JPWO2006043553A1 - 改質アラビアガムの製法及びその用途 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アラビアガムの乳化力を効率よく高める方法を提供するものである。また本発明は高い乳化力を有するように改質したアラビアガムを製造する方法を提供するものである。当該発明は、アラビアガムの水溶物に電離放射線を照射処理することによって実施することできる。
Description
本発明は、改質アラビアガムの製造方法に関する。より詳細には、本発明は高い乳化安定性を有する水溶性の改質アラビアガムを製造する新規な方法に関する。また、本発明はかかる方法によって調製される水溶性の改質アラビアガム、及びその用途に関する。
アラビアガムは、マメ科アカシア属に属する植物(アカシア:特にAcacia senegal及びAcacia seyal)の幹や枝から得られるゴム状の滲出液を乾燥して調製される天然樹脂である。アラビアガムは水に比較的高濃度まで溶解することができ、またその水溶液は乳化性、乳化安定性、増粘性、保護コロイド性、及びフィルム形成性を有する。このため、アラビアガムは、従来から広く乳化剤、乳化安定剤、増粘剤、結合材及び皮膜剤などとして利用されている(例えば、非特許文献1等参照)。アラビアガムの利用分野は多岐に亘っており、例えば食品分野においても、乳化剤、乳化安定剤、または増粘剤などとして古くから使用されている。ゆえに、食への安全性も経験的に確認されている素材である。
しかしながら、アラビアガムは、アフリカのサハラ地帯に点在する様々な国から採取されるため、各生産地における土壌や気候の相違に基づいて採取される天然のアラビアガムの分子量と分子量分布には非常に大きなバラツキがある。また、このバラツキは、アラビアガムを採取する樹の種類や樹齢の相違、並びに収穫時期の違いによっても生じる。それ故に、天然のアラビアガムを用いて乳化剤、乳化安定剤、または増粘剤を調製する場合には、原料とする天然アラビアガムのバラツキに起因して一定の品質のものが得られないという問題がある(例えば、非特許文献2参照)。
また、アラビアガムは気候などの自然要因や生産地の状況などにより生産量が大きく変動することから、不作の年にはアラビアガムの価格は暴騰する。このため、できるだけ少量で乳化性、乳化安定性、増粘性、結着性などの機能を発揮するようにアラビアガムを改質することが求められている。
例えば、天然のアラビアガムのバラツキに由来する乳化性の不均衡さを少なくし、また乳化力を高めるための方法として、(1)アラビアガムから金属イオンを除いてアラビン酸を取得し、これを加温変性する方法(例えば、特許文献1参照);(2)乾燥減量が50重量%以下のアラビアガムを60〜140℃で30分以上加温して変性する方法(例えば、特許文献2参照);(3)相対湿度が30〜100%の雰囲気下で40℃以上に加温してアラビアガムを改質する方法(例えば、特許文献3参照);及び(4)乾燥減量3%以下の条件下で加熱してアラビアガムを改質する方法(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
しかしながら、(1)の方法では期待されるほどの高い乳化性を有するアラビアガムは得られず、アラビアガムを改質する方法としては十分でない。(2)〜(4)の方法は、確かに品質のバラツキを少なくして、乳化力も向上することができるが、十分な乳化効果を持たせるためには高温で長時間の加熱を必要とするため、処理条件によっては着色や焦げた臭い(着香)が発生する場合があり、使用する用途によっては風味や外観を損なう可能性がある。
ところで、放射線照射技術は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、及びポリビニルピロリドン(PVP)等の高分子物質を改質する目的で、広く使用されている。また、カルボキシメチルセルロース(CMC)やその誘導体であるCM−デンプンやCM−キトサン、またはセルロース誘導体であるメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースでは、水を添加し、良く練ってペースト状にしたものに電離放射線を照射すると重合が起こり、ゲル強度が向上したり、ハイドロゲルとなり吸水性が向上することが知られている(例えば、特許文献5、6)。
しかしながら、上記記載の高分子物質以外の多糖類については、一般的に放射線を照射すると、糖類の主鎖が切断され、分解反応が進み、分子量の低下が見られ、乳化性、粘性及び結着性などの物性が低下することが知られている(非特許文献3参照)。
アラビアガムもこの報告と違わず、アラビアガムの玉状物、粉砕品、スプレードライ粉末に放射線照射しても、上記の高分子物質とは異なって重合反応は見られず、逆にわずかに粘性が低下することが知られている(非特許文献4参照)。このように、従来、アラビアガムに放射線照射することによって機能を向上させることができるとの予見はなかった。
「INDUSTRIAL GUMS - Polysaccharides and Their Derivatives-」, SECOND EDITION, ACADEMIC PRESS, New York and London, 1973, pp.197-263 Williams,P.A. and Phillips,G.O.,(2000) in Handbook of Hydrocolloids, Editors Williams, P.A. and Phillips, G.O. pp.155-168,Woodhead, London and New York 「The effects of radiation on carbohydrates」 Phillips, G.O., Chapter26 P.1217-1297, The Carbohydrates Second edition. 「The effect of sterilizing doses of γ-irradiation on the molecular weight and emulsification properties of gum Arabic」 Blake, et al, Food Hydrocolloids 1988, Vol2 No.5 P.407-415 特開平02−049001号公報
特開2000−166489号公報
特願2002−156166号
特願2003−318958号
特開2004−45543号公報
特開2003−160602号公報
