JP2007223399A - 車両 - Google Patents

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修昭 三木
Munehisa Horiguchi
宗久 堀口
Takumi Tachibana
巧 立花
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62KCYCLES; CYCLE FRAMES; CYCLE STEERING DEVICES; RIDER-OPERATED TERMINAL CONTROLS SPECIALLY ADAPTED FOR CYCLES; CYCLE AXLE SUSPENSIONS; CYCLE SIDE-CARS, FORECARS, OR THE LIKE
    • B62K11/00Motorcycles, engine-assisted cycles or motor scooters with one or two wheels
    • B62K11/007Automatic balancing machines with single main ground engaging wheel or coaxial wheels supporting a rider

Abstract

【課題】倒立振り子によって姿勢制御を行う車両でありながら、通常走行では通行できない段差が出現した場合であっても、その段差を昇降することのできる車両を提供すること。
【解決手段】本発明の車両によれば、段差検出手段によって段差が検出された場合には、バランサ接地手段によってバランサが路面に接地され、昇降制御手段によって、姿勢制御手段による姿勢制御を行いつつ、路面に接地されたバランサを支点として、車体の昇降が行われる。ここで、バランサは回転可能に設けられているので、段差が検出された場合には、路面に接地させたバランサを補助輪として機能させ、その補助輪を支点とすることによって、二輪車両では通常昇降し得ない段差の昇降の昇降が可能となる。その結果、昇降が不可能な段差を回避するための動作が不要となり、時間的及びエネルギー的な無駄を抑制することができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、倒立振り子による姿勢制御を利用する車両に関し、倒立振り子の構成を利用することによって段差の昇降を可能とした車両に関する。
近年、倒立振り子による姿勢制御を利用した車両(以下、単に「倒立振り子車両」と称する)が実用化されつつあり、この倒立振り子車両における姿勢制御に関する種々の技術が提案されている。
例えば、特開2004−276727号公報(特許文献1)には、同軸上に配置された2つの駆動輪を有し、運転者の重心移動による駆動輪の姿勢を感知して駆動する技術が提案されている。
また、特開2004−129435号公報(特許文献2)には、1個の車輪により移動する搬送装置において、筺体の角度に基づいてカウンタウェイトを移動させて重心移動を行うことによって、筺体の姿勢を保つ技術が開示されている。
これらの特許文献1に記載される人用移動機器や特許文献2に記載される搬送装置を始めとする倒立振り子車両は、運転者の重心移動量やリモコン操作量に応じた駆動力を発生させ、前後方向(進行方向とその逆方向)のバランス保持のための姿勢制御を行いながら走行するように構成されている。
特許文献1に記載される二輪車や特許文献1に記載される一輪車の場合には、乗員の傾き又は乗員が搭乗する搭乗部の傾斜によって車両の重心が移動するので、バランサの移動方向を、車両の重心移動方向と反対方向とすることによって姿勢の制御を行っている。
特開2004−276727号公報 特開2004−129435号公報
しかしながら、倒立振り子によって姿勢制御を行う車両は、特許文献1や特許文献2に記載されるような1輪又は2輪車であるので、進路上にある程度以上の高さ又は低さの段差があった場合には、その段差を超えることができずに、段差のない場所を通るように遠回りしなければならなず、時間的及びエネルギー的な無駄が生じるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、倒立振り子によって姿勢制御を行う車両でありながら、通常走行では通行できない段差が出現した場合であっても、その段差を昇降することのできる車両を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の車両は、乗員が乗車可能な搭乗部を含む車体と、前記車体に設けられる一対の車輪と、前記車輪を駆動する車輪駆動手段と、回転可能に設けられたバランサと、そのバランサの位置を制御するバランサ制御手段と、前記車体の傾きを検出する傾斜検出手段と、その傾斜検出手段によって検出した傾きに応じて、前記車輪駆動制御手段及び/又は前記バランサ制御手段を用いて前記車体の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、路面の段差を検出する段差検出手段と、その段差検出手段により段差が検出された場合に、前記バランサを路面に接地させるバランサ接地手段と、前記姿勢制御手段による姿勢制御を行いつつ、前記バランサ接地手段により接地させた前記バランサを支点として、前記車体を昇降させる昇降制御手段とを備えている。
請求項2記載の車両は、請求項1記載の車両において、車体に設けられた回動軸を中心として回動するアームを備え、前記バランサ位置制御手段は、前記アームの回動によって前記バランサの位置を制御し、前記昇降制御手段は、前記バランサ接地手段によりバランサを接地させた状態で、前記アームを回動させることによって前記車体を昇降させる。
請求項3記載の車両は、請求項1又は2に記載の車両において、車体に設けられた回動軸を中心として回動するアームと、前記アームを伸縮させるアーム伸縮手段とを備え、前記バランサ制御手段は、前記アームの回動によって前記バランサの位置を制御し、前記昇降制御手段は、前記バランサ接地手段によりバランサを接地させた状態で、前記アームを伸縮させることによって前記車体を昇降させる。
請求項4記載の車両は、請求項1から3のいずれかに記載の車両において、前記バランサに回転駆動力を付与するバランサ駆動手段を備え、前記昇降制御手段は、前記バランサ制御手段によって前記バランサを駆動させる、又は、前記バランサの回転を抑制することにより、前記車体を昇降させる。
請求項1記載の車両によれば、車輪駆動手段によって車輪が駆動された場合に、傾斜検出手段により検出された車体の傾きに応じて、(1)車輪駆動手段による車輪の駆動と及び/又は(2)バランサ制御手段によるバランサの位置の制御によって(即ち、上記(1)及び(2)の両方によって、あるいは、(1)又は(2)によって)、車体の姿勢制御がなされる。
その一方で、段差検出手段によって段差が検出された場合には、バランサ接地手段によってバランサが路面に接地され、昇降制御手段によって、姿勢制御手段による姿勢制御を行いつつ、路面に接地されたバランサを支点として、車体の昇降が行われる。なお、、バランサ制御手段によってバランサが接地される「路面」とは、段差を超える前の路面か、段差上(段差下)の路面のいずれかである。
ここで、バランサは回転可能に設けられているので、段差が検出された場合には、路面に接地させたバランサを補助輪として機能させ、その補助輪を支点とすることによって、二輪車両では通常昇降し得ない段差の昇降の昇降が可能となる。その結果、昇降が不可能な段差を回避するための動作が不要となり、時間的及びエネルギー的な無駄を抑制することができるという効果がある。
また、請求項1記載の車両よれば、一対の車輪を有する二輪車を、都合に応じて、バランサを補助輪とする三輪車として使い分けることができる。即ち、静止時や通常走行時には、低燃費で機敏に走行し得る省スペース車として二輪車を使用することができ、その一方で、通常では昇降し得ない段差が進路上にあった場合に、三輪車に変態させることによって、段差の昇降を可能にすることができるという効果がある。
また、バランサが、バランサ制御手段によって位置が制御されて倒立振り子の錘として機能すると共に、上記した補助輪としても機能するので、倒立振り子と補助輪とを別々に設ける必要がなく、部品点数の低減による構造の簡素化を図ることができると共に、設置スペース的に有利である。その結果、部品コストや組立コストなどのコスト削減を図ることができると共に、軽量化及び小型化を図ることができるという効果がある。
なお、請求項1において、「バランサを支点として、車体を昇降させる」ことのできる昇降形態としては、例えば、(1)バランサを路面に接地させた上で、路面より高い段差の側壁面に車輪を接触させ、車輪駆動手段によって車輪を進行方向に駆動させること、(2)バランサを路面に接地させた上で、バランサを支持するアームの長さをアクチュエータによって伸長又は短縮させること、(3)バランサを路面に接地させた上で、バランサを支持するアームを、バランサが路面(段差を超える前の路面、又は段差上(段差下)の路面)を押す方向に回動させること、(4)バランサを路面に接地させた上で、バランサ駆動手段によってバランサを回転駆動させること、(5)バランサを路面に接地させた上で、バランサ駆動手段によってバランサの回転を抑制させること、などを適宜組み合わせて実施される種々の昇降形態が挙げられる。また、各昇降形態は、バランサを路面に接地させる場合に、段差を超える前の路面、又は段差上(段差下)のいずれかに接地させるかによっても異なる昇降形態として形成される。
また、請求項1において、「段差を検出する段差検出手段」としては、例えば、ミリ波レーダ、及びレーザレーダなどの対物検出可能な各種レーダや、超音波センサ、赤外線センサ、及び車輪や回転子に設けた接地荷重センサなどの対物検出可能な各種センサ、車載カメラなどが挙げられる。
請求項2記載の車両によれば、請求項1記載の車両の奏する効果に加えて、昇降制御手段による車体の昇降が、バランサ接地手段によりバランサを路面に接地させた状態で、バランサ位置制御手段によって回動軸を中心としてアームを回動させることにより行われる。
ここで、例えば、バランサが車輪に対して進行方向とは反対側の路面に接地された場合には、その状態でアームが回動された結果として、バランサが路面を押すことになる。すると、上向きの反力が車体に付与され、その反力がバランサを支点として車体を持ち上げるための力として作用し、その結果として、有効に車体を昇段させ得るという効果がある。
一方で、バランサが路面より高い段差上の路面に接地された場合に、その状態でアームが回動された結果として、車体が段差上に接地されたバランサを軸として持ち上げられて、最終的に車両を段差上の路面に昇段させることができるという効果がある。
また、バランサが路面より低い段差下の路面に接地された場合に、その状態でアームが回動された結果として、車体が段差上に接地されたバランサを軸として持ち上げられて、最終的に車両を段差下の路面に降段させることができるという効果がある。
請求項3記載の車両によれば、請求項1又は2に記載の車両の奏する効果に加えて、昇降制御手段による車体の昇降が、バランサ接地手段によりバランサを路面に接地させた状態で、アーム伸縮手段によってアームを伸縮させることにより行われる。
よって、アームの長さが伸縮可能であるので、車体本体から支点までの長さを長くすることができ、昇降可能な段差の高さの上限を上げることができるという効果がある。
また、アームの長さが伸縮可能であるので、通常走行時にはアームの長さを短くし、段差昇降時にはアームの長さを長くすることができるので、アームや回転子などから構成される倒立振り子兼補助輪を、設置スペースとして有利な搭乗部(座席)の下などに設定することができるという効果がある。
また、バランサを路面に接地させた状態で、アームの長さをアーム伸縮手段によって伸長させた場合、アクチュエータの伸長によって、上方向の力が車両に付与されることになる。よって、そのように車両に付与される上方向の力が、バランサを支点として車体を持ち上げるための力として作用し、その結果として、有効に車体を昇段させ得るという効果がある。
同様に、例えば、バランサを段差下の路面に接地させた状態で、アームの長さをアーム伸縮手段によって短縮させた場合、アームによる支持力によって、車体が段差下へ急激に降下することを防止できるので、車体を段差下の路面へ安定に降段させることができるという効果がある。
請求項4記載の車両によれば、請求項1から3のいずれかの車両の奏する効果に加えて、昇降制御手段による車体の昇降が、バランサ接地手段によりバランサを路面に接地させた状態で、バランサ制御手段によってバランサを駆動させるか、バランサの回転を抑制するかにより行われる。
ここで、例えば、バランサが車輪に対して進行方向とは反対側の路面に接地された場合に、バランサ駆動手段によるバランサの回転駆動方向が進行方向であれば、進行方向の力が車両に付与されることになる。よって、そのように車両に付与される進行方向の力が、バランサを支点として車体を持ち上げるための力として作用し、その結果として、有効に車体を昇段させ得るという効果がある。
一方で、例えば、バランサが段差下の路面に接地された場合に、バランサ駆動手段によるバランサの回転駆動方向が進行方向と逆方向であれば、降段の際に、車体が段差から落下することを防止すると共に、段差の側表面への車輪の接触を維持させることができる。その結果、車体がアームによって確実に支持され、安定に車体を段差表面に下ろすことができるという効果がある。
