JPWO2009001443A1 - 発酵豆乳より得られるチーズ様食品とその製造法 - Google Patents
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Abstract
従来の豆乳を用いたチーズ様食品およびその製造方法の欠点である、油脂や糖を除去した特殊組成の豆乳を用いる必要があったこと、あるいは、カビ付けを行い熟成させるため、完成品になるまでに時間を要したことなどの問題点を解決する。本発明は、豆乳をプロテアーゼ活性を有する乳酸菌で発酵しカードを得る工程、カードを加温する工程およびカードを濾過する工程を含む、チーズ様食品の製造方法である。
Description
本発明は、特徴ある乳酸菌を用いて豆乳を発酵することで得られるチーズ様食品及びその製造方法に関し、該チーズ様食品は、乳製品アレルギーを呈するヒトに安心・安全な新食材を提供するものである。
近年の健康ブームは、主として、三度の食事においていかにして体によいものを取り入れるかに集約される。その中で、大豆は低カロリーな蛋白源として注目されている。また、大豆タンパクのコレステロール低下作用やイソフラボンの女性ホルモン様作用が報告されていることから、大豆は機能性食品としても注目を集めている。大豆を原料とする食品は、豆腐、納豆、味噌等の伝統食品の他、豆乳や大豆タンパク等の健康食品を含み、大豆からは多様な製品が開発されている。
豆乳を基にしたチーズ様食品としては、豆乳を耐熱性乳酸菌で発酵させて得られるカードをカビ発酵させる方法が知られている(特許文献1及び2)。しかし、この方法は、カビ発酵を必須とするため、作業が煩雑となり、製造時間や製造費用がかさむといった欠点があった。
大豆から抽出した大豆タンパク質に、油脂、アミノ酸、糖を添加して発酵を行い、これを加工してチーズ様食品とする方法も知られている(特許文献3)。しかし、この方法では、タンパク質のみを抽出するという工程に加え、特定の油脂や糖の添加工程が必要となり、作業が煩雑になるという欠点があった。
一方、乳製品は高い栄養価があるにも関わらず、乳製品を含む食品にアレルギー症状を示し、これらを食せないヒトが老若男女を問わず増加しているのも事実である。かかるアレルギー症状を保有するヒトに、上記欠点が改良された豆乳チーズ様食品が開発され、それらを利用したケーキや料理が提供されれば、朗報であることに疑う余地はないといえる。
特公昭57−3338号
特開昭59−213358号
特公平3−224448号
本発明の課題は、上記したような、従来の豆乳を用いたチーズ様食品及びその製造方法が有する、カード形成時に、油脂や糖などを除去した特殊な組成の豆乳を使用する必要があったこと、またカビ付けをして熟成させるため、完成品となるまでに時間が掛かったことなどの問題点を解決することである。
本発明者らは、プロテアーゼ活性、特にゼラチナーゼ活性を有する乳酸菌が、豆乳を凝固しうること、その発酵豆乳を加温することで得られる凝塊がカビ付けによる熟成をしなくても、プロセスチーズ様の弾力と風味を持っていることを発見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)豆乳をプロテアーゼ活性を有する乳酸菌により発酵してカードを得る工程、カードを加温する工程及びカードを濾過する工程を含む、チーズ様食品の製造方法;
(2)プロテアーゼがゼラチナーゼであることを特徴とする、(1)記載の製造方法;
(3)乳酸菌がEnterococcus属faecalis種であることを特徴とする、(1)又は(2)記載の製造方法;
(4)乳酸菌がEnterococcus faecalis TN-9 (FERM BP-10838)又はその変異株であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項記載の製造方法;
(5)(1)〜(4)のいずれか1項記載の製造方法により得られるチーズ様食品;
(6)乳酸菌株Enterococcus faecalis TN-9 (FERM BP-10838)。
(1)豆乳をプロテアーゼ活性を有する乳酸菌により発酵してカードを得る工程、カードを加温する工程及びカードを濾過する工程を含む、チーズ様食品の製造方法;
(2)プロテアーゼがゼラチナーゼであることを特徴とする、(1)記載の製造方法;
(3)乳酸菌がEnterococcus属faecalis種であることを特徴とする、(1)又は(2)記載の製造方法;
(4)乳酸菌がEnterococcus faecalis TN-9 (FERM BP-10838)又はその変異株であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項記載の製造方法;
