JP3332271B2 - 反射鏡及びその製造方法 - Google Patents

反射鏡及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材上に、銀又は銀合
金及び基材の材料からなる傾斜膜を形成することにより
高い反射率を得ることができる光学的反射鏡や照明器具
のリフレクター、銀の高輝度性を特徴とする装飾品等と
して用いられる反射鏡及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】銀は、可視光域での反射率が高く反射体
としての価値は高いが、バルク状では高価である。この
ため、従来から支持体などの基材上に銀薄膜を形成する
ことにより反射率の高い物品を比較的安価に得ることが
行われている。この銀の薄膜化の方法は、一般には真空
蒸着やスパッタリングで容易に形成できることが知られ
ており、反射体以外では電極材料などにも応用されてい
る。
【0003】一方、反射鏡としては、反射率は銀の98
%に劣るが、約90%の反射率が得られるアルミニウム
が一般に使用されている。これは、アルミニウムは表面
に酸化層を形成しているので、腐食に強いという理由の
他、薄膜形成の際基材との密着力が比較的良好で剥離な
どの問題がなく、耐久性に優れるためである。したがっ
て、照明器具の反射板や鏡類、光学反射鏡などは基材上
に真空蒸着したアルミニウムに透明な保護膜を形成した
り、ガラスの裏面にアルミニウム膜を形成したりして利
用されている。
【0004】しかし、銀は化学的に不活性で他の材料と
の結合力が弱いため、真空蒸着やスパッタリングなどの
方法では基材との高い密着力が得られず剥離しやすい。
そして、基材からの剥離があると、使用環境により酸化
や塩化、硫化などの腐食が更に進み、反射膜としての耐
久性が劣るという問題がある。このような不活性な銀に
対して真空蒸着法などの方法により基材に対する密着性
を向上させる試みがいくつかなされている。一般には、
基材と銀膜との中間にニッケル、クロムなどの遷移金属
をコンタクト層として形成する方法や、銀膜形成の前に
ガラス基材の表面を電子ビームで活性化させるといった
基材の前処理により密着力向上をはかる手段も考えられ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、銀は高い反射
を持つため反射鏡材料としては最適であるが、基材と
の密着性が弱いために剥離などが起こり十分な耐久性を
持つ反射鏡を得ることが困難であり、例えば、レーザミ
ラーなどに使用されている銀反射鏡は、使用環境が比較
的クリーンであるにもかかわらず耐久性に劣るために交
換を頻繁に行う必要がある。
【0006】銀膜の成膜方法の一つとして遷移金属をコ
ンタクト層とする方法は、密着力の向上が見られる場合
もあるが、基材とコンタクト層、コンタクト層と銀層の
両方において密着力を確保する必要があり、とちらかの
密着力が弱いと剥離してしまうという問題がある。ま
た、銀膜形成の前にガラス基材の表面を電子ビームで活
性化させる方法は、ガラス基材に対してのみ有効であ
り、金属基材や高分子材料を用いた基材には応用するこ
とができず、アルゴンイオンボンバードでは大きな効果
は期待できないという問題がある。
【0007】そこで、銀の高反射率を有したまま、様々
な基材材料に対して密着性良く銀膜を形成することが強
く望まれているのが現状である。本発明は上記の従来例
の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とす
るところは、銀や銀合金を基材に対して密着力良く形成
して反射膜としての耐久力を向上させることができる反
射鏡を提供することを第1の目的とし、併せて上記のよ
うな反射鏡を簡単な方法で製造できる反射鏡の製造方法
を提供することを第2の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記従来例の問題点を解
決して本発明の目的を達成するため、本発明の第1の発
