JP2023048160A - 破骨細胞分化抑制、筋肉量増加、運動機能改善、及び/又は筋力増強用組成物 - Google Patents
破骨細胞分化抑制、筋肉量増加、運動機能改善、及び/又は筋力増強用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023048160A JP2023048160A JP2022154218A JP2022154218A JP2023048160A JP 2023048160 A JP2023048160 A JP 2023048160A JP 2022154218 A JP2022154218 A JP 2022154218A JP 2022154218 A JP2022154218 A JP 2022154218A JP 2023048160 A JP2023048160 A JP 2023048160A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- peptide
- composition
- globin
- protein hydrolyzate
- globin protein
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
Abstract
【課題】破骨細胞分化抑制、筋肉量増加運動機能改善、及び/又は筋力増強用組成物を提供する。【解決手段】グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、破骨細胞分化抑制用組成物、骨吸収阻害用組成物及び/又は骨強度増強促進用組成物、ならびに筋肉量増加用組成物、運動機能改善用組成物及び/又は筋力増強用組成物を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、破骨細胞分化抑制、筋肉量増加運動機能改善、及び/又は筋力増強用組成物、並びにこれらの利用に関するものである。
骨粗しょう症は、骨がもろくて骨折しやすい状態になる病気である。骨の丈夫さを示す骨量は20歳頃に最大骨量に達する。その後、比較的安定に推移した後、加齢や性ホルモンの低下に伴い減少する。そのため、高齢になるほど骨粗しょう症になりやすく、特に女性に多い。骨粗しょう症の患者数は、日本では約1300万人で、そのうち8割が女性と言われている。骨粗しょう症により骨折のリスクが高まり、骨折は全身の骨で起こり得るから、骨粗しょう症は全身疾患で、重大な健康上の問題である。骨粗しょう症の発見と診断のためのスクリーニングとして、骨密度検査(例えば、超音波検査、DHA検査、X線検査など)、詳しい検査として、例えば、血液、尿検査などによる骨代謝マーカー検査がある。骨粗しょう症の予防と治療として、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質を摂取したり、適度な運動や日光浴を行ったりすることなどが挙げられる。また、骨折の原因となる転倒をしないよう対策を行うことが重要である。しかしながらこれらの予防と治療は必ずしも十分な効果を挙げない、又は満足すべきものではない。
また、近年、交通手段の発達、生活スタイルの変化、高齢化社会の進展に伴い、筋肉量や筋力の低下が大きな問題となっている。筋肉量や筋力の低下は、生活の質の低下のみならず、日常生活動作の低下、合併症の発生、介護負担の増加にも密接に関連している。筋肉の増強、すなわち、筋肉量や筋力の増加及び維持、さらには筋肉量や筋力の低下の抑制には、適切な栄養摂取と運動の両方が必要であるとされている。しかし、継続的に適切な栄養を摂取や運動を行うことは難しく、特に高齢者では、食欲の減退による摂食量の低下に加え、運動の機会が少ない上に、運動による筋肉量の増加効率も低下している。よって、筋肉量や筋力を維持することは、健康寿命を延ばす観点からも、非常に重要である。
また、近年、交通手段の発達、生活スタイルの変化、高齢化社会の進展に伴い、筋肉量や筋力の低下が大きな問題となっている。筋肉量や筋力の低下は、生活の質の低下のみならず、日常生活動作の低下、合併症の発生、介護負担の増加にも密接に関連している。筋肉の増強、すなわち、筋肉量や筋力の増加及び維持、さらには筋肉量や筋力の低下の抑制には、適切な栄養摂取と運動の両方が必要であるとされている。しかし、継続的に適切な栄養を摂取や運動を行うことは難しく、特に高齢者では、食欲の減退による摂食量の低下に加え、運動の機会が少ない上に、運動による筋肉量の増加効率も低下している。よって、筋肉量や筋力を維持することは、健康寿命を延ばす観点からも、非常に重要である。
社団法人日本整形外科学会 パンフレット「整形外科シリーズ 1 骨粗鬆症」 2010年
人を含む哺乳類の骨は、骨を作る「骨芽細胞」と骨を壊す「破骨細胞」により、新しく作りかえられることで、骨強度を維持している。しかし、加齢やホルモンバランスの乱れから、骨芽細胞と破骨細胞のバランスが崩れると、破骨細胞の働きが上回り、骨密度が低下し、骨粗しょう症となる。骨芽細胞を増やすか破骨細胞を減らすことが骨粗しょう症の治療を可能にするから、本発明者らは、骨前駆細胞から破骨細胞への分化を抑制することにより、骨粗しょう症の予防治療ができることに着想した。従って、本発明の課題は、破骨細胞への分化抑制用組成物(以下、破骨細胞分化抑制用組成物という)、骨吸収阻害用組成物及び/又は骨強度増強促進用組成物を提供することである。
また、本発明者らは、筋肉細胞への分化を促進することにより、筋肉量を増加させることができること、及び筋肉細胞内のカルシウムイオン放出を促進することにより筋力を増強できることに着想した。従って、本発明の課題は、筋肉量増加用組成物、運動機能改善用組成物及び/又は筋力増強用組成物を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、破骨細胞分化抑制用組成物。
[2]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、骨吸収阻害用組成物。
[3]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨強度増強促進用組成物。
[4]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする破骨細胞分化抑制用組成物。
[5]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨吸収阻害用組成物。
[6]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチドがグロビンタンパク質由来である、上記[3]~[5]のいずれか1つに記載の組成物。
[7]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋肉量増加用組成物。
[8]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、運動機能改善用組成物。
[9]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋力増強用組成物。
[10]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、バリン(Val)-スレオニン(Thr)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、トリプトファン(Trp)-スレオニン(Thr)-グルタミン(Gln)-アルギニン(Arg)で示されるペプチド又はバリン(Val)-バリン(Val)-チロシン(Tyr)-プロリン(Pro)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする筋肉量増加用組成物。
[11]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする運動機能改善用組成物。
[12]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、破骨細胞分化抑制剤。
[13]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、骨吸収阻害剤。
[14]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨強度増強促進剤。
[15]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチドがグロビンタンパク質由来である、上記[14]に記載の骨強度増強促進剤。
[16]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする破骨細胞分化抑制剤。
[17]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨吸収阻害剤。
[18]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋肉量増加剤。
[19]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、運動機能改善剤。
[20]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋力増強剤。
[21]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする筋肉量増加剤。
[22]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする運動機能改善剤。
[23]老化した被験動物に投与することを特徴とする、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物又は上記[12]~[22]に記載の剤。
[24]経口用組成物である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[25]飲食品である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[26]サプリメントである、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[27]食品添加物である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[28]化粧品である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[29]骨粗しょう症の予防及び/又は治療用組成物である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物。
[30]骨粗しょう症の予防及び/又は治療剤である、上記[12]~[17]のいずれか1つに記載の剤。
[31]骨粗しょう症リスク低減、骨の成分の維持、骨の健康の維持、歩く力の維持、骨密度の維持、骨密度を高める、骨代謝のはたらきを助ける、ひざの動きの改善、膝関節の柔軟性や可動性をサポート、関節軟骨の保護、軟骨障害又は関節疾患の予防及び/又は改善用、筋肉量、筋力又は筋持久力の維持、増強又は低下抑制用、必要な筋力の低下抑制、立つ・歩くための筋力の低下抑制、運動と併用することで筋肉を維持、筋肉の合成をサポート及び歩行機能の向上から選択される1以上の表示が付されている、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物、上記[12]~[23]のいずれか1つに記載の剤又は上記[24]~[28]のいずれか1つに記載の組成物。
[1]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、破骨細胞分化抑制用組成物。
[2]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、骨吸収阻害用組成物。
[3]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨強度増強促進用組成物。
[4]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする破骨細胞分化抑制用組成物。
[5]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨吸収阻害用組成物。
[6]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチドがグロビンタンパク質由来である、上記[3]~[5]のいずれか1つに記載の組成物。
[7]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋肉量増加用組成物。
[8]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、運動機能改善用組成物。
[9]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋力増強用組成物。
[10]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、バリン(Val)-スレオニン(Thr)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、トリプトファン(Trp)-スレオニン(Thr)-グルタミン(Gln)-アルギニン(Arg)で示されるペプチド又はバリン(Val)-バリン(Val)-チロシン(Tyr)-プロリン(Pro)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする筋肉量増加用組成物。
[11]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする運動機能改善用組成物。
[12]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、破骨細胞分化抑制剤。
[13]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、骨吸収阻害剤。
[14]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨強度増強促進剤。
[15]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチドがグロビンタンパク質由来である、上記[14]に記載の骨強度増強促進剤。
[16]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする破骨細胞分化抑制剤。
[17]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨吸収阻害剤。
[18]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋肉量増加剤。
[19]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、運動機能改善剤。
[20]グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋力増強剤。
[21]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする筋肉量増加剤。
[22]フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする運動機能改善剤。
[23]老化した被験動物に投与することを特徴とする、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物又は上記[12]~[22]に記載の剤。
[24]経口用組成物である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[25]飲食品である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[26]サプリメントである、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[27]食品添加物である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[28]化粧品である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物。
