JP6068302B2 - 脚式移動ロボットの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、二足歩行ロボット等の脚式移動ロボットの制御装置に関する。
従来、例えば、二足歩行ロボットに階段を昇降させるように該ロボットの目標歩容を生成して、該ロボットの動作制御を行う技術が特許文献1、2等にて提案されている。
特開平6−63876号公報 特開2003−340763号公報
二足歩行ロボット等の脚式移動ロボット(以下、単にロボットいうことがある)を種々様々な環境下で移動させようとするためには、該ロボットが、種々様々な高さを有する階段等の段差を昇降し得るようにすることが望ましい。
一方、ロボットに階段等の段差を昇降させる従来の技術では、一般に、ロボットの段差での移動中に、該ロボットの上体の腰部(各脚体が股関節部を介して連結された部位)の目標姿勢を一定に維持するようにしている。
しかるに、このような従来技術では、次のような不都合があることが本願発明者の検討により判明した。
すなわち、ロボットを移動(昇降)させようとする段差の高さ(下段側踏面と上段側踏面との間の高さ)が比較的高い場合には、遊脚側脚体の足平部を上段側踏面あるいは下段側踏面に着地させる直前に、股関節部での遊脚側脚体の屈曲度合(腰部に対するピッチ方向の屈曲度合)が大きなものとなりやすい。このため、遊脚側脚体の股関節部のピッチ方向の回転動作を行う関節の必要変位量(回転角度)が構造的な可動範囲の限界に達してしまいやすい。
また、段差の高さが比較的高い昇りの段差をロボットに昇らせようとする場合には、遊脚側脚体の足平部を下段側の踏面から離床させようとする時に、上段側踏面に接地している支持脚側脚体の足首関節部での屈曲度合(足平部に対する下腿部のピッチ方向の屈曲度合)が大きなものとなりやすい。このため、該支持脚側脚体の下腿部等が、該支持脚側脚体の足平部が接地している踏面の上側の踏面のエッジと干渉したり、該支持脚側脚体の足首関節部のピッチ方向の回転動作を行う関節の必要変位量(回転角度)が構造的な可動範囲の限界に達してしまいやすい。
このように、段差の高さが比較的高い場合には、脚体と段差の踏面のエッジとの干渉が発生したり、いずれかの脚体の関節の必要変位量が可動範囲の限界に達してしまうという状況が発生しやすいという不都合がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、脚式移動ロボットの脚体の関節の変位量が過大になったり、あるいは、脚体と段差の踏面のエッジとの干渉が発生することを防止しつつ、該ロボットに種々様々な高さの段差を移動させることができる制御装置を提供することを目的とする。
本発明の脚式移動ロボットの制御装置は、かかる目的を達成するために、基体の腰部に股関節部を介してそれぞれ連結された複数の脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道を含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合であって、且つ、該段差の高さが少なくとも所定値よりも高い場合に、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともいずれかの目標姿勢を、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させるように該目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることを基本構成とする。
本願発明者の各種実験、検討によれば、前記段差の高さが比較的高い場合であっても、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともいずれかの目標姿勢を、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させるように該目標姿勢の軌道を生成することで、各脚体の関節の変位量が可動範囲の限界に達するような過大なものとなったり、各脚体が段差のエッジと干渉するのを防止することが可能である。
そこで、本発明では、上記の構成を採用した。これにより、段差の高さが比較的高い場合であっても、脚式移動ロボットの脚体の関節の変位量が過大になったり、あるいは、脚体と段差のエッジとの干渉が発生することを防止することが可能となる。ひいては、脚式移動ロボットに種々様々な高さの段差を移動させることが可能となる。
なお、上記基本構成では、前記段差の高さが前記所定値よりも低い場合には、前記腰部のヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともいずれかの目標姿勢を、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させるように該目標姿勢の軌道を生成する態様と、前記腰部ヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢を両方とも一定に維持するように、該目標姿勢の軌道を生成する態様とのいずれの態様を採用することもできる。
本発明では、上記基本構成に加えて、前記目標歩容生成手段は、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともいずれかの目標姿勢の変化のパターンを前記段差の高さに応じて異ならせるように該目標姿勢の軌道を生成するように構成されている(発明)。
これによれば、前記段差にてロボットを移動させるための前記腰部のヨー方向又はロール方向の目標姿勢の軌道を、該段差の高さに適した軌道にすることができる。例えば、段差でのロボットの移動に伴う腰部のヨー方向の又はロール方向の目標姿勢の変化を必要最小限に留めることができる。
上記基本構成又は第1発明では、より具体的には、前記脚式移動ロボットは、前記腰部の左右方向に間隔を存して配置された2つの股関節部のそれぞれを介して該腰部に連結された2つの脚体を有するロボットであり、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部の目標姿勢は、該腰部のヨー方向の目標姿勢を少なくとも含んでいるという態様を採用できる。
この場合、前記脚式移動ロボットの進行方向での前記2つの股関節部の位置の偏差を位置偏差DXと表記し、且つ、前記2つの脚体のうちの遊脚側脚体の股関節部が支持脚側脚体の股関節部よりも前側となる状態での前記位置偏差DXを正の偏差と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部のヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するとき、前記遊脚側脚体の足平部の着地直前における前記位置偏差DXが正の偏差となるように前記腰部のヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されているという態様を採用できる(第発明)。
これによれば、前記遊脚側脚体の足平部の着地直前に、遊脚側脚体の股関節部が支持脚側脚体の股関節部よりも前側(ロボットの進行方向で前側)となる状態(前記位置偏差DXが正の偏差となる状態)を実現できる。これにより、段差の高さが比較的高い場合(前記所定値よりも高い場合)であっても、特に、遊脚側脚体の足平部の着地直前の近辺の期間で、該遊脚側脚体の股関節部あるいは支持脚側脚体の股関節部のピッチ方向の屈曲度合を小さ目に抑制することができる。ひいては、ロボットに移動させる段差の高さが比較的高い場合であっても、各脚体の股関節部のピッチ方向の屈曲を担う関節の変位量が過大になるのを防止できる。
また、前記基本構成又は第1発明では、前記脚式移動ロボットは、前記腰部の左右方向に間隔を存して配置された2つの股関節部のそれぞれを介して該腰部に連結された2つの脚体を有するロボットであり、前記段差は昇りの段差であり、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部の目標姿勢は、該腰部のヨー方向の目標姿勢を少なくとも含んでいるという態様を採用することができる。
この場合、前記脚式移動ロボットの進行方向での前記2つの股関節部の位置の偏差を位置偏差DXと表記し、且つ、前記2つの脚体のうちの遊脚側脚体の股関節部が支持脚側脚体の股関節部よりも前側となる状態での前記位置偏差DXを正の偏差と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部のヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するとき、前記遊脚側脚体の足平部の離床直前における前記位置偏差DXが負の偏差となるように前記腰部のヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されているという態様を採用することもできる(第発明)。
これによれば、前記遊脚側脚体の足平部の離床直前に、支持脚側脚体の股関節部が遊脚側脚体の股関節部よりも前側(ロボットの進行方向で前側)となる状態(前記位置偏差DXが負の偏差となる状態)を実現できる。これにより、昇りの段差の高さが比較的高い場合(前記所定値よりも高い場合)であっても、特に、遊脚側脚体の足平部の離床直前の近辺の期間で、該遊脚側脚体の足平部が接地している床面の上側の踏面に接地している支持脚側脚体の足首関節部のピッチ方向の屈曲度合を小さ目に抑制することができる。ひいては、ロボットに移動させる昇りの段差の高さが比較的高い場合であっても、各脚体の足首関節部のピッチ方向の屈曲を担う関節の変位量が過大になったり、あるいは、支持脚側脚体の下部が段差のエッジに干渉することを防止することができる。
また、前記基本構成又は第1発明では、前記脚式移動ロボットは、前記腰部の左右方向に間隔を存して配置された2つの股関節部のそれぞれを介して該腰部に連結された2つの脚体を有するロボットであり、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部の目標姿勢は、該腰部のロール方向の目標姿勢を少なくとも含んでいるという態様を採用できる。
