JPH11213448A - 耐食性反射膜及び該膜で被覆された構造体 - Google Patents

耐食性反射膜及び該膜で被覆された構造体

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JPH11213448A
JPH11213448A JP10013577A JP1357798A JPH11213448A JP H11213448 A JPH11213448 A JP H11213448A JP 10013577 A JP10013577 A JP 10013577A JP 1357798 A JP1357798 A JP 1357798A JP H11213448 A JPH11213448 A JP H11213448A
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film
alloy
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ultra
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JP10013577A
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Kenichi Hijikata
研一 土方
Rie Mori
理恵 森
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Mitsubishi Materials Corp
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高湿の環境に置かれても、Ag薄膜に腐
食や曇化を生じず、Ag−Mg合金超薄膜で被覆したも
のは450nm以上の波長の可視光に対して、またAg
−Al合金超薄膜で被覆したものは400nm以上の波
長の可視光に対して90%以上の反射率を維持する。 【解決手段】 耐食性反射膜は基体10の表面に形成さ
れたAg薄膜11と、このAg薄膜11表面に形成され
たAg−Mg合金超薄膜12又はAg−Al合金超薄膜
とを備え、このAg−Mg合金超薄膜12の組成がMg
20〜30原子%であり、このAg−Al合金超薄膜の
組成がAl5〜50原子%であり、残部Agである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属、ガラス、セラ
ミックス、プラスチックス等の基体表面にAg薄膜が形
成された耐食性反射膜に関する。更に詳しくは、基体表
面がAg薄膜で被覆された、光ディスク(CD)、光磁
気ディスク(MO)、ミニディスク(MD)、リフレク
タ、照明器具、標識、Agめっき製品等に適する構造体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のAg薄膜は銀白色の美しい光沢
を有し、電気及び熱の伝導率が金属薄膜中もっとも高い
点で優れている。特に反射率が可視光の広い波長域にわ
たって100%に近い値を示すために、鏡面を必要とす
る装置、例えば上記光ディスク、光磁気ディスク等の反
射膜に広く利用されている。またAg薄膜は装飾美があ
るうえ、抗菌性が高いために洋食器に高級感と清潔感を
与える。その一方でAg薄膜は耐食性に乏しい欠点があ
る。即ち、乾燥雰囲気中では、Agは酸素中で高温に熱
しても酸化されず化学的にも安定な金属であるけれど
も、通常の湿気を含んだ大気中や硫化ガスや紫外線の存
在下では、Agは変質したり、変色したり、或いは光沢
を失ったりする。特に硫黄とは直接結合して、例えばH
2Sと反応して常温でも容易にAg2Sとなり黒色に変化
する。更にAg薄膜は高温高湿の環境に置かれると白濁
化し、曇化する。従来、このようなAg薄膜の耐食性を
向上させる方法として、薄膜を他の金属との合金にする
方法や、透明なプラスチックやセラミック被膜を保護膜
としてAg薄膜に被覆する方法などが挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、薄膜を
他の金属、例えばTi、Pd等との合金(Ag−Ti合
金、Ag−Pd合金等)にした場合には、耐食性は向上
するが反射率が低下してしまう不具合があった。またA
g薄膜を保護膜で被覆した場合には、ピンホール、剥離
