JPWO2008120432A1 - オーミック電極構造体および半導体素子 - Google Patents

オーミック電極構造体および半導体素子 Download PDF

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Abstract

n型GaAs層上に設けられたAuGeNi合金層(13)と、AuGeNi合金層(13)上に設けられた接合メタル層(15、17)および前記接合メタル層(15、17)上に設けられたバリアメタル層(16、18)とで構成された積層体とを備え、積層体が2周期以上設けられる。この構成により、GaAs系のコンタクト層、特にn型電極において、半導体のGaおよびn型電極でオーミック接合を形成するために必要なAuGeNi合金層のNiなどの表面拡散を抑止することができ、低抵抗なオーミック電極構造体およびそれを有する半導体素子を提供することができる。

Description

本発明は、n型GaAs半導体層のオーミック電極構造体、および、その電極構造体を用いる半導体素子に関するものである。
半導体レーザやGaAs系ICなどの化合物半導体素子において、n型GaAs層上にオーミック電極が形成されている。オーミック電極には、オーミック接合を実現できる金属として、一般的にAuGeNiの合金が用いられる。Geは、オーミック電極のAuGe中のGeは、Auとの共晶組成を考慮して約12%添加され、アロイ(合金処理)によりGaAs層中のGa格子点に取り込まれ、n型のドーパントになる。これによりAuGeNi層とn型GaAs層とのエネルギー障壁が低くなり、電子のトンネリングが可能になる。
一方、AuGeNi合金のNiは、拡散速度が遅いGeの拡散を促進するために使用される。Ni拡散によりGaAsの化学自由エネルギーが下がるが、Ni自体は、GaAsのp型ドーパントになり、かつ拡散が速いためアロイ温度や時間に注意する必要がある。
このような電極構造を用いるものとして半導体レーザが挙げられる。半導体レーザは、エレクトロニクスやオプトエレクトロニクスの多くの分野で広く使用されており、光デバイスとして不可欠なものである。特に、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスク)などの光ディスク機器は、大容量の記録媒体として、現在、盛んに利用されている。
さらに、記録容量の増加と共に、記録速度の高速化が進んできており、その動向は、特にCD用およびDVD用の半導体レーザにおいて顕著である。記録速度を高速化するためには、半導体レーザ装置の高出力化が必要とされる。近年では、CD用赤外半導体レーザ装置やDVD用赤色半導体レーザ装置において、200〜300mW超の高出力が市場から要求されるに至っている。
上述した高出力・高速な光デバイスを実用化するためには、動作電流・動作電圧を低減させることが必要である。そのためには、半導体層と電極金属界面でオーミック特性を有する低抵抗なコンタクト電極を実現することが必要である(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電極は、半導体基板上にNi層(もしくはTi層)を設け、その上にPt層とAu層を2回以上形成する構成である。この構成は、窒化物半導体上のp型電極として用いられる。
特開2002−111061号公報
上述したように、特に拡散係数が大きいGaとNiは、層平面方向だけでなく層に垂直な方向へも拡散する。電極中をGaやNiが拡散して電極表面に偏析すると、酸化物を形成し、ワイヤーボンド強度の低下をはじめとする、他の部材とのコンタクト異常などの問題が発生する。
一般に、最表面の電極材料としてAuを形成し、そのAu層に金ワイヤーを接続することが多い。n型GaAsにオーミック電極を形成するには、一般的に合金化処理(350℃以上での熱処理)が必要であり、Ga、Niは熱処理で大きく拡散し、その一部が最表面に存在するAu層の粒界を通り、電極表面にまで到達して表面部分で酸化物(Ga−O、Ni−Oなど)を形成する。酸化物は、一般に抵抗が高いため、表面部分で高抵抗な層が形成されることになる。
また、電極表面にGa、Niなどが偏析した状態でワイヤーを接続すると、電極・ワイヤー間の密着性が低下してしまい、ワイヤーボンド不良を引き起こす原因となる。
また、熱処理に伴い、Niが表面拡散してしまうと、Ge拡散促進効果が薄れてしまい、コンタクト抵抗が上昇してしまう。
また、Ni自体は、n型GaAs基板と金属電極層との界面に存在して密着性を向上させる役割を果たしている。密着性を維持する観点からもNiの表面拡散を抑止する必要がある。
上記各課題に鑑み、n型GaAs層のオーミック電極には、AuGeNi層形成後にアロイを実施し、さらにAuGeNi層の上にコンタクト用の電極を別途形成する場合が多い。この場合、コンタクト用電極にPt層、Pd層、Ti層を用いてNiやGaの拡散を抑制することが考えられる。
図6は従来の半導体層上に形成された電極の構成を模式的に示す断面図である。n型GaAs基板61上に、n型半導体層62、AuGeNi合金層63、Ni64、接合メタル層としてのTi層65、バリアメタル層としてのPt層66、最上層の表面金属であるAu層69で構成された電極が形成されている。
図6に示すように、AuGeNi合金層63および表面金層のAu層69との間にバリアメタル層のPt層66を挿入すると、接触電位の低減と共に金層表面69への他元素の拡散を防ぐ役割を果たし、電極の性能保持の点で好ましい。
上記構成の電極では、拡散を効果的に抑止するために、バリアメタル層66の厚みを厚くする必要がある。バリアメタル層66の厚さが厚くなると、特に発熱量の多い高出力動作時において、半導体層62における応力が大きくなり、欠陥の発生が促進されてデバイス特性を悪化させてしまうおそれがある。
本発明の目的は、GaAs系のコンタクト層上に形成されたn型電極において、コンタクト層のGaおよびn型電極でオーミック接合を形成するために必要なAuGeNi合金層のNiなどの表面拡散を抑止することができるオーミック電極構造体およびそれを有する半導体素子を提供することを目的とする。また、内部応力を大きくすることなく、そのような効果を得ることができるオーミック電極構造体およびそれを有する半導体素子を提供することを目的とする。
本発明のオーミック電極構造体は、上記課題を解決するために、n型GaAs層上に設けられたAuGeNi合金層と、前記AuGeNi合金層上に設けられた接合メタル層および前記接合メタル層上に設けられたバリアメタル層とで構成された積層体とを備え、前記積層体が2周期以上設けられたことを特徴とする。
本発明の半導体素子は、上記記載のオーミック電極構造体が設けられた半導体素子であって、前記n型GaAs層を含む半導体層の膜厚を80μm以上120μm以下としたことを特徴とする。
本発明によれば、n型半導体層上に密着性の高い金属材料(接合メタル層:Ti、Niなど)とバリア性の高い材料(バリアメタル層:Pt、Pdなど)との積層体を2周期以上形成するn型電極構造を用いることにより、バリア性の向上を図ると共に、異種電極材料によるヘテロ界面を複数形成することによりGaおよびNiの表面拡散を抑止し、ワイヤーボンド不良および電極内部のボイド発生を抑制することができる。このため、オーミック電極構造体の抵抗を小さくすることができる。
さらに、接合メタル層およびバリアメタル層の膜厚が薄くても十分な効果を得ることができるので、各層の膜厚を薄くすることで、オーミック電極構造体の内部応力を小さくすることができる。
図1は、本発明の実施形態1における電極金属層を模式的に示す断面図である。 図2は、本実施形態に係るコンタクト抵抗率の各電極膜厚依存性について実験した結果を示す図である。 図3は、本実施形態に係る電極の総膜厚とウェハ反り量との関係についての実験結果を示す図である。 図4は、本実施形態に係る各層の膜厚とウェハに生じる応力との関係についての実験結果を示す図である。 図5は、本発明の実施形態2における集積化半導体レーザ装置を上方から見た斜視図である。 図6は、従来の電極金属層を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 赤色半導体レーザ
