JPWO2009001625A1 - 樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

植物性バイオマス材料と、植物由来樹脂と、電離性放射線の照射時に前記植物由来樹脂の架橋促進剤となる多官能性モノマーとを含み、前記植物性バイオマス材料と前記植物由来樹脂の合計質量が全質量の80%以上を占める樹脂組成物とする。該樹脂組成物を成形した後、30kGy以上250kGy以下の電離性放射線を照射して架橋し、成形体とする。

Description

本発明は、樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形体の製造方法に関し、詳しくは、植物由来樹脂及び植物性バイオマス材料を利用した植物由来度の高い樹脂組成物からなり、特に、該樹脂組成物からなる成形体の強度および耐熱性を改善するものである。
従来から、使用後の廃棄処理問題を解決すべく、木材、ケナフなどに代表される植物由来のバイオマスを石油由来樹脂に混合したバイオマス材料補強プラスチックの開発が広く行われている。しかし、石油由来樹脂を含むこのような材料は自然環境中での分解速度が遅く、石油由来樹脂は自然界で再生産不可能であるため、廃棄後における自然環境への影響が懸念されている。
そこで、デンプンやポリ乳酸に代表される植物由来原料から合成される高分子材料(植物由来高分子材料)の利用が注目されている。植物由来高分子材料は、石油合成高分子材料に比べて、燃焼に伴う熱量が少なく、燃焼により発生させた二酸化炭素を吸収して固定化できる植物を原材料とするため、炭素の自然環境での分解・再合成のサイクルが保たれ、生態系を含む地球環境に悪影響を与えないという利点がある。なかでもポリ乳酸は、植物から供給されるデンプンから作られる脂肪族ポリエステル系樹脂で、強度や加工性の点で石油合成高分子材料に匹敵する特性を有しており、さらに、近年の大量生産によるコストダウンで安価になりつつある点から、現在その応用について多くの検討がなされている。
そこで、植物由来樹脂に植物性バイオマスを補強剤として配合し、高強度を実現させる検討が行われている。例えば、特開2005−76025号公報(特許文献1)では、植物性バイオマス材料と生分解性樹脂の加熱混練時に、無水マレイン酸エステル化バイオマスとラジカル発生剤を加え、マレイン酸由来の二重結合と生分解性樹脂との間で一部架橋反応を起こすことにより、界面を制御し、物性及び加工性を向上させることが提案されている。
特開2005−76025号公報
特許文献1は、植物由来樹脂と植物性バイオマス間の結着を強化し、物性や加工性を改善できるものであるが、汎用の石油由来樹脂の成形品の代替材料とするには強度および耐熱性が不十分である。
特に、植物由来樹脂としてポリ乳酸を含む場合、ポリ乳酸は60℃近辺にガラス転移温度を有するため、該温度を超えると大幅に強度が低下し、形状維持が困難になるという問題がある。例えば、夏場の高気温時には自動車内が60℃以上に上昇することもあるため、変形が生じるおそれがあるなど、致命的な問題となる。
そのため、植物由来樹脂と植物性バイオマスを主に含む材料としながら、実用に耐えうる強度と耐熱性を備えた材料が要望されている。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、自然環境での分解・再合成のサイクルを保つことのできる植物由来樹脂と植物性バイオマスを主に含む材料としながら、優れた強度及び耐熱性を備えた成形体、並びに、前記成形体の中間生成物となる樹脂組成物を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、第1の発明として、植物性バイオマス材料と、植物由来樹脂と、電離性放射線の照射時に前記植物由来樹脂の架橋促進剤となる多官能性モノマーとを含み、
前記植物性バイオマス材料と前記植物由来樹脂の合計質量が全質量の80%以上を占めることを特徴とする樹脂組成物を提供している。
また、第2の発明として、第1の発明の樹脂組成物からなる成形体の製造方法であって、前記樹脂組成物を成形した後、30kGy以上250kGy以下の電離性放射線を照射して架橋することを特徴とする成形体の製造方法を提供している。
本発明者らは、植物由来樹脂と植物性バイオマス材料とを含む材料の強度及び耐熱性を改善する方法について鋭意研究した結果、植物由来樹脂と植物性バイオマス材料との混合樹脂に前記植物由来樹脂の架橋促進剤となる多官能性モノマーとを含有させ、放射線照射により一定条件以上の分子同士の架橋を行うことでこの問題を解決できることを見出した。
第2の発明で規定するように、第1の発明の樹脂組成物を成形した後、電離性放射線を照射すると、多官能性モノマーが活性化して架橋構造を有する成形体とすることができる。
