JP2003172805A - 反射防止膜付き屈折率分布レンズ - Google Patents

反射防止膜付き屈折率分布レンズ

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JP2003172805A
JP2003172805A JP2001371876A JP2001371876A JP2003172805A JP 2003172805 A JP2003172805 A JP 2003172805A JP 2001371876 A JP2001371876 A JP 2001371876A JP 2001371876 A JP2001371876 A JP 2001371876A JP 2003172805 A JP2003172805 A JP 2003172805A
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antireflection film
lens
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concentration
gradient index
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JP2001371876A
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Masaki Nakamura
真記 中村
Masaki Okita
正樹 沖田
Toshiaki Anzaki
利明 安崎
Kenichi Nakama
健一 仲間
Katsuhisa Enjoji
勝久 円城寺
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学的に安定で波面収差の少ない反射防止膜
付き屈折率分布レンズを提供する。 【解決手段】 屈折率分布型レンズ1の入射面或いは出
射面となる端面には多層構造の反射防止膜2がスパッタ
リング法にて形成されている。この反射防止膜2はTi
O2/SiO2/TiO2/SiO2の4層構造となってい
る。そして、レンズ表面に接するTiO2層(第1層)中
の1価イオン濃度(レンズ1中の1価イオン濃度に対す
る相対濃度)は10%以下となっている。この条件を満
たす反射防止膜を形成するには、175℃以下、好まし
くは150℃以下の雰囲気温度でスパッタリング法によ
って形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入射端面及び/ま
たは出射端面に反射防止膜を形成した屈折率分布レンズ
に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザからの光を他の光学系に適
合させるためのカップリングレンズとして屈折率分布型
レンズ(セルフォックレンズ)が知られている。この屈
折率分布型レンズは通常ロッド状をなし、屈折率が光軸
と直交する方向に分布するとともに平行な両端面のうち
一方を入射面、他方を出射面としている。
【0003】上記の屈折率分布型レンズをカップリング
レンズとして用いる場合、端面からの反射光が発光部に
戻ると発光光量の変動を来たすため、レンズを中心光線
に対して傾けて配置している。しかしながら、レンズを
傾けると波面収差が劣化する。
【0004】そこで、特開平10−301047号公報
には、屈折率分布型レンズの少なくとも出射側端面に反
射防止膜をコーティングすることが開示されている。上
記の反射防止膜の形成方法としては成膜速度において優
れるイオンアシスト蒸着法が一般的であるが、最近では
特開平11−30703号公報に開示されるようにスパ
ッタリング法も適用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、屈折
率分布型レンズの入射端面または出射端面に反射防止膜
を設けることで、ある程度波面収差の改善が図れるが、
実用上支障を来たさないとされるλ/2(RMS)以下
にすることが困難である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多層構造
の反射防止膜にあっては、レンズ表面に直接接触する第
1層中の1価イオンのレンズ中の1価イオンに対する割
合(相対濃度)が、波面収差に大きく影響するとの知見
を得た。
【0007】Ag(銀)イオンの相対濃度と波面収差と
の関係について実験した結果を図1に示す。この図1か
ら明らかなように、第1層中の1価イオン(Ag+)濃
度がレンズ中の1価イオン濃度の10%以下であれば、
波面収差をλ/2(RMS)以下に抑えることができ
る。
【0008】そこで、本発明に係る反射防止膜付き屈折
率分布レンズは、入射端面及び/または出射端面に形成