2 赤外半導体レーザ
11、31 n型GaAs基板
12 n型半導体層
13 AuGeNi合金層
14 Ni
15 第一Ti層
16 第一Pt層
17 第二Ti層
18 第二Pt層
19 Au層
20 電極金属層
21〜30 特性線
32 n型のクラッド層
33 活性層
34 p型の第一のクラッド層
35 エッチング停止層
36 p型の第二のクラッド層
37 コンタクト層
38 絶縁層
39 p型電極
42 n型のクラッド層
43 活性層
44 p型の第一のクラッド層
45 エッチング停止層
46 p型の第二のクラッド層
47 コンタクト層
48 絶縁層
49 p型電極
50 n型電極
51、52 誘電体膜
53 前方端面
54 後方端面
55 分離溝
本発明のオーミック電極構造体および半導体素子は、上記構成を基本として、以下のような種々の態様をとることができる。
すなわち、本発明のオーミック電極構造体において、前記バリアメタル層は、Pt、Pdのいずれかからなり、前記接合メタル層は、Ti、Niのいずれかからなる構成にすることができる。
また、前記AuGeNi合金層上の積層体を1周期目とし、前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みを100nm以上とし、前記1周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みが、前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みよりも薄い構成にすることもできる。さらに、前記1周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みは、前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みの1/2以下である構成にしてもよい。
また、前記AuGeNi合金層上の前記積層体を1周期目とし、前記積層体の周期数をaとしたときに、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みを100nm以上とし、前記a周期目の積層体における接合メタル層の厚みが、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みよりも薄い構成にすることができる。さらに、前記a周期目の積層体における接合メタル層の厚みは、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みの1/2以下である構成にしてもよい。
また、前記周期数が3以上である場合、前記1周期目と前記a周期目の積層体に挟まれた前記接合メタル層と前記バリアメタル層の各層の膜厚を、前記1周期目の積層体における接合メタル層と前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層よりもそれぞれ薄い構成にすることができる。
また、前記積層体の最上層上にAuを主成分とするAu層を備え、前記Au層は、膜厚が100nm以上である構成にすることもできる。
また、本願発明の半導体素子において、前記オーミック電極構造体が設けられた当該導体素子の面の裏面に第二の電極構造体が設けられた構成にすることもできる。また、前記第二の電極構造体は、少なくともAu、Pt、Tiのいずれかを含む構成にすることもできる。
また、前記第二の電極構造体の最上層は、Auを主成分とするAu層であり、かつ前記第二の電極構造体のAu層の膜厚が100nm以上である構成にすることができる。
また、上記半導体素子が複数設けられ、前記半導体素子ごとに前記オーミック電極構造体が設けられ、前記オーミック電極構造体は、半導体素子間の境界領域で分離されている構成にすることができる。また、上記半導体素子が複数設けられ、前記半導体素子ごとに第二の電極構造体が複数設けられ、第二の電極構造体は、半導体素子間の境界領域で分離されている構成にすることもできる。
また、前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体は、それぞれの接合メタル材料およびバリアメタル材料が同一元素からなり、前記接合メタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しく、前記バリアメタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しい構成にすることができる。
また、前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体は、それぞれの接合メタル材料およびバリアメタル材料が同一元素からなり、前記第二の電極構造体は、接合メタル材料とバリアメタル材料とが積層された積層体を有し、前記接合メタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しく、前記バリアメタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しい構成にすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における半導体層上に形成された電極構造体を模式的に示す断面図である。この電極構造体は、n型GaAsコンタクト層(n型半導体層)12とn型半導体層上に形成された電極金属層(電極)20とを有する。本実施の形態では、n型電極を例に説明する。
図1において、n型GaAs基板11上には、電極金属層20とのコンタクト層であるn型半導体層12が形成されている。n型半導体層12上にAuGeNi合金層13が形成され、AuGeNi合金層13にはNi14が含まれている。AuGeNi合金層13上には、1周期目の接合メタル層としての第一Ti層15が形成されている。第一Ti層15上には、1周期目のバリアメタル層としての第一Pt層16が形成されている。第一Pt層16上には、2周期目の接合メタル層としての第二Ti層17が形成されている。第二Ti層17上には、2周期目のバリアメタル層としての第二Pt層18が形成されている。第二Pt層18上には、最上層の表面金属であるAu層19が形成されている。本実施形態に係る電極は、接合メタル層とバリアメタル層との積層体が2層以上形成されている。
次に、本実施形態に係る電極の製造方法について説明する。先ず、n型GaAs基板11上に、有機金属気相成長(MOVPE)法によりn型半導体層12を結晶成長させる。n型のドーパントとしてはSiを用いる。なお、本発明はn型半導体の電極に関するものであり、半導体基板側の層構造は特に限定しない。また、結晶成長方法は、有機金属気相成長法以外の手法を用いることもできる。
このようにして形成されたn型半導体層12の表面を、アセトン、メタノールなどの有機溶媒を用いて洗浄し、乾燥させた後、電子ビーム蒸着あるいはスパッタリングなどにより、n型半導体層12上に電極金属層20を形成する。
電極金属層20を形成するために、先ず、オーミックコンタクトを得るために必須となるAuGeNi合金層13を形成する。このAuGeNi合金層13の厚みは特に規定しない。AuGeNi合金層13中のNi14は非常に酸化しやすく、AuGeNi層が大気に触れた場合、Niが酸化してしまい高抵抗化してしまう。Niが酸化するのを防ぐため、AuGeNi合金層の上に50〜100nm程度の薄いAu層(図示せず)を挿入してもよい。ただし、AuGeNi合金層13を形成後、連続してAuGeNi層13上の電極構造を成膜する場合は、Au層を挿入する必要はない。AuGeNi合金層13中のNi14は膜厚が薄い場合、平坦に存在せず、アイランド状になる。
