JPWO2009028248A1 - 環状へプタペプチド及びその用途 - Google Patents

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Abstract

前駆脂肪細胞の分化抑制剤又は脂肪細胞の脂肪蓄積抑制剤として有用な新規環状ヘプタペプチド及びその用途を提供すること。以下の式で表される新規な環状へプタペプチドが提供される。【化1】但し、式中のRはCH3、CH2CH(CH3)2、CH2OCH2C6H5、CH(OH)CH3又はCH2OHである。

Description

本発明は新規な環状ヘプタペプチド及びその用途に関する。本発明の環状ヘプタペプチドは前駆脂肪細胞に対する分化抑制作用、脂肪細胞に対する脂肪蓄積抑制作用を有する。
ヒトのからだの脂肪組織及び種々の臓器における異常な脂肪蓄積による肥満は、高血圧、動脈硬化、糖尿病などの各種生活習慣病の発症に密接に関与していると考えられている。また、肥満は体の均整を失わせ、外観を著しく損なうため、美容の分野においても問題となっている。
肥満は、体質的因子、食餌性因子、精神的因子、中枢性因子、代謝性因子、運動不足などが要因となり、結果的に摂取カロリーが消費カロリーを上回り、脂肪が蓄積して起こると言われている。肥満では、生体内における個々の脂肪細胞が蓄積している脂肪、すなわちトリグリセリド量が増加し細胞が肥大化している。また近年、成人期以降でも脂肪細胞数が増加することが明らかとなり、前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化を抑制し、成熟脂肪細胞数を減少させることや、成熟脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制することにより肥満の進行を抑え、肥満を改善させることが期待されている。
脂肪細胞数の増加を抑制し抗肥満効果を示す医薬、食品または化粧料としては、例えば前駆脂肪細胞分化抑制ペプチドを有効成分とするもの(特許文献1参照)や、活性化乳清を有効成分とするもの(特許文献2参照)がある。またω-3系高度不飽和脂肪酸を有効成分として皮膚外用剤に適用させる(特許文献3参照)試みがある。また、アルテレノールが脂肪細胞に分布するβ3アドレナリン受容体に作用し、プロテインキナーゼA(PKA)活性化、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)の活性化を引き起こして油滴として蓄積された中性脂肪の分解を促進することが報告されている(非特許文献1参照)。
本発明者らは、前駆脂肪細胞の分化抑制又は脂肪細胞の脂肪蓄積の抑制を通して抗肥満効果を示す医薬等について研究を続けており、特定のキノコ又は植物から抽出した成分を有効成分とする前駆脂肪細胞分化抑制剤(特許文献4)、環状ヘプタペプチドであるテルナチン:cyclo[-D-Ile1-(N-Me)-L-Ala2-(N-Me)-L-Leu3-L-Leu4-(N-Me)-L-Ala5-(N-Me)-D-Ala6-β-OH-D-Leu7-]を有効成分とする脂肪細胞分化抑制剤(特許文献5)及び植物成分のビサボロールオキシド-A-β-グルコシドを有効成分とする脂肪細胞分化抑制剤(特許文献6)を見出すことに成功した。しかしながら、このような性質を有する環状ペプチドを実用化するには各種試験及び、より優れた効果を発揮する類縁化合物の開発・検討が不可欠である。そのためには、天然から当該化合物を取得するのでは量的に不十分であり、安価で高収率の製造方法の開発が急務であった。尚、テルナチンについてはその物性やX線結晶構造解析結果が報告されている(特許文献7、非特許文献2、3参照)。
ペプチドの合成法(製造法)は一般に固相法と溶液法とが挙げられるが、双方とも一長一短があるのが実状である。本発明者らは当初固相法によりテルナチンを合成して、その立体化学構造を決定した(非特許文献4)が、収率が低い、使用する試薬が高価、構成アミノ酸の一部が置換した類縁化合物を合成する際にその都度端から順に合成していかなくてはならず効率が悪い等の課題が残った。
特開平6−293796号公報 特開2002−37738号公報 特開平11−130656号公報 特開2004−075640号公報 特開2005−220074号公報 特開2006−213648号公報 露国特許発明第N517198号明細書,1974. 蛋白質 核酸 酵素 2000, 45, 935-940. Acta Crystallographica Section D, 1993, 49, 158-167. International Journal of Peptide & Protein Research, 1993, 42, 539-549. Tetrahedron Tetrahedron Letters, 2006, 47, 444
本発明は以上の背景の下、前駆脂肪細胞の分化抑制剤又は脂肪細胞の脂肪蓄積抑制剤として有用な新規環状ヘプタペプチド及びその用途を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、所望の環状ヘプタペプチドを簡易に、安価に且つ高収率で合成する方法を開発することに成功するとともに、テルナチンの構成アミノ酸の一部が置換された新規な環状ヘプタペプチドが、前駆脂肪細胞の分化抑制作用又は脂肪細胞の脂肪蓄積抑制作用を示すことを見出し、以下に列挙する本発明を完成した。
[1]以下の式で表される環状へプタペプチド。
Figure 2009028248
但し、式中のRはCH3、CH2CH(CH3)2、CH2OCH2C6H5、CH(OH)CH3又はCH2OHである。
[2][1]に記載の環状へプタペプチドからなる、前駆脂肪細胞の分化抑制剤。
[3][1]に記載の環状へプタペプチドからなる、脂肪細胞の脂肪蓄積阻害剤。
[4][1]に記載の環状へプタペプチドを有効成分として含有する組成物。
[5]医薬、食品、又は化粧料である、[4]に記載の組成物。
[6]前駆脂肪細胞の分化抑制剤、脂肪細胞の脂肪蓄積阻害剤、医薬、食品、又は化粧料を製造するための、[1]に記載の環状へプタペプチドの使用。
テルナチン(1)の1H NMRスペクトル(C6D6, 600 MHz)。 環状ヘプタペプチド(1a)の1H NMRスペクトル(C6D6, 600 MHz)。 環状ヘプタペプチド(1b)の1H NMRスペクトル(C6D6, 600 MHz)。 環状ヘプタペプチド(1c)の1H NMRスペクトル(C6D6, 600 MHz)。 環状ヘプタペプチド(1d)の1H NMRスペクトル(C6D6, 600 MHz)。 環状ヘプタペプチド(1e)の1H NMRスペクトル(C6D6, 600 MHz)。 新規環状ヘプタペプチドを用いた活性試験の結果。表中の−は、その位置のアミノ酸がテルナチンのものと同一であることを表す。EC50は50%効果濃度(脂肪蓄積率が50%となる化合物濃度)であり、IC50は50%阻害濃度(細胞生存率が50%となる化合物濃度)である。
本発明の環状ヘプタペプチド(配列番号:1)は以下の式(式1)で表される。
Figure 2009028248
但し、式中のRはCH3、CH2CH(CH3)2、CH2OCH2C6H5、CH(OH)CH3又はCH2OHである。本明細書では、RがCH3の化合物(配列番号:2)を環状ヘプタペプチド(1a)、RがCH2CH(CH3)2の化合物(配列番号:3)を環状ヘプタペプチド(1b)、RがCH2OCH2C6H5の化合物(配列番号:4)を環状ヘプタペプチド(1c)、RがCH(OH)CH3の化合物(配列番号:5)を環状ヘプタペプチド(1d)、RがCH2OH(配列番号:6)の化合物を環状ヘプタペプチド(1e)と呼ぶ。これら5種の環状ヘプタペプチドは、テルナチンの7番アミノ酸が他のアミノ酸で置換されているという特徴を共有する。環状ヘプタペプチド(1a)の7番アミノ酸はD-Alaであり、環状ヘプタペプチド(1b)の7番アミノ酸はD-Leuであり、環状ヘプタペプチド(1c)の7番アミノ酸はD-Ser(OBn)であり、環状ヘプタペプチド(1d)の7番アミノ酸はD-Thrであり、環状ヘプタペプチド(1e)の7番アミノ酸はD-Serである。以下、環状ヘプタペプチド(1a)、環状ヘプタペプチド(1b)、環状ヘプタペプチド(1c)、環状ヘプタペプチド(1d)、及び環状ヘプタペプチド(1e)の順にその構造式を列挙する。
Figure 2009028248
Figure 2009028248
Figure 2009028248
Figure 2009028248
Figure 2009028248
本発明者らの検討の結果、これらの環状ヘプタペプチドは全て、前駆脂肪細胞の分化抑制作用又は脂肪細胞の脂肪蓄積抑制作用(説明の便宜上、以下ではこれら2つの作用をまとめて「本発明の作用」という)を示すことが明らかとなった。しかも、これらの環状ヘプタペプチドは、テルナチンよりも細胞毒性が低いという、実用上有利な特性を共有することも明らかとなった。
