JP5478692B1 - 新規発酵風味液及び該発酵風味液を含有する食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来にない新しい風味・食味等を食品に付与でき、且つ、その保存性も高めることができる新規発酵風味液を提供し、さらには、当該発酵風味液を用いた新たな風味・呈味、食感などの食品等を提供する。
【解決手段】砂糖及び/又は砂糖製糖工程汁を乳酸などの有機酸を多量に生産するサイレージ由来乳酸菌とアルコール生成酵母によって共培養による発酵を行い、その後滅菌処理などにより該乳酸菌生菌と酵母生菌を死滅させ除去することで、新規な風味で且つ食品の保存性等を高めることが可能な発酵風味液を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、サイレージ由来乳酸菌とアルコール生成酵母の共培養による発酵で得られる新規発酵風味液、及び、当該発酵風味液を混合してなる食品等に関するものである。
食品業界等において、食嗜好の多様化が日々進んでおり、消費者の多くはより美味しく且つ新しい風味・食味の食品を望んでいる。しかし、その一方で、食品の安全性に関わる数多くの報道がなされており、消費者は安全・安心な食品をより強く求めるようにもなっている。
食品製造メーカーはこのような消費者等の期待に応えるべく、美味しく且つ安全・安心な食品を日々追求しており、店頭に陳列される食品のパッケージなどには「まろやか」、「新食感」などの新しさや美味しさをアピールする表現が多く用いられている。また、「保存料無添加」や「国産原料使用」などの記載により、安全・安心をアピールした商品も散見される。このような傾向は、パン業界においても著しい。
美味しくて且つ保存性の高い食品の一つの例としては、乳酸発酵を利用した食品が挙げられる。乳酸発酵食品は、チーズ、ヨーグルト、漬物といった伝統的な食品から、プロバイオティクス効果を得るための乳酸菌飲料に至るまでその種類は多岐に渡っている。乳酸発酵食品は、独特の味や香りを呈するため多くの消費者から好まれており、また、乳酸菌の生産する乳酸などの有機酸により、食品に抗菌作用をもたらし保存性を高めているものも多い。
パン業界の場合でも、風味等を改良する手段の一つとして、乳酸菌を用いて発酵させた発酵液をパン生地に添加する方法があり、これは「発酵風味液」や「発酵風味料」などと呼ばれている。一例としては、乳脂肪や乳蛋白質含有基質中で乳酸菌、リパーゼ、プロテアーゼをインキュベートし得られる風味改善剤(特許文献1)、防カビ性等の抗菌性を示すラクトバチルス属乳酸菌の発酵風味液(特許文献2)、ホップ汁などの乳酸菌発酵培養物(特許文献3)、白神山地由来の乳酸菌ラクトバシラス・サケイによる製パン改質原料(特許文献4)、糖蜜又はモルトエキスを発酵させた風味液(特許文献5)などが挙げられる。
なお、製パンメーカーは消費者の安全・安心な食品を求める声に応えるべく、食品添加物を極力添加せずに高い防カビ効果を有するパンを製造することを目標としている。しかし、上述のような発酵液添加だけでは保存性が充分でない場合が多く、実際にはパンに防カビ効果を付与するため酢酸ナトリウムやソルビン酸カリウムなどの食品添加物が使用されているのが現状である。
このような技術背景において、食品業界では、新しさや美味しさがあり且つ安全・安心な食品を製造するための新たな材料などが引き続き求められている。
特開平5−49385号公報 特開2002−291466号公報 特開昭56−151443号公報 特開2007−236344号公報 特開2011−97879号公報
本発明は、従来にない新しい風味・食味等を食品に付与でき、且つ、その保存性も高めることができる新規発酵風味液を提供することを目的とする。さらには、当該発酵風味液を用いた新たな風味・呈味、食感などの食品等を提供することも目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、砂糖及び/又は砂糖製糖工程汁を、乳酸などの有機酸を多量に生産するサイレージ由来乳酸菌とアルコール生成酵母によって共培養による発酵を行い、その後滅菌処理などにより該乳酸菌生菌と酵母生菌を死滅させその菌体を除去することで上記課題を解決する新規発酵風味液を得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)砂糖及び/又は砂糖製造工程汁をサイレージ由来乳酸菌(サイレージ由来乳酸生成菌)とアルコール生成酵母の共培養にて発酵させてなり、且つ、該乳酸菌生菌及び酵母生菌が滅菌され菌体が除去されている(生菌を含有しない)こと、を特徴とする発酵風味液。
