JPWO2008146714A1 - 安全タイヤ - Google Patents
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Abstract
この発明の目的は、構造が比較的に単純であり、従来のリムが使用可能であり、従来技術に比べて耐久性を向上させながらも、隔膜の有する内圧保持機能を十分に発揮し得る安全タイヤを提供することである。上記目的を達成するため、安全タイヤ(1)は、両ビード部(3)間に延び、タイヤ(1)とリム(8)との間に画定される空間を、タイヤの内圧が正常な状態では内側室(9)及び隔膜外室(10)に分画し、タイヤの内圧が低下した状態では拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする環状の隔膜(7)を有する。隔膜(7)の少なくともクラウン部(7a)の外面上には、隔膜(7)が拡径変形した状態にて、隔膜(7)とタイヤ内面との間に介在し、それらの直接接触を少なくとも部分的に阻止する接触阻止手段(12)が設けられている。さらに隔膜(7)には、内側室(9)と隔膜外室(10)の間を流速を制限しつつ連通する連通部が設けられている。
Description
この発明は、パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においても安全な停止が可能で、ある程度の距離の走行が可能である安全タイヤに関し、特にランフラット状態におけるタイヤの耐久性の向上を図る。
安全タイヤとしては、空気のう、発泡体、弾性体、中子等にタイヤ負荷を肩代わり支持させるタイヤや、シーラント剤を塗布又は充填してタイヤに生じた孔等の損傷部を塞いで内圧低下を防止したタイヤ等が知られている。しかし、これら従来の安全タイヤは、構造が複雑なため、不良率が高くなったり、製造効率が低下したりする場合が多かった。また、空気のうに空気を充填するためのバルブや、中子を取り付けるための構造を具えた専用のリムを準備しなければならない場合もあった。
比較的単純な構造の安全タイヤとして、例えば特公昭37−1754号公報には、両ビード部間に配設した膨張可能な環状の隔膜により、タイヤの内部空間を、リムに隣接する内側室とタイヤのトレッド部内面に隣接する外側室の2室に分画したタイヤが記載されている。かかるタイヤでは、内側室及び外側室に空気を充填した状態で通常の走行を行い、パンク等により外側室の空気が抜け、内圧が低下した場合には、内側室の内圧が荷重を支持することでランフラット走行を可能としている。
しかしながら、上記文献に記載された安全タイヤは、外側室に空気を充填するためのバルブをタイヤのサイドウォール部に設ける必要があり、これはタイヤの製造工程を複雑にする上、タイヤの重量が増加し、ユニフォミティ等のタイヤの性能を損なうという問題があった。
従来技術が抱えるこのような問題点を解決するため、本願人は、特願2007−25527号において、タイヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリムとの間に画定される空間をタイヤ径方向内側及び外側の2室に分画する、拡径変形可能な環状の隔膜を配設し、これら内側室と外側室を、隔膜に設けられた流速を規制する手段を介して連通した安全タイヤを提案した。しかし、かかる安全タイヤでは、タイヤが釘踏み等によりパンクしたときに、その釘が、拡径変形した隔膜にまで達して隔膜が損傷することがあり、その結果、隔膜が有する内圧保持機能を十分に発揮し得ないというおそれがあった。
従って、この発明は、これらの問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、構造が比較的に単純であり、従来のリムが使用可能であり、従来技術に比べて耐久性を向上させながらも、隔膜の有する内圧保持機能を十分に発揮し得る安全タイヤを提供することにある。
前記の目的を達成するため、第1の発明は、一対のビード部、該ビード部からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部、及び両サイドウォール部間にまたがって延びるトレッド部を有する安全タイヤにおいて、前記安全タイヤは、前記両ビード部間に延びる拡径変形可能な環状の隔膜であり、タイヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリムとの間に画定される空間を、タイヤの内圧が正常な状態ではタイヤ径方向内方に位置する隔膜内室及びタイヤ径方向外方に位置する隔膜外室の2室に分画する隔膜と、前記隔膜の少なくともクラウン部の外面上に配設され、該隔膜が拡径変形した状態にて、該隔膜とタイヤ内面との間に介在してこれらの直接接触を少なくとも部分的に阻止する接触阻止手段と、を具え、前記隔膜は、前記隔膜内室と隔膜外室を連通する少なくとも1つの連通部を有することを特徴とする安全タイヤである。