「INDUSTRIAL GUMS - Polysaccharides and Their Derivatives-」, SECOND EDITION, ACADEMIC PRESS, New York and London, 1973, pp.197-263 Williams,P.A. and Phillips,G.O.,(2000) in Handbook of Hydrocolloids, Editors Williams, P.A. and Phillips, G.O. pp.155-168,Woodhead, London and New York 「The effects of radiation on carbohydrates」 Phillips, G.O., Chapter26 P.1217-1297, The Carbohydrates Second edition. 「The effect of sterilizing doses of γ-irradiation on the molecular weight and emulsification properties of gum Arabic」 Blake, et al, Food Hydrocolloids 1988, Vol2 No.5 P.407-415
本発明は、高い乳化力を備えるように改質してなるアラビアガムを製造するための新規な方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、こうして得られた乳化力に優れたアラビアガム、並びに該アラビアガムの乳化剤としての用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題のもと鋭意研究を重ねていたところ、アラビアガムの水溶物にγ線や電子線などの電離放射線を照射することにより、水溶物中のアラビアガムの分子量が増加し、アラビアガムの乳化力が向上することを見いだした。
本発明はかかる知見に基づいて開発されたものであり、下記の態様を含むものである:
項1.アラビアガム水溶物に電離放射線を照射する工程を有する改質アラビアガムの製造方法。
項2.アラビアガム水溶物のアラビアガムの濃度が15〜60重量%であることを特徴とする項1記載の改質アラビアガムの製造方法。
項3.電離放射線がγ線であることを特徴とする項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
項4.電離放射線が加速電圧0.2〜10MeVの電子線であることを特徴とする項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
項5.電離放射線の吸収線量が1〜50kGyであることを特徴とする項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
項6.アラビアガム濃度15〜50重量%のアラビアガム水溶物に10〜50kGyの吸収線量の電離放射線を照射するか、またはアラビアガム濃度50〜60重量%のアラビアガム水溶物に3〜30kGyの吸収線量の電離放射線を照射する工程を有する、項1記載の改質アラビアガムの製造方法。
項7.アラビアガム水溶物に電離放射線を照射する工程の後に、乾燥工程を有する項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
項8.乾燥工程が、スプレードライまたはドラムドライであることを特徴とする項7記載の改質アラビアガムの製造方法。
項1.アラビアガム水溶物に電離放射線を照射する工程を有する改質アラビアガムの製造方法。
項2.アラビアガム水溶物のアラビアガムの濃度が15〜60重量%であることを特徴とする項1記載の改質アラビアガムの製造方法。
項3.電離放射線がγ線であることを特徴とする項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
項4.電離放射線が加速電圧0.2〜10MeVの電子線であることを特徴とする項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
項5.電離放射線の吸収線量が1〜50kGyであることを特徴とする項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
項6.アラビアガム濃度15〜50重量%のアラビアガム水溶物に10〜50kGyの吸収線量の電離放射線を照射するか、またはアラビアガム濃度50〜60重量%のアラビアガム水溶物に3〜30kGyの吸収線量の電離放射線を照射する工程を有する、項1記載の改質アラビアガムの製造方法。
項7.アラビアガム水溶物に電離放射線を照射する工程の後に、乾燥工程を有する項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
項8.乾燥工程が、スプレードライまたはドラムドライであることを特徴とする項7記載の改質アラビアガムの製造方法。
項9.項1乃至7のいずれかに記載する製造方法によって得られる改質アラビアガム。
項10.項9に記載する改質アラビアガムを有効成分とする乳化剤。
項10.項9に記載する改質アラビアガムを有効成分とする乳化剤。
項11.項9に記載する改質アラビアガムを乳化剤として用いる乳化組成物の調製方法。
項12.乳化組成物が、O/W型エマルションまたはW/O/W型エマルションである項11記載の乳化組成物の調製方法。
項13.項9に記載する改質アラビアガムを乳化剤として用いて、精油、油性香料、油性色素、油溶性ビタミン、多価不飽和脂肪酸、動植物油、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、及び中鎖トリグリセライドからなる群から選択される少なくとも1種の疎水性物質を親水性溶媒に分散安定化する工程を有する項11記載の乳化組成物の調製方法。
項12.乳化組成物が、O/W型エマルションまたはW/O/W型エマルションである項11記載の乳化組成物の調製方法。
項13.項9に記載する改質アラビアガムを乳化剤として用いて、精油、油性香料、油性色素、油溶性ビタミン、多価不飽和脂肪酸、動植物油、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、及び中鎖トリグリセライドからなる群から選択される少なくとも1種の疎水性物質を親水性溶媒に分散安定化する工程を有する項11記載の乳化組成物の調製方法。
項14.項9に記載する改質アラビアガムを乳化剤として用いて調製される乳化組成物。
項15.項11に記載される調製方法で得られる項14記載の乳化組成物。
項16.飲食品である項14記載の乳化組成物。
項15.項11に記載される調製方法で得られる項14記載の乳化組成物。
項16.飲食品である項14記載の乳化組成物。
本発明の方法によれば、原料として用いる天然(未改質)のアラビアガムの水溶物を電離放射線で照射処理することにより、乳化力、特に乳化安定性に優れた改質アラビアガムを取得することができる。特に本発明は、上記処理方法を採用することによって、従来公知の加熱による改質方法で問題となっていた処理時の着色や付着による塊化を防止しながらも、効率よく良好な乳化力を有するアラビアガムを取得することができる有用な方法である。
斯くして調製される本発明の改質アラビアガムは、精油、油性色素、油性香料、油溶性ビタミン等の各種の疎水性物質の乳化に好適に使用することができる。本発明の改質アラビアガムを用いて調製されるエマルション(乳化組成物)は、通常使用される天然アラビアガムを用いて調製したエマルションと比較して、粒子の粒度分布が均一であり、かつ、加熱、長期保存または経時変化などの虐待により、エマルション粒子同士が、凝集したり、合一して粒子が劣化することが有意に抑制されており、非常に安定である。