あるいは、例えば、バランサがが車輪に対して進行方向とは反対側の路面に接地された場合に、支点となるバランサの回転が抑制されることにより、支点の安定性が向上する。よって、安定した状態で車体を昇段させることができるという効果がある。
一方で、例えば、バランサが段差下の路面に接地された場合に、支点となるバランサの回転が抑制されることによって、降段の際に、車体が段差から落下することを防止すると共に、段差の側表面への車輪の接触を維持させることができる。その結果、車体がアームによって確実に支持され、安定に車体を段差表面に下ろすことができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の一実施の形態における車両1の正面図であり、図1(b)は、車両1の側面図である。また、図2(a)は、図1(a)を簡略化した正面図であり、図2(b)は、図1(b)を簡略化した側面図である。
図1及び図2における矢印U−D,L−R,F−Bは、それぞれ、車両1の上下方向、左右方向、前後方向を示している。
なお、図1では、乗員Pが座席11aに着座した状態を示し、図2では乗員Pを省略している。また、図2(a)では、図面の簡略化と後述するバランサ部16全体を図示する目的で、フットレスト11cなどの一部構成を省略している。さらに、図2(b)では、図2(a)において省略されている部分に加え、左車輪12Lや左側の支持部材14が省略されている。
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、乗員Pが乗車する搭乗部11と、その搭乗部11の下方(図1下側)における同軸上に配置される左右(一対)の車輪12L,12Rと、それら左右の車輪12L,12Rに回転駆動力を付与することで、本願発明の車輪駆動手段として機能する回転駆動装置52とを備え、回転駆動装置52による両車輪12L,12Rの駆動によって走行するものである。
また、車両1は、左右の車輪12L,12R間に配置され、本願発明のバランサ制御手段として機能するバランサ駆動装置53と、そのバランサ駆動装置53により位置が制御されるバランサ部16とを備えており、車両1が通常の走行を行う際には、バランサ部16を倒立振り子として機能させることによって、搭乗部11の姿勢制御を行うように構成されている。
また、詳細は後述するが、車両1の進路上に段差(路面より高い段差又は低い段差)が検出された場合には、バランサ部16を路面又は段差表面(段差上又は段差下の表面)に接地させて補助輪として機能させることによって、車両1が該段差を昇降できるように構成されている。
次いで、各部の詳細構成について説明する。搭乗部11は、図1に示すように、左右の回転駆動装置52(52L,52R)に固定された支持部材14により支持されており、座席11a、アームレスト11b、フットレスト11cを主に備えている。
座席11aは、車両1の走行中に乗員Pが着座するための部位であり、乗員Pの尻部を支持する座面部11a1と、乗員Pの背部を支持する背面部11a2とを主に備えて構成されている。
座席11aの左右両側(矢印L側及び矢印R側)には、図1に示すように、乗員Pの上腕部を支持するための一対のアームレスト11bが設けられている。アームレスト11bの一方(矢印R側)には、ジョイスティック装置51が取着されている。乗員Pは、ジョイスティック装置51を操作して、車両1の走行状態(例えば、進行方向、走行速度制動又は停止、旋回方向、旋回半径、など)を指示する。
座席11aの前方側(矢印F側)下方には、図1に示すように、乗員Pの足部を支持するためのフットレスト11cが配設されている。また、座席11aの底面側(矢印D側)には、ケース41が配設されており、このケース41には、制御装置70(図9参照)、ジャイロセンサ61(図9参照)などの各種センサ装置、インバータ装置(図示せず)、バッテリー装置(図示せず)などが収納されている。ここで、図示しないバッテリー装置は、回転駆動装置52やバランサ駆動装置53の駆動源であると共に、制御装置70に制御用の低電圧電源を供給する装置である。なお、本実施の形態では、制御装置70などを収納するケース41を、座席11aの底面側に配設するように構成したが、これらを収納するケースが座席11aの後方側(矢印B側)に設けられる構成であってもよい。
バランサ駆動装置53は、アーム回転モータ53aによる駆動力を用いてバランサ部16の位置を制御する装置であり、右車輪12Rを駆動する回転駆動装置52(Rモータ52R)に固定された支持部材18により、間接的に搭乗部11に固定されている。また、このバランサ駆動装置53は、バランサ部16のアーム16aの回動軸となる軸部材53bが、右車輪12Rの回転軸と同軸上に位置するように取り付けられている。
図2に示すように、バランサ部16は、軸部材53bの先端に接続されたアーム16aと、そのアーム16における軸部材53bとは反対側の端部に、軸部材16c回りに自由回転可能に取り付けられたタイヤ状(円環状)又は円筒状のウェイト16b(本願発明におけるバランサに該当する)と、アーム16aを伸縮させるアクチュエータ16dとから構成されている。
このバランサ部16は、アーム回転モータ53a(図9参照)の駆動に起因する軸部材53の回転に伴いアーム16aが軸部材53bを中心として回動され、その回動によってウェイト16bを前後方向(矢印F−B方向)に振り、それによって搭乗部11の姿勢制御を図るバランサ(倒立振り子)としての機能を果たす。
また、本実施の形態のバランサ部16は、本願発明の段差検出手段として機能するミリ波レーダ装置65(図9参照)によって車両1の進路上に段差が検出された場合には、アーム16aの回動によってウェイト16bを路面又は段差表面(段差上又は段差下の表面)に接地させて、ウェイト16bを、該段差を昇段するために車両1を持ち上げるため、又は、該段差を降段するための支点となる補助輪として機能させることができる。なお、このバランサ部16を用いた段差の昇降については、図3〜図8を参照しつつ後述する。
バランサ部16のアーム16aの長さは、本願発明のアーム伸縮手段として機能するアクチュエータ16dによって伸縮できるように構成されているので、車両1の持ち上げ又は降下の際に、支点となるウェイト16bから車両1の本体部分(搭乗部11や車輪12など)までの長さを長くすることができる。その結果として、昇降可能な段差の高さの上限が高くなり、昇段可能な段差の範囲が広がる。
このように、アクチュエータ16dの存在によって、段差昇降時には昇段可能な段差の範囲を広げることができる一方で、通常走行時にはアーム16aの長さを短くし、搭乗部11の下方の設置スペースに納めることができる。よって、通常の状態では車両1を小型に保ちつつも、段差の昇降時には広い範囲の段差を昇降することを可能とすることができる。
なお、本実施の形態で使用されるアクチュエータ16d(本願発明のアーム伸縮手段として機能するもの)は、伸縮式の電動アクチュエータ、即ち、ボールねじ機構(外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、そのねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有しねじ軸に嵌合されるナットと、それらナットとねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、ねじ軸又はナットを回転駆動する電動モータとを備え、ねじ軸又はナットが電動モータにより回転駆動されることで、ねじ軸がナットに対して相対移動する機構)を利用した伸縮可能な電動アクチュエータとして構成されている。
また、上記のように、本実施の形態のバランサ部16におけるウェイト16bは、倒立振り子のウェイトとしての役割を果たすだけでなく、補助輪の車輪としての役割を果たすので、車輪として一般的に利用される材質(例えば、ゴム(ブタジエンゴム、ウレタンゴムなど)や、金属など)から構成されるものであることが好ましい。
次に、図3〜図8を参照して、バランサ部16を用いた段差の昇降について、具体的に例示する。なお、図3〜図8は、いずれも、上記した図1及び図2の場合と同様に、矢印U−D,L−R,F−Bは、それぞれ、車両1の上下方向、左右方向、前後方向を示している。また、図3〜図8は、いずれも、図面を簡略化する目的及び後述するバランサ部16全体を図示する目的で、座席11aに着座している乗員Pを省略している共に、フットレスト11cや左車輪12Lや左側の支持部材14などの一部構成を省略している。
図3は、バランサ部16を用いて段差100を昇段する場合の第1の昇段形態を説明するための側面図である。なお、この第1の昇段形態による昇段は、後述する第1昇段制御処理(図12参照)によって制御される。
この第1の昇段形態による昇段では、まず、車輪12(12L,12R)を段差100の側壁面100bに接地させた状態で停止した後(図4(a)に示した状態)、図3(a)に示すように、アーム回転モータ53a(図9参照)を逆転駆動させる。それによって、バランサ部16を前方側(矢印F側)へ回動させて、ウェイト16bを段差表面100a(段差上の表面)に接地させる。
図3(b)に示すように、ウェイト16bを段差表面100aに接地させたら、ブレーキロック機構54b(図9参照)によって、ウェイト16bにブレーキロックをかけた上で、アーム回転モータ53aを逆転駆動させることによって、ウェイト16bを段差表面100aに押し付ける。
このように、ウェイト16bを段差表面100aに押し付けた結果、ウェイト16bを支点として車両1が持ち上げられる。その後、アーム回転モータ53aの逆転駆動に伴って、次第に、段差表面100a上へと移動されていく(図3(c)における軌跡を示す矢印参照)。
このように、車両1が、アーム回転モータ53aの逆転駆動に伴って、段差表面100a上へと移動されると、最終的に、図3(c)に示すように、車輪12が段差100の段差表面100aに接地し、これによって、車両1による段差100の昇段が完了する。
昇段の完了後は、アーム回転モータ53a(図9参照)を所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を前方側(矢印F側)へ回動して鉛直上向きに戻すことによって、引き続き、倒立振り子として機能させることができる。
図4は、バランサ部16を用いて段差100を昇段する場合の第2の昇段形態を説明するための側面図である。なお、この第2の昇段形態による昇段は、後述する第2昇段制御処理(図13参照)によって制御される。
この第2の昇段形態による昇段では、まず、図4(a)に示すように、車輪12(12L,12R)を段差100の側壁面100bに接地させた状態で停止し、次いで、図4(b)に示すように、アーム回転モータ53a(図9参照)を正転駆動させることによって、バランサ部16を後方側(矢印B側)へ回動させて、ウェイト16bを路面200に接地させる。ウェイト16bを路面200に接地させたら、ブレーキロック機構54b(図9参照)によって、ウェイト16bにブレーキロックをかける。
ウェイト16bにブレーキロックをかけた後、図4(c)に示すように、回転駆動装置52(図9参照)によって車輪12(12L,12R)を正転駆動させる。すると、正転する車輪12とその車輪12に接している側壁面100bとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力を推進力として、車両1が側壁面100bから段差表面100aへと押し進められる。その結果として、ウェイト16bを支点として、車輪12が側壁面100bに沿って乗り上がっていく。即ち、正転する車輪12と側壁面100bとの間に生じた摩擦力を推進力として利用することによって、図4(c)に示すように、車両1は、ウェイト16bを支点として、路面200から持ち上げられていくことになるのである。
なお、このとき、ウェイト16bを支点として車両1が路面200から持ち上げられつつ、前進(矢印F方向)するにつれて、ウェイト16b(バランサ部16)もまた前方へ移動することになる。ここで、ウェイト16bにはブレーキロックがかかっているので、ウェイト16bは、車両1の持ち上げを支えるための支点として安定に機能することになる。
その後、車輪12の正転駆動をさらに継続すると、最終的に、図4(d)に示すように、車輪12が段差100の段差表面100aに接地し、これによって、車両1による段差100の昇段が完了する。
昇段の完了後は、アーム回転モータ53a(図9参照)を所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を前方側(矢印F側)へ回動して鉛直上向きに戻すことによって(図4(d))、引き続き、倒立振り子として機能させることができる。
図5は、バランサ部16を用いて段差100を昇段する場合の第3の昇段形態を説明するための側面図である。なお、この第3の昇段形態による昇段は、後述する第3昇段制御処理(図14参照)によって制御される。
