JP2003025260A - 脚型ロボットの歩行制御装置 - Google Patents

脚型ロボットの歩行制御装置

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JP2003025260A
JP2003025260A JP2001210640A JP2001210640A JP2003025260A JP 2003025260 A JP2003025260 A JP 2003025260A JP 2001210640 A JP2001210640 A JP 2001210640A JP 2001210640 A JP2001210640 A JP 2001210640A JP 2003025260 A JP2003025260 A JP 2003025260A
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leg
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road surface
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JP2001210640A
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Hironori Yamataka
大乗 山高
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的小型の脚型ロボットにおいて、予期せ
ぬ不整路面が存在する場合に安定して歩行できると共
に、低コストで実現可能な歩行制御装置を提供する。 【解決手段】 脚型ロボットの歩行制御装置は、体幹部
16と、床面に接触する足平部18R、18Lを有する
複数の脚部とを備える脚型ロボット19の歩行制御装置
であって、複数の脚部のうち、床面から足平部が離れて
移動している脚部の足平部18Rが床面28bに接地す
る時点を特定する接地時点推定手段と、接地時点推定手
段により特定された、足平部18Rが床面に接地する時
点を示す時刻データに基づいて、移動している脚部の目
標位置を決定する目標位置決定手段と、移動している脚
部を目標位置へ移動させる駆動手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、脚型ロボットの
歩行制御装置に関し、より特定的には、未知の段差など
が存在する不整地を歩行する場合に、歩行を安定させる
ための脚型ロボットの歩行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】センサ、アクチュエータ、制御回路など
の性能の向上に伴って、ロボットの性能は劇的に向上し
てきている。そして、近年、一般家庭におけるロボット
の利用が現実的な課題として研究されている。
【0003】一般家庭においてロボットを利用する場
合、人間が移動する領域を、ロボットも同じように移動
できることが求められる。ここで、人間が移動する領域
には、平坦な床面のみではなく、凹凸や段差などが存在
する路面(以下、このような状態の路面を不整路面と呼
ぶ)も存在する。このような不整路面であっても、人間
と同様に移動できるロボットの移動手段としては、接地
面積が小さいなどの利点を有する2足歩行が挙げられ
る。そのため、従来より、2足歩行を行なうロボットの
研究が進んできている。
【0004】2足歩行を行なうロボットにおける制御方
法としては、ロボットの物理モデルおよび路面モデルか
ら、事前にロボットが安定に歩行するための歩容を計算
しておき、実際のロボット制御部においては上記事前に
計算した歩容の再生を主体とする制御方法が良く知られ
ている。このような制御方法の例として、たとえば特開
昭62−97006号公報に開示された技術が挙げられ
る。
【0005】しかし、上述の制御方法では、ロボットが
歩行する路面の状態が、事前の計算において前提とした
路面状態と大きくは異ならないことが前提条件となって
いる。つまり、ロボットが歩行する路面に、予期せぬ不
整路面が存在する場合、上記の制御方法では対応できな
いため、ロボットを安定して歩行させる事は難しかっ
た。
【0006】このような予期せぬ不整路面に対応するた
めの制御方法としては、たとえば特開平6−31658
号公報に開示されている技術が挙げられる。上記特開平
6−31658号公報において提案された制御方法で
は、ロボットの体幹部の傾斜角度などから推測されるロ
ボットの姿勢と各種センサからの入力を処理した結果に
基づいて、実際の路面の認識を行なっている。そして、
事前に想定していた路面と実際の路面との差分に基づい
て、脚関節を制御することにより、ロボットを安定して
歩行させることができるとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した上記
特開平6−31658号公報において提案された制御方
法には、以下のような問題があった。すなわち、特開平
6−31658号公報において提案されたロボットの制
御方法では、ロボットの体幹部の傾斜角あるいは傾斜角
速度を高精度で計測することが必要になる。このような
傾斜角あるいは傾斜角速度を高精度で計測するために
は、高価なセンサ、あるいは質量の大きなセンサを用い
るか、安価で単純なセンサの出力をソフトウェアにより
処理するといった手法を用いる必要がある。この場合、
高価なセンサを用いることでロボットのコストが高くな
る、あるいはロボットのサイズや質量が大きくなる、ま
たはセンサの出力をソフトウェアで処理するために、計
算能力の高いコンピュータをロボットに組込むために、
やはりロボットのコストが高くなるといった問題があっ
た。
【0008】また、上述の従来の技術では、不整路面が
存在するかどうかを判定するため、ロボットの傾斜を求
めた上で、路面に対するロボットの相対位置を決定する
必要があった。このような制御を実現する手続は複雑に
なる可能性が高い。そして、このような複雑な制御をリ
アルタイムで行なうためには、やはり計算能力の高いコ
ンピュータをロボットに組込む必要があるため、結果的
にロボットのコストが上昇することになっていた。
