JP4373763B2 - 生分解性材料および生分解性材料の製造方法 - Google Patents

生分解性材料および生分解性材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は生分解性材料およびその製造方法に関し、フィルム、容器、筐体などの構造体や部品などプラスチック製品が利用される分野において、特に使用後の廃棄処理問題の解決を図るための生分解性製品或いは部品として好適に用いられるものである。
現在、多くのフィルムや容器に利用されている石油合成高分子材料は、その原料の枯渇、及び加熱廃棄処理に伴う熱及び排出ガスによる地球温暖化、更に燃焼ガス及び燃焼後残留物中の毒性物質による食物や健康への影響、及び廃棄埋設処理地の確保など、様々な社会的な問題が懸念されている。
これらの問題に対して、アルギン酸やキチン等の天然生分解性多糖類は、石油合成高分子の廃棄処理の問題点を解決する材料として従来から注目されてきた材料である。
天然生分解性多糖類は、石油合成高分子に比べて、燃焼に伴う熱量が少なく自然環境での分解再合成のサイクルが保たれる等、生態系を含む地球環境に悪影響を与えない。中でも、セルロースやデンプンは植物から安定して豊富に供給されることと、他の生分解高分子に比べて非常に安価になりつつある点から、現在その応用について多くの検討がなされている。
しかし、セルロースやデンプンは水となじみのよい親水性の材料であり、水に濡れると一般的な石油合成高分子のように強度を保つことが非常に困難である。また、明確な融点をもった石油合成高分子のように溶解させて成形することはできない。デンプンを成形するためには、一旦水を含む溶融を含有させて流体状態として成形した後に、必要に応じて水を乾燥除去する必要がある。デンプンは、水との混合状態では、柔軟性はあるものの強度が極めて弱く、逆に乾燥物は脆く且つ柔軟性に乏しくなる。
この特性は、デンプンやセルロースのもつ水酸基によるものである。すなわち、水酸基は、その強い分極性によって親水性を示すと同時に、水酸基同士が強固な水素結合を形成しており、この結合は熱に安定であるためである。そこでデンプンを加熱溶融させて石油合成高分子のように成形可能とすることを目的に、特許第2579843号、特許3154056号で、デンプンの水酸基をエステル化などで修飾し、疎水化したデンプン誘導体が開示されている。
しかし、このような疎水化されたエステル化デンプン誘導体は、非常に伸びに乏しく脆いものとなる。例えば、前述の脂肪酸を用いたエステル化においては、置換基の脂肪酸として最も低分子な酢酸を用いた酢酸エステルデンプンの場合、強度はそこそこあるものの、伸びが殆どなく、非常に高いヤング率を有し、ガラスのような性質の非常にもろい樹脂となる。
エステル化に用いる脂肪酸をより高分子量のもの、即ち、高級脂肪酸を用いれば、デンプン同士の分子間力が低下し、そのため変形しやすくなり、伸びを与える事ができる。しかし、その分子間力低下の当然の代償として強度が低下してしまうことになる。
実際に市販化されている疎水化デンプン誘導体の製品では、疎水化デンプン誘導体単独ではなく、特表平8−502552に開示されているように生分解性ポリエステルを加えたり、或いは鉱物フイラーを混練することによって、強度や伸びを改良されたたものとなっている。
しかしながら、生分解性ポリエステルの添加は疎水性デンプン自身の強度特性を改善するものではなく、混合した生分解性ポリエステルの特性に近付くだけであり、添加する生分解性ポリエステル単独より当然、強度的に劣るものとなるため高価な疎水性デンプンをわざわざ使用する必要性に疑問がある。また、鉱物フィラーを配合した場合には平滑性や透明性が損なわれて、用途が限定されたものとなる。
また、強度を高めるために、放射線を照射して架橋構造とすることは従来より知られている。しかしながら、天然生分解性多糖類のデンプンおよびセルロース、それらの誘導体は、本来、放射線分解型の物質であり、放射線を受けると分解する物質である。このようなデンプンおよびセルロースの誘導体の放射線架橋については、水との高濃度混合物に加熱などの処理を施した物に照射することで初めて電離性放射線架橋物とすることか知られている。即ち、放射線による架橋には水が必須であり、放射線を使用しないで化学的に結合させる場合においても、水を含まない系での反応はほとんど皆無であった。
よって、疎水性デンプン誘導体は水には全く不溶であるため、水との混練は不可能であり、したがって、従来の放射線架橋技術では架橋は出来なかった。また、一般的にデンプンの架橋の化学処理に使用されるアルデヒド等の架橋剤でも架橋は不可能であった。
特許第2579843号公報 特許第3154056号公報 特表平8−502552号公報
本発明は上記問題を鑑みてなされたもので、石油合成高分子の代替材料としうるまでに、強度と伸びを両立するように、他の物質の配合量を多くせずに、改質補強された疎水性のデンプンやセルロースなどの多糖類誘導体を提供することを課題としている。