つぎに、AuGeNi合金層13の上に、厚さ100nmの第一Ti層15、厚さ50nmの第一Pt層16、厚さ50nmの第二Ti層17、厚さ100nmの第二Pt層18を順に積層形成する。
なお、本実施形態では、接合メタル層の材料としてTiを用いたが、高い仕事関数を持ちTiと同様な接着性を持つNiを用いてもよい。また、バリアメタル層の材料としてPtを用いたが、高いバリア性を持つPdを用いてもよい。
つぎに、第二Pt層18上に最上面のAu層19を形成する。Au層19は、ワイヤーボンド時に配線ワイヤーとの接触に耐えるために、厚さが100nm以上必要である。このAu層19が薄い場合は、ワイヤーボンド時の密着性が低下し、ワイヤーボンド不良が発生する。以上の工程により、電極金属層20が形成される。
つぎに、電極金属層20の形成後にアニール炉により、電極金属層20に対して熱処理を行う。この熱処理は、不活性ガスである窒素雰囲気中で行われることが望ましい。熱処理の温度としては、350℃以上、450℃以下の範囲で行うことがよい。450℃を超えるとn型半導体層12に影響を及ぼしてしまうおそれがある。この熱処理により、n型半導体層12にAuGeNi合金層13のGeが取り込まれ、n型半導体層12とAuGeNi合金層13とのエネルギー障壁が低くなる。以上の工程により、本実施形態に係る電極が形成される。
以下、本実施形態に係るオーミック電極構造体の構成によって得られる効果について説明する。図6に示す従来のような接合メタル層とバリアメタル層との積層体が1層であるTi/Pt/Au積層構造の場合、上記のような熱処理を施すと、アイランド状であったNi64のNiやGaなどの元素は他の電極材料層の結晶粒界を通り抜けて(矢印71方向)表面まで到達する。ここで、結晶粒界とは結晶粒子と結晶粒子との間を指す。そしてNiやGaが移動した後、その部位がピンホール化(空洞化)する。これにより、電極は接触面積が狭まり、電極金属と半導体との界面においてコンタクト抵抗が上昇する。
一般に、半導体装置は、駆動電圧・駆動電流の低下が求められている。駆動電圧・駆動電流を下げるためには、電極の抵抗を下げればよい。電極の抵抗を下げるには、前記空洞化を防ぎ、電流注入経路に偏りが発生しないようにすることが必要である。
熱処理時におけるNiやGaの拡散は、異なる元素で構成される層の界面で大きく抑止される。このような性質を利用するために、Ti層とPt層を繰り返して積層した多層構造を取ることにより、熱処理によるNiやGaの表面拡散が抑止され、ピンホールのような空洞形成を防ぐことができる。本実施形態に係る電極は、n型半導体層12上に密着性の高い金属材料(Ti、Niなど)とバリア性の高い材料(Pt、Pdなど)との積層体を2周期以上形成した構成である。
図2は、コンタクト抵抗率の各電極膜厚依存性について実験した結果を示すグラフである。特性線21〜24は、それぞれ第一Ti層15、第一Pt層16、第二Ti層17、第二Pt層18のコンタクト抵抗率の電極膜厚依存性を示す。図2において、特性線21は、特性線22〜24よりも傾きが大きい。つまり、コンタクト抵抗率は、第一Ti層15の厚みに最も依存しており、第一Ti層15の厚さを厚くすることでコンタクト抵抗率を低減できることが実験的に分かった。第一Ti層15は、n型半導体層12およびAuGeNi合金層13から見て、Ti層とPt層の積層構造における第1層目であり、密着性を向上させると共に、半導体層12およびAuGeNi合金層13からの拡散に対するバリア層として作用すると考えられる。
このことを実験的に検証するために、本実施形態に係る電極に対してオージェ電子分光分析(AES)を実施した。その結果、第一Ti層15は、Ga、Niの拡散を抑止できることが分かった。一方、第一Ti層を厚さ50nmに薄くして、オージェ電子分光分析を実施すると、Ga、Niは表面側に拡散してしまうことが分かった。以上より、第一Ti厚15を100nm以上に形成すれば拡散防止層として作用することが分かった。
次に、ウェハーレベルでの反り量評価実験を行った。図3は、電極の総膜厚とウェハ(n型GaAs基板11およびn型半導体層12)反り量の関係についての実験結果を示すグラフである。図3における特性線25は熱処理(アロイ)前のウェハ反り量を示し、特性線26は熱処理(アロイ)後のウェハ反り量を示す。熱処理(アロイ)を実施することによって、ウェハ反り量はアロイ前に比べてさらに大きくなっている。また、総膜厚が厚くなるにつれて、ウェハ反り量は大きくなっている。熱処理(アロイ)は、コンタクト抵抗率を下げるためには必須であるため、無くすことは非常に困難である。したがって、ウェハ反り量を抑え、デバイスに掛かる応力を低減するためには、できる限り各層の膜厚を薄くして総膜厚を薄くする必要がある。
図4は、各層の膜厚とウェハに生じる応力との関係についての実験結果を示すグラフである。特性線27〜30は、それぞれ第一Ti層15、第一Pt層16、第二Ti層17、第二Pt層18によりウェハに生じる応力を示すグラフである。図4において、特性線28、29の傾きは特性線27、30よりも傾きが大きい。つまり、ウェハの応力は、特に第一Pt層16の膜厚と第二Ti層17との膜厚に大きく影響を受けることが分かった。よって、ウェハの応力を減らすためには、第一Pt層16の膜厚と第二Ti層17の膜厚とを他の層よりも薄く形成するとよい。本実施形態に係る電極は、第一Ti層15および第二Pt層18の膜厚がそれぞれ100nmであり、第一Pt層16および第二Ti層17の膜厚がそれぞれ50nmである。このため、各層が同程度の膜厚である場合よりもウェハの応力を低減することができる。
以上のように、本実施の形態に係る電極は、Ti層とPt層との積層体が2層ある構造にすることにより、熱処理(アロイ)後においても、抵抗値が高くならず、低抵抗なオーミック電極である。
また、第一Ti層15を厚さ100nm、第一Pt層16を厚さ50nm、第二Ti層17を厚さ50nm、第二Pt層18を厚さ100nmとすることにより、熱処理後のウェハの応力が低減する。応力が低減することにより半導体基板内部における欠陥の発生が抑制され、高出力時の信頼性が確保される。
これらの効果により、本実施の形態に係る電極は、最上層の金属表面のAu層19を含む電極総膜厚は910〜1010nm程度となるが、電極作成時のリフトオフ性は良好であり、アロイ後の電極表面荒れも見られない。
また、合金化処理のための熱処理においても、GaやNiの表面拡散が抑制されるので、良好な密着性とオーミック性を持つ電極を形成することができ、半導体プロセスの安定化、簡素化を実現することができる。
このような電極を用いることにより、デバイスの特性を損なうことなく、低抵抗なコンタクト形成が可能となる。その結果、デバイスの信頼性を確保しつつ、駆動電圧・駆動電流を下げることができる。
なお、本実施の形態では、Ti層とPt層との積層体が2層である場合を例に説明したが、2層である場合に限定されない。Ti層とPt層との積層体a層(aは3以上)である場合には、1周期目とa周期目の積層体に挟まれたTi層とPt層(以降、中間層と呼ぶ)の各層の膜厚については、それぞれ1周期目のTi層、a周期目のPt層よりも薄く形成することが望ましい。1周期目のTi層、a周期目のPt層と比べて、中間層は膜厚に対して応力が大きく増加する傾向がある(図4参照)ため、50nm程度まで薄くしておくことが望ましい。
以上のような本実施形態の電極構造体を採用することにより、異種電極材料によるヘテロ界面を複数形成することによって、Ga、Niの表面拡散を抑止し、ワイヤーボンド不良を抑制でき、良好な密着性とオーミック性を持つ電極構造体を形成することでコンタクト抵抗の上昇を抑えることができる。また、接合メタル層(第一Ti層15、第二Ti層17)とバリアメタル層(第一Pt層16、第一Pt層18)について、各層の膜厚を最適設定することで、電極に起因する応力を小さくすることができるため、デバイスの特性を損なうことなく、低抵抗なコンタクト形成が可能となる。
