JP3509414B2 - 反射鏡及びその製造方法 - Google Patents
反射鏡及びその製造方法Info
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Description
造方法に関するものである。
6は、別の従来例の要部断面図である。従来例として
は、図5に示されるように、基材101の上に、Ag層
102、SiO2 層103が順に積層されてなる反射鏡
が知られている。
ては、Ag層102とSiO2 層103との密着性が低
いため、SiO2 層103が剥離して保護膜としての機
能を果たさなくなり、高反射率反射鏡としての機能を損
なうという不都合があった。この問題を解決するために
別の従来例では、図6に示されるように、基材101の
上に、酸化アルミニウム層104、Ag層102、酸化
アルミニウム層104、SiO2 層103が順に積層さ
れてなる反射鏡が示されている。しかし、別の従来例に
おいても、耐湿性試験より過酷な耐塩水性試験及び耐硫
化性試験を行った場合には、Ag層102とSiO2 層
103との密着性が不充分であるという不都合があっ
た。
り、Ag層とSiO2 層との間の密着性を向上させ、更
には、Ag自身が持つ光学特性の低下削減若しくは維持
を図ることができる反射鏡を提供することを目的とする
ものである。
の上にAg層、フッ素化合物層、SiO2層が順に積層
されてなる基本構造を有している。
本構造の反射鏡において、フッ素化合物層を酸フッ化ケ
イ素で構成してなることを特徴とするものである。
1記載の反射鏡において、フッ素化合物層におけるフッ
素の含有率がAg層との界面付近では高く、SiO2層
との界面に近づくにつれて低くなることを特徴とすもの
である。
本構造の反射鏡において、フッ素化合物をフッ化銀で構
成してなることを特徴とするものである。
は、請求項1記載の反射鏡を製造する製造方法におい
て、真空容器内で基材にAg層を形成し、その後、炭化
フッ素ガスと、酸素ガスと、シラン若しくはフッ素のい
ずれかを含まないオルガノシリコンガスとの混合ガスの
プラズマで基材に酸フッ化ケイ素で構成されるフッ素化
合物層を形成し、その後、シラン若しくはフッ素のいず
れかを含まないオルガノシリコンガスと酸素ガスのプラ
ズマで基材にSiO2層を形成するか、又は、真空容器
内で基材にAg層を形成し、その後、酸素ガスと、オル
ガノフルオルシラン若しくはフッ化ケイ素のいずれかと
の混合ガスのプラズマで基材に酸フッ化ケイ素で構成さ
れるフッ素化合物層を形成し、その後、シラン若しくは
オルガノシリコンガスと酸素ガスのプラズマで基材にS
iO2層を形成することを特徴とするものである。
は、請求項2記載の反射鏡を製造する製造方法におい
て、真空容器内で基材にAg層を形成し、その後、炭化
フッ素ガスと、酸素ガスと、シラン若しくはフッ素のい
ずれかを含まないオルガノシリコンとの混合ガスのプラ
ズマを製造し、その後、徐々に炭化フッ素ガスの流量を
減らしながら酸素ガス流量を増やしていき、前記プラズ
マで基材に傾斜層を形成し、最終的にシラン若しくはフ
ッ素のいずれかを含まないオルガノシリコンガスと酸素
ガスのプラズマを製造することで、基材にSiO2層を
形成するか、又は、真空容器内で基材にAg層を形成
し、その後、酸素ガスと、オルガノフルオルシラン若し
くはフッ化ケイ素のいずれかとの混合ガスのプラズマを
製造し、その後、徐々にオルガノフルオルシランガス若
しくはフッ化ケイ素の流量を減らしながらシラン若しく
はフッ素のいずれかを含まないオルガノシリコンの流量
を増やしていき、酸素ガスと、オルガノフルオルシラン
若しくはフッ化ケイ素のいずれかとの混合ガスのプラズ
マで基材に傾斜層を形成し、最終的にシラン若しくはフ
ッ素のいずれかを含まないオルガノシリコンガスと酸素
ガスのプラズマで基材にSiO2層を形成することを特
徴とするものである。