また、第2の発明は、一対のビード部、該ビード部からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部、及び両サイドウォール部間にまたがって延びるトレッド部を有する安全タイヤにおいて、前記安全タイヤは、膨張可能な中空円環状をなす隔膜であり、タイヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリムとの間に画定される空間を、タイヤの内圧が正常な状態では該隔膜内部の内側室と該隔膜外部の外側室の2室に分画するよう、タイヤの内側に配置された隔膜と、前記隔膜の少なくともクラウン部の外面上に配置され、該隔膜が拡径変形した状態にて、該隔膜とタイヤ内面との間に介在してこれらの直接接触を少なくとも部分的に阻止する接触防止手段と、を具え、前記隔膜は、環体隔膜の内部とタイヤの内側とを連通する少なくとも1つの連通部を有することを特徴とする安全タイヤである。
上記構成を採用することにより、タイヤがパンクした場合にも、隔膜外室内の空気が抜けるのみで、隔膜内室内の空気が膨張して荷重を支持するので、ランフラット走行が可能となる。また、構造が比較的単純で、かつ軽量でありながら、通常内圧での走行時に隔膜がタイヤ内面に接触するおそれが少なく、従って損傷のおそれも少ない。さらに、第1発明にあっては、連通部を介して隔膜内室から隔膜外室に空気を供給することができ、第2発明にあっては、連通部を介して隔膜外室から隔膜内室に空気を供給することができるので、従来のリムに装着することが可能である。加えて、釘等の鋭利な異物が刺さることが比較的多いトレッド部に対応する領域に接触阻止手段を具えているので、鋭利な異物によりタイヤがパンクした場合にも、その異物によって隔膜が損傷するおそれがない。従って、この発明の接触阻止手段は、特に軽量化、クリープ抑制等の観点により、安全タイヤを構成する隔膜の重量をできる限り軽く、つまり隔膜の肉厚を薄くすることを意図した安全タイヤにおいて、内圧保持機能を確実かつ安定的に提供するために極めて重要な要素となる。
なお、ここでいう「タイヤの内圧が正常な状態」とは、タイヤをリムに装着して構成されたタイヤとリムの組立体にて、隔膜内室と隔膜外室に所定の内圧が適用され、ランフラット走行以外の通常の走行が可能な状態をいう。隔膜の「クラウン部」とは、隔膜が拡径変形した際に、タイヤのトレッド部の内面に対応する領域をいう。隔膜の「外面」とは、タイヤ内面に近い方の表面、すなわちタイヤ径方向外側の表面を指す。
接触阻止手段は、タイヤの内圧が正常な状態における隔膜の最大幅位置まで配設することが好ましく、隔膜が拡径変形した状態にて、サイドウォール部の内側に位置する隔膜のサイド部まで配設することがより好ましい。
また、接触阻止手段は、シーラント剤を隔膜の外面上に適用して形成したシーラント層であることが好ましい。シーラント剤は、非硬化タイプ、すなわち隔膜の外面上に適用後も所定の流動性を有するものが好ましい。
又は、接触阻止手段は、緩衝部材、特にはスポンジ材からなる緩衝部材であることが好ましい。ここでスポンジ材は、海綿状の多孔構造体であり、例えばゴムや合成樹脂を発泡させた連続気泡を有するいわゆるスポンジそのものの他、動物繊維、植物繊維又は合成繊維等を絡み合わせて一体に連結したものをも含む。
あるいは、接触阻止手段は、複数の突起部材であることが好ましく、これらの突起部材間にシーラント剤を適用することがより好ましい。
さらに、接触阻止手段の厚さは、少なくとも0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上5mm以下とすることがより好ましい。ここで接触阻止手段の厚さとは、タイヤの内圧が正常な状態、すなわち隔膜が接触阻止手段を介してタイヤ内面に接触していない状態における接触阻止手段の厚さである。
さらにまた、連通部としては、隔膜内室と隔膜外室の間を連通しつつも、パンク等によりタイヤ内圧が急激に低下した際に、これを通過する空気の流量を制限して、隔膜内室と隔膜外室の間に差圧を生じさせるものであれば特に限定されないが、軽量化の観点からは隔膜を貫通する小孔とするか、又は隔膜を貫通する開口とこれを覆うフィルタ部材とで構成することが好ましい。連通部として小孔を用いる場合には、その直径が0.5〜5mmの範囲内にあることが好ましく。また、連通部にフィルタ部材を用いる場合には、不織布を用いることが好ましく、この不織布としては目付が5〜1000g/m2の範囲内にあることが好ましい。
これらに代えて、連通部を隔膜内室と隔膜外室の差圧により開閉する弁部材とすることもできる。利用可能な弁部材としては、チェック弁、リリーフ弁等を適用することができる。
さらに、連通部は、タイヤをリムに装着し所定の内圧を充填した状態にて、隔膜内室の内圧を隔膜外室の内圧以上に調整することが好ましく、隔膜内室の内圧を隔膜外室の内圧に対して100〜110%の範囲内に調整することがさらに好ましい。このように差圧を調節することで、タイヤの内圧が適正範囲に保たれた正常内圧状態において隔膜がリムやタイヤ内面と接触して破損するのを防止しつつ、内圧低下時には迅速に隔膜を拡張させることができる。
加えて、隔膜は、タイヤが正常内圧状態にあるときには、隔膜内室と隔膜外室とを画定しつつもトレッド部内面に接触せず、一方、タイヤの内圧が低下したランフラット状態にあるときには、速やかに拡径変形してタイヤに加わる荷重を肩代わり支持できるものであれば、材質、物性、形状等に特に制限はないが、ランフラット状態での隔膜の破損を防止する観点からは、その破断伸びが50%以上であることが好ましい。
この発明によれば、従来の安全タイヤと比較して、単純な構造で内圧低下時の荷重支持を行うので、軽量化を図ることができ、かつ、隔膜の破損を防止できるので、隔膜の有する内圧保持機能が十分発揮し得る。