架橋構造の形成方法としては、有機過酸化物等のラジカル開始剤を含有させ、加熱して熱架橋させる方法もあるが、ラジカル開始剤は分解促進が激しいため植物由来樹脂や植物性バイオマスの分解を引き起こすおそれがある。また、ラジカル開始剤による架橋は、架橋の制御も困難であり、架橋が不均一となりやすく、さらに架橋時に成形物を温度上昇させる必要があるため成形物を熱変形させるおそれもある。
これに対し、電離性放射線は成形物の内部まで均一に架橋することができるという利点があることに加え、架橋時に成形物を温度上昇させなくても架橋構造を形成することができ、架橋時に成形物を熱変形させずに架橋構造を形成することができる。
特に、植物由来樹脂としてポリ乳酸を用いた場合、融点以下であっても前述のようにガラス転移温度である約60℃以上の温度では変形しやすいため、電離性放射線による架橋が適している。
また、多官能性モノマーを配合することにより、単独では照射崩壊型の性質を有する植物性バイオマス材料と植物由来樹脂の分解を抑制して、分解よりも架橋ネットワークの形成を優先させることができ、極めて加工性に優れている。
さらに、化学開始剤を使用しないため、環境への負荷も低減することができる。
本発明の樹脂組成物及び該樹脂組成物から形成される成形体において、植物性バイオマス材料と植物由来樹脂の合計質量を全質量の80%以上の割合で含むことを特徴としている。
すなわち、本発明では、全質量中に占める植物由来原料の質量割合を示す植物由来度を80%以上と高くし、環境負荷を大幅に低減している。植物由来度は好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
本発明の目的からすれば植物由来度が高くなるほど好ましいため、植物性バイオマス材料と植物由来樹脂の合計質量の上限は100%に近いほど好ましいが、樹脂組成物には多官能性モノマーを含むため99%以下であることが好ましい。
本発明で使用する植物性バイオマス材料は補強剤の役割を担うものである。
前記植物性バイオマス材料は「再生可能な化石資源を除く植物由来の有機性資源」であればよく、セルロース、リグノセルロース、ヘミセルロース及びデンプンからなる群から選ばれた1種以上の混合物を主成分として含むことが好ましい。
セルロースを含む植物性バイオマス材料としては、木材パルプやケナフの破砕物、木材パルプをアルカリ処理し、機械的に細断したアルファ繊維フロックや綿実から得られるコットンリンター、コットンフロック、人絹を細断した人絹フロック等;リグノセルロースを含む植物性バイオマス材料としては、リグノセルロース系繊維、リグノセルロース系粉末;デンプンを含む植物性バイオマス材料としては穀物粉、芋粉等が挙げられる。
具体的には、木材パルプ、リファイナー・グランド・パルプ(RGP)、製紙パルプ、古紙、粉砕処理した木片、木粉、ケナフ粉砕物、果実殻粉、米粉等を例示することができる。
これら植物性バイオマス材料の形状は特に制限がなく、粉末状、繊維状のものを使用することができる。
木粉としては、例えば、松、モミ、ポプラ、竹、バガス、オイルパーム樹幹などの粉砕物や鋸屑、カンナ屑等があり、粉砕されて繊維化されたウッドファイバーを含む。
果実穀粉としては、クルミ、ピーナッツ、ヤシ等の果実の粉砕物がある。
デンプンとしては、米のほか、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、馬鈴薯デンプン、芋デンプン、タピオカ澱粉などの生澱粉及びそれらの軽度アセチル化物などを用いることができる。米としては、玄米、精米のいずれも用いることができる。
植物性バイオマス材料としては、平均粒径が5〜400μmの粉状の木粉あるいは/及び米粉を用いることが好ましい。
木粉を用いる場合には、できるだけ微粉化して繊維同士の絡み合いをなくしたものが好ましく、作業の煩雑さ、経済性を考慮すると、通常20〜150μm程度のものが好適に用いられる。
植物性バイオマス材料は、不飽和カルボン酸またはその誘導体を相容化剤として、植物由来樹脂中に分散されていることが好ましい。後述するように、不飽和カルボン酸誘導体には不飽和カルボン酸無水物が含まれる。
これらを相溶化するための配合順序は問わないが、植物性バイオマス材料を不飽和カルボン酸またはその誘導体で表面処理し、植物由来樹脂との相溶性を高めることが好ましい。
前記表面処理は、例えば、不飽和カルボン酸またはその誘導体と植物性バイオマス材料を混合し加熱することで行うことができ、植物性バイオマス材料の水酸基と不飽和カルボン酸のカルボキシル基がエステル化反応を起こすことにより行うことができる。このように植物性バイオマス材料の表面をエステル化することにより、疎水化し、植物性バイオマス材料の植物由来樹脂への分散性及び界面接着性を向上させることができる。その際に一つのエステルが形成されるモノエステルや、無水カルボン酸が開かれて生じる2つのカルボキシル基あるいはジカルボン酸と植物性バイオマスの水酸基が縮合反応で結合するジエステルと二種類のエステルが可能である。