ところで、テルナチンの7番アミノ酸はβ-OH-D-Leuである。当該アミノ酸はヒドロキシル基を有するがためその合成が困難である。即ち、ヒドロキシル基を有する当該アミノ酸は立体を制御した6段階の合成によらなければ入手できないためテルナチンの合成には困難が伴う。本発明の環状ヘプタペプチドでは、当該アミノ酸が他の入手容易なアミノ酸で置換されており、テルナチンに比較してその合成が容易となる。このように本発明のヘプタペプチドは合成の観点からも好ましいといえる。
以上のように本発明の環状ヘプタペプチドは多くの点においてテルナチンよりも優れる。
本発明の環状ヘプタペプチドの合成法(製造法)は特に限定されるものではない。例えば、後述の実施例に示す合成法によって本発明の環状ヘプタペプチドを得ることができる。当該合成法では、所定のトリペプチドとテトラペプチドを中間体とし、アミド結合形成とそれに続くマクロラクタム環形成反応により、所望の環状ヘプタペプチドが得られる。当該方法によれば、構成アミノ酸を変化させた関連化合物を簡易かつ高収率で得ることができる。
本発明の環状ヘプタペプチドは、単独で又は他の成分とともに、前駆脂肪細胞の分化抑制剤又は脂肪細胞の脂肪蓄積抑制剤として使用され得る。医療目的や美容目的に限らず、脂肪細胞の分化機序や脂肪蓄積機序の研究などの研究目的、或いは抗肥満薬(肥満の治療又は予防用医薬)や痩身薬などの開発目的の下で本発明の環状ヘプタペプチドを使用することもできる。
本発明の他の局面は、本発明の環状ヘプタペプチドを有効成分として含有する組成物を提供する。本発明の組成物の用途は特に限定されないが、好ましくは医薬、食品、又は化粧料である。即ち、本発明は好ましい態様として、本発明の環状ヘプタペプチドを有効成分として含有する医薬組成物、食品組成物、及び化粧料組成物を提供する。尚、2種類以上の環状ヘプタペプチドを併用することにしてもよい。
本発明の医薬組成物は抗肥満薬として使用され得る。ここで「肥満」とは一般的には体内に脂肪組織が過剰に蓄積した状態をいう。本明細書では用語「肥満」は広義に解釈されるものとし、その概念に肥満症を含む。「肥満症」とは肥満に起因ないし関連する健康障害(合併症)を有するか又は将来的に有することが予測される場合であって、医学的に減量が必要とされる病態をいう。
肥満の判定法には、例えば、国際的に広く使用されているBMI(body body mass ind)を尺度としたものがある。BMIは、体重(kg)を身長(m)の二乗で除した数値(BMI=体重(kg)/身長(m))である。BMI<18.5は低体重(underweight)、18.5≦BMI<25は普通体重(normal normal ran)、25≦BMI<30は肥満1度(preobese)、30≦BMI<35は肥満2度(obese obese class)、35≦BMI<40は肥満3度(obese obese class )、40<BMIは肥満4度(obese obese class I)と判定される(WHO)。また、BMIを利用して、日本人の成人の標準体重(理想体重)を以下の式、標準体重(kg)=身長(m)×22から計算し、実測体重が標準体重(計算値)の120%を超える状態を肥満とする判定法もある。もっとも、標準体重(理想体重)は性別、年齢、又は生活習慣の差異などによって個人ごとに相違することから、肥満の判定をこの方法で一律に行うことは妥当でないと考えられている。
本発明の医薬組成物の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることができる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。
製剤化する場合の剤型も特に限定されず、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、外用剤、及び座剤などとして本発明の医薬を提供できる。
本発明の医薬組成物には、期待される治療効果(予防効果も含む)を得るために必要な量(即ち治療上有効量)の有効成分が含有される。本発明の医薬組成物中の有効成分量は一般に剤型によって異なるが、所望の投与量を達成できるように有効成分量を例えば約0.1重量%〜約95重量%の範囲内で設定する。
本発明の医薬組成物はその剤型に応じて経口投与又は非経口投与(静脈内、動脈内、皮下、筋肉、又は腹腔内注射、経皮、経鼻、経粘膜など)によって対象に適用される。ここでの「対象」は特に限定されず、ヒト及びヒト以外の哺乳動物(ペット動物、家畜、実験動物を含む。具体的には例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ニワトリ、ウズラ等である)を含む。好ましい一態様では本発明の医薬はヒトに対して適用される。
本発明の医薬組成物の投与量は、期待される治療効果が得られるように設定される。治療上有効な投与量の設定においては一般に症状、患者の年齢、性別、及び体重などが考慮される。尚、当業者であればこれらの事項を考慮して適当な投与量を設定することが可能である。例えば、成人(体重約60kg)を対象として一日当たりの有効成分量が約1mg〜約6g、好ましくは約6mg〜約600mgとなるよう投与量を設定することができる。投与スケジュールとしては例えば一日一回〜数回、二日に一回、或いは三日に一回などを採用できる。投与スケジュールの作成においては、患者の病状や有効成分の効果持続時間などを考慮することができる。
上記の通り本発明の一態様は、本発明の環状ヘプタペプチドを有効成分として含有する食品組成物である。本発明での「食品組成物」の例として一般食品(穀類、野菜、食肉、各種加工食品、菓子類、牛乳、清涼飲料水、アルコール飲料等)、栄養補助食品(サプリメント、栄養ドリンク等)、食品添加物を挙げることができる。栄養補助食品又は食品添加物の場合、粉末、顆粒末、タブレット、ペースト、液体等の形状で提供することができる。本発明の環状ヘプタペプチドを食品組成物の形態で提供することによって、本発明の環状ヘプタペプチドを日常的に摂取したり、継続的に摂取したりすることが可能となる。
本発明の食品組成物には、治療的又は予防的効果が期待できる量の有効成分が含有されることが好ましい。添加量は、それが使用される対象となる者の病状、健康状態、年齢、性別、体重などを考慮して定めることができる。
上記の通り本発明の一態様は、本発明の環状ヘプタペプチドを有効成分として含有する化粧料組成物である。
本発明の化粧料組成物は、本発明の環状ヘプタペプチドと、化粧料に通常使用される成分・基材(例えば、各種油脂、ミネラルオイル、ワセリン、スクワラン、ラノリン、ミツロウ、変性アルコール、パルミチン酸デキストリン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール、パラベン、カンフル、メントール、各種ビタミン、酸化亜鉛、酸化チタン、安息香酸、エデト酸、カミツレ油、カラギーナン、キチン末、キトサン、香料、着色料など)を配合することによって得ることができる。
化粧料組成物の形態として、フェイス又はボディー用の乳液、化粧水、クリーム、ローション、エッセンス、オイル、パック、シート、洗浄料などを例示できる。
化粧料組成物における環状ヘプタペプチドの添加量は特に限定されない。例えば0.1重量%〜60重量%となるように環状ヘプタペプチドを添加するとよい。
1.新規環状ヘプタペプチドの合成法
所望の環状ヘプタペプチドを合成する方法として、以下に示す一連の反応による方法を考案した。
Figure 2009028248
この合成法によれば、所定のトリペプチド(B1x)とテトラペプチド(A1)を中間体とし、アミド結合とそれに続くマクロラクタム環形成反応により、目的の環状ヘプタペプチド(テルナチンの構成アミノ酸を変化させた関連化合物など)を簡易且つ高収率で得ることができる。
2.新規環状ヘプタペプチドの合成
1.に示した新規合成法によって各種環状ヘプタペプチドを合成した。
(1)テトラペプチド中間体(A1)の合成
以下の一連の反応によって末端アミノ基をt-ブトキシカルボニル基(Boc)で保護したBoc-テトラペプチドA5を合成した。テトラペプチド中間体(A1)はA5を用時に酸(TFA)処理して得た。
Figure 2009028248
窒素雰囲気下、L-Leu-OMe ・HCl (A2) 91 mg (0.50 mmol)、Boc-NMe-L-Leu-OH 123 mg (0.50 mmol)、PyBroP 256 mg (0.55 mmol) を ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 260 μL (1.50 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (3 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 2/1) で精製して、無色固体のジペプチド A3を149 mg (80 %)得た。