1、21 タイヤ
3 ビード部
4 サイドウォール部
5 ショルダー部
6 トレッド部
7、22 隔膜
7a、22a 隔膜のクラウン部
7b、22b 隔膜のサイド部
8 リム
9、23 隔膜内室
10、24 隔膜外室
11、11’ 連通部
12 接触阻止手段
13 充填バルブ
14 突起部材
15 シーラント剤
25 磁石
26 円筒
27 リブ
30 排気バルブ
3 ビード部
4 サイドウォール部
5 ショルダー部
6 トレッド部
7、22 隔膜
7a、22a 隔膜のクラウン部
7b、22b 隔膜のサイド部
8 リム
9、23 隔膜内室
10、24 隔膜外室
11、11’ 連通部
12 接触阻止手段
13 充填バルブ
14 突起部材
15 シーラント剤
25 磁石
26 円筒
27 リブ
30 排気バルブ
以下、図面を参照しつつ、第1発明及び第2発明の実施の形態を説明する。まず、図1は、第1発明に従う代表的な安全タイヤ(以下「タイヤ」という。)をリムに装着して構成したタイヤとリムの組立体のタイヤ幅方向における断面を、内圧を適用する前後の状態で示した断面図である。図2は、図1に示すタイヤにおいて内圧が低下した状態を示した断面図である。
図1に示すように、この実施形態のタイヤ1は、ビードコア2を埋設した一対のビード部3と、このビード部3からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部4と、さらにその外側に延びる一対のショルダー部5と、両ショルダー部5の間に、またがって延びるトレッド部6を有する。なお、図示は省略したが、このタイヤは、慣例に従い、カーカス、ベルト層等の他のタイヤ構成部材も有する。
また、タイヤ1の内部には、一対のビード部3の間に延びる拡径変形可能な環状の隔膜7がタイヤの全周にわたって配設されている。この隔膜7は、タイヤ1をリム8に装着した際に、タイヤ1とリム8との間に画定される空間を、タイヤ径方向内側に位置しリム8に隣接する隔膜内室9と、タイヤ径方向外側に位置しタイヤ1の内面に隣接する隔膜外室10との2室に分画するものである。また、隔膜7には隔膜内室9と隔膜外室10との間を流速を制限しつつ連通する連通部11が設けられており、この実施形態では、連通部11は隔膜7を構成する材料にこれを貫通する小孔を開けることで構成されている。
そして、隔膜7の外表面上、特には隔膜7が拡径変形した際にトレッド部6の内面に対応する領域である隔膜7のクラウン部7aの外表面上には、隔膜7が拡径変形した状態にて、隔膜7とタイヤ内面との間に介在し、これらの直接接触を少なくとも部分的に妨げる接触阻止手段12が配設されている。なお、接触阻止手段12は、隔膜7とタイヤ内面との間に介在してこれらの直接接触を少なくとも部分的に妨げ得るものであれなどのようなものでもよく、その具体例は後で説明する。
この実施形態のタイヤにあっては、リム8に設けられた充填バルブ13を介して隔膜内室9に空気を供給すると、供給された空気の一部が連通部11を介して隔膜外室10に供給される。そして、隔膜内室9の内圧が所定の値に到達した時点で空気の供給を停止すると連通部11により差圧が調整されている。図1に示すように、タイヤ1の内圧が正常な状態では、隔膜7はトレッド部6の内面及びリム8のいずれに対しても非接触な状態に維持されるため、擦れ等により隔膜7が損傷することはない。
一方、パンク等によりタイヤ1に破損が生じ、隔膜外室10の空気が流出して内圧が低下した場合には、図2に示すように、隔膜内室9内の空気が差圧に起因して膨張し、隔膜7はタイヤ内面に接触するが、そのクラウン部7aは、接触阻止手段12によりその接触が阻止される。これにより、タイヤ1に加わる荷重は、隔膜内室9内の空気が肩代わり支持するので、少なくとも車両が安全に停止するまでの間、安全なランフラット走行が実現される。なお、隔膜内室9と隔膜外室10とは連通部11を介して連通しているが、小孔や後述するフィルタ手段により差圧発生時には流速が制限されることから、隔膜外室10の内圧が急激に低下した場合にも隔膜内室9の内圧がすぐには低下せず、その差圧により隔膜7は拡張する。
このように、この発明によれば、単一の充填バルブ13で隔膜内室9及び隔膜外室10の双方に空気を供給することができるので、従来のリムが使用可能であり、また、一般的な構造を有する空気入りタイヤに、構造が単純で軽量な隔膜7を追加しただけで安全タイヤを構成することができるので、金属性の中子をタイヤ内に配置したり、タイヤの内部空間にシーラント剤を充填したりしてなる従来の安全タイヤに比べて大幅な軽量化が図り得る。さらに、釘等の鋭利な異物が刺さることが比較的多いトレッド部6に対応するように、隔膜7のクラウン部7aに隔膜7とタイヤ内面との直接接触を阻止する接触阻止手段12を設けたことから、釘踏みによりトレッド部6に貫通孔が生じても、その釘が隔膜7に到達して隔膜7が損傷するおそれがない。
ここで、隔膜7の素材としては、加工性、製造コスト、隔膜7の軽量化、通常走行時の隔膜7の形状維持、隔膜の伸長(破断伸び)、さらには遠心力によるクリープの抑制を考慮すると、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)等のTPE(熱可塑性エラストマー)が有利に適合する。また、隔膜7は、その厚さが0.3mm〜5mmの範囲内にあることが好ましく、前述の観点からは、3mm以下であることが更に好ましい。