等の保護膜の膜欠陥を完全になくすことが困難であり、
このような欠陥部から侵入した水分や腐食性ガスにより
Ag薄膜の腐食が進行してしまうことがあった。本発明
の目的は、高温高湿の環境に置かれても、Ag薄膜に腐
食や曇化を生じず、Ag−Mg合金超薄膜で被覆したも
のは450nm以上の波長の可視光に対して、またAg
−Al合金超薄膜で被覆したものは400nm以上の波
長の可視光に対して90%以上の反射率をそれぞれ維持
する耐食性反射膜及びこの反射膜で被覆された構造体を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1に示すように、基体10の表面に形成されたAg薄
膜11と、このAg薄膜11表面に形成されたAg−M
g合金超薄膜12とを備え、このAg−Mg合金超薄膜
12の組成がMg20〜30原子%であり、残部Agで
あることを特徴とする耐食性反射膜である。また請求項
2に係る発明は、図示しないが、基体の表面に形成され
たAg薄膜と、このAg薄膜表面に形成されたAg−A
l合金超薄膜とを備え、このAg−Al合金超薄膜の組
成がAl5〜50原子%であり、残部Agであることを
特徴とする耐食性反射膜である。
【0005】Ag−Mg合金超薄膜又はAg−Al合金
超薄膜は、高温高湿条件下でも変色も曇化もせず、Ag
薄膜との付着が良好であり、かつ超薄膜であるがゆえに
金属膜でありながら光の吸収量が小さいという特性を持
つ。従ってAg−Mg合金超薄膜又はAg−Al合金超
薄膜でAg膜を被覆することにより、高温高湿条件に対
する耐食性を向上させることができる。また請求項1に
係る発明においてMg濃度が20原子%未満、請求項2
に係る発明においてAl濃度が5原子%未満にそれぞれ
なると、高温高湿条件下でのAg薄膜の曇化を防止する
効果が不十分になる。更に請求項1に係る発明において
Mg濃度が30原子%、請求項2に係る発明においてA
l濃度が50原子%をそれぞれ越えると反射膜の反射率
が低下する。
【0006】請求項3に係る発明は、請求項1又は2に
係る発明であって、図2に示すように、基体10の表面
にアンダコート層13を介してAg薄膜11が形成され
た耐食性反射膜である。請求項4に係る発明は、請求項
1ないし3いずれかに係る発明であって、Ag−Mg合
金超薄膜12又はAg−Al合金超薄膜の表面にトップ
コート層14が形成された請求項1ないし3いずれか記
載の耐食性反射膜である。
【0007】基体の表面にアンダコート層を形成してか
らAg薄膜を形成すると、Ag薄膜の基体に対する密着
性が高まり、反射膜の耐食性をより一層良好にする。上
記合金超薄膜の表面にトップコート層を形成する場合も
同様に反射膜の耐食性をより一層良好にする。
【0008】請求項5に係る発明は、請求項1、3又は
4いずれかに係る発明であって、Ag薄膜11が少なく
とも500オングストロームの膜厚を有し、Ag−Mg
合金超薄膜12が10〜100オングストロームの膜厚
を有する耐食性反射膜である。請求項6に係る発明は、
請求項2ないし4いずれかに係る発明であって、Ag薄
膜が少なくとも500オングストロームの膜厚を有し、
Ag−Al合金超薄膜が10〜40オングストロームの
膜厚を有する耐食性反射膜である。
【0009】Ag薄膜の膜厚が500オングストローム
未満では膜厚が不十分で入射した光が一部透過し、反射
率が小さくなる不具合がある。また合金超薄膜の膜厚が
10オングストローム未満ではAg薄膜を均一に被覆す
ることが困難であり、100オングストローム(請求項
5)又は40オングストローム(請求項6)を越えると
反射膜の反射率を低下させる。
【0010】請求項7に係る発明は、基体10が金属、
ガラス、セラミックス又はプラスチックスであって、こ
の基体の表面に請求項1ないし6いずれか記載の耐食性
反射膜で被覆された構造体である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の基体は、金属、ガラス、
セラミックス又はプラスチックスである。金属は純Ag
を含む。例えば光ディスク、光磁気ディスク、ミニディ
スク、リフレクタ、照明器具、標識、Agめっき製品に
用いられるAg薄膜が形成される基体である。アンダコ
ート層を設ければAg薄膜の密着性がより高まり剥離を
生じる恐れはなくなる。また基体は平板に限らず、凹面