[29]骨粗しょう症の予防及び/又は治療用組成物である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物。
[30]骨粗しょう症の予防及び/又は治療剤である、上記[12]~[17]のいずれか1つに記載の剤。
[31]骨粗しょう症リスク低減、骨の成分の維持、骨の健康の維持、歩く力の維持、骨密度の維持、骨密度を高める、骨代謝のはたらきを助ける、ひざの動きの改善、膝関節の柔軟性や可動性をサポート、関節軟骨の保護、軟骨障害又は関節疾患の予防及び/又は改善用、筋肉量、筋力又は筋持久力の維持、増強又は低下抑制用、必要な筋力の低下抑制、立つ・歩くための筋力の低下抑制、運動と併用することで筋肉を維持、筋肉の合成をサポート及び歩行機能の向上から選択される1以上の表示が付されている、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の組成物、上記[12]~[23]のいずれか1つに記載の剤又は上記[24]~[28]のいずれか1つに記載の組成物。
本発明によれば、破骨細胞分化抑制用組成物、骨吸収阻害用組成物及び/又は骨強度増強促進用組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、筋肉量増加用組成物、運動機能改善用組成物、及び/又は筋力増強用組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、筋肉量増加用組成物、運動機能改善用組成物、及び/又は筋力増強用組成物を提供することができる。
グロビンタンパク分解物
本発明のグロビンタンパク分解物(以下、「グロビンタンパク分解物」、「METAP」のように示す場合もある。)とは、血中の蛋白質であるグロビンを適当な方法、例えばトリプシン等のプロテアーゼの利用、酸による加水分解等を行って調製した部分加水分解物をいい、公知の方法に従って調製することができる。このグロビンタンパクの供給源は特に限定されず、魚類、牛、豚、羊、鶏、馬、ヒト等の血液成分から得ることができる。また、ペプチド固相合成とペプチド連結反応を組み合わせてタンパク質を作るタンパク質化学合成法等の化学的手段により作製されたグロビンタンパクを供給源として用いてもよい。また、グロビンタンパク分解物の市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、METAP(登録商標)(エムジーファーマ社製)、メタップ(登録商標)(エムジーファーマ社製)などが挙げられる。グロビンタンパク分解物は、フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるトリペプチド(以下、「FESペプチド」と示す場合もある。)、ロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるテトラペプチド(配列番号1で示され、以下、「LSELペプチド」と示す場合もある。)、バリン(Val)-バリン(Val)-チロシン(Tyr)-プロリン(Pro)で示されるテトラペプチド(配列番号2で示され、以下、「VVYPペプチド」と示す場合もある。)、トリプトファン(Trp)-スレオニン(Thr)-グルタミン(Gln)-アルギニン(Arg)で示されるテトラペプチド(配列番号3で示され、以下、「WTQRペプチド」と示す場合もある。)、トリプトファン(Trp)-グリシン(Gly)-リシン(Lys)で示されるトリペプチド(以下、「WGKペプチド」と示す場合もある)、及びバリン(Val)-スレオニン(Thr)-ロイシン(Leu)で示されるトリペプチド(以下、「VTLペプチド」と示す場合もある。)から選択される1以上のペプチドを含んでいてもよい。グロビンタンパク分解物は、FESペプチドLSELペプチド、VTLペプチド、VVYPペプチド及び/又はWTQRペプチドを含有することが好ましく、FESペプチドを含有すること、FESペプチド及びLSELペプチドを含有すること、WTQRペプチド、VTLペプチド及びFESペプチドを含むこと又はWTQRペプチド及びVVYPペプチドを含むことがより好ましい。
本発明のグロビンタンパク分解物(以下、「グロビンタンパク分解物」、「METAP」のように示す場合もある。)とは、血中の蛋白質であるグロビンを適当な方法、例えばトリプシン等のプロテアーゼの利用、酸による加水分解等を行って調製した部分加水分解物をいい、公知の方法に従って調製することができる。このグロビンタンパクの供給源は特に限定されず、魚類、牛、豚、羊、鶏、馬、ヒト等の血液成分から得ることができる。また、ペプチド固相合成とペプチド連結反応を組み合わせてタンパク質を作るタンパク質化学合成法等の化学的手段により作製されたグロビンタンパクを供給源として用いてもよい。また、グロビンタンパク分解物の市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、METAP(登録商標)(エムジーファーマ社製)、メタップ(登録商標)(エムジーファーマ社製)などが挙げられる。グロビンタンパク分解物は、フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるトリペプチド(以下、「FESペプチド」と示す場合もある。)、ロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるテトラペプチド(配列番号1で示され、以下、「LSELペプチド」と示す場合もある。)、バリン(Val)-バリン(Val)-チロシン(Tyr)-プロリン(Pro)で示されるテトラペプチド(配列番号2で示され、以下、「VVYPペプチド」と示す場合もある。)、トリプトファン(Trp)-スレオニン(Thr)-グルタミン(Gln)-アルギニン(Arg)で示されるテトラペプチド(配列番号3で示され、以下、「WTQRペプチド」と示す場合もある。)、トリプトファン(Trp)-グリシン(Gly)-リシン(Lys)で示されるトリペプチド(以下、「WGKペプチド」と示す場合もある)、及びバリン(Val)-スレオニン(Thr)-ロイシン(Leu)で示されるトリペプチド(以下、「VTLペプチド」と示す場合もある。)から選択される1以上のペプチドを含んでいてもよい。グロビンタンパク分解物は、FESペプチドLSELペプチド、VTLペプチド、VVYPペプチド及び/又はWTQRペプチドを含有することが好ましく、FESペプチドを含有すること、FESペプチド及びLSELペプチドを含有すること、WTQRペプチド、VTLペプチド及びFESペプチドを含むこと又はWTQRペプチド及びVVYPペプチドを含むことがより好ましい。
ペプチド
本発明におけるペプチドは、破骨細胞分化抑制活性、骨吸収阻害活性及び/又は骨強度増強促進活性を有する。本発明における破骨細胞分化抑制活性、骨吸収阻害活性及び/又は骨強度増強促進活性を有するペプチドは、FESペプチド及び/又はLSELペプチドを含むことが好ましい。
また、本発明におけるペプチドは、筋肉量増加活性、運動機能改善活性、及び/又は筋力増強活性を有する。筋肉量増加活性、運動機能改善活性、及び/又は筋力増強活性を有するペプチドは、FESペプチド、VTLペプチド、VVYPペプチド及び/又はWTQRペプチドを含有することが好ましく、FESペプチドを含むこと、WTQRペプチド、VTLペプチド及びFESペプチドを含むこと又はWTQRペプチド及びVVYPペプチドを含むことがより好ましい。
本発明におけるペプチドの由来は、特に限定されないが、例えば、グロビンタンパク分解物由来のものが例として挙げられる。
本発明におけるペプチドは、破骨細胞分化抑制活性、骨吸収阻害活性及び/又は骨強度増強促進活性を有する。本発明における破骨細胞分化抑制活性、骨吸収阻害活性及び/又は骨強度増強促進活性を有するペプチドは、FESペプチド及び/又はLSELペプチドを含むことが好ましい。
また、本発明におけるペプチドは、筋肉量増加活性、運動機能改善活性、及び/又は筋力増強活性を有する。筋肉量増加活性、運動機能改善活性、及び/又は筋力増強活性を有するペプチドは、FESペプチド、VTLペプチド、VVYPペプチド及び/又はWTQRペプチドを含有することが好ましく、FESペプチドを含むこと、WTQRペプチド、VTLペプチド及びFESペプチドを含むこと又はWTQRペプチド及びVVYPペプチドを含むことがより好ましい。
本発明におけるペプチドの由来は、特に限定されないが、例えば、グロビンタンパク分解物由来のものが例として挙げられる。
エステル又はアミド
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドがそのエステルである場合、アミノ酸配列で示されるペプチドのC末端が、(-COOR)で示され、Rとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル若しくはn-ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル若しくはα-ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル若しくはフェネチルなどのフェニル-C1-2アルキル基又はα-ナフチルメチルなどのα-ナフチル-C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが挙げられる。アミド体としては、アミド、C1-6アルキル基の1つ又は2つで置換されたアミド、フェニル基で置換されたC1-6のアルキル基の1つ又は2つで置換されたアミド、アミド基の窒素原子を含んで5から7員環のアザシクロアルカンを形成するアミド等が挙げられる。
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドがそのアミドである場合、アミノ酸配列で示されるペプチドのC末端が、アミド、C1-6アルキル基の1つ又は2つで置換されたアミド、フェニル基で置換されたC1-6のアルキル基の1つ又は2つで置換されたアミド、アミド基の窒素原子を含んで5から7員環のアザシクロアルカンを形成するアミド等が挙げられる。
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドがC末端以外にカルボキシル基を有している場合、それらの基がアミド化又はエステル化されているものも本発明におけるグロビンタンパク分解物若しくはペプチドのアミド又は本発明におけるグロビンタンパク分解物若しくはペプチドのエステルに含まれる。
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドがそのエステルである場合、アミノ酸配列で示されるペプチドのC末端が、(-COOR)で示され、Rとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル若しくはn-ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル若しくはα-ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル若しくはフェネチルなどのフェニル-C1-2アルキル基又はα-ナフチルメチルなどのα-ナフチル-C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが挙げられる。アミド体としては、アミド、C1-6アルキル基の1つ又は2つで置換されたアミド、フェニル基で置換されたC1-6のアルキル基の1つ又は2つで置換されたアミド、アミド基の窒素原子を含んで5から7員環のアザシクロアルカンを形成するアミド等が挙げられる。
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドがそのアミドである場合、アミノ酸配列で示されるペプチドのC末端が、アミド、C1-6アルキル基の1つ又は2つで置換されたアミド、フェニル基で置換されたC1-6のアルキル基の1つ又は2つで置換されたアミド、アミド基の窒素原子を含んで5から7員環のアザシクロアルカンを形成するアミド等が挙げられる。
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドがC末端以外にカルボキシル基を有している場合、それらの基がアミド化又はエステル化されているものも本発明におけるグロビンタンパク分解物若しくはペプチドのアミド又は本発明におけるグロビンタンパク分解物若しくはペプチドのエステルに含まれる。
誘導体
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドは、破骨細胞分化抑制作用、骨吸収阻害作用、骨強度増強促進作用、筋肉量増加作用、運動機能改善作用、及び筋力増強作用から選択される1以上の作用を失しない限り、その誘導体であってもよく、そのような誘導体として、例えば、N末端のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、N末端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、-OH、-SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているものも含まれる。
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドは、破骨細胞分化抑制作用、骨吸収阻害作用、骨強度増強促進作用、筋肉量増加作用、運動機能改善作用、及び筋力増強作用から選択される1以上の作用を失しない限り、その誘導体であってもよく、そのような誘導体として、例えば、N末端のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、N末端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、-OH、-SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているものも含まれる。
側鎖の置換
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドは、破骨細胞分化抑制作用、骨吸収阻害作用、骨強度増強促進作用、筋肉量増加作用、運動機能改善作用、及び筋力増強作用から選択される1以上の作用を失しない限り、側鎖が任意の置換基で修飾されていてもよい。置換基は特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、リン酸基などが挙げられる。また、側鎖の置換基は、保護基で保護されていてもよい。さらに、糖鎖が結合した糖ペプチド、アミノ酸に脂肪酸が結合したペプチドであってもよい。
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドは、破骨細胞分化抑制作用、骨吸収阻害作用、骨強度増強促進作用、筋肉量増加作用、運動機能改善作用、及び筋力増強作用から選択される1以上の作用を失しない限り、側鎖が任意の置換基で修飾されていてもよい。置換基は特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、リン酸基などが挙げられる。また、側鎖の置換基は、保護基で保護されていてもよい。さらに、糖鎖が結合した糖ペプチド、アミノ酸に脂肪酸が結合したペプチドであってもよい。
塩
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドは、破骨細胞分化抑制作用、骨吸収阻害作用、骨強度増強促進作用、筋肉量増加作用、運動機能改善作用、及び筋力増強作用から選択される1以上の作用を失しない限り、その塩であってもよく、薬学的に許容される塩が好ましい。例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;並びにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、t-ブチルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、アルギニンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、オレイン酸、パルチミン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