明の反射鏡は、基材1の表面に、銀又は銀合金及び基材
の材料からなり且つ銀又は銀合金及び基材の材料の組成
比が基材1に近い側程銀又は銀合金よりも基材の材料の
割合が多く基材1から遠ざかる程基材の材料よりも銀又
は銀合金の割合が多くなるような傾斜膜2を形成して成
る構成としたものである。つまり、銀膜形成時に基材1
上に銀又は銀合金と基材の材料とのそれぞれの組成が徐
々に増加あるいは減少している傾斜膜2を形成したもの
である。一方向に徐々に組成比が変化していく傾斜膜は
一般的であるが、その中で基材1との密着性を向上させ
ることと、表面の反射率を向上させることの2つの特徴
と同時に有する傾斜膜2を形成することにより従来にな
い反射鏡を構成することができたものである。
【0009】具体的には、銀又は銀合金と基材材料の薄
膜形成過程において、その形成速度をそれぞれ変化させ
ることにより、図1に示すように、膜中の基材1側にお
いては、膜組成が基材1材料を多く含有し、表面側(つ
まり基材1と反対側)においては膜組成が反射材料であ
る銀又は銀合金を多く含有する構成の傾斜膜2を形成す
ることができる。図において3は基材材料、4は銀又は
銀合金を示している。
【0010】また、本発明の第2の発明の反射鏡は、
材1の表面に、銀又は銀合金及び基材の材料からなり且
つ銀又は銀合金及び基材の材料の組成比が基材1に近い
側程銀又は銀合金よりも基材の材料の割合が多く基材1
から遠ざかる程基材の材料よりも銀又は銀合金の割合が
多くなるような傾斜膜2を形成し、傾斜膜2の表面に銀
又は銀合金の反射膜5を形成して成る構成としたもので
ある。つまり、図1に示す実施例の傾斜膜2上に更に銀
又は銀合金よりなる反射膜5を形成し、更に高反射率を
維持することができるようにしたものである。また、本
発明の第3の発明の反射鏡は、透明な基材1の表面に、
銀又は銀合金及び基材の材料からなり且つ銀又は銀合金
及び基材の材料の組成比が基材1に近い側程銀又は銀合
金よりも基材の材料の割合が多く基材1から遠ざかる程
基材の材料よりも銀又は銀合金の割合が多くなるような
傾斜膜2を形成し、この傾斜膜2の表面に透明な基材
と同一材料からなる保護膜6を形成させて成る構成とし
た(図3参照、図4参照)ものである。つまり、基材1
としてガラスや透明樹脂などの透明材料を用いた場合、
この傾斜膜6上に基材1と同じ透明材料により保護膜6
を形成することにより銀又は銀合金の耐食性を更に向上
させることができるものである。
【0011】また、第4の発明、第5の発明は上記した
第1の発明や第2の発明や第3の発明における傾斜膜2
の膜組成の変化の仕方に特徴を有している。すなわち、
第4の発明の反射鏡は、傾斜膜2の基材2側と表面側と
で基材成分比と、銀又は銀合金の成分比がそれぞれ減少
傾向、増加傾向で連続的に変化している構成となってい
る。つまり、図5に示すように、基材1側から膜上側へ
と傾斜膜2の膜の組成比が基材材料リッチから銀又は銀
合金リッチへと変化していく仕方が連続的であり、変化
中において界面を形成しないことを特徴としている。こ
のような明確な界面が存在せず連続的に組成が変化する
膜構成とすることで、より傾斜膜機能を確保することが
できて膜の基材1に対する付着を強固なものにすること
ができる。図9には第4の発明における、電子ビームパ
ワー、組成比、膜厚と、成膜時間との関係を示すグラフ
が示してある。
【0012】一方、第5の発明の反射鏡は、傾斜膜の基
材側と表面側で基材成分比と、銀又は銀合金の成分比が
それぞれ減少傾向、増加傾向で断続的に変化している構
成となっている。つまり、図6のように変化の仕方がコ
ントロールされた成膜速度により段階的に基材材料リッ
チから銀又は銀合金リッチへ変化していく断続的な膜組
成となっていることを特徴としている。このような断続
的に組成比の変化する膜は、連続的に変化させるより制
御しやすく形成が容易であり、また段階の組み方により
膜質を管理することができ、品質のばらつきの少ない安
定した膜質の膜となる。図10には第5の発明におけ
る、電子ビームパワー、組成比、膜厚と、成膜時間との
