JP3726009B2 - 脚式移動ロボットの床形状推定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は脚式移動ロボットの床形状推定装置、より具体的には脚式移動ロボットが接地する床の傾斜などの形状を推定すると共に、推定精度が低下する恐れがある状況では床形状の推定を中断する装置に関し、さらには推定した床形状に基づいて床反力を制御することを可能とする装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
床形状を推定する技術としては、本出願人が先に特開平6−31658号公報で提案した技術、および論文「路面形状に偏差のある環境に対する適応能力を持つ2足歩行ロボットの開発」日本ロボット学会誌、第14巻第4号、1996年5月号)記載の技術が知られている。
【0003】
以下に後者(ロボット学会論文記載技術)の概要を説明し、その問題点を指摘する。
【0004】
この従来技術では、足平部が、足平上面部、クッション部、足底の上下3層構造となっていて、足平上面部と足底の間の相対角度と間隔を検出するためにポテンショメータを足平の4隅に備えると共に、足平上面部の絶対傾斜を検出するための傾斜計を備える。また、足底の四隅にはスパイクを備える。尚、この明細書において『足平』は足部を意味するものとして使用する。
【0005】
この従来技術にあっては、遊脚の足平の着地時に、ポテンショメータと傾斜計の情報を基に、ならい動作によって足平を床面にならわせようとする。その結果、足底の四隅のスパイクが床に接地した状態になり、足底は床面に平行になる。このとき、傾斜計により得られる足平上面部の絶対位置姿勢と、ポテンショメータから得られる足平上面部と足底の間の相対角度と間隔を基に、幾何学的演算により床の高さと傾きが検出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術には以下のような問題点があった。即ち、ならい動作によって足平が床面にならうまで、床反力を操作する姿勢安定化制御を行うことができなかった。またグリップを増すために足底にゴム等の柔らかい材料を貼ると、推定誤差が増えてしまう不都合があった。
【0007】
さらに、足平がべたに着地しない(即ち、足底が着地の瞬間に床に面接触しない)歩行では、両脚支持期の間に床の高さを正確に推定することができなかった。また、直立時など両足平が床にべたに接地している状態では、各足平の接地面傾斜と両足平接地面間の高低差を同時には推定することができなかった。また、接地の瞬間しか推定することができなかったので、着地した後に床が変形したときに変形後の床形状を推定することができなかった。
【0008】
他方、前記した従来技術の前者、即ち、特開平6−31658号公報記載技術の場合、床反力を操作する姿勢安定化制御を行いながら、床の傾斜を推定することは可能であったが、両脚支持期では両足平の接地面と交差または接する平面の傾きだけを推定すると共に、片脚支持期では支持脚の接地面の傾斜だけを推定するに止まっていた。即ち、これらの傾きを同時に推定することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、この発明の目的は、従来技術では困難であった床形状の推定、具体的には各足平の接地面傾斜と両足平接地面間の高低差を同時に、換言すれば複合的に、精度良く推定すると共に、推定精度が低下する恐れがあるときは、床形状の推定を中断するようにした脚式移動ロボットの床形状推定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1項にあっては、少なくとも上体と、前記上体に第1の関節を介して連結されると共に、その先端に第2の関節を介して連結される足部を備えた複数本の脚部を備えると共に、前記足部に接する床面から作用する床反力に応じて変形するコンプライアンス機構を備え、少なくとも前記上体に対する前記足部の実位置姿勢が、前記上体に対する前記足部の目標位置姿勢に追従るように前記関節を駆動する関節駆動手段を備えた脚式移動ロボットの床形状推定装置において、前記上体の鉛直軸方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段、前記ロボットの実関節変位、目標関節変位および前記足部の目標位置姿勢の少なくともひとつと前記検出された傾斜に基づき、前記コンプライアンス機構をモデル化して得た機構コンプライアンスモデルを用いて前記足部が接するそれぞれの床面の形状および前記床面同士の相対位置関係を示す床形状推定値を決定する床形状推定値決定手段を備えると共に、前記床形状推定値決定手段は、前記床形状推定値の床面形状と実際の床面形状との差の絶対値が増加する可能性があるか否かを判定し、前記絶対値が増加する可能性があると判定した場合、前記床形状推定値の床面形状を保持または所定の値に変更する一方、前記床形状推定値の床面同士の相対位置関係と実際の床面同士の相対位置関係との差の絶対値が増加する可能性があるか否かを判定し、前記絶対値が増加する可能性があると判定した場合、前記床形状推定値の床面同士の相対位置関係を保持または所定の値に変更する推定中断手段、を備える如く構成した。
【0011】
これにより、従来技術では困難であった床形状の推定、具体的には各足平の接地面傾斜と両足平接地面間の高低差を同時に、換言すれば複合的に、精度良く推定することができると共に、推定精度が低下する恐れがある状況では床形状推定を中断するので、推定値が不適正なものとなることがない。
【0014】
請求項項にあっては、前記推定中断手段は、少なくとも前記ロボットの歩行時期に基づいて前記絶対値が増加する可能性があるか否か判定する如く構成した
【0015】
これにより、より的確に中断すべき状況にあるか否かを判定することができ、よって一層推定値が不適正なものとなることがない。
【0016】
請求項項にあっては、前記推定中断手段は、少なくとも前記足部と床面との接触状況に基づいて前記絶対値が増加する可能性があるか否か判定する如く構成した。
【0017】
これにより、より的確に中断すべき状況にあるか否かを判定することができ、よって一層推定値が不適正なものとなることがない。
【0018】
請求項項にあっては、前記推定中断手段は、少なくとも前記足部に作用する前記床反力に基づいて前記絶対値が増加する可能性があるか否か判定する如く構成した。
【0019】
これにより、より的確に中断すべき状況にあるか否かを判定することができ、よって一層推定値が不適正なものとなることがない。
【0020】
請求項項にあっては、前記推定中断手段は、少なくとも前記足部に作用する前記床反力の中心点位置に基づいて前記絶対値が増加する可能性があるか否か判定する如く構成した。
【0021】
これにより、より的確に中断すべき状況にあるか否かを判定することができ、よって一層推定値が不適正なものとなることがない。
【0022】
請求項項にあっては、さらに、少なくとも前記算出された床形状推定値に基づいて前記足部の目標位置姿勢を修正する修正手段を備え如く構成した。
【0023】
これにより、前記した効果に加え、複合コンプライアンス制御で除去しきれなかった実床反力の制御目標値からの定常偏差を可能な限り零に近づける、換言すれば床形状のずれに起因する床反力の定常偏差を解消することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の一つの実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置を説明する。尚、脚式移動ロボットとしては2足歩行ロボットを例にとる。
【0025】
図1は、この実施の形態に係る床形状推定装置を適用した脚式移動ロボット、より具体的には2足歩行ロボットを全体的に示す概略図である。
【0026】
図示の如く、2足歩行ロボット(以下「ロボット」という)1は左右それぞれの脚部(脚部リンク)2に6個の関節を備える(理解の便宜のために各関節をそれを駆動する電動モータで示す)。6個の関節は上から順に、股(腰部)の脚部回旋(回転)用の関節10R,10L(右側をR、左側をLとする。以下同じ)、股(腰部)のロール方向(X軸まわり)の関節12R,12L、股(腰部)のピッチ方向(Y軸まわり)の関節14R,14L、膝部のピッチ方向の関節16R,16L、足首のピッチ方向の関節18R,18L、同ロール方向の関節20R,20Lから構成される。
【0027】
関節18R(L),20R(L)の下部には足平(足部)22R,22Lが取着されると共に、最上位には上体(基体)24が設けられ、その内部にマイクロコンピュータからなる制御ユニット26(後述)などが格納される。上記において股関節(あるいは腰関節)は関節10R(L),12R(L),14R(L)から、足関節(足首関節)は関節18R(L),20R(L)から構成される。また股関節と膝関節とは大腿リンク28R,28L、膝関節と足関節とは下腿リンク30R,30Lで連結される。
【0028】
上記の構成により、脚部2は左右の足についてそれぞれ6つの自由度を与えられ、歩行中にこれらの6*2=12個の関節を適宜な角度で駆動することで、足全体に所望の動きを与えることができ、任意に3次元空間を歩行させることができる(この明細書で「*」はスカラに対する演算としては乗算を、ベクトルに対する演算としては外積を示す)。
【0029】
尚、この明細書で後述する上体24の位置およびその速度は、上体24の所定位置、具体的には上体24の重心位置などの代表点の位置およびその移動速度を意味する。
【0030】
図1に示す如く、足関節の下方には公知の6軸力センサ34が取着され、力の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3方向成分Mx,My,Mzとを測定し、足部の着地の有無および床反力(接地荷重)などを検出する。また、上体24には傾斜センサ36が設置され、Z軸(鉛直方向(重力方向))に対する傾きとその角速度を検出する。また各関節の電動モータには、その回転量を検出するロータリエンコーダが設けられる。
【0031】
図2に示すように、足平22R(L)の上方には、ばね機構38が装備されると共に、足底にはゴムなどからなる足底弾性体40が貼られてコンプライアンス機構42を構成する。ばね機構38は具体的には、足平22R(L)に取り付けられた方形状のガイド部材(図示せず)と、足首関節18R(L)および6軸力センサ34側に取り付けられ、前記ガイド部材に弾性材を介して微動自在に収納されるピストン状部材(図示せず)とからなる。
【0032】
図中に実線で表示された足平22R(L)は、床反力を受けていないときの状態を示す。床反力を受けると、コンプライアンス機構42においてばね機構38と足底弾性体40がたわみ、足平は図中に点線で表示された位置姿勢に移る。この構造は、着地衝撃を緩和するためだけでなく、制御性を高めるためにも重要なものである。尚、その詳細は特開平5−305584号に記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0033】
さらに、図1では図示を省略するが、ロボット1の適宜な位置にはジョイスティック44が設けられ、外部から必要に応じて直進歩行しているロボット1を旋回させるなど歩容に対する要求を入力できるように構成される。
【0034】
図3は制御ユニット26の詳細を示すブロック図であり、マイクロ・コンピュータから構成される。そこにおいて傾斜センサ36などの出力はA/D変換器50でデジタル値に変換され、その出力はバス52を介してRAM54に送られる。また各電動モータに隣接して配置されるエンコーダの出力はカウンタ56を介してRAM54内に入力される。
【0035】
制御ユニット26の内部にはCPUからなる第1、第2の演算装置60,62が設けられており、第1の演算装置60は後述の如く、ロボット1が接地する床(床面)の形状を推定すると共に、ROM64に格納されている歩容に基づいて後述の如く関節角変位指令を算出し、RAM54に送出する。また第2の演算装置62はRAM54からその指令と検出された実測値とを読み出し、各関節の駆動に必要な制御値を算出してD/A変換器66とサーボアンプを介して各関節を駆動する電動モータに出力する。
【0036】
この実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置は、概説すると、本出願人が先に提案した前記の特開平6−31658号公報記載の技術の改良である。より具体的には、同様に本出願人が先に提案した前記の特開平10−277969号公報記載技術を基礎とし、その上に特開平6−31658号記載技術の手法を拡張しながら適応させたものである。
【0037】
即ち、その特開平6−31658号記載技術においては、少なくともZMPまわりの全床反力モーメントの制御偏差を基に、両脚支持期では両脚間傾斜偏差を推定して両脚補償角を修正し、片脚支持期では各足平床傾斜偏差を推定して各足平補償角を修正していた(特開平6−31658号公報記載技術では足首角を修正していたので、厳密には足平補償角を修正することとは異なるが、ここではほぼ同じと考える)。
【0038】
尚、上記で、ZMP(Zero Moment Point)とは、運動パターン(軌道)によって発生する慣性力と重力の合力の床(面)上の作用点まわりのモーメントが、鉛直軸まわりの成分を除き、0である点を意味する。
【0039】
それに対し、この実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置においては、少なくとも全床反力モーメントの制御偏差(あるいはそれから目標各足平床反力中心点まわりの各足平床反力モーメントの制御偏差を減じたもの)を基に床形状、より具体的には両脚間床傾斜偏差を推定する。さらには、必要に応じて推定値に基づいて両脚補償角を修正する。また、少なくとも目標各足平床反力中心点まわりの各足平床反力モーメントの制御偏差を基に床形状、より具体的には各足平床傾斜偏差を推定する。さらには、必要に応じて推定値に基づいて各足平補償角を修正するようにした。この結果、両脚支持期であっても各足平床傾斜偏差を精度良く推定することができ、各足平補償角を修正することができる。
【0040】
さらに、両脚間床傾斜偏差および各足平床傾斜偏差の推定において、前記したコンプライアンス機構42をモデル化した、床反力と脚部(脚部リンク)2の変形の関係を表わす機構コンプライアンスモデルを用いることにより、制御則に単なる積分を加えて定常制御偏差を低減する従来手法では得られない良好な制御特性が得られるようにした。即ち、制御則に単なる積分を加えると位相が遅れるが、この実施の形態に係る装置ではオブザーバを用いた場合と同様に、制御の遅れが生じることがない。
【0041】
ところで、その先に提案した前記特開平10−277969号公報記載技術は、予期しない凹凸形状の床面に遭遇して姿勢の安定を失ったとき、床反力を適切に制御して安定した姿勢を回復させることを意図していた。
【0042】
即ち、平坦な床面を想定して生成された歩容に基づいて歩行制御されていたロボット1が予期しない凹凸を踏むと、過大な床反力が生じてロボット1は傾くが、そのような状況に対処すべく、本出願人は別の提案技術(特開平5−305586号公報記載技術)において前記したコンプライアンス機構42を用いると共に、傾斜センサにより上体傾斜を検出して必要な復元モーメント要求量を求め、それに目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりの実全床反力モーメント成分が一致するように足平軌道(パターン)を修正して各足平を上下させていた。
【0043】
しかしながら、その制御は、長い距離でゆったりと変化する大域(広域)的な傾斜やうねりには有効であるが、局所的な傾きや段差には十分対応しきれなかった。
【0044】
本出願人は、さらに、別の提案技術(特開平5−305584号公報記載技術)において、同様に前記したコンプライアンス機構42を用いて予期しなかった床反力モーメントを打ち消す方向に足関節18R(L),20R(L)を駆動する制御も提案していた。
【0045】
従って、予期しない凹凸形状の床面に遭遇して姿勢の安定を失ったときには、上記した2種の提案技術を併用することも考えられるが、そうすると、制御が干渉する不都合があった。
【0046】
そのような制御の干渉を回避すべく、先に提案した前記特開平10−277969号公報記載技術では、局所的な凹凸や傾斜などを含む予期しない床形状の変化に起因して姿勢の安定を失ったとき、床反力を適切に制御するようにしている。
【0047】
この実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置は、その先に提案した前記特開平10−277969号公報記載技術を前提としているので、理解の便宜上、最初に、その先に提案した前記特開平10−277969号公報記載技術を説明する。尚、以下、その先に提案した前記特開平10−277969号公報記載技術を「複合コンプライアンス制御」と呼ぶ。
【0048】
図4は、その複合コンプライアンス制御の装置の構成および動作を機能的に示すブロック図である。
【0049】
同図の説明に入る前に、その複合コンプライアンス制御で使用した定義を説明する(尚、定義しない用語に関しては、本出願人が前記した技術とは別に提案した出願(特開平10−86081号)で使用した定義に従う)。
【0050】
『歩容』は、ロボット工学における一般的な定義と異なり、目標運動パターンと床反力パターンを合わせたものを指称する意味で使用する。但し、床反力パターンとしては、例えば『ZMP軌跡だけ』というように、部分情報であっても良い。そのため、目標運動パターンだけを出力して床反力パターンに関する情報を出力しない装置に対して「歩容生成装置」と言う言葉を用いない。
【0051】
各脚には、通し番号をつける。第n脚に作用する床反力を第n足平床反力という(n:1または2。以下同じ)。全脚に作用する床反力を合成したものを全床反力という(ロボット工学では一般的には床反力と呼ばれるが、足平床反力と区別するためにここでは『全床反力』という)。
【0052】
足平床反力は、作用点と、そこにかかる力と力のモーメントによって表現され、同一の足平床反力に対して、表現の組み合わせは無限通りある。その中には、鉛直軸まわりの成分を除くモーメント成分が0でかつ作用点が足底上にある表記が存在する。この表現における作用点を、ここでは足平床反力中心点という(本出願人が別途提案した後述する特開平6−79657号では『接地圧重心点』と称した)。
【0053】
同様に、全床反力は、作用点と、そこにかかる力と力のモーメントによって表現され、同一の全床反力に対して表現の組み合わせは無限通りある。その中には、鉛直軸まわりの成分を除くモーメント成分が0でかつ作用点が床面上にある表現が存在する。この表現における作用点を、ここでは全床反力中心点という。尚、この明細書で「床面」は、本出願人が先に提案した特開平5−318340号公報に記載される仮想的な床面であっても良い。
