JP2009224499A - 電極構造および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】Ga原子及びAs原子の電極表面への拡散を低減可能なn型GaAs系半導体の電極構造及びこの電極構造を備える半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る電極構造は、Au及びGeを含む化合物から成り、n型GaAs半導体基板10上に設けられたオーミック金属層11と、オーミック金属層11上に設けられた第1のPt層13と、第1のPt層13上に設けられたTi層14とを備える。Ti層14は、Ga原子及びAs原子の電極表面への拡散を防止する。第1のPt層は、Ti層14のTi原子が、Au電極層12及びオーミック金属層11へ拡散することを防止する。その結果、Ti層14の拡散防止機能が維持される。これらにより、電極表面へのGa原子及びAs原子の拡散を低減することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る電極構造は、Au及びGeを含む化合物から成り、n型GaAs半導体基板10上に設けられたオーミック金属層11と、オーミック金属層11上に設けられた第1のPt層13と、第1のPt層13上に設けられたTi層14とを備える。Ti層14は、Ga原子及びAs原子の電極表面への拡散を防止する。第1のPt層は、Ti層14のTi原子が、Au電極層12及びオーミック金属層11へ拡散することを防止する。その結果、Ti層14の拡散防止機能が維持される。これらにより、電極表面へのGa原子及びAs原子の拡散を低減することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電極構造、および半導体装置に関するものである。
特許文献1には、光プリントヘッド用LEDアレイが記載されている。このLEDアレイは、密着金属層及び拡散防止金属層を備え、この密着金属層及び拡散防止金属層は、基板上に設けられたオーミック金属層と表面電極層との間に設けられている。基板は、GaAs半導体から成り、オーミック金属層は、AuGeNiから成り、表面電極層はAuを含んでいる。また、密着金属層はTiから成り、このTi層は、オーミック金属層と拡散防止金属層との密着性を良好にする。拡散防止金属層はPtから成り、このPt層は、半導体基板の材料であるGaやAsの表面電極層への拡散を防止する。
特許文献2には、半導体素子の金属接触方法が記載されている。この金属接触方法では、AuGeの第1金属層、Niの第2金属層、Ptの第3金属層及びAuの第4金属層をGaAs基板上に順次積層し、これらの金属層を熱処理する。第3金属層は、GaやAsの表面への拡散を防止する。
特開平9−95010号公報
特開平8−255767号公報
n型GaAs系半導体のオーミック電極として、AuGe合金又はAuGeNi合金が主に用いられる。AuGe合金又はAuGeNi合金が熱処理されると、GaAsと反応して合金層を形成し、オーミック接触が形成される。上記の熱処理の際に、Ga及びAsが拡散して、拡散したGa及びAsが電極表面に達すると酸化物を形成する。この酸化物は、電極を部材に接合する際に電極剥がれ等のボンディング不良の原因となる。この拡散を防止するために、Ti若しくはPtの層が、拡散防止膜として用いられる。特許文献2に記載される金属接触方法では、Ptが、拡散防止膜として用いられている。しかしながら、Tiと比較すると、このPtのGaAsとの反応性が高いので、GaやAsの拡散を十分に防止することはできない。TiのGaAsとの反応性は、Ptよりも低いので、Ga及びAsの拡散を防止することができる。しかしながら、Tiは、Auとの反応性が高く、特許文献1のLEDアレイにおいては、オーミック金属層(AuGeNi)がTi層と隣接するので、TiとAuとの反応が生じる。この反応により、Ti層の拡散防止機能が低下するので、Ga及びAsが電極表面まで拡散する。この結果、電極表面に酸化物が形成される。
そこで、本発明は、Ga及びAsの電極表面への拡散を低減可能なn型GaAs系半導体の電極構造を提供することを目的とし、また、上記の電極構造を備える半導体装置を提供することを目的とする。
本発明は、AuおよびGeを含む化合物から成り、n型GaAs系半導体領域上に設けられた電極層と、電極層上に設けられた第1のPt層と、第1のPt層上に設けられたTi層とを備える電極構造である。