関係を示すグラフが示してある。
【0013】第1乃至第5の傾斜膜2の形成方法を第6
及び第7の発明に示す。すなわち、第6の発明は、基材
1上に、銀又は銀合金及び基材の材料からなる傾斜膜2
を備えた反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金及び
基材の材料を同一雰囲気で同時に物理的蒸着法により析
出させると共に、それぞれの析出量を独立して制御する
ことにより傾斜膜2の形成を行うことを特徴とするもの
である。ここで、銀又は銀合金を真空中で粒子化させて
析出させる方法としては、真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法などの物理的方法を採用
し、成膜速度を制御しながら基材1上に薄膜を形成する
のである。第6の発明においては更にこの銀又は銀合金
の物理的蒸着と同時に同じ空間において、基材材料も同
時に真空中で粒子化させて析出させるために真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの
物理的蒸着を行い、成膜速度を制御しながら基材上に薄
膜形成する。このような方法を採用することで、基材材
料と銀又は銀合金が同時にそれぞれ独立に制御された成
膜速度で膜形成ができ、任意の傾斜膜2を形成すること
ができる。
【0014】また、第7の発明は、基材1上に、銀又は
銀合金及び基材の材料からなる傾斜膜を備えた反射鏡の
製造方法であって、銀又は銀合金を物理的蒸着法により
析出させると共に、基材の材料を同一雰囲気で同時に化
学的蒸着法により析出させ、それぞれの析出量を独立し
て制御することにより傾斜膜の形成を行うことを特徴
とするものである。つまり、基材材料の成膜が気相から
合成できるものの場合、この銀又は銀合金の物理的蒸着
と同時に同じ空間において、基材材料を気相から熱ある
いはプラズマなどにより化学的反応により膜形成する化
学蒸着又は重合を行い、成膜速度を制御しながら基材1
上に薄膜形成するのである。この方法によれば、気相か
ら合成できる基材材料と銀又は銀合金が同時にそれぞれ
独立に制御された成膜速度で膜形成でき、任意の傾斜膜
を形成することができる。
【0015】また、第8の発明は、基材1上に、銀又は
銀合金及び基材の材料からなる傾斜膜2を備えた反射鏡
の製造方法であって、銀又は銀合金を物理的蒸着法によ
り析出させると共に、基材の材料を同一雰囲気で同時に
物理的蒸着法又は化学的蒸着法により析出させ、それぞ
れの析出量を独立して制御することにより傾斜膜の形成
を行い、その後、基材の材料の析出を停止して銀又は銀
合金のみを析出することを特徴とするものである。つま
り、この第8の発明においては、前述の第2の発明の反
射鏡を製造する方法として、第6及び第7の発明の方法
を用いて傾斜膜2を形成した後、基材の材料の成膜のみ
を停止し、銀又は銀合金のみを粒子化させて析出するこ
とを継続して所定時間行い、傾斜膜2上に高反射率の銀
又は銀合金膜を形成するのである。図11には第8の発
明における、電子ビームパワー、組成比、膜厚と、成膜
時間との関係を示すグラフが示してある。このような方
法を採用することで、容易に第2発明に示した反射率の
高い反射鏡を形成できるものである。
【0016】また、第9の発明は、透明な基材1上に、
銀又は銀合金及び基材の材料からなる傾斜膜2を備えた
反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金を物理的蒸着
法により析出させると共に、基材の材料を同一雰囲気で
同時に物理的蒸着法又は化学的蒸着法により析出させ、
それぞれの析出量を独立して制御することにより傾斜膜
2の形成を行い、その後、銀又は銀合金の析出を停止し
て基材の材料のみを析出することを特徴とするものであ
る。つまり、この第9の発明においては、前述の第3の
発明の反射鏡を製造する方法として、第6及び第7の発
明の方法を用いて傾斜膜2を形成した後、銀又は銀合金