なお、本実施形態は、n型半導体における電極に関するものであり、p型半導体側の電極は特に制限しない。また、本実施の形態ではn型GaAsコンタクト層上の電極形成例について記載したが、他の材料系(例えばGaN系材料)を用いても同様に構成することができる。他の材料系を用いても、n型半導体層上に密着性の高い金属材料(接合メタル層)とバリア性の高い材料(バリアメタル層)を2周期以上形成することで、バリア性の向上を図ると共に、異種電極材料によるヘテロ界面を複数形成することによりGaの表面拡散を抑止し、ワイヤーボンド不良および電極内部のボイド発生を抑制することができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る半導体素子は、半導体素子の表面と裏面の両方に電極が形成されている。このような構成の半導体素子として、例えば2波長半導体レーザ装置がある。以下、2波長半導体レーザ装置を例にとって具体的に説明する。
図5は、本実施形態に係る2波長半導体レーザ装置を上方から見た斜視図である。本実施形態に係る2波長半導体レーザ装置は、660nm帯に発振波長を有する赤色半導体レーザ1と、780nm帯に発振波長を有する赤外半導体レーザ2とが、同一基板上に形成されている。
図5に示すように、本実施形態の2波長半導体レーザ装置は、n型GaAs基板31上に、赤色半導体レーザ1と赤外半導体レーザ2が一体形成されている。赤色半導体レーザ1は、n型GaAs基板31上にn型のクラッド層32、活性層33、p型の第一のクラッド層34、エッチング停止層35、p型の第二のクラッド層36、コンタクト層37、絶縁層38が順次積層されている。
赤外半導体レーザ2も赤色半導体レーザ1と同様の構成であり、n型GaAs基板31上にn型のクラッド層42、活性層43、p型の第一のクラッド層44、エッチング停止層45、p型の第二のクラッド層46、コンタクト層47、絶縁層48が順次積層されている。
絶縁層38は、p型の第二のクラッド層36に形成された台形状の凸部であるリッジストライプ構造の側面およびエッチング停止層35の上面を被覆している。なお、リッジストライプ構造は、台形状に限定されるものではなく、側辺を略垂直に立ち上げた長方形状(直方体状)でもよい。p型の第二のクラッド層36のリッジストライプ構造上面には、絶縁層38は形成されていない。リッジストライプ構造の上面には、p型の電極(p型電極)39が配置されており、リッジストライプ構造内へキャリア(ホール)を注入可能である。赤外半導体レーザ2側も同様にしてp型の電極(p型電極)49が配置された構成である。
n型GaAs基板31の裏面には、p型電極39、49に対してn型電極50が配置されている。p型の第二のクラッド層36のリッジストライプ構造に直交する方向で共振器を形成した2つの端面は、それぞれ、誘電体膜51、52でコーティングされ、レーザ光が出射される出射面(前方端面)53、およびその反対側に位置する後方端面54が形成されている。
赤色半導体レーザ1と赤外半導体レーザ2とを電気的に分離するために分離溝55が設けられている。p型電極39、49とn型電極50との少なくともいずれか一方を半導体素子間の境界領域(分離溝)において分離し、個々にバイアスを印加することにより、それぞれのレーザを個別に動作させることができる。図5に示す例では、一対のp型電極39、49を分離し、n型電極50は共通電極である。つまり、p型電極39とp型電極49とは、以下に示す同じ積層構造を有してもよい。
コンタクト層37、47とオーミック接合するp型電極39、49の構造としては、Ti/Pt/Auの積層構造が挙げられる。Ti/Pt/Auの積層構造を有するp型電極39、49は、接合メタル層としてのTi層が50〜200nm、バリアメタル層としてのPt層が50〜200nm、表面金属としてAu層が100nm以上形成されている。
端面出射型の半導体レーザの場合、劈開によりミラー面(鏡面)を作製する必要がある。基板厚が厚いと劈開性が悪化するため、半導体基板をエッチングまたは研磨により80μm〜120μm厚に薄化されている。
n型電極50は、実施の形態1に示したAuGeNi/Ti/Pt/Ti/Pt/Au構造であり、n型GaAs基板31の裏面に形成されている。n型GaAs基板31の厚さを薄くした場合、電極に対して熱処理がされると、ウェハには大きな応力が生じて、反りが生じる。
このとき、p型電極39、49とn型電極50の接合メタル材料(本例ではTi)が同一元素からなり、かつ、接合メタル材料の膜厚の和がp型電極39、49とn型電極50とで略等しくなるように、膜厚を設定することが望ましい。また、同様にp型電極39、49とn型電極50のバリアメタル材料(本例ではPt)が同一元素からなり、バリアメタル材料の膜厚の和がp型電極39、49とn型電極50とで略等しくなるように膜厚を設定することが望ましい。
さらにp型電極39、49については、n型電極50と同様に接合メタル材料とバリアメタル材料とを複数積層しても良い。例えば、コンタクト層37、47に対するオーミック電極はTi/Pt/Au構造であり、n型電極50はTi/Pt/Ti/Pt/Au構造である。そして各電極において、接合メタル材料(本例ではTi)及びバリアメタル材料(本例ではPt)の膜厚の和がp型電極とn型電極で略等しくなるように膜厚を設定することも出来る。Ti層とPt層を繰り返して積層した多層構造を取ることにより、熱処理によるGaの表面拡散が抑止され、ピンホールのような空洞形成を防ぐことができる。この構成により、低抵抗な電極とすることができる。
また、基板の表面と裏面側で電極材料に起因する応力を互いに打ち消しあうことができるため、デバイスに内在する応力を軽減することが可能である。半導体レーザの場合、チップ内部に存在する活性層への応力(歪)を軽減することで、レーザ駆動時の欠陥発生を抑えることができ、信頼性の向上に繋がる。
本発明は、n型GaAs半導体に対するオーミック電極、および、それを用いる半導体素子に有効であり、半導体レーザの他、電子デバイスなどに適用可能である。
本発明は、n型GaAs半導体層のオーミック電極構造体、および、その電極構造体を用いる半導体素子に関するものである。
半導体レーザやGaAs系ICなどの化合物半導体素子において、n型GaAs層上にオーミック電極が形成されている。オーミック電極には、オーミック接合を実現できる金属として、一般的にAuGeNiの合金が用いられる。Geは、オーミック電極のAuGe中のGeは、Auとの共晶組成を考慮して約12%添加され、アロイ(合金処理)によりGaAs層中のGa格子点に取り込まれ、n型のドーパントになる。これによりAuGeNi層とn型GaAs層とのエネルギー障壁が低くなり、電子のトンネリングが可能になる。
一方、AuGeNi合金のNiは、拡散速度が遅いGeの拡散を促進するために使用される。Ni拡散によりGaAsの化学自由エネルギーが下がるが、Ni自体は、GaAsのp型ドーパントになり、かつ拡散が速いためアロイ温度や時間に注意する必要がある。
このような電極構造を用いるものとして半導体レーザが挙げられる。半導体レーザは、エレクトロニクスやオプトエレクトロニクスの多くの分野で広く使用されており、光デバイスとして不可欠なものである。特に、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスク)などの光ディスク機器は、大容量の記録媒体として、現在、盛んに利用されている。
さらに、記録容量の増加と共に、記録速度の高速化が進んできており、その動向は、特にCD用およびDVD用の半導体レーザにおいて顕著である。記録速度を高速化するためには、半導体レーザ装置の高出力化が必要とされる。近年では、CD用赤外半導体レーザ装置やDVD用赤色半導体レーザ装置において、200〜300mW超の高出力が市場から要求されるに至っている。
