JPWO2008153071A1 - ループヒートパイプ型伝熱装置 - Google Patents
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Abstract
本願発明の目的は、小型化、薄型化かつ軽量化と高伝熱性能とを両立させたループヒートパイプ型伝熱装置を提供することであり、本願発明のループヒートパイプ型伝熱装置は、蒸発器、この蒸発器から気相の作動流体を導く蒸気管、この蒸気管と接続された凝縮器、およびこの凝縮器から液相の作動流体を蒸発器に還流する液管を設けたループヒートパイプ型伝熱装置において、不織布を積層した繊維構造物積層体からなるウィックを蒸発器内部に設置したことを特徴としている。
Description
本発明はループヒートパイプ型伝熱装置に関し、特にパーソナルコンピューター等、小型かつ軽量でありながら、効率的な伝熱装置を必要とする分野に利用されるに適したループヒートパイプ型伝熱装置に関する。
従来、宇宙用、工業用または家庭用の伝熱装置として、ループヒートパイプ型伝熱装置が知られており、例えば、特許文献1などに示されている。このループヒートパイプ型伝熱装置では、蒸発器により発熱源から吸熱して作動流体を蒸発させて気相にし、得られた蒸気を蒸気管によって凝縮器に供給し、ここで吸熱源へ放熱して液相にする。このため、例えば宇宙船などにおいて、内部の各種機器の発熱を蒸発器により吸熱し、この熱を凝縮器において宇宙に放熱して、各種機器の温度を制御することができる。機械的な駆動部分がないため、無人の宇宙船などで長期間安定して使用することができる。
このようなループヒートパイプ型伝熱装置においては、その蒸発器の内部に多孔質体からなるウィックを有している。円筒形の蒸発器の場合、このウィックは蒸発器の内部を、液相の作動流体を収容する内側液溜室と、気相の作動流体を収容する外側の蒸気室に仕切っている。液相の作動流体は毛細管力でウィック内を外側に進み、ウィックの表面部分において蒸発する。ウィックには銅、アルミ、ニッケル等の金属やアルミナ、酸化チタン、シリカ等のセラミック、延伸多孔質ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレン等の高分子等を材料にした多孔質体が用いられる。
ここで、この蒸発器内のウィックの開孔径は半径方向に均一、またはウィック内周側が外周側より開孔径が大きいものが採用されている。特許文献1には、内周側の開孔径を大きくすることで、ウィック全体から均一に作動流体を蒸発させることができ、蒸発器の性能を向上できることが開示されている。しかしながら、作動流体が蒸発する外周側の気孔径が小さいために、大きな熱が印加されないと蒸発しない。このため、ループヒートパイプ型伝熱装置を起動させるためには、約50W以上の熱を蒸発器に印加する必要があった。
この課題を解決するために、特許文献2には、蒸発器において、ウィックの外周側の開孔径を内周側より大きくする発明が開示されている。このため、内周側において、十分な毛細管力を得て、液相の作動流体を吸い上げ、かつ、ウィックの表面において、蒸発を促進できることが示されている。しかしながら、外周側の開孔径が大きいため、液相の作動流体の毛細管力による移動が抑制されることになり、蒸発部への作動流体の供給が滞る可能性が生じ、ループヒートパイプ型伝熱装置の熱伝導性が劣る可能性があった。
さらに、ループヒートパイプ型伝熱装置の高効率な伝熱性能を生かし、パーソナルコンピューター(PC)、とくにノート型PCへの採用が検討されている。ノート型PCは小型かつ軽量化しつつ、高性能化を図るため、中央演算装置MPUのクロック周波数は増加し、MPUも高集積化しており、それに伴い、熱密度が増加している。特に高発熱素子の熱密度は100W/cm2と核反応炉に逼迫するレベルに達している。そのため、ループヒートパイプ型伝熱装置も小型化、薄型化かつ軽量化しながら、さらなる高熱伝導性が要求されている。したがって、熱伝導性を決定するウィックも毛細管力の向上と通液抵抗の減少により、液相の作動流体の移動性を向上させつつ、より、小さな熱の印加で蒸発を促進することが求められている。
上記性能を満たすためには、ウィックには、毛細管力を向上するための開孔径の減少と通液抵抗を下げて、蒸発を促進するための空隙率の増加が同時に求められる。しかしながら、多孔質体では開孔径の減少と空隙率の増加は一般に両立せず、開孔径を減少させると空隙率も減少してしまい、性能向上に限界があった。
一方、特許文献3には一般のヒートパイプではあるが、布部材をウィックに用いることが開示されている。金網に比較して、布部材は網目が細かく、金網以上の毛細管力を持たせることができるとともに、厚みを薄くできるので冷却装置の小型化、薄型化、または軽量化をはかることができると記載されている。しかしながら、特許文献3では、ループヒートパイプ型伝熱装置に用いる事は開示されていない。従って、毛細管力に関する記載はあるが、空隙率に関する記載は無い。また、布部材の特性に関する記載は無く、どのような布部材がウィックとして適しているか不明である。
本発明は以上の事情に鑑みて発明されたものであり、不織布を積層した繊維構造物積層体からなるウィックを蒸発器内部に設置せしめ、繊維構造物積層体の平均流量開孔径、空隙率および空隙指数(空隙率/平均流量開孔径)を最適化することで、小型化、薄型化および軽量化と高伝熱性能とを両立させたループヒートパイプ型伝熱装置を提供することを目的とする。
本発明は、以上の目的を達成するために、不織布を積層した繊維構造物積層体からなるウィックを用いる。繊維構造物積層体の平均流量開孔径、空隙率、空隙指数は用いる不織布の特性、積層構成、接着方法および条件により、容易に制御できるため、ウィック内を流れる液相の作動流体の通液抵抗を最小限に抑制しつつ、毛細管力による作動流体の移動を促進することが可能であり、さらに小さな熱の印加でも蒸発を促進することができる。その結果、蒸発部熱伝導率が向上する効果が生じることを見出し、本発明を達成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)蒸発器と、該蒸発器から気相の作動流体を導く蒸気管と、該蒸気管と接続された凝縮器と、該凝縮器から液相の作動流体を蒸発器に還流する液管を設けたループヒートパイプ型伝熱装置において、不織布を積層した繊維構造物積層体からなるウィックを該蒸発器の内部に設置したことを特徴とするループヒートパイプ型伝熱装置。これにより、ウィックの毛細管力が向上し、通液抵抗が下がり、作動流体の移動が促進され、最大熱輸送量が増加する。
