本発明は、人と協調することにより、短時間で段差を乗り越えて移動できる脚車輪型移動機構に関する。
高齢者人口の増加に伴い、個人用の小型移動機構への需要が増加してきており、その代表的なものとして、電動カートや電動車椅子等の車輪型の小型移動機構が存在する。しかし、このような小型移動機構が走行する範囲には、各種の段差が存在しており、移動における障害となっている。通常の車輪型の小型移動機構では、座面に対する車輪の位置はほぼ一定であるため、乗り越えられる段差の高さは車輪径や前輪と後輪の間隔であるホイールベースに依存することになり、10cmを越えるような段差への対応は困難となっている。
一方で、このような段差へ対応した小型移動機構として、脚型の小型移動機構が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。脚型にすることで、車輪型の小型移動機構では対応できない大きな段差への対応が可能となる。
しかし、脚型の小型移動機構では、段差以外の平地における移動性が車輪型の小型移動機構より劣るため、両者を組み合わせた脚車輪型の小型移動機構が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平11−128278号公報
特開2006−055972号公報
第23回日本ロボット学会学術講演会予稿集の1G24
脚車輪型の小型移動機構は、車輪型に近い平地走行時の特性と、脚型に近い段差昇降時の特性を併せ持つことができるが、一方で段差昇降時のような脚動作時に脚型と同様の課題を持つこととなる。脚型の小型移動機構の課題の一つとしては、搭乗者の位置が高く転倒時の危険性が高いということがある。脚型の小型移動機構の動作のためには十分な脚動作領域を確保する必要があり、搭乗者はそれを妨げない位置に座る必要があるため、搭乗者は脚機構上部の高い位置に座すことになる。このため、脚型の小型移動機構が転倒する場合には、搭乗者は高所からの落下という危険な状態にさらされることになる。さらに別の課題としては、段差昇降動作に時間がかかるということがある。段差昇降を行うためには、段差の状態を認識して安全が保てる適切な箇所に移動機構の脚を接地させる必要があるが、脚型の移動機構を搭乗者が操作する場合には、段差状態の認識は搭乗者が行うため素早く行えるが、操作が難しいため時間がかかることになる。一方、移動機構が自動で段差昇降を行う場合には、段差状態の認識が困難であるため時間がかかることになる。よって、従来の脚車輪型の小型移動機構では、安全と素早い段差昇降を両立させることが困難という課題を有することになる。
従って、本発明の目的は、かかる点に鑑み、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、座面部と、
前記座面部に追従脚末端部が回転自在に連結されるとともに、前記追従脚末端部と追従脚先端部との間隔が伸縮自在で、前記追従脚先端部に第1車輪部と足置き部を有する2本の追従脚と、
前記座面部に支持脚末端部が回転自在に連結されるとともに、前記支持脚末端部と支持脚先端部との間隔が伸縮自在で、前記支持脚先端部に第2車輪部を有する2本以上の支持脚と、
前記追従脚と前記支持脚の動作を制御する制御装置を備えた脚車輪型移動機構において、
前記2つの足置き部と搭乗者の足部との相対変位をそれぞれ計測する足位置計測部をさらに備え、
前記足置き部が前記搭乗者の足部と略同方向に移動するように、前記制御装置が、前記足位置計測部により計測された相対変位を基に追従脚を動作させることを特徴とする脚車輪型移動機構を提供する。
よって、本発明によれば、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。すなわち、本発明によれば、搭乗者の足部と足置き部との相対変位の情報を用いて、追従脚の先端に設けられた足置き部が搭乗者の足部に追従するようになり、搭乗者が段差の状態を認識した上で決定した搭乗者自身の足の動きに連動して脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)の脚が動作するようになるので、段差状態の認識と脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)の脚の動作がともに素早く行えるようになる。従って、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)が得られるようになる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1Aは、本発明の第1実施形態による脚車輪走行車の概略を示す斜視図であり、
図1Bは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の追従脚に相当する部分の概略を示す斜視図であり、
図1Cは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の支持脚に相当する部分の概略を示す斜視図であり、
図2Aは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の概略を示す側面図であり、
図2Bは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の概略を示す側面図であり、
図3Aは、前記脚車輪走行車の足置き部5Aの周辺の詳細を示す側面図であり、
図3Bは、前記脚車輪走行車の足置き部5Aの周辺の詳細を示す側面図であり、
図3Cは、前記脚車輪走行車の足置き部5Bの周辺の詳細を示す側面図であり、
図4Aは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Bは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Cは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Dは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Eは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Fは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Gは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Hは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Iは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Jは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図4Kは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図であり、
図5Aは、前記脚車輪走行車における別の実施方法における足置き部5A周辺の詳細を示す側面図であり、
図5Bは、前記脚車輪走行車における別の実施方法における足置き部5B周辺の詳細を示す側面図であり、
図6Aは、走行形態、座面垂直形態、及び段差昇降前形態にわたる前記脚車輪走行車の形態の推移を示す図であり、
図6Bは、段差昇降動作における前記脚車輪走行車の形態の推移を示す図であり、
図7は、前記脚車輪走行車における制御コンピュータと各部との接続関係を示す図であり、
図8は、前記脚車輪走行車の段差昇降動作におけるタイミングチャートであり、
図9Aは、前記脚車輪走行車の走行モードにおけるフローチャートであり、
図9Bは、前記脚車輪走行車の変形モードにおけるフローチャートであり、
図9Cは、前記脚車輪走行車の段差昇降モードにおけるフローチャートである。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1態様によれば、座面部と、
前記座面部に追従脚末端部が回転自在に連結されるとともに、前記追従脚末端部と追従脚先端部との間隔が伸縮自在で、前記追従脚先端部に第1車輪部と足置き部を有する2本の追従脚と、
前記座面部に支持脚末端部が回転自在に連結されるとともに、前記支持脚末端部と支持脚先端部との間隔が伸縮自在で、前記支持脚先端部に第2車輪部を有する2本以上の支持脚と、
前記追従脚と前記支持脚の動作を制御する制御装置を備えた脚車輪型移動機構において、
前記2つの足置き部と搭乗者の足部との相対変位をそれぞれ計測する足位置計測部をさらに備え、
前記足置き部が前記搭乗者の前記足部と略同じ方向に移動するように、前記制御装置が、前記足位置計測部により計測された前記相対変位を基に前記追従脚を動作させることを特徴とする脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部と足置き部との相対変位の情報を用いて、追従脚の先端に設けられた足置き部が搭乗者の足部に追従するようになり、搭乗者が段差の状態を認識した上で決定した搭乗者自身の足の動きに連動して脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)の脚が動作するようになるので、段差状態の認識と脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)の脚の動作がともに素早く行えるようになる。従って、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第2態様によれば、前記足位置計測部が、前記搭乗者の前記足部と前記足置き部を連結する伸縮自在の連結機構の変形量及び変形方向を計測する相対位置計測部より構成されることを特徴とする第1の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部と足置き部が連結されることになるので、容易に搭乗者の足部と足置き部との相対変位が計測できるようになる。従って、より確実に搭乗者の足部の動きに連動して脚が動作する脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第3態様によれば、前記足位置計測部が、音波若しくは光波を用いて非接触に前記相対変位を計測する装置であることを特徴とする第1の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部と足置き部との相対変位を非接触で計測できるようになるので、搭乗者はより自由に自身の足が動かせるようになる。従って、足置き部との拘束に起因する搭乗者の転倒といった危険の少ない脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第4態様によれば、前記追従脚に設けられた第1車輪部が従動車輪であり、前記支持脚に設けられた第2車輪部が駆動車輪であることを特徴とする第1〜3のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、追従脚には車輪部を回転させるための駆動源が不要になるので、より搭乗者の足部の動きに追従脚が素早く連動できるようになるので、より段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第5態様によれば、前記制御装置が、前記足置き部と前記搭乗者の前記足部との前記相対変位が一定範囲内に収まるように前記追従脚の変形状態を制御することを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部に追従脚が一定の間隔を保ちながら連動して動作することになるので、より確実に段差昇降が行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第6態様によれば、前記制御装置が、前記足置き部と前記搭乗者の前記足部との前記相対変位を水平成分と垂直成分に分解し、それぞれが一定範囲内に収まるように前記追従脚の変形状態を制御することを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、垂直方向の相対変位を確実に確保することができるようになるので、脚車輪型移動機構の安全性をより高めることができる。
本発明の第7態様によれば、前記2つの足置き部の接地状態をそれぞれ判定する接地判定装置をさらに設け、
前記制御装置が、前記足置き部が前記接地状態になった時点から、前記足置き部を備えた前記追従脚の変形状態を、前記足位置計測部により計測された相対変位によらずに制御し、その後、前記相対変位が一定値以上となった時点から再度、前記足置き部と前記搭乗者の前記足部との前記相対変位が一定範囲内に収まるように前記追従脚の変形状態を制御することを特徴とする第5又は6の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、足置き部が接地している追従脚が無駄な動作を行わなくなるので、より安定した段差昇降が行えるようになる。
本発明の第8態様によれば、前記一定値が、前記一定範囲内における相対変位の最大値より大きいことを特徴とする第7の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、足置き部が接地した段階で確実に追従脚が無駄な動作を行わなくなるので、より安定した段差昇降が行えるようになる。
本発明の第9態様によれば、前記搭乗者が搭乗状態であることを検知する搭乗状態判定装置をさらに設け、前記搭乗状態でかつ前記第1車輪部若しくは前記第2車輪部が回転している場合には、前記制御装置が前記足位置計測部により計測された前記相対変位によらずに前記追従脚と前記支持脚の変形状態を制御することを特徴とする第1〜8のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、車輪走行時における搭乗者の足部の動きによって、搭乗者の意図しない脚動作が行われることを防ぐことができるようになるので、より安全性の高い脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第10態様によれば、前記搭乗状態判定装置が前記座面部の座面に加わる荷重に基づいて搭乗状態であることを判定することを特徴とする第9の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者が搭乗状態にあることを容易に判定することができる。
本発明の第11態様によれば、前記制御装置が、前記走行状態では前記座面部が地面と略水平となるように前記追従脚及び前記支持脚を動作させるとともに、前記走行状態から前記制御装置が前記足位置計測部により計測された相対変位を基に追従脚を動作させる状態に移行するまでの間に前記座面部が地面に対して略垂直となるように前記追従脚及び前記支持脚を動作させることを特徴とする第1〜10のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者が段差昇降前に立位になるのが脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)により補助されるようになるので、より素早く段差昇降動作に移行することが可能になる。
本発明の第12態様によれば、前記制御装置が、前記座面部の座面を地面に対して略平行な状態から略垂直な状態となるように前記追従脚及び前記支持脚を動作させる際に、前記足置き部の角度が常に水平若しくは先端側が高くなるようにも前記制御装置が制御することを特徴とする第11の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者が立位になる際に自然に座面にもたれかかるようになるので、より安全に段差昇降動作に移行することが可能になる。
本発明の第13態様によれば、前記制御装置が、前記追従脚が地面より離れる際に、脚車輪型移動機構のバランスを保持するように前記支持脚の変形状態を制御することを特徴とする第1〜12のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部に追従して追従脚が地面から離れる際にも、支持脚がバランスを保つように変形するので、より安定性の高い脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第14態様によれば、前記制御装置が、前記追従脚の動作履歴を用いて前記支持脚を制御することを特徴とする第1〜13のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、追従脚の動作履歴より段差の情報を得ることができるので、支持脚を動作させる際にも段差状態を認識するのが容易になり、より素早い動作で段差昇降が行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1Aは、本発明にかかる第1実施形態の脚車輪型移動機構の一例としての脚車輪走行車の概要を示した斜視図であり、図1B、図1Cは図1Aと同様の構図において、それぞれ追従脚、支持脚に相当する部分のみを示した斜視図である。また、図2A及び図2Bは図1Aの脚車輪走行車に搭乗者52が座っている状態及び立っている状態を示す側面図である。図1A、図1B、図1Cにおいて、1A、1Bはそれぞれ追従脚の一例である2リンク脚であり、2A、2Bはそれぞれ支持脚の一例である2リンク脚である。2リンク脚1A、1Bは、前脚上リンク3A、3Bと、前脚上リンク3A、3Bよりそれぞれ長い前脚下リンク4A、4Bと、板状足置き部5A、5Bと、追従脚側の車輪部の一例として機能する従動車輪の一例であるユニバーサルホイール6A、6Bとより構成されている。また、2リンク脚2A、2Bは、後脚上リンク7A、7Bと、後脚上リンク7A、7Bより長い後脚下リンク8A、8Bと、支持脚側の車輪部の一例として機能する駆動車輪の一例であるゴムタイヤ9A、9Bとより構成されている。