この第3の昇段形態による昇段では、まず、上記した第2の昇段形態と同様に、車輪12(12L,12R)を段差100の側壁面100bに接地させた状態で停止した後(図4(a)に示した状態)、アーム回転モータ53a(図9参照)を正転駆動させることによって、バランサ部16を後方側(矢印B側)へ回動させて、ウェイト16bを路面200に接地させる(図4(b)に示した状態)。ウェイト16bを路面200に接地させたら、ブレーキロック機構54b(図9参照)によって、ウェイト16bにブレーキロックをかける。
ウェイト16bにブレーキロックをかけた後、図5(a)に示すように、アーム回転モータ53aを正転駆動することによって、ウェイト16bで路面200を押し付けつつ、回転駆動装置52(図9参照)によって車輪12(12L,12R)を正転駆動させる。
その結果、正転する車輪12とその車輪12に接している側壁面100bとの間に摩擦力摩擦力が、車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力として作用すると共に、ウェイト16bが路面200を押し付けたことによって上向きの反力が生じる。よって、これらの力(摩擦力によって生じた推進力、及び反力)を利用することにより、図5(b)に示すように、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられていくことになる。
この場合もまた、上記した第2の昇段形態と同様に、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられつつ、前進(矢印F方向)するにつれて、ウェイト16bもまた前方へ移動することになる。ここで、ウェイト16bにはブレーキロックがかかっているので、ウェイト16bは、車両1の持ち上げを支えるための支点として安定に機能することになる。
この第3の昇段形態では、車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力(車輪12と側壁面100bとの間に生じる摩擦力)だけでなく、ウェイト16bを路面200に押し付けたことによって生じた反力を、昇段する際の力として利用している。よって、上記した第2の昇段形態による昇段にに比べて、ウェイト16bを支点として車両1を持ち上げる力が強くなり、その結果として、より効率的な昇段が可能となる。
その後、車輪12の正転駆動と、路面200へのウェイト16bの押し付けとをさらに継続すると、最終的に、図5(c)に示すように、車輪12が段差100の段差表面100aに接地し、これによって、車両1による段差100の昇段が完了する。
昇段の完了後は、アーム回転モータ53a(図9参照)を所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を前方側(矢印F側)へ回動して鉛直上向きに戻し(図5(c))、倒立振り子として機能させる。
図6は、バランサ部16を用いて段差100を昇段する場合の第4の昇段形態を説明するための側面図である。なお、この第4の昇段形態による昇段は、後述する第4昇段制御処理(図15参照)によって制御される。
この第4の昇段形態による昇段では、まず、上記した第2の昇段形態と同様に、車輪12(12L,12R)を段差100の側壁面100bに接地させた状態で停止した後(図4(a)に示した状態)、アーム回転モータ53a(図9参照)を正転駆動して、バランサ部16を後方側(矢印B側)へ回動させ、ウェイト16bを路面200に接地させる(図4(b)に示した状態)。
ウェイト16bを路面200に接地させた後、図6(a)に示すように、回転駆動装置52(図9参照)によって車輪12(12L,12R)を正転駆動させると共に、ウェイト駆動モータ54a(図9参照)の正転駆動によってウェイト16bを正転駆動させる。
その結果、正転する車輪12とその車輪12に接している側壁面100bとの間に生じた摩擦力が、車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力として作用すると共に、ウェイト16bと路面200との間に生じた摩擦力によって車両1を前方へ押し進める推進力(前進力)が生じる。よって、これらの力を利用することにより、図6(b)に示すように、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられていくことになる。
この第4の昇段形態では、車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力(車輪12と側壁面100bとの間に生じる摩擦力)だけでなく、ウェイト16bを正転駆動させた結果として生じた前進力を、昇段する際の力として利用している。よって、上記した第2の昇段形態による昇段にに比べて、ウェイト16bを支点として車両1を持ち上げる力が強くなり、その結果として、より効率的な昇段が可能となる。
その後、車輪12及びウェイト16bの正転駆動をさらに継続すると、最終的に、図6(c)に示すように、車輪12が段差100の段差表面100aに接地し、これによって、車両1による段差100の昇段が完了する。
昇段の完了後は、アーム回転モータ53a(図9参照)を所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を前方側(矢印F側)へ回動して鉛直上向きに戻し(図6(c))、倒立振り子として機能させる。
図7は、バランサ部16を用いて段差100を昇段する場合の第5の昇段形態を説明するための側面図である。なお、この第5の昇段形態による昇段は、後述する第5昇段制御処理(図16参照)によって制御される。
この第5の昇段形態による昇段では、まず、上記した第2の昇段形態と同様に、車輪12(12L,12R)を段差100の側壁面100bに接地させた状態で停止した後(図4(a)に示した状態)、アーム回転モータ53a(図9参照)を正転駆動して、バランサ部16を後方側(矢印B側)へ回動させ、ウェイト16bを路面200に接地させる(図4(b)に示した状態)。ウェイト16bを路面200に接地させたら、ブレーキロック機構54b(図9参照)によって、ウェイト16bにブレーキロックをかける。
ウェイト16bにブレーキロックをかけた後、図7(a)に示すように、アクチュエータ16d(図9参照)を伸長させることによって、アーム16aの長さを伸長させつつ、回転駆動装置52(図9参照)によって車輪12(12L,12R)を正転駆動させる。
ここで、車両1における進行方向とは反対側(矢印B側)に接地されたウェイト16bを支点として、アクチュエータ16dが伸長させた場合、車両1には、前方向(矢印F側)及び上方向(矢印U側)へ向かう力が付与される。よって、このようにアクチュエータ16dの伸長によって付与される力を、車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力(車輪12と側壁面100bとの間に生じる摩擦力)共に利用することにより、図7(a)に示すように、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられていくことになる。
この場合もまた、上記した第2の昇段形態と同様に、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられつつ、前進(矢印F方向)するにつれて、ウェイト16bもまた前方へ移動することになる。ここで、ウェイト16bにはブレーキロックがかかっているので、ウェイト16bは、車両1の持ち上げを支えるための支点として安定に機能することになる。
この第5の昇段形態では、車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力(車輪12と側壁面100bとの間に生じる摩擦力)だけでなく、アクチュエータの伸長によって付与される力を、昇段する際の力として利用している。よって、第2の昇段形態による昇段にに比べて、ウェイト16bを支点として車両1を持ち上げる力が強くなり、その結果として、より効率的な昇段が可能となる。
また、アクチュエータ16dの伸長によって、アーム16aの長さが伸長されるので、昇段可能な段差の高さの上限が高くなり、昇段可能な段差の範囲が広がる。従って、上記した第2〜第4の昇段形態のように、アクチュエータ16dを作動させない場合に比べて、より高い段差であっても昇段することが可能となるという利点がある。
その後、車輪12の正転駆動及びアクチュエータ16dの伸長をさらに継続すると、最終的に、図7(b)に示すように、車輪12が段差100の段差表面100aに接地し、これによって、車両1による段差100の昇段が完了する。
昇段の完了後は、アクチュエータ16d(図9参照)を短縮させることによって、アーム16aの長さを短縮させつつ、アーム回転モータ53a(図9参照)を所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を前方側(矢印F側)へ回動して鉛直上向きに戻し(図7(c))、倒立振り子として機能させる。
図8は、バランサ部16を用いて段差100を降段する場合の一例を説明するための側面図である。なお、図8によって示す段差の降段は、後述する降段制御処理(図17参照)によって制御される。
段差を降段する場合、まず、図8(a)に示すように、車輪12(12L,12R)を段差100の先端限界位置に到達させた状態で停止する。なお、車輪12が段差100の先端限界位置に到達したかは、ミリ波レーダ装置65(図9参照)によって検出される。
次いで、図8(b)に示すように、アクチュエータ16d(図9参照)を伸長させることによって、アーム16aの長さを伸長させつつ、アーム回転モータ53a(図9参照)を逆転駆動させることによって、バランサ部16を前方側(矢印F側)へ回動させて、ウェイト16bを、ウェイト16bを段差表面100c(段差下の表面)に接地させる。ウェイト16bを段差表面100cに接地させたら、ブレーキロック機構54b(図9参照)によって、ウェイト16bにブレーキロックをかける。
ウェイト16bにブレーキロックをかけた後、図8(c)及び図8(d)に示すように、アクチュエータ16d(図9参照)を短縮させることによって、アーム16aの長さを短縮させつつ、回転駆動装置52(図9参照)によって車輪12(12L,12R)を正転駆動させる。その結果として、車両1は、ウェイト16bを支点として、路面200から段差表面100cへと降段されることになる。
なお、この場合、車輪12の正転駆動及びアクチュエータ16dの短縮は、側壁面100bへの車輪12の接触した状態を維持しつつ行われる。よって、車輪12と側壁面100bとの間に生じる摩擦力と、アーム16aがウェイト16bを支点として車両1を支える力とによって、車両1が段差下へ急激に降下することを防止でき、車両1を路面200から段差表面100cへと安定に降段させることができるのである。
ここで、ウェイト16bを支点として車両1が路面200から降段されつつ、前進(矢印F方向)するにつれて、ウェイト16b(バランサ部16)もまた前方へ移動することになるが、ウェイト16bにはブレーキロックがかかっているので、車輪12と側壁面100bとの接触を確実に維持することができる。
そして、車輪12の正転駆動及びアクチュエータ16dの短縮をさらに継続すると、最終的に、図8(c)に示すように、車輪12が段差表面100cに接地し、これによって、車両1による段差100の降段が完了する。
降段の完了後は、アーム回転モータ53a(図9参照)を所定量だけ正転駆動することによって、バランサ部16を後方側(矢印B側)へ回動して鉛直上向きに戻すことによって、引き続き、倒立振り子として機能させることができる。
次いで、図9を参照して、上記のように段差を昇降可能な車両1の電気的構成について説明する。図9は、車両1の電気的構成を示すブロック図である。
制御装置70は、車両1の各部を制御するための制御装置であり、図9に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらはバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、ジョイスティック装置51等の複数の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置であり、ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図10〜図18に示すフローチャート)や固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリである。
また、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、昇降フラグ73aを備えている。この昇降フラグ73aは、車両1が段差100の昇降を開始するか否かを示すフラグであり、図10を参照しつつ後述するメイン処理において、段差100の存在が検出された場合に、その段差100が昇降可能であると判断されるとオンされる。その後、各種昇段処理又は降段処理(図12〜図17参照)の実行によって、車両1による段差100の昇降が完了するとオフされる。なお、制御装置70への電源投入時に、この昇降フラグ73aはオフに初期設定される。
この制御装置70に対し、ジョイスティック装置15及びジャイロセンサ61から、乗員Pにより指定される走行状態(例えば、進行方向、走行速度、制動又は停止、旋回方向、旋回半径、など)、並びに、搭乗部11の姿勢(傾斜状態)に関する情報が供給される構成となっており、これらの情報に応じた制御信号が、回転駆動装置52及びバランサ駆動装置53へ出力され、その結果として、走行及び姿勢の制御が行われることとなる。