本発明におけるグロビンタンパク分解物又はペプチドは、破骨細胞分化抑制作用、骨吸収阻害作用、骨強度増強促進作用、筋肉量増加作用、運動機能改善作用、及び筋力増強作用から選択される1以上の作用を失しない限り、その塩であってもよく、薬学的に許容される塩が好ましい。例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;並びにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、t-ブチルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、アルギニンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、オレイン酸、パルチミン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
本願発明におけるペプチドは、常法により得ることができる。例えば、グロビンタンパク質を酸又は塩基で加水分解することによって、グロビンタンパク分解物を得る。例えば、その後、グロビンタンパク分解物を精製することによって、本発明におけるペプチドの精製品が得られる。この精製工程は公知の精製工程を採用することができる。例えば、イオン交換樹脂法、限外濾過法、逆相クロマトグラフィー法等を適宜組み合わせて、本発明のペプチドを包含するフラクションを精製することができる。イオン交換樹脂法や限外濾過法による操作は必ずしも必須のものではないが、分離・精製度を向上させ得るという観点から分離・精製工程に組み入れるのが好ましい。また、逆相クロマトグラフィーは、酸性下における逆相クロマトグラフィーと中性下における逆相クロマトグラフィーとを組み合わせて行うのが好ましい。
フラクション中のタンパク量、ペプチド量又はアミノ酸量は、公知のタンパク、ペプチド又はアミノ酸定量法、例えばニンヒドリン法等によって測定することが可能である。また、選別したフラクションのアミノ酸配列は、公知の方法により同定することができ、それによって本発明のペプチドの存在を確認することができる。
このように分離したフラクションに由来する本発明のペプチドは、本願発明の組成物の有効成分として用いることができる。
このように分離したフラクションに由来する本発明のペプチドは、本願発明の組成物の有効成分として用いることができる。
ペプチドの合成法としては、従来既に種々のものが充分に確立されていて、本発明のペプチドの製法もそのような自体公知の方法に従って容易に製造できる。例えば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、カルボイミダゾール法、酸化還元法、DCC-アディディブ(HOMB,HOBt,HOSu)法等のペプチド合成法を例示することができる。これらのペプチド合成法は、固相合成法又は液相合成法のいずれによっても行うことができる。
上記ペプチド合成法では、側鎖官能基を有するアミノ酸、例えばチロシンやスレオニンは、当該側鎖官能基を保護しておくのが好ましい。保護基としては、公知の保護基、例えばベンジルオキシカルボニル基(Cbz-)、t-ブトキシカルボニル基(Boc-)、ベンジル基(Bz-)等を用いることができる。この保護基は、本発明のペプチドの合成工程において、ペプチド結合形成後に、公知の方法により脱保護を行うことができる。ペプチド合成技術は従来十分に確立されているので、本発明においてもそれに従ってよい。
得られたグロビンタンパク分解物又はペプチドが破骨細胞分化抑制活性を有することを確認するために、細胞分化を測定する公知の方法から適宜選択した試験系において、破骨細胞前駆細胞に特定の刺激を与えた場合に、グロビンタンパク分解物又はペプチドを添加した群と添加していない群とを比較して、グロビンタンパク分解物又はペプチドを添加した群の方が破骨細胞への分化レベルが低いことを確認すればよい。例えば、マウスマクロファージ由来細胞(例えば、RAW264.7細胞)に、グロビンタンパク分解物又はペプチドを添加した場合と添加していない場合を比較して、刺激(例えば、sRANKL投与(オリエンタル酵母工業株式会社製))による破骨細胞への分化の程度を染色(例えば、Tartrate-Resistant Acid Phosphatase染色)することにより破骨細胞への分化の程度を比較することにより評価することができる。また、得られたグロビンタンパク分解物又はペプチド単独での破骨細胞への分化抑制活性と、他の破骨細胞分化抑制作用を有する物質、骨芽細胞分化促進作用を有する物質、骨芽細胞増殖作用を有する物質等(例えば、BonePep)と併用した場合の破骨細胞への分化抑制活性を比較することによっても、得られたグロビンタンパク分解物又はペプチドの破骨細胞への分化抑制活性を評価することができる。
得られたグロビンタンパク分解物又はペプチドが骨吸収阻害活性を有することを確認するために、例えば、細胞分化を測定する公知の方法から適宜選択した試験系において、破骨細胞前駆細胞に特定の刺激を与えた場合に、グロビンタンパク分解物又はペプチドを添加した群と添加していない群とを比較して、グロビンタンパク分解物又はペプチドを添加した群の方が破骨細胞への分化レベルが低いことを確認すればよい。例えば、マウスマクロファージ由来細胞(例えば、RAW264.7細胞)に、グロビン蛋白分解物又はペプチドを添加した群と添加していない群を作成し、刺激(例えば、sRANKL投与(オリエンタル酵母工業株式会社製))による破骨細胞分化後、培養上清を回収し、細胞を除去し、蛍光顕微鏡を用いて破骨細胞による底面のカルシウムの浸食を画像化し、この浸食領域を比較することにより評価することができる。グロビンタンパク分解物又はペプチドを添加した群と添加していない群とを比較して、グロビンタンパク分解物又はペプチドを添加した群の方が、浸食領域が減少していれば、破骨細胞への分化が阻害され、骨吸収が阻害されていると評価することができる。
得られたグロビンタンパク分解物又はペプチドが骨強度増強促進活性を有することを確認するために、例えば、被験動物を用いて、グロビンタンパク分解物又はペプチドを投与した群と投与していない群とを比較して、公知の方法によって骨強度を測定し、グロビンタンパク分解物又はペプチドを投与した群の方が、骨強度が高いことを確認すればよい。また、破骨細胞分化抑制活性又は骨吸収阻害活性を有するということは、骨芽細胞の働きに対して破骨細胞の働きが上回ることを抑制し、骨密度の低下を抑制し、骨強度の増強を促進していることになるから、破骨細胞分化抑制活性又は骨吸収阻害活性を確認することで、間接的に骨強度増強促進活性を有することを確認することもできる。
得られたグロビンタンパク分解物又はペプチドが筋肉量増加活性を有することを確認するために、例えば被験動物又は細胞を用いて、グロビンタンパク分解物又はペプチドを投与した群と投与していない群とを比較して、筋肉細胞分化促進関連遺伝子(例えば、Ucp2、Pax3等)の発現量が増加していること、筋肉細胞分化抑制遺伝子(例えば、Mstn、MyoG等)の発現量が減少していること、筋若しくは筋繊維が肥大していること、筋芽細胞から骨格筋細胞への分化が促進されていること、又は筋芽細胞が増殖していることを確認すればよい。
得られたグロビンタンパク分解物又はペプチドが運動機能改善活性を有することは、例えば公知の方法から適宜選択した従来公知の試験系において、被験動物を用いて、グロビンタンパク分解物又はペプチドを投与した群と投与していない群とを比較して、運動速度、加速度、移動範囲、移動距離を数値化し、それらの数値から総合的に判断することができる。
得られたグロビンタンパク分解物又はペプチドが筋力増強活性を有することを確認するために、例えば、被験動物又は細胞を用いて、グロビンタンパク分解物又はペプチドを投与した群と投与していない群とを比較して、公知の方法によって筋力を測定し、グロビンタンパク分解物又はペプチドを投与した群の方が、筋力が高いことを確認すればよい。また、筋細胞内のカルシウムイオンの放出が促進されると、筋肉の収縮が促進することにより、筋力が向上することになるから、細胞内(例えば、筋芽細胞内)のカルシウムイオン濃度の変化を測定することで、筋力増強活性を有することを確認することができる。
破骨細胞分化抑制用組成物、骨吸収阻害用組成物、骨強度増強促進用組成物、筋肉量増加用組成物、運動機能改善用組成物、筋力増強用組成物
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する破骨細胞分化抑制用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは破骨細胞分化抑制活性を有するため、破骨細胞分化抑制用組成物の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する骨吸収阻害用組成物を提供する。本発明のペプチドは骨吸収阻害活性を有するため、骨吸収阻害用組成物の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する骨強度増強促進用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは骨強度増強促進活性を有するため、骨強度増強促進用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する筋肉量増加用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは筋肉量増加作用を有するため、筋肉量増加用組成物の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する運動機能改善用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは運動機能改善作用を有するため、運動機能改善用組成物の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する筋力増強用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは筋力増強作用を有するため、筋力増強用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する破骨細胞分化抑制用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは破骨細胞分化抑制活性を有するため、破骨細胞分化抑制用組成物の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する骨吸収阻害用組成物を提供する。本発明のペプチドは骨吸収阻害活性を有するため、骨吸収阻害用組成物の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する骨強度増強促進用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは骨強度増強促進活性を有するため、骨強度増強促進用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する筋肉量増加用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは筋肉量増加作用を有するため、筋肉量増加用組成物の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する運動機能改善用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは運動機能改善作用を有するため、運動機能改善用組成物の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する筋力増強用組成物を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは筋力増強作用を有するため、筋力増強用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
破骨細胞分化抑制剤、骨吸収阻害剤、骨強度増強促進剤、筋肉量増加剤、運動機能改善剤、筋力増強剤
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する破骨細胞分化抑制剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは破骨細胞分化抑制活性を有するため、破骨細胞分化抑制剤の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する骨吸収阻害剤を提供する。本発明のペプチドは骨吸収阻害活性を有するため、骨吸収阻害剤の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する骨強度増強促進剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは骨強度増強促進活性を有するため、骨強度増強促進剤の有効成分として好適に用いることができる。
また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する筋肉量増加剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは筋肉量増加作用を有するため、筋肉量増加剤の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する運動機能改善剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは運動機能改善作用を有するため、運動機能改善剤の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する筋力増強剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは筋力増強作用を有するため、筋力増強剤の有効成分として好適に用いることができる。上記した本発明の各種剤は、上記した組成物のみならず、上記したグロビンタンパク分解物又は上記したペプチド自体であってもよい。
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する破骨細胞分化抑制剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは破骨細胞分化抑制活性を有するため、破骨細胞分化抑制剤の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する骨吸収阻害剤を提供する。本発明のペプチドは骨吸収阻害活性を有するため、骨吸収阻害剤の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する骨強度増強促進剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは骨強度増強促進活性を有するため、骨強度増強促進剤の有効成分として好適に用いることができる。
また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する筋肉量増加剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは筋肉量増加作用を有するため、筋肉量増加剤の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する運動機能改善剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは運動機能改善作用を有するため、運動機能改善剤の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する筋力増強剤を提供する。本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは筋力増強作用を有するため、筋力増強剤の有効成分として好適に用いることができる。上記した本発明の各種剤は、上記した組成物のみならず、上記したグロビンタンパク分解物又は上記したペプチド自体であってもよい。