【0054】
全床反力の目標値を目標全床反力という。目標全床反力は、通常、目標運動パターンに対して動力学的に平衡する全床反力である。従って、通常、目標全床反力中心点は、目標ZMPに一致する。
【0055】
尚、前記したZMPの目標値を目標ZMPという。目標ZMPは、合力の垂直方向力成分が0でない限り、一義的に求められる。以下の説明では、理解しやすくするために、目標ZMPという言葉を用いる場合もあるが、厳密には目標全床反力中心点と言うべき箇所が多い。
【0056】
各足平床反力の目標値を目標各足平床反力という。但し、目標全床反力とは異なり、目標運動パターンが決まっていても目標各足平床反力は一義的には決定されない。実際のロボットに作用する全床反力を実全床反力という。実際のロボットに作用する各足平床反力を実各足平床反力という。
【0057】
上記した定義を前提とし、以下、図4を参照して複合コンプライアンス制御装置の全体構成を概説する。
【0058】
図示の如く、複合コンプライアンス制御装置は歩容生成器100を備え、歩容生成器100は目標歩容を生成し、出力する。目標歩容は、前述の定義の通り、目標運動パターンと目標床反力パターン、より具体的には目標上体位置姿勢軌道、目標足平位置姿勢軌道、目標全床反力中心点(目標ZMP)軌道および目標全床反力軌道(あるいはパターン)からなる。目標床反力パターンは、このように、目標全床反力中心点軌跡を含む(後述する機構変形補償を行わないならば、目標床反力パターンとしては目標全床反力中心点軌跡だけでも良い)。
【0059】
歩容生成器100が出力する目標全床反力は、目標運動パターンに対して動力学的に平衡する全床反力である。従って、目標全床反力中心点は、目標ZMPに一致する。
【0060】
図5にロボット1が平地を歩行するときの目標運動パターンの一例を示す。これに対応する目標ZMP軌道の床面上軌跡を図6に、タイム・チャートを図7に示す。この歩容の期間に床に接触したままの足平を「第1足平」、もう一方を「第2足平」と呼ぶ。
【0061】
図4の説明に戻ると、この装置は目標床反力分配器102を備え、目標床反力分配器102は、目標全床反力中心点(目標ZMP)と目標足平位置姿勢を主な入力とし、目標各足平床反力中心点を決定して出力する。実際には、歩容生成器100から歩容のパラメータ(例えば、両脚支持期の時間や遊脚足平の目標着地位置など)や、歩容の時期・時刻(例えば、現在時刻が両脚支持期の初めから0.1secであるなど)などの情報も必要に応じて取り込む。
【0062】
図5に示すような歩容に対して、目標床反力分配器102は、目標各足平床反力中心点が以下の条件を満足するように設定する。
条件1)目標各足平床反力中心点軌跡は連続である。
条件2)両脚支持期では、目標第1足平床反力中心点はかかとに、目標第2足平床反力中心点はつまさきに存在する。
条件3)このとき目標第1足平床反力中心点と目標第2足平床反力中心点を結ぶ線分上に、目標全床反力中心点が存在する。
条件4)片脚支持期では、目標第1足平床反力中心点は、目標全床反力中心点に一致する。
条件5)片脚支持期の間に、目標第2足平床反力中心点は、つまさきからかかとに移動する。
【0063】
これら条件を満足する目標第1足平床反力中心点軌跡のタイム・チャートを図8に、目標第2足平床反力中心点軌跡のタイム・チャートを図9に示す。尚、この図では足首(関節18R(L),20R(L))から足平22R(L)への垂直投影点、より具体的には足底への垂直投影点を原点とし、図1に示すように足平前方向をX軸の正の向き、足平左方向をY軸の正の向きにとる。
【0064】
目標床反力分配器102は、さらに、付随的ではあるが、目標各足平床反力も決定して出力する。目標各足平床反力は、コンプライアンス機構42のたわみ補償のために必要である。
【0065】
次式を用いて上記のように設定された目標各足平床反力中心点に対応する目標各足平床反力を決定すれば、目標各足平床反力の合力は目標全床反力に一致しなければならないと言う条件を満足する。
【0066】
目標第1足平床反力=目標全床反力*(目標第2足平床反力中心点と目標ZMPの距離)/(目標第1足平床反力中心点と目標第2足平床反力中心点の距離)
目標第2足平床反力=目標全床反力*(目標第1足平床反力中心点と目標ZMPの距離)/(目標第1足平床反力中心点と目標第2足平床反力中心点の距離)・・・式1
【0067】
このように求めた目標各足平床反力は連続的に変化するので、衝撃の少ない歩行を実現するために適している。尚、上記の詳細は本出願人が別途提案した技術(特開平6−79657号)に記述されている。
【0068】
図4の説明に戻ると、この装置は姿勢安定化制御演算部104を備え、姿勢安定化制御演算部104はセンサ情報に基づいてロボット1の状態を推定し、補償全床反力を算出する。即ち、実際にロボット1が歩行あるいは直立しているときなどには後述する変位コントローラによって実関節変位を目標関節変位に完全に追従させることができたとしても、ロボット1の位置姿勢は必ずしも望ましい位置姿勢にならない。
【0069】
ロボット1の姿勢を長期的に安定化させるためには、ロボットを望ましい位置姿勢に復元させるために必要な力とモーメントを求め、これを目標全床反力中心点(目標ZMP)を作用点として付加的に発生させる必要がある。この付加的な力とモーメントを補償全床反力という。また、補償全床反力のモーメント成分を補償全床反力モーメントという。
【0070】
尚、脚式移動ロボットの目標歩容が床反力以外の反力を環境から受けるように想定し、それを例えば、目標対象物反力と称し、先に述べた目標ZMPの定義を次のように拡張しても良い。即ち、目標運動パターンによって発生する慣性力と重力と目標対象物反力の合力を動力学的に求め、床面上のある点に作用するモーメントが、鉛直軸まわりの成分を除いて零であるならば、その点を改めて目標ZMPとするようにしても良い。
【0071】
もし、ロボット1が完全剛体であって、変位コントローラによって実関節変位を目標関節変位に完全に追従させることができたと仮定すると、コンプライアンス機構42のたわみによって生じるロボット全体の位置姿勢の摂動的な運動は、以下の6自由度に分解できる。
【0072】
モード1)目標全床反力中心点(目標ZMP)を中心とした前後軸まわり回転(即ち、左右傾き)
モード2)目標全床反力中心点(目標ZMP)を中心とした左右軸まわり回転(即ち、前後傾き)
モード3)目標全床反力中心点(目標ZMP)を中心とした鉛直軸まわり回転(即ち、スピン)
モード4)前後平行移動揺れ
モード5)左右平行移動揺れ
モード6)上下平行移動揺れ
【0073】
この内で、モード4とモード5は、コンプライアンス機構42が前後左右方向の剪断力を受けてたわむことによって発生するものである。コンプライアンス機構42の剪断方向の剛性が高いように製作するので、この揺れは極めて少なく、歩行に及ぼす悪影響はほとんどない。
【0074】
残り4自由度の内、モード3とモード6はここでの説明と直接の関連を有しないので、モード1とモード2に対する制御を説明する。モード1とモード2に対する制御は、これがないとほとんどの場合ロボットが転倒するので、重要度は極めて高い。
【0075】
モード1を制御するための操作量は、補償全床反力の前後軸(X軸)まわりモーメント成分である。モード2を制御するための操作量は、補償全床反力の左右軸(Y軸)まわりモーメント成分である。従って、補償全床反力の成分の内、前後軸方向モーメント成分と左右軸方向モーメント成分だけを求めれば良い。他の成分は、この実施の形態(および第2の実施の形態)では用いないので0で良い。
【0076】
尚、以降は次の定義に従う。即ち、補償全床反力のモーメント成分を「補償全床反力モーメントMdmd」(詳しくは目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりの補償全床反力モーメントMdmd)と呼ぶ。図5および図6に示す如く、ロボットの前方向をX軸、左横方向をY軸、上方向をZ軸にとり、第1足平の足首直下の床面上の点を原点とした座標系を「支持脚座標系」と呼び、断らない限り、位置、力およびモーメントはこの座標系で表現されるものとする。また、MdmdのX成分をMdmdx、Y成分をMdmdy、Z成分をMdmdzと記述する。上体24の傾斜偏差(即ち、実上体傾斜−目標上体傾斜)θerrのX成分をθerrx,Y成分をθerry、これらの時間微分値を(dθerrx/dt),(dθerry/dt)と記述する。
【0077】
MdmdxおよびMdmdyは、例えば次式の制御則によって決定される。
Figure 0003726009
ここで、Kthx,Kthy,KwxおよびKwyは、上体傾斜安定化制御ゲインである。
【0078】
後述する複合コンプライアンス動作決定部は、目標全床反力と補償全床反力の合力に実全床反力を一致させようと働く。
【0079】
図4の説明に戻ると、この装置は実各足平床反力検出器108を備え、実各足平床反力検出器108は、6軸力センサ34によって実各足平床反力(その合力が実全床反力)を検出する。さらに、関節のエンコーダによって検出される実変位(および/または変位指令)に基づき、上体24に固定された座標系に対する各足平22R(L)の相対位置姿勢を算出し、それによって6軸力センサ34の検出値を座標変換し、上体に固定された座標系で表現された実各足平床反力を算出した後、支持脚座標系に変換する。
【0080】
この装置はロボット幾何学モデル(逆キネマティクス演算部)110を備え、ロボット幾何学モデル110は、上体位置姿勢と足平位置姿勢を入力されると、それらを満足する各関節変位を算出する。この実施の形態におけるロボット1のような1脚あたりの関節自由度が6である場合には、各関節変位は一義的に求まる。
【0081】
ここでは逆キネマティクスの解の式を直接的に求めておき、式に上体位置姿勢と足平位置姿勢を代入するだけで各関節変位を得るようにした。即ち、ロボット幾何学モデル110は、目標上体位置姿勢と複合コンプライアンス動作決定部で修正された修正目標足平位置姿勢軌道(機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢軌道)を入力し、それらから12個の関節(10R(L)など)の関節変位指令(値)を算出する。
【0082】
この装置は変位コントローラ112(前記した第2の演算装置62に同じ)を備え、変位コントローラ112は、ロボット幾何学モデル(逆キネマティクス演算部)110で算出された関節変位指令(値)を目標値としてロボット1の12個の関節の変位を追従制御する。
【0083】
この装置は前記した複合コンプライアンス動作決定部114を備え、複合コンプライアンス動作決定部114は以下の2つの要求を満足させようと、目標足平位置姿勢軌道を修正する。
【0084】
要求1)ロボットの位置姿勢制御のために、実全床反力を姿勢安定化制御演算部104が出力する補償全床反力(モーメントMdmd)と目標全床反力の合力に追従させる。ロボットの姿勢傾きだけを制御したい場合には、目標全床反力中心点まわりの実全床反力水平方向モーメント成分だけを補償全床反力モーメントMdmdに追従させる。
【0085】
要求2)各足平の接地性を確保するために、できるかぎり目標各足平床反力中心点まわりの実各足平床反力モーメントの絶対値を小さくする。
【0086】
尚、通常は実全床反力を補償全床反力と目標全床反力の合力に一致させながら目標各足平床反力中心点まわりの実各足平床反力モーメントを0にすることが、物理的に不可能な場合が多い。従って、要求1)と要求2)は完全に両立させることはできず、ある点で妥協しなくてはならない。
【0087】
上記を前提として図10フロー・チャート(構造化フロー・チャート)を参照してこの装置の動作を説明する。尚、図の左端に該当する処理を行う図4装置の構成要素を示す。
【0088】
先ずS10において装置を初期化し、S12を経てS14に進み、タイマ割り込みを待機する。タイマ割り込みは50msごとになされ、即ち、制御周期は50msである
【0089】
続いてS16に進んで歩容の切り替わり目、即ち、支持脚の切り替わり目か否か判断し、否定されるときはS22に進むと共に、肯定されるときはS18に進んでタイマtをイニシャライズし、S20に進んで目標歩容パラメータを設定する。前記の如く、歩容パラメータは、運動パラメータと床反力パラメータ(ZMP軌道パラメータ)から構成される。
【0090】
続いてS22に進み、目標歩容の瞬時値を決定する。ここで『瞬時値』は制御周期ごとの値を意味し、目標歩容瞬時値は、目標上体位置姿勢、目標各足平位置姿勢、および目標ZMP位置から構成される。尚、ここで『姿勢』はX,Y,Z空間における『向き』を意味する。
【0091】
続いてS24に進んで目標各足平床反力中心点を求める。これは目標床反力分配器の説明で述べたように行う。具体的には、図8および図9に示すように、設定した目標各足平床反力中心点軌跡の現在時刻tにおける値を求めることで行う。
【0092】
続いてS26に進んで目標各足平床反力を求める。これは目標床反力分配器の説明で述べた式1を用いて目標各足平床反力を演算することで行う。
【0093】
続いてS28に進み、前記した傾斜センサ36などの出力から上体24の傾斜などロボット1の状態を検出する。
【0094】
続いてS30に進み、ロボット1の状態などから姿勢を安定化するための(目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりの)補償全床反力モーメントMdmdx,Mdmdyを求める。具体的には、前記した式2に従って補償全床反力モーメントMdmdx,Mdmdyを演算する。
【0095】
続いてS32に進んで実各足平床反力を検出する。これは前記の如く、6軸力センサ34の出力から検出する。
【0096】
続いてS34に進み、両脚補償角θdbvおよび各足平補償角θnx(y)を決定する。これは、前記した複合コンプライアンス動作決定部114が行う作業である。
【0097】
その複合コンプライアンス動作決定部114の作業について説明する。説明の便宜のため、両脚支持期において図11に示すように第1足平22R(L)と第2足平22L(R)に実各足平床反力が作用している状況と仮定する。
【0098】
ここでベクトルFnactは第n足平床反力の力成分を表す。ベクトルMnactは第n足平床反力のモーメント成分を表す。ベクトルMnactの向きは、向きに対して時計回りのモーメントが床から足平に作用していることを表す。
【0099】
この瞬間の目標全床反力は、図12に示すようになっていると仮定する。ちなみに、目標全床反力中心点(目標ZMP)における目標全床反力モーメントベクトルMsumrefは垂直である(定義により、目標ZMPは目標全床反力モーメントの水平方向成分が0である点であるから)。
【0100】
これを式1に従って目標各足平床反力に分配すると、図13に示すようになる。同図において、ベクトルFnrefは目標第n足平床反力の力成分を表す。ベクトルMnrefは目標第n足平床反力のモーメント成分を表す。ベクトルMnrefの向きの表現は、Mnactと同様である。
【0101】
説明のため、上体姿勢が左後ろに倒れそうな状態を想定する。
【0102】
前述の姿勢安定化制御演算部104では、ロボット1の上体傾斜偏差検出値θerrx,θerryに基づいて補償全床反力モーメントMdmdを算出する。この実施の形態では鉛直軸(Z軸)まわりのスピンを制御しないので、補償全床反力モーメントMdmdの鉛直軸成分は0である。上体位置の揺れも制御しないので、補償全床反力の力成分(Fdmd)も0である。この状態に対応する補償全床反力モーメントMdmdを図14に示す。
【0103】
姿勢を復元させるためには、目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりの実全床反力モーメントの水平成分を、目標全床反力モーメントMsumrefと補償全床反力モーメントMdmdの和の水平成分に追従させれば良い。
【0104】
一方、目標全床反力中心点(目標ZMP)では目標全床反力モーメントMsumrefの水平方向成分は0である。従って、前後左右の姿勢傾きを復元させるためには、目標ZMPまわりの実全床反力モーメントの水平成分を、Mdmdの水平成分に追従させれば良い。
【0105】
複合コンプライアンス動作決定部114は、前記した以下の要求をできる限り満足するように足平の位置姿勢を修正する。
要求1)ロボットの姿勢傾斜を安定化制御するために、目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりの実全床反力モーメントの水平方向(X,Y軸方向)成分を、補償全床反力モーメントMdmdの水平方向成分に追従させる。
要求2)各足平の接地性を確保するために、できるかぎり目標各足平床反力中心点まわりの実各足平床反力モーメントの絶対値を小さくする。
【0106】
但し、前述の通り、要求1)と要求2)は、完全に両立させることはできず、ある点で妥協しなくてはならない。
【0107】
足平の位置姿勢の修正は次のように行う。
1)目標第1足平床反力中心点Q1と目標第2足平床反力中心点Q2を含み、かつ水平面と垂直な平面の法線ベクトルVを求める。Vの大きさは1とする。Vを図15に示す。
【0108】
2)目標第1足平床反力中心点Q1の座標を、目標全床反力中心点(目標ZMP)を回転中心に法線ベクトルVまわりに、ある回転角θdbvだけ回転移動する。移動した後の点をQ1’とする。同様に、目標第2足平床反力中心点Q2の座標を、目標全床反力中心点(目標ZMP)を回転中心に法線ベクトルVまわりに回転角θdbvだけ回転移動する。移動した後の点をQ2’とする。
【0109】
この回転角θdbvを両脚補償角という。始点がQ1、終点がQ1’のベクトルをベクトルQ1Q1’とする。同様に、始点がQ2、終点がQ2’のベクトルをベクトルQ2Q2’とする。図16にQ1’とQ2’を示す。
【0110】
3)目標第1足平を、姿勢は変えずにベクトルQ1Q1’だけ平行移動(ほぼ上下移動)させる。同様に、目標第2足平を、姿勢は変えずにベクトルQ2Q2’だけ平行移動させる。移動後の目標各足平を図16に太線で示す。
【0111】
4)次に、目標第1足平をQ1’を中心に、前後方向軸(X軸)まわりに回転角θ1x、左右方向軸(Y軸)まわりに回転角θ1yだけ回転させる。同様に、目標第2足平をQ2’を中心に前後方向軸(X軸)まわりに回転角θ2x、左右方向軸(Y軸)まわりに回転角θ2yだけ回転させる。回転角θnx,θnyをそれぞれ第n足平X補償角、第n足平Y補償角という。回転後の目標各足平を図17に太線で示す。
【0112】