本発明に係る電極構造においては、Ti層の形成に先立って、電極層上に第1のPt層を形成したので、電極層に含まれるAuとTi層との反応がPt層により抑制される。このため、Ti層は、拡散防止膜として機能して、Ga及びAsの拡散を低減できる。従って、Ga及びAsが電極表面まで拡散し酸化物が形成されることを防ぐことが可能となる。
また、本発明は、Au、GeおよびNiを含む化合物から成り、n型GaAs系半導体領域上に設けられた電極層と、電極層上に設けられた第1のPt層と、第1のPt層上に設けられたTi層とを備える電極構造である。
本発明に係る電極構造においては、電極層のNiは、AuGeとGaAsとの合金化を一様にする効果を有するので、GaAs系半導体と電極層との界面の接触抵抗を下げることが可能となる。その結果、低抵抗な電極構造を得ることが可能となる。
好ましくは、本発明に係る電極構造は、Ti層上に設けられたAu層と、Ti層とAu層との間に設けられた第2のPt層とをさらに備える。このように、Au層をTi層上に設けるので、Ti酸化物が形成されることを防止できる。また、第2のPt層をTi層とAu層との間に備えるので、TiのAu層への拡散を防止できる。従って、Ti酸化物が電極表面に形成されることを抑制できる。
さらに好ましくは、電極層は、摂氏400度以下で熱処理することにより形成されることを特徴とする。摂氏400度を超える温度で熱処理を行うと、Ti層とPt層との反応が起こる。この反応により、TiがGaAs系半導体側に拡散し、Ti層の拡散防止機能が低下する。従って、摂氏400度以下で熱処理を行うことにより、Ti層は拡散防止機能を維持することが可能となる。
また、本発明は、上記した電極構造を備える半導体装置である。従って、本発明によれば、上記したような特性を有する電極構造を備えた半導体装置を得ることが可能となる。
本発明によれば、Ga及びAsの電極表面への拡散を低減可能なn型GaAs系半導体の電極構造が提供される。また、本発明によれば、上記の電極構造を備える半導体装置が提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の電極構造及び半導体装置に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の模式図である。この図には、半導体装置の一例として、トランジスタ1が示されている。トランジスタ1は、基板2と、ソース電極3と、ゲート電極4と、ドレイン電極5とからなる。基板2の表面2aには、n型GaAs半導体領域が現れている。ソース電極3及びドレイン電極5はオーミック電極であり、ソース電極3とドレイン電極5との間を流れる電流をゲート電極4(例えば、ショットキ電極)により制御する。
図1(b)は、本発明の実施の形態に係る電極構造6の層構造を示した模式図である。この電極構造6は、オーミック金属層11と、第1のAu層12と、第1のPt層13と、Ti層14と、第2のPt層15と、第2のAu層16とを備えている。ソース電極3及び/又はドレイン電極5は、電極構造6を含むことができる。
オーミック金属層11は、n型GaAs半導体領域10上に設けられている。本実施の形態では、オーミック金属層11として、例えば、AuGeNi合金が使用される。引き続く説明は、AuGeNi合金について行われる。しかしながら、オーミック金属層11は、AuGeNi合金に限定されることなく、AuGe合金等を用いることもできる。第1のAu層12は、オーミック金属層11上に設けられている。
第1のPt層13は、第1のAu層12上に設けられている。また、Ti層14は、第1のPt層13上に設けられている。このようにTi層14を設けたので、Ti層14は拡散防止膜として機能して、n型GaAs半導体領域10のGa原子及びAs原子が第1のAu層12及び第1のPt層13を介して拡散することを防止できる。この結果、Ga原子及びAs原子が電極表面に到達しないので、Ga及び/又はAsの酸化物が電極表面に形成されることを抑制できる。また、Ti層14と第1のAu層12との間に第1のPt層13を設けたので、Ti層14のTi原子が第1のAu層12及びオーミック電極層11のAuと反応することなく、Ti原子がこれらの層に拡散することを防止できる。この結果、Ti層14の拡散防止機能の低下を抑制することが可能となる。
第2のPt層15はTi層14上に設けられている。また、第2のAu層16は第2のPt層15上に設けられている。このように第2のPt層15上に第2のAu層16を設けたので、第2のPt層15の酸化を防止できる。また、第2のAu層16とTi層14との間に第2のPt層15を設けたので、Ti層14のTi原子が第2のAu層16に拡散することを防止できる。この結果、電極表面にTi酸化物が形成されることを抑制することが可能となる。