このほか、植物由来樹脂、植物性バイオマス材料及び不飽和カルボン酸またはその誘導体を同時に加熱混合して相溶化させてもよい。
電離性放射線の照射により、植物由来樹脂の架橋のほか、残留不飽和カルボン酸、遊離不飽和カルボン酸を植物由来樹脂にグラフト付加させることもできるため、植物性バイオマス材料と植物由来樹脂の界面の相溶性がさらに高まり、成形体の強度を向上させうる。
前記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、ソルビン酸、アクリル酸が例示できる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸あるいは不飽和化カルボン酸無水物の金属塩、アミド、イミド、エステル等を使用することができる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
前記不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が好ましく用いられ、特に無水マレイン酸を用いるのが好ましい。
不飽和カルボン酸及びその誘導体のほか、飽和カルボン酸、飽和カルボン酸無水物及びこれらの金属塩、アミド、イミド、エステル等の誘導体を使用することもできる。飽和カルボン酸としてはコハク酸、フタル酸、飽和カルボン酸無水物としては無水コハク酸、無水フタル酸が例示できる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
前記不飽和カルボン酸及びその誘導体、あるいは/及び、飽和カルボン酸及びその誘導体は、前記植物由来樹脂と前記植物性バイオマス材料の合計質量100質量部に対して、0.2〜30質量部の割合で配合されていることが好ましい。
なかでも、前記植物性バイオマス材料が不飽和カルボン酸無水物またはその誘導体で表面処理された木材粉あるいは米粉であることが好ましい。特に、該木材粉あるいは米粉が前記植物由来樹脂と予め接着された粒状の複合材料とされているものが好適に用いられる。
このような植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料として、植物由来樹脂としてポリ乳酸を用い、植物性バイオマスとして木粉あるいは米粉を用いた市販品を用いることができる。例えば、アグリフューチャー上越株式会社製「アグリウッドB(商品名)」等の市販品を好適に用いることができる。
前記樹脂組成物において、前記多官能性モノマーの含有量は、前記植物性バイオマス材料と前記植物由来樹脂の合計質量100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましい。
これは、多官能性モノマーの含有量が1質量部未満であると、植物由来樹脂の架橋効果が十分に発揮されず、成形体の強度が低下し、高温における形状維持性が悪くなるからである。一方、配合量が15質量部を超えると、植物由来樹脂に多官能性モノマー全量を均一に混合するのが困難になり、実質的に架橋効果に顕著な差が出なくなるという理由からである。
なお、前記多官能性モノマーは前記植物由来樹脂100質量部に対しては1.5〜20質量部の割合で配合されていることが好ましい。
前記多官能性モノマーは、電離性放射線の照射により活性化して架橋できるモノマーであれば特に制限を受けないが、一分子内に二つ以上の二重結合を持つアリル系モノマー、アクリル系モノマー及びメタクリル系モノマーからなる群から選択される一種以上の多官能性モノマーであることが好ましい。
アクリル系もしくはメタクリル系のモノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
アリル系モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアクリルクロレンテート、アリルアセテート、アリルベンゾエート、アリルジプロピルイソシアヌレート、アリルオクチルオキサレート、アリルプロピルフタレート、ブチルアリルマレート、ジアリルアジペート、ジアリルカーボネート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルフマレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマロネート、ジアリルオキサレート、ジアリルフタレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルセバセート、ジアリルサクシネート、ジアリルテレフタレート、ジアリルタトレート、ジメチルアリルフタレート、エチルアリルマレート、メチルアリルフマレート、メチルメタアリルマレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
