JPWO2008069031A1 - 光学素子および光ピックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

対物レンズ(OL)には複屈折が生じ、それに起因して、対物レンズ(OL)からの出射光に波面収差が生じる。そして、かかる波面収差の非点収差成分が10mλrms以上生じる場合に、コーティング対物レンズ(COL)は、その非点収差成分を5mλrms以下にまで低減させる誘電体多層膜(MLR)を有する。

Description

本発明は、レンズ表面にコーティングを施した光学素子に関するものである。また、その光学素子を搭載する光ピックアップ装置に関するものである。
従来から光ピックアップ装置には、レーザダイオードからの光を集光させて光ディスクに導く対物レンズ(光学素子)が搭載されている。そして、かかるような対物レンズは、プラスチック材料やガラス材料等で成形されている。
成形された対物レンズは、様々な要因、例えばレンズ面の公差やレンズ内の屈折率分布の不均一化に起因して、出射光に諸収差(波面収差)を生じさせる。そして、この諸収差は、光ディスクに集光するスポット径の形状を、所望形状に対して異ならせる。そのため、このように変形したスポット径と所望形状のスポット径との間に形状誤差が生じてしまい、光ディスクに安定してデータを記録できない現象や、光ディスクから読み取られるデータを正確に再生できない現象等が起きる。なお、高精度を要求される青色レーザ(波長405nm近傍)に対応する対物レンズは、例えば波面収差を10mλrms以下にすることが要求されている。
レンズ内の屈折率分布を不均一にする原因の一つにガラス成形が挙げられる。ガラス成形によって対物レンズOLが作製される場合、図4に示すように、溶融されたガラス母材GMが所定の曲面を有する金型MM(MM1・MM2)に押圧成形される。そのために、対物レンズOLの外縁に、比較的に大きな圧力がかかり、その圧力に起因して、対物レンズOLの内部に応力歪みが生じ、その結果、複屈折が発生する(なお、図4の矢印の個数が圧力分布を示す)。このような複屈折は、レンズの中心部と外縁部との肉厚差の大きな、開口数の大きいレンズ(例えば開口数0.6以上)ほど発生しやすい。
以上のような現象を防止する一方策として、例えば特許文献1に開示される方法がある。この方法によると、まず、内部の屈折率分布が均一であることを前提とし、光学素子の初期設計値が求められる。次に、この初期設定値に基づいて光学素子が成形され、その成形品(イニシャル品)の屈折率分布が実測される。
続いて、実測の屈折率分布(すなわち不均一な屈折率分布データ)に起因する諸収差がシミュレーションにより求められる。そして、このシミュレーションでの収差を補正できる非球面形状データが求められ、かかる非球面形状データに合致するように金型が補正加工される。すると、補正加工後の金型を使用して成形を行うことにより、光学素子の収差を低減することができる。
特開2005−283783号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている光学素子は、極めて難しくかつ煩わしい金型の補正加工を要する。その上、かかる光学素子は、煩わしい不均一な屈折率分布データの測定までも要する。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。そして、その目的は、簡易に、出射光の諸収差(例えば、波面収差の非点収差成分)を抑制できる光学素子を提供すること、および、この光学素子を搭載した光ピックアップを提供することにある。
本発明は、レンズ表面に光学多層膜を有する光学素子である。そして、かかる光学素子では、レンズは複屈折を有し、そのレンズによる波面収差の非点収差成分は10mλrms以上であり、光学多層膜が、P偏光とS偏光との位相差を発生させ複屈折を相殺させることにより、光学素子による波面収差の非点収差成分を5mλrms以下に低減させる。
なお、光学多層膜の位相差はレンズ中心から外縁部に向かうにつれ実質的に単調増加していると望ましい。
また、光学多層膜に入射する波長405nmの光の入射角をδ[°]、光学多層膜を透過する光のP偏光とS偏光との位相差をD[°]とした場合、δとDとの関係では、
δ=30°のとき、Dは2°以上かつ20°以下、
δ=60°のとき、Dは4°以上かつ40°以下、
の関係を満たし、
30°≦δ≦60°の範囲におけるDの変化は、単調に変化していると望ましい。
なお、単調変化の一例としては、線形変化が挙げられる。
また、光学多層膜は反射防止膜であり、光学多層膜に含まれる光学薄膜において、
1.6未満の屈折率を有する光学薄膜を低屈折率層、
1.6以上かつ1.9以下の屈折率を有する光学薄膜を中間屈折率層、
1.9を超える屈折率を有する光学薄膜を高屈折率層、
とした場合に、
以下の条件(1)および条件(2)を満たしていると望ましい。
条件(1):レンズの波面収差における非点収差成分が20mλrms 以上である。
条件(2):光学多層膜は、低屈折率層、中間屈折率層、および高屈折率層を有し

合計で9層以上である。
また、光学多層膜は反射防止膜であり、光学多層膜に含まれる光学薄膜において、
1.6未満の屈折率を有する光学薄膜を低屈折率層、
1.6以上かつ1.9以下の屈折率を有する光学薄膜を中間屈折率層、
1.9を超える屈折率を有する光学薄膜を高屈折率層、
とした場合に、
以下の条件(3)および条件(4)を満たしていると望ましい。
条件(3):レンズの波面収差における非点収差成分が10mλrms以上かつ
20mλrms未満である。
条件(4):光学多層膜は、低屈折率層、中間屈折率層、および高屈折率層を有し

合計で7層以上である。
また、光学多層膜は反射防止膜であり、光学多層膜に含まれる光学薄膜において、
1.6未満の屈折率を有する光学薄膜を低屈折率層、
1.9を超える屈折率を有する光学薄膜を高屈折率層、
とした場合に、
以下の条件(5)〜条件(7)を満たしていると望ましい。
条件(5):レンズの波面収差における非点収差成分が 20mλrms以上である。
条件(6):光学多層膜は、合計で7層以上の光学薄膜を含むとともに、低屈折率
層と高屈折率層とを交互に積層させて成る繰り返し構造を含んでいる。
条件(7):高屈折率層の屈折率と低屈折率層の屈折率を差し引いて求められる屈
折率の差が、0.5以上である。
また、光学多層膜は反射防止膜であり、光学多層膜に含まれる光学薄膜において、
1.6未満の屈折率を有する光学薄膜を低屈折率層、
1.9を超える屈折率を有する光学薄膜を高屈折率層、
とした場合に、
以下の条件(8)〜条件(10)を満たしていると望ましい。
条件(8) :レンズの波面収差における非点収差成分が10mλrms以上かつ
20mλrms 未満である。
条件(9) :光学多層膜は、合計で5層以上の光学漠膜を含むとともに、低屈折率
層と高屈折率層とを交互に積層させて成る繰り返し構造を含んでいる。
条件(10):高屈折率層の屈折率と低屈折率層の屈折率を差し引いて求められる
屈折率の差が、0.5以上である。
また、レンズが成形により形成されていると望ましい。
また、レンズの開口数が0.6以上であると望ましい。