上述した高出力・高速な光デバイスを実用化するためには、動作電流・動作電圧を低減させることが必要である。そのためには、半導体層と電極金属界面でオーミック特性を有する低抵抗なコンタクト電極を実現することが必要である(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電極は、半導体基板上にNi層(もしくはTi層)を設け、その上にPt層とAu層を2回以上形成する構成である。この構成は、窒化物半導体上のp型電極として用いられる。
特開2002−111061号公報
上述したように、特に拡散係数が大きいGaとNiは、層平面方向だけでなく層に垂直な方向へも拡散する。電極中をGaやNiが拡散して電極表面に偏析すると、酸化物を形成し、ワイヤーボンド強度の低下をはじめとする、他の部材とのコンタクト異常などの問題が発生する。
一般に、最表面の電極材料としてAuを形成し、そのAu層に金ワイヤーを接続することが多い。n型GaAsにオーミック電極を形成するには、一般的に合金化処理(350℃以上での熱処理)が必要であり、Ga、Niは熱処理で大きく拡散し、その一部が最表面に存在するAu層の粒界を通り、電極表面にまで到達して表面部分で酸化物(Ga−O、Ni−Oなど)を形成する。酸化物は、一般に抵抗が高いため、表面部分で高抵抗な層が形成されることになる。
また、電極表面にGa、Niなどが偏析した状態でワイヤーを接続すると、電極・ワイヤー間の密着性が低下してしまい、ワイヤーボンド不良を引き起こす原因となる。
また、熱処理に伴い、Niが表面拡散してしまうと、Ge拡散促進効果が薄れてしまい、コンタクト抵抗が上昇してしまう。
また、Ni自体は、n型GaAs基板と金属電極層との界面に存在して密着性を向上させる役割を果たしている。密着性を維持する観点からもNiの表面拡散を抑止する必要がある。
上記各課題に鑑み、n型GaAs層のオーミック電極には、AuGeNi層形成後にアロイを実施し、さらにAuGeNi層の上にコンタクト用の電極を別途形成する場合が多い。この場合、コンタクト用電極にPt層、Pd層、Ti層を用いてNiやGaの拡散を抑制することが考えられる。
図6は従来の半導体層上に形成された電極の構成を模式的に示す断面図である。n型GaAs基板61上に、n型半導体層62、AuGeNi合金層63、Ni64、接合メタル層としてのTi層65、バリアメタル層としてのPt層66、最上層の表面金属であるAu層69で構成された電極が形成されている。
図6に示すように、AuGeNi合金層63および表面金層のAu層69との間にバリアメタル層のPt層66を挿入すると、接触電位の低減と共に金層表面69への他元素の拡散を防ぐ役割を果たし、電極の性能保持の点で好ましい。
上記構成の電極では、拡散を効果的に抑止するために、バリアメタル層66の厚みを厚くする必要がある。バリアメタル層66の厚さが厚くなると、特に発熱量の多い高出力動作時において、半導体層62における応力が大きくなり、欠陥の発生が促進されてデバイス特性を悪化させてしまうおそれがある。
本発明の目的は、GaAs系のコンタクト層上に形成されたn型電極において、コンタクト層のGaおよびn型電極でオーミック接合を形成するために必要なAuGeNi合金層のNiなどの表面拡散を抑止することができるオーミック電極構造体およびそれを有する半導体素子を提供することを目的とする。また、内部応力を大きくすることなく、そのような効果を得ることができるオーミック電極構造体およびそれを有する半導体素子を提供することを目的とする。
本発明のオーミック電極構造体は、上記課題を解決するために、n型GaAs層上に設けられたAuGeNi合金層と、前記AuGeNi合金層上に設けられた接合メタル層および前記接合メタル層上に設けられたバリアメタル層とで構成された積層体とを備え、前記積層体が2周期以上設けられたことを特徴とする。
本発明の半導体素子は、上記記載のオーミック電極構造体が設けられた半導体素子であって、前記n型GaAs層を含む半導体層の膜厚を80μm以上120μm以下としたことを特徴とする。
本発明によれば、n型半導体層上に密着性の高い金属材料(接合メタル層:Ti、Niなど)とバリア性の高い材料(バリアメタル層:Pt、Pdなど)との積層体を2周期以上形成するn型電極構造を用いることにより、バリア性の向上を図ると共に、異種電極材料によるヘテロ界面を複数形成することによりGaおよびNiの表面拡散を抑止し、ワイヤーボンド不良および電極内部のボイド発生を抑制することができる。このため、オーミック電極構造体の抵抗を小さくすることができる。
さらに、接合メタル層およびバリアメタル層の膜厚が薄くても十分な効果を得ることができるので、各層の膜厚を薄くすることで、オーミック電極構造体の内部応力を小さくすることができる。
本発明のオーミック電極構造体および半導体素子は、上記構成を基本として、以下のような種々の態様をとることができる。
すなわち、本発明のオーミック電極構造体において、前記バリアメタル層は、Pt、Pdのいずれかからなり、前記接合メタル層は、Ti、Niのいずれかからなる構成にすることができる。
また、前記AuGeNi合金層上の積層体を1周期目とし、前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みを100nm以上とし、前記1周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みが、前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みよりも薄い構成にすることもできる。さらに、前記1周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みは、前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みの1/2以下である構成にしてもよい。
また、前記AuGeNi合金層上の前記積層体を1周期目とし、前記積層体の周期数をaとしたときに、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みを100nm以上とし、前記a周期目の積層体における接合メタル層の厚みが、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みよりも薄い構成にすることができる。さらに、前記a周期目の積層体における接合メタル層の厚みは、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みの1/2以下である構成にしてもよい。
また、前記周期数が3以上である場合、前記1周期目と前記a周期目の積層体に挟まれた前記接合メタル層と前記バリアメタル層の各層の膜厚を、前記1周期目の積層体における接合メタル層と前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層よりもそれぞれ薄い構成にすることができる。
また、前記積層体の最上層上にAuを主成分とするAu層を備え、前記Au層は、膜厚が100nm以上である構成にすることもできる。
また、本願発明の半導体素子において、前記オーミック電極構造体が設けられた当該導体素子の面の裏面に第二の電極構造体が設けられた構成にすることもできる。また、前記第二の電極構造体は、少なくともAu、Pt、Tiのいずれかを含む構成にすることもできる。
また、前記第二の電極構造体の最上層は、Auを主成分とするAu層であり、かつ前記第二の電極構造体のAu層の膜厚が100nm以上である構成にすることができる。
また、上記半導体素子が複数設けられ、前記半導体素子ごとに前記オーミック電極構造体が設けられ、前記オーミック電極構造体は、半導体素子間の境界領域で分離されている構成にすることができる。また、上記半導体素子が複数設けられ、前記半導体素子ごとに第二の電極構造体が複数設けられ、第二の電極構造体は、半導体素子間の境界領域で分離されている構成にすることもできる。