(1)改質アラビアガムの製造方法
本発明は、アラビアガムを高い乳化力を有するように改質する方法、言い換えれば高い乳化力を有するように改質してなるアラビアガムの製造方法である。本発明の方法は、アラビアガム水溶物に電離放射線を照射することによって実施することができる。なお、本願発明でいう「乳化力」には、乳化処理時の乳化力とその経時的安定性の両方の特性が含まれる。また本明細書において「乳化性」という場合は前者の特性、「乳化安定性」という場合は後者の特性を意味する。
本発明は、アラビアガムを高い乳化力を有するように改質する方法、言い換えれば高い乳化力を有するように改質してなるアラビアガムの製造方法である。本発明の方法は、アラビアガム水溶物に電離放射線を照射することによって実施することができる。なお、本願発明でいう「乳化力」には、乳化処理時の乳化力とその経時的安定性の両方の特性が含まれる。また本明細書において「乳化性」という場合は前者の特性、「乳化安定性」という場合は後者の特性を意味する。
本発明の方法において、改質対象物(出発原料)として用いられるアラビアガムは、マメ科植物であるアカシア属に属するアカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシア・セイアル(Acacia seyal)またはこれらの同属植物の幹や枝から得られる天然滲出物である。または、これをさらに精製処理、脱塩処理または粉砕もしくはドライスプレーなどの加工処理を施したものであってもよい。
これらの原料は、本発明の改質アラビアガムと区別する意味で、本発明において単に「アラビアガム」というか、または「天然アラビアガム」若しくは「未改質アラビアガム」と称する。
これらの原料は、本発明の改質アラビアガムと区別する意味で、本発明において単に「アラビアガム」というか、または「天然アラビアガム」若しくは「未改質アラビアガム」と称する。
天然アラビアガム(A.senegal種)は、通常、エチオピアからセネガルにかけての北アフリカや西アフリカの各国(エチオピア、スーダン、セネガル、ナイジェリア、ニジェール、ガーナ)、ケニアやウガンダなど東アフリカの国々、アフリカのサハラ地帯、並びにナイル川支流の盆地地帯でも産出されるが、本発明においてはその由来を問うことなく、いずれの産地由来のものであってもよい。
通常天然のアラビアガムは、塊状物、玉状物、粗粉砕物、顆粒状、粒状、または粉末状(スプレードライ粉末を含む)の形態で入手することができる。本発明ではこれらの形状を問わず、いずれの形態のものをも改質対象のアラビアガムとして使用することができる。
電離放射線を照射するアラビアガム水溶物は、これらのさまざまな形態の天然のアラビアガム(未改質アラビアガム)を水に溶解することによって調製される。ここで使用される水は、特に制限されず、水道水、蒸留水、イオン交換水のいずれであってもよい。好ましくはイオン交換水である。
アラビアガム水溶物のアラビアガム濃度は、使用するアラビアガムの種類やその分子量によっても異なるが、通常15〜60重量%の範囲から選択することができる。好ましくは30〜55重量%、より好ましくは35〜50重量%である。アラビアガム水溶物のアラビアガムの濃度が15重量%よりもかなり低くなると、電離放射線を照射しても改質が十分に進まなくなる傾向があり、効率的に改質することが難しくなる。一方、アラビアガム濃度が60重量%を越えてかなり高くなると、アラビアガムを水中に均一・均質に溶解することが難しくなるため、水溶物中に濃度のムラができ、一定した品質のものが得られなくなる傾向がある。
なお、アラビアガム水溶物は、アラビアガムを必要に応じて加温した水に溶解した後、不溶物や混入しているゴミなどを遠心分離またはフィルタープレス濾過により取り除いておくことが好ましい(固液分離)。
電離放射線の照射は、このようにして調製されたアラビアガム水溶物を、照射する電離放射線の種類に応じて、任意の容器にいれた状態で行うことができる。但し、ペースト状などアラビアガム水溶物の流動性が低い場合は、容器に収容することなく、直に電離放射線を照射することも可能である。
電離放射線の種類としては、特に制限されず電離放射線(γ線、電子線、X線)のいずれをも使用することができる。好ましくはγ線または電子線である。
γ線は電子線と比較して透過力が大きいので、厚みのある試料を照射する場合に適した線源である。またγ線が透過する限りにおいて、試料の収納に使用する容器の種類が制限されないという利点がある。例えば、γ線によれば大型のドラム缶やステンレス容器に大量の試料を入れて照射することも可能であり、これによりアラビアガム水溶物を一度に大量に照射処理(改質処理)することができる。
γ線照射には、放射性同位元素としてセシウム137を使用した照射とコバルト60を使用した照射があるが、好ましくはコバルト60を使用したγ線照射である。コバルト60の場合は、ステンレス製のカプセル中に密閉した状態で使用すれば、環境汚染などの問題がなく安全かつ容易に取り扱うことができるのに対して、セシウム137はコバルト60と比較して、安全な取り扱いが容易でないことや単位時間当たりの線量、すなわち線量率が低く照射効率が悪いという短所がある。
一方、電子線は、γ線のようにコバルト60やセシウム137のような放射性同位元素を使用しないため、遮蔽装置も比較的簡易な物でも良いなど、安全面や作業面で好ましい線源である。また電子線照射は、単位時間当たりの線量、すなわち線量率が高く、処理能力が大きいといわれている。
電子線は加速電圧に応じて透過力が異なるものの、一般にγ線に比して透過力が小さい。このため、使用する電子線の透過力(電子線のエネルギー)に応じて照射試料(アラビアガム水溶物)を調整することが好ましい。例えば、10MeV程度の高エネルギーの電子線を用いる場合は、照射試料の厚さを数mm〜3cm程度など比較的厚く調整した場合でも均一に照射することが可能である。一方、1MeV以下の低エネルギーの電子線を用いる場合は、均一に照射するためには、試料の厚さを3mm以下に調整することが好ましい。
このように、電子線照射は、照射する試料が厚みのないものや厚みを調整することが可能なもの(例えば、粉体、流体、液体、薄層化可能な固体)であれば、前述するように処理能力が大きく大量処理が可能であるため、経済的にも工業的製造の観点からも、より好ましい照射法である。
なお、電子線照射は、電子加速器を利用して行うことが好ましい。加速電圧として、特に制限されないが、通常0.2〜10MeV程度、好ましくは通常0.3〜8MeV程度を挙げることができる。