は、請求項3記載の反射鏡を製造する製造方法におい
て、真空容器内で基材にAg層を形成し、その後、基材
表面を炭化フッ素ガス若しくは炭化フッ素ガスと窒素の
双方若しくは不活性ガスの混合ガスのプラズマ処理を行
うことによりフッ化銀層を形成し、その後、シラン若し
くはフッ素のいずれかを含まないオルガノシリコンガス
と酸素ガスのプラズマで基材にSiO2層を形成するこ
とを特徴とするものである。
ある反射鏡の要部断面図である。図2は、本発明の第一
実施形態〜第五実施形態である反射鏡の一の製造装置の
断面図である。図3は、本発明の第一実施形態〜第五実
施形態である反射鏡の別の製造装置の断面図である。
板1の上にAg層2、フッ素化合物層3、SiO2 層4
が順に積層されたものである。そして、フッ素化合物層
3をSiO2 より低屈折率のフッ素化合物で構成してな
るものである。そして、フッ素化合物層3の厚みを1〜
30nmとし、SiO2 層4の厚みを100〜3000nm
としたものである。
及びその製造方法について詳しく説明する。図2に示さ
れるように、アセトンで超音波洗浄を行うことにより表
面を清浄化したアルミニウム板で構成される基板1を真
空容器5aの中に入れ、真空度5×10-6Torrまで
排気を行った。尚、この場合に限らず、以下の説明中で
行われる排気は図2及び図3の右下に示される排気ホン
プ6により行われる。
×10-3Torrになるまで酸素ガスの排気を行い、そ
の雰囲気内でシャッター11と、基板1を取り付けた第
一の電極9との間に周波数13.56MHz、出力50
0Wの高周波をかけることにより酸素プラズマを発生さ
せ、その雰囲気内に基板1を1分間放置した。これによ
り、基板1の表面に活性な酸素が付着し、その上に層を
形成すれば密着力の高い層が形成される。
を止め、再び真空度5×10-6Torrまで排気を行っ
た。その後、第二のガス導入口8から真空度5×10-3
Torrになるまでアルゴンガスの排気を行い、シャッ
ター11を開き、基板1を取り付けた第一の電極9とA
gのターゲット22を取り付け、そのターゲット22付
近のプラズマ密度が上がるようにマグネット12が取り
付けられた第二の電極10との間に周波数13.56M
Hz、出力500Wの高周波をかけることによりアルゴ
ンプラズマを発生させ、そのプラズマのエネルギーでA
gのターゲット22をスパッタリングし、基板1の上に
Ag層2を150nm形成した。
源18を停止させ、アルゴンガスを止め、Agのターゲ
ット22をMgF2 のターゲット22に交換した後、再
び真空度5×10-6Torrまで排気を行った。
×10-3Torrになるまでアルゴンガスの排気を行
い、その雰囲気内でシャッター11と、基板1を取り付
けた第一の電極9との間に周波数13.56MHz、出
力500Wの高周波をかけることによりアルゴンプラズ
マを発生させ、その雰囲気内にAg層2が形成された基
板1を1分間放置した。これにより、Ag層2の表面が
より清浄化され、この上に層を形成すれば密着力の高い
層が形成される。
のは、Agが酸化されて黒化してしまうからである。な
お、ここの処理は窒素若しくは他の不活性ガスを使用し
ても良い。
ゴンガスを流し続けたままシャッター11を開き、基板
1を取り付けた第一の電極9とMgF2 のターゲット2
2を取り付けた第二の電極10との間に周波数13.5
6MHz、出力500Wの高周波をかけることによりア
ルゴンプラズマを発生させ、そのプラズマのエネルギー
でMgF2 のターゲットをスパッタリングし、Ag層2
が形成された基板1上にSiO2 より低屈折率のフッ素
化合物層3であるMgF2 層を10nm形成した。
層3により、可視域での分光特性が優れる反射鏡を提供
することができる。即ち、低屈折率層を採用しているた
め、層厚の変化による分光特性の低下が抑えられ、フッ
素化合物層3の層厚分布のばらつきが大きくても反射面