図1Bに示すように、前脚上リンク3Aは、先端(図1B中、前方斜め上向きの先端)が二股に分岐して、板状座面部11の裏面から下方に延びた前側支持部11aを回動可能に挟持するとともに、基端(図1B中、後方斜め下向きの基端)の端部が前脚下リンク4Aの一端(図1B中、後方斜め上向きの一端)の端部に、回転軸10Cを中心に回転可能に連結されるとともに、前脚下リンク4A内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ62が、制御装置の一例としての制御コンピュータ101により駆動制御されることで、関節駆動用モータ62の正逆回転軸に連結された回転軸10Cの回転角度が内蔵されたエンコーダからの情報を基に制御されている。
同様に、前脚上リンク3Bは、先端(図1B中、前方斜め上向きの先端)が二股に分岐して、座面部11の裏面から下方に延びた前側支持部11bを回動可能に挟持するとともに、基端(図1B中、後方斜め下向きの基端)の端部が前脚下リンク4Bの一端(図1B中、後方斜め上向きの一端)の端部に、回転軸10Dを中心に回転可能に連結されるとともに、前脚下リンク4B内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ64が、制御コンピュータ101により駆動制御されることで、関節駆動用モータ64の正逆回転軸に連結された回転軸10Dの回転角度が制御されている。
また、図1Cに示すように、後脚上リンク7Aは、先端(図1C中、後方斜め上向きの先端)が二股に分岐して、座面部11の裏面から下方に延びた後側支持部11cを回動可能に挟持するとともに、基端(図1C中、前方斜め下向きの基端)の端部が後脚下リンク8Aの一端(図1C中、前後方向沿いの前端)の端部に、回転軸10Iを中心に回転可能に連結されるとともに、後脚下リンク8A内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ66が、制御コンピュータ101により駆動制御されることで、関節駆動用モータ66の正逆回転軸に連結された回転軸10Iの回転角度が制御されている。同様に、後脚上リンク7Bは、先端(図1C中、後方斜め上向きの先端)が二股に分岐して、座面部11の裏面から下方に延びた後側支持部11dを回動可能に挟持するとともに、基端(図1C中、前方斜め下向きの基端)の端部が後脚下リンク8Bの一端(図1C中、前後方向沿いの前端)の端部に、回転軸10Jを中心に回転可能に連結されるとともに、後脚下リンク8B内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ68が、制御コンピュータ101により駆動制御されることで、関節駆動用モータ68の正逆回転軸に連結された回転軸10Jの回転角度が制御されている。
また、後脚下リンク8A内、8Bの他端(図1C中、前後方向沿いの後端)の端部に、ゴムタイヤ9A、9Bが、それぞれ回転軸10K、10Lを中心に回転可能に取付けられており、それぞれ、後脚下リンク8A内、8B内に設けられた走行用モータ81、82が、制御コンピュータ101によりそれぞれ駆動制御されることで、関節駆動用モータ81、82の正逆回転軸に連結された回転軸10K、10Lの回転速度がそれぞれ独立して制御されている。
また、前脚下リンク4A、4Bの他端(図1B中、前方斜め下向きの他端)の端部の三股に分岐した部分の内側の二股部分には、ユニバーサルホイール6A、6Bが、それぞれ、回転軸10E、10Fを中心に回転軸10E、10Fに対して回転自在能に取り付けられて全方向車輪を構成しており、ホイール6A、6Bの外周に設けられたローラによって脚車輪走行車の左右方向の動きに対しても移動可能であるので、左右のゴムタイヤ9A、9Bの回転数を互いに異ならせることで、脚車輪走行車の旋回動作が実現できるようになっている。
また、前脚下リンク4A、4Bの他端(図1B中、前方斜め下向きの他端)の端部の三股に分岐した部分の外側の二股部分には、足置き部5A、5Bを、それぞれ回転軸10E、10Fと同軸に回転可能に取付けておれ、それぞれ前脚下リンク4A内、4B内に設けられた足置きエンコーダ内蔵の回転用モータ71、72が制御コンピュータ101によりそれぞれ駆動制御されることで、足置き回転用モータ71、72の正逆回転軸に連結された回転軸10E、10Fの回転角度がそれぞれ独立して制御されている。
さらに、前記したように、2リンク脚1A、1Bの前記端部と2リンク脚2A、2Bの前記端部は、それぞれ、座面部11の支持部11a、11b、11c、11dと、回転軸10A、10B、10G、10Hを中心に回転可能に連結されるとともに、それぞれ前脚上リンク3A内、前脚上リンク3B内、後脚上リンク7A内、後脚上リンク7B内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ61、63、65、67が、制御コンピュータ101によりそれぞれ駆動制御されることで、関節駆動用モータ61、63、65、67の正逆回転軸に連結された回転軸10A、10B、10G、10Hの回転角度がそれぞれ制御されている。また、座面部11には、座面部11の中央の座面に加わる荷重を検知する荷重センサ12が設けられており、荷重センサ12が所定値以上を検出することにより、搭乗者52が座面に座っていることを検知できるようになっているとともに、座面部11の側部にはコンソール21が設けられ、搭乗者52からの指示がコンソール21を使って制御コンピュータ101に入力できるようになっている。コンソール21は、車輪走行時のコントロール及び変形方向を指示するためのジョイスティック22と、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形を指示するための変形指令ボタン23より構成されている。
図3A、図3Cは、それぞれ足置き部5A、足置き部5Bの周辺の詳細を示す側面図である。足置き部5A、足置き部5Bは、それぞれ、大略L字状板部材より構成されている。足置き部5Aの中央部のややユニバーサルホイール6Aに近い部分の側面の下部には、回転軸13Aの回転角度を検出するロータリーエンコーダ91Aを備えた回転軸13Aが回転自在に設けられている。この回転軸13Aには、伸縮自在な連結機構の一例として機能する伸縮自在なスライドロッド14Aの一端(図3Aでは下端)が連結されており、スライドロッド14Aは、内蔵されたリニアエンコーダ93Aにより、スライドロッド14Aの長さを計測可能としている。また、スライドロッド14Aの他端(図3Aでは上端)には、回転軸13Cの回転角度を検出するロータリーエンコーダ92Aを備えた回転軸13Cが連結されている。この回転軸13Cは、搭乗者52の足部51Aに甲部側拘束バンド15Aとつまさき側拘束バンド15Cにより固定可能なカバー16Aに対して回転自在に連結されている。カバー16Aは、搭乗者52の足部51Aの裏面全体を覆うようにしている。よって、前記したロータリーエンコーダ91Aとリニアエンコーダ93Aとロータリーエンコーダ92Aにより、足位置計測部90Aの一例としての相対位置計測部を構成して、足置き部5Aと搭乗者52の足部51Aとの相対変位をそれぞれ計測可能としている。同様に、足置き部5Bの中央部のややユニバーサルホイール6Aに近い部分の側面の下部には、回転軸13Bの回転角度を検出するロータリーエンコーダ91Bを備えた回転軸13Bが回転自在に設けられている。この回転軸13Bには、伸縮自在なスライドロッド14Bの一端(図3Aでは下端)が連結されており、スライドロッド14Bは、内蔵されたリニアエンコーダ93Bにより、スライドロッド14Bの長さを計測可能としている。前記したロータリーエンコーダ91Bとリニアエンコーダ93Bとにより、足位置計測部90Bの一例を構成して、足置き部5Bの位置を計測可能としている。また、スライドロッド14Bの他端(図3Aでは上端)には、回転軸13Dの回転角度を検出するロータリーエンコーダ92Bを備えた回転軸13Dが連結されている。この回転軸13Dは、搭乗者52の足部51Bに甲部側拘束バンド15Bとつまさき側拘束バンド15Dにより固定可能なカバー16Bに対して回転自在に連結されている。カバー16Bは、搭乗者52の足部51Bの裏面全体を覆うようにしている。よって、前記したロータリーエンコーダ91Bとリニアエンコーダ93Bとロータリーエンコーダ92Bにより、足位置計測部90Bの一例を構成して、足置き部5Bと搭乗者52の足部51Bとの相対変位をそれぞれ計測可能としている。
搭乗者52の足部51Aが足置き部5Aより離れた場合には、図3Bに示すようにスライドロッド14Aが延びた状態となり、スライドロッド14Aの長さ変化と回転軸13A、13Cのそれぞれの角度変化により、足位置計測部90Aで、足置き部5Aと搭乗者52の足部51Aとの相対位置が求められることになる。同様に、搭乗者52の足部51Bが足置き部5Bより離れた場合には、図3Bと同様にスライドロッド14Aが延びた状態となり、スライドロッド14Bの長さ変化と回転軸13B、13Dのそれぞれの角度変化により、足位置計測部90Bで、足置き部5Bと搭乗者52の足部51Bとの相対位置が求められることになる。
また、足置き部5Aの先端の屈曲部の下部には、地面97などに対する足置き部5Aの接触荷重を基に足置き部5Aの地面97などに対する接地を検知する接地センサ17Aが設けられるとともに、回転軸10Eの周辺には、回転軸10Eに加わる荷重を基にユニバーサルホイール6Aの地面97などに対する接地を検知する接地センサ17Cが設けられている。同様に、足置き部5Bの先端の屈曲部の下部には、地面97などに対する足置き部5Bの接触荷重を基に足置き部5Bの地面97などに対する接地を検知する接地センサ17Bが設けられるとともに、回転軸10Fの周辺には回転軸10Fに加わる荷重を基にユニバーサルホイール6Bの地面97などに対する接地を検知する接地センサ17Dが設けられている。
ちなみに、これらの接地センサ17A、17B、17C、17D(接地判定装置の一例としての機能する装置)を含めた各部と制御コンピュータ101との接続関係については、図7においてまとめて示している。なお、制御コンピュータ101には記憶装置102が接続されており、記憶装置102には、動作履歴の一例としての各回転軸の回転角度の履歴、並びに、走行形態及び座面垂直形態及び段差昇降前形態及び段差昇降動作における前記脚車輪走行車の形態などの所望の形態のそれぞれの各回転軸10A〜10D、10G〜10Jの回転角度が、制御コンピュータ101により再利用可能な形で記憶されている。
ここで、走行形態とは、図2Aに示すような、脚車輪走行車が走行するときの2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形態を意味する。座面垂直形態とは、図2Bに示すような、脚車輪走行車が走行停止して座面部11が略上下方向沿いに(地面に対して略垂直方向沿いに)向いているときの2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形態を意味する。段差昇降前形態とは、図4Aに示すような、脚車輪走行車が走行停止して座面部11が横方向沿いに向いており、搭乗者52が地面97などから段18を昇ろうとしているときの2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形態を意味する。段差昇降動作における前記脚車輪走行車の形態とは、図4Bに示すような、脚車輪走行車が走行停止して座面部11が横方向沿いに向いており、搭乗者52が段18を昇ったり降りたり又は段18の上を歩いたりするときに搭乗者52に追従するように動作制御される2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形態を意味する。
次に、制御コンピュータ101の制御の下で行なわれる、この脚車輪走行車の作用を説明する。
先ず、脚車輪走行車が平面を走行する場合には、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bは座面部11に搭乗者52が座った図2Aに示す走行形態に変形した状態となり、図9Aに示す走行モードのフローチャートに従って動作することになる。
先ず、座面部11の搭乗状態判定装置の一例である荷重センサ12により座面荷重の有無が判定され、搭乗者52が座面部11に座しているかどうかが判定される(図9AのステップS1)。具体的には、荷重センサ12が所定値(例えば10kg)以上を検出しているか否かを制御コンピュータ101により判定し、荷重センサ12が所定値以上を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に座している(すなわち、搭乗状態にある)と判定して、ステップS2に進む。逆に、荷重センサ12が所定値未満を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に座していない(すなわち、搭乗状態ではない)と判定して、ステップS6に進む。
次いで、ステップS1で座面荷重が所定値以上有り搭乗者52が座面部11に座していると判定されたときは、変形指令ボタン23による脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形指令が入力されているかどうかが制御コンピュータ101により判定される(図9AのステップS2)。変形指令が入力されていない場合には、ジョイスティック22による走行指令の有無が判定される(図9AのステップS3)。走行指令の例としては、ジョイスティック22を前又は後に倒すことによる前進指令又は後進指令、ジョイスティック22を左又は右に倒すことによる左回りの又は右回りの旋回指令等がある。このような走行指令が入力されている場合には、入力指令を実現するために必要な、後輪の駆動車輪の一例のゴムタイヤ9A、9Bのそれぞれの回転数が制御コンピュータ101により演算される(図9AのステップS4)。ジョイスティック22による走行指令が与えられない、すなわちジョイスティック22に傾きがない場合などには、ステップS6に進む。
次いで、その演算結果に基づいて、制御コンピュータ101により走行用モータ81、82が駆動制御されて、演算結果に基づくそれぞれの回転数だけゴムタイヤ9A、9Bが回転されることになる(図9AのステップS5)。脚車輪走行車の前輪は従動車輪の一例のユニバーサルホイール6A、6Bであるので、ゴムタイヤ9Aとゴムタイヤ9Bに異なる回転指令を与えることで、脚車輪走行車は左又は右に旋回することができる。通常の走行の場合、以上のフロー(図9AのステップS1〜S5)が繰り返されることになる。
一方で、荷重センサ12により座面荷重が無いと判定される、すなわち搭乗者52が座面部11に座していない場合や、ジョイスティック22による走行指令が与えられない、すなわちジョイスティック22に傾きがない場合などでは、脚車輪走行車が走行しているか否かを制御コンピュータ101により判定する(図9AのステップS6)。具体的には、走行用モータ81、82が回転駆動されているか否かを制御コンピュータ101により判定する。ステップS6で脚車輪走行車が走行している場合には、走行用モータ81、82の回転は止められ、脚車輪走行車は停止することになる(図9AのステップS7)。その後、ステップS1に戻る。ステップS6で脚車輪走行車が走行していない場合には、ステップS1に戻る。
また、ステップS2で変形指令ボタン23による変形指令が入力された場合には、脚車輪走行車が走行しているか否かを制御コンピュータ101により判定する(図9AのステップS8)。具体的には、走行用モータ81、82が回転駆動されているか否かを制御コンピュータ101により判定する。ステップS8で脚車輪走行車が走行している場合には、走行用モータ81、82の回転を止めて脚車輪走行車を停止させる(図9AのステップS9)。その後、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形モードへと移行することになる。ステップS8で脚車輪走行車が走行していない場合には、そのまま変形モードへと移行する。
前記走行モードにおいては、制御コンピュータ101が、ロータリーエンコーダ91A、91B、92A、92B及びリニアエンコーダ93A、93Bからの回転角度及び相対変位といった足位置情報にかかわらず、変形指令が入力されない限り2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形状態を維持するので、走行中に搭乗者52が足を動かした場合でも安全性に問題なく走行することが可能になる。なお、本実施形態では座面部11に設けた荷重センサ12により走行状態かどうかを判定しているが、走行状態を判定する手段はこれに限るものでなく、コンソール21における指示や、支持脚に設けられて支持脚に加わる荷重を検出する荷重センサにより検出された荷重等を用いて判定を行うようにしても良い。
次に、制御コンピュータ101の制御の下で行なわれる、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bが、図2Aに示す走行形態から図2Bに示す座面垂直形態までの変形を行う変形モードについて説明する。図9Bに変形モードのフローチャートを示す。
変形モードでも走行モードと同様に、最初に、座面部11の荷重センサ12により座面荷重の有無が判定され、搭乗者52が座面部11に体重を預けているかが判定される(図9BのステップS11)。具体的には、荷重センサ12が所定値(例えば3kg)以上を検出しているか否かを制御コンピュータ101により判定し、荷重センサ12が所定値以上を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に体重を預けていると判定して、ステップS12に進む。逆に、荷重センサ12が所定値未満を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に体重を預けていないと判定して、ステップS18に進む。
