JP2008069342A - 生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料、成形品及びそれらの製造方法 - Google Patents

生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料、成形品及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生分解性樹脂の広い温度範囲において耐熱性を有し、かつ、用途に応じて柔軟性や伸びも備えた生分解性樹脂複合体からなる成形品を、成形における利便性を高めて、効率よく生産する製造方法を提供する。
【解決手段】生分解性樹脂に架橋性モノマーが配合された混練物を作製し、該生分解性樹脂を電離性放射線を用いて架橋して架橋物を作製した後、粉末状に粉砕して生分解性樹脂架橋物粉末とし、60℃以上且つ前記生分解性樹脂の融点あるいは分解温度以下とした可塑剤あるいは重合性モノマーを含む含浸材を含浸させて、生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料を作製する。その後、該成形材料を前記生分解性樹脂の融点以上に加熱して成形し、ペレット状の生分解性樹脂複合体からなる成形材料あるいは生分解性樹脂製の成形品とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料、成形品及びそれらの製造方法に関し、詳しくは、フィルム、容器または筐体などの構造体や部品などのプラスチック成形品が利用される分野において、特に使用後の廃棄処理問題の解決を図るために有用な生分解性製樹脂成形品、およびその成形材料として用いられるものである。
現在、多くのフィルムや容器に利用されている石油合成高分子材料は、加熱廃棄処理に伴う熱および排気ガスによる地球温暖化、さらに燃焼ガスおよび燃焼後の残留物中の毒性物質による食物や健康への悪影響、廃棄埋設処理地の確保など、その廃棄処理過程についてだけでも様々な社会問題が懸念されている。
このような石油合成高分子材料の廃棄処理の問題点を解決する材料として、デンプンや脂肪族ポリエステルに代表される生分解性高分子材料が注目されてきている。生分解性高分子材料は、石油合成高分子材料に比べて、燃焼に伴う熱量が少なく、かつ自然環境での分解・再合成のサイクルが保たれる等、生態系を含む地球環境に悪影響を与えない。生分解性高分子材料のなかでも、脂肪族ポリエステル系樹脂は強度や加工性の点で石油合成高分子材料に匹敵する特性を有し、近年特に注目を浴びている素材である。脂肪族ポリエステル系樹脂のなかでも、特にポリ乳酸は植物から供給されるデンプンから作られ、近年の大量生産によるコストダウンで他の生分解性高分子材料に比べて非常に安価になりつつある点から、現在その応用について多くの検討がなされている。
しかし、デンプン、セルロースおよびそれらの誘導体、ポリ乳酸のような生分解性樹脂は非常に硬く、実質的に伸びが殆どなく、変形や衝撃に対する吸収性に乏しいという欠点を有する。他方、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性樹脂は、柔軟ではあるが破壊強度が弱いという欠点を有する。このように、生分解性樹脂は柔軟性と強度を兼ね備えておらず、そのままでは使用しにくいものが多い。
そこで、これら生分解性樹脂を改良するために、従来からプラスチック樹脂で行われてきた技術である樹脂同士の混合や可塑剤などの改質剤を複合化する試みが盛んに行われている。例えば、ポリ乳酸では、ガラス転移温度の60℃未満における硬さや脆さを改善し耐衝撃性を汎用のプラスチック並みに向上させるため、生分解性樹脂(ポリ乳酸)に特定の可塑剤を混練することが下記の非特許文献1に記載されている。
また、ガラス転移温度以上になると柔軟になりすぎて強度が低下してしまうという問題を解決するために、電離性放射線を利用して生分解性樹脂を架橋させることが特開2003−313214号公報(特許文献1)に提案されている。
特開2003−313214号公報 荒川化学工業(株)発行、「荒川NEWS」、2004年7月発行、No.326号 第2頁〜第7頁
しかし、これら技術を各々単独で用いても、生分解性樹脂のガラス転移温度未満における柔軟性・伸びの保持とガラス転移温度以上における形状・強度の維持(すなわち耐熱性)の両方を同時に解決することはできない。即ち、非特許文献1のように、単に生分解性樹脂に可塑剤を混合するだけでは、ガラス転移温度を下げて生分解性樹脂分子間の結合力を弱めるだけであり、変形しやすくして割れにくくはなるが、変形や衝撃に対する復元力は付与できず、そのうえ、ガラス状のものが粘土のようになり、強度も保持できない。また、ガラス転移温度以上における形状や強度の維持性を改善させるため、特許文献1のように生分解性樹脂を架橋することは有効であるが、このようにして得られる架橋された生分解性樹脂製品は硬くて脆く、柔軟性や伸びを有するようなものではない。
また、前記した技術はそれぞれ単独では実施可能なものであるが、両立させようとすると、複合化させた材料による架橋阻害が起こるため架橋できない等の問題が起こる。例えば、前記技術を単に組み合わせて、生分解性樹脂に可塑剤を混練した組成物を電離性放射線の照射などにより架橋させても、架橋は完全には進行しない。架橋を妨げる原因としては、可塑剤が電離性放射線によるラジカルを消失させること以外に、可塑剤を先に混練すると、可塑剤が生分解性樹脂の分子間に進入して生分解性樹脂分子同士の結合を阻止することなどが考えられる。生分解性樹脂を架橋するためには生分解性樹脂の分子同士が相互に接触して結合する必要がある。
さらに、これまでの架橋構造を有する生分解性樹脂の成形品は、前記特許文献1のように、最終的な成形品の形状に成形した後に放射線照射による架橋を行って製造しているため、加工性・生産性に優れたものではない。放射線照射による生分解性樹脂の架橋は、耐熱性や形状維持性を向上させるという利点を有するものであるが、これは逆に言えば、生分解性樹脂の熱可塑性を失わせるものであるため、前記したように、従来は製品として成形した後に放射線照射を行っている。
しかし、所要形状に成形後に放射線照射を行うには、高額で管理コストもかかる放射線照射設備を製造現場に導入するか、照射設備のある場所まで成形物を運搬することが必要となる。よって、費用や手間がかかるため、成形品の加工性・生産性を著しく損ない、結果として過大な製造コストを要することになる。
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、所要形状に成形後に放射線照射して架橋するのではなく、架橋された生分解性樹脂を粉末状やペレット状の成形材料とし、該成形材料を用いて、インフレーション成形、射出成形等の各種成形方法により所望の形状に成形できるようにし、広い温度範囲において耐熱性を有する生分解性樹脂製の成形品を効率よく生産することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、まず、第一〜第四の発明で、成形材料の製造方法を提供している。
第一の発明は、
生分解性樹脂に架橋性モノマーが配合された混練物を作製する(A)工程の後、
前記生分解性樹脂を架橋させて生分解性樹脂架橋物を作製する(B)工程を行い、
前記(B)工程の後に前記生分解性樹脂架橋物を粉末状に粉砕する(C)工程を行って製造している生分解性樹脂架橋物粉末からなる成形材料の製造方法からなる。
前記のように、第一の発明では、まず、(A)工程において、生分解性樹脂に架橋性モノマーが配合された混練物を作製する。その後、(B)工程において、混練物中の生分解性樹脂を架橋して網状構造として耐熱性を付与し、(C)工程において粉末状に粉砕する。
一方、第二の発明は、
生分解性樹脂に架橋性モノマーが配合された混練物を作製する(A)工程の後、
前記混練物を粉末状に粉砕する(C)工程を行い、
前記(C)工程の後に前記生分解性樹脂を架橋させて生分解性樹脂架橋物を作製する(B)工程を行って製造している生分解性樹脂架橋物粉末からなる成形材料の製造方法からなる。
第二の発明は、第一の発明の前記(B)工程、(C)工程の順序を、(C)工程、(B)工程の順で行なったものである。
このように、第一の発明と第二の発明において、(B)工程と、(C)工程の順序が異なるとしているのは、混練物の状態で架橋しても、混練物を粉末した状態で架橋しても架橋効果に大差はないからである。
第三の発明は、第一の発明あるいは第二の発明の方法を経て製造された前記生分解性樹脂架橋物粉末を、60℃以上且つ前記生分解性樹脂の融点あるいは分解温度以下とした可塑剤あるいは重合性モノマーを含む含浸材で膨潤させ、生分解性樹脂架橋物内に含浸材を含浸させた(D)工程を加えて製造している生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法からなる。
第四の発明は、前記(A)〜(D)工程の後に、前記生分解性樹脂複合体粉末を、前記生分解性樹脂の融点以上に加熱してペレット状とする(F)工程を経て製造しているペレット状の生分解性樹脂複合体からなる成形材料の製造方法からなる。
前記第一〜第四の発明で用いる生分解性樹脂としては、架橋構造を導入できる生分解性樹脂であればよいが、特に多糖類系、脂肪族ポリエステル系、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルのコポリマーの中から選ばれる1種類あるいは2種類以上の生分解性樹脂であることが好ましい。
具体的には、例えば、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、アルギン酸などの天然多糖類およびそれらをアセチル化、エステル化等した誘導体を含む多糖類系の生分解性樹脂;
L体およびD体のポリ乳酸、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート、あるいはポリエチレンサクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系の生分解性樹脂;
あるいは、これらにテレフタル酸など芳香族を導入したポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)などに代表される脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルのコポリマーの生分解性樹脂;