本発明のペプチド、そのエステル、そのアミド、その誘導体又はその塩は、元のペプチドの特性が保持される限り、D-アミノ酸を含んでもよい。また、本発明のペプチド、そのエステル、そのアミド、その誘導体又はその塩は、元のペプチドの特性が保持される限り、ペプチドに他の物質を連結してもよい。ペプチドに連結可能な他の物質としては、例えば、他のペプチド、脂質、糖又は糖鎖、アセチル基、天然又は合成のポリマー等が挙げられる。また、本発明のペプチド、そのエステル、そのアミド、その誘導体又はその塩は、元のペプチドの特性が保持される限り、ペプチドに、糖鎖付加、側鎖酸化、リン酸化等の修飾を行ってもよい。さらに、本発明のペプチド、そのエステル、そのアミド、その誘導体又はその塩は、生体に摂取された後、生体内で上記したグロビンタンパク分解物又は上記したペプチドに変化するならどのようなものであってもよい。
経口組成物
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する組成物を提供する。限定はされないが、本発明の組成物は経口組成物が好ましい。「経口組成物」とは、飲食品、医薬品、又は医薬部外品としてそのまま使用されるものであってもよく、あるいはこれらの製造の為の原料として用いられるものであってもよい。「飲食品」とは、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品、老人用食品、特別用途食品、健康補助食品、サプリメントもしくは製菓錠剤等の食品用製剤、及び飲料を含む。
本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは、破骨細胞分化抑制活性、骨吸収阻害活性、及び/又は骨強度増強促進活性を有するため、破骨細胞分化抑制用経口組成物、骨吸収阻害用経口組成物、及び/又は骨強度増強促進用経口組成物として使用することができる。本発明の破骨細胞分化抑制用経口組成物、骨吸収阻害用経口組成物、及び/又は骨強度増強促進用経口組成物は、例えば破骨細胞の形成を阻害して、所望の細胞の維持、増殖及び分化を調整する骨吸収調整剤、破骨細胞関連疾患の予防及び/又は治療剤等として使用することができる。ここでいう骨吸収調整剤とは、生体内での破骨細胞の形成を阻害することにより骨吸収を正常な域に調整して、比較的軽微な関節痛などの体調不良を改善する経口組成物を包含する。また、ここでいう破骨細胞関連疾患の予防及び/又は治療剤とは、生体内での破骨細胞の過剰な形成及び/又は機能に伴う疾患を予防及び/又は治療するための経口組成物を包含するものであり、その様な疾患としては、例えば、高カルシウム血症、破骨細胞腫、ペーチェット病、骨肉腫、関節症、慢性関節リウマチ、変形性骨炎、原発性甲状腺機能亢進症、骨減少症、骨粗しょう症等を挙げることができる。また、本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは、筋肉量増加活性、運動機能改善活性、及び/又は筋力増強活性を有するため、筋肉量増加用経口組成物、運動機能改善用経口組成物、及び/又は筋力増強用経口組成物として使用することができる。本発明の筋肉量増加用経口組成物、運動機能改善用経口組成物、又は筋力増強用経口組成物は、例えば筋肉細胞分化促進剤、筋肥大増加剤、筋力増強剤等として使用することができる。投与される対象としては、筋肉量、運動機能、若しくは筋力の低下をきたす可能性がある対象又は筋肉量、運動機能、若しくは筋力の低下をきたしている対象であってもよい。
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する組成物を提供する。限定はされないが、本発明の組成物は経口組成物が好ましい。「経口組成物」とは、飲食品、医薬品、又は医薬部外品としてそのまま使用されるものであってもよく、あるいはこれらの製造の為の原料として用いられるものであってもよい。「飲食品」とは、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品、老人用食品、特別用途食品、健康補助食品、サプリメントもしくは製菓錠剤等の食品用製剤、及び飲料を含む。
本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは、破骨細胞分化抑制活性、骨吸収阻害活性、及び/又は骨強度増強促進活性を有するため、破骨細胞分化抑制用経口組成物、骨吸収阻害用経口組成物、及び/又は骨強度増強促進用経口組成物として使用することができる。本発明の破骨細胞分化抑制用経口組成物、骨吸収阻害用経口組成物、及び/又は骨強度増強促進用経口組成物は、例えば破骨細胞の形成を阻害して、所望の細胞の維持、増殖及び分化を調整する骨吸収調整剤、破骨細胞関連疾患の予防及び/又は治療剤等として使用することができる。ここでいう骨吸収調整剤とは、生体内での破骨細胞の形成を阻害することにより骨吸収を正常な域に調整して、比較的軽微な関節痛などの体調不良を改善する経口組成物を包含する。また、ここでいう破骨細胞関連疾患の予防及び/又は治療剤とは、生体内での破骨細胞の過剰な形成及び/又は機能に伴う疾患を予防及び/又は治療するための経口組成物を包含するものであり、その様な疾患としては、例えば、高カルシウム血症、破骨細胞腫、ペーチェット病、骨肉腫、関節症、慢性関節リウマチ、変形性骨炎、原発性甲状腺機能亢進症、骨減少症、骨粗しょう症等を挙げることができる。また、本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチドは、筋肉量増加活性、運動機能改善活性、及び/又は筋力増強活性を有するため、筋肉量増加用経口組成物、運動機能改善用経口組成物、及び/又は筋力増強用経口組成物として使用することができる。本発明の筋肉量増加用経口組成物、運動機能改善用経口組成物、又は筋力増強用経口組成物は、例えば筋肉細胞分化促進剤、筋肥大増加剤、筋力増強剤等として使用することができる。投与される対象としては、筋肉量、運動機能、若しくは筋力の低下をきたす可能性がある対象又は筋肉量、運動機能、若しくは筋力の低下をきたしている対象であってもよい。
本発明の経口組成物は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを有効成分とし、医薬製剤等の製造法として公知の方法(例えば、日本薬局方に記載の方法等)に従って、薬学的に許容される担体又は添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、口腔内崩壊錠、バッカル錠等を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、放出制御製剤(例、速放性製剤、徐放性製剤、徐放性マイクロカプセル剤)が挙げられる。また、本発明の経口組成物が飲食品である場合、形態は特に限定されない。上記錠剤等の形態の他、例えば茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料、そば、うどん、中華麺、即席麺等の麺類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子及びパン類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊等のレトルトパウチ食品、アイスクリーム、シャーベット、かき氷等の冷菓、水、お湯、牛乳等に溶解又は懸濁させて使用される粉末製品などを挙げることができる。また、本発明は、他の飲食品素材と混合して多種の飲食品に応用することができる。他の飲食品素材の例としては、特に限定はされないが、茶成分などが挙げられる。茶成分としては、緑茶成分、紅茶成分等が挙げられ、中でもエピガロカテキンガレート(EGCG)が好ましい。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機又は無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。結合剤の好適な例としては、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。溶剤の好適な例としては、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、などの界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤などが好ましく用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は通常の製剤業務(例えば有効成分を注射用水、天然植物油等の溶媒に溶解又は懸濁させる等)に従って調製することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO-50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などを添加剤として配合してもよい。
本発明の経口組成物は、性別や年齢に関係なく摂取することができ、さらに、疾病者に用いることもできるが、特には、骨の健康が気になる健常者や、筋肉量、筋力又は筋持久力が気になる健常者が摂取することが望ましい。例えば、機能性表示食品や健康食品における表示として、限定はされないが、骨粗しょう症リスク低減、骨の成分の維持、骨の健康の維持、歩く力の維持、骨密度の維持、骨密度を高める、骨代謝のはたらきを助ける、ひざの動きの改善、膝関節の柔軟性や可動性をサポート、関節軟骨の保護、軟骨障害又は関節疾患の予防及び/又は改善用、筋肉量、筋力又は筋持久力の維持、増強又は低下抑制用、必要な筋力の低下抑制、立つ・歩くための筋力の低下抑制、運動と併用することで筋肉を維持、筋肉の合成をサポート、歩行機能の向上等が好適である。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)、魚類に対して投与することができる。また、投与対象が老化していても良い。
本発明の経口組成物は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチド等を製剤全量に対して通常0.01~100%(w/w)、好ましくは0.1~95%(w/w)、より好ましくは1~50%(w/w)の割合で添加することにより、常法に従って製造することができる。
投与量は、投与対象、症状、投与ルートなどにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、体重約60kgのヒトにおいては、1日当たり約0.1~100mg、好ましくは約0.5~50mg、より好ましくは約1~200mgであり、1日当たり3mg、6mg、7.5mgなどであってもよい。1日当たりの総投与量は、単一投与量であっても分割投与量であってもよい。分割投与である場合、1日1~3回が好ましく、1日1~2回がより好ましく、1日1回がさらに好ましい。
投与間隔は特に限定されない。継続的に投与してもよい。通常は1日間~1年間、好ましくは、1週間~3ヶ月間である。
本発明の経口組成物は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、本発明のグロビンタンパク分解物又はペプチド等を製剤全量に対して通常0.01~100%(w/w)、好ましくは0.1~95%(w/w)、より好ましくは1~50%(w/w)の割合で添加することにより、常法に従って製造することができる。
投与量は、投与対象、症状、投与ルートなどにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、体重約60kgのヒトにおいては、1日当たり約0.1~100mg、好ましくは約0.5~50mg、より好ましくは約1~200mgであり、1日当たり3mg、6mg、7.5mgなどであってもよい。1日当たりの総投与量は、単一投与量であっても分割投与量であってもよい。分割投与である場合、1日1~3回が好ましく、1日1~2回がより好ましく、1日1回がさらに好ましい。
投与間隔は特に限定されない。継続的に投与してもよい。通常は1日間~1年間、好ましくは、1週間~3ヶ月間である。
食品添加物
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する食品添加物を提供する。本発明の食品添加物は、骨形成促進用食品添加物として、また、軟骨障害又は関節疾患の予防及び/又は改善用食品添加物として好適である。また、本発明は、筋肉量増加用食品添加物、運動機能改善用食品添加物及び/又は筋力増強用食品添加物として好適である。
本発明の食品添加物の形態は特に限定されないが、例えば、液状、ペースト状、粉末状、フレーク状、顆粒状等が挙げられる。本発明の食品添加物は、一般的な食品添加物の製造方法に従って又は準じて製造することができる。
さらに、本発明のペプチド等を含有する飼料又は飼料添加物としても実施することができる。
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する食品添加物を提供する。本発明の食品添加物は、骨形成促進用食品添加物として、また、軟骨障害又は関節疾患の予防及び/又は改善用食品添加物として好適である。また、本発明は、筋肉量増加用食品添加物、運動機能改善用食品添加物及び/又は筋力増強用食品添加物として好適である。
本発明の食品添加物の形態は特に限定されないが、例えば、液状、ペースト状、粉末状、フレーク状、顆粒状等が挙げられる。本発明の食品添加物は、一般的な食品添加物の製造方法に従って又は準じて製造することができる。
さらに、本発明のペプチド等を含有する飼料又は飼料添加物としても実施することができる。
化粧品
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する化粧品を提供する。本発明の化粧品は、骨形成促進用化粧品として、また、軟骨障害又は関節疾患の予防及び/又は改善用化粧品として好適である。また、本発明は、筋肉量増加用化粧品、運動機能改善用化粧品、筋力増強用化粧品として好適である。化粧品には、いわゆる薬用化粧品(医薬部外品)が含まれる。化粧品としては、例えば、洗浄剤、シャンプー、リンス、ヘアートニック、ヘアーローション、アフターシェーブローション、ボディーローション、化粧ローション、クレンジングクリーム、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、エアゾール製品、消臭剤、芳香剤、脱臭剤又は入浴剤などを挙げることができる。本発明の化粧品は、本発明のペプチド以外に化粧品として一般に使用されている成分、例えば、界面活性剤、保湿剤、動植物由来油脂、シリコーン類、高級アルコール、低級アルコール、動植物由来抽出エキス、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、ビタミン類、酸化防止剤、増粘剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、着色剤、各種香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
本発明は、グロビンタンパク分解物又はペプチドを含有する化粧品を提供する。本発明の化粧品は、骨形成促進用化粧品として、また、軟骨障害又は関節疾患の予防及び/又は改善用化粧品として好適である。また、本発明は、筋肉量増加用化粧品、運動機能改善用化粧品、筋力増強用化粧品として好適である。化粧品には、いわゆる薬用化粧品(医薬部外品)が含まれる。化粧品としては、例えば、洗浄剤、シャンプー、リンス、ヘアートニック、ヘアーローション、アフターシェーブローション、ボディーローション、化粧ローション、クレンジングクリーム、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、エアゾール製品、消臭剤、芳香剤、脱臭剤又は入浴剤などを挙げることができる。本発明の化粧品は、本発明のペプチド以外に化粧品として一般に使用されている成分、例えば、界面活性剤、保湿剤、動植物由来油脂、シリコーン類、高級アルコール、低級アルコール、動植物由来抽出エキス、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、ビタミン類、酸化防止剤、増粘剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、着色剤、各種香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