本発明で用いる多官能性モノマーとしては、比較的低濃度で高い架橋度を得ることができることから、アリル系モノマーを用いることが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好適に用いられる。また、トリアリルイソシアヌレートと、加熱によって相互に構造変換しうる、トリアリルシアヌレートを用いても実質的に効果は同様である。その他、トリメチロールプロパントリメタクリレートも好適に用いられる。
本発明に用いられる前記植物由来樹脂は、植物由来原料から作製可能であるモノマーを用いて形成される熱可塑性樹脂で、かつ、架橋構造を形成することができるものであればよい。
なかでも、ポリ乳酸、ナイロン11及びポリブチレンサクシネートからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
ポリ乳酸はとうもろこし、芋類、さとうきび、ビートなどの植物から採取されるデンプンを原料として製造される乳酸から製造されるものとしている。
ナイロン11は、ひまし油から合成される11−アミノウンデカン酸を原料として製造されるものとしている。
ポリブチレンサクシネートは、とうもろこしやさとうきびなどの糖から発酵化学により製造されるコハク酸と1,4−ブタンジオールから合成されるものとしている。コハク酸と1,4−ブタンジオールに、アジピン酸を共重合させたポリブチレンサクシネートアジペートや、乳酸を共重合させたポリブチレンサクシネートラクチドも用いることができる。 生分解性も兼ね備えているという観点で、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートを用いることが好ましい。
前記ポリ乳酸としては、L−乳酸からなるポリ乳酸、D−乳酸からなるポリ乳酸、L−乳酸とD−乳酸の混合物を重合することにより得られるポリ乳酸、またはこれら2種類以上の混合物が挙げられる。なお、ポリ乳酸を構成するL−乳酸またはD−乳酸は化学修飾されていても良い。
本発明で用いるポリ乳酸としては前記のようなホモポリマーが好ましいが、乳酸モノマーまたはラクチドとそれらと共重合可能な他の成分とが共重合されたポリ乳酸コポリマーを用いても良い。コポリマーを形成する前記「他の成分」としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸もしくは6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸もしくはイソフタル酸などに代表されるジカルボン酸;エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタンもしくはポリエチレングリコールなどに代表されるラクトン類等が挙げられる。但し、本発明の目的から、「他の成分」となるコモノマーは得られる樹脂組成物の植物由来度が80質量%以上である範囲内で共重合させるものとしている。
植物性バイオマス材料と植物由来樹脂の混合比は成形できる限り特に制限されないが、前記植物由来樹脂と前記植物性バイオマス材料との質量比(植物由来樹脂:植物性バイオマス材料)が(90:10)〜(10:90)であることが好ましい。それぞれの成分特有の効果を発揮させるためには、植物性バイオマス材料および植物由来樹脂の各々が植物性バイオマス材料と植物由来樹脂の合計質量に対して少なくとも10質量%以上含まれていることが好ましく、さらに植物由来樹脂の混合量が10質量%未満であると樹脂組成物の加工性が悪くなり、加工できても強度が低くなるおそれがあるからである。
しかし、加工成形性を考慮すると、(植物由来樹脂:植物性バイオマス材料)が(30:70)〜(90:10)であることが好ましく、さらに(40:60)〜(90:10)であることが好ましい。
前記樹脂組成物には、植物由来度が80質量%以上となる限りにおいて、植物性バイオマス材料、植物由来樹脂及び多官能性モノマー以外に他の成分を配合しても良い。
例えば、前記植物由来樹脂以外に、他の生分解性樹脂を配合しても良い。
生分解性樹脂としては、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステルもしくはポリビニルアルコール等の石油合成生分解性樹脂、またはポリヒドロキシブチレート・バリレート等の細菌産生直鎖状ポリエステル系樹脂等の細菌産生樹脂を挙げることができる。
また、前述した架橋構造を形成できる植物由来樹脂以外で、架橋構造を形成できない或いは架橋構造を形成しにくい植物由来樹脂を、溶解特性を損なわない範囲で混合してもよい。
例えば、上記植物由来の合成樹脂としては、酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、セルロースアセテートブチレートもしくは硝酸・酢酸セルロース等のセルロースエステル、またはポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸もしくはポリロイシン等のポリペプチドが挙げられる。