この場合、上下方向での前記2つの股関節部の位置の偏差を高さ偏差DZと表記し、且つ、前記2つの脚体のうちの遊脚側脚体の股関節部が支持脚側脚体の股関節部よりも高くなる状態での前記高さ偏差DZを正の偏差と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部のロール方向の目標姿勢の軌道を生成するとき、前記遊脚側脚体の足平部の着地直前における前記高さ偏差DZが正の偏差となるように前記腰部のロール方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されているという態様を採用できる(第発明)。
これによれば、前記遊脚側脚体の足平部の着地直前に、遊脚側脚体の股関節部が支持脚側脚体の股関節部よりも高くなる状態(前記高さ偏差DZが正の偏差となる状態)を実現できる。これにより、遊脚側脚体の足平部の着地直前の近辺の期間で、遊脚側脚体の股関節部と、該遊脚側脚体の足平部を着地箇所との間の距離が大き目に確保されるため、該遊脚側脚体の各関節部におけるピッチ方向の屈曲度合を小さ目に抑制できる。ひいては、各脚体の各関節部のピッチ方向の屈曲を担う関節の変位量が過大になるのを防止できる。
なお、第発明は、前記第発明又は第発明と組合わせてもよい。
また、前記基本構成又は第1〜第4発明では、前記腰部のピッチ方向の姿勢を表す該腰部の傾斜角の正方向を該腰部の前傾方向と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記段差にて前記脚式移動ロボットを移動させるための目標歩容を生成する場合に、前記腰部のピッチ方向の傾斜角が、前記段差の高さが相対的に低い場合よりも相対的に高い場合の方がより負方向側の傾斜角となるように、前記腰部のピッチ方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることが好ましい(第発明)。
これによれば、前記段差の高さが相対的に低い場合(例えば、前記所定値よりも低い場合)と、前記段差の高さが相対的に高い場合(例えば、前記所定値よりも高い場合)とのいずれの場合であっても、遊脚側脚体の足平部の着地直前等において、遊脚側脚体の股関節部あるいは支持脚側脚体の股関節部のピッチ方向の屈曲度合を小さ目に抑制することが可能となる。
ひいては、ロボットに移動させる段差の高さによらずに、各脚体の股関節部のピッチ方向の屈曲を担う関節の変位量が過大になるのを防止できる。
また、前記基本構成又は第1〜第5発明では、前記目標歩容生成手段は、前記段差にて前記脚式移動ロボットを移動させるための目標歩容を生成する場合に、前記複数の脚体のうちの遊脚側脚体の足平部の離床直前において、該遊脚側脚体の足平部が接地している床面からの該遊脚側脚体の足首関節部の高さと前記腰部の高さとが、前記段差の高さが相対的に低い場合よりも相対的に高い場合の方がより高くなるように、前記遊脚側脚体の足平部の目標姿勢及び前記腰部の目標位置の軌道を生成するように構成されていることが好ましい(第発明)。
これによれば、前記段差の高さが比較的高い場合(例えば、前記所定値よりも高い場合)に、該段差の高さが比較的低い場合(例えば、前記所定値よりも低い場合)よりも、遊脚側脚体の足平部の離床直前における前記腰部の高さを高くすることが可能となる。
これにより、遊脚側脚体の足平部の離床直前の近辺の期間で、支持脚側脚体の股関節部と、該支持脚側脚体の足平部の着地箇所との間の距離が大き目に確保されるため、該支持脚側脚体の各関節部におけるピッチ方向の屈曲度合を小さ目に抑制できる。ひいては、各脚体の各関節部のピッチ方向の屈曲を担う関節の変位量が過大になるのを防止できる。
また、本発明の脚式移動ロボットの制御装置は、次のような態様を採用することもできる。すなわち、本発明の脚式移動ロボットの制御装置は、基体の腰部に股関節部を介してそれぞれ連結された複数の脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道を含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
前記腰部のピッチ方向の姿勢を表す該腰部の傾斜角の正方向を該腰部の前傾方向と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合に、前記腰部のピッチ方向の傾斜角が、前記段差の高さが相対的に低い場合よりも相対的に高い場合の方がより負方向側の傾斜角となるように、前記腰部のピッチ方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする(第発明)。
これによれば、前記第発明に関して説明した如く、前記段差の高さが相対的に低い場合と、前記段差の高さが相対的に高い場合とのいずれの場合であっても、遊脚側脚体の足平部の着地直前等において、遊脚側脚体の股関節部あるいは支持脚側脚体の股関節部のピッチ方向の屈曲度合を小さ目に抑制することが可能となる。
ひいては、ロボットに移動させる段差の高さによらずに、各脚体の股関節部のピッチ方向の屈曲を担う関節の変位量が過大になるのを防止できる。その結果、ロボットに種々様々な高さの段差を移動させることができる。
あるいは、脚式移動ロボットの制御装置は、基体の腰部に股関節部を介してそれぞれ連結された複数の脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道と、前記各脚体の足平部の目標位置及び目標姿勢の軌道とを含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合に、前記複数の脚体のうちの遊脚側脚体の足平部の離床直前において、該遊脚側脚体の足平部が接地している床面からの該遊脚側脚体の足首関節部の高さと前記腰部の高さとが、前記段差の高さが相対的に低い場合よりも相対的に高い場合の方がより高くなるように、前記遊脚側脚体の足平部の目標姿勢及び前記腰部の目標位置の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする(参考発明)。
これによれば、前記第発明に関して説明した如く、前記段差の高さが比較的高い場合に、該段差の高さが比較的低い場合よりも、遊脚側脚体の足平部の離床直前における前記腰部の高さを高くすることが可能となる。
これにより、遊脚側脚体の足平部の離床直前の近辺の期間で、支持脚側脚体の股関節部と、該支持脚側脚体の足平部の着地箇所との間の距離が大き目に確保されるため、該支持脚側脚体の各関節部におけるピッチ方向の屈曲度合を小さ目に抑制できる。ひいては、各脚体の各関節部のピッチ方向の屈曲を担う関節の変位量が過大になるのを防止できる。
その結果、ロボットに種々様々な高さの段差を移動させることができる。
本発明の一実施形態の脚式移動ロボットの概略構成を示す図。 実施形態の脚式移動ロボットの制御に関する構成を示すブロック図。 図2に示す目標歩容生成部の処理を示すフローチャート。 図4(a),(b)はそれぞれ昇りの段差(段差の高さが低い昇りの段差)におけるロボットの状態の例を示す図。 図5(a)は図4(a)の状態における腰部のロール方向の姿勢を示す図、図5(b)は図4(b)の状態における腰部のヨー方向の姿勢を示す図。 図6(a),(b)はそれぞれ昇りの段差(段差の高さが高い昇りの段差)におけるロボットの状態の例を示す図。 図7(a)は図6(a)の状態における腰部のロール方向の姿勢を示す図、図7(b)は図6(b)の状態における腰部のヨー方向の姿勢を示す図。 図8(a),(b)はそれぞれ比較例に関するロボットの状態を示す図。 実施例における腰部の目標姿勢等の軌道を示すグラフ。 比較例における腰部の目標姿勢等の軌道を示すグラフ。 降りの段差(段差の高さが高い降りの段差)におけるロボットの状態の例を示す図。 図11の状態における腰部のヨー方向の姿勢を示す図。 比較例に関するロボットの状態の例を示す図。 実施例における腰部の目標姿勢等の軌道を示すグラフ。 比較例における腰部の目標姿勢等の軌道を示すグラフ。
本発明の一実施形態を以下に図1〜図14を参照して以下に説明する。
図1を参照して、本実施形態の脚式移動ロボット1(以降、単にロボット1という)は、該ロボット1の上体に相当する基体2と、基体2の下部としての腰部2aから延設された左右一対(2つ)の脚体3R,3Lとを有する二足歩行ロボットである。
なお、本実施形態の説明では、ロボット1の前方に向かって右側の部材を示す変数に符号“R”を付加し、ロボット1の前方に向かって左側の部材を示す変数に符号“L”を付加する。ただし、右側、左側を特に区別する必要が無いときは、符号“R”,“L”を省略する。
脚体3R,3Lは、互いに同じ構造のものである。具体的には、各脚体3は、基体2の腰部2aに股関節部11を介して連結された大腿部12と、この大腿部12に膝関節部13を介して連結された下腿部14と、この下腿部14に足首関節部15を介して連結された足平部16とを、該脚体3を構成する複数の要素リンクとして備える。この場合、各脚体3の先端の接地部は、足平部16により構成される。また、脚体3R,3Lのそれぞれの股関節部11R,11Lは、基体2の腰部2aの左右方向に間隔を存して配置されている。
そして、各脚体3の股関節部11は、ヨー方向(Z軸周り方向)、ピッチ方向(Y軸周り方向)及びロール方向(X軸周り方向)の回転自由度をそれぞれ有する3つの関節17,18,19により構成されている。また、膝関節部13は、ピッチ方向の回転自由度を有する関節20により構成されている。また、足首関節部15は、ピッチ方向及びロール方向の回転自由度をそれぞれ有する2つの関節21,22により構成されている。
従って、各脚体3の先端部である足平部16は、本実施形態では、基体2に対して、6自由度の運動自由度を有する。
なお、ロール方向の回転軸(X軸)、ピッチ方向の回転軸(Y軸)及びヨー方向の回転軸(Z軸)はそれぞれ、ロボット1の前後方向の軸、左右方向の軸、上下方向の軸を意味する。また、上記の説明における各脚体3の関節17〜22の回転軸は、脚体3を上下方向に延在させた状態(ロボット1の直立姿勢状態)での回転軸を示している。
以上が、本実施形態のロボット1の基本構造である。かかる構成のロボット1は、各脚体3の6個の関節17〜22を駆動することによって、各脚体3の空間的な運動が行なわれる。この運動によって、ロボット1が床上を移動することが可能となっている。
補足すると、ロボット1は、上記基体2、及び脚体3R,3Lだけでなく、例えば基体2の側部から延設された腕リンクや、基体2の上端部に搭載した頭部等を備えていてもよい。