本究明者は、この間題について鋭意研究を重ねた結果、疎水性多糖類誘導体に多官能性モノマーを混練したのちに電離性放射線を照射することで初めて放射線架橋が可能であり、このように放射線で架橋された疎水化デンプンやセルロース等の疎水性多糖類誘導体は、強度や伸びに優れたものであることを知見した。
上記知見に基づいて、本発明は、第1に、水酸基の置換度が2.0以上3.0以下で、エーテル化、エステル化、アルキル化あるいはアセチル化されたデンプン誘導体、セルロース誘導体、あるいはプルランから選ばれた1種又は複数種からなる疎水性多糖類誘導体に
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメタアリルイソシアヌレート(TMAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリメタアリルシアヌレート(TMAC)から選ばれるアリル基を有するモノマー、1.6ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリメチロールプロパントリメタアクリレート(TMPT)から選ばれるアクリル系、またはメタクリル系のモノマーからなる架橋型多官能性モノマーが添加され
上記疎水性多糖類誘導体100重量%に対して、上記架橋型多官能性モノマーが0.1〜3重量%配合され、電離性放射線照射で架橋構造とされて、(ゲル分乾燥重量/初期乾燥重量)が10〜90%の架橋構造とされていることを特徴とする生分解性材料を提供している。
上記疎水性多糖類誘導体は、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデンプン、サゴデンプンなどのデンプンを原料とする、メチルデンプン、エチルデンプンなどのエーテル化デンプン誘導体、酢酸エステルデンプン、脂肪酸エステルデンプンなどのエステル化デンプン誘導体、及びアルキル化デンプン誘導体である。また疎水性多糖類誘導体としては、セルロースを原料とするデンプン同様の誘導体を利用できる。或いはプルランなどの他の多糖類の誘導体も利用可能である。
これらを単独あるいは2種類以上を混合して利用可能であるが、上記のように、本発明では、水酸基の置換度が2.0以上3.0以下で、エーテル化、エステル化、アルキル化あるいはアセチル化されたデンプン誘導体、セルロース誘導体、あるいはプルランから選ばれた1種又は複数種からなる疎水性多糖類誘導体を用いている
ここでいう置換度とは、多糖類が1構成単位にもつ3つの水酸基のうち、エステル化などで置換された水酸基の数の平均値をいい、したがって置換度の最大値は3である。多糖類の誘導体は、その置換導入した官能基にも影響されるが、一般にこの置換度1.5以下が親水性、1.5以上が疎水性を示す。
さらに、これらへの添加物として、柔軟性を向上させる目的で、グリセリンやエチレングリコール、トリアセチルグリセリンなどの常温では液状の可塑剤、あるいは常温では固形の可塑剤としての、ポリ乳酸やポリブチルサクシネート、ポリカプロラクトン等の生分解性ポリエステル樹脂の添加は可能であるが、本発明においては必須ではない。
疎水性多糖類誘導体に混合する多官能性モノマーは、一分子内に二つ以上の二重結合を持つアクリル系およびメタクリル系のモノマー、例えば1,6ヘキサンジオールジアクリレート(以下、HDDAと記す)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(以下、TMPTと記す)などでも効果はあるが、比較的低濃度で高い架橋度を得るには、次にあげるようなアリル基を有するモノマーが有効である。
トリアリルイソシアヌレート(以下、TAICと記す)、トリメタアリルイソシアヌレート(以下、TMAICと記す)、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアクリルクロレンテート、アリルアセテート、アリルペンゾエート、アリルジプロピルイソシナヌレート、アリルオクチルオキサレート、アリルプロピルフタレート、ビチルアリルマレート、ジアリルアジペート、ジアリルカーボネート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルフマレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマロネート、ジアリルオキサレート、ジアリルフタレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルセバセート、ジアリルサクシネート、ジアリルテレフタレート、ジアリルタトレート、ジメチルアリルフタレート、エチルアリルマレート、メチルアリルフマレート、メチルメタアリルマレート。