等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記架橋性モノマーとしては、電離性放射線の照射などにより架橋できるモノマーであれば特に制限を受けないが、例えばアクリル系もしくはメタクリル系の架橋性モノマーまたはアリル系架橋性モノマーが挙げられる。
前記アクリル系もしくはメタクリル系の架橋性モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
前記アリル系架橋性モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアクリルクロレンテート、アリルアセテート、アリルベンゾエート、アリルジプロピルイソシアヌレート、アリルオクチルオキサレート、アリルプロピルフタレート、ブチルアリルマレート、ジアリルアジペート、ジアリルカーボネート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルフマレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマロネート、ジアリルオキサレート、ジアリルフタレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルセバセート、ジアリルサクシネート、ジアリルテレフタレート、ジアリルタトレート、ジメチルアリルフタレート、エチルアリルマレート、メチルアリルフマレート、メチルメタアリルマレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
本発明で用いる架橋性モノマーとしては、比較的低濃度で高い架橋度を得ることができることからアリル系架橋性モノマーを用いることが好ましい。なかでもトリアリルイソシアヌレートは生分解性樹脂に対する架橋効果が高いために特に好ましい。また、トリアリルイソシアヌレートと加熱によって相互に構造変換しうるトリアリルシアヌレートを用いても、実質的に効果は同じである。
前記架橋性モノマーは、生分解性樹脂の種類にもよるが、生分解性樹脂100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下の割合で配合されていることが好ましい。さらに好ましい架橋性モノマーの配合量は3質量部以上8質量部以下である。これは、架橋性モノマーの配合量が3質量部未満であると、架橋性モノマーによる生分解性樹脂の架橋効果が十分に発揮されず、ガラス転移温度あるいは軟化温度以上の高温時において複合体の強度が低下し、最悪の場合形状を維持できなくなる可能性があるからである。一方、架橋性モノマーの配合量を8質量部以下としているのは、架橋性モノマーの配合量が8質量部を超えると、生分解性樹脂に架橋性ポリマー全量を均一に混合するのが困難になり、実質的に架橋効果に顕著な差が出なくなるという理由からである。
架橋性モノマーの配合量は、ガラス転移温度あるいは軟化温度以上の高温時における形状維持効果を確実にするために5質量部以上であることがより好ましく、生分解性樹脂の含有量を多くして生分解性を高めるために10質量部以下であることがより好ましい。
本発明の前記(A)工程で調製される混練物には、前記生分解性樹脂および架橋性モノマー以外に、本発明の目的に反しない限り、他の成分を配合しても良い。
例えば、生分解性樹脂以外の樹脂成分、硬化性オリゴマー、各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、防カビ剤もしくは粘性付与剤等の添加剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉末、タルク、マイカもしくはシリカ等の無機・有機充填材、染料もしくは顔料などの着色剤等を配合することもできる。
前述した生分解性樹脂、架橋性モノマーおよび所望により他の成分を含む(A)工程の混練物は、取り扱いを容易とするため、例えば、ペレット状、シート状、ロッド状に成形しておくことが好ましい。特に、後工程で粉砕を行なうため、ペレット状に成形しておくことが好ましい。
次に、第一の発明では、このように得られた生分解性樹脂の混練物を、第二の発明では該混練物の粉砕物を、前記(B)工程において架橋して、生分解性樹脂架橋物を形成している。架橋構造を形成させる方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、前記した電離性放射線を照射する方法、化学開始剤を使用する方法が挙げられるが、電離性放射線を照射する方法を用いることが好ましい。
電離性放射線としてはγ線、エックス線、β線またはα線などが使用できるが、工業的生産にはコバルト−60によるγ線照射や、電子線加速器による電子線照射が好ましい。
電離性放射線の照射は空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。電離性放射線の照射によって生成した活性種は空気中の酸素と結合して失活すると架橋効果が低下するためである。
前記非特許文献1では可塑剤を混合した後に生分解性樹脂の架橋を行っているが、本発明では、第三の発明において、可塑剤または重合性モノマーを含む含浸材に浸漬する前に、生分解性樹脂の架橋を行なうこととしている。そのため、第三の発明により得られた生分解性樹脂複合体は生分解性樹脂分子間の架橋がほぼ完全な形で維持される。架橋されていない生分解性樹脂の粉末を加熱した含浸材に浸漬しても、溶解してしまうか、膨潤しないかのいずれかであり、粉末の形状を保ったまま含浸材で膨潤させるためには、架橋ネットワークが粉末の中に導入されていることが必須条件となる。架橋ネットワークが粉末の中に導入されていれば、可塑剤あるいは重合性モノマーを混合した後に生分解性樹脂を架橋する場合に発生する強度の低下が生じるようなことはなく、形状保持性を高めることができる。
また、第三の発明においては、含浸材を生分解性樹脂に含浸させる前に生分解性樹脂を放射線等で架橋するため、含浸材の選択の際には放射線などの架橋手段に対する耐性や架橋阻害について考慮する必要がない。含浸材は生分解性樹脂との相性のみで任意に選択可能であり、また含浸材に無関係に生分解性樹脂の架橋状態を制御することができる。
このように、まず、生分解性樹脂をほぼ完全に架橋して生分解性樹脂架橋物粉末を作製することが重要であり、該生分解性樹脂複合体粉末の生分解性樹脂成分が実質的に100%架橋されていることが好ましい。
そのために、第三の発明において、可塑剤あるいは重合性モノマーを含む含浸材に浸漬する前の生分解性樹脂架橋物粉末は、ゲル分率が95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは実質的に100%で、完全に架橋させていることが好ましい。
なお、ゲル分率が実質的に100%となる場合でも、架橋点の量、すなわち架橋密度が重要で、架橋密度を上げていくことで含浸材の含有量を制御することが可能である。これは、架橋ネットワーク構造が緻密になることで構造変化・体積変化しにくくなることを利用しており、生分解性樹脂架橋物粉末を形成する際の架橋性モノマーの量、架橋させる電離性放射線の量などを増減させることで架橋密度を増減させて、含浸材の含浸量を制御することが可能である。
前記生分解性樹脂を架橋する電離性放射線の照射量は50kGy以上200kGy以下であることが好ましい。
架橋性モノマーの配合量によっては電離性放射線の照射量が1kGy以上10kGy以下であっても生分解性樹脂の架橋は認められるが、ほぼ100%の生分解性樹脂分子を架橋するには電離性放射線の照射量が50kGy以上であることが好ましい。さらに、後の工程で液体状の含浸材に浸漬したときに形状の変化を抑えて均一に膨潤させるためには、電離性放射線の照射量が80kGy以上であることが好ましい。
一方、電離性放射線の照射量が200kGy以下であることが好ましいとしているのは、生分解性樹脂が樹脂単独では放射線で崩壊する性質を有するため、電離性放射線の照射量が200kGyを超えると架橋とは逆に分解を進行させることになるからである。電離性放射線の照射量の上限値は150kGyであることが好ましく、100kGyであることがより好ましい。
前記電離性放射線を照射して架橋する方法に代えて、生分解性樹脂に架橋性モノマーと化学開始剤を混合したのち所望の形状に成形し、化学開始剤が熱分解する温度まで上げることによって、生分解性樹脂架橋物を調製してもよい。
架橋性モノマーとしては、前記電離性放射線による架橋の場合と同じ物質を用いることができる。
化学開始剤としては、熱分解により過酸化ラジカルを生成する過酸化ジクミル、過酸化プロピオニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジアシル、過酸化ペラルゴニル、過酸化ミリストイル、過安息香酸−t−ブチルもしくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの過酸化物触媒をはじめとするモノマーの重合を開始する触媒であればいずれでもよい。
架橋させるための温度条件は化学開始剤の種類により適宜選択することができる。架橋は、放射線照射の場合と同様、空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。
前記(C)工程において、第一の発明においては生分解性樹脂架橋物を、第二の発明においては生分解性樹脂の混練物を粉末状にする方法は、特に制限はなく、例えば、すり鉢ですり潰す方法、ボールミルに代表されるように硬い材質のものを共存させた状態で振動を与えて粉砕する方法、液体窒素等で冷却して硬く脆い状態としてから粉砕する方法(凍結粉砕法)、衝撃粉砕による方法などが挙げられる。一般にポリマーは粉砕の際の熱で軟化あるいは溶融し、力をかけても延びたり変形したりして無機物のように破砕しにくい。特に60℃付近にガラス転移温度を有するポリ乳酸などは、凍結粉砕に比べて安価な常温粉砕により粉砕を行うのは困難である。
しかし、本発明のように放射線等でポリマーに架橋構造を導入した場合は、この軟化溶融による変形が防止される。このために、粉砕の難易からみて、架橋工程((B)工程)は、粉砕工程((C)工程)よりも前に行なうことが好ましい。
このようにして、第一、第二の発明の生分解性樹脂架橋物粉末からなる成形材料の製造方法により製造された成形材料が得られる。