また、基体2は、例えば、脚体3R,3Lが連結される下側基体(腰部)と、該下側基体の上側に関節を介して連結された上側基体(胸部)とにより構成されていてもよい。
図1での図示は省略したが、ロボット1には、図2に示すように、上記の各関節17〜22をそれぞれ回転駆動する関節アクチュエータ30と、ロボット1の動作制御を行なう制御処理ユニット31とが搭載されている。
関節アクチュエータ30は、例えば電動モータあるいは油圧アクチュエータにより構成されたものであり、各関節毎に備えられている。この場合、各関節アクチュエータ30による各関節の駆動機構は公知の構造のものでよい。また、関節アクチュエータ30は、回転型のアクチュエータに限らず、直動型のアクチュエータであってもよい。
制御処理ユニット31は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットである。この制御処理ユニット31は、実装されるプログラムにより実現される機能、あるいは、ハードウェア構成により実現される機能として、ロボット1の移動を行う環境の床形状を認識する床形状認識部32と、ロボット1の各関節の作動を規定する目標歩容を生成する目標歩容生成部33と、該目標歩容に応じて各関節毎の関節アクチュエータ30を制御する関節アクチュエータ制御部34とを備える。
以降の説明では、ロボット1の両脚体3R,3Lのうち、遊脚側脚体3を参照符号3swgで表し、支持脚側脚体3を参照符号3supで表す。さらに、遊脚側脚体3swgの足平部16(遊脚側足平部)を参照符号16swgで表し、支持脚側脚体3supの足平部16(支持脚側足平部)を参照符号16supで表す。
遊脚側脚体3swgは、ロボット1の移動時に、足平部16swgの離床、空中での移動、着床(着地)という一連の動作を行う脚体3であり、支持脚側脚体3supは、遊脚側脚体3swgの足平部16swgを空中で移動させる際に、ロボット1の自重を支えるために床面に足平部16supを接地させておく脚体3である。
本実施形態では、ロボット1は二足歩行ロボットであるので、ロボット1の歩行動作(階段等の段差での移動動作を含む)による移動時には、遊脚側脚体3swgとなる脚体3R(又は3L)と、支持脚側脚体3supとなる脚体3L(又は3R)とは交互に切替わる。
そして、ロボット1が昇り階段等の昇りの段差を昇る場合には、遊脚側足平部16swgを離床させた後に、支持脚側足平部16supを接地させている床面(下段側踏面)の一段上側の踏面(上段側踏面)に着地させるように遊脚側脚体3swgの運動が行われる。
また、ロボット1が降り階段等の降りの段差を降りる場合には、遊脚側足平部16swgを離床させた後に、支持脚側足平部16supを接地させている床面(踏面)の一段下側の踏面に着地させるように遊脚側脚体3swgの運動が行われる。
床形状認識部32は、ロボット1の進行方向前方の床形状を、例えばロボット1に搭載されたカメラ(図示省略)の撮像画像を基に認識する。床形状認識部32が形状を認識する床は、平坦な床はもちろん、段差もしくは凹凸を有する床も含まれる。例えば、ロボット1の進行方向前方に、図4又は図6に例示する如き昇りの段差51u(昇り階段等)が存在する場合、あるいは、図11に例示する降りの段差51d(降り階段等)が存在する場合には、該段差51u又は51dの形状及び配置位置(ロボット1に対する相対的な配置位置)が床形状認識部32により認識される。
なお、カメラの代わりに、例えばレーザ式測距装置を用いて、あるいは、カメラとレーザ式測距装置との両方を併用して、ロボット1の進行方向前方の床形状を認識してもよい。
また、ロボット1の移動環境の床形状が事前に判っている場合には、ロボット1の自己位置と、ロボット1の移動環境の地図情報(各所の床形状を示す情報)とからロボット1の進行方向前方の床形状を認識するようにしてもよい。
この場合、地図情報は、例えば外部のサーバから随時、制御処理ユニット31に入力することが可能である。あるいは、地図情報をあらかじめ記録した記憶媒体(メモリ、DVD、ハードディスク等)をロボット1に搭載しておいてもよい。
目標歩容生成部33は、本発明における目標歩容生成手段に相当する。この目標歩容生成部33は、本実施形態では、ロボット1の各関節の作動を規定する目標歩容の構成要素として、腰部2aの目標位置及び目標姿勢の軌道と、各脚体3の足平部16の目標位置及び目標姿勢の軌道とを含む。さらに、本実施形態では、目標歩容生成部33は、腰部2aの目標位置及び目標姿勢の軌道を決定するために用いる要素として、ロボット1の全体重心の目標位置の軌道、及びZMP(Zero Moment Point)の目標位置(以降、目標ZMPという)の軌道も生成する。
なお、本実施形態では、腰部2aは、基体2と一体の部分である。このため、腰部2aの目標位置及び目標姿勢は、それぞれ、基体2の目標位置、目標姿勢としての意味を有するものでもある。
ここで、腰部2a(又は基体2)の位置は、詳しくは、該腰部2a(又は基体2)に対して任意に固定して設定された代表点の位置を意味する。その代表点としては、例えば、左右の股関節部11R,11Lの間の中央点等が採用される。
同様に、各足平部16の位置は、詳しくは、該足平部16に対して任意に固定して設定された代表点の位置を意味する。その代表点としては、例えば、該足平部16の底面(接地面)の所定の位置に設定された点等が採用される。
また、腰部2a(又は基体2)の姿勢は、該腰部2a(又は基体2)の空間的な向きを意味し、各足平部16の姿勢は、該足平部16の空間的な向きを意味する。
そして、腰部2a及び各足平部16のそれぞれの目標位置及び目標姿勢は、本実施形態では、床に対して固定されたグローバル座標系(慣性座標系)での位置及び姿勢として表現される。このことは、ロボット1の全体重心の目標位置、並びに目標ZMPについても同様である。
上記グローバル座標系としては、例えば、ロボット1の支持脚側足平部16supの接地位置に応じて原点位置が規定される支持脚座標系が使用される。この場合、支持脚座標系の原点位置は、ロボット1の支持脚側脚体3supが脚体3R,3Lの一方から他方に切替わるごとに更新される。
ただし、グローバル座標系として、例えば、床に対して定常的に固定された座標系を使用してもよい。あるいは、グローバル座標系として、例えば、ロボット1の複数歩(2歩、3歩等)の移動毎に、原点位置が更新される支持脚座標系を使用してもよい。
なお、腰部2a又は各足平部16の目標位置の軌道は、それぞれの目標位置の瞬時値の時系列パターン、又はそれを規定するパラメータ(関数式の変数値等)によって表現される。このことは、腰部2a又は各足平部16の目標姿勢の軌道、あるいは、ロボット1の全体重心の目標位置の軌道、目標ZMPの軌道についても同様である。
補足すると、ロボット1が各脚体3の関節17〜22以外の関節(腕体の関節、基体の腰部と胸部との間の関節等)を備える場合には、それらの関節の作動を規定する目標運動軌道も目標歩容生成部33により生成される。この場合、各脚体3の関節17〜22以外の関節の変位量は、任意のパターンで変化してもよいが、ロボット1の移動中に一定に維持されていてもよい。
また、各足平部16の目標位置及び目標姿勢の代わりに、例えば各脚体3の各関節17〜22の目標変位量(本実施形態では目標回転角度)の軌道の組を、ロボット1の目標歩容の構成要素として目標歩容生成部33により生成することも可能である。さらには、例えば、各足平部16の目標位置及び目標姿勢を、それぞれ、腰部2a(又は基体2)に対する相対的な目標位置、目標姿勢として生成することも可能である。
関節アクチュエータ制御部34は、本発明における関節アクチュエータ制御手段に相当する。この関節アクチュエータ制御部34は、目標歩容生成部33により生成された目標歩容に応じて各脚体3の各関節17〜22の目標変位量を逐次決定し、各関節17〜22の実際の変位量を目標変位量に追従させるように、各関節17〜22に対応する関節アクチュエータ30をフィードバック制御する。これにより目標歩容に従って、ロボット1の移動動作が行われる。
なお、本実施形態では、各脚体3は6自由度を有するので、腰部2a及び各足平部16のそれぞれの目標位置及び目標姿勢に応じて、各脚体3の各関節17〜22の目標変位量は一義的に定まる。
次に、階段等の段差にてロボット1を移動させる場合の作動を説明する。
制御処理ユニット31は、床形状認識部32によりロボット1の進行方向前方に存在する段差を認識した場合、その段差にてロボット1を移動(昇降)させるための目標歩容を目標歩容生成部33により生成する。
目標歩容生成部33は、例えば図3のフローチャートに示す処理により、ロボット1の一歩毎の目標歩容を生成する。具体的には、目標歩容生成部33は、まず、STEP1において、離床させようとする遊脚側足平部16swgの目標着地位置及び目標着地姿勢を決定する。
例えば、図4(a)又は図6(a)を参照して、ロボット1に移動させる段差が昇りの段差51uである場合には、支持脚側足平部16sup(図示例では16R)が接地している床面(下段側踏面)52aの一段上側の踏面(上段側踏面)52bに遊脚側足平部16swg(図示例では16L)を接地させるように、遊脚側足平部16swgの目標着地位置及び目標着地姿勢が決定される。
なお、昇りの段差における遊脚側足平部16swgの目標着地位置及び目標着地姿勢は、該足平部16swgの踵寄りの部分が、上段側踏面52bから手前側(ロボット1から見て手前側)にはみ出すように設定されてもよい。
また、図11を参照して、ロボット1に移動させる段差が降りの段差51dである場合には、支持脚側足平部16sup(図示例では16L)が接地している床面(上段側踏面)53aの一段下側の踏面(下段段側踏面)53bに遊脚側足平部16swg(図示例では16R)を接地させるように、遊脚側足平部16swgの目標着地位置及び目標着地姿勢が決定される。
なお、降りの段差における遊脚側足平部16swgの目標着地位置及び目標着地姿勢は、該足平部16swgのつま先寄りの部分が、下段側踏面から奥側(ロボット1から見て奥側)にはみ出すように設定されてもよい。
次いで、目標歩容生成部33は、STEP2において、各足平部16の目標位置及び目標姿勢の軌道を決定する。
この場合、遊脚側足平部16swgの目標位置の軌道は、該足平部16swgを離床させて上昇させ、その後、該足平部16swgを着地先の踏面の目標着地位置に向かって下降させて該踏面に着地させるように決定される。