ジョイスティック装置51は、上述したように、車両1を運転する際に乗員Pが操作する装置であり、乗員Pにより操作される操作レバー(図1参照)と、その操作レバーの操作状態を検出するための前後センサ51a及び左右センサ(図示せず)と、前後センサ51a及び左右センサ(図示せず)の検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
前後センサ51aは、操作レバーの前後方向(図1における矢印F−B方向)への操作状態(操作量)を検出するためのセンサであり、CPU71は、前後センサ51aの検出結果(操作レバーの前後操作量)に基づいて、回転駆動装置52の駆動状態を制御する。これにより、車両1は、乗員Pによる操作レバーの前後操作量に応じた走行速度で走行される。
一方で、図示されない左右センサは、操作レバーの左右方向(図1における矢印L−R方向)への操作状態(操作量)を検出するためのセンサであり、CPU71は、この左右センサの検出結果(操作レバーの左右操作量)に基づいて、回転駆動装置52の駆動状態を制御する。これにより、車両1は、乗員Pが指示した旋回半径で旋回される。
即ち、操作レバーが左右方向に操作されると、CPU71は、左右センサ51bの検出結果に基づいて、旋回方向と旋回半径とを判断し、旋回半径に応じて左右の車輪12L,12Rが差動されるように、回転駆動装置52を駆動制御する。なお、本実施の形態では、左右の車輪12L,12Rの中心線は互いに平行に保持されており、左右に操舵されることはないが、操舵機構を設ける構成であってもよい。
回転駆動装置52は、上述したように、左右の車輪12L,12Rを回転駆動させるための駆動装置であり、左車輪12Lに回転駆動力を付与するホイールモータであるLモータ52Lと、右車輪12Rに回転駆動力を付与するホイールモータであるRモータ52Rと、それら各モータ52L,52RをCPU71から出力される駆動トルク、速度、回転向きなどの各種信号に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)とを主に備えて構成されている。
バランサ駆動装置53は、バランサ部16を駆動する装置であり、バランサ部16の駆動源であるアーム回転モータ53aと、そのアーム回転モータ53aの回転力を軸部材53bに伝える減速機構(図示せず)と、アーム回転モータ53aをCPU71から出力される駆動トルク、速度、回転向きなどの各種信号に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)とを主に備えて構成されている。
ウェイト駆動装置54は、ウェイト16bを回転駆動させるための駆動装置であり、左車輪12Lに回転駆動力を付与するホイールモータであるウェイト駆動モータ54aと、ウェイト駆動モータ54aをCPU71から出力される駆動トルク、速度、回転向きなどの各種信号に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)と、ウェイト16bの回転をロックするブレーキロック機構54bとを主に備えて構成されている。
アクチュエータ装置160は、上述したように、バランサ部16におけるアーム16aを伸縮するアクチュエータ16dを駆動するための装置であり、アクチュエータ16dと、CPU71からの駆動信号に基づいてアクチュエータ16dを駆動制御する駆動回路(図示せず)とを主に備えて構成されている。
ジャイロセンサ61は、搭乗部11の姿勢(傾斜状態)を検出する姿勢検出センサであり、搭乗部11の傾斜に基づく物理量として、搭乗部11の傾斜角度θ及び角加速度θ’の値を検出し、その検出結果をCPU71へ出力する。
なお、ジャイロセンサ61により検出される傾斜角度θは、搭乗部11が車両1の前方側(図1における矢印F側)に傾斜する場合に正の値(θ>0)で表され、車両1の後方側(図1における矢印B側)に傾斜する場合に負の値(θ<0)で表される。
ミリ波レーダ装置65は、対象物までの距離の計測を行い、その結果をCPU71へ出力する装置であり、ミリ波(30GHz〜300GHz程度の電磁波)を発信する発信部(図示せず)と、対象物から反射してきた電磁波を受信する受信部(図示せず)と、その受信部で受信した電磁波に基づいて、元信号との周波数差を計測する計測部(図示せず)とから構成されるものである。
なお、本実施形態では、搭乗部11の下側面(図1における矢印U側)の前方(図1における矢印F側)及び後方(図1における矢印B側)にそれぞれ1台ずつのミリ波レーダ装置43が設けられており、車両1の進行方向(前方又は後方)における段差100の存在を検出することができると共に、路面200に対する段差表面100a又は段差表面100cの高さを計測することができる。
また、図9に示す他の入出力装置55としては、各種情報を乗員Pに報知する表示装置や、車輪12が路面200又は段差表面100a,100cに接地したことを検出する接地荷重センサ装置や、車輪12が側壁面100bに接触したことを検出する接触センサ装置や、ウェイト16bが、路面200又は段差表面100a,100cに接地したことを検出する接地荷重センサ装置などが例示される。
次に、図10〜図18のフローチャートを参照して、上記のように構成される本実施の形態の車両1における制御装置70によって行われる処理について説明する。図10は、車両1の制御装置70(CPU71)で実行されるメイン処理を示すフローチャートである。なお、この図10に示すメイン処理は、制御装置70に電源が投入されると起動する処理である。
図10に示すように、このメイン処理では、まず、車両1が停止中であるかを確認し(S1)、停止中であれば(S1;No)、処理をS1へ戻し、乗員Pによるジョイスティック装置51の操作によって何らかの指示が行われるまで待機する。
一方で、S1の処理により確認した結果、停止中でなければ、即ち、乗員Pによるジョイスティック装置51の操作によって何らかの指示があった場合には(S1:Yes)、乗員Pによるジョイスティック装置51の操作によって指示されている車両1の進行方向が前進であるかを確認する(S2)。
S2により確認した結果、乗員Pの操作によって指示されている進行方向が前進であれば(S2:Yes(前進))、昇降フラグ73aがオンであるかを確認し(S3)、昇降フラグ73aがオフであれば(S3:No)、ミリ波レーダ装置65により前方に段差100が検出されたかを確認する(S6)。
S6の処理により確認した結果、前方に段差100が検出された場合には(S6:Yes)、路面200に対する段差100の高さを、ミリ波レーダ65の検出結果に基づいて取得し(S7)、取得された段差100の高さが、車両1が昇降可能な高さであるかを確認する(S8)。なお、S8において、段差100の高さが車両1が昇降可能な高さであるか否かの判断は、例えば、アーム16aの最大長さなどの車両1のスペックに応じて予め規定された値に基づいて行うことができる。
S8の処理により確認した結果、段差100の高さが車両1が昇降可能な高さであれば(S8:Yes)、昇降フラグ73aをオンして、処理をS1へ移行する。一方で、段差100の高さが車両1が昇降可能な高さでなければ(S8:No)、図示されない表示装置(入出力装置55の一部)に昇降不可能であることを表示することによって、乗員Pに昇段不可能であることを報知し(S11)、前進を停止して(S12)、処理をS1へ移行する。
一方で、S3の処理により確認した結果、昇降フラグ37aがオンであれば(S3:Yes)、車両1に段差100を昇段又は降段させる昇降制御処理を行い(S4)、処理をS1へ移行する。なお、この昇降制御処理(S4)における詳細な処理については、図11を参照しつつ後述する。
また、S6の処理により確認した結果、段差100の検出が確認されなかった場合には(S6:No)、バランサ部16を倒立振り子として機能させることによって搭乗部11の姿勢制御を行いつつ、車両1を通常走行させる倒立振り子制御処理を実行し(S10)、処理をS1へ移行する。なお、この倒立振り子制御処理(S10)における詳細な処理については、図18を参照しつつ後述する。
また、S2の処理により確認した結果、乗員Pの操作によって指示されている進行方向が前進以外(バックや旋回等)であれば(S2:No(バック、旋回等))、乗員Pの指示に応じたバックや旋回などを実行する各処理を実行し(S5)、処理をS1へ移行する。
次に、図11を参照して、上記した昇降制御処理(S4)について説明する。図11は、メイン処理(図10参照)の中で実行される昇降制御処理(S4)を示すフローチャートである。
図11に示すように、この昇降制御処理(S4)では、まず、S7において取得された段差100の高さが正の値であるかを確認し(S21)、(段差100の高さ)<0であれば(S21:No)、後述する降段制御処理(S26)を実行し、車両1を路面200から段上表面100cへ降段させて(図8参照)、この昇降制御処理(S4)を終了する。なお、この降段制御処理(S26)における詳細な処理については、図17を参照しつつ後述する。
一方で、S21の処理により確認した結果、(段差100の高さ)>0であれば(S21:Yes)、図示しない接触センサ装置(入出力装置55の一部)によって車輪12が段差100の側壁面100bに接したかを確認する(S22)。S22の処理により確認した結果、車輪12と側壁面100bとが接していなければ(S22:No)、車両1の前進の結果として車輪12が段差100の側壁面100bに接したことが確認されるまで、S22の処理による確認を繰り返す。
そして、S22の処理により確認した結果、車輪12と側壁面100bとが接していれば(S22:Yes)、回転駆動装置52による車輪12の駆動を停止して前進を停止し(S23)、S7において取得された段差100の高さが、第1閾値(例えば、車輪12の直径の1/5)未満であるかを確認し(S24)、(段差100の高さ)<第1閾値であれば(S24:Yes)、上記した第1の昇段形態(図3参照)で段差100を昇段させる第1昇段制御処理を実行し(S25)、この昇降制御処理(S4)を終了する。なお、この第1昇段制御処理(S25)における詳細な処理については、図12を参照しつつ後述する。
一方で、S24の処理により確認した結果、(段差100の高さ)≧第1閾値であれば(S24:No)、段差100の高さが、第2閾値(例えば、車輪12の直径の1/4)未満であるかを確認する(S27)。S27の処理により確認した結果、(段差100の高さ)<第2閾値であれば(S27:Yes)、上記した第2の昇段形態(図4参照)で段差100を昇段させる第2昇段制御処理を実行し(S28)、この昇降制御処理(S4)を終了する。なお、この第2昇段制御処理(S28)における詳細な処理については、図13を参照しつつ後述する。
また、S27の処理により確認した結果、(段差100の高さ)≧第2閾値であれば(S27:No)、段差100の高さが、第3閾値(例えば、車輪12の直径の1/3)未満であるかを確認する(S29)。S29の処理により確認した結果、(段差100の高さ)<第3閾値であれば(S29:Yes)、上記した第3の昇段形態(図5参照)で段差100を昇段させる第3昇段制御処理を実行し(S30)、この昇降制御処理(S4)を終了する。なお、この第3昇段制御処理(S30)における詳細な処理については、図14を参照しつつ後述する。
また、S29の処理により確認した結果、(段差100の高さ)≧第3閾値であれば(S29:No)、段差100の高さが、第4閾値(例えば、車輪12の直径の2/3)未満であるかを確認する(S31)。S30の処理により確認した結果、(段差100の高さ)<第4閾値であれば(S31:Yes)、上記した第4の昇段形態(図6参照)で段差100を昇段させる第4昇段制御処理を実行し(S32)、この昇降制御処理(S4)を終了する。なお、この第4昇段制御処理(S32)における詳細な処理については、図15を参照しつつ後述する。
一方で、S31の処理により確認した結果、(段差100の高さ)≧第4閾値であれば(S31:No)、上記した第5の昇段形態(図7参照)で段差100を昇段させる第5昇段制御処理を実行し(S33)、この昇降制御処理(S4)を終了する。なお、この第5昇段制御処理(S33)における詳細な処理については、図16を参照しつつ後述する。
次に、図12のフローチャートを参照して、上記した第1昇段制御処理(S25)について説明する。図12は、昇降制御処理(図11参照)の中で実行される第1昇段制御処理(S25)を示すフローチャートである。
図12に示すように、この第1昇段制御処理(S25)では、まず、アーム回転モータ53aを逆転駆動する(S41)。S41の処理後、図示しない接地荷重センサ装置(入出力装置55の一部)によってウェイト16bが段差表面100aに接地されたかを確認する(S42)。
S42の処理により確認した結果、ウェイト16bが段差表面100aに接地していなければ(S42:No)、アーム回転モータ53aによる逆転駆動の結果としてウェイト16bが段差表面100aにしたことが確認されるまで、S42の処理による確認を繰り返す。