搭乗者52が座面部11に体重を預けているときは、変形指令ボタン23による変形指令が解除されたか否かを制御コンピュータ101により判定される(図9BのステップS12)。変形指令が解除されたと制御コンピュータ101により判定される場合においては、ステップS18に進む。変形指令が解除されていないと制御コンピュータ101により判定される場合においては、ステップS13に進む。
ステップS18では、脚車輪走行車が2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作を行っているか否かを制御コンピュータ101により判定する(図9BのステップS18)。脚車輪走行車が2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作を行っていると制御コンピュータ101により判定する場合には、変形動作を停止(図9BのステップS19)し、安全を確保するようになる。すなわち、ステップS18では、その前提条件として、座面荷重が無い場合か(図9BのステップS11でNoの場合)、又は、変形指令が解除されている場合(図9BのステップS12でNoの場合)であるため、このような場合に脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作が継続されるのは危険であるため、変形動作を停止して、安全を確保するようにしている。
一方、搭乗者52が座面部11に体重を預け(図9BのステップS11でYesの場合)、かつ、変形指令が継続している状態(図9BのステップS12でYesの場合)では、脚車輪走行車はジョイスティック22により指示される走行形態若しくは座面垂直形態に、制御コンピュータ101が2リンク脚1A、1B、2A、2Bの関節駆動用のモータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させることで2リンク脚1A、1B、2A、2Bが変形していくことになる(図9BのステップS13、ステップS14、ステップS20)。
具体的には、ステップS13において、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが走行形態へ変形するように指示されているか否かを制御コンピュータ101により判定する。走行形態へ変形するように指示されていると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS14に進む。走行形態へ変形するように指示されていないと制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS20に進む。
ステップS14では、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bを図2Aの走行形態へ変形させる。その後、ステップS15に進む。
ステップS15では、走行形態に到達しているか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、予め記憶装置102に記憶された走行形態での各回転軸10A〜10Jの回転角度に、各回転軸10A〜10Jが到達しているか否かを検出して制御コンピュータ101により判定すればよい。走行形態に到達していると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS16に進む。走行形態に到達していないと制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS11に戻る。
ステップS16では、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72の駆動を停止させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作を終了させる。
次いで、ステップS17では、制御コンピュータ101により、変形指令ボタン23による変形指令を解除したのち、走行モードに移行する。
一方、ステップS13において、走行形態へ変形するように指示されていないと制御コンピュータ101により判定する場合に、ステップS20において、座面垂直形態に変形させる。すなわち、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bを図2Bの座面垂直形態へ変形させる。その後、ステップS21に進む。
次いで、ステップS21では、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが座面垂直形態に到達しているか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、予め記憶装置102に記憶された座面垂直形態での各回転軸10A〜10Jの回転角度に、各回転軸10A〜10Jが到達しているか否かを検出して制御コンピュータ101により判定すればよい。座面垂直形態に到達していると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS22に進む。座面垂直形態に到達していないと制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS11に戻る。
ステップS22では、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72の駆動を停止させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作を終了させる。
次いで、ステップS23では、制御コンピュータ101により、変形指令ボタン23による変形指令を解除したのち、段差昇降モードに移行する。
変形モードでは、脚車輪走行車が搭乗者52が立位になるのを助ける効果があるので、素早く段差昇降動作に移行できるようになる。なお、変形動作中には足置き部5A、足置き部5Bが地面97となす角度を座面部11の角度と連動して変化させつつ、座面垂直形態になるまで、足置き部5A、足置き部5Bのそれぞれが、地面97と水平若しくは地面97に対して先端部例えば前端部が後端部よりも高くなるように保つことが望ましい。このようにすれば、2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作中の足置き部5A、足置き部5Bは、常に地面97に対して平行か又は座面部11に向けて斜め下方向きに傾斜するような角度を持った状態となるため、搭乗者52は自然にその体重を座面部11に預けるようになる。よって、搭乗者52は勝手に立ち上がること無く、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形に合わせて立ち上がるようになるので、より安全な状態で変形動作が行われるようになる。例えば、座面部11が地面97と水平の状態では足置き部5A、足置き部5Bの地面97に対する角度を30度とし、座面部11の地面97に対する角度が30度、60度と変化していくに従って、足置き部5A、足置き部5Bの地面97に対する角度を20度、10度と減少させ、座面部11が地面97に対して垂直になる時点で足置き部5A、足置き部5Bを地面97と水平とするような動作等が望ましい。
最後に、段差昇降動作を行う段差昇降モードについて説明する。図9Cに段差昇降モードのフローチャートを示す。
まず、ステップS31において、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが座面垂直形態か否かを制御コンピュータ101により判定する。座面垂直形態であると制御コンピュータ101により判定する場合にはステップS32に進む。そうでない場合には、ステップS34に進む。
次いで、ステップS32において、座面部11の荷重センサ12により座面荷重の有無が判定され、搭乗者52が座面部11に体重を預けているかどうかが判定される(図9AのステップS32)。具体的には、荷重センサ12が所定値(例えば3kg)以上を検出しているか否かを制御コンピュータ101により判定し、荷重センサ12が所定値以上を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に体重を預けていると判定して、ステップS31に戻る。逆に、荷重センサ12が所定値未満を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に体重を預けていないと判定して、ステップS33に進む。
次いで、ステップS33において、2リンク脚1A、1B、2A、2Bを段差昇降前状態へ変形させる。すなわち、変形モードから段差昇降モードに移行した段階では、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bは図2Bに示す座面垂直形態になっており(図9CのステップS31でYes)、搭乗者52は座面部11に体重を預けた立位の状態となっている。搭乗者52が座面部11から離れて自立状態となった段階で、荷重センサ12より座面荷重が無いものと判定されると(図9CのステップS32でNo)、制御コンピュータ101が2リンク脚1A、1B、2A、2Bの関節駆動用のモータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させることで、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bは図4Aに示す段差昇降前形態に2リンク脚1A、1B、2A、2Bが変形することになる(図9CのステップS33)。
次いで、ステップS34において、制御コンピュータ101が2リンク脚1Aの追従制御中か否かを自ら判定し、追従制御中ならばステップS43に進み、追従制御中で無いならばステップS35に進む。
次いで、ステップS35において、制御コンピュータ101が2リンク脚1Bの追従制御中か否かを自ら判定し、追従制御中ならばステップS46に進み、追従制御中で無いならばステップS36に進む。
次いで、ステップS36において、足置き部5Aと搭乗者52の左足部51Aとの相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上であるか否かを制御コンピュータ101により判定する。閾値(例えば40mm)以上であると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS45に進み、前記閾値未満ならばステップS37に進む。具体的には、ロータリーエンコーダ91Aとリニアエンコーダ93Aとロータリーエンコーダ92Aからの入力情報に基づき、足置き部5Aと搭乗者52の左足部51Aとの相対変位(例えば足置き部5Aを基準とした座標系における図3Bのカバー16Aの回転軸13Cの軸心と足置き部5Aの回転軸13Aの軸心を結ぶベクトルの現在と初期状態におけるベクトル差の大きさ)が閾値(例えば40mm)以上であるか否かを制御コンピュータ101により判定すればよい。
次いで、ステップS37において、足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上であるか否かを制御コンピュータ101により判定する。閾値(例えば40mm)以上であると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS48に進み、前記閾値未満ならばステップS38に進む。具体的には、ロータリーエンコーダ91Bとリニアエンコーダ93Bとロータリーエンコーダ92Bからの入力情報に基づき、足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位(例えば足置き部5Bを基準とした座標系における図3Cのカバー16BBの回転軸13Dの軸心と足置き部5Bの回転軸13Bの軸心を結ぶベクトルの現在と初期状態におけるベクトル差の大きさ)が閾値(例えば40mm)以上であるか否かを制御コンピュータ101により判定すればよい。
次いで、ステップS38において、2リンク脚1A、1Bの昇降動作が終了しているか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、制御コンピュータ101により、後述(図4Dの説明部を参照)する終了条件が満たされているか否かを判定し、満たされている場合にはステップS39に進む。満たされていない場合にはステップS31に戻る。ここでいう2リンク脚1A、1Bの昇降動作とは、2リンク脚1A、1Bのそれぞれに対して1回以上の追従制御が行われ、足置き部5A、5Bの両方が地面97上から段18上、若しくは段18上から地面97上へ移動するような一連の動作のことを表している。
次いで、ステップS39において、制御コンピュータ101が、2リンク脚2A、2Bの昇降動作を実行済みか否かを自ら判定する。具体的には、記憶装置102に記憶された、2リンク脚1A、1Bの昇降動作が終了した時点における各回転軸10A〜10D、10G〜10Jの角度を基に制御コンピュータ101により計算された、2リンク脚1A、1Bの段差昇降による足置き部5A、5Bもしくはユニバーサルホイール6A,6Bの垂直移動量分だけ、ゴムタイヤ9A、9Bが垂直移動しているか否かを、その時点における各回転軸10A〜10D、10G〜10Jの角度を基に制御コンピュータ101により判定し、垂直移動していない場合(昇降動作が終了していない場合)にはステップS40に進み、昇降動作を行なう。垂直移動している場合(昇降動作が終了している場合)にはステップS41に進む。ここでいう2リンク脚2A、2Bの昇降動作とは、2リンク脚2A、2Bの昇降動作終了後にゴムタイヤ9A、9Bの両方を地面97上から段18上、若しくは段18上から地面97上へ移動するような一連の動作のことを表している。この動作は開始から終了まで制御コンピュータ101により自動的に実行される。
次いで、ステップS40において、2リンク脚2A、2Bの昇降動作を、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ65、66、67、68を駆動(必要に応じて各関節駆動用モータ61、62、63、64も駆動)して行なったのち、ステップS41に進む。
次いで、ステップS41において、変形指令ボタン23による脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形指令が入力されているかどうかが制御コンピュータ101により判定される。変形指令が入力されていない場合には、ステップS31に戻る。変形指令が入力されている場合には、ステップS42に進む。
次いで、ステップS42において、座面垂直形態に変形させる。すなわち、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bを図2Bの座面垂直形態へ変形させる。その後、変形モードに移行する。
一方、ステップS43においては、ステップS34で2リンク脚1Aが追従制御中である場合に足置き部5Aが地面97などに対して接地したか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、足置き部5Aの接地センサ17Aで足置き部5Aの地面97などに対する接地を検知したか否かを制御コンピュータ101により判定する。接地センサ17Aで足置き部5Aの接地を検知した場合には、ステップS44に進み、接地センサ17Aで足置き部5Aの接地を検知しなかった場合にはステップS31に戻る。
ステップS44においては、制御コンピュータ101による2リンク脚1Aの追従制御を終了したのち、ステップS31に戻る。
また、ステップS45においては、ステップS36で足置き部5Aと搭乗者52の左足部51Aとの相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上のとき、制御コンピュータ101は2リンク脚1Aの追従制御を開始する。すなわち、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが段差昇降前形態である状態から搭乗者52が例えば左足を前に出して歩き出すと、左足部51Aに足置き部5Aが追従するように制御コンピュータ101が2リンク脚1Aの関節駆動用モータ61、62及び足置き回転用モータ71を適宜駆動させることで2リンク脚1Aが追従制御を開始する。同時に、脚車輪走行車のバランスを保持するために制御コンピュータ101は、2リンク脚1B、2A、2Bの各関節駆動用モータ63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ72を適宜駆動させる。その後、ステップS31に戻る。
また、ステップS48においては、ステップS37で足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上のとき、制御コンピュータ101は2リンク脚1Bの追従制御を開始する。すなわち、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが段差昇降前形態である状態から搭乗者52が例えば右足を前に出して歩き出すと、右足部51Bに足置き部5Bが追従するように制御コンピュータ101が2リンク脚1Bの関節駆動用モータ63、64及び足置き回転用モータ72を適宜駆動させることで2リンク脚1Bが追従制御を開始する。同時に、脚車輪走行車のバランスを保持するために制御コンピュータ101は、2リンク脚1A、2A、2Bの各関節駆動用モータ61、62、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71を適宜駆動させる。その後、ステップS31に戻る。
また、ステップS46においては、ステップS35で2リンク脚1Bが追従制御中である場合に足置き部5Bが地面97などに対して接地したか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、足置き部5Bの接地センサ17Bで足置き部5Bの地面97などに対する接地を検知したか否かを制御コンピュータ101により判定する。接地センサ17Bで足置き部5Bの接地を検知した場合には、ステップS47に進み、接地センサ17Bで足置き部5Bの接地を検知しなかった場合にはステップS31に戻る。