した多層構造の反射防止膜のレンズ端面に接する層中の
1価イオン濃度をレンズ中の1価イオン濃度に対して10
%以下とした。
【0009】前記反射防止膜のレンズ端面に接する層中
の1価イオン濃度は、具体的には150℃、90%R
H、10時間の加速テストによる測定値とする。また、
前記1価イオンとしては、Ag、NaまたはKが挙げら
れる。
【0010】前記条件を満たす反射防止膜を形成するに
は、175℃以下、好ましくは150℃以下の雰囲気温
度でスパッタリング法によって形成する。図2は反射防
止膜の形成温度と第1層中のAg濃度との関係を示すグ
ラフである。このグラフから明らかなように175℃で
はAg濃度(相対濃度)は5%であるが、200℃にな
ると12%まで急激に上昇してしまう。イオンアシスト
蒸着法による場合は、成膜速度は速いが成膜温度が高く
なるため屈折率分布型レンズの表面に反射防止膜を形成
する手段として不適であり、低温でも成膜可能なスパッ
タリング法が適当である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。図3は本発明に係る屈折率分布型レンズ表面の拡
大断面図であり、屈折率分布型レンズ1の入射面或いは
出射面となる端面には多層構造の反射防止膜2がスパッ
タリング法にて形成されている。
【0012】この反射防止膜2はTiO2/SiO2/Ti
O2/SiO2の4層構造となっている。そして、レンズ
表面に接するTiO2層(第1層)中の1価イオン濃度
(レンズ1中の1価イオン濃度に対する相対濃度)は1
0%以下となっている。
【0013】次に、具体的な実施例と比較例について述
べる。 (実施例1)スパッタリング装置内に端面をターゲット
に対向させたGRINレンズを装着し、室温にて、チタ
ンターゲットおよびボロンドープシリコンターゲットの
反応性スパッタリングにより、順次TiO2/SiO2/T
iO2/SiO2の4層膜を形成した。膜厚は順に、40〜
60nm/40〜60nm/180〜220nm/23
0〜260nmの範囲に収まるようにした。このように
して得られたGRINレンズのas−depo膜(成膜
直後の未処理膜)の第1層目の膜中に含まれる1価イオ
ンの量(濃度)をESCA(X線光電子分光分析装置:
アルバック・ファイ(株)製)を用いて深さ方向組成分
析により測定したところ、濃度5%であった。また、波
面収差は、λ/4(RMS)であった。更に、このレン
ズを150℃、90%RHの恒温高湿試験機にて、10
時間の加速試験後も、第1層目の1価イオンの量(濃
度)は5%以下であり、膜が十分な緻密さを有してい
る。加速試験前後での波面収差はいずれもλ/4(RM
S)と変化はなかった。また、分光反射率の波長シフト
もなかった。
【0014】(実施例2)回転ドラム式のスパッタリン
グ装置を用いて成膜した。ワークホルダーは回転可能と
なっており、ターゲットは2種類配置できるようになっ
ている。スパッタ室には、チタンターゲットおよびボロ
ンドープシリコンターゲットをセットした。屈折率分布
レンズをチャンバー内にセッティングし、ロータリーポ
ンプ及びクライオポンプで1.33×10-3Pa(1×
10-5Torrに相当)以下まで排気した。その後、スパッ
タ室にArガス60SCCM、O2ガス40SCCMを
導入し、圧力を1.064Pa(8mTorrに相当)に調
節した。室温のまま、Tiターゲットに所定のパワーを
印加しグロー放電を起こし、50nm膜厚のTiO2を成
膜した。次に、Siターゲットに所定のパワーを印加し
てグロー放電を起こし、50nm膜厚のSiO2を成膜し
た。同様にして、3層(TiO2:200nm)、4層
(SiO2:200nm)の反射防止膜を順次成膜した。
この反射防止膜付きレンズの膜中へのイオン拡散量(濃
度)をESCAにより測定したところ、第1層目の膜中
のイオン拡散量(濃度)は、レンズの拡散量(濃度)に
対して5%以下であった。このレンズの波面収差をマッ
ハツェンダ干渉計により測定したところ、λ/4(RM
S)であった。これらのサンプルを150℃、90%R
Hの恒温高湿試験機にて10時間の加速試験を行い、同
様の測定を行ったところ5%以下であった。また、この
ときの波面収差は、λ/4と変わらなかった。
【0015】(比較例1)イオンアシスト蒸着法によっ
て、顆粒状のTiO2とSiO2を蒸着源とし、基材(レン
ズ)温度を250℃に保ち、同様の反射防止膜を屈折率
分布レンズ上に成膜した。実施例1と同様、ESCAを
用いて、第1層目の膜中へのイオン拡散量(濃度)は、
基材中の1価イオン濃度に対して20%であった。波面
収差を測定したところ、λ/4(RMS)であった。こ
のレンズについて実施例1と同様の加速試験を行った
後、ESCAで第1層目の膜中へのイオン拡散量(濃
度)を測定したところ25%であった。また波面収差