の粒子化による析出のみを停止し、基材の材料のみを粒
子化して析出することを再増加させて、所定時間成膜を
行い、傾斜膜に透明な保護膜6を形成するのである。図
12には第9の発明における、電子ビームパワー、組成
比、膜厚と、成膜時間との関係を示すグラフが示してあ
る。このような方法を採用することで、容易に第3発明
に示した構成の保護膜6のある反射鏡を形成でき、反射
率の維持ができる反射鏡を製造できるものである。
【0017】また、第10の発明は、透明な基材1上
に、銀又は銀合金及び基材の材料からなる傾斜膜2を備
えた反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金を物理的
蒸着法により析出させると共に、基材の材料を同一雰囲
気で同時に物理的蒸着法又は化学的蒸着法により析出さ
せ、それぞれの析出量を独立して制御することにより傾
斜膜の形成を行い、その後、逆傾斜となる析出量の制御
をすることを特徴とするものである。つまり、この第1
0の発明においては、前述の第3の発明の反射鏡を製造
する方法として、第6及び第7の発明の方法を用いて傾
斜膜2を形成した後、銀又は銀合金の粒子化による析出
を徐々に減少させ、一方で基材の材料の粒子化による析
出を徐々に再増加させることにより、反射層から透明保
護膜層へ徐々に透明保護膜リッチへ変化していく傾斜膜
2を形成することを特徴とする方法である。図13には
第10の発明における、電子ビームパワー、組成比、膜
厚と、成膜時間との関係を示すグラフが示してある。こ
のような方法を採用することで、保護膜6の密着性も向
上させることができる。図4に形成された反射鏡の組成
状態を説明するための断面図が示してある。
【0018】なお、ここにおいて使用する銀合金として
は、銀を基体として高反射率を維持することのできる含
有量だけ銀以外の金属を含んだ合金であり、金属として
は例えば、Pt、Pd、In、Ni、Alなどがあげら
れる。また、基材材料としては、金属、ガラス、セラミ
ックス、高分子材料などがあげられる。
【0019】
【作用】本発明によれば、銀又は銀合金の他の材料との
密着性不良である問題点を解決し基材又は保護層に強固
に付着した反射膜を形成でき、反射性物品の高反射率化
を実現できる。
【0020】
【実施例】以下本発明を実施例により詳述する。 (実施例1) 基材1として表面の平滑なアルミニウム基板を用い、十
分な有機洗浄を行った後に真空槽10内の所定の位置に
セットする。真空槽1内には、銀及びアルミニウムの入
ったるつぼ11(図7においては11aが銀または銀合
金の入ったるつぼを示し、11bが基材材料であるアル
ミニウムの入ったるつぼを示している)があり、それぞ
れについて電子ビーム12a、12bを照射して溶融、
蒸発できるようになっている。基材1の位置はそれらの
るつぼ11から等距離になるようにする。
【0021】そして、真空槽10内を1×10-3Pa以
下に真空排気した後、酸素ガスを1×10-2Paまで導
入し、高周波電力500Wにて基材1を5分間プラズマ
処理する。酸素ガスの導入を停止した後、2つの電子ビ
ームの出力を上昇させ、銀及びアルミニウムを溶解状態
にし、それぞれのるつぼ11a、11b上のシャッター
(図示せず)を開ける。まず、全蒸発粒子の内、アルミ
ニウムの蒸発量の組成比が100%になるように膜厚モ
ニター13を通して電子ビーム12a、12bの出力を
制御し、時間と共に銀の蒸発量が徐々に増加するよう
に、それぞれの電子ビーム12a、12bの出力を制御
する。
【0022】蒸発量の制御は、連続的に電子ビーム12
a、12bの出力を上昇又は降下させて成膜速度を連続
的に増減させても良いし、また、所定時間ごとに断続的
に成膜速度が変化するように段階的に電子ビーム12
a、12bの出力を上昇又は降下させても良く、成膜材
料、制御性、膜厚などにより選択すれば良い。全蒸発粒
子の内、銀の蒸発量の組成比が100%になったときの
膜厚が0.15μmになるまで成膜し、アルミニウムの
蒸発量が0%、銀の蒸発量が100%になった状態で更