そして、S42の処理により確認した結果、ウェイト16bが段差表面100aに接地していれば(S42:Yes)、アーム回転モータ53aの駆動を停止し(S43)、ブレーキロック機構54bによって、ウェイト16bにブレーキロックをかける(S44)。
S44の処理後、再度、アーム回転モータ53aを逆転駆動する(S45)。このS45の処理の結果として、ウェイト16bが段差表面100aに押し付けられ、ウェイト16bを支点として、車両1が持ち上げられる。
S45の処理後、図示しない接地荷重センサ装置(入出力装置55の一部)によって車輪12(12L.12R)が段差表面100aに接地されたかを確認し(S46)、車輪12が段差表面100aに接地していなければ(S46:No)、アーム回転モータ53aによる逆転駆動の結果として車輪12が段差表面100aにしたことが確認されるまで、S46の処理による確認を繰り返す。その結果、アーム回転モータ53aの逆転駆動に伴って、次第に、車両1は段差表面100a上へと移動されていく。
そして、S46の処理により確認した結果、車輪12が段差表面100aに接地していれば(S46:Yes)、アーム回転モータ53aの駆動を停止する(S47)。
S47の処理後、再度、アーム回転モータ53aを所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を鉛直上向きに戻し(S48)、昇降フラグ73aをオフして(S49)、この第1昇段制御処理(S25)を終了する。この第1昇段制御処理(S25)の実行によって、車両1は、上記した図3(a)→図3(b)→図3(c)の順で、段差100を昇段し、段差表面100a上に到達する。
なお、この第1昇段制御処理(S25)が開始されると、バランサ部16は倒立振り子としてではなく、補助輪として機能することになるので、この第1昇段制御処理(S25)の実行中は、ジャイロセンサ61により検出される傾斜角度θに基づいてアーム回転モータ53aの駆動量を演算によって求めることにより適宜調整し、それによって搭乗部11の姿勢制御を行いつつ車両1を昇段させる。
次に、図13のフローチャートを参照して、上記した第2昇段制御処理(S28)について説明する。図13は、昇降制御処理(図11参照)の中で実行される第2昇段制御処理(S28)を示すフローチャートである。
図13に示すように、この第2昇段制御処理(S28)では、まず、アーム回転モータ53aを正転駆動する(S61)。S61の処理後、図示しない接地荷重センサ装置(入出力装置55の一部)によってウェイト16bが路面200に接地されたかを確認する(S62)。
S62の処理により確認した結果、ウェイト16bが段差表面100aに接地していなければ(S62:No)、アーム回転モータ53aによる正転駆動の結果としてウェイト16bが路面200にしたことが確認されるまで、S62の処理による確認を繰り返す。
そして、S62の処理により確認した結果、ウェイト16bが路面200に接地していれば(S62:Yes)、アーム回転モータ53aの駆動を停止し(S63)、ブレーキロック機構54bによって、ウェイト16bにブレーキロックをかける(S64)。
S64の処理後、回転駆動装置52によって車輪12(12L,12R)を正転駆動する(S65)。このS65の処理が実行されると、正転する車輪12とその車輪12に接している側壁面100bとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力を推進力として、車両1が側壁面100bから段差表面100aへと押し進められる。その結果、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられる。
S65の処理後、昇段が完了したかを確認する(S66)。S66において、昇段の完了下か否かの判断は、例えば、ミリ波レーダ装置65による前後方向の状況の検出に基づいて、車両1が段上表面100aに到達したか否かを判断することによって行うことができる。S66の処理により確認した結果、昇段が未だ完了していなければ(S66:No)、回転駆動装置52による車輪12の正転駆動の結果として、昇段が完了したことが確認されるまで、S66による確認を繰り返す。その結果、車輪12の正転に伴って、車両1は、ウェイト16bを支点として、段差表面100aへと次第に乗り上がっていく。
そして、S66の処理により確認した結果、昇段完了であれば(S66:Yes)、回転駆動装置52による車輪12の駆動を停止し(S67)、アーム回転モータ53aを所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を鉛直上向きに戻し(S68)、昇降フラグ73aをオフして(S69)、この第2昇段制御処理(S28)を終了する。この第2昇段制御処理(S28)の実行によって、車両1は、上記した図4(a)→図4(b)→図4(c)→図4(d)の順で、段差100を昇段し、段差表面100a上に到達する。
なお、この第2昇段制御処理(S28)が開始されると、バランサ部16は倒立振り子としてではなく、補助輪として機能することになるので、この第2昇段制御処理(S28)の実行中は、ジャイロセンサ61により検出される傾斜角度θに基づいて回転駆動装置52(Lモータ52L,Rモータ52R)の駆動量を演算によって求めることにより適宜調整し、それによって搭乗部11の姿勢制御を行いつつ車両1を昇段させる。
次に、図14のフローチャートを参照して、上記した第3昇段制御処理(S30)について説明する。図14は、昇降制御処理(図11参照)の中で実行される第3昇段制御処理(S30)を示すフローチャートである。
図14に示すように、この第3昇段制御処理(S28)では、まず、アーム回転モータ53aを正転駆動する(S81)。S81の処理後、図示しない接地荷重センサ装置(入出力装置55の一部)によってウェイト16bが路面200に接地されたかを確認する(S82)。
S82の処理により確認した結果、ウェイト16bが段差表面100aに接地していなければ(S82:No)、アーム回転モータ53aによる正転駆動の結果としてウェイト16bが路面200にしたことが確認されるまで、S82の処理による確認を繰り返す。そして、S82の処理により確認した結果、ウェイト16bが路面200に接地していれば(S82:Yes)、アーム回転モータ53aの駆動を停止し(S83)、ブレーキロック機構54bによって、ウェイト16bにブレーキロックをかける(S84)。
S84の処理後、アーム回転モータ53aを所定量だけ正転駆動する(S85)。S85の処理によって、ウェイト16bが路面200に押し付けられ、その結果として、上向きの反力が生じることになる。なお、S85でアーム回転モータ53aを駆動する「所定量」は、所定の反力が得られるように予め規定されている量である。
S85の処理後、回転駆動装置52によって車輪12(12L,12R)を正転駆動する(S86)。このS86の処理が実行されると、正転する車輪12とその車輪12に接している側壁面100bとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力によって生じる車両1の推進力と、S85の処理の結果として生じた上向きの反力とによって、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられることになる。
S86の処理後、上記した第2昇段制御処理におけるS66と同様に、昇段が完了したかを確認し(S87)、昇段が未だ完了していなければ(S87:No)、回転駆動装置52による車輪12の正転駆動の結果として、昇段が完了したことが確認されるまで、S87による確認を繰り返す。その結果、車輪12の正転及び路面200へのウェイト16bの押し付けに伴って、車両1は、ウェイト16bを支点として、段差表面100aへと次第に乗り上がっていく。
そして、S87の処理により確認した結果、昇段完了であれば(S87:Yes)、回転駆動装置52による車輪12の駆動を停止し(S88)、アーム回転モータ53aの駆動を停止する(S89)。次いで、アーム回転モータ53aを所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を鉛直上向きに戻し(S90)、昇降フラグ73aをオフして(S91)、この第3昇段制御処理(S30)を終了する。この第3昇段制御処理(S30)の実行によって、車両1は、上記した図5(a)→図5(b)→図5(c)の順で、段差100を昇段し、段差表面100a上に到達する。
なお、この第3昇段制御処理(S30)が開始されると、バランサ部16は倒立振り子としてではなく、補助輪として機能することになるので、この第3昇段制御処理(S30)の実行中は、ジャイロセンサ61により検出される傾斜角度θに基づいて回転駆動装置52(Lモータ52L,Rモータ52R)の駆動量を演算によって求めることにより適宜調整し、それによって搭乗部11の姿勢制御を行いつつ車両1を昇段させる。
次に、図15のフローチャートを参照して、上記した第4昇段制御処理(S32)について説明する。図15は、昇降制御処理(図11参照)の中で実行される第4昇段制御処理(S32)を示すフローチャートである。
図15に示すように、この第4昇段制御処理(S32)では、まず、アーム回転モータ53aを正転駆動する(S101)。S101の処理後、図示しない接地荷重センサ装置(入出力装置55の一部)によってウェイト16bが路面200に接地されたかを確認する(S102)。
S102の処理により確認した結果、ウェイト16bが段差表面100aに接地していなければ(S102:No)、アーム回転モータ53aによる正転駆動の結果としてウェイト16bが路面200にしたことが確認されるまで、S102の処理による確認を繰り返す。そして、S102の処理により確認した結果、ウェイト16bが路面200に接地していれば(S102:Yes)、アーム回転モータ53aの駆動を停止する(S103)。
S103の処理後、回転駆動装置52によって車輪12(12L,12R)を正転駆動し(S104)、ウェイト駆動モータ54aの正転駆動によってウェイト16bを正転駆動する(S105)。
S104及びS105の処理によって、正転する車輪12とその車輪12に接している側壁面100bとの間に生じた摩擦力が、車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力として作用すると共に、ウェイト16bと路面200との間に生じる摩擦力によって車両1を前へ押し進める推進力(前進力)が生じる。これらの力が作用した結果として、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられることになる。
S105の処理後、上記した第2昇段制御処理におけるS66と同様に、昇段が完了したかを確認し(S106)、昇段が未だ完了していなければ(S106:No)、回転駆動装置52による車輪12の正転駆動と、ウェイト駆動モータ54aによるウェイト16bの正転駆動との結果として、昇段が完了したことが確認されるまで、S106による確認を繰り返す。その結果、車輪12の正転及びウェイト16bの正転に伴って、車両1は、ウェイト16bを支点として、段差表面100aへと次第に乗り上がっていく。
そして、S106の処理により確認した結果、昇段完了であれば(S106:Yes)、回転駆動装置52による車輪12の駆動を停止し(S107)、ウェイト16bの回転駆動を停止する(S108)。S108の処理後、アーム回転モータ53aを所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を鉛直上向きに戻し(S109)、昇降フラグ73aをオフして(S110)、この第4昇段制御処理(S32)を終了する。この第4昇段制御処理(S32)の実行によって、車両1は、上記した図6(a)→図6(b)→図6(c)の順で、段差100を昇段し、段差表面100a上に到達する。
なお、この第4昇段制御処理(S32)が開始されると、バランサ部16は倒立振り子としてではなく、補助輪として機能することになるので、この第4昇段制御処理(S32)の実行中は、ジャイロセンサ61により検出される傾斜角度θに基づいて回転駆動装置52(Lモータ52L,Rモータ52R)の駆動量を演算によって求めることにより適宜調整し、それによって搭乗部11の姿勢制御を行いつつ車両1を昇段させる。
次に、図16のフローチャートを参照して、上記した第5昇段制御処理(S33)について説明する。図16は、昇降制御処理(図11参照)の中で実行される第5昇段制御処理(S33)を示すフローチャートである。
図16に示すように、この第5昇段制御処理(S33)では、まず、アーム回転モータ53aを正転駆動する(S121)。S121の処理後、図示しない接地荷重センサ装置(入出力装置55の一部)によってウェイト16bが路面200に接地されたかを確認する(S122)。
S122の処理により確認した結果、ウェイト16bが路面200に接地していなければ(S122:No)、アーム回転モータ53aによる正転駆動の結果としてウェイト16bが路面200にしたことが確認されるまで、S122の処理による確認を繰り返す。そして、S122の処理により確認した結果、ウェイト16bが路面200に接地していれば(S122:Yes)、アーム回転モータ53aの駆動を停止し(S123)、ブレーキロック機構54bによって、ウェイト16bにブレーキロックをかける(S124)。