(1)蒸発器と、該蒸発器から気相の作動流体を導く蒸気管と、該蒸気管と接続された凝縮器と、該凝縮器から液相の作動流体を蒸発器に還流する液管を設けたループヒートパイプ型伝熱装置において、不織布を積層した繊維構造物積層体からなるウィックを該蒸発器の内部に設置したことを特徴とするループヒートパイプ型伝熱装置。これにより、ウィックの毛細管力が向上し、通液抵抗が下がり、作動流体の移動が促進され、最大熱輸送量が増加する。
(2)前記繊維構造物積層体において、平均流量開孔径が0.1〜30μm、空隙率が65〜95%、および空隙指数(空隙率%/平均流量開孔径μm)が10〜1000であることを特徴とする上記(1)に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。繊維構造物積層体の特性を上記の範囲に設定することで、ウィックの毛細管力を向上させつつ、通液抵抗を下げて、作動流体の移動が促進され、最大熱輸送量を増加させる効果が一層向上する。
(3)前記繊維構造物積層体において、10%流量開孔径が平均流量開孔径より0〜20μm大きいことを特徴とする上記(1)または(2)に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。これにより、作動流体が均一に移動し、蒸発効率が向上する。
(4)前記繊維構造物積層体において、前記不織布が積層された状態で接着されており、該接着面積が該不織布面積の0.2〜20%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のループヒートパイプ型伝熱装置。これにより、作動流体の通液抵抗を増加させることなく、良好なハンドリング性が得られる。
(5)前記繊維構造物積層体において、空隙指数(空隙率%/平均流量開孔径μm)の異なる少なくとも2種類の不織布が積層されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のループヒートパイプ型伝熱装置。これにより、ウィック内の作動流体の移動を促進し、かつ蒸発面近傍の不織布を蒸発に適したものにすることが可能となり、その結果、小さな熱の印加による蒸発を促進することが可能となる。
(6)前記蒸発器において、蒸発器の気密性を維持する構造の一部に、前記繊維構造物積層体の接着した部分の一部を用いることを特徴とする上記(5)に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。これにより、蒸発器の構造を簡略化することが可能で、蒸発器を小型化、薄型化かつ軽量化することが可能となる。
本発明のループヒートパイプ型伝熱装置を用いることにより、小型化、薄型化かつ軽量化と高性能化とがともに要求されるPCおよびサーバー等の電子機器の高効率な伝熱が可能となる。
1 蒸発器
2 蒸気管
3 凝縮器
4 液管
5 ウィック
6 蒸気室
7 液溜室
10 蒸発器上部筐体
11 蒸発器下部筐体
2 蒸気管
3 凝縮器
4 液管
5 ウィック
6 蒸気室
7 液溜室
10 蒸発器上部筐体
11 蒸発器下部筐体
本発明に用いられるウィックは不織布を積層した構造であることが肝要である。当該不織布は繊維長/直径で表されるアスペクト比が5以上の繊維を、平面内にランダム及び/または配向させて積層配置し、各種方法で繊維を部分的に接着および/または固定した布状物である。不織布は繊維の大きな比表面積を利用して開孔を形成するために、粉末を用いて開孔を形成する焼結金属等従来の多孔質体に比較し、繊維が空間に少量しかなくとも、小さな開孔を形成することが可能である。従って、開孔径を小さくしながら、大きな空隙率を保つことが可能である。さらに、不織布を構成する繊維の直径はサブミクロンから数十ミクロンの範囲で選択することが可能であり、開孔径の制御が容易である。繊維を用いている布状物として織物および編物があるが、織物には織り目、編物には網目という布状物形成に伴う大きな開孔部が存在するのに対し、不織布では存在しない。すなわち、ウィックに要求される、開孔径を減少させながら、空隙率を増加させることが不織布でのみ可能である。
本発明に用いられる不織布を構成する素材は特に限定されない。合成樹脂系繊維でもセルロース系繊維、金属系繊維、セラミック系繊維、ガラス繊維または炭素繊維でもよい。
繊維の形態は長繊維でも短繊維でもよく、両者を混合して用いてもよい。
繊維の形態は長繊維でも短繊維でもよく、両者を混合して用いてもよい。
合成樹脂系繊維としては、ナイロン6、ナイロン66および共重合ポリアミド等のポリアミドからなる繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび共重合ポリプロピレン等のポリオレフィンからなる繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートおよび共重合ポリエステル等のポリエステルからなる繊維、アクリル系繊維、アセタール系繊維および4フッ化エチレン系繊維等が挙げられる。
セルロース系繊維としてはビスコースレーヨン、キュプラレーヨン、パルプ、綿および麻等が挙げられる。
金属系繊維としては、銅、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、SUSおよびチタン等が挙げられる。
セラミック系繊維としては、アルミナ、酸化チタンおよび炭化ケイ素等が挙げられる。
これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
セルロース系繊維としてはビスコースレーヨン、キュプラレーヨン、パルプ、綿および麻等が挙げられる。
金属系繊維としては、銅、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、SUSおよびチタン等が挙げられる。
セラミック系繊維としては、アルミナ、酸化チタンおよび炭化ケイ素等が挙げられる。
これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
好ましくは、繊維直径の制御が容易で開孔径を自由に変えることが可能で、さらにウィック内部での作動流体の蒸発を抑制できる、熱伝導率が低い合成樹脂系繊維が好ましく、特に化学的安定性に優れるポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維およびポリエステル系繊維が好ましい。
繊維は作動流体との親和性が高い素材を用いることが好ましい。親和性が低い素材を用いる場合は、不織布を形成したのちに、公知の方法で親和性を向上させる表面処理を施すことも好ましい。例えば、作動流体に水を80重量%以上含む水系流体を用いた場合、親水性素材であるセルロース系繊維またはポリアミド系繊維を用いることが好ましい。また、疎水性素材であるポリオレフィン系繊維およびポリエステル系繊維を用いる場合は、公知の方法で界面活性剤等を付与する表面処理を行い、繊維表面を親水化することも好ましい実施態様である。