ステップS47においては、制御コンピュータ101による2リンク脚1Bの追従制御を終了したのち、ステップS31に戻る。
以上が、段差昇降動作を行う段差昇降モードの動作フローである。ここで、走行形態から段差昇降前形態までの2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形状変化の推移は図6Aにおいて上端の図から下端の図へ向けての流れとなる。逆に、段差昇降モードから走行モードへ移行する際の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形状変化の推移は、図6Aの下端の図から上端の図へ向けての流れとなり、そのような流れで走行形態に移行することになる。
次に、前記した図9Cの段差昇降モードのフローチャートを参考にしながら、図4Aの状態から実際に段差昇降動作を行う手順について説明する。ここでは、段差を昇る動作と段差を降りる動作を連続して行う場合を例として説明を行う。このときの脚車輪走行車の一連の動作の流れは図6Bに示す通りであり、図8にはそのときのタイミングチャートを示している。図6Bと図8におけるA〜Kの記号は、それぞれ図4A〜図4Kに示す状態と対応している。図4Aから図4Bに至る間では、制御コンピュータ101は、搭乗者52の右足部51Bが足置き部5Bから離れるとき、リニアエンコーダ93B及びロータリーエンコーダ91Bとロータリーエンコーダ92Bにより検出されたスライドロッド14Bの長さ及び回転軸13B、13Dの回転角度から、足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位を求める。制御コンピュータ101は、求められた相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上となるまで前記検出及び相対変位の演算を継続して行なう(図9CのステップS37)。そして、閾値以上となったことが検出された段階から、足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位が一定の範囲内(例えば20mm±10mm)に収まるように、リニアエンコーダ93B及びロータリーエンコーダ91Bとロータリーエンコーダ92Bにより検出されたスライドロッド14Bの長さ及び回転軸13B、13Dの回転角度の情報を基に関節駆動用モータ63、64及び足置き回転用モータ72を駆動制御するフィードバック制御を制御コンピュータ101により行い、前記追従脚の変形状態の制御、具体的には、2リンク脚1Bによる搭乗者52の右足部51Bへの足置き部5Bの追従制御を行う(図9CのステップS48)。
足置き部5Bを追従動作させるときの相対変位については、前記相対変位が大きすぎると(例えば相対変位が50mmを越えると)追従が不十分となり、搭乗者52の段差昇降動作と足置き部5Bの追従動作とがうまく連動しなくなるため安全性が損なわれる。これに対して一方、前記相対変位が小さすぎると(例えば相対変位が10mm未満であると)搭乗者52の遊脚(右足部51B)が容易に足置き部5Bと接触するようになり、脚車輪走行車の安定が損なわれる危険性が高くなる。これらの両方の課題を解消するため、右足部51Bと足置き部5Bとの相対変位(例えば足置き部5Bを基準とした座標系における図3Cのカバー16Bの回転軸13Dの軸心と足置き部5Bの回転軸13Bの軸心を結ぶベクトルの現在と初期状態におけるベクトル差の大きさ)が10mm〜50mm程度の範囲に収まるように前記制御装置101で動作制御することが望ましい。さらに、前記制御装置101により、前記相対変位(足置き部5Bを基準とした座標系におけるベクトル)を水平成分と垂直成分に分解し、それぞれが一定の範囲内に収まるように制御することで、より安全性を高めることができる。相対変位を一定の範囲内に納めるだけでは、相対変位の水平成分が大きく垂直成分が小さい状況も発生しうるので、搭乗者52の右足部51Bと足置き部5Bとが接触しやすくなり、脚車輪走行車の安定性が損なわれやすくなる。そこで、前記制御装置101により、前記相対変位を水平成分と垂直成分に分解し、垂直成分が一定の範囲内(例えば20mm±10mm)に収まるように制御するとともに、水平成分も一定の範囲内(例えば±10mm)に収まるように制御することで、より搭乗者52の右足部51Bと足置き部5Bを接触しにくくすることができるようになり、安定性が損なわれるような状況が発生しにくくなる。
このとき、足置き部5Bの板面とカバー16Bの板面とが平行になるように追従させるのは、より近接した状態で追従制御が可能になる点で望ましい。また、足置き部5Bを地面97と平行にし、足置き部5Bとカバー16Bとの距離との最小間隔を相対距離と見なして追従制御させるのは、2リンク脚1Bが追従制御のために動作するのが容易になるとともに、地面97との接触が一様に行われるようになる点で望ましい。
その後、2リンク脚1Bの追従制御を行っている状態(図9CのステップS35)で搭乗者52の右足部51Bが段18の上面に接近していくと、足置き部5Bが段18上に接地し(図9CのステップS46)、接地センサ17B、17Dの出力から制御コンピュータ101は足置き部5Bが接地状態にあると判定することになる。接地状態になると、制御コンピュータ101は2リンク脚1Bの追従制御を終了し、2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形状態の維持のみを行うようになる(図9CのステップS47)。このようになると、足置き部5Bは接地した状態では無用な動作をしなくなるので、搭乗者52は右足部51Bを足置き部5B上に安全な状態で降ろすことができる。このとき、追従動作を開始する閾値(例えば40mm)を追従動作時の相対変位範囲(例えば20mm±10mm)の最大値(例えば30mm)より大きくしておくことで、接地した直後に追従動作が再開するような問題を避けることができる。
一方で、制御コンピュータ101は、関節駆動用モータ63、64と足置き回転用モータ72などの駆動装置で2リンク脚1Bの追従制御を行う(図9CのステップS47)と同時に、残る2リンク脚1A、2A、2Bの形状をそれぞれに備えられた関節駆動用モータ61、62、65、66、67、68、足置き回転用モータ71、走行用モータ81、82などの駆動装置をそれぞれ駆動制御し、脚車輪走行車のバランスを保つための動作制御を行う。2リンク脚1Bが搭乗者52の右足部51Bを追従制御する際には、脚車輪走行車が2リンク脚1A、2A、2Bの3脚で保持されるようになるので、脚車輪走行車の安定が保てる脚車輪走行車の重心位置の範囲が変化するとともに、2リンク脚1Bの変形による2リンク脚1Bの重心変化及び2リンク脚1Bの移動に合わせた座面部11の移動により、2リンク脚1A、2A、2Bは脚車輪走行車の安定を保つために変形する必要が生じる。このようなバランス保持制御には、重心位置やZMPによる安定性判別を利用した多脚ロボットの脚制御における様々な公知技術が適用可能である。図4Aの段差昇降前形態から図4Bの段差昇降開始直後の形態に至る間では、制御コンピュータ101の各駆動装置の駆動制御により2リンク脚2Bが前方に移動することで、脚車輪走行車の安定が保たれるようになっている。また、図9Cのフローチャートより明らかなように、2リンク脚1Bが追従制御を行っている場合には、2リンク脚1Aは追従制御を行うことがないので、搭乗者52がバランスを崩すなどの理由で足置き部5Aから左足部51Aが離れるような事態があった場合でも、2リンク脚1Aは脚車輪走行車のバランスを保つために動作することになり、安定性が保たれることになる。
図4Bの段差昇降開始直後の形態から図4Cの段差上の歩行形態に至る変化においては、搭乗者52の左足部51Aに左足置き部5Aが追従するように2リンク脚1Aが制御コンピュータ101により動作制御され、2リンク脚1Bがバランス保持制御されるように左右が入れ替わる点を除けば、基本的に図4Aから図4Bに至る変化と同じである(図9CのステップS36、ステップS45、ステップS34、ステップS43、ステップS44)。バランス保持制御に関しては、2リンク脚1Aの追従制御につれて、座面部11も前方に移動することから、2リンク脚2Aが前方に移動するだけではなく、2リンク脚1B、2Bも変形動作を行っている。
図4Cの段差上の歩行形態から図4Dの段差上での歩行停止形態に至る変化では、搭乗者52の右足部51Bが段18上で一歩踏み出されて搭乗者52の左足部51Aと並ぶ位置に移動している。制御的には、図4Aから図4Bに至る変化と同じであり、バランス保持制御により2リンク脚2Bが前方に移動している。図4Dの状態では、2リンク脚1B、2Bはそれぞれ2リンク脚1A、1Bと重なった位置にあるため図中には表示されていない。
そして、図4Dの状態になった段階で、搭乗者52が行うべき動作は終了(図9CのステップS38)し、制御コンピュータ101は、順次、2リンク脚2A、2Bを段18上に移動させることで、図4E、図4Fの状態とする(図9CのステップS39、ステップS40)。
搭乗者52が行うべき動作が終了、すなわち2リンク脚1A、1Bの昇降動作が終了したと判定し、2リンク脚2A、2Bを段18上に移動させる2リンク脚2A、2Bの昇降動作を開始するタイミングを判断する方法としては、段差昇降モードになってからの追従制御の実行回数を記憶装置102にカウントし、カウントした値が3となった段階で、図4C〜図4Dに至る3度目の追従制御が終了したと制御コンピュータ101が判断する方法や、各回転軸10A〜10Jの回転角度を基に2リンク脚1A、1Bが同じ形状になるなどで足置き部5A、5Bが並んだ位置に移動したことを制御コンピュータ101が検出した段階で判断する方法や、搭乗者52がコンソール21を操作して制御コンピュータ101に通知することで判断する方法等が実施可能である。何れの方法においても、判断後即座に2リンク脚2A、2Bを段18上に移動させても、適度な時間(例えば3秒)を経た後で移動させても良い。また、さらに接地センサ17A、17B、17C、17Dの出力変動を参考にすることで、制御コンピュータ101が、搭乗者52の動きが収まったと判断できた段階で、2リンク脚2A、2Bを段18上に制御コンピュータ101により移動させるように動作制御するようにしても良い。図4Fの状態に移行することで、脚車輪走行車は段18上に移動することになる。
ところで、図4Fの状態に移行するとき、2リンク脚2Bのゴムタイヤ9Bが接地する場所は、図4Bにおいて2リンク脚1Bのユニバーサルホイール6Bが接地した場所にあたる。2リンク脚1A、1B、2A、2Bは、それぞれ座面部11を介して接続されているので、ゴムタイヤ9A、9Bとユニバーサルホイール6A、6Bとの相対位置は制御コンピュータ101により容易に計算可能である。よって、記憶装置102に記録された動作履歴の一例としての回転角度の履歴から制御コンピュータ101により演算可能な、図4Bにおけるユニバーサルホイール6Bとゴムタイヤ9Bとの相対位置及び図4Bから図4Dに至るまでのゴムタイヤ9Bの移動量から、図4Dの状態においてゴムタイヤ9Bが図4Bにおいてユニバーサルホイール6Bが接触した地点まで移動するのに必要な相対距離を制御コンピュータ101により算出することができる。これにより、制御コンピュータ101は、この相対距離の情報を基に、段18の接地面の高さ等を予測しながら2リンク脚2Bを動作させることが可能になり、動作の高速化が図れるようになる。
次に、段18から地面97などに降りる場合には、図4A〜図4Fのサイクルと同様に、図4F〜図4Kのサイクルを行うことで、脚車輪走行車は段18より地面97などに降りることになる。図4A〜図4Fとは、高い側に移動するか低い側に移動するかが大きく違うだけで、図8のタイミングチャートに示されるように、制御状態の推移については同一であると考えることができる。それぞれ、図4Gは搭乗者52が右足部51Bを段18上から降ろしたとき、次いで、図4Hは搭乗者52が左足部51Aを段18上から降ろしたとき、次いで、図4Iは搭乗者52が右足部51Bを一歩踏み出したとき、次いで、図4Jは2リンク脚2Aが段18上から地面97などに降りたとき、次いで、図4Kは2リンク脚2Bが段18上から地面97などに降りたときの状態をそれぞれ示している。段差昇降動作が終了して平面走行を行う場合には、図6Aの下端の図から上端の図に示すように、図2Aの状態にまで変形し、走行状態に移行することになる。
以上の実施形態では、段18を昇る動作と段18を降りる動作を連続して行う場合についてのみ説明を行ったが、当然、段18を昇った図4Fの状態から走行状態に移行しても良いし、走行状態から段18を降りる動作に移行するようにしても良く、いずれにしても実施可能である。さらに、図4A〜図4Kに示される一連の動作は、搭乗者52が踏み出す足の順序を逆にした場合や、2リンク脚2A、2Bの昇降制御の順番を逆にした場合にも同様に実施可能である。また、本実施形態では支持脚に相当する2リンク脚は2A、2Bの2本だけであるが、さらに支持脚を増やすことにより脚車輪走行車の安定性を増すこともできる。また、追従制御時において、記憶装置102に記録された角度履歴と比較して、従来の段差昇降動作と大きく異なる動作が要求される場合には、異常として追従制御を停止するようにしても良い。例えば、単位時間当たりの各回転軸の回転角度の変動量及びスライドロッド14A、14Bの移動量について上限値を予めそれぞれ設定しておき、その上限値を超える場合には、異常であると制御コンピュータ101により判定して、制御コンピュータ101により前記追従制御を停止するようにしても良い。このようにすることで、搭乗者52の異常動作に対しての脚車輪走行車の安定性をより増すこともできる。さらに、このような状態になった際には、拘束バンド15A、15B、15C、15Dが解除されるようにすることで、異常動作に対して搭乗者の足部51A、51Bが不必要に拘束されることが無くなり、より搭乗者52の安全性を高めることもできる。
また、図5Aは、相対変位を計測する別の実施方法における足置き部5Aの周辺の詳細を示す側面図である。図3Aとは異なり、足置き部5A上にアレイ状の超音波方式距離センサ19Aを設け、図5Bに示すように足置き部5Aの上方に超音波96を放出し、放出された超音波96が搭乗者52の足部51で反射して戻ってきた超音波を受信することにより搭乗者52の足部51までの距離を計測するようになっている。超音波が搭乗者52の足部51Aに反射する箇所では距離が計測され、反射しない部分では距離が計測されないことから、その境界を検出することで搭乗者52の足部51Aの水平方向位置を検出することが可能になる。このような方式により相対変位を計測するのは、搭乗者52の足部51Aを拘束することなく相対変位が計測できる点で望ましい。また、距離センサについても超音波方式に限るものではなく、レーザー等の光学方式を用いた距離センサなどの同様の作用を実現するものであればいずれも実現可能である。
以上のように、前記実施形態によれば、搭乗者52の足部51A、51Bと足置き部5A、5Bとの相対変位の情報を用いて、追従脚の一例である2リンク脚1A、1Bの先端に設けられた足置き部5A、5Bが搭乗者52の足部51A、51Bに追従するようになり、搭乗者52が段差の状態を認識した上で決定した搭乗者自身の足部51A、51Bの動きに連動して脚車輪走行車の脚が動作するようになるので、段差状態の認識と脚車輪走行車の2リンク脚の動作がともに素早く行えるようになる。また、段差昇降時における搭乗者52の位置も、足置き部5Aの高さ分だけ高くなるものの、通常の歩行における高さとほぼ同等であり、脚機構の上方に座す必要が無くなっていることから、脚車輪走行車が転倒するような場合でも高所からの落下という危険が発生しなくなっている。さらに、図5Aに示す構成の場合には、搭乗者52の足部51A、51Bが、図3Aのように拘束バンド15A及び15Cで足置き部5A、5Bに拘束されることも一切なくなるので、脚車輪走行車が不安定な場合には容易に離脱することもでき、より安全が確保されることになる。従って、搭乗者52の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型の脚車輪走行車が得られることになる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
例えば、本実施形態においては、座面部11の支持部11a、11b、11c、11dに回動自在に連結される上側の端部である末端部と、ユニバーサルホイール6A、6B又はゴムタイヤ9A、9Bが回転可能に支持されている下側の端部である先端部との間隔が伸縮自在な追従脚(一例である2リンク脚1A、1B)や支持脚(一例である2リンク脚2A、2B)として、中間に揺動関節を備えた2リンク脚を用いているが、脚の構造としてはこのような2リンク脚に限定されるものではなく、直動のスライド機構を備えて伸縮する構造とした脚等、同様の作用を実現するものであれば、あらゆる公知技術の組み合わせが利用可能である。また、本実施形態においては、従動車輪にユニバーサルホイール6A、6Bを用いた構造としているが、同様にハブの外周に小径のローラを組み合わせた各種の合成型全方向車輪、球形車輪、キャスタ等の同様の作用を実現するものであれば、いずれも利用可能である。さらに、追従脚側を駆動車輪、支持脚側を従動車輪とする構成や、全ての車輪を駆動車輪とする構成としても良い。加えて、車輪を同様の作用を実現する無限軌道としても良い。
また、図3A、図3B、図3Cに示す実施形態では、伸縮自在の連結機構の一例として伸縮自在なスライドロッド14A、14Bを用いているが、連結機構はこれに限るものではなく、リンク機構や弾性体の変形によるものなど、同様の作用を実現するものであれば、あらゆる公知技術の組み合わせが利用可能である。