また、前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体は、それぞれの接合メタル材料およびバリアメタル材料が同一元素からなり、前記接合メタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しく、前記バリアメタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しい構成にすることができる。
また、前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体は、それぞれの接合メタル材料およびバリアメタル材料が同一元素からなり、前記第二の電極構造体は、接合メタル材料とバリアメタル材料とが積層された積層体を有し、前記接合メタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しく、前記バリアメタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しい構成にすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における半導体層上に形成された電極構造体を模式的に示す断面図である。この電極構造体は、n型GaAsコンタクト層(n型半導体層)12とn型半導体層上に形成された電極金属層(電極)20とを有する。本実施の形態では、n型電極を例に説明する。
図1において、n型GaAs基板11上には、電極金属層20とのコンタクト層であるn型半導体層12が形成されている。n型半導体層12上にAuGeNi合金層13が形成され、AuGeNi合金層13にはNi14が含まれている。AuGeNi合金層13上には、1周期目の接合メタル層としての第一Ti層15が形成されている。第一Ti層15上には、1周期目のバリアメタル層としての第一Pt層16が形成されている。第一Pt層16上には、2周期目の接合メタル層としての第二Ti層17が形成されている。第二Ti層17上には、2周期目のバリアメタル層としての第二Pt層18が形成されている。第二Pt層18上には、最上層の表面金属であるAu層19が形成されている。本実施形態に係る電極は、接合メタル層とバリアメタル層との積層体が2層以上形成されている。
次に、本実施形態に係る電極の製造方法について説明する。先ず、n型GaAs基板11上に、有機金属気相成長(MOVPE)法によりn型半導体層12を結晶成長させる。n型のドーパントとしてはSiを用いる。なお、本発明はn型半導体の電極に関するものであり、半導体基板側の層構造は特に限定しない。また、結晶成長方法は、有機金属気相成長法以外の手法を用いることもできる。
このようにして形成されたn型半導体層12の表面を、アセトン、メタノールなどの有機溶媒を用いて洗浄し、乾燥させた後、電子ビーム蒸着あるいはスパッタリングなどにより、n型半導体層12上に電極金属層20を形成する。
電極金属層20を形成するために、先ず、オーミックコンタクトを得るために必須となるAuGeNi合金層13を形成する。このAuGeNi合金層13の厚みは特に規定しない。AuGeNi合金層13中のNi14は非常に酸化しやすく、AuGeNi層が大気に触れた場合、Niが酸化してしまい高抵抗化してしまう。Niが酸化するのを防ぐため、AuGeNi合金層の上に50〜100nm程度の薄いAu層(図示せず)を挿入してもよい。ただし、AuGeNi合金層13を形成後、連続してAuGeNi層13上の電極構造を成膜する場合は、Au層を挿入する必要はない。AuGeNi合金層13中のNi14は膜厚が薄い場合、平坦に存在せず、アイランド状になる。
つぎに、AuGeNi合金層13の上に、厚さ100nmの第一Ti層15、厚さ50nmの第一Pt層16、厚さ50nmの第二Ti層17、厚さ100nmの第二Pt層18を順に積層形成する。
なお、本実施形態では、接合メタル層の材料としてTiを用いたが、高い仕事関数を持ちTiと同様な接着性を持つNiを用いてもよい。また、バリアメタル層の材料としてPtを用いたが、高いバリア性を持つPdを用いてもよい。
つぎに、第二Pt層18上に最上面のAu層19を形成する。Au層19は、ワイヤーボンド時に配線ワイヤーとの接触に耐えるために、厚さが100nm以上必要である。このAu層19が薄い場合は、ワイヤーボンド時の密着性が低下し、ワイヤーボンド不良が発生する。以上の工程により、電極金属層20が形成される。
つぎに、電極金属層20の形成後にアニール炉により、電極金属層20に対して熱処理を行う。この熱処理は、不活性ガスである窒素雰囲気中で行われることが望ましい。熱処理の温度としては、350℃以上、450℃以下の範囲で行うことがよい。450℃を超えるとn型半導体層12に影響を及ぼしてしまうおそれがある。この熱処理により、n型半導体層12にAuGeNi合金層13のGeが取り込まれ、n型半導体層12とAuGeNi合金層13とのエネルギー障壁が低くなる。以上の工程により、本実施形態に係る電極が形成される。
以下、本実施形態に係るオーミック電極構造体の構成によって得られる効果について説明する。図6に示す従来のような接合メタル層とバリアメタル層との積層体が1層であるTi/Pt/Au積層構造の場合、上記のような熱処理を施すと、アイランド状であったNi64のNiやGaなどの元素は他の電極材料層の結晶粒界を通り抜けて(矢印71方向)表面まで到達する。ここで、結晶粒界とは結晶粒子と結晶粒子との間を指す。そしてNiやGaが移動した後、その部位がピンホール化(空洞化)する。これにより、電極は接触面積が狭まり、電極金属と半導体との界面においてコンタクト抵抗が上昇する。
一般に、半導体装置は、駆動電圧・駆動電流の低下が求められている。駆動電圧・駆動電流を下げるためには、電極の抵抗を下げればよい。電極の抵抗を下げるには、前記空洞化を防ぎ、電流注入経路に偏りが発生しないようにすることが必要である。
熱処理時におけるNiやGaの拡散は、異なる元素で構成される層の界面で大きく抑止される。このような性質を利用するために、Ti層とPt層を繰り返して積層した多層構造を取ることにより、熱処理によるNiやGaの表面拡散が抑止され、ピンホールのような空洞形成を防ぐことができる。本実施形態に係る電極は、n型半導体層12上に密着性の高い金属材料(Ti、Niなど)とバリア性の高い材料(Pt、Pdなど)との積層体を2周期以上形成した構成である。
図2は、コンタクト抵抗率の各電極膜厚依存性について実験した結果を示すグラフである。特性線21〜24は、それぞれ第一Ti層15、第一Pt層16、第二Ti層17、第二Pt層18のコンタクト抵抗率の電極膜厚依存性を示す。図2において、特性線21は、特性線22〜24よりも傾きが大きい。つまり、コンタクト抵抗率は、第一Ti層15の厚みに最も依存しており、第一Ti層15の厚さを厚くすることでコンタクト抵抗率を低減できることが実験的に分かった。第一Ti層15は、n型半導体層12およびAuGeNi合金層13から見て、Ti層とPt層の積層構造における第1層目であり、密着性を向上させると共に、半導体層12およびAuGeNi合金層13からの拡散に対するバリア層として作用すると考えられる。
このことを実験的に検証するために、本実施形態に係る電極に対してオージェ電子分光分析(AES)を実施した。その結果、第一Ti層15は、Ga、Niの拡散を抑止できることが分かった。一方、第一Ti層を厚さ50nmに薄くして、オージェ電子分光分析を実施すると、Ga、Niは表面側に拡散してしまうことが分かった。以上より、第1Ti厚15を100nm以上に形成すれば拡散防止層として作用することが分かった。
次に、ウェハーレベルでの反り量評価実験を行った。図3は、電極の総膜厚とウェハ(n型GaAs基板11およびn型半導体層12)反り量の関係についての実験結果を示すグラフである。図3における特性線25は熱処理(アロイ)前のウェハ反り量を示し、特性線26は熱処理(アロイ)後のウェハ反り量を示す。熱処理(アロイ)を実施することによって、ウェハ反り量はアロイ前に比べてさらに大きくなっている。また、総膜厚が厚くなるにつれて、ウェハ反り量は大きくなっている。熱処理(アロイ)は、コンタクト抵抗率を下げるためには必須であるため、無くすことは非常に困難である。したがって、ウェハ反り量を抑え、デバイスに掛かる応力を低減するためには、できる限り各層の膜厚を薄くして総膜厚を薄くする必要がある。