本発明には、さらに以下の発明が含まれる。
(a)破骨細胞分化抑制用、骨吸収阻害用、骨強度増強促進用、筋肉量増加用、運動機能改善用、筋力増強用、骨吸収調整用又は破骨細胞関連疾患の予防若しくは改善用の医薬を製造するための、上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の使用。
(b)破骨細胞分化抑制、骨吸収阻害、骨強度増強促進、筋肉量増加、運動機能改善、筋力増強、骨吸収調整又は破骨細胞関連疾患の予防若しくは改善のための、上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩。
(c)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする破骨細胞分化抑制方法。
(d)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする骨吸収阻害方法。
(e)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする骨強度増強促進方法。
(f)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする筋肉量増加方法。
(g)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする運動機能改善方法。
(h)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする筋力増強方法。
(i)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする骨吸収調整方法。
(j)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする破骨細胞関連疾患の予防又は改善方法。
(k)破骨細胞分化抑制、骨吸収阻害、骨強度増強促進、筋肉量増加、運動機能改善、筋力増強、骨吸収調整又は破骨細胞関連疾患の予防若しくは改善において使用する上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩。
(l)破骨細胞分化抑制、骨吸収阻害、骨強度増強促進、筋肉量増加、運動機能改善、筋力増強、骨吸収調整又は破骨細胞関連疾患の予防若しくは改善のための、上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の使用。
(a)破骨細胞分化抑制用、骨吸収阻害用、骨強度増強促進用、筋肉量増加用、運動機能改善用、筋力増強用、骨吸収調整用又は破骨細胞関連疾患の予防若しくは改善用の医薬を製造するための、上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の使用。
(b)破骨細胞分化抑制、骨吸収阻害、骨強度増強促進、筋肉量増加、運動機能改善、筋力増強、骨吸収調整又は破骨細胞関連疾患の予防若しくは改善のための、上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩。
(c)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする破骨細胞分化抑制方法。
(d)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする骨吸収阻害方法。
(e)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする骨強度増強促進方法。
(f)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする筋肉量増加方法。
(g)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする運動機能改善方法。
(h)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする筋力増強方法。
(i)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする骨吸収調整方法。
(j)哺乳動物に対して上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の有効量を投与することを特徴とする破骨細胞関連疾患の予防又は改善方法。
(k)破骨細胞分化抑制、骨吸収阻害、骨強度増強促進、筋肉量増加、運動機能改善、筋力増強、骨吸収調整又は破骨細胞関連疾患の予防若しくは改善において使用する上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩。
(l)破骨細胞分化抑制、骨吸収阻害、骨強度増強促進、筋肉量増加、運動機能改善、筋力増強、骨吸収調整又は破骨細胞関連疾患の予防若しくは改善のための、上記本発明のグロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩の使用。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、統計処理は、2群間のものはStudent’s t-test、複数群のものは、One-way ANOVAを用いて行った。
〔実施例1:グロビンタンパク分解物の破骨細胞分化抑制活性の検討〕
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞を1000細胞/ウェル、96ウェルプレートに播種し、sRANKL(100ng/mL、オリエンタル酵母工業株式会社製)投与による分化開始1日前より、培養液(α-minimum essential medium + 10(v/v)% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に10μg/mL グロビンタンパク分解物(METAP;エムジーファーマ社製)添加群、グロビンタンパク分解物及びFESペプチド不含有生体由来成分(sRANKL)添加群(以下、「Vehicle」、「(-)」と示す場合もある。)、及び不添加群(培養液のみのコントロール)の3群に分け、グロビンタンパク分解物添加群にはsRANKL投与1日前から分化開始後6日目まで、グロビンタンパク分解物を添加し続けた。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に、破骨細胞を特異的に検出するTartrate-Resistant Acid Phosphatase染色をTRAP染色キット(コスモ・バイオ社製)を用いて実施し、染色像を顕微鏡(BZ-X710、キーエンス社製)で撮影した。多核で不定形かつ巨大な細胞が成熟した破骨細胞であり、RAW264.7細胞から破骨細胞へ分化しなかった細胞は色がなく、分化が未熟な破骨細胞はサイズが小さい。各ウェルの赤色をImageJソフトウェアを用いて定量し、分化の程度を評価した。結果を図1及び表1に示した。図1及び表1から明らかなように、Vehicle群と比較して、グロビンタンパク分解物添加群では、破骨細胞への分化が抑制され、グロビンタンパク分解物の破骨細胞分化抑制活性が認められた。
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞を1000細胞/ウェル、96ウェルプレートに播種し、sRANKL(100ng/mL、オリエンタル酵母工業株式会社製)投与による分化開始1日前より、培養液(α-minimum essential medium + 10(v/v)% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に10μg/mL グロビンタンパク分解物(METAP;エムジーファーマ社製)添加群、グロビンタンパク分解物及びFESペプチド不含有生体由来成分(sRANKL)添加群(以下、「Vehicle」、「(-)」と示す場合もある。)、及び不添加群(培養液のみのコントロール)の3群に分け、グロビンタンパク分解物添加群にはsRANKL投与1日前から分化開始後6日目まで、グロビンタンパク分解物を添加し続けた。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に、破骨細胞を特異的に検出するTartrate-Resistant Acid Phosphatase染色をTRAP染色キット(コスモ・バイオ社製)を用いて実施し、染色像を顕微鏡(BZ-X710、キーエンス社製)で撮影した。多核で不定形かつ巨大な細胞が成熟した破骨細胞であり、RAW264.7細胞から破骨細胞へ分化しなかった細胞は色がなく、分化が未熟な破骨細胞はサイズが小さい。各ウェルの赤色をImageJソフトウェアを用いて定量し、分化の程度を評価した。結果を図1及び表1に示した。図1及び表1から明らかなように、Vehicle群と比較して、グロビンタンパク分解物添加群では、破骨細胞への分化が抑制され、グロビンタンパク分解物の破骨細胞分化抑制活性が認められた。
〔実施例2:ペプチドの破骨細胞分化抑制活性の検討〕
実施例2以降において使用した各ペプチドは、GenScript社にて合成した。マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞を1000細胞/ウェル、96ウェルプレートに播種し、sRANKL(100ng/mL、オリエンタル酵母工業株式会社製)投与による分化開始1日前より、培養液(α-minimum essential medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に、10μg/mL グロビンタンパク分解物(METAP;エムジーファーマ社製)添加群、グロビンタンパク分解物中含有量の高い各ペプチド添加群(7群、添加量については下記表2参照)、グロビンタンパク分解物及び各ペプチド不含有生体由来成分(sRANKL)添加群((-)群)、及び不添加群(培養液のみのコントロール群)の10群に分け、METAP添加群又は各ペプチド添加群にはsRANKL投与1日前から分化開始後6日目まで、METAP又は各ペプチドを添加し続けた。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に、破骨細胞を特異的に検出するTartrate-Resistant Acid Phosphatase染色をTRAP染色キット(コスモ・バイオ社製)を用いて実施し、染色像を顕微鏡(BZ-X710、キーエンス社製)で撮影した。多核で不定形かつ巨大な細胞が成熟した破骨細胞であり、分化しなかった細胞は色がなく、分化が未熟な破骨細胞はサイズが小さい。各ウェルの赤色をImageJソフトウェアを用いて定量し、分化の程度を評価した。結果を図2、3及び表2に示した。図2、3及び表2から明らかなように、(-)群と比較して、10μg/mL METAP添加群、10μg/mL LSEL添加群、及び1μg/mL FES添加群では、有意に破骨細胞への分化が抑制され、破骨細胞分化抑制活性が認められた。図3において、10μg/mL METAP添加群がより優れた破骨細胞分化抑制活性を示しているのは、METAPがFES及びLSELを含有するためと考えられる。
実施例2以降において使用した各ペプチドは、GenScript社にて合成した。マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞を1000細胞/ウェル、96ウェルプレートに播種し、sRANKL(100ng/mL、オリエンタル酵母工業株式会社製)投与による分化開始1日前より、培養液(α-minimum essential medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に、10μg/mL グロビンタンパク分解物(METAP;エムジーファーマ社製)添加群、グロビンタンパク分解物中含有量の高い各ペプチド添加群(7群、添加量については下記表2参照)、グロビンタンパク分解物及び各ペプチド不含有生体由来成分(sRANKL)添加群((-)群)、及び不添加群(培養液のみのコントロール群)の10群に分け、METAP添加群又は各ペプチド添加群にはsRANKL投与1日前から分化開始後6日目まで、METAP又は各ペプチドを添加し続けた。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に、破骨細胞を特異的に検出するTartrate-Resistant Acid Phosphatase染色をTRAP染色キット(コスモ・バイオ社製)を用いて実施し、染色像を顕微鏡(BZ-X710、キーエンス社製)で撮影した。多核で不定形かつ巨大な細胞が成熟した破骨細胞であり、分化しなかった細胞は色がなく、分化が未熟な破骨細胞はサイズが小さい。各ウェルの赤色をImageJソフトウェアを用いて定量し、分化の程度を評価した。結果を図2、3及び表2に示した。図2、3及び表2から明らかなように、(-)群と比較して、10μg/mL METAP添加群、10μg/mL LSEL添加群、及び1μg/mL FES添加群では、有意に破骨細胞への分化が抑制され、破骨細胞分化抑制活性が認められた。図3において、10μg/mL METAP添加群がより優れた破骨細胞分化抑制活性を示しているのは、METAPがFES及びLSELを含有するためと考えられる。
〔実施例3:卵黄由来のペプチドとグロビンタンパク分解物の併用効果の検討〕
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞をウェル当たり1000細胞ずつ96ウェルプレートに播種し、sRANKL(100ng/mL、オリエンタル酵母工業株式会社製)投与による分化開始1日前より、グロビンタンパク分解物(METAP、0,0.1,1.10μg/mL、エムジーファーマ社製)と卵黄由来ペプチド(bonepep、ファーマフーズ社製、0, 0.1, 1, 10 μg/mL)を培養液(α-minimum essential medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に添加し、各ペプチドをsRANKL投与1日前から分化開始後6日目まで、添加し続けた。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に、破骨細胞を特異的に検出するTartrate-Resistant Acid Phosphatase染色を実施し、染色像を顕微鏡撮影(BZ-X710、キーエンス社製)を用いて撮影した。Tartrate-Resistant Acid Phosphatase染色はTRAP染色キット(コスモ・バイオ社製)を用いて行った。多核で不定形かつ巨大な細胞が成熟した破骨細胞であり、分化しなかった細胞は色がなく、分化が未熟な破骨細胞はサイズが小さい。各ウェルの赤色をImageJソフトウェアを用いて定量し、分化の程度を評価した。結果を図4及び5に示した。図4及び5から明らかなように、グロビンタンパク分解物単独の場合又は、卵黄由来ペプチド単独の場合と比較して、グロビンタンパク分解物及び卵黄由来ペプチドを併用した場合の方が、より破骨細胞への分化が抑制され、より破骨細胞分化抑制活性が認められた。以上の結果から、BonePepは、グロビンタンパク分解物の破骨細胞分化抑制作用を増強することが示された。
