なお、床を示す点線を境に、床より上側の(a)は概略説明図であり、床より下側の(b)は概略平面透視図である)。 図17は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材の排塵促進面が放熱体の上面より小さい場合を説明するための図である(なお、床を示す点線を境に、床より上側の(a)は概略説明図であり、床より下側の(b)は概略平面透視図である)。 図18は、本発明の第1実施形態にかかるクリーンルームにおいて、1つの放熱体内に複数の放熱源がある場合を説明するための図である(なお、床を示す点線を境に、床より上側の(a)は概略説明図であり、床より下側の(b)は概略平面透視図である)。 図19は、本発明の第1実施形態の第1変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を、天井面からではなく、清浄室の側壁から支持部材を介して配置させている場合を説明するための説明図である。 図20は、図19の前記第1変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を支持部材を介して配置させている場合を説明するための概略平面透視図である。 図21は、本発明の第1実施形態の第2変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を、天井面からではなく、清浄室の床から自立した支持部材を介して配置させている場合を説明するための説明図である。 図22は、図21の前記第2変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を支持部材を介して配置させている場合を説明するための概略平面透視図である。 図23は、本発明の第1実施形態の第3変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を、天井面からではなく、排塵補助部材を利用する装置(放熱体)自体から支持部材を介して配置させている場合を説明するための説明図である。 図24は、図23の前記第3変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を配置させている場合を説明するための概略平面透視図である。 図25は、本発明の第1実施形態の第4変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を、天井面からではなく、排塵補助部材を利用する装置(放熱体)とは異なる、隣に配置された装置から支持部材を介して突出させている場合を説明するための説明図である。 図26は、図25の前記第4変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を支持部材を介して配置させている場合を説明するための概略平面透視図である。 図27は、本発明の第1実施形態の第5変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を天井面からL字状の支持部材を介して突出させている場合を説明するための説明図である。 図28は、図27の前記第5変形例にかかるクリーンルームにおいて、排塵補助部材を支持部材を介して配置させている場合を説明するための概略平面透視図である。 図29は、従来のクリーンルームを示す説明図である。 図30は、放熱体からの上昇気流によって、気流の乱れを示す概略図である。

Claims (13)

  1. 床上に設置された放熱体の上面に対向する排塵促進面を有するとともに、前記排塵促進面により、前記放熱体の発熱によって発生する前記放熱体の前記上面から上昇する上昇気流が、前記排塵促進面と前記放熱体の前記上面との隙間から隙間外に排出されるような、前記排塵促進面と前記放熱体の前記上面との距離に前記排塵促進面が位置する排塵補助部材とを備える、クリーンルーム。
  2. 前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
    前記支持部材は、前記床と交差する側壁から横方向に前記放熱体の上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、請求項1に記載のクリーンルーム。
  3. 前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
    前記支持部材は、前記床から上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、請求項1に記載のクリーンルーム。
  4. 前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
    前記支持部材は、前記放熱体から上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、請求項1に記載のクリーンルーム。
  5. 前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
    前記支持部材は、前記放熱体に隣接する装置から前記放熱体の上方に延びて前記排塵補助部材を支持する、請求項1に記載のクリーンルーム。
  6. 前記排塵補助部材を支持する支持部材をさらに備え、
    前記支持部材は、前記床に面する天井から前記排塵補助部材を支持する、請求項1に記載のクリーンルーム。
  7. 前記放熱体の前記上面の表面温度と前記周辺雰囲気の温度との温度差を、前記放熱体の前記上面と前記排塵補助部材の前記排塵促進面との間の距離で割った値K(℃/mm)が0.032≦K≦ 0.065の関係を保つ請求項1〜6のいずれか1つに記載のクリーンルーム。
  8. 前記放熱体として、第1放熱体と、前記第1放熱体よりも温度が高い第2放熱体が前記床上に設置され、前記第1放熱体の上面の表面温度と前記第1放熱体の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差が、前記第2放熱体の上面の表面温度と前記第2放熱体の周辺の周辺雰囲気の温度との温度差よりも大きいとともに、
    前記排塵補助部材として、前記第1放熱体の前記上面に対向した排塵促進面を有しかつ前記クリーンルームに面する天井から下向き突出するように配置される第1排塵補助部材と、前記第2放熱体の前記上面に対向した排塵促進面を有しかつ前記クリーンルームに面する天井から下向き突出するように配置された第2排塵補助部材とを備え、
    前記第1放熱体の前記上面と前記第1排塵補助部材の前記排塵促進面との間の第1距離が、前記第2放熱体の前記上面と前記第2排塵補助部材の前記排塵促進面との間の第2距離よりも大きい、請求項1〜6のいずれか1つに記載のクリーンルーム。
  9. 前記排塵補助部材の前記排塵促進面は帯電防止層を有している、請求項1〜6のいずれか1つに記載のクリーンルーム。
  10. 前記排塵補助部材の前記排塵促進面は接地されている、請求項1〜6のいずれか1つに記載のクリーンルーム。
  11. 前記排塵補助部材は、ボックスもしくはエアパッキンより構成されている、請求項1〜6のいずれか1つに記載のクリーンルーム。
  12. 前記排塵補助部材はエアパッキンで構成されており、かつ、前記放熱体からの上昇気流により前記排塵補助部材が前記天井に対して上下方向に移動可能に配置されている、請求項11に記載のクリーンルーム。
  13. 前記排塵補助部材の前記排塵促進面は、前記放熱体の前記上面の全面をほぼ覆うように配置されている、請求項1〜6のいずれか1つに記載のクリーンルーム。
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