【0009】一方で、一般家庭において利用されるロボ
ットとしては、比較的小型のロボットが考えられる。こ
のような小型のロボットでは、上述のように体幹部の傾
斜角や傾斜角速度などを正確に測定するため、必要なセ
ンサ類を搭載することは、ロボットのサイズやコストの
面から実現することは難しかった。また、安価で単純な
センサの出力をソフトウェアにより処理するといった手
法を利用するためには、比較的計算能力の高いコンピュ
ータをロボットに組込む必要があるが、この場合もロボ
ットの製造コストが上昇することになり、現実的ではな
かった。
【0010】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたものであり、この発明の目的は、比較的
小型の脚型ロボットにおいて、予期せぬ不整路面が存在
する場合に安定して歩行できると共に、低コストで実現
可能な歩行制御装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明による脚型ロボ
ットの歩行制御装置は、体幹部と、床面に接触する足平
部を有する複数の脚部とを備える脚型ロボットの歩行制
御装置であって、複数の脚部のうち、床面から足平部が
離れて移動している脚部の足平部が床面に接地する時点
を特定する接地時点推定手段と、接地時点推定手段によ
り特定された、足平部が床面に接地する時点を示す時刻
データに基づいて、移動している脚部の目標位置を決定
する目標位置決定手段と、移動している脚部を目標位置
へ移動させる駆動手段とを備える。
【0012】ここで、脚型ロボットが歩行している路面
に予期せぬ不整路面が存在する場合(予期せぬ段差など
が存在する場合)、接地時点推定手段において特定され
る時刻データは、不整路面が存在しない場合(路面が平
坦な場合)に予想される時刻(基準時刻)とは異なるこ
とになる。そして、この時刻データと基準時刻との差
は、不整路面の程度(段差や傾斜の程度)が大きくなる
のに伴って大きくなる。たとえば、床面に突出した段差
が存在する場合、段差の高さが高いほど移動している脚
部の足平部は早く床面(段差部)に接地する。一方、床
面に凹部が存在する場合、凹部の深さが深いほど移動し
ている脚部の足平部は遅く床面(凹部の底部など)に接
地する。すなわち、上記時刻データにより、床面(歩行
している路面)における不整路面の有無、さらには不整
路面の程度を検出することができる。このため、時刻デ
ータに基づいて、検出された不整路面の影響を軽減する
ように、脚部の目標位置を決定することができる。具体
的には、体幹部に対する脚部の相対的な位置を、不整路
面の影響を軽減するように決定する。この結果、予期せ
ぬ不整路面が存在しても、その不整路面がロボットの歩
行動作(ロボットの重心運動)に及ぼす影響を小さくす
ることができる。したがって、本発明による脚型ロボッ
トの歩行制御装置(以下、歩行制御装置ともいう)を用
いれば、予期せぬ不整路面においてロボットを安定して
歩行させることができる。
【0013】また、接地時点推定手段では、足平部が床
面に接地する時点という、比較的単純なデータを特定す
るため、利用するセンサとしては、足平部と床面との接
触を検知する感圧センサなど、比較的単純かつ単機能の
センサを用いることができる。このようなセンサは一般
に安価であると共に、小型化・軽量化・低コスト化が可
能である。そのため、歩行制御装置を低コストで実現で
きる。
【0014】また、従来の体幹部の傾斜角や傾斜角速度
のデータを用いた補償制御を行なう場合、これら傾斜角
などを検出するセンサには、高い精度が求められてい
た。しかし、本発明の接地時点推定手段では、足平部が
床面に接地する時刻データが基準時刻より早いか遅いか
によって、少なくとも床面が突出した段差部が存在する
か、床面が凹んでいる凹部が存在するかの情報を得るこ
とができる。そのため、時刻データを特定するためのセ
ンサの精度がある程度低くても、本発明による歩行制御
装置を動作させることができる(上記情報に基づいて不
整路面の影響を軽減するような制御を行なうことができ
る)。
【0015】また、本発明による歩行制御装置では、脚
部の目標位置を時刻データに基づいて変更している(体
幹部に対する足平部の相対的な位置を変更している)。
すなわち、本発明では、不整路面の影響を軽減するた
め、いわゆる脚の長さ(体幹部と足平部との間の距離)
を制御するという、局所的な制御を行なっている。この
ため、本発明による歩行制御に必要な情報処理は比較的
単純なものであるので、本発明による歩行制御装置を従
来の歩行制御装置に追加することを容易に行なうことが
できる。なお、目標位置決定手段では、具体的には体幹
部に対する足平部の位置に基づいて、脚部の各関節での
角度の計算(いわゆる関節角計算)を行なっている。ま
た、駆動手段では、上述の関節角計算により得られた関
節の角度となるように、脚部の各関節を駆動するモータ
などを制御する。
【0016】また、本発明による歩行制御装置は、複雑
なセンサを必要とせず、かつ、上述のように比較的単純
な情報処理を行なうので、小型のロボットなどに対して
容易に適用できる。
【0017】この発明による脚型ロボットの歩行制御装
置では、接地時点推定手段が脚部の足平部に取付けられ
た接触型センサを含んでいてもよい。
【0018】この場合、足平部と床面との接触を検知す
る比較的単純かつ単機能の接触型センサを利用すること
になるが、このようなセンサは安価で小型軽量化を容易
に図る事ができる。したがって、歩行制御装置を小型化
できるとともに低コストで実現できる。接触型センサと
しては、たとえば圧力計測センサなどを用いることがで
きる。
【0019】また、従来の脚型ロボットには、足平部と
床面との接地検知センサ(接地スイッチや6軸力センサ
など)を備えている場合が多い。このような接地検知セ
ンサは、上述の接触型センサとして利用できる。つま
り、従来の脚型ロボットに対して、センサを新たに設置
することなく、本発明による歩行制御装置を適用でき
る。
【0020】また、接触型センサにより、足平部が床面
に接地した状況を直接検出できる。したがって、足平部
の接地状況の判断手順を単純化できるため、歩行制御に