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞をウェル当たり1000細胞ずつ96ウェルプレートに播種し、sRANKL(100ng/mL、オリエンタル酵母工業株式会社製)投与による分化開始1日前より、グロビンタンパク分解物(METAP、0,0.1,1.10μg/mL、エムジーファーマ社製)と卵黄由来ペプチド(bonepep、ファーマフーズ社製、0, 0.1, 1, 10 μg/mL)を培養液(α-minimum essential medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に添加し、各ペプチドをsRANKL投与1日前から分化開始後6日目まで、添加し続けた。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に、破骨細胞を特異的に検出するTartrate-Resistant Acid Phosphatase染色を実施し、染色像を顕微鏡撮影(BZ-X710、キーエンス社製)を用いて撮影した。Tartrate-Resistant Acid Phosphatase染色はTRAP染色キット(コスモ・バイオ社製)を用いて行った。多核で不定形かつ巨大な細胞が成熟した破骨細胞であり、分化しなかった細胞は色がなく、分化が未熟な破骨細胞はサイズが小さい。各ウェルの赤色をImageJソフトウェアを用いて定量し、分化の程度を評価した。結果を図4及び5に示した。図4及び5から明らかなように、グロビンタンパク分解物単独の場合又は、卵黄由来ペプチド単独の場合と比較して、グロビンタンパク分解物及び卵黄由来ペプチドを併用した場合の方が、より破骨細胞への分化が抑制され、より破骨細胞分化抑制活性が認められた。以上の結果から、BonePepは、グロビンタンパク分解物の破骨細胞分化抑制作用を増強することが示された。
〔実施例4:ゼブラフィッシュにおけるグロビンタンパク分解物及びFESペプチドの破骨細胞への分化抑制活性の検討〕
破骨細胞特異的GFP発現ゼブラフィッシュ系統(Kobayashi-Sun. Uptake of osteoblast-derived extracellular vesicles promotes the differentiation of osteoclasts in the zebrafish scale. Communications Biology 2020, 3, doi:10.1038/s42003-020-0925-1.)の鱗を一部除去し、プレドニゾロン(25μM)を飼育水に添加することにより、再生鱗に破骨細胞を誘導する試験系(Zang, L.Q. 10-Gingerol Suppresses Osteoclastogenesis in RAW264.7 Cells and Zebrafish Osteoporotic Scales. Frontiers in Cell and Developmental Biology 2021, 9, doi:10.3389/fcell.2021.588093.及びPasqualetti, S. Alendronate rescued osteoporotic phenotype in a model of glucocorticoid-induced osteoporosis in adult zebrafish scale. International Journal of Experimental Pathology 2015, 96, 11-20, doi:10.1111/iep.12106.)を用いた。鱗を左側腹部の尾部より1/3領域を除去し、翌日よりプレドニゾロンを飼育水中に投与し、同時にグロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製)又はFESペプチドを含むグルテン餌を給餌し、1週間飼育した。グロビンタンパク分解物又はFESペプチドを含むグルテン餌の調製方法は過去の論文(Zang, L. A novel protocol for the oral administration of test chemicals to adult zebrafish. Zebrafish 2011, 8, 203-210, doi:10.1089/zeb.2011.0726.)を踏襲した。給餌量は、グロビンタンパク分解物の量は、400mg/Kg体重/day、FESは40mg/Kg体重/dayとなるように給餌した。試験開始1週間後、蛍光顕微鏡(BZ-X710、キーエンス社製)を用いて撮影し、GFP蛍光を呈示する破骨細胞の数を計測した。プレドニゾロン添加飼育並びにグロビンタンパク分解物及びFESペプチド不含有グルテン餌給餌群をコントロール群、プレドニゾロン非添加飼育及びグロビンタンパク分解物及びFESペプチド不含有グルテン餌給餌群をノーマル群とした。結果を図6及び7及び表3に示す。図6及び7から明らかなように、コントロール群と比較して、グロビンタンパク分解物投与群では、蛍光を呈示する破骨細胞の数が有意に減少した。また、表3の結果から明らかなように、FESペプチド投与群においても、コントロール群と比較して、蛍光を呈示する破骨細胞の数が有意に減少した。尚、表3におけるAv.は、平均値を意味する。以上の結果から、グロビンタンパク分解物及びFESペプチドは、ゼブラフィッシュにおいても破骨細胞分化抑制作用を有することが示された。
破骨細胞特異的GFP発現ゼブラフィッシュ系統(Kobayashi-Sun. Uptake of osteoblast-derived extracellular vesicles promotes the differentiation of osteoclasts in the zebrafish scale. Communications Biology 2020, 3, doi:10.1038/s42003-020-0925-1.)の鱗を一部除去し、プレドニゾロン(25μM)を飼育水に添加することにより、再生鱗に破骨細胞を誘導する試験系(Zang, L.Q. 10-Gingerol Suppresses Osteoclastogenesis in RAW264.7 Cells and Zebrafish Osteoporotic Scales. Frontiers in Cell and Developmental Biology 2021, 9, doi:10.3389/fcell.2021.588093.及びPasqualetti, S. Alendronate rescued osteoporotic phenotype in a model of glucocorticoid-induced osteoporosis in adult zebrafish scale. International Journal of Experimental Pathology 2015, 96, 11-20, doi:10.1111/iep.12106.)を用いた。鱗を左側腹部の尾部より1/3領域を除去し、翌日よりプレドニゾロンを飼育水中に投与し、同時にグロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製)又はFESペプチドを含むグルテン餌を給餌し、1週間飼育した。グロビンタンパク分解物又はFESペプチドを含むグルテン餌の調製方法は過去の論文(Zang, L. A novel protocol for the oral administration of test chemicals to adult zebrafish. Zebrafish 2011, 8, 203-210, doi:10.1089/zeb.2011.0726.)を踏襲した。給餌量は、グロビンタンパク分解物の量は、400mg/Kg体重/day、FESは40mg/Kg体重/dayとなるように給餌した。試験開始1週間後、蛍光顕微鏡(BZ-X710、キーエンス社製)を用いて撮影し、GFP蛍光を呈示する破骨細胞の数を計測した。プレドニゾロン添加飼育並びにグロビンタンパク分解物及びFESペプチド不含有グルテン餌給餌群をコントロール群、プレドニゾロン非添加飼育及びグロビンタンパク分解物及びFESペプチド不含有グルテン餌給餌群をノーマル群とした。結果を図6及び7及び表3に示す。図6及び7から明らかなように、コントロール群と比較して、グロビンタンパク分解物投与群では、蛍光を呈示する破骨細胞の数が有意に減少した。また、表3の結果から明らかなように、FESペプチド投与群においても、コントロール群と比較して、蛍光を呈示する破骨細胞の数が有意に減少した。尚、表3におけるAv.は、平均値を意味する。以上の結果から、グロビンタンパク分解物及びFESペプチドは、ゼブラフィッシュにおいても破骨細胞分化抑制作用を有することが示された。
〔実施例5:グロビンタンパク分解物及びFESペプチドの骨吸収阻害活性の検討〕
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞をBone Resorption Assay 24(コスモバイオ社製)内に培養し、グロビンタンパク分解物(METAP、10μg/mL、エムジーファーマ社製)とFESペプチド(1μg/mL)を培養液(α-minimum essential medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に添加し、1日間培養し、その後前述のようにsRANKL(100ng/mL)で破骨細胞への分化を誘導した。sRANKL投与後もグロビンタンパク分解物とFESペプチドを添加し続け、培養液は1日おきに交換した。また、グロビンタンパク分解物及びFESペプチド不含有生体由来成分(sRANKL)添加群をVehicleとし、不添加群(培養液のみ)をコントロールとした。分化開始後6日目に培養上清を回収、細胞を5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて除去し、蛍光顕微鏡(BZ-X710、キーエンス社製)を用いて破骨細胞による底面のカルシウムの浸食を画像化した。その後、培養上清に含まれるfluoresceinamine-labeled chondroitin sulfate量をARVO X2マイクロプレートリーダーを用いて定量し、破骨細胞の骨吸収量とした。結果を図8及び9に示す。図8の結果から、矢印の先にあるような小さい穴が少なくなっていることより、破骨細胞によってリン酸カルシウムが吸収されている領域が減少しており、破骨細胞への分化が阻害され、骨吸収が阻害されていることが示された。また、図9の結果から明らかなように、Vehicleに対し、グロビンタンパク分解物投与群及びFES投与群では、有意に、培養上清に含まれる蛍光コンドロイチン量が減少した。したがって、グロビンタンパク分解物投与群及びFES投与群は、骨吸収を阻害することが示された。
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞をBone Resorption Assay 24(コスモバイオ社製)内に培養し、グロビンタンパク分解物(METAP、10μg/mL、エムジーファーマ社製)とFESペプチド(1μg/mL)を培養液(α-minimum essential medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に添加し、1日間培養し、その後前述のようにsRANKL(100ng/mL)で破骨細胞への分化を誘導した。sRANKL投与後もグロビンタンパク分解物とFESペプチドを添加し続け、培養液は1日おきに交換した。また、グロビンタンパク分解物及びFESペプチド不含有生体由来成分(sRANKL)添加群をVehicleとし、不添加群(培養液のみ)をコントロールとした。分化開始後6日目に培養上清を回収、細胞を5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて除去し、蛍光顕微鏡(BZ-X710、キーエンス社製)を用いて破骨細胞による底面のカルシウムの浸食を画像化した。その後、培養上清に含まれるfluoresceinamine-labeled chondroitin sulfate量をARVO X2マイクロプレートリーダーを用いて定量し、破骨細胞の骨吸収量とした。結果を図8及び9に示す。図8の結果から、矢印の先にあるような小さい穴が少なくなっていることより、破骨細胞によってリン酸カルシウムが吸収されている領域が減少しており、破骨細胞への分化が阻害され、骨吸収が阻害されていることが示された。また、図9の結果から明らかなように、Vehicleに対し、グロビンタンパク分解物投与群及びFES投与群では、有意に、培養上清に含まれる蛍光コンドロイチン量が減少した。したがって、グロビンタンパク分解物投与群及びFES投与群は、骨吸収を阻害することが示された。
〔実施例6:グロビンタンパク分解物の活性酸素除去作用の検討〕
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞にsRANKLを投与直後、活性酸素が急速に上昇し破骨細胞分化への最初のステップが開始される。RAW264.7細胞をウェル当たり1000細胞ずつ96ウェルプレートに播種し、sRANKL(100ng/mL)投与による分化開始1日前より、グロビンタンパク分解物(METAP、100μg/mL、エムジーファーマ社製)を培養液(α-minimum essential medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に添加した。翌日sRANKL(100ng/mL)と活性酸素検出試薬CellRox Orange(5μM)を同時投与した。30分間CO2インキュベータ(37度)で培養したのち、D-PBSで3回洗浄、赤色蛍光を発する細胞を顕微鏡撮影(BZ-X710、キーエンス社製)を用いて撮影した。各ウェルの赤色蛍光量をImageJソフトウェアを用いて定量し、活性酸素量として数値化した。結果を図10及び11に示す。図10及び11の結果から、Vehicle群と比較して、グロビンタンパク分解物投与群は、活性酸素の発生量が有意に減少していることが示された。
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞にsRANKLを投与直後、活性酸素が急速に上昇し破骨細胞分化への最初のステップが開始される。RAW264.7細胞をウェル当たり1000細胞ずつ96ウェルプレートに播種し、sRANKL(100ng/mL)投与による分化開始1日前より、グロビンタンパク分解物(METAP、100μg/mL、エムジーファーマ社製)を培養液(α-minimum essential medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に添加した。翌日sRANKL(100ng/mL)と活性酸素検出試薬CellRox Orange(5μM)を同時投与した。30分間CO2インキュベータ(37度)で培養したのち、D-PBSで3回洗浄、赤色蛍光を発する細胞を顕微鏡撮影(BZ-X710、キーエンス社製)を用いて撮影した。各ウェルの赤色蛍光量をImageJソフトウェアを用いて定量し、活性酸素量として数値化した。結果を図10及び11に示す。図10及び11の結果から、Vehicle群と比較して、グロビンタンパク分解物投与群は、活性酸素の発生量が有意に減少していることが示された。
〔実施例7:グロビンタンパク分解物の筋肉量増加作用の検討〕
ICR系統の雄マウスを、2.5質量% グロビンタンパク分解物含有高脂肪食投与群(HFD+グロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製))、高脂肪食投与群(HFD、58Y1(リッチモンド社製))及び普通食投与群(ND、CE-7(日本クレア株式会社製))の3群に分けて、経口投与し、2週間飼育し、その後骨格筋組織を回収し、Trizol(キアゲン社製)を用いてtotal RNAを抽出し、ReverTra Ace qPCR RT kit(東洋紡社製)を用いて通常の方法でcDNAを合成した。その後、Power SYBR Green Master Mix(アプライドバイオシステムズ社製)とABI Stepone Plus Real-Time PCR System(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、4遺伝子の各発現量を測定した。結果を図12に示す。図12から明らかなように、HFD投与群と比較して、HFD+グロビンタンパク分解物投与群では、筋肉細胞への分化を促進する遺伝子であるUcp2及びPax3において、Ucp2については、有意に発現が増加し、Pax3では発現の増加傾向が見られた。一方、図12から明らかなように、HFD投与群と比較して、HFD+グロビンタンパク分解物投与群では、筋肉細胞への分化を抑制する遺伝子であるMstn及びMyoGにおいて、Mstnについては、有意に発現が減少し、MyoGについては、減少傾向が見られた。以上の結果から、グロビンタンパク分解物添加により、筋肉分化促進遺伝子の発現が上昇し、筋肉分化抑制遺伝子の発現が減少することが示された。