得られたA3(105 mg、0.28 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して淡黄色の油状物を得た。この油状物と、Boc-NMe-L-Ala-OH 57 mg (0.28 mmol)、HATU 118 mg (0.31 mmol) を ジクロロメタン 1 mL、DMF 0.4 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 147 μL (0.85 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (3 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (3 mL)、飽和食塩水 (3 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 2/1→1/1) で精製して、無色油状物のトリペプチド A4を104 mg(81 %)得た。
得られたA4(104 mg、0.23 mmol) を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して淡黄色の油状物を得た。この油状物と、トルエンで共沸した Boc-D-allo-Ile-OH・1/2 H2O 57 mg (0.23 mmol)、HATU 95 mg (0.25 mmol) を ジクロロメタン 1 mL、DMF 0.2 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 119 μL (0.68 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 4 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (3 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 2/1→1/1→0/1) で精製して、無色油状物のBoc-テトラペプチドA5を113 mg(87 %)得た。
(2)トリペプチド中間体エチルエステルB4の合成
以下の一連の反応によってトリペプチドB4を合成した。トリペプチド中間体(B1)はB4を用時にアルカリ加水分解して得た。
Figure 2009028248
文献 (Hale, Hale, K. J.; Manaviazar, S.; Delisser, VM. M. Tetrahedron 1994, 50, 9181-91) に従い合成したアジド化合物S1(400 mg、2.0 mmol) と 5% Pd/C 40 mg を窒素雰囲気下、メタノール 5 mL に溶解した。系内を水素ガスで置換し、14 時間攪拌した。反応混合物をセライト濾過し、得られた濾液を減圧濃縮すると、淡黄色のβ-OH-D-LeuエチルエステルB2を359 mg(100%)得た。窒素雰囲気下、得られたB2(87 mg、0.50 mmol)、Boc-NMe-D-Ala-OH 102 mg (0.50 mmol)、PyBroP 256 mg (0.55 mmol) を ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 260 μL (1.50 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 2/1→1/1) で精製して、無色固体のジペプチドB3を150 mg(83 %)得た。
得られたB3(125 mg、0.35 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物を得た。この油状物と、Boc-NMe-L-Ala-OH 70 mg (0.35 mmol)、HATU 145 mg (0.38 mmol) を ジクロロメタン 1 mL、DMF 0.4 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 181 μL (1.0 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (3 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (3 mL)、飽和食塩水 (3 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/2→0/1) で精製して、無色油状物のトリペプチド中間体エチルエステルB4を93 mg(60 %)得た。
(3)テルナチンの合成
以下の一連の反応によってテルナチンを合成した。
Figure 2009028248
Figure 2009028248
(2)で得られたB4(69 mg、0.16 mmol) を 1,4-ジオキサンに溶解し、0 ℃ に降温した。1 M 水酸化ナトリウム水溶液 0.5 mLを加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x 4) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しトリペプチド中間体B1を54 mg(84%)得た。Boc-テトラペプチドA5(51 mg、0.089 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物のテトラペプチド中間体A1を得た。
窒素雰囲気下、A1 , B1 を ジクロロメタン 0.5 mL、DMF 0.1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 46 μL (0.27 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→0/1→エーテル−酢酸エチル 1/1→) で精製して、無色固体のヘプタペプチド2を68 mg(88%)得た。
得られた2(4.1 mg、4.7 μmol)をTHF 0.1 mL、水 0.1 mL、t-BuOH 0.4 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 2.0 mg (47 μmol) を加えて 1.5 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しカルボン酸を得た。
得られたカルボン酸を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.1 mL を加えて 1.5 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物の環化前駆体を得た。
窒素雰囲気下、得られた環化前駆体、HATU 3.6 mg (9.4 μmol)、HOAt 1.3 mg (9.4 μmol) を ジクロロメタン 3.0 mL、DMF 0.1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 3.7 μL (21 μmol) を加えた後、0 ℃ で1時間攪拌した。その後、再び室温に昇温して 12 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、クロロホルム−メタノール 1/0→39/1→) で精製して、無色固体のテルナチン (1)を3.5 mg(100%、3 段階)得た。得られた 1 の 1H NMR 図を図1に示す。
テルナチン (1):1H H NMR (800 MHz,6D6)δ 7.95 7.95 (d, J = 9.2 Hz, 1 , 7.59 7.59 (d, J = 8.7 Hz, 1 H), 6.23 (d, J = 6.4 Hz, 1 H), 5.89 (d, J = 2.7 Hz, 1 H), 5.69 (q, J = 6.Hz, Hz, 1 H), 5.66 (q, J = 6.9 Hz, 1 H), 5.20 (td, J = 8.0, 2.0 Hz, 1 H), 5.17 (dd, 1H), 4.48 (dd, J = 6.9, 3.2 Hz, 1 H), 4.31 (dd, J = 10.1, 4.0 Hz, 1 H), 3.98 (dd, J = 9.4, 2.1 Hz, 1 H), 3.30 (s, 3 H), 2.79 (s, 3 H), 2.68 (s, 3 H), 2.60 (s, 3 H), 2.36 (m,H), ), 2.23 (m, 1 H), 2.12 (m, 1 H), 1.73-1.84 (m, 2 H), 1.64 (m, 1 H), 1.54 (d, J = 6.4 Hz, 3 H), 1.45 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.27 (d, J = 7.3 Hz, 3 H), 1.25 (m, 1 H), 1.25 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.18 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.01 (ddd, J = 13.3, 9.4, 4.1 Hz, 1), , 0.97 (d, J = 6.4 Hz, 3 H), 0.93 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 0.90 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 0.90 (m, 1 H), 0.79 (m, 1 H), 0.75 (d, J = 7.3 Hz, 3 H), 0.60 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 0.57 (t, J = 7.4 Hz, 3 H