必要な情報処理量を低減できる。また、このような単純
なシステムは、外乱にも比較的強いロバストなシステム
とすることができる。
【0021】この発明による脚型ロボットの歩行制御装
置では、接地時点推定手段が非接触型センサを含んでい
てもよい。
【0022】この場合、超音波センサや赤外線距離セン
サなどの非接触型センサを用いることで、足平部が床面
に接地する前に、足平部が設置する床面の位置などのデ
ータを得ることができる。このため、足平部が床面に接
地する前に、事前に時刻データを予測できる。そのた
め、実際に足平部が床面に接地する以前から、その移動
中の脚部の目標位置を決定するなどの制御処理を進める
ことができる。したがって、駆動手段において、ある程
度余裕を持って脚部を目標位置へ移動させることができ
るので、駆動手段に対する負荷を軽減する制御を行なう
ことができる。
【0023】この発明による脚型ロボットの歩行制御装
置では、上記非接触型センサが脚部の足平部に設置され
ていてもよい。
【0024】この場合、非接触型センサとして超音波距
離センサや赤外線距離センサなどの距離測定センサを用
いれば、足平部と床面との間の距離情報を得ることがで
きる。このため、足平部の移動速度の設定値などから、
足平部が床面に接地する時点を示す時刻データを高い精
度で予測できる。この結果、事前に脚部の目標位置など
を決定できるので、上述のように駆動手段において余裕
を持って脚部を所定の目標位置へ移動させることができ
る。
【0025】この発明による脚型ロボットの歩行制御装
置では、上記非接触型センサが体幹部に設置されていて
もよい。
【0026】この場合、体幹部に接地した非接触型セン
サにより、ロボットの進行方向の数歩先に位置する床面
について、段差などの有無(いわゆる不整路面の有無)
を事前に確認することができる。したがって、数歩分先
に脚部の目標位置を決定できるので、制御に伴う計算処
理などを余裕を持って行なうことができる。
【0027】この発明による脚型ロボットの歩行制御装
置では、目標位置決定手段が、接地時点推定手段により
特定された時刻データと、床面が平坦な場合において足
平部が床面に接地する時点を示す基準時刻データとを比
較する対比手段を含んでいてもよい。目標位置決定手段
は、対比手段における時刻データと基準時刻データとの
比較の結果に基づいて、移動している脚部の目標位置を
決定することを含んでいてもよい。
【0028】この場合、時刻データと基準時刻データと
の対比という、比較的簡単な処理により、不整路面の有
無や不整路面の状況を検出できる。つまり、時刻データ
が基準時刻データより早ければ、床面が突出した部分に
足平部が接地したことがわかり、一方、時刻データが基
準時刻データより遅ければ、床面が凹んだ凹部に足平部
が接地したことがわかる。そして、このような床面(路
面)の状況に合わせて脚部の目標位置を決定する事によ
り、床面の状態によりロボットの重心が所定の位置から
ずれることを抑制できる。
【0029】この発明による脚型ロボットの歩行制御装
置では、目標位置決定手段において、時刻データが基準
時刻データより前である場合、移動している脚部の足平
部と体幹部との間の距離を小さくするように目標位置を
決定する一方、時刻データが基準時刻データより後であ
る場合、移動している脚部の足平部と体幹部との間の距
離を大きくするように目標位置を決定してもよい。
【0030】ここで、時刻データが基準時刻データより
前である場合、上述のように床面の突出部に足平部が接
地している。そのため、この突出部に接地した脚部につ
いて、足平部と体幹部との間の距離を小さくする、すな
わち脚部を縮めるような制御を行なう事で、ロボットの
重心が床面の突出部によりずれる事(ロボットが転倒す
ること)を抑制できる。
【0031】一方、時刻データが基準時刻データより後
である場合、床面の凹部に足平部が接地している。その
ため、この凹部に接地した脚部について、足平部と体幹
部との間の距離を大きくする、すなわち脚部を伸ばすよ
うな制御を行なう事で、ロボットの重心が床面の凹部に
よりずれる事を抑制できる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一ま
たは相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は
繰返さない。
【0033】(実施の形態1)図1は、本発明による脚
型ロボットの歩行制御装置を適用したロボットの背面模
式図である。図2は、図1に示したロボットの側面模式
図である。図3は、図1に示したロボットの底面模式図
である。図1〜3を参照して、本発明による脚型ロボッ
トの歩行制御装置を適用したロボットを説明する。
【0034】図1〜3を参照して、ロボット19は、体
幹部16と、この体幹部16下に設置された脚部とを備
える。図1〜3に示したロボットでは、脚部として右脚
と左脚という2本の脚部が設置されている。右脚は関節
駆動装置1R〜6R、足平部18Rおよびこれらの間を
繋ぐリンク7R〜9Rからなる。左脚は、関節駆動装置
1L〜6L、足平部18Lおよびこれらの間を繋ぐリン
ク7L〜9Lからなる。関節駆動装置1R、1Lは、体
幹部16の下部に埋込まれた状態となっている。駆動手
段を構成するこれらの12軸の関節駆動装置1R〜6
R、1L〜6Lを用いて、右脚および左脚を自在に動か
すことができる。足平部18Rは、足平上部10Rと、
足平下部11Rと、この足平上部10Rと足平下部11
Rとの間に設置された接触センサ12R〜15Rとを含
む。また、足平部18Lは、足平上部10Lと、足平下
部11Lと、この足平上部10Lと足平下部11Lとの
間に設置された接触センサ12L〜15Lとを含む。
【0035】体幹部16には、接地時点推定手段、目標
位置決定手段および駆動手段を構成する制御ユニット1
7が内蔵されている。制御ユニット17は、接触センサ
12R〜15R、12L〜15Lからの出力データを入
力として取得することができる。また、制御ユニット1
7は、12軸の関節駆動装置1R〜6R、1L〜6Lに
対して制御信号を出力することにより、脚部の各関節に
おける角速度および角度を制御することができる。この
結果、リンク7R〜9R、7L〜9Lおよび足平部18