以上の補償動作量が過大でなければ、接地圧力分布は変わっても、接地領域(足底面の圧力が正の領域)は変わらない。このような場合には、補償動作量に比例して各足平に装着されたコンプライアンス機構42が変形し、変形量に応じた実各足平床反力が発生する。この結果、補償動作量と補償動作によって発生する実床反力の変化量との間の関係は、以下に示す良好な特性を持つ。
【0113】
特性1)両脚補償角θdbvだけを操作して目標各足平位置を移動させると、下がった足平の実足平床反力の力成分が増加し、上がった足平の実足平床反力の力成分が減少する。このとき、修正目標各足平床反力中心点まわりの実各足平床反力モーメントは、ほとんど変化しない。
【0114】
特性2)第n足平X補償角だけを操作して目標第n足平姿勢を回転させると、目標第n足平床反力中心点に作用する実第n足平床反力のモーメントのX成分だけが変化し、その他の床反力成分は少ししか変化しない。同様に、第n足平Y補償角だけを操作して目標第n足平姿勢を回転させると、実第n足平床反力のモーメントのY成分だけが変化し、その他の床反力成分は少ししか変化しない。
【0115】
特性3)両脚補償角θdbv、各足平X補償角および各足平Y補償角を同時に操作すると、実各足平床反力の変化量は、それぞれを単独に操作したときの変化量の和になる。
【0116】
特性1および特性2は、これらの操作に独立性があることを示し、特性3はこれらの操作に線形性があることを示していると言える。
【0117】
図18は複合コンプライアンス動作決定部114の演算処理を示すブロック図であり、同図を参照してその処理を説明する。
【0118】
概説すると、補償全床反力モーメント分配器114aにおいては補償全床反力モーメントMdmdの分配を行う。次に、実各足平床反力と分配された補償全床反力モーメントなどから、両脚補償角決定部114bおよび第n足平X(Y)補償角決定部114c,114d,114e,114fにおいて前述の補償角θdbvおよびθnx(y)を決定する。
【0119】
次に、決定された各種補償角に基づいて修正目標足平位置姿勢算出部114gは、補償された足平位置姿勢(これを修正目標足平位置姿勢という)を幾何学演算によって求める。最後に、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢算出部114hは、目標各足平床反力によって発生が予想されるコンプライアンス機構42の変形量を求め、それらを打ち消すように修正目標足平位置姿勢をさらに修正する。
【0120】
以下詳説すると、補償全床反力モーメント分配器114aは、補償全床反力モーメントMdmdを、両脚補償モーメントMdmddb、各足平補償モーメントMdmd1x,y,Mdmd2x,yに分配する。両脚補償モーメントMdmddbは、両脚補償角(足平上下量)θdbvを操作することによって目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりに各足平床反力の力成分が作るモーメントの目標値である。
【0121】
両脚補償モーメントMdmddbのV方向まわりの成分をMdmddbvと記述する。尚、ベクトルVは複合コンプライアンス動作決定部114の説明で定義したベクトルである。Vに直交し、鉛直方向にも直交するベクトルをUとすると、両脚補償モーメントMdmddbのU方向成分Mdmddbuは0に設定される。両脚補償角θdbvを操作しても、床反力のU方向モーメント成分を発生することはできないからである。
【0122】
ここでは補償全床反力モーメントMdmdの鉛直方向成分が0なので、Mdmddbの鉛直方向成分Mdmddbzも0に設定される。
【0123】
第1足平補償モーメントMdmd1は、第1足平補償角θ1x,θ1yを操作することによって目標第1足平床反力中心点まわりに発生させたいモーメントである。第1足平補償モーメントMdmd1のX成分をMdmd1x、Y成分をMdmd1yと記述する。第2足平補償モーメントMdmd2は、第2足平補償角θ2x,θ2yを操作することによって目標第2足平床反力中心点まわりに発生させたいモーメントである。第2足平補償モーメントMdmd2のX成分をMdmd2x、Y成分をMdmd2yと記述する。
【0124】
分配は、例えば次のように行う。
Figure 0003726009
【0125】
ここで、Wdbx,Wdby,W1x,W1y,W2x,W2yおよびWintは分配用重み変数である。VxはベクトルVのX成分の値、VyはベクトルVのY成分の値である。この中で、Wintは、両脚補償角を操作することによって発生した全床反力モーメントを各足平補償角を操作することによって打ち消すためのものである。
【0126】
式3と式4の演算処理を行う補償全床反力モーメント分配器114aのブロック図を図19に示す。
【0127】
歩行時の分配用重み変数Wdbx,Wdby,W1x,W1y,W2x,W2yおよびWintの設定例を図20に示す。図20のパターンは、以下の注意点を考慮して決定することが望ましい。
【0128】
注意点1)両脚補償角と各足平補償角が不連続的に変化すると、関節に過大なトルクが発生する。そこで、両脚補償角と各足平補償角を連続的に変化させるために、分配用重み変数は連続的に変化させる。
【0129】
注意点2)両脚補償角および各足平補償角を操作することによって発生する実床反力モーメントが、なるべく補償全床反力モーメントMdmdに近い値になるように、分配用重み変数を決定する。
【0130】
この際、直立時や歩行時など状況に応じて以下に示すように設定方針を変えた方が良い。直立時などのように、両脚補償モーメントのV方向成分Mdmddbv、各足平補償モーメントMdmd1,Mdmd2を忠実に実各足平床反力に発生させることができる状況では以下のように設定する。
【0131】
この状況では目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりの実全床反力モーメントの水平方向成分を、補償全床反力モーメントMdmdの水平方向成分に一致させるため(即ち、前述の複合コンプライアンス動作決定部に対する要求1を満足するため)に、式5と式6の両方をなるべく満足するように重みを設定すべきである。
【0132】
Figure 0003726009
【0133】
これに式3、式4を代入すると、式5は式7に、式6は式8に変換される。
Figure 0003726009
【0134】
MdmdxとMdmdyが任意の値を取っても、式7と式8が恒等的に成立するためには、式9、式10、および式11を同時に満足すれば良い。
Figure 0003726009
即ち、以上の状況では式9、式10および式11を同時に満足するように、重みを決定すれば良い。
【0135】
歩行時ではMdmddbvを目標にして両脚補償角θdbvを操作して足平の位置を修正しても、実全床反力モーメントの発生量がMdmddbvに較べて不足する場合がある。例えば図21のように両脚支持期の初期にロボットが後傾して第1足平が未だ着地していない状況では、θdbvによって第1足平の位置を下げても、実床反力は変化しない。
【0136】
同様に、Mdmd2を目標にして第2足平補償角θ2を操作して第2足平の角度を修正しても、実床反力モーメントの増加量がMdmd2に較べて不足する場合がある。例えば、図22のように両脚支持期の後半にロボットが後傾している状況では、θ2によって第2足平のかかとを下げても実床反力は変化しない。
【0137】
従って、式5、式6を満足するように各重みを設定しても、複合コンプライアンス制御によって発生する実全床反力の増加量が補償全床反力モーメントMdmdに届かない場合がある。このようなことが生じる可能性が高い状況では、式5、式6の左辺の値を右辺の値で割った値が1より大きくなるようにすべきである。
【0138】
歩行時の分配用重み変数設定例である図20では、Wintを0に設定することによって、図21の状況のように、両脚補償角θdbv を操作しても実全床反力モーメントが発生できなくなっても、各足平補償角を操作して不足分を補うようにした。
【0139】
好都合なことに、図21のように後傾すると第2足平のかかとが結果的に下がって床に接地しやすくなるので、第2足平補償角を操作することによって実全床反力モーメントを発生させることができるようになる。
【0140】
また、後傾していないときには両脚補償角θdbvを操作することによる実全床反力モーメントが発生するが、第2足平のかかとが床に接地しないので、第2足平補償角を操作しても実全床反力モーメントは発生しない。
【0141】
つまり、両脚補償角θdbvが有効に働くときには各足平補償角が有効に働かず、各足平補償角が有効に働くときには両脚補償角θdbvが有効に働かないので、結果的に両脚補償角および各足平補償角を操作することによって発生する実床反力モーメントの総量は、ほぼ補償全床反力モーメントMdmdに等しくなる。
【0142】
状況によっては、両脚補償角および各足平補償角を操作することによって発生する実床反力モーメントの総量が補償全床反力モーメントMdmdよりも大きくなってしまう場合がある。
【0143】
しかし、この場合でも、Mdmdが姿勢安定化のためのフィードバック操作量であるならば、あまり問題にならない。何故ならば、Mdmdの大きさが多少違っていても、一般的に制御系に言えることであるが、制御系のオープンループゲインが多少変化するだけで、クローズドループ特性はほとんど変わらないからである。
【0144】
注意点3)片脚支持期では、両脚補償角用の分配用重み変数であるWdbx,Wdbyの絶対値を小さくする。片脚支持期では両脚補償角を変化させても、接地していない足平が無駄に上下するだけで、実各足平床反力は変化しないからである。
【0145】
注意点4)足平の接地性を確保するために、目標足平床反力の力成分が小さいときには、その足平の足平補償角のための分配用重み変数の絶対値を小さくする。特に、足平が床から遠く離れているときには、その足平の足平補償角を動かしても、その足平の実足平床反力は変化しないので、不要な動きをさせないためにも、その足平の足平補償角のための分配用重み変数の絶対値を小さくすべきである。
【0146】
注意点5)両脚補償角を操作することによって制御できる実全床反力モーメントの方向と、各足平補償角を操作することによって制御できる実全床反力モーメントの方向は通常異なる。
【0147】
例えば、両脚補償角θdbvを操作することによって発生する実全床反力モーメントの向きは必ずV方向であり、V方向に直交する成分を発生させることはできない。一方、各足平補償角を操作することによって発生できる実全床反力モーメントの向きは、足平の接地状況によって制約を受ける。
【0148】
例えば、足平22R(L)のつまさきのエッジだけ、またはかかとのエッジだけが接地している場合には、エッジ線方向にモーメントを発生することはできない。両脚支持期では、この特性を考慮して、なるべく無駄なく両脚補償角および各足平補償角を操作する。
【0149】
例えば、両脚補償角を操作するための分配重みWdbx,Wdbyは次のように決定する。
【0150】
X成分がWdbx、Y成分がWdby、Z成分が0のベクトルをWdbとすると、式3はベクトルWdbとMdmdの内積になっている。従って、MdmdをベクトルWdb方向成分とその直交成分に分解し、ベクトルWdb方向成分だけを抽出して、ベクトルWdbの大きさを乗じたものが、式3によって求められるMdmddbvであると言える。
【0151】
この場合のMdmddbvを図23に示す。これは、両脚補償角を操作することによって実全床反力モーメントのWdb方向成分を制御するフィードバック制御系を構成することを意味する。もし、Wdb方向がベクトルVと直交していたら、両脚補償角をいくら操作しても実全床反力モーメントのWdb方向成分は発生しないから、このフィードバック制御系はただ無駄に両脚補償角を操作するだけになる。
【0152】
従って、無駄な動きを減らしたい場合には、Wdb方向をベクトルV方向に一致させるか、またはなるべく近づけるべきである。また、補償全床反力モーメントMdmdのWdb方向成分を、各足平補償角に頼らずに両脚補償角を操作するだけで発生させたいならば、WdbとVの内積が1になるように設定する。一部を各足平補償角に頼らせたいならば、WdbとVの内積が1より小さくなるように設定する。
【0153】
ところで、足平の横幅が狭い場合には、各足平補償角を操作することによって発生し得る実各足平床反力モーメントのX成分は小さくなる。この場合には、Wdbxを大きめに設定する。このように設定すると、Wdb方向とベクトルV方向は一致しなくなり、両脚補償角の変動が増加するが、安定性が増す。
【0154】
両脚補償角決定部114bの処理についてさらに詳説すると、図24は両脚補償角決定部114bの演算処理のブロック図であり、両脚補償角θdbvは図示の如く演算される。
【0155】
図24を参照して説明すると、目標第1足平床反力中心点Q1に作用するF1actと目標第2足平床反力中心点Q2に作用するF2actが、目標全床反力中心点Pのまわりに発生させるモーメントMf1f2actを、次式により求める。
【0156】
Figure 0003726009
ここで、PQ1は始点がP、終点がQ1のベクトル、PQ2は始点がP、終点がQ2のベクトルである。
【0157】
また、式12の代わりに、次式を用いても実際上はほとんど問題がない。
Figure 0003726009
式12aは、目標全床反力中心点まわりに作用する実全床反力モーメントMsumactを算出する式になっている。尚、式12は、目標全床反力中心点まわりに作用する実全床反力モーメントから、目標各足平床反力中心点まわりに作用する実各足平床反力モーメントを減じたものになっている。
【0158】
次に、Mf1f2actのベクトルV方向成分Mf1f2actvを抽出する。これは、ベクトルの内積演算を用いた次式によって得られる。尚、ベクトルVは前述の動作説明において図15に示したVである。
Figure 0003726009
【0159】
次に、Mf1f2actvをローパスフィルタ114iに通し、Mf1f2actvfiltを得る。
【0160】
次に、両脚補償モーメントV方向成分Mdmddbvを補償フィルタ114jに通し、それを、Mf1f2actvfiltから減じ、偏差モーメントV方向成分Mdiffvを得る。
【0161】
尚、補償フィルタ114jは、Mdmddbvから実全床反力モーメントまでの伝達関数の周波数応答特性を改善するものである。
【0162】
次に、コンプライアンス機構42の変形による両脚補償モーメントV方向成分への影響を打ち消すための両脚機構変形補償角θffdbvを求める。これは、いわゆるフィードフォワード補償である。
【0163】
具体的には、両脚補償モーメントV方向成分Mdmddbvと変形量との関係を表す機構コンプライアンスモデルを用い、目標第1足平床反力中心点Q1と目標第2足平床反力中心点Q2を結ぶ線分の変形角度を求め、それの極性を反転したものを両脚機構変形補償角θffdbvとすれば良い。
【0164】
両脚機構変形補償角θffdbvは、近似的には次式により求めれば良い。
Figure 0003726009
ここでαは所定の定数である。
【0165】
最後に次式によって両脚補償角θdbvを得る。ここでKdbは制御ゲインであり、通常、これは正の値に設定する。
Figure 0003726009
【0166】
第n足平補償角決定部について説明すると、図25はその中の第1足平X補償角決定部114cの演算処理を示すブロック図であり、第1足平X補償角決定部114cは第1足平X補償角θ1xを図示の如く演算する。説明は省略するが、第1足平Y補償角θ1y、第2足平X補償角θ2x、第2足平Y補償角θ2yも同様に求める。ここでは第1足平X補償角θ1xを求めるアルゴリズムだけを説明する。
【0167】
第1足平床反力モーメントX成分M1actxをローパスフィルタ114kに通してM1actfiltxを得る。第1足平補償モーメントX成分Mdmd1xを補償フィルタ114mに通し、それを、M1actfiltxから減じ、偏差モーメントMdiff1xを得る。両脚補償角決定と同様、補償フィルタ114mは、Mdmd1xから実全床反力までの伝達関数の周波数応答特性を改善するものである。
【0168】
次に、両脚補償角決定と同様、コンプライアンス機構42の変形による第1足平補償モーメントX成分への影響を打ち消すための第1足平X機構変形補償角θff1xを求める。これは、いわゆるフィードフォワード補償である。
【0169】
具体的には、第1足平補償モーメントX方向成分Mdmd1xと変形量との関係を表す機構コンプライアンスモデルを用い、第1足平の変形角度を求め、それの極性を反転したものを第1足平X機構変形補償角θff1xとすれば良い。
【0170】
第1足平X機構変形補償角θff1xは、近似的には次式により求めれば良い。
Figure 0003726009
ここでα1xは所定の定数である。
【0171】
最後に次式によって第1足平X補償角θ1xを得る。ここでK1xは制御ゲインであり、通常、これも正の値に設定する。
Figure 0003726009
尚、図示のブロック線図は、演算処理順序を変えるなどの等価変形をしても良い。
【0172】
図18に戻って説明を続けると、修正目標足平位置姿勢算出部114gは、両脚補償角θdbv、第1足平X補償角θ1x、第1足平Y補償角θ1y、第2足平X補償角θ2x、第2足平Y補償角θ2yに基づき、前述の複合コンプライアンス動作の足平位置姿勢修正手法に従って目標足平位置姿勢を修正し、修正目標足平位置姿勢を得る。
【0173】
機構変形量算出部114nは、目標各足平床反力によって発生が予想されるコンプライアンス機構42の変形量を求める。
【0174】
機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢算出部114hは、算出された機構変形量を打ち消すように、修正目標足平位置姿勢をさらに修正し、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢を得る。
【0175】
例えば、図26に示すような機構変形量が予想されるときには、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢は、図27に実線で示す位置姿勢に修正される。即ち、図27に示す機構変形補償後の足平22R(L)が目標足平床反力を受けて変形したときの位置姿勢が、図26に示す機構変形補償前の足平位置姿勢に一致するように、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢を算出する。
【0176】
機構変形補償は、コンプライアンス機構42の変形によって生じる実足平位置姿勢のずれをフィードフォワード的に打ち消す制御であり、この制御がない場合に比較し、より一層、目標歩容に近い歩行を実現することができる。
【0177】
上記を前提として図10フロー・チャートの説明に戻ると、前記の如く、S34において上記した補償角を決定する。