の位置の違いによる分光特性のばらつき及び低下が少な
い。
成するSiO2 層4とMgF2 層との間には、多かれ少
なかれ光の干渉が起きるが、SiO2 層4の屈折率は
1.45、MgF2 層の屈折率は1.38でその差が
0.07と小さく、可視域での干渉は起こりにくいため
と層厚のバラツキが30%以内であれば光学設計通りの
光学特性が得られることになるからである。
は、SiO2 層4とAg層2との付着性を確保するため
に最低限必要なフッ素化合物層3の層厚は1nm以上が好
ましく、Agの分光特性を最大限活用するためにはフッ
素化合物層3の層厚は薄ければ薄いほどよく、その限界
が30nmであるため、その中間付近を採用してMgF2
層の層厚を10nm形成したものである。
容器5bの中に入れ替え、真空度5×10-6Torrま
で排気を行った。別の真空容器5bに入れ替えた理由
は、次の処理はCVD法でSiO2 層4を形成するた
め、装置の構成が若干変わるためである。また、SiO
2 層4を形成するため、CVD法を使用するのは、保護
膜としてのSiO2 層4の緻密性を向上させるためと物
理蒸着法に比べ層厚のバラツキを抑えられるからであ
る。
5×10-3Torrになるまでアルゴンガスの排気を行
い、その雰囲気内で基板1を取り付けてない第二の電極
10と、基板1を取り付けた第一の電極9との間に周波
数13.56MHz、出力500Wの高周波をかけるこ
とによりアルゴンプラズマを発生させ、その雰囲気内に
MgF2 層とAg層2とが形成された基板1を1分間放
置した。これにより、MgF2 層の表面がより清浄化さ
れ、この上に層を形成すれば密着力の高い層が形成され
る。なお、ここの処理は窒素若しくは他の不活性ガスを
使用しても良い。
ゴンガスを止め、第四のガス導入口15からテトラエト
キシシラン(Si(OC2 H5 )4 )ガスを、3(テト
ラエトキシシラン)対27(酸素)の流量比で真空度5
×10-3Torrになるまで排気を行い、その雰囲気内
で基板1を取り付けてない第二の電極10と、基板1を
取り付けた第一の電極9との間に周波数13.56MH
z、出力500Wの高周波をかけることにより、その混
合ガスのプラズマを発生させ、そのプラズマのエネルギ
ーにより両ガスを反応させ、基板1にSiO2 層4を1
μm (1000nm)形成した。
及び耐磨耗性に富んだ銀反射鏡を提供することができ
る。尚、層厚を1μm にした理由は、SiO2 層4の保
護機能を満足させるためには少なくとも0.1μm (1
00nm)の層厚が必要であるが、層厚を3μm 以上にす
ると層内の内部応力によりSiO2 層4にクラックが入
り保護機能を有さなくなるため、その中間付近をとって
1μm としたものである。尚、SiO2 層4の形成に
は、テトラエトキシシランとは別のオルガノシリコンガ
ス若しくはSiH4 のようなシランガスと酸素の混合プ
ラズマでも形成できる。
フッ素化合物層3、SiO2 層4が順に積層された反射
鏡においては、Ag層2とSiO2 層4の密着性を向上
させることができる。
鏡及びその製造方法について説明する。図1に示される
ように、この反射鏡は、基板1の上にAg層2、フッ素
化合物層3、SiO2 層4が順に積層されたものであ
る。そして、フッ素化合物層3を酸フッ化ケイ素で構成
してなるものである。そして、フッ素化合物層3の厚み
を1〜30nmとし、SiO2 層4の厚みを100〜30
00nmとしたものである。
及びその製造方法について詳しく説明する。先ず、本発
明の第一実施形態の場合と同様の方法で、基板1の上に
Ag層2を形成する。その後、基板1を図3に示される
別の真空容器5bの中に入れ替え、真空度5×10-6T
orrまで排気を行った。別の真空容器5bに入れ替え
た理由は、次の処理はCVD法でフッ素化合物層3であ
るSiOF層、その後SiO2 層4を形成するため、装
置の構成が若干変わるためである。また、SiO2 層4