なお、前記様々な実施形態又は他の態様のうちの任意の実施形態又は他の態様を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる脚車輪型移動機構は、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行えるものであり、段差に対応した乗用走行車として有用である。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明は、人と協調することにより、短時間で段差を乗り越えて移動できる脚車輪型移動機構に関する。
高齢者人口の増加に伴い、個人用の小型移動機構への需要が増加してきており、その代表的なものとして、電動カートや電動車椅子等の車輪型の小型移動機構が存在する。しかし、このような小型移動機構が走行する範囲には、各種の段差が存在しており、移動における障害となっている。通常の車輪型の小型移動機構では、座面に対する車輪の位置はほぼ一定であるため、乗り越えられる段差の高さは車輪径や前輪と後輪の間隔であるホイールベースに依存することになり、10cmを越えるような段差への対応は困難となっている。
一方で、このような段差へ対応した小型移動機構として、脚型の小型移動機構が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。脚型にすることで、車輪型の小型移動機構では対応できない大きな段差への対応が可能となる。
しかし、脚型の小型移動機構では、段差以外の平地における移動性が車輪型の小型移動機構より劣るため、両者を組み合わせた脚車輪型の小型移動機構が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平11−128278号公報
特開2006−055972号公報
第23回日本ロボット学会学術講演会予稿集の1G24
脚車輪型の小型移動機構は、車輪型に近い平地走行時の特性と、脚型に近い段差昇降時の特性を併せ持つことができるが、一方で段差昇降時のような脚動作時に脚型と同様の課題を持つこととなる。脚型の小型移動機構の課題の一つとしては、搭乗者の位置が高く転倒時の危険性が高いということがある。脚型の小型移動機構の動作のためには十分な脚動作領域を確保する必要があり、搭乗者はそれを妨げない位置に座る必要があるため、搭乗者は脚機構上部の高い位置に座すことになる。このため、脚型の小型移動機構が転倒する場合には、搭乗者は高所からの落下という危険な状態にさらされることになる。さらに別の課題としては、段差昇降動作に時間がかかるということがある。段差昇降を行うためには、段差の状態を認識して安全が保てる適切な箇所に移動機構の脚を接地させる必要があるが、脚型の移動機構を搭乗者が操作する場合には、段差状態の認識は搭乗者が行うため素早く行えるが、操作が難しいため時間がかかることになる。一方、移動機構が自動で段差昇降を行う場合には、段差状態の認識が困難であるため時間がかかることになる。よって、従来の脚車輪型の小型移動機構では、安全と素早い段差昇降を両立させることが困難という課題を有することになる。
従って、本発明の目的は、かかる点に鑑み、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、座面部と、
前記座面部に追従脚末端部が回転自在に連結されるとともに、前記追従脚末端部と追従脚先端部との間隔が伸縮自在で、前記追従脚先端部に第1車輪部と足置き部を有する2本の追従脚と、
前記座面部に支持脚末端部が回転自在に連結されるとともに、前記支持脚末端部と支持脚先端部との間隔が伸縮自在で、前記支持脚先端部に第2車輪部を有する2本以上の支持脚と、
前記追従脚と前記支持脚の動作を制御する制御装置を備えた脚車輪型移動機構において、
前記2つの足置き部と搭乗者の足部との相対変位をそれぞれ計測する足位置計測部をさらに備え、
前記足置き部が前記搭乗者の足部と略同方向に移動するように、前記制御装置が、前記足位置計測部により計測された相対変位を基に追従脚を動作させることを特徴とする脚車輪型移動機構を提供する。
よって、本発明によれば、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。すなわち、本発明によれば、搭乗者の足部と足置き部との相対変位の情報を用いて、追従脚の先端に設けられた足置き部が搭乗者の足部に追従するようになり、搭乗者が段差の状態を認識した上で決定した搭乗者自身の足の動きに連動して脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)の脚が動作するようになるので、段差状態の認識と脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)の脚の動作がともに素早く行えるようになる。従って、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)が得られるようになる。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1態様によれば、座面部と、
前記座面部に追従脚末端部が回転自在に連結されるとともに、前記追従脚末端部と追従脚先端部との間隔が伸縮自在で、前記追従脚先端部に第1車輪部と足置き部を有する2本の追従脚と、
前記座面部に支持脚末端部が回転自在に連結されるとともに、前記支持脚末端部と支持脚先端部との間隔が伸縮自在で、前記支持脚先端部に第2車輪部を有する2本以上の支持脚と、
前記追従脚と前記支持脚の動作を制御する制御装置を備えた脚車輪型移動機構において、
前記2つの足置き部と搭乗者の足部との相対変位をそれぞれ計測する足位置計測部をさらに備え、
前記足置き部が前記搭乗者の前記足部と略同じ方向に移動するように、前記制御装置が、前記足位置計測部により計測された前記相対変位を基に前記追従脚を動作させることを特徴とする脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部と足置き部との相対変位の情報を用いて、追従脚の先端に設けられた足置き部が搭乗者の足部に追従するようになり、搭乗者が段差の状態を認識した上で決定した搭乗者自身の足の動きに連動して脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)の脚が動作するようになるので、段差状態の認識と脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)の脚の動作がともに素早く行えるようになる。従って、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第2態様によれば、前記足位置計測部が、前記搭乗者の前記足部と前記足置き部を連結する伸縮自在の連結機構の変形量及び変形方向を計測する相対位置計測部より構成されることを特徴とする第1の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部と足置き部が連結されることになるので、容易に搭乗者の足部と足置き部との相対変位が計測できるようになる。従って、より確実に搭乗者の足部の動きに連動して脚が動作する脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第3態様によれば、前記足位置計測部が、音波若しくは光波を用いて非接触に前記相対変位を計測する装置であることを特徴とする第1の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部と足置き部との相対変位を非接触で計測できるようになるので、搭乗者はより自由に自身の足が動かせるようになる。従って、足置き部との拘束に起因する搭乗者の転倒といった危険の少ない脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第4態様によれば、前記追従脚に設けられた第1車輪部が従動車輪であり、前記支持脚に設けられた第2車輪部が駆動車輪であることを特徴とする第1〜3のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、追従脚には車輪部を回転させるための駆動源が不要になるので、より搭乗者の足部の動きに追従脚が素早く連動できるようになるので、より段差昇降が素早く行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第5態様によれば、前記制御装置が、前記足置き部と前記搭乗者の前記足部との前記相対変位が一定範囲内に収まるように前記追従脚の変形状態を制御することを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部に追従脚が一定の間隔を保ちながら連動して動作することになるので、より確実に段差昇降が行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第6態様によれば、前記制御装置が、前記足置き部と前記搭乗者の前記足部との前記相対変位を水平成分と垂直成分に分解し、それぞれが一定範囲内に収まるように前記追従脚の変形状態を制御することを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、垂直方向の相対変位を確実に確保することができるようになるので、脚車輪型移動機構の安全性をより高めることができる。
本発明の第7態様によれば、前記2つの足置き部の接地状態をそれぞれ判定する接地判定装置をさらに設け、
前記制御装置が、前記足置き部が前記接地状態になった時点から、前記足置き部を備えた前記追従脚の変形状態を、前記足位置計測部により計測された相対変位によらずに制御し、その後、前記相対変位が一定値以上となった時点から再度、前記足置き部と前記搭乗者の前記足部との前記相対変位が一定範囲内に収まるように前記追従脚の変形状態を制御することを特徴とする第5又は6の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、足置き部が接地している追従脚が無駄な動作を行わなくなるので、より安定した段差昇降が行えるようになる。
本発明の第8態様によれば、前記一定値が、前記一定範囲内における相対変位の最大値より大きいことを特徴とする第7の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、足置き部が接地した段階で確実に追従脚が無駄な動作を行わなくなるので、より安定した段差昇降が行えるようになる。
本発明の第9態様によれば、前記搭乗者が搭乗状態であることを検知する搭乗状態判定装置をさらに設け、前記搭乗状態でかつ前記第1車輪部若しくは前記第2車輪部が回転している場合には、前記制御装置が前記足位置計測部により計測された前記相対変位によらずに前記追従脚と前記支持脚の変形状態を制御することを特徴とする第1〜8のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、車輪走行時における搭乗者の足部の動きによって、搭乗者の意図しない脚動作が行われることを防ぐことができるようになるので、より安全性の高い脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第10態様によれば、前記搭乗状態判定装置が前記座面部の座面に加わる荷重に基づいて搭乗状態であることを判定することを特徴とする第9の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者が搭乗状態にあることを容易に判定することができる。
本発明の第11態様によれば、前記制御装置が、前記走行状態では前記座面部が地面と略水平となるように前記追従脚及び前記支持脚を動作させるとともに、前記走行状態から前記制御装置が前記足位置計測部により計測された相対変位を基に追従脚を動作させる状態に移行するまでの間に前記座面部が地面に対して略垂直となるように前記追従脚及び前記支持脚を動作させることを特徴とする第1〜10のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者が段差昇降前に立位になるのが脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)により補助されるようになるので、より素早く段差昇降動作に移行することが可能になる。
本発明の第12態様によれば、前記制御装置が、前記座面部の座面を地面に対して略平行な状態から略垂直な状態となるように前記追従脚及び前記支持脚を動作させる際に、前記足置き部の角度が常に水平若しくは先端側が高くなるようにも前記制御装置が制御することを特徴とする第11の態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者が立位になる際に自然に座面にもたれかかるようになるので、より安全に段差昇降動作に移行することが可能になる。
本発明の第13態様によれば、前記制御装置が、前記追従脚が地面より離れる際に、脚車輪型移動機構のバランスを保持するように前記支持脚の変形状態を制御することを特徴とする第1〜12のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、搭乗者の足部に追従して追従脚が地面から離れる際にも、支持脚がバランスを保つように変形するので、より安定性の高い脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
本発明の第14態様によれば、前記制御装置が、前記追従脚の動作履歴を用いて前記支持脚を制御することを特徴とする第1〜13のいずれか1つの態様に記載の脚車輪型移動機構を提供する。
このような構成によれば、追従脚の動作履歴より段差の情報を得ることができるので、支持脚を動作させる際にも段差状態を認識するのが容易になり、より素早い動作で段差昇降が行える脚車輪型移動機構(例えば脚車輪走行車)を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1Aは、本発明にかかる第1実施形態の脚車輪型移動機構の一例としての脚車輪走行車の概要を示した斜視図であり、図1B、図1Cは図1Aと同様の構図において、それぞれ追従脚、支持脚に相当する部分のみを示した斜視図である。また、図2A及び図2Bは図1Aの脚車輪走行車に搭乗者52が座っている状態及び立っている状態を示す側面図である。図1A、図1B、図1Cにおいて、1A、1Bはそれぞれ追従脚の一例である2リンク脚であり、2A、2Bはそれぞれ支持脚の一例である2リンク脚である。2リンク脚1A、1Bは、前脚上リンク3A、3Bと、前脚上リンク3A、3Bよりそれぞれ長い前脚下リンク4A、4Bと、板状足置き部5A、5Bと、追従脚側の車輪部の一例として機能する従動車輪の一例であるユニバーサルホイール6A、6Bとより構成されている。また、2リンク脚2A、2Bは、後脚上リンク7A、7Bと、後脚上リンク7A、7Bより長い後脚下リンク8A、8Bと、支持脚側の車輪部の一例として機能する駆動車輪の一例であるゴムタイヤ9A、9Bとより構成されている。
図1Bに示すように、前脚上リンク3Aは、先端(図1B中、前方斜め上向きの先端)が二股に分岐して、板状座面部11の裏面から下方に延びた前側支持部11aを回動可能に挟持するとともに、基端(図1B中、後方斜め下向きの基端)の端部が前脚下リンク4Aの一端(図1B中、後方斜め上向きの一端)の端部に、回転軸10Cを中心に回転可能に連結されるとともに、前脚下リンク4A内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ62が、制御装置の一例としての制御コンピュータ101により駆動制御されることで、関節駆動用モータ62の正逆回転軸に連結された回転軸10Cの回転角度が内蔵されたエンコーダからの情報を基に制御されている。
同様に、前脚上リンク3Bは、先端(図1B中、前方斜め上向きの先端)が二股に分岐して、座面部11の裏面から下方に延びた前側支持部11bを回動可能に挟持するとともに、基端(図1B中、後方斜め下向きの基端)の端部が前脚下リンク4Bの一端(図1B中、後方斜め上向きの一端)の端部に、回転軸10Dを中心に回転可能に連結されるとともに、前脚下リンク4B内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ64が、制御コンピュータ101により駆動制御されることで、関節駆動用モータ64の正逆回転軸に連結された回転軸10Dの回転角度が制御されている。
また、図1Cに示すように、後脚上リンク7Aは、先端(図1C中、後方斜め上向きの先端)が二股に分岐して、座面部11の裏面から下方に延びた後側支持部11cを回動可能に挟持するとともに、基端(図1C中、前方斜め下向きの基端)の端部が後脚下リンク8Aの一端(図1C中、前後方向沿いの前端)の端部に、回転軸10Iを中心に回転可能に連結されるとともに、後脚下リンク8A内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ66が、制御コンピュータ101により駆動制御されることで、関節駆動用モータ66の正逆回転軸に連結された回転軸10Iの回転角度が制御されている。同様に、後脚上リンク7Bは、先端(図1C中、後方斜め上向きの先端)が二股に分岐して、座面部11の裏面から下方に延びた後側支持部11dを回動可能に挟持するとともに、基端(図1C中、前方斜め下向きの基端)の端部が後脚下リンク8Bの一端(図1C中、前後方向沿いの前端)の端部に、回転軸10Jを中心に回転可能に連結されるとともに、後脚下リンク8B内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ68が、制御コンピュータ101により駆動制御されることで、関節駆動用モータ68の正逆回転軸に連結された回転軸10Jの回転角度が制御されている。