13C C NMR (201 MHz,6D6)δ 174.6, 174.6, 174.5, 174.2, 172.7, 169.9168.8 168.8 (2 C), 76.0, 59.2, 56.3, 55.1, 52.3, 51.3, 49.8 (2 C), 40.5, 37.9, 33.7, 30.7, 30.2, 29.7, 29.4 (2 C), 26.7, 26.0, 25.3, 23.9, 23.3, 22.6, 21.3 (2 C), 15.9, 14.8, 14.2, 13.6, 13.1,11.
HRMS HRMS (FAB) calcd for37H67N7O8Na Na (M+N+ 760.4949, 760.4949, found 760922.
(4)B4aの合成
以下の一連の反応によってトリペプチド中間体メチルエステルB4aを合成した。トリペプチド中間体(B1a)はB4aを用時にアルカリ加水分解して得た。
Figure 2009028248
窒素雰囲気下、D-Ala-OMe・HCl (B2a) 180 mg (1.3 mmol)、Boc-NMe-D-Ala-OH 262 mg (1.3 mmol)、PyBroP 662 mg (1.4 mmol) を ジクロロメタン 2.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 674 μL (3.9 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 2/1→1/1) で精製して、無色固体のジペプチドB3aを306 mg(82%)得た。
得られたB3a(209 mg、0.72 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物を得た。この油状物と、Boc-NMe-L-Ala-OH 146 mg (0.72 mmol)、HATU 301 mg (0.79 mmol) を ジクロロメタン 1.3 mL、DMF 0.2 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 376 μL (2.2 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (3 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (3 mL)、飽和食塩水 (3 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→1/2→0/1) で精製して、無色油状物のトリペプチドB4aを140 mg(52%)得た。
(5)環状ヘプタペプチド(1a)の合成
以下の一連の反応によって環状ヘプタペプチド(1a)を合成した。
Figure 2009028248
Figure 2009028248
(4)で得られたトリペプチドB4a(38 mg、0.10 mmol)をTHF 0.5 mL、水 0.5 mL、t-BuOH 2.0 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 21 mg (0.50 mmol) を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しトリペプチド中間体B1aを得た。
Boc-テトラペプチドA5(55 mg、96 μmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.5 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物のテトラペプチド中間体A1を得た。窒素雰囲気下、A1、B1a、HATU 40 mg (0.10 mmol)、を ジクロロメタン 0.5 mL、DMF 0.1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 50 μL (0.29 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→1/2→0/1→エーテル−酢酸エチル 9/1→4/1) で精製して、無色固体のヘプタペプチド2aを81 mg(100%)得た。
得られた2a(48 mg、59 μmol)をTHF 0.25 mL、水 0.25 mL、t-BuOH 1.0 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 12 mg (0.30 mmol) を加えて 2.5 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しカルボン酸を得た。
得られたカルボン酸を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.5 mL を加えて 1.5 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物の環化前駆体を得た。
窒素雰囲気下、得られた環化前駆体、HATU 45 mg (0.12 mmol)、HOAt 16 mg (0.12 mmol) を ジクロロメタン 39 mL、DMF 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 46 μL (0.27 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 46 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (100 mL) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (15 mL)、飽和食塩水 (15 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、クロロホルム−メタノール 1/0→39/1→) で精製して、43 mg の粗精製物を得た。これを逆相高速液体クロマトグラフィー [Develosil [DevelosiODS HG-5 (φ 20×250 250 mm), 50アセトニトリル流速 5 5 mL/min, UV15 nm] nmにより精製すると環状ヘプタペプチド(1a)が24 mg(60%、3 段階)得られた。得られた 1a の 1H NMR 図を図2に示す。
(1a):major conformer, 1H H NMR600 00 MHz,6D6) δ 7.85 (d, J = 8.8 Hz, Hz1 H), 7.64 (d, J = 8.8 Hz, Hz1 H), 6.89 (br d, 1 H), 5.71 (q, J = 6.6 Hz, Hz1 H), 5.61 (q, J = 7.3 Hz, Hz1 H), 5.17 (m, 1 H), 5.07 (m, 1 H), 4.65 (t, J = 5.5 Hz, Hz1 H), 4.48 (m, 1 H), 4.31 (q, J = 7.3 Hz, Hz1 H), 3.27 (s, 3 H), 2.98 (s, 3 H), 2.70 (s, 3 H), 2.54 (s, 3 H), 2.32 (m, 1 H), 2.06 (m, 1 H), 1.81 (m, 1 H), 1.75 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 1.62 (m, 1 H), 1.56 (m, 1 H), 1.36 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 1.32-0.75 (m, 4 H), 1.27 (d, J = 7.3 Hz, Hz3 H), 1.09 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.99 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.95 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 0.93 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.85 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.78 (t, J = 7.4 Hz, Hz3 H), 0.77 (d, J = 7.3 Hz, Hz3 H);