第三の発明では、前記したように、第一、第二の発明の(A)〜(C)工程に加えて、(D)工程を行い、生分解性樹脂架橋物粉末を、60℃以上且つ前記生分解性樹脂の融点あるいは分解温度以下に加熱した可塑剤あるいは重合性モノマーを含む含浸材で膨潤させている。該生分解性樹脂架橋物粉末を膨潤させる方法は、生分解性樹脂架橋物粉末を加熱した液体の含浸材に浸漬することにより行なってもよいし、生分解性樹脂架橋物粉末に含浸材を混合し、加熱することにより行なってもよい。前記生分解性樹脂架橋物粉末は見かけ比重の小さい状態、すなわち粒子間に多くの隙間や空間を持った嵩高い状態であるため、生分解性樹脂と等量前後の含浸材を隙間に含み、余剰な含浸材が滲まない状態にすることができる。そのため、密閉した容器に生分解性樹脂架橋物粉末と含浸材を所望の比率で混合して加熱すれば、ほぼ均一に生分解性樹脂架橋物粉末に含浸材を含浸させることができる。
前記可塑剤あるいは重合性モノマーを含む含浸材としては、常温で液体状のもの、または常温では固体であっても加熱して融解し液体となるものであれば、特に限定なく使用することができる。
含浸させる含浸材の温度は、本発明者の検討によれば、多くの生分解性樹脂の軟化温度やガラス転移温度は60℃付近であり、この温度付近で柔軟になるので、下限を60℃としている。含浸材の温度を60℃以上とすれば非常に効率よく複合化が可能となる。さらに分子量が大きな生分解性樹脂架橋物の場合には含浸材の温度を80℃以上、さらには100℃以上とするのが好ましい。
含浸材の最適温度は生分解性樹脂の種類、含浸材の種類、生分解性樹脂と含浸材の組み合わせにより異なるが、例えば、ガラス転移温度が一般的に60℃以下である脂肪族ポリエステル類系の生分解性樹脂は、含浸材の温度を60℃以上とするのが適している。ガラス転移温度や軟化温度が一般に高い多糖類系の生分解性樹脂でも80〜100℃に加熱すれば含浸材により膨潤させることが可能である。
他方、常温で液体である可塑剤や重合性モノマーは、加熱により気化あるいは蒸散しやすいものが多いため、このような可塑剤あるいは重合性モノマーは気化温度よりも低い温度とする必要がある。例えば、架橋性モノマーなどの一部の含浸材は80〜150℃付近に沸点を有し、これ以上の温度とすると気化しやすくなるため、含浸材の温度を上げることが困難となる。そのため、気化しやすい含浸材を用いる場合では、その温度の上限を80℃とするのが好ましい。気化しにくい含浸材でも上限は120〜140℃とするのが好ましい。さらに、含浸材は化学的に安定な状態で、かつ液体状であることが必要であるため、含浸材の温度の上限は前記生分解性樹脂の融点以下または分解温度以下としている。
よって、一般的な含浸材の温度の下限値は60℃とし、好ましくは80℃以上としている。また、上限値は好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下としている。
しかし、高温で安定なエポキシ化変性油のような可塑剤を含む含浸材を用いる場合は、180℃など生分解性樹脂の融点を超える温度としてもよい。
また、膨潤時間も特に限定されないが、一般に拡散現象は厚みの二乗に比例するため、粒子サイズに応じ、5〜120分の範囲とするのが好ましく、さらに30〜60分とするのが好ましい。平均粒径が500μm前後の粉末では60分程度、さらに100μm以下の粉末では5分ほど十分である。
本発明においては、含浸材の含浸前に粉末としていることで、成形体のような大きな塊に含浸材を含浸する場合に比べて、生分解性樹脂への含浸材の含浸が非常に速やかに行なわれるという利点がある。
また、粉末とすることにより含浸材の含浸率を制御しやすくなる。すなわち、前記したような方法により、粉末に規定量の含浸材を均一に染み込ませておくことにより、含有率を規定することができる。このようにして含浸材を含浸させれば、余剰な含浸材も必要がない。成形体のような大きな塊状の生分解性樹脂に含浸材を含浸する場合は、余剰な含浸材の液体中に浸漬することになるため、含浸材の含有率は、浸漬時間などで制御する必要があるため、含浸材の含有率を制御することが困難である。
本発明においては、前記含浸材として、可塑剤を含む含浸材と、重合性モノマーを含む含浸材を使用することができる。
前記含浸材として可塑剤を用いた場合、含浸材が生分解性樹脂の分子間の相互作用を阻止し、得られた生分解性樹脂複合体はガラス転移温度や軟化温度以下の温度でも非常に優れた柔軟性と伸びを有し、優れた耐衝撃性を示すようになる。
これは、一般的に、熱収縮材が架橋構造により形状記憶性を持つことと同じ効果が起こっていると考えられる。即ち、熱収縮材は伸張された状態で形状を固定して製造され、使用時に加熱されることにより初めて柔軟になり形状復帰能力を発揮することができるが、本発明の生分解性樹脂複合体粉末を用いた成形品の場合は、可塑剤からなる含浸材を含有させることによって、常温に戻すと可塑剤により柔軟性を有する形状復帰が起きると認められる。
前記可塑剤を含む含浸材は、生分解性樹脂内に含浸させる必要から生分解性樹脂との親和性が高いものが好ましい。ゆえに、含浸材としては、弱くとも極性を有し、且つ分子量が大きくないものが好ましく、生分解性樹脂またはその誘導体が最も適している。
具体的には、前記可塑剤は以下の(a)〜(d)の少なくとも1種を含有するものが好適に用いられる。
(a)脂肪族ポリエステル誘導体またはロジン誘導体を含む可塑剤
(b)ジカルボン酸誘導体を含む可塑剤
(c)グリセリン誘導体を含む可塑剤
(d)エポキシ化変性油
なかでも、本発明の生分解性樹脂複合体の生分解性をより高く保つために生分解性を有することが好ましく、具体的には生分解性樹脂をはじめとする脂肪酸ポリエステルの低分子量物もしくはその誘導体、ジカルボン酸およびグリセリン誘導体、ラクトン類などの生分解性の認められている可塑剤が好適である。
前記脂肪族ポリエステル誘導体としては、主成分として脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸もしくはその誘導体との重縮合体および共重縮合体、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸もしくはその誘導体およびヒドロキシカルボン酸との共重縮合体等が挙げられ、より具体的には、例えばα−ヒドロキシカルボン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸など)、ヒドロキシジカルボン酸類(例えば、リンゴ酸など)、ヒドロキシトリカルボン酸類(例えば、クエン酸など)などの一種以上から合成された重合体、共重合体あるいはこれらの混合物などは挙げられる。なかでも、脂肪酸ポリエステルとしては生分解性樹脂を用いることが好ましい。
前記脂肪族ポリエステルの分子量は、生分解性樹脂複合体粉末を構成する生分解性樹脂の分子量よりも小さいことが好ましい。具体的には1×10以下、より好ましくは1×10以下、更に好ましくは1×10〜1×10である。
前記脂肪族ポリエステルの誘導体としては、脂肪族ポリエステルを化学修飾した公知の化合物を用いることができる。なかでも、生分解性樹脂誘導体を含む可塑剤である荒川化学工業(株)製「ラクトサイザーGP−4001(商品名)」を用いることが好ましい。
前記ロジン誘導体としては、ガムロジン、ウッドロジンもしくはトール油ロジン等の原料ロジン類、該原料ロジンを不均化または水素化処理した安定化ロジンや重合ロジン、その他ロジンエステル類、強化ロジンエステル類、ロジンフェノール類、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
なかでも、本発明においては、ロジン誘導体を含む可塑剤である荒川化学工業(株)製「ラクトサイザーGP−2001(商品名)」を用いることが特に好ましい。
前記ジカルボン酸誘導体としては、ジカルボン酸のエステル体、ジカルボン酸の金属塩またはジカルボン酸の無水物等が挙げられる。
前記ジカルボン酸誘導体のジカルボン酸としては、炭素数2〜50、特に炭素数2〜20の直鎖または分岐状の飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、及び数平均分子量2000以下、特に1000以下のポリエーテルジカルボン酸等が挙げられる。なかでも、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸もしくはデカンジカルボン酸などの炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記ジカルボン酸誘導体としてはジカルボン酸のエステル体が好ましい。ジカルボン酸のエステル体としては、例えばビス(メチルジグリコール)アジペート、ビス(エチルジグリコール)アジペート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、メチルジグリコールブチルジグリコールアジペート、メチルジグリコールエチルジグリコールアジペート、エチルジグリコールブチルジグリコールアジペート、ジベンジルアジペート、ベンジルメチルジグリコールアジペート、ベンジルエチルジグリコールアジペート、ベンジルブチルジグリコールアジペート、ビス(メチルジグリコール)サクシネート、ビス(エチルジグリコール)サクシネート、ビス(ブチルジグリコール)サクシネート、メチルジグリコールエチルジグリコールサクシネート、メチルジグリコールブチルジグリコールサクシネート、エチルジグリコールブチルジグリコールサクシネート、ジベンジルサクシネート、ベンジルメチルジグリコールサクシネート、ベンジルエチルジグリコールサクシネート、ベンジルブチルジグリコールサクシネート、エチルメチルジグリコールアジペート、エチルブチルジグリコールアジペート、ブチルメチルジグリコールアジペート、ブチルブチルジグリコールアジペート、エチルメチルジグリコールサクシネート、エチルエチルジグリコールサクシネート、エチルブチルジグリコールサクシネート、ブチルメチルジグリコールサクシネート、ブチルエチルジグリコールサクシネート、ブチルブチルジグリコールサクシネート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチレングリコレート等が挙げられる。
前記ジカルボン酸誘導体としては、特にシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸またはフタル酸などのジカルボン酸の、アセチル化体に代表されるエステル化体が好ましい。なかでも本発明においてはアジピン酸エステルである大八化学工業(株)製「DAIFATTY−101(商品名)」を用いることが特に好ましい。