【0178】
図28はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0179】
同図を参照して説明すると、先ずS100において前記したベクトルVを求め、S102に進んで分配用重み変数を図20に示すように設定し、現在時刻tでのこれらの値を求める。続いてS104に進み、式3および式4によって補償全床反力モーメントMdmdを両脚補償モーメントMdmddbvと各足平補償モーメントMdmdnx(y)に分配し、S106に進んで既述の如く両脚補償角θdbvを求め、S108に進んで各足平補償角θnx(y)を求める。
【0180】
次いで図10フロー・チャートのS36に進み、目標各足平床反力に基づいて機構変形補償量を算出し、S38に進んで目標足平位置姿勢を補償角θdbv,θnx(y)に応じて修正し、さらにこれを機構変形補償量に応じて修正し、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢を得る。
【0181】
次いでS40に進み、上体位置姿勢と機構変形補償入り修正足平位置姿勢から関節変位指令(値)を算出し、S42に進んで実関節変位を算出された関節変位指令(値)に追従させるようサーボ制御し、S44に進んで時刻をΔt更新し、S14に戻って上記の処理を繰り返す。
【0182】
上記の如く構成したので、これによって、概括すれば、実全床反力の制御と実各足平床反力の制御が殆ど干渉しないようになり、それらを容易に制御することができる。
【0183】
即ち、この複合コンプライアンス制御装置は、先に提案した技術に対して以下の点を改良した。即ち、特開平5−305584号公報で提案した足首コンプライアンス制御では、足首または足底の基準点などの足平に固定された点における実床反力モーメントを検出し、それに基づいて前記固定された点を中心に足平を回転させていたが、この複合コンプライアンス制御装置では、移動する目標足平床反力中心点における実各足平床反力モーメントを算出し、それに基づいて目標足平床反力中心点を中心に足平を回転させるように変更し、その点まわりのモーメントを望ましい値に制御するようにした。
【0184】
この結果、実全床反力と実各足平床反力がほとんど干渉することなく、容易に制御することが可能となった。より干渉を少なくするために、各瞬間における想定していた足底接地領域内にもっと適切な点を選定しても良い。
【0185】
さらには、ロボットに作用する床反力、より具体的には目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりの実全床反力モーメントと目標各足平中心点まわりの実各足平床反力モーメントを容易かつ適切に制御することができる。換言すれば、先に提案した技術を併用する場合に比較し、制御の干渉がなく、実全床反力と実各足平床反力が望ましい値からずれたり発振することがない。
【0186】
従って、大域的なうねりや傾斜だけでなく、局所的な凹凸や傾斜なども含む予期しない床形状変化があっても、その影響をあまり受けずに脚式移動ロボットに作用する床反力を適切に制御することができる。
【0187】
また、脚式移動ロボットの姿勢安定化制御を容易に実現できると共に、脚式移動ロボットが受ける着地衝撃を低減することができ、脚式移動ロボットの接地性を高め、歩行時のスリップやスピンを防止することができる。さらに、脚式移動ロボットのアクチュエータの負荷を低減することができる。
【0188】
また、特開平5−305586号公報で提案した技術では実全床反力(各足平床反力の合力)の目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりのモーメント成分を検出し、その値が望ましい値になるように制御していたが、この複合コンプライアンス制御装置においては、目標各足平床反力中心点に作用する足平床反力の内のモーメント成分を除いた並進力成分の合成が目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりに作用するモーメントを検出し、その値を望ましい値になるように制御するように変更した(尚、この点は先に提案した制御手法であっても良い)。
【0189】
図29は複合コンプライアンス制御の変形例を示す、図16と同様な説明図である。
【0190】
変形例にあっては補償動作を簡易化して同様の作用効果を得るようにした。即ち、各足平の床反力の力成分を操作する足平位置修正動作の手法としては、図16に示した手法に代え、図29に示すように、鉛直方向にだけ移動させるようにした。このとき、第1足平鉛直方向移動量Z1と第2足平鉛直方向移動量Z2は、次式によって求める。
Figure 0003726009
但し、ここで、θdbvには式15で求められる値を代入する。
【0191】
以上を前提としてこの発明の一つの実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置を説明する。
【0192】
この実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置の構成は、図4に示した複合コンプライアンス制御の構成、より具体的には図18に示した構成と同様である。ただし、図30に示す如く、補償全床反力モーメント分配器114aなどで示される複合コンプライアンス動作決定部は、図18に示した構成と異なり、新たに床形状推定器130と、床形状推定器130が出力する各種の床形状推定値をそれぞれの補償角に加算する加算器132(132a,132b)を備えるようにした。
【0193】
同図の説明に入る前に、床形状推定装置130が推定する上で使用する概念と用語を以下のように定義する。
【0194】
図31に示すように、目標歩容において想定された床(あるいは床面)を「想定床」と呼ぶ。ロボットが歩行している実際の床を「実床」と呼ぶ。また想定床形状に対する実床形状のずれを「床形状偏差」と呼ぶ。
【0195】
前記した複合コンプライアンス制御において定義された目標第n足平床反力中心点Qnは、第n足平の足底(床との接触面)に設定された点であった。従って、目標第n足平床反力中心点Qnは、足平22R(L)と共に移動する。これに対応して、目標第n足平床反力中心点Qnと接することが想定された想定床面上の点を「想定第n床接点Dn」と呼ぶ。
【0196】
この定義から明らかなように、第n足平が接地している時期では、目標第n足平床反力中心点Qnと想定第n床接点Dnは、支持脚座標系から見て同一座標になる。これに対し、実際にロボット1が歩行しているときに、実第n足平の足底面上における目標第n足平床反力中心点Qnに相当する点が、実床に接触する点を「実第n床接点Dnact」と呼ぶ。
【0197】
これらの点の関係を表す一例を図31に示す。図31は、目標第1足平床反力中心点Q1と目標第2足平床反力中心点Q2を通る垂直面の法線方向(複合コンプライアンス制御におけるベクトルVの方向)に向いて側方から歩行しているロボット1を見たところである。
【0198】
ロボット1の目標姿勢(目標歩容のこの瞬間における姿勢)および前記垂直面における想定床の断面を細線で示す。ロボット1の実足平位置姿勢と前記垂直面における実床の断面を太線で示す。この状況における実第n床接点は、実床面上の点であり、図31に示す位置になる。
【0199】
さらに、床形状偏差を定量的に表現する指標として、両脚間床高低差偏差、両脚間床傾斜偏差、足平床傾斜偏差を以下のように定義する。
【0200】
第2床接点の高さと第1床接点の高さの差を「両脚間床高低差」と呼び、以下のように算出する。
両脚間床高低差=第2床接点の高さ−第1床接点の高さ・・・式19
【0201】
実両脚間床高低差と想定両脚間床高低差との差を「両脚間床高低差偏差」と呼ぶ。始点を第1床接点、終点を第2床接点とする線分の傾斜を「両脚間床傾斜」と呼び、以下のように算出する。
両脚間床傾斜=atan((第2床接点の高さ−第1床接点の高さ)/(第2床接点と第1床接点の間の水平距離))・・・ 式20
ここでatanは、三角関数であるタンジェントの逆関数を表す。
【0202】
実両脚間床傾斜と想定両脚間床傾斜との差を「両脚間床傾斜偏差」と呼ぶ。それを図31に示す。この状況において、両脚間床傾斜偏差は正である。第n床接点における床面の傾斜を「第n足平床傾斜」と呼ぶ。
【0203】
実第n足平床傾斜と想定第n足平床傾斜との差を「第n足平床傾斜偏差」と呼ぶ。これを図32に示す。図32はロボット1を後ろから見た図である。ロボット1の目標姿勢(目標歩容のこの瞬間における姿勢)および想定床の断面を細線で示す。ロボット1の実足平位置姿勢と実床の断面を太線で示す。この状況において、第1足平床傾斜偏差は負である。
【0204】
尚、両脚間床傾斜および両脚間床傾斜偏差は、前述のベクトルV方向まわりの回転角で表される。第n足平床傾斜および第n足平床傾斜偏差は、X方向の回転角とY方向の回転角で表される。
【0205】
また、両脚間床傾斜偏差および第n足平床傾斜偏差と複合コンプライアンス制御の各種補償角との間には、以下の関係がある。即ち、両脚間床傾斜偏差は、両脚支持期において、目標歩容通りに歩行しているロボット1の目標第1足平床反力中心点Q1と目標第2足平床反力中心点Q2を結ぶ線分を、目標床面に平行になっている状態から、実床面に平行にさせるために必要な両脚補償角に相当する。
【0206】
また、第n足平床傾斜偏差は、目標歩容通りに歩行しているロボットの第n足平を、目標床面に平行になっている状態から、実床面に平行にさせるために必要な第n足平補償角に相当する。
【0207】
従って、歩行中に両脚間床傾斜偏差を推定し、両脚間床傾斜偏差の推定値を両脚補償角に加えれば、両脚間床傾斜偏差があっても、実全床反力は想定床を歩行しているときと同一になる。また、歩行中に第n足平床傾斜偏差を推定し、第n足平補償角の推定値を第n補償角に加えれば、第n足平床傾斜偏差があっても、実第n足平床反力は想定床を歩行しているときと同一になる。
【0208】
尚、複合コンプライアンス制御の両脚補償動作として変形例で示した鉛直方向にのみ移動させる手法を用いる場合には、両脚間床傾斜偏差の推定値の代わりに、両脚間床高低差偏差の推定値を用いれば良い。本質的な違いはないので、以降の説明では両脚間床傾斜偏差の推定値を用いる場合のみを説明する。
【0209】
図30に示す構成における床形状推定器130への入力は、大きく分けて以下のようになる。
1)各種目標床反力中心点(目標全床反力中心点、目標第n足平床反力中心点)、
2)想定床面形状(想定第n床接点の座標、想定第n足平床傾斜)、
3)最終的に実ロボットが追従すべき目標姿勢(機構変形入り修正目標足平位置姿勢)または実関節変位またはこれらの周波数重み付き平均、
4)上体傾斜偏差、
5)実床反力(実第n足平床反力の力成分とモーメント成分)
【0210】
尚、床形状推定器130への入力は、図30に示すものを用いると、最も推定精度を高くすることができるが、それ以外のものを選んでも良い。それに関しては第2の実施の形態で述べる。
【0211】
床形状推定器130の処理機能ブロック図を図33に示す。
【0212】
図33に示す床形状推定器130を構成する各機能要素について説明すると、床形状推定器130は機構コンプライアンスモデル134を備える。
【0213】
機構コンプライアンスモデル134は、ロボット幾何学モデル110(図4に示す)への入力、即ち、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢が、実床反力を受けたときのコンプライアンス機構42の変形量を求め、求めた変形量を機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢に加えることにより、機構変形後の推定各足平位置姿勢を求める。ここで、機構変形後の推定各足平位置姿勢は、上体24に対する相対位置姿勢で表現される。
【0214】
ロボットの関節変位制御の追従遅れが無視できない場合、図34に示すように、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢に、追従遅れに相当するローパスフィルタ136を通して機構コンプライアンスモデル134に入力すれば良い。
【0215】
あるいは、図35に示すように、実関節変位からロボット幾何学モデル137(図4に110と示すのと同様のモデル)を介して機構変形なし実足平位置姿勢を求め、求めた値を機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢の代わりに機構コンプライアンスモデル134に入力すれば良い。
【0216】
あるいは、周波数重みを用い、前記機構変形なし実足平位置姿勢と機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢の重みつき平均を求め、それを機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢の代わりに機構コンプライアンスモデル134に入力すれば良い。
【0217】
厳密には、前記した機構変形なし実足平位置姿勢を用いるべきであるが、関節変位制御の能力が高ければ、上記のいずれでも大差はない。
【0218】
また、図4においてロボット幾何学モデル110への入力に機構変形補償が含まれない場合、機構変形補償のない修正目標足平位置姿勢を機構コンプライアンスモデル134に入力すれば良い。
【0219】
図33の説明に戻ると、床形状推定器130は両脚間床傾斜偏差推定部138を備える。即ち、同図において、機構変形後の推定各足平位置姿勢、目標各足平床反力中心点の目標足平に対する相対座標、想定各床接点および上体傾斜偏差から推定両脚間床傾斜偏差を推定するまでのブロックを「両脚間床傾斜偏差推定部」と呼ぶ。以下にこの部分の処理を説明する。
【0220】
先ず、機構変形後の推定各足平位置姿勢と目標各足平床反力中心点Qnの目標足平に対する相対座標とから、機構変形後の目標各足平床反力中心点Qn”の座標を算出する。ここで、機構変形後の目標各足平床反力中心点Qn”は、実上体に対する相対位置で表わされる。
【0221】
より具体的には、目標第n足平床反力中心点Qnの足平に対する相対位置をベクトルRn、機構変形後の推定第n足平位置をベクトルUn、機構変形後の推定第n足平姿勢をマトリックスAnで表わすと、機構変形後の目標第n足平床反力中心点Qn”は次式によって計算される。
Figure 0003726009
【0222】
次に、Q1”を始点、Q2”を終点とするベクトルQ1”Q2”の実上体に対するベクトルVまわりの傾きθfdbv”を算出する。ここでベクトルVは、複合コンプライアンス制御で定義されたベクトルである。
【0223】
一方、想定第n床接点Dnの目標上体に対する相対座標から、D1を始点、D2を終点とするベクトルD1D2の目標上体に対するベクトルVまわりの傾きθfdbvを算出する。
【0224】
ここで、想定第n床接点Dnは、先に定義したように、第n足平が接地している時期においては、目標第n足平床反力中心点Qnと同一位置とする。目標歩容において第n足平が接地する直前の時期では、次に接地する時に想定されている目標第n足平床反力中心点Qnの位置を想定第n床接点Dnとする。目標歩容において第n足平が離床した直後の時期では、離床時に想定されていた目標第n足平床反力中心点Qnの位置を想定第n床接点Dnとする。
【0225】
次に、前記のθfdbv”に、上体傾斜偏差のV方向成分θerrvを加えることにより、Q1”を始点、Q2”を終点とするベクトルQ1”Q2”の目標上体に対するベクトルVまわりの傾きを求め、それから前記のθfdbvを減じることにより、V方向瞬間両脚間床傾斜偏差計算値θfdberrvを得る。
【0226】
次に、それから直前の推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを減じることにより、θfdberrdiffvを得る。次に、両脚間床傾斜偏差推定中断器140において、両脚間床傾斜偏差の推定を実行すべきか中断すべきかを判断する。
【0227】
両脚間床傾斜偏差推定中断器140は、両脚間床傾斜偏差の推定を実行(続行)すべきと判断したならば、両脚間床傾斜偏差推定中断器140への入力である前記θfdberrdiffvをそのまま出力し、中断すべきと判断したならば、0を出力する。両脚間床傾斜偏差推定中断器140に関する詳細は後述する。
【0228】
次に、両脚間床傾斜偏差推定中断器140の出力を積分定数がKdbestmである積分器142で積分することにより、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを得る。推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvは、図31に示す両脚間床傾斜偏差の推定値であり、Vまわりの角度で表わされる。以上が、両脚間床傾斜偏差推定部138の処理である。
【0229】
さらに、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvは、図30に示すように、両脚補償角θdbvに加算され、床形状推定入り両脚補償角θdbv’として修正目標足平位置姿勢算出部114gへ入力される。
【0230】
以上の処理を毎制御周期に繰り返し実行することにより、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvが実際の両脚間床傾斜偏差に収束する。また、足平位置姿勢は推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvに従って修正され、両脚間床傾斜偏差が実床反力に及ぼす影響を吸収する。
【0231】
尚、両実足平が接地しているならば、前記したQn”は図31の実第n床接点Dnactに一致するはずである。従って、前記ベクトルQ1”Q2”と前記ベクトルD1D2の傾きの差θfdberrvは、図30における両脚間床傾斜偏差に一致するはずである。
【0232】
しかし、実際にはロボット1の機械系や制御系の振動および電気的なノイズにより、上記計算アルゴリズムによって得られたθfdberrvは、実際の両脚間床傾斜偏差を中心値として激しく変動する。従って、θfdberrvをそのまま両脚間床傾斜偏差の推定値として用いて、これを図30に示すように両脚補償角に加算すると、ロボット1の足平22R(L)は発振するかあるいは激しく振動する。
【0233】
ところで、図33の両脚間床傾斜偏差推定中断器140が常に推定実行(続行)と判断すれば、θfdberrvから推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvまでの伝達関数は、1次遅れのローパスフィルタになる。即ち、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvはθfdberrvにローパスフィルタを通したものとなる。従って、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを図30に示すように両脚補償角に加算しても、足平22R(L)の発振や振動を生じ難くなる。