また、複屈折が、レンズのレンズ軸中心を基準に放射状に生じており、複屈折の量が、レンズ軸中心からレンズの外縁にむかうにつれて増加していると望ましい。
また、光学多層膜は、反射防止用の誘電体膜を積層させた誘電体多層膜であると望ましい。
なお、以上の光学素子を備える光ピックアップ装置も本発明といえる。
また、レンズ表面に光学多層膜を有する光学素子であって、レンズは複屈折を有し、光学多層膜が、P偏光とS偏光との位相差を発生させ複屈折を相殺させることにより、レンズに発生する波面収差の非点収差成分を半分以下に低減させる光学素子も本発明といえる。
なお、かかる光学素子では、光学多層膜が、レンズに発生する波面収差の非点収差成分を1/5以下に低減させると望ましい。
本発明によれば、光学素子に成膜されている光学多層膜によって、簡易に、出射光の諸収差(例えば、波面収差の非点収差成分)を抑制できる。
後述の図2での対物レンズの拡大図である。 光ピックアップ装置の構成図である。 複屈折を確認する確認装置の斜視図である。 確認装置によってみえるレンズ面の平面図である。 対物レンズを回転させた場合でのレンズ面の平面図である。 確認装置内の偏光板を回転させた場合でのレンズ面の平面図である。 対物レンズの成形金型と、ガラス母材とを示す構成図である。 実施例1の誘電体多層膜が有する反射特性を示す反射特性図である。 波長405nmにおける、実施例1の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長660nmにおける、実施例1の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長785nmにおける、実施例1の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 実施例2の誘電体多層膜が有する反射特性を示す反射特性図である。 波長405nmにおける、実施例2の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長660nmにおける、実施例2の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長785nmにおける、実施例2の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 実施例3の誘電体多層膜が有する反射特性を示す反射特性図である。 波長405nmにおける、実施例3の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長660nmにおける、実施例3の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長785nmにおける、実施例3の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 実施例4の誘電体多層膜が有する反射特性を示す反射特性図である。 波長405nmにおける、実施例4の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長660nmにおける、実施例4の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長785nmにおける、実施例4の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 実施例5の誘電体多層膜が有する反射特性を示す反射特性図である。 波長405nmにおける、実施例5の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長660nmにおける、実施例5の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長785nmにおける、実施例5の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 実施例6の誘電体多層膜が有する反射特性を示す反射特性図である。 波長405nmにおける、実施例6の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長660nmにおける、実施例6の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長785nmにおける、実施例6の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 比較例の誘電体多層膜が有する反射特性を示す反射特性図である。 波長405nmにおける、比較例の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長660nmにおける、比較例の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 波長785nmにおける、比較例の誘電体多層膜が有する位相差特性を示す位相差特性図である。 トワイマングリーン干渉計の構成図である。
符号の説明
COL コーティング対物レンズ
OL 対物レンズ
MLR 誘電体多層膜(光学多層膜)
Li 誘電体膜(光学薄膜)
12 偏光板
13 平面ミラー
14 レーザ光源
15 ビームスプリッタ
16 球面原器
17 平面原器
18 画像処理装置
19 被検レンズ
21 第1レーザユニット
22 第1レーザダイオード
23 第1偏光ビームスプリッタ
24 第1コリメータレンズ
25 第1フォトダイオード
31 第2レーザユニット
32 第2レーザダイオード
33 第2偏光ビームスプリッタ
34 第2コリメータレンズ
35 第2フォトダイオード
41 ダイクロイックプリズム
42 立ち上げミラー
43 1/4波長板
44 光ディスク
59 光ピックアップ装置
[実施の形態1]
[1.光ピックアップ装置について]
図2は、光ピックアップ装置59の概略の構成を示す構成図である。そして、この光ピックアップ装置59は、第1レーザユニット21、第2レーザユニット31、ダイクロイックプリズム41、立ち上げミラー42、1/4波長板43、およびコーティング対物レンズCOLを有している。なお、図2では、便宜上、光ディスク44も図示されている。そして、かかる光ディスク44に入射する光を“照射光”、光ディスク44から反射する光を“信号光”と称する(なお、光は破線にて図示)。
まず、第1レーザユニット21について説明する。かかる第1レーザユニット21は、第1レーザダイオード(LD;Laser Diode)22、第1偏光ビームスプリッタ(PBS;Polarizing Beam Splitter)23、第1コリメータレンズ24、および第1フォトダイオード(PD;Photo Diode)25を有している。
第1LD22は、第1PBS23に向けて、波長405nmのレーザ光(青色レーザ)を出射する。すなわち、第1LD22は、次世代DVD(Digital Versatile Disc)の1つであるブルーレイディスク(BD;Blu-ray Disc)に対応している。
第1PBS23は、第1LD22から出射された直線偏光のレーザ光(例えばP偏光)を透過させ、第1コリメータレンズ24に導く。一方で、第1PBS23は、第1コリメータレンズ24を介して進行してくる信号光(例えばS偏光)を反射させて第1PD25に導く。