(2)サイレージ由来乳酸菌が、ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)CS−5株(FERM P−22044)であること、を特徴とする(1)に記載の発酵風味液。
(3)アルコール生成酵母が、パン酵母であること、を特徴とする(1)又は(2)に記載の発酵風味液。
(4)製造工程において、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の発酵風味液を添加及び/又は発酵風味液に浸漬することを特徴とする食品の製造方法。
(5)(1)〜(3)のいずれか1つに記載の発酵風味液を添加し、混捏、成形、発酵、焼成することを特徴とするパンの製造方法。
(6)(1)〜(3)のいずれか1つに記載の発酵風味液に20〜200分間浸漬した肉を焼成すること、を特徴とする焼成肉の肉質を柔らかくする方法。
(7)(1)〜(3)のいずれか1つに記載の発酵風味液を含有してなる食品。
(8)(1)〜(3)のいずれか1つに記載の発酵風味液を含有してなるパン。
(9)(1)〜(3)のいずれか1つに記載の発酵風味液を含有してなる焼成肉。
本発明による新規発酵風味液は、従来にない独特の風味や香りを食品に付与することができるため、消費者の多種多様な要求に応じるための新たな材料を提供することを可能とする。また、焼成されたパン等は、添加剤に寄らないエタノールや有機酸の含有が可能となり、顕著な防カビ効果が付与されるため、食品添加物に該当する保存料に代替することができる。さらには、ステーキ用牛肉などの肉類をこの発酵風味液に漬け込むことで、焼成後に肉の柔らかさを増すこともできる。そして、パン生地やステーキ等を作る際にこの発酵風味液を添加したり浸漬したりするだけでよいので、非常に簡便且つ効率的である。
各発酵風味液中の乳酸濃度(%)、酢酸濃度(%)、エタノール濃度(%)、pHを示すグラフである。左側から順に本発明品、対照品A、対照品Bである。 無添加食パン、本発明品添加食パン、対照品A添加食パン、対照品B添加食パンの防カビ性能判定試験の結果を示す。左側から順に無添加食パン、本発明品添加食パン、対照品A添加食パン、対照品B添加食パンである(図面代用写真)。
本発明の発酵風味液を調製するために用いられる乳酸菌(乳酸生成菌)としては、乳酸などの有機酸を多量に生産するサイレージ(乳牛の粗飼料の一種であり、牧草、トウモロコシ、作物茎葉類などの原料を空気を遮断するよう容器(サイロ)に埋蔵、又はフィルムなどでラッピングし、原料に付着している微生物により原料中に含有する糖分を分解して有機酸を生成させ、この有機酸によって貯蔵性を保持させた発酵飼料)由来乳酸菌であれば特に限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・カテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバシラス・セロビオサス(Lactobacillus cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパツス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・クルヴァツス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp.lactis)、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバシラス・ジェネセニ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバシラス・ラクティス亜種ラクティス(Lactobacillus lactis subsp.lactis)、ラクトバシラス・レイクマンニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバシラス・ミヌツス(Lactobacillus minutus)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロゴサエ(Lactobacillus rogosae)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバシラス・ブレヴィス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・フェルメンツム(Lactobacillus fermentum)、ロイコノストック・デキストラニカム(Leuconostoc dextranicum)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ラフィノラクティス(Streptococcus raffinolactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)などが例示される。