R、18Lの体幹部16に対する相対的な位置および相
対速度を任意に変更することができる。
【0036】なお、関節駆動装置1R〜6R、1L〜6
Lは、アンプ、電動モータ、この電動モータからの動力
を伝える電動軸に取付けられた減速機、電動モータの回
転角度を検出するためのエンコーダ、制御ユニット17
からの制御信号に従って電動モータに電流を供給する制
御回路などから構成される。ただし、図1〜3において
は、説明のため1つの装置として示している。また、接
触センサ12R〜15R、12L〜15Lは、足平上部
10R、10Lと足平下部11R、11Lとの間に設置
されている感圧センサを用いることができる。このよう
なセンサは一般に安価であると共に、小型化・軽量化・
低コスト化が可能である。接触センサ12R〜15R、
12L〜15Lは、足平部18L、18Rが床面(路
面)に接地したかどうかを検出するために用いられる。
【0037】また、接地時点推定手段を構成する接触セ
ンサ12R〜15R、12L〜15Lは、図3からもわ
かるように足平部18R、18Lのコーナ部にそれぞれ
設置されている。そして、ロボット19が歩行する路面
との接触面である足平部18R、18Lの底面(足平下
部11R、11Lの下面)にかかる荷重は、それぞれ4
つの接触センサ12R〜15R、12L〜15Lにより
分担して検出される。このため、たとえば右脚について
考えると、接触センサ12R〜15Rによって検出され
た荷重の合計によって足平部18Rにかかる荷重を算出
することができる。また、接触センサ12R〜15Rに
よって検出された荷重を示す出力データの比から、足平
部18Rにおける底面内での荷重中心を検出することが
できる。そして、左脚について考えると、接触センサ1
2L〜15Lからの出力データの比率から、足平部18
Lにおける荷重中心を検出することができる。また、接
触センサ12L〜15Lによって検出された荷重を合計
することにより、足平部18Lにかかる荷重を計算する
ことができる。
【0038】図4は、図1〜3に示したロボットの制御
ユニット17の構成を示すブロック図である。図4を参
照して、制御ユニットの構成を説明する。
【0039】図4を参照して、制御ユニット17は、演
算部21と、メモリ部22と、AD変換部23と、駆動
装置制御部25と、これらの要素を接続するためのバス
20とを含む。演算部21において所定の制御計算を行
なうためのプログラムはメモリ部22に格納されてい
る。そして、必要に応じてバス20を介してメモリ部2
2から演算部21へとロードされる。
【0040】また、ロボット19が、予め平坦な(不整
路面ではない)路面を安定歩行した場合の体幹部16お
よび足平部18R、18Lの位置データおよび速度デー
タ(以下、所定軌道データと呼ぶ)がメモリ部22に格
納されている。これらの所定軌道データも、メモリ部2
2からバス20を介して演算部21へと適宜ロードする
ことができる。AD変換部23は、接触センサ12R〜
15R、12L〜15Lからの出力データ24をデジタ
ル信号へと変換する。デジタル信号に変換されたデータ
は、AD変換部23からバス20を介して演算部21あ
るいはメモリ部22へと伝送される。
【0041】このAD変換部23から伝送されるデジタ
ル変換されたデータなどを用いて、演算部21では後述
するようにロボット19を安定歩行させるための制御演
算を行なう。そして、制御演算の結果得られる足平部1
8R、18Lの目標位置に現実の足平部18R、18L
が近づくように、演算部21からバス20を介して駆動
装置制御部25へと所定の信号が伝送される。
【0042】具体的には、足平部18R、18Lを所定
の位置に動かすため、その動作に必要な関節駆動装置1
R〜6R、1L〜6Lでの関節角(関節の角度)を算出
する(このような関節角計算を逆運動学計算という)。
このように算出された関節角のデータは駆動装置制御部
25へと伝送される。そして、駆動装置制御部25か
ら、関節駆動装置1R〜6R、1L〜6Lに対して、所
定の関節角を実現するように制御信号が伝送される。
【0043】図5は、本発明による脚型ロボットの歩行
制御装置における制御の内容の概略を説明するためのフ
ローチャートを示す図である。図5を参照して、本発明
によるロボット19においては、まず足平部の接地タイ
ミング(接地時点)の推定を行なう工程(S100)を
実施する。具体的には足平部18R、18Lに設置され
た接触センサ12R〜15R、12L〜15Lからのデ
ータ24に基づいて、路面から一度離れて再び路面へと
接触する右脚または左脚(以下、遊脚という)の接地タ
イミング(接地する時点を示す時刻データ)を演算部2
1において特定する。
【0044】次に、上記推定した遊脚の接地タイミング
と、当該遊脚の理想的な接地タイミング(基準時刻デー
タ)とを比較する工程(S200)を実施する。具体的
には、平坦な路面を歩行する場合の遊脚の理想的な接地
タイミングのデータをメモリ部22に予め記憶させてお
く。そして、この理想的な接地タイミングのデータを、
メモリ部22からバス20を介して演算部21へと呼出
す。その後、演算部21において、遊脚について推定し
た実際の接地タイミングと、上記理想的な接地タイミン
グのデータとを比較する。
【0045】次に、推定した遊脚の接地タイミングと当
該遊脚の理想的な接地タイミングとを比較する工程(S
200)での比較結果から、ロボットの脚の目標位置を
決定する工程(S300)を実施する。具体的には、実
際の接地タイミングが、理想的な接地タイミングに対し
て早いか遅いかによって、足平部18R、18Lの体幹
部16に対する相対的な位置を変更するように足平部1
8R、18Lの目標位置を決定する。なお、詳細は後述
する。
【0046】次に、ロボットの脚の目標位置を決定する
工程(S300)において決定した目標位置に合わせ
て、実際のロボットの脚を動作させる工程(S400)
を実施する。具体的には、上述のように足平部18R、
18Lの目標位置に合わせて演算部21からバス20を
介して駆動装置制御部25へと所定の制御信号が出力さ
れる。そして、この駆動装置制御部25から関節駆動装
置1R〜6R、1L〜6Lへと所定の制御信号が伝送さ
れることにより、ロボットの脚の関節駆動装置1R〜6