13C NMR (150 MHz, C6D6)δ 174.8, 174.1, 173.7, 171.5, 169.9, 169.8, 169.4, 58.9, 53.7, 51.8, 51.4, 49.9, 49.7, 48.9, 40.2, 38.7, 35.7, 30.7, 29.8, 29.7, 29.6, 26.4, 25.8, 25.2, 23.8, 23.4, 22.6, 21.4, 20.0, 15.7, 14.6, 13.8, 13.3, 11.9.
(6)B4bの合成
以下の一連の反応によってトリペプチド中間体メチルエステルB4bを合成した。トリペプチド中間体(B1b)はB4bを用時にアルカリ加水分解して得た。
Figure 2009028248
窒素雰囲気下、D-Leu-OMe・HCl (B2b) 250 mg (1.4 mmol)、Boc-NMe-D-Ala-OH 262 mg (1.4 mmol)、HATU 577 mg (1.5 mmol) を ジクロロメタン 2.5 mL、DMF 0.2 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 1.35 μL (7.74 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 3 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/2) で精製して、無色固体のジペプチドB3bを350 mg(77%)得た。
得られたB3b(210 mg、0.64 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 1.5 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物を得た。この油状物と、Boc-NMe-L-Ala-OH 185 mg (0.91 mmol)、HATU 380 mg (1.0 mmol) を ジクロロメタン 1.5 mL、DMF 0.2 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 475 μL (2.7 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 2/1→1/1→0/1) で精製して、無色油状物のトリペプチドB4bを227 mg(85%)得た。
(7)環状ヘプタペプチド(1b)の合成
以下の一連の反応によって環状ヘプタペプチド(1b)を合成した。
Figure 2009028248
Figure 2009028248
(6)で得られたトリペプチドB4b(40 mg、0.10 mmol)をTHF 0.5 mL、水 0.5 mL、t-BuOH 2.0 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 20 mg (0.48 mmol) を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しトリペプチド中間体B1bを得た。
Boc-テトラペプチドA5(55 mg、96 μmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.5 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物のテトラペプチド中間体A1を得た。窒素雰囲気下、A1、B1b、HATU 40 mg (0.10 mmol)、を ジクロロメタン 0.5 mL、DMF 0.1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 50 μL (0.29 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 3 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→1/2→0/1→エーテル−酢酸エチル 9/1→) で精製して、無色ペースト状のヘプタペプチド2bを57 mg(70%)得た。
得られた2b(46 mg、54 μmol)をTHF 0.25 mL、水 0.25 mL、t-BuOH 1.0 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 11 mg (0.27 mmol) を加えて 2.5 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しカルボン酸を得た。
得られたカルボン酸を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.5 mL を加えて 1.5 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物の環化前駆体を得た。
窒素雰囲気下、得られた環化前駆体、HATU 41 mg (0.11 mmol)、HOAt 15 mg (0.11 mmol) を ジクロロメタン 36 mL、DMF 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 43 μL (0.24 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 46 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (100 mL) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (15 mL)、飽和食塩水 (15 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、クロロホルム−メタノール 1/0→39/1→) で精製して、43 mg の粗精製物を得た。これを逆相高速液体クロマトグラフィー [Develosil [DevelosiODS HG-5 (φ 20×250 250 mm), 50アセトニトリル流速 5 5 mL/min, UV15 nm] nmにより精製すると環状ヘプタペプチド(1b)が24 mg(60%、3 段階)得られた。得られた 1b の 1H NMR 図を図3に示す。
(1b):major conformer, 1H H NMR600 00 MHz,6D6) TM 8.04 (br d, 1 H), 7.94 (d, J = 8.4 Hz, Hz1 H), 7.20 (br s, 1 H), 5.75 (q, J = 6.6 Hz, Hz1 H), 5.61 (q, J = 7.3 Hz, Hz0 H), 5.20 (m, 2 H), 4.55 (m, 1 H), 4.47 (m, 1 H), 4.30 (q, J = 7.3 Hz, Hz1 H), 3.30 (s, 3 H), 2.98 (s, 3 H), 2.67 (s, 3 H), 2.60 (s, 3 H), 2.36 (m, 1 H), 2.23 (m, 1 H), 2.13 (m, 1 H), 2.00 (m, 2 H), 1.82 (m, 1 H), 1.77 (m, 1 H), 1.62 (m, 1 H), 1.56 (m, 1 H), 1.36 (d, J = 6.2 Hz, Hz3 H), 1.32-0.75 (m, 3 H), 1.28 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 1.24 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 1.16 (d, J = 6.5 Hz, Hz3 H), 1.15 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.99 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 0.98 (d, J = 6.5 Hz, Hz3 H), 0.92 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.83 (t, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 0.77 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H);
13C NMR (150 MHz, C6D6)δ 174.6, 174.2, 174.1, 171.4, 170.8, 169.9, 169.2, 59.1, 54.1, 52.3, 51.6, 51.5, 49.8, 49.7, 43.0, 40.4, 38.7, 35.4, 30.8, 30.0, 29.8, 29.7, 26.4, 25.8, 25.6, 25.4, 23.9, 23.5, 23.3, 23.2, 21.9, 21.3, 15.8, 14.8, 14.1, 13.1, 12.0.