第1コリメータレンズ24は、第1PBS23を介して入射してくるレーザ光を平行光にして、ダイクロイックプリズム41に導く。一方で、第1コリメータレンズ24は、ダイクロイックプリズム41を介して進行してくる信号光を第1PBS23に導く。
第1PD25は、第1PBS23を介して入射してくる信号光を受光する。そして、かかる第1PD25による受光によって、ブルーレイディスクへの記録再生時のサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号)、情報信号、収差信号等が検出される。
次に、第2レーザユニット31について説明する。かかる第2レーザユニット31は、第2LD32、第2PBS33、第2コリメータレンズ34、および第2PD35を有している。
第2LD32は、第2PBS33に向けて、波長660nmのレーザ光と、波長785nmのレーザ光とを出射する。すなわち、第2LD32は、2波長のレーザ光を出射する光源であり、DVDとCD(Compact Disc)とに対応している。
第2PBS33は、第2LD32から出射された直線偏光のレーザ光(例えばP偏光)を透過させ、第2コリメータレンズ34に導く。一方で、第2PBS33は、第2コリメータレンズ34を介して進行してくる信号光(例えばS偏光)を反射させて第2PD35に導く。
第2コリメータレンズ34は、第2PBS33を介して入射してくるレーザ光を平行光にして、ダイクロイックプリズム41に導く。一方で、第2コリメータレンズ34は、ダイクロイックプリズム41を介して進行してくる信号光を第2PBS33に導く。
第2PD35は、第2PBS33を介して入射してくる信号光を受光する。そして、かかる第1PD25による受光によって、DVDまたはCDへの記録再生時のサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号)、情報信号、収差信号等が検出される。
次に、ダイクロイックプリズム41について説明する。かかるダイクロイックプリズム41は、第1レーザユニット21から供給されるレーザ光を反射させて立ち上げミラー42に導くとともに、第2レーザユニット31から供給されるレーザ光を透過させて立ち上げミラー42に導く。つまり、ダイクロイックプリズム41は、異なる方向から入射する各レーザ光の進行方向を同一方向にして出射する光路変換素子である。
一方で、ダイクロイックプリズム41は、立ち上げミラー42を介して進行してくる信号光を第1レーザユニット21または第2レーザユニット31に導く。具体的には、第1LD22から出射されたレーザ光の信号光は、ダイクロイックプリズム41に入射した後に反射され、第1レーザユニット21の第1コリメータレンズ24に導かれる。また、第2LD32から出射されたレーザ光の信号光は、ダイクロイックプリズム41に入射した後に透過され、第2レーザユニット31の第2コリメータレンズ34に導かれる。
次に、立ち上げミラー42について説明する。立ち上げミラー42は、ダイクロイックプリズム41から出射され光ディスク44に向かうレーザ光の光路を折り曲げ、コーティング対物レンズCOLに導く。そのために、かかる立ち上げミラー42は、第1LD22・第2LD32と光ディスク44との間、より詳細にはダイクロイックプリズム41とコーティング対物レンズCOLとの間の光路中に配置されている。
一方で、立ち上げミラー42は、コーティング対物レンズCOLを介して進行してくる信号光の光路を折り曲げ、ダイクロイックプリズム41に導く。
次に、1/4波長板43について説明する。1/4波長板43は、立ち上げミラー42にて反射された直線偏光(例えばP偏光)を円偏光に変換する。一方で、1/4波長板43は、光ディスク44からの信号光(円偏光)を直線偏光(例えばS偏光)に変換する。
次に、コーティング対物レンズCOL(光学素子)について説明する。コーティング対物レンズCOLは、立ち上げミラー42にて反射され、1/4波長板43を介して得られる光(照射光)を光ディスク44上に集光させる。一方で、コーティング対物レンズCOLは、光ディスク44から反射してくる光(信号光)を1/4波長板43に導く。なお、かかるコーティング対物レンズCOLには、反射防止膜{AR(Anti Reflection)膜}である誘電多層膜MLRが設けられている(詳細については後述)。
また、コーティング対物レンズCOLにおける対物レンズOLの材料は、特に限定されない。ただし、紫外光に対する耐候性の高いガラスが望ましいといえる。例えば、以下のようなガラス成形レンズが一例として挙げられる。
開口数(NA;Numerical Aperture):0.85
レンズ外形(直径) :5mm
芯厚 :2.6mm
なお、BD、DVD、CDに使用するコーティング対物レンズCOLの開口数の規格値は、それぞれ、0.85、0.65、0.5である。
ところで、ガラス成形により形成された対物レンズOLにはレンズ軸を中心とした放射状の複屈折が生じており、その複屈折量が対物レンズOLの外縁に近づくほど増加している。そして、対物レンズOLの持つ複屈折はレンズ軸から放射状に分布、すなわち軸対称に分布しているので、複屈折の光学軸(進相軸あるいは遅相軸)はレンズの半径方向と円周方向とに存在するといえる。その結果、対物レンズOLの外縁に入射する光(マージナルレイ)は、複屈折の影響を多大にうけ波面収差が発生する。
一方、図1(図2でのコーティング対物レンズCOLの拡大図)に示すように、コーティング対物レンズCOLは、反射防止処理(AR処理)のために複数の誘電体膜Liを含んでいる。すると、図1に示すように、例えば平行光が誘電体膜Liに入射した場合、コーティング対物レンズCOLの外縁に近づくにつれて入射角δは徐々に大きくなる(なお、図1での点線は、誘電体膜Liにおける入射点での法線を示す)。
一般的に、入射角δが変化することで、誘電体膜Liにて進行する光のP偏光(入射面に対して平行に振動する偏光)とS偏光(入射面に対して垂直に振動する偏光)との間の位相差が変化する。
すると、P偏光とS偏光との位相差{詳説すると、複数の誘電体膜Li(誘電体多層膜MLR)を通過する透過光の位相差;透過位相差D}と、複屈折によるP偏光とS偏光との位相差(複屈折位相差)とが、相反する極性を有することが望ましい。このようになっていると、誘電体膜Liによる透過位相差Dによって、複屈折位相差が打ち消されるためである。そして、かかるように複屈折位相差が打ち消されることに起因して、波面収差における非点収差の成分が減少する。その結果、レンズが発生する波面収差の非点収差成分を半分以下、さらには1/5以下に容易に低減させることが可能となる。
また、誘電体膜Liによる透過位相差Dは、レンズ中心から外縁部にむかうにつれ実質的に単調増加することが望ましい。対物レンズOLの複屈折は外縁部に向かうにつれ大きくなるため、透過位相差Dにより打ち消すことができるためである。なお、実質的に単調増加するとは、透過位相差Dが外縁部に向かうにつれ全体として大きくなっていることであり、最外縁部近傍でわずかに透過位相差Dが減少したとしても実質的に単調増加しているといえる。