【0234】
ちなみに、この例では、ローパスフィルタの時定数は1/Kdbestmである。図33に示す例以外にも、θfdberrvからθfdbestmvまでの伝達関数がローパスフィルタになるように構成すれば良い。これにより、足平22R(L)の発振や振動を防止することができる。
【0235】
次いで、両脚間床傾斜偏差推定部138の特徴を説明する。
【0236】
姿勢安定化制御のために必要な両脚補償モーメントV方向成分Mdmddbvを発生させようと、図30における両脚補償角θdbvを変化させ、最終的な目標足平位置姿勢である機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢を変更させても、両実足平が接地している限り、機構変形後の目標各足平床反力中心点Qn”の実際の位置は、実第n床接点Dnactに一致したまま動かず、その代わりに、コンプライアンス機構42が変形したり、上体24の位置姿勢が変化する。即ち、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢を変更させた分を打ち消すように、コンプライアンス機構42が変形したり、上体24の位置姿勢が変化する。
【0237】
この実施の形態における両脚間床傾斜偏差推定部138は、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢から推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを算出するまでに、実床反力を基に機構コンプライアンスモデル134によって算出された機構部変形量と、傾斜センサ36によって検出された実上体姿勢傾斜偏差を加えているので、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢が変動しても、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvはその影響を受けない。
【0238】
これは、姿勢制御と両脚間床傾斜偏差推定が非干渉化されていることを意味する。従って、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを図30に示すように両脚補償角に加算しても、制御系の安定余裕(発振のし難さ)はほとんど低下しない。この点は、前記したロボット学会論文に示す従来技術では得られない利点である。
【0239】
また、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを図30に示すように両脚補償角に加算すると、両脚間床傾斜偏差が存在していても、その影響を打ち消すことができるので、実全床反力は、定常的には想定床を歩行している場合と同一になる。しかも、両脚間床傾斜偏差の推定と補償角の修正は毎制御周期に実行されるので、床形状が途中で変化しても、変化後の両脚間床傾斜偏差を推定し、推定値に基づいてその影響を打ち消すことができる。
【0240】
ただし、両脚間床傾斜偏差推定部138には前述したようにローパスフィルタが含まれるので、両脚が接地したときや床形状が途中で変化したときには、過渡的には、実全床反力は、両脚間床傾斜偏差の影響を受ける。しかし、その後、時定数1/Kdbestmでその影響が減衰する。
【0241】
さらに、図33に示すように、床形状推定器130は足平床傾斜偏差推定部144を備える。即ち、同図において、機構変形後の推定第1足平位置姿勢、想定第1足平床傾斜および上体傾斜偏差X成分から推定第1足平床傾斜偏差X成分を推定するまでのブロックを「足平床傾斜偏差推定部」144、より具体的には「第1足平床傾斜偏差X成分推定部」と呼ぶ。この部分の処理を説明する。
【0242】
先ず、機構変形後の推定第1足平位置姿勢と想定第1足平床傾斜から、想定第1足平床傾斜に対する機構変形後の推定第1足平位置姿勢の傾斜のX成分θf1errx”を算出する。
【0243】
これは、目標第1足平姿勢傾斜と想定第1足平床傾斜との差にコンプライアンス機構42のたわみ角(図2)を実床反力から推定した値を加算した値に相当する。ただし、図2ではY成分を示す。
【0244】
次に、前記のθf1errx”に、上体傾斜偏差のX方向成分θerrxを加えて瞬間第1足平床傾斜偏差X成分計算値θf1errxを得る。
【0245】
次に、それから直前の推定第1足平床傾斜偏差θf1estmxを減じることにより、θf1errdiffxを得る。
【0246】
次に、足平床傾斜偏差推定中断器146、より具体的には第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器において、第1足平床傾斜偏差X成分の推定を実行すべきか中断すべきかを判断する。
【0247】
第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器は、第1足平床傾斜偏差X成分の推定を実行すべきと判断したならば、第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器への入力である前記θf1errdiffxをそのまま出力し、中断すべきと判断したならば、0を出力する。尚、足平床傾斜偏差推定中断器146、より具体的には第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器に関する詳細は後述する。
【0248】
次に、第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器の出力を積分定数がK1estmxである積分器148で積分することにより、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxを得る。
【0249】
以上が、第1足平床傾斜偏差X成分推定部の処理である。
【0250】
推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxは、図30に示すように、第1足平X補償角θ1xに加算され、床形状推定入り第1足平X補償角θ1x’として修正目標足平位置姿勢算出部114gへ入力される。
【0251】
以上の処理を毎制御周期に繰り返し実行することにより、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxが実際の第1足平床傾斜偏差X成分に収束する。また、足平位置姿勢は、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxに従って修正され、第1足平床傾斜偏差X成分が実床反力に及ぼす影響を吸収する。
【0252】
尚、図33では第1足平床傾斜偏差X成分推定部144のみ図示したが、それ以外にも第1足平床傾斜偏差Y成分推定部、第2足平床傾斜偏差X成分推定部、第2足平床傾斜偏差Y成分推定部が設けられ、第1足平床傾斜偏差Y成分、第2足平床傾斜偏差X成分および第2足平床傾斜偏差Y成分に関しても同様の処理が行われる。
【0253】
足平床傾斜偏差推定に関しても、両脚間床傾斜偏差推定と同様に以下のことが言える。
【0254】
実第1足平がべたに接地しているならば(より厳密には、実第1足平と実床が面接触しているか、あるいはつまさきエッジやかかとエッジで接触しているようにY方向に線接触しているならば)、瞬間第1足平床傾斜偏差X成分計算値θf1errxは、実際の第1足平床傾斜偏差X成分に一致するはずである。
【0255】
しかし、実際には、ロボット1の機械系や制御系の振動および電気的なノイズにより、上記計算アルゴリズムによって得られたθf1errxは、実際の第1足平床傾斜偏差X成分を中心値として激しく変動する。
【0256】
従って、θf1errxをそのまま第1足平床傾斜偏差X成分の推定値として用い、それを図30に示すように第1足平X補償角に加算すると、ロボット1の足平22R(L)は、発振するかあるいは激しく振動する。
【0257】
ところで、図33の第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器が常に推定実行(続行)と判断すれば、θf1errxから推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxまでの伝達関数は、1次遅れのローパスフィルタになる。即ち、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxはθf1errxにローパスフィルタを通したものとなる。
【0258】
従って、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxを図30に示すように第1足平補償角に加算しても、足平の発振や振動を生じ難くなる。ちなみに、この例では、ローパスフィルタの時定数は1/K1estmxである。
【0259】
図33に示す例以外にも、両脚間床傾斜偏差推定と同様に、θf1errxからθf1estmxまでの伝達関数がローパスフィルタになるように構成すれば良い。これにより、足平22R(L)の発振や振動を防止することができる。
【0260】
次いで、足平床傾斜偏差推定部144の特徴を説明する。
【0261】
両脚間床傾斜偏差推定と同様に以下のことが言える。
【0262】
姿勢安定化制御のために必要な第1足平補償モーメントX成分Mdmd1xを発生させようと、図30における第1足平補償角θ1xを変化させて、最終的な目標足平位置姿勢である機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢を変更させても、実第1足平がべたに接地している限り、実足底面の姿勢は変わらず、その代わりに、コンプライアンス機構42が変形したり、上体24の位置姿勢が変化する。即ち、両脚間床傾斜偏差推定と同様に、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢を変更させた分を打ち消すように、コンプライアンス機構42が変形したり、上体24の位置姿勢が変化する。
【0263】
この実施の形態における第1足平床傾斜偏差X成分推定部は、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢から推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxを算出するまでに、実床反力を基に機構コンプライアンスモデル134によって算出されたコンプライアンス機構変形量と、傾斜センサ36によって検出された実上体姿勢傾斜偏差を加えているので、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢が変動しても、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxはその影響を受けない。
【0264】
これは、姿勢制御と第1足平床傾斜偏差推定が非干渉化されていることを意味する。従って、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxを図30に示すように第1足平補償角に加算しても、両脚間床傾斜偏差推定と同様に、制御系の安定余裕はほとんど低下しない。
【0265】
また、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxを図30に示すように第1足平補償角に加算すると、第1足平床傾斜偏差が存在していても、その影響を打ち消すことができるので、実第1足平床反力は、定常的には想定床を歩行している場合と同一になる。
【0266】
しかも、第1足平床傾斜偏差の推定と補償角の修正は毎制御周期に実行されるので、床形状が途中で変化しても、変化後の第1足平床傾斜偏差を推定し、その影響を打ち消すことができる。
【0267】
ただし、第1足平床傾斜偏差推定器には前記のローパスフィルタが含まれるので、第1足平が接地したときや床形状が途中で変化したときには、過渡的には、第1足平床傾斜偏差の影響を受け、その後、時定数1/K1estmxでその影響が減衰する。
【0268】
上記したこの実施の形態における床形状推定の特徴を総合的に説明する。
【0269】
この実施の形態における床形状推定が前提とする複合コンプライアンス制御においては、各補償角を操作して実全床反力および各足平床反力を制御しても、その特徴として、それぞれの制御は非干渉化されている。
【0270】
従って、推定両脚間床傾斜偏差θfdestmvを求めることと、それを両脚補償角θdbvに加算することと、推定各足平床傾斜偏差θf1estmx,θf1estmy,θf2estmx,θf2estmyを求めることと、それらをそれぞれ各足平補償角θ1x,θ1y,θ2x,θ2yに加算することを同時に行っても、干渉し合って発振することはほとんどない。
【0271】
その特徴と前述した両脚間床傾斜偏差推定部138と足平床傾斜偏差推定部144の各特徴により結果的に以下の利点が得られる。
【0272】
1)姿勢復元力制御のために両脚補償角θdbvと各足平補償角θ1x,θ1y,θ2x,θ2yを操作して実床反力を制御することと、両脚間床傾斜偏差を推定することと、これを両脚補償角θdbvに加算することと、各足平床傾斜偏差を推定することと、それらを各足平補償角に加算することを同時に行うことができる。
【0273】
簡単に言えば、床形状偏差の複数のパラメータを同時に推定しながら、床形状偏差が床反力に及ぼす影響を打ち消すための脚の補償動作も同時に実行することができる。さらには、姿勢制御のための脚の補償動作も同時に実行することができる。
【0274】
2)床形状偏差が大きくても制御が破綻し難い(複合コンプライアンス制御は微小角に限定した近似を行っていないから)。
3)床形状偏差の推定精度が高い。
【0275】
4)姿勢安定化制御との干渉による発振が生じにくいので、推定部138,144のゲイン(Kdbestm,K1estmx,K1estmy,K2estmx,K2estmy)を大きくすることができ、その結果、推定時定数を短くすることができる。それによって、床形状偏差が床反力に及ぼす影響を打ち消すための脚の補償動作の応答性を高めることができるので、床形状偏差が床反力に及ぼす過渡的な影響が短時間で解消される。
5)床形状偏差推定と床形状偏差が床反力に及ぼす影響を打ち消すための脚の補償動作が常時実行されるので、途中で床形状が変化しても、過渡的にはその影響を受けるが、その後、推定の時定数でその影響が減衰する。
【0276】
次いで、この実施の形態における前記した推定中断器140,146について説明する。
【0277】
先ず、第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器の役割について説明する。
【0278】
第1足平床傾斜偏差推定Y成分中断器は、第1足平床傾斜偏差Y成分の推定が正常に実行できるか否かを判断し、正常に実行できないと判断したときには推定を中断する。
【0279】
より具体的には、原則的に、推定第1足平床傾斜偏差Y成分の精度が低下する恐れがある状況、および推定第1足平床傾斜偏差Y成分が発散する恐れがある状況では、推定を中断するために、0を出力し(即ち、積分入力に0を入れて積分値をホールドする)、それ以外の状況では、推定を実行するために、第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器への入力をそのまま出力する。
【0280】
もし、第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器が動作せず、常に第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器への入力をそのまま出力し続けると、ある状況では推定第1足平床傾斜偏差Y成分が発散する。
【0281】
以下にこの実施の形態において推定第1足平床傾斜偏差Y成分が発散する状況を説明する。
【0282】
例として、図36に示すように、ロボット1が片脚支持期に前傾したために、姿勢安定化制御によって第1足平Y補償角を操作して大きな姿勢復元力を得ようと試みた結果、本来べたに接地すべき実第1足平のかかとが床から浮いてしまった状況を仮定する。また、このとき実床形状は想定床形状と一致していると仮定する。
【0283】
この状況では、図36に示される想定第1足平床傾斜Y成分に対する機構変形後の推定第1足平姿勢の傾斜Y成分θf1erry”に上体傾斜偏差Y成分θerryを加えたθf1erryは、同図に示すように、正の値になる。
【0284】
第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器が、常に入力であるθf1errdiffyをそのまま出力し続ける場合には、前述したように、θf1erryから推定両脚間床傾斜偏差θf1estmyまでの伝達関数は、1次遅れになる。
【0285】
即ち、θf1estmyは、θf1erryにやや遅れて追従する。θf1estmyは、第1足平Y補償角θ1yに加算され、床形状推定入り第1足平Y補償角θ1y’になる。図30ではθ1x’のみ図示しているが、θ1yも同様な構成になる。
【0286】
次に、目標第1足平位置姿勢に床形状推定入り第1足平Y補償角θ1y’が加えられ、さらに目標床反力(目標歩容の床反力)から算出される機構変形量が減じられ(即ち、機構変形量を打ち消す機構変形補償量が加えられ)、機構変形補償入り修正目標第1足平位置姿勢が算出される。
【0287】
さらに機構コンプライアンスモデル134によって、実床反力から計算される機構変形量が求められ、機構変形補償入り修正目標第1足平位置姿勢に加えられて機構変形後の推定第1足平位置姿勢が求められる。この傾きY成分から想定第1足平傾斜のY成分が減じられ、さらに上体傾斜偏差Y成分θerryが加えられることにより、前記θf1erryの値が更新される。
【0288】
以上の関係から、θf1erryとこれに1次遅れで追従するθf1estmyの関係は以下のようになる。尚、目標床反力による第1足平機構変形の補償角は、先に段落0135で述べたコンプライアンス機構42の変形量を打ち消す補償量である。
θf1erry=θf1estmy+θ1y+目標床反力による第1足平機構変形の補償角Y成分+θerry+実床反力から計算される第1足平機構変形角Y成分+目標第1足平姿勢傾斜Y成分−想定第1足平傾斜Y成分 ・・・式22
【0289】
目標歩容の片足支持期においては、(目標第1足平姿勢傾斜Y成分−想定第1足平傾斜のY成分)は0である。従って、式22は次式に変形される。