を形成するため、CVD法を使用するのは、保護膜とし
てのSiO2 層4の緻密性を向上させるためと物理蒸着
法に比べ層厚のばらつきを抑えられるからである。
5×10-3Torrになるまでアルゴンガスの排気を行
い、その雰囲気内で基板1を取り付けてない第二の電極
10と、基板1を取り付けた第一の電極9との間に周波
数13.56MHz、出力500Wの高周波をかけるこ
とによりアルゴンプラズマを発生させ、その雰囲気内に
Ag層2が形成された基板1を1分間放置した。これに
より、Ag層2の表面がより清浄化され、この上に層を
形成すれば密着力の高い層が形成される。なお、ここの
処理は窒素若しくは他の不活性ガスを使用しても良い。
ゴンガスを止め、第四のガス導入口15からテトラエト
キシシラン(Si(OC2 H5 )4 )ガスを、第5のガ
ス導入口16からCF4 ガスを、3(テトラエトキシシ
ラン)対15(酸素)対12(CF4 )の流量比で真空
度5×10-3Torrになるまで排気を行い、その雰囲
気内で基板1を取り付けてない第二の電極10と、基板
1を取り付けた第一の電極9との間に周波数13.56
MHz、出力500Wの高周波をかけることにより、そ
の混合ガスのプラズマを発生させ、そのプラズマのエネ
ルギーにより三種類のガスを反応させ、基板1にSiO
F層を10nm形成した。
2 層4とフッ素化合物層3との密着性が大きくなり耐腐
食性が一層向上する。また、SiOFのような酸フッ化
ケイ素を使用することにより、MgF2 を使用する場合
に比べ材料コストの削減を図ることができる。また、タ
ーゲット22を交換する必要がないため製造工程の簡略
化が可能となる。
nm形成した理由は、後で形成するSiO2 層4とSiO
F層との付着性が、本発明の第一実施形態の場合に比べ
て若干高いことと、SiOF層とAg層2との付着性を
確保するために最低必要なフッ素化合物層3の層厚は、
1nm以上が好ましく、Agの分光特性を最大限活用する
ためにはフッ素化合物層3の層厚が薄ければ薄い程良
く、その限界が30nmであるため、その中間付近をとっ
てSiOF層の層厚を10nm形成したものである。
トキシシラン若しくはCF4 ガスの代わりにトリフルオ
ルメチルシラン(CH3 SiF3 )のようなオルガノフ
ルオルシラン若しくはSiF4 のようなフッ化ケイ素ガ
スと酸素ガスの混合プラズマでも形成できる。その後、
本発明の第一実施形態の場合と同様の方法で、基板1の
上にSiO2 層4を形成する。
形態の場合には、フッ素化合物層3のターゲット22が
必要であったが、本実施形態の場合には、ターゲット2
2ではなくガスでフッ素化合物が形成できるので、本発
明の第一実施形態の場合より製造工程の簡略化が可能と
なる。また、ガスの切り換えだけでフッ素化合物からS
iO2 層4までの形成を同一容器内で行えるため、さら
に、製造工程の簡略化が可能である。
層2、フッ素化合物層3、SiO2層4が順に積層され
た反射鏡においては、Ag層2とSiO2 層4の密着性
を向上させることができる。
鏡及びその製造方法について説明する。図1に示される
ように、この反射鏡は、基板1の上にAg層2、フッ素
化合物層3、SiO2 層4が順に積層されたものであ
る。そして、フッ素化合物層3におけるフッ素の含有率
がAg層2との界面付近では高く、SiO2 層4との界
面に近づくにつれて低くなるようにしたものである。そ
して、フッ素化合物層3の厚みを1〜30nmとし、Si
O2 層4の厚みを100〜3000nmとしたものであ
る。
及びその製造方法について詳しく説明する。先ず、本発
明の第二実施形態の場合と同様の方法で、基板1の上に
Ag層2を形成し、アルゴンプラズマを発生させ、その
雰囲気内にAg層2が形成された基板1を1分間放置し
た。
ガスを止め、第三のガス導入口14から酸素ガス、第四
のガス導入口15からテトラエトキシシラン(Si(O