上記のように、誘電体膜Liの透過位相差Dによって対物レンズOLの複屈折を補償することにより、光ピックアップとしての動作安定性も向上させることもできる。また、対物レンズOLが複屈折を持っていると射出光の偏光状態を変えることになる。すなわち、信号光が第1PBS23および第2PBS33に向かう際にS偏光以外の成分を含み、その結果、PBS23、33を透過しLDに達する、いわゆる戻り光が生ずる。戻り光はLDの発振を不安定にするため極力なくさねばならない。誘電体膜Liの透過位相差Dによって対物レンズOLの複屈折を打ち消すことにより、この戻り光による影響をきわめて少なくすることができる。
[2.反射防止膜の詳細について]
ここで、反射防止膜を構成する誘電体多層膜(光学多層膜)MLRについて詳説する。図1に示すように、コーティング対物レンズCOLには、誘電体膜Liが複数で成膜されている。具体的には、1/4波長板43から進行してくる光を受光するコーティング対物レンズCOLの一面に、複数の誘電体膜Li(i=1、2、3…)が積層されている。なお、i=1は最もコーティング対物レンズCOLに近い誘電体膜を意味する。
そして、誘電体多層膜MLRにおける反射率は、“各誘電体膜Liの膜厚”、“各誘電体膜Liの屈折率”を下記のフレネルの式に各境界面(“誘電体膜Liの膜数(層数)”)で適用することで求められる。
R=[(n2−n1)/(n2+n1)]2 … フレネルの式
なお、
屈折率n1の媒体1から屈折率n2の媒体2に光が垂直入射する場合での反射率R
である。
ただし、後に示す実施例1〜6の誘電体多層膜MLRは、反射防止のためだけでなく、透過位相差D(P偏光とS偏光との位相差)を発生させるように設計されている。なお、透過位相差Dの調整原理は、以下のとおりである。
通常、光が屈折率の異なる媒質を通過する場合(屈折率nH>屈折率nL)、屈折率nHの媒質を通過する光の位相θH(P偏光の位相θHP・S偏光の位相θHS)は、屈折率nLの媒質を通過する光の位相θL(P偏光の位相θLP・S偏光の位相θLS)に対して遅れる。そのため、かかる遅れに起因し、屈折率nHの媒質を通過する場合に生じるP偏光とS偏光との位相差(位相θHP−位相θHP)と、屈折率nLの媒質を通過する場合に生じるP偏光とS偏光との位相差(位相θLP−位相θLP)とが異なってくる。すると、媒質間の屈折率の差(屈折率差)および媒質中の距離(膜厚)をパラメータとして、透過位相差Dが適切に設定できる。
そこで、透過位相差Dを考慮した6種類(実施例1〜6)の誘電体多層膜MLRのコンストラクションデータを表1〜6に示す。また、透過位相差Dを考慮しない1種類の誘電体多層膜MLRのコンストラクションデータを比較例として表7に示す。ただし、実施例1〜6のコンストラクションデータは、反射防止特性と所望の位相差を目標値として、市販の膜構成設計ソフトから導きだされた値である。また、比較例のコンストラクションデータは従来一般的に使用されている反射防止膜の値である。なお、屈折率(nd)はd線(波長587.6nm)に対応しており、d線に対応するガラスのアッベ数(υd)は5
6.88になっている。
また、誘電体膜Liの材質は、単一化合物の場合では化合式で示し、混合物の場合では製品名で示している(下記参照)。
・フッ化マグネシウム :MgF2
・酸化アルミニウム(アルミナ) :Al23
・酸化チタン :TiO2
・メルクジャパン社製“サブスタンスH4”:H4
なお、H4はTiO2とLa23(酸化ランタン)との混合物
・メルクジャパン社製“サブスタンスM3”:M3
なお、M3はAl23とLa23との混合物
なお、材質の屈折率に応じて、誘電体膜(層)Liは以下のように定義される。
・低屈折率層L :屈折率が1.6未満の誘電体膜Li
・中間屈折率層M:屈折率が1.6以上かつ1.9以下である誘電体膜Li
・高屈折率層H :屈折率が1.9を超える誘電体膜Li
また、実施例1〜6および比較例に対応する反射特性図(波長[nm]と反射率[%]との関係を示す関係図)および、位相差特性図(誘電体多層膜MLRに対する入射角[°]と位相差[°]との関係図;ただし、位相差は透過位相差D)は、図5〜図32に示される。そこで、実施例・比較例と図との対応を表8に記す。
なお、位相差特性図の縦軸は、P偏光の位相からS偏光の位相を差し引いて求められる差分を示している。そして、位相差特性図の縦軸の“+”は、P偏光の位相に対してS偏光の位相が遅れていることを示す一方、縦軸の“−”は、P偏光の位相に対してS偏光の位相が進んでいることを示す。そして、複屈折位相差を相殺する透過位相差Dは、図中の“+”で示される値とする。
[実施例1]
Figure 2008069031
[実施例2]
Figure 2008069031
[実施例3]
Figure 2008069031
[実施例4]
Figure 2008069031
[実施例5]
Figure 2008069031
[実施例6]
Figure 2008069031
[比較例]
Figure 2008069031
[実施例・比較例と図との対応関係]
Figure 2008069031
[2−1.コンストラクションデータについて]
以上のような実施例1〜6のコンストラクションデータから、以下のことがいえる。
実施例1〜6の誘電体多層膜MLRは、低屈折率層L、中間屈折率層M、および高屈折率層Hの3種類の層を有している。なお、誘電体多層膜MLRに含まれる合計の層数(誘電体膜Liの総数)は、実施例1〜6に対して、それぞれ12層、9層、9層、7層、7層、5層である。
また、実施例1〜6の誘電体多層膜MLRは、低屈折率層Lと高屈折率層Hとを交互に積層させて成る繰り返し構造を含んでいる。なお、1層の低屈折率層Lと1層の高屈折率層Hとが密着して成る複層を1つの組と解釈すると、実施例1〜6に対する各組数は、それぞれ5組、4組、3組、3組、2組、2組である。
また、実施例1〜6での高屈折率層Hの屈折率NHと低屈折率層Lの屈折率NLとの屈折率差(NH−NL)の関係は、それぞれ0.73、1.04、0.73、0.73、0.73、0.73である。
なお、比較例のコンストラクションデータからは、以下のことがいえる。比較例の誘電体多層膜MLRは、実施例1〜6と同様に、低屈折率層L、中間屈折率層M、および高屈折率層Hの3種類の層を有している。しかし、誘電体多層膜MLRに含まれる合計の層数は3層である。
また、比較例の誘電体多層膜MLRは、実施例1〜6と同様に、低屈折率層Lと高屈折率層Hとを交互に積層させて成る繰り返し構造を含んでいる。しかし、組数は1組である。
また、比較例では、高屈折率層Hの屈折率NHと低屈折率層Lの屈折率NLとの屈折率差は、1.04である。
[2−2.反射特性図および位相差特性図について]
さらに、実施例1〜6の反射特性図および位相差特性図から、以下のことがいえる。実施例1〜6では、BD、DVD、CDの波長(405、660、785nm)に対応する反射率が、3%未満になる。したがって、実施例1〜6の誘電体多層膜MLRが対物レンズOLに成膜されると、コーティング対物レンズCOLからの反射光が効果的に抑制される。
また、実施例1〜6では、入射角δ[°]が特定された場合、透過位相差D[°]がある範囲内に特定される。例えば、使用波長405nmの場合、以下のようになる。
δ=30°のとき、Dは2°以上かつ20°以下(2≦D≦20)