前記グリセリン誘導体としては、グリセリンをエステル化した誘導体が挙げられる。より具体的には、グリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステルまたはグリセリン脂肪酸トリエステルが挙げられる。
前記エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数2〜22の飽和または不飽和脂肪酸が挙げられ、具体的には酢酸、プロピオン酸、酪酸(ブタン酸)、イソ酪酸、吉草酸(ペンタン酸)、イソ吉草酸、カプロン酸(ヘキサン酸)、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、イソカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルシン酸、12−ヒドロキシオレイン酸などが挙げられる。グリセリン脂肪酸ジエステルまたはグリセリン脂肪酸トリエステルを構成する2種または3種の脂肪酸は同一であっても異なっていても良い。
なかでも本発明においてはトリアセチルグリセリド(通称トリアセチン)、アセチル化モノグリセライドである理研ビタミン(株)製「リケマールPL(シリーズ)」などのアセチル化されたグリセリンがグリセリン誘導体として好適である。
前記エポキシ化変性油としては、エポキシ化大豆油やエポキシ化ひまし油等が挙げられる。
その他、前記可塑剤として、薬剤、農薬、薬品や食品などの有用物質を用いてもよい。
有用物質を含浸材として用い、生分解性樹脂の架橋ネットワークに有用物質を担持させることにより、生分解性樹脂製の成形品が生分解されるにつれて有用物質が徐放されるという徐放システムを構築することができる。
含浸材として用いる薬剤、薬品としては、徐放システムのように生分解性樹脂架橋物粉末の周囲に作用するものだけに限定されず、例えば生分解性樹脂架橋物粉末自体に作用し、耐久性を向上させる老化防止剤や加水分解抑制剤等を用いることができる。
例えば、生分解性樹脂架橋物粉末にポリ乳酸を使用した場合、加水分解しやすいポリ乳酸の性質を改良するために、含浸材にカルボジイミド等の加水分解抑制剤を溶解させておき、一緒に複合化する等の方法を用いることができる。
また、含浸材として重合性モノマーを用いる場合には、生分解性樹脂架橋物粉末の架橋ネットワークの中で重合性モノマーを固定する目的で、生分解性樹脂架橋物粉末に重合性モノマーをグラフト重合、あるいは重合性モノマーを生分解性樹脂に複合化して内部でポリマー化し、生分解性樹脂と該ポリマーをポリマーアロイとすることが可能である。ポリマーアロイ化することによって、生分解性樹脂と重合性モノマーが重合して生成するポリマーの両者の特性を合わせた硬さ等の性質のものを作製することができる。
さらに、第三、第四の発明の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法は、生分解性樹脂中に含浸材が非常に均一で微細に分散した状態を形成できる点でも優れている。生分解性樹脂と含浸材を複合化させる場合、従来の方法では両者を物理的に練り合わせて加熱混合して分散させていたため、相容化剤を使用せずにポリマーアロイ化、ナノコンポジット化といった微細分散を達成することはできなかった。それに対し、本発明の製造方法では、生分解性樹脂架橋物を形成する際に微細な架橋ネットワーク構造を形成しておけば、相容化剤等の薬剤を使用しなくても、含浸材の微分散状態を容易に形成することができる。このような生分解性樹脂架橋物粉末の微細なネットワーク構造は、架橋性モノマーの量や放射線の照射量などの条件をコントロールして形成すればよい。このように、本発明の製造方法では、生分解性樹脂と含浸材を単に混合や配合によって複合化した場合に付き物である材料の混合ムラや、混合しきれなかった大きな塊やダマなどが残存する心配もない。
前記重合性モノマーを含む含浸材は、下記の(e)〜(i)の少なくとも1種類を含有することが好ましい。
(e)アクリル系モノマーあるいは/及びアクリル基を有する低分子量ポリマー
(f)メタクリル系モノマーあるいは/及びメタクリル基を有する低分子量ポリマー
(g)スチレン系モノマー
(h)アリル系モノマーあるいは/及びアリル基を有する低分子量ポリマー
(i)カルボン酸ビニル系モノマー
前記アクリル系もしくはメタクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、メタクリル酸グリシジル(グリシジルメタクリレート)等が挙げられる。
前記アクリル基を有する低分子量ポリマーもしくはメタクリル基を有する低分子量ポリマーとしては、前記アクリル系もしくはメタクリル系モノマーの1種類あるいは2種類以上を重合させて得られる分子量が100〜1000程度の低分子量ポリマーが挙げられる。
前記スチレン系モノマーとしては、スチレン、p−メチルトルエンなどの主としてそのパラ位に官能基を備えたもの、スチレンスルフォン酸塩、クロロスチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。
前記アリル系モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアクリルクロレンテート、アリルアセテート、アリルベンゾエート、アリルジプロピルイソシアヌレート、アリルオクチルオキサレート、アリルプロピルフタレート、ブチルアリルマレート、ジアリルアジペート、ジアリルカーボネート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルフマレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマロネート、ジアリルオキサレート、ジアリルフタレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルセバセート、ジアリルサクシネート、ジアリルテレフタレート、ジアリルタトレート、ジメチルアリルフタレート、エチルアリルマレート、メチルアリルフマレート、メチルメタアリルマレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
前記アリル基を有する低分子量ポリマーとしては、前記アリル系モノマーの1種類あるいは2種類以上を重合させて得られる分子量が100〜1000程度の低分子量ポリマーが挙げられる。
前記カルボン酸ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。
生分解性樹脂架橋物粉末内に加熱した含浸材が含浸され、生分解性樹脂架橋物粉末が膨潤した状態で生分解性樹脂の室温付近まで冷却することにより、生分解性樹脂と含浸材が複合化された本発明の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料が得られる。
このように製造された本発明の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料は、生分解性樹脂の架橋ネットワーク中に含浸材が含浸されている。
前記のように、生分解性樹脂架橋物粉末に対して、含浸させる可塑剤または重合性モノマーによって生分解性樹脂複合体粉末の硬さを調整することができる。例えば、比較的硬い多糖類系やポリ乳酸などの常温では硬くて靭性に乏しい生分解性樹脂では可塑剤を含浸させることにより硬さを低下させて柔軟性や耐衝撃性を付与することが可能となる。また、比較的柔軟性を有するポリブチレンアジペートテレフタレートやポリカプロラクトン、或いはガラス転移温度60℃以上の温度で軟弱となったポリ乳酸などは重合性モノマーを含浸させて所要の硬さとし、形状維持性の高い、高ヤング率の性質に改質することが可能である。
このように、生分解性樹脂の硬さを調整できる含浸材に含浸させて、含浸材を含んで膨潤した生分解性樹脂架橋物粉末を冷却しているため、用途に応じた硬さに調整した生分解性樹脂複合体粉末を得ることができる。
前記含浸材として前記重合性モノマーを用いる場合には、前記(D)工程の後で、前記含浸材を重合させる(E)工程を含むことが好ましい。
この場合には、最初の生分解性樹脂の架橋と同様、電離性放射線を用いて重合性モノマーの重合を行うことが好ましい。その場合、使用する電離性放射線は、最初の生分解性樹脂の架橋と同じであり、γ線、エックス線、β線或いはα線などが使用できる。工業的生産にはコバルト−60によるγ線照射や電子線加速器による電子線が好ましい。照射量は含浸させた重合性モノマーの量にも多少依存するが、最初の架橋ほどの量は必要なく、数kGyから数10kGyでも効果がある。
また、放射線等による生分解性樹脂の架橋工程((B)工程)の直後に重合性モノマーの含浸((D)工程)を行う場合には、(D)工程の後に電離性放射線照射等による重合工程を行なわなくても、前記(B)工程で生分解性樹脂に発生したラジカルを利用して、前記重合性モノマーを生分解性樹脂にグラフト重合させることができる。すなわち、ラジカルが消失する前に含浸材に浸漬することによって、残存ラジカルにより生分解性樹脂への重合モノマーをグラフト重合させることができる。
この場合には、含浸後に重合性モノマーを重合させる工程を省略することができるため、より好ましい。
電離性放射線の照射等により発生したラジカルは、空気中の酸素等との反応や熱によるゆらぎで徐々に失われていくため、生分解性樹脂、含浸材の種類にもよるが、前記(B)工程が電離性放射線の架橋による場合には、該架橋を行なってから略1〜24時間以内に生分解性樹脂架橋物粉末を重合性モノマーを含む可塑剤に含浸すれば、電離性放射線の照射なしで重合性モノマーを重合させることができる。
前記生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料は、後述する工程により加熱して所要の形状に成形されるが、生分解性樹脂複合体粉末が溶融して隣接する樹脂と接着して一体化され成形品となる性質は、架橋が施されていることにより大きく制限される。そのため、前記生分解性樹脂複合体粉末を結着する目的で、別途、結着用の熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を添加して混合し、成形材料としていることが好ましい。このように、熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を混合することで生分解性樹脂複合体粉末同士の接着性を向上させることができる。