(8)B4cの合成
以下の一連の反応によってトリペプチド中間体メチルエステルB4cを合成した。トリペプチド中間体(B1c)はB4cを用時にアルカリ加水分解して得た。
Figure 2009028248
窒素雰囲気下、D-Ser(OBn)-OMe・HCl (B2c) 231 mg (1.1 mmol)、Boc-NMe-D-Ala-OH 224 mg (1.1 mmol)、PyBroP 564 mg (1.2 mmol) を ジクロロメタン 2.1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 570 μL (3.3 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 1.5 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 4/1→2/1→1/1) で精製して、無色固体のジペプチドB3cを296 mg(68%)得た。
得られたB3c(122 mg、0.31 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 1.5 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物を得た。この油状物と、Boc-NMe-L-Ala-OH 63 mg (0.31 mmol)、HATU 129 mg (0.34 mmol) を ジクロロメタン 0.5 mL、DMF 0.1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 161 μL (0.93 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 3 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (3 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (3 mL)、飽和食塩水 (3 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→1/2→0/1) で精製して、無色油状物のトリペプチドB4cを94 mg(63%)得た。
(9)環状ヘプタペプチド(1c)の合成
以下の一連の反応によって環状ヘプタペプチド(1c)を合成した。
Figure 2009028248
Figure 2009028248
(8)で得られたトリペプチドB4c(60 mg、0.13 mmol)をTHF 0.5 mL、水 0.5 mL、t-BuOH 2.0 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 26 mg (0.63 mmol) を加えて 1 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しトリペプチド中間体B1cを得た。
Boc-テトラペプチドA5(66 mg、0.12 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.5 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物のテトラペプチド中間体A1を得た。窒素雰囲気下、A1、B1c、HATU 48 mg (0.13 mmol)、を ジクロロメタン 0.5 mL、DMF 0.1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 60 μL (0.35 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 3 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→4/6→3/7→0/1→エーテル−酢酸エチル 1/1→) で精製して、無色ペースト状のヘプタペプチド2cを92 mg(87%)得た。
得られた 2c(46 mg、50 μmol)をTHF 0.25 mL、水 0.25 mL、t-BuOH 1.0 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 10 mg (0.25 mmol) を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しカルボン酸を得た。
得られたカルボン酸を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.5 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物の環化前駆体を得た。
窒素雰囲気下、得られた環化前駆体、HATU 38 mg (0.10 mmol)、HOAt 14 mg (0.10 mmol) を ジクロロメタン 34 mL、DMF 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 40 μL (0.23 mmol) を加えた後再び室温に昇温して 45 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (100 mL) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (15 mL)、飽和食塩水 (15 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、クロロホルム−メタノール 1/0→39/1→) で精製して、43 mg の粗精製物を得た。これを逆相高速液体クロマトグラフィー [Develosil [DevelosiODS HG-5 (φ 20×250 250 mm),5% アセトニトリル流速 5 5 mL/min, UV15 nm] nmにより精製すると環状ヘプタペプチド(1c)が22 mg(56%、3 段階)得られた。得られた 1c の 1H NMR 図を図4に示す。
(1c):major conformer, 1H H NMR600 00 MHz,6D6)δ 7.60 (d, J = 7.7 Hz, Hz1 H), 7.53 (d, J = 8.8 Hz, Hz1 H), 7.46 (d, J = 7.3 Hz, Hz2 H), 7.19 (t, J = 7.3 Hz, Hz2 H), 7.10 (t, J = 7.3 Hz, Hz1 H), 6.82 (d, J = 8.5 Hz, Hz1 H), 5.75 (q, J = 6.6 Hz, Hz1 H), 5.65 (q, J = 7.3 Hz, Hz1 H), 5.22 (m, 1 H), 5.13 (m, 1 H), 4.86 (dd, J = 2.9, 8.4 Hz, Hz1 H), 4.79 (d, J = 11.0 Hz, Hz1 H), 4.55 (d, J = 11.0 Hz, Hz1 H), 4.52 (dd, J = 5.2, 10.3 Hz, Hz1 H), 4.38 (q, J = 7.7 Hz, Hz1 H), 4.04 (m, 1 H), 3.99 (m, 1 H), 3.26 (s, 3 H), 2.88 (s, 3 H), 2.74 (s, 3 H), 2.50 (s, 3 H), 2.25 (m, 1 H), 1.78 (m, 2 H), 1.64 (m, 1 H), 1.39 (m, 1 H), 1.31 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 1.25-0.75 (m, 3 H), 1.23 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 1.11 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.97 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.93 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.75 (d, J = 7.3 Hz, Hz3 H), 0.73 (t, J = 7.7 Hz, Hz3 H), 0.65 (d, J = 6.5 Hz, Hz3 H);
13C NMR (150 MHz, C6D6)δ 174.7, 174.1, 171.6, 171.5, 170.2, 169.8, 169.4, 138.1, 128.6, 128.59(2C), 2C), 128.52C), 73.8, 71.2, 58.4, 52.4, 52.2, 51.8, 51.1, 49.9, 49.6, 40.0, 38.0, 35.1, 30.1, 29.7, 29.6, 29.5, 26.9, 25.9, 25.1, 23.8, 23.4, 22.5, 21.3, 16.1, 14.1, 13.7, 13.3, 11.7.