また、後脚下リンク8A内、8Bの他端(図1C中、前後方向沿いの後端)の端部に、ゴムタイヤ9A、9Bが、それぞれ回転軸10K、10Lを中心に回転可能に取付けられており、それぞれ、後脚下リンク8A内、8B内に設けられた走行用モータ81、82が、制御コンピュータ101によりそれぞれ駆動制御されることで、関節駆動用モータ81、82の正逆回転軸に連結された回転軸10K、10Lの回転速度がそれぞれ独立して制御されている。
また、前脚下リンク4A、4Bの他端(図1B中、前方斜め下向きの他端)の端部の三股に分岐した部分の内側の二股部分には、ユニバーサルホイール6A、6Bが、それぞれ、回転軸10E、10Fを中心に回転軸10E、10Fに対して回転自在能に取り付けられて全方向車輪を構成しており、ホイール6A、6Bの外周に設けられたローラによって脚車輪走行車の左右方向の動きに対しても移動可能であるので、左右のゴムタイヤ9A、9Bの回転数を互いに異ならせることで、脚車輪走行車の旋回動作が実現できるようになっている。
また、前脚下リンク4A、4Bの他端(図1B中、前方斜め下向きの他端)の端部の三股に分岐した部分の外側の二股部分には、足置き部5A、5Bを、それぞれ回転軸10E、10Fと同軸に回転可能に取付けておれ、それぞれ前脚下リンク4A内、4B内に設けられた足置きエンコーダ内蔵の回転用モータ71、72が制御コンピュータ101によりそれぞれ駆動制御されることで、足置き回転用モータ71、72の正逆回転軸に連結された回転軸10E、10Fの回転角度がそれぞれ独立して制御されている。
さらに、前記したように、2リンク脚1A、1Bの前記端部と2リンク脚2A、2Bの前記端部は、それぞれ、座面部11の支持部11a、11b、11c、11dと、回転軸10A、10B、10G、10Hを中心に回転可能に連結されるとともに、それぞれ前脚上リンク3A内、前脚上リンク3B内、後脚上リンク7A内、後脚上リンク7B内に設けられたエンコーダ内蔵の関節駆動用モータ61、63、65、67が、制御コンピュータ101によりそれぞれ駆動制御されることで、関節駆動用モータ61、63、65、67の正逆回転軸に連結された回転軸10A、10B、10G、10Hの回転角度がそれぞれ制御されている。また、座面部11には、座面部11の中央の座面に加わる荷重を検知する荷重センサ12が設けられており、荷重センサ12が所定値以上を検出することにより、搭乗者52が座面に座っていることを検知できるようになっているとともに、座面部11の側部にはコンソール21が設けられ、搭乗者52からの指示がコンソール21を使って制御コンピュータ101に入力できるようになっている。コンソール21は、車輪走行時のコントロール及び変形方向を指示するためのジョイスティック22と、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形を指示するための変形指令ボタン23より構成されている。
図3A、図3Cは、それぞれ足置き部5A、足置き部5Bの周辺の詳細を示す側面図である。足置き部5A、足置き部5Bは、それぞれ、大略L字状板部材より構成されている。足置き部5Aの中央部のややユニバーサルホイール6Aに近い部分の側面の下部には、回転軸13Aの回転角度を検出するロータリーエンコーダ91Aを備えた回転軸13Aが回転自在に設けられている。この回転軸13Aには、伸縮自在な連結機構の一例として機能する伸縮自在なスライドロッド14Aの一端(図3Aでは下端)が連結されており、スライドロッド14Aは、内蔵されたリニアエンコーダ93Aにより、スライドロッド14Aの長さを計測可能としている。また、スライドロッド14Aの他端(図3Aでは上端)には、回転軸13Cの回転角度を検出するロータリーエンコーダ92Aを備えた回転軸13Cが連結されている。この回転軸13Cは、搭乗者52の足部51Aに甲部側拘束バンド15Aとつまさき側拘束バンド15Cにより固定可能なカバー16Aに対して回転自在に連結されている。カバー16Aは、搭乗者52の足部51Aの裏面全体を覆うようにしている。よって、前記したロータリーエンコーダ91Aとリニアエンコーダ93Aとロータリーエンコーダ92Aにより、足位置計測部90Aの一例としての相対位置計測部を構成して、足置き部5Aと搭乗者52の足部51Aとの相対変位をそれぞれ計測可能としている。同様に、足置き部5Bの中央部のややユニバーサルホイール6Aに近い部分の側面の下部には、回転軸13Bの回転角度を検出するロータリーエンコーダ91Bを備えた回転軸13Bが回転自在に設けられている。この回転軸13Bには、伸縮自在なスライドロッド14Bの一端(図3Aでは下端)が連結されており、スライドロッド14Bは、内蔵されたリニアエンコーダ93Bにより、スライドロッド14Bの長さを計測可能としている。前記したロータリーエンコーダ91Bとリニアエンコーダ93Bとにより、足位置計測部90Bの一例を構成して、足置き部5Bの位置を計測可能としている。また、スライドロッド14Bの他端(図3Aでは上端)には、回転軸13Dの回転角度を検出するロータリーエンコーダ92Bを備えた回転軸13Dが連結されている。この回転軸13Dは、搭乗者52の足部51Bに甲部側拘束バンド15Bとつまさき側拘束バンド15Dにより固定可能なカバー16Bに対して回転自在に連結されている。カバー16Bは、搭乗者52の足部51Bの裏面全体を覆うようにしている。よって、前記したロータリーエンコーダ91Bとリニアエンコーダ93Bとロータリーエンコーダ92Bにより、足位置計測部90Bの一例を構成して、足置き部5Bと搭乗者52の足部51Bとの相対変位をそれぞれ計測可能としている。
搭乗者52の足部51Aが足置き部5Aより離れた場合には、図3Bに示すようにスライドロッド14Aが延びた状態となり、スライドロッド14Aの長さ変化と回転軸13A、13Cのそれぞれの角度変化により、足位置計測部90Aで、足置き部5Aと搭乗者52の足部51Aとの相対位置が求められることになる。同様に、搭乗者52の足部51Bが足置き部5Bより離れた場合には、図3Bと同様にスライドロッド14Aが延びた状態となり、スライドロッド14Bの長さ変化と回転軸13B、13Dのそれぞれの角度変化により、足位置計測部90Bで、足置き部5Bと搭乗者52の足部51Bとの相対位置が求められることになる。
また、足置き部5Aの先端の屈曲部の下部には、地面97などに対する足置き部5Aの接触荷重を基に足置き部5Aの地面97などに対する接地を検知する接地センサ17Aが設けられるとともに、回転軸10Eの周辺には、回転軸10Eに加わる荷重を基にユニバーサルホイール6Aの地面97などに対する接地を検知する接地センサ17Cが設けられている。同様に、足置き部5Bの先端の屈曲部の下部には、地面97などに対する足置き部5Bの接触荷重を基に足置き部5Bの地面97などに対する接地を検知する接地センサ17Bが設けられるとともに、回転軸10Fの周辺には回転軸10Fに加わる荷重を基にユニバーサルホイール6Bの地面97などに対する接地を検知する接地センサ17Dが設けられている。
ちなみに、これらの接地センサ17A、17B、17C、17D(接地判定装置の一例としての機能する装置)を含めた各部と制御コンピュータ101との接続関係については、図7においてまとめて示している。なお、制御コンピュータ101には記憶装置102が接続されており、記憶装置102には、動作履歴の一例としての各回転軸の回転角度の履歴、並びに、走行形態及び座面垂直形態及び段差昇降前形態及び段差昇降動作における前記脚車輪走行車の形態などの所望の形態のそれぞれの各回転軸10A〜10D、10G〜10Jの回転角度が、制御コンピュータ101により再利用可能な形で記憶されている。
ここで、走行形態とは、図2Aに示すような、脚車輪走行車が走行するときの2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形態を意味する。座面垂直形態とは、図2Bに示すような、脚車輪走行車が走行停止して座面部11が略上下方向沿いに(地面に対して略垂直方向沿いに)向いているときの2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形態を意味する。段差昇降前形態とは、図4Aに示すような、脚車輪走行車が走行停止して座面部11が横方向沿いに向いており、搭乗者52が地面97などから段18を昇ろうとしているときの2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形態を意味する。段差昇降動作における前記脚車輪走行車の形態とは、図4Bに示すような、脚車輪走行車が走行停止して座面部11が横方向沿いに向いており、搭乗者52が段18を昇ったり降りたり又は段18の上を歩いたりするときに搭乗者52に追従するように動作制御される2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形態を意味する。
次に、制御コンピュータ101の制御の下で行なわれる、この脚車輪走行車の作用を説明する。
先ず、脚車輪走行車が平面を走行する場合には、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bは座面部11に搭乗者52が座った図2Aに示す走行形態に変形した状態となり、図9Aに示す走行モードのフローチャートに従って動作することになる。
先ず、座面部11の搭乗状態判定装置の一例である荷重センサ12により座面荷重の有無が判定され、搭乗者52が座面部11に座しているかどうかが判定される(図9AのステップS1)。具体的には、荷重センサ12が所定値(例えば10kg)以上を検出しているか否かを制御コンピュータ101により判定し、荷重センサ12が所定値以上を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に座している(すなわち、搭乗状態にある)と判定して、ステップS2に進む。逆に、荷重センサ12が所定値未満を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に座していない(すなわち、搭乗状態ではない)と判定して、ステップS6に進む。
次いで、ステップS1で座面荷重が所定値以上有り搭乗者52が座面部11に座していると判定されたときは、変形指令ボタン23による脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形指令が入力されているかどうかが制御コンピュータ101により判定される(図9AのステップS2)。変形指令が入力されていない場合には、ジョイスティック22による走行指令の有無が判定される(図9AのステップS3)。走行指令の例としては、ジョイスティック22を前又は後に倒すことによる前進指令又は後進指令、ジョイスティック22を左又は右に倒すことによる左回りの又は右回りの旋回指令等がある。このような走行指令が入力されている場合には、入力指令を実現するために必要な、後輪の駆動車輪の一例のゴムタイヤ9A、9Bのそれぞれの回転数が制御コンピュータ101により演算される(図9AのステップS4)。ジョイスティック22による走行指令が与えられない、すなわちジョイスティック22に傾きがない場合などには、ステップS6に進む。
次いで、その演算結果に基づいて、制御コンピュータ101により走行用モータ81、82が駆動制御されて、演算結果に基づくそれぞれの回転数だけゴムタイヤ9A、9Bが回転されることになる(図9AのステップS5)。脚車輪走行車の前輪は従動車輪の一例のユニバーサルホイール6A、6Bであるので、ゴムタイヤ9Aとゴムタイヤ9Bに異なる回転指令を与えることで、脚車輪走行車は左又は右に旋回することができる。通常の走行の場合、以上のフロー(図9AのステップS1〜S5)が繰り返されることになる。
一方で、荷重センサ12により座面荷重が無いと判定される、すなわち搭乗者52が座面部11に座していない場合や、ジョイスティック22による走行指令が与えられない、すなわちジョイスティック22に傾きがない場合などでは、脚車輪走行車が走行しているか否かを制御コンピュータ101により判定する(図9AのステップS6)。具体的には、走行用モータ81、82が回転駆動されているか否かを制御コンピュータ101により判定する。ステップS6で脚車輪走行車が走行している場合には、走行用モータ81、82の回転は止められ、脚車輪走行車は停止することになる(図9AのステップS7)。その後、ステップS1に戻る。ステップS6で脚車輪走行車が走行していない場合には、ステップS1に戻る。
また、ステップS2で変形指令ボタン23による変形指令が入力された場合には、脚車輪走行車が走行しているか否かを制御コンピュータ101により判定する(図9AのステップS8)。具体的には、走行用モータ81、82が回転駆動されているか否かを制御コンピュータ101により判定する。ステップS8で脚車輪走行車が走行している場合には、走行用モータ81、82の回転を止めて脚車輪走行車を停止させる(図9AのステップS9)。その後、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形モードへと移行することになる。ステップS8で脚車輪走行車が走行していない場合には、そのまま変形モードへと移行する。
前記走行モードにおいては、制御コンピュータ101が、ロータリーエンコーダ91A、91B、92A、92B及びリニアエンコーダ93A、93Bからの回転角度及び相対変位といった足位置情報にかかわらず、変形指令が入力されない限り2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形状態を維持するので、走行中に搭乗者52が足を動かした場合でも安全性に問題なく走行することが可能になる。なお、本実施形態では座面部11に設けた荷重センサ12により走行状態かどうかを判定しているが、走行状態を判定する手段はこれに限るものでなく、コンソール21における指示や、支持脚に設けられて支持脚に加わる荷重を検出する荷重センサにより検出された荷重等を用いて判定を行うようにしても良い。
次に、制御コンピュータ101の制御の下で行なわれる、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bが、図2Aに示す走行形態から図2Bに示す座面垂直形態までの変形を行う変形モードについて説明する。図9Bに変形モードのフローチャートを示す。
変形モードでも走行モードと同様に、最初に、座面部11の荷重センサ12により座面荷重の有無が判定され、搭乗者52が座面部11に体重を預けているかが判定される(図9BのステップS11)。具体的には、荷重センサ12が所定値(例えば3kg)以上を検出しているか否かを制御コンピュータ101により判定し、荷重センサ12が所定値以上を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に体重を預けていると判定して、ステップS12に進む。逆に、荷重センサ12が所定値未満を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に体重を預けていないと判定して、ステップS18に進む。
搭乗者52が座面部11に体重を預けているときは、変形指令ボタン23による変形指令が解除されたか否かを制御コンピュータ101により判定される(図9BのステップS12)。変形指令が解除されたと制御コンピュータ101により判定される場合においては、ステップS18に進む。変形指令が解除されていないと制御コンピュータ101により判定される場合においては、ステップS13に進む。
ステップS18では、脚車輪走行車が2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作を行っているか否かを制御コンピュータ101により判定する(図9BのステップS18)。脚車輪走行車が2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作を行っていると制御コンピュータ101により判定する場合には、変形動作を停止(図9BのステップS19)し、安全を確保するようになる。すなわち、ステップS18では、その前提条件として、座面荷重が無い場合か(図9BのステップS11でNoの場合)、又は、変形指令が解除されている場合(図9BのステップS12でNoの場合)であるため、このような場合に脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作が継続されるのは危険であるため、変形動作を停止して、安全を確保するようにしている。
一方、搭乗者52が座面部11に体重を預け(図9BのステップS11でYesの場合)、かつ、変形指令が継続している状態(図9BのステップS12でYesの場合)では、脚車輪走行車はジョイスティック22により指示される走行形態若しくは座面垂直形態に、制御コンピュータ101が2リンク脚1A、1B、2A、2Bの関節駆動用のモータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させることで2リンク脚1A、1B、2A、2Bが変形していくことになる(図9BのステップS13、ステップS14、ステップS20)。
具体的には、ステップS13において、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが走行形態へ変形するように指示されているか否かを制御コンピュータ101により判定する。走行形態へ変形するように指示されていると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS14に進む。走行形態へ変形するように指示されていないと制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS20に進む。
ステップS14では、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bを図2Aの走行形態へ変形させる。その後、ステップS15に進む。