ここで、混合する熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂は生分解性であってもなくてもよく、公知の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。しかし、本発明の目的を鑑みれば生分解性樹脂であることが望ましい。該生分解性樹脂としては前記したすべての生分解性樹脂を使用することができる。
特に、生分解性樹脂複合体粉末の製造時と同じ種類の生分解性樹脂を混合することで、粉末同士の接着性をより向上させることができる。この点で、混合する生分解性樹脂は生分解性樹脂複合体粉末を作製する際に使用したものと同じ生分解性樹脂を使用することが好ましい。しかし、用途によっては、異なる生分解性樹脂を用いることができる。また、熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂として、石油由来の樹脂を使用することも可能である。
前記生分解性樹脂の以外に用いられる熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂として、例えば以下のものを用いることができる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネートやアクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(ABS)等のエンジニアリングブラスチック、ポリウレタン系、オレフィン系、スチレン系、アミド系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、石油由来のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、植物由来のリグニン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合は、前記生分解性樹脂複合体粉末と混合したあとに熱硬化して複合化する等の手法を用いることができる。
近年、二酸化炭素排出量を抑制する目的から、植物由来樹脂の利用が検討されている。
植物由来樹脂は大気中の二酸化炭素を炭素源として吸収して固定化できる植物に由来する樹脂で、炭素の自然環境での分解・再合成のサイクルが保つことができ、生態系を含む地球環境に悪影響を与えないという利点がある。また、石油合成高分子材料に比べて、燃焼に伴う熱量も少ない。
そのため、石油由来の炭素の環境中への放出量を、大気中の二酸化炭素を炭素源とする植物由来樹脂で代替するという考えのもと、植物由来樹脂を石油由来樹脂に混合して、石油由来樹脂の一部を代替することが盛んに行われている。
本発明においても、前記生分解性樹脂複合体粉末の製造に用いる生分解性樹脂及び/又は前記生分解性樹脂複合体粉末に混合する熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂として、植物由来樹脂を用いることが好ましい。
ポリ乳酸や酢酸セルロース等の植物由来樹脂を使用した生分解性樹脂複合体粉末を、石油由来の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に混合して使用することも植物由来樹脂で代替した分だけ石油の使用量を減らすことができるという観点からは有益であると考えられる。
前述した生分解性樹脂の中で、ポリ乳酸、酢酸セルロース、疎水化デンプンは生分解性樹脂であると共に植物由来樹脂でもあるので、これらを前記生分解性樹脂複合体粉末の製造に用いる生分解性樹脂及び該生分解性樹脂複合体粉末に混合する熱可塑性樹脂として用いれば、成形材料や成形品を植物由来の生分解性樹脂で形成することができる。
可塑剤を含有する生分解性樹脂複合体粉末に、ポリエチレンやポリプロピレン等の汎用プラスチックや、強度や耐薬品性・耐熱性に優れたポリカーボネートやABS等のエンジニアリングプラスチックを混合することにより、成形材料あるいは成形品の一部を植物由来樹脂で構成すると同時に低コスト化したり、柔軟性や耐衝撃性を付与することができる。
また、可塑剤を含有する生分解性樹脂複合体粉末に、ポリウレタン樹脂や各種の熱可塑性エラストマー等の柔軟なポリマーを混合することにより、成形材料や成形品に柔軟性を付与することができる。
ひまし油を原料とするポリアミド11は、生分解性樹脂ではないが、植物由来樹脂であるので、ポリ乳酸等の植物由来樹脂を用いた生分解性樹脂複合体粉末に該ポリアミド11を混合すれば、全体としての生分解性は損なわれるものの、成形材料や成形品を植物由来樹脂のみで構成することが可能となる。
前記熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂は、生分解性樹脂架橋物粉末または前記生分解性樹脂複合体粉末に対して、質量比0.1〜1倍量で混合することが好ましい。
これら生分解性樹脂架橋物粉末または生分解性樹脂複合体粉末に混合する熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂のうち、特に該粉末の製造時に使用した生分解性樹脂と同じ生分解性樹脂を使用した場合は、生分解性樹脂複合体粉末と該熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂がポリマーアロイ化されているとみなすことも可能である。すなわち、ポリマーアロイは、一般的には、より硬いハードセグメントとなるポリマーと、より柔らかいソフトセグメントとなるポリマーの混合物であるが、本発明は生分解性樹脂に可塑剤や重合性モノマーを複合化して元の生分解性樹脂よりも柔かくしたり硬くしたり、硬さを変えた生分解性樹脂複合体粉末を、元の生分解性樹脂と混合・分散させたポリマーを形成することができるものである。そのため、見方を変えればポリマーアロイとみなすことができる。
ポリマーアロイでは、異なるポリマー同士であるために両者の混合・分散が難しいが、本発明では同一の樹脂を用いることにより、その両者の親和性、混合・分散性が極めて良いものとなるという利点がある。
前述のように熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を混合する場合で、生分解性樹脂架橋物粉末あるいは生分解性樹脂複合体粉末と該熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂との間の接着力が低い場合には、混合物全体の強度低下を抑制するため、各種相容化剤を利用することができる。
前記相容化剤としては、無水マレイン酸変性ポリマー、アクリル変性ポリマー等を用いることができ、例えば、三洋化成(株)製「ユーメックス(商品名)」、三菱レイヨン(株)製「メタブレン(商品名)」等の市販品を用いることができる。
前記第四の発明では、前述したように、前記生分解性樹脂複合体粉末を、前記生分解性樹脂の融点以上に加熱してペレット状とする(F)工程を経て、ペレット状の生分解性樹脂複合体からなる成形材料を製造している。
該ペレット状の生分解性樹脂複合体からなる成形材料は、一般的な熱可塑性プラスチック材料と同様の方法により成形することができる。このように、ペレット状の生分解性樹脂複合体からなる成形材料にはあらかじめ架橋が施されているにもかかわらず、成形工程を最終工程とすることができるため、加工する工場を問わず、既存の成形機を用いて成形品を製造することができ、利便性を高めることができる。特に、前記したように生分解性樹脂複合体粉末と生分解性樹脂を混合してペレットとすると、生分解性樹脂複合体粉末の粒子間の接着性を上げることにより、成形品の強度を高めることができるため、より好適な成形材料とすることができる。
さらに、第五の発明として、前記製造方法により得られた生分解性樹脂架橋物粉末、生分解性樹脂複合体粉末、ペレット状の生分解性樹脂複合体のいずれかからなる成形材料を前記生分解性樹脂の融点以上に加熱して成形する(G)工程を経て所要形状の成形品を製造している生分解性樹脂製の成形品の製造方法を提供している。
第五の発明は、ペレットを経て成形品とされるものだけでなく、粉末状である生分解性樹脂架橋物粉末あるいは生分解性樹脂複合体粉末を成形品に成形する製造方法を含んでいる。
また、第七の発明として、前記第五の発明により製造された生分解性樹脂製の成形品を提供している。
前記成形品は、前記成形材料を用いて、溶融押出成形、射出成形、インフレーション成形、圧延成形、カレンダー成形など従来公知の熱可塑性プラスチックの成形方法によりシート、チューブ等の所望の形状に成形されて製造される。
前述したように本発明では、架橋した生分解性樹脂を粉末あるいはペレット状の成形材料としていることで、架橋によって得られる特性を付与された後に、その特性を維持したまま任意の形状とした成形品に成形することができる。
従来、架橋製品、特に本発明のように、ほぼゲル分率が100%となる完全な架橋構造を有する場合は熱硬化性樹脂のように、一旦架橋した後に成形することは不可能であったが、本発明の生分解性樹脂複合体粉末は、架橋による特性及び可塑剤等の含浸材の保持性は維持したまま、熱可塑性プラスチックの一般的な成形方法を用いることが可能である。これは、成形材料とする生分解性樹脂架橋物粉末、生分解性樹脂複合体粉末あるいはペレット状の生分解性樹脂複合体粉末は加熱により溶融すると、生分解性樹脂の柔軟性などの性質が改質された架橋高分子となって流動性を有し、金型内に一様に分布させることができるためである。
さらに、本発明の第六の発明として、前記生分解性樹脂架橋物粉末、生分解性樹脂複合体粉末、ペレット状の生分解性複合体からなる成形材料の製造方法により製造された成形材料を提供している。また、第八の発明として該成形材料を用いて成形されている生分解性樹脂製の成形品を提供している。
第六の発明の成形材料は、前述したように、既存の成形機を用いて最終製品である成形品を製造することができるものであるため、利便性が高く、生分解性樹脂材料の使用を一層高めることができるものである。特に、前記したように生分解性樹脂複合体粉末と生分解性樹脂を混合してペレットとしたものは、より好適な成形材料となる。
前記成形材料及び成形品は、前述した材料を用いて前記製造方法により得られるものであり、含浸材として前記可塑剤あるいは前記重合性モノマーを用いることにより、さらには含浸材と生分解性樹脂の組み合わせにより、耐熱性、硬さなどの所望の物性を持たせることができる。
前記成形材料及び前記成形品は、含浸材の含有率が5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。生分解性樹脂複合体のガラス転移温度未満での柔軟性を確保するために、含浸材として可塑剤を用いる場合、該含浸材の含有率の下限は5質量%が好ましいとしている。より柔軟性向上効果を発揮させるためには含浸材の含有率を10質量%以上とするのが好ましく、特に20質量%以上とするのが好ましい。