ICR系統の雄マウスを、2.5質量% グロビンタンパク分解物含有高脂肪食投与群(HFD+グロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製))、高脂肪食投与群(HFD、58Y1(リッチモンド社製))及び普通食投与群(ND、CE-7(日本クレア株式会社製))の3群に分けて、経口投与し、2週間飼育し、その後骨格筋組織を回収し、Trizol(キアゲン社製)を用いてtotal RNAを抽出し、ReverTra Ace qPCR RT kit(東洋紡社製)を用いて通常の方法でcDNAを合成した。その後、Power SYBR Green Master Mix(アプライドバイオシステムズ社製)とABI Stepone Plus Real-Time PCR System(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、4遺伝子の各発現量を測定した。結果を図12に示す。図12から明らかなように、HFD投与群と比較して、HFD+グロビンタンパク分解物投与群では、筋肉細胞への分化を促進する遺伝子であるUcp2及びPax3において、Ucp2については、有意に発現が増加し、Pax3では発現の増加傾向が見られた。一方、図12から明らかなように、HFD投与群と比較して、HFD+グロビンタンパク分解物投与群では、筋肉細胞への分化を抑制する遺伝子であるMstn及びMyoGにおいて、Mstnについては、有意に発現が減少し、MyoGについては、減少傾向が見られた。以上の結果から、グロビンタンパク分解物添加により、筋肉分化促進遺伝子の発現が上昇し、筋肉分化抑制遺伝子の発現が減少することが示された。
〔実施例8:ゼブラフィッシュにおけるグロビンタンパク分解物の運動量増加作用の検討〕
野生型AB系統6か月齢の雄ゼブラフィッシュ(Zebrafish International Resource Centerにて購入後、三重大学内で繁殖)を、グロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製)を含有する普通食投与群、グロビンタンパク分解物非投与群(普通食、CE-7 日本クレア株式会社製、コントロール)に分け、1週間経口投与した。グロビンタンパク分解物の量は、400mg/Kg体重/dayとした。電気刺激後の体重、運動量(速度及び距離)を計測した。結果を図13に示す。図13から明らかなようにコントロール群と比較して、グロビンタンパク分解物投与群では、体重、運動量(速度及び距離)ともに有意に増加した。したがって、グロビンタンパク分解物は、ゼブラフィッシュの運動量を増加させることが示された。
野生型AB系統6か月齢の雄ゼブラフィッシュ(Zebrafish International Resource Centerにて購入後、三重大学内で繁殖)を、グロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製)を含有する普通食投与群、グロビンタンパク分解物非投与群(普通食、CE-7 日本クレア株式会社製、コントロール)に分け、1週間経口投与した。グロビンタンパク分解物の量は、400mg/Kg体重/dayとした。電気刺激後の体重、運動量(速度及び距離)を計測した。結果を図13に示す。図13から明らかなようにコントロール群と比較して、グロビンタンパク分解物投与群では、体重、運動量(速度及び距離)ともに有意に増加した。したがって、グロビンタンパク分解物は、ゼブラフィッシュの運動量を増加させることが示された。
〔実施例9:ゼブラフィッシュにおけるグロビンタンパク分解物の筋肥大作用の検討〕
AB系統6か月齢の雄ゼブラフィッシュを、グロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製)を含有する普通食餌投与群、グロビンタンパク分解物非投与群(普通食、CE-7 日本クレア株式会社製、コントロール)に分け、2週間経口投与した。グロビンタンパク分解物の量は、400mg/Kg体重/dayとした。その後、氷上で殺処理、筋肉組織を回収し、4(v/v)% formaldehyde solution in phosphate buffered salineで固定した。その後、筋肉組織をパラフィン包埋し、ミクロトームを用いて切片を作製、ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、顕微鏡撮影(BZ-X710、キーエンス社製)した。各筋繊維の太さをImageJソフトウェアを用いて定量した。結果を図14及び15に示す。図14及び15の結果から明らかなように、グロビンタンパク分解物を1週間投与することにより、筋繊維が約1.5倍に肥大した。
AB系統6か月齢の雄ゼブラフィッシュを、グロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製)を含有する普通食餌投与群、グロビンタンパク分解物非投与群(普通食、CE-7 日本クレア株式会社製、コントロール)に分け、2週間経口投与した。グロビンタンパク分解物の量は、400mg/Kg体重/dayとした。その後、氷上で殺処理、筋肉組織を回収し、4(v/v)% formaldehyde solution in phosphate buffered salineで固定した。その後、筋肉組織をパラフィン包埋し、ミクロトームを用いて切片を作製、ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、顕微鏡撮影(BZ-X710、キーエンス社製)した。各筋繊維の太さをImageJソフトウェアを用いて定量した。結果を図14及び15に示す。図14及び15の結果から明らかなように、グロビンタンパク分解物を1週間投与することにより、筋繊維が約1.5倍に肥大した。
〔実施例10:C2C12マウス筋芽細胞におけるグロビンタンパク分解物及び各ペプチドの筋肉細胞への分化促進効果の検討〕
C2C12マウス筋芽細胞をμ-Slide 8 well chamber slide (ibidi社製)に播種し、通常培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)で培養密度が70%になるまで培養した。その後、培養液を分化用培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 2% horse serum + 1% penicillin-streptomycin)に変更し、骨格筋細胞への分化を誘導した。分化誘導と同時に、グロビンタンパク分解物(1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL、エムジーファーマ社製)及び各ペプチド(1μg/mL)を分化用培地に添加した。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に細胞を4% formaldehyde solution in phosphate buffered salineで固定し、Anti-Myosin, Heavy Chain抗体(R&D systems社製)を用いて蛍光免疫染色、染色像を顕微鏡撮影(BZ-X710、キーエンス社製)した。各ウェルの蛍光量をImageJソフトウェアを用いて定量し、分化の程度を評価した。結果を図16~18に示す。図16~18から明らかなように、グロビンタンパク分解物添加(METAP、10μg/mL、100μg/mL)及びFESペプチド添加(1μg/mL)により、C2C12細胞は、骨格筋細胞への分化促進が確認された。
C2C12マウス筋芽細胞をμ-Slide 8 well chamber slide (ibidi社製)に播種し、通常培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)で培養密度が70%になるまで培養した。その後、培養液を分化用培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 2% horse serum + 1% penicillin-streptomycin)に変更し、骨格筋細胞への分化を誘導した。分化誘導と同時に、グロビンタンパク分解物(1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL、エムジーファーマ社製)及び各ペプチド(1μg/mL)を分化用培地に添加した。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に細胞を4% formaldehyde solution in phosphate buffered salineで固定し、Anti-Myosin, Heavy Chain抗体(R&D systems社製)を用いて蛍光免疫染色、染色像を顕微鏡撮影(BZ-X710、キーエンス社製)した。各ウェルの蛍光量をImageJソフトウェアを用いて定量し、分化の程度を評価した。結果を図16~18に示す。図16~18から明らかなように、グロビンタンパク分解物添加(METAP、10μg/mL、100μg/mL)及びFESペプチド添加(1μg/mL)により、C2C12細胞は、骨格筋細胞への分化促進が確認された。
〔実施例11:老化ゼブラフィッシュにおけるグロビンタンパク分解物及びエピガロカテキンガレートの併用効果の検討〕
まずAB系統の12か月齢の雄老化ゼブラフィッシュの運動機能を解析した。ゼブラフィッシュは、12か月齢を過ぎると運動機能が低下することが知られている。20cm四方の水槽にゼブラフィッシュを1個体ずつ入れ、1分間の順化ののち、7Vの電気刺激を与えてその後30秒間の動画を撮影した。その後、10質量%グロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製)及び0.5質量%エピガロカテキンガレート(PF-TP80、株式会社ファーマフーズ社製、以下、「EGCG」と示す場合もある。)を含有するグルテン餌投与群、グロビンタンパク分解物含有グルテン餌投与群、EGCG含有グルテン餌投与群及びグルテン餌群(コントロール)の4群に分け、2週間、2mg/日で経口投与し、再度、同様に動画撮影を行った。撮影した動画はToxTracソフトウェア(Rodriguez, A. A fast and robust software for tracking organisms. Methods in Ecology and Evolution 2018, 9, 460-464, doi:10.1111/2041-210x.12874.)を用いて解析し、運動機能(速度、移動距離及び移動時間の割合)を数値化した。結果を図19及び20に示す。図19及び20から明らかなように、コントロール群と比較して、グロビンタンパク分解物含有グルテン餌投与群及びEGCG含有グルテン餌投与群は、速度、移動距離及び移動時間の割合全てで増加傾向を示した。また、コントロール群と比較して、グロビンタンパク分解物及びEGCG含有するグルテン餌投与群は、速度、移動距離及び移動時間の割合全てで有意な増加が示された。以上の結果から、老化したゼブラフィッシュにおいても、グロビンタンパク分解物投与における運動機能改善効果があることが示された。
まずAB系統の12か月齢の雄老化ゼブラフィッシュの運動機能を解析した。ゼブラフィッシュは、12か月齢を過ぎると運動機能が低下することが知られている。20cm四方の水槽にゼブラフィッシュを1個体ずつ入れ、1分間の順化ののち、7Vの電気刺激を与えてその後30秒間の動画を撮影した。その後、10質量%グロビンタンパク分解物(METAP、エムジーファーマ社製)及び0.5質量%エピガロカテキンガレート(PF-TP80、株式会社ファーマフーズ社製、以下、「EGCG」と示す場合もある。)を含有するグルテン餌投与群、グロビンタンパク分解物含有グルテン餌投与群、EGCG含有グルテン餌投与群及びグルテン餌群(コントロール)の4群に分け、2週間、2mg/日で経口投与し、再度、同様に動画撮影を行った。撮影した動画はToxTracソフトウェア(Rodriguez, A. A fast and robust software for tracking organisms. Methods in Ecology and Evolution 2018, 9, 460-464, doi:10.1111/2041-210x.12874.)を用いて解析し、運動機能(速度、移動距離及び移動時間の割合)を数値化した。結果を図19及び20に示す。図19及び20から明らかなように、コントロール群と比較して、グロビンタンパク分解物含有グルテン餌投与群及びEGCG含有グルテン餌投与群は、速度、移動距離及び移動時間の割合全てで増加傾向を示した。また、コントロール群と比較して、グロビンタンパク分解物及びEGCG含有するグルテン餌投与群は、速度、移動距離及び移動時間の割合全てで有意な増加が示された。以上の結果から、老化したゼブラフィッシュにおいても、グロビンタンパク分解物投与における運動機能改善効果があることが示された。
〔実施例12:C2C12マウス筋芽細胞における各ペプチドのUcp2発現量による筋肉量増加作用の検討〕
C2C12マウス筋芽細胞を6ウェルプレート内に播種し、通常培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)で培養密度が70%になるまで培養した。その後、培養液を分化用培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 2% horse serum + 1% penicillin-streptomycin)に変更し、骨格筋細胞への分化を誘導した。分化誘導と同時に、グロビンタンパク分解物(METAP、10μg/mL、エムジーファーマ社製)又は実施例2で用いた表2に示すNo.1~6のグロビンタンパク分解物中の各ペプチド(1μg/mL)を分化用培地に添加した。また、グロビンタンパク質及び各ペプチド無添加群をコントロールとした。
培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に細胞からRNeasy Mini Kit(キアゲン社製)を用いてtotal RNAを抽出し、ReverTra Ace qPCR RT kit(東洋紡社製)を用いて通常の方法でcDNAを合成した。その後、Power SYBR Green Master Mix(アプライドバイオシステムズ社製)とABI Stepone Plus Real-Time PCR System(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、各遺伝子の発現量を測定した。結果を図21に示す。図21から明らかなように、グロビンタンパク分解物添加群、No.3のペプチド(WTQRペプチド)、No.4のペプチド(VTLペプチド)及びNo.6のペプチド(FESペプチド)添加群では、コントロールと比較して、筋肉細胞への分化を促進する遺伝子であるUcp2の発現が有意に増加し、No.1のペプチド(LSELペプチド)、No.2のペプチド(VVYPペプチド)及びNo.5のペプチド(WGKペプチド)添加群では、コントロールと比較して、Ucp2の発現が増加傾向を示した。ペプチド添加群の中では、特に、FESペプチド添加群において、Ucp2の発現が有意に増加する結果となった。以上より、グロビンタンパク分解物に含まれるペプチド、特にFESペプチドが、Ucp2の発現を増加させることに関与していることが確認された。