本発明に用いられる乳酸菌のサイレージからの分離は、例えば、バンカーサイロに堆積されたサイレージ(原料;デントコーンなど)の深部からサンプル採取を行い、採取したサイレージをBCP加プレートカウントアガール(日水製薬社製)に直接塗抹し、本培地上で35〜37℃で約72時間培養すると、乳酸菌は培地の深部及び周辺が黄変した集落を形成して発育するので、分離が可能となる。
この手法によりサイレージより分離した乳酸菌であるLactobacillus buchneri CS−5株(ラクトバシラス・ブフネリ CS−5株)は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(NITE−IPOD,〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1つくばセンター中央第6)に2010年(平成22年)12月1日付けでFERM P−22044として寄託されている。
ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)は、サイレージ以外にもトマトの果肉や鮒寿司などからの分離が報告されており、食経験の豊富な安全性の高い乳酸菌である。本菌種は乳酸以外に酢酸などの有機酸を副生するヘテロ型の発酵形式を有する乳酸菌である。
また、本発明の発酵風味液を調製するために用いられるアルコール生成酵母としては、アルコールを生産する酵母であれば特に限定されず、市販の清酒酵母、焼酎酵母、ワイン酵母、ビール酵母等の醸造用酵母だけでなく、市販のパン酵母なども好適に用いることができる。菌種としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、トルラスポラ・デルブルッキー(Torulaspora delbrueckii)、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)などが挙げられる。特に、市販パン酵母などに見られるような、その発酵中においてエタノールを高濃度で生成し、且つ、有機酸(乳酸、酢酸等)も高濃度で生成するような菌株が非常に好適である。
本発明の発酵風味液の調製は、まず、上述のサイレージ由来乳酸菌とアルコール生成酵母について、別々に純粋培養(他の種類の菌を混在させない状態で、一種類の菌だけでの培養)を行った純粋培養液を用意する。この純粋培養において、培地は砂糖(本発明においてはショ糖シロップも含む)及び/又は砂糖製糖工程汁(ビート糖などの砂糖の製糖工程における温水浸出汁、カーボネーション後汁、貯蔵糖蜜、イオン交換クロマト廃液、廃糖蜜など)を使用する。このような培地にサイレージ由来乳酸菌あるいはアルコール生成酵母を一定量植菌し、30〜40℃で1〜6日間程度培養する。その後、同様の組成の培地にそれぞれの純粋培養液を同時に、あるいは、時間差をおいて植菌し、30〜40℃で1〜15日間程度共培養して発酵を行い、その後滅菌処理をして遠心分離等により菌体残渣等を除去して発酵風味液を調製する。この発酵は、乳酸菌による発酵と酵母による発酵を別々に行うのではなく、生きた乳酸菌と生きた酵母が一つの培養槽で共存した状態の培養(共培養)により行うことが大きな特徴である。各培地中の糖濃度は0.5〜50%が適当であり、必要に応じて酵母エキスやミネラル類を添加しても良い。
このようにして、発酵風味液中の有機酸(乳酸、酢酸など)含量及びエタノール含量が高い発酵風味液を得ることができる。特に、本発明品の発酵風味液は、添加剤等によりアルコールを添加していないにも関わらずエタノール高含有であること、酢酸も非常に高含有であること、高濃度で含有する乳酸、酢酸、エタノールの相乗効果によりパンなどの食品の防カビ効果を相乗的に高めていること、最終的な発酵風味液製品中において発酵に用いたサイレージ由来乳酸菌とアルコール生成酵母がいずれも滅菌され完全に死滅しているタイプ(滅菌タイプ)であること(食品への添加時に含有する生菌の力を利用するものではないこと)、遠心分離などにより菌体残渣等を除去しているため無色透明であること、などが大きな特徴である。