に0.15μm成膜して図2に示した膜を形成する。こ
の膜を分光光度計にて可視光域において反射率を測定し
た結果を下記の表1に示す、この表1から明らかなよう
に、銀を真空蒸着した時の結果に等しい反射率を得るこ
とができ、また、密着力は真空蒸着法で成膜した場合の
約5倍の強度を得ることができた。
【0023】
【表1】
【0024】(実施例2) 基材1として表面の平滑なアルミニウム基板を用い、十
分な有機洗浄を行った後に真空槽10内の所定の位置に
セットする。真空槽1内には、銀及びAl2 3 の入っ
たるつぼ11(図7においては11aが銀または銀合金
の入ったるつぼを示し、11bが基材材料であるAl2
3 の入ったるつぼを示している)があり、それぞれに
ついて電子ビーム12a、12bを照射して溶融、蒸発
できるようになっている。基材1の位置はそれらのるつ
ぼ11から等距離になるようにする。
【0025】そして、真空槽10内を1×10-3Pa以
下に真空排気した後、アルゴンガスを1×10-2Paま
で導入し、高周波電力500Wにて基材1を5分間プラ
ズマ処理する。アルゴンガスの導入を停止した後、2つ
の電子ビームの出力を上昇させ、銀及びAl2 3 を溶
解状態にし、それぞれのるつぼ11a、11b上のシャ
ッター(図示せず)を開ける。まず、全蒸発粒子の内、
Al2 3 の蒸発量の組成比が100%になるように膜
厚モニター13を通して電子ビーム12a、12bの出
力を制御し、時間と共に銀の蒸発量が徐々に増加するよ
うに、それぞれの電子ビーム12a、12bの出力を制
御する。全蒸発粒子の内、銀の蒸発量の組成比が100
%になったときの膜厚が0.15μmになるまで成膜
し、Al23 の蒸発量が0%、銀の蒸発量が100%
になった状態で更に0.15μm成膜して図2に示した
膜を形成する。
【0026】(実施例3)図8に本実施例に用いる他の
装置が示してある。基材1としてガラス基材を用い、十
分な有機洗浄を行った後に真空槽15内の所定の位置に
セットする。真空槽15内には、銀:パラジウム=9
5:5のターゲット20を有する陰極が直流電源16に
接続されており、更に、化学蒸着原料ガスとしてテトラ
エトキシシラン、酸素が導入できるガス配管17(図8
において反応性ガスである酸素が導入される配管17a
と、ソースガスであるテトラエトキシシランが導入され
る配管17bとが設けてある)と、プラズマを発生させ
る高周波電極18と、加熱ヒータ19とが配置してあ
る。図中21は不活性ガスの供給管、22は排気部であ
る。また23はマッチングボックス、24はシャッター
である。また、基材1の位置はターゲット20の対向部
で、ガス配管17及び高周波電極18が基材1の近傍に
配置されている。真空槽15内を1×10-3Pa以下に
真空排気した後、アルゴンガスを1×10-2Paまで導
入し、高周波電力500Wにて基材1を5分間プラズマ
処理する。一度プラズマを停止した後、再びアルゴンガ
スを導入し直流電源16によりターゲット20近傍にプ
ラズマを形成する。同時に基材1近傍にテトラエトキシ
シラン及び酸素を導入し、プラズマを発生させる。ま
ず、SiO2 のみが成膜されるように導入ガス量を制御
し、徐々に導入ガス量を減少させる一方でターゲット2
0上部のシャッター24を開け、銀:パラジウム=9
5:5の合金膜が徐々に増加するように膜厚モニターを
通して電子ビームの出力を制御する。銀ーパラジウム合
金の蒸発量が100%になったときの膜厚が0.3μm
になるまで成膜し、SiO2 は形成せず、銀ーパラジウ
ム合金の蒸発量が100%になった状態で更に0.15
μm成膜する。更に、再びガスの導入量を徐々に増加さ
せ、銀ーパラジウム合金の蒸発量を徐々に減少させて、
0.3μm膜形成する間に、SiO2 膜が100%とな
るように傾斜膜2を形成し、続けて1μm厚SiO2
形成して保護膜層とする。
【0027】上記の結果得られたものを、JISに基づ
く塩水噴霧試験した結果、銀が最表面である反射鏡では
24時間の試験後には腐食して反射鏡率が低下するが、