δ=60°のとき、Dは4°以上かつ40°以下(4≦D≦40)
さらに、使用波長405nmの場合、30°≦δ≦60°の範囲での入射角δの増加につれて、透過位相差Dが単調に増加している。これは、位相差特性図中のグラフラインから明らかである。なお、単調変化とは単調増加または単調減少のいずれか一方の現象を意味し、単調変化の一例としては線形変化が挙げられる。
また、位相差特性図の横軸に示される入射角δは、コーティング対物レンズCOLの半径方向に関係している。それは、誘電体多層膜MLRが対物レンズOLに設けられている場合を示す図1から明らかである。
すると、対物レンズOLがレンズ軸を中心とした放射状の複屈折を持ち、その複屈折量が対物レンズOLの外縁に近づくほど増加している場合、かかる対物レンズOLに実施例1〜6の誘電体多層膜MLRが成膜されていると望ましい。なぜなら、対物レンズOLに成膜された誘電体多層膜MLRでは(すなわちコーティング対物レンズCOLでは)、対物レンズOLの複屈折に対応するように、透過位相差Dがレンズ軸を中心として放射状に生じ、その位相差量が対物レンズOLの外縁に近づくほど増加しているためである。
つまり、誘電体多層膜MLRに起因する透過位相差Dが、対物レンズOLに起因する複屈折位相差に対応する。したがって、実施例1〜6の誘電体多層膜MLRが成膜されているコーティング対物レンズCOLにおいて、波長405nmの光がコーティング対物レンズCOLに入射した場合、誘電体多層膜MLRに起因する透過位相差Dが、対物レンズOLに起因する複屈折位相差を十分に打ち消すことができる。その結果、波面収差における非点収差の成分が減少することになる。
なお、複屈折位相差は使用波長に反比例する。すると、実施例1〜6の位相差特性図では、使用波長660、785nmの場合での透過位相差Dの値が、使用波長405nmの場合での透過位相差Dの値に比べて小さかったとしても問題は生じない。なぜなら、使用波長に反比例して比較的小さくしか生じない複屈折位相差は、使用波長660、785nmの場合での比較的小さな透過位相差Dでも十分に打ち消すことができるためである。したがって、使用波長405nmの場合で、透過位相差Dと複屈折位相差とが相殺するようになっていれば、使用波長660、785nmの場合であっても、透過位相差Dと複屈折位相差とが相殺する。
また、使用波長660nmのDVD、785nmのCDの場合、対応するレンズの開口数は、それぞれ0.65、0.5である。つまり、コーティング対物レンズCOLに入射する光束径は、波長405nmの光が入射する場合と比較して小さい。波長660nmおよび785nmの光は、レンズの外縁部には入射しないので、複屈折の影響は小さく、大きな位相差を発生させなくても問題はない。
なお、比較例の反射特性図・位相差特性図から、以下のことがいえる。比較例では、BD、DVD、CDの波長(405、660、785nm)に対応する反射率が、5.5%未満になる。したがって、比較例の誘電体多層膜MLRが対物レンズOLに成膜された場合と、実施例1〜6の誘電体多層膜MLRが対物レンズOLに成膜された場合とが比較されると、実施例1〜6に対応するコーティング対物レンズCOLのほうが、比較例に対応するコーティング対物レンズCOLよりも、反射光を効果的に抑制できることがわかる。
また、比較例の誘電体多層膜MLRは透過位相差Dが考慮されていない。そのため、全ての使用波長において、“+”の透過位相差Dが発生しにくく、むしろ、“−”の透過位相差Dが発生しやすくなっている。
[3.測定について]
ここで、コーティング対物レンズCOLからの出射光に生じる波面収差、特に非点収差の成分が、誘電体多層膜MLRによって減少していることを実測データで示す。そこで、まず、波面収差の測定方法について説明する。
波面収差は、図33に示すようなトワイマングリーン干渉計にて測定される。トワイマングリーン干渉計は、直線偏光の光を放射するレーザ光源14と、ビームスプリッタ15と、球面原器16と、平面原器17と、干渉縞画像を取り込み波面収差の計算処理を行う画像処理装置18とを含んでいる。光源からの光束はビームスプリッタ15で分離され、一方は平面原器17で反射され、他方は被検レンズ19で集光された後、球面原器16で反射される。平面原器17で反射された参照光と、再び被検レンズ19を透過した測定光とはビームスプリッタ15で合成され干渉縞を生成する。干渉縞は画像処理装置18に入力され、処理されて被検レンズ19の波面収差が測定される。なお、被検レンズ19に入射する光束の平行度(発散度)は、被検レンズ19の実使用状態に応じて適宜調整される。
波面収差の非点収差成分の測定は以下のステップを踏む。最初のステップでは、球面原器16の球心と被検レンズ19(コーティング対物レンズCOL等)の焦点位置とが一致するように、被検レンズ19が配置され、球面原器16からの反射光および平面原器17からの反射光による干渉縞から波面収差が側定される(1回目の測定;レンズ位置0°での測定)。続いて、被検レンズ19が、1回目の測定位置から光軸周りに90°回転され、その後、1回目の測定と同様に、波面収差が測定される(2回目の測定;レンズ位置90°での測定)。
そして、以上のようにして得られた波面収差(レンズ位置0°・90°での波面収差)を用いて、波面収差の非点収差成分が求められる。具体的には、まず、各波面収差がツェルニケ(Zernike)の多項式で展開され、かかる多項式でのZ4項およびZ5項の係数が求められる。その後、以下の式から、波面収差の非点収差成分[mλrms]が求められる。
AS=√[{〔Z4(0゜)+Z4(90゜)〕/2√6}2+{〔Z5(0゜)+Z5(90゜)〕/2√6}2]
ただし、
AS :波面収差の非点収差成分
Z4(0゜) :レンズ位置0°でのツェルニケの多項式のZ4項
Z4(90゜) : レンズ位置90°でのツェルニケの多項式のZ4項
Z5(0゜) :レンズ位置0°でのツェルニケの多項式のZ5項
Z5(90゜) : レンズ位置90°でのツェルニケの多項式のZ5項
である。
なお、ツェルニケの多項式は、いわゆるArizonaスタイルの展開式を採用しており、具体的には(株)キヤノン販売社製の解析ソフトであるMetropro Zernike Applicationを使用して計算した。また、波面収差の測定は直線偏光を用いて行われる。一般的に干渉計を用いて波面収差測定する場合は円偏光が用いられるが、上記の複屈折による波面収差の非点収差成分は、円偏光を用いた方法では検出されない。
以上のような方法に基づく測定では、反射防止膜を備えない2種類の対物レンズOL(第1対物レンズOL1・第2対物レンズOL2)を用いたので、対物レンズOLの種類に場合分けして、以降に説明する。なお、第1対物レンズOL1、第2対物レンズOL2ともにガラス成形で作製されたものであり、いずれも開口数は0.85である。
[3−1.第1対物レンズの波面収差の測定]
まず、第1対物レンズOL1に起因する波面収差の非点収差成分を、上記の測定方法にて求めたところ、20.1mλrmsであった。
次に、比較例の誘電体多層膜MLRを成膜した第1対物レンズOL1の波面収差の非点収差成分を求めたところ、18.8mλrmsであった(約1mλrmsの低減)。なお、比較例の誘電体多層膜MLRにおいて、ある入射角δでの透過位相差Dの値は下記のようになっている。