S124の処理後、回転駆動装置52によって車輪12(12L,12R)を正転駆動する(S125)。すると、正転する車輪12とその車輪12に接している側壁面100bとの間に生じた摩擦力が、車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力となって、ウェイト16bを支点として、車両1が路面200から持ち上げられる。
次いで、S125の処理の結果として車両1が路面200から上昇した度合い(車両1の上昇度)に応じて、アクチュエータ16dを伸長することによって、アーム16aの長さを伸長する(S126)。なお、このS126において、「車両1の上昇度」は、例えば、ミリ波レーダ装置65による路面200までの距離の差分を所定時間毎(例えば、0.1s毎)に行うことによって取得することができる。
S126の処理によって、車両1には、前方向及び上方向へ向かう力が付与されるので、この力を、S125の結果として生じた車両1を側壁面100bから段差表面100aに押し進める推進力(車輪12と側壁面100bとの間に生じる摩擦力)と共に利用することにより、車両1が路面200から次第に持ち上げられていく。
S126の処理後、上記した第2昇段制御処理におけるS66と同様に、昇段が完了したかを確認し(S127)、昇段が未だ完了していなければ(S127:No)、回転駆動装置52による車輪12の正転駆動と、アクチュエータ16dの伸長によるアーム16aの伸長との結果として、昇段が完了したことが確認されるまで、S127による確認を繰り返す。その結果、車輪12の正転及びアーム16aの伸長に伴って、車両1は、ウェイト16bを支点として、段差表面100aへと次第に乗り上がっていく。
そして、S127の処理により確認した結果、昇段完了であれば(S127:Yes)、回転駆動装置52による車輪12の駆動を停止し(S128)、アクチュエータ16dの短縮によってアーム16aの長さを短縮する(S129)。S129の処理後、アーム回転モータ53aを所定量だけ逆転駆動することによって、バランサ部16を鉛直上向きに戻し(S130)、昇降フラグ73aをオフして(S131)、この第5昇段制御処理(S33)を終了する。この第5昇段制御処理(S33)の実行によって、車両1は、上記した図7(a)→図7(b)→図7(c)の順で、段差100を昇段し、段差表面100a上に到達する。
なお、この第5昇段制御処理(S33)が開始されると、バランサ部16は倒立振り子としてではなく、補助輪として機能することになるので、この第5昇段制御処理(S35)の実行中は、ジャイロセンサ61により検出される傾斜角度θに基づいて回転駆動装置52(Lモータ52L,Rモータ52R)の駆動量を演算によって求めることにより適宜調整し、それによって搭乗部11の姿勢制御を行いつつ車両1を昇段させる。
次に、図17のフローチャートを参照して、上記した降段制御処理(S26)について説明する。図17は、昇降制御処理(図11参照)の中で実行される降段制御処理(S26)を示すフローチャートである。
図17に示すように、この降段制御処理(S26)では、まず、車輪12が段差100の先端限界位置に到達したかを確認する(S161)。なお、S161において、車輪12が段差100の先端限界位置に到達したか否かの判断は、例えば、ミリ波レーダ装置65による前後方向の状況の検出に基づいて行うことができる。
S161の処理により確認した結果、車輪12が段差100の先端限界位置に未だ到達していなければ(S161:No)、回転駆動装置52による車輪12の正転駆動の結果として、車輪12が段差100の先端限界位置に到達したことが確認されるまで、S161による確認を繰り返す。
一方で、S161の処理により確認した結果、車輪12が段差100の先端限界位置に到達していれば(S161:Yes)、回転駆動装置52による車輪12の駆動を停止して前進を停止し(S162)、アーム回転モータ53aを逆転駆動させることによってアーム16aを回動させると共に、アクチュエータ16dを伸長させることによってアーム16aを伸長させる(S163)。
S163の処理後、図示しない接地荷重センサ装置(入出力装置55の一部)によってウェイト16bが段差表面100cに接地されたかを確認する(S164)。S164の処理により確認した結果、ウェイト16bが、段差表面100cに接地していなければ(S164:No)、アーム回転モータ53aによる逆転駆動と、アクチュエータ16dの伸長の結果としてウェイト16bが段差表面100cにしたことが確認されるまで、S164の処理による確認を繰り返す。
そして、S164の処理により確認した結果、ウェイト16bが段差表面100cに接地していれば(S164:Yes)、アーム回転モータ53aを停止し(S165)、ブレーキロック機構54bによって、ウェイト16bにブレーキロックをかける(S166)。
S166の処理後、回転駆動装置52によって車輪12(12L,12R)を正転駆動する(S167)。このS167の処理の結果として、車両1は、ウェイト16bを支点として、路面200から段差表面100cへと降段されることになる。
次いで、S167の処理の結果として車両1が路面200から下降した度合い(車両1の下降度)に応じて、アクチュエータ16dを短縮することによって、アーム16aの長さを短縮する(S168)。このS168において、「車両1の下降度」は、例えば、ミリ波レーダ装置65による路面200又は段差表面100cまでの距離の差分を所定時間毎(例えば、0.1s毎)に行うことによって取得することができる。
なお、S168における、車輪12の正転駆動及びアクチュエータ16dの短縮は、側壁面100bへの車輪12の接触した状態を維持しつつ行う。例えば、図示しない接触センサ装置(入出力装置55の一部)を用いて取得される側壁面100bに対する車輪12の接地荷重に基づいてアクチュエータ16dの短縮量を得、その短縮量でアクチュエータ16dの短縮を行うことができる。
このように、S168では、側壁面100bへの車輪12の接触を維持した状態で、アクチュエータ16dの短縮及び車輪12の正転駆動が行われるので、車輪12と側壁面100bとの間に生じる摩擦力と、アーム16aが車両1を支える力とによって、車両1が段差下へ急激に降下することが防止でき、車両1を路面200から段差表面100cへと安定に降段される。
S168の処理後、車両1の降段が完了したかを確認する(S169)。このS169において、車両1の降段が完了したか否かは、例えば、図示しない接地荷重センサ装置(入出力装置55の一部)による車輪12(12L.12R)の段差表面100aへの接地の検出によって判断することができる。
S169の処理により確認した結果、降段が未だ完了していなければ(S169:No)、回転駆動装置52による車輪12の正転駆動と、アクチュエータ16dの短縮によるアーム16aの短縮との結果として、降段が完了したことが確認されるまで、S169による確認を繰り返す。その結果、車輪12の正転及びアーム16aの短縮に伴って、車両1は、ウェイト16bを支点として、段差表面100cへと次第に降下していく。
そして、S169の処理により確認した結果、降段完了であれば(S169:Yes)、回転駆動装置52による車輪12の駆動を停止し(S170)、アーム16aが完全に短縮され、初期長さとなっているかを確認する(S171)。ここで、アーム16aの長さが初期長さでなければ(S171:No)、アクチュエータ16dを短縮させてアーム16aの長さを短縮して(S174)、再度、S171の確認を行う。
S171の処理により確認した結果、アーム16aの長さが初期長さであれば(S171:Yes)アーム回転モータ53aを所定量だけ正転駆動することによって、バランサ部16を鉛直上向きに戻し(S172)、昇降フラグ73aをオフして(S173)、この降段制御処理(S26)を終了する。この降段制御処理(S26)の実行によって、車両1は、上記した図8(a)→図8(b)→図8(c)→図8(d)→図8(e)の順で、段差100を降段し、段差表面100c上に到達する。
なお、この降段制御処理(S26)が開始されると、バランサ部16は倒立振り子としてではなく、補助輪として機能することになるので、この降段制御処理(S26)の実行中は、ジャイロセンサ61により検出される傾斜角度θに基づいて回転駆動装置52(Lモータ52L,Rモータ52R)の駆動量を演算によって求めることにより適宜調整し、それによって搭乗部11の姿勢制御を行いつつ車両1を降段させる。
次に、図18を参照して、上記した倒立振り子制御処理(S10)について説明する。図18は、メイン処理(図10参照)の中で実行される倒立振り子制御処理(S10)を示すフローチャートである。
図18に示すように、この倒立振り子制御処理(S10)では、まず、ジャイロセンササ61から供給された検出結果に基づいて、搭乗部11の傾斜角度θと角加速度θ’とを取得し(S201)、傾斜角度θの値が正負反転したかを確認する(S202)。なお、S202では、傾斜角度θの値がゼロ(安定状態)から、θ>0又はθ<0へ変化したことが検出された場合も、傾斜角度θが反転したとみなすものとする。
S202の処理により確認した結果、傾斜角度θの反転がなければ(S202:No)、この倒立振り子制御処理(S10)を終了する。
一方で、S202の処理により確認した結果、傾斜角度θの反転があった場合には(S202:Yes)、S201において取得された角加速度θ’の値に基づいて、乗員P(搭乗部11)をこの角加速度θ’で移動させるためのトルクT1を計算する(S203)。
S203の処理後、得られたトルクT1より大きいトルクT2をアーム回転モータ53aへ出力し(S204)、この倒立振り子制御処理(S10)を終了する。
S204の結果として、バランサ部16が、軸部材53bを中心としてトルクT2のトルクで駆動されるので、乗員P(搭乗部11)にはトルクT2の反力(−T2)が作用する。このときトルクT2は、トルクT1より大きい値とされているので、その反力(−T2)によって乗員P(搭乗部11)が反対方向へ戻される。その結果、乗員P(搭乗部11)の姿勢制御が図られる。
ここで、図19を参照しつつ、上記した倒立振り子制御処理(S10)による姿勢制御の原理について説明する。図19は、倒立振り子制御処理(S10)による姿勢制御の原理を説明するための模式図である。
図19(図19(a)〜図19(d))において、乗員Pの重量をm1、バランサ部16の重量をm2とし、乗員Pの移動(傾斜)におけるトルク中心である車輪12の中心(回転軸)から乗員Pの重心までの距離をr1、揺動(振り子運動)又は回動されるバランサ部16のトルク中心である軸部材53b(回動軸)からバランサ部16の重心までの距離をr2とする。
なお、乗員Pの質量m1は、搭乗者が登場し、車輪12を固定した状態での回転部分の全重量Mからバランサ部16の重量m2を減じた値である。また、バランサ部16の重量m2は、バランサ部16全体の重量、即ち、ウェイト16bだけでなく、そのウェイト16bと一体になって揺動又は回動されるアーム16a及び軸部材16cを含む重量である。
また、図19(図19(a)〜図19(d))において、鉛直線に対する乗員Pの傾斜角度及び乗員Pの移動(傾斜)の角加速度は、それぞれ、ジャイロセンサ61により検出される搭乗部11の傾斜角度θ及び角加速度θ’に相当する。図19(a)は、乗員Pの傾斜角度(搭乗部11の傾斜角度θ)が、鉛直線に対して傾斜していない状態(θ=0)、即ち、安定状態にある場合を示す図である。
図19(a)に示すように、乗員Pの傾斜角度が安定状態にある場合には、上記した倒立振り子制御処理(図18参照)におけるS202において傾斜角度θの正負反転が確認されないため、バランサ部16は駆動されず、バランサ部16の重心(以下、「バランサ重心」と称する)m2と乗員Pの重心(以下、「乗員重心」と称する)m1との釣り合いが取られる。
図19(b)は、図19(a)に示した安定状態から、何らかの外力が加わったことにより、乗員重心m1が、前方に角加速度θ’1(θ’=θ’1)で傾斜角度θ1(θ=θ1)に傾斜した状態を示す図である。
図19(b)に示すように、乗員重心が前方に移動すると、その移動(搭乗部11の傾斜)はジャイロセンサ61により検出され、その結果として、上記した倒立振り子制御処理(図18参照)におけるS202においてθの値の正負反転が確認されることとなる。
その結果として、S203において乗員Pの移動(傾斜)に対するトルクT1が計算され、得られたトルクT1より大きなトルクT2がアーム回転モータ53aへ出力された結果として、図19(c)に示す状態が生じる。
この図19(c)は、図19(b)に示した状態に対して倒立振り子制御処理(図18参照)におけるS202においてθの値の正負反転が確認された結果として、バランサ重心m2が、前方に角加速度θ’2(θ’=θ’2)で移動された状態を示す図である。
ここで、図19(b)に示した状態に対して計算されるトルクT1は、下記式(1)に従って計算される。
T1=m1×r1×θ’1 …(1)
一方で、バランサ重心m2の移動に対するトルクT2は、下記式(2)に従って計算される。
T2=m2×r2×θ’2 …(2)