物、凸面物、凹凸状物、その他立体物を含む。このアン
ダコート層や合金超薄膜の表面に形成されるトップコー
ト層は、樹脂液をコーティングして形成される透明な合
成樹脂層又は蒸着により形成されるサイアロン(SiA
lON)、Si34等の透明なセラミック層である。こ
のアンダコート層又はトップコート層の厚さは基体の平
滑度や構造体の用途に応じてそれぞれ決められる。
【0012】Ag−Mg合金超薄膜におけるMgの含有
量は20〜30原子%であり、Ag−Al合金超薄膜に
おけるAlの含有量は5〜50原子%である。耐食性反
射膜で被覆された構造体の用途により、また要求される
反射率特性により、上記範囲内で含有量は変化する。
【0013】本発明のAg薄膜と、Ag−Mg合金超薄
膜又はAg−Al合金超薄膜は、スパッタリング法、真
空蒸着法、イオンプレーティング法などの方法により形
成される。スパッタリング法の中で特にマグネトロンス
パッタリング法が好ましい。これは合金組成の制御をス
パッタリングの際にターゲットに印加される電力値の増
減、被着体の位置の移動によって容易に行うことができ
ること、基体に対する膜の密着力が大きいこと、大面積
の基体に組成、厚さの均一な膜を形成しやすいことなど
による。例えば光ディスク、光磁気ディスク、ミニディ
スク、照明器具用の反射膜は、主としてこのマグネトロ
ンスパッタリング法により形成され、家庭用プラスチッ
ク製品のめっき膜、鏡などの反射膜は、真空蒸着法、イ
オンプレーティング法により形成される。またスパッタ
リング法でAg薄膜と上記合金超薄膜を形成する場合に
は、Ag薄膜を形成した後、大気に曝すことなく連続し
て上記合金超薄膜を形成することができる。このスパッ
タリング法によるAg−Mg合金超薄膜又はAg−Al
合金超薄膜の形成は、AgターゲットとMg又はAlの
ターゲットを用いたコスパッタリングや、或はAg−M
g合金ターゲット又はAg−Al合金ターゲットを用い
たスパッタリングのいずれによっても行うことができ
る。
【0014】次に、基体表面にAg薄膜とAg−Mg合
金超薄膜を形成する具体的な態様について説明する。A
g−Al合金超薄膜の形成も同様である。 (a) AgターゲットとMgターゲットを用いたコスパッ
タリング法による場合:図3に示すように、Agターゲ
ット21とMgターゲット22と基体ホルダ23をチャ
ンバ中心Oから所定の等距離だけ隔てて配置する。チャ
ンバ中心OとAgターゲット21の中心を結ぶ線Aとチ
ャンバ中心OとMgターゲット22の中心を結ぶ線Bと
のなす角度をηとするとき、この角度ηの範囲内を移動
可能に基体ホルダ23が配置される。線Aからのホルダ
23の移動角はθで示される。図4及び図5に示すよう
に、基体ホルダ23には基体10が保持され、基体10
がターゲット21及び22に対してそれぞれ所定の高さ
になるようにホルダ23を配置する。Agターゲット2
1及びMgターゲット22には、一方のターゲットから
スパッタリングされた粒子が横方向に飛散して他方のタ
ーゲット表面を汚染しないように円筒状シールド24が
それぞれ設けられる。またMgターゲット22の上方に
はシャッタ26が除去可能に設けられる。スパッタリン
グ時に基体ホルダ23は一定の速度で自転するようにな
っている。
【0015】このようなスパッタリング装置で基体表面
にAg薄膜に続いてAg−Mg合金超薄膜を形成するに
は、先ず図4に示すように基体10を基体ホルダ23に
保持してホルダ23を角度θ=0度(図3)にセット
し、基体10をAgターゲット21に対向させる。この
ときMgターゲット22の上方にこのターゲットより大
径のシャッタ26を配置してMgターゲットを覆ってお
く。チャンバ内が所定の真空度に到達したところで、チ
ャンバ内にArガスを導入して所定のガス圧にし、スパ
ッタリングを開始し、基体表面にAgを所望の膜厚だけ
成膜する。次いでMgターゲット22の上方に配置した
シャッタ26を取除いた後、基体ホルダ23をそのまま
の状態にしておくか、或は図5に示すようにAgターゲ
ット21とMgターゲット22の間に移動する。即ち、
このとき角度θを角度ηが120度の場合に0〜40度
(図3)にする。この状態でスパッタリングを再開し、
Ag薄膜に続いてAg−Mg合金超薄膜を所望の膜厚だ
け成膜する。 (b) Ag−Mg合金ターゲットを用いたスパッタリング