δ=30°のとき、D≦3°
δ=60°のとき、D≦3°
さらに、第1対物レンズOL1に実施例1の誘電体多層膜MLRを成膜した第1コーティング対物レンズCOLの波面収差の非点収差成分を求めたところ、1.7mλrmsであった(約18mλrmsの低減)。なお、実施例1の誘電体多層膜MLRにおいて、ある入射角δでの透過位相差Dの値は下記のようになっている。
δ=30°のとき、D=8°
δ=60°のとき、D=18°
以上の測定データから、比較例の誘電体多層膜MLRは第1対物レンズOL1に起因する波面収差の非点収差成分を十分に低減できないものの、実施例1の誘電体多層膜MLRは第1対物レンズOL1に起因する波面収差の非点収差成分を十分に低減できることがわかる。
[3−2.第2対物レンズの波面収差の測定]
続いて、第1対物レンズOL1とは異なる第2対物レンズOL2の波面収差を測定したところ、非点収差成分は18.5mλrmsであった。
次に、第2対物レンズOL2に実施例2の誘電体多層膜MLRを成膜した第2コーティング対物レンズCOLの波面収差の非点収差成分を求めたところ、1.1mλrmsであった(約17mλrmsの低減)。なお、実施例2の誘電体多層膜MLRにおいて、ある入射角δでの透過位相差Dの値は下記のようになっている。
δ=30°のとき、Dは4°
δ=60°のとき、Dは12°
以上の実測データから、実施例2の誘電体多層膜MLRは第2対物レンズOL2に起因する波面収差の非点収差成分を十分に低減できることがわかる。
[3−3.レンズの複屈折の確認]
なお、対物レンズOL1、OL2がレンズ軸を中心として放射状に複屈折を有することを以下の方法で確認した。
図3Aに示すように、対物レンズOLを、透過軸PAを有する偏光板12と平面ミラー13との間に配置し、干渉縞を観察した。偏光板12を通過した光(透過軸PAと同一方向に振動する光)は、対物レンズOLを透過した後に平面ミラー13により反射され、再び対物レンズOLを透過し、偏光板12に向かって進行する。つまり対物レンズOLは平行ニコル間に配置されていることと等価である。
図3Bは、偏光板12を介して観察される対物レンズOLを示している。具体的には、透過軸PAと同一方向(平行方向)および垂直方向では白く観察され、一方、透過軸PAと45°(135°)をなす方向では黒い干渉縞が確認された。
また、干渉縞の濃度は、対物レンズOLのレンズ軸中心から外縁に向かうにつれて濃くなっていた。
図3Cは、対物レンズOLを回転させた場合でのレンズ面を示している。対物レンズOLを回転させても干渉縞は回転しなかった。図3Dは、偏光板12を回転させた場合でのレンズ面を示している。偏光板12を回転させると、干渉縞は偏光板12と同様に回転した。
以上の結果から、対物レンズOLは一軸結晶状の複屈折を有し、その光学軸は半径方向と円周方向であることが分かる。つまり、対物レンズOLは放射状の複屈折を有している。また、複屈折の大きさは対物レンズOLの外縁に向かうにつれ大きくなっていることが確認された。
[3−4.測定の検証]
コーティング対物レンズCOLの波面収差の測定は、実施例1、2の誘電体多層膜MLRを成膜したものでしか行わなかった。しかし、実施例1・2と同様の位相差を有する他の実施例の誘電体多層膜MLRであっても、対物レンズOLに起因する波面収差の非点収差成分を低減できることは容易に推測できる。
第1対物レンズOL1の波面収差の非点収差成分は20mλrmsを越える値であり、実施例1の透過位相差Dは、入射角δが60°のとき18°である。実施例3および4の透過位相差Dは実施例1と同様であるので、第1対物レンズOL1と同様の複屈折を相殺することができる。また、実施例5の透過位相差Dは実施例2と同様なので、第2対物レンズOL2と同様の複屈折を相殺することができる。波面収差の非点収差成分の大きさは、複屈折の大きさと相関関係があるので、実施例6は第2対物レンズOL2よりも小さな複屈折を持つ対物レンズに用いることで、効果的に波面収差の非点収差成分を低減することができる。逆に、第1対物レンズOL1よりも大きな複屈折を持つ対物レンズに対しては、より大きな位相差を発生させる誘電体多層膜を用いればよい。
対物レンズOLの波面収差の非点収差成分が、20mλrms以上の場合には、比較的大きな位相差を発生させることが望ましい。大きな位相差を発生させるとともに反射防止を実現する誘電体多層膜MLRは、低屈折率層L、中間屈折率層M、および高屈折率層Hを有し、合計で9層以上で構成するとよい(実施例1〜3が対応)。あるいは、誘電体多層膜MLRは、合計で7層以上の光学薄膜を含むとともに、低屈折率層Lと高屈折率層Hとを交互に積層させて成る繰り返し構造を含み、高屈折率層Hの屈折率NHと低屈折率層Lの屈折率NLとの差が、0.5以上であるとよい(実施例1〜5が対応)。上記の条件より少ない層数でも反射防止は実現できるが、複屈折を補償することのできる位相差を発生させることが困難である。いずれの場合も誘電体多層膜MLRの層数は20層以下であることがさらに望ましい。上限を超えると、製造時のばらつきによりリップルが発生し、反射防止特性を安定的に確保することが困難になる。
対物レンズOLの波面収差の非点収差成分が、10mλrms以上20mλrms未満の場合には、比較的小さな位相差を発生させることが望ましい。比較的小さな位相差を発生させるとともに反射防止を実現する誘電体多層膜MLRは、低屈折率層L、中間屈折率層M、および高屈折率層Hを有し、合計で7層以上であるとよい(実施例1〜5が対応)。あるいは、誘電体多層膜MLRは、合計で5層以上の誘電体膜を含むとともに、低屈折率層Lと高屈折率層Hとを交互に積層させて成る繰り返し構造を含み、高屈折率層Hの屈折率NHと低屈折率層Lの屈折率NLとの差が、0.5以上であるとよい(実施例1〜6が対応)。上記の条件より少ない層数でも反射防止は実現できるが、複屈折を補償することのできる位相差を発生させることが困難である。いずれの場合も誘電体多層膜MLRの層数は20層以下であることがさらに望ましい。上限を超えると、製造時のばらつきによりリップルが発生し、反射防止特性を安定的に確保することが困難になる。
[4.総括]
総括として、コーティング対物レンズCOLには以下のことがいえる。すなわち、対物レンズOLに複屈折が生じ、それに起因して、対物レンズOLからの出射光に波面収差が生じる場合がある。そして、かかる波面収差の非点収差成分が10mλrms以上生じる場合に、コーティング対物レンズCOLは、その非点収差成分を5mλrms以下にまで低減させる誘電体多層膜MLRを有している。
なお、波面収差の非点収差成分を低減させる原理は、非点収差成分の発生原因の1つである複屈折位相差と、誘電体多層膜MLRにおける透過位相差Dとを相殺させることである。そのために、効果的に透過位相差Dを発生させられる誘電体多層膜MLRを有するコーティング対物レンズCOLが望ましい。また、誘電体多層膜MLRが発生させる位相差はレンズ中心から外縁部にむかうにつれ実質的に単調増加していることが望ましい。
かかるようなコーティング対物レンズCOLの一例としては以下のようなものが挙げられる。例えば、誘電体多層膜MLRに入射する波長405nmの光の入射角をδ、誘電体多層膜MLRを透過する光のP偏光とS偏光との位相差(透過位相差)をD、とした場合でのδとDとの関係で、