また、遊脚側足平部16swgの目標姿勢の軌道は、例えば、該足平部16swgの離床後、着地直前までに該足平部16swgのピッチ方向の姿勢がつま先上がりの姿勢(例えば図4(a)又は図6(a)に例示する足平部16Lの姿勢)になり、次いで、該足平部16swgがつま先上がりの姿勢で着地先の踏面に着地した後、該足平部16swgが、その底面が着地先の踏面に平行となる姿勢で該踏面に接地するように決定される。
なお、遊脚側足平部16swgの空中での移動中に、該足平部16swgを、その底面が着地先の踏面に平行となる姿勢(例えば図11に例示する足平部16Rの姿勢)として、この姿勢状態で、該足平部16swgを着地先の踏面に着地させるようにしてもよい。
以降、足平部16の底面が踏面(床面)に平行となる姿勢を該足平部16の基本接地姿勢という。
また、支持脚側足平部16supの目標位置及び目標姿勢の軌道は、例えば、遊脚側足平部16swgの空中での移動中に、該足平部6supが上記基本接地姿勢で踏面に接地した状態となるように生成される。
さらに、遊脚側足平部16swgの離床直前における目標位置及び目標姿勢の軌道は、該足平部16swgを前記基本接地姿勢で接地した状態からピッチ方向に回転させることで、該足平部16swgがつま先下がりの姿勢(例えば図4(b)又は図6(b)に例示する足平部16Rの姿勢)になるように決定される。
なお、詳細は後述するが、遊脚側足平部16swgの離床直前におけるピッチ方向の目標姿勢の軌道は、段差の高さに応じたパターンとなるように決定される。
次いで、目標歩容生成部33は、STEP3において、腰部2aの目標姿勢の軌道を決定する。詳細は後述するが、腰部2aの目標姿勢の軌道は、段差の高さに応じたパターンになるように決定される。
次いで、目標歩容生成部33は、STEP4において、目標ZMPの軌道を決定する。この場合、各足平部16の目標位置及び目標姿勢の軌道により規定される支持多角形内で、該支持多角形の境界に近づき過ぎない位置に目標ZMPを存在させるように目標ZMPの軌道が決定される。
なお、この場合、ロボット1の継続的な移動を行うことが可能な複数歩分の目標歩容を生成し得るように、目標ZMPの軌道を決定することが望ましい。
次いで、目標歩容生成部33は、STEP5において、目標ZMPを満たすように、ロボット1の全体重心の目標位置の軌道を決定する。
ここで、目標ZMPを満たすというのは、ロボット1の全体重心に作用する重力と、ロボット1の運動(ひいては該全体重心の運動)によって発生する慣性力との合力が目標ZMP周りに発生する水平方向の軸周りのモーメントがゼロになるという条件を満たすことを意味する。
また、この場合、遊脚側足平部16swgの離床直前では、該遊脚側足平部16swgのピッチ方向の傾斜によって該足平部16swgの踵側が該足平部16swgの接地面(踏面)から上昇するに伴い、ロボット1の全体重心の高さ(Z軸方向の位置)も上昇するように該全体重心の目標位置の軌道が決定される。
次いで、目標歩容生成部33は、STEP6において、ロボット1のモデル(剛体リンクモデル)と、各足平部16の目標位置及び目標姿勢の軌道と、腰部2aの目標姿勢の軌道とを用いて、ロボット1の全体重心の目標位置の軌道を実現するように、腰部2aの目標位置の軌道を決定する。
すなわち、目標歩容生成部33は、各足平部16の目標位置及び目標姿勢の軌道と、腰部2aの目標位置及び目標姿勢の軌道とに応じて、ロボット1のモデルに基づき算出される全体重心の位置の軌道が、該全体重心の目標位置の軌道に一致するように腰部2aの目標位置の軌道を決定する。
以上の目標歩容生成部33の処理により、ロボット1の一歩毎の目標歩容(各足平部16の目標位置及び目標姿勢の軌道、並びに、腰部2aの目標位置及び目標姿勢の軌道)が生成される。
制御処理ユニット31は、上記の如く目標歩容生成部33により生成した目標歩容に応じて、関節アクチュエータ制御部34により、各関節アクチュエータ30を制御する。
この場合、関節アクチュエータ制御部34は、各足平部16の目標位置及び目標姿勢の軌道と、腰部2aの目標位置及び目標姿勢の軌道とから、各脚体3の各関節17〜22の目標変位量を逐次算出する。
そして、関節アクチュエータ30は、各関節17〜22の実際の変位量を目標変位量に追従させるように、各関節毎の関節アクチュエータ30をフィードバック制御する。
これにより、ロボット1が目標歩容に従って動作し、段差でのロボット1の移動が行われる。
本実施形態では、上記した目標歩容生成部33の処理において、目標歩容の一部の構成要素(腰部2aの目標姿勢等)の軌道のパターンが、ロボット1に移動させる段差の高さに応じて規定されるパターンとなるように目標歩容が生成される。
さらに詳細には、ロボット1に段差を移動させる場合の目標歩容のパターンは、段差の高さが比較的低い場合のパターンと、段差の高さが比較的高い場合のパターンとに大別される。そして、それぞれのパターンの目標歩容は、腰部2aの目標姿勢の軌道のパターンと、支持脚側足平部16supのピッチ方向の目標姿勢(目標傾斜角)の軌道のパターンと、腰部2aの上下方向(Z軸方向)の目標位置の軌道のパターンとが互いに相違する。
なお、段差の高さは一段当たりの高さである。より詳しくは、段差の高さは、ロボット1の支持脚側足平部16supが接地している踏面(床面)と、一段上側の上段側踏面(段差が昇りの段差である場合)、あるいは、一段下側の下段側踏面(段差が降りの段差である場合)との間の上下方向の間隔である。
例えば、ロボット1に移動させる段差が図4又は図6に示す如き昇りの段差51uである場合、図中のhs(下段側踏面52aとその一段上側の上段側踏面52bとの間の上下方向の間隔)が該昇りの段差51uの高さである。同様に、ロボット1に移動させる段差が図11に示す如き降りの段差51dである場合、図中のhs(上段側踏面53aとその一段下側の下段側踏面53bとの間の上下方向の間隔)が該降りの段差51dの高さである。
[段差が昇りの段差である場合]
まず、ロボット1に移動させる段差が昇りの段差である場合に関して、段差の高さと目標歩容のパターンとの関係について以下に説明する。
昇りの段差の高さがあらかじめ定められた所定の閾値h_thよりも低い場合には、目標歩容生成部33が生成する腰部2aの目標姿勢は、本実施形態では、あらかじめ定められた所定の一定姿勢(以降、腰部標準姿勢という)に維持される。なお、昇りの段差での移動開始前の腰部2aの姿勢が腰部標準姿勢と異なる場合には、昇りの段差の第1段目の上段側踏面上に遊脚側足平部16swgを移動させる過程で、腰部2aの姿勢を当初の姿勢から腰部標準姿勢に変化させるようにしてもよい。
上記腰部標準姿勢における腰部2aのロール方向の目標姿勢は、図5(a)に例示するように、上下方向(Z軸方向)での左右の股関節部11R,11Lのそれぞれの位置Z11L,Z11Rの偏差(高さ偏差)DZ11がゼロとなる姿勢である。なお、DZ11は、本発明における高さ偏差DZに相当する。
また、腰部標準姿勢における腰部2aのヨー方向の目標姿勢は、図5(b)に例示するように、ロボット1の進行方向(X軸方向)での左右の股関節部11L,11Rのそれぞれの位置X11L,X11Rの偏差(位置偏差)DX11がゼロとなる姿勢である。なお、DX11は、本発明における位置偏差DXに相当する。
従って、腰部標準姿勢における腰部2aのロール方向及びヨー方向の目標姿勢は、換言すれば、左右の股関節部11R,11Lの間隔方向が、ロボット1の進行方向(X軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に直交する左右方向(Y軸方向)に一致する状態での該腰部2aの姿勢である。
また、腰部標準姿勢における腰部2aのピッチ方向の目標姿勢は、例えば、図4(a),(b)に例示する如く、腰部2aのピッチ方向の傾斜角θb_yがあらかじめ定められた第1の所定角度となる姿勢である。なお、図示例では、腰部標準姿勢における腰部2aのピッチ方向の目標姿勢は、腰部2aが(ひいては基体2が)、鉛直方向に対して前傾状態となる姿勢であるが、前傾姿勢以外の姿勢(例えば、腰部2aが上下方向に直立する姿勢)であってもよい。
以降の説明では、腰部標準姿勢での腰部2aのロール方向の傾斜角θb_x、ピッチ方向の傾斜角θb_y、ヨー方向の回転角θb_zをそれぞれ、第1の所定角度θb_x(1)、θb_y(1)、θb_z(1)と表記する。そして、これらの所定角度θb_x(1)、θb_y(1)、θb_z(1)をゼロの角度と定義する。
また、hs<h_thである場合の遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、該足平部16swgの離床直前において、図4(b)に例示する如く、該遊脚側脚体3swg(図示例では、3R)の足首関節部15の高さH15(遊脚側足平部16swgが接地している床面(下段側踏面)52aからの高さ)があらかじめ定めた第1の所定値H15(1)となるように生成される。
例えば、遊脚側足平部16swgが前記基本接地姿勢で床面に接地した状態(支持脚側足平部16supとしての接地状態)から、該足平部16swgの踵側を上げる向き(該足平部16swgがつま先下がりとなる向き)に、該足平部16swgをピッチ方向に第1の所定角度だけ回転させるように、遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢の軌道が生成される。これにより、該足平部16swgの離床直前において遊脚側脚体3swgの足首関節部15の高さH15が第1の所定値H15(1)となる状態が実現される。
さらに、hs<h_thである場合のロボット1の全体重心の上下方向(Z軸方向)の目標位置の軌道は、遊脚側足平部16swgの離床直前に、該足平部16swgの踵側が上昇する(ひいては足首関節部15が上昇する)に伴い、全体重心の上下方向の目標位置も上昇するように生成される。これにより結果的に、腰部2aの高さH2(図4(b)を参照)が遊脚側足平部16swgの離床直前に上昇するように、腰部2aの上下方向の目標位置の軌道が生成される。
一方、昇りの段差の高さhsがあらかじめ定められた所定の閾値h_thよりも高い場合(hs>h_thである場合)には、目標歩容生成部33が生成する腰部2aの目標姿勢の軌道は、腰部2aの目標姿勢等の軌道が、hs<h_thである場合と異なるパターンとなるように生成される。