そして、隔膜7は、内圧低下時に、迅速にタイヤ内面まで拡径するよう破断伸びが50%以上であることが好ましい。というのも、破断伸びが50%未満では、パンク等によって隔膜7が拡張した際に隔膜が破れてしまうおそれがあるからである。
なお、急激に内圧が低下した際にも安全に走行を続けるためには、タイヤが迅速にランフラット走行状態に移行できることが好ましく、従って隔膜7が内圧低下時に直ちに拡径することが好ましい。この観点からは、隔膜内室9の内圧が隔膜外室10の内圧と同じかそれ以上であることが好ましい。このようにすれば、隔膜外室10の内圧低下による隔膜内室9及び隔膜外室10間の差圧増加と同時に隔膜内室9内の空気が膨張する。しかし、通常走行状態で隔膜7に大きな張力が加わっていると、長期間使用した場合に、隔膜7がクリープ変形してタイヤ内面に接触し破損するおそれがある。これを防止する観点からは、隔膜内室9の内圧を隔膜外室10の内圧の110%以下とすることが好ましい。
次いで、第2発明の実施形態について説明する。ここに、図3は、第2発明に従う安全タイヤ(以下「タイヤ」という)をリムに装着して構成したタイヤとリムの組立体のタイヤ幅方向における断面を、内圧を適用する前後の状態で示した断面図である。図4は、図3に示すタイヤにおいて内圧が低下した状態を示した断面図である。
図3に示すタイヤ21は、ビードコア2を埋設した一対のビード部3と、該ビード部3からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部4、および両サイドウォール部4間にまたがって延びるトレッド部5を有する。なお、図示は省略したが、このタイヤ21は、カーカス、ベルト等の他のタイヤ構成部材も有している。
タイヤ21の内側には、膨張可能な中空円環状の隔膜22がリム8のリムベースに沿って連続して配置されている。これによりタイヤ21の内部は、隔膜内部の隔膜内室23及び隔膜外部の隔膜外室24に分画される。また、隔膜22のトレッド部6側には隔膜内室23と隔膜外室24との間を流速を制限しつつ連通する連通部11が設けられており、この実施形態では、連通部11は隔膜22を構成する材料にこれを貫通する小孔を開けることで構成されている。この隔膜22は、伸長性、軽量化、通常走行時の隔膜の形状保持および遠心力によるクリープの抑制を考慮して、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)を素材とする管を適用した例であり、隔膜内室23と隔膜外室24の差圧が拡大することにより膨張可能としている。ここで、隔膜22は、上述したTPOを素材とする管が好適であるが、特にこれに限定するものではなく、例えばゴムを素材とする管、いわゆるゴムチューブを隔膜22として適用しても、本発明の有利な効果を得ることが可能である。
そして、隔膜22の外表面上、特には隔膜22が拡径変形した際にトレッド部6の内面に対応する領域である隔膜22のクラウン部22aの外表面上には、隔膜22が拡径変形した状態にて、隔膜22とタイヤ内面との間に介在してこれらの直接接触を少なくとも部分的に妨げる接触阻止手段12が配設されている。
なお、隔膜22は、図5に示すこの発明の他の実施形態のように、内部の空気を排出可能な排気バルブ30を有していても良く、このようにすれば、タイヤを修理等する際に容易に隔膜22内の空気を排出し得るので便利である。
図3及び図5における連通部11に付された矢印は、気体を充填した場合の気体の流れを示すもので、充填バルブ13から供給された気体は、ビード部3の内面と隔膜22との間の隙間(図面では隙間がないように見えるが隙間を設けても良い)を経由して連通部11を通過することになる。この際、かかる気体の充填をよりスムーズにする観点で、隔膜22が大きくビード部3の内面と接触する場合には、隔膜22とビード部3の内面との接触部に溝や突起等(図示省略)を設けて流路を確保することが好ましい。
また、図5に示した上記排気バルブ30に関連し、かかる排気バルブ30の位置(充填バルブ側)に連通部を設けても良い。例えば、図3及び図5の実施形態では、上述したように、連通部11がトレッド部6側に設けられているが、図14に示すこの発明の他の実施形態のように、連通部11’をリム8側にのみ設けても良い。図14における連通部11’に付された矢印は、気体を充填した場合の気体の流れを示すもので、充填バルブ13から供給された気体は、連通部11’を介して隔膜22内(隔膜内室23)に供給されるとともに、ビード部3の内面と隔膜22との間の隙間(図示省略)を経由してタイヤ内面と隔膜外面との間(隔膜外室24)に供給される。充填された気体の排気に際しては、気体は連通部11’を介して隔膜内室23から排気されるとともに、ビード部3の内面と隔膜22との間の隙間(図示省略)を経由して隔膜外室24から排出される。これによれば、タイヤ組立体への給排気をよりスムーズに行うことができる。