θf1erry=θf1estmy+θ1y+目標床反力による第1足平機構変形の補償角Y成分+θerry +実床反力から計算される第1足平機構変形角Y成分 ・・・式23
【0290】
第1足平が床にべたに接地しているならば、(θf1estmy+θ1y+目標床反力による第1足平機構変形の補償角Y成分+θerry)がいかなる値であっても、実床反力から計算される機構変形角Y成分はそれを打ち消すので、式23の右辺は0になる。従って、θf1erryは常に0となり、また、θf1estmyは、θf1erryに1次遅れで追従するので、0に徐々に収束する。これは、実床形状が想定床形状と一致している状況を推定器が正確に推定していることを意味する。
【0291】
ところが、図36の状況では(θf1estmy+θ1y+目標床反力による第1足平機構変形の補償角Y成分+θerry)は大きな正の値となるが、かかとが浮いてしまったために実床反力が十分に大きくなれず、実床反力から計算される機構変形角Y成分は、前記の値を打ち消すだけの十分な大きさの負の値を持つことができない。即ち、式23の右辺は0にならない。このような状況では、θf1erryは0になれず、θf1estmyは0に収束しない。これは、推定値が間違っていることを意味する。
【0292】
このような状況の中でも、特に次の式24を満足している状況が続く場合には、θf1erryに近づこうとしてθf1estmyが増大しても、θf1erryは、式23と次の式24から導かれるように、θf1erry>θf1estmyの関係を保つので、θf1estmyから離れてしまう。
【0293】
これを繰り返すうちに、θf1estmyは正の方向にますます発散する。これは、推定値が発散しつつあることを意味する。
θ1y+目標床反力による第1足平機構変形の補償角Y成分+θerry+実床反力から計算される第1足平機構変形角Y成分 > 0・・・式24
【0294】
次いで、図37を参照して第1の実施の形態における第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器の処理を説明する。この処理は毎制御周期に実行される。
【0295】
以下に説明すると、先ずS300において目標歩容の時期に応じて第1足平床傾斜Y成分推定モードを決定する。
【0296】
具体的には、第1足平床傾斜Y成分推定モードは、リセットモード、ホールドモードおよび準備完了モードの3つのモード状態を取りうるものとし、目標歩容の時間経過に対して、図38に示す如く遷移するように決定する。ただし、これは図5に示す歩容に対するモード遷移パターンである。歩容が異なれば、それに応じてモード遷移パターンも変えるべきである。
【0297】
従ってS302に進み、第1足平床傾斜Y成分推定モードに応じて以下の処理を行う。
【0298】
第1足平床傾斜Y成分推定モードがリセットモードである場合はS304に進み、推定第1足平床傾斜偏差Y成分θf1estmyを強制的に徐々に0に収束させ、S306に進み、第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器の出力を0にする。
【0299】
尚、リセットモードは、図38に示す如く、第1足平を動かしても床反力に影響がないように、第1足平が床から完全に離れている期間に存在させる。1歩前に着地していた第2床接点の足平床傾斜偏差と次に着地する第1床接点の足平床傾斜偏差との関係に相関がない場合には、上記のように推定第1足平床傾斜偏差Y成分θf1estmyを強制的に徐々に0に収束させるのが良い。
【0300】
しかし、例えば、想定床に考慮されていない実床面のうねりがゆったりとしていることがわかっているならば、前記関係にある程度の相関があると考えられるので、推定第1足平床傾斜偏差Y成分θf1estmyを、強制的に徐々に1歩前に着地していた第2床接点での推定第2足平床傾斜偏差に1より小さい正の定数を乗じた値に収束させるようにしても良い。
【0301】
さらに、1歩前の推定足平床傾斜偏差Y成分だけでなく、複数歩前の推定足平床傾斜偏差Y成分も用いて収束目標値を決定しても良い。また、1歩前や複数歩前の推定両脚間床傾斜偏差も用いて収束目標値を決定しても良い。
【0302】
第1足平床傾斜Y成分推定モードがホールドモードである場合はS308に進み、第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器の出力を0にする。従って、推定第1足平床傾斜偏差Y成分θf1estmyはホールドモードに遷移する直前の値に保持される。
【0303】
尚、ホールドモードは、推定第1足平床傾斜偏差Y成分θf1estmyが発散する恐れがある時期およびその精度が低下する恐れがある時期に存在させる。例えば、図38に示すように、第1足平のかかとまたはつまさきが床から離れ始める時期から第1足平が床から完全に離れてしばらく後までの期間に存在させる。
【0304】
上記以外の時期、即ち、第1足平床傾斜偏差Y成分の推定が正常に実行できる時期では、第1足平床傾斜Y成分推定モードは準備完了モードになる。
【0305】
準備完了モードでは、以下の処理を行う。
【0306】
即ち、S310に進み、実第1足平床反力モーメントM1actと実第1足平床反力の力成分F1actから実第1足平床反力中心点位置Q1actを求める。ここで、実第1足平床反力中心点位置Q1actは、その点における実第1足平床反力モーメントの内の鉛直方向を除く方向の成分が0となる足底上の作用点である。実第1足平床反力中心点Q1actのX座標をQ1actxとする。
【0307】
次いでS312に進み、あらかじめ設定しておいた第1足平推定許容最小床反力F1min、第1足平推定許容領域最大値Q1maxxおよび第1足平推定許容領域最小値Q1minxに対し、実第1足平床反力Z成分(鉛直成分)F1actzと前記Q1actxが以下の条件を満たすか否かを調べる。
【0308】
条件1)F1actz < F1min
条件2)Q1actx > Q1maxx かつθf1errdiffy > 0
条件3)Q1actx < Q1minx かつθf1errdiffy < 0
【0309】
条件1に関して補足すると、第1足平推定許容最小床反力F1minは、第1足平にそれ以下の床反力しか作用していない場合には第1足平床傾斜が推定できないと判断される足平床反力設定値であり、ロボット1の自重より小さな値に設定しておく。換言すれば、条件1は、第1足平と床との間の圧力が小さ過ぎて第1足平床傾斜Y成分が精度良く推定できない状況を意味する。
【0310】
一方、条件2および条件3に関しては、足平の座標系から見て、つまさきのX座標をxtoe、かかとのX座標をxheelとすると、あらかじめ、第1足平推定許容領域最大値Q1maxxの値を、xtoeよりもやや小さめに設定しておき、第1足平推定許容領域最小値Q1minxの値を、xtoeよりもやや大きめに設定しておく。これらの関係を図39に示す。
【0311】
推定が理想的に実行されるならば、第1足平推定許容領域最大値Q1maxxと第1足平推定許容領域最小値Q1minxは、エッジに一致させても良い。しかし実際には検出誤差が生じ、これにより推定値が発散する場合がある。そこでこれを防ぐために、図39のようにエッジからやや内側に第1足平推定許容領域最大値Q1maxxと第1足平推定許容領域最小値Q1minxを設定しておく。
【0312】
条件2は、かかとが浮きかかっているのに、積分器入力θf1errdiffyが正、即ち、推定第1足平床傾斜がかかとが浮く方向に変化しつつある状況を意味する。このまま推定を続行すると、床形状推定入り第1足平Y補償角が、ますますかかとが浮く方向に変化する。
【0313】
条件3は、つまさきが浮きかかっているのに、積分器入力θf1errdiffyが負、即ち、推定第1足平床傾斜がつまさきが浮く方向に変化しつつある状況を意味する。このまま推定を続行すると、床形状推定入り第1足平Y補償角が、ますますつまさきが浮く方向に変化する。
【0314】
図37フローチャートの説明に戻ると、S312で肯定されて条件1、条件2または条件3のいずれかを満足する場合には、推定を中断すべきであるので、S314に進んで第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器の出力を0にし、それ以外の場合には、推定を実行しても問題がないので、S316に進んで前記出力をθf1errdiffyにする。
【0315】
条件1、条件2および条件3の式は、以上に述べた状況を表わしていれば良い。従って、条件1では、実第1足平床反力Z成分(鉛直成分)F1actzの代わりに、実第1足平床反力の力成F1actの内の足平に垂直な成分(この成分を「F1actz’」と呼ぶ)を用いても良い。
【0316】
また、条件2および条件3では、前記実第1足平床反力中心点位置Q1actの代わりに、実第1足平床反力モーメントの内の足平に垂直な方向を除く方向の成分が0となる足底上の作用点(この点を「Q1act’」と呼ぶ)を用いても良い。
【0317】
また、この実施の形態に係る第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器の処理について説明すると、第1足平床傾斜偏差X成分推定中断器も、第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器とほぼ同様の処理を行う。
【0318】
相違点は、前記条件2および条件3において、つまさきまたはかかとが浮く条件の代わりに足平の内エッジ、外エッジが浮く条件を用いることである。即ち、条件2と条件3の代わりに、以下の条件2’と条件3’を用いる。
【0319】
ここでQ1maxyおよびQ1minyは、図39のように足平内エッジと外エッジの足平中心側に設定される。
条件2’)Q1acty > Q1maxy かつθf1errdiffx < 0
条件3’)Q1acty < Q1miny かつθf1errdiffx > 0
【0320】
尚、座標系の向きの関係上、不等号が、条件2、条件3の場合と一部異なる。また、第1足平床傾斜偏差X成分推定モードの遷移タイミングは、第1足平床傾斜偏差Y成分推定モードの場合と較べ、準備完了モードの終了時期をもう少し遅らせても良い。つまさきエッジが接地していれば、まだ第1足平床傾斜偏差X成分が推定できるからである。
【0321】
また、第2足平床傾斜偏差推定中断器の処理も、第1足平床傾斜偏差推定中断器の処理と同様である。
【0322】
次いで、図40を参照して両脚間床傾斜偏差推定中断器140の処理を説明する。この処理は毎制御周期に実行される。
【0323】
この処理は、第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器と基本的には同じであるが、細部が異なる。
【0324】
以下説明すると、先ずS400において目標歩容の時期に応じて両脚間床傾斜推定モードを決定する。
【0325】
具体的には、両脚間床傾斜推定モードは、目標歩容の時間経過に対して、図41のように決定する。ただし、これも図5に示す歩容に対するモードパターンであり歩容が異なれば、それに応じてモードパターンも変えるべきである。
【0326】
次いでS402に進み、両脚間床傾斜推定モードに応じて以下のように処理する。
【0327】
両脚間床傾斜推定モードがリセットモードである場合はS404に進み、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを強制的に徐々に0に収束させ、S406に進んで両脚間床傾斜偏差推定中断器の出力を0にする。尚、リセットモードは、図41に示すごとく、床形状推定入り両脚補償角を動かしても全床反力に影響がないように、片脚支持期に存在させる。
【0328】
1歩前の両脚間床傾斜偏差と次の1歩の両脚間床傾斜偏差との関係に相関がない場合には、このように推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを強制的に徐々に0に収束させるのが良い。しかし、例えば、想定床に考慮されていない実床面のうねりがゆったりとしていることが分かっているならば、前記関係にある程度の相関があると考えられるので、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを、強制的に徐々に1歩前の両脚間床傾斜偏差に1より小さい正の定数を乗じた値に収束させるようにしても良い。
【0329】
さらに、1歩前の推定両脚間床傾斜偏差だけでなく、複数歩前の推定両脚間床傾斜偏差も用いて収束目標値を決定しても良い。また、1歩前や複数歩前の推定足平床傾斜偏差も用いて収束目標値を決定しても良い。
【0330】
両脚間床傾斜推定モードがホールドモードである場合はS408に進み、両脚間床傾斜偏差推定中断器の出力を0にする。従って、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvは、ホールドモードに遷移する直前の値に保持される。
【0331】
尚、ホールドモードは、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvが発散する恐れがある時期およびその精度が低下する恐れがある時期に存在させる。例えば、図41に示すように、両脚支持期の終了時点を始めとしてそれからしばらく後までの期間に存在させる。
【0332】
上記以外の時期、即ち、両脚間床傾斜偏差の推定が正常に実行できる時期では、両脚間床傾斜偏差モードは準備完了モードになる。準備完了モードでは、以下の処理を行う。
【0333】
先ずS410に進み、あらかじめ設定しておいた両脚間床傾斜推定許容最小床反力Fmin、両脚間床傾斜推定許容比rminに対し、実各足平床反力が以下の条件を満たすか否かを調べる。
条件4)F1actz < Fmin かつ F2actz < Fmin
条件5)F2actz / ( F1actz +F2actz ) < rmin かつθfdberrdiffv > 0
条件6)F1actz / ( F1actz +F2actz ) < rmin かつθfdberrdiffv < 0
【0334】
条件4に関して補足すると、両脚間床傾斜推定許容最小床反力Fminは、第1足平および第2足平にこれ以下の床反力しか作用していない場合には、両脚間床傾斜が推定できないと判断される足平床反力設定値であり、通常、ロボット1の自重より小さな値に設定しておく。換言すれば、条件4は、第1足平および第2足平と床との間の圧力が小さ過ぎて両脚間床傾斜が精度良く推定できない状況を意味する。
【0335】
一方、条件5および条件6に関しては、推定が理想的に実行されるならば、両脚間床傾斜推定許容比rminは0でも良い。しかし実際には検出誤差が生じ、それにより推定値が発散する場合がある。それを防ぐために、rminには、1よりかなり小さい正の値を設定しておく。
【0336】
条件5は、第2足平が浮きかかっているのに、積分器入力θfdberrdiffvが正、即ち、推定両脚間床傾斜が第2足平が浮く方向に変化しつつある状況を意味する。このまま推定を続行すると、床形状推定入り両脚補償角は、ますます第2足平が浮く方向に変化する。
【0337】
条件6は、第1足平が浮きかかっているのに、積分器入力θfdberrdiffvが負、即ち、推定両脚間床傾斜が第1足平が浮く方向に変化しつつある状況を意味する。このまま推定を続行すると、床形状推定入り両脚補償角は、ますます第1足平が浮く方向に変化する。
【0338】
図40フローチャートの説明に戻ると、条件4、条件5または条件6のいずれかを満足する場合には推定を中断すべきであるので、S412に進んで両脚間床傾斜偏差推定中断器の出力を0にし、それ以外の場合には推定を実行しても問題がないので、S414に進んで前記出力をθfdberrdiffvにする。
【0339】
条件4、条件5および条件6の式は、以上に述べた状況を表わしていれば良い。従って、実第n足平床反力Z成分(鉛直成分)Fnactzの代わりに、実第n足平床反力の力成分Fnactの内の足平に垂直な成分Fnact’を用いても良い。
【0340】
この実施の形態は上記の如く構成したので、従来技術では困難であった床形状の推定、具体的には各足平の接地面傾斜と両足平接地面間の高低差を同時に、換言すれば複合的に、精度良く推定することができる。
【0341】
さらには、床形状の推定結果を基に足平軌道を修正することにより、床形状が想定していた形状と異なっていても、その影響を吸収して望み通りの床反力を発生させることができる。
【0342】
特に、複合コンプライアンス制御で除去しきれなかった実床反力の制御目標値からの定常偏差を可能な限り零に近づける、換言すれば床形状のずれに起因する床反力の定常偏差を解消することができる。
【0343】
さらに、推定精度が低下する恐れがある状況あるいは推定値が発散する恐れがある状況では床形状推定を中断するように構成したので、前記した作用効果に加え、推定値が不適正なものとなることがない。
【0344】
尚、この実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置は上記した手法で床形状を推定すれば足り、推定値に基づいて床反力を操作して目標位置姿勢などを制御することは必須ではない。
【0345】
次いで、この発明の第2の実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置を説明する。
【0346】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態を簡易化したものであり、その全体構成を図42に示す。第1の実施の形態とは、床形状推定器への入力と床形状推定器内での処理が異なる。それ以外は第1の実施の形態と同様である。
【0347】
第2の実施の形態においては、詳細は以下に説明するが、簡単に言えば、第1の実施の形態の機構コンプライアンスモデル134を近似してから、ブロック線図を等価変換するようにした。
【0348】
第2の実施の形態に係る床形状推定器の処理を説明する前に、先ず、用語の定義と、第2の実施の形態で用いられるコンプライアンスモデルの説明を行う。
【0349】
図43の上部に示すように、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢と目標上体位置姿勢の相対関係を満足するように関節角を変位制御し、同図中部に示すように、目標上体姿勢から上体傾斜偏差θerrだけ傾けてロボット1の上体24を空中に支持し、さらに同図下部に示すように、目標各足平床反力に相当する外力を足平に作用させたと仮定したときに、そのような状況にある足平内の目標第1足平床反力中心点Q1"'を始点、目標第2足平床反力中心点Q2"'を終点とするベクトルの前記V方向まわりの傾きを「理想変形時両脚間傾斜」と呼ぶ。
【0350】