さらに、前記組成物には、硬化性オリゴマー、各種安定剤、難燃剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、防カビ剤もしくは粘性付与剤等の添加剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉末、ワラストナイト、タルク、マイカ、クレーもしくはシリカ等の無機・有機充填材、シランやステアリン酸などで表面処理されたフィラー、染料もしくは顔料等の着色剤等を加えることもできる。
前記した本発明の樹脂組成物から成形体を製造する方法は、例えば、植物由来樹脂と植物性バイオマス材料と多官能性モノマーを混練して前記樹脂組成物を作製した後、前述したように、該樹脂組成物から成形体を成形し、該成形体に30kGy以上250kGy以下の電離性放射線を照射して架橋している。
前記植物由来樹脂、植物性バイオマス材料、多官能性モノマーおよび所望により他の成分を含む樹脂組成物の成形方法は特に限定されず、公知の成形機、押出成形機、圧縮成形機、真空成形機、ブロー成形機、Tダイ型成形機、射出成形機、インフレーション成形機等を用いて成形している。
次に、電離性放射線を照射し、所要形状に成形した成形体を架橋している。
電離性放射線としてはγ線、エックス線、β線またはα線などが使用できるが、工業的生産にはコバルト−60によるγ線照射や、電子線加速器による電子線照射が好ましい。電離性放射線の照射は空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。電離性放射線の照射によって生成した活性種が空気中の酸素と結合して失活すると架橋効率が低下するためである。
電離性放射線の照射量は前述したように30kGy以上250kGy以下であることが好ましい。より好ましくは50kGy〜150kGyである。
多官能性モノマーの量によっては電離性放射線の照射量が30kGy未満であっても樹脂組成物の架橋は認められるが、確実に架橋効果を発現させるには照射量が30kGy以上であることが好ましい。さらに、架橋効果が完全に得られるためには電離性放射線の照射量が50kGy以上であることがより好ましい。
一方、電離性放射線の照射量を250kGy以下としているのは、植物性バイオマス材料と植物由来樹脂の両方ともが単独では照射崩壊型の性質を有するため、電離性放射線の照射量が250kGyを超えると架橋とは逆に分解を進行させることになるからである。電離性放射線の照射量の上限値は200kGyであることが好ましく、150kGyであることがより好ましい。
なお、電離性放射線の照射量は、前記範囲内で多官能性モノマーの配合量に応じ、ゲル分率が60質量%以上となるように適宜選択すればよい。
本発明の製造方法により得られた成形体は、架橋促進剤となる多官能性モノマーが電離性放射線の照射により活性化し、無数の三次元網目の架橋構造を形成しているため、強度が向上しており、高温環境下においても変形しない耐熱性を有する。
また、第3の発明として、前記樹脂組成物を成形した後、電離性放射線を照射して得られる成形体であって、
ゲル分率が60質量%以上100質量%以下であり、曲げ強度が50MPa以上100MPa以下、曲げ弾性率が2.5GPa以上7.0GPa以下であることを特徴とする成形体を提供している。
前記成形体において、架橋の程度の指標となるゲル分率が60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
上限は好ましくは100質量%である。
本発明において、ゲル分率は以下の方法で測定している。
乾燥質量を正確に計ったのち、200メッシュのステンレス金網に包み、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)液の中で48時間煮沸したのちに、DMFに溶解したゾル分を除いて残ったゲル分を得る。ついで、50℃で24時間乾燥して、ゲル中のDMFを除去し、ゲル分の乾燥質量を測定し、得られた値をもとに下記式に基づきゲル分率を算出している。
ゲル分率(%)=(ゲル分乾燥質量/サンプルの乾燥質量)×100
さらに、第3の発明の成形体の曲げ弾性率及び曲げ強度は、後述の実施例に記載の方法で測定している。
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、架橋構造を有して、強度及び耐熱性を改善しているので、電子・電気機器を含む容器本体や該容器の部品、各種シート、フィルム等、汎用プラスチック製品の代替として広く利用することができる。