本発明では、上記のように、トリアリルイソシアヌレート(以下、TAICと記す)、トリメタアリルイソシアヌレート(以下TMAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリメタアリルシアヌレート(TMAC)から選ばれるアリル基を有するモノマー、1.6ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリメチロールプロパントリメタアクリレート(TMPT)から選ばれるアクリル系、またはメタクリル系のモノマーからなる架橋型多官能性モノマーが用いられる。
疎水性多糖類誘導体に添加する上記多官能性モノマーの濃度比率は、前記したように、0.1重量%以上3重量%以下としている。これは0.1重量%で効果が認められることに因るが、より効果が確実な濃度は0.5〜3重量%の範囲である。
本発明の生分解性材料は、上記多官能性モノマーを疎水性多糖類誘導体に添加していることにより、電離性放射線を照射で橋架け反応を生じさせることができる。その際、ゲル分率(ゲル分乾燥重量/初期乾燥重量)が10%以上の架橋構造とすれば強度をある程度保持できる。なお、強度を確実に高めるためには、ゲル分率は50%以上とすることが好ましい。
ゲル分率50%以上とするには、上記疎水性多糖類誘導体として脂肪酸エステルスターチ、酢酸エステルスターチ、酢酸エステルセルロースあるいはアセチル化プルランを用い、上記多官能モノマーとしてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)あるいはトリメタアリルイソシアヌレート(TMAIC)を用い、電離性放射線を20〜50kGy照射していることが好ましい。
上記のように、生分解性材料は、デンプン、セルロース等の疎水性多糖類誘導体に多官能性モノマーを配合していることにより電離線放射線を照射すると橋架け反応を生じさせることができ、その結果、ポリマー内に無数の三次元網目構造としているため、ポリマーが容易に変形しない強度を付与することができる。よって、生分解性材料の欠点であった強度特性を改善でき、従来の石油合成高分子からなる汎用樹脂製品と同様の形状保持力を備え、その代替品として利用でき、かつ、生分解性を有するため破棄処理問題を解決することができる。
本発明は、第二に、上記生分解性材料の製造方法として、疎水性多糖類誘導体に多官能性モノマーを添加して混練し、該混合物を所要形状に成形した後、該成形品を電離性放射線で照射して橋架け反応を生じさせて架橋構造としていることを特徴とする生分解性材料の製造方法を提供している。
詳細には、まず、疎水性多糖類誘導体を、加熱により軟化する温度に加熱した状態か、或いはアセトンや酢酸エチル等疎水性多糖類誘導体を溶解しうる溶媒中に溶解・分散した状態とする。次に、上記溶解分散した疎水性多糖類誘導体中に多官能性モノマーを混練し、できるだけ均一に混合する。加熱軟化あるいは溶媒に溶解した状態のまま続けて成形を行ってもよいし、一旦冷却あるいは溶媒を乾燥除去したから再び加熱軟化させて射出成形などで所望の形状に成形してもよい。
橋架けに使用する電離性放射線は、γ線、エックス線、β線或いはα線などが使用できるが、工業的生産にはコバルトー60によるγ線照射や電子加速器による電子線が好ましい。また、橋架けに必要な照射量は1kGy以上で300kGy程度まで可能であるが、望ましくは2〜50kGyである。
なお、上記電離性放射線の代えて化学開始剤を用いて橋架け反応を発生させてもよい。その場合、生分解性脂肪族ポリエステルの融点以上の温度でアリル基を有するモノマーと化学開始剤とを加え、よく混練し、均一に混ぜた後、この混合物からなる成形品を、化学開始剤が熱分解する温度まで上げている。
本発明に使用することができる化学開始剤は、熱分解により過酸化ラジカルを生成する過酸化ジクミル、過酸化プロピオニトリル、過酸化ペンソイル、過酸化ジーt−ブチル、過酸化ジアシル、過酸化ベラルゴニル、過酸化ミリストイル、過安息香酸−t−ブチル、2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの過酸化物触媒又はモノマーの重合を開始する触媒であればいずれでもよい.橋かけは、放射線照射の場合と同様、空気を除いた不活性雰蹄気下や真空下で行うのが好ましい。
上述したように、本発明は、電離性放射線による疎水性多糖類誘導体の橋架けを初めて可能とし、また疎水性多糖類誘導体の欠点である強度を分子の橋架け効果で大幅に改善することができる。補強の効果は、分子同士の橋架けという補強方法の性質から、特に高温時に効果が期待され、汎用プラスチックの代替材としての応用分野をより広げるものである。