δ=30°のとき、Dは2°以上かつ20°以下となり、
δ=60°のとき、Dは4°以上かつ40°以下となり、
の関係を満たし、
30°≦δ≦60°の範囲におけるDの変化は、単調変化(例えば、線形変化)しているコーティング対物レンズCOLである(実施例1〜6が対応)。
さらに、かかるようなコーティング対物レンズCOLは、以下の条件を満たしていると効果的に波面収差の非点収差成分を低減できるとともに、反射防止を実現できる(実施例1〜3が対応)。
条件(1) :誘電体膜Liを有さない対物レンズOLによって生じる波面収差での非
点収差成分が20mλrms以上である。
条件(2) :コーティング対物レンズCOLに成膜されている誘電体多層膜MLRは
、低屈折率層L、中間屈折率層M、および高屈折率層Hを有し、合計で
9層以上になっている。
また、別途に、以下の条件を満たしていても、コーティング対物レンズCOLは、効果的に波面収差の非点収差成分を低減できるとともに、反射防止を実現できる(実施例1〜5が対応)。
条件(3) :誘電体膜Liを有さない対物レンズOLによって生じる波面収差での非
点収差成分が10mλrms以上かつ20mλrms未満である。
条件(4) :誘電体多層膜MLRは、低屈折率層L、中間屈折率層M、および高屈
折率層Hを有し、合計で7層以上になっている。
さらに、別途、以下の条件を満たしていても、コーティング対物レンズCOLは、効果的に波面収差の非点収差成分を低減できるとともに、反射防止を実現できる(実施例1〜5が対応)。
条件(5) :誘電体膜Liを有さないコーティング対物レンズCOLによって生じる
波面収差での非点収差成分が20mλrms以上である。
条件(6) :誘電体多層膜MLRは、合計で7層以上の誘電体膜Liを含むとともに
、低屈折率層Lと高屈折率層Hとを交互に積層させて成る繰り返し構造
を含んでいる。
条件(7) :高屈折率層Hの屈折率NHから低屈折率層Lの屈折率NLを差し引いて
求められる屈折率の差が、0.5以上である。
さらに、別途、以下の条件を満たしていても、コーティング対物レンズCOLは、効果的に波面収差の非点収差成分を低減できるとともに、反射防止を実現できる(実施例1〜6が対応)。
条件(8) :誘電体膜Liを有さない対物レンズOLによって生じる波面収差での非
点収差成分が10mλrms以上かつ20mλrms未満である。
条件(9) :誘電体多層膜MLRは、合計で5層以上の誘電体膜Liを含むとともに
、低屈折率層Lと高屈折率層Hとを交互に積層させて成る繰り返し構造
を含んでいる。
条件(10):高屈折率層Hの屈折率NHから低屈折率層Lの屈折率NLを差し引いて
求められる屈折率の差が、0.5以上である。
なお、ガラス成形で作製される対物レンズOLには、複屈折が発生しやすい。その上、開口数の値が大きいほど、例えば0.6以上であれば、特に複屈折が発生しやすい。また、かかるようにして発生した複屈折はレンズ軸を中心として放射状に生じ、その複屈折量は対物レンズOLの外縁に近づくほど増加する。
ただし、かかるような対物レンズOLに成膜される誘電体多層膜MLRも、対物レンズOLに起因する複屈折に対応するように、レンズ軸を中心とした放射状に透過位相差Dを生じさせ、その位相差量が対物レンズOLの外縁に近づくほど増加させる。したがって、このような対物レンズOLに誘電体多層膜MLRが設けられれば、かかる誘電体多層膜MLRは問題なく透過位相差Dで複屈折位相差を打ち消し、波面収差の非点収差成分を低減できる。
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、ガラス成形により作製された対物レンズの複屈折を誘電体多層膜により補償しているが、樹脂製のレンズであっても補償可能であり、レンズの材質には限定されない。また、光ピックアップ用の対物レンズに限らず、撮像レンズ系や投影レンズ系あるいは測定用に使用されるレンズであってもよく、使用用途には限定されない。いずれの光学系に使用されるレンズであっても、誘電体多層膜MLRで透過位相差を発生させることで、レンズの複屈折による性能低下を低減することができる。
また、上記実施形態では、P偏光の位相に対してS偏光の位相が遅れている場合に複屈折位相差を相殺できる例を示したが、これに限らずレンズの複屈折に応じて位相差を発生させればよい。複屈折の分布も軸対称でなくても構わない。要は、P偏光とS偏光との位相差を用いることでレンズの持つ複屈折を低減させるものは本発明に含まれるものである。
また、例えば、コーティング対物レンズCOLに含まれる光学多層膜としては、誘電体多層膜MLRを例に挙げて説明してきた。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、誘電体材料以外の材料で光学薄膜、ひいては光学多層膜が形成されていてもよい。また、誘電体多層膜MLRも反射防止膜に限定されないし、対物レンズOLに対する誘電体多層膜MLRの成膜方法も限定されるものではない。
本発明は、レンズ表面に光学多層膜を有する、青色レーザーを使用する光ピックアップ用の光学素子である。そして、かかる光学素子では、レンズはレンズ軸中心を基準に放射状の複屈折を有し、そのレンズによる波面収差の非点収差成分は波長405nmの光に対して10mλrm以上であり、光学多層膜が、波長405nmの光に対するP偏光とS偏光との位相差を、レンズ中心から外縁部に向かうにつれ実質的に単調に増加するように発生させ複屈折を相殺させることにより、光学素子による波面収差の非点収差成分を波長405nmの光に対して5mλrms以下に低減させる。
また、波長405nmの光に対する、光学多層膜の光の入射角をδ[°]、光学多層膜を透過する光のP偏光とS偏光との位相差をD[°]とした場合、δとDとの関係では、
δ=30°のとき、Dは2°以上かつ20°以下、
δ=60°のとき、Dは4°以上かつ40°以下、
の関係を満たし、
30°≦δ≦60°の範囲におけるDの変化は、単調に変化していると望ましい。
なお、以上の光学素子を青色レーザー光源からの光を光ディスクに集光させるための対物レンズとして備える光ピックアップ装置も本発明といえる。
また、レンズ表面に光学多層膜を有する光学素子であって、レンズはレンズ軸中心を基準に放射状の複屈折を有し、複屈折の量がレンズ軸中心からレンズの外縁に向かうにつれて増加しており、光学素子に使用される所定の波長に対して、光学多層膜が、P偏光とS偏光との位相差を、レンズ中心から外縁部に向かうにつれ実質的に単調に変化させるように発生させ複屈折を相殺させることにより、レンズに発生する波面収差の非点収差成分を所定の波長において半分以下に低減させる光学素子も本発明といえる。
通常、光が屈折率の異なる媒質を通過する場合(屈折率nH>屈折率nL)、屈折率nHの媒質を通過する光の位相θH(P偏光の位相θHP・S偏光の位相θHS)は、屈折率nLの媒質を通過する光の位相θL(P偏光の位相θLP・S偏光の位相θLS)に対して遅れる。そのため、かかる遅れに起因し、屈折率nHの媒質を通過する場合に生じるP偏光とS偏光との位相差(位相θHP−位相θ HS )と、屈折率nLの媒質を通過する場合に生じるP偏光とS偏光との位相差(位相θLP−位相θ LS )とが異なってくる。すると、媒質間の屈折率の差(屈折率差)および媒質中の距離(膜厚)をパラメータとして、透過位相差Dが適切に設定できる。