図4は、各層の膜厚とウェハに生じる応力との関係についての実験結果を示すグラフである。特性線27〜30は、それぞれ第一Ti層15、第一Pt層16、第二Ti層17、第二Pt層18によりウェハに生じる応力を示すグラフである。図4において、特性線28、29の傾きは特性線27、30よりも傾きが大きい。つまり、ウェハの応力は、特に第一Pt層16の膜厚と第二Ti層17との膜厚に大きく影響を受けることが分かった。よって、ウェハの応力を減らすためには、第一Pt層16の膜厚と第二Ti層17の膜厚とを他の層よりも薄く形成するとよい。本実施形態に係る電極は、第一Ti層15および第二Pt層18の膜厚がそれぞれ100nmであり、第一Pt層16および第二Ti層17の膜厚がそれぞれ50nmである。このため、各層が同程度の膜厚である場合よりもウェハの応力を低減することができる。
以上のように、本実施の形態に係る電極は、Ti層とPt層との積層体が2層ある構造にすることにより、熱処理(アロイ)後においても、抵抗値が高くならず、低抵抗なオーミック電極である。
また、第一Ti層15を厚さ100nm、第一Pt層16を厚さ50nm、第二Ti層17を厚さ50nm、第二Pt層18を厚さ100nmとすることにより、熱処理後のウェハの応力が低減する。応力が低減することにより半導体基板内部における欠陥の発生が抑制され、高出力時の信頼性が確保される。
これらの効果により、本実施の形態に係る電極は、最上層の金属表面のAu層19を含む電極総膜厚は910〜1010nm程度となるが、電極作成時のリフトオフ性は良好であり、アロイ後の電極表面荒れも見られない。
また、合金化処理のための熱処理においても、GaやNiの表面拡散が抑制されるので、良好な密着性とオーミック性を持つ電極を形成することができ、半導体プロセスの安定化、簡素化を実現することができる。
このような電極を用いることにより、デバイスの特性を損なうことなく、低抵抗なコンタクト形成が可能となる。その結果、デバイスの信頼性を確保しつつ、駆動電圧・駆動電流を下げることができる。
なお、本実施の形態では、Ti層とPt層との積層体が2層である場合を例に説明したが、2層である場合に限定されない。Ti層とPt層との積層体a層(aは3以上)である場合には、1周期目とa周期目の積層体に挟まれたTi層とPt層(以降、中間層と呼ぶ)の各層の膜厚については、それぞれ1周期目のTi層、a周期目のPt層よりも薄く形成することが望ましい。1周期目のTi層、a周期目のPt層と比べて、中間層は膜厚に対して応力が大きく増加する傾向がある(図4参照)ため、50nm程度まで薄くしておくことが望ましい。
以上のような本実施形態の電極構造体を採用することにより、異種電極材料によるヘテロ界面を複数形成することによって、Ga、Niの表面拡散を抑止し、ワイヤーボンド不良を抑制でき、良好な密着性とオーミック性を持つ電極構造体を形成することでコンタクト抵抗の上昇を抑えることができる。また、接合メタル層(第一Ti層15、第二Ti層17)とバリアメタル層(第一Pt層16、第一Pt層18)について、各層の膜厚を最適設定することで、電極に起因する応力を小さくすることができるため、デバイスの特性を損なうことなく、低抵抗なコンタクト形成が可能となる。
なお、本実施形態は、n型半導体における電極に関するものであり、p型半導体側の電極は特に制限しない。また、本実施の形態ではn型GaAsコンタクト層上の電極形成例について記載したが、他の材料系(例えばGaN系材料)を用いても同様に構成することができる。他の材料系を用いても、n型半導体層上に密着性の高い金属材料(接合メタル層)とバリア性の高い材料(バリアメタル層)を2周期以上形成することで、バリア性の向上を図ると共に、異種電極材料によるヘテロ界面を複数形成することによりGaの表面拡散を抑止し、ワイヤーボンド不良および電極内部のボイド発生を抑制することができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る半導体素子は、半導体素子の表面と裏面の両方に電極が形成されている。このような構成の半導体素子として、例えば2波長半導体レーザ装置がある。以下、2波長半導体レーザ装置を例にとって具体的に説明する。
図5は、本実施形態に係る2波長半導体レーザ装置を上方から見た斜視図である。本実施形態に係る2波長半導体レーザ装置は、660nm帯に発振波長を有する赤色半導体レーザ1と、780nm帯に発振波長を有する赤外半導体レーザ2とが、同一基板上に形成されている。
図5に示すように、本実施形態の2波長半導体レーザ装置は、n型GaAs基板31上に、赤色半導体レーザ1と赤外半導体レーザ2が一体形成されている。赤色半導体レーザ1は、n型GaAs基板31上にn型のクラッド層32、活性層33、p型の第一のクラッド層34、エッチング停止層35、p型の第二のクラッド層36、コンタクト層37、絶縁層38が順次積層されている。
赤外半導体レーザ2も赤色半導体レーザ1と同様の構成であり、n型GaAs基板31上にn型のクラッド層42、活性層43、p型の第一のクラッド層44、エッチング停止層45、p型の第二のクラッド層46、コンタクト層47、絶縁層48が順次積層されている。
絶縁層38は、p型の第二のクラッド層36に形成された台形状の凸部であるリッジストライプ構造の側面およびエッチング停止層35の上面を被覆している。なお、リッジストライプ構造は、台形状に限定されるものではなく、側辺を略垂直に立ち上げた長方形状(直方体状)でもよい。p型の第二のクラッド層36のリッジストライプ構造上面には、絶縁層38は形成されていない。リッジストライプ構造の上面には、p型の電極(p型電極)39が配置されており、リッジストライプ構造内へキャリア(ホール)を注入可能である。赤外半導体レーザ2側も同様にしてp型の電極(p型電極)49が配置された構成である。
n型GaAs基板31の裏面には、p型電極39、49に対してn型電極50が配置されている。p型の第二のクラッド層36のリッジストライプ構造に直交する方向で共振器を形成した2つの端面は、それぞれ、誘電体膜51、52でコーティングされ、レーザ光が出射される出射面(前方端面)53、およびその反対側に位置する後方端面54が形成されている。
赤色半導体レーザ1と赤外半導体レーザ2とを電気的に分離するために分離溝55が設けられている。p型電極39、49とn型電極50との少なくともいずれか一方を半導体素子間の境界領域(分離溝)において分離し、個々にバイアスを印加することにより、それぞれのレーザを個別に動作させることができる。図5に示す例では、一対のp型電極39、49を分離し、n型電極50は共通電極である。つまり、p型電極39とp型電極49とは、以下に示す同じ積層構造を有してもよい。
コンタクト層37、47とオーミック接合するp型電極39、49の構造としては、Ti/Pt/Auの積層構造が挙げられる。Ti/Pt/Auの積層構造を有するp型電極39、49は、接合メタル層としてのTi層が50〜200nm、バリアメタル層としてのPt層が50〜200nm、表面金属としてAu層が100nm以上形成されている。
端面出射型の半導体レーザの場合、劈開によりミラー面(鏡面)を作製する必要がある。基板厚が厚いと劈開性が悪化するため、半導体基板をエッチングまたは研磨により80μm〜120μm厚に薄化されている。
n型電極50は、実施の形態1に示したAuGeNi/Ti/Pt/Ti/Pt/Au構造であり、n型GaAs基板31の裏面に形成されている。n型GaAs基板31の厚さを薄くした場合、電極に対して熱処理がされると、ウェハには大きな応力が生じて、反りが生じる。