具体的には、hs>h_thである場合の腰部2aのロール方向の目標姿勢の軌道は、遊脚側足平部16swgの着地直前において、図6(a)及び図7(a)に例示するように、左右の股関節部11L,11Rのうち、遊脚側脚体3swgの股関節部11(図示例では、股関節部11L)が、支持脚側脚体3supの股関節部11(図示例では、股関節部11R)よりも高くなる(上側に位置する)ように生成される。
換言すれば、左右の股関節部11L,11Rのうち、支持脚側脚体3supの股関節部11(図示例では、股関節部11R)の上下方向(Z軸方向)の位置Z11Rと、遊脚側脚体3swgの股関節部11(図示例では、股関節部11L)の上下方向(Z軸方向)の位置Z11Lとの高さ偏差DZ11を、遊脚側脚体3swgの股関節部11が支持脚側脚体3supの股関節部11よりも高くなる状態で正の偏差と定義したとき、遊脚側足平部16swgの着地直前におけるDZ11が、正の偏差となる(DZ11>0となる)ように腰部2aのロール方向の目標姿勢の軌道が生成される。
例えば、遊脚側足平部16swgの空中での移動中におけるロボット1の移動動作に伴い、腰部2aのロール方向の傾斜角度θb_xを、DZ11≦0となる角度から、DZ11>0となる第2の所定角度θb_x(2)まで変化させる(腰部2aのロール方向の回転を行う)ように、腰部2aのロール方向の目標姿勢の軌道が生成される。これにより、遊脚側足平部16swgの着地直前においてDZ11>0となる状態が実現される。
また、hs>h_thである場合の腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道は、遊脚側足平部16swgの離床直前において、図6(b)及び図7(b)に例示するように、左右の股関節部11L,11Rのうちの遊脚側脚体3swgの股関節部11(図示例では、股関節部11R)が、支持脚側脚体3supの股関節部11(図示例では、股関節部11L)よりもロボット1の進行方向(X軸方向)で後側の位置になるように生成される。
換言すれば、左右の股関節部11L,11Rのうち、支持脚側脚体3supの股関節部11(図示例では、股関節部11L)のX軸方向の位置X11Rと、遊脚側脚体3swgの股関節部11(図示例では、股関節部11R)のX軸方向の位置X11Lとの位置偏差DX11を、遊脚側脚体3swgの股関節部11が支持脚側脚体3supの股関節部11よりも前側となる状態で正の偏差と定義したとき、遊脚側足平部16swgの離床直前におけるDX11が、正の偏差となる(DX11>0となる)ように腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道が生成される。
例えば、遊脚側足平部16swgが直前に支持脚側足平部16supとなっていた期間でのロボット1の移動動作に伴い、腰部2aのヨー方向の回転角度θb_zを、DX11≦0となる角度からDX11>0となる第2の所定角度θb_z(2)まで変化させる(腰部2aのヨー方向の回転を行う)ように腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道が生成される。これにより、遊脚側足平部16swgの離床直前においてDX11>0となる状態が実現される。
また、hs>h_thである場合の腰部2aのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、図6(a),(b)に例示する如く、腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yが、hs<h_thである場合の第1の所定角度θb_y(1)よりも相対的に後傾側の第2の所定角度θb_y(2)に維持されるように生成される。
ここで、腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yの正方向を腰部2aの前傾方向と定義したとき、第1の所定角度θb_y(1)よりも第2の所定角度θb_y(2)が後傾側であるというのは、θb_y(1)>θb_y(2)である(θb_y(2)がθb_y(1)よりも負方向側の傾斜角となる)ことを意味する。この場合、第2の所定角度θb_y(2)に対応する腰部2aのピッチ方向の姿勢は、実際に後傾状態である必要はなく、直立状態もしくは前傾状態であってもよい。
なお、昇りの段差での移動開始前の腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yが第2の所定角度θb_y(2)と異なる場合には、昇りの段差の第1段目の上段側踏面上に遊脚側足平部16swgを移動させる過程で、腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yを当初の傾斜角度から第2の所定角度θb_y(2)に変化させるようにしてもよい。
また、hs>h_thである場合の遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、該足平部16swgの離床直前において、図6(b)に例示する如く、該遊脚側足平部16swgの足首関節部15の高さH15(遊脚側足平部16swgが接地している床面(下段側踏面)52aからの高さ)が、hs<h_thである場合の第1の所定値H15(1)よりも大きい値にあらかじめ定めた第2の所定値H15(2)となるように生成される。
例えば、遊脚側足平部16swgが前記基本接地姿勢で床面に接地した状態(支持脚側足平部16supとしての接地状態)から、該足平部16swgの踵側を上げる向き(該足平部16swgがつま先下がりとなる向き)に、該足平部16swgをピッチ方向に第2の所定角度だけ回転させるように、遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢の軌道が生成される。この場合の足平部16swgの回転量(第2の所定角度)は、hs<h_thである場合の回転量(第1の所定角度)よりも大きい回転量である。これにより、該足平部16swgの離床直前において遊脚側脚体3swgの足首関節部15の高さH15が第2の所定値H15(2)となる状態が実現される。
さらに、hs>h_thである場合のロボット1の全体重心の上下方向(Z軸方向)の目標位置の軌道は、遊脚側足平部16swgの離床直前に、該足平部16swgの踵側が上昇する(ひいては足首関節部15が上昇する)に伴い、全体重心の上下方向の目標位置も上昇するように生成される。
この時、遊脚側脚体3swgの足首関節部15の高さH15が、遊脚側足平部16swgが離床する直前において、hs<h_thである場合よりも大きくなることから、ロボット1の全体重心の上下方向の目標位置の軌道は、該全体重心が、hs<h_thである場合よりもさらに上昇するように生成される。
これにより結果的に、遊脚側足平部16swgの離床直前における腰部2aの高さH2(図6(b)を参照)が、hs<h_thである場合よりもさらに高くなるように、腰部2aの上下方向の目標位置の軌道が生成される。
以上のように、目標歩容生成部33は、ロボット1に昇りの段差を移動させる(昇らせる)目標歩容を生成する場合に、腰部2aの目標姿勢の軌道や、遊脚側足平部16swgの離床直前におけるピッチ方向の目標姿勢の軌道が、段差の高さhsに依存するパターンとなるように、目標歩容を生成する。
ここで、仮に、昇りの段差の高さhsが比較的高い場合(hs>h_thである場合)に、昇りの段差の高さhsが低い場合(hs<h_thである場合)と同じパターンで目標歩容を生成した場合には、図8(a)に例示する如く、遊脚側足平部16swg(図示例では、16L)の着地直前の近辺の期間において、腰部2aに対する遊脚側脚体3swgの大腿部12の必要屈曲度合(ピッチ方向での屈曲度合)、あるいは、大腿部12に対する下腿部14の必要屈曲度合(ピッチ方向での屈曲度合)が過大なものとなりやすい。ひいては、遊脚側脚体3swgの股関節部11の関節18の必要変位量、あるいは、膝関節部13の関節20の必要変位量が、それらの関節の構造的な可動範囲の限界に達してしまいやすい。
また、この場合には、図8(b)に例示する如く、遊脚側足平部16swg(図示例では、16R)の離床直前の近辺の期間で、支持脚側足平部16sup(図示例では16L)の下腿部14が、接地中の踏面52bの一段上側の踏面のエッジに近づき過ぎたり、あるいは、該下腿部14に対する足平部16supの屈曲度合(ピッチ方向での屈曲度合)が過大なものとなりやすい。ひいては、支持脚側脚体3supの下腿部14と段差のエッジとの干渉が発生したり、あるいは、支持脚側脚体3supの足首関節部15の関節20の必要変位量が、該関節20の構造的な可動範囲の限界に達してしまいやすい。
本実施形態では、このような不都合が解消するために、hs>h_thである場合に、腰部2aの目標姿勢の軌道や、遊脚側足平部16swgの離床直前におけるピッチ方向の目標姿勢の軌道を前記の如く設定するようにした。
この場合、遊脚側足平部16swgの着地直前における腰部2aの目標姿勢を、前記した如く腰部標準姿勢と異ならせるようにしたことで、遊脚側足平部16swgの着地直前の近辺の期間において、腰部2aに対する遊脚側脚体3swgの大腿部12の必要屈曲度合(ピッチ方向での屈曲度合)、あるいは、大腿部12に対する下腿部14の必要屈曲度合(ピッチ方向での屈曲度合)が過大になるのを抑制できる。
より詳しくは、遊脚側足平部16swgの着地直前において、遊脚側脚体3swgの股関節部11が、支持脚側脚体3supの股関節部11よりも高くなるように腰部2aのロール方向の目標姿勢の軌道が生成される。
さらに、腰部2aのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yが、hs<h_thである場合の腰部標準姿勢における傾斜角度θb_y(=θb_y(1))よりも後傾側の傾斜角度(=θb_y(2))となるように生成される。
このため、遊脚側足平部16swgの着地直前の近辺の期間において、腰部2aに対する遊脚側脚体3swgの大腿部12の必要屈曲度合(股関節部11におけるピッチ方向の屈曲度合)、あるいは、大腿部12に対する下腿部14の必要屈曲度合(膝関節部13におけるピッチ方向の屈曲度合)が過大になるのを抑制できる。
また、遊脚側足平部16swgの離床直前において、遊脚側脚体3swgの股関節部11が、支持脚側脚体3supの股関節部11よりもX軸方向の位置が前側になるように腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道が生成される。