含浸材の含有率の上限を60質量%としているのは、含浸材の含有率が60質量%を超えると含浸材の析出、いわゆるブリードが起こるおそれがあるためである。含浸材の含有率は55質量%以下とするのがさらに好ましい。
含浸材の含有率は後述する実施例に記載の方法で測定している。
さらに、本発明により得られる生分解性樹脂架橋物粉末、生分解性樹脂複合体粉末は、前述した含浸材および架橋性モノマーの他、メタノールやDMSO(ジメチルスルオキシド)等の極性溶媒を使用して架橋ネットワーク構造の中に含有させることにより、ゲル濾過や液体クロマトグラフィなどの分子篩いに応用することができる。これは、前記極性溶媒により本発明の生分解性樹脂複合体がゲル状構造を呈することができるためであり、前述した方法で架橋構造を制御することで分離分析技術の分野へ幅広く利用することが可能である。
本発明の生分解性樹脂架橋物粉末、生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料は、生分解性樹脂を架橋させて複合化し、耐熱性、形状維持性及び柔軟性を向上させているにもかかわらず、成形における利便性を大きく向上させることができる。すなわち、成形品の製造において、架橋が最終工程とならず、従来公知の熱可塑性プラスチックの成形方法を用いて成形することができるため、生分解性樹脂の使用を拡大することができる。
また、本発明の成形材料からなる成形品は、生分解性樹脂の架橋ネットワークを備えているため、生分解性樹脂のガラス転移温度または軟化温度を超える高温時においても確実に形状と強度を維持することができる。そのうえ、含浸させる可塑剤または重合性モノマーによって、成形材料や成形品の硬さを、用途に応じて調整することができる。
可塑剤を含む含浸材を用いた場合には、生分解性樹脂のガラス転移温度以下においても、生分解性樹脂の架橋ネットワーク中に含浸材が含浸され、生分解性樹脂分子間の相互作用を阻害していることにより、硬さや脆さを有することはなく、優れた柔軟性と伸びを有する生分解性樹脂製の成形材料および成形品とすることができる。このように、本発明の成形品の製造方法によれば、広い温度範囲において複数の材料物性の改善を同時に達成した生分解性樹脂製の成形品を、従来公知の成形方法により得ることができる。
このため、本発明の成形材料及び成形品は、現在、石油合成高分子材料が利用されている一般的な用途、特にゴム吸盤など軟質塩化ビニルが利用されている用途への応用することができる。また、柔軟性と形状記憶性の両方が必要となる形状記憶製品として利用することも可能である。
また、重合性モノマーを含む含浸材を用い、該含浸材を重合させることで含浸材を生分解性樹脂にポリマーアロイ化させることができる。これにより、生分解性樹脂と、含浸材が重合した後のポリマーの両者の特性を合わせた性質の生分解性樹脂製の成形材料及び成形品を作製することができ、軟化温度が低い生分解性樹脂を改質し、軟化温度以上でも硬い性質とするなど、目的に応じて生分解性樹脂に機能を付与することができる。
さらに、含浸材により硬さを変えた生分解性樹脂複合体粉末を元の生分解性樹脂と混合・分散させることにより、ポリマーアロイと類似した材料を提供することができる。
本発明では、同一の生分解性樹脂を原料とした硬度の異なる材料によりポリマーアロイと類似した材料を製造することができるので、親和性、混合・分散性に優れた成形材料を提供することができる。
さらに、本発明の成形材料および成形品は生分解性を有していることから、自然界において生態系に及ぼす影響が極めて少なく、従来のプラスチックが有していた廃棄処理に関わる諸問題を解決できる。しかも、本発明の生分解性樹脂製の成形材料および成形品は今までにない柔軟性を有する点から、これまで生分解性樹脂を利用できなかった分野への応用が期待できる。また、生体への影響がない点から、生体内外に利用される注射器やカテーテルなどの医療用器具への適用が可能な材料である。
生分解性樹脂の生分解性および生体適合性あるいは生体内分解性を考えれば、本発明の生分解性樹脂製の成形材料または成形品をその坦特性を利用した有用物質の徐放システム等に応用することができる。すなわち、薬剤や薬品などの有用物質を可塑剤として生分解性樹脂に含浸して複合化させれば、生分解性樹脂が分解するにつれて含浸されていた有用物質が徐々に放出されることとなる。このように本発明の生分解性樹脂製の成形材料および成形品は広範囲の技術分野に応用することができる。
以下に本発明の各実施形態を説明する。
まず、第一実施形態の生分解性樹脂架橋物粉末からなる成形材料の製造方法について説明する。
第一実施形態では、はじめに、(A)工程として、生分解性樹脂と架橋性モノマーの混練物を作製している。
生分解性樹脂を加熱により軟化させるか、あるいは生分解性樹脂が溶解しうる溶媒中に生分解性樹脂を溶解または分散させる。生分解性樹脂としては、架橋構造を導入できる生分解性樹脂を用いている。本実施形態では、多糖類系生分解性樹脂である酢酸セルロース(CDA)、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂であるL体およびD体のポリ乳酸、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルのコポリマーであるポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)等を用いている。
ついで、架橋性モノマーを添加する。架橋性モノマーとしてはトリアリルイソシアヌレートを用いている。架橋性モノマーの添加量は、生分解性樹脂100質量部に対して3質量部以上8質量部以下としている。
添加後、架橋性モノマーが均一になるように撹拌混合し、生分解性樹脂と架橋性モノマーの混練物を調整する。混練温度、混練時間は生分解性樹脂および架橋性モノマーの種類によって適宜選択すればよい。
ついで、先に溶媒を場合には、溶媒を乾燥除去しても良い。
さらに生分解性樹脂と架橋性モノマーの混練物を、ペレタイザーを用いてペレット化し、ペレット状混練物としている。
ついで、(B)工程として、得られた生分解性樹脂のペレット状混練物に電離性放射線を照射し、生分解性樹脂を架橋させ、ペレット状の生分解性樹脂架橋物を得ている。
電離性放射線は、電子線加速器による電子線照射により行なっている。
放射線照射量は80kGy以上200kGy以下の範囲から架橋性モノマーの配合量等に応じて適宜選択すればよく、特に電離性放射線照射後に得られる生分解性樹脂架橋物のゲル分率が80%以上となるようにしている。
次に(C)工程として、このようにして得られたペレット状の生分解性樹脂架橋物を粉末状に粉砕する。
前記生分解性樹脂架橋物を粉末状にする方法は、特に制限はなく、例えば、すり鉢ですり潰す方法、ボールミルに代表されるように硬い材質のものを共存させた状態で振動を与えて粉砕する方法、液体窒素等で冷却して硬く脆い状態としてから粉砕する方法(凍結粉砕法)、衝撃粉砕法などが挙げられるが、本実施形態では凍結粉砕法、衝撃粉砕法により行なっている。
このように、第一実施形態の生分解性樹脂架橋物粉末からなる成形材料を得ている。
次に、第二実施形態の生分解性樹脂架橋物粉末からなる成形材料の製造方法について説明する。
第二実施形態は、第一実施形態における(B)工程と(C)工程の順序が異なる。すなわち、(A)工程で得られた生分解性樹脂のペレット状混練物を、先に粉砕してから((C)工程)、前記と同様の条件で電離性放射線を照射して架橋して((B)工程)、生分解性樹脂架橋物粉末を製造している。
他の構成および作用効果は第一実施形態と同様のため、説明を省略する。
つぎに、第三実施形態の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法について説明する。
第三実施形態では、(A)〜(C)工程を経て得られた第一実施形態または第二実施形態の生分解性樹脂架橋物粉末を、可塑剤を含む含浸材に含浸している((D)工程)。
可塑剤としては、本実施形態では脂肪族ポリエステル誘導体またはロジン誘導体を含む可塑剤、ジカルボン酸誘導体を含む可塑剤、グリセリン誘導体を含む可塑剤を使用しており、特にグリセリン誘導体を含む可塑剤を好適に用いている。
本実施形態においては、密閉した容器に生分解性樹脂架橋物粉末と含浸材を所望の比率で均一混合して60〜120℃に設定した恒温槽内で、30分〜120分間加熱し、ほぼ均一に生分解性樹脂架橋物粉末に含浸材を含浸させている。
ついで、生分解性樹脂架橋物粉末内に含浸材が含浸され生分解性樹脂架橋物粉末が膨潤した状態で室温付近まで冷却している。冷却は放冷により徐々に冷却しても良いし、水冷などにより急冷してもよい。
このようにして得られた本実施形態の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料は、含浸材を5質量%〜60質量%含有している。
つぎに、第四実施形態の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法について説明する。
第四実施形態では、第三実施形態の可塑剤を含む含浸材に代えて、重合性モノマーを含む含浸材を用い、さらにその後、重合性モノマーを生分解性樹脂内で重合させて含浸材(重合性モノマー)を複合化する工程((E)工程)を行い、生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料を製造している。
具体的には、重合性モノマーを含む含浸材を生分解性樹脂複合体粉末に含浸させたのち、再度、電離性放射線を照射して、重合性モノマーを重合させている。
重合性モノマーの重合には、(B)工程ほどの照射量を必要としないため、照射量は10〜80kGyとしている。その他の照射条件は、第一実施形態における生分解性樹脂の架橋工程((B)工程)と同様の条件で行っている。
本実施形態の含浸材としては重合できるモノマーあるいは/及び低分子ポリマーを使用することができる。具体的には、アクリル系モノマーあるいは/及びアクリル基を有する低分子量ポリマー、メタクリル系モノマーあるいは/及びメタクリル基を有する低分子量ポリマー、スチレン系モノマー、アリル系モノマーあるいは/及びアリル基を有する低分子量ポリマー、ビニル系モノマーあるいは/及びビニル基を有する低分子量ポリマーを用いている。このなかでも、メタクリル系モノマーを好適に用いている。