(5)(1)〜(4)のいずれか1項記載の製造方法により得られるチーズ様食品;
(6)乳酸菌株Enterococcus faecalis TN-9 (FERM BP-10838)。
本発明の製造法により、特殊な豆乳の使用やカビ付けによる長期の熟成を行うことなく、発酵、加温及び濾過という単純な工程で短時間にチーズ様食品を製造することができる。また、本発明の製造方法により得られるチーズ様食品は、風味に優れ、美味しい。加えて、乳製品にアレルギー症状を呈するが故にこれを食することのできないヒトに、新しい食材を提供すると共に、安心・安全なケーキや料理をも提供し、食生活を豊かにすることができる効果も有している。
本発明に用いる豆乳は、無調整豆乳ならば特に制限されない。無調整豆乳とは、調味料を加えず水と豆だけからなる豆絞り汁を意味する。豆としては、大豆、黒大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、インゲン豆等が上げられるが、好ましくは大豆である。無調整豆乳は、公知の方法で製造することができ、市販もされているので、入手は容易である。豆乳は、豆固形分が、好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上のものである。その理由は、豆固形分が多い方が、カードの形成が容易であるからである。
本発明における乳酸菌は、プロテアーゼ活性を有する。乳酸菌が有するプロテアーゼ活性は、豆乳の固化の観点から、高い方が好ましい。
本発明で用いる乳酸菌は、産生されるプロテアーゼにより、タンパク質が旨味を呈するアミノ酸あるいはペプチドに分解されることで、カビ付けによる熟成無しで、豆乳臭さのない良好な風味のチーズ様食品が得られる。また、プロテアーゼが豆乳中のミセルを破壊することで凝固性が高まり、乳酸菌が産生する有機酸の効果と相乗して、弾力のある豆乳凝固物を得ることが出来る。
本発明における乳酸菌としては、Enterococcus属に属する乳酸菌であってプロテアーゼを産生する株であることが好ましい。望ましくは、乳酸菌がプロテアーゼ活性を有するEnterococcus faecalisであり、さらに望ましくは、例えば、富山湾海洋深層水より得られたEnterococcus faecalis TN-9である。Enterococcus faecalis TN-9は、平成19年4月24日に受託番号FERM BP-10838として独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに国際寄託されている。
本発明におけるプロテアーゼとしては、ゼラチナーゼが特に好ましい。Enterococcusに属する乳酸菌は、ゼラチンを液化する性質が知られているが、全ての菌株がゼラチンを液化するわけではない。ゼラチンを液化する菌株では、プロテアーゼが産生されており、これがゼラチンを分解し、液化している。特にEnterococcus faecalisではゼラチナーゼの産生株が知られており、過去にはEnterococcus faecalis sp. liquefasienceとして分類されていた。Enterococcus faecalis TN-9はゼラチナーゼ活性を有する。
豆乳の発酵は、あらかじめ食品原料で培養した乳酸菌培養液を、豆乳に対して適量、例えば2〜5容量%で植菌し、20〜40℃、好ましくは約30℃で、3〜50時間、好ましくは6〜25時間、特に約18時間行う。発酵により豆乳は凝固する(以下、凝固物を「カード」という)。豆乳の発酵の際には、乳酸菌または乳酸菌培養液以外の添加物、例えば一般的に炭素源として用いるグルコースのような添加物は不要である。また、Enterococcus属の乳酸菌は耐塩性を有するので、調味の目的として食塩を1〜5%添加することは可能である。
得られたカードは、湯煎等で50〜70℃の範囲で3分〜1時間程度加温する。加温により、さらに凝固が進み、プロセスチーズ様の弾力を得ることが出来る。加温の範囲を50〜60℃の範囲で行えば、乳酸菌を殺すことなく、あるいは、プロテアーゼを失活することなく残すことが可能である。
加温後のカードを濾過して固形分を回収する。カードの濾過は、定法によって行うことが出来る。例えば、蒸気滅菌あるいは煮沸消毒した目の細かい布、例えば木綿の布、酒袋などを用いて、濾過を行う方法がある。前述の濾過方法で回収したカード固形分は、圧力をかけて脱水する。脱水に用いる圧力は、カード固形分が潰れてしまわない程度の圧力であり、例えば、濾過に用いた布に包んだまま、3〜10kg/cm2の圧力になるように重石を置き、4℃で12〜24時間放置する方法がある。この際、圧力が均等にかかるように、布に包んだカードと重石の間には、まな板のような平板を挟むと良い。また、布に包んだカードの下に、搾り出された水分が貯留しないよう、吸湿性の良い素材、例えばペーパータオル等を敷くか、穴を開けて排水性を良くしたバットの様な物を置くと良い。この時点で、カード固形分の水分は70〜40重量%、好ましくは、60〜40重量%になっていることが望ましい。カード固形分の水分は、食材としてのチーズ様食品の場合、90〜40重量%、好ましくは、80〜40重量%になっていることが望ましい。