電極構造6は、以下のように作製される。真空蒸着装置により、AuGeNi合金をn型GaAs半導体領域10上に蒸着して、オーミック金属層11を形成する。続いて、Auをオーミック金属層11上に蒸着して、第1のAu層12を形成する。
次に、例えば電子ビーム蒸着装置により、Ptを第1のAu層12上に蒸着して、第1のPt層13を形成する。続いて、Tiを第1のPt層13上に蒸着して、Ti層14を形成する。この後に、PtをTi層14上に蒸着して、第2のPt層15を形成する。最後に、Auを第2のPt層15上に蒸着して、第2のAu層16を形成する。このように各層を蒸着した後、この構造物に熱処理(400℃、10分間、N2雰囲気)を行う。n型GaAs半導体領域10上のAuGeNi層が熱処理されると、AuGeNiは、GaAsと反応して合金層を形成し、電極構造6とn型GaAs半導体領域10との間にオーミック接触が形成される。以上のように作製した電極構造6の一例の電極構造Aを以下に示す。
n型GaAs半導体領域10:Siドープ、キャリア濃度2×1018cm−3、
厚さ、350μm
オーミック金属層11(AuGeNi合金):厚さ、170nm
第1のAu層12:厚さ、200nm
第1のPt層13:厚さ、50nm
Ti層14:厚さ、50nm
第2のPt層15:厚さ、50nm
第2のAu層16:厚さ、500nm
n型GaAs半導体領域10:Siドープ、キャリア濃度2×1018cm−3、
厚さ、350μm
オーミック金属層11(AuGeNi合金):厚さ、170nm
第1のAu層12:厚さ、200nm
第1のPt層13:厚さ、50nm
Ti層14:厚さ、50nm
第2のPt層15:厚さ、50nm
第2のAu層16:厚さ、500nm
ここで、Ti層14の厚さは、5nm以上であることが好ましい。n型GaAs半導体領域10のGa原子及びAs原子が第1のAu層12及び第1のPt層13を介して拡散することを効果的に防止できるからである。また、150nm以下であることが好ましい。これ以上の厚みでは、Ti膜自身の膜応力により剥がれが生じるからである。また、第1のPt層13の厚さは、5nm以上であることが好ましい。Ti層14のTi原子が第1のAu層12及びオーミック電極層11のAuと反応することを効果的に防止することができるからである。また、第2のPt層15の厚さは、5nm以上であることが好ましい。Ti層14のTi原子が第2のAu層16に拡散することを効果的に防止できるからである。
また、本実施の形態では、n型GaAs系半導体領域10上に各層を形成して電極構造6を作製したが、n型GaAs系半導体としては、GaAsの他にGaAsP、GaAsN、GaAsSb、GaAsPN、GaAsPSb、GaAsNSb、GaAsPNSb、InGaAs、InGaAsP、InGaAsN、InGaAsSb、InGaAsPN、InGaAsPSb、InGaAsNSb及びInGaAsPNSbがある。また、n型キャリア濃度としては、1×1017cm−3〜1×1019cm−3であることが好ましい。
また、各層を蒸着した後に行う熱処理の条件としては、400℃以下であることが好ましい。それ以上の温度で熱処理を行うと、Ti層14のTi元素が、第1のPt層13に拡散し、その結果、Ti層14の拡散防止機能が低下するからである。
また、図1(b)に示す電極構造6の他に、参照用の電極構造7、8を作製している。図2(a)及び図2(b)は、それぞれ参照用の電極構造7、8の層構造を示す模式図である。
図2(a)に示されるように、電極構造7は、オーミック金属層21と、第1のAu層22と、Ti層23と、第2のAu層24とを備えている。この電極構造7では、オーミック金属層21として、AuGeNi合金が用いられている。オーミック金属層21(AuGeNi合金)は、n型GaAs半導体領域10上に設けられている。また、第1のAu層22は、オーミック金属層21上に設けられている。オーミック金属層21及び第1のAu層22は、真空蒸着装置により形成される。Ti層23は、第1のAu層22上に設けられている。第2のAu層24は、Ti層23上に設けられている。Ti層23及び第2のAu層24は、電子ビーム蒸着装置により形成される。このように各層を蒸着した後、この構造物に熱処理(400℃、10分間、N2雰囲気)を行う。参照用の電極構造7の一例の電極構造R1を以下に示す。
n型GaAs半導体領域10:Siドープ、キャリア濃度2×1018cm−3、
厚さ、350μm
オーミック金属層21(AuGeNi合金):厚さ、110nm
第1のAu層22:厚さ、200nm
Ti層23:厚さ、100nm
第2のAu層24:厚さ、350nm