ステップS15では、走行形態に到達しているか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、予め記憶装置102に記憶された走行形態での各回転軸10A〜10Jの回転角度に、各回転軸10A〜10Jが到達しているか否かを検出して制御コンピュータ101により判定すればよい。走行形態に到達していると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS16に進む。走行形態に到達していないと制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS11に戻る。
ステップS16では、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72の駆動を停止させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作を終了させる。
次いで、ステップS17では、制御コンピュータ101により、変形指令ボタン23による変形指令を解除したのち、走行モードに移行する。
一方、ステップS13において、走行形態へ変形するように指示されていないと制御コンピュータ101により判定する場合に、ステップS20において、座面垂直形態に変形させる。すなわち、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bを図2Bの座面垂直形態へ変形させる。その後、ステップS21に進む。
次いで、ステップS21では、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが座面垂直形態に到達しているか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、予め記憶装置102に記憶された座面垂直形態での各回転軸10A〜10Jの回転角度に、各回転軸10A〜10Jが到達しているか否かを検出して制御コンピュータ101により判定すればよい。座面垂直形態に到達していると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS22に進む。座面垂直形態に到達していないと制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS11に戻る。
ステップS22では、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72の駆動を停止させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作を終了させる。
次いで、ステップS23では、制御コンピュータ101により、変形指令ボタン23による変形指令を解除したのち、段差昇降モードに移行する。
変形モードでは、脚車輪走行車が搭乗者52が立位になるのを助ける効果があるので、素早く段差昇降動作に移行できるようになる。なお、変形動作中には足置き部5A、足置き部5Bが地面97となす角度を座面部11の角度と連動して変化させつつ、座面垂直形態になるまで、足置き部5A、足置き部5Bのそれぞれが、地面97と水平若しくは地面97に対して先端部例えば前端部が後端部よりも高くなるように保つことが望ましい。このようにすれば、2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形動作中の足置き部5A、足置き部5Bは、常に地面97に対して平行か又は座面部11に向けて斜め下方向きに傾斜するような角度を持った状態となるため、搭乗者52は自然にその体重を座面部11に預けるようになる。よって、搭乗者52は勝手に立ち上がること無く、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形に合わせて立ち上がるようになるので、より安全な状態で変形動作が行われるようになる。例えば、座面部11が地面97と水平の状態では足置き部5A、足置き部5Bの地面97に対する角度を30度とし、座面部11の地面97に対する角度が30度、60度と変化していくに従って、足置き部5A、足置き部5Bの地面97に対する角度を20度、10度と減少させ、座面部11が地面97に対して垂直になる時点で足置き部5A、足置き部5Bを地面97と水平とするような動作等が望ましい。
最後に、段差昇降動作を行う段差昇降モードについて説明する。図9Cに段差昇降モードのフローチャートを示す。
まず、ステップS31において、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが座面垂直形態か否かを制御コンピュータ101により判定する。座面垂直形態であると制御コンピュータ101により判定する場合にはステップS32に進む。そうでない場合には、ステップS34に進む。
次いで、ステップS32において、座面部11の荷重センサ12により座面荷重の有無が判定され、搭乗者52が座面部11に体重を預けているかどうかが判定される(図9AのステップS32)。具体的には、荷重センサ12が所定値(例えば3kg)以上を検出しているか否かを制御コンピュータ101により判定し、荷重センサ12が所定値以上を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に体重を預けていると判定して、ステップS31に戻る。逆に、荷重センサ12が所定値未満を検出しているときは、搭乗者52が座面部11に体重を預けていないと判定して、ステップS33に進む。
次いで、ステップS33において、2リンク脚1A、1B、2A、2Bを段差昇降前状態へ変形させる。すなわち、変形モードから段差昇降モードに移行した段階では、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bは図2Bに示す座面垂直形態になっており(図9CのステップS31でYes)、搭乗者52は座面部11に体重を預けた立位の状態となっている。搭乗者52が座面部11から離れて自立状態となった段階で、荷重センサ12より座面荷重が無いものと判定されると(図9CのステップS32でNo)、制御コンピュータ101が2リンク脚1A、1B、2A、2Bの関節駆動用のモータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させることで、脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bは図4Aに示す段差昇降前形態に2リンク脚1A、1B、2A、2Bが変形することになる(図9CのステップS33)。
次いで、ステップS34において、制御コンピュータ101が2リンク脚1Aの追従制御中か否かを自ら判定し、追従制御中ならばステップS43に進み、追従制御中で無いならばステップS35に進む。
次いで、ステップS35において、制御コンピュータ101が2リンク脚1Bの追従制御中か否かを自ら判定し、追従制御中ならばステップS46に進み、追従制御中で無いならばステップS36に進む。
次いで、ステップS36において、足置き部5Aと搭乗者52の左足部51Aとの相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上であるか否かを制御コンピュータ101により判定する。閾値(例えば40mm)以上であると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS45に進み、前記閾値未満ならばステップS37に進む。具体的には、ロータリーエンコーダ91Aとリニアエンコーダ93Aとロータリーエンコーダ92Aからの入力情報に基づき、足置き部5Aと搭乗者52の左足部51Aとの相対変位(例えば足置き部5Aを基準とした座標系における図3Bのカバー16Aの回転軸13Cの軸心と足置き部5Aの回転軸13Aの軸心を結ぶベクトルの現在と初期状態におけるベクトル差の大きさ)が閾値(例えば40mm)以上であるか否かを制御コンピュータ101により判定すればよい。
次いで、ステップS37において、足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上であるか否かを制御コンピュータ101により判定する。閾値(例えば40mm)以上であると制御コンピュータ101により判定する場合には、ステップS48に進み、前記閾値未満ならばステップS38に進む。具体的には、ロータリーエンコーダ91Bとリニアエンコーダ93Bとロータリーエンコーダ92Bからの入力情報に基づき、足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位(例えば足置き部5Bを基準とした座標系における図3Cのカバー16BBの回転軸13Dの軸心と足置き部5Bの回転軸13Bの軸心を結ぶベクトルの現在と初期状態におけるベクトル差の大きさ)が閾値(例えば40mm)以上であるか否かを制御コンピュータ101により判定すればよい。
次いで、ステップS38において、2リンク脚1A、1Bの昇降動作が終了しているか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、制御コンピュータ101により、後述(図4Dの説明部を参照)する終了条件が満たされているか否かを判定し、満たされている場合にはステップS39に進む。満たされていない場合にはステップS31に戻る。ここでいう2リンク脚1A、1Bの昇降動作とは、2リンク脚1A、1Bのそれぞれに対して1回以上の追従制御が行われ、足置き部5A、5Bの両方が地面97上から段18上、若しくは段18上から地面97上へ移動するような一連の動作のことを表している。
次いで、ステップS39において、制御コンピュータ101が、2リンク脚2A、2Bの昇降動作を実行済みか否かを自ら判定する。具体的には、記憶装置102に記憶された、2リンク脚1A、1Bの昇降動作が終了した時点における各回転軸10A〜10D、10G〜10Jの角度を基に制御コンピュータ101により計算された、2リンク脚1A、1Bの段差昇降による足置き部5A、5Bもしくはユニバーサルホイール6A,6Bの垂直移動量分だけ、ゴムタイヤ9A、9Bが垂直移動しているか否かを、その時点における各回転軸10A〜10D、10G〜10Jの角度を基に制御コンピュータ101により判定し、垂直移動していない場合(昇降動作が終了していない場合)にはステップS40に進み、昇降動作を行なう。垂直移動している場合(昇降動作が終了している場合)にはステップS41に進む。ここでいう2リンク脚2A、2Bの昇降動作とは、2リンク脚2A、2Bの昇降動作終了後にゴムタイヤ9A、9Bの両方を地面97上から段18上、若しくは段18上から地面97上へ移動するような一連の動作のことを表している。この動作は開始から終了まで制御コンピュータ101により自動的に実行される。
次いで、ステップS40において、2リンク脚2A、2Bの昇降動作を、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ65、66、67、68を駆動(必要に応じて各関節駆動用モータ61、62、63、64も駆動)して行なったのち、ステップS41に進む。
次いで、ステップS41において、変形指令ボタン23による脚車輪走行車の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形指令が入力されているかどうかが制御コンピュータ101により判定される。変形指令が入力されていない場合には、ステップS31に戻る。変形指令が入力されている場合には、ステップS42に進む。
次いで、ステップS42において、座面垂直形態に変形させる。すなわち、制御コンピュータ101により各関節駆動用モータ61、62、63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71、72を駆動させて、2リンク脚1A、1B、2A、2Bを図2Bの座面垂直形態へ変形させる。その後、変形モードに移行する。
一方、ステップS43においては、ステップS34で2リンク脚1Aが追従制御中である場合に足置き部5Aが地面97などに対して接地したか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、足置き部5Aの接地センサ17Aで足置き部5Aの地面97などに対する接地を検知したか否かを制御コンピュータ101により判定する。接地センサ17Aで足置き部5Aの接地を検知した場合には、ステップS44に進み、接地センサ17Aで足置き部5Aの接地を検知しなかった場合にはステップS31に戻る。
ステップS44においては、制御コンピュータ101による2リンク脚1Aの追従制御を終了したのち、ステップS31に戻る。
また、ステップS45においては、ステップS36で足置き部5Aと搭乗者52の左足部51Aとの相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上のとき、制御コンピュータ101は2リンク脚1Aの追従制御を開始する。すなわち、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが段差昇降前形態である状態から搭乗者52が例えば左足を前に出して歩き出すと、左足部51Aに足置き部5Aが追従するように制御コンピュータ101が2リンク脚1Aの関節駆動用モータ61、62及び足置き回転用モータ71を適宜駆動させることで2リンク脚1Aが追従制御を開始する。同時に、脚車輪走行車のバランスを保持するために制御コンピュータ101は、2リンク脚1B、2A、2Bの各関節駆動用モータ63、64、65、66、67、68及び足置き回転用モータ72を適宜駆動させる。その後、ステップS31に戻る。
また、ステップS48においては、ステップS37で足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上のとき、制御コンピュータ101は2リンク脚1Bの追従制御を開始する。すなわち、2リンク脚1A、1B、2A、2Bが段差昇降前形態である状態から搭乗者52が例えば右足を前に出して歩き出すと、右足部51Bに足置き部5Bが追従するように制御コンピュータ101が2リンク脚1Bの関節駆動用モータ63、64及び足置き回転用モータ72を適宜駆動させることで2リンク脚1Bが追従制御を開始する。同時に、脚車輪走行車のバランスを保持するために制御コンピュータ101は、2リンク脚1A、2A、2Bの各関節駆動用モータ61、62、65、66、67、68及び足置き回転用モータ71を適宜駆動させる。その後、ステップS31に戻る。
また、ステップS46においては、ステップS35で2リンク脚1Bが追従制御中である場合に足置き部5Bが地面97などに対して接地したか否かを制御コンピュータ101により判定する。具体的には、足置き部5Bの接地センサ17Bで足置き部5Bの地面97などに対する接地を検知したか否かを制御コンピュータ101により判定する。接地センサ17Bで足置き部5Bの接地を検知した場合には、ステップS47に進み、接地センサ17Bで足置き部5Bの接地を検知しなかった場合にはステップS31に戻る。
ステップS47においては、制御コンピュータ101による2リンク脚1Bの追従制御を終了したのち、ステップS31に戻る。
以上が、段差昇降動作を行う段差昇降モードの動作フローである。ここで、走行形態から段差昇降前形態までの2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形状変化の推移は図6Aにおいて上端の図から下端の図へ向けての流れとなる。逆に、段差昇降モードから走行モードへ移行する際の2リンク脚1A、1B、2A、2Bの形状変化の推移は、図6Aの下端の図から上端の図へ向けての流れとなり、そのような流れで走行形態に移行することになる。
次に、前記した図9Cの段差昇降モードのフローチャートを参考にしながら、図4Aの状態から実際に段差昇降動作を行う手順について説明する。ここでは、段差を昇る動作と段差を降りる動作を連続して行う場合を例として説明を行う。このときの脚車輪走行車の一連の動作の流れは図6Bに示す通りであり、図8にはそのときのタイミングチャートを示している。図6Bと図8におけるA〜Kの記号は、それぞれ図4A〜図4Kに示す状態と対応している。図4Aから図4Bに至る間では、制御コンピュータ101は、搭乗者52の右足部51Bが足置き部5Bから離れるとき、リニアエンコーダ93B及びロータリーエンコーダ91Bとロータリーエンコーダ92Bにより検出されたスライドロッド14Bの長さ及び回転軸13B、13Dの回転角度から、足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位を求める。制御コンピュータ101は、求められた相対変位があらかじめ設定された閾値(例えば40mm)以上となるまで前記検出及び相対変位の演算を継続して行なう(図9CのステップS37)。そして、閾値以上となったことが検出された段階から、足置き部5Bと搭乗者52の右足部51Bとの相対変位が一定の範囲内(例えば20mm±10mm)に収まるように、リニアエンコーダ93B及びロータリーエンコーダ91Bとロータリーエンコーダ92Bにより検出されたスライドロッド14Bの長さ及び回転軸13B、13Dの回転角度の情報を基に関節駆動用モータ63、64及び足置き回転用モータ72を駆動制御するフィードバック制御を制御コンピュータ101により行い、前記追従脚の変形状態の制御、具体的には、2リンク脚1Bによる搭乗者52の右足部51Bへの足置き部5Bの追従制御を行う(図9CのステップS48)。