このとき、p型電極39、49とn型電極50の接合メタル材料(本例ではTi)が同一元素からなり、かつ、接合メタル材料の膜厚の和がp型電極39、49とn型電極50とで略等しくなるように、膜厚を設定することが望ましい。また、同様にp型電極39、49とn型電極50のバリアメタル材料(本例ではPt)が同一元素からなり、バリアメタル材料の膜厚の和がp型電極39、49とn型電極50とで略等しくなるように膜厚を設定することが望ましい。
さらにp型電極39、49については、n型電極50と同様に接合メタル材料とバリアメタル材料とを複数積層しても良い。例えば、コンタクト層37、47に対するオーミック電極はTi/Pt/Au構造であり、n型電極50はTi/Pt/Ti/Pt/Au構造である。そして各電極において、接合メタル材料(本例ではTi)及びバリアメタル材料(本例ではPt)の膜厚の和がp型電極とn型電極で略等しくなるように膜厚を設定することも出来る。Ti層とPt層を繰り返して積層した多層構造を取ることにより、熱処理によるGaの表面拡散が抑止され、ピンホールのような空洞形成を防ぐことができる。この構成により、低抵抗な電極とすることができる。
また、基板の表面と裏面側で電極材料に起因する応力を互いに打ち消しあうことができるため、デバイスに内在する応力を軽減することが可能である。半導体レーザの場合、チップ内部に存在する活性層への応力(歪)を軽減することで、レーザ駆動時の欠陥発生を抑えることができ、信頼性の向上に繋がる。
本発明は、n型GaAs半導体に対するオーミック電極、および、それを用いる半導体素子に有効であり、半導体レーザの他、電子デバイスなどに適用可能である。
図1は、本発明の実施形態1における電極金属層を模式的に示す断面図である。 図2は、本実施形態に係るコンタクト抵抗率の各電極膜厚依存性について実験した結果を示す図である。 図3は、本実施形態に係る電極の総膜厚とウェハ反り量との関係についての実験結果を示す図である。 図4は、本実施形態に係る各層の膜厚とウェハに生じる応力との関係についての実験結果を示す図である。 図5は、本発明の実施形態2における集積化半導体レーザ装置を上方から見た斜視図である。 図6は、従来の電極金属層を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 赤色半導体レーザ
2 赤外半導体レーザ
11、31 n型GaAs基板
12 n型半導体層
13 AuGeNi合金層
14 Ni
15 第一Ti層
16 第一Pt層
17 第二Ti層
18 第二Pt層
19 Au層
20 電極金属層
21〜30 特性線
32 n型のクラッド層
33 活性層
34 p型の第一のクラッド層
35 エッチング停止層
36 p型の第二のクラッド層
37 コンタクト層
38 絶縁層
39 p型電極
42 n型のクラッド層
43 活性層
44 p型の第一のクラッド層
45 エッチング停止層
46 p型の第二のクラッド層
47 コンタクト層
48 絶縁層
49 p型電極
50 n型電極
51、52 誘電体膜
53 前方端面
54 後方端面
55 分離溝

Claims (16)

  1. n型GaAs層上に設けられたAuGeNi合金層と、
    前記AuGeNi合金層上に設けられた接合メタル層および前記接合メタル層上に設けられたバリアメタル層とで構成された積層体とを備え、
    前記積層体が2周期以上設けられたことを特徴とするオーミック電極構造体。
  2. 前記バリアメタル層は、Pt、Pdのいずれかからなり、
    前記接合メタル層は、Ti、Niのいずれかからなる請求項1記載のオーミック電極構造体。
  3. 前記AuGeNi合金層上の積層体を1周期目とし、
    前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みを100nm以上とし、
    前記1周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みが、前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みよりも薄い請求項1または2記載のオーミック電極構造体。
  4. 前記1周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みは、前記1周期目の積層体における接合メタル層の厚みの1/2以下である請求項3記載のオーミック電極構造体。
  5. 前記AuGeNi合金層上の前記積層体を1周期目とし、
    前記積層体の周期数をaとしたときに、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みを100nm以上とし、
    前記a周期目の積層体における接合メタル層の厚みが、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みよりも薄い請求項1または2記載のオーミック電極構造体。
  6. 前記a周期目の積層体における接合メタル層の厚みは、前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層の厚みの1/2以下である請求項5記載のオーミック電極構造体。
  7. 前記周期数が3以上である場合、前記1周期目と前記a周期目の積層体に挟まれた前記接合メタル層と前記バリアメタル層の各層の膜厚を、前記1周期目の積層体における接合メタル層と前記a周期目の積層体におけるバリアメタル層よりもそれぞれ薄い請求項5または6記載のオーミック電極構造体。
  8. 前記積層体の最上層上にAuを主成分とするAu層を備え、前記Au層は、膜厚が100nm以上である請求項1〜7いずれか1項記載のオーミック電極構造体。
  9. 請求項1〜7いずれか1項記載のオーミック電極構造体が設けられた半導体素子であって、前記n型GaAs層を含む半導体層の膜厚を80μm以上120μm以下としたことを特徴とする半導体素子。
  10. 前記オーミック電極構造体が設けられた当該導体素子の面の裏面に第二の電極構造体が設けられた請求項9記載の半導体素子。
  11. 前記第二の電極構造体は、少なくともAu、Pt、Tiのいずれかを含む請求項10記載の半導体素子。
  12. 前記第二の電極構造体の最上層は、Auを主成分とするAu層であり、かつ前記第二の電極構造体のAu層の膜厚が100nm以上である請求項10記載の半導体素子。
  13. 請求項9記載の半導体素子が複数設けられ、前記半導体素子ごとに前記オーミック電極構造体が設けられ、
    前記オーミック電極構造体は、半導体素子間の境界領域で分離されている半導体素子。
  14. 請求項10、11または12記載のいずれか一項に記載の半導体素子が複数設けられ、前記半導体素子ごとに第二の電極構造体が複数設けられ、
    第二の電極構造体は、半導体素子間の境界領域で分離されている半導体素子。
  15. 前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体は、それぞれの接合メタル材料およびバリアメタル材料が同一元素からなり、
    前記接合メタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しく、前記バリアメタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しい請求項10記載の半導体素子。
  16. 前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体は、それぞれの接合メタル材料およびバリアメタル材料が同一元素からなり、
    前記第二の電極構造体は、接合メタル材料とバリアメタル材料とが積層された積層体を有し、
    前記接合メタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しく、前記バリアメタル材料の膜厚の和が前記オーミック電極構造体と前記第二の電極構造体とで等しい請求項10記載の半導体素子。
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