法による場合:図6に示すように、Agターゲット21
とAg−Mg合金ターゲット27と基体ホルダ23をチ
ャンバ中心Oから所定の等距離だけ隔てて配置する。角
度η及び角度θは上記(a)の場合と同様である。図7及
び図8に示すように、基体ホルダ23には基体10が保
持され、基体10がターゲット21及び27に対してそ
れぞれ所定の高さになるようにホルダ23を配置する。
Agターゲット21及びAg−Mg合金ターゲット27
には、上記(a)の場合と同じ円筒状シールド24がそれ
ぞれ設けられ、かつシャッタ26が除去可能にそれぞれ
設けられる。スパッタリング時に基体ホルダは一定の速
度で自転するようになっている。
【0016】このようなスパッタリング装置で基体表面
にAg薄膜に続いてAg−Mg合金超薄膜を形成するに
は、先ず図7に示すように基体10を基体ホルダ23に
保持してホルダ23を角度θ=0度(図6)にセット
し、基体10をAgターゲット21に対向させる。この
ときAg−Mg合金ターゲット27の上方にこのターゲ
ットより大径のシャッタ26を配置してAg−Mg合金
ターゲットを覆っておく。チャンバ内が所定の真空度に
到達したところで、チャンバ内にArガスを導入して所
定のガス圧にし、スパッタリングを開始し、基体表面に
Agを所望の膜厚だけ成膜する。次いで図8に示すよう
に基体ホルダ23を角度θ=η(図6)にセットした
後、Ag−Mg合金ターゲットの上方に配置したシャッ
タ26を取除いてAgターゲット21の上方まで移動し
このターゲット21を覆っておく。基体10をAg−M
g合金ターゲット27に対向させた状態でスパッタリン
グを再開し、Ag薄膜に続いてAg−Mg合金超薄膜を
所望の膜厚だけ成膜する。
【0017】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
る。 <実施例1>基体として30mm×30mm×1mmの
ガラス板(コーニング社製、7059F)を用意した。
このガラス板の表面に上記(a)のコスパッタリング法で
Ag薄膜とAg−Mg合金超薄膜をこの順で形成した。
それぞれ直径5インチのAgターゲットとMgターゲッ
トを用い、これらのターゲットと直径4インチの基体ホ
ルダとをチャンバ中心から140mmの等距離隔てて配
置した。図3に示す角度ηは120度である。基体ホル
ダにはガラス板の基体を保持し、基体がAgターゲット
とMgターゲットに対してそれぞれ100mmの高さに
なるようにホルダを配置した。スパッタリングパワーは
Agターゲット及びMgターゲットの投入電力ともRF
100Wに設定し、スパッタリング時に基体ホルダを1
0rpmで自転させた。
【0018】このようなスパッタリング装置で、先ず図
4に示すように基体10を基体ホルダ23に保持して、
ホルダ23を角度θ=0度にセットし、Mgターゲット
を60mmの高さに配置した直径160mmのシャッタ
26で覆った。チャンバ内が真空度5×10-7Torr
に到達したところで、チャンバ内にArガスを導入し1
×10-3Torrにし、スパッタリングを開始した。基
体の温度を25±3℃に維持して、基体表面にAgを1
000オングストロームだけ成膜した。次いでMgター
ゲットの上方に配置したシャッタ26を取除いた後、基
体ホルダ23を図5に示すようにAgターゲット21と
Mgターゲット22の間に移動した(θ=30度)。こ
の状態でスパッタリングを再開し、Ag薄膜に続いてA
g−Mg合金超薄膜を100オングストロームだけ成膜
した。このAg−Mg合金超薄膜はMgを25.6原子
%含有していた。
【0019】<比較例1>実施例1と同じスパッタリン
グ装置を用い、かつ同一のスパッタリング条件でガラス
板の基体表面に膜厚が1000オングストロームのAg
薄膜のみ形成した。これを比較例1とした。
【0020】<比較例2>実施例1と同じスパッタリン
グ装置を用い、かつθ=20度とする以外は実施例1と
同一のスパッタリング条件でガラス板の基体表面にAg
薄膜とAg−Mg合金超薄膜をこの順で形成した。Ag
薄膜の膜厚は1000オングストローム、Ag−Mg合
金超薄膜の膜厚は50オングストロームであった。この
Ag−Mg合金超薄膜はMgを18.5原子%含有して
いた。
【0021】<比較例3>実施例1と同じスパッタリン
グ装置を用い、かつθ=0度とする以外は実施例1と同