濾過により水分が抜け、充分な硬さのカード固形物が得られたら、カード固形分の重量に対し3〜5%程度の食塩を表面に擦り込むことによりチーズ様食品を得ることが出来る。
また、ケーキや料理用の食材としてのチーズ様食品は、加温処理したカードを、前出の方法で濾過して得たカード固形分に食塩を添加しないで製造できる。
乳酸菌の分離・同定
(1)分離
富山県にある二カ所(滑川市、入善町)の深層水採水施設より水深約250メートルの海洋深層水を採水し、この海洋深層水からポアサイズ0.2マイクロメートルのフィルターにて集菌した。このフィルターを一般的な乳酸菌増殖培地の寒天平板上に重層して培養することにより、フィルター上に265個のコロニーを得た。このコロニーの内、酸生成のある29株を乳酸菌候補としてカタラーゼ試験を行った。25株がカタラーゼ陰性であり、またカタラーゼ陰性であった25株全てがグラム陽性菌であった。この25株の内、24株は球菌、1株は桿菌であった。この25株の性質は、乳酸菌の定義に当てはまるため、25株を乳酸菌とした。
(2)分離した乳酸菌の属、種の決定
乳酸菌として選抜した25株の内、球菌であった24株について、市販同定キット(Api20 Strep(日本ビオメリュー))を用いて、属、種の決定を行った。その結果を表1に示す。
(3)Enterococcus faecalis TN-9の分類学的性質
・16SrDNAの塩基配列に基づく相同性
本TN-9株の1,400bp以上の16SrDNAの塩基配列を決定し、DNAデータベース(NCBI)にて相同性検索を行った結果、Enterococcus faecalis V583に99.7%の相同性を示した。
・分類/同定
本TN-9株は、分類学的性質によれば、レンサ球菌に属する。レンサ球菌用同定キットを用いたところ,95.9%の同定率でEnterococcus faecalisと判定された。また、16SrDNAの塩基配列に基づく相同性によってEnterococcus faecalisに最も高い相同性を持つことが確認されため、Enterococcus faecalisであることが示された。
(1)分離
富山県にある二カ所(滑川市、入善町)の深層水採水施設より水深約250メートルの海洋深層水を採水し、この海洋深層水からポアサイズ0.2マイクロメートルのフィルターにて集菌した。このフィルターを一般的な乳酸菌増殖培地の寒天平板上に重層して培養することにより、フィルター上に265個のコロニーを得た。このコロニーの内、酸生成のある29株を乳酸菌候補としてカタラーゼ試験を行った。25株がカタラーゼ陰性であり、またカタラーゼ陰性であった25株全てがグラム陽性菌であった。この25株の内、24株は球菌、1株は桿菌であった。この25株の性質は、乳酸菌の定義に当てはまるため、25株を乳酸菌とした。
(2)分離した乳酸菌の属、種の決定
乳酸菌として選抜した25株の内、球菌であった24株について、市販同定キット(Api20 Strep(日本ビオメリュー))を用いて、属、種の決定を行った。その結果を表1に示す。
(3)Enterococcus faecalis TN-9の分類学的性質
・16SrDNAの塩基配列に基づく相同性
本TN-9株の1,400bp以上の16SrDNAの塩基配列を決定し、DNAデータベース(NCBI)にて相同性検索を行った結果、Enterococcus faecalis V583に99.7%の相同性を示した。
・分類/同定
本TN-9株は、分類学的性質によれば、レンサ球菌に属する。レンサ球菌用同定キットを用いたところ,95.9%の同定率でEnterococcus faecalisと判定された。また、16SrDNAの塩基配列に基づく相同性によってEnterococcus faecalisに最も高い相同性を持つことが確認されため、Enterococcus faecalisであることが示された。
チーズ様食品の作製