このようにして得られた発酵風味液の各種食品への添加は、食品の種類に応じて適宜設計すれば良く特段の限定はないが、例えばパン類への添加量としては、対粉3〜20重量%(好ましくは5〜15重量%)が例示される。配合する食品としては、パンの他、ピザ生地、麺類、ビスケット、菓子などの小麦粉製品や、焼成肉(ステーキ等)、加工米飯類などが例示されるが、パン又は焼成肉への配合がより好適である。また、焼成肉等については、焼成前に本発明の発酵風味液を50〜100重量%(好ましくは70〜100重量%)含有する浸漬液により20〜200分間(好ましくは30〜180分間)浸漬することにより処理を行っても良く、さらに浸漬と併用して発酵風味液を添加しても良い。これにより、焼成後の肉質が柔らかくなり、肉の臭みを軽減することも可能となる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
(発酵風味液の調製)
BCP加プレートカウントアガール上で培養された乳酸菌CS−5株を一白金耳取り、風味液培地(培地量6mL、試験管)に植菌し、35℃で3日間静置培養を行い、乳酸菌種菌前培養液とした。この培養液を風味液培地(培地量60mL、メジューム瓶)に植菌し、35℃で3日間静置培養を行い、乳酸菌種菌純粋培養液とした。一方酵母の培養については、市販パン酵母(MPイースト;日本甜菜製糖株式会社製品)一白金耳を風味液培地(培地量6mL、試験管)に植菌したのち、30℃・150rpmで12時間振盪培養を行い、酵母種菌前培養液とした。この培養液を風味液培地(培地量60mL、三角フラスコ+消泡目的のナタネサラダ油20μl)に植菌し、30℃・110rpmで12時間振盪培養を行い、酵母種菌純粋培養液とした。10L容ジャーファーメンターに風味液培地6Lを張り、乳酸菌種菌純粋培養液を植菌し、80rpm、35℃で12時間培養を行った。培養液のpHが5.0まで低下した段階で酵母種菌純粋培養液を植菌し、80rpm・35℃で4日間培養を継続した。培養終了後、80℃で1時間加熱処理し乳酸菌および酵母を死滅させると同時に、培養液1Lあたり15gの白塩添加を行った。その後、遠心分離し菌体残渣を除去した上清を発酵風味液とした。
なお、使用した風味液培地は次の組成とした。
グラニュー糖(日本甜菜製糖株式会社製) 200g/l
酵母エキス(レバパン株式会社製) 25g/l
pH 6.5〜6.8に調整
(発酵風味液の性状確認及び発酵風味液添加パンの製造)
実施例1にて作製された発酵風味液を用い、以下の配合(小麦粉100に対する割合)により発酵風味液添加パンを作製した。ホームベーカリーでの製パンは、Panasonic社製(SD−BMS101−SW)を用い、仕様書の食パンコースに準じ実施した。発酵風味液無添加のパンは強力粉100%、ショートニング4%、砂糖6.8%、スキムミルク2.4%%、塩2%、ドライイースト(サフゴールド;ルサッフル株式会社製品)1.12%、水72%で配合を行った。一方、発酵風味液添加パンは発酵風味液添加量(6%)分だけ水の量を減らし、配合を行った。パン粉用パンの製パンは、中種法にて実施した。発酵風味液無添加パンの中種は強力粉(低級粉)70%、イースト(MPイースト)2%、イーストフード0.1%、水35%で配合し、本捏は強力粉(低級粉)30%、グルコース5%、食塩2%、ショートニング5%、水25%で行った。一方、発酵風味液添加パンは本捏時の発酵風味液添加量(6%)分だけ水の量を減らし、配合を行った。
対照品の他社発酵風味液(乳酸菌での発酵のみで製造された発酵風味液)として、O社製品であるM(以下、対照品Aとする)およびK社製品であるS(以下、対照品Bとする)を用意した。
まず、各発酵風味液中のエタノールおよび有機酸(乳酸・酢酸)について、下記の条件により含有量の測定を実施した。
<有機酸>
カラム :Shodex RSpac KC−LG+KC−811×2
溶出 :4.8mM HClO
検出器 :VIS(430nm)
カラム温度:60℃
<エタノール>
カラム :Shodex SUGAR KS−801
溶出 :1/20,000N NaOH
カラム温度:80℃
検出器 :示差屈折計(Shodex RI−101)
その結果を図1に示した。本発明品の発酵風味液は、各対照品と比較してpHが低く、また、特に酢酸、エタノールが高濃度で含まれていた(酢酸が0.5%以上、エタノールが7.5%以上)。なお、対照品Bは、酢酸を全く含有していなかった。
また、上記で作製した焼成後のパンを厚さ1.9cmにスライスし、青カビ(Penicillium purpurescens)の胞子懸濁液10μl(胞子数10コ/10μl)を1スライスあたり16箇所に接種し、ビニール袋で密封したのち25℃で96時間培養を行った。各試験区について、接種されたカビのコロニーの有無および大きさを肉眼にて観察することで防カビ性能を判定した(表1)。また、カビの発生状況は図2に示す通りである。×がカビ発生、○と◎がカビ発生を抑制(◎の方が抑制大)したことを示す。本発明品添加パンは、無添加および対照品添加風パンと比較し高い防カビ性能を有することが示された。