前述したように本発明の樹脂組成物は、植物性バイオマス材料と、植物由来樹脂と、電離性放射線の照射時に前記植物由来樹脂の架橋促進剤とする多官能性モノマーとを含むので、本来照射崩壊型の性質を有する前記植物性バイオマス材料と前記植物由来樹脂が全質量の80%以上を占める樹脂組成物を用いながら、放射線照射により分解されることなく架橋構造を形成することができる。その結果、前記樹脂組成物を架橋した成形体は、自然環境での分解・再合成のサイクルを保つことのできる植物由来材料を高割合で含みながら、強度及び耐熱性に優れた材料とすることができる。
さらに、本発明の製造方法では電離性放射線を用いて植物由来樹脂の架橋構造を形成しているので、均一な架橋構造を形成でき、加熱しなくても架橋させることができる。そのため、架橋時における架橋構造の制御が容易で加熱による変形も抑えることもでき、加工性に極めて優れている。さらに、化学開始剤を使用しなくても架橋構造を形成することができることから、使用する化学薬品を削減することができる。そのため、本発明の製造方法は、現在プラスチック成形品が利用されている一般的な幅広い用途に応用することができる。
本発明の成形体は、高い植物由来度を有するので、炭素の自然環境での分解・再合成のサイクルが保たれ、材料上は地球温暖化の原因となる石油由来の二酸化炭素の排出をゼロに近くすることが出来る。その結果、グローバルな地球環境のみならず自然界における生態系に及ぼす影響が極めて少ない。また、焼却の際にはダイオキシンなどの有害物質を排出しないうえ、燃焼熱が低いという利点もあり、従来のプラスチックが有していた廃棄処理に関わる諸問題を解決することができる。
本発明の実施形態を説明する。
第1実施形態は、原材料となる植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料に多官能性モノマーを配合した樹脂組成物を、成形機で板状に成形し、該成形品に電離性放射線を照射して架橋構造とした板状の成形体からなる。以下に該成形体の製造方法を説明する。
前記樹脂組成物は、前記植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料の植物由来樹脂はポリ乳酸であり、植物性バイオマス材料がウッドファイバーを含む木粉、あるいは米粉であるものを用いている。
前記ウッドファイバーを含む木粉、あるいは米粉は、予めポリ乳酸との相容化剤となる無水マレイン酸無水物と加熱混合して表面処理されたのち、ポリ乳酸と加熱混練され、前記ポリ乳酸と接着された粒状の複合材料からなる。
植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料において、(ポリ乳酸:木粉)の質量比は(40:60)〜(90:10)の割合としている。
前記植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料を混練機に投入し、170〜200℃に加熱溶融しながら混練し、該混練過程で多官能性モノマーを少量ずつ投入している。
前記多官能性モノマーとしてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を用い、これを植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料100質量部に対して1〜10質量部の割合となるように添加している。
前記混練機での混練終了後、ハンドリング性を考慮して、樹脂組成物を冷却した後、ペレタイザーにてペレット化している。
次に、前記ペレット状の樹脂組成物を射出成形機、圧縮成形機、真空成形機、ブロー成形機、Tダイ型成形機、射出成形機、インフレーション成形機等の成形機を使用して成形温度180〜200℃で板状に成形している。
次いで、得られた成形体に対して、空気を除いた不活性雰囲気で電子加速器(加速電圧10MeV、電流量12mA)により50kGy〜200kGyの電離性放射線を照射し、前記成形体に含まれるポリ乳酸を架橋し、本実施形態の架橋樹脂成形品からなる成形体を得ている。
本実施形態の成形体は、ゲル分率が80質量%以上となる架橋構造を有する。
そのため、曲げ弾性率が3.0GPa以上7.0GPa以下、曲げ強度が50MPa以上100MPa以下となる強度と、ポリ乳酸のガラス転移温度である60℃を超える温度における耐熱性を兼ね備えている。
次に、第2実施形態の樹脂組成物について説明する。
第2実施形態では、第1実施形態の植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料50質量部にポリ乳酸を50質量部の割合で配合して樹脂組成物を作製している点で相違する。
本構成のように植物由来樹脂の含有率を増加させても、強度及び耐熱性を得ることができる。
他の成分及び製造方法は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。
(実施例1)