R、1L〜6Lが動作する。この結果、その目標位置へ
移動するように、ロボットの脚部が動作することにな
る。
【0047】図5で示した制御を適用したロボットの動
作を、図6および7を参照してより具体的に説明する。
図6および7は、本発明によるロボットの動作を説明す
るための模式図である。図6および7では、段差部29
が形成された路面の部分にロボットが遭遇した場合の、
ロボットの状態を示している。なお、図6および7は、
ロボットが右脚を前方に接地している状態を示してい
る。
【0048】図6を参照して、ロボットが歩行する路面
が理想路面26で示したように平坦な場合、ロボット1
9aは、点線で示したような姿勢を取る。
【0049】一方、図6において実線で示すように、路
面に段差部29が形成され、この段差部29の上部表面
である路面28bにロボットの足平部18Rが接地した
場合を考える。このとき、特に段差部29が存在するこ
とに対応する制御を行なわず、理想路面26(平坦な路
面)を歩行していたときのロボット19aと同様の制御
を行なうと、実線で示したように、ロボット19bは体
幹部16が進行方向とは反対側に傾き、矢印30に示し
た方向に加速されることになる。この場合、進行方向と
は反対側(後側)にロボット19bが転倒するおそれが
ある。
【0050】また、理想路面26を歩行しているときと
同じ姿勢をロボットが維持する場合、たとえば右脚の足
平部18Rが接地する路面部分が、支持脚としての左脚
の足平部18Lが接地していた路面28aよりも下がっ
たような状態である場合、ロボットの体幹部は図6に示
した方向とは逆向き、すなわち進行方向と同じ側(前
側)に対して傾く。このため、ロボットは前方に転倒す
るおそれがある。
【0051】ここで、現実路面27において段差部29
が存在する場合、路面28bに足平部18Rが接地する
タイミングは、図6に示した平坦な理想路面26をロボ
ットが歩行している場合の足平部18Rが理想路面26
に接地するタイミングよりも早くなる。すなわち、図5
に示した工程(S200)において、足平部18Rが路
面28bに接地する接地タイミングと、理想路面26を
歩行する際の理想的な接地タイミングとを比較した場
合、図7に示したような場合には、実際の接地タイミン
グの方が理想的な接地タイミングよりも早くなる。ま
た、逆に路面28bが路面28aよりも下がっているよ
うな場合(路面に凹部が形成されている場合)には、足
平部18Rが路面28bに接地する接地タイミングは理
想的な接地タイミングよりも遅くなる。
【0052】すなわち、理想的な接地タイミングに対し
て実際の接地タイミングが遅いか早いかを検出すること
により、足平部18Rが接地する路面28bが、理想路
面26よりも高い位置にある(凸状になっている)か、
低い位置にある(凹状になっている)か、すなわち不整
路面の有無を検出することができる。さらに、理想的な
接地タイミングと実際の接地タイミングとの差が大きく
なればなるほど、不整路面の程度(凸状部の高さ、ある
いは凹状部の深さ)が大きくなるので、上記理想的な接
地タイミングと実際の設置タイミングとの差から不整路
面の程度を検出できる。そして、図7に示したように、
実際の路面28bが理想路面26よりも高いような場
合、足平部18Rの目標位置を、理想路面26を歩行し
ている場合の位置よりも矢印31aに示すように高い位
置(体幹部16により近い位置)へと変更する。このよ
うにすれば、図7の実線で示すように、段差部29が存
在することによってロボットの体幹部16が進行方向に
対して後向きに傾くことを抑制できる。すなわち、ロボ
ットの重心が進行方向に対して後向きに移動することを
防止できる。
【0053】また、このとき、図7に示すように、支持
脚である左脚の足平部18Lについて、矢印31bに示
すように目標位置を体幹部16からより遠い位置へと変
更する。この結果、段差部29が存在することによっ
て、体幹部16が傾くことを効果的に抑制できる。この
ため、ロボット19の重心が予期せぬ方向へと移動する
ことをより効果的に抑制できる。このように、本発明に
よる脚型ロボットの歩行制御装置を適用したロボットで
は、予期せぬ不整路面において安定して歩行することが
できる。ここで、図7では、ロボット19が理想路面を
歩行している際の脚部の位置を点線で示している。
【0054】なお、図7に示したように、空中を移動し
て前方へと接地しようとしている遊脚である右脚の足平
部18Rの目標位置を変更することのみでは、この段差
部29が存在すること(路面28bが路面28aより相
対的に上に位置すること)によって体幹部16が受け
る、進行方向に対して後向きの加速度の影響を完全に打
消すことは難しい。また、路面28bが路面28aより
も下がった状態である場合に、体幹部16が受ける進行
方向と同じ方向の加速度の影響を完全に打消すことも難
しい。しかし、図7に示したように、遊脚である右脚の
みではなく、支持脚としての左脚の足平部18Lの目標
位置も同時に変更すると、負荷を両脚に分散できるた
め、この段差部29が存在することによってロボット1
9の重心の位置が変動する程度をより効率的に小さくす
ることができる。
【0055】さらに、図7に示したような場合、支持脚
としての左脚の足平部18Lの体幹部16に対する相対
的な角度を、理想路面26を歩行している場合の当該角
度と同程度になるように固定しておけば、脚部に対して
不整路面の影響を打消す方向にトルクを働かせることが
できる。したがって、より確実にロボットの転倒を抑制
することができる。
【0056】なお、足平部18Rが路面28bに接地し
たかどうかの判定は、たとえば足平部18Rに配置した
接触センサ12R〜15Rの出力の合計を計算し、予め
定めておいたしきい値と比較することによって接地タイ
ミングを特定することができる。
【0057】また、実際の接地タイミングと理想的な接
地タイミングとの差が大きければ大きいほど、理想路面
26と実際の路面28bとの間の距離が大きくなる(段
差部29の高さあるいは深さが大きくなる)。そのた
め、この実際の接地タイミングと理想的な接地タイミン
グとの差に比例して、足平部18R、18Lの目標位置
の変更量を大きくするように制御してもよい。