Figure 0005478692
さらには、本発明品および各対照品について、分光光度計により風味液の濁り度合い(濁度)の測定を行った。表2に示す通り、本発明品の発酵風味液は濁度が極めて低く、肉眼による観察においても透明色を呈していた。これは、本発明品は遠心分離より原料残渣や菌体残渣をほぼ完全に除去していることに由来する。一方、各対照品は小麦粉などの成分により白濁しており、下面には成分の沈殿が見られた(その他の他社発酵風味液についても適宜調査を行ったが、全ての製品で濁りを生じていた)。沈殿や濁りを生じないことは、発酵風味液を使用する際に伴う事前の沈殿均一化作業(主に攪拌)が不要であり、使用者の手間・負担を軽減させる利点がある。また、透明色であることは製パン資材以外の用途(例えば調味液など)にも使いやすいことを示している。
Figure 0005478692
(焼成肉の作製及びその品質確認)
料理酒の代替品としての用途検討として、米国産ステーキ用牛肉(部位:肩ロース)を 用い、肉の柔らかさ判定のための試験を実施した。本発明の発酵風味液および日本酒(松竹梅カップ;酒寶酒造株式会社製品)に漬け込んだ後、ホットプレート(230℃)で片面を4分焼成し、裏返して 更に2分焼成した。なお、本発明品はエタノール7.5%、食塩1.5%を含有しているため、日本酒の試験区は同等のエタノール濃度・食塩濃度となるよう適宜希釈および食塩添加を行った。また対照区として、漬け込みを行っていない牛肉を同条件にて焼成した。
訓練された複数名により肉の柔らかさを評価したところ、表3に示す通り発酵風味液に漬け込んだ肉は漬け込みなしの対照区および日本酒漬け込みの試験区と比較し、30分間の漬け込みで比較的柔らかくなり、また3時間漬け込むと格段に柔らかくなった。×が全く柔らかくならなかった、△がやや柔らかくなった、○が比較的柔らかくなった、◎が格段に柔らかくなったことを示す。
Figure 0005478692
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、従来にない新しい風味・食味等を食品に付与でき、且つ、その保存性も高めることができる新規発酵風味液を提供し、さらには、当該発酵風味液を用いた新たな風味・呈味、食感などの食品等を提供することを目的とする。
そして、砂糖及び/又は砂糖製糖工程汁を乳酸などの有機酸を多量に生産するサイレージ由来乳酸菌とアルコール生成酵母によって共培養による発酵を行い、その後滅菌処理などにより該乳酸菌生菌と酵母生菌を死滅させ除去することで、新規な風味で且つ食品の保存性等を高めることが可能な発酵風味液を得ることができる。
本発明において寄託されている微生物の受託番号を下記に示す。
(1)ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)CS−5株(FERM P−22044)。

Claims (9)

  1. 砂糖及び/又は砂糖製造工程汁をラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)CS−5株(FERM P−22044)とパン酵母の共培養にて発酵させてなり、且つ、該乳酸菌生菌及び酵母生菌が滅菌され菌体が除去され、且つ、酢酸を0.5%以上含むこと、を特徴とする発酵風味液。
  2. 製造工程において、請求項1に記載の発酵風味液を添加及び/又は発酵風味液に浸漬することを特徴とする食品の製造方法。
  3. 請求項1に記載の発酵風味液を添加し、混捏、成形、発酵、焼成することを特徴とするパンの製造方法。
  4. 請求項1に記載の発酵風味液に20〜200分間浸漬した肉を焼成すること、を特徴とする焼成肉の肉質を柔らかくする方法。
  5. 請求項1に記載の発酵風味液を含有してなる食品。
  6. 請求項1に記載の発酵風味液を含有してなるパン。
  7. 請求項1に記載の発酵風味液を含有してなる焼成肉。
  8. 請求項1に記載の発酵風味液を食品に添加、及び/又は、請求項1に記載の発酵風味液に食品を浸漬すること、を特徴とする食品の防カビ方法。
  9. 請求項1に記載の発酵風味液をパン生地に添加し、混捏、成形、発酵、焼成すること、を特徴とするパンの防カビ方法。
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