C2C12マウス筋芽細胞を6ウェルプレート内に播種し、通常培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)で培養密度が70%になるまで培養した。その後、培養液を分化用培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 2% horse serum + 1% penicillin-streptomycin)に変更し、骨格筋細胞への分化を誘導した。分化誘導と同時に、グロビンタンパク分解物(METAP、10μg/mL、エムジーファーマ社製)又は実施例2で用いた表2に示すNo.1~6のグロビンタンパク分解物中の各ペプチド(1μg/mL)を分化用培地に添加した。また、グロビンタンパク質及び各ペプチド無添加群をコントロールとした。
培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に細胞からRNeasy Mini Kit(キアゲン社製)を用いてtotal RNAを抽出し、ReverTra Ace qPCR RT kit(東洋紡社製)を用いて通常の方法でcDNAを合成した。その後、Power SYBR Green Master Mix(アプライドバイオシステムズ社製)とABI Stepone Plus Real-Time PCR System(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、各遺伝子の発現量を測定した。結果を図21に示す。図21から明らかなように、グロビンタンパク分解物添加群、No.3のペプチド(WTQRペプチド)、No.4のペプチド(VTLペプチド)及びNo.6のペプチド(FESペプチド)添加群では、コントロールと比較して、筋肉細胞への分化を促進する遺伝子であるUcp2の発現が有意に増加し、No.1のペプチド(LSELペプチド)、No.2のペプチド(VVYPペプチド)及びNo.5のペプチド(WGKペプチド)添加群では、コントロールと比較して、Ucp2の発現が増加傾向を示した。ペプチド添加群の中では、特に、FESペプチド添加群において、Ucp2の発現が有意に増加する結果となった。以上より、グロビンタンパク分解物に含まれるペプチド、特にFESペプチドが、Ucp2の発現を増加させることに関与していることが確認された。
〔実施例13:C2C12マウス骨格筋細胞における細胞内カルシウムイオン放出促進作用の検討〕
C2C12マウス筋芽細胞を96ウェルプレート内に播種し、通常培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)で培養密度が70%になるまで培養した。その後、培養液を分化用培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 2% horse serum + 1% penicillin-streptomycin)に変更し、骨格筋細胞への分化を誘導した。分化誘導と同時に、グロビンタンパク分解物(1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL)を分化用培地に添加した。また、グロビンタンパク分解物無添加群をコントロール、グロビンタンパク質の代わりにβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(3μg/mL又は15μg/mL、以下「HMB」と示す場合もある)を添加した群をポジティブコントロール群とした。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に細胞内カルシウム濃度をFluo 4-AM(同仁化学研究所製)を用いて測定した。細胞内カルシウム遊離を刺激するためにイオノマイシン(10μM)を用い、Varioskan(Thermo Fisher Scienctific社製)を用いてカルシウムイオンと結合したFluo 4-AMの蛍光量変化を計測した。結果を図22及び23に示す。図22及び23から明らかなように、10μg/mL及び100μg/mLグロビンタンパク分解物添加群では、コントロール群と比較して、細胞内カルシウムイオン総量が有意に増加した。以上より、グロビンタンパク分解物が、骨格筋細胞内のカルシウムイオン放出を促進する効果があることが示された。
C2C12マウス筋芽細胞を96ウェルプレート内に播種し、通常培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)で培養密度が70%になるまで培養した。その後、培養液を分化用培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 2% horse serum + 1% penicillin-streptomycin)に変更し、骨格筋細胞への分化を誘導した。分化誘導と同時に、グロビンタンパク分解物(1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL)を分化用培地に添加した。また、グロビンタンパク分解物無添加群をコントロール、グロビンタンパク質の代わりにβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(3μg/mL又は15μg/mL、以下「HMB」と示す場合もある)を添加した群をポジティブコントロール群とした。培養液は1日おきに交換した。分化開始後6日目に細胞内カルシウム濃度をFluo 4-AM(同仁化学研究所製)を用いて測定した。細胞内カルシウム遊離を刺激するためにイオノマイシン(10μM)を用い、Varioskan(Thermo Fisher Scienctific社製)を用いてカルシウムイオンと結合したFluo 4-AMの蛍光量変化を計測した。結果を図22及び23に示す。図22及び23から明らかなように、10μg/mL及び100μg/mLグロビンタンパク分解物添加群では、コントロール群と比較して、細胞内カルシウムイオン総量が有意に増加した。以上より、グロビンタンパク分解物が、骨格筋細胞内のカルシウムイオン放出を促進する効果があることが示された。
〔実施例14:C2C12マウス筋芽細胞における筋芽細胞増殖作用の検討〕
C2C12マウス筋芽細胞を96ウェルプレート内に、通常培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)で約4000細胞/ウェルの培養密度で播種した。24時間後、培養液を試験用培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 1% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に変更し、グロビンタンパク分解物(5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mL)とグロビンタンパク分解物中の各ペプチド(1μg/mL))を添加した。また、グロビンタンパク分解物及び各ペプチド無添加群をコントロールとした。2日間培養したのち、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(プロメガ社製)を用いて細胞増殖率を計測した。グロビンタンパク分解物添加による結果を図24に示す。図24から明らかなように、グロビンタンパク分解物投与群(〇μg/mL、20μg/mL及び100μg/mL)では、コントロールと比較して、筋芽細胞を有意に増殖させた。また、各ペプチド添加による結果では、VVYPペプチド及びWTQRペプチド添加により、コントロールと比較して、筋芽細胞を有意に増殖させた。以上の結果より、グロビンタンパク分解物には筋芽細胞増殖作用があること、その効果は、VVYPペプチド及びWTQRペプチドを含む複数のペプチドによる効果であることが示唆された。
C2C12マウス筋芽細胞を96ウェルプレート内に、通常培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)で約4000細胞/ウェルの培養密度で播種した。24時間後、培養液を試験用培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 1% fetal bovine serum + 1% penicillin-streptomycin)に変更し、グロビンタンパク分解物(5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mL)とグロビンタンパク分解物中の各ペプチド(1μg/mL))を添加した。また、グロビンタンパク分解物及び各ペプチド無添加群をコントロールとした。2日間培養したのち、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(プロメガ社製)を用いて細胞増殖率を計測した。グロビンタンパク分解物添加による結果を図24に示す。図24から明らかなように、グロビンタンパク分解物投与群(〇μg/mL、20μg/mL及び100μg/mL)では、コントロールと比較して、筋芽細胞を有意に増殖させた。また、各ペプチド添加による結果では、VVYPペプチド及びWTQRペプチド添加により、コントロールと比較して、筋芽細胞を有意に増殖させた。以上の結果より、グロビンタンパク分解物には筋芽細胞増殖作用があること、その効果は、VVYPペプチド及びWTQRペプチドを含む複数のペプチドによる効果であることが示唆された。
なお本発明は上述した各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
Claims (11)
- グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、破骨細胞分化抑制用組成物。
- グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、骨吸収阻害用組成物。
- フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨強度増強促進用組成物。
- フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする破骨細胞分化抑制用組成物。
- フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする骨吸収阻害用組成物。
- フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド又はロイシン(Leu)-セリン(Ser)-グルタミン酸(Glu)-ロイシン(Leu)で示されるペプチドがグロビンタンパク質由来である、請求項3~5のいずれか一項に記載の組成物。
- グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋肉量増加用組成物。
- グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、運動機能改善用組成物。
- グロビンタンパク分解物、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする、筋力増強用組成物。
- フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする筋肉量増加用組成物。
- フェニルアラニン(Phe)-グルタミン酸(Glu)-セリン(Ser)で示されるペプチド、そのエステル、そのアミド、又は薬学的に許容し得るその塩を有効成分として含有することを特徴とする運動機能改善用組成物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021157302 | 2021-09-27 | ||
JP2021157302 | 2021-09-27 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023048160A true JP2023048160A (ja) | 2023-04-06 |
Family
ID=85779491
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022154218A Pending JP2023048160A (ja) | 2021-09-27 | 2022-09-27 | 破骨細胞分化抑制、筋肉量増加、運動機能改善、及び/又は筋力増強用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023048160A (ja) |
-
2022
- 2022-09-27 JP JP2022154218A patent/JP2023048160A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6319911B2 (ja) | 抗老化作用を有するペプチドおよびその利用 | |
US20230374112A1 (en) | Bioactive Collagen Peptides, Method Of Production Thereof, And Use Thereof | |
US20210128640A1 (en) | Hyaluronic acid production promoting agent | |
US20200157165A1 (en) | Peptides having osteoblast growth-promoting activity and use thereof | |
EP3626728A1 (en) | Peptide for inhibiting bone resorption | |
WO2019098811A2 (ko) | Chp(시클로-히스프로)를 포함하는 골 손실 질환의 예방, 개선 또는 치료용 조성물 | |
JP2023048160A (ja) | 破骨細胞分化抑制、筋肉量増加、運動機能改善、及び/又は筋力増強用組成物 | |
KR102276379B1 (ko) | IF1 (ATPase inhibitory factor 1)을 유효성분으로 함유하는 골질환의 예방 또는 치료용 약학 조성물 | |
EP3476398B1 (en) | Preventative and/or therapeutic agent for osteogenesis imperfecta and the like | |
JP2019085380A (ja) | ヒアルロン酸産生促進剤 | |
JP7060890B2 (ja) | ヒアルロン酸産生促進剤 | |
US20220218793A1 (en) | Use of composition for preventing, ameliorating, or treating bone loss disorders, comprising cyclo-hispro (chp) and parathyroid hormone | |
JP2020070281A (ja) | 骨疾患の予防及び/又は治療用医薬組成物 | |
EP4183794A1 (en) | Peptide, peptide salt, pharmaceutical composition and biological tissue calcification inhibitor | |
JP7197869B2 (ja) | ペプチド、組成物及び気分障害を治療、予防、又は改善する方法 | |
JP2003192584A (ja) | 高血圧症予防・改善用組成物 | |
KR101970353B1 (ko) | 몰루긴 및 bmp-2를 포함하는 골 질환의 예방 또는 치료용 조성물 | |
CA3206020A1 (en) | Composition for treating sarcopenia or osteoporosis through mechanism promoting formation of muscle fibers or inhibiting osteoclastogenesis, comprising cyclo-l-phenylalanyl-l-proline dipeptide | |
CN111801109A (zh) | 能够改善认知功能的肽 | |
JP2004352687A (ja) | アミド化合物含有コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物 | |
JP2004352685A (ja) | ピラゾール化合物含有コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物 |