また、本実施形態における含浸材の含浸も第三実施形態と同様の方法で行っている。正し、気化しやすい重合性モノマー等を使用する場合は、含浸温度を60〜100℃と低めに設定している。
前記方法で製造された生分解性樹脂複合体粉末は、重合性モノマーを含む含浸材を含浸させた後に重合性モノマーを重合させることにより、重合性モノマーを生分解性樹脂にポリマーアロイ化させている。そのため、該生分解性樹脂複合体粉末は生分解性樹脂と含浸材が重合して生成したポリマーの両者の特性を合わせた性質を有する。たとえば、架橋ポリカプロラクトンにメタクリル酸モノマーを含浸してポリメタクリル酸とした場合、軟化温度が低く60℃で形状維持性が損なわれるポリカプロラクトンが、ガラス転移温度166℃まで硬い性質のポリメタクリル酸によって補強され、60℃以上でも硬い性質を示すようになる。
次に第五実施形態の生分解性樹脂複合体からなる成形材料の製造方法について説明する。
第五実施形態は、第四実施形態の重合性モノマーの重合方法のみを変えたものであり、(B)工程における電離性放射線架橋の後、1〜5時間以内に、重合性モノマーに浸漬((D)工程)することにより、(B)工程で発生したラジカルを利用して該重合性モノマーを生分解性樹脂にグラフト重合させている。すなわち、第五実施形態では、重合性モノマーを重合させるために、第四実施形態のような電離性放射線照射を行っていない。
第五実施形態の重合性モノマーの重合は、(B)工程で発生したラジカルを利用するものであるため(B)工程を行ってから、(D)工程を行うまでの時間は短ければ短いほど、好ましい。しかし、(B)工程の終了後、1〜5時間以内に(D)工程を行えば十分に重合性モノマーを重合させることができる。
なお、(B)工程を行ってから、例えば、24時間以上が経過し、(B)工程で発生した電離性放射線のラジカルが消失、あるいはラジカルの残存が少なくなった場合には、第四実施形態と同様に、再度、重合性モノマーを重合させるために、電離性放射線を照射すればよい。
つぎに、第六実施形態のペレット状の生分解性樹脂複合体からなる成形材料の製造方法について説明する。
第六実施形態では、第三実施形態乃至第五実施形態で得られた生分解性樹脂複合体粉末に該生分解性樹脂複合体粉末を結着するための熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を混合してペレット状の生分解性樹脂複合体を作製している。
前記熱可塑性樹脂としてポリ乳酸等の生分解性樹脂が好適に用いられ、本実施形態では粉砕した生分解性樹脂粉末を混合してペレット状の生分解性樹脂複合体を作製している。
このほか、熱可塑性樹脂としてポリウレタン系熱可塑性エラストマー等を用いると柔軟性、強度及び伸びに優れる。
具体的には、粉砕した生分解性樹脂粉末を生分解性樹脂複合体粉末の質量の0.1〜1倍量混合した後、(E)工程で融点以上に加熱し、ペレタイザーにてペレットに成形して、ペレット状の生分解性樹脂複合体を作製している。
なお、生分解性樹脂を配合せずに、生分解性樹脂複合体粉末のみをペレット化してもよい。
前記ペレット状の生分解性樹脂複合体からなる成形材料の製造方法の一態様を、図1(a)〜(g)を用いて詳細に説明する。
まず、図1(a)は、前記(A)(B)工程を経て得られた、生分解性樹脂と架橋性モノマーの混練物を架橋して得られる生分解性樹脂架橋物1を示す。
生分解性樹脂架橋物1を微視的に見ると、図1(f)に示したように生分解性樹脂の分子は架橋11により架橋ネットワークを形成し、相互に拘束されている。この状態では、ガラス転移温度以上の温度になっても変形しにくいという長所を有するが、ガラス転移温度以下の温度では生分解性樹脂の分子同士の相互作用(図1(f)中の矢印)が働くため、硬くて脆く、耐久性に欠けるという欠点を有する。
そのため、まず前記(C)工程で、図1(b)に示したように、生分解性樹脂架橋物1を粉末状の生分解性樹脂架橋物粉末2とする。図1においては、生分解性樹脂を架橋した後に粉末としているが、前述したように、生分解性樹脂混練物を粉末状とした後で、架橋構造を付与してもよい。
次に、このようにして得られた生分解性樹脂架橋物粉末2を、図1(c)のように、前記(D)工程において、加熱した可塑剤または重合性モノマーからなる液体状の含浸材3に浸漬する。
(D)工程は、前述したように過剰量の含浸材3に浸漬しなくとも、生分解性樹脂架橋物粉末2に含浸材3を含ませた状態で加熱することによって行なうこともできる。
含浸材を加熱することで含浸材の運動性が上がると共に、架橋ネットワークが柔軟になり浸透性が高まり、液体状の含浸材3が生分解性樹脂架橋物1内に含浸される。
このようにして、生分解性樹脂架橋物粉末2の一粒一粒の架橋ネットワークに含浸材3が含浸され膨潤した状態とする。この状態を模式的に表したのが図1(g)である。
ついで、生分解性樹脂架橋物粉末2が含浸材3で膨潤された状態のまま冷却して室温に戻すと、図1(d)及び図1(h)に示すような生分解性樹脂複合体粉末4が得られる。
図1(e)では、この生分解性樹脂複合体粉末4と生分解性樹脂6をペレット状に固めて、本発明のペレット状の生分解性樹脂複合体5としている。
ペレットの形状にしているのは、成形時において、押出成形、射出成形、インフレーション成形等、現在工業的に利用されている実際の樹脂成形品の成形では、粉末状であるよりも数mmのサイズのペレットである方が使用しやすいためである。
前記第一〜第六実施形態の生分解性樹脂架橋物粉末、粉末状あるいはペレット状の生分解性樹脂複合体粉末のいずれかからなる成形材料を用い、最後に(F)工程で生分解性樹脂製の成形品を製造している。
具体的には、前記成形材料を加熱により軟化させて、溶融押出成形、射出成形、インフレーション成形、圧延成形、カレンダー成形など熱可塑性プラスチックの一般的な成形方法を用いてシート、フィルム、繊維、トレイ、容器または袋などの所望の形状に成形し、成形品を形成している。
前記第六実施形態のように、生分解性樹脂複合体粉末と生分解性樹脂が混合したペレットを作製せずに、これらを直接に混合して加熱し、シートやチューブ等の成形品に成形することもできる。
また、生分解性樹脂を加えずに生分解性樹脂複合体粉末のみを成形することもできるが、生分解性樹脂を加えた方が粉末同士の接着性が高まり、成形性が良くなるため好ましい。
以下、本発明について実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみ限定されるものではない。
(実施例1)
生分解性樹脂として、三井化学(株)製ポリ乳酸「レイシアH440(商品名)」を使用した。架橋性モノマーとしてアリル系架橋性モノマーの1種である日本化成工業(株)製トリアリルイソシアヌレート「TAIC(登録商標、商品名)」を用意し、押出機(池貝鉄工(株)製PCM30型)を用いてシリンダ温度180℃で生分解性樹脂を溶融押出する際に押出機のペレット供給部に架橋性モノマーをペリスタポンプにて定速滴下することで生分解性樹脂に架橋性モノマーを添加した。その際、架橋性モノマーの配合量が生分解性樹脂100質量部に対して5質量部になるように添加量を調整した。棒状に押し出したものを水冷した後にペレタイザーにてペレット化し、生分解性樹脂と架橋性モノマーのペレット状混練物を得た。
この混練物をSPEX社(USA)製6700型凍結粉砕器にて液体窒素中で5分間粉砕することにより粉砕工程((C)工程)を行い、生分解性樹脂混練物の粉末を得た。この粉末に対し、空気を除いた不活性雰囲気で電子加速器(加速電圧10MeV、電流量12mA)により電子線を90kGy照射することにより架橋工程((B)工程)を行い、生分解性樹脂架橋物粉末を得た。
得られた生分解性樹脂架橋物粉末に、同質量の含浸材を混合し、密閉容器に入れて加熱した。含浸材としては、グリセリン誘導体を主成分とする可塑剤である理研ビタミン(株)製グリセリン系可塑剤「PL−710(商品名)」を用い、加熱は120℃の恒温槽内に1時間放置して行った。容器は15分に一度、10秒程度手で振って振動を与えた。その後、密閉容器を恒温槽から取り出し、室温まで放冷した。
次に、予め前記混練物と同様に凍結粉砕しておいたポリ乳酸「レイシアH440(商品名)」の粉末を、前記生分解性樹脂複合体粉末に、(生分解性樹脂複合体粉末:ポリ乳酸)の質量比が(4:1)となるように混合した。最後に、この混練物を180℃で熱プレスすることにより、厚み500μmのシートを得た。
(実施例2)
生分解性樹脂の粉砕工程((C)工程)を、架橋工程((B)工程)の後に行なったこと以外は実施例1と同様にして、実施例2とした。
(実施例3)
生分解性樹脂複合体粉末にポリ乳酸「レイシアH440(商品名)」の粉末を混合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例3とした。
(実施例4)
実施例1と同様の方法によりペレット状混練物を得たのち、該ペレット状混練物を、衝撃粉砕機アトマイザーミルにて粉砕し、425μmふるいにて95%パスで分級して生分解性樹脂混練物の粉末を得た。この粉末に対し、空気を除いた不活性雰囲気で電子加速器(加速電圧10MeV、電流量12mA)により電子線を120kGy照射し、生分解性樹脂架橋物粉末を得た。
得られた生分解性樹脂架橋物粉末に、同質量の含浸材を混合し、密閉容器に入れて加熱した。含浸材としては、重合性モノマーであるメチルメタクリル酸モノマー(和光純薬工業社製)を用い、加熱は80℃の恒温槽内に1時間とした。容器は15分に一度、10秒程度手で振って振動を与えた。その後、密閉容器を恒温槽から取り出し、室温まで放冷した後、架橋工程((B)工程)と同じ照射条件で電子線を60kGy照射し、実施例4の生分解性複合体粉末を得た。
次に、予め前記混練物と同様に凍結粉砕しておいたポリ乳酸「レイシアH440(商品名)」の粉末を、前記生分解性樹脂複合体粉末に、(生分解性樹脂複合体粉末:ポリ乳酸)の質量比が(4:1)となるように混合した。最後に、この混練物を180℃で熱プレスすることにより、厚み500μmのシートを得た。
(実施例5)
架橋性モノマーをメタクリル酸グリシジルモノマー(和光純薬工業社製)としたこと以外は実施例4と同様にして、実施例5とした。
(実施例6)
粉砕工程((C)工程)の前に架橋工程((B)工程)を以外は実施例4と同様にして生分解性樹脂架橋物粉末を得たのち、得られた生分解性樹脂架橋物粉末に、同質量の含浸材を混合し、密閉容器に入れて加熱した。含浸材としては、ジカルボン酸系可塑剤である大八化学工業(株)製「DAIFATTY−101(商品名)」を用い、加熱は120℃の恒温槽内に1時間とした。容器は15分に一度、10秒程度手で振って振動を与えた。その後、密閉容器を恒温槽から取り出し、室温まで放冷し、生分解性複合体粉末を得た。