n型GaAs半導体領域10:Siドープ、キャリア濃度2×1018cm−3、
厚さ、350μm
オーミック金属層21(AuGeNi合金):厚さ、110nm
第1のAu層22:厚さ、200nm
Ti層23:厚さ、100nm
第2のAu層24:厚さ、350nm
図2(b)に示されるように、電極構造8は、オーミック金属層25と、第1のAu層26と、Ti層27と、Pt層28と、第2のAu層29とを備えている。この電極構造8では、オーミック金属層25として、AuGeNi合金が用いられている。オーミック金属層25(AuGeNi合金)は、n型GaAs半導体領域10上に設けられている。また、第1のAu層26は、オーミック金属層25上に設けられている。オーミック金属層25及び第1のAu層26は、真空蒸着装置により形成される。Ti層27は、第1のAu層26上に設けられている。Pt層28は、Ti層27上に設けられている。第2のAu層29は、Pt層28上に設けられている。また、Ti層27、Pt層28及び第2のAu層29は、電子ビーム蒸着装置により形成される。このように各層を蒸着した後、この構造物に熱処理(400℃、10分間、N2雰囲気)を行う。参照用の電極構造8の一例の電極構造R2を以下に示す。
n型GaAs半導体領域10:Siドープ、キャリア濃度2×1018cm−3、
厚さ、350μm
オーミック金属層25(AuGeNi合金):厚さ、170nm
第1のAu層26:厚さ、200nm
Ti層27:厚さ、50nm
Pt層28:厚さ、50nm
第2のAu層29:厚さ、500nm
n型GaAs半導体領域10:Siドープ、キャリア濃度2×1018cm−3、
厚さ、350μm
オーミック金属層25(AuGeNi合金):厚さ、170nm
第1のAu層26:厚さ、200nm
Ti層27:厚さ、50nm
Pt層28:厚さ、50nm
第2のAu層29:厚さ、500nm
図3〜図8は、オージェ電子分光法による、電極構造R1及び電極構造R2並びに電極構造Aの元素分析の結果を示している。曲線CAu、CTi、CGa、CAs、CGe、CNi、CPt及びCOはそれぞれ、電極表面からn型GaAs半導体領域10を設けた基板の裏面への方向にとられた距離に対するAu元素、Ti元素、Ga元素、As元素、Ge元素、Ni元素、Pt元素、O元素の元素組成比との関係を示している。なお、深さ方向の分析においては、Arイオンによりスパッタしながら分析しており、図3〜図8における横軸に記載した深さは、このスパッタ時間を一定のスパッタレートを用いて換算した深さとして記載しているので、実際の深さとは正確には一致せず多少の誤差を含んでいる。
図3は、電極構造R1の元素分析の結果を示した図である。この図の曲線CTiは、電極表面からの距離300nm以下の領域にTi元素が存在していることを示している。Ti元素の存在は、Ti原子がTi層23から第2のAu層24に拡散したことを示している。
図4は、電極構造R1の電極表面近傍の元素分析の結果を示した図である。この図の曲線CTi及び曲線COは、電極表面からの距離0nm〜約20nmの領域にTi元素及びO元素が存在することを示している。これらは、電極表面からの距離が約20nm以下の表層領域において、Ti酸化物が形成されていることを示している。このTi酸化物の影響を調べるために、電極構造R1を備えた半導体チップと、AuSn半田を蒸着したヒートシンクとを準備し、半導体チップの電極構造R1とAuSn半田とのダイボンドを行った。その結果、電極表面に対する半田濡れ性の悪さに起因するチップ剥がれが発生した。
図5は、電極構造R2の元素分析の結果を示した図である。また、図6は、電極構造R2の電極表面近傍の元素分析結果を示した図である。これらの図の曲線CTiは、電極表面からの距離300nm以下の領域では、Ti元素がほとんど存在していないことを示している。この曲線CTiの振る舞いは、電極表面側へのTi原子の拡散が、Pt層28により抑制されていることを示している。
図6の曲線CGaは、微量のGa元素が電極表面近傍に存在していることを示している。また、図6の曲線COは、O元素が電極表面近傍に存在していることを示している。これらの曲線の振る舞いは、n型GaAs半導体領域10のGa原子が電極表面の近傍まで拡散し、このGa原子がGa酸化物を形成していることを示している。