本発明の疎水性多糖類誘導体よりなる架橋構造の生分解性材料は、特に、生分解性である点から自然界において生態系に及ばす影響が極めて少なく、大量に製造、廃棄されるプラスチック製品全般の代替材料としての応用が期待される。また、生体への影響がない点から、生体内外に利用される医療用器具への適用にも適した材料となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
実施形態の生分解性材料は、疎水性多糖類誘導体に多官能性モノマーが添加され、電離性放射線で照射して橋架け反応を生じさせて架橋構造としたものである。
上記疎水性多糖類誘導体は、水酸基の置換度が2.0以上3.0以下で、エーテル化、エステル化、アルキル化あるいはアセチル化されたデンプン誘導体、セルロース誘導体、あるいはプルランから選ばれた1種又は複数種からなり、具体的には、脂肪酸エステルスターチ、酢酸エステルスターチ、酢酸エステルセルロースあるいはアセチル化プルランから選択して用いている。
上記多官能モノマーは、アリル基を有するモノマーを用い、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)あるいはトリメタイソアリルシアヌレート(TMAIC)を用いている。
上記疎水性多糖類誘導体100重量%に対して多官能性モノマーを0.1〜3重量%添加して均一に溶解分散させた混合物を射出成形でシートを成形し、該シートに電離性放射線を250kGy照射し、上記多官能性モノマーにより架橋を生じさせて、疎水性多糖類誘導体を架橋させている。
本発明に係わる上記生分解性材料は、ゲル分率が55%以上の架橋構造となるため、容易に変形せず、形状保持力を高めることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、疎水性多糖類誘導体の種類および量、多官能性モノマーの種類および配合量を代えることで、電離性放射線の照射量、該照射量によりゲル分率を本発明の範囲内で変えることができる。
次に、実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本究明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
疎水性多糖類誘導体として、脂肪酸エステルスターチ(日本コーンスターチ製CP−5)を使用した。該多糖類は水酸基の置換度が約2.0、脂肪酸のCH2側鎖は平均10で、水には不溶であるがアセトンに溶解し、完全に疎水性である。この脂肪酸エステルスターチを略閉鎖型混練機ラボプラストミルにて、150℃で融解させた中に、アリル系モノマーの1種であるTAIC(日本化成株式会社製)を脂肪酸エステルスターチに対して3重量%添加し、回転数20rpmで10分間良く練って混合した。その後、この混練物を150℃熱プレスにて1m厚のシートを作製した。このシートを、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(加速電圧2MeV 電流量1mA)により電子線を照射し、得られた放射線架橋物を実施例1とした。
(実施例2、3)
実施例1で用いたアリル系モノマーのTAICの添加量を1重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2を得た。また用いたモノマーを同じアリル系モノマーであるTMAIC(日本化成株式会社製)を1重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3を得た。
(実施例4〜6)
疎水性多糖類誘導体として、置換度が2である酢酸エステルスターチ(日本コーンスターチ製 CP−1)を用い、アリル系モノマーとしてはTAICを1重量%使用し、樹脂の軟化温度に合わせて混練時及びプレス時の加熱温度を200℃とした以外は実施例1と同様にして、実施例4を得た。
疎水性多糖類誘導体として、置換度2の酢酸セルロース(ダイセル化学株式会社製 L−30)および、置換度2.6のアセチル化プルラン(讃岐化学工業株式会社製 NSP−26)を用いた。この多糖類誘導体100重量部に対してアセトンを80重量部数および、TAICを多糖類の1重量%を混ぜ、回転式混練器ハイブリッドミキサーにて5分間混ぜ合わせた。これを乾燥後厚みが0.5m皿になるように型に入れてゆっくり室温にて乾燥させてキャストフィルムとしたものを実施例5、6とした。
(実施例7、8)
実施例7は多官能性モノマーとしてHDDAを3重量%用い、実施例8ではTMPT(アルドリッチ社製)を3重量%としたこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例1〜8)
実施例1〜8の電子線照射を行わなかったものをそれぞれ比較例1〜8とした。また、モノマーを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例9とした。
以上の実施例1〜8、および比較例1〜9の違いを下記の表1にまとめた。