この方法により成膜した反射鏡は72時間後も高反射率
を維持できた。
【0028】
【発明の効果】本発明の第1の発明にあっては、上述の
ように、基材の表面に、銀又は銀合金及び基材の材料か
らなり且つ銀又は銀合金及び基材の材料の組成比が基材
に近い側程銀又は銀合金よりも基材の材料の割合が多く
基材から遠ざかる程基材の材料よりも銀又は銀合金の割
合が多くなるような傾斜膜を形成させて反射鏡を構成し
てあるので、銀や銀合金を基材に対して密着力良く形成
して反射膜としての耐久力の高い反射鏡を提供できるも
のである。
【0029】また、本発明の第2の発明にあっては、
材の表面に、銀又は銀合金及び基材の材料からなり且つ
銀又は銀合金及び基材の材料の組成比が基材に近い側程
銀又は銀合金よりも基材の材料の割合が多く基材から遠
ざかる程基材の材料よりも銀又は銀合金の割合が多くな
るような傾斜膜を形成し、傾斜膜の表面に銀又は銀合金
の反射膜を形成して反射鏡を構成してあるので、基材と
の密着力が良くて耐久性が高く、しかも高反射率の反射
鏡を提供できるものである。また、本発明の第3の発明
にあっては、透明な基材の表面に、銀又は銀合金及び基
の材料からなり且つ銀又は銀合金及び基材の材料の組
成比が基材に近い側程銀又は銀合金よりも基材の材料の
割合が多く基材から遠ざかる程基材の材料よりも銀又は
銀合金の割合が多くなるような傾斜膜を形成し、この傾
斜膜の表面に透明な基材と同一材料からなる保護膜を形
成させて反射鏡を構成してあるので、基材との密着力が
良くて耐久性が高く、しかも銀又は銀合金の耐食性の優
れた反射鏡を提供できるものである。
【0030】また、本発明の第4の発明にあっては、傾
斜膜の基材側と表面側とで基材成分比と、銀又は銀合金
の成分比がそれぞれ減少傾向、増加傾向で連続的に変化
している構成であるので、上記の効果に加えて傾斜膜機
能を確保することができて膜の基材に対する付着力が強
固となった反射鏡を提供できるものである。また、本発
明の第5の発明にあっては、傾斜膜の基材側と表面側で
基材成分比と、銀又は銀合金の成分比がそれぞれ減少傾
向、増加傾向で断続的に変化している構成であるので、
膜の形成に際しての制御が容易であり、また膜質の管理
ができて品質のばらつきのない安定した膜質の膜となっ
た反射鏡を提供できるものである。
【0031】また、本発明の第6の発明にあっては、基
材上に、銀又は銀合金及び基材の材料からなる傾斜膜を
備えた反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金及び基
材の材料を同一雰囲気で同時に物理的蒸着法により析出
させると共に、それぞれの析出量を独立して制御するこ
とにより傾斜膜の形成を行うので、簡単な方法で、基材
材料と銀又は銀合金が同時にそれぞれ独立して制御され
た成膜速度で膜形成ができ、任意の傾斜膜を形成するこ
とができるものである。
【0032】また、本発明の第7の発明にあっては、基
材上に、銀又は銀合金及び基材の材料からなる傾斜膜を
備えた反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金を物理
的蒸着法により析出させると共に、基材の材料を同一雰
囲気で同時に化学的蒸着法により析出させ、それぞれの
析出量を独立して制御することにより傾斜膜の形成を行
うので、簡単な方法で、気相から合成できる基材材料と
銀又は銀合金が同時にそれぞれ独立して制御された成膜
速度で膜形成ができ、任意の傾斜膜を形成できるもので
ある。
【0033】また、本発明の第8の発明にあっては、基
材上に、銀又は銀合金及び基材の材料からなる傾斜膜を
備えた反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金を物理
的蒸着法により析出させると共に、基材の材料を同一雰
囲気で同時に物理的蒸着法又は化学的蒸着法により析出
させ、それぞれの析出量を独立して制御することにより
傾斜膜の形成を行い、その後、基材の材料の析出を停止
して銀又は銀合金のみを析出するので、反射率の高い反