図5の曲線CTiは、電極表面からの深さ500nm以上の領域においてTi元素が存在していることを示している。これは、Ti層27のTi原子が、第1のAu層26及びオーミック金属層25のAuと反応し、これらの層に拡散していることを示している。このTi原子の拡散によりTi層27の拡散防止機能が低下し、その結果、拡散したGa原子が電極表面へ到達している。電極表面の近傍のGa酸化物の影響を調べるために、電極構造R2を備えた半導体チップと、AuSn半田を蒸着したヒートシンクとを準備し、半導体チップの電極構造R1とAuSn半田とのダイボンドを行った。その結果、チップ剥がれは発生しなかった。しかし、ダイボンディング後に、チップとヒートシンクとの接合強度を示すダイシェア強度を測定したところ、ダイシェア強度として十分な値は得られなかった。
図7は、電極構造Aの元素分析の結果を示した図である。この図の曲線CTiは、Ti元素が、電極表面からの距離約300nm以下の領域及び約500nm以上の領域に存在していないことを示している。曲線CTiの振る舞いは、第2のPt層15が、電極表面へのTi原子の拡散を抑制すると共に、第1のPt層13が、Au電極層12及びオーミック金属層11へのTi原子の拡散を抑制していることを示している。
図8は、電極構造Aの電極表面近傍の元素分析の結果を示した図である。図8において、電極表面近傍にGa元素及びTi元素は存在しない。これは、電極構造R1及び電極構造R2の電極表面に形成された酸化物が、電極構造Aの電極表面には形成されていないことを示している。この電極構造Aを備えた半導体チップと、AuSn半田を蒸着したヒートシンクとを準備し、半導体チップの電極構造R1とAuSn半田とのダイボンドを行った。その結果、チップ剥がれは発生しなかった。また、ダイボンディング後に、チップとヒートシンクとの接合強度を示すダイシェア強度を測定したところ、ダイシェア強度として十分な値が得られた。
以上のように、電極構造R1では、Ti層23のTi原子が第2のAu層24に拡散し、電極表面にTi酸化物を形成している。電極構造R2では、Ti層27と第2のAu層29との間にPt層28があるので、Au層29へのTi原子の拡散は抑制されている。しかし、Ti原子が第1のAu層26及びオーミック金属層25に拡散するので、Ti層27の拡散防止機能が低下する。拡散防止機能の低下によって、Ga原子及びAs原子が拡散して電極表面に到達する。この結果、これらの酸化物が形成される。一方、電極構造Aでは、Ti層14と第2のAu層16との間に第2のPt層15があるので、Ti元素の拡散は抑制されている。また、Ti層14と第1のAu層12との間に第1のPt層13があるので、Ti層14の拡散防止機能は維持されている。その結果、Ga原子及びAs原子の電極表面への拡散が抑制されている。
図1(b)に示される電極構造6の層構造と同様の、n型GaAs半導体領域10上に、AuGeNi合金、Au、Pt、Ti、Pt及びAuを順に蒸着して得られる構造物に、熱処理(450℃、10分間、N2雰囲気)を行い、電極構造R3を作製した。オージェ電子分光法により、この電極構造R3の元素分析を行っている。この元素分析の結果は、Ti層14のTi原子が、第1のPt層13のPt原子と反応し、このTi原子が拡散していることを示している。これは、上記した条件で熱処理を行うと、Ti層14の拡散防止機能が低下することを示している。上記の元素分析の結果は、電極構造6の熱処理温度が400℃以下であれば、Ti層14の拡散防止機能は維持されることを示している。
1…トランジスタ、2…基板、3…ソース電極、4…ゲート電極、5…ドレイン電極、6…電極構造、7…電極構造、8…電極構造、10…n型GaAs半導体基板、11、21、25…オーミック金属層、12、22、26…Au電極層、13…第1のPt層、14、23、27…Ti層、15…第2のPt層、16、24、29…Au表面層、28…Pt層、
Claims (5)
- AuおよびGeを含む化合物から成り、n型GaAs系半導体領域上に設けられた電極層と、
前記電極層上に設けられた第1のPt層と、
前記第1のPt層上に設けられたTi層と
を備える電極構造。 - Au、GeおよびNiを含む化合物から成り、n型GaAs系半導体領域上に設けられた電極層と、
前記電極層上に設けられた第1のPt層と、
前記第1のPt層上に設けられたTi層と
を備える電極構造。 - 前記Ti層上に設けられたAu層と、
前記Ti層と前記Au層との間に設けられた第2のPt層と
をさらに備える請求項1または請求項2に記載の電極構造。 - 前記電極層は、摂氏400度以下で熱処理することにより形成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電極構造。
- 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電極構造を備える半導体装置。
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