【0058】なお、上記の説明では、段差部29がロボ
ットの進行方向(ロボットの前方)に位置する場合を示
しているが、段差部がロボットの右脚あるいは左脚のい
ずれか一方の経路に存在するような場合(ロボットの左
右方向において路面の高さが異なるような段差部が形成
されている場合)においても、本発明を同様に適用でき
る。
【0059】上述のような歩行制御は、たとえば図8に
示すようなフローチャートで示される制御プログラムに
よって実現することができる。図8は、本発明によるロ
ボットの歩行制御の一例を示すフローチャートを示す図
である。図8は、足平部18R、18Lの反射的な位置
制御を行なうための処理を示している。足平部18R、
18Lの体幹部16に対する相対位置(相対距離)の変
化を、足平部18R、18Lが従って移動する軌道に加
えるオフセットの増減によって実現している。
【0060】以下、図8を参照して本発明による歩行制
御を説明する。まず、制御処理がスタートした後、ロボ
ットの歩行状態が片足支持期前期に該当するかどうかを
判断する工程(S101)を実施する。ここで、片足支
持期前期とは、ロボットの歩容の進行により、これまで
支持脚であったたとえば右脚が遊脚になり、遊脚であっ
たたとえば左脚が支持脚になった後、この新しい遊脚で
ある右脚が上昇を続けている期間をいう。そして、現状
が片足支持期前期である場合、遊脚が路面に接触する可
能性は低いので、支持脚および遊脚の長さを所定の状態
(理想路面を歩行しているときの状態)にまで回復する
ように、足平部18R、18Lの目標位置についてのオ
フセットの絶対値を小さくする。ここで、オフセットと
は、平坦な理想路面を歩行しているときの足平部の位置
に対する、足平部の目標位置のずれ量をいう。
【0061】具体的には、まず遊脚の足平部のオフセッ
トが0であるかどうかを確認する工程(S102)を実
施する。ここで、遊脚の足平部のオフセットが0ではな
い場合、遊脚の足平部のオフセットを0に近付ける工程
(S103)を実施する。また、遊脚の足平部のオフセ
ットが0である場合、そのまま次の処理に進む。そし
て、次の処理として支持脚の足平部のオフセットが0で
あるかどうかを確認する工程(S104)を実施する。
そして、支持脚の足平部のオフセットが0ではない場
合、支持脚の足平部のオフセットを0に近付ける工程
(S105)を実施する。また、支持脚の足平部のオフ
セットが0である場合は、特に処理は行なわない。この
後、処理は一旦終了し、再度始めから処理が開始され
る。
【0062】一方、片足支持期前期であるかどうかを判
断する工程(S101)において、ロボットの状態が片
足支持期前期ではないと判断した場合、遊脚の足平部の
接触センサから入力があるかどうかの確認をする工程
(S106)を実施する。次に、遊脚の足平部からの接
触センサの入力に基づいて、遊脚が路面28bに接地し
たかどうかを判断する工程(S107)を実施する。
【0063】上記工程(S107)においては、たとえ
ば図1〜3に示したロボット19が図7に示したように
右脚を接地しようとしている場合、遊脚である右脚の足
平部18Rに設置された接触センサ12R〜15Rから
の出力データの合計の値と、予め決定しておいた基準値
とを比較して、その基準値よりも合計データの方が大き
くなった場合に足平部18Rが路面28bに接地したと
判断してもよい。
【0064】そして、上記工程(S107)において、
遊脚がまだ路面に接地していないと判断した場合、現在
の時間が理想路面を歩行する場合に遊脚が接地すべき時
刻(予定接地時間)より遅いかどうかを判断する工程
(S202)を実施する。このような理想路面を歩行す
る場合の遊脚の接地時刻は、たとえば図4に示したメモ
リ部22に予め格納しておき、図8で示すフローチャー
トに対応するプログラムを実行する演算部21へとバス
20を介して読込まれるようになっていてもよい。
【0065】そして、工程(S202)において、現在
の時刻が予定接地時間よりも前であると判断した場合、
一旦処理を終了し、再度図8に示した処理を最初から実
行する。一方、現在の時刻が予定接地時間よりも遅い場
合、遊脚が接地しようとしている路面が理想路面よりも
下にある(凹んでいる)と考えられるため、足平部18
R、18Lの目標位置を変更する処理を行なう。
【0066】具体的には、まず遊脚の足平部の目標位置
を下方修正することが可能であるかどうかを判断する工
程(S305)を実施する。そして、遊脚の足平部の目
標位置を下方に修正することが可能である場合、遊脚の
足平のオフセットを減らす(図7において、矢印31b
に示した方向に足平部の目標位置を変更する、あるいは
体幹部と遊脚の足平部との間の距離を大きくするように
遊脚の足平部の目標位置を変更する)工程(S306)
を実施する。その後、次の処理に進む。また、上記工程
(S305)において、遊脚の足平部の目標位置を下方
修正することはもうできないような場合、特に処理は行
なわず次の工程へと進む。
【0067】次に、支持脚の足平部の目標位置を上方に
修正することが可能かどうかを判断する工程(S30
7)を実施する。そして、支持脚の足平部の目標位置を
上方に修正することが可能な場合、支持脚の足平部のオ
フセットを増やす(図7に示した矢印31aの方向に支
持脚の足平部の目標位置を変更する)工程(S308)
を実施する。また、支持脚の足平部の目標位置を上方に
修正することがもうできない場合には、特に処理を行な
わない。このようにして、一連の処理を終了した後、再
度図8に示した処理を最初から実施する。
【0068】また、工程(S107)において、遊脚が
路面28bに接地した場合、接地時刻が理想路面を歩行
している場合の予定接地時間(理想的な接地時刻)より
早いかどうかを判断する工程(S201)を実施する。
このとき、実際の接地時刻が、予定接地時間よりも遅い
場合は、特に処理は行なわない。一方、実際の接地時刻
が予定接地時間よりも早い場合、遊脚が接地しようとし
ている路面が理想路面よりも上にある(突出している)
と考えられるため、遊脚の足平部の目標位置を上方に修
正することが可能かどうかを判断する工程(S301)
を実施する。そして、遊脚の足平部の目標位置を上方修