一のスパッタリング条件でガラス板の基体表面にAg薄
膜とAg−Mg合金超薄膜をこの順で形成した。Ag薄
膜の膜厚は1000オングストローム、Ag−Mg合金
超薄膜の膜厚は1000オングストロームであった。こ
のAg−Mg合金超薄膜はMgを10.0原子%含有し
ていた。
【0022】<実施例2>Mgターゲットの代りにAl
ターゲットを用いて、実施例1と同様にコスパッタリン
グしてガラス板の基体表面にAg薄膜とAg−Al合金
超薄膜をこの順で形成した。Ag薄膜の膜厚は1000
オングストローム、Ag−Al合金超薄膜の膜厚は10
オングストロームであった。このAg−Al合金超薄膜
はAlを5.6原子%含有していた。
【0023】<比較例4>実施例2と同じスパッタリン
グ装置を用い、かつ実施例2と同一のスパッタリング条
件でガラス板の基体表面にAg薄膜とAg−Al合金超
薄膜をこの順で形成した。Ag薄膜の膜厚は1000オ
ングストローム、Ag−Al合金超薄膜の膜厚は100
オングストロームであった。このAg−Al合金超薄膜
はAlを実施例2と同じく5.6原子%含有していた。
【0024】<比較例5>実施例2と同じスパッタリン
グ装置を用い、かつθ=90度とする以外は実施例2と
同一のスパッタリング条件でガラス板の基体表面にAg
薄膜とAg−Al合金超薄膜をこの順で形成した。Ag
薄膜の膜厚は1000オングストローム、Ag−Al合
金超薄膜の膜厚は50オングストロームであった。この
Ag−Al合金超薄膜はAlを90.6原子%含有して
いた。
【0025】<耐食試験と評価>実施例1〜2及び比較
例1〜5のスパッタリング後のガラス板の耐食性を試験
した。具体的にはこれらのガラス板を温度80℃、相対
湿度85%に保たれた恒温恒湿容器中に100時間保持
し、耐食試験前後の分光反射率の変化と表面の外観変化
を調べた。反射率の測定は分光光度計により行い、表面
の外観変化は走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)
により行った。実施例1及び実施例2の耐食試験前後の
分光反射率の測定結果を図10及び図15に、また比較
例3及び比較例5の耐食試験前(成膜直後)の分光反射
率の測定結果を図13及び図17にそれぞれ示し、更に
実施例1、比較例1、比較例2、実施例2及び比較例4
の耐食試験前後のSEM写真を図9、図11、図12及
び図14にそれぞれ示す。
【0026】図10、図13、図15及び図17に示す
反射率の変化、及び図9、図11、図12及び図14に
示すSEM写真より、比較例1、比較例2及び比較例4
は耐食試験により曇化して鏡面でなくなっており、比較
例3及び比較例5は耐食試験前(成膜直後)から反射率
が低いのに対して、実施例1及び実施例2は耐食試験前
(成膜直後)の反射率が高く、かつ耐食試験によっても
曇化せず、耐食試験後も高反射率と鏡面を保つことが分
った。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の反射膜によ
れば、Ag薄膜と密着性が高く、高温高湿条件下でのA
g薄膜の曇化を防止する効果をもち、かつAg薄膜の高
反射率を低下させないAg−Mg合金超薄膜又はAg−
Al合金超薄膜によりAg薄膜を被覆するため、Ag薄
膜は堅牢に保護され、高温高湿の環境に置かれても、A
g薄膜に腐食や曇化を生じず、Ag−Mg合金超薄膜で
被覆したものは450nm以上の波長の可視光に対し
て、またAg−Al合金超薄膜で被覆したものは400
nm以上の波長の可視光に対して90%以上の反射率を
維持することができる。この耐食性反射膜により金属、
ガラス、セラミックス又はプラスチックスなどからなる
基体の表面を被覆して、光ディスク、光磁気ディスク、
ミニディスク、リフレクタ、照明器具、標識、Agめっ
き製品などの高い反射率が要求される構造体にすれば、
劣悪な環境でも反射率が低下せずに耐食性に優れ、上記
光ディスク等の製品価値を格段に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐食性反射膜の断面図。
【図2】本発明の別の耐食性反射膜の断面図。
【図3】本発明のスパッタリング装置の基体ホルダとタ
ーゲットとの位置関係を装置上方から示す模式図。
【図4】本発明のスパッタリング装置の基体ホルダとタ