トルクT2>トルクT1であれば、バランサ部16を動かすための反力によって、乗員Pを後方(当初の傾斜方向とは反対側の方向)に移動(傾斜)させることができる。よって、上記式(1)及び(2)から、バランサ部16を動かす角加速度θ’2が、θ’2>K×θ’1(ただし、K=(m1×r1)/(m2×r2))を満たす値であれば、乗員Pは、後方(当初の傾斜方向とは反対側の方向)に移動されて、図19(c)に示すように、鉛直線を越えて傾斜角度θ3(θ=θ3)に傾斜される。
乗員Pの傾斜角度θが、θ1から、鉛直線を越えてθ3へ移動したことにより、倒立振り子制御処理(図18参照)におけるS202において、再度、θの値の正負反転が確認される、S203において乗員Pの移動(傾斜)に対するトルクT1が計算され、得られたトルクT1より大きなトルクT2がアーム回転モータ53aへ出力され、図19(d)に示す状態が生じる。即ち、θ’4>K×θ’3を満たす角加速度θ’4(θ’=θ’4)でバランサ部16が後方へ移動される。なお、図19(d)は、図19(c)に示した状態に対し、バランサ重心m2が、後方に角加速度θ’4で移動された状態を示す図である。
θ’4>K×θ’3を満たす角加速度θ’4(θ’=θ’4)でバランサ部16が後方へ移動された結果として、その反力によって、乗員Pは、前方に角加速度θ’5(θ’=θ’5)で傾斜角度θ5(θ=θ5)に移動される。
以後、倒立振り子制御処理(図18参照)が繰り返し実行される間、乗員Pの鉛直線に対する傾斜角度θの反転がおいて検出される毎に、その際の乗員Pの移動の角加速度θ’に対応するトルクT2がアーム回転モータ53aに出力される。その結果、乗員Pの傾斜方向へのバランサ部16の移動によって生じる反力で、乗員Pが鉛直線方向に戻す動作が繰り返される。そして、最終的には、乗員Pの傾斜角度θが次第に0に収束されて、図19(a)に示す安定状態の姿勢に戻るのである。
なお、図19では、理解を容易にするために、乗員Pの傾斜角度θを大きく図示しているが、実際には、倒立振り子制御処理(図7参照)は、メイン処理(図10参照)の中で比較的短い時間間隔(数ミリ秒〜数百ミリ秒オーダー)で実行されるので、乗員P傾斜角度θは乗員Pにとってはわずかな動きでしかない。
以上、説明したように、本実施の形態における車両1は、バランサ部16を、搭乗部11の傾斜に応じて倒立振り子として機能させることができると共に、段差100が検出された場合には、ウェイト16bをウェイト16bを路面200、段差表面100a、又は段差表面100cに接地させて補助輪として機能させることによって、ウェイト16bを支点として、車両1が段差100を昇降することを可能とする。
よって、倒立振り子によって姿勢制御が行われる二輪車両では通常昇降し得ない段差の昇降の昇降が可能となる。その結果、昇降が不可能な段差を回避するための動作が不要となり、時間的及びエネルギー的な無駄を抑制することができるのである。
このように、本実施の形態における車両1は、一対の車輪12(12L,12R)を有する二輪車を、都合に応じて、ウェイト16bを補助輪とする三輪車として使い分けることができる。即ち、静止時や通常走行時には、低燃費で機敏に走行し得る省スペース車として二輪車を使用することができる一方で、通常では昇降し得ない段差が進路上にあった場合に、三輪車に変態させることによって、段差の昇降を可能にすることができる。
また、本実施の形態における車両1では、ウェイト16bが、倒立振り子用の錘として機能すると共に、段差の昇降時には補助輪として機能するので、倒立振り子用のバランサと補助輪とを別々に設ける必要がなく、部品点数の低減による構造の簡素化を図ることができると共に、設置スペース的に有利である。その結果、部品コストや組立コストなどのコスト削減を図ることができると共に、軽量化及び小型化を図ることが可能となる。また、姿勢制御系統を一括化することができるので、制御の複雑化を防止できる。
なお、補助輪であるウェイト16bを支点として車両1に段差100を昇段させるための形態の1つとしては、上記実施の形態の中で説明した第2から第5の昇段形態のように、段差100の側壁面100bに車輪を接触させた状態で、車輪12を進行方向に回転駆動させることにより、車輪12とその車輪12に接している側壁面100bとの間に摩擦力が生じ、その摩擦力を、車両1が側壁面100bから段差表面100aへ向かう推進力を利用する形態である。この形態によれば、車両1が側壁面100bから段差表面100aへ向かう推進力が、ウェイト12bを支点として車両1を持ち上げるための力として作用するので、結果として有効に車両1を昇段させることができる。
また、補助輪であるウェイト16bを支点として車両1に段差100を昇段させるための別の形態としては、上記実施の形態の中で説明した第4の昇段形態のように、ウェイト16bを、車輪12(12L,12R)に対して進行方向とは反対側の路面100に接地させた状態で、ウェイト16bを進行方向に回転駆動させることによって進行方向に向かう力を、ウェイト16bを支点とする車体持ち上げの際に利用する形態である。この形態によれば、ウェイト16bの回転駆動に応じて車両1が進行方向に向かう力が、ウェイト12bを支点とする車両1の持ち上げるための力として作用するので、結果として有効に段差を昇段させることができる。
補助輪であるウェイト16bを支点として車両1に段差100を昇段させるためのさらに別の形態としては、上記実施の形態の中で説明した第1及び第3の昇段形態のように、段上表面100a又は路面200に接地したウェイト16bをさらに回動させて、ウェイト16bを段上表面100a又は路面200に押し付ける力を利用する形態である。
第3の昇段形態では、車輪12に対して進行方向とは反対側の路面200に接地させた状態でアーム16aが回動させ、ウェイト16bが路面200を押したことによって生じた上向きの反力を利用した。このような上向きの反力がウェイト16bを支点して車両1を持ち上げるための力として作用し、その結果として、有効に車両1を段差表面100a上に昇段させることができる。
一方で、第1の昇段形態では、段差表面100aにウェイト16bを接地させた状態でウェイト16bが段差表面100aを押すようにアーム16aを回動させた結果として、ウェイト16bを支点として車両1が持ち上げられて、アーム16aの回動に応じて次第に段差表面100aへ移動し、最終的に、車両1を段差表面100a上に昇段させることができる。
補助輪であるウェイト16bを支点として車両1に段差100を昇降させるためのさらに別の形態としては、上記実施の形態の中で説明した第1〜第3、及び第5の昇段形態や、降段形態(図8参照)のように、支点とするウェイト16bにブレーキロック(回転の抑制)をかける形態である。支点とするウェイト16bにブレーキロックをかけることによって、支点の安定性が向上するので、その結果として、車両1による段差100の昇降を有効に実現することができる。
また、本実施の形態における車両1は、バランサ部16のアーム16aを伸縮可能なアクチュエータ16dを備えているので、車両1を昇段又は降段させる際に、支点となるウェイト16bから車両1の本体部分(搭乗部11や車輪12など)までの長さを長くすることができる。その結果として、昇降可能な段差の高さの上限が高くなり、昇段可能な段差の範囲が広がる。
また、アクチュエータ16dによって、通常走行時にはアーム16aの長さを短くし、段差昇降時にはアーム16aの長さを長くすることができるので、アーム16aやウェイト16bなどから構成される倒立振り子兼補助輪を、設置スペースとして有利な搭乗部(座席)11の下などに設定することが可能となり、車両の小型化を図ることが可能となる。
なお、このアクチュエータ16dの存在によって、補助輪であるウェイト16bを支点として車両1に段差100を昇降させるための形態として、上記した形態とはさらに別の形態をとることが可能である。
例えば、上記実施の形態の中で説明した第5の昇段形態のように、ウェイト16bを支点とする車両1の昇段を、アクチュエータ16dの伸長によってアーム16aの長さを伸長させつつ行う形態である。この形態によれば、アーム16aの長さを伸長させることによって車両1に付与される上方向の力及び進行方向の力が、ウェイト12bを支点して車両1を持ち上げる力として作用し、その結果として、有効に車両1を段差表面100a上に昇段させることができる。
また、上記実施の形態の中で説明した降段形態(図8参照)のように、ウェイト16bを支点とする車両1の降下を、アクチュエータ16dの短縮によってアーム16aの長さを短縮させつつ行う形態である。この形態によれば、アーム16aによる支持力によって、車両12が段差表面100c(段差下の表面)へ急激に降下(落下)することを防止できるので、車両12を安定に路面200からその路面200より低い段差表面100cへと降段させることができる。
なお、この降段形態(図8参照)では、アクチュエータ16dを利用したアーム16aの短縮が、段差100の側表面100bへの車輪12の接触を維持した状態で行われるので、上記したアーム16aによる支持力に加えて、車輪12と側壁面100aとの間に生じる摩擦力が確実に発生するので、車両12が段差表面100cへ落下することを確実に防止することができる。
上記したように、補助輪であるウェイト16bを支点として車両1に段差100を昇段させるため形態としては、(1)ウェイト16bを路面200に接地させた上で、その路面200より高い段差100の側壁面100bに車輪12(12L,12R)を接触させ、回転駆動装置52によって車輪12を進行方向に駆動させること、(2)ウェイト16bを路面200に接地させた上で、ウェイト16bを支持するアーム16aの長さをアクチュエータ16dによって伸長又は短縮させること、(3)ウェイト16bを路面200に接地させた上で、ウェイト16bを支持するアーム16aを、アーム回動モータ53aによって、ウェイト16bが路面200(段差を超える前の路面200、又は段差上(段差下)の路面(段差表面100a又は段差表面100c))を押す方向に回動させること、(4)ウェイト16bを路面200に接地させた上で、ウェイト駆動モータ54aによってウェイト16bを回転駆動(正回転又は逆回転)させること、(5)ウェイト16bを路面200に接地させた上で、ブレーキロック機構54bによってウェイト16bの回転を抑制させること、などを適宜組み合わせることによって、種々の形態(本実施の形態では、第1から第5の昇降形態、及び降段形態)を取り得る。また、各昇降形態は、ウェイト16bを路面に接地させる場合に、段差を超える前の路面、又は段差上(段差下)のいずれかに接地させるかによっても異なる昇降形態として形成される。
本実施の形態では、このような種々の昇降形態の中から、段差100の状況(本実施の形態では、高さ)に応じて、1の昇降形態が適宜選択されるように構成されているので、不適当な昇降が行われることを回避することができ、時間的及びエネルギー的な無駄を省くことができる。
なお、請求項1記載の姿勢制御手段としては、倒立振り子制御処理(S616)が該当すると共に、第1〜第5昇段処理(S25,S28,S30,S32,S33)や降段処理(S26)において、ジャイロセンサ61により検出される傾斜角度θに基づいて回転駆動装置52(Lモータ52L,Rモータ52R)の駆動量を演算によって求めることにより適宜調整し、それによって搭乗部11の姿勢制御を行うことが該当する。また、請求項1記載のバランサ接地手段としては、S41〜S43,S61〜S63,S81〜S83,S101〜S103,S121〜S123,S161〜S164の処理が該当する。また、請求項1記載の昇降制御手段は、S44〜S47,S64〜S67,S84〜S89,S104〜S108,S124〜S128,S166〜S170の処理が該当する。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
また、上記実施の形態では、車両1が前進する場合の昇段制御処理(図11参照)を示したが、車両1が後進する場合にも、バランサ部16を補助輪として機能させて段差100の昇段を行うことは可能である。この場合は、昇段制御処理(図11参照)に対応するバック用の昇段制御処理を各処理(S5)の中で実行するように構成すればよい。ただし、バック用の昇段制御処理では、アーム回転モータ65aの回転駆動方向、車輪12の回転駆動方向、ウェイト16bの回転駆動方向が、上記した昇段制御処理(図11参照)とは逆方向となる。
また、上記実施の形態では、段差100の存在及びその高さを検出するための装置として、ミリ波レーダ装置65を使用するように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、レーザレーダ装置などのミリ波レーダ装置65以外の対物検出可能な各種レーダ装置や、超音波センサ装置や赤外線センサ装置などの対物検出可能な各種センサ装置を使用することができる。また、車載カメラを搭載し、その撮像画像を用いる画像認識によって段差100の存在及びその高さを検出するように構成してもよい。また、段差100の存在の検出を、車輪12又はウェイト16bに設けた接地荷重センサによって行うように構成してもよい。
また、これらの段差100の存在及びその高さを検出可能な装置は、1種類の装置の限定されず、複数種類の装置を設置することによって、段差100の存在状況に関して複合的な判断を行うように構成してもよい。