照射電離放射線として電子線を使用する場合は、通常、試料をポリエチレン袋に充填し、電子線のエネルギーに応じてその厚みを調整することが行われる。具体的には、照射試料(アラビアガム水溶物)をポリエチレン袋に充填し、できるだけ均一になるように薄く広げて照射する方法を挙げることができる。特に、上記の1MeV以下の低エネルギーの電子線を用いる場合は、できるだけ薄いポリエチレン袋に厚さが3mm以下になるように試料を入れ、薄くシート状にして照射することが好ましい。このように電子線を使用する場合は照射試料の厚みが制限されるので、効率的に多数の試料を処理するためには照射試料を薄く広げてコンベア上で移動させながら電子線を照射することが好ましい。また片面からだけでなく両面から照射する方法も好適に利用される。
なお、これらの照射条件は、照射するアラビアガム水溶物の流動性やその比重、またはこれを収容する包材(容器)など、さまざまな要因に適した条件を選択使用することができる。
照射試料としてアラビアガム濃度が15〜50重量%の流動性のあるアラビアガム水溶物を用いる場合、特に制限はされないが、改質アラビアガムの製造効率の点から、コバルト60を用いたγ線や10MeV程度の高エネルギーの電子線など、比較的透過力の高い電離放射線を使用するほうが好ましい。好適な照射方法として、コバルト60を用いてγ線を照射する場合、密閉可能なドラム缶やアトロン缶やステンレス容器にアラビアガム水溶物を入れて照射する方法を例示することができる。また、高エネルギーの電子線を照射する場合、アルミニウムやポリエチレン製の容器にアラビアガム水溶液を入れて密閉し、厚さを数mm〜3cm程度またはそれ以下に調整して照射する方法を挙げることができる。
一方、照射試料としてアラビアガム濃度が50〜60重量%の、流動性が少ないアラビアガム水溶物(ペースト)を用いる場合も、改質アラビアガムの製造効率の点から、上記と同様にコバルト60を用いたγ線や10MeV程度の高エネルギーの電子線など、比較的透過力の高い電離放射線を使用するほうが好ましい。その際、電子線照射を行う場合は、コンベアの上にポリエチレン製のシートを敷いておき、その上部に、ローラーなどで適切な厚さ(好ましくは数mm〜3cm程度またはそれ以下)に調整したペースト状のアラビアガム水溶物を薄く広げて照射する方法を例示することができる。これにより連続的にかつ大量にアラビアガム水溶物に電子線を照射することが可能となる。また、ポリエチレン製の袋にペースト状のアラビアガム水溶物を入れて、上記のように厚さを調整して照射することも可能である。
アラビアガム水溶物に照射する電離放射線の吸収線量は本発明の効果が得られる限り特に制限されない。アラビアガム水溶物中のアラビアガムの濃度によって好適な吸収線量は異なるが、通常1〜50kGyの範囲から適宜選択して利用できる。例えばアラビアガムの濃度が15〜50重量%のアラビアガム水溶物の場合は、電離放射線照射による重合速度がやや遅い傾向がある。このため、吸収線量は10〜50kGyの範囲が好ましく、より好ましくは20〜40kGyの範囲である。一方、アラビアガムの濃度が50〜60重量%のアラビアガム水溶物の場合は、電離放射線照射による重合速度が速い傾向にある。このため、好ましい吸収線量の範囲は3〜30kGyであり、より好ましくは10〜25kGyの範囲である。なお、電離放射線の吸収線量は、定法に従って測定することができる。具体的には、例えばフリッケ線量計で校正したCTA線量計(例えば、FTR-125, Fuji Photo Film Co. Ltdなど)を用いて測定する方法を例示することができる。
電離放射線で照射したアラビアガム水溶物は、そのままの状態または適当に水に希釈した後に、スプレードライ、ドラムドライ、凍結乾燥などの慣用の方法で乾燥することができ、固体状態の改質アラビアガムとして提供することもできる。上記の乾燥方法のほか、工業的な乾燥方法として、減圧乾燥機や真空乾燥機等の乾燥装置を利用して乾燥する方法を用いることもできる。これらの装置では、水流ポンプや真空ポンプなどでアラビアガム水溶物を収容した容器内の圧力を低下させるとともにその内容物(アラビアガム水溶物)をスクリューなどにより均一に混合することができる。しかも、当該装置には、容器の外部のジャケットに蒸気を導入することによって当該内容物を加熱することができる装置も付設できるため、乾燥(水分除去)、混合、および加熱という操作を一度に行うことができる。さらに、当該装置によれば、加熱終了後は、容器の外部のジャケットに冷却水を通水しながら内容物を混合することにより、内容物を速やかに冷却することもできる。これらの具体的な装置の例としては、リボコーン(円錐型リボン真空乾燥機(RM−VD型):株式会社大川原製作所製)、真空型ナウタミキサNXV型(ホソカワミクロン株式会社製)、遊星運動型円錐型混合乾燥機SVミキサー(神鋼パンテック株式会社製)などを挙げることができる。乾燥処理によって調製される改質アラビアガムの形態は、特に制限されないが、粉末状、粒状、顆粒状を例示することができる。
上記の本発明の製造方法によれば、原料として用いた天然(未改質)アラビアガムに比して高い乳化力、特に高い乳化安定性を発揮するように改質されてなるアラビアガムを製造取得することができる。斯くして得られる改質アラビアガムのうち、乳化力(特に乳化安定性)性の観点から好ましいものとしては、重量平均分子量が100万以上のものを挙げることができる。
さらに本発明の方法によれば、従来の加熱方法で問題となっている着色、着香またはケーキングなどといった、取り扱い上または添加剤として他製品に適用するにあたって支障になる不都合を低減した状態で、乳化力が改善向上されたアラビアガムを製造取得することができる。よって、本発明は、アラビアガムを、着色化を低減した状態で乳化力、特に乳化安定性を高めるように改質する方法ともいうことができる。
このため、本発明の製造方法によって得られる改質アラビアガムは、乳化剤として、食品、香粧品、医薬品若しくは医薬部外品など、特に色や臭いが品質に与える影響の大きい製品に好適に使用することができる。本発明の改質アラビアガムの製造方法は、前述する電離放射線の照射工程、または電離放射線の照射工程及び乾燥工程に加えて、さらに、改質アラビアガムを乳化剤として各種製品(食品、香粧品、医薬品若しくは医薬部外品など)に適用するために必要な処理工程を備えていてもよい。また、乳化剤として好適な状態(組成や形態)に調製するための処理工程を備えていてもよい。
(2)乳化剤及び乳化組成物の調製方法
上記の方法によって調製される改質アラビアガムは、高い乳化力において原料として用いた未改質アラビアガム(天然アラビアガム)と明確に区別することができる。一般に乳化剤の乳化力は、調製されるエマルションの平均粒子径が小さいほど、またその粒子径が経時的に安定して保持されるほど、優れていると評価される(「アラビアゴムで乳化したO/Wエマルジョンの濁度比法による研究」、薬学雑誌、112(12)、906−913、(1992))。なお、ここで改質アラビアガムの乳化力の評価に用いるエマルション(乳化組成物)の調製方法、その平均粒子径の測定方法及び乳化の経時的安定性(乳化安定性)の評価方法については、後述する実験例に記載する方法に従うことができる。