また、この仮定における第n足平の姿勢傾斜を「理想変形時第n足平傾斜」と呼ぶ。上体傾斜偏差、両脚補償角、各足平補償角、推定両脚間床傾斜偏差、推定第1足平床傾斜偏差および推定第2足平床傾斜偏差がすべて0であるならば、理想変形時両脚間傾斜は想定両脚間床傾斜に一致し、理想変形時第n足平傾斜は想定第n足平床傾斜に一致する。
【0351】
想定両脚間床傾斜に推定両脚間床傾斜偏差を加算したものを「推定両脚間床傾斜」と呼ぶ。これは、V方向まわりの角度で表わされる。また、想定第n足平床傾斜に推定第n足平床傾斜偏差を加算したものを「推定第n足平床傾斜」と呼ぶ。理想変形時両脚間傾斜と推定両脚間床傾斜との差を「推定両脚干渉角θdbintv」と呼ぶ。これも、V方向まわりの角度で表わされる。
【0352】
また、理想変形時第1足平傾斜と推定第1足平床傾斜との差を「推定第1足平干渉角θ1int」と呼ぶ。同様に理想変形時第2足平傾斜と推定第2足平床傾斜との差を「推定第2足平干渉角θ2int」と呼ぶ。
【0353】
推定両脚間床傾斜が実両脚間床傾斜に一致していて、かつ実ロボットの足平の目標各足平床反力中心点が接地していると仮定すると、推定両脚干渉角θdbintvを打ち消すように、実ロボットのコンプライアンス機構42が変形しているはずである。
【0354】
さらにこの機構変形に応じて、目標全床反力中心点まわりに各足平床反力の力成分が作るモーメントの和のV方向成分が発生するはずである。この成分を「Mdbestmv」と呼ぶ。
【0355】
そこで、推定両脚干渉角θdbintvとMdbestmvとの関係をあらかじめ調べておき、記憶しておく。この関係は、実ロボットのコンプライアンス機構42の特性の内で、両脚干渉角に関する特性だけを抽出したものであり、それ故に、「両脚間機構コンプライアンスモデル」134a(図44に示す)と呼ぶ。
【0356】
推定第n足平床傾斜が実第n足平床傾斜に一致していて、かつ実ロボットの第n足平がべたに接地していると仮定すると、推定第n足平干渉角θnintを打ち消すように、実ロボットのコンプライアンス機構42が変形しているはずである。
【0357】
さらにこの機構変形に応じて、目標第1足平床反力中心点まわりに第1足平床反力モーメントが発生するはずである。このモーメントを「M1estm」と呼ぶ。同様に目標第2足平床反力中心点まわりに第2足平床反力モーメントが発生するはずである。このモーメントを「M2estm」と呼ぶ。
【0358】
そこで、推定第n足平干渉角のX成分θnintxと前記モーメントのX成分Mnestmxとの関係をあらかじめ調べておき、記憶しておく。この関係は、実ロボットのコンプライアンス機構42の特性の内で、足平干渉角に関する特性だけを抽出したものであり、それ故に、「足平機構コンプライアンスモデル」と呼ぶ。第1足平X成分用足平機構コンプライアンスモデルを図45に記載の134bに示す。
【0359】
次に、第2の実施の形態における床形状推定器130aの構成を説明する。
【0360】
第2の実施の形態における床形状推定器130aは、両脚間床傾斜偏差推定部138aと足平床傾斜偏差推定部144aとから構成される。両脚間床傾斜偏差推定部138aの処理機能ブロック図を図44に示す。足平床傾斜偏差推定部144aの処理機能ブロック図を図45に示す。
【0361】
図45では、推定第1足平床傾斜偏差X成分に関する処理機能ブロック図のみを示すが、推定第1足平床傾斜偏差Y成分、推定第2足平床傾斜偏差X成分、推定第2足平床傾斜偏差Y成分についても同様の処理を行う。
【0362】
先ず、第2の実施の形態に係る両脚間床傾斜偏差推定部138aの処理を図44を参照して説明する。
【0363】
先ず、上体傾斜偏差θerrをV方向成分とそれと直交する方向の成分に分解したときのV方向成分θerrvを求める。
【0364】
次に、目標歩容の目標第1足平床反力中心点Q1を始点、目標第2足平床反力中心点Q2を終点とするベクトルの傾斜を求め、求めた傾斜から想定両脚間床傾斜を減じたものを想定両脚干渉角θdbintcmdvとする。
【0365】
次に、次式により、前述の推定両脚干渉角θdbintvを求める。
Figure 0003726009
【0366】
ここで、θfdbestmvは、第1の実施の形態でも述べたように、推定両脚間床傾斜偏差である。また、θdbv’は、床形状推定入り両脚補償角であり、図43に示すように、両脚補償角θdbvと推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvの和である。
【0367】
床形状推定入り両脚補償角θdbv’および推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvは、それから今回値を求めるものであるから、この処理では記憶しておいた直前の値を用いる。
【0368】
尚、両脚が接地する想定時刻よりも前から両脚間床傾斜偏差を推定したい場合において、より精度を高めるために、想定両脚干渉角θdbintcmdvを加算することが望ましいが、想定両脚干渉角θdbintcmdvの加算および想定両脚干渉角θdbintcmdvを算出する構成(図44において点線で囲まれる構成)は必ずしも必須ではない。
【0369】
次に両脚間機構コンプライアンスモデル134aを用いて、推定両脚干渉角θdbintvによって発生すると予想される前記Mdbestmvを求める。
【0370】
一方、目標全床反力中心点まわりに実各足平床反力の力成分が作るモーメントの和のV方向成分Mf1f2actv(複合コンプライアンス制御の式12および式13で求められるモーメントのV方向成分)を求める。
【0371】
次に、前記Mf1f2actvと前記Mdbestmvとの差を求めることにより、両脚モーメント推定偏差Mdberrを得る。もし、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvが実両脚間床傾斜偏差に一致しているならば、両脚モーメント推定偏差Mdberrは0になる。逆に、もし両脚モーメント推定偏差Mdberrが0ならば、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvは実両脚間床傾斜偏差に一致する。
【0372】
次に、両脚間床傾斜偏差推定中断器140aにおいて、両脚間床傾斜偏差の推定を実行すべきか中断すべきかを判断する。両脚間床傾斜偏差推定中断器140aは、両脚間床傾斜偏差の推定を実行すべきと判断したならば、両脚間床傾斜偏差推定中断器140aへの入力である前記Mdberrをそのまま出力し、中断すべきと判断したならば、0を出力する。両脚間床傾斜偏差推定中断器140aに関する詳細は後述する。
【0373】
次に、両脚間床傾斜偏差推定中断器140aの出力を積分定数がKdbestm’である積分器142aで積分し、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvを得る。
【0374】
以上が、第2の実施の形態における両脚間床傾斜偏差推定部138aの処理である。
【0375】
さらに、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvは、図42に示すように、両脚補償角θdbvに加算され、床形状推定入り両脚補償角θdbv’として修正目標足平位置姿勢算出部114gへ入力される。
【0376】
このような処理を毎制御周期に繰り返し実行することにより、両脚モーメント推定偏差Mdberrが0に収束するように、積分器出力である推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvが変化する。
【0377】
ところで前述したように、両脚モーメント推定偏差Mdberrが0になると、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvが実際の両脚間床傾斜偏差に一致する。従って、しばらく経つと、推定両脚間床傾斜偏差θfdbestmvは、実両脚間床傾斜偏差に一致する。即ち、この処理によって、両脚間床傾斜偏差が推定される。
【0378】
尚、両脚間機構コンプライアンスモデル134aが線形であるならば、その処理系の実両脚間床傾斜偏差から推定両脚間床傾斜偏差までの閉ループ伝達関数は、1次遅れになる。
【0379】
その時定数Tは、両脚間機構コンプライアンスモデル134aにおける入力(推定両脚干渉角)に対する出力(前記モーメントMdbestmv)の比(絶対値)をCとすると、次式で求められる。
Figure 0003726009
【0380】
第1の実施の形態の積分ゲインKdbestmに対して、第2の実施の形態の積分ゲインKdbestm’を
Figure 0003726009
とすることにより、第1の実施の形態とほぼ同一の特性を持つ両脚間床傾斜偏差推定138aが得られる。
【0381】
次に、足平床傾斜偏差推定部144aの処理を図45を参照して説明する。
【0382】
図45では、推定第1足平床傾斜偏差X成分に関する処理機能ブロック図のみを示すが、推定第1足平床傾斜偏差Y成分、推定第2足平床傾斜偏差X成分、推定第2足平床傾斜偏差Y成分についても同様の処理を行う。
【0383】
先ず、目標歩容の第1足平傾斜角を求め、これから想定第1足平床傾斜を減じたもののX成分を、想定第1足平干渉角X成分θ1intcmdxとする。次に、次式により前述の推定第1足平干渉角のX成分θ1intxを求める。
Figure 0003726009
【0384】
ここで、θf1estmxは、第1の実施の形態でも述べたように、推定第1足平床傾斜偏差X成分である。また、θ1x’は、床形状推定入り第1足平X補償角であり、図42に示すように、第1足平X補償角θ1xと推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxの和である。
【0385】
床形状推定入り第1足平X補償角θ1x’および推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxは、それから今回値を求めるものであるから、この処理では記憶しておいた直前の値を用いる。
【0386】
尚、第1足平が床にべたに接地する想定時刻よりも前から第1足平床傾斜偏差を推定したい場合において、より精度を高めるために、想定第1足平干渉角X成分θ1intcmdxを加算することが望ましいが、想定第1足平干渉角X成分θ1intcmdxの加算および想定第1足平干渉角X成分θ1intcmdxを算出する構成(図45において点線で囲われる構成)は必ずしも必須ではない。
【0387】
次に、前記の足平機構コンプライアンスモデル134bを用いて、推定第1足平干渉角X成分θ1intxによって発生すると予想される前記M1estmのX成分M1estmxを求める。
【0388】
次に、検出された実第1足平床反力モーメントM1actxと前記M1estmxとの差を求めることにより、第1足平床反力モーメント推定偏差X成分M1errxを得る。
【0389】
もし、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxが実第1足平床傾斜偏差に一致しているならば、第1足平床反力モーメント推定偏差X成分M1errxは0になる。逆に、もし第1足平床反力モーメント推定偏差X成分M1errxが0ならば、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxは実第1足平床傾斜偏差に一致する。
【0390】
次に、第1足平床傾斜偏差推定中断器において第1足平床傾斜偏差の推定を実行(続行)すべきか中断すべきかを判断する。
【0391】
第1足平床傾斜偏差推定中断器は、第1足平床傾斜偏差の推定を実行すべきと判断したならば、第1足平床傾斜偏差推定中断器への入力である第1足平床反力モーメント推定偏差X成分M1errxをそのまま出力し、中断すべきと判断したならば、0を出力する。尚、足平床傾斜偏差推定中断器146aに関する詳細は後述する。
【0392】
次いで、第1足平床傾斜偏差推定中断器の出力を積分定数がK1estmx’である積分器で積分し、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxを得る。
【0393】
以上が、第2の実施の形態における第1足平床傾斜偏差X成分推定部の処理である。
【0394】
さらに、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxは、図42に示すように、第1足平X補償角θ1xに加算され、床形状推定入り第1足平X補償角θ1x’として修正目標足平位置姿勢算出部114gへ入力される。
【0395】
このような処理を毎制御周期に繰り返し実行することにより、第1足平床反力モーメント推定偏差X成分M1errxが0に収束するように、積分器出力である推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxが変化する。
【0396】
ところで前述したように、第1足平床反力モーメント推定偏差X成分M1errxが0になると、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxが実第1足平床傾斜偏差X成分に一致する。従って、しばらく経つと、推定第1足平床傾斜偏差X成分θf1estmxは、実第1足平床傾斜偏差X成分に一致する。即ち、この処理によって、第1足平床傾斜偏差X成分が推定される。
【0397】
尚、足平機構コンプライアンスモデル134bが線形であるならば、その処理系の実第1足平床傾斜偏差X成分から推定第1足平床傾斜偏差X成分までの閉ループ伝達関数は、1次遅れになる。
【0398】
その時定数Tは、足平機構コンプライアンスモデル134bにおける入力(推定第1足平干渉角X成分θ1intx)に対する出力(前記モーメントM1estmx)の比(絶対値)をC1とすると、次式で求められる。
Figure 0003726009
【0399】
第1の実施の形態の積分ゲインK1estmxに対し、第2の実施の形態の積分ゲインK1estmx’を
Figure 0003726009
とすることにより、第1の実施の形態とほぼ同一の特性を持つ第1足平床傾斜偏差推定器が得られる。
【0400】
尚、目標足平の向きが目標上体の向きと異なる場合には、上体傾斜を各足平座標系で表わせばよい。
【0401】
ここで、第1の実施の形態と第2の実施の形態を比較する。
【0402】
第1の実施の形態では床形状推定器130への入力として、最終的に修正された目標足平位置姿勢を用いていたが、第2の実施の形態では、それを決定するために中間的に生成される変数を用いていると言える。
【0403】
第2の実施の形態は、簡単に言えば、第1の実施の形態のコンプライアンスモデルを、両脚干渉角に関するコンプライアンスモデルである両脚間機構コンプライアンスモデル134aと、足平干渉角に関するコンプライアンスモデルである足平機構コンプライアンスモデル134bに近似してから、ブロック線図を等価変換したものになっている。
【0404】
第2の実施の形態は機構コンプライアンスモデルが簡素化されているので、第1の実施の形態に比較すると、やや推定精度が低下するが、機構コンプライアンスの演算が簡単であるので、制御ユニット26の負荷を軽減することができる。それ以外は、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と異ならない。作用効果も同様である。床形状の推定のみでも良いことも、第1の実施の形態と同様である。
【0405】
尚、上記において、両脚支持期になる想定時刻(即ち、遊脚の着地想定時刻)よりも前から両脚間床傾斜偏差の推定を開始することがない場合には、式25から想定両脚干渉角θdbintcmdvの項を削除した次式を用いても良い。なぜなら、目標歩容の両脚支持期には、想定両脚干渉角θdbintcmdvは0であるからである。
Figure 0003726009
【0406】
目標歩容の第1足平のY軸に沿ったエッジ(かかとエッジまたはつまさきエッジ)が接地する時刻よりも前から第1足平床傾斜偏差X成分の推定を開始することがない場合には、式28から想定第1足平干渉角X成分θ1intcmdxの項を削除した次式を用いても良い。なぜなら、目標歩容の第1足平のY軸に沿ったエッジが接地しているときには、想定第1足平干渉角X成分θ1intcmdxは0であるからである。
Figure 0003726009
【0407】
目標歩容の第1足平のX軸に沿ったエッジ(即ち、内エッジまたは外エッジ)が接地する時刻よりも前から第1足平床傾斜偏差Y成分の推定を開始することがない場合には、式28のxをyに置き換えた式の代わりに、その式から想定第1足平干渉角Y成分θ1intcmdyの項を削除した次式を用いても良い。なぜなら、目標歩容の第1足平のY軸に沿ったエッジ(即ち、内エッジまたは外エッジ)が接地しているときには、想定第1足平干渉角Y成分θ1intcmdyは0であるからである。
Figure 0003726009
【0408】
さらに、前記した式12で求められるモーメントMf1f2actvの代わりに、式12aで求められるモーメントMf1f2actvを用いる場合には、前記Mdbestmvの代わりに、推定両脚干渉角を打ち消す機構変形によって発生するはずの目標全床反力中心点まわりの全床反力モーメントを用いる。
【0409】
さらに、推定床形状偏差を床形状地図情報として記憶しておき、次回同一場所を歩行するときの目標歩容を生成する際の参考にしても良い。
【0410】
次いで、第2の実施の形態に係る第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器の処理を説明する。
【0411】
第2の実施の形態に係る第1足平床傾斜偏差Y成分推定中断器の処理は第1の実施の形態のそれとほとんど同様であり、具体的には、図37のθf1errdiffyを第1足平床反力モーメント推定偏差Y成分M1erryに置き換えれば良い。
【0412】
また、両脚間床傾斜偏差推定中断器140aの処理も同様であって、図40フロー・チャートに示す処理においてθfdberrdiffvを両脚モーメント推定偏差Mdberrに置き換えれば良い。
【0413】
ここで、両脚間床傾斜偏差推定中断器140aの役割を説明すると、両脚間床傾斜偏差推定中断器140aは、第1足平床傾斜偏差推定中断器と同様に、両脚間床傾斜偏差の推定が正常に実行できるか否かを判断し、正常に実行できないと判断したときには推定を中断する。
【0414】
より具体的には、推定両脚間床傾斜偏差の精度が低下する恐れがある状況、および推定両脚間床傾斜偏差が発散する恐れがある状況では、推定を中断するために0を出力し、それ以外の状況では、推定を継続するために両脚間床傾斜偏差推定中断器への入力をそのまま出力する。
【0415】