C2H5 )4 )ガスを、第五のガス導入口16からCF
4 ガスを、3(テトラエトキシシラン)対15(酸素)
対12(CF4 )の流量比で真空度5×10-3Torr
になるまで排気を行い、その雰囲気内で基板1を取り付
けてない第二の電極10と、基板1を取り付けた第一の
電極9との間に周波数13.56MHz、出力500W
の高周波をかけることにより、その混合ガスのプラズマ
を発生させ、そのプラズマのエネルギーにより三種類の
ガスを反応させ、基板1にSiOF層を形成する工程を
実施しながら、CF4 ガスを徐々に減らし、酸素ガスを
徐々に増やしながら最終的には三種類のガスの流量比
が、3(テトラエトキシシラン)対27(酸素)対0
(CF4 )になるようにすることで、フッ素の含有率が
Ag層2との界面付近では高く、SiO2 層4との界面
に近づくにつれて低くなる傾斜フッ化物層で構成される
フッ素化合物層3を10nm形成し、引き続き、プラズマ
を立てたままSiO2 層4を1μm 形成する。
層3を採用した理由は、SiO2 層4とフッ素化合物層
3との明確な界面が無くなるため本発明の第二実施形態
の場合に比べ、SiO2 層4とフッ素化合物層3との密
着性が大きくなり、耐腐食性が一層向上し、またターゲ
ット22を交換する必要がないため製造工程を簡略化で
きるためである。
理由は、フッ素化合物層3とAg層2との付着性を確保
するために最低必要なフッ素化合物層3の層厚は、1nm
以上が好ましく、Agの分光特性を最大限活用するため
にはフッ素化合物層3の層厚が薄ければ薄い程良く、そ
の限界が30nmであるため、その中間付近をとってフッ
素化合物層3の層厚を10nm形成したものである。
合物層3の形成のためには、CF4ガスの代わりにトリ
フルオルメチルシラン(CH3 SiF3 )のようなオル
ガノフルオルシラン若しくはSiF4 のようなフッ化ケ
イ素ガステトラエトキシシランのようなオルガノシリコ
ンガス若しくはSiH4 のようなシランガスと酸素ガス
の混合プラズマで同様の製造工程を実施すれば形成でき
る。
とSiO2 層4とを連続的に構成することができるの
で、本発明の第二実施形態の場合に比べて工程時間の短
縮が可能となる。また、ガスの切り換えだけでフッ素化
合物からSiO2 層4までの形成を同一の真空容器5b
内で行えるため、製造工程の簡略化も可能である。
g層2、フッ素化合物層3、SiO 2 層4が順に積層さ
れた反射鏡においては、Ag層2とSiO2 層4の密着
性を向上させることができる。
鏡及びその製造方法について説明する。図1に示される
ように、この反射鏡は、基板1の上にAg層2、フッ素
化合物層3、SiO2 層4が順に積層されたものであ
る。そして、フッ素化合物層3をフッ化銀で構成したも
のである。そして、フッ素化合物層3の厚みを1〜30
nmとし、SiO2 層4の厚みを100〜3000nmとし
たものである。
及びその製造方法について詳しく説明する。先ず、本発
明の第一実施形態の場合と同様の方法で、基板1の上に
Ag層2を形成する。
容器5bの中に入れ替え、真空度5×10-6Torrま
で排気を行った。別の真空容器5bに入れ替えた理由
は、フッ素化合物層3形成後の処理はCVD法SiO2
層4を形成するため、装置の構成が若干変わるためであ
る。また、SiO2 層4を形成するため、CVD法を使
用するのは、保護膜としてのSiO2 層4の緻密性を向
上させるためと物理蒸着法に比べ層厚のばらつきを抑え
られるからである。
5×10-3TorrになるまでCF 4 ガスの排気を行
い、その雰囲気内で基板1を取り付けてない第二の電極
10と、基板1を取り付けた第一の電極9との間に周波
数13.56MHz、出力500Wの高周波をかけるこ
とによりCF4 プラズマを発生させ、その雰囲気内にA
g層2が形成された基板1を10秒間放置した。これに
より、Ag層2の最表面がフッ化され、フッ素化合物層