上記の方法によって調製される改質アラビアガムは、高い乳化力において原料として用いた未改質アラビアガム(天然アラビアガム)と明確に区別することができる。一般に乳化剤の乳化力は、調製されるエマルションの平均粒子径が小さいほど、またその粒子径が経時的に安定して保持されるほど、優れていると評価される(「アラビアゴムで乳化したO/Wエマルジョンの濁度比法による研究」、薬学雑誌、112(12)、906−913、(1992))。なお、ここで改質アラビアガムの乳化力の評価に用いるエマルション(乳化組成物)の調製方法、その平均粒子径の測定方法及び乳化の経時的安定性(乳化安定性)の評価方法については、後述する実験例に記載する方法に従うことができる。
本発明の改質アラビアガムは、乳化剤として、特に食品、医薬品、医薬部外品、または香粧品の分野において、とりわけ経口的に摂取され得る製品の乳化剤として好適に使用することができる。具体的には、飲料、粉末飲料、デザート、チューイングガム、錠菓、スナック菓子、水産加工品、畜産加工品、レトルト食品などの食品等の乳化、油性香料の乳化、油性色素の乳化などに、乳化剤として好適に使用することができる。上記改質アラビアガムは電離放射線照射後そのままの水溶物の状態で、または乾燥処理後の固体状態(例えば粒子状若しくは粉末状)で乳化剤として用いることもできるが、必要に応じて、これらにその他の担体や添加剤を配合して乳化剤として調製することもできる。この場合、使用される担体や添加剤は、乳化剤を用いる製品(例えば、食品、医薬品、医薬部外品、または香粧品)の種類やその用途に応じて、常法に従って適宜選択採用することができる。例えば、デキストリン、マルトース、乳糖等の糖類やグリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールと混合して使用することができる。なお、担体や添加剤を配合して乳化剤を調製する場合、当該乳化剤中に含まれる改質アラビアガムの割合としては、制限されないが、少なくとも下限は5重量%以上、好ましくは10重量%以上であることが望ましい。なお、上限は100重量%未満であれば特に制限されない。
また、本発明は上記改質アラビアガムを乳化剤として使用するエマルション(乳化組成物)の調製方法を提供する。当該エマルションは、上記改質アラビアガムを乳化剤として使用して、疎水性物質(分散質)を親水性溶媒(分散媒)中に分散安定化することによって調製することができる。ここでエマルション(乳化組成物)としては、水中油滴(O/W)型やW/O/W型のエマルションを挙げることができる。
ここで乳化される疎水性物質は、通常エマルション形態に供されるもの若しくはその必要性のあるものであれば特に制限されないが、好ましくは食品、医薬品、医薬部外品または香粧品分野で用いられるもの、より好ましくは経口的に用いられることが可能な可食性疎水性物質を挙げることができる。
具体的には、オレンジ、ライム、レモン及びグレープフルーツなどの柑橘系植物等の基原植物から得られる各種精油、ペッパー、シンナモン及びジンジャーなどの基原植物からオレオレジン方式で得られるオレオレジン、ジャスミンやローズなどの基原植物からアブソリュート方式で得られるアブソリュート、その他、合成香料化合物、及び油性調合香料組成物などの油性香料;β-カロチン、パプリカ色素、リコピン、パーム油カロチン、ドナリエラカロチン及びニンジンカロチンなどの油性色素;ビタミンA,D,E及びKなどの脂溶性ビタミン;ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、及びγ−リノレン酸などの多価不飽和脂肪酸;大豆油、菜種油、コーン油及び魚油などの動植物油脂;SAIB(Sucrose Acetate isobutyrate:ショ糖酢酸イソ酪酸エステル)、またはC6〜C12の中鎖トリグリセライドなどの加工食品用油脂及びこれら可食性油性材料の任意の混合物を例示することができる。
上記改質アラビアガムを用いたエマルションの調製方法は、特に制限されず、水中油滴(O/W)型エマルションまたはW/O/W型エマルションの調製に関する常法に従って、疎水性物質と親水性溶媒とを上記改質アラビアガムの存在下で、ホモジナイザーや高圧噴射などを利用して機械的に攪拌乳化することによって行うことができる。より具体的には、下記の方法を例示することができる。
まず、改質アラビアガムを水等の親水性溶媒に溶解し、必要に応じて、遠心分離又はフィルタープレス等を利用した濾過など、適当な固液分離手段により不純物を除去して、改質アラビアガム水溶液を調製する。これに、分散質として用いる目的の疎水性物質(例えば油脂、また予め油脂に香料や色素を溶解した混合液)を撹拌機等で混合し、予備乳化する。なお、この際、必要に応じてSAIB等の比重調整剤にて比重を調整してもよい。次いで得られた予備乳化混合液を、乳化機を利用して乳化する。
なお、ここで疎水性物質として油性香料や油性色素を用いて乳化香料や乳化色素を調製する場合は、上記疎水性物質として予め油脂に油性香料や油性色素を溶解した混合液を用いることが好ましい。これによって、より乳化を安定化し、また成分の揮発を予防することができる。また油性香料や油性色素を溶解する油脂としては、特に制限されないが、通常、中鎖トリグリセライド(炭素数6〜12の脂肪酸トリグリセライド)、及びコーン油、サフラワー油、または大豆油などの植物油を用いることができる。
乳化に使用する乳化機としても、特に制限はなく、目的とするエマルションの粒子の大きさや、試料の粘度などに応じて適宜選択することができる。例えば、機械的に高圧のホモジナイザーの他、ナノマイザーやディスパーミル、コロイドミルなどの乳化機を使用することができる。
乳化工程は、前述するように、親水性溶媒中に、攪拌下で、疎水性物質を添加し、攪拌して予備乳化し、粒子径約2〜5μm程度の乳化粒子を調製した後、ホモジナイザーやナノマイザーなどの乳化機を用いて微細で均一な粒子(例えば、平均粒子径1μm以下、好ましくは0.8μm以下)を調製することによって行うことができる。なお、β−カロチンなどの色素の多くは、それ自身、結晶の状態でサスペンションとして存在する。したがって、これらの色素をエマルション(乳化色素)として調製するには、まず色素の結晶を適当な油脂と高温下で混合し溶解してから、親水性溶媒に添加することが好ましい。
エマルションの調製に際して、使用される改質アラビアガムの割合は特に制限されないが、エマルション100重量%中の割合として、通常5〜20重量%を挙げることができる。
斯くして改質アラビアガムを用いて調製されるエマルション(乳化組成物)は、通常の天然アラビアガム〔未改質アラビアガム〕を用いて調製したエマルションと比較して、粒子の粒度分布が均一であり、また、加熱や長期保存などにより、エマルション粒子同士が、凝集したり、合一して粒子が劣化することが有意に抑制されており、高い経時的安定性を備えている。