(10)B4dの合成
以下の一連の反応によってトリペプチド中間体メチルエステルB4dを合成した。トリペプチド中間体(B1d)はB4dを用時にアルカリ加水分解して得た。
Figure 2009028248
窒素雰囲気下、Boc-D-Thr-OMe・HCl (B2d) 300 mg (1.3 mmol) をジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物を得た。この油状物と、Boc-NMe-D-Ala-OH 260 mg (1.3 mmol)、HATU 532 mg (1.4 mmol) を ジクロロメタン 1.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 668 μL (3.8 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→1/2→0/1) で精製して、無色固体のジペプチドB3dを231 mg(57%)得た。
得られたジペプチド(214 mg、0.67 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 1 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物を得た。この油状物と、Boc-NMe-L-Ala-OH 137 mg (0.67 mmol)、HATU 280 mg (0.73 mmol) を ジクロロメタン 1.5 mL、DMF 0.2 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 348 μL (2.0 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→1/2→0/1) で精製して、無色油状物のトリペプチドB4dを138 mg(51 %)得た。
(11)環状ヘプタペプチド(1d)の合成
以下の一連の反応によって環状ヘプタペプチド(1d)を合成した。
Figure 2009028248
Figure 2009028248
(10)で得られたトリペプチドB4d(55 mg、0.14 mmol)をTHF 0.5 mL、水 0.5 mL、t-BuOH 2.0 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 28 mg (0.68 mmol) を加えて 1.5 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しトリペプチド中間体B1dを得た。
Boc-テトラペプチドA5(78 mg、0.14 mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.5 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物のテトラペプチド中間体A1を得た。
窒素雰囲気下、A1、B1d、HATU 57 mg (0.15 mmol)、を ジクロロメタン 0.5 mL、DMF 0.1 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 71 μL (0.41 mmol) を加えた後、再び室温に昇温して 2 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (5 mL x 3) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)、飽和食塩水 (5 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、ヘキサン−エーテル 1/1→0/1→エーテル−酢酸エチル 9/1→5/1) で精製して、無色ペースト状のヘプタペプチド2dを74 mg(69%)得た。
得られた2d(53 mg、63μmol)をTHF 0.25 mL、水 0.25 mL、t-BuOH 1.0 mLに溶解した。水酸化リチウム一水和物 13 mg (0.31 mmol) を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を0.12 M 塩酸を加えて酸性 (< pH 3) にし、酢酸エチル (5 mL x3) で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮しカルボン酸を得た。
得られたカルボン酸を窒素雰囲気下、ジクロロメタン 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。反応溶液に TFA 0.5 mL を加えて 2 時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後トルエンで 3 回共沸して無色油状物の環化前駆体を得た。
窒素雰囲気下、得られた環化前駆体、HATU 48 mg (0.13 mmol)、HOAt 17 mg (0.13 mmol) を ジクロロメタン 42 mL、DMF 0.5 mL に溶解し、0 ℃ に降温した。ジイソプロピルエチルアミン 49 μL (0.28 mmol) を加えた後再び室温に昇温して 45 時間攪拌した。0.12 M 塩酸を加え反応を停止した。反応混合物を酢酸エチル (100 mL) で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (15 mL)、飽和食塩水 (15 mL x 2) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を減圧濃縮し、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー (シルカゲル、クロロホルム−メタノール 1/0→39/1→) で精製して、51 mg の粗精製物を得た。これを逆相高速液体クロマトグラフィー [Develosil [DevelosiODS HG-5 (φ20×250 250 mm)60% 0アセトニトリル流速 5 5 mL/min, UV15 nm] nmにより精製すると環状ヘプタペプチド(1d)が25 mg(56%、3 段階)得られた。得られた 1d の 1H NMR 図を図5に示す。
(1d):major conformer, 1H H NMR600 00 MHz,6D6)δ 7.74 (br, 1 H), 7.05 (d, J = 8.8 Hz, Hz1 H), 5.76 (q, J = 6.5 Hz, Hz1 H), 5.66 (q, J = 8.5 Hz, Hz1 H), 5.17 (m, 1 H), 5.11 (m, 1 H) 4.69 (dd, J = 3.7, 7.7 Hz, Hz1 H), 4.48 (m, 1H), 4.38 (m, 1 H), 4.35 (br, 1 H), 4.26 (q, J = 7.3 Hz, Hz1 H), 3.26 (s, 3 H), 2.89 (s, 3 H), 2.69 (s, 3 H), 2.53 (s, 3 H), 2.29 (ddd, J = 3.7, 11.7, 15.4 Hz, Hz1 H), 2.18 (m, 2 H), 1.79 (m, 1 H), 1.69 (m, 1 H), 1.61 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 1.42 (m, 1 H), 1.35 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 1.35-0.98 (m, 3H), 1.27 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 1.04 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 1.00 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.96 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.93 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 0.81 (d, J = 6.2 Hz, Hz3 H), 0.76 (d, J = 7.3 Hz, Hz3 H), 0.72 (t, J = 7.3 Hz, Hz3 H), an amide NH proton could not be specified;
13C NMR (150 MHz, C6D6)δ 174.6, 174.3, 171.8, 171.4, 169.9, 169.8, 169.5, 69.2, 59.0, 57.8, 53.3, 51.9, 51.2, 50.2, 49.9, 40.3, 37.8, 34.8, 30.6, 30.1, 29.6(2C), 2C)26.9, 25.9, 25.2, 23.6, 23.4, 23.3, 21.2, 18.5, 15.5, 14.2, 14.1, 13.2, 11.7.
(12)1eの合成
以下の反応によって環状ヘプタペプチド(1e)を合成した。
Figure 2009028248
窒素雰囲気下、1c(10 mg、12.7 mmol)と 5% Pd/C 10 mg をメタノール 1 mL に溶解した。系内を水素ガスで置換し、3.5 日間攪拌した。反応混合物をセライト濾過し、得られた濾液を減圧濃縮した。得られた油状物を逆相高速液体クロマトグラフィー [Develosil [DevelosiODS HG-5 (φ 20×250 25mm), mm)50% 0アセトニトリル流速 5 5 mL/min, UV15 nm] nmにより精製すると環状ヘプタペプチド(1e)が6.5 mg(74%)得られた。得られた 1e の 1H NMR 図を図6に示す。
(1e):major conformer, 1H H NMR600 00 MHz,6D6)δ 7.70 (d, J = 9.2 Hz, Hz1 H), 7.49 (d, J = 8.8 Hz, Hz1 H), 6.89 (d, J = 7.0 Hz, Hz1 H), 5.72 (q, J = 6.5 Hz, Hz1 H), 5.64 (q, J = 7.3 Hz, Hz1 H), 5.43 (m, 1 H), 5.28 (m, 1 H), 5.15 (m, 1 H), 4.60 (dd, J = 3.7, 7.0 Hz, Hz1 H), 4.37 (dd, J = 4.4, 11.0 Hz, Hz1 H), 4.32 (q, J = 7.3 Hz, Hz1 H), 4.16 (m, 1 H), 4.10 (dd, J = 7.0, 11.7 Hz, Hz1 H), 3.29 (s, 3 H), 2.85 (s, 3 H), 2.68 (s, 3 H), 2.51 (s, 3 H), 2.36 (m, 1 H), 2.17 (m, 1 H), 1.80 (m, 2 H), 1.61 (m, 1 H), 1.40 (m, 1 H), 1.29 (d, J = 6.2 Hz, Hz3 H), 1.25 (d, J = 7.0 Hz, Hz3 H), 1.24-0.74 (m, 12 H), 1.17 (d, J = 6.6 Hz, Hz3 H), 0.75 (d, J = 7.3 Hz, Hz3 H), 0.74 (d, J = 6.5 Hz, Hz3 H), 0.69 (t, J = 7.3 Hz, Hz3 H);
13C NMR (150 MHz, C6D6)δ 174.7, 174.3, 173.2, 172.5, 169.8, 169.2, 169.0, 64.1, 59.2, 54.7(2C), 51.9, 51.3, 49.9(2C), 40.6, 37.7, 34.2, 30.6, 29.7(2C), 29.5, 26.7, 26.1, 25.3, 23.8, 23.3, 22.5, 21.4, 15.8, 14.0, 13.8, 13.2, 11.7.