さらに、遊脚側足平部16swgの離床直前において、遊脚側脚体3swgの足首関節部15の高さH15をhs<h_thである場合よりも高くすると共に、これに合わせて、腰部2aの高さも高くするように、遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢及び腰部2aの上下方向の目標位置の軌道が生成される。
このため、遊脚側足平部16swgの離床直前の近辺の期間において、支持脚側脚体3supの下腿部14が、接地中の踏面の一段上側の踏面のエッジに近づき過ぎたり、あるいは、下腿部14に対する足平部16supの屈曲度合(足首関節部15におけるピッチ方向の屈曲度合)等が過大なものとなるのを抑制できる。
従って、昇りの段差の高さが比較的高い場合であっても、昇りの段差でのロボット1の移動中に、各脚体3の股関節部11の関節18の目標変位量、あるいは、膝関節部13の関節20の目標変位量、あるいは、足首関節部15の関節21の目標変位量が該関節21の可動範囲の限界に達するような過大なものとなったり、支持脚側脚体3supの下腿部14等と、段差のエッジとの干渉が発生するようなことを防止できる。
補足すると、腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道に関して、遊脚側足平部16swgの着地直前の近辺の期間において、腰部2aに対する遊脚側脚体3swgの大腿部12の必要屈曲度合(股関節部11におけるピッチ方向の屈曲度合)を抑制する上では、遊脚側足平部16swgの着地直前において、遊脚側脚体3swgの股関節部11が支持脚側脚体3supの股関節部11よりも前側になるように、腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道を生成する方が有利である。
ただし、本実施形態では、遊脚側足平部16swgの離床直前において、支持脚側脚体3supの下腿部14が、接地中の踏面の一段上側の踏面のエッジに近づき過ぎたりするのを優先的に防止するために、遊脚側足平部16swgの離床直前(換言すれば、1つ前の遊脚側足平部16swgの着地直後)において、図6(b)に例示した如く、遊脚側脚体3swgの股関節部11が支持脚側脚体3supの股関節部11よりも後側になるようした。
このため、本実施形態では、遊脚側足平部16swgの着地直前において、図6(a)に示した如く、遊脚側脚体3swg(次に支持脚側脚体3supとなる脚体3)の股関節部11が支持脚側脚体3sup(次に遊脚側脚体3swgとなって離床する脚体3)の股関節部11よりも後側になるように、腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するようにしている。
図9は、本実施形態において、ロボット1に昇りの段差(段差の高さがhs>h_thとなる昇りの段差)を移動させる場合における腰部2aの目標姿勢等の経時変化の一例(実施例)を示すグラフである。この場合、図9の上から第4段目のグラフ、第5段目のグラフ、第6段目のグラフは、それぞれ、腰部2aの目標姿勢におけるピッチ方向の傾斜角度θb_y、ロール方向の傾斜角度θb_x、ヨー方向の回転角度θb_zの経時変化を示すグラフである。
そして、図9の上から第1段目のグラフは、各股関節部11のピッチ方向の回転を行う関節18の変位量(回転角度θ18)の経時変化を示すグラフ、第2段目のグラフは、各足首関節部15のピッチ方向の回転を行う関節21の変位量(回転角度θ21)の経時変化を示すグラフ、第3段目のグラフは、各足平部16の目標姿勢におけるピッチ方向の傾斜角度θf_yの経時変化を示すグラフである。
また、図10は、腰部2aの目標姿勢を前記腰部標準姿勢として、ロボット1に昇りの段差(段差の高さがhs>h_thとなる昇りの段差)を移動させる場合における該腰部2aの目標姿勢等の経時変化の一例(比較例)を示すグラフである。この場合、図10の第1段目〜第6段目のグラフは、それぞれ図9の第1段目〜第6段目のグラフと同じ対象の経時変化を示すグラフである。
なお、図9の時刻t1におけるロボット1の姿勢が図6(a)に示したロボット1の姿勢に相当し、図9の時刻t2におけるロボット1の姿勢が図6(b)に示したロボット1の姿勢に相当する。また、図10の時刻t1におけるロボット1の姿勢が図8(a)に示したロボット1の姿勢に相当し、図10の時刻t2におけるロボット1の姿勢が図8(b)に示したロボット1の姿勢に相当する。
この場合、図10に示す比較例(腰部2aの目標姿勢を前記腰部標準姿勢とした場合)では、例えば時刻t1における遊脚側脚体3swgの股関節部11の関節18の回転角度θ18の大きさが過大になる。
これに対して、図9に示す実施例では、時刻t1における遊脚側脚体3swgの股関節部11関節18の回転角度θ18の大きさが、比較例の場合よりも抑制されることが確認された。
[段差が降りの段差である場合]
次に、ロボット1に移動させる段差が降りの段差である場合に関して、段差の高さと目標歩容のパターンとの関係について以下に説明する。なお、以下の説明では、段差が昇りの段差である場合との相違点を中心に説明する。
ロボット1に移動させる段差が降りの段差である場合において、段差の高さhsがあらかじめ定められた所定の閾値h_thよりも低い場合における腰部2aの目標姿勢の軌道、並びに、遊脚側足平部16swgの目標姿勢の軌道とは、昇りの段差の場合と同様のパターンで生成される。
従って、腰部2aの目標姿勢の軌道は、前記腰部標準姿勢に維持されるように生成される。また、遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、離床直前につまさき下がりの姿勢になるように生成される。
なお、降りの段差における段差の高さhsの閾値h_thは、昇りの段差に閾値h_thおける段差の高さhsの閾値h_thと異なっていてもよい。
一方、ロボット1に移動させる段差が降りの段差である場合において、段差の高さhsがあらかじめ定められた所定の閾値h_thよりも高い場合における腰部2aの目標姿勢の軌道等は、本実施形態では次のようなパターンで生成される。
具体的には、降りの段差において、hs>h_thである場合の腰部2aのロール方向の目標姿勢の軌道は、例えば、該ロール方向の目標姿勢が腰部標準姿勢と同じ姿勢に維持されるように生成される。
ただし、hs>h_thである昇りの段差でロボット1を移動させる場合と同様に、遊脚側足平部16swgの着地直前において、左右の股関節部11L,11Rのうち、遊脚側脚体3swgの股関節部11が、支持脚側脚体3supの股関節部11よりも高くなる(上側に位置する)ように、腰部2aのロール方向の目標姿勢の軌道を生成してもよい。
また、降りの段差において、hs>h_thである場合の腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道は、遊脚側足平部16swgの着地直前において、図11及び図12に例示するように、左右の股関節部11L,11Rのうちの遊脚側脚体3swgの股関節部11(図示例では、股関節部11R)が、支持脚側脚体3supの股関節部11(図示例では、股関節部11L)よりもロボット1の進行方向(X軸方向)で前側の位置になるように生成される。
換言すれば、左右の股関節部11L,11Rのうち、支持脚側脚体3supの股関節部11(図示例では、股関節部11L)のX軸方向の位置X11Lと、遊脚側脚体3swgの股関節部11(図示例では、股関節部11R)のX軸方向の位置X11Rとの位置偏差DX11を、遊脚側脚体3swgの股関節部11が支持脚側脚体3supの股関節部11よりも前側となる状態で正の偏差と定義したとき、遊脚側足平部16swgの着地直前におけるDX11が、正の偏差となる(DX11>0となる)ように腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道が生成される。
例えば、遊脚側足平部16swgの空中での移動中におけるロボット1の移動動作に伴い、腰部2aのヨー方向の回転角度θb_zを、DX11≦0となる角度からDX11>0となる第3の所定角度θb_z(3)に向かって変化させる(腰部2aのヨー方向の回転を行う)ように、腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道が生成される。これにより、遊脚側足平部16swgの着地直前においてDX11>0となる状態が実現される。
また、降りの段差において、hs>h_thである場合の腰部2aのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、hs>h_thである昇りの段差でロボット1を移動させる場合と同様に、腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yが、hs<h_thである場合の第1の所定角度θb_y(1)よりも相対的に後傾側の第2の所定角度θb_y(2)に維持されるように生成される。
なお、降りの段差での移動開始前の腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yが第2の所定角度θb_y(2)と異なる場合には、降りの段差の第1段目の下段側踏面上に遊脚側足平部16swgを移動させる過程で、腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yを当初の傾斜角度から第2の所定角度θb_y(2)に変化させるようにしてもよい。さらに、第2の所定角度θb_y(2)は、昇りの段差の場合と異なっていてもよい。
また、降りの段差において、hs>h_thである場合の遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、昇りの段差の場合と同様に、該足平部16swgの離床直前において、該足平部16swgの足首関節部15の高さH15(遊脚側足平部16swgが接地している床面(踏面)からの高さ)が、hs<h_thである場合の高さ(第1の所定値H15(1))よりも大きい値にあらかじめ定めた第2の所定値H15(2)となるように生成される。
さらに、hs>h_thである場合のロボット1の全体重心の上下方向(Z軸方向)の目標位置の軌道は、昇りの段差の場合と同様に、遊脚側足平部16swgの離床直前に、該足平部16swgの踵側が上昇する(ひいては足首関節部15が上昇する)に伴い、全体重心の上下方向の目標位置も上昇するように生成される。