足置き部5Bを追従動作させるときの相対変位については、前記相対変位が大きすぎると(例えば相対変位が50mmを越えると)追従が不十分となり、搭乗者52の段差昇降動作と足置き部5Bの追従動作とがうまく連動しなくなるため安全性が損なわれる。これに対して一方、前記相対変位が小さすぎると(例えば相対変位が10mm未満であると)搭乗者52の遊脚(右足部51B)が容易に足置き部5Bと接触するようになり、脚車輪走行車の安定が損なわれる危険性が高くなる。これらの両方の課題を解消するため、右足部51Bと足置き部5Bとの相対変位(例えば足置き部5Bを基準とした座標系における図3Cのカバー16Bの回転軸13Dの軸心と足置き部5Bの回転軸13Bの軸心を結ぶベクトルの現在と初期状態におけるベクトル差の大きさ)が10mm〜50mm程度の範囲に収まるように前記制御装置101で動作制御することが望ましい。さらに、前記制御装置101により、前記相対変位(足置き部5Bを基準とした座標系におけるベクトル)を水平成分と垂直成分に分解し、それぞれが一定の範囲内に収まるように制御することで、より安全性を高めることができる。相対変位を一定の範囲内に納めるだけでは、相対変位の水平成分が大きく垂直成分が小さい状況も発生しうるので、搭乗者52の右足部51Bと足置き部5Bとが接触しやすくなり、脚車輪走行車の安定性が損なわれやすくなる。そこで、前記制御装置101により、前記相対変位を水平成分と垂直成分に分解し、垂直成分が一定の範囲内(例えば20mm±10mm)に収まるように制御するとともに、水平成分も一定の範囲内(例えば±10mm)に収まるように制御することで、より搭乗者52の右足部51Bと足置き部5Bを接触しにくくすることができるようになり、安定性が損なわれるような状況が発生しにくくなる。
このとき、足置き部5Bの板面とカバー16Bの板面とが平行になるように追従させるのは、より近接した状態で追従制御が可能になる点で望ましい。また、足置き部5Bを地面97と平行にし、足置き部5Bとカバー16Bとの距離との最小間隔を相対距離と見なして追従制御させるのは、2リンク脚1Bが追従制御のために動作するのが容易になるとともに、地面97との接触が一様に行われるようになる点で望ましい。
その後、2リンク脚1Bの追従制御を行っている状態(図9CのステップS35)で搭乗者52の右足部51Bが段18の上面に接近していくと、足置き部5Bが段18上に接地し(図9CのステップS46)、接地センサ17B、17Dの出力から制御コンピュータ101は足置き部5Bが接地状態にあると判定することになる。接地状態になると、制御コンピュータ101は2リンク脚1Bの追従制御を終了し、2リンク脚1A、1B、2A、2Bの変形状態の維持のみを行うようになる(図9CのステップS47)。このようになると、足置き部5Bは接地した状態では無用な動作をしなくなるので、搭乗者52は右足部51Bを足置き部5B上に安全な状態で降ろすことができる。このとき、追従動作を開始する閾値(例えば40mm)を追従動作時の相対変位範囲(例えば20mm±10mm)の最大値(例えば30mm)より大きくしておくことで、接地した直後に追従動作が再開するような問題を避けることができる。
一方で、制御コンピュータ101は、関節駆動用モータ63、64と足置き回転用モータ72などの駆動装置で2リンク脚1Bの追従制御を行う(図9CのステップS47)と同時に、残る2リンク脚1A、2A、2Bの形状をそれぞれに備えられた関節駆動用モータ61、62、65、66、67、68、足置き回転用モータ71、走行用モータ81、82などの駆動装置をそれぞれ駆動制御し、脚車輪走行車のバランスを保つための動作制御を行う。2リンク脚1Bが搭乗者52の右足部51Bを追従制御する際には、脚車輪走行車が2リンク脚1A、2A、2Bの3脚で保持されるようになるので、脚車輪走行車の安定が保てる脚車輪走行車の重心位置の範囲が変化するとともに、2リンク脚1Bの変形による2リンク脚1Bの重心変化及び2リンク脚1Bの移動に合わせた座面部11の移動により、2リンク脚1A、2A、2Bは脚車輪走行車の安定を保つために変形する必要が生じる。このようなバランス保持制御には、重心位置やZMPによる安定性判別を利用した多脚ロボットの脚制御における様々な公知技術が適用可能である。図4Aの段差昇降前形態から図4Bの段差昇降開始直後の形態に至る間では、制御コンピュータ101の各駆動装置の駆動制御により2リンク脚2Bが前方に移動することで、脚車輪走行車の安定が保たれるようになっている。また、図9Cのフローチャートより明らかなように、2リンク脚1Bが追従制御を行っている場合には、2リンク脚1Aは追従制御を行うことがないので、搭乗者52がバランスを崩すなどの理由で足置き部5Aから左足部51Aが離れるような事態があった場合でも、2リンク脚1Aは脚車輪走行車のバランスを保つために動作することになり、安定性が保たれることになる。
図4Bの段差昇降開始直後の形態から図4Cの段差上の歩行形態に至る変化においては、搭乗者52の左足部51Aに左足置き部5Aが追従するように2リンク脚1Aが制御コンピュータ101により動作制御され、2リンク脚1Bがバランス保持制御されるように左右が入れ替わる点を除けば、基本的に図4Aから図4Bに至る変化と同じである(図9CのステップS36、ステップS45、ステップS34、ステップS43、ステップS44)。バランス保持制御に関しては、2リンク脚1Aの追従制御につれて、座面部11も前方に移動することから、2リンク脚2Aが前方に移動するだけではなく、2リンク脚1B、2Bも変形動作を行っている。
図4Cの段差上の歩行形態から図4Dの段差上での歩行停止形態に至る変化では、搭乗者52の右足部51Bが段18上で一歩踏み出されて搭乗者52の左足部51Aと並ぶ位置に移動している。制御的には、図4Aから図4Bに至る変化と同じであり、バランス保持制御により2リンク脚2Bが前方に移動している。図4Dの状態では、2リンク脚1B、2Bはそれぞれ2リンク脚1A、1Bと重なった位置にあるため図中には表示されていない。
そして、図4Dの状態になった段階で、搭乗者52が行うべき動作は終了(図9CのステップS38)し、制御コンピュータ101は、順次、2リンク脚2A、2Bを段18上に移動させることで、図4E、図4Fの状態とする(図9CのステップS39、ステップS40)。
搭乗者52が行うべき動作が終了、すなわち2リンク脚1A、1Bの昇降動作が終了したと判定し、2リンク脚2A、2Bを段18上に移動させる2リンク脚2A、2Bの昇降動作を開始するタイミングを判断する方法としては、段差昇降モードになってからの追従制御の実行回数を記憶装置102にカウントし、カウントした値が3となった段階で、図4C〜図4Dに至る3度目の追従制御が終了したと制御コンピュータ101が判断する方法や、各回転軸10A〜10Jの回転角度を基に2リンク脚1A、1Bが同じ形状になるなどで足置き部5A、5Bが並んだ位置に移動したことを制御コンピュータ101が検出した段階で判断する方法や、搭乗者52がコンソール21を操作して制御コンピュータ101に通知することで判断する方法等が実施可能である。何れの方法においても、判断後即座に2リンク脚2A、2Bを段18上に移動させても、適度な時間(例えば3秒)を経た後で移動させても良い。また、さらに接地センサ17A、17B、17C、17Dの出力変動を参考にすることで、制御コンピュータ101が、搭乗者52の動きが収まったと判断できた段階で、2リンク脚2A、2Bを段18上に制御コンピュータ101により移動させるように動作制御するようにしても良い。図4Fの状態に移行することで、脚車輪走行車は段18上に移動することになる。
ところで、図4Fの状態に移行するとき、2リンク脚2Bのゴムタイヤ9Bが接地する場所は、図4Bにおいて2リンク脚1Bのユニバーサルホイール6Bが接地した場所にあたる。2リンク脚1A、1B、2A、2Bは、それぞれ座面部11を介して接続されているので、ゴムタイヤ9A、9Bとユニバーサルホイール6A、6Bとの相対位置は制御コンピュータ101により容易に計算可能である。よって、記憶装置102に記録された動作履歴の一例としての回転角度の履歴から制御コンピュータ101により演算可能な、図4Bにおけるユニバーサルホイール6Bとゴムタイヤ9Bとの相対位置及び図4Bから図4Dに至るまでのゴムタイヤ9Bの移動量から、図4Dの状態においてゴムタイヤ9Bが図4Bにおいてユニバーサルホイール6Bが接触した地点まで移動するのに必要な相対距離を制御コンピュータ101により算出することができる。これにより、制御コンピュータ101は、この相対距離の情報を基に、段18の接地面の高さ等を予測しながら2リンク脚2Bを動作させることが可能になり、動作の高速化が図れるようになる。
次に、段18から地面97などに降りる場合には、図4A〜図4Fのサイクルと同様に、図4F〜図4Kのサイクルを行うことで、脚車輪走行車は段18より地面97などに降りることになる。図4A〜図4Fとは、高い側に移動するか低い側に移動するかが大きく違うだけで、図8のタイミングチャートに示されるように、制御状態の推移については同一であると考えることができる。それぞれ、図4Gは搭乗者52が右足部51Bを段18上から降ろしたとき、次いで、図4Hは搭乗者52が左足部51Aを段18上から降ろしたとき、次いで、図4Iは搭乗者52が右足部51Bを一歩踏み出したとき、次いで、図4Jは2リンク脚2Aが段18上から地面97などに降りたとき、次いで、図4Kは2リンク脚2Bが段18上から地面97などに降りたときの状態をそれぞれ示している。段差昇降動作が終了して平面走行を行う場合には、図6Aの下端の図から上端の図に示すように、図2Aの状態にまで変形し、走行状態に移行することになる。
以上の実施形態では、段18を昇る動作と段18を降りる動作を連続して行う場合についてのみ説明を行ったが、当然、段18を昇った図4Fの状態から走行状態に移行しても良いし、走行状態から段18を降りる動作に移行するようにしても良く、いずれにしても実施可能である。さらに、図4A〜図4Kに示される一連の動作は、搭乗者52が踏み出す足の順序を逆にした場合や、2リンク脚2A、2Bの昇降制御の順番を逆にした場合にも同様に実施可能である。また、本実施形態では支持脚に相当する2リンク脚は2A、2Bの2本だけであるが、さらに支持脚を増やすことにより脚車輪走行車の安定性を増すこともできる。また、追従制御時において、記憶装置102に記録された角度履歴と比較して、従来の段差昇降動作と大きく異なる動作が要求される場合には、異常として追従制御を停止するようにしても良い。例えば、単位時間当たりの各回転軸の回転角度の変動量及びスライドロッド14A、14Bの移動量について上限値を予めそれぞれ設定しておき、その上限値を超える場合には、異常であると制御コンピュータ101により判定して、制御コンピュータ101により前記追従制御を停止するようにしても良い。このようにすることで、搭乗者52の異常動作に対しての脚車輪走行車の安定性をより増すこともできる。さらに、このような状態になった際には、拘束バンド15A、15B、15C、15Dが解除されるようにすることで、異常動作に対して搭乗者の足部51A、51Bが不必要に拘束されることが無くなり、より搭乗者52の安全性を高めることもできる。
また、図5Aは、相対変位を計測する別の実施方法における足置き部5Aの周辺の詳細を示す側面図である。図3Aとは異なり、足置き部5A上にアレイ状の超音波方式距離センサ19Aを設け、図5Bに示すように足置き部5Aの上方に超音波96を放出し、放出された超音波96が搭乗者52の足部51で反射して戻ってきた超音波を受信することにより搭乗者52の足部51までの距離を計測するようになっている。超音波が搭乗者52の足部51Aに反射する箇所では距離が計測され、反射しない部分では距離が計測されないことから、その境界を検出することで搭乗者52の足部51Aの水平方向位置を検出することが可能になる。このような方式により相対変位を計測するのは、搭乗者52の足部51Aを拘束することなく相対変位が計測できる点で望ましい。また、距離センサについても超音波方式に限るものではなく、レーザー等の光学方式を用いた距離センサなどの同様の作用を実現するものであればいずれも実現可能である。
以上のように、前記実施形態によれば、搭乗者52の足部51A、51Bと足置き部5A、5Bとの相対変位の情報を用いて、追従脚の一例である2リンク脚1A、1Bの先端に設けられた足置き部5A、5Bが搭乗者52の足部51A、51Bに追従するようになり、搭乗者52が段差の状態を認識した上で決定した搭乗者自身の足部51A、51Bの動きに連動して脚車輪走行車の脚が動作するようになるので、段差状態の認識と脚車輪走行車の2リンク脚の動作がともに素早く行えるようになる。また、段差昇降時における搭乗者52の位置も、足置き部5Aの高さ分だけ高くなるものの、通常の歩行における高さとほぼ同等であり、脚機構の上方に座す必要が無くなっていることから、脚車輪走行車が転倒するような場合でも高所からの落下という危険が発生しなくなっている。さらに、図5Aに示す構成の場合には、搭乗者52の足部51A、51Bが、図3Aのように拘束バンド15A及び15Cで足置き部5A、5Bに拘束されることも一切なくなるので、脚車輪走行車が不安定な場合には容易に離脱することもでき、より安全が確保されることになる。従って、搭乗者52の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行える脚車輪型の脚車輪走行車が得られることになる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
例えば、本実施形態においては、座面部11の支持部11a、11b、11c、11dに回動自在に連結される上側の端部である末端部と、ユニバーサルホイール6A、6B又はゴムタイヤ9A、9Bが回転可能に支持されている下側の端部である先端部との間隔が伸縮自在な追従脚(一例である2リンク脚1A、1B)や支持脚(一例である2リンク脚2A、2B)として、中間に揺動関節を備えた2リンク脚を用いているが、脚の構造としてはこのような2リンク脚に限定されるものではなく、直動のスライド機構を備えて伸縮する構造とした脚等、同様の作用を実現するものであれば、あらゆる公知技術の組み合わせが利用可能である。また、本実施形態においては、従動車輪にユニバーサルホイール6A、6Bを用いた構造としているが、同様にハブの外周に小径のローラを組み合わせた各種の合成型全方向車輪、球形車輪、キャスタ等の同様の作用を実現するものであれば、いずれも利用可能である。さらに、追従脚側を駆動車輪、支持脚側を従動車輪とする構成や、全ての車輪を駆動車輪とする構成としても良い。加えて、車輪を同様の作用を実現する無限軌道としても良い。
また、図3A、図3B、図3Cに示す実施形態では、伸縮自在の連結機構の一例として伸縮自在なスライドロッド14A、14Bを用いているが、連結機構はこれに限るものではなく、リンク機構や弾性体の変形によるものなど、同様の作用を実現するものであれば、あらゆる公知技術の組み合わせが利用可能である。
なお、前記様々な実施形態又は他の態様のうちの任意の実施形態又は他の態様を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる脚車輪型移動機構は、搭乗者の安全を確保しつつ、段差昇降が素早く行えるものであり、段差に対応した乗用走行車として有用である。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。
図1Aは、本発明の第1実施形態による脚車輪走行車の概略を示す斜視図である。
図1Bは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の追従脚に相当する部分の概略を示す斜視図である。
図1Cは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の支持脚に相当する部分の概略を示す斜視図である。
図2Aは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の概略を示す側面図である。
図2Bは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の概略を示す側面図である。
図3Aは、前記脚車輪走行車の足置き部5Aの周辺の詳細を示す側面図である。
図3Bは、前記脚車輪走行車の足置き部5Aの周辺の詳細を示す側面図である。
図3Cは、前記脚車輪走行車の足置き部5Bの周辺の詳細を示す側面図である。
図4Aは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Bは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Cは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Dは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Eは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Fは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Gは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Hは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Iは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Jは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図4Kは、本発明の第1実施形態による前記脚車輪走行車の段差昇降動作の概略を示す側面図である。
図5Aは、前記脚車輪走行車における別の実施方法における足置き部5A周辺の詳細を示す側面図である。
図5Bは、前記脚車輪走行車における別の実施方法における足置き部5B周辺の詳細を示す側面図である。
図6Aは、走行形態、座面垂直形態、及び段差昇降前形態にわたる前記脚車輪走行車の形態の推移を示す図である。
図6Bは、段差昇降動作における前記脚車輪走行車の形態の推移を示す図である。
図7は、前記脚車輪走行車における制御コンピュータと各部との接続関係を示す図である。
図8は、前記脚車輪走行車の段差昇降動作におけるタイミングチャートである。
図9Aは、前記脚車輪走行車の走行モードにおけるフローチャートである。
図9Bは、前記脚車輪走行車の変形モードにおけるフローチャートである。
図9Cは、前記脚車輪走行車の段差昇降モードにおけるフローチャートである。