また、ミリ波レーダ装置65などの段差100の存在及びその高さを検出可能な装置の設置箇所は、上記実施の形態において例示したような、搭乗部11の下側面の前方及び後方に限定されるものではなく、必要に応じて設置箇所を適宜変えることは容易に相当可能である。また、段差100の存在及びその高さを検出可能な装置の数もまた、特に限定されるものではなく、必要に応じて設置数を適宜設定すればよい。
上記した段差100の存在及びその高さを検出可能な装置は、いずれも、上記実施の形態におけるS66(昇段完了の確認)にも利用できる。また、軸部材53b回りに回動するアーム16aの絶対位置(絶対角度)を取得し、取得されたアーム16aの絶対位置が、アーム16aの長さに応じて決まるウェイト16b接地時のアーム16aの角度であった場合に、昇段完了と判断するように構成してもよい。アーム16aの絶対位置(絶対角度)を取得する方法としては、例えば、位置検出センサを、バランサ駆動装置53の表面(アーム16aが突出している側の表面)に設置する方法が挙げられる。
また、上記実施の形態では、昇段の形態として、第1昇段制御処理(図12参照)によって制御される第1の形態(図3参照)、第2昇段制御処理(図13参照)によって制御される第2の形態(図4参照)、第3昇段制御処理(図14参照)によって制御される第3の形態(図5参照)、第4昇段制御処理(図15参照)によって制御される第4の形態(図6参照)、及び、第5昇段制御処理(図16参照)によって制御される第5の形態(図7参照)を例示したが、昇段の形態はこれらに限定されない。
即ち、上記実施の形態では例示していない昇段形態、例えば、(a)第3の昇段形態において、さらに、アクチュエータ16dの伸長によってアーム16aの長さを伸長させつつ昇段させる形態や、(b)第3の昇段形態において、ブレーキロック機構54bによって、ウェイト16bにブレーキロックをかけることに換えて、ウェイト駆動手段54aによって、路面200に接地されたウェイト16bを駆動する昇段形態や、(c)第4の昇段形態において、さらに、アクチュエータ16dの伸長によってアーム16aの長さを伸長させつつ昇段させる形態や、(d)第5の昇段形態において、ウェイト駆動手段54aによって、路面200に接地されたウェイト16bを駆動すると共に、アーム回動モータ53aによって、アーム16aを、ウェイト16bが路面200を押す方向に回動させる昇段形態や、(f)昇段を開始する前に、アーム16aが、段差100の高さに応じた長さとなるようにアクチュエータ16dを伸長する昇段形態や、(g)第2の昇段形態において、車輪12を回転駆動させることに換えて(即ち、車輪12を駆動させずに)、路面に接地されたウェイト16bを駆動する昇段形態などであってもよい。
あるいは、上記実施の形態では例示していない降段形態、例えば、(a)第1の昇段形態と同様に、ウェイト16bを段差表面100cに接地した後、ウェイト16bが段差表面100cを押す方向にアーム回転モータ53aを駆動することによって、車両1を持ち上げ、アーム回転モータ53aの駆動によるアーム16aの回動に伴って、車両1を段差表面100c側へ移動させ、その結果として、車両1を段差表面100c側に接地させる降段形態や、(b)降段を開始する前に、アーム16aが、段差100の高さに応じた長さとなるようにアクチュエータ16dを伸長する降段形態などであってもよい。
あるいは、上記実施の形態において、昇段又は降段時に、ブレーキロック機構54bによって、ウェイト16bにブレーキロックをかける(S44,S64,S84,S124,S166)ことに換えて、ウェイト16bの回転によって進行方向と逆向きに進む力が生じるようにウェイト駆動モータ54aを駆動するように構成してもよい。
例えば、上記実施の形態において例示した降段手段(図8参照)において、ウェイト16bにブレーキロックをかける(S166)ことに換えて、ウェイト駆動モータ54aを逆転駆動した場合には、車両1が段上表面100cへ向けて降下する際に、段差100の側表面100bへの車輪の接触を確実に維持させることができるので、車両1がアーム16aによって確実に支えられ、その結果として、車両1を段上表面100cへ安定に降段させることができる。
また、上記実施の形態において、昇段又は降段時に、ブレーキロック機構54bによって、ウェイト16bにブレーキロックをかけたり(S44,S64,S84,S124,S166)、ウェイト駆動モータ54aによってウェイト16bを回転させたり(SS105)することに換えて、ウェイト16bを自由回転可能な状態にするように構成してもよい。
なお、上記実施の形態では、ウェイト16bを回転駆動させるためのウェイト駆動モータ54aを有する構成としたが、ウェイト駆動モータ54aを有さず、ウェイト16bを軸部材16c回りに自由回転する構成であってもよい。
また、上記実施の形態におけるS85では、所定の反力が得られるように予め規定されている量でアーム回転モータ53aを駆動するように構成したが、段差100の高さに応じた量でアーム回転モータ53aを駆動するように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、アクチュエータ16dとして、ボールねじ機構による伸縮式のアクチュエータとして構成される場合を説明したが、必ずしもこの形態に限られるものではなく、他の機構を利用することは当然可能である。
他の機構としては、例えば、クランク・スライダ機構(電動モータの回転運動をクランク機構により揺動運動に変換し、この揺動運動をスライダ機構により直線運動に変換することで、伸縮式のアクチュエータを得る機構)、ラック・ピニオン機構(電動モータによるピニオンの回転運動をラックに伝達し、ラックを直線運動させることにより、伸縮式のアクチュエータを得る構成)、或いは、カム機構(非円形のカムを電動モータで回転運動させ、その回転運動するカムが弾性ばね装置の力を受けながらすべり接触でリフタを直線運動させることにより、伸縮式のアクチュエータを得る機構)などが例示される。
また、上記実施の形態では、アクチュエータ16dが電動アクチュエータにより構成される場合を説明したが、必ずしもこの形態に限られるものではなく、例えば、油圧を利用して油圧シリンダを伸縮させる油圧アクチュエータとして、アクチュエータ16dを構成することは当然可能である。
また、上記実施形態では、バランサ部16がアクチュエータ16dを有する構成としたが、アクチュエータ16dを有さない構成、即ち、アーム16aの長さが固定である構成であってもよい。
また、上記実施の形態では、乗員Pにより操作されるジョイスティック装置51を、アームレスト11bに執着される構成としたが、ジョイスティック装置51に換えて、有線又は無線で制御装置70に接続されるリモコン装置として構成してもよい。
また、上記実施の形態では、搭乗部11の姿勢を検出するセンサとして、ジャイロセンサ61を使用し、ジャイロセンサ61により検出される搭乗部11の傾斜角度θと角加速度θ’とをCPU71へ出力するように構成したが、角加速度θ’のみを検出し、その値をCPU71へ出力する構成であってもよい。なお、この場合、CPU71は、ジャイロセンサ61から供給された角加速度θ’の値の蓄積によって角速度及び角度を算出し、その結果として傾斜角度θを得るようにすればよい。
また、上記実施の形態では、搭乗部11の姿勢を検出するセンサとして、ジャイロセンサ61を用いる構成としたが、ジャイロセンサ61に換えて、液体ロータ型角加速度計や、渦電流式の角加速度計など、種々の角加速度計を利用できる。
ここで、液体ロータ型角加速度計は、サーボ型加速度計の振り子の代わりに液体の動きを検出し、この液体の動きをサーボ機構によりバランスさせるときのフィードバック電流から角加速度を測定するものである。また、渦電流式の角加速度計は、永久磁石を用いて磁気回路を構成し、この回路内に円筒型のアルミニウム製ロータを配置し、このロータの回転速度の変化に応じて発声する磁気起電力に基づいて角加速度を測定するものである。
また、上記実施の形態では、ミリ波レーダ装置65により前方に段差100が検出されなかった場合に実行される倒立振り子制御処理(S10)では、バランサ部16を倒立振り子として機能させることによって姿勢制御を行う構成であったが、回転駆動装置52(Lモータ52L,Rモータ52R)の駆動量の制御を併用させて姿勢制御を行う構成であってもよい。
また、上記実施の形態では、ウェイト16bは、軸部材16c回りには回転可能であるが、アーム16aの軸周りの回転については考慮されていない。このウェイト16bが、軸部材16c回りにはだけでなく、アーム16aの軸回りに回転可能なキャスター(脚車)として構成されていてもよい。
(a)は、本発明の一実施の形態における車両の正面図であり、(b)は、車両の側面図である。 (a)は、図1(a)を簡略化した正面図であり、(b)は、図1(b)を簡略化した側面図である。 バランサ部を用いて段差を昇段する場合の第1の形態を説明するための側面図である。 バランサ部を用いて段差を昇段する場合の第2の形態を説明するための側面図である。 バランサ部を用いて段差を昇段する場合の第3の形態を説明するための側面図である。 バランサ部を用いて段差を昇段する場合の第4の形態を説明するための側面図である。 バランサ部を用いて段差を昇段する場合の第5の形態を説明するための側面図である。 バランサ部を用いて段差を降段する場合説明するための側面図である。 車両の電気的構成を示すブロック図である。 車両の制御装置で実行されるメイン処理を示すフローチャートである。 図10のメイン処理の中で実行される昇降制御処理を示すフローチャートである。 図11の昇降制御処理の中で実行される第1昇段制御処理を示すフローチャートである。 図11の昇降制御処理の中で実行される第2昇段制御処理を示すフローチャートである。 図11の昇降制御処理の中で実行される第3昇段制御処理を示すフローチャートである。 図11の昇降制御処理の中で実行される第4昇段制御処理を示すフローチャートである。 図11の昇降制御処理の中で実行される第5昇段制御処理を示すフローチャートである。 図11の昇降制御処理の中で実行される降段制御処理を示すフローチャートである。 図10のメイン処理の中で実行される倒立振り子制御処理を示すフローチャートである。 倒立振り子制御処理による姿勢制御の原理を説明するための模式図である。
符号の説明
11 搭乗部(車体の一部)
12 車輪
12L 左車輪(車輪)
12R 右車輪(車輪)
16a アーム
16b ウェイト(バランサ)
16d アクチュエータ(アーム伸縮手段)
52 回転駆動装置(車輪駆動手段)
52L Lモータ(車輪駆動手段の一部)
52R Rモータ(車輪駆動手段の一部)
53 バランサ駆動装置(バランサ制御手段)
53a アーム回転モータ(バランサ制御手段の一部)
53b 軸部材(回動軸)
54a ウェイト駆動モータ(バランサ駆動手段)
54b ブレーキロック機構(バランサ駆動手段)
61 ジャイロセンサ(傾斜検出手段)
65 ミリ波レーダ装置(段差検出手段)

Claims (4)

  1. 乗員が乗車可能な搭乗部を含む車体と、
    前記車体に設けられる一対の車輪と、
    前記車輪を駆動する車輪駆動手段と、
    回転可能に設けられたバランサと、
    そのバランサの位置を制御するバランサ制御手段と、
    前記車体の傾きを検出する傾斜検出手段と、
    その傾斜検出手段によって検出した傾きに応じて、前記車輪駆動制御手段及び/又は前記バランサ制御手段を用いて前記車体の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
    路面の段差を検出する段差検出手段と、
    その段差検出手段により段差が検出された場合に、前記バランサを路面に接地させるバランサ接地手段と、
    前記姿勢制御手段による姿勢制御を行いつつ、前記バランサ接地手段により接地させた前記バランサを支点として、前記車体を昇降させる昇降制御手段とを備えていることを特徴とする車両。
  2. 車体に設けられた回動軸を中心として回動するアームを備え、
    前記バランサ位置制御手段は、前記アームの回動によって前記バランサの位置を制御し、
    前記昇降制御手段は、前記バランサ接地手段によりバランサを接地させた状態で、前記アームを回動させることによって前記車体を昇降させることを特徴とする請求項1記載の車両。
  3. 車体に設けられた回動軸を中心として回動するアームと、
    前記アームを伸縮させるアーム伸縮手段とを備え、
    前記バランサ制御手段は、前記アームの回動によって前記バランサの位置を制御し、
    前記昇降制御手段は、前記バランサ接地手段によりバランサを接地させた状態で、前記アームを伸縮させることによって前記車体を昇降させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両。
  4. 前記バランサに回転駆動力を付与するバランサ駆動手段を備え、
    前記昇降制御手段は、前記バランサ制御手段によって前記バランサを駆動させる、又は、前記バランサの回転を抑制することにより、前記車体を昇降させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両。


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