また鞘部分がポリエチレン、ポリプロピレンまたは共重合ポリエステル等からなり、芯部分がポリアミドまたはポリエステル等からなる複合繊維等であってもよい。
本発明で用いられる不織布の繊維の断面形状は、円形でも、円形以外の異型でもよいが、比表面積が大きくなる異型が好ましい。
また鞘部分がポリエチレン、ポリプロピレンまたは共重合ポリエステル等からなり、芯部分がポリアミドまたはポリエステル等からなる複合繊維等であってもよい。
本発明で用いられる不織布の繊維の断面形状は、円形でも、円形以外の異型でもよいが、比表面積が大きくなる異型が好ましい。
本発明に用いられる不織布の製造方法は特に限定されず、公知の方法が用いられる。例えば、スパンレース法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュスパン法およびエレクトロスピニング法等が挙げられる。好ましくは、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法およびフラッシュスパン法が開孔径を容易に制御できるので好ましい。
本発明に用いられる不織布の特性は、これを用いて得られる繊維構造物積層体の所定の特性が後述の範囲になるよう適宜選択されれば、特に限定されない。
本発明に用いられる不織布の特性は、これを用いて得られる繊維構造物積層体の所定の特性が後述の範囲になるよう適宜選択されれば、特に限定されない。
本発明の繊維構造物積層体について、以下に説明する。繊維構造物積層体は不織布を積層して構成されていることが必要である。さらに、該繊維構造物積層体の平均流量開孔径が0.1〜30μm、空隙率が65〜95%、および空隙指数(空隙率%/平均流量開孔径μm)が10〜1000であることが好ましい。また、該繊維構造物積層体の10%流量開孔径が、平均流量開孔径より0〜20μm大きいことが好ましい。該繊維構造物積層体は前記不織布が積層された状態で接着されており、該接着面積が該不織布面積の0.2〜20%であることが好ましい。
本発明に用いられる繊維構造物積層体は平均流量開孔径が0.1〜30μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.1〜10μm、特に好ましくは0.2〜10μm、一層好ましくは0.2〜5μmである。平均流量開孔径が0.1〜30μmであれば、十分な毛細管力を得ることができ、かつ工業的な生産が可能であり、開孔1個当りの通液抵抗が著しく大きくなることもない。
平均流量開孔径は積層によって大幅に変化しないので、所定の平均流量開孔径を有する繊維構造物積層体を得るためには、その平均流量開孔径と一致する不織布を少なくとも30wt%用い、残りの不織布として、平均流量開孔径がそれよりも大きな不織布を用いればよい。例えば、平均流量開孔径が2μmの繊維構造物積層体を得るには、平均繊維径が1μmで、平均流量開孔径が2μmのメルトブロー法不織布を100wt%用いる構成が例示される。
本発明における流量開孔径とは、木村尚史、酒井清孝、白田利勝および鵜飼哲雄編著「膜分離技術マニュアル」(株式会社アイピーシー出版、1990年8月10日)の147頁に記載されているエアフロー法で求めることができる。すなわち、繊維構造物積層体をあらかじめ表面張力が既知の液体に浸し、該積層体の全ての細孔を該液体の膜で覆った状態で該積層体に圧力をかけ、液膜の破壊される圧力と液の表面張力とから計算された細孔孔径を言う。計算には下記の数式(1)を用いる。
d=C×r/P (1)
(式中、dは孔径、rは液の表面張力、Pはその孔径の液膜が破壊される圧力、Cは定数である。)
d=C×r/P (1)
(式中、dは孔径、rは液の表面張力、Pはその孔径の液膜が破壊される圧力、Cは定数である。)
一般に、繊維構造物積層体の流量開孔径は分布を持つ。流量開孔径分布は、連続的に圧力を変化させ、各圧力で該積層体を通過する流量の変化から、その圧力で破壊された液膜の量を計算することにより求めることができる。測定装置には、例えば、ASTM E 1294−89に基づく装置である、PMI社のパームポロメーターが用いられる。
数式(1)より、液に浸した該積層体にかける圧力Pを低圧から高圧に連続的に変化させた場合、初期の圧力は最も大きな細孔の液膜も破壊できないので、流量は0である。圧力を上げていくと、最も大きな細孔の液膜が破壊され、流量が発生する(バブルポイント)。さらに圧力を上げていくと、最も小さな細孔の液膜が破壊され、液に浸していない場合の流量(ドライ流量)と一致する。
平均流量開孔径とは、該積層体を液に浸した場合の流量(ウェット流量)が、浸していない場合の流量(ドライ流量)の50%となる圧力で破壊される孔径である。
平均流量開孔径とは、該積層体を液に浸した場合の流量(ウェット流量)が、浸していない場合の流量(ドライ流量)の50%となる圧力で破壊される孔径である。
また、本発明に用いられる繊維構造物積層体は10%流量開孔径が平均流量開孔径より0〜20μm大きいことが好ましい。さらに好ましくは0〜10μm、特に好ましくは0〜5μmである。10%流量開孔径と平均流量開孔径の差は細孔の大きさの分布を表し、この数値が小さい程分布が小さい。差が0μmであれば、均一な細孔であることを示す。10%流量開孔径が(平均流量開孔径+20μm)以下であれば、通液抵抗が低い大きな孔から作動流体が不均一に流動することがなく、蒸発部全体に均一に作動流体が移動し、蒸発効率が向上し、好ましい。
10%流量開孔径とは、該積層体を液に浸した場合の流量(ウェット流量)が、浸していない場合の流量(ドライ流量)の10%となる圧力で破壊される孔径である。10%流量開孔径および平均流量開孔径は、後に述べる方法により求められる。
本発明に用いられる繊維構造物積層体は空隙率が65〜95%であることが好ましい。好ましくは70〜95%、さらに好ましくは80〜95%である。空隙率が65〜95%であれば、該積層体の通液抵抗が低く、かつハンドリングに十分な強度を有し、十分な耐久性も有する。
空隙率は接着時の圧力により、若干減少する傾向にあるため、繊維構造物積層体の所定の空隙率より、5%程度空隙率の大きい不織布を選択すればよい。公知の方法を用い、繊維同士の接着条件を適切に設定することで、所定の空隙率の不織布を得ることができる。
本発明における空隙率とは、繊維構造物積層体の単位体積当りにしめる空隙の割合である。繊維構造物積層体の目付けW(g/cm2)と厚みT(cm)および該積層体を構成する繊維の真比重ρから、空隙率は下記の数式(2)で算出される。
空隙率={1−W/(T×ρ)}×100 (2)
繊維構造物積層体の目付け、厚みはJISL−1096で求めることができる。