3であるAgF層が約5nm形成される。この場合には、
フッ素化合物層3を10秒で形成できるため、製造工程
を簡略化できると共に、工程時間を極めて短縮できる。
が厚くなり反射鏡が黄色味を帯びてくるので、AgF層
が10nm以上形成されるような処理は施さない方がよ
い。
素が付着しているので、本発明の第二実施形態の場合に
比べてフッ素化合物層3であるAgF層とSiO2 層4
との密着性が大きくなり、耐腐食性が向上する。
ることにより、材料コストを削減できる。また、フッ素
化合物層3を10秒で形成できるため、製造工程を簡略
化できると共に、本発明の第二実施形態又は第三実施形
態の場合より工程時間を短縮できる。
様にして、基板1にSiO2 層4を形成する。上述の製
造工程により、ガスの切り換えだけでフッ素化合物から
SiO2 層4までの形成を同一の真空容器5b内で行え
るため、製造工程の簡略化も可能である。また、フッ素
化合物層3の形成とその表面の活性化処理を同時に行う
ことができるため、製造工程をさらに簡略化することが
できる。
g層2、フッ素化合物層3、SiO 2 層4が順に積層さ
れた反射鏡においては、Ag層2とSiO2 層4の密着
性を向上させることができる。
鏡の要部断面図である。図4に示されるように、この第
五実施形態である反射鏡と、本発明の第一実施形態であ
る反射鏡との相違点は、反射鏡の形状が平板ではなく、
アスペクト比0〜3の凹凸面を形成している点である。
その他の構成は本発明の第一実施形態の場合と同様であ
る。
る基板1の形状が平板ではなく、アスペクト比0.67
即ち、直径60mm、奥行き半径40mmの凹面の基板1に
層形成を行った。本発明の第一実施形態の場合と同様の
製造方法で製造することにより、アスペクト比0〜2
(アスペクト比0は平板を意味する。)の凹面の反射鏡
に対する各層の層厚のばらつきを所定の層厚に対し+2
0%〜−20%以内に抑えることができ、層厚のばらつ
きが起因する光学設計通りの光学特性が得られにくいと
いう問題がかなり解消できる。
の層構成を採用することにより、多層構造による干渉が
かなり抑えられると共に、基板1の形状変化を伴っても
銀反射鏡の光学特性を最大限活用することができる。
な光学機能とデザイン性の両者を追求されるような反射
鏡への適用が可能となる。尚、この場合には、本発明の
第一実施形態の場合と同様の効果をも奏するものであ
る。
たアルミニウムの平板で構成される基板1を真空の容器
の中に入れ、真空度5×10-6Torrまで排気を行っ
た。その後、電子ビーム蒸着法により、Ag層2を15
0nm、Al2 O3 を30nm、SiO2 層4を50nmの順
に形成した。
洗浄したアスペクト比0.67即ち、直径60mm、奥行
き半径40mmの凹面のアルミニウムの基板1を真空の容
器の中に入れ、真空度5×10-6Torrまで排気を行
った。その後、電子ビーム蒸着法により、Ag層2を1
50nm、Al2 O3 を30nm、SiO2 層4を50nmの
順に形成した。
態である反射鏡の製造方法により製造された反射鏡と、
比較例1及び比較例2の反射鏡の評価結果について説明
する。表1は、反射率の測定結果を示すものである。
四実施形態と比較例1とを比較すると、波長400nmに
おける反射率は、第一実施形態〜第四実施形態の方が比
較例1に比べて優れていることがわかる。これは、比較
例1はAl2 O3 を採用しており、Al2 O3 の屈折率
は1.6と高く、反射率の低下は低屈折率層(SiO 2
の屈折率1.45より低い層)より層の厚みに対する反
射率低下度合いが大きいためであると考えられる。
折率層を採用しており、反射率の低下が小さいか、比較
例1に比べてかなり薄い層厚としているので反射率が低
下しなかったものと考えられる。
すものである。
四実施形態と比較例1とを比較すると、密着力は、第一
実施形態〜第四実施形態の方が比較例1に比べて約2.