これにより結果的に、遊脚側足平部16swgの離床直前における腰部2aの高さH2が、hs<h_thである場合よりもさらに高くなるように、腰部2aの上下方向の目標位置の軌道が生成される。
以上のように、目標歩容生成部33は、ロボット1に降りの段差を移動させる(降らせる)目標歩容を生成する場合に、腰部2aの目標姿勢の軌道や、遊脚側足平部16swgの離床直前におけるピッチ方向の目標姿勢の軌道が、段差の高さhsに依存するパターンとなるように、目標歩容を生成する。
ここで、仮に、降りの段差の高さhsが比較的高い場合(hs>h_thである場合)に、降りの段差の高さhsが低い場合(hs<h_thである場合)と同じパターンで目標歩容を生成した場合には、図13に例示する如く、遊脚側足平部16swg(図示例では、16R)の着地直前の近辺の期間において、腰部2aに対する支持脚側脚体3supの大腿部12の必要屈曲度合(股関節部11におけるピッチ方向の屈曲度合)、あるいは、大腿部12に対する下腿部14の必要屈曲度合(膝関節部13におけるピッチ方向の屈曲度合)、あるいは、下腿部14に対する足平部16の必要屈曲度合(足首関節部15におけるピッチ方向の屈曲度合)が過大なものとなりやすい。ひいては、支持脚側脚体3supの股関節部11の関節18の必要変位量、あるいは、膝関節部13の関節20の必要変位量、あるいは、足首関節部15の関節21の必要変位量が、それらの関節の構造的な可動範囲の限界に達してしまいやすい。
また、この場合、遊脚側脚体3swgの離床直前においても、腰部2aに対する遊脚側脚体3swgの大腿部12の必要屈曲度合(股関節部11におけるピッチ方向の屈曲度合)等が過大なものとなりやすい。
本実施形態では、このような不都合が解消するために、ロボット1に降りの段差を移動させる場合において、hs>h_thである場合に、腰部2aの目標姿勢の軌道や、遊脚側足平部16swgの離床直前におけるピッチ方向の目標姿勢の軌道を前記の如く設定するようにした。
この場合、遊脚側足平部16swgの着地直前において、遊脚側脚体3swgの股関節部11が、支持脚側脚体3supの股関節部11よりもロボット1の進行方向(X軸方向)で前側になるように腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道が生成される。
さらに、腰部2aのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、腰部2aのピッチ方向の傾斜角度θb_yが、hs<h_thである場合の腰部標準姿勢における傾斜角度θb_y(=θb_y(1))よりも後傾側の傾斜角度(=θb_y(2))となるように生成される。
このため、遊脚側足平部16swgの着地直前の近辺の期間において、腰部2aに対する支持脚側脚体3supの大腿部12の必要屈曲度合(股関節部11でのピッチ方向の屈曲度合)、あるいは、大腿部12に対する下腿部14の必要屈曲度合(膝関節部13でのピッチ方向の屈曲度合)が過大になるのを抑制できる。
従って、降りの段差の高さが比較的高い場合であっても、降りの段差でのロボット1の移動中に、各脚体3の股関節部11の関節18の目標変位量、あるいは、膝関節部13の関節20の目標変位量が、それらの可動範囲の限界に達するような過大なものとなるのを防止できる。
さらに、遊脚側足平部16swgの離床直前において、遊脚側脚体3swgの足首関節部15の高さH15をhs<h_thである場合よりも高くすると共に、これに合わせて、腰部2aの高さも高くするように、遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢及び腰部2aの上下方向の目標位置の軌道が生成される。
このため、遊脚側足平部16swgの離床直前の近辺の期間において、遊脚側脚体3swgの下腿部14に対する足平部16supの屈曲度合(足首関節部15におけるピッチ方向の屈曲度合)等が過大なものとなるのを抑制できる。
従って、降りの段差の高さが比較的高い場合であっても、降りの段差でのロボット1の移動中に、各脚体3の股関節部11の関節18の目標変位量、あるいは、膝関節部13の関節20の目標変位量、あるいは、足首関節部15の関節21の目標変位量が該関節21の可動範囲の限界に達するような過大なものとなることを防止できる。
図14は、本実施形態において、ロボット1に降りの段差(段差の高さがhs>h_thとなる降りの段差)を移動させる場合における腰部2aの目標姿勢等の経時変化の一例(実施例)を示すグラフである。この場合、図14の第1段目〜第6段目のグラフは、それぞれ前記した図9の第1段目〜第6段目のグラフと同じ対象の経時変化を示すグラフである。
また、図15は、腰部2aの目標姿勢を前記腰部標準姿勢として、ロボット1に降りの段差(段差の高さがhs>h_thとなる降りの段差)を移動させる場合における該腰部2aの目標姿勢等の経時変化の一例(比較例)を示すグラフである。この場合、図15の第1段目〜第6段目のグラフは、それぞれ図9の第1段目〜第6段目のグラフと同じ対象の経時変化を示すグラフである。
なお、図14の時刻t3におけるロボット1の姿勢が図11に示したロボット1の姿勢に相当し、図15の時刻t3におけるロボット1の姿勢が図13に示したロボット1の姿勢に相当する。
図15に示す比較例(腰部2aの目標姿勢を前記腰部標準姿勢とした場合)では、例えば時刻t3における支持脚側脚体3supの足首関節部15の関節21の回転角度θ21の大きさが過大になる。
これに対して、図14に示す実施例では、時刻t3における支持脚側脚体3supの足首関節部15の関節21の回転角度θ21の大きさが、比較例の場合よりも抑制されることが確認された。
以上の如く、本実施形態によれば、段差の高さが比較的高い場合であっても、各脚体3の各関節部11,13,14でのピッチ方向の屈曲度合が、可動範囲の限界に達するような過大なものとならないように、ロボット1の段差での移動を行わせる目標歩容を生成できる。このため、種々様々な高さの段差をロボット1に移動させることができる。
また、段差の高さが比較的低い場合には、腰部2aの目標姿勢を腰部標準姿勢にすることで、腰部2aのロール方向もしくはヨー方向の目標姿勢の変化が必要最小限に留めることができる。
[変形態様について]
次に、以上説明した実施形態の変形態様をいくつか説明する。前記実施形態では、ロボット1に移動させる段差が昇りの段差である場合に、遊脚側足平部16swgの離床直前に直前に、遊脚側脚体3swgの股関節部11が支持脚側脚体3supの股関節部11よりも前側となるようにするために、1つ前の遊脚側脚体3swgの着地直前において、当該1つ前の遊脚側脚体3swgの股関節部11が当該1つ前の支持脚側脚体3supの股関節部11よりも後側となるように、腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道が目標歩容生成部33により生成される。
ただし、昇りの段差の踏面の奥行が比較的大きい場合等、支持脚側脚体3supが、接地中の踏面の一段上側の踏面のエッジと干渉するような虞が無い場合には、遊脚側脚体3swgの着地直前において、遊脚側脚体3swgの股関節部11が支持脚側脚体3supの股関節部11よりも前側となるように、腰部2aのヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するようにしてもよい。
また、ロボット1に移動させる段差が昇りの段差である場合と降りの段差である場合とのいずれの場合であっても、ロボット1のロール方向の目標姿勢とヨー方向の目標姿勢とのうちのいずれか一方を一定の姿勢(例えば前記腰部標準姿勢と同じ姿勢)に維持するようにしてもよい。
さらに、ロボット1のロール方向の目標姿勢とヨー方向の目標姿勢とのうちのいずれか一方を前記実施形態の如く生成する場合には、腰部2aのピッチ方向の目標姿勢、あるいは、遊脚側足平部16swgの離床直前における該足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢は、段差の高さが低い場合と高い場合とのいずれの場合でも同じにしてもよい。
あるいは、ロボット1のロール方向の目標姿勢とヨー方向の目標姿勢との両方を一定の姿勢(例えば前記腰部標準姿勢と同じ姿勢)に維持したままで、腰部2aのピッチ方向の目標姿勢の軌道、あるいは、遊脚側足平部16swgの離床直前における該足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢の軌道を、前記実施形態の如く、段差の高さに応じて異ならせるように生成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、段差の高さが比較的低い場合(hs<h_thである場合)に、腰部2aの目標姿勢を腰部標準姿勢にしたが、段差が高さが低い場合であっても、段差の高さが比較的高い場合(hs>h_thである場合)と同様に、腰部2aのロール方向又はヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、腰部2aの目標姿勢の軌道、あるいは、遊脚側足平部16swgのピッチ方向の目標姿勢の軌道は、段差の高さの高低に応じて2種類のパターンで生成するようにしたが、段差の高さに応じて、より多くのパターンで当該目標姿勢の軌道を生成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、脚式移動ロボットとして二足歩行ロボット1を例にとって説明したが、本発明は、3つ以上の脚体を有するロボットについても適用することが可能である。
1…脚式移動ロボット(二足歩行ロボット)、2a…腰部、3R,3L…脚体、16R,16L…足平部、11…股関節部、13…膝関節部、15…足首関節部、17〜22…関節、30…関節アクチュエータ、31…制御処理ユニット(制御装置)、33…目標歩容生成部(目標歩容生成手段)、34…関節アクチュエータ制御部(関節アクチュエータ制御手段)。

Claims (7)

  1. 基体の腰部に股関節部を介してそれぞれ連結された複数の脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
    前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道を含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