推定両脚間床傾斜偏差は、各足平と床との間の接触圧力が十分にあるときには発散しないが、ある足平が浮きかかっているにもかかわらず、両脚補償角が、その足平が浮く方向に変化しつつある状況で発生する。その発生メカニズムは推定第1足平床傾斜偏差Y成分が発散する場合とほぼ同一なので、これ以上の説明は省略する。
【0416】
上記の如く、第2の実施の形態においても、床形状推定値、具体的には各足平の接地面傾斜と両脚接地面間の高低差を同時に、精度良く推定することができる。
【0417】
さらに、床形状が想定していた形状と異なっていても、望み通りの床形状を発生されることができると共に、床形状のずれに起因する床反力の定常偏差を解消することができる。
【0418】
また、床形状推定精度が低下する恐れがある状況あるいは推定値が発散する恐れがある状況では床形状推定を中断するように構成したので、前記した作用効果に加え、推定値が不適正なものとなることがない。
【0419】
尚、第1および第2の実施の形態において、足平22R(L)が浮きそうな状態の判断を、6軸力センサ34によって検出された実第1足平床反力から前記実床反力中心点位置Q1actまたは前記Q1act’を算出し、それに基づいて足平22R(L)がどちらの方向に浮きやすいか(かかとが浮きやすいか、つまさきが浮きやすいか、足平内エッジが浮きやすいか、または足平外エッジが浮きやすいか)を判定した。
【0420】
しかし、それに限られるものではなく、図46に示す如く、足底弾性体40と足平本体22aの間に分布圧センサ200を配置し、その出力信号に基づいて足平22R(L)がどちらの方向に浮きやすいかを判定しても良い。尚、6軸力センサ34よりも分布圧センサ200の方が実床反力による足平の変形をより細緻に推定することができるので、床形状推定の精度を向上させることができる。
【0421】
さらには、図47に示す如く、足平22R(L)に接触センサ202を複数個配置(例えば足平の四隅に配置)し、その出力信号に基づいて足平22R(L)がどちらの方向に浮きやすいかを判定しても良い。尚、判定のアルゴリズムとして、接地していない接触センサが増々浮く方向への推定を中断する、あるいは、全ての接触センサが浮いているときも推定を中断することなどが考えられる。
【0422】
第1、第2の実施の形態では上記の如く、請求項1項にあっては、少なくとも上体(基体)24と、前記上体24に第1の関節(股(腰部)関節10、12、14R,L)を介して連結されると共に、その先端に第2の関節(足(足首)関節18、20R,L)を介して連結される足部(足平)22R,Lを備えた複数本の脚部(脚部リンク)2を備えると共に、前記足部22R,Lに接地する床面から作用する床反力に応じて変形するコンプライアンス機構42を備え、少なくとも前記上体24に対する前記足部22R,Lの実位置姿勢を検出し、前記足部22R,Lの目標位置姿勢に追従させるように前記関節(10、12R,Lなど)を駆動する関節駆動手段(電動モータ)を備えた脚式移動ロボットの床形状推定装置において、前記上体24の鉛直軸方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段(傾斜センサ36)、前記足部22R,Lの実位置姿勢および/または前記足部22R,Lの目標位置姿勢と前記検出された傾斜に基づき、前記足部22R,Lが接地する床面を含む歩行環境における前記足部22R,Lの位置姿勢(機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢)を算出する対歩行環境足部位置姿勢算出手段(制御ユニット26、複合コンプライアンス動作決定部114、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢算出部114h、両脚間床傾斜偏差推定部138内の上体傾斜偏差のV方向成分θerrvの加算器、足平床傾斜偏差推定部144内の上体傾斜偏差のX成分θerrxの加算器)、前記床面から作用する床反力による前記コンプライアンス機構42の変形が加えられた前記歩行環境における足部の変形位置姿勢(機構変形後の推定各足平位置姿勢)を、前記コンプライアンス機構42をモデル化して得た機構コンプライアンスモデル134を用いて算出する変形足部位置姿勢算出手段(制御ユニット26、複合コンプライアンスモデル134、床形状推定器130(特に両脚間床傾斜偏差推定部138内のθfdbv’を算出するまでの部分、足平床傾斜偏差推定部144内のθf1errx’を算出するまでの部分))、および前記算出された足部の変形位置姿勢に基づき、前記足部22R,Lが接地するそれぞれの床面の形状(推定第n足平床傾斜(偏差))およびそれらの相対位置関係(推定両脚間床傾斜(偏差))を示す床形状推定値を算出する床形状推定値算出手段(制御ユニット26、複合コンプライアンス動作決定部114、床形状推定器130、両脚間床傾斜偏差推定部138(特にθfdberrv算出後の部分)、足平床傾斜偏差推定部144(特にθf1errx算出後の部分))、を備えると共に、前記床形状推定値算出手段は、前記床形状推定値の算出が中断すべき状況にあるか否か判定し、中断すべき状況にないと判定するときは前記床形状推定値の算出を続行する推定中断手段(制御ユニット26、両脚間床傾斜偏差推定中断器140、140a、足平床傾斜偏差推定部144、144a、足平床傾斜偏差推定中断器146、146a、S300からS316,S400からS414)、を備える如く構成した。
【0423】
また、前記推定中断手段は、中断すべき状況にあると判定するときは、前記床形状推定値を保持するか、あるいは所定の値に設定する(S304,S306,S308,S314,S404,S406,S408,S412)如く構成した。
【0424】
また、前記推定中断手段は、少なくとも前記ロボットの歩行時期に基づいて中断すべき状況にあるか否か判定する(S300,S400)如く構成した。
【0425】
また、前記推定中断手段は、少なくとも前記足部と床面との接触状況に基づいて中断すべき状況にあるか否か判定する(S312,S410)如く構成した。
【0426】
また、前記推定中断手段は、少なくとも前記足部に作用する前記床反力に基づいて中断すべき状況にあるか否か判定する(S312,S410)如く構成した。
【0427】
また、前記推定中断手段は、少なくとも前記足部に作用する前記床反力の中心点位置に基づいて前記中断すべき状況にあるか否か判定する(S312,S410)如く構成した。
【0428】
さらに、少なくとも前記算出された床形状推定値に基づいて前記足部の目標位置姿勢を修正する修正手段(制御ユニット26、加算器132(132a,132b)、修正足平位置姿勢算出部114g、機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢算出部114h、機構変形量算出部114n)、を備えると共に、前記推定中断手段は、前記床形状推定値が発散する恐れがあるときは、前記中断すべき状況にあると判定し(S312,S410)、前記床形状推定値の算出を中断する如く構成した。
【0429】
尚、上記した第1、第2の実施の形態において、ブロック線図は演算処理順序を変えるなどの等価変形をしても良い。
【0430】
また、この発明を2足歩行ロボットに関して説明してきたが、2足歩行ロボットに限らず、多脚ロボットにも応用することができる。
【0431】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、従来技術では困難であった床形状の推定、具体的には各足平の接地面傾斜と両足平接地面間の高低差を同時に、換言すれば複合的に、精度良く推定することができると共に、推定精度が低下する恐れがある状況では床形状推定を中断するので、推定値が不適正なものとなることがない。
【0433】
請求項項にあっては、より的確に中断すべき状況にあるか否かを判定することができ、よって一層推定値が不適正なものとなることがない。
【0434】
請求項項にあっては、より的確に中断すべき状況にあるか否かを判定することができ、よって一層推定値が不適正なものとなることがない。
【0435】
請求項項にあっては、より的確に中断すべき状況にあるか否かを判定することができ、よって一層推定値が不適正なものとなることがない。
【0436】
請求項項にあっては、より的確に中断すべき状況にあるか否かを判定することができ、よって一層推定値が不適正なものとなることがない。
【0437】
請求項項にあっては、前記した効果に加え、複合コンプライアンス制御で除去しきれなかった実床反力の制御目標値からの定常偏差を可能な限り零に近づける、換言すれば床形状のずれによる床反力の誤差に起因する定常偏差を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る床形状推定装置を適用した脚式移動ロボット、より具体的には2足歩行ロボットを全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示す脚式移動ロボットの足部の構造を示す説明側面図である。
【図3】図1に示す脚式移動ロボットの制御ユニットの詳細を示すブロック図である。
【図4】先に提案した脚式移動ロボットの制御装置およびこの発明の一つの実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置の構成および動作を機能的に示すブロック図である。
【図5】図1に示す脚式移動ロボットが平地を歩行するときの運動パターンの一例を示す説明図である。
【図6】図5の運動パターンに対応する目標全床反力中心点(目標ZMP)軌跡の床面上軌跡を示す説明図である。
【図7】図5の運動パターンに対応する目標全床反力中心点(目標ZMP)軌跡のタイム・チャートである。
【図8】図5の運動パターンに対応する所定の条件を満たすように設定した目標第1足平床反力中心点軌跡のタイム・チャートである。
【図9】図5の運動パターンに対応する所定の条件を満たすように設定した目標第2足平床反力中心点軌跡のタイム・チャートである。
【図10】図4と同様に、先に提案した脚式移動ロボットの制御装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図11】図10フロー・チャートの内の両脚補償角などの演算処理を行う、図4に示す複合コンプライアンス動作決定部の動作を説明するための、両脚支持期に第1足平と第2足平に実各足平床反力が作用している状況を示す説明図である。
【図12】図11に示す状況における目標全床反力の設定を示す説明図である。
【図13】図11に示す状況における目標各足平床反力の分配を示す説明図である。
【図14】図11に示す状況における補償全床反力モーメントを示す説明図である。
【図15】図11に示す状況における、各足平床反力中心点を含み、水平面に垂直な平面の法線ベクトルVを示す説明図である。
【図16】図11に示す状況における、目標各足平床反力中心点を目標全床反力中心点(目標ZMP)まわりに、所定角度θdbvだけ回転させたときの状態を示す説明図である。
【図17】図11に示す状況における、各足平を前後方向軸および左右方向軸まわりに所定角度θnx,θnyだけ回転させたときの状態を示す説明図である。
【図18】図4の複合コンプライアンス動作決定部の演算処理を示すブロック図である。
【図19】図18に示す補償全床反力モーメント分配器の演算処理を示すブロック図である。
【図20】図18に示す補償全床反力モーメント分配器の、両脚補償角などを操作するための分配重み変数の設定例を示すタイム・チャートである。
【図21】図20の補償全床反力モーメント分配器の分配重み変数の設定を説明するための、ロボットの姿勢を示す説明図である。
【図22】図21と同様に、補償全床反力モーメント分配器の分配重み変数の設定を説明するための、ロボットの姿勢を示す説明図である。
【図23】両脚補償角を操作するための分配重みを所定の条件で決定したときの両脚補償モーメントV方向成分Mdmddbvを示す説明図である。
【図24】図18に示す両脚補償角決定部の演算処理を示すブロック図である。
【図25】図18に示す各足平の補償角決定部の演算処理を示すブロック図である。
【図26】図18に示す機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢算出部の演算処理を説明するための説明図である。
【図27】図26と同様に、図18に示す機構変形補償入り修正目標足平位置姿勢算出部の演算処理を説明するための説明図である。
【図28】図10フロー・チャートの内の両脚補償角などの決定作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図29】先に提案した制御装置の変形例を示す図16と同様の説明図で、足平位置の修正動作の別の例を示す説明図である。
【図30】この発明の一つの実施の形態の係る脚式移動ロボットの床形状推定装置の構成を示す、図18と同様なブロック図である。
【図31】図30に示す装置が床形状を推定するときに使用する定義の説明図である。
【図32】同様に図30に示す装置が床形状を推定するときに使用する定義の説明図である。
【図33】図30に示す床形状推定器の処理を機能的に示すブロック図である。
【図34】図33に示す床形状推定器の機構コンプライアンスモデルの処理を機能的に示すブロック図である。
【図35】同様に図33に示す床形状推定器の機構コンプライアンスモデルの処理を機能的に示すブロック図である。
【図36】この発明の一つの実施の形態における足平床傾斜偏差推定値の発散を説明するための説明図である。
【図37】この発明の一つの実施の形態における足平床傾斜偏差推定中断器の処理を示すフロー・チャートである。
【図38】図37の処理を説明するタイム・チャートである。
【図39】図37の処理を説明する説明図である。
【図40】この発明の一つの実施の形態における両脚間床傾斜偏差推定中断器の処理を示すフロー・チャートである。
【図41】図40の処理を説明するタイム・チャートである。
【図42】この発明の第2の実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置の構成を示す、図30と同様なブロック図である。
【図43】図42に示す第2の実施の形態で使用する定義の説明図である。
【図44】第2の実施の形態における床形状推定器の両脚間床傾斜偏差推定部の処理を機能的に示すブロック図である。
【図45】第2の実施の形態における床形状推定器の足平床傾斜偏差推定部の処理を機能的に示すブロック図である。
【図46】第1および第2の実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置で使用するセンサの別の例を示す説明図である。
【図47】第1および第2の実施の形態に係る脚式移動ロボットの床形状推定装置で使用するセンサのさらに別の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 2足歩行ロボット(脚式移動ロボット)
2 脚部(脚部リンク)
10,12,14R,L 股関節
16R,L 膝関節
18,20R,L 足関節
22R,L 足平(足部)
24 上体
26 制御ユニット
34 6軸力センサ
36 傾斜センサ
42 コンプライアンス機構
60 第1の演算装置
62 第2の演算装置
100 歩容生成器
102 目標床反力分配器
104 姿勢安定化制御演算部
108 実各足平床反力検出器
110 ロボット幾何学モデル
112 変位コントローラ
114 複合コンプライアンス動作決定部
130,130a 床形状推定器
132(132a,132b) 加算器
134,134a 機構コンプライアンスモデル
138,138a 両脚間床傾斜偏差推定部
140,140a 両脚間床傾斜偏差推定中断器
144,144a 足平床傾斜偏差推定部
146,146a 足平床傾斜偏差推定中断器
200 分布圧センサ
202 接触センサ

Claims (6)

  1. 少なくとも上体と、前記上体に第1の関節を介して連結されると共に、その先端に第2の関節を介して連結される足部を備えた複数本の脚部を備えると共に、前記足部に接する床面から作用する床反力に応じて変形するコンプライアンス機構を備え、少なくとも前記上体に対する前記足部の実位置姿勢が、前記上体に対する前記足部の目標位置姿勢に追従るように前記関節を駆動する関節駆動手段を備えた脚式移動ロボットの床形状推定装置において、
    a.前記上体の鉛直軸方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段、
    b.前記ロボットの実関節変位、目標関節変位および前記足部の目標位置姿勢の少なくともひとつと前記検出された傾斜に基づき、前記コンプライアンス機構をモデル化して得た機構コンプライアンスモデルを用いて前記足部が接するそれぞれの床面の形状および前記床面同士の相対位置関係を示す床形状推定値を決定する床形状推定値決定手段、
    を備えると共に、前記床形状推定値決定手段は、
    .前記床形状推定値の床面形状と実際の床面形状との差の絶対値が増加する可能性があるか否かを判定し、前記絶対値が増加する可能性があると判定した場合、前記床形状推定値の床面形状を保持または所定の値に変更する一方、前記床形状推定値の床面同士の相対位置関係と実際の床面同士の相対位置関係との差の絶対値が増加する可能性があるか否かを判定し、前記絶対値が増加する可能性があると判定した場合、前記床形状推定値の床面同士の相対位置関係を保持または所定の値に変更する推定中断手段、
    を備えることを特徴とする脚式移動ロボットの床形状推定装置。
  2. 前記推定中断手段は、少なくとも前記ロボットの歩行時期に基づいて前記絶対値が増加する可能性があるか否か判定することを特徴とする請求項1項記載の脚式移動ロボットの床形状推定装置。
  3. 前記推定中断手段は、少なくとも前記足部と床面との接触状況に基づいて前記絶対値が増加する可能性があるか否か判定することを特徴とする請求項1項または2項記載の脚式移動ロボットの床形状推定装置。
  4. 前記推定中断手段は、少なくとも前記足部に作用する前記床反力に基づいて前記絶対値が増加する可能性があるか否か判定することを特徴とする請求項1項から3項のいずれかに記載の脚式移動ロボットの床形状推定装置。
  5. 前記推定中断手段は、少なくとも前記足部に作用する前記床反力の中心点位置に基づいて前記絶対値が増加する可能性があるか否か判定することを特徴とする請求項項記載の脚式移動ロボットの床形状推定装置。
  6. さらに、
    f.少なくとも前記算出された床形状推定値に基づいて前記足部の目標位置姿勢を修正する修正手段
    を備えることを特徴とする請求項1項から項のいずれかに記載の脚式移動ロボットの床形状推定装置。
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