空隙率は接着時の圧力により、若干減少する傾向にあるため、繊維構造物積層体の所定の空隙率より、5%程度空隙率の大きい不織布を選択すればよい。公知の方法を用い、繊維同士の接着条件を適切に設定することで、所定の空隙率の不織布を得ることができる。
本発明における空隙率とは、繊維構造物積層体の単位体積当りにしめる空隙の割合である。繊維構造物積層体の目付けW(g/cm2)と厚みT(cm)および該積層体を構成する繊維の真比重ρから、空隙率は下記の数式(2)で算出される。
空隙率={1−W/(T×ρ)}×100 (2)
繊維構造物積層体の目付け、厚みはJISL−1096で求めることができる。
本発明に用いられる繊維構造物積層体は上記で求められた空隙率(%)と平均流量開孔径(μm)の比(空隙率(%)/平均流量開孔径(μm))である空隙指数が10〜1000であることが好ましい。空隙指数の下限に関しては、さらに好ましくは20以上、特に好ましくは25以上である。また、上限に関しては、さらに好ましくは800以下、特に好ましくは500以下である。
空隙指数はループヒートパイプ型伝熱装置の性能の指標である最大熱輸送量を最も支配するパラメーターであり、一般的には空隙指数が大きければ大きいほど、最大熱輸送量は大きくなる。また、別々には制御し難い空隙率と平均流量開孔径の最適の組合せは、空隙指数が最大になるものであり、両特性を最適化するパラメーターとして空隙指数は有効である。空隙指数が10〜1000であれば、毛細管力が十分大きく、かつ通液抵抗が小さく、工業的に生産可能であり、ウィックに用いる構造体として最適なものとなる。空隙指数が10〜1000である不織布を少なくとも70wt%以上用いることにより、繊維構造物積層体の空隙指数を10〜1000とすることが可能である。従来、ウィックとして用いられている金属焼結体の空隙指数は7.5程度、セラミック焼結体の空隙指数は2程度であり、本発明の繊維構造物積層体に比較して小さい。そのため、毛細管力が不足するか、通液抵抗が高くなり、ウィックとして十分な性能を発揮することが困難であった。
本発明では、従来とは全く異なる不織布を材料として用いることで大きな空隙指数を実現することが可能となり、十分大きな毛細管力と小さな通液抵抗を同時に得ることが可能となり、最大熱輸送量を増加させることが可能である。
空隙指数はループヒートパイプ型伝熱装置の性能の指標である最大熱輸送量を最も支配するパラメーターであり、一般的には空隙指数が大きければ大きいほど、最大熱輸送量は大きくなる。また、別々には制御し難い空隙率と平均流量開孔径の最適の組合せは、空隙指数が最大になるものであり、両特性を最適化するパラメーターとして空隙指数は有効である。空隙指数が10〜1000であれば、毛細管力が十分大きく、かつ通液抵抗が小さく、工業的に生産可能であり、ウィックに用いる構造体として最適なものとなる。空隙指数が10〜1000である不織布を少なくとも70wt%以上用いることにより、繊維構造物積層体の空隙指数を10〜1000とすることが可能である。従来、ウィックとして用いられている金属焼結体の空隙指数は7.5程度、セラミック焼結体の空隙指数は2程度であり、本発明の繊維構造物積層体に比較して小さい。そのため、毛細管力が不足するか、通液抵抗が高くなり、ウィックとして十分な性能を発揮することが困難であった。
本発明では、従来とは全く異なる不織布を材料として用いることで大きな空隙指数を実現することが可能となり、十分大きな毛細管力と小さな通液抵抗を同時に得ることが可能となり、最大熱輸送量を増加させることが可能である。
本発明に用いられる繊維構造物積層体は、前記不織布が積層された状態で接着されており、該接着面積は、後述する蒸発器の気密性を維持するためのウィック周辺部の接着を除いて、該不織布面積の0.2〜20%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜10%、特に好ましくは1〜10%である。この範囲であれば、作動流体の通液抵抗を増加させることなく、ハンドリングしても一体化した状態を保てる接着強さを得ることができる。接着する方法は特に限定されない。例えば、部分的に熱融着を行うエンボス接合、ピン型、線型またはそれらの組合せ等様々な形状による部分的な超音波融着および粉体や繊維状の熱可塑性樹脂によるサーマルボンド等が用いられる。好ましくは接着面積の比率を制御し易く、接着強度が大きい、ピン型、線型またはそれらの組合せ等様々な形状による部分的な超音波融着が用いられる。
本発明に用いられる不織布は単一でもよいが、異なる特性を有する不織布を積層して複合することも好ましい実施態様である。複合することで単一では実現できない、相反する特性をともに向上させることが可能である。特に空隙指数が異なる不織布を積層して複合することが好ましい。空隙率および平均流量開孔径の測定方法は後述する。
好ましい実施態様を例示すれば、表裏の1枚づつを空隙指数が5の不織布、その間に空隙指数が40の不織布を8枚、合計10枚を積層して繊維構造物積層体を構成する。本構成では、空隙指数40の不織布は約80wt%となる。作動流体と接触する面に、空隙指数が小さな不織布が存在するため、極めて通液抵抗が低く、循環して戻ってきた作動流体を均一にすばやく繊維構造物積層体内に拡散することが可能である。該積層体の最初の不織布内に拡散した作動流体は、次の空隙指数が大きな不織布の層に大きな毛細管力によって吸引される。さらに、蒸発面に接する層は空隙指数が小さいため、作動流体が蒸発しやすくなり、小さな熱の印加で蒸発が促進される。
好ましい実施態様を例示すれば、表裏の1枚づつを空隙指数が5の不織布、その間に空隙指数が40の不織布を8枚、合計10枚を積層して繊維構造物積層体を構成する。本構成では、空隙指数40の不織布は約80wt%となる。作動流体と接触する面に、空隙指数が小さな不織布が存在するため、極めて通液抵抗が低く、循環して戻ってきた作動流体を均一にすばやく繊維構造物積層体内に拡散することが可能である。該積層体の最初の不織布内に拡散した作動流体は、次の空隙指数が大きな不織布の層に大きな毛細管力によって吸引される。さらに、蒸発面に接する層は空隙指数が小さいため、作動流体が蒸発しやすくなり、小さな熱の印加で蒸発が促進される。
従来、用いられている金属やセラミックの多孔質体では特性を変化させながら制御することは困難であった。また、シート状で得られる延伸多孔質ポリテトラフロロエチレンは異なる特性のシートを積層して一体化することで特性を変化させることは可能である。しかし、シート間に明瞭な境界が存在するため、作動流体がシート間に滞留し、スムーズな作動流体の移動が妨げられる可能性がある。不織布は表面に存在する繊維が、積層された他の不織布の繊維と接着時に加えられる圧力により交絡して一体化しやすいため、明瞭な境界が存在しにくい。そのため、不織布間に作動流体が滞留しにくく、スムーズに移動しやすい。不織布を積層、接着して用いることはこの点でも有用である。