    各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
    前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合であって、且つ、該段差の高さが少なくとも所定値よりも高い場合に、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともいずれかの目標姿勢を、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させるように該目標姿勢の軌道を生成するように構成されていると共に、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともいずれかの目標姿勢の変化のパターンを前記段差の高さに応じて異ならせるように該目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
  2. 基体の腰部の左右方向に間隔を存して配置された2つの股関節部のそれぞれを介して該腰部に連結された2つの脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
    前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道を含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
    各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
    前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合であって、且つ、該段差の高さが少なくとも所定値よりも高い場合に、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともヨー方向の目標姿勢を、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させるように該目標姿勢の軌道を生成するように構成されており、
    さらに、前記脚式移動ロボットの進行方向での前記2つの股関節部の位置の偏差を位置偏差DXと表記し、且つ、前記2つの脚体のうちの遊脚側脚体の股関節部が支持脚側脚体の股関節部よりも前側となる状態での前記位置偏差DXを正の偏差と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部のヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するとき、前記遊脚側脚体の足平部の着地直前における前記位置偏差DXが正の偏差となるように前記腰部のヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
  3. 基体の腰部の左右方向に間隔を存して配置された2つの股関節部のそれぞれを介して該腰部に連結された2つの脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
    前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道を含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
    各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
    前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する昇りの段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合であって、且つ、該段差の高さが少なくとも所定値よりも高い場合に、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともヨー方向の目標姿勢を、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させるように該目標姿勢の軌道を生成するように構成されており、
    さらに、前記脚式移動ロボットの進行方向での前記2つの股関節部の位置の偏差を位置偏差DXと表記し、且つ、前記2つの脚体のうちの遊脚側脚体の股関節部が支持脚側脚体の股関節部よりも前側となる状態での前記位置偏差DXを正の偏差と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部のヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するとき、前記遊脚側脚体の足平部の離床直前における前記位置偏差DXが正の偏差となるように前記腰部のヨー方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
  4. 基体の腰部の左右方向に間隔を存して配置された2つの股関節部のそれぞれを介して該腰部に連結された2つの脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
    前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道を含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
    各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
    前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合であって、且つ、該段差の高さが少なくとも所定値よりも高い場合に、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともロール方向の目標姿勢を、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させるように該目標姿勢の軌道を生成するように構成されており、
    さらに、上下方向での前記2つの股関節部の位置の偏差を高さ偏差DZと表記し、且つ、前記2つの脚体のうちの遊脚側脚体の股関節部が支持脚側脚体の股関節部よりも高くなる状態での前記高さ偏差DZを正の偏差と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させる前記腰部のロール方向の目標姿勢の軌道を生成するとき、前記遊脚側脚体の足平部の着地直前における前記高さ偏差DZが正の偏差となるように前記腰部のロール方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
  5. 基体の腰部に股関節部を介してそれぞれ連結された複数の脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
    前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道を含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
    各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
    前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合であって、且つ、該段差の高さが少なくとも所定値よりも高い場合に、前記腰部の目標姿勢のうちのヨー方向の目標姿勢及びロール方向の目標姿勢のうちの少なくともいずれかの目標姿勢を、前記段差での前記脚式移動ロボットの移動動作に伴い変化させるように該目標姿勢の軌道を生成するように構成されており、
    さらに、前記腰部のピッチ方向の姿勢を表す該腰部の傾斜角の正方向を該腰部の前傾方向と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記段差にて前記脚式移動ロボットを移動させるための目標歩容を生成する場合に、前記腰部のピッチ方向の傾斜角が、前記段差の高さが相対的に低い場合よりも相対的に高い場合の方がより負方向側の傾斜角となるように、前記腰部のピッチ方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの制御装置において、
    前記目標歩容生成手段は、前記段差にて前記脚式移動ロボットを移動させるための目標歩容を生成する場合に、前記複数の脚体のうちの遊脚側脚体の足平部の離床直前において、該遊脚側脚体の足平部が接地している床面からの該遊脚側脚体の足首関節部の高さと前記腰部の高さとが、前記段差の高さが相対的に低い場合よりも相対的に高い場合の方がより高くなるように、前記遊脚側脚体の足平部の目標姿勢及び前記腰部の目標位置の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
  7. 基体の腰部に股関節部を介してそれぞれ連結された複数の脚体を有し、各脚体の先端の足平部と股関節部との間に膝関節部及び足首関節部を備える脚式移動ロボットの制御装置であって、
    前記腰部の目標位置及び目標姿勢の軌道を含む前記脚式移動ロボットの目標歩容を生成する目標歩容生成手段と、
    各脚体の股関節部、膝関節部及び足首関節部に備えられた各関節を駆動する関節アクチュエータを、前記目標歩容生成手段により生成された目標歩容に応じて制御する関節アクチュエータ制御手段とを備えており、
    前記腰部のピッチ方向の姿勢を表す該腰部の傾斜角の正方向を該腰部の前傾方向と定義したとき、前記目標歩容生成手段は、前記脚式移動ロボットの移動環境の床に存在する段差にて該脚式移動ロボットを移動させるための前記目標歩容を生成する場合に、前記腰部のピッチ方向の傾斜角が、前記段差の高さが相対的に低い場合よりも相対的に高い場合の方がより負方向側の傾斜角となるように、前記腰部のピッチ方向の目標姿勢の軌道を生成するように構成されていることを特徴とする脚式移動ロボットの制御装置。
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