Figure 0004373763
以上の実施例および比較例について、照射による分子の橋架けの程度を評価する目的でゲル分率を測定した。また橋架けによる強度向上効果を評価する目的で引張試験による破断強度を測定した。
(1)ゲル分率評価
各シートの所定量を200メッシュのステンレス金網に包み、アセトン液の中で48時間煮沸したのちに、アセトンに溶解したゾル分を除いて残ったゲル分を得る。50℃24時間で乾燥してゲル中のアセトンを除去してゲル分の乾燥重量を測定し、以下の式でゲル分率を計算する。
ゲル分率(%)=(ゲル分乾燥重量)/(初期乾燥重量)×100
各実施例(50kGy照射時)および比較例のゲル分率を上記表1に併記する。
また、実施例1、3、7,8および実施例9の電子線照射量とゲル分率の関係を示すグラフを図1に示す。
(2)引張破断強度評価
幅1cm長さ10cmの長方形に、実施例1と比較例9の両サンプルを成型したのちに、本サンプルをチャック間2cm、引張速度10m/分にて破断するときの強度を測定した。
破断強度(kg/cm2)=破断時の引張荷重/(サンプル厚み×サンプル幅)
その結果から電子線照射量と破断強度の関係を表すグラフを図2に示す。
(実施例および比較例の評価結果)
ゲル分率の結果(表1)より、まったく架橋していない比較例1〜9に比べて、実施例1〜8では放射線によって多糖類の分子同士が橋架けしていることがわかった。実施例の中でも、TAICやTMAICなどアリル系のモノマーは、HDDAやTMPT等のモノマーに比べて効率的に分子を架橋していることがわかる。
図2をみてもこのことは明らかで、TAICは1%低濃度でも十分な橋かけを行うことが出来るため、生分解性樹脂としての疎水性多糖類誘導体の橋架けには非常に適したモノマーであることがわかる。
橋架けの効果は、図2に示すようにその強度に反映される。すなわち、TAICを含まない脂肪酸エステルスターチ(比較例9)に対して、TAICを混練して放射線架橋させた実施例1では、照射50kGy付近で比較例9の約2倍、元の強度の1.5倍に強度が向上していることがわかる。
この架橋は、分子同士の結合であることを考えれば、高温時の強度、溶融変形に対する耐性、すなわち耐熱性が向上していることが容易に推定できるため、特に高温の強度が必要な用途において、本発明品は有効であると言える。
本発明の実施例1、2、7、8および比較例9についての、電子線照射量に対するゲル分率の変化を示すグラフである。 本発明の実施例1および比較例9についての、電子線照射量に対する引張破断強度の変化を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 水酸基の置換度が2.0以上3.0以下で、エーテル化、エステル化、アルキル化あるいはアセチル化されたデンプン誘導体、セルロース誘導体、あるいはプルランから選ばれた1種又は複数種からなる疎水性多糖類誘導体に
    トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメタアリルイソシアヌレート(TMAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリメタアリルシアヌレート(TMAC)から選ばれるアリル基を有するモノマー、1.6ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリメチロールプロパントリメタアクリレート(TMPT)から選ばれるアクリル系、またはメタクリル系のモノマーからなる架橋型多官能性モノマーが添加され
    上記疎水性多糖類誘導体100重量%に対して、上記架橋型多官能性モノマーが0.1〜3重量%配合され、電離性放射線照射で架橋構造とされて、(ゲル分乾燥重量/初期乾燥重量)が10〜90%の架橋構造とされていることを特徴とする生分解性材料。
  2. 上記疎水性多糖類誘導体は、脂肪酸エステルスターチ、酢酸エステルスターチ、酢酸エステルセルロースあるいはアセチル化プルランからなり、
    上記架橋型多官能性モノマーが、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)あるいはトリメタアリルイソシアヌレート(TMAIC)からなり、
    ゲル分率が55%以上である請求項1に記載の生分解性材料。
  3. 請求項1乃至請求項2に記載の生分解性材料の製造方法であって、疎水性多糖類誘導体に架橋型多官能性モノマーを添加して混練し、該混合物を所要形状に成形した後、該成形品を電離性放射線で照射して橋架け反応を生じさせて架橋構造としていることを特徴とする生分解性材料の製造方法
  4. 上記電離性放射線の照射量を2〜50kGyとしている請求項3に記載の生分解性材料の製造方法。
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