射鏡を簡単な方法で製造できるものである。
【0034】また、本発明の第9の発明にあっては、透
明な基材上に、銀又は銀合金及び基材の材料からなる傾
斜膜を備えた反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金
を物理的蒸着法により析出させると共に、基材の材料を
同一雰囲気で同時に物理的蒸着法又は化学的蒸着法によ
り析出させ、それぞれの析出量を独立して制御すること
により傾斜膜の形成を行い、その後、銀又は銀合金の析
出を停止して基材の材料のみを析出するので、保護膜の
ある反射鏡を簡単な方法で製造できるものである。
【0035】また、本発明の第10の発明にあっては、
透明な基材上に、銀又は銀合金及び基材の材料からなる
傾斜膜を備えた反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合
金を物理的蒸着法により析出させると共に、基材の材料
を同一雰囲気で同時に物理的蒸着法又は化学的蒸着法に
より析出させ、それぞれの析出量を独立して制御するこ
とにより傾斜膜の形成を行い、その後、逆傾斜となる析
出量の制御をするので、基材、保護膜いずれに対しても
密着性の良い反射鏡を簡単な方法で製造できるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射鏡の組成状態の説明のための概略
断面図である。
【図2】同上の反射鏡の他の実施例の組成状態の説明の
ための概略断面図である。
【図3】同上の反射鏡の更に他の実施例の組成状態の説
明のための概略断面図である。
【図4】同上の反射鏡の更に他の実施例の組成状態の説
明のための概略断面図である。
【図5】本発明の一実施例における基材成分と銀又は銀
合金との基材の厚み方向における傾斜膜成分比を示すグ
ラフである。
【図6】本発明の他の実施例における基材成分と銀又は
銀合金との基材の厚み方向における傾斜膜成分比を示す
グラフである。
【図7】本発明の装置の一例の説明図である。
【図8】同上の装置の他例の説明図である。
【図9】本発明における一実施例の電子ビームパワー、
組成比、膜厚と、成膜時間との関係を示すグラフであ
る。
【図10】本発明における他の実施例の電子ビームパワ
ー、組成比、膜厚と、成膜時間との関係を示すグラフで
ある。
【図11】本発明における更に他の実施例の電子ビーム
パワー、組成比、膜厚と、成膜時間との関係を示すグラ
フである。
【図12】本発明における更に他の実施例の電子ビーム
パワー、組成比、膜厚と、成膜時間との関係を示すグラ
フである。
【図13】本発明における更に他の実施例の電子ビーム
パワー、組成比、膜厚と、成膜時間との関係を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 基材 2 傾斜膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 瀬良 聡機 (56)参考文献 特開 平3−177339(JP,A) 特開 昭48−75430(JP,A) 特開 昭49−90545(JP,A) 特開 平5−80211(JP,A) 特開 平4−236765(JP,A) 特開 平4−236763(JP,A) 特開 平2−298253(JP,A) 特開 昭62−258403(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 G02B 5/00 - 5/136

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に、銀又は銀合金及び基材の
    材料からなり且つ銀又は銀合金及び基材の材料の組成比
    が基材に近い側程銀又は銀合金よりも基材の材料の割合
    が多く基材から遠ざかる程基材の材料よりも銀又は銀合
    金の割合が多くなるような傾斜膜を形成して成ることを
    特徴とする反射鏡。
  2. 【請求項2】 基材の表面に、銀又は銀合金及び基材の