改質アラビアガムを使用して調製したエマルションを用いて作られる食品としては、特に制限はされないが、例えば、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、果実飲料、粉末飲料、スポーツ飲料、紅茶飲料、緑茶飲料などの飲料類;カスタードプリン、ミルクプリンなどのプリン類;ゼリー、ババロア及びヨーグルトなどのデザート類;ミルクアイスクリーム、アイスキャンディーなどの冷菓類;チューインガムや風船ガムのガム類;マーブルチョコレートなどのコーティングチョコレートの他、メロンチョコレートなどの香味を付与したチョコレートなどのチョコレート類;ハードキャンディー、ソフトキャンディー、キャラメル、ドロップなどのキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかきなどの焼き菓子類;コーンスープ、ポタージュスープなどのスープ類、ドレッシング、ケチャップ、マヨネーズ、たれ、ソースなどのソース類;ハム、ソーセージ、焼き豚などの蓄肉加工品;魚肉ソーセージ、蒲鉾などの水産練り製品;バター、マーガリン、チーズなどの油脂製品類などの加工食品を例示することができる。
以下、試験例及び実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例などに限定されるものではない。なお、以下の実験例において、吸収線量はフリッケ線量計で校正したCTA線量計(FTR-125,Fuji Photo Film Co. Ltd)を用いて測定した。
実験例1
(1)被験試料の調製
(1-1) スプレードライされた粉末状のアラビアガム〔A.Senegal、MW60万、乾燥減量7.0%〕(試料1)を厚さ0.04mmのポリエチレン袋(ユニパックG−8、生産日本株式会社製:横140mm×縦200mm)に試料の厚さ約3mmになるように50gを入れ、均一な状態とし、ファンデグラフ電子加速装置を用いて加速電圧0.8MeV、線量率600kGy/hrの条件で、10、20、30、及び50kGyのそれぞれの吸収線量で電子線を照射した(電子線照射試料1)。
(1)被験試料の調製
(1-1) スプレードライされた粉末状のアラビアガム〔A.Senegal、MW60万、乾燥減量7.0%〕(試料1)を厚さ0.04mmのポリエチレン袋(ユニパックG−8、生産日本株式会社製:横140mm×縦200mm)に試料の厚さ約3mmになるように50gを入れ、均一な状態とし、ファンデグラフ電子加速装置を用いて加速電圧0.8MeV、線量率600kGy/hrの条件で、10、20、30、及び50kGyのそれぞれの吸収線量で電子線を照射した(電子線照射試料1)。
(1-2) スプレードライされた粉末状のアラビアガム(A.Senegal、MW60万、乾燥減量7.0%)をイオン交換水に配合して、アラビアガムの濃度が20重量%(試料2)、35重量%(試料3)、50重量%(試料4)、60重量%(試料5)となるように、アラビアガム水溶物を調製した。これらの水溶物を各々厚さ0.04mmのポリエチレン袋(ユニパックG−8、生産日本株式会社製:横140mm×縦200mm)に厚さが約3mmになるように試料水溶物を75g入れ、ファンデグラフ電子加速装置を用いて加速電圧0.8MeV、線量率600kGy/hrの条件で、各試料(試料2〜5)に対して10、20、30、及び50kGyの吸収線量で電子線を各々照射した(電子線照射試料2〜5)。
(2)物性評価
上記で調製した電子線照射試料1〜5について、下記に記載する方法に従って、(i)重量平均分子量、(ii)着色度、及び(iii)粘度を評価した。
上記で調製した電子線照射試料1〜5について、下記に記載する方法に従って、(i)重量平均分子量、(ii)着色度、及び(iii)粘度を評価した。
(i)重量平均分子量
アラビアガムの重量平均分子量は、光散乱(MALLS:Multi Angle Laser Light Scattering)検出器、屈折率(RI)検出器及びUV検出器の3つの検出器をオンラインで接続したゲル濾過クロマトグラフィー(GPC−MALLS)の手法によって測定し、得られたデータをASTRA Version 4.5(Wyatt Technology)ソフトウエアにて処理することにより求めることができる。なお、当該GPC−MALLS手法によれば、光散乱(MALLS)検出器により分子量を、屈折率(RI)検出器により各成分の重量(組成比)を、さらにUV検出器により蛋白質を検出することができ、分子量既知の標準品と対比することなく分析成分の分子量並びに組成を求めることができる。その詳細な原理や特徴はIdris,O.H.M.,Williams,P.A.,Phillips, G.O.;Food Hydrocolloids,12,375‐388(1998)」に記載されている。
アラビアガムの重量平均分子量は、光散乱(MALLS:Multi Angle Laser Light Scattering)検出器、屈折率(RI)検出器及びUV検出器の3つの検出器をオンラインで接続したゲル濾過クロマトグラフィー(GPC−MALLS)の手法によって測定し、得られたデータをASTRA Version 4.5(Wyatt Technology)ソフトウエアにて処理することにより求めることができる。なお、当該GPC−MALLS手法によれば、光散乱(MALLS)検出器により分子量を、屈折率(RI)検出器により各成分の重量(組成比)を、さらにUV検出器により蛋白質を検出することができ、分子量既知の標準品と対比することなく分析成分の分子量並びに組成を求めることができる。その詳細な原理や特徴はIdris,O.H.M.,Williams,P.A.,Phillips, G.O.;Food Hydrocolloids,12,375‐388(1998)」に記載されている。
本発明で採用したGPC−MALLSの測定条件は下記の通りである:
カラム :Superose 6 10/300 GL (Amersham Biosciences, Sweden)
流速 :0.5ml/分
溶出溶媒 :0.2M NaCl
試料の調製:分析試料(電子線照射試料)を溶出溶媒(0.2M NaCl)にて希釈した後、0.45μmセルロースアセテートメンブランフィルタにて不溶物を除去した液を測定する。
試料濃度 :0.1%(W/V)
試料液注入量:100 μl
dn/dc :0.141
温度 :室温
検出器 :1) MALLS(multi angle laser light scattering):DAWN EOS(Wyatt Technology 社製,米国)、2) RI(屈折率)、3) UV(214nmでの吸収)。
カラム :Superose 6 10/300 GL (Amersham Biosciences, Sweden)
流速 :0.5ml/分
溶出溶媒 :0.2M NaCl
試料の調製:分析試料(電子線照射試料)を溶出溶媒(0.2M NaCl)にて希釈した後、0.45μmセルロースアセテートメンブランフィルタにて不溶物を除去した液を測定する。
試料濃度 :0.1%(W/V)
試料液注入量:100 μl
dn/dc :0.141
温度 :室温
検出器 :1) MALLS(multi angle laser light scattering):DAWN EOS(Wyatt Technology 社製,米国)、2) RI(屈折率)、3) UV(214nmでの吸収)。