次に、得られた生分解性複合体粉末と三井化学(株)製ポリ乳酸「レイシアH280(商品名)」のペレットを(生分解性樹脂複合体粉末:ポリ乳酸)の質量比(4:1)の割合で混合し、押出機(池貝鉄工(株)製PCM30型)で混練後、冷却した棒状のものをペレタイザーで短く切断して、図1(e)の状態のペレットを作製した。該ペレットを住友重機械工業(株)製住友電動式射出成形機「SE18S」にて180℃、冷却時間30秒にて2mm厚、4cm角の金型にて射出成形を行い、実施例6とした。
(実施例7、8)
生分解性樹脂複合体粉末に混合する樹脂として、レイシアH400の代わりに(株)クラレ製熱可塑性ポリウレタンエラストマー「クラミロンU1190(商品名)」、「クラミロンU9790(商品名)」の粉末を各々使用し、熱プレス温度を200℃とした以外は実施例2と同様にして各々実施例7、8とした。
(比較例1,2)
粉砕工程((C)工程)を行なわずにペレットのまま、含浸材に浸漬したこと以外は実施例1と同様にして比較例1とした。比較例1では、含浸材の含浸が不十分であったので、加熱時間を12時間としたこと以外は比較例1と同様にして、比較例2とした。
(比較例3)
電子線照射による架橋工程((B)工程)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例3とした。
実施例および比較例において、含浸材含浸前の生分解性樹脂架橋物または生分解性樹脂混練物のゲル分率を下記方法で評価し、含浸材含浸後の生分解性樹脂複合体の含浸材含有率を下記方法で評価した。
(1)ゲル分率の評価
各試料の乾燥質量を正確に量ったのち、200メッシュのステンレス金網に包み、クロロホルム液の中で48時間煮沸したのちに、クロロホルム溶解したゾル分を除いて残ったゲル分を得た。50℃で24時間乾燥して、ゲル中のクロロホルムを除去し、ゲル分の乾燥質量を測定した。得られた値をもとに下記式に基づきゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(ゲル分乾燥質量/試料の乾燥質量)×100
(2)含浸材含有率の評価
実施例および比較例について、含浸材を混合する前の常温における試料の質量を予め測定しておき、含浸材を含浸させたのち常温に戻した後の試料の質量を測定した。得られた値をもとに下記式に基づき含浸材含有率を算出した。
含浸材含有率(質量%)={(A−B)/A}×100
A;生分解性樹脂複合体粉末の質量
B;含浸材への含浸前の生分解性樹脂架橋物粉末の質量
(3)柔軟性評価
実施例および比較例のうち、シートの作製が可能であったものについて、外径10mmのステンレス丸棒の周囲に隙間なく巻き付けた時のシートの状態を観察した。
シートの割れ及び巻き付け前後で形状の変化なく巻き付け可能であったものを「○」、
シートの一部に亀裂が入るなどの変化があったものの巻き付け可能であったものを「△」、
シートが硬いため、巻き付けることができず、無理に巻きつけるとシートが割れたものを「×」、
として柔軟性の評価を行なった。
なお、シートを作製できなかったものは、「シート作製不可」とした。
前記評価の結果を、製造条件の相違点とともに、表1にまとめた。
Figure 2008069342
実施例1〜8ではいずれも含浸材が含有された生分解性樹脂複合体のシートが得られた。
実施例1〜4,6〜8では、生分解性樹脂の原料よりも柔軟で、かつ弾力のあるシートが得られた。特に実施例7,8は柔軟な上に屈曲に耐えうる強度や伸びもあり、生分解性樹脂複合体粉末に用いた生分解性樹脂と異なる樹脂と混合して成形したにもかかわらず、透明で均一なシートが得られた。
生分解性樹脂複合体粉末と共に樹脂を配合しなかった実施例3は柔軟であったがシートを丸棒に巻きつけると亀裂が発生し、強度が低かった。
逆に実施例5では、非常に硬いシートが得られた。このように、使用する含浸材により、硬さを変えた生分解性樹脂製の成形品を得ることができた。
実施例1〜8に対して、粉末化((C)工程)を行なわなかった比較例1では、含浸材の膨潤が不十分であったため、柔軟性がなく、かつ、粉末状としていないため、シート形状の成形物に成形することができなかった。
また、含浸材の膨潤をより施すために長時間加熱した比較例2では、含浸材を含浸させることはできたが、粉末状としていないため、シート形状の成形物とすることができなかった。
生分解性樹脂の架橋((B)工程)を行わなかった比較例3は、含浸材の含浸ができなかったので、シートにしても意味がないため、シートを作製しなかった。
本発明のペレット状の生分解性樹脂複合体の製造工程を説明するための模式図であり、(a)は生分解性樹脂架橋物の模式図、(b)は生分解性樹脂架橋物を粉末状にした状態を示す模式図、(c)は生分解性樹脂架橋物粉末を含浸材に浸漬した状態を示す模式図、(d)は生分解性樹脂複合体粉末の模式図、(e)は生分解性樹脂複合体粉末と生分解性樹脂粉末を加熱して得られたペレット状の生分解性樹脂複合体の模式図、(f)は(a)の生分解性樹脂架橋物を微視的に見たときの模式図、(g)は(c)の含浸材を含浸させた生分解性樹脂架橋物粉末を微視的に見たときの模式図、(h)は(d)の生分解性樹脂複合体粉末を微視的に見たときの模式図である。
符号の説明
1 生分解性樹脂架橋物
11 生分解性樹脂の架橋
2 生分解性樹脂架橋物粉末
3 含浸材
4 生分解性樹脂複合体粉末
5 ペレット状の生分解性樹脂複合体
6 生分解性樹脂

Claims (15)

  1. 生分解性樹脂に架橋性モノマーが配合された混練物を作製する(A)工程の後、
    前記生分解性樹脂を架橋させて生分解性樹脂架橋物を作製する(B)工程を行い、
    前記(B)工程の後に前記生分解性樹脂架橋物を粉末状に粉砕する(C)工程を行って製造している生分解性樹脂架橋物粉末からなる成形材料の製造方法。
  2. 生分解性樹脂に架橋性モノマーが配合された混練物を作製する(A)工程の後、
    前記混練物を粉末状に粉砕する(C)工程を行い、
    前記(C)工程の後に前記生分解性樹脂を架橋させて生分解性樹脂架橋物を作製する(B)工程を行って製造している生分解性樹脂架橋物粉末からなる成形材料の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2の方法で製造した前記生分解性樹脂架橋物粉末を、60℃以上且つ前記生分解性樹脂の融点あるいは分解温度以下とした可塑剤あるいは重合性モノマーを含む含浸材で膨潤させ、前記生分解性樹脂架橋物内に含浸材を含浸させた(D)工程を加えて製造している生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法。
  4. 前記含浸材として重合性モノマーを用い、前記(D)工程の後で、前記含浸材を重合させる(E)工程を含む請求項3に記載の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法。
  5. 前記(B)工程で生分解性樹脂に発生したラジカルを利用して、前記(E)工程において前記重合性モノマーを生分解性樹脂にグラフト重合させている請求項4に記載の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法。
  6. 前記(B)工程の生分解性樹脂の架橋あるいは/及び前記(E)工程の重合性モノマーの重合は、電離性放射線を照射して行っている請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法。
  7. 前記生分解性樹脂複合体粉末に、さらに熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を添加して混合している請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の生分解性樹脂複合体粉末からなる成形材料の製造方法。
  8. 請求項3乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法で製造した前記生分解性樹脂複合体粉末を、前記生分解性樹脂の融点以上に加熱してペレット状とする(F)工程を経て製造しているペレット状の生分解性樹脂複合体からなる成形材料の製造方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の成形材料を、前記生分解性樹脂の融点以上に加熱して成形する(G)工程を経て所要形状の成形品を製造している生分解性樹脂製の成形品の製造方法。
  10. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の製造方法により製造された成形材料。
  11. 生分解性樹脂が、多糖類系、脂肪族ポリエステル系、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルのコポリマーの中から選ばれる1種類あるいは2種類以上の混合物からなる請求項10に記載の成形材料。
  12. 前記可塑剤として、下記の(a)〜(d)の少なくとも1種類を含有している請求項10または請求項11に記載の成形材料。
    (a)脂肪族ポリエステル誘導体またはロジン誘導体を含む可塑剤
    (b)ジカルボン酸誘導体を含む可塑剤
    (c)グリセリン誘導体を含む可塑剤
    (d)エポキシ化変性油
  13. 前記重合性モノマーとして、下記の(e)〜(i)の少なくとも1種類を含有している請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の成形材料。
    (e)アクリル系モノマーあるいは/及びアクリル基を有する低分子量ポリマー
    (f)メタクリル系モノマーあるいは/及びメタクリル基を有する低分子量ポリマー
    (g)スチレン系モノマー
    (h)アリル系モノマーあるいは/及びアリル基を有する低分子量ポリマー
    (i)カルボン酸ビニル系モノマー
  14. 請求項9に記載の方法により製造された生分解性樹脂製の成形品。
  15. 請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の成形材料を用いて成形されている生分解性樹脂製の成形品。
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