本発明のループヒートパイプ型伝熱装置は、蒸発器と、この蒸発器から気相の作動流体を導く蒸気管、この蒸気管と接続された凝縮器、およびこの凝縮器から液相の作動流体を蒸発器に還流する液管からなり、蒸発器内部に所定の特性を有する繊維構造物積層体からなるウィックを設置して構成される。蒸発器および凝縮器の構造は公知の構造を用いることができる。図1に本発明のループヒートパイプ型伝熱装置の一例を示すが、この構造に限定されるものではない。図1において、1は円形の平板型蒸発器、2は蒸気管、3は凝縮器、4は液管である。凝縮器は冷却ファンと銅製フィンを一体化した冷却モジュールを蒸気管にロウ付けで固定した構造となっている。繊維構造物積層体からなるウィック5は、蒸発器1の内部を上下に二分するように設置され、下部が蒸気室6を、上部が液溜室7を構成する。
繊維構造物積層体からなるウィックを蒸発器内部へ設置する態様は公知のものを用いることができ、特に限定されない。該繊維構造物積層体は柔軟性、可撓性に富み、裁断および端部接着が容易であるため、加工性に優れ、どのような設置態様にも対応可能である。例えば、蒸発器が円筒形であれば、蒸発器内壁に溝を形成し、該溝の突起部に接触するよう、中空円筒状に加工した繊維構造物積層体を設置すればよい。液管から戻ってきた作動流体は中空部の内側液溜に流入する。また、蒸発器が平板形であれば、図1に示したように、上下に空間を有する中間部分に平板形の繊維構造物積層体を設置すればよい。
繊維構造物積層体からなるウィックを蒸発器内部へ設置する態様は特に限定されないが、蒸発器の気密性を維持する構造の一部に、該繊維構造物積層体の接着した部分の一部を用いることが好ましい。蒸発器は作動流体充填前に、容器内部の空気等非凝縮性ガスを真空排気等で除く必要があり、十分な、例えば0.1Torrの真空度を維持する気密性が要求される。また、使用時に加熱によって発生した作動流体の蒸気が漏洩しない気密性が要求される。従来は蒸発器の筐体同士を溶接またはロウ付け等により、接着して気密性を維持していた。本発明においては、従来公知の方法に加え、繊維構造物積層体からなるウィックの接着した部分の一部を用いることができる。
図2は図1における蒸発器1の組立図の一例である。図2によって、蒸発器の気密性を維持する態様を例示するが、本態様に限定されるものではない。図2において、10は蒸発器の上部筐体であり、液管から戻ってきた作動流体を貯蔵するリザーバを兼ねている。11は蒸発器の下部筐体であり、冷却が必要なデバイスから熱を奪い、作動流体を蒸発させる作用を有する。作動流体の蒸気は下部筐体の溝を経由して、蒸気管に至る。繊維構造物積層体からなるウィック5は周辺部分が融着により接着されている。接着面積率は15%である。繊維構造物積層体からなるウィック5を介在させて、上部筐体10と下部筐体11を組み立て、蒸発器を得る。組立方法は特に限定されないが、本例示では、ネジによる組立を示す。多孔質体からなるウィックを介在させて、上部筐体10と下部筐体11を組み立てると、気密性は維持できず、筐体同士の溶接等の気密性を維持するための手段が必要になる。融着により接着した繊維構造物積層体からなるウィックを用いると、融着により開孔がつぶれ、気密性が維持でき、ネジ止め等簡便な手段で組立が可能となる。
上述のように、予め不織布を一体化するために接着した部分を用いても良いが、蒸発器組立時に同時接着することが好ましい。同時接着における接着方法は、特に限定されないが、加熱圧縮法が好ましい。加熱圧縮法では、上述の構造および組立方法をそのまま採用できるため、小型化、薄型化かつ軽量化とともに、組立コストの軽減も図れる。
本発明に用いられる作動流体はループヒートパイプ型伝熱装置に一般に用いられている流体を用いることが出来る。水、アンモニア、エタノール等のアルコール類、ヘプタン等の炭化水素類、フレオン−11等のフルオロカーボン類、液体酸素および液体窒素等が例示されるが、特に限定されない。また、流体を単独で用いても、混合して用いても構わないが、混合する場合は均一に互いに溶解する流体種および混合割合とすることが好ましい。
好ましくは、作動流体は数式(3)で定義されるメリット数が大きな水を80重量%以上含む水系流体を用いる。
メリット数=(密度×表面張力×蒸発潜熱)/粘度 (3)
メリット数が大きいほど、最大熱輸送量が大きくなるため、好ましい。代表的な流体のメリット数を示すと、アンモニア(1.1×1011)、フレオン−11(1.2×1010)、フレオン−113(7.3×109)、ペンタン(1.5×1010)、アセトン(3×1010)、メタノール(4.8×1010)、エタノール(4.1×1010)、ヘプタン(1.3×1010)、水(5.1×1011)およびナフタリン(3.4×1010)である。水のメリット数が大きく、最大熱輸送量が大きくなり、好ましい。水を単独で用いることが好ましいが、アセトン等のケトン類、メタノールおよびエタノール等のアルコール類、および界面活性剤等を水に混合しても良い。その場合、大きなメリット数を保つため、水を80重量%以上含むことが好ましい。
メリット数=(密度×表面張力×蒸発潜熱)/粘度 (3)
メリット数が大きいほど、最大熱輸送量が大きくなるため、好ましい。代表的な流体のメリット数を示すと、アンモニア(1.1×1011)、フレオン−11(1.2×1010)、フレオン−113(7.3×109)、ペンタン(1.5×1010)、アセトン(3×1010)、メタノール(4.8×1010)、エタノール(4.1×1010)、ヘプタン(1.3×1010)、水(5.1×1011)およびナフタリン(3.4×1010)である。水のメリット数が大きく、最大熱輸送量が大きくなり、好ましい。水を単独で用いることが好ましいが、アセトン等のケトン類、メタノールおよびエタノール等のアルコール類、および界面活性剤等を水に混合しても良い。その場合、大きなメリット数を保つため、水を80重量%以上含むことが好ましい。
以下実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本発明に用いられる測定法は以下のとおりである。
(1)平均流量開孔径(μm)
PMI社製パームポロメーター(型式CFP−1200AEX)を用いて測定する。浸液には表面張力20.1dynes/cmのPMI社製Silwickを用いる。浸液に浸したサンプルは大気圧よりも80kPa低くし、脱気してサンプル内に泡が残らないように前処理する。測定径は20mmとする。乾燥空気をサンプルに通し、段階的に気体圧力を増加させて、その時の気体流量を観測する。サンプルを液に浸した場合の流量(ウェット流量)が、浸していない場合の流量(ドライ流量)の50%となる圧力P50(PSI)を求め、下記数式(4)より平均流量開孔径を求める。