上記条件で、RI検出器によって求められたクロマトグラム上のピーク全体(チャートのベースラインからのRIチャートの立ち上がり部を起点及び降下してベースラインと交わった部分を終点とした場合に、当該起点から終点までのRIチャート部分を意味する。)を1ピークとしてデータ処理した場合(processed as one peak)に、重量換算で求めた分子量を「重量平均分子量」とした。乳化力の増加に伴い、「重量平均分子量」も増加することから、乳化性を評価する一つの指標とすることができる。
(ii)着色度
電子線照射試料1については、試料10gにイオン交換水90gを添加し、よく混合してアラビアガム10重量%水溶物を調製した。電子線照射試料2〜5は、イオン交換水を用いてアラビアガムの濃度が10重量%となるように調整した。
電子線照射試料1については、試料10gにイオン交換水90gを添加し、よく混合してアラビアガム10重量%水溶物を調製した。電子線照射試料2〜5は、イオン交換水を用いてアラビアガムの濃度が10重量%となるように調整した。
これらの溶液(10重量%濃度の水溶物として調整した各電子線照射試料)を光路長10mmの石英セルに入れ紫外可視分光光度計V−560(日本分光(株)製)を用いて透過光にて測定し、ハンタ−表色系(Lab表色系)の3刺激値を求め、√(a2+b2) を計算して着色度とした。
(iii)粘度
電子線照射試料1については、試料10gにイオン交換水90gを添加し、よく混合してアラビアガム10重量%水溶物を調製した。電子線照射試料2〜5は、イオン交換水を用いてアラビアガムの濃度が10重量%となるように調整した。
電子線照射試料1については、試料10gにイオン交換水90gを添加し、よく混合してアラビアガム10重量%水溶物を調製した。電子線照射試料2〜5は、イオン交換水を用いてアラビアガムの濃度が10重量%となるように調整した。
上記のように10重量%濃度の水溶物として調整した各電子線照射試料を、各々100ml容スクリュー管に入れ、20℃にてB型回転粘度計(BM型、株式会社トキメック製)にて、ローターNo.1、回転数60rpmの条件で粘度(mPa・s)を測定した(ローターNo.1で測定できない試料についてはローターNo.2にて、同様に回転数60rpmの条件で粘度(mPa・s)を測定した)。
以上の測定の結果を表1に示す。また、各試料(試料1〜5)に各吸収線量(0〜50kGy)の電子線を照射した際の分子量、粘度、及び着色度の変化を、各々図1、2および3に示す。
この結果から粉末状態で照射した試料1については、吸収線量が上がるにつれて分子量と粘度が低下し、このことから電子線の照射によってアラビアガムが分解されていることがわかる。
一方、アラビアガムの20重量%水溶物、35重量%水溶物、50重量%水溶物、及び60重量%水溶物については(電子照射試料2〜5)、いずれも電子線の照射により分子量と粘度の増加が認められたことから、アラビアガムが分解せずに逆に重合が生じていると考えられる。
着色度については、粉末(固体)状のアラビアガムに電子線照射する場合に比較して、20重量%水溶物、35重量%水溶物、50重量%水溶物、及び60重量%水溶物(電子照射試料2〜5)に照射した場合は、有意に着色度は低く、着色化が抑制されていることが認められ、特に35重量%水溶物及び50重量%水溶物において最も着色化が抑制されていた。このことから、30〜55重量%の水溶物濃度範囲での照射が、着色を抑制した改質アラビアガムの調製により有用であることがわかった。
実験例2
(1)被験試料の調製
アラビアガムの玉(A.Senegal、MW60万、乾燥減量7.0%)35kgに対して、
90℃に加熱したイオン交換水65kgを添加、攪拌混合する。これを遠心分離機によって、不溶物を除去した後、この上清液として35重量%のアラビアガム水溶物を得た。これを2L容のステンレス製容器に1.5kg入れ、コバルト60を用いてγ線を、2.5、5、10、20、30、40、及び50kGyの吸収線量で照射した(線量率1kGy/hr)。
(1)被験試料の調製
アラビアガムの玉(A.Senegal、MW60万、乾燥減量7.0%)35kgに対して、
90℃に加熱したイオン交換水65kgを添加、攪拌混合する。これを遠心分離機によって、不溶物を除去した後、この上清液として35重量%のアラビアガム水溶物を得た。これを2L容のステンレス製容器に1.5kg入れ、コバルト60を用いてγ線を、2.5、5、10、20、30、40、及び50kGyの吸収線量で照射した(線量率1kGy/hr)。
(2)物性評価
上記で得られた各試料について、実験例1の方法に従って重量平均分子量、粘度、及び着色度を調べた。結果を表2に示す。
上記で得られた各試料について、実験例1の方法に従って重量平均分子量、粘度、及び着色度を調べた。結果を表2に示す。
(3)乳化力評価
上記で得られた各試料について、下記の方法に従って乳化力を評価した。
<方法>
γ線照射した35重量%アラビアガム水溶物500gにイオン交換水300gを添加混合し、この溶液を攪拌下、中鎖トリグリセライド(オクタン酸・デカン酸トリグリセライド)であるO.D.O(商品名、日清オイリオ株式会社製)200gを添加混合し、ホモジナイザー(APV GAULIN社製)にて乳化しエマルションを調製する(圧力44MPa(450kg/cm2)でのホモジナイズを4回)。
上記で得られた各試料について、下記の方法に従って乳化力を評価した。
<方法>
γ線照射した35重量%アラビアガム水溶物500gにイオン交換水300gを添加混合し、この溶液を攪拌下、中鎖トリグリセライド(オクタン酸・デカン酸トリグリセライド)であるO.D.O(商品名、日清オイリオ株式会社製)200gを添加混合し、ホモジナイザー(APV GAULIN社製)にて乳化しエマルションを調製する(圧力44MPa(450kg/cm2)でのホモジナイズを4回)。
得られたエマルションについて、乳化直後および60℃3日間保存後の平均粒子径(μm)を、粒度分布測定装置SALD−1100(レーザー回折式、島津製作所(株)製)を用いて測定する。なお、一般に乳化剤の乳化力は、調製されるエマルションの平均粒子径が小さいほど、またその粒子径が経時的に安定して保持されるほど、優れていると評価される(「アラビアゴムで乳化したO/Wエマルションの濁度比法による研究」、薬学雑誌、112(12)906−913,(1992))。また、乳化安定性を、乳化直後と60℃3日保存後の平均粒子径の差で評価した。
乳化力の評価結果を表3に示す。なお、エマルションの経時変化安定性(乳化安定性)は、上記乳化直後のエマルションの平均粒子径(a)と加速試験(60℃3日間保存)後のエマルションの平均粒子径(b)との差(b−a)から判断することができる。エマルションの平均粒子径の変化が少ないほど、経時変化安定性(乳化安定性)に優れていることを意味する。
上記結果からわかるように、γ線照射しない未改質のアラビアガム水溶物を用いて調製したエマルションは、加速試験(60℃、3日保存)に供することにより、エマルション粒子が劣化して、平均粒子径が0.65μmから1.85μmへと、1.20μmの平均粒子径の変化が見られた。これに対して、γ線照射したアラビアガム水溶物を用いて調製したエマルションは、加速試験(60℃、3日保存)での平均粒子径の変化が有意に小さくなり、経時変化安定性(乳化安定性)は向上していることがわかった。