正することができる場合、遊脚の足平部のオフセットを
増やす工程(S302)を実施する。具体的には、たと
えば図7に示したような場合、遊脚としての右脚の足平
部18Rの目標位置を矢印31aに示す方向に変更する
(足平部18Rと体幹部16との間の距離を小さくす
る)。一方、工程(S301)において、足平部の目標
位置を上方に修正する余裕がもうない場合には特に処理
を行なわない。
【0069】次に、支持脚の足平部の目標位置を下方に
修正することが可能であるかどうかを判断する工程(S
303)を実施する。そして、下方修正が可能な場合、
支持脚の足平部のオフセットを減らす工程(S304)
を実施する。具体的には、図7に示した場合、支持脚と
しての左脚の足平部18Lの目標位置を矢印31bに示
した方向に変更する。また、工程(S303)におい
て、支持脚の足平部の目標位置を下方に修正する余裕が
ない場合には、特に処理は行なわない。このようにし
て、一連の処理を終了する。
【0070】なお、工程(S302、S304、S30
6、S308)において、足平部のオフセットを増減さ
せる場合、足平部の可動域には限度があるため、その可
動域の限界を超えない範囲でオフセット量を増減する必
要がある。
【0071】また、図8に示したフローチャートでは、
遊脚と併せて支持脚の足平部の目標位置も修正している
が、このようにすれば体幹部16の路面に対する平均高
さを一定範囲内に保つことができる。
【0072】図8に示したように、本発明による歩行制
御を実施するための制御プログラムの構成は非常に単純
である。また、本発明の実施の形態1に示したロボット
19では、関節駆動装置1R〜6R、1L〜6Lの目標
関節角度を、体幹部16および両足の足平部18R、1
8Lの軌道から逆運動学計算により逐次求めている。し
かし、本発明によれば、この逆運動学計算を行なう前に
足平部18R、18Lの軌跡(目標位置)に上述のオフ
セットを増減しているだけであり、計算自体は特に複雑
化しているわけではない。したがって、本発明を実現す
るために必要な計算時間などの計算機負荷は充分小さ
い。
【0073】また、接触センサ12R〜15R、12L
〜15Lにより、足平部18L、18Rが床面に接地し
た状況を直接検出できる。したがって、足平部18L、
18Rの接地状況の判断手順を単純化できる。
【0074】また、図8に示したような本発明による歩
行制御では、足平部18R、18Lが床面に接地する時
刻データとしての接地時刻が基準時刻としての予定接地
時間より早いか遅いかによって、少なくとも床面が突出
した段差部が存在するか、床面が凹んでいる凹部が存在
するかの情報を得ることができる。そのため、接地時刻
を特定するための接触センサ12R〜15R、12L〜
15Lの精度がある程度低くても、上記情報に基づいて
床面の状況からの影響を軽減するような制御を行なうこ
とができる。
【0075】(実施の形態2)図9は、本発明によるロ
ボットの実施の形態2を示す背面模式図である。図10
は、図9に示したロボットの側面模式図である。図9は
図1に対応する。図10は図2に対応する。図9および
10を参照して、本発明によるロボットの実施の形態2
を説明する。
【0076】図9および10を参照して、ロボット19
は、基本的には本発明によるロボットの実施の形態1と
同様の構造を備えるが、体幹部16に設置された非接触
型センサとしての超音波センサ32R、32Lを備える
点が異なる。また、足平部18R、18Lには、特に接
触センサなどは設置されていない。ただし、図9および
10に示したロボットにおいて、本発明によるロボット
の実施の形態1と同様に足平部18R、18Lに複数の
接触センサを設置しておいてもよい。また、超音波セン
サ32R、32Lに代えて赤外線距離センサなど、非接
触で対象との距離を測定できるようなセンサを用いても
よい。
【0077】図9および10に示したロボット19にお
いては、非接触センサとしての超音波センサ32R、3
2Lがロボット19の進行方向の斜め下方に向かって設
置されている。この超音波センサ32R、32Lによっ
て、ロボット19の進行方向において所定の距離の前方
における路面とロボット19との間の距離データを測定
することができる。この距離データにより、ロボット1
9の進行方向における路面の状況(段差あるいは凹部の
存在)についてのデータを得ることができる。また、ロ
ボット19の歩行速度から、遊脚が接地する路面の領域
の位置を予想できるので、この遊脚の接地が予想される
路面の高さを推定することができる。
【0078】このような超音波センサ32R、32Lを
設置することにより、ロボット19前方の路面状態を予
め計測することができる。このため、ロボット19の前
方の路面の状態(凹凸などの高さ)に応じて、足平部1
8R、18Lの目標位置に対するオフセットを設定する
ように、図8に示した処理と同様の処理を行なうことが
できる。この場合、本発明によるロボットの実施の形態
1と同様の効果を得ることができる。
【0079】また、本発明によるロボットの実施の形態
1においては、足平部18R、18Lに接触センサ12
R〜15R、12L〜15Lが設置されていたが、これ
らの接触センサ12R〜15R、12L〜15Lに代え
て複数の非接触型のセンサ(超音波センサや赤外線距離
センサなどの距離測定センサ)を足平部18R、18L
に設置してもよい。たとえば、非接触型のセンサとして
の超音波センサを足平部18R、18Lに設置する場
合、この超音波センサは足平部18R、18Lと路面と
の間の距離を計測できるように配置されることが好まし
い。
【0080】このようにすれば、この足平部18R、1
8Lに設置された超音波センサから、路面(床面)と足
平部18R、18Lとの間の距離のデータを得ることが
できる。そして、この距離データが特定のしきい値以下
になれば、足平部18R、18Lが路面と接触している
と判定することができる。この結果、足平部18R、1
8Lに接触センサ12R〜15R、12L〜15Lを設
置した場合と同様の効果を得ることができる。
【0081】さらに、足平部18R、18Lと路面との
間の距離を計測できるので、足平部18R、18Lが実
際に路面に接地する前に、事前に接地時刻を推定するこ