3.新規環状ヘプタペプチドの作用(前駆脂肪細胞の分化抑制、脂肪細胞の脂肪蓄積抑制作用)の評価
マウス由来前駆脂肪細胞(3T3-L1)は分化後、脂肪を蓄積する性質を有する。本試験は、インスリン等により3T3-L1前駆脂肪細胞の分化誘導を行い、同時に添加した被験化合物により前駆脂肪細胞の分化抑制、あるいは分化後の脂肪蓄積抑制の効果が現れることを、細胞中の脂肪量を測定して評価した。本試験において、被験化合物によって細胞が死滅するような場合は、一見脂肪蓄積率が低い良好な結果に見えてしまうおそれがある。この細胞毒性の有無を判断できるように、本試験には細胞生存率による評価を導入し、細胞毒性が弱く、かつ脂肪蓄積を強く抑制する化合物を効率良くアッセイできるように工夫した。また試験中随時、顕微鏡で脂肪の蓄積の様子を観察した。
96穴マイクロプレート2枚に、前駆脂肪細胞(3T3-L1)を培養用培地(10%牛胎児血清含有DMEM(グルコース濃度4500mg/mL))150μL中、コンフルエントに達するまで5%CO2存在下、37℃で2日間培養した。2枚とも同様に、培地を吸引除去し所定濃度の被験化合物を添加した分化誘導培地(10%牛胎児血清含有DMEM(グルコース濃度4500mg/mL)に1μM デキサメタゾン、10μg/mLインスリン及び0.5 mM mM-イソブチル-1-メチルキサンチンを溶解した培地)150 15μLに交換した。通常、被験化合物(1a、1b、1c、1d、1e)は200倍濃度のメタノール溶液として分化誘導培地1.5 1.5 に対して7.5 7.μL添加した。この時対照として分化誘導培地に交換しないウェルと試料溶液の代わりにメタノールのみを添加したウェルも準備した。5%CO2存在下、37℃で7日間培養し、1枚は脂肪量測定用、他の1枚は生存率測定用とした。
脂肪量測定用の1枚について、各ウェルに2%トライトン-X100を10μL添加し、30分間静置後シーリングテープ(朝日テクノグラス扱)を貼って超音波洗浄器上で1分間超音波をかけた。各ウェル内容液を20μLずつ採取し、トリグリセリドE-テストワコー(和光純薬工業製)の発色試薬を150μL分注した96穴マイクロプレートに添加して37℃で30分間培養後、プレートリーダーで吸光度(630nm、対照690nm)を測定した。化合物添加群の吸光度の化合物無添加群の吸光度に対する割合を百分率で求め、脂肪蓄積率とした。各試料の濃度に対する脂肪蓄積率を片対数グラフに表し、脂肪蓄積率が50%となる化合物濃度を読み取り、50%効果濃度(EC50)とした。各化合物について得られたEC50値を図7に示す。EC50値が小さいものほど、脂肪細胞の分化抑制効果または脂肪蓄積抑制効果が強いと見ることができる。
生存率測定用の1枚について、各ウェルにセルカウンティングキット-8(同仁化学研究所製)5μLを添加し、37℃で4時間培養後、プレートリーダーで吸光度(450nm)を測定した。化合物添加群の吸光度の化合物無添加群の吸光度に対する割合を百分率で求め、細胞生存率とした。各化合物の濃度に対する細胞生存率を片対数グラフに表し、細胞生存率が50%となる化合物濃度を読み取り、50%阻害濃度(IC50)とした。各化合物について得られたIC50値を図7に示す。IC50値が大きいものほど、脂肪細胞に対する毒性が弱いと見ることができる。
さらに化合物の有用性を評価するために、IC50/EC50値を求め図7に示した。この値は細胞に対する毒性が弱いほど、また分化抑制効果または脂肪蓄積抑制効果が強いほど大きな値となる。すなわちIC50/EC50値が大きいほど医薬としての安全性が高く、より優れていると見ることができる。
EC50の値より、新規化合物(1a、1b、1c、1d、1e)はいずれも脂肪細胞の分化抑制効果または脂肪蓄積抑制効果を良好に発揮することがわかる(図7)。また、新規化合物のIC50の値はテルナチンのそれよりも高く、細胞毒性が低いことがわかる(図7)。医薬としての安全性の指標となるIC50/EC50値に注目すれば、新規化合物はテルナチンと同等又はそれ以上に優れた化合物であるといえる(図7)。
本発明の環状ヘプタペプチドは前駆脂肪細胞の分化を抑制し、又は脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制することから肥満の予防又は治療(抑制、改善)に有用である。また、肥満の予防又は治療用の医薬を開発するためのリード化合物としても本発明の環状ヘプタペプチドは有用である。さらには、肥満細胞の分化機序や肥満蓄積機序の解明などを目的とした研究用の試薬としても本発明の環状ヘプタペプチドは有用である。加えて、有用な効果を引き出す作用点に働く試薬として利用可能であるから、作用機構解明のツールとしても本発明の環状ヘプタペプチドは有用である。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (6)

  1. 以下の式で表される環状へプタペプチド。
    Figure 2009028248
    但し、式中のRはCH3、CH2CH(CH3)2、CH2OCH2C6H5、CH(OH)CH3又はCH2OHである。
  2. 請求項1に記載の環状へプタペプチドからなる、前駆脂肪細胞の分化抑制剤。
  3. 請求項1に記載の環状へプタペプチドからなる、脂肪細胞の脂肪蓄積阻害剤。
  4. 請求項1に記載の環状へプタペプチドを有効成分として含有する組成物。
  5. 医薬、食品、又は化粧料である、請求項4に記載の組成物。
  6. 前駆脂肪細胞の分化抑制剤、脂肪細胞の脂肪蓄積阻害剤、医薬、食品、又は化粧料を製造するための、請求項1に記載の環状へプタペプチドの使用。
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