押出機(池具鉄工(株)製PCM30型)を用いて押出温度180℃で予め溶融させて練った状態の植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料に、多官能性モノマーの1種であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)(日本化成(株)製「TAIC(商品名)」)を最終的に植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料100質量部に対して5質量部になるように少量ずつ添加して混合物を調整した。
この混合物を冷やしたのちにペレタイザーにてペレット化し、植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料と多官能性モノマーのペレット状の樹脂組成物を得た。
このペレット状樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂(株)製「ES400(商品名)」)を使用して成形し、シリンダ温度190℃で縦125mm×横13mm×厚さ3mmの曲げ試験用試験片を作成した。

曲げ試験用試験片及びペレット状樹脂組成物のそれぞれに対し、空気を除いた不活性雰囲気で電子加速器(加速電圧10MeV、電流量12mA)により100kGyの電離性放射線を照射し、実施例1の成形体を得た。
前記植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料の詳細は以下のとおりである。
・製品名:アグリフューチャー上越(株)製「アグリウッドB(商品名)」
・植物由来樹脂;ポリ乳酸(PLA)
・植物性バイオマス;木粉(平均粒径20μm〜150μm)
・植物由来樹脂と植物性バイオマスの質量比(樹脂:植物性バイオマス)=(45: 55)
・相溶化剤:マレイン酸無水物
(実施例2)
植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料100質量部のうち50質量部をポリ乳酸(三井化学株式会社製「レイシア H−400(商品名)」)に置き換えた以外は実施例1と同様とした。
(実施例3)
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)の配合量を植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料100質量部に対して1質量部とした以外は実施例1と同様にした。
(実施例4)
植物由来樹脂の一部にポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を用い、PLA−植物性バイオマス複合材料100質量部のうち15質量部をPBSA(コハク酸>アジピン酸の市販品)に置き換えた。植物由来樹脂:植物性バイオマス=55:45、植物由来度は91質量%とした。
(実施例5)
実施例4と同様に植物由来樹脂の一部にポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を用い、PLA−植物性バイオマス複合材料100質量部のうち35質量部をPBSA(コハク酸>アジピン酸の市販品)に置き換えた。植物由来樹脂:植物性バイオマス=65:35、植物由来度は85質量%とした。
(比較例1)
電子線照射を行わなかったこと以外は、実施例1と同様とした。
(比較例2)
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様とした。
(比較例3)
電子線照射を行わなかったこと以外は、実施例5と同様とした。
得られた実施例、比較例について、下記方法でゲル分率、曲げ弾性率、曲げ強度、破断角度の評価を行なった。
(ゲル分率の評価)
表1に記載の照射量の電離性放射線が照射された各実施例および比較例のペレット状樹脂組成物の乾燥質量を正確に計ったのち、200メッシュのステンレス金網に包み、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)液の中で48時間煮沸したのちに、DMFに溶解したゾル分を除いて残ったゲル分を得た。50℃で24時間乾燥して、ゲル中のDMFを除去し、ゲル分の乾燥質量を測定した。得られた値をもとに下記式に基づきゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(ゲル分乾燥質量/サンプルの乾燥質量)×100
(曲げ弾性率)
曲げ試験用試験片を用いて、JIS K7171に規定の曲げ試験を行い、歪み−応力曲線の初期傾きを曲げ弾性率として求めた。
(曲げ強度)
曲げ試験用試験片を用いて、JIS K7171に規定の曲げ試験を行い、最大強度を求めた。
(破断角度)
ポリブチレンサクシネートアジペートを用い、樹脂由来度を80質量%以上とした実施例4、5および比較例3について、射出成型品から、長さ×幅×厚み(60mm×5mm×0.5mm)の試験片を打ち抜きによって作製した。該試験片の片端のみを固定し、長さ30mmの地点で破断するまで曲げを加え、破断時の角度を求めた。