    材料からなり且つ銀又は銀合金及び基材の材料の組成比
    が基材に近い側程銀又は銀合金よりも基材の材料の割合
    が多く基材から遠ざかる程基材の材料よりも銀又は銀合
    金の割合が多くなるような傾斜膜を形成し、傾斜膜の表
    面に銀又は銀合金の反射膜を形成して成ることを特徴と
    する反射鏡。
  3. 【請求項3】 透明な基材の表面に、銀又は銀合金及び
    基材の材料からなり且つ銀又は銀合金及び基材の材料の
    組成比が基材に近い側程銀又は銀合金よりも基材の材料
    の割合が多く基材から遠ざかる程基材の材料よりも銀又
    は銀合金の割合が多くなるような傾斜膜を形成し、この
    傾斜膜の表面に透明な基材と同一材料からなる保護膜を
    形成させて成ることを特徴とする反射鏡。
  4. 【請求項4】 傾斜膜の基材側と表面側とで基材成分比
    と、銀又は銀合金の成分比がそれぞれ減少傾向、増加傾
    向で連続的に変化していることを特徴とする請求項1又
    は請求項2又は請求項3記載の反射鏡。
  5. 【請求項5】 傾斜膜の基材側と表面側で基材成分比
    と、銀又は銀合金の成分比がそれぞれ減少傾向、増加傾
    向で断続的に変化していることを特徴とする請求項1又
    は請求項2又は請求項3記載の反射鏡。
  6. 【請求項6】 基材上に、銀又は銀合金及び基材の材料
    からなる傾斜膜を備えた請求項1乃至請求項5のいずれ
    かに記載の反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金及
    び基材の材料を同一雰囲気で同時に物理的蒸着法により
    析出させると共に、それぞれの析出量を独立して制御す
    ることにより傾斜膜の形成を行うことを特徴とする反射
    鏡の製造方法。
  7. 【請求項7】 基材上に、銀又は銀合金及び基材の材料
    からなる傾斜膜を備えた請求項1乃至請求項5のいずれ
    かに記載の反射鏡の製造方法であって、銀又は銀合金を
    物理的蒸着法により析出させると共に、基材の材料を同
    一雰囲気で同時に化学的蒸着法により析出させ、それぞ
    れの析出量を独立して制御することにより傾斜膜の形成
    を行うことを特徴とする反射鏡の製造方法。
  8. 【請求項8】 基材上に、銀又は銀合金及び基材の材料
    からなる傾斜膜を備えた請求項2記載の反射鏡の製造方
    法であって、銀又は銀合金を物理的蒸着法により析出さ
    せると共に、基材の材料を同一雰囲気で同時に物理的蒸
    着法又は化学的蒸着法により析出させ、それぞれの析出
    量を独立して制御することにより傾斜膜の形成を行い、
    その後、基材の材料の析出を停止して銀又は銀合金のみ
    を析出することを特徴とする反射鏡の製造方法。
  9. 【請求項9】 透明な基材上に、銀又は銀合金及び基材
    の材料からなる傾斜膜を備えた請求項3記載の反射鏡の
    製造方法であって、銀又は銀合金を物理的蒸着法により
    析出させると共に、基材の材料を同一雰囲気で同時に物
    理的蒸着法又は化学的蒸着法により析出させ、それぞれ
    の析出量を独立して制御することにより傾斜膜の形成を
    行い、その後、銀又は銀合金の析出を停止して基材の材
    料のみを析出することを特徴とする反射鏡の製造方法。
  10. 【請求項10】 透明な基材上に、銀又は銀合金及び基
    材の材料からなる傾斜膜を備えた請求項3記載の反射鏡
    の製造方法であって、銀又は銀合金を物理的蒸着法によ
    り析出させると共に、基材の材料を同一雰囲気で同時に
    物理的蒸着法又は化学的蒸着法により析出させ、それぞ
    れの析出量を独立して制御することにより傾斜膜の形成
    を行い、その後、逆傾斜となる析出量の制御をすること
    を特徴とする反射鏡の製造方法。
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