また、他の実施形態として図15に示すように、トレッド部6側の連通部11とリム8側の連通部11’とを併設することもできる。この場合、充填バルブ13から供給された気体は、連通部11’を介して隔膜内室23に供給され、隔膜内室23に供給された気体は、他方の連通部11を介して隔膜外室24に供給される(連通部11及び11’に付された矢印参照。)。充填された気体の排気に際しては、連通部11を介して隔膜外室24の気体が隔膜内室23に排出されると同時に隔膜内室23の気体が連通部11’を介して排出される。なお、これらの気体の充填及び排出に際して、隔膜22の外面とビード部3の内面との間の隙間を通じても気体の供給及び排出が行われる。これによれば、隔膜の内室と外室との間を効果的に連通させることができるので、気体の給排気において流路が制限されることがなく、タイヤ組立体への効率的な気体の給排気を達成することができる。また、この実施形態において、ビード部3の内面と隔膜22の外面との間に上記隙間を設けることで、さらなる気体の効率的な給排気を図り得ることは云うまでもない。
さて、図3に示す実施形態のタイヤ21にあっては、リム8に設けられた充填バルブ13を介して隔膜外室24に気体、例えば空気を供給すると、図3に矢印で示すように、この空気が隔膜22の連通部11を介して隔膜内室23に供給される。この過程を経て、隔膜22の内圧は隔膜外室24に充填される空気量に応じて隔膜外室24と同等の内圧に調整されることになる。すなわち、空気の充填過程において隔膜内室23と隔膜外室24との差圧は解消され、両者は例えばJATMAに規定の最高空気圧に調整される。
一方、内圧調整したタイヤ21がパンク状態となり、タイヤ21の内圧(隔膜外室24の内圧)が低下すると、先ず、隔膜外室24の圧力が低下し、隔膜内室23と隔膜外室24との間に圧力差が生じるが、隔膜22の連通部11からの空気の漏出速度は極めて遅いため、隔膜内室23と隔膜外室24との差圧はほぼ維持される。その結果、差圧をもって隔膜22が膨張して、図4に示すように、隔膜22の外周面がトレッド部6の内面に接触するまで隔膜22が拡張して、タイヤに加わる荷重を拡張した隔膜22が肩代わり支持することになる。このとき、隔膜22のクラウン部22aは、接触阻止手段12によりタイヤ内面との接触が阻止されている。
従って、この実施形態のタイヤ21によれば、隔膜22に連通部11を設けたことによって、隔膜外室24に供給された空気が、連通部11を介して隔膜内室23に供給されるため、従来の安全タイヤのように、タイヤの内側に空気を充填するためのバルブを、例えば、サイドウォール部に設ける必要がなくなる。その結果、タイヤの製造工程において、タイヤのサイドウォール部に空気を充填するためのバルブを設ける工程が省略され、タイヤの製造コストを抑制することができる。また、追加バルブによるタイヤ重量の増加が回避される。さらに、追加バルブによるユニフォミティ低下等の、タイヤの性能を損なうおそれがない。
さらに、汎用のリムが使用可能であるため、一般的な構造の空気入りタイヤに比較的構造が単純な隔膜22をタイヤの内側に単に配置しただけで安全タイヤを提供することが可能となるので、金属性の中子等をタイヤ内に配置する場合と比べて大幅な軽量化を図り得る。
しかも、釘等の鋭利な異物が刺さることが比較的多いトレッド部6に対応する隔膜22の領域であるクラウン部22aに、隔膜22とタイヤ内面との直接接触を阻止する接触阻止手段12を設けたことから、釘等がトレッド部6を貫通してもその釘によって隔膜22が損傷するおそれがない。
なお、第2発明において、隔膜22を適正位置により的確に配置するためには、隔膜22をリム8に固定するための手段を設けることが有効である。このような固定手段を設けることによって、隔膜22をより効果的に固定させることができるからである。
固定手段としては、種々のものが考えられ、例えば、接着テープや接着剤、磁石等を用いて隔膜22をリム8のリムベースの表面に付着させたり、紐等の連結部材を用いて隔膜22とリム8とを連結したりして行うことが可能である。固定手段として磁石、接着テープまたは接着剤等を用いた場合は、リム8のリムベースの周長の少なくとも1/10の長さの領域亘って当該固定手段を配設することが好適である。というのは、固定手段の配設領域がリムベースの周長の1/10の長さ未満では、隔膜7の固定強度が不足するおそれがあるからである。かかる配設領域は、リムベース周長の1/2以上の長さとすればさらに良好である。ここに、固定手段として磁石を適用した例として、図5に示す。図では、隔膜22は、その周面に設けられた幅Wmが50mmの磁石25によってリム8に固定されている。磁石の幅は、特に限定するものではなく、本発明の効果が得られれば適宜調整が可能である。
なお、隔膜22は上述したような固定手段を用いずとも適性位置に配置することは可能であり、この場合、図3に示すように、隔膜22の内周径rとリム8のフランジ高さおよびリム径を合わせた長さRがr<Rを満足するよう隔膜22を形成すれば良い。隔膜22の内周径rが上記長さR未満であれば、隔膜22はその径差によってリム8に固定されることとなる。逆に、隔膜の内周径rを前記長さR以上とすれば、隔膜22の、リム8への組み込みは容易となるものの、使用時にタイヤ内で隔膜22がタイヤ径方向に移動し易くなるおそれがある。
さらに隔膜22は、ダクトホースのような円筒等をドーナツ状に成形したものであってもよく、特に図6に示す、伸縮可能な蛇腹管であってもよい。このように、隔膜22を蛇腹状に形成した場合には、隔膜22を伸縮可能とすることができるので、ドーナツ状に曲げた際、隔膜22の内径側の周長が縮み易くなり、隔膜22を作製する上で有利となる。さらに、隔膜22を蛇腹管とすることによって、蛇腹管の外表面に形成された溝(蛇腹管の折り目によって形成された溝)とタイヤ内面との間に空気の通路を形成することができるので、充填バルブ13からの空気を効率良く隔膜外室24に提供することが可能となる。