特に、電離放射線で20kGy以上照射したアラビアガム水溶物を用いて調製したエマルションでは、加速試験(60℃、3日保存)による平均粒子径の変化はほとんど見られず、非常に高い乳化安定性を示した。また、50kGy照射したアラビアガム水溶物中には、若干量のゲル生成を認めた。このため、乳化性に優れた好適な水溶性の改質アラビアガムを得るための吸収線量としては50kGy以下が好ましいと考えられた。
上記の実験例のうち、30kGyでγ線照射したアラビアガム水溶物を乾燥し、下記実施例において改質アラビアガムとして使用した。
実施例1 β−カロチン乳化製剤(乳化色素製剤)
<処方>
β−カロチン30%懸濁液 5(重量%)
中鎖トリグリセライド 10
改質アラビアガム 17
水 68
合 計 100 重量%
<処方>
β−カロチン30%懸濁液 5(重量%)
中鎖トリグリセライド 10
改質アラビアガム 17
水 68
合 計 100 重量%
改質アラビアガム170gを水680gに溶解し、20重量%のアラビアガム水溶液を調製した。これを乳化剤として用いて、これに、予めβ−カロチン30%懸濁液50gに中鎖トリグリセライド(オクタン酸・デカン酸トリグリセライド、O.D.O(商品名、日清製油株式会社製))100gを配合して150℃にて加熱して溶解しておいた混合液を添加し、攪拌混合した。これをホモジナイザー(APV GAULIN社製)にて乳化し(圧力4.4MPa(450kg/cm2)でのホモジナイズを4回)、乳化色素製剤であるβ−カロチン乳化製剤を調製した。
実施例2 オレンジ乳化香料(乳化香料)
<処方>
オレンジ香料 2(重量%)
中鎖トリグリセライド 13
改質アラビアガム 17
水 68
合 計 100 重量%
<処方>
オレンジ香料 2(重量%)
中鎖トリグリセライド 13
改質アラビアガム 17
水 68
合 計 100 重量%
改質アラビアガム170gを水680gに溶解し、20重量%のアラビアガム水溶液を調製した。これを乳化剤として、これに、予めオレンジ香料20gと中鎖トリグリセライド(オクタン酸・デカン酸トリグリセライド、O.D.O(商品名、日清製油株式会社製))130gを室温下でよく混合して調製しておいた混合液を添加し、攪拌混合した。これをホモジナイザー(APV GAULIN社製)にて乳化し(圧力4.4MPa(450kg/cm2)でのホモジナイズを4回)、乳化香料であるオレンジ乳化香料を調製した。
実施例3 DHA(ドコサヘキサエン酸)乳化製剤
<処方>
DHA20%含有魚油 5(重量%)
中鎖トリグリセライド 10
改質アラビアガム 17
水 68
合 計 100 重量%
<処方>
DHA20%含有魚油 5(重量%)
中鎖トリグリセライド 10
改質アラビアガム 17
水 68
合 計 100 重量%
改質アラビアガム170gを水680gに溶解し、20重量%のアラビアガム水溶液を調製した。これを乳化剤として、これに、予めDHA20重量%含有魚油50gと中鎖トリグリセライド(オクタン酸・デカン酸トリグリセライド、O.D.O(商品名、日清製油株式会社製))100gとの混合物を80℃に加熱し、混合して調製しておいた混合液を添加し、攪拌混合した。これをホモジナイザー(APV GAULIN社製)にて乳化し(圧力4.4MPa(450kg/cm2)でのホモジナイズを4回)、DHA乳化製剤を調製した。
実施例4 レモン粉末香料
<処方>
レモンオイル 20(重量%)
改質アラビアガム 20
デキストリン 60
水 150
合 計 250 重量%
<処方>
レモンオイル 20(重量%)
改質アラビアガム 20
デキストリン 60
水 150
合 計 250 重量%
改質アラビアガム200gとデキストリン600gを水1500gに溶解し、アラビアガム水溶液を調製する。これを乳化剤として、これにレモンオイル200gを添加し、攪拌混合する。これをホモジナイザー(APV GAULIN社製)にて乳化する(圧力2.0MPa(200kg/cm2)でのホモジナイズを1回)。次いで、この溶液をスプレードライヤー(ANHYDRO社製)(インレット 140℃、アウトレット 80℃)にて噴霧乾燥し、レモン粉末香料950gを調製する。
Claims (16)
- アラビアガム水溶物に電離放射線を照射する工程を有する改質アラビアガムの製造方法。
- アラビアガム水溶物のアラビアガムの濃度が15〜60重量%であることを特徴とする請求項1記載の改質アラビアガムの製造方法。
- 電離放射線がγ線であることを特徴とする請求項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
- 電離放射線が加速電圧0.2〜10MeVの電子線であることを特徴とする請求項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
- 電離放射線の吸収線量が1〜50kGyであることを特徴とする請求項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
- アラビアガム濃度15〜50重量%のアラビアガム水溶物に10〜50kGyの吸収線量の電離放射線を照射するか、またはアラビアガム濃度50〜60重量%のアラビアガム水溶物に3〜30kGyの吸収線量の電離放射線を照射する工程を有する、請求項1記載の改質アラビアガムの製造方法。
- アラビアガム水溶物に電離放射線を照射する工程の後に、乾燥工程を有する請求項1に記載する改質アラビアガムの製造方法。
- 乾燥工程が、スプレードライまたはドラムドライであることを特徴とする請求項7記載の改質アラビアガムの製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載する製造方法によって得られる改質アラビアガム。
- 請求項9に記載する改質アラビアガムを有効成分とする乳化剤。
- 請求項9に記載する改質アラビアガムを乳化剤として用いる乳化組成物の調製方法。
- 乳化組成物が、O/W型エマルションまたはW/O/W型エマルションである請求項11記載の乳化組成物の調製方法。
- 請求項9に記載する改質アラビアガムを乳化剤として用いて、精油、油性香料、油性色素、油溶性ビタミン、多価不飽和脂肪酸、動植物油、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、及び中鎖トリグリセライドからなる群から選択される少なくとも1種の疎水性物質を親水性溶媒に分散安定化する工程を有する請求項11記載の乳化組成物の調製方法。
- 請求項9に記載する改質アラビアガムを乳化剤として用いて調製される乳化組成物。
- 請求項11に記載される調製方法で得られる請求項14記載の乳化組成物。
- 飲食品である請求項14記載の乳化組成物。
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