5〜4倍と高く、それに伴い耐腐食性も向上している。
これにより、Ag層2とSiO2 層4との間にフッ素化
合物層3を入れると保護機能が向上することがわかる。
尚、密着力は、Pull−Stud法による垂直方向の
密着力評価法で行った。
は、塩水噴霧試験を1日実施という意味で、その内訳は
8時間塩水噴霧を行い、その後16時間放置するという
ものである。またレイティングNo.とは、JIS−H
−8502のメッキの耐食試験方法における腐食面積率
の評価点であり、腐食無しの場合にはレイティングN
o.は10であり、腐食が面積の50%以上進んでいる
場合にはレイティングNo.は0である。
四実施形態と比較例1とを比較すると、塩水噴霧試験結
果は、第一実施形態〜第四実施形態の方が比較例1に比
べて腐食が少なく、耐腐食性が良好である。
場合における光学特性を示す色調の観察結果、密着力及
び塩水噴霧試験結果を示すものである。
較例2とを比較すると、色調の観察結果は第五実施形態
の場合には変色がないため、第五実施形態の方が比較例
2に比べ、光学特性が優れている。塩水噴霧試験結果
は、第五実施形態の方が比較例2に比べて腐食が少な
く、耐腐食性が良好である。
かったが塩水噴霧試験結果から推定すると、第五実施形
態の方が比較例2に比べて密着性が高いと考えられる。
あったので目視により色調の観察を行った。また、密着
性については、凹面の場合はPull−Stud法は行
えないのでJIS−H−8504のメッキの密着力試験
のテープ試験方法に基づいて行った。また、上記第一実
施形態〜第五実施形態において、本発明の請求項1〜3
に係る構成の要件或いは請求項4〜6に係る方法の要件
を充足しない実施形態については、本発明の参考形態と
して説明しているものである。
り、Ag層とSiO2層の密着性を向上させることがで
きるという共通の効果を奏する。
通の効果に加えて、SiO2層とフッ素化合物層との密
着性が大きくなり耐腐蝕性が一層向上する。また、酸フ
ッ化ケイ素を使用することにより、材料コストの削減が
可能となると共に、ターゲットを交換する必要がないた
め製造工程の簡略化が可能となる。
1記載の反射鏡の効果に加えて、SiO2層とフッ素化
合物層との密着性がさらに大きくなり耐腐蝕性がより一
層向上する。また、ターゲットを交換する必要がないた
め製造工程の簡略化が可能となる。
通の効果に加えて、AgF層の表面に活性フッ素が付着
しているので、フッ素化合物層であるAgF層とSiO
2層との密着性がさらに大きくなり、耐腐蝕性が向上す
る。
材料コストを削減できる。また、フッ素化合物層を10
秒で形成できるため、製造工程を簡略化できると共に、
工程時間を極めて短縮できる。
は、請求項1記載の反射鏡を製造することができる。ま
た、フッ素化合物層からSiO2層までの形成を同一の
真空容器内で行うことができる。
は、請求項2記載の反射鏡を製造することができる。ま
た、フッ素化合物層とSiO2層とを同一の真空容器内
で連続的に形成することができるので工程時間を短縮す
ることができる。本発明の請求項6記載の反射鏡の製造
方法は、請求項3記載の反射鏡を製造することができ
る。また、フッ素系のプラズマの雰囲気にさらすことに
よりフッ素化合物層の形成を容易に行うことができる。
さらに、フッ素化合物層からSiO2層までの形成を同
一の真空容器内で行うことができる。
図である。
射鏡の一の製造装置の断面図である。
射鏡の別の製造装置の断面図である。
図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 基板の上にAg層、フッ素化合物層、S
iO2層が順に積層されてなる反射鏡であって、フッ素
化合物層を酸フッ化ケイ素で構成してなることを特徴と
する反射鏡。 - 【請求項2】 フッ素化合物層におけるフッ素の含有率
がAg層との界面付近では高く、SiO2層との界面に
近づくにつれて低くなることを特徴とする請求項1記載
の反射鏡。 - 【請求項3】 基板の上にAg層、フッ素化合物層、S
iO 2 層が順に積層されてなる反射鏡であって、フッ素
化合物をフッ化銀で構成してなることを特徴とする反射
鏡。 - 【請求項4】 請求項1記載の反射鏡を製造する製造方
法において、真空容器内で基材にAg層を形成し、その