ーゲットとの位置関係を装置正面から示す模式図。
【図5】本発明のスパッタリング装置の基体ホルダとタ
ーゲットとの位置関係を装置正面から示す別の模式図。
【図6】本発明の別のスパッタリング装置の基体ホルダ
とターゲットとの位置関係を装置上方から示す模式図。
【図7】本発明の別のスパッタリング装置の基体ホルダ
とターゲットとの位置関係を装置正面から示す模式図。
【図8】本発明の別のコスパッタリング装置の基体ホル
ダとターゲットとの位置関係を装置正面から示す別の模
式図。
【図9】実施例1の耐食試験後の走査型電子顕微鏡写真
図。
【図10】実施例1の耐食試験前後の分光反射率の測定
結果を示す図。
【図11】比較例1の耐食試験後の走査型電子顕微鏡写
真図。
【図12】比較例2の耐食試験後の走査型電子顕微鏡写
真図。
【図13】比較例3の耐食試験前(成膜直後)の分光反
射率の測定結果を示す図。
【図14】実施例2の耐食試験後の走査型電子顕微鏡写
真図。
【図15】実施例2の耐食試験前後の分光反射率の測定
結果を示す図。
【図16】比較例4の耐食試験後の走査型電子顕微鏡写
真図。
【図17】比較例5の耐食試験前(成膜直後)の分光反
射率の測定結果を示す図。
【符号の説明】
10 基体 11 Ag薄膜 12 Ag−Mg合金超薄膜 13 アンダコート層 14 トップコート層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年1月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体(10)の表面に形成されたAg薄膜(1
    1)と、前記Ag薄膜(11)表面に形成されたAg−Mg合
    金超薄膜(12)とを備え、 前記Ag−Mg合金超薄膜(12)の組成がMg20〜30
    原子%であり、残部Agであることを特徴とする耐食性
    反射膜。
  2. 【請求項2】 基体の表面に形成されたAg薄膜と、前
    記Ag薄膜表面に形成されたAg−Al合金超薄膜とを
    備え、 前記Ag−Al合金超薄膜の組成がAl5〜50原子%
    であり、残部Agであることを特徴とする耐食性反射
    膜。
  3. 【請求項3】 基体(10)の表面にアンダコート層(13)を
    介してAg薄膜(11)が形成された請求項1又は2記載の
    耐食性反射膜。
  4. 【請求項4】 Ag−Mg合金超薄膜(12)又はAg−A
    l合金超薄膜の表面にトップコート層(14)が形成された
    請求項1ないし3いずれか記載の耐食性反射膜。
  5. 【請求項5】 Ag薄膜(11)が少なくとも500オング
    ストロームの膜厚を有し、Ag−Mg合金超薄膜(12)が
    10〜100オングストロームの膜厚を有する請求項
    1、3又は4いずれか記載の耐食性反射膜。
  6. 【請求項6】 Ag薄膜が少なくとも500オングスト
    ロームの膜厚を有し、Ag−Al合金超薄膜が10〜4
    0オングストロームの膜厚を有する請求項2ないし4い
    ずれか記載の耐食性反射膜。
  7. 【請求項7】 基体(10)が金属、ガラス、セラミックス
    又はプラスチックスであって、前記基体の表面に請求項
    1ないし6いずれか記載の耐食性反射膜で被覆された構
    造体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006001271A (ja) * 2004-05-17 2006-01-05 Kobe Steel Ltd Ag系2層膜および透明導電体
EP1947645A1 (en) 2003-03-13 2008-07-23 Mitsubishi Materials Corporation Silver alloy sputtering target for forming reflective layer of optical recording medium
JP2008191528A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Stanley Electric Co Ltd 反射膜およびその作製方法および照明装置

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