さらに、蛇腹管の外側の折り目部分に補強リブを設けることが好ましい。これによれば、蛇腹管がビード部3の内側面と接触した際の上記空気の通路をさらに大きくすることができるので、充填バルブ11を介して供給された空気を、さらに効率的に隔膜外室24に向かわせることができる。また、蛇腹管の外側の折り目部分に補強リブを設けることによって、タイヤ内への挿入時につぶした隔膜22を確実に元の形状に戻すことができ、連通部11を介して行う隔膜内室23内への空気の供給を確実に行うことができる。
なお、サイズ315/70R22.5の空気入りタイヤに適用する隔膜22としては、例えば、図6に示す、内径を150mm、肉厚を1.5mmとした耐熱合成ゴムからなる円筒26を蛇腹状に形成し、この蛇腹状の外側の折り目部分に、オレフィン系樹脂からなる、外径を160mmとしたリング状の複数のリブ27を、15mm間隔のピッチに設定して、等間隔に配置してなる蛇腹管を用いることができる。なお、各々の部位に規定した寸法は、特に限定するものではなく、本発明の有利な効果が得られれば適宜調整可能である。
さて、上述した実施形態では、接触阻止手段12を隔膜7、22のクラウン部7a、22aの外表面に設けることにより有意な効果が得られたが、隔膜7、22は、図7及び図5に示すように、タイヤ1、21の内圧が正常な状態における隔膜7、22の最大幅位置Wdまで配設することが好ましい。これは、釘等の異物がトレッド部6に刺さった場合のみならず、タイヤ1、21のショルダー部5に刺さった場合にも隔膜7、22を損傷から防ぐことが可能となるからである。
さらに、接触阻止手段12は、図8、図9に示すように、隔膜7、22が拡径変形した状態にて、サイドウォール部4の内側に対応する領域である隔膜7、22のサイド部7b、22bにまで配設することがより好ましい。これは、トレッド部6及びショルダー部5に比べ肉厚が薄く、異物が貫通し易いサイドウォール部5に対応する隔膜7、22のサイド部7b、22bにおいても、上記と同様に、異物による損傷を妨げることが可能となるからである。
さらに、接触阻止手段12としては、シーラント剤を隔膜7、22の外面上に適用して形成したシーラント層とすることが好ましい。その理由は、釘踏み等によりタイヤ1、21に釘等の異物が貫通しても接触阻止手段12としてのシーラント層が隔膜7、22をその異物の接触から保護するとともに、その異物が隔膜7、22にまで到達し隔膜7、22を貫通してしまっても、その貫通孔にシーラント層のシーラント剤が浸入してシールを行い、内圧を維持するからである。
または、接触阻止手段12は、スポンジ材からなる緩衝部材とすることが好ましい。その理由は、釘踏み等によりタイヤ1、21に釘等の異物が貫通しても接触阻止手段12としての緩衝部材によって隔膜7、22を、その異物の接触から保護できるからである。また、スポンジ材の有する防振特性や吸音特性によりって、タイヤ1、21の空洞内、特には隔膜外室10、24内で生じた共鳴音エネルギー(振動エネルギー)を熱エネルギーに変換し、空洞共鳴音を効果的に抑制することができるからである。また、前記シーラント層を用いる場合に比べて軽量化を図り得るという利点もある。スポンジ材は、海綿状の多孔構造体、すなわちゴムや合成樹脂等を発泡させた連続気泡を有するいわゆるスポンジそのものの他、動物繊維、植物繊維又は合成繊維等を絡み合わせて一体に連結したものをも含むものでも良く、ゴム系スポンジやポリウレタンフォーム等でも良い。
接触阻止手段12としてシーラント層又は緩衝部材を用いた場合には、さらなる利点がある。つまり、接触阻止手段12としてシーラント層又は緩衝部材を用いた場合には、連通部11を隔膜7、22の、タイヤ内面に対向する範囲内に設けた構成において、シーラント層又は緩衝部材によって釘等の異物から隔膜7、21を効果的に保護できることは上述のとおりであるが、それ以外に、タイヤ内圧が低下し隔膜7、22が拡張した際に、シーラント剤又は緩衝部材を連通部11に入り込ませ、かかる連通部11からの気体の流出を遮断することができる。従って、ランフラット走行時において、隔膜7、22内の内圧、つまり安全タイヤの内圧が低下するのを抑制できるので、耐久走行性能が向上し、走行可能距離は格段に伸びることとなる。このような利点を図る場合、連通部11を囲むようにシーラント層等を配置するのが好適である。
または、接触阻止手段12は、図10に示すように、隔膜7、22の外面からタイヤ径方向外側に突出するように配設された複数の突起部材14としてもよい。なお、これら突起部材14は、隔膜7、22が拡径変形した際に隔膜7、22とタイヤ内面との間に所定距離のスペースを形成するスペーサとして機能すればよいので、その平面形状は、図11(a)〜(c)に例示するように、正方形、長方形、又は六角形等でもよく、タイヤ幅方向におけるそれらの断面形状は、図11(d)及び(e)に例示するように、T字状又はカップ状でもよく、あるいは図示を省略するが、さらに異なる形状、例えば倒立裁頭円錐の断面形状を有していてもよい。また、これらの突起部材14は、隔膜7、22と一体型として形成してもよく、又は接着剤等を用いて隔膜7、22の成形後に隔膜7、22に接着してもよい。さらに、突起部材14の材質は、隔膜7、22と同一としてもよく、又は隔膜7、22とは異なる、弾性率が低く、柔らかい樹脂等の材質としてもよい。これによれば、釘踏み等によりタイヤに釘等の異物が貫通しても接触阻止手段12としての突起部材14によって隔膜7、22をその異物の接触から効果的に保護することができる。