実施例、比較例のゲル分率、曲げ弾性率、曲げ強度の評価結果を各々の製造条件と共に、下記表1に示す。表1において、植物由来度は、全質量中に植物由来材料であるPLA、及びPLA−植物性バイオマス複合材料が占める質量の割合として表している。
Figure 2009001625
表1に示すように、植物由来樹脂−植物性バイオマス材料に多官能性モノマーを配合し、電離性放射線を照射した実施例1は、架橋構造が形成され、90%以上のゲル分率が得られた。また、曲げ弾性率が3.5GPa以上、曲げ強度が50MPa以上であり、95%の高い植物由来度を有するにもかかわらず、優れた強度を有していた。同様に、植物由来樹脂−植物性バイオマス複合材料にポリ乳酸を配合し植物性バイオマス材料の含有率を減らした実施例2、多官能性モノマーの配合量を実施例1の5分の1とした実施例3も高い植物由来度を有しながら、良好な物性を有していた。
また、植物由来樹脂としてPBSAを用い、植物由来度を91質量%、89質量%とした実施例4、5の場合も、ゲル分率は91%、89%となり、曲げ強度は実施例1〜3と同等であった。曲げ弾性率は実施例1〜3より若干低下するが、実施例4では破断角度は100度で直角曲げしても破断せず、実施例5では破断角度は165度でありV字以上に折り曲げても破断せず、柔軟性を付与することができた。
これに対し、電離性放射線を照射しなかった比較例1はゲル分率が60%未満である54%で、曲げ強度が50MPa未満と低く、実施例1〜3に比べて劣っていた。
また、電離性放射線を照射したが多官能性モノマーを配合しなかった比較例2はゲル分率が69%と架橋が十分でなく、分解も促進されているものと考えられた。また、曲げ強度が50MPa未満となり、実施例に比べて劣っていた。
実施例5と同様な成分として、樹脂の一部にPBSAを用いた比較例3は、比較例1と同様に電離性放射線を照射しなかったため、ゲル分率は51%と低く、よって、曲げ強度および曲げ弾性率は低く、機械的強度が不十分であった。
なお、実施形態及び実施例では、植物由来樹脂と植物性バイオマスが複合化された材料を用いた例について説明したが、本発明の樹脂組成物および成形体は前記実施形態および実施例に限定されず、特許請求の範囲に基づき解釈されるべきものである。当然に、植物由来樹脂としてポリ乳酸およびポリブチレンサクシネートアジペート以外を用いることもでき、植物性バイオマス材料として木粉、米粉以外を用いることができる。
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、植物由来度の高い材料としながら、優れた強度および耐熱性を有するため、汎用の石油由来のプラスチックの代替品として、フィルム、シート、容器、筐体等の成形品として広く利用可能である。

Claims (7)

  1. 植物性バイオマス材料と、植物由来樹脂と、電離性放射線の照射時に前記植物由来樹脂の架橋促進剤となる多官能性モノマーとを含み、
    前記植物性バイオマス材料と前記植物由来樹脂の合計質量が全質量の80%以上を占めることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記植物性バイオマス材料は不飽和カルボン酸またはその誘導体で表面処理された木粉あるいは米粉である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記多官能性モノマーの含有量は、前記植物性バイオマス材料と前記植物由来樹脂の合計質量100質量部に対して1〜15質量部である請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記植物由来樹脂が、ポリ乳酸、ナイロン11及びポリブチレンサクシネートからなる群から選択される1種以上である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記植物由来樹脂と前記植物性バイオマス材料との質量比(植物由来樹脂:植物性バイオマス材料)が(10:90)〜(90:10)である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる成形体の製造方法であって、前記樹脂組成物を成形した後、30kGy以上250kGy以下の電離性放射線を照射して架橋することを特徴とする成形体の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形した後、電離性放射線を照射して得られる成形体であって、
    ゲル分率が60質量%以上100質量%以下であり、曲げ強度が50MPa以上100MPa以下、曲げ弾性率が2.5GPa以上7.0GPa以下であることを特徴とする成形体。
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