グルコース2.5%、酵母エキス0.77%、大豆タンパク1.4%を含む液体培地中で、30℃、18時間培養したEnterococcus faecalis TN-9を種菌とした。市販されている無調整豆乳(大豆タンパク質10%以上と表記されている商品)に2容量%のTN-9培養液を植菌し、30℃で18時間発酵を行った。発酵の終わった豆乳を湯煎にかけ、60℃を保ちながら5分間加温した。加温によって得られた固形分を、蒸気滅菌した木綿の布で濾し取り、重しで徐々に加重をかけ、加圧して水分を除去した(この時の固形分の水分量は、60重量%)。1リットルの豆乳から、約150gのカード固形分が得られた。カード固形分の形を整え、蒸気滅菌した新しい綿布にくるみ、ペーパータオルを敷いたバットの上で、4℃の保冷庫で24時間寝かせ、安定させた。充分な堅さが得られたので、カード固形分重量に対して3%の食塩を、表面に擦り込み、4℃の保冷庫で24時間寝かせた後、試食を行った。
試食は、男性4名女性3名で行った。7人中7人が、プロセスチーズ様の食感で美味しいと答えた。豆乳が苦手と話していた男性1名も、豆乳臭さが無く美味しいと評価した。
グルコース2.5%、酵母エキス0.77%、大豆タンパク1.4%を含む液体培地中で、30℃、18時間培養したEnterococcus faecalis TN-9を種菌とした。市販されている無調整豆乳(大豆タンパク質10%以上と表記されている商品)に2容量%のTN-9培養液を植菌し、30℃で18時間発酵を行った。発酵の終わった豆乳を湯煎にかけ、60℃を保ちながら5分間加温した。加温によって得られた固形分を、蒸気滅菌した木綿の布で濾し取り、重しで徐々に加重をかけ、加圧して水分を除去した(この時の固形分の水分量は、60重量%)。1リットルの豆乳から、約150gのカード固形分が得られた。カード固形分の形を整え、蒸気滅菌した新しい綿布にくるみ、ペーパータオルを敷いたバットの上で、4℃の保冷庫で24時間寝かせ、安定させた。充分な堅さが得られたので、カード固形分重量に対して3%の食塩を、表面に擦り込み、4℃の保冷庫で24時間寝かせた後、試食を行った。
試食は、男性4名女性3名で行った。7人中7人が、プロセスチーズ様の食感で美味しいと答えた。豆乳が苦手と話していた男性1名も、豆乳臭さが無く美味しいと評価した。
プロテアーゼの同定
Enterococcus faecalis TN-9の培養液から、公知の酵素分離方法でプロテアーゼ活性画分を精製し、SDS PAGEによる泳動後、PVDF膜に転写し、プロテインシーケンサーでアミノ酸配列を解析した。その結果、N末端から10残基の配列がVGSEVTLKNSであることが解り、これは、Enterococcus faecalisのゼラチナーゼの内部配列と完全に一致した。この事から、Enterococcus faecalis TN-9の持つプロテアーゼは、ゼラチナーゼであると同定した。
Enterococcus faecalis TN-9の培養液から、公知の酵素分離方法でプロテアーゼ活性画分を精製し、SDS PAGEによる泳動後、PVDF膜に転写し、プロテインシーケンサーでアミノ酸配列を解析した。その結果、N末端から10残基の配列がVGSEVTLKNSであることが解り、これは、Enterococcus faecalisのゼラチナーゼの内部配列と完全に一致した。この事から、Enterococcus faecalis TN-9の持つプロテアーゼは、ゼラチナーゼであると同定した。
粗精製酵素を用いたチーズの作製
Enterococcus faecalis TN-9の培養液から、公知の酵素分離方法でプロテアーゼを粗精製した。この粗精製酵素2容量%を豆乳に加え、実施例2と同様の方法でチーズ様食品を作成した結果、乳酸発酵による酸味は得られなかったが、実施例2で作製したものとほぼ同等の物性と旨味を呈するチーズ様食品が得られた。
Enterococcus faecalis TN-9の培養液から、公知の酵素分離方法でプロテアーゼを粗精製した。この粗精製酵素2容量%を豆乳に加え、実施例2と同様の方法でチーズ様食品を作成した結果、乳酸発酵による酸味は得られなかったが、実施例2で作製したものとほぼ同等の物性と旨味を呈するチーズ様食品が得られた。
ベイクドチーズケーキ風豆乳ケーキの作製
ラクトバチリMRSブロス(Difco社製)で、30℃、14時間培養したEnterococcus faecalis TN-9培養液を得た。この培養液30mlを、オートクレーブ殺菌したガラス瓶に分注した市販の無調整豆乳1000mlに移植し、30℃、18時間静置培養して豆乳を凝固させた。凝固した豆乳を、50℃の湯煎で30分加温処理し、滅菌したさらし布で濾過し、凝固したカード固形分(水分80%)を約450g得た。得られたカード固形分(チーズ様食品)200gに、サワークリーム40g、グラニュー糖90g、レモンの皮4/1個、レモン汁大さじ2、コーンスターチ20gと塩を少々加えて、充分に攪拌、混合した。得られた混合物は、タルト台(ビスケット)に流し込み、180℃のオーブンで30分間焼成した。焼き上がったケーキは、室温放置後、試食を行った。