加えて、図10(b)で示すように、上記複数の突起間又は突起内にシーラント剤15を適用することが好ましい。これによれば、突起部材14が、走行時の遠心力によるシーラント剤15の偏りを抑制するので、突起部材14による隔膜7とタイヤ内面との接触防止効果と、釘等の異物が隔膜7、22に到達した際の、シーラント剤15によるシール効果とを両立させることが可能となる。
なお、前記した各接触阻止手段12の厚さとしては、0.5mm以上5mm以下とすることが好適である。これは、接触阻止手段12が0.5mmより薄いと、接触阻止手段としての効果、すなわち隔膜7、22とタイヤ内面との直接接触を防止することにより釘等の異物から隔膜7、22を保護する効果が低くなるおそれがあり、一方、その厚さが5mmを超えるとタイヤ重量が増加しタイヤの性能が低下するおそれがあるからである。
最後に、この発明に適用可能な種々の連通部11について説明する。上述の実施形態では、隔膜7、22を構成する材料にこれを貫通する小孔を開けることで連通部11を構成している。これによれば、付加的な部材を必要としないことから、構造が簡単で一層の軽量化が図れる上、小孔を設けた部分と設けていない部分の質量差を小さくすることができるのでタイヤのユニフォミティを損なうおそれがない。また、隔膜内室9、23と隔膜外室10、24の間の円滑な空気の流通を妨げることなく、圧力損失に起因した差圧を隔膜内室9、23と隔膜外室10、24の間に生じさせることができる。そして、この差圧は、小孔の直径を適宜に選択することによって調節可能である。小孔の直径としては0.5〜5mmの範囲とすることが好ましい。これは、環状の隔膜7において、直径が0.5mm未満の場合には、内圧充填時に隔膜内室9の圧力が上がりすぎて隔膜が拡張してしまうおそれがあるからであり、5mmを超える場合には、パンク等により隔膜外室10の内圧が低下した際に、隔膜外室10内の空気とともに隔膜内室9の空気もタイヤ外に流出してしまい、ランフラット機能を確保できないおそれがあるからである。また、中空円環状の隔膜22において、直径が0.5mm未満の場合には、内圧充填時に隔膜22の中に空気がうまく入っていかず、つぶれるおそれがあり、5mmを超える場合には、パンク等により隔膜外室24の内圧が低下した際に、隔膜外室24とともに隔膜内室23の空気もタイヤ外に流出してしまい、一定の差圧を確保できず、ランフラット機能を確保できないおそれがあるからである。
図12に示す実施形態では、隔膜7を構成する材料にこれを貫通する開口を開け、この開口を多数の細孔を有するフィルタ部材で覆うことによって連通部11を構成している。ここでは、便宜上、環状の隔膜7に適用した例を示したが、この連通部11は図3に示すような中空円環状の隔膜22を備えるタイヤ21にも好適に用いることができる。これによれば、比較的軽量なフィルタ部材を用いていることから、構造が比較的簡単でかつ比較的軽量である上、フィルタ部材を設けた部分と設けていない部分との質量の差が比較的少なく、タイヤのユニフォミティを損なうことも少ない。さらに、隔膜内室9と隔膜外室10の間の円滑な空気の流通を妨げることはないが、圧力損失に起因した差圧を隔膜内室9と隔膜外室10の間に生じさせることができる。そして、この差圧は、フィルタ部材の細孔の径又は数を適宜に選択することによって調節することができる。好適なフィルタ部材は不織布である。不織布は繊維を3次元構造に重ね合わせ結合した多孔質のシートであるため、小孔で構成した連通部に比べて高い差圧を隔膜内室9と隔膜外室10の間に生じさせることができる。そして、この差圧は、不織布の目付を適宜に選択することによって調節することができる。この発明に適用可能な不織布は、圧力損失に起因した差圧を隔膜内室9と隔膜外室10の間に生じさせることができるものであれば特に限定されず、例えば天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等を、スパンボンド、サーマルボンド、ケミカルボンド、ニードルパンチ、ステッチボンド等により結合させたものを用いることができる。特に好適な不織布は、PET繊維をゴム系ボンドにより結合させたものである。目付の高い不織布を用いると、これを通過できる空気の流量が制限させるため、充填バルブ13を介して空気を供給した際に、一時的に隔膜内室9と隔膜外室10との間の差圧が大きくなり、隔膜7が降伏点を越えて変形する場合がある。これを防ぐ観点からは、不織布の目付を1000g/m2以下とすることが好ましい。一方、目付の低い不織布は強度も低いため、隔膜7の全体としての強度を確保する観点から、不織布の目付を5g/m2以上とすることが好ましい。
図13に示す実施形態では、隔膜7を構成する材料にこれを貫通する開口を開け、この開口に弁部材を配設することで連通部11を構成している。ここでも便宜上、環状の隔膜7に適用した例を示したが、この弁部材は図3に示すような中空円環状の隔膜22を備える安全タイヤにも好適に用いることができる。これによれば、一層確実に隔膜内室9と隔膜外室10の差圧を制御することができる。かかる弁部材は、隔膜内室9と隔膜外室10の差圧に応じて開閉するものであれば特に限定されず、例えばチェック弁やリリーフ弁を用いることができる。