後、炭化フッ素ガスと、酸素ガスと、シラン若しくはフ
ッ素のいずれかを含まないオルガノシリコンガスとの混
合ガスのプラズマで基材に酸フッ化ケイ素で構成される
フッ素化合物層を形成し、その後、シラン若しくはフッ
素のいずれかを含まないオルガノシリコンガスと酸素ガ
スのプラズマで基材にSiO2層を形成するか、又は、
真空容器内で基材にAg層を形成し、その後、酸素ガス
と、オルガノフルオルシラン若しくはフッ化ケイ素のい
ずれかとの混合ガスのプラズマで基材に酸フッ化ケイ素
で構成されるフッ素化合物層を形成し、その後、シラン
若しくはオルガノシリコンガスと酸素ガスのプラズマで
基材にSiO2層を形成することを特徴とする反射鏡の
製造方法。 - 【請求項5】 請求項2記載の反射鏡を製造する製造方
法において、真空容器内で基材にAg層を形成し、その
後、炭化フッ素ガスと、酸素ガスと、シラン若しくはフ
ッ素のいずれかを含まないオルガノシリコンとの混合ガ
スのプラズマを製造し、その後、徐々に炭化フッ素ガス
の流量を減らしながら酸素ガス流量を増やしていき、前
記プラズマで基材に傾斜層を形成し、最終的にシラン若
しくはフッ素のいずれかを含まないオルガノシリコンガ
スと酸素ガスのプラズマを製造することで、基材にSi
O2層を形成するか、又は、真空容器内で基材にAg層
を形成し、その後、酸素ガスと、オルガノフルオルシラ
ン若しくはフッ化ケイ素のいずれかとの混合ガスのプラ
ズマを製造し、その後、徐々にオルガノフルオルシラン
ガス若しくはフッ化ケイ素の流量を減らしながらシラン
若しくはフッ素のいずれかを含まないオルガノシリコン
の流量を増やしていき、酸素ガスと、オルガノフルオル
シラン若しくはフッ化ケイ素のいずれかとの混合ガスの
プラズマで基材に傾斜層を形成し、最終的にシラン若し
くはフッ素のいずれかを含まないオルガノシリコンガス
と酸素ガスのプラズマで基材にSiO2層を形成するこ
とを特徴とする反射鏡の製造方法。 - 【請求項6】 請求項3記載の反射鏡を製造する製造方
法において、真空容器内で基材にAg層を形成し、その
後、基材表面を炭化フッ素ガス若しくは炭化フッ素ガス
と窒素の双方若しくは不活性ガスの混合ガスのプラズマ
処理を行うことによりフッ化銀層を形成し、その後、シ
ラン若しくはフッ素のいずれかを含まないオルガノシリ
コンガスと酸素ガスのプラズマで基材にSiO2層を形
成することを特徴とする反射鏡の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25562396A JP3509414B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 反射鏡及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25562396A JP3509414B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 反射鏡及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10106325A JPH10106325A (ja) | 1998-04-24 |
JP3509414B2 true JP3509414B2 (ja) | 2004-03-22 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP25562396A Expired - Fee Related JP3509414B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 反射鏡及びその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3509414B2 (ja) |
-
1996
- 1996-09-27 JP JP25562396A patent/JP3509414B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10106325A (ja) | 1998-04-24 |
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