とができる。このため、予測された接地時刻に適合する
ように、足平部18R、18Lのオフセットの量を決定
し、足平部18R、18Lの目標位置を図8に示したよ
うな制御フローにより事前に変更することができる。こ
のようにすれば、足平部18R、18Lを目標位置へと
移動させるための時間的余裕が生じるため、歩行制御を
より滑らかに行なうことができる。
【0082】なお、上記した本発明の実施の形態1およ
び2においては、2本の脚を有するロボットについて説
明したが、本発明は脚を3本以上有するロボットにも適
用することができる。
【0083】また、本発明による歩行制御は、足平部と
体幹部との相対位置に着目し、脚部の長さ(足平部と体
幹部との間の距離)に着目した局所的な安定化制御装置
である。そのため、体幹部の傾斜角や足首の角度などに
着目した他の局所的安定化制御装置、あるいは全身的制
御装置と組合せて用いることができる。
【0084】また、上述のように本発明による制御を実
施するための演算処理は比較的単純であるため、必要な
計算機パワーも相対的に小さいもので十分である。した
がって、他の制御との組合せで用いる場合に計算機の計
算能力が問題となることはなく、小型のロボットなどに
対しても容易に適用できる。
【0085】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特
許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の
意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意
図される。
【0086】
【発明の効果】このように、本発明によれば、足平部の
接地時刻データを用いて脚部の目標位置を決定するとい
う、比較的簡単な制御を行なうことにより、予期せぬ不
整路面が存在する場合に安定して歩行可能な脚型ロボッ
トを低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による脚型ロボットの歩行制御装置を
適用したロボットの背面模式図である。
【図2】 図1に示したロボットの側面模式図である。
【図3】 図1に示したロボットの底面模式図である。
【図4】 図1〜3に示したロボットの制御ユニット1
7の構成を示すブロック図である。
【図5】 本発明による脚型ロボットの歩行制御装置に
おける制御の内容の概略を説明するためのフローチャー
トを示す図である。
【図6】 本発明によるロボットの動作を説明するため
の模式図である。
【図7】 本発明によるロボットの動作を説明するため
の模式図である。
【図8】 本発明によるロボットの歩行制御の一例を示
すフローチャートを示す図である。
【図9】 本発明によるロボットの実施の形態2を示す
背面模式図である。
【図10】 図9に示したロボットの側面模式図であ
る。
【符号の説明】
1L〜6L,1R〜6R 関節駆動装置、7L〜9L,
7R〜9R リンク、10L,10R 足平上部、11
L,11R 足平下部、12L〜15L,12R〜12
R 接触センサ、16 体幹部、17 制御ユニット、
18L,18R足平部、19,19a,19b ロボッ
ト、20 バス、21 演算部、22メモリ部、23
AD変換部、24 接触センサからのデータ、25 駆
動装置制御部、26 理想路面、27 現実路面、28
a,28b 路面、29 段差部、30,31a,31
b 矢印、32L,32R 超音波センサ。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体幹部と、床面に接触する足平部を有す
    る複数の脚部とを備える脚型ロボットの歩行制御装置で
    あって、 前記複数の脚部のうち、床面から足平部が離れて移動し
    ている脚部の足平部が床面に接地する時点を特定する接
    地時点推定手段と、 前記接地時点推定手段により特定された、足平部が床面
    に接地する時点を示す時刻データに基づいて、前記移動
    している脚部の目標位置を決定する目標位置決定手段
    と、 前記移動している脚部を前記目標位置へ移動させる駆動
    手段とを備える、脚型ロボットの歩行制御装置。
  2. 【請求項2】 前記接地時点推定手段は、前記脚部の足
    平部に取付けられた接触型センサを含む、請求項1に記
    載の脚型ロボットの歩行制御装置。
  3. 【請求項3】 前記接地時点推定手段は非接触型センサ
    を含む、請求項1に記載の脚型ロボットの歩行制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記非接触型センサは前記脚部の足平部
    に設置されている、請求項3に記載の脚型ロボットの歩
    行制御装置。
  5. 【請求項5】 前記非接触型センサは前記体幹部に設置
    されている、請求項3に記載の脚型ロボットの歩行制御
    装置。
  6. 【請求項6】 前記目標位置決定手段は、前記接地時点
    推定手段により特定された前記時刻データと、床面が平
    坦な場合において前記足平部が床面に接地する時点を示
    す基準時刻データとを比較する対比手段を含み、 前記目標位置決定手段は、前記対比手段における前記時
    刻データと前記基準時刻データとの比較の結果に基づい
    て、前記移動している脚部の目標位置を決定することを
    含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の脚型ロボッ
    トの歩行制御装置。
  7. 【請求項7】 前記目標位置決定手段では、 前記時刻データが前記基準時刻データより前である場
    合、前記移動している脚部の足平部と前記体幹部との間
    の距離を小さくするように、前記目標位置を決定する一
    方、前記時刻データが前記基準時刻データより後である
    場合、前記移動している脚部の足平部と前記体幹部との
    間の距離を大きくするように、前記目標位置を決定す
    る、請求項6に記載の脚型ロボットの歩行制御装置。
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