上記の実施形態では、連通部11、11’を、隔膜7、22のタイヤ赤道面に対応する位置や隔膜22のリム8側に設けた例につき示したが、連通部11、11’の配設位置はこれに限定されず、例えばサイドウォール部4に対向するように配設することもできる。また、連通部11、11’の大きさや個数、種類は、タイヤサイズや使用時の内圧等に応じて適宜に変更することができる。
上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したに過ぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり種々の変更を加えたりすることができる。
以上の説明から明らかなように、この発明によって、従来の安全タイヤに比較して単純な構造で内圧低下時の荷重支持を行うことにより、軽量で、かつ、隔膜の有する内圧保持機能を十分発揮し得る安全タイヤを提供することが可能となった。
Claims (14)
- 一対のビード部、該ビード部からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部、及び両サイドウォール部間にまたがって延びるトレッド部を有する安全タイヤにおいて、
前記安全タイヤは、前記両ビード部間に延びる拡径変形可能な環状の隔膜であり、タイヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリムとの間に画定される空間を、タイヤの内圧が正常な状態ではタイヤ径方向内方に位置する隔膜内室及びタイヤ径方向外方に位置する隔膜外室の2室に分画する隔膜と、
前記隔膜の少なくともクラウン部の外面上に配設され、該隔膜が拡径変形した状態にて、該隔膜とタイヤ内面との間に介在してこれらの直接接触を少なくとも部分的に阻止する接触阻止手段と、を具え、
前記隔膜は、前記隔膜内室と隔膜外室を連通する少なくとも1つの連通部を有することを特徴とする安全タイヤ。 - 一対のビード部、該ビード部からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部、及び両サイドウォール部間にまたがって延びるトレッド部を有する安全タイヤにおいて、
前記安全タイヤは、膨張可能な中空円環状をなす隔膜であり、タイヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリムとの間に画定される空間を、タイヤの内圧が正常な状態では該隔膜内部の隔膜内室と該隔膜外部の隔膜外室の2室に分画するようタイヤの内側に配置された隔膜と、
前記隔膜の少なくともクラウン部の外面上に配置され、該隔膜が拡径変形した状態にて、該隔膜とタイヤ内面との間に介在してこれらの直接接触を少なくとも部分的に阻止する接触防止手段と、を具え、
前記隔膜は、環体隔膜の内部とタイヤの内側とを連通する少なくとも1つの連通部を有することを特徴とする安全タイヤ。 - 前記接触阻止手段を、タイヤの内圧が正常な状態における前記隔膜の最大幅位置まで配設してなる、請求項1又は2に記載の安全タイヤ。
- 前記接触阻止手段を、前記隔膜が拡径変形した状態にて、前記サイドウォール部の内側に対応する前記隔膜のサイド部まで配設してなる、請求項1〜3の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記接触阻止手段は、シーラント剤を前記隔膜の外面上に適用して形成したシーラント層である、請求項1〜4の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記接触阻止手段は、緩衝部材である、請求項1〜4の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記接触阻止手段は、複数の突起部材である、請求項1〜4の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記突起部材間にシーラント剤を適用してなる、請求項7に記載の安全タイヤ。
- 前記接触阻止手段の厚さは、少なくとも0.5mm以上である、請求項1〜8の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記連通部は、前記隔膜を貫通する小孔である、請求項1〜9の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記連通部は、前記隔膜を貫通する開口とこれを覆うフィルタ部材とを有する、請求項1〜9の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記連通部は、前記隔膜内室と前記隔膜外室の差圧により開閉する弁部材を有する、請求項1〜9の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記連通部は、タイヤをリムに装着し所定の内圧を充填した状態にて、前記隔膜内室の内圧を前記隔膜外室の内圧以上に調整する、請求項1〜12の何れか一項に記載の安全タイヤ。
- 前記隔膜は、破断伸びが50%以上である、請求項1〜13の何れか一項に記載の安全タイヤ。
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