d50=C×r/P50 (4)
ここで、d50は平均流量開孔径(μm)、rは液の表面張力で20.1(dynes/cm)、定数Cは0.451(μm・cm・PSI/dynes)である。3回測定し、その平均値を求める。
本発明に用いられる測定法は以下のとおりである。
(1)平均流量開孔径(μm)
PMI社製パームポロメーター(型式CFP−1200AEX)を用いて測定する。浸液には表面張力20.1dynes/cmのPMI社製Silwickを用いる。浸液に浸したサンプルは大気圧よりも80kPa低くし、脱気してサンプル内に泡が残らないように前処理する。測定径は20mmとする。乾燥空気をサンプルに通し、段階的に気体圧力を増加させて、その時の気体流量を観測する。サンプルを液に浸した場合の流量(ウェット流量)が、浸していない場合の流量(ドライ流量)の50%となる圧力P50(PSI)を求め、下記数式(4)より平均流量開孔径を求める。
d50=C×r/P50 (4)
ここで、d50は平均流量開孔径(μm)、rは液の表面張力で20.1(dynes/cm)、定数Cは0.451(μm・cm・PSI/dynes)である。3回測定し、その平均値を求める。
(2)10%流量開孔径(μm)
サンプルを液に浸した場合の流量(ウェット流量)が、浸していない場合の流量(ドライ流量)の10%となる圧力P10(PSI)を求め、上記(1)と同様に下記数式(5)より求める。3回測定しその平均値を求める。
d10=C×r/P10 (5)
サンプルを液に浸した場合の流量(ウェット流量)が、浸していない場合の流量(ドライ流量)の10%となる圧力P10(PSI)を求め、上記(1)と同様に下記数式(5)より求める。3回測定しその平均値を求める。
d10=C×r/P10 (5)
(3)空隙率(%)
サンプルの目付けW(g/cm2)と厚みT(cm)およびサンプルを構成する素材の真比重ρから、空隙率は下記の数式(2)で算出する。
空隙率={1−W/(T×ρ)}×100 (2)
サンプルの目付けおよび厚みはJISL−1096に従って求める。
サンプルの目付けW(g/cm2)と厚みT(cm)およびサンプルを構成する素材の真比重ρから、空隙率は下記の数式(2)で算出する。
空隙率={1−W/(T×ρ)}×100 (2)
サンプルの目付けおよび厚みはJISL−1096に従って求める。
(4)接着面積率(%)
100mm×100mmのサンプルをCCDカメラで撮影した画像を画像解析ソフトに取込み、二値化により、接着部分を抽出し、接着面積(mm2)を画像解析ソフトにより求める。撮影面積10000mm2に対する割合を求め、接着面積率を算出する。
100mm×100mmのサンプルをCCDカメラで撮影した画像を画像解析ソフトに取込み、二値化により、接着部分を抽出し、接着面積(mm2)を画像解析ソフトにより求める。撮影面積10000mm2に対する割合を求め、接着面積率を算出する。
(5)最大熱輸送量(W)
図1に示した、SUS304製で寸法が外径80mm、厚さ20mmの円形平板型蒸発器にサンプルを設置する。凝縮器、蒸気管および液管は全て外径4mmのSUS316製のパイプで構成する。凝縮器は冷却ファンと銅製フィンを一体化した冷却モジュールを用い、強制空冷により冷却した。熱移動距離、即ち蒸気管の長さは約1mとした。作動流体はエタノールを用いた。蒸発器下面にヒーターを取り付け、入力電力を連続的に増加させながら、蒸発器および凝縮器にハンダで取り付けた熱電対で蒸発器温度T1(K)および凝縮器温度T2(K)を測定し、T1−T2が50Kとなった入力電力を最大熱輸送量とした。
図1に示した、SUS304製で寸法が外径80mm、厚さ20mmの円形平板型蒸発器にサンプルを設置する。凝縮器、蒸気管および液管は全て外径4mmのSUS316製のパイプで構成する。凝縮器は冷却ファンと銅製フィンを一体化した冷却モジュールを用い、強制空冷により冷却した。熱移動距離、即ち蒸気管の長さは約1mとした。作動流体はエタノールを用いた。蒸発器下面にヒーターを取り付け、入力電力を連続的に増加させながら、蒸発器および凝縮器にハンダで取り付けた熱電対で蒸発器温度T1(K)および凝縮器温度T2(K)を測定し、T1−T2が50Kとなった入力電力を最大熱輸送量とした。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート製メルトブロー不織布(旭化成せんい社製:目付け40g/m2、空隙率90%、平均流量開孔径2μm、表1中ではMBと標記する)を10枚積層した後、ピン型超音波融着機で熱接着した。得られた繊維構造物積層体の接着面積率は1%であった。また、この積層体の平均流量開孔径、空隙率、空隙指数および最大熱輸送量は表1のとおりである。
ポリエチレンテレフタレート製メルトブロー不織布(旭化成せんい社製:目付け40g/m2、空隙率90%、平均流量開孔径2μm、表1中ではMBと標記する)を10枚積層した後、ピン型超音波融着機で熱接着した。得られた繊維構造物積層体の接着面積率は1%であった。また、この積層体の平均流量開孔径、空隙率、空隙指数および最大熱輸送量は表1のとおりである。
(実施例2〜4)
ピンの単位面積当りの本数を変えたピン型超音波融着機で熱接着し、接着面積率を5%(実施例2)、0.1%(実施例3)および30%(実施例4)としたことを除いて、実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。実施例3の接着面積率が0.1%の繊維構造物積層体は接着力が小さく、蒸発器に設置する際に剥離し、ハンドリング性が劣るが、蒸発器の上部筐体で固定し、最大熱輸送量を測定した。また、接着面積率が30%と大きい実施例4は、有効通液面積が減少し、実施例1に対し最大熱輸送量が減少する。
ピンの単位面積当りの本数を変えたピン型超音波融着機で熱接着し、接着面積率を5%(実施例2)、0.1%(実施例3)および30%(実施例4)としたことを除いて、実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。実施例3の接着面積率が0.1%の繊維構造物積層体は接着力が小さく、蒸発器に設置する際に剥離し、ハンドリング性が劣るが、蒸発器の上部筐体で固定し、最大熱輸送量を測定した。また、接着面積率が30%と大きい実施例4は、有効通液面積が減少し、実施例1に対し最大熱輸送量が減少する。
(実施例5)
ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布(旭化成せんい社製エルタス:目付け20g/m2、空隙率85%、平均流量開孔径18μm、表1中ではSBと標記する)を1枚、ポリエチレンテレフタレート製メルトブロー不織布(旭化成せんい社製:目付け40g/m2、空隙率90%、平均流量開孔径2μm)を8枚、ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布(旭化成せんい社製エルタス:目付け20g/m2、空隙率85%、平均流量開孔径18μm)を1枚、この順に積層したことを除いて、実施例1と同様に繊維構造物積層体を得、平均流量開孔径、空隙率、空隙指数および最大熱輸送量を求めた。その結果を表1に示す。尚、得られた繊維構造物積層体の接着面積率は1%であった。表裏にスパンボンド不織布を積層することによって、作動流体の移動がより均一になり、かつ蒸発しやすくなるために、最大熱輸送量が一層増加した。
ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布(旭化成せんい社製エルタス:目付け20g/m2、空隙率85%、平均流量開孔径18μm、表1中ではSBと標記する)を1枚、ポリエチレンテレフタレート製メルトブロー不織布(旭化成せんい社製:目付け40g/m2、空隙率90%、平均流量開孔径2μm)を8枚、ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布(旭化成せんい社製エルタス:目付け20g/m2、空隙率85%、平均流量開孔径18μm)を1枚、この順に積層したことを除いて、実施例1と同様に繊維構造物積層体を得、平均流量開孔径、空隙率、空隙指数および最大熱輸送量を求めた。その結果を表1に示す。尚、得られた繊維構造物積層体の接着面積率は1%であった。表裏にスパンボンド不織布を積層することによって、作動流体の移動がより均一になり、かつ蒸発しやすくなるために、最大熱輸送量が一層増加した。
(実施例6)
繊維径5.5μmのナイロン66繊維を水流交絡させた不織布(目付80g/m2、空隙率85%、平均流量開孔径5μm、表1中ではSLと標記する)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。結果は表1に示すとおり、最大熱輸送量が良好であった。
繊維径5.5μmのナイロン66繊維を水流交絡させた不織布(目付80g/m2、空隙率85%、平均流量開孔径5μm、表1中ではSLと標記する)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。結果は表1に示すとおり、最大熱輸送量が良好であった。
(実施例7)
繊維径5.5μmのナイロン66繊維を水流交絡させ、ロールで圧縮した不織布(目付150g/m2、空隙率60%、平均流量開孔径5μm)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。空隙率が小さくなることで実施例6に対し、最大熱輸送量が低下する。
繊維径5.5μmのナイロン66繊維を水流交絡させ、ロールで圧縮した不織布(目付150g/m2、空隙率60%、平均流量開孔径5μm)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。空隙率が小さくなることで実施例6に対し、最大熱輸送量が低下する。
(実施例8)
繊維径10.1μmのナイロン66繊維を水流交絡させた不織布(目付75g/m2、空隙率80%、平均流量開孔径15μm)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。平均流量開孔径が大きくなることで、実施例6に対し、最大熱輸送量が低下する。
繊維径10.1μmのナイロン66繊維を水流交絡させた不織布(目付75g/m2、空隙率80%、平均流量開孔径15μm)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。平均流量開孔径が大きくなることで、実施例6に対し、最大熱輸送量が低下する。
(実施例9)
繊維径5.5μmのナイロン66繊維を水流交絡させた不織布(目付120g/m2、空隙率80%、平均流量開孔径6μm)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。本積層体の10%流量開孔径と平均流量開孔径の差は12μmであり、開孔径の分布がやや大きくなると実施例6に対し、熱輸送量がやや低下する。
繊維径5.5μmのナイロン66繊維を水流交絡させた不織布(目付120g/m2、空隙率80%、平均流量開孔径6μm)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。本積層体の10%流量開孔径と平均流量開孔径の差は12μmであり、開孔径の分布がやや大きくなると実施例6に対し、熱輸送量がやや低下する。
(実施例10)
繊維径7.9μmのナイロン66繊維を水流交絡させた不織布(目付150g/m2、空隙率75%、平均流量開孔径8μm)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。空隙指数が10未満になると、実施例6に対し、熱輸送量が低下する。
繊維径7.9μmのナイロン66繊維を水流交絡させた不織布(目付150g/m2、空隙率75%、平均流量開孔径8μm)を2枚用いた以外は実施例1と同様にして繊維構造物積層体を得た。空隙指数が10未満になると、実施例6に対し、熱輸送量が低下する。
(比較例1)
ウィックとして、ニッケルの焼結多孔質体を用いた以外は実施例1と同様にして、平均流量開孔径、空隙率、空隙指数および最大熱輸送量を求めた。その結果を表1に示す。
ウィックとして、ニッケルの焼結多孔質体を用いた以外は実施例1と同様にして、平均流量開孔径、空隙率、空隙指数および最大熱輸送量を求めた。その結果を表1に示す。
(比較例2)
ウィックとして、ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(住友電工ファインポリマー製、ポアフロンメンブレンWP−500−100)を20枚積層してウィックとして用いた以外は実施例1と同様にして、平均流量開孔径、空隙率、空隙指数および最大熱輸送量を求めた。その結果を表1に示す。
ウィックとして、ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(住友電工ファインポリマー製、ポアフロンメンブレンWP−500−100)を20枚積層してウィックとして用いた以外は実施例1と同様にして、平均流量開孔径、空隙率、空隙指数および最大熱輸送量を求めた。その結果を表1に示す。