また、レンズ表面に光学多層膜を有する光学素子であって、レンズはレンズ軸中心を基準に放射状の複屈折を有し、複屈折の量がレンズ軸中心からレンズの外縁に向かうにつれて増加しており、波長405nmの光に対して、光学多層膜が、P偏光とS偏光との位相差を、レンズ中心から外縁部に向かうにつれ実質的に単調に変化させるように発生させ複屈折を相殺させることにより、レンズに発生する波面収差の非点収差成分を波長405nmの光において半分以下に低減させる光学素子も本発明といえる。

Claims (18)

  1. レンズ表面に光学多層膜を有する光学素子であって、
    上記レンズは複屈折を有し、そのレンズによる波面収差の非点収差成分は10mλrms以上であり、
    上記光学多層膜が、P偏光とS偏光との位相差を発生させ上記複屈折を相殺させることにより、光学素子による波面収差の非点収差成分を5mλrms以下に低減させる光学素子。
  2. 上記光学多層膜の位相差はレンズ中心から外縁部に向かうにつれ実質的に単調増加している請求項1に記載の光学素子。
  3. 上記光学多層膜に入射する波長405nmの光の入射角をδ[°]、上記光学多層膜を透過する上記光のP偏光とS偏光との位相差をD[°]とした場合、δとDとの関係では、
    δ=30°のとき、Dは2°以上かつ20°以下、
    δ=60°のとき、Dは4°以上かつ40°以下、
    の関係を満たし、
    30°≦δ≦60°の範囲におけるDの変化は、単調に変化している請求項2に記載の光学素子。
  4. 上記の単調変化は、線形変化である請求項3に記載の光学素子。
  5. 上記光学多層膜は反射防止膜であり、
    上記光学多層膜に含まれる光学薄膜において、
    1.6未満の屈折率を有する光学薄膜を低屈折率層、
    1.6以上かつ1.9以下の屈折率を有する光学薄膜を中間屈折率層、
    1.9を超える屈折率を有する光学薄膜を高屈折率層、
    とした場合に、
    以下の条件(1)および条件(2)を満たしている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子;
    条件(1):上記レンズの波面収差における非点収差成分が20mλrms 以上であ
    る。
    条件(2):光学多層膜は、低屈折率層、中間屈折率層、および高屈折率層を有し

    合計で9層以上である。
  6. 上記光学多層膜は反射防止膜であり、
    上記光学多層膜に含まれる光学薄膜において、
    1.6未満の屈折率を有する光学薄膜を低屈折率層、
    1.6以上かつ1.9以下の屈折率を有する光学薄膜を中間屈折率層、
    1.9を超える屈折率を有する光学薄膜を高屈折率層、
    とした場合に、
    以下の条件(3)および条件(4)を満たしている請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    光学素子;
    条件(3):上記レンズの波面収差における非点収差成分が10mλrms以上かつ
    20mλrms未満である。
    条件(4):光学多層膜は、低屈折率層、中間屈折率層、および高屈折率層を有し

    合計で7層以上である。
  7. 上記光学多層膜は反射防止膜であり、
    上記光学多層膜に含まれる光学薄膜において、
    1.6未満の屈折率を有する光学薄膜を低屈折率層、
    1.9を超える屈折率を有する光学薄膜を高屈折率層、
    とした場合に、
    以下の条件(5)〜条件(7)を満たしている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子;
    条件(5):上記レンズの波面収差における非点収差成分が 20mλrms 以上で
    ある。
    条件(6):光学多層膜は、合計で7層以上の光学薄膜を含むとともに、低屈折率
    層と高屈折率層とを交互に積層させて成る繰り返し構造を含んでいる。
    条件(7):高屈折率層の屈折率と低屈折率層の屈折率を差し引いて求められる屈
    折率の差が、0.5以上である。
  8. 上記光学多層膜は反射防止膜であり、
    上記光学多層膜に含まれる光学薄膜において、
    1.6未満の屈折率を有する光学薄膜を低屈折率層、
    1.9を超える屈折率を有する光学薄膜を高屈折率層、
    とした場合に、
    以下の条件(8)〜条件(10)を満たしている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子;
    条件(8) :上記レンズの波面収差における非点収差成分が10mλrms以上かつ
    20mλrms 未満である。
    条件(9) :光学多層膜は、合計で5層以上の光学漠膜を含むとともに、低屈折率
    層と高屈折率層とを交互に積層させて成る繰り返し構造を含んでいる。
    条件(10):高屈折率層の屈折率と低屈折率層の屈折率を差し引いて求められる
    屈折率の差が、0.5以上である。
  9. 上記レンズが成形により形成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学素子。
  10. 上記レンズの開口数が0.6以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学素子。
  11. 上記複屈折が、上記レンズのレンズ軸中心を基準に放射状に生じており、上記複屈折の量が、レンズ軸中心からレンズの外縁にむかうにつれて増加している請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学素子。
  12. 上記光学多層膜は、反射防止用の誘電体膜を積層させた誘電体多層膜である請求項1〜4、9〜11のいずれか1項に記載の光学素子。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項の光学素子を備える光ピックアップ装置。

  14. レンズ表面に光学多層膜を有する光学素子であって、
    上記レンズは複屈折を有し、
    上記光学多層膜が、P偏光とS偏光との位相差を発生させ上記複屈折を相殺させることにより、レンズに発生する波面収差の非点収差成分を半分以下に低減させる光学素子。
  15. 上記光学多層膜が、レンズに発生する波面収差の非点収差成分を1/5以下に低減させる請求項14に記載の光学素子。
  16. 上記光学多層膜の位相差はレンズ中心から外縁部に向かうにつれ実質的に単調増加している請求項14または15に記載の光学素子。
  17. 上記複屈折が、上記レンズのレンズ軸中心を基準に放射状に生じており、上記複屈折の量が、レンズ軸中心からレンズの外縁にむかうにつれて増加している請求項14〜16のいずれか1項に記載の光学素子。
  18. 上記光学多層膜は、反射防止用の誘電体膜を積層させた誘電体多層膜である請求項14〜17のいずれか1項に記載の光学素子。
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