は、λ/2(RMS)であり、実用に耐え得るものでは
なかった。
【0016】(比較例2)イオンアシスト蒸着法によっ
て、顆粒状のTiO2とSiO2を蒸着源とし、基材(レン
ズ)温度を200℃に保ち、同様の反射防止膜を屈折率
分布レンズ上に成膜した。実施例1と同様、ESCAを
用いて、第1層目の膜中へのイオン拡散量(濃度)は、
基材中の1価イオン濃度に対して20%であった。波面
収差を測定したところ、λ/4(RMS)であった。こ
のレンズについて実施例1と同様の加速試験を行った
後、ESCAで第1層目の膜中へのイオン拡散量(濃
度)を測定したところ50%であった。また波面収差
は、λ/2(RMS)であり、実用に耐え得るものでは
なかった。
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
屈折率分布型レンズの表面に接する反射防止膜の第1層
中の1価イオン濃度を低くしたことで波面収差を小さく
することができ、光通信システムに組み込むカップリン
グレンズ等として極めて信頼のたかい製品を提供するこ
とができる。
【0018】また本発明では、低温のスパッタリング法
を適用して反射防止膜を形成したので、レンズの表面と
反射防止膜との密着性を高めることができ、また反射防
止膜の緻密性が向上するため経時的に大気中の水分を吸
収して反射防止膜の屈折率が変化することを抑制でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ag(銀)イオンの相対濃度と波面収差との関
係を示すグラフ
【図2】温度とAg(銀)イオンの相対濃度との関係を
示すグラフ
【図3】本発明に係る屈折率分布型レンズ表面の拡大断
面図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安崎 利明 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 仲間 健一 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 円城寺 勝久 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA07 BB02 CC03 DD04 EE00 FF01 4K029 BA46 BA48 BB02 BC08 BD00 CA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率が光軸と直交する方向に分布する
    屈折率分布レンズであって、入射端面及び/または出射
    端面には多層構造の反射防止膜が形成され、この反射防
    止膜のレンズ端面に接する層中の1価イオン濃度はレン
    ズ中の1価イオン濃度に対して10%以下であることを
    特徴とする反射防止膜付き屈折率分布レンズ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の反射防止膜付き屈折率
    分布レンズにおいて、前記反射防止膜のレンズ端面に接
    する層中の1価イオン濃度は、150℃、90%RH、
    10時間の加速テストの後でも10%以下であることを
    特徴とする反射防止膜付き屈折率分布レンズ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の反射防
    止膜付き屈折率分布レンズにおいて、前記1価イオン
    は、Ag、NaまたはKであることを特徴とする反射防
    止膜付き屈折率分布レンズ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3に記載の反射防止
    膜付き屈折率分布レンズにおいて、前記反射防止膜は1
    75℃以下の雰囲気温度でスパッタリング法により成膜
    されていることを特徴とする反射防止膜付き屈折率分布
    レンズ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4433086B2 (ja) * 2006-12-07 2010-03-17 コニカミノルタオプト株式会社 光学素子および光ピックアップ装置
CN113278950A (zh) * 2021-04-30 2021-08-20 中国建筑材料科学研究总院有限公司 渐变折射率减反薄膜及其制备方法和应用

Cited By (3)

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JPWO2008069031A1 (ja) * 2006-12-07 2010-03-18 コニカミノルタオプト株式会社 光学素子および光ピックアップ装置
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