試食は、男性5名、女性4名で行った。9人中9人が、豆臭さが気にならないと回答し、美味であると評価した。この様に、Enterococcus faecalis TN-9の発酵で得られたチーズ様食品は、チーズの代用食材としても利用できることが判明した。
ラクトバチリMRSブロス(Difco社製)で、30℃、14時間培養したEnterococcus faecalis TN-9培養液を得た。この培養液30mlを、オートクレーブ殺菌したガラス瓶に分注した市販の無調整豆乳1000mlに移植し、30℃、18時間静置培養して豆乳を凝固させた。凝固した豆乳を、50℃の湯煎で30分加温処理し、滅菌したさらし布で濾過し、凝固したカード固形分(水分80%)を約450g得た。得られたカード固形分(チーズ様食品)200gに、サワークリーム40g、グラニュー糖90g、レモンの皮4/1個、レモン汁大さじ2、コーンスターチ20gと塩を少々加えて、充分に攪拌、混合した。得られた混合物は、タルト台(ビスケット)に流し込み、180℃のオーブンで30分間焼成した。焼き上がったケーキは、室温放置後、試食を行った。
試食は、男性5名、女性4名で行った。9人中9人が、豆臭さが気にならないと回答し、美味であると評価した。この様に、Enterococcus faecalis TN-9の発酵で得られたチーズ様食品は、チーズの代用食材としても利用できることが判明した。
本発明により、特殊な豆乳の使用やカビ付けによる長期の熟成を行うことなく、発酵、加温及び濾過という単純な工程で短時間にチーズ様食品を製造することができ、また、得られたチーズ様食品は、乳製品にアレルギー症状を呈するが故にこれを食することのできないヒトに、新しい食材を提供すると共に、安心・安全なケーキや料理をも提供し、食生活を豊かにすることができる。
Claims (6)
- 豆乳をプロテアーゼ活性を有する乳酸菌により発酵してカードを得る工程、カードを加温する工程及びカードを濾過する工程を含む、チーズ様食品の製造方法。
- プロテアーゼがゼラチナーゼであることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
- 乳酸菌がEnterococcus属faecalis種であることを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法。
- 乳酸菌がEnterococcus faecalis TN-9 (FERM BP-10838)またはその変異株であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法により得られるチーズ様食品。
- 乳酸菌株Enterococcus faecalis TN-9 (FERM BP-10838)。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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PCT/JP2007/062844 WO2009001443A1 (ja) | 2007-06-27 | 2007-06-27 | 発酵豆乳より得られるチーズ様食品とその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPWO2009001443A1 true JPWO2009001443A1 (ja) | 2010-08-26 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009520244A Pending JPWO2009001443A1 (ja) | 2007-06-27 | 2007-06-27 | 発酵豆乳より得られるチーズ様食品とその製造法 |
Country Status (4)
Country | Link |
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EP (1) | EP2158815A4 (ja) |
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WO (1) | WO2009001443A1 (ja) |
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2007
- 2007-06-27 JP JP2009520244A patent/JPWO2009001443A1/ja active Pending
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