表1の実施例1と比較例1および2との結果から明らかなように、本発明の繊維構造物積層体をウィックに用いると、従来、ウィックとして用いられている金属焼結体やポリテトラフルオロエチレン多孔質体より、平均流量開孔径を小さくしながら、空隙率を大きくすることが可能であり、そのために、最大熱輸送量を大きくすることが可能である。その結果、ループヒートパイプ型伝熱装置の性能を向上させることができる。
さらに、実施例6〜10の結果から明らかなように、不織布および該不織布を積層した繊維構造物積層体の特性を特定の範囲に限定することで、最大熱輸送量を一層大きくすることが可能であり、ループヒートパイプ型伝熱装置の性能を一層向上させることができる。
(実施例11)
実施例1で得られた繊維構造物積層体を直径30mmの円形に打ち抜いた後、周辺部を3mm幅に接着した。接着は300℃に加熱した外径30mm、内径24mmの同心円状金型を用い、加熱圧縮法で融着する方法で実施した。接着部に径1mmのネジ用の穴を均等な間隔で8個開けて、ウィックとした。該ウィックを介在させて、外径30mm、つばの幅3mm、高さ5mm、肉厚1mmの銅製上部筐体と外径30mm、縁の幅3mm、高さ5mmの銅製下部筐体を8本のネジで組み立て、蒸発器を得た。上部筐体および下部筐体にあらかじめ開孔された直径3.2mmの穴に外径3mm、内径2mmの銅製パイプをロウ付けで取付、夫々液管、蒸気管とした。液管をU字状に曲げ、蒸気管とロウ付けで接合し、ループを形成した。下部筐体から100mmの位置に冷却ファンと高さ10mm、ピッチ3mmの銅製フィンを一体化した冷却モジュールをロウ付けで蒸気管に取付、凝縮器とした。上部筐体に別途取り付けた3方コックを含む作動流体注入用の銅パイプから真空ポンプを用いて排気すると、良好な気密性を示し、0.1Torrまで減圧が可能であった。0.1Torrまで排気後、3方コックを切替、メタノールを注入した。作動流体注入用の銅パイプを圧縮により閉管した後、溶接してループヒートパイプ型伝熱装置を得た。実施例1と同様にして最大熱輸送量を測定すると80Wであった。
実施例1で得られた繊維構造物積層体を直径30mmの円形に打ち抜いた後、周辺部を3mm幅に接着した。接着は300℃に加熱した外径30mm、内径24mmの同心円状金型を用い、加熱圧縮法で融着する方法で実施した。接着部に径1mmのネジ用の穴を均等な間隔で8個開けて、ウィックとした。該ウィックを介在させて、外径30mm、つばの幅3mm、高さ5mm、肉厚1mmの銅製上部筐体と外径30mm、縁の幅3mm、高さ5mmの銅製下部筐体を8本のネジで組み立て、蒸発器を得た。上部筐体および下部筐体にあらかじめ開孔された直径3.2mmの穴に外径3mm、内径2mmの銅製パイプをロウ付けで取付、夫々液管、蒸気管とした。液管をU字状に曲げ、蒸気管とロウ付けで接合し、ループを形成した。下部筐体から100mmの位置に冷却ファンと高さ10mm、ピッチ3mmの銅製フィンを一体化した冷却モジュールをロウ付けで蒸気管に取付、凝縮器とした。上部筐体に別途取り付けた3方コックを含む作動流体注入用の銅パイプから真空ポンプを用いて排気すると、良好な気密性を示し、0.1Torrまで減圧が可能であった。0.1Torrまで排気後、3方コックを切替、メタノールを注入した。作動流体注入用の銅パイプを圧縮により閉管した後、溶接してループヒートパイプ型伝熱装置を得た。実施例1と同様にして最大熱輸送量を測定すると80Wであった。
(実施例12)
実施例1で得られた繊維構造物積層体を直径30mmの円形に打ち抜いた。実施例11と同様の形状の上部筐体及び下部筐体を300℃に加熱した後、上記繊維構造物積層体をはさみ圧縮した。融着した上記繊維構造物積層体で上部筐体と下部筐体を接着して、蒸発器を得た以外は実施例11と同様にして、ループヒートパイプ型伝熱装置を得た。実施例11と同様に0.1Torrまで減圧可能であった。実施例1と同様にして最大熱輸送量を測定すると80Wであった。
実施例1で得られた繊維構造物積層体を直径30mmの円形に打ち抜いた。実施例11と同様の形状の上部筐体及び下部筐体を300℃に加熱した後、上記繊維構造物積層体をはさみ圧縮した。融着した上記繊維構造物積層体で上部筐体と下部筐体を接着して、蒸発器を得た以外は実施例11と同様にして、ループヒートパイプ型伝熱装置を得た。実施例11と同様に0.1Torrまで減圧可能であった。実施例1と同様にして最大熱輸送量を測定すると80Wであった。
本発明によれば、不織布を積層し、接着した繊維構造物積層体からなるウィックを蒸発器内部に設置せしめ、繊維構造物積層体の平均流量開孔径、空隙率および空隙指数(空隙率/平均流量開孔径)を最適化することで、小型かつ軽量化と高伝熱性能とを両立させたループヒートパイプ型伝熱装置を提供できる。従って、小型化、薄型化かつ軽量化と高性能化とがともに要求されるPCおよびサーバー等の電子機器の高効率な伝熱装置として利用することが可能である。
Claims (7)
- 蒸発器と、該蒸発器から気相の作動流体を導く蒸気管と、該蒸気管と接続された凝縮器と、該凝縮器から液相の作動流体を蒸発器に還流する液管を設けたループヒートパイプ型伝熱装置において、不織布を積層した繊維構造物積層体からなるウィックを該蒸発器の内部に設置したことを特徴とするループヒートパイプ型伝熱装置。
- 前記繊維構造物積層体において、平均流量開孔径が0.1〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。
- 前記繊維構造物積層体において、空隙率が65〜95%、空隙指数(空隙率%/平均流量開孔径μm)が10〜1000であることを特徴とする請求項1または2に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。
- 前記繊維構造物積層体において、10%流量開孔径が、平均流量開孔径より0〜20μm大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。
- 前記繊維構造物積層体において、前記不織布が積層された状態で接着しており、該接着面積が、蒸発器の気密性を維持するためのウィック周辺部の接着を除いて、該不織布面積の0.2〜20%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。
- 前記繊維構造物積層体において、空隙指数(空隙率%/平均流量開孔径μm)の異なる少なくとも2種類の不織布を積層したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。
- 前記蒸発器において、蒸発器の気密性を維持する構造の一部に、前記繊維構造物積層体の接着した部分の一部を用いることを特徴とする請求項5